説明

トロンメル分離装置

【課題】 分離残渣の中からも、回収の対象となる粒度の粉粒体をより効率よく分離回収することを可能とするトロンメル分離装置の提供。
【解決手段】 円筒形回転ドラムの周壁に多数の開口を設け、回転ドラムの一端の投入口から供給される初期被分離材料を、開口の大きさで分離するメッシュを備えた分離機構を有し、回転ドラムの他端の排出口から排出された分離残渣の全部または一部を圧潰ロールで粉砕する機構を併設し、前記分離残渣のうち圧潰しない残渣または圧潰後の残渣を再分離することで残渣量を減らし回収効率を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロンメル分離装置に関し、特に、粉砕した粉粒体を分離・分級する際に使用するトロンメル分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉砕した粉粒体などの対象物を分離・分級するための分離装置として、例えば、特許文献1〜特許文献3に示されるようなものが提案されている。
特許文献1に示される分離装置は、全体を覆う外郭を軸方向に傾斜配置し、この外郭のほぼ中央上側に廃棄物投入口を、外郭の底面の傾斜上端に軽質物排出口を、傾斜下端に重質物排出口を設け、上記外郭の同軸上で且つ上記廃棄物投入口の上側と下側に無数のパンチングホールを設けた回転ドラムを回転可能に配置し、上記回転ドラムの中心軸より下方に並行して、螺旋翼を設けた回転軸を上記外郭の鏡板を貫通・設置してなる構成である。
この特許文献1に記載の発明によれば、投入された廃棄物は、無数のパンチングホールを設けた回転ドラムと螺旋翼の運動によって重質物は沈降して傾斜面の下方に移動し、回転ドラムから外殻下端の重質物排出口に至り、軽質物は相対的に浮き上がって螺旋翼によって傾斜面上方に送られて回転ドラムから外郭を経て軽質物排出口に至る、とされている。
【0003】
特許文献2に示される分離装置は、スノコ状のシュートに変わって、スパイラル送り機溝を設けたU字管または回転ドラムで磨き材を分離し、その外周に設けた研削石封入のドラム内で磨き材を研削し発生する塵芥をドラム外部に取り出す構成である。
この特許文献2に記載の発明によれば、U字管の内周に溝を設けることで、分離対象物はスパイラルを前進するが、磨き材は小さいために溝に阻まれて前進できず溝の底部に設けた孔から外部に落下する、とされている。
【0004】
特許文献3に示される分離装置は、駆動プレート及び供給プレートを含む開放した円筒体であり、一連の支持ロッドが駆動プレートと供給プレートとの間を延びており、これらの間には、トロンメルを分級ゾーンと排出ゾーンに分割するロッド支持リングが配置される構成である。
この特許文献3に記載の発明によれば、ロッド支持リングの近傍で浮動し且つ供給プレートに固定された複数の振動ロッドが、トロンメルの回転時に揺動し、撓み、予め選択された大きさの対象物を振動−支持バーに通し、これと同時に残りの対象物が排出ゾーンへと送られ、これにより詰まりを減少する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−144382号公報
【特許文献2】特開平06−335566号公報
【特許文献3】特表2005−519757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のトロンメル分離装置によれば、以下のような問題があった。
(1)特許文献1に示される分離装置によれば、粉砕機等から送られて投入された様々な粒度の材料粉粒体を1台で分離・分級する際に、粉砕しきれていない粒度の粗い有効なものが回収できず、残渣として不純物に混じって排出されてしまう問題があった。
特に、解砕した廃石膏ボードなどの粉粒体状の粉砕物においては、水分を含んだ際に粒子同士が結合し乾燥後でも比較的大きな粒塊として残存することが多い。しかし、粉砕物全体の解砕作業は大量・高速処理をするのが一般的なため、圧潰ロールで粉砕する際の単位面積当たりの圧力は大きくはなく、粉砕し切れない粒塊が多く残留したまま後工程のふるい機において分離・分級されることになり、有用な粉粒体までもが残渣として廃棄されてしまい、残渣量を減らし回収量を増やすことが難しかった。
【0007】
(2)特許文献2または特許文献3に示される分離装置によれば、回転ドラムを二重構造にすることで分離までの工程を長くしてその間に自己解砕を促したり、場合によっては回転ドラム内に粉砕用のセラミックボールを入れるなど、ふるい時にある程度の粉砕も同時に行えるよう工夫されているが、これらはすでに適度な粒度に粉砕された多くの材料粉粒体と一緒に、回転ドラム内で撹拌されているため、自己解砕やセラミックボールによる粉砕の効果が薄く、工程に長い時間をかけないと回収効率が上げられなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、分離残渣の中からも、回収の対象となる粒度の粉粒体をより効率よく分離回収することを可能とするトロンメル分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の解決手段をとった。その作用とともに、本発明のトロンメル分離装置の構成ごとに順に説明する。
【0010】
本発明の請求項1の発明は、円筒形の回転ドラムの内部に粉砕した粉粒体などの対象物を投入口から投入して分離・分級するためのトロンメル分離装置において、前記回転ドラムの周壁に多数の開口を有するスクリーンによって前記供給される対象物を分離する分離機構と、前記分離機構での分離残渣の全部または一部を前記回転ドラムの排出口において対向する圧潰ロールで粉砕する圧潰機構と、前記分離残渣のうち圧潰しない残渣または圧潰後の残渣を前記分離機構または前記分離機構とは別の分離機構で再分離する再分離機構と、を有することを特徴とする
【0011】
この構成により、該スクリーンを通過できなかった前記分離残渣を、該圧潰機構を通じて粒度を小さくし、再分離することで回収の対象となる粒度の粉粒体をより多く回収する作用をなす。
【0012】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載のトロンメル分離装置において、前記圧潰ロールの少なくとも1つは、その軸受けハウジングが圧潰方向に移動可能となるよう、該軸受けハウジングを案内するガイドを設けるとともに、前記圧潰方向に一定の圧力が加わるよう該軸受けハウジングを押圧するスプリングを設けたことを特徴とする。
【0013】
この構成により、該圧潰ロールどうしの間隙を一定の圧力で広げることが可能となり、金属片や石片など硬質の異物が前記分離残渣に混入した場合に、該圧潰ロール機構を傷めることなく、もとの大きさのまま通過させる作用をなす。
【0014】
また本発明請求項3の発明は、請求項1または2に記載のトロンメル分離装置において、前記圧潰ロールの少なくとも1つは、表面に凹凸の歯形を有し、その凸部形状は、前記凹凸の高さより小さな頂部を有する台形、もしくは、前記凹凸の高さより小さなR形状をなす頂部を有する山形とすることを特徴とする。
【0015】
この構成により、該圧潰ロール間に進入した前記分離残渣中にある大きな粒度の粉粒体は、ある程度の湿気を含んで粒子が結合しやすくなっている場合であっても、せんべい状に平たく押し延ばされることがなく、容易に粒度の小さな粉粒体に解砕する作用をなす。
【0016】
また本発明請求項4の発明は、請求項1〜3に記載のトロンメル分離装置において、前記圧潰ロールは、互いに適度な間隙をもって対向して配置されていることを特徴とする。
【0017】
この構成により、圧潰が必要のない小さな粒度の粉粒体が容易に通過でき、圧潰の能率を向上させるとともに、該圧潰ロールの表面摩耗を減らしたり、該圧潰ロール機構を傷めることが少ないなど、機構の耐久性を高める作用をなす。
【0018】
また本発明請求項5の発明は、請求項1〜4に記載のトロンメル分離装置において、該回転ドラムは、端部にチェーンが周着されたフランジを有し、該チェーンに係合するスプロケットの回転により回転することを特徴とする。
【0019】
この構成により、該回転ドラム内にある粉粒体が常に撹拌され、分離の促進作用をなす。
【0020】
また本発明請求項6の発明は、請求項5に記載のトロンメル分離装置において、該チェーンの前記周着した外面に当接し、該回転ドラムの重量を支持する、複数の支点ローラを設けたことを特徴とする。
【0021】
この構成により、該チェーンの前記周着した外面の凹凸に合わせて該回転ドラム全体が上下に振動し、該回転ドラム内にある粉粒体のうち小さな粒度のものが該開口をより通過しやすくなり、分離の促進作用をなす。
【0022】
また本発明請求項7の発明は、請求項1〜6に記載のトロンメル分離装置において、該回転ドラムの中央部外周において外周または側面に凹凸の歯形を設けた振動環体を固着し、該環体の外周にスプリング等の作用によって一定の弾性力で当接する振動片を設けたことを特徴とする。
【0023】
この構成により、該回転ドラムの回転によって該振動環体を通じ該回転ドラムに対して振動を加えることができ、該回転ドラム内にある粉粒体のうち小さな粒度のものが該開口をより通過しやすくなり、分離の促進作用をなす。
【0024】
また本発明請求項8の発明は、請求項1〜7に記載のトロンメル分離装置において、前記回転ドラムは、その周壁に多数の比較的大の開口を有する内筒スクリーンを設けた内筒回転ドラムと、その周壁に多数の比較的小の開口を有する外筒スクリーンを設けた外筒回転ドラムの二重構造からなり、前記分離残渣のうち該内筒回転ドラムの他端に設けた第一排出口から排出された一次残渣は圧潰せず、該外筒回転ドラムの他端に設けた第二排出口から排出された二次残渣は該圧潰機構を通じて圧潰し粒度を小さくすることを特徴とする。
【0025】
この構成により、該内筒スクリーンを通過できない粒度の大きな残渣をいち早く分離でき、該外筒スクリーンを通過できない圧潰が必要な粉粒体だけを該圧潰ロールへ送ることができるため、全体として分離速度が向上するだけでなく、該圧潰ロールへの異物の進入も防ぎやすくなる作用をなす。
【0026】
また本発明請求項9の発明は、請求項8に記載のトロンメル分離装置において、前記内筒回転ドラムは、内部に初期被分離材料を送給可能なスクリューを有し、該スクリューは該内筒回転ドラムの回転方向とは逆方向に回転することを特徴とする。
【0027】
この構成により、該スクリューが該内筒回転ドラムと相対的に速く回転することで、投入された初期被分離材料を迅速に該内筒回転ドラムの全面に行き渡らせることで有効な分離面を拡大でき、分離速度が向上する作用をなす。
【0028】
また本発明請求項10の発明は、請求項1〜9に記載のトロンメル分離装置において、前記回転ドラムは、前記投入口側から前記排出口側へ低くなるよう傾斜したことを特徴とする。
【0029】
この構成により、投入された初期被分離材料または該内筒回転ドラムの開口を通過した一次被分離材料を迅速にそれぞれの回転ドラムの全面に行き渡らせることで有効な分離面を拡大でき、またそれぞれの排出口から迅速にそれぞれの分離残渣を排出でき、分離速度が向上する作用をなす。
【0030】
また本発明請求項11の発明は、請求項1〜10に記載のトロンメル分離装置において、前記一次残渣または圧潰後の前記二次残渣あるいはこれらを混合したものは、下半部に多数の開口を有する分離スクリーンを設けたパイプからなるスクリューコンベアで送給しながら再分離することを特徴とする。
【0031】
この構成により、前記一次残渣または前記二次残渣の中から分離スクリーンにより、それぞれ小さい粒度の粉粒体を再分離する作用をなす。
【発明の効果】
【0032】
本発明は以上の構成および作用により、次の効果を生む。
従来のトロンメル分離装置では難しかった、大量・高速処理をする前工程の解砕処理で破砕しきれなかった多くの有用な粉粒体からなる粒塊を含む被分離材料を効率的に分離・分級し、残渣量を減らし回収量を増やすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るトロンメル分離装置の正面の断面図である。
【図2】図1に示すα−α断面図である。
【図3】図1に示すβ−β断面図である。
【図4】図1に示す圧潰機構4の構造図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面、図1〜図4に基づき、本発明の最良の実施形態を説明する。
図1は本発明のトロンメル分離装置を正面から見た全体の断面図である。図2は図1のα−α断面図であり、図3は図1のβ−β断面図である。また、図4は、圧潰ロール41を含む圧潰機構4の構成を示す。
【0035】
次に本形態の構成を説明する。
図1に示すように、回転ドラム1は、内筒回転ドラム10と外筒回転ドラム11とからなる二重構造となっており、一体となって回転ドラム1を構成している。内筒回転ドラム10の周壁には多数の比較的大の開口を有する内筒スクリーン101が設けてあり、外筒回転ドラム11の周壁には多数の比較的小の開口を有する外筒スクリーン111が設けてある。
【0036】
また、回転ドラム1は全体として、投入口14のある側から第一排出口161および第二排出口162のある側に傾斜している。これにより、内部にある初期被分離材料A1および一次被分離材料A2がそれぞれの排出口へ向け移動しやすくしている。
【0037】
内筒回転ドラム10の一方の端にある投入口14には、解砕した初期被分離材料A1を投入するためのホッパー2が接続されている。このホッパー2の底部から第一排出口161方向にかけて内筒回転ドラム10の内部を通して投入スクリュー15が配設されている。投入スクリュー15は、その回転により初期被分離材料A1を内筒回転ドラム10の内部に誘導する。投入スクリュー15の回転方向R2は、図2に示すように、回転ドラム1の回転方向R1と逆になるようになっており、投入スクリュー15の回転速度が内筒回転ドラム10に対し相対的に速まるようになっている。
【0038】
これにより、初期被分離材料A1は内筒回転ドラム10の内部全面に迅速に分散して行き渡るため、投入口14付近で初期被分離材料A1の目詰まりを防止できるだけでなく、内筒回転ドラム10の内部でも効率よく分離できるため、結果として一次残渣B1に回収すべき小さい粒度の粉粒体が混入しにくくなる。
【0039】
また、外筒回転ドラム11の一方の端に設けたフランジ12には、チェーン122がエンドレスに周着されており、フランジ12の外側からチェーン122に係合するスプロケット124を通じて回転力を加え、回転ドラム1の全体を回転させるようにしている。なお、回転ドラム1は、チェーン122を周着していない他端のフランジ13に当接する2つの支持ローラ131、およびのチェーン122の外面123に当接する2つの振動支持ローラ121により、その重量が支持されている。
【0040】
外筒回転ドラム11の中央付近には、図2に示すように、外周に歯形31をなす振動環体3が固着されている。歯形31にはスプリング機構33によって一定の圧力を与える起振片32が外側から当接している。回転ドラム1が回転する際、歯形31と起振片32の間で振動が生じ、回転ドラム1の中央部にも振動を加える。これにより、回転ドラム1に対して複雑な振動を与えることができ、分離を促進することができる。
このとき、前記の振動支持ローラ121とチェーン122の凹凸のある外面123との間で生じる振動周波数に対して、大きく異なる周波数の振動が生じるよう歯形31の周期や起振片32先端形状を工夫すると、回転ドラム1に対して一層複雑な振動を与えることができ、分離をさらに促進することができる。
なお、起振片32は、同じ効果を得られるものであれば、スプリング機構33のような別の構成物で弾性力を発生する方法のほかに、起振片32自身の材料が弾性を有するものにしても良い。
【0041】
本発明のトロンメル分離装置はこのように構成されるため、初期被分離材料A1は、内筒回転ドラム10から内筒スクリーン101で分離され、内筒スクリーン101を通過できない一次残渣B1は内筒回転ドラム10の一方の端にある第一排出口161からドラム外へ排出され、内筒スクリーン101を通過した一次被分離材料A2は、内筒回転ドラム10と外筒回転ドラム11の間の空間に落下する。この一次被分離材料A2はさらに外筒スクリーン111で分離され、外筒スクリーン111を通過できない二次残渣B2は外筒回転ドラム11の一方の端にある第二排出口162からドラム外へ排出され、外筒スクリーン111を通過したものは分離回収物Cとなる。
【0042】
このように、回転ドラム1は傾斜しているうえ大小の開口を設けた二重の分離構造にすることで、初期被分離材料A1から大きな残渣を含む一次残渣B1をいち早く分離でき、さらに二次残渣B2と分離回収品Cも効率よく分離することが可能になる。
【0043】
また、回転ドラム1が回転するとき、振動支持ローラ121とチェーン122の凹凸のある外面123とにより、回転の求遠心方向に振動が生じるため、回転ドラム1が鉛直・水平両方向の要素を含む複雑な振動を伴いながら回転することになる。このような作用により、回転ドラム1の内部にある初期被分離材料A1、または一次被分離材料A2を撹拌しながら内筒スクリーン101、外筒スクリーン111に接触する機会を増やすことができ、効率よい分離を行うことが可能となる。
【0044】
一方、第一排出口161から排出された一次残渣B1は第一シュート171に誘導され落下し、回転ドラム1の下方に配設したスクリーン付の分離スクリューコンベア5に送給される。また第二排出口162から排出された二次残渣B2は第二シュート172に誘導され落下し、圧潰ロール4によって圧潰され、さらに落下して分離スクリューコンベア5に送給される。結果として、一次残渣B1と圧潰後の二次残渣B2’は混合されて分離スクリューコンベア5に送給される。
【0045】
分離スクリューコンベア5のパイプ52は一部の下半分が所定の開口を多数有する分離スクリーン521になっており、分離スクリュー51によって送給される過程で一次残渣B1と圧潰後の二次残渣B2’の混合物は、分離スクリーン521を通過できない最終残渣Dと、分離回収物Cに再分離することができる。このとき外筒回転ドラム11の外筒スクリーン111を通過したものと同条件となるよう、分離スクリーン521の開口は外筒スクリーン111の開口と近似値となるような寸法にする必要がある。
【0046】
また、図4に示すように、圧潰ロール41は、平面ロール411と歯形ロール422が接触しないよう対向配置されており、その間隙42は外筒スクリーン111の開口より小さいが近似した寸法とする。これにより、二次残渣B2に含まれた粒度が小さな回収対象の粉粒体は圧潰作用を受けずに通過し、粒度の大きい粒塊は圧潰されて、回収対象の小さな粒度に変えることができる。
【0047】
このとき歯形ロール422の歯形の先端形状は、歯形凹凸の高さよりも小さな幅の頂部をもつ台形、もしくは歯形凹凸の高さよりも小さな先端Rをもつ山形にするなど、比較的鋭利なものにすることで高い解砕効果を得ることができる。特に湿気を含む粉粒体を圧潰するとせんべい状の粒塊が生じやすく、厚さは薄いが回収できないものになりやすい。このように構成した歯形ロール422は、せんべい状の粒塊を生じることなく適度に小さな粒度に解砕する効果がある。
【0048】
さらに圧潰ロール41は少なくとも一方のロール、本形態では歯形ロール422が圧潰方向に移動可能となるよう軸受けハウジング43をスライドガイド44で挟持する。ただし歯形ロール422に一定の圧潰力が加わるよう軸受けハウジング43を押すスプリング45を設ける。このことで、金属片や石片など硬質の異物が進入した際に、圧潰ロール41を含む圧潰機構4の各部が破損するのを防止できる。
【0049】
このように本形態は、複数の分離工程と圧潰工程を組み合わせることで、全体として適度に粒度が小さく有用な粉粒体を多く回収し、残渣量を減らすなど効率よく分離することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 回転ドラム
2 ホッパー
3 振動環体
4 圧潰機構
5 分離スクリューコンベア
6 回収スクリューコンベア
7 分離回収物Cの回収容器
8 最終残渣Dの回収容器
10 内筒回転ドラム
11 外筒回転ドラム
12、13 フランジ
14 投入口
15 投入スクリュー
31 歯形
32 起振片
33 スプリング機構
41 圧潰ロール
42 隙間
43 軸受けハウジング
44 スライドガイド
45 スプリング
51 分離スクリュー
52 パイプ
101 内筒スクリーン
111 外筒スクリーン
121 振動支持ローラ
122 チェーン
123 チェーン外面
124 スプロケット
131 支持ローラ
161 第一排出口
162 第二排出口
171 第一シュート
172 第二シュート
411 平面ロール
422 歯形ロール
521 分離スクリーン
A1 初期被分離材料
A2 一次分離材料
B1 一次残渣
B2 二次残渣
B2’ 圧潰後の二次残渣
C 分離回収物
D 最終残渣
R1 回転ドラム1の回転方向
R2 投入スクリュー15の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の回転ドラムの内部に粉砕した粉粒体などの対象物を投入口から投入して分離・分級するためのトロンメル分離装置において、
前記回転ドラムの周壁に多数の開口を有するスクリーンによって前記供給される対象物を分離する分離機構と、
前記分離機構での分離残渣の全部または一部を前記回転ドラムの排出口において対向する圧潰ロールで粉砕する圧潰機構と、
前記分離残渣のうち圧潰しない残渣または圧潰後の残渣を前記分離機構または前記分離機構とは別の分離機構で再分離する再分離機構と、
を有することを特徴とするトロンメル分離装置。
【請求項2】
前記圧潰ロールの少なくとも1つは、その軸受けハウジングが圧潰方向に移動可能となるよう、該軸受けハウジングを案内するガイドを設けるとともに、前記圧潰方向に一定の圧力が加わるよう該軸受けハウジングを押圧するスプリングを設けたことを特徴とする請求項1に記載のトロンメル分離装置。
【請求項3】
前記圧潰ロールの少なくとも1つは、表面に凹凸の歯形を有し、その凸部形状は、前記凹凸の高さより小さな頂部を有する台形、もしくは、前記凹凸の高さより小さなR形状をなす頂部を有する山形とすることを特徴とする請求項1または2に記載のトロンメル分離装置。
【請求項4】
前記圧潰ロールは、互いに適度な間隙をもって対向して配置されていることを特徴とする請求項1〜3に記載のトロンメル分離装置。
【請求項5】
該回転ドラムは、端部にチェーンが周着されたフランジを有し、該チェーンに係合するスプロケットの回転により回転することを特徴とする請求項1〜4に記載のトロンメル分離装置。
【請求項6】
該チェーンの前記周着した外面に当接し、該回転ドラムの重量を支持する、複数の支点ローラを設けたことを特徴とする請求項5に記載のトロンメル分離装置。
【請求項7】
該回転ドラムの中央部外周において外周または側面に凹凸の歯形を設けた振動環体を固着し、該環体の外周にスプリング等の作用によって一定の弾性力で当接する振動片を設けたことを特徴とする請求項1〜6に記載のトロンメル分離装置。
【請求項8】
前記回転ドラムは、その周壁に多数の比較的大の開口を有する内筒スクリーンを設けた内筒回転ドラムと、その周壁に多数の比較的小の開口を有する外筒スクリーンを設けた外筒回転ドラムの二重構造からなり、前記分離残渣のうち該内筒回転ドラムの他端に設けた第一排出口から排出された一次残渣は圧潰せず、該外筒回転ドラムの他端に設けた第二排出口から排出された二次残渣は該圧潰機構を通じて圧潰し粒度を小さくすることを特徴とする請求項1〜7に記載のトロンメル分離装置。
【請求項9】
前記内筒回転ドラムは、内部に初期被分離材料を送給可能なスクリューを有し、該スクリューは該内筒回転ドラムの回転方向とは逆方向に回転することを特徴とする請求項8に記載のトロンメル分離装置。
【請求項10】
前記回転ドラムは、前記投入口側から前記排出口側へ低くなるよう傾斜したことを特徴とする請求項1〜9に記載のトロンメル分離装置。
【請求項11】
前記一次残渣または圧潰後の前記二次残渣あるいはこれらを混合したものは、下半部に多数の開口を有する分離スクリーンを設けたパイプからなるスクリューコンベアで送給しながら再分離することを特徴とする請求項1〜10に記載のトロンメル分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104509(P2011−104509A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261761(P2009−261761)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(592002558)
【Fターム(参考)】