説明

ドアウェザーストリップ

【課題】シール機能を向上させるとともに、製造コストを下げることができるドアウェザーストリップを提供する。
【解決手段】取付基部11と、中空シール部12と、背面リップ14と、を備え、上部押出成形部7と下部押出成形部8とが型成形接続され、上部押出成形部7の取付基部11の車外側端部11aと背面リップ14との間にハイソフトスポンジ材17を設けるとともに、発泡シール材38をハイソフトスポンジ材17から連設させたドアウェザーストリップ6であって、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュに接する部位の車外側端部11aにリブ31を形成するとともに、リブ31を外周方向に徐々に寄せて、背面リップ14に繋げて上部押出成形部7から下部押出成形部8まで一連のリブ31を形成し、上部押出成形部7の背面リップ14とハイソフトスポンジ材17との間に浸入した水Wを、リブ31の外方に沿わせて車外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアサッシュに沿って取付けられ、ドアの閉時にはボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールするドアウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、自動車のフロントドア1及びリアドア2のドアサッシュ3,4の周縁に沿って、ドア1,2の閉時にボディとの隙間をシールするドアウェザーストリップ5,6が取付けられている。
リアドア2のウェザーストリップ6は、図6及び図7に示すように、ドア2のルーフ側に取付けられる上部押出成形部7とドア2のロアー側に取付けられる下部押出成形部8とが、ドアコーナー部で型成形接続されてなるものである。図6における斜線は、上部押出成形部7と下部押出成形部8とを型成形接続する型成形部9を示す。また、図7においては、それに記載した二つの白黒三角印の黒側を型成形部9、白側を押出成形部(上部押出成形部7及び下部押出成形部8)としている。
【0003】
上部押出成形部7、下部押出成形部8、及び型成形部9はいずれも、ドアサッシュ4に沿って取付けられる取付基部11と、その取付基部11の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールするメインシールである中空シール部12と、取付基部11の車外側かつ中空シール部12より外方に突設されボディパネルのドア開口周縁部に弾接するサブシール部13と、取付基部11の車外側かつサブシール部13より内方に突設されドアサッシュ4に弾接する背面リップ14と、を備える。
また、上部押出成形部7及び型成形部9の取付基部11の車内側には、サブシール部13と背面リップ14の間から外周に延び、クリップ15を介してドアサッシュ4に取付けられるヒレ片16を備えている。
【0004】
そして、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aと背面リップ14との間に、ハイソフトスポンジ材17を設けている。
また、型成形部9の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aと背面リップ14との間には、日東電工株式会社の製品「エプトシーラー(登録商標)」18がハイソフトスポンジ材17から連設されている。型成形部9では、押出成形部と異なりハイソフトスポンジ材17のようにドアウェザーストリップ6の成形と同時に押出成形することができないため、エプトシーラー18は、型成形された取付基部11に仕上げ加工によって接着して設定される。
ここで、型成形部9において、上部押出成形部7の背面リップ14、型成形部9の背面リップ14、下部押出成形部8の背面リップ14は順に繋がっており、一連のリブ19が形成されている。
【0005】
このようなドアウェザーストリップ6の構造によると、リブ19とエプトシーラー18とで一連の凹部20が形成されるので、図7及び図8の破線で示すように、上部押出成形部7の背面リップ14とハイソフトスポンジ材17との間に浸入した水Wを、この凹部20を通じて車外に排出することができる。
【0006】
排水機能に着目したドアウェザーストリップ6の構造には、背面リップ14を一連に繋げてリブ19を形成する構造のものとは別に、上部押出成形部から下部押出成形部までテープを一連に貼ってそれに水を沿わせて排水するもの(例えば、特許文献1参照)や、取付基部の両端にビードを設け、車内側のビードを車外側のビードに傾斜して連結し、この連結したビードに沿わせて車外側へ排水するもの(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−180269号公報
【特許文献2】特開2008−62888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、背面リップ14を一連に繋げてリブ19を形成したドアウェザーストリップ6の場合、図9に示すように、側面視で上部押出成形部7と下部押出成形部8のなす角度θが大きくなる車両デザインにおいては、凹部20から水Wがオーバーフローしてしまうおそれがあり、図10の破線の矢印で示すように、下部押出成形部8の取付基部11とその取付基部11が取付けられたドアサッシュ4の間に流れ込み、ドア2のウエスト部2a(図6参照)から水Wが車内に浸入してしまうという問題がある。
これに対応するために、このようなデザインの車両では、エプトシーラー18をドア2のウエスト部2aまで延長することで凹部20を延長し、水Wを凹部20からオーバーフローさせない方法がある。しかし、エプトシーラー18を延長し、エプトシーラー18を多く使用するとコスト高になってしまう。
【0009】
また、凹部20から水Wがオーバーフローし難いデザインの車両に用いられているドアウェザーストリップ6であっても、押出成形部7,8や型成形部9の材料とは異なり手作業で貼り付けるため、貼り付け位置にバラツキが発生し易く、コストの高いエプトシーラー18の使用量を減らすことができれば、ドアウェザーストリップ6全体としてコストを下げると供に、シール性を高めることができる。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、シール機能を向上させるとともに、製造コストを下げることができるドアウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のドアウェザーストリップ(6)は、例えば図3及び図4に示すように、自動車のドアサッシュ(4)に沿って取付けられる取付基部(11)と、その取付基部(11)の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールする中空シール部(12)と、前記取付基部(11)の車外側に突設され前記ドアサッシュ(4)に弾接する背面リップ(14)と、を備え、ドアコーナー部(X)では、上部押出成形部(7)と下部押出成形部(8)とが型成形接続され、前記上部押出成形部(7)の取付基部(11)の前記ドアサッシュ(4)に接する部位の車外側端部(11a)と前記背面リップ(14)との間にハイソフトスポンジ材(17)を設けるドアウェザーストリップ(6)であって、前記上部押出成形部(7)の取付基部(11)の前記ドアサッシュ(4)に接する部位の車外側端部(11a)にシールビード又はリップを設けてリブ(31)を形成するとともに、前記型成形部(9)において、前記リブ(31)を外周方向に徐々に寄せて、前記下部押出成形部(8)の背面リップ(14)に繋げて前記上部押出成形部(7)から前記下部押出成形部(8)まで一連のリブ(31)を形成し、前記上部押出成形部(7)の背面リップ(14)と前記リブ(31)との間に浸入した水(W)を、前記リブ(31)の外方に沿わせて車外に排出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載のドアウェザーストリップ(6)は、例えば図1及び図2に示すように、自動車のドアサッシュ(4)に沿って取付けられる取付基部(11)と、その取付基部(11)の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールする中空シール部(12)と、前記取付基部(11)の車外側に突設され前記ドアサッシュ(4)に弾接する背面リップ(14)と、を備え、ドアコーナー部(X)では、上部押出成形部(7)と下部押出成形部(8)とが型成形接続され、前記上部押出成形部(7)の取付基部(11)の前記ドアサッシュ(4)に接する部位の車外側端部(11a)と前記背面リップ(14)との間にハイソフトスポンジ材(17)を設けるとともに、前記型成形接続された型成形部(9)の取付基部(11)の前記ドアサッシュ(4)に接する部位の車外側端部(11a)と前記背面リップ(14)との間に例えばEPDM製の別体の発泡シール材(38)を前記ハイソフトスポンジ材(17)から連設させたドアウェザーストリップ(6)であって、前記上部押出成形部(7)の取付基部(11)の前記ドアサッシュ(4)に接する部位の車外側端部(11a)にシールビード又はリップを設けてリブ(31)を形成するとともに、前記型成形部(9)において、前記リブ(31)を外周方向に徐々に寄せて、前記下部押出成形部(8)の背面リップ(14)に繋げて前記上部押出成形部(7)から前記下部押出成形部(8)まで一連のリブ(31)を形成し、前記上部押出成形部(7)の背面リップ(14)と前記ハイソフトスポンジ材(17)との間に浸入した水(W)を、前記リブ(31)の外方に沿わせて車外に排出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載のドアウェザーストリップ(6)は、前記上部押出成形部(7)の背面リップ(14)から連設された前記型成形部(9)の背面リップ(14)を前記型成形部(9)内で消失させたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載のドアウェザーストリップ(6)は、前記発泡シール材(38)の下端(38a)を、前記型成形部(9)内にしたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載のドアウェザーストリップ(6)は、前記型成形部(9)内で消失させた背面リップ(14)の終端(14a)よりも下方に、前記発泡シール材(38)の下端(38a)を位置するようにしたことを特徴とする。
【0016】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載のドアウェザーストリップによれば、上部押出成形部の取付基部のドアサッシュに接する部位の車外側端部にシールビード又はリップを設けてリブを形成するとともに、型成形部において、リブを外周方向(ドア縁の外周方向)に徐々に寄せて、下部押出成形部の背面リップに繋げて上部押出成形部から下部押出成形部まで一連のリブを形成したので、上部押出成形部の背面リップとリブとの間に浸入した水が下方に流れることで、リブの外方に沿って車外に排出される。よって、側面視で上部押出成形部と下部押出成形部のなす角度が大きいデザインの車両であっても、取付基部とドアサッシュとの間に水が流れ込み難く、確実に車内外をシールすることができる。
したがって、発泡シール材を全く使用しなくてもシール機能を確保できるので、製造コストを下げることができる。また、発泡シール材を手作業で貼り付ける工程がなくなるので、製造時間も短縮できる。
【0018】
また、請求項2に記載のドアウェザーストリップによれば、型成形接続された型成形部の取付基部のドアサッシュに接する部位の車外側端部と背面リップとの間に発泡シール材をハイソフトスポンジ材から連設させ、上部押出成形部の取付基部のドアサッシュに接する部位の車外側端部にシールビード又はリップを設けてリブを形成しているので、取付基部とドアサッシュとの間に水が流れ込み易い部分においては、発泡シール材とリブにより二重にシールすることができる。
さらに、型成形部において、リブを外周方向(ドア縁の外周方向)に徐々に寄せて、下部押出成形部の背面リップに繋げて上部押出成形部から下部押出成形部まで一連のリブを形成したので、上部押出成形部の背面リップとハイソフトスポンジ材との間に浸入した水が下方に流れることで、リブの外方に沿って車外に排出される。よって、側面視で上部押出成形部と下部押出成形部のなす角度が大きいデザインの車両であっても、取付基部とドアサッシュとの間に水が流れ込み難く、確実に車内外をシールすることができる。
【0019】
また、請求項3に記載のドアウェザーストリップによれば、請求項1又は2に記載の発明の作用効果に加え、上部押出成形部の背面リップから連設された型成形部の背面リップを型成形部内で消失させたので、背面リップと発泡シール材との間に浸入した水を、背面リップの終端から素早く車外に排出することができる。したがって、水がオーバーフローして車内に浸入するという事態がより発生し難い。
【0020】
また、請求項4に記載のドアウェザーストリップによれば、請求項2又は3に記載の発明の作用効果に加え、発泡シール材の下端を型成形部内にしたので、上部押出成形部、下部押出成形部、及び型成形部の材料よりも設置再現性に劣る発泡シール材の使用量を減らすこととなり、シール性を上げることができる。
【0021】
また、請求項5に記載のドアウェザーストリップによれば、請求項2乃至4に記載の発明の作用効果に加え、型成形部内で消失させた背面リップの終端よりも下方に、発泡シール材の下端を位置するようにしたので、水が集中して降下してきても発泡シール材によるシール機能が確保され、水がオーバーフローすることのない消失させた背面リップの終端よりも下方においては、発泡シール材を使用しなくてもシール機能を確保できる。よって、機能的に発泡シール材を設置でき、使用量も減らすことができるので、ドアウェザーストリップのシール機能を犠牲にすることなく、製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップを示す、図6のX部における拡大斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップがドアサッシュに取付けられた状態を示すもので、(a)は図1のD−D線断面図、(b)は図1のE−E線断面図、(c)は図1のF−F線断面図、(d)は図1のG−G線断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップを示す、図6のX部における拡大斜視図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップがドアサッシュに取付けられた状態を示すもので、(a)は図3のH−H線断面図、(b)は図3のI−I線断面図、(c)は図3のJ−J線断面図、(d)は図3のK−K線断面図である。
【図5】自動車を示す側面図である。
【図6】図5に記載のドアウェザーストリップを示す拡大側面図である。
【図7】従来例に係るドアウェザーストリップを示す、図6のX部における拡大斜視図である。
【図8】従来例に係るドアウェザーストリップがドアサッシュに取付けられた状態を示すもので、(a)は図7のA−A線断面図、(b)は図7のB−B線断面図である。
【図9】他の従来例に係る、上部押出成形部と下部押出成形部のなす角度が大きいドアウェザーストリップを示す、図6のX部における拡大斜視図である。
【図10】他の従来例に係るドアウェザーストリップがドアサッシュに取付けられた状態を示すもので、図9のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一実施形態)
図1、図2、図5及び図6を参照して、本発明の第一実施形態に係るドアウェザーストリップについて説明する。なお、従来例で示したものと同一部分には同一記号を付した。
【0024】
本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップは、図5に示すように、自動車のフロントドア1及びリアドア2のドアサッシュ3,4の周縁に沿って、ドア1,2の閉時にボディとの隙間をシールするために取付けられている。
リアドア2のウェザーストリップ6は、図1及び図6に示すように、ドア2のルーフ側に取付けられる上部押出成形部7と、ドア2のロアー側に取付けられる下部押出成形部8とが、ドアコーナー部Xで型成形接続されてなるものである。図6における斜線は、上部押出成形部7と下部押出成形部8とを型成形接続する型成形部9を示す。また、図1においては、それに記載した二つの白黒三角印の黒側を型成形部9、白側を押出成形部(上部押出成形部7及び下部押出成形部8)としている。
【0025】
上部押出成形部7、下部押出成形部8、及び型成形部9はいずれも、取付基部11と、中空シール部12と、サブシール部13と、背面リップ14と、を備える。
【0026】
取付基部11は、ドアサッシュ4に対して略平行に延びるとともに、ドアサッシュ4に沿って取付けられる。
中空シール部12は、取付基部11の車内側に取付基部11と一体成形され、ドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールする中空状のメインシールである。
サブシール部13は、取付基部11の車外側かつ中空シール部12より外方に、取付基部11から突設される。このサブシール部13は、中空シール部12と同様にドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接し、中空シール部12のシール機能を補助する。
背面リップ14は、取付基部11の車外側かつサブシール部13より取付基部11側に、取付基部11から突設される。取付基部11がドアサッシュ4に取付けられた状態において、背面リップ14はドアサッシュ4に弾接する。
【0027】
また、上部押出成形部7及び型成形部9の取付基部11の車内側に、ヒレ片16がサブシール部13と背面リップ14の間から外周に延び、クリップ15を介してドアサッシュ4に取付けられている。
【0028】
そして、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aと背面リップ14との間に、ハイソフトスポンジ材17を設けている。
ここでいうハイソフトスポンジ材17とは、高発泡のスポンジ材のことであり、具体的には比重が0.05〜0.4となるように発泡させたスポンジ材のことである。
【0029】
また、型成形部9の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aと背面リップ14との間には、優れたシール機能を有する別体の発泡シール材38がハイソフトスポンジ材17から連設されている。これは、発泡シール材38が主に配置されているのが型成形部9であるという意味であって、ハイソフトスポンジ材17と発泡シール材38との連設(接続)は、上部押出成形部7でなされている。
なお、型成形部9では押出成形部7と異なり、ハイソフトスポンジ材17のようにドアウェザーストリップ6の成形と同時に発泡シール材38を成形することができないため、発泡シール材38は、型成形された取付基部11に仕上げ加工によって接着して設定される。
ここで発泡シール材38には、代表的なものとして、日東電工株式会社の製品「エプトシーラー(登録商標)」がある。このEPDM製発泡シール材38の発泡構造としては、気泡同士が接触していない独立気泡型のものや、気泡同士が一部接触してそれぞれ繋がっている半独立半連続気泡型のものがある。
【0030】
また、型成形部9において、上部押出成形部7の背面リップ14は型成形部9の背面リップ14につながっており、一連の第一リブ14が形成されている。
【0031】
そして、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aには、シールビード(リップであってもよい)を設けて、第二リブ31が形成されている。つまり、この部位には車外側に向かって順に、第二リブ31、ハイソフトスポンジ材17、背面リップ14、が配置されている。
また、型成形部9において、上部押出成形部7から下部押出成形部8に向かうにつれ、第二リブ31を変化始点31aから外周方向(ドア縁の外周方向)に徐々に寄せて、最終的には変化終点31bで下部押出成形部8の背面リップ14に繋げることで、上部押出成形部7から下部押出成形部8まで一連の第二リブ31が形成されている。
【0032】
つまり、上部押出成形部7における第二リブ31が配置されている位置と、下部押出成形部8における第二リブ31(下部押出成形部8の背面リップ14)が配置されている位置は、断面において略90°ねじれた関係となる。
【0033】
さらに、上部押出成形部7の背面リップ14から連設された型成形部9の背面リップ14(第一リブ14)を型成形部9内で消失させている。
そして、この第一リブ14の終端14aよりも下方に第二リブ31の変化終点31bを位置させて、さらに発泡シール材38の下端38aを第二リブ31の変化終点31bよりも下方に位置させている。なお、この発泡シール材38の下端38aは、型成形部9内に位置させている。
【0034】
以上のように構成されたドアウェザーストリップ6によれば、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aにシールビードを設けて第二リブ31を形成するとともに、型成形部9において、第二リブ31を外周方向(ドア縁の外周方向)に徐々に寄せて、下部押出成形部8の背面リップ14に繋げて上部押出成形部7から下部押出成形部8まで一連の第二リブ31を形成したので、図1及び図2の破線で示すように、上部押出成形部7の背面リップ14とハイソフトスポンジ材17との間に浸入した水Wが下方に流れることで、第二リブ31の外方に沿って車外に排出される。よって、側面視で上部押出成形部7と下部押出成形部8のなす角度θが大きいデザインの車両であっても、取付基部11とドアサッシュ4との間に水Wが流れ込み難く、確実に車内外をシールすることができる。
もちろん、上部押出成形部7と下部押出成形部8のなす角度θが一般的な大きさの車両に、本実施形態に係るドアウェザーストリップ6を使用しても、確実に車内外をシールすることができる。
【0035】
また、第一リブ14を型成形部9内で消失させているので、第一リブ14と発泡シール材38との間に浸入した水Wを、第一リブ14の終端14aから素早く車外に排出することができる。したがって、水Wがオーバーフローして車内に浸入するという事態がより発生し難い。
【0036】
さらに、発泡シール材38の下端38aを第二リブ31の変化終点31bよりも下方に位置させたので、水が集中して降下しオーバーフローし易い箇所は発泡シール材38と第二リブ31とで二重にシールすることができ、シール機能が確保される。一方、第二リブ31の変化終点31bの下方でオーバーフローし難い箇所では発泡シール材38を設定しなくてもシール機能を確保でき、使用量を減らした分だけ製造コストを下げることができる。つまり、機能的に発泡シール材38を設置でき、使用量も減らすことができるので、ドアウェザーストリップ6のシール機能を犠牲にすることなく、製造コストを下げることができる。
また、上部押出成形部7、下部押出成形部8、及び型成形部9の材料よりも設置再現性に劣る発泡シール材38の使用量を減らすこととなるので、シール性を上げることができる。
ここで、第二リブ31の変化始点31a及び変化終点31bを型成形部9内において、上部押出成形部7側にシフトさせて成形すると、より発泡シール材38の使用量を減らすことができる。
したがって、従来例に係るドアウェザーストリップ6において、エプトシーラー18をドア2のウエスト部2aまで延長しなければならないことと比べ、本実施形態に係るドアウェザーストリップ6においては、発泡シール材38の使用量が格段に少なくて済む。
【0037】
(第二実施形態)
次に図3と図4を参照して、本発明の第二実施形態に係るドアウェザーストリップ6を説明する。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態の第一実施形態との違いは、発泡シール材38を全く使用してないことであり、その他の構成要素に関しては第一実施形態と同一である。
【0038】
このように、発泡シール材38を全く使用しない場合であっても、上部押出成形部7の取付基部11のドアサッシュ4に接する部位の車外側端部11aにシールビードを設けて第二リブ31を形成するとともに、型成形部9において、第二リブ31を外周方向(ドア縁の外周方向)に徐々に寄せて、下部押出成形部8の背面リップ14に繋げて上部押出成形部7から下部押出成形部8まで一連の第二リブ31を形成したので、図3及び図4の破線で示すように、上部押出成形部7の背面リップ14と第二リブ31との間に浸入した水Wが下方に流れることで、第二リブ31の外方に沿って車外に排出される。よって、側面視で上部押出成形部7と下部押出成形部8のなす角度θが大きいデザインの車両において、第一実施形態に係るドアウェザーストリップ6のように、発泡シール材38と第二リブ31によって二重にシールしなくても、従来例に係るドアウェザーストリップ6と比べて取付基部11とドアサッシュ4との間に水Wが流れ込み難く、確実に車内外をシールすることができる。
これによれば、発泡シール材38を全く使用しなくてもシール機能を確保できるので、製造コストを下げることができる。また、発泡シール材38を手作業で貼り付ける工程がなくなるので、製造時間も短縮できる。
【0039】
なお、第一及び第二実施形態において、第一リブ14を型成形部9内で消失させているが、これに限られるものではなく、第二押出成形部8まで延長した後、消失させてもよい。
【0040】
また、第一リブ14の終端14aよりも下方に第二リブ31の変化終点31bを位置させることが望ましいが、第一リブ14の終端14aからも排水されるので、第一リブ14の終端14aよりも上方に第二リブ31の変化終点31bを位置させてもよい。
【0041】
また、ドアウェザーストリップ6をリアドア2のコーナー部に適用した例を示したが、これに限られるものではなく、フロントドア1のコーナー部にも適用することができ、これにおいても確実に車内外をシールすることができる。
【0042】
また、第一実施形態において、第一リブ14の終端14aよりも下方に、発泡シール材38の下端38aを位置するようにしたが、これに限られるものではなく、第一リブ14の終端14aよりも上方に、発泡シール材38の下端38aを位置させてもよい。
【0043】
また、発泡シール材38の下端38aを第二リブ31の変化終点31bよりも下方とし、オーバーフローし易い箇所は発泡シール材38と第二リブ31とで二重にシールすることが望ましいが、発泡シール材38の下端38aを第二リブ31の変化終点31bよりも上方としても、第二実施形態に係るドアウェザーストリップ6のように、第二リブ31単独でシールすることができる。
また、これとは逆に、発泡シール材38の下端38aを第二押出成形部8まで延長してもよい。このように発泡シール材38を延長しても、ドア2のウエスト部2aまで延長する必要はないので、従来例に係るドアウェザーストリップ6よりはコストが低廉で済む。
【符号の説明】
【0044】
1 フロントドア
2 リアドア
2a ウエスト部
3 ドアサッシュ
4 ドアサッシュ
5 ドアウェザーストリップ
6 ドアウェザーストリップ
7 上部押出成形部
8 下部押出成形部
9 型成形部
11 取付基部
11a 車外側端部
12 中空シール部
13 サブシール部
14 背面リップ(第一リブ)
14a 終端
15 クリップ
16 ヒレ片
17 ハイソフトスポンジ材
18 エプトシーラー(登録商標)
19 リブ
20 凹部
31 リブ(第二リブ)
31a 変化始点
31b 変化終点
38 発泡シール材
38a 下端
X ドアコーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアサッシュに沿って取付けられる取付基部と、その取付基部の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールする中空シール部と、前記取付基部の車外側に突設され前記ドアサッシュに弾接する背面リップと、を備え、ドアコーナー部では、上部押出成形部と下部押出成形部とが型成形接続され、前記上部押出成形部の取付基部の前記ドアサッシュに接する部位の車外側端部と前記背面リップとの間にハイソフトスポンジ材を設けるドアウェザーストリップであって、
前記上部押出成形部の取付基部の前記ドアサッシュに接する部位の車外側端部にシールビード又はリップを設けてリブを形成するとともに、前記型成形部において、前記リブを外周方向に徐々に寄せて、前記下部押出成形部の背面リップに繋げて前記上部押出成形部から前記下部押出成形部まで一連のリブを形成し、前記上部押出成形部の背面リップと前記リブとの間に浸入した水を、前記リブの外方に沿わせて車外に排出することを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項2】
自動車のドアサッシュに沿って取付けられる取付基部と、その取付基部の車内側に一体成形されドア閉時にボディパネルのドア開口周縁部に弾接して車内外をシールする中空シール部と、前記取付基部の車外側に突設され前記ドアサッシュに弾接する背面リップと、を備え、ドアコーナー部では、上部押出成形部と下部押出成形部とが型成形接続され、前記上部押出成形部の取付基部の前記ドアサッシュに接する部位の車外側端部と前記背面リップとの間にハイソフトスポンジ材を設けるとともに、前記型成形接続された型成形部の取付基部の前記ドアサッシュに接する部位の車外側端部と前記背面リップとの間に発泡シール材を前記ハイソフトスポンジ材から連設させたドアウェザーストリップであって、
前記上部押出成形部の取付基部の前記ドアサッシュに接する部位の車外側端部にシールビード又はリップを設けてリブを形成するとともに、前記型成形部において、前記リブを外周方向に徐々に寄せて、前記下部押出成形部の背面リップに繋げて前記上部押出成形部から前記下部押出成形部まで一連のリブを形成し、前記上部押出成形部の背面リップと前記ハイソフトスポンジ材との間に浸入した水を、前記リブの外方に沿わせて車外に排出することを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項3】
前記上部押出成形部の背面リップから連設された前記型成形部の背面リップを前記型成形部内で消失させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項4】
前記発泡シール材の下端を、前記型成形部内にしたことを特徴とする請求項2又は3に記載のドアウェザーストリップ。
【請求項5】
前記型成形部内で消失させた背面リップの終端よりも下方に、前記発泡シール材の下端を位置するようにしたことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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