説明

ドアスコープ用カメラ

【課題】既に設置されているドアスコープに大幅な変更を加えることなく、利用可能な新規なドアスコープ用カメラを提供すること
【解決手段】ドアスコープ(1)の室内側に直脱自在なドアスコープ用カメラ(10)であって、前記ドアスコープ(1)を通した室外側の様子を撮影する撮像手段(12,16)と、前記撮像手段からの広角画像を補正する補正手段(22,24)と、前記補正手段(22,24)により補正された画像を表示する表示装置(42)とを備え、前記広角画像を適正な画像にして表示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアスコープ用カメラに関し、更に具体的には、ドアスコープの室内側に取り付け可能なカメラであって、カメラ,LCD(液晶表示装置)及び画像保存用メモリ等を備えたデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅,ホテルの客室等のドアに取り付けられているドアスコープは、室内側から室外側の状況を視認するために設けられたものである。
【0003】
図1Aは、ドアスコープ1の一例の断面図、図1Bはドアスコープ1をドア5に取り付ける様子を示す図、そして図1Cはドアスコープ1をドア5に取り付けた状態を示す図である。
【0004】
図1Aに示すように、ドアスコープ1は、後側に覗き穴(開口)8を有する。図1Bに示すように、ドアスコープ1をドア5に取り付ける際には、室外側から、リング状部材4を介して、外周面に雄ネジが形成された、魚眼レンズ内蔵の本体部3をドア5の透孔に挿入し、その上にレンズカバー2を取り付ける。室内側から内周面に雌ねじが形成されたシリンダ部6を挿入し旋回して、本体部3との間でドア5に圧接するまでネジ係合する。このようにして、図1Cに示すように、ドアスコープ1はドア5に取り付けられ、これを介して、室内側の覗き穴8から室外の様子(景色)を見ることができる。
【0005】
本発明は、このようなドアスコープ1に用いられるドアスコープ用カメラである。なお、本発明者は、ドアスコープ1に用いられるドアスコープ用カメラに関する公表された特許文献或いは技術文献の存在を知らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなドアスコープ1を利用して、室外側の様子を確認するためには、毎回、ドアスコープ1の覗き穴8に目を近づける必要がある。ドアスコープ1は、ドア5の一定の箇所に透孔を明けて設置されているため床からドアスコープ迄の高さは一定であり、身長の高い人は屈んで覗き穴8を見なければならず、反対に身長の低い人は背伸びしてそれを見なければならず、不便である。
【0007】
更に、ドアスコープ1は非常に小さい直径の透孔を介して室外側を見る構造となっているため、一般に魚眼レンズを使用して広範囲の室外側の様子が見えるように工夫されている。しかし、魚眼レンズは、一般に、140度以上の画角を持った広角レンズの一型式であるため、これを介した映像は画角の極端さから縁に添って樽型歪曲を示し、見える室外側の様子(景色)は、歪んだ映像となり非常に見にくいものとなっている。
【0008】
更に、室外側からドアスコープ1を通して、室内側の様子が覗かれる場合もあり、セキュリティ上の問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、これらの問題点に鑑みて、新規なドアスコープ用カメラを提供することを目的とする。
【0010】
更に、本発明は、既に設置されているドアスコープに大幅な変更を加えることなく、利用可能な新規なドアスコープ用カメラを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的に鑑みて、本発明に係るドアスコープ用カメラは、ドアスコープが設置されたドアの室内側に着脱自在に設置され、該ドアスコープからの室外側の広角画像を補正して表示装置に表示する。
【0012】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、メモリを備え、前記ドアスコープからの室外側の広角画像を該メモリに記録することもできる。
【0013】
更に、本発明に係るドアスコープ用カメラは、ドアスコープの室内側に直脱自在なドアスコープ用カメラであって、前記ドアスコープを通した室外側の様子を撮影する撮像手段と、前記撮像手段からの広角画像を補正する補正手段と、前記補正手段により補正された画像を表示する表示装置とを備え、前記広角画像を適正な画像にして表示する。
【0014】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、前記補正手段は、前記広角画像の中心領域を拡大処理することもできる。
【0015】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、前記補正手段は、前記広角画像のアドレスを適正画像のアドレスに変換するアドレス変換テーブルを有することもできる。
【0016】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、前記アドレス変換テーブルは交換可能なメモリに蓄積してもよい。
【0017】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、音によるトリガ手段を備え、所定レベル以上の音声に対応してカメラ本体が起動するようにしてもよい。
【0018】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、マニュアルモード手段を備え、マニュアルモード・スイッチが押されると室外の様子を表示装置に表示することもできる。
【0019】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を記録することもできる。
【0020】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を静止画像として記録することもできる。
【0021】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を動画画像として記録することもできる。
【0022】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、記録画像読み出し手段を備え、既に画像メモリに記録されている映像を読み出し表示装置に表示させることもできる。
【0023】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、焦点合わせ手段を備えることもできる。
【0024】
更に、上記ドアスコープ用カメラでは、更に、モード切換手段を備え、設定モード,音によるトリガモード,マニュアルモード及び記録画像読み出しモードの間でモード切り換えを行うこともできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、これらの問題点に鑑みて、新規なドアスコープ用カメラを提供することができる。
【0026】
更に、本発明は、既に設置されているドアスコープ用カメラに大幅な変更を加えることなく利用可能な新規なドアスコープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るドアスコープ用カメラの実施形態に関し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面に示す同じ要素に対しては同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0028】
[ドアスコープ用カメラの外観構成]
図2Aは、本発明に係るドアスコープ用カメラ10のケース前面側の外観斜視図、図2Bはドアスコープ用カメラ10のケース裏面側の外観斜視図、そして図2Cはドア5に設置されたドアスコープ10に取り付けたドアスコープ用カメラ10の断面図である。
【0029】
図2Aに示すように、ドアスコープ用カメラ10の正面パネルには、上半分にLCD(液晶表示装置)42が設けられている。正面パネルの下半分には、右上にマニュアルモード・スイッチ62と、左側に4個のインジケータ用のLED(発光ダイオード)54,56,58,59が設けられ、下側に右から左へパラメータ設定スイッチ66,64と、モード選択スイッチ39と、内蔵型の集音マイク60とが設けられている。ケースの左側面部には、スライド式の電源スイッチ52が設けられている。
【0030】
4個のLEDは、順に、次のようなカメラの状態を点灯表示する。
【0031】
第1のLED54は、「バッテリ状態」のインジケータである。このインジケータは、バッテリが規定電圧を下回った時に点灯表示する。
【0032】
第2のLED56は、「電源ON表示」のインジケータである。このインジケータは、電源を投入した状態で点灯表示する。
【0033】
第3のLED58は、「音によるトリガ」のインジケータである。このインジケータは、音によるトリガモードの状態で点灯表示する。反対に、マニュアルモードでは点灯しない。
【0034】
第4のLED59は、「設定モード」のインジケータである。このインジケータは、設定モードの状態で点灯表示する。反対に、マニュアルモード及び音によるトリガモードでは点灯しない。
【0035】
図2Bに示すように、ドアスコープ用カメラ10のケース裏面側には、上両端部にドア5に取り付けたL型金具(図2Cの符号79参照)に係合する一対の吊り下げ部材76と、電池収納部カバー72とその開放用凹み74と、カメラレンズ(図3の符号12参照)の開口部68とが設けられている。電池は、典型的には、充電式ニッケル水素電池,アルカリ乾電池等が使用される。カメラレンズの開口部68は、レンズ12を一体に形成したねじ込み式部材(図2Cの符号70参照)にして、これを旋回することにより焦点合わせが出来るようにしてもよい。
【0036】
両端部の一対の破線部分は、ドア5に固定するための部材であり、例えば、永久磁石78を貼り付けてドアに固定する。薄い磁石を複数枚用いて、使用する枚数で高さを調節可能にしてもよい。或いは、例えば、両面テープ78を貼って、ドア5に固定してもよい。この場合も、薄めの両面テープを利用して、使用する枚数で高さを調節可能にしてもよい。
【0037】
図2Cに示すように、ドアスコープ1の設置されたドア5に対し、L金具79を取り付ける。このL金具79にドアスコープ用カメラ10の吊り下げ部材76を掛けて、ドアスコープ用カメラ10を吊り下げる。更に、必要に応じて、ドアスコープ用カメラ10のケース裏面側の永久磁石又は両面テープ78で、ドアスコープ用カメラをドア5に固定する。
【0038】
このように、ドアスコープ用カメラ10は、ドア5に対して着脱が容易である。例えば、旅行の際にドアスコープ用カメラ10を持参して、ホテルの自室のドアに容易に取り付けることができる。ドアスコープ1の魚眼レンズの特性が変わっても、ねじ込み式部材70により容易に焦点合わせもできる。
【0039】
[ドアスコープ用カメラの内部回路のブロック図]
図3は、ドアスコープ用カメラ10の内部回路のブロック図の一例である。
【0040】
ドアスコープ用カメラ10は、ドアスコープ1から覗かれた室外の様子(景色)を表示装置に表示するため、室外の様子(景色)を結像させる光学系レンズ12と、撮像デバイスであるCCD/CMOSイメージセンサ16と、このCCD/CMOSイメージセンサを駆動するためのタイミング・ジェネレータ(タイミングGEN)46と、CCD/CMOSイメージセンサから得られたビデオ信号に含まれるリセットノイズ(低周波)を除去するための相関二重サンプリング回路及びビデオ信号を増幅して一定のレベルの大きさにコントロールするための自動利得制御回路(CDS/AGC)18と、このアナログ・ビデオ信号をデジタル・ビデオ信号に変換するA−D変換回路20と、このデジタル・ビデオ信号に対し種々の信号処理をするFPGA22と、信号処理されたビデオ信号を液晶表示のために制御する表示装置制御装置(LCDCTR)40と、液晶表示装置(LCD)42とを備えている。
【0041】
更に、ドアスコープ用カメラ10は、後述するドアスコープ用カメラ10の動作モードを設定する際に使用するため、モード選択スイッチ(モード選択SW)39と、パラメータ設定スイッチ(パラメータ設定SW)64,66とを備え、モード選択操作では出力信号を受けて、電源スイッチ(PWSW)38がONになり電源34の電圧をLCD42,FPGA22等に付与する。
【0042】
更に、ドアスコープ用カメラ10は、マイクにより検出された音をトリガとしてカメラ本体を起動するため、集音マイク(MIC)30と、この音声信号を増幅する増幅器(AMP)32と、増幅された音声信号が一定の基準値を超えたか否かを判定する閾値回路(Th)36と、電源34と、電源スイッチ(PWSW)38とを備え、音声信号が一定の基準値を超えたときに閾値回路36からの出力信号を受けて、電源スイッチ38がONになり電源34の電圧をLCD42,FPGA22等に付与する。なお、図には示していないが、集音マイク30、増幅器32、閾値回路36等は、電源スイッチ38の状態の如何にかかわらず、常時通電されている。
【0043】
更に、ドアスコープ用カメラ10は、動作モードを、利用者が任意に蓄積画像を取り込むときに使用されるマニュアルモードにするため、マニュアルモード・スイッチ62を備え、マニュアルモードでは出力信号を受けて、電源スイッチ(PWSW)38がONになり電源34の電圧をLCD42,FPGA22等に付与する。
【0044】
CCD/CMOSイメージセンサ16は、後述するように画像を拡大処理するため、130万画素程度のものが好ましい。
【0045】
FPGA22は、ICの一種であるが、設計者が、購入後に、パソコンと簡単な装置を使用して、所望のハードウェア回路を組めるという特徴を有している。即ち、設計者は、市販の適当なFPGAを購入し、これを所望の回路にカスタマイズすることができる。同様に、FPGAを最終製品に搭載後でも、これを一層適切な回路にバージョンアップすることができる。
【0046】
本実施形態では、FPGA22として、ザイリンクス社(Xilinx, Inc. 米国カリフォルニア州所在)又はアルテラ社(Altera Corporation米国カリフォルニア州所在)から提供されているFPGAを利用することができる。なお、FPGAの代わりに、CPLD(Complex Programmable Logic Device)を使用してもよい。
【0047】
ドアスコープ用カメラ10には、後述する3つのモードA,B,C及びDモードがある。モード選択スイッチ39とパラメータ設定スイッチ64,66はモードA,B,Dを選択する際に使用され、マニュアルモードスイッチ62はモードCを選択する際に使用される。詳細は後述する。
【0048】
FPGA22は、図に示していないが、A−D変換器20からのデジタル・ビデオ信号の黒レベル・オプティカル・ブラックを一定基準値に固定するためのフィーダバッククランプ回路、ホワイトクリップ回路、低レベルのノイズをクリップするためのベースクリップ回路、白バランスをとるためのオートホワイトバランス回路、γ補正回路を含むカメラ信号処理プロセス回路等を有している。
【0049】
更に、FPGA22は、モード選択スイッチ39及びパラメータ設定スイッチ64,66からの信号を受け取り、ドアスコープ用カメラ10のモード切り換え操作を実行する。
【0050】
更に、FPGA22は、後で詳しく説明するが、魚眼補正手段24を有し、魚眼レンズ利用のドアスコープ1を介して得られた広角映像を見易い映像に補正している。補正された画像は、LCDCTR40を介してLCD42に表示され、また、メモリ・インターフェース(メモリIF)26を介して、画像メモリ28に蓄積される。
【0051】
画像メモリ28は、例えば、SDRAMからなり、静止画像を予め設定された枚数分だけ蓄積可能であり、更に、動画像を予め設定された時間分だけ蓄積可能となっている。このため、メモリ容量が限定されたものであるときは、FIFO(先入れ先出し)メモリであることが好ましい。FPGA22は、タイマ48から年月日及び時間の現在時間データを受け取り、補正された見易い映像の一部にこの現在時間データを書き込んでいる。
【0052】
ドアスコープ用カメラ10は、これらの各要素を制御するためのCPU50を備えており、また、ドアスコープ制御用のプログラムを蓄積したり、作業領域として使用するメモリ(RAM,ROM)51も備えている。
【0053】
ドアスコープ用カメラ10は、CPU50の制御の下に、絞り駆動機構44を備えて、オートフォーカス方式としてもよい。しかし、絞り駆動機構44の代わりに、一層簡易な図2B及び2Cで説明したねじ込み式レンズ機構70としてもよい。
【0054】
FPGA22の魚眼補正手段24は、ドアスコープ1の魚眼レンズを介して得られる広角映像の歪み補正を行う。この魚眼補正24は、例えば、ドアスコープ1を覗いた広角映像の画素アドレス位置に対して転送先アドレスを書き込んだ参照テーブル(アドレス変換テーブル)(図示せず。)を用意し、広角映像の各カメラ画素値を任意の表示位置にアドレス変換して適正画像データを生成し、見易い映像を得ている。
【0055】
例えば、この見易い映像の実現は、1フレーム分の第1及び第2のビデオバッファ(図示せず。)を用意し、ドアスコープ1の魚眼レンズを介して得られる広角映像を第1のビデオバッファに書き込み、各カメラ画素値の(変換前)アドレスからアドレス変換テーブルを参照して変換後アドレスを決定し、そのカメラ画素値を第2のビデオバッファの変換後アドレスに書き込むことにより行われる。アドレス変換テーブルは、予め魚眼の湾曲に歪まされた画素を正規化すべき位置アドレスに変換するように用意されている。
【0056】
更に、この変換テーブルを複数個用意して、広角160度ドアスコープ用、超広角180度ドアスコープ用、超広角200度ドアスコープ用等のドアスコープ1の魚眼レンズの特性に対応できるようにしてもよい。
【0057】
FPGA22は、アドレス変換して得た適正画像データの中心領域に在るデータを拡大処理し、中心領域の拡大映像としてもよい。画像を拡大処理してもぼけないようにするため、CCD/CMOSイメージセンサ16は、130万画素程度のものが好ましい。更に、変換テーブルを複数個用意して、正規化された画像の中心部分を順次拡大できるようにすることにより、画像の中心部分を連続して拡大したり縮小するズーム処理を行ってもよい。
【0058】
更に、ドアに付けられたチャイム,ブザー及びベルの位置又は訪問者が立つであろう位置に対応して、変換テーブルを複数個用意して、正規化された画像の一部、例えば上側,下側,右側,左側等の部分を中心に表示するようにして、いずれのドアにおいても最適な映像が得られる。
【0059】
このドアスコープ用カメラ10の動作は、大きく分け、4つのモードがある。これらのモードは、カメラ前面側のモード選択スイッチ39,パラメータ設定スイッチ64,66及びマニュアルモード・スイッチ62を操作することにより切り替えられる。
【0060】
モードA(設定モード)では、ドアスコープ用カメラ自体のパラメータを選択・設定する。モード選択スイッチ39を一回押すと設定モードとなり、「設定モード」と表示装置42に表示される。設定項目としては、(1)カメラ自体のタイマ(時計時間)の設定、(2)音によるトリガのレベル調整、(3)音によるトリガ時及び手動トリガ時(マニュアルモード)の夫々の静止画像取り込み枚数及び動画像取込み時間、(4)音によるトリガ時の夫々のLCD表示時間の設定、等である。これらの設定項目も表示装置42に表示される。
【0061】
パラメータ設定スイッチ64,66を操作すると、表示された「設定項目」が順に白黒反転し、所望の設定項目の箇所で更にモード選択スイッチ39を押すことにより、所望の設定項目が選択される。次に、パラメータ設定スイッチ64,66を操作することにより、当該設定項目のレベルの増加・減少が適当な数字、例えば「…,−2,−1,0,+1,+2,…」のように表示され、レベルを選択し、モード選択スイッチ39を押すことにより確定する。
【0062】
モードB(音によるトリガモード)は、内蔵マイク30により検出された音をトリガとしてカメラ本体を起動し、静止画を予め設定された枚数だけ画像メモリ28へ記録する。動画像取込みの場合は、予め設定された時間だけ画像メモリ28へ記録する。同時に、LCD42を起動し、ドアスコープ1から見た室外の様子を表示する。
【0063】
起動音声は、チャイム,ブザー及びベルの音、ドアノック音等の音声帯域のみ通過させるフィルタ(図示せず。)を通し、増幅器AMP32で増幅した音声が閾値判定回路Th36で設定された音声レベル以上と判定されると、これをトリガとして電源スイッチPWSW38をONにしてカメラ本体を起動する。
【0064】
モードC(マニュアルモード)は、利用者が任意に蓄積画像を取り込むときに使用される。マニュアルモードは、カメラ本体にあるマニュアルモード・スイッチ62を押すことにより所謂割り込み操作として実現され、LCD42が起動し、同時にLCD42がドアスコープから見た室外の様子を連続して表示する。所望により、画像メモリ28に記録するようにしてもよい。
【0065】
モードD(記録画像読み出しモード)は、利用者が既に記録されている映像を読み出すときに使用される。例えば、外出から帰宅後、不在時の訪問者を確認するために、画像メモリ28から、記録時刻の古い画像から順に読み出し表示装置42に表示させる。
【0066】
[ドアスコープ用カメラの動作・使用方法]
図4は、ドアスコープ用カメラ10の動作(使用方法)を説明するフローチャートである。この動作フローチャートの一部は、コンピュータプログラム化され予めメモリ51に蓄積され、CPU50は、このコンピュータプログラムを読み出して実行する。
【0067】
ステップS10で、モード選択スイッチ39を所定回数押すことで、モード選択が行われる。
【0068】
ステップS11で、モードA(設定モード)が選択されたか否かが判定される。モードAの選択は、例えば、モード選択スイッチ39を所定時間内に一回押すと、表示装置42に「設定モード」と表示される。モードAが選択されると、第4のLED(設定モードのインジケータ)59が点灯表示し、第3のLED(音によるトリガのインジケータ)58は消灯する。モードAが選択されていればステップS12に進み、選択されていなければステップS21に進む。
【0069】
ステップS12で、カメラ本体(FPGA22,LCD42等)が起動し、表示装置42は設定項目等を表示する。
【0070】
ステップS13で、ドアスコープ用カメラ自体のパラメータを選択・設定する。設定項目は、(1)カメラ自体のタイマ(時計時間)の設定、(2)音によるトリガのレベル調整、(3)音によるトリガ時及び手動トリガ時の夫々の画像取り込み枚数、(4)音によるトリガ時及び手動トリガ時の夫々のLCD表示時間の設定、等を行う。具体的には、パラメータ設定スイッチ64,66を使って設定項目を選択してモード選択スイッチ39により決定し、次にパラメータ設定スイッチ64,66を使って増減レベルを選択してモード選択スイッチ39により決定する。
【0071】
ステップS14で、設定が終了か否かが判断され、終了前ならステップS13で続けて設定作業を行い、モード設定終了ならステップS15に進む。
【0072】
ステップS15で、次のモード選択か否かが判定され、そうならステップS10に進み、モード選択がなければ終了する。
【0073】
ステップS21で、モードB(音によるトリガモード)が選択されたか否かが判定される。モードBの選択は、例えば、モード選択スイッチ39を所定時間内に二回押すと、表示装置42に「音によるトリガモード」と表示される。モードBが選択されると、第3のLED(音によるトリガのインジケータ)58が点灯表示し、、第4のLED(設定モードのインジケータ)59は消灯する。モードBが選択されるとステップS22に進み、選択されないとステップS31に進む。
【0074】
ステップS22で、内蔵マイク30が音声を検出する。この検出音は、増幅器32により所定のレベルに増幅される。
【0075】
ステップS23で、閾値回路36により、増幅された検出音が、予め設定されたレベル(基準値)を超えているか否かが判定される。設定レベルを超えているときはステップS24に進み、越えていないときはステップS22に戻り、マイク音検出を続ける。このドアスコープ用カメラ10の定常状態は、設定レベル以上の音の検出を待つ、ステップ22とステップ23の間を行き来する状態にある。
【0076】
ステップS24で、増幅された検出音が設定レベルを超えたとき、電源スイッチ38により、カメラ本体(FPGA22,LCD42等)が起動し、表示装置42はドアスコープ1からの室外の様子を、上述した広角映像の歪み補正等を行って表示する。
【0077】
ステップS25で、タイマ48をチェックして、年月日及び時間データを取り込む。この年月日及び時間データは、所望により、映像の一部に書き込まれる。更に、ステップ27の経過時間の判定に利用される。
【0078】
ステップS26で、ドアスコープ用カメラで撮像された映像は、上述した広角映像の歪み補正,中心領域の拡大処理等を行った後、画像メモリ28に取り込まれる。画像メモリ28は、FIFO(先入れ先出し)メモリであってよい。同時に、映像は表示装置42で表示される。
【0079】
ステップS27で、表示装置42の表示時間が、予め設定された設定表示時間を超えたか否かが判定される。同時に、画像メモリ28に蓄積された取り込み画像枚数が、予め設定された設定取込み画像枚数を超えたか否かが判定される。いずれか一方又は両方が超えているとき、カメラの撮像は終了し、ステップS15に進む。なお、複数回の訪問者の記録のため、1人の訪問者に対して(即ち、1回の音によるトリガで)数秒おきに4〜5枚の静止画を記録し、最大10人程度の訪問者(10回程度の音によるトリガ)の静止画を記録できるようにしている。
【0080】
ステップS31で、モードC(マニュアルモード)が選択されたか否かが判定される。モードCの選択は、マニュアルモードスイッチ62を押し続けることにより行われる割り込み操作である。モードCが選択されると、第4のLED(設定モードのインジケータ)59は点灯表示し、第3のLED(音によるトリガのインジケータ)58は消灯する。モードCが選択されるとステップS32に進み、モードCが選択されないとステップS41に進む。
【0081】
ステップS32で、モードC(マニュアルモード)ではカメラ本体(FPGA22,LCD42等)が起動し、表示装置42はドアスコープ1からの室外の様子を、上述した広角映像の歪み補正等を行って表示する。所望により、室外の様子を画像メモリ28に取り込むようにしてもよい。
【0082】
ステップS33で、マニュアルモードスイッチ62がOFFになったか否かが判定される。OFFならステップS15に進み、OFFにならない限り、ステップS32に戻り表示装置42は室外の様子を表示する。
【0083】
ステップS41で、モードD(記録画像読み出しモード)が選択されたか否かが判定される。モードDの選択は、例えば、モード選択スイッチ39を所定時間内に三回押すことにより行われる。モードDが選択されるとステップS42に進み、モードDが選択されないとステップS10に戻り、モード選択を待機する。
【0084】
ステップS42で、モードD(記録画像読み出しモード)ではカメラ本体(FPGA22,LCD42等)が起動し、表示装置42は表示を開始する。
【0085】
ステップ43で、画像メモリ28に記録された映像を、記録時刻の古い映像から順に読み出し、表示装置42へ表示する。
【0086】
ステップS44で、記録画像の表示が終了したか否かが判定される。終了していなければステップS43へ戻り、表示終了ならばステップS15に進む。
【0087】
[実施例の効果]
(1)このドアスコープ用カメラは、現在設置されているドアスコープに対して、容易に取り付け可能である。この際、現状のドア及びドアスコープを実質的に改造等する必要がない。
【0088】
(2)このドアスコープ用カメラは、設置されてたドアスコープから、容易に着脱が可能である。このため、旅行等に際してこのドアスコープ用カメラを持参して、一時的に滞在するホテル等のドアに設置できる。
【0089】
(3)このドアスコープ用カメラは、撮影された映像を蓄積するメモリを有しており、訪問者が立ち去った後に、その姿(映像)を確認できる。同様に、外出した場合であっても、帰宅後に訪問者の姿(映像)を確認できる。
【0090】
(4)音によるトリガを使用しているので、ドアチャイム,ドアノック等により所定レベル以上の音声が発生した場合、自動的にドアスコープ用カメラが起動し、画像を表示し、また画像をメモリに蓄積できる。
【0091】
(5)音によるトリガによってカメラ本体を一時的に起動するため、電池寿命を長く保つことができる。即ち、この実施形態で記載したCCD/CMOSイメージセンサ、SDRAM、LCD等を使用した場合、充電式ニッケル水素電池,アルカリ乾電池等の電池寿命は1年程度は期待できる。
【0092】
(6)利用者は、マニュアルモード・スイッチ62を押すことにより、随時、室外の様子を表示装置に表示することができる。所望なら、室外の映像を画像メモリ28に記録できる。
【0093】
(7)撮像装置として、例えば、130万画素程度のCCD/CMOSイメージセンサ16を使用しているので、画像データの中心領域を拡大処理して映像化しても鮮明な映像を得ることができる。
【0094】
(8)変換テーブルを用意することにより、魚眼レンズを利用したドアスコープからの広角映像を歪みのない映像に補正し、適正な映像を得ることが出来る。
【0095】
(9)変換テーブルを用意することにより、歪みのない映像に補正し、更に中心領域を拡大して見易い映像を得ることが出来る。
【0096】
(10)変換テーブルを種々用意することにより、ドアスコープから得られた映像を、ズーム処理したり、所定の方向の映像を拡大処理したりすることができる。
【0097】
(11)例えば、魚眼補正手段24で利用するアドレス変換テーブルは、メモリスティック,メモリカード等の交換可能なメモリとし、広角レンズの種類、ズームの程度、表示装置に表示する映像の部分等に応じて種々用意し、利用することができる。ドアスコープ用カメラをドアに取り付け後、メモリを交換して、そのドアに最も適した魚眼補正手段とすることが出来る。
【0098】
(12)現在、多くのドアにドアスコープが設置されている。このドアスコープには魚眼レンズが使用されている。このような現状を前提に、ドアスコープカメラ10は、魚眼レンズを介して得られる広角映像を撮像し、適正映像に補正して表示している。更に、この補正画像の中心領域を拡大処理している。
【0099】
これに対して、一般のデジタルカメラは、被写体(実物)をそのまま撮影すれば適正画像となり、所望により魚眼レンズを使用して広角画像を得ている。
【0100】
従って、広角画像を適正画像に補正・拡大等の処理を行っているドアスコープカメラ10と一般のデジタルカメラとは、使用目的の相違からその構成・機能が異なるものである。
【0101】
[変形例等]
本発明に係るドアスコープ用カメラの実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、本発明はこれら実施形態に限定されない。本発明は、当業者が容易になしえる付加・削除・変更等を含むものである。
【0102】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1A】図1Aは、ドアスコープ1の一例の断面図である。
【図1B】図1Bは、ドアスコープ1をドア5に取り付ける様子を示す図である。
【図1C】図1Cは、ドアスコープ1をドア5に取り付けた状態を示す図である。
【図2A】図2Aは、本発明に係るドアスコープ用カメラ10のケース前面側の外観斜視図である。
【図2B】図2Bはドアスコープ用カメラ10のケース裏面側の外観斜視図である。
【図2C】図2Cはドア5に設置されたドアスコープ10に取り付けたドアスコープ用カメラ10の断面図である。
【図3】図3は、ドアスコープ用カメラ10の内部回路のブロック図の一例である。
【図4】図4は、ドアスコープ用カメラ10の動作(使用方法)を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1:ドアスコープ、 2:レンズカバー、 3:本体部、 4:リング状部材、 5:ドア、 6:シリンダ部、 8:覗き穴(開口)、 10:ドアスコープ用カメラ、 12:光学系レンズ、 16:CCD/CMOSイメージセンサ、 18:相関二重サンプリング回路及び自動利得制御回路(CDS/AGC)、 20:A−D変換回路、 22:FPGA、 24:魚眼補正手段、 26:メモリ・インターフェース(メモリIF)、 28:画像メモリ、 30:内蔵型集音マイク(MIC)、 32:増幅器(AMP)、 34:電源、 36:閾値回路(Th)、 38:電源スイッチ(PWSW)、 39:モード選択スイッチ、 40:表示装置制御装置(LCDCTR)、 42:液晶表示装置,LCD、 44:絞り駆動機構、 46:タイミング・ジェネレータ(タイミングGEN)、 48:タイマ、 50:CPU、 51:メモリ(RAM,ROM)、 52:電源スイッチ、 54:第1のLED(バッテリ切れのインジケータ)、 56:第2のLED(電源ON表示のインジケータ)、 58:第3のLED(音によるトリガのインジケータ)、 59:第4のLED(設定モードのインジケータ)、 62:マニュアルモードスイッチ、 64,66:パラメータ設定ボタン、 68:カメラレンズの開口、 70:ねじ込み式レンズ部材、 72:電池収納部カバー、 74:開放用凹み、 76:吊り下げ部材、 78:永久磁石,両面テープ、



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアスコープが設置されたドアの室内側に着脱自在に設置され、該ドアスコープからの室外側の広角画像を補正して表示装置に表示する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
メモリを備え、前記ドアスコープからの室外側の広角画像を該メモリに記録する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項3】
ドアスコープの室内側に直脱自在なドアスコープ用カメラであって、
前記ドアスコープを通した室外側の様子を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段からの広角画像を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された画像を表示する表示装置とを備え、前記広角画像を適正な画像にして表示する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、
前記補正手段は、前記広角画像の中心領域を拡大処理している、ドアスコープ用カメラ。
【請求項5】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、
前記補正手段は、前記広角画像のアドレスを適正画像のアドレスに変換するアドレス変換テーブルを有している、ドアスコープ用カメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のドアスコープ用カメラに於いて、
前記アドレス変換テーブルは交換可能なメモリに蓄積されている、ドアスコープ用カメラ。
【請求項7】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
音によるトリガ手段を備え、所定レベル以上の音声に対応してカメラ本体が起動する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項8】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
マニュアルモード手段を備え、マニュアルモード・スイッチが押されると室外の様子を表示装置に表示する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項9】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を記録する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項10】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を静止画像として記録する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項11】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
画像メモリを備え、前記補正手段により補正された画像を動画画像として記録する、ドアスコープ用カメラ。
【請求項12】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
記録画像読み出し手段を備え、既に画像メモリに記録されている映像を読み出し表示装置に表示させる、ドアスコープ用カメラ。
【請求項13】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
焦点合わせ手段を備えている、ドアスコープ用カメラ。
【請求項14】
請求項1又は3に記載のドアスコープ用カメラに於いて、更に、
モード切換手段を備え、設定モード,音によるトリガモード,マニュアルモード及び記録画像読み出しモードの間でモード切り換えを行う、ドアスコープ用カメラ。



【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−142605(P2007−142605A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330864(P2005−330864)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(304017867)株式会社アートレイ (6)
【Fターム(参考)】