説明

ドアミラー

【課題】給電コネクタ部をターミナル部に容易に接続することができると共に、接続された給電コネクタ部の外れを防止することができるドアミラーを提供する。
【解決手段】電動ドアミラーのミラーハウジングに、ミラー収容空間とハーネス収容空間とを仕切るための仕切壁30を設け、仕切壁30に、鏡面角度調整ユニット20のターミナル部23をハーネス収容空間に露出させる開口部31を設ける。更に、開口部31の周縁部分に、コネクタ部10bをターミナル部23に向けて押し込む際に弾性変形して、コネクタ部10bの背面M1に対向するように弾性復帰してコネクタ部10bの接続後の外れを防止する爪部37Aを設ける。また、爪部37Aの弾性力に抗してコネクタ部10bの移動を規制するガイド部38Aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車等の車両に適用するためのドアミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野には、ミラーモジュールと、ミラー角度調節ユニットと、ミラーモジュール及びミラー角度調節ユニットを収容するバイザーと、を備えたドアミラーがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたドアミラーでは、ミラー角度調節ユニットの背面側に、外部電力を供給するハーネスの給電コネクタ部が接続されるハーネス接続部(以下、ターミナル部)が設けられている。また、ミラーハウジングには、この内部空間を前側の第1の空間と後側の第2の空間とに仕切って、第2の空間内に収容された鏡面角度調整ユニットを固定させる仕切壁が設けられている。この仕切壁には、ミラー角度調節ユニットのターミナル部を第1の空間に露出させる開口部が設けられている。これにより、ミラー角度調節ユニットを第2の空間内に収容した後に、給電コネクタ部をターミナル部に容易に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−285690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のドアミラーでは、給電コネクタ部をターミナル部に接続した後の作業工程でハーネスが引っ張られて、給電コネクタ部がターミナル部から外れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、給電コネクタ部をターミナル部に容易に接続することができると共に、接続された給電コネクタ部の外れを防止することができるドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るドアミラーは、ミラーが固定されたミラーホルダと、ミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットと、ミラーホルダ及び鏡面角度調整ユニットを収容するミラーハウジングと、を備えたドアミラーにおいて、鏡面角度調整ユニットの背面側には、外部電力を供給するハーネスの給電コネクタ部が接続されるターミナル部が設けられ、ミラーハウジングには、この内部空間を前側の第1の空間と後側の第2の空間とに仕切って、第2の空間内に収容された鏡面角度調整ユニットを固定させる仕切壁が設けられ、仕切壁には、鏡面角度調整ユニットのターミナル部を第1の空間に露出させる開口部が設けられ、開口部の周縁部分には、給電コネクタ部を第1の空間側からターミナル部に向けて押し込む際に、給電コネクタ部によって、給電コネクタ部の押し込み方向に対して直交する方向に弾性変形して、給電コネクタ部の押し込み途中で給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰する爪部と、爪部に対向するように押し込み方向に沿って延在し、爪部の弾性力に抗して給電コネクタ部の移動を規制するガイド部と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このようなドアミラーによれば、ミラーハウジングの仕切壁の開口部によって、鏡面角度調整ユニットのターミナル部がミラーハウジングの第1の空間に露出される。給電コネクタ部を第1の空間側からターミナル部に向けて押し込むと、開口部の周縁部分に設けられた爪部が、押し込み方向に対して直交する方向に弾性変形する。このとき、ガイド部が爪部の弾性力に抗して給電コネクタ部の移動を規制するため、接続作業時に、ターミナル部に対する給電コネクタ部の位置ずれが防止され、給電コネクタ部をターミナル部に確実且つ容易に接続することができる。給電コネクタ部を更に押し込むと、爪部が給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰する。爪部が弾性復帰する際の音や感触によって、給電コネクタ部がターミナル部に接続されたことをはっきりと認識することができる。また、給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰した爪部によって、給電コネクタ部の接続後の外れが防止される。
【0008】
ここで、ガイド部のターミナル部側の端部には、給電コネクタ部によって、押し込み方向に対して直交する方向に弾性変形して、給電コネクタ部の押し込み途中で給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰する補助爪部が形成されている。この場合、補助爪部が給電コネクタ部の背面に対向するため、接続された給電コネクタ部の外れを爪部と補助爪部との協働でより確実に防止することができる。
【0009】
また、爪部は、押し込み方向に沿って第1の空間に突出し、途中が開口部側で折り曲げられたU字フック形状をなしている。この場合、単に第1の空間に突出した形状をなしているのに比べ、爪部の根元部から先端部までの長さが長くなる。即ち、弾性変形可能な部分が長くなるため、爪部の弾性力が小さくなり、爪部とガイド部とで給電コネクタ部を挟む力が小さくなる。従って、給電コネクタ部をより軽い力でターミナル部に接続することができる。
【0010】
また、鏡面角度調整ユニットをミラーハウジング内に固定する複数の締結部品を更に備え、鏡面角度調整ユニットの背面側には、複数の締結部品が締結される複数の固定部が更に設けられ、仕切壁には、開口部を囲むように位置し、複数の固定部に固定される複数の締結部品を第1の空間側から貫通させる複数の挿通孔と、各挿通孔を囲み、押し込み方向に沿って第1の空間に突出した複数の補強筒部と、が更に設けられ、ガイド部は、補強筒部の周面に設けられている。この場合、補強筒部を利用して、開口部内にガイド部を突出させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドアミラーによれば、給電コネクタ部をターミナル部に容易に接続することができると共に、接続された給電コネクタ部の外れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るドアミラーの一実施形態を示す正面図である。
【図2】ドアミラーの分解斜視図である。
【図3】ミラーユニット組立体の斜視図である。
【図4】ドアミラーの断面図である。
【図5】ミラーハウジングのハウジング本体を示す斜視図である。
【図6】ターミナル部、開口部、及びコネクタ部の関係を示す斜視図である。
【図7】コネクタ部を接続する際の爪部及びガイド部の状態を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るドアミラーの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、ドアミラーにおける「前後」は、車両の前後方向に合わせるように表現されている。
【0014】
図1に示されるように、電動ドアミラー1は、車両のフロントドアにボルト止めされるドアミラーベース2と、ドアミラーベース2のベース本体2aとフロントドアとの間に配置されるガスケット3と、ドアミラーベース2の台座部2bに回動自在に取り付けられたドアミラー本体4と、で主として構成されている。
【0015】
図2に示されるように、ドアミラー本体4は、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側に配置されたミラーホルダ7と、表側にミラー7aが固定されたミラーホルダ7の裏面に嵌合されて、ミラーホルダ7の角度を調整するための鏡面角度調整ユニット20と、鏡面角度調整ユニット20をミラーハウジング6内に固定する締結部材であるネジ32と、ドアミラーベース2の台座部2bに上方から取り付けられ、ミラーハウジング6を支持し、車両に沿うようにミラーハウジング6を折り畳み可能とする電動格納ユニット9と、ミラーハウジング6に固定されたターンランプユニット8と、を備えている。
【0016】
また、電動ドアミラー1には、鏡面角度調整ユニット20内のモータと、電動格納ユニット9内のモータと、ターンランプユニット8内のランプと、にそれぞれ電力を供給するために、ドアミラーベース2及びドアミラー本体4内で配回されたハーネス10が設けられている。このハーネス10の一端には、鏡面角度調整ユニット20に接続されるコネクタ部10bと、電動格納ユニット9に接続されるコネクタ部10cと、ターンランプユニット8に接続されるコネクタ部10dと、が設けられている。ハーネス10の他端には、車両内の配線に接続するためのコネクタ部10aが設けられている(図1参照)。ハーネス10の他端側はドアミラーベース2のベース本体2a及びガスケット3を通して車両側に引き出される。
【0017】
ミラーハウジング6は、鏡面角度調整ユニット20、電動格納ユニット9、及びミラーホルダ7を収容するためのハウジング本体6Aと、ハウジング本体6Aの前側に位置するカバー部材6bと、から構成されている。カバー部材6bは、通常、車両のボディと同色になっている。そして、電動格納ユニット9は、ハウジング本体6Aに固定されると共に、ハーネス10を通過させるためのハーネス引出孔9aを有している。
【0018】
図3に示されるように、ミラーホルダ7の裏面7fには、鏡面角度調整ユニット20の固定を可能にするために突出させられたクランプ爪部7cと、ミラーホルダ7に対する鏡面角度調整ユニット20の位置決めを可能にする3本の突起部7bと、が形成されている。そして、ミラーホルダ7の裏面7fにおいて、3本の突起部7bの外側には4個のクランプ爪部7cが周方向で等間隔に配置させられている。
【0019】
鏡面角度調整ユニット20のハウジング21は円形の外周を有し、ハウジング21には、径方向に突出する引掛け部22が形成されている。この引掛け部22には、ミラーホルダ7のクランプ爪部7cによって挟み込まれる引掛けバー22aが設けられている。また、鏡面角度調整ユニット20のハウジング21には、ミラーホルダ7の突起部7bを挿入させるための位置決め孔21a(図4参照)が形成されている。
【0020】
鏡面角度調整ユニット20の背面20aには、ハーネス10のコネクタ部10bを接続するための凹状のターミナル部23が設けられ、このターミナル部23には、雌側の給電端子23aが配置されている。一方、ハーネス10のコネクタ部10bには、雄側の給電端子10eが配置されており(図2参照)、給電端子10eと給電端子23aとが電気的に接続される。
【0021】
給電端子10e,23aは4組で構成され、給電端子10e,23aのうちの2組は、鏡面角度調整ユニット20内の第1のモータ(不図示)とハーネス10とを接続し、他の2組は、鏡面角度調整ユニット20内の第2のモータ(不図示)とハーネス10とを接続する。なお、第1のモータは、鏡面を鉛直方向で傾動させ、第2のモータは、鏡面を水平方向で傾動させる。
【0022】
凹状をなすターミナル部23の周囲には、ネジ32を締結するための雌ネジ孔(固定孔)24A,24B,24Cが3箇所に配置されている。このように、ターミナル部23の周囲に雌ネジ孔24A,24B,24Cを配置させることで、鏡面角度調整ユニット20の背面20aの小型化を図ることができ、このことは、鏡面角度調整ユニット20のハウジング21の小型化に寄与する。
【0023】
ミラーホルダ7及び鏡面角度調整ユニット20は、クランプ爪部7cと引掛けバー22aとの協働により一体化されて、ミラーユニット組立体25が構成される。
【0024】
図4及び図5に示されるように、ミラーハウジング6のハウジング本体6Aには、ミラーハウジング6の内部空間を仕切る仕切壁30が設けられている。仕切壁30は、ミラーハウジング6の内部空間を前後に仕切る本体部30aと、本体部30aの下端から前側に突出する下壁部30bと、本体部30aの上端から後側に突出する上壁部30cと、を有しており、本体部30aの後側がミラー収容空間S1(第2の空間)、本体部30bの前側がハーネス収容空間S2(第1の空間)となっている。ミラー収容空間S1には、ミラーユニット組立体25が収容される。ハーネス収容空間S2には、鏡面角度調整ユニット20等から電動ドアミラー1の外部に引き出されるハーネス10が収容され、このハーネス収容空間S2内でハーネス10が配回される。なお、ハーネス収容空間S2は、ハウジング本体6Aの仕切壁30とカバー部材6bとの協働により形成されており、ハウジング本体6Aにカバー部材6bが取付けられていない状態では開放される。
【0025】
図5に示されるように、仕切壁30の車両側の部分には、本体部30aからハーネス収容空間S2側に膨出する格納ユニット収容部30dが設けられ、この格納ユニット収容部30dは、ドアミラーベース2の台座部2bの上方に位置して、上方が開放されている。格納ユニット収容部30dには、上方から電動格納ユニット9が収容され(図2参照)、ネジ等によって固定されている。そして、格納ユニット収容部30dに固定された電動格納ユニット9の回転軸(不図示)が台座部2bに固定されている。
【0026】
また、仕切壁30の本体部30aの略中央には、鏡面角度調整ユニット20のターミナル部23をハーネス収容空間S2に露出させるための開口部31が形成されており、開口部31の周縁部分には、締結部品としてのネジ32を挿通させるための挿通孔33A,33B,33Cが3箇所に形成されている。挿通孔33A,33B,33Cは、上述した鏡面角度調整ユニット20の雌ネジ孔24A,24B,24Cに対応した位置に形成されており、ハーネス収容空間S2側から挿通孔33A,33B,33Cに挿通されたネジ32が雌ネジ孔24A,24B,24Cにそれぞれ締結されることで、鏡面角度調整ユニット20が仕切壁30に固定される。そして、開口部31にはハーネス収容空間S2側からハーネス10のコネクタ部10bが押し込まれ、開口部31から露出したターミナル部23にコネクタ部10bが接続される。なお、ネジ32の締結や、コネクタ部10bの接続は、カバー部材6bを取り付ける前に、ハーネス収容空間S2を開放させた状態で容易に行うことができる。
【0027】
ここで、仕切壁30の本体部30aには、挿通孔33A,33B,33Cをそれぞれ囲んでハーネス収容空間S2に突出した円筒状の3個の補強筒部34A,34B,34Cが設けられている。対をなす挿通孔33A及び補強筒部34Aは、開口部31の周縁部分の上側で且つ格納ユニット収容部30dに近い側に配置されている。対をなす挿通孔33B及び補強筒部34Bは、開口部31の周縁部分の下側で且つ格納ユニット収容部30dに近い側に配置されている。対をなす挿通孔33C及び補強筒部34Cは、開口部31の周縁部分の下側で且つ格納ユニット収容部30dから遠い側に配置されている。そして、補強筒部34Aと補強筒部34Cとは、開口部31を挟んで互いに対向し、開口部31内に張り出すように位置している。
【0028】
更に、仕切壁30の本体部30aには、ハーネス収容空間S2に突出した補強リブ36A,36B,36C,36D,36E,36Fが設けられている。補強リブ36Aは、補強筒部34Aと補強筒部34Bとに接続されている。補強リブ36B,36Cは、補強リブ36Aと格納ユニット収容部30dとに接続されている。補強リブ36Dは、補強筒部34Bと仕切壁30の下壁部30bとに接続されている。補強リブ36Eは、補強筒部34Cと仕切壁30の下壁部30bとに接続されている。補強リブ36Fは、補強筒部34Cに接続されている。
【0029】
このように、開口部31の周縁部分では、挿通孔33A,33B,33Cをそれぞれ囲むようにして補強筒部34A,34B,34Cが形成され、これらの補強筒部34A,34B,34Cはハーネス収容空間S2に突出している。これにより、各補強筒部34A,34B,34Cの内側にネジ32の収容スペースが確保されると共に、補強筒部34A,34B,34Cの周辺が補強され、開口部31の周縁部分が補強されることになる。このように補強筒部34A,34B,34Cによって開口部31の周縁部分が補強されることで、仕切壁30の強度を低下させることなく開口部31を大きくすることができ、開口部31の大型化に伴う様々なメリットを生み出すことができる。例えば、本実施形態では、開口部31に合わせてターミナル部23及びコネクタ部10bを大型化し、ターミナル部23及びコネクタ部10bに給電端子23a,10eを集中させてコネクタ部10bの数を一個にし、組立作業性を向上させている。また、一種類のミラーハウジング6を、ターミナル部の形状や大きさが異なる様々な鏡面角度調整ユニットに適用することができ、複数種類のドアミラーにおいてミラーハウジング6の共通化を図ることもできる。
【0030】
また、補強筒部34A,34B,34Cは、補強リブ36A〜36Fによって更に補強されるため、開口部31の周縁部分をより確実に補強することができる。
【0031】
また、補強筒部34Aと補強筒部34Bとに接続された補強リブ36Aによって、補強筒部34A及び補強筒部34Bの間が補強されるため、開口部31の周縁部分をより確実に補強することができる。
【0032】
また、補強リブ36Aは、補強リブ36B,補強リブ36Cによって格納ユニット収容部30dに更に接続されている。ここで、車両走行時の風圧等によりミラーハウジング6にかかる負荷は、格納ユニット収容部30dに集中することから、格納ユニット収容部30dは高強度に設計されている。このように高強度に設計される格納ユニット収容部30dに、補強リブ36A,36B,36Cを介して補強筒部34A,34Bを接続させることで、補強筒部34A,34Bが更に強固に補強される。これに加え、補強筒部34A,34Bは格納ユニット収容部30dに近い側に配置されているため、補強筒部34A,34Bが更に強固に補強される。このため、開口部31の周縁部分をより確実に補強することができる。
【0033】
また、補強リブ36Dは、補強筒部34Bと仕切壁30の下壁部30bとに接続され、補強リブ36Eは、補強筒部34Cと仕切壁30の下壁部30bとに接続されている。このように、仕切壁30の本体部30aに設けられた補強筒部34B,34Cが、仕切壁30の下壁部30bに接続されることで更に強固に補強される。これに加え、補強筒部34B,34Cは下側、即ち仕切壁30の下壁部30bに近い側に配置されているため、補強筒部34B,34Cが更に強固に固定される。このため、開口部31の周縁部分をより確実に補強することができる。
【0034】
ここで、開口部31の周縁部分31aには、ターミナル部23に接続されたコネクタ部10bの外れを防止するための2個の爪部37A,37Bが設けられている。各爪部37A,37Bは、コネクタ部10bの押し込み軸線L1に沿ってハーネス収容空間S2に突出し(図6参照)、途中が開口部31側で折り曲げられたU字フック形状をなしている。また、爪部37A,37Bは、開口部31の周縁部分31aのうち、補強筒部34Aの中心と補強筒部34Cの中心とを結ぶ線に対向する部分に並べて配置され、爪部37Aが補強筒部34A側、爪部37Bが補強筒部34C側に位置している。
【0035】
また、補強筒部34A,34Cの周面34a,34cのうち、開口部31内に張り出している部分には、コネクタ部10bをターミナル部23に向けて押し込む際に、押し込み軸線L1に対して直交する方向へのコネクタ部10bの移動を規制するガイド部38A,38Bがそれぞれ設けられている。各ガイド部38A,38Bは、押し込み軸線L1に沿って延在する板形状をなし、一方のガイド部38Aの片面は一方の爪部37Aに対向し,他方のガイド部38Bの片面は他方の爪部37Bに対向している。このように、補強筒部34A,34Cを利用して、ガイド部38A,38Bを開口部31内に突出させている。
【0036】
更に、ガイド部38A,38Bのターミナル部23側の端部には、ターミナル部23側に向かって延在する補助爪部38c,38dが形成されている。補助爪部38c,38dは、ガイド部38A,38Bのガイド本体部38a,38bよりも肉薄の板形状をなし、それぞれ爪部37A,37Bに対向している。また、補助爪部38c,38dは、ターミナル部23に向かうにつれて、それぞれ爪部37A,37Bに近づくように傾斜している(図7参照)。
【0037】
図6に示されるように、コネクタ部10bの外縁には、爪部37A,37Bに係合する円弧状の縁部E1と、縁部E1に対向してガイド部38A,38Bに係合する直線状の縁部E2と、が形成されている。コネクタ部10bをターミナル部23に向かって押し込むと、縁部E1は各爪部37A,37Bに当接し、縁部E2は各ガイド部38A,38Bに当接する。
【0038】
図7は、コネクタ部10bを接続する際の爪部及びガイド部の状態を示す端面図であり、図7(a)はコネクタ部10bを押し込む前の状態、図7(b)及び図7(c)は押し込み途中の状態、図7(d)はコネクタ部10bを押し込みきった状態を示している。図7(a)の状態からコネクタ部10bをターミナル部23に向けて矢印AR方向に押し込むと、上述したように縁部E1が爪部37A,37Bに当接し、縁部E2はガイド部38A,38Bに当接する。そして、図7(b)に示されるように、爪部37A,37Bは縁部E1に押され、押し込み軸線L1に対して直交する方向に弾性変形する。このとき、ガイド部38A,38Bが爪部37A,37Bの弾性力に抗してコネクタ部10bの移動を規制するため、ターミナル部23に対するコネクタ部10bの位置ずれが防止され、コネクタ部10bをターミナル部23に向かって確実且つ容易に押し込むことができる。
【0039】
また、上述したように、爪部37A,37BはU字フック形状をなしているため、単にハーネス収容空間S2に突出した形状をなしているのに比べ、爪部37A,37Bの根元部から先端部までの長さが長くなっている。即ち、弾性変形可能な部分が長くなっているため、爪部37A,37Bの弾性力が小さくなり、爪部37A,37Bとガイド部38A,38Bとでコネクタ部10bを挟む力が小さくなる。従って、コネクタ部10bをより軽い力で押し込むことができる。
【0040】
コネクタ部10bを更に押し込むと、コネクタ部10bは、ガイド部38A,38Bのターミナル部23側の端部に形成された補助爪部38c,38dの位置に達する。すると、図7(c)に示されるように、補助爪部38c,38dが縁部E2に押され、爪部37A,37Bと逆側に弾性変形する。このとき、爪部37A,37Bの弾性力と、補助爪部38c,38dの弾性力とが釣り合い、ターミナル部23に対するコネクタ部10bの位置ずれが防止される。
【0041】
コネクタ部10bを更に押し込むと、図7(d)に示されるようにコネクタ部10bがターミナル部23に接続される。コネクタ部10bが図7(c)の状態から図7(d)の状態に移行すると、爪部37A,37B及び補助爪部38c,38dはコネクタ部10bの背面M1に対向するように弾性復帰する。爪部37A,37Bが弾性復帰する際の音や感触によって、コネクタ部10bがターミナル部23に接続されたことをはっきりと認識することができる。また、コネクタ部10bの背面M1に対向するように弾性復帰した爪部37A,37Bによって、コネクタ部10bの接続後の外れが防止される。更に、爪部37A,37Bと共に補助爪部38c,38dもコネクタ部10bの背面M1に対向するため、コネクタ部10bの外れが爪部37A,37Bと補助爪部38c,38dとの協働でより確実に防止される。
【0042】
なお、コネクタ部10bを押し込みきった状態では、コネクタ部10bの背面M1と爪部37A,37Bとの間に隙間C1が空くようになっている。これにより、爪部37A,37Bをしっかりと弾性復帰させることができ、爪部37A,37Bが弾性復帰する際の音や感触をよりはっきりさせることができる。
【0043】
また、ターミナル部23の給電端子23a及びコネクタ部10bの給電端子10eは、爪部37A,37Bが弾性復帰する前に互いに接続されるようになっている(図7(c)参照)。これにより、コネクタ部10bが隙間C1の分だけ爪部37A,37B側に戻ったとしても、給電端子23a及び給電端子10eの接続は確保される。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、コネクタ部10bの大きさや形状等に応じて、爪部37A,37B及びガイド部38A,38Bの数や位置を適宜変更してよい。また、補強筒部34A,34B,34Cの断面形状は円形に限られず、多角形状等様々な断面形状の補強筒部を適宜採用してよい。また、鏡面角度調整ユニット20をミラーハウジング6内に固定する締結部材はネジ32に限られず、打ち込みピン等を締結部材として採用してよい。また、締結部材の数は、求められる強度に応じて適宜変更してよく、これに合わせて補強筒部等の数を適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0045】
1…電動ドアミラー、6…ミラーハウジング、7…ミラーホルダ、10…ハーネス、10b…コネクタ部、20…鏡面角度調整ユニット、20a…背面、23…ターミナル部、24A,24B,24C…雌ネジ孔、30…仕切壁、31…開口部、33A,33B,33C…挿通孔、34A,34B,34C…補強筒部、34a,34b,34c…周面、37A,37B…爪部、38A,38B…ガイド部、38c,38d…補助爪部、L1…押し込み軸線、S1…ミラー収容空間(第2の空間)、S2…ハーネス収容空間(第1の空間)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーが固定されたミラーホルダと、前記ミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットと、前記ミラーホルダ及び前記鏡面角度調整ユニットを収容するミラーハウジングと、を備えたドアミラーにおいて、
前記鏡面角度調整ユニットの背面側には、外部電力を供給するハーネスの給電コネクタ部が接続されるターミナル部が設けられ、
前記ミラーハウジングには、この内部空間を前側の第1の空間と後側の第2の空間とに仕切って、前記第2の空間内に収容された前記鏡面角度調整ユニットを固定させる仕切壁が設けられ、
前記仕切壁には、前記鏡面角度調整ユニットの前記ターミナル部を前記第1の空間に露出させる開口部が設けられ、
前記開口部の周縁部分には、
前記給電コネクタ部を前記第1の空間側から前記ターミナル部に向けて押し込む際に、前記給電コネクタ部によって、前記給電コネクタ部の押し込み方向に対して直交する方向に弾性変形して、前記給電コネクタ部の押し込み途中で前記給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰する爪部と、
前記爪部に対向するように前記押し込み方向に沿って延在し、前記爪部の弾性力に抗して前記給電コネクタ部の移動を規制するガイド部と、が設けられていることを特徴とするドアミラー。
【請求項2】
前記ガイド部の前記ターミナル部側の端部には、前記給電コネクタ部によって、前記押し込み方向に対して直交する方向に弾性変形して、前記給電コネクタ部の押し込み途中で前記給電コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰する補助爪部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアミラー。
【請求項3】
前記爪部は、前記押し込み方向に沿って前記第1の空間に突出し、途中が前記開口部側で折り曲げられたU字フック形状をなしていることを特徴とする請求項1又は2記載のドアミラー。
【請求項4】
前記鏡面角度調整ユニットを前記ミラーハウジング内に固定する複数の締結部品を更に備え、
前記鏡面角度調整ユニットの背面側には、前記複数の締結部品が締結される複数の固定部が更に設けられ、
前記仕切壁には、前記開口部を囲むように位置し、前記複数の固定部に固定される前記複数の締結部品を前記第1の空間側から貫通させる複数の挿通孔と、前記各挿通孔を囲み、前記押し込み方向に沿って前記第1の空間に突出した複数の補強筒部と、が更に設けられ、
前記ガイド部は、前記補強筒部の周面に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のドアミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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