説明

ドアロック制御装置

【課題】 バッテリ上がり時でも操作が可能で、防盗性に優れるドアロック制御装置を提供する。
【解決手段】 携帯キー100に送電用共振回路を配置し、車両本体の受電回路200に、送電用共振回路に磁気結合した受電用共振回路を配置する。送電用共振回路にキャリア信号を供給し、受電用共振回路に誘導された起電力を整流して充電することにより、受電回路200とロックアクチュエータ400の動作電力を確保する。充電電圧が確保すると、受電用共振回路のインピーダンスを変更して、携帯キー100に照合コードを要求する。携帯キー100はキャリア信号を変調することで照合コードを送信する。照合コードが一致すれば、充電電力でロックアクチュエータ400を駆動して、ロック状態を解除し、さもなくば、ロック状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等のドアのロック状態を制御するドアロック制御装置に関し、特に、可搬型の電子キーから本体側に電磁誘導により動作電力を供給して、ドアのアンロックを可能とするドアロック制御装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来、車両では、車両ドアをロック状態またはアンロック状態にするドアロック装置を備えており、車両の安全性向上、盗難防止などの観点から、ドアロック装置には様々な改良がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2つのモータと2つのレバーとで施錠・解錠状態とすることができ、ロック状態も、通常ロックとスーパーロックとを可能として、防盗難性を高めた車両用ドアロック装置が開示されている。また、この車両用ドアロック装置は、バッテリ上がり等でモータが動作しない状態においては、キーシリンダの操作でスーパーロック状態の施錠・解錠が可能である。
【0004】
また、特許文献2には、車両ドアのロック・アンロックを、ドアのアウトサイドハンドルの保持時間に応じて制御する車両ドア制御装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、シリンダ錠の無いドアロック装置で、非常用の予備電源を車両側に持ち、この予備電源で車外のトランスポンダを励起させて、トランスポンダにコードを出力させ、このコードを受信及び照合して合致した場合に予備電源でロッキング解除機構を動作させるものが開示されている。
【特許文献1】特開2002−129807号公報
【特許文献2】特開2003−161064号公報
【特許文献3】特開2002−262054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された車両ドア制御装置は、施錠・解錠用のキーシリンダを有しており、ピッキングによる盗難を防ぐことが困難である。
【0007】
また、特許文献2に開示された車両ドア制御装置では、車両のバッテリが上がった際には、ロック・アンロック動作ができなくなる。
【0008】
また、特許文献3に開示された車両用ドアロック装置では、予備電源からの電力の供給が絶たれた場合には、動作ができなくなる。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリ上がり時でも操作が可能なドアロック制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、防盗性に優れるドアロック制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、この発明のドアロック制御装置は、
可搬型の電子キーと、ドアの状態をロック状態又はロック解除状態にするドアロック制御手段と、から構成され、
前記電子キーは、電磁誘導回路と、照合コードを前記ドアロック制御手段に送信する照合コード送信手段と、を備え、
前記ドアロック制御手段は、前記電子キーの前記電磁誘導回路との相互誘導により誘起起電力を生ずる電磁誘導手段と、前記電磁誘導手段の起電力により電力がチャージされるチャージ手段と、前記電子キーの前記照合コード送信手段から送信された照合コードを受信し、受信した照合コードと予め格納している照合コードとを照合する照合手段と、前記照合手段が両照合コードが一致すると判別したときに、前記チャージ手段にチャージされた電力を動作電力として、ドアをロック状態からロック解除状態に切り換える切換手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
また、例えば、前記電子キーの前記電磁誘導回路は、所定周期の交番磁界を発生し、前記ドアロック制御装置の前記電磁誘導手段は、前記交番磁界により電圧が誘起され、前記照合コード送信手段は、前記交番磁界を変調することにより照合コードを送信し、前記照合手段は、誘起電圧を復調することにより、照合コードを受信する、ように構成してもよい。
【0012】
さらに、前記ドアロック制御手段は、前記チャージ手段が所定のチャージ状態に達したときに、前記電子キーに照合コードを要求する照合コード要求手段を備え、前記電子キーの前記照合コード送信手段は、前記照合コード要求手段からの要求に応答して、前記照合コードを送信する、ように構成してもよい。
【0013】
例えば、前記照合コード要求手段は、前記電磁誘導回路と前記電磁誘導手段との間の電磁誘導結合状態を変化させる手段を備え、前記照合コード送信手段は、前記電磁誘導結合状態の変化を検出し、変化の検出に応答して、前記照合コードを送信する、ように構成してもよい。
【0014】
例えば、前記ドアロック制御手段は、前記切換手段に動作電力を供給するバッテリを備え、前記照合コード要求手段は、前記バッテリから電力が供給されているときには、前記チャージ手段のチャージを待つことなく、照合コードの送信を要求する、ように構成してもよい。
【0015】
前記電子キーの前記電磁誘導回路は、インダクタンスと、電池と、前記電池の電圧を昇圧して前記インダクタンスに交番電圧として印加する昇圧型出力アンプと、を備えてもよい。
【0016】
例えば、前記電子キーの前記電磁誘導回路と前記ドアロック制御手段の前記電磁誘導手段は相互コンダクタンスを有し、前記電子キーのキープレートがキーシリンダに挿入された状態で相互コンダクタンスが最大となるように構成されている。
【0017】
前記電子キーの前記電磁誘導回路と前記ドアロック制御手段の前記電磁誘導手段は、例えば、共振周波数が同一の直列共振回路をそれぞれ備え、前記電子キーはキャリア信号を直列共振回路に印加することにより、前記誘導手段に電力を供給する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、携帯型の電子キーからドアロック制御手段に非接触でエネルギーを供給し、供給したエネルギーを用いてロック状態からロック解除状態に状態を切り換えることができる。従って、バッテリが上がった状態に対応可能である。また、電子キーからドアロック制御手段に照合コードを送信し、これを照合して認証に用いているので、防盗性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るドアロックシステムについて、図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
本実施形態のドアロックシステムは、図1に示すように、携帯キー100と、車両のドアや車体に設置された受電回路200とドアロックコントロール部300とロックアクチュエータ400とから構成される。
【0021】
携帯キー100は、携帯可能なサイズと重量を有し、車両ドアをロック・アンロックするための装置である。携帯キー100は、送電コイル101を備え、送電コイル101により車両に配置された受電回路200の受電コイル201と磁気結合(電磁誘導結合)して、電力を非接触で送電(給電)すると共にロック解除用の照合コードを送信する。
【0022】
携帯キー100は、図2に示すように、発振回路102と、分周回路103と、ASK変調回路104と、反転回路105と、出力アンプ106と、共振コンデンサ107と、負荷変動監視回路108と、照合コード要求信号判定回路109と、照合コード発生回路110と、電池111と、半導体スイッチ112と、起動スイッチ113と、電源制御回路114と、及び前述の送電コイル101とから構成される。
【0023】
発振回路102は、水晶振動子等の発振子を備え、例えば、17.1776MHzの周波数信号を出力する。
【0024】
分周回路103は、例えば、入力信号を128分周することにより、134.2KHzのキャリア信号を出力する。
【0025】
ASK変調回路104は、照合コード発生回路110から供給される照合コードをベースバンド信号として、分周回路103からのキャリア信号をディジタル変調、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)変調して、変調信号を出力する。なお、ASK変調回路104は、照合コード発生回路110から供給される照合コードが供給されていない場合には、キャリア信号を無変調でそのまま出力する。
【0026】
反転回路105は、反転増幅回路から構成され、次段の出力アンプ106を駆動するために、ASK変調回路104からの変調波信号を反転増幅する。
【0027】
出力アンプ106は、反転回路105からの信号により駆動されるCMOSドライブ(インバータ)回路INV1と、ASK変調回路104からのキャリア信号により駆動されるCMOSドライブ(インバータ)回路INV2と、から構成されるフルブリッジ構成のスイッチング回路である。CMOSドライブ回路INV1とINV2とは、それぞれ、PチャネルMOSトランジスタT11,T21と、NチャネルMOSトランジスタT12,T22とから構成される。
【0028】
CMOSドライブ回路INV1とINV2との間には、送電コイル101と共振コンデンサ107との直列共振回路120が接続されている。送電コイル101のインダクタンスと共振コンデンサ107の静電容量とは、直列共振回路120の共振周波数が分周回路103の出力するキャリア信号の周波数にほぼ一致するように設定されている。
【0029】
負荷変動監視回路108は、直列共振回路120に接続され、直列共振回路120の負荷の変動を検出する。照合コード要求信号判定回路109は、負荷変動監視回路108が検出した負荷変動が受電回路200からの照合コード要求信号によるものであるか否かを判別し、照合コード要求信号によるものであると判別した場合に、照合コード生成信号を出力する。具体的には、負荷変動監視回路108と照合コード要求信号判定回路109とは、例えば、送電コイル101と共振コンデンサ107との接続ノードの電圧を監視(検波)し、所定の照合コード要求信号を検出したときに、照合コード生成信号を出力する。
【0030】
照合コード発生回路110は、照合コード生成信号に応答して、携帯キー100と車両との組毎に予め定められて記憶している照合コードのビット列をASK変調回路104に変調信号として出力する。
【0031】
電池111は、一次電池、二次電池等から構成され、この携帯キー100内の各部及び受電回路200とロックアクチュエータ400に動作電力を供給する。
【0032】
半導体スイッチ112は、MOSトランジスタなどから構成され、起動スイッチ113のオン又は電源制御回路114からのオン信号に応答して導通し、電池111からの電圧(電力)を携帯キー100内の各部に供給する。
【0033】
起動スイッチ113は、ユーザの押操作により、半導体スイッチ112にオン信号を供給する。電源制御回路114は、例えば、タイマやワンショット回路などから構成され、半導体スイッチ112から電力が供給されると、一定パルス幅のオン信号を半導体スイッチ112に供給し、起動スイッチ113がオフされても、一定期間、半導体スイッチ112をオンし続けて、動作電圧を供給し続ける。
【0034】
図1に示す受電回路200は、車両に配置され、磁気結合(電磁誘導結合)により携帯キー100から給電を受けて電力を蓄積し、蓄電量が所定状態となったときに、照合コードの送信を携帯キー100に要求する。受電回路200は、この要求に応答して送信されてきた照合コードを受信し、予め登録されている自己の照合コードに一致した場合に、ロックアクチュエータ400を駆動する。
【0035】
受電回路200は、図3に示すように、全波整流回路203と、動作電力蓄積コンデンサ204と、電圧監視回路205と、キャリア信号検出回路206と、電源スイッチ207と、定電圧レギュレータ208と、照合コード要求信号生成回路209と、負荷変動スイッチ210と、検波回路211と、反転増幅回路212と、照合コード照合回路213と、駆動パルス発生回路214と、アクチュエータ駆動選択回路215と、アクチュエータドライバ216と、ダイオード217,218と、前述の受電コイル201とから構成される。
【0036】
受電コイル201は、コイル201aと201bとの直列回路から構成され、送電コイル101と相互インダクタンスを有し、磁気結合をしている。共振コンデンサ202は、フィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサ等から構成され、受電コイル201に直列に接続され、直列共振回路220を形成している。受電コイル201のインダクタンスと共振コンデンサ202の静電容量とは、直列共振回路220の共振周波数が携帯キー100の分周回路103の出力するキャリア信号の周波数にほぼ一致するように設定されている。
【0037】
全波整流回路203は、ダイオードフルブリッジ等から構成され、携帯キー100からの交番磁界(キャリア信号)により直列共振回路220に誘起される電流を整流して脈流に変換して出力する。
【0038】
動作電力蓄積コンデンサ204は、全波整流回路203からの脈流で充電され、この受電回路200の動作に必要な電力を充電する。
【0039】
電圧監視回路205は、動作電力蓄積コンデンサ204の充電電圧と車両内部に設定されているバッテリの電圧のいずれかがそれぞれ基準レベル以上のときにオン信号を出力するコンパレータなどから構成される。例えば、電圧監視回路205は、動作電力蓄積コンデンサ204の充電電圧が16V以上、及び/又は、車両内部に設定されているバッテリの電圧が8V以上の時にオン信号を出力する。
【0040】
キャリア信号検出回路206は、直列共振回路220に接続され、携帯キー100からのキャリア信号が供給されていることを検出して、検出信号を出力する。
【0041】
電源スイッチ207は、電圧監視回路205からオン信号が供給され且つキャリア信号検出回路206から検出信号が供給されると、オンして、動作電力蓄積コンデンサ204からダイオード218を介して供給される電力、又は、バッテリからダイオード217を介して供給される電力を定電圧レギュレータ208に供給する。即ち、電源スイッチ207は、この受電回路200の動作電力が確保でき且つ携帯キー100からキャリア信号が供給されているタイミングで、電力を定電圧レギュレータ208に供給する。
【0042】
定電圧レギュレータ208は、供給された電力から、1又は複数の動作電圧を生成・安定化して、各部に供給する。
【0043】
照合コード要求信号生成回路209は、電圧監視回路205がオン信号を出力すると、即ち、この受電回路200が動作可能となると、照合コードの送信を給電回路に要求するための要求信号を出力する。
【0044】
負荷変動スイッチ210は、要求信号に応答して、コイル201aと201bとの接続点を接地することにより、携帯キー100の負荷に相当する直列共振回路220のインピーダンスを変動させる。これにより、携帯キー100の直列共振回路120と受電回路200の直列共振回路220との結合状態が変化する。
【0045】
検波回路211は、直列共振回路220に誘導された信号(電流)を検波してキャリア信号である交番磁界に重畳されている照合コードを復号して出力する。
【0046】
反転増幅回路212は、復号された照合コードを反転増幅する。
照合コード照合回路213は、検波回路211で復号された照合コードと予め登録されている照合コードとを比較して、一致したときに一致信号を出力する。
【0047】
駆動パルス発生回路214は、照合コード照合回路213から一致信号が供給されたときに、ロックアクチュエータ400を駆動するために必要な駆動パルスを一定期間出力する。
【0048】
アクチュエータ駆動選択回路215は、ロックアクチュエータ400内の後述するロックポジションスイッチ401bの内容に従って、ドアロックの現在の状態を判別し、例えば、ドアが現在ロック状態ならばロック解除状態に、現在ロック解除状態ならばロック状態にするために、アクチュエータ401aの駆動方向を選択する。
【0049】
アクチュエータドライバ216は、ダイオード217又は218からの電力で動作し、アクチュエータ駆動選択回路215の出力に応じてアクチュエータ401aを駆動する。また、通常時の動作においては、ドアロックコントロール部300からの動作指示により、アクチュエータ401aを駆動する。
【0050】
ダイオード217と218は、バッテリ或いは動作電力蓄積コンデンサ204への電流の逆流を防止するための素子である。
【0051】
ドアロックコントロール部300は、ECU(Electronic Control Unit)などが相当して、ドアのロックに関する様々な指示を入力する。
ロックアクチュエータ400は、DCモータなどから構成されたアクチュエータ401aとロックポジションスイッチ401bとを備える。
アクチュエータ401aは、ドアをロック状態からアンロック状態、アンロック状態からロック状態に切り換える。
【0052】
ロックポジションスイッチ401bは、ドアの現在のロック状態を示すスイッチであり、例えば、ドアがロックされたときにオフされ、ドアがアンロックされたときにオンされる。
【0053】
携帯キー100は、図4(a)に示すように、強磁性体、例えば、フェライトなどから構成されたコア143を備える。コア143には、送電コイル101が巻設されている。コア143は、携帯キー100の主面より突出して配置されており、突起(凸)部141を形成している。
【0054】
一方、車両のドアには窪み(凹)部601が形成されており、窪み部601に対向して、フェライトなどから構成されたコア603が配置されている。このコア603には、受電コイル201が巻設されている。
【0055】
図4(b)に示すように、ドアの窪み部601に携帯キー100の突起部141を挿入した状態で、携帯キー100の直列共振回路120を構成しているコア143と受電回路200の直列共振回路220を形成しているコア603とが接触又は近接し、送電コイル101と受電コイル201との間の磁気結合(相互コンダクタンス)は最大となる。
【0056】
次に上記構成のドアロック・アンロックシステムの動作について説明する。
まず、前提として、車両のドアはロックされており、携帯キー100を用いてドアロックを解錠する動作を説明する。本実施形態のドアロック・アンロックシステムはプロセッサを採用していないが、理解を容易にするため、携帯キー100と車両側回路の動作手順をそれぞれ示す図5及び図6のフローチャートを参照する。
【0057】
例えば、ドライバがドアのキー装着用の凹部601に携帯キー100の凸部141を装着して起動スイッチ113を押下すると(図5:ステップS101)、半導体スイッチ112にオン信号が供給され、半導体スイッチ112がオンする(ステップS102)。これにより、電池111から半導体スイッチ112を介して各部に動作電力が供給される(ステップS103)。発振回路102は、電力の供給を受けて、17.1776MHzで発振を開始し、分周回路103は、これを1/128分周して、134.2KHzのキャリア信号を出力する。電源供給開始当初は照合コード発生回路110が照合コードを発生していないため、ASK変調回路104は、キャリア信号を無変調で出力する。
【0058】
出力アンプ106を構成する2つのCMOSインバータ回路INV1とINV2とは、キャリア信号及びその反転信号により駆動され、キャリア信号を増幅して直列共振回路120に出力する。
【0059】
キャリア信号の周波数は、送電コイル101と共振コンデンサ107から構成される直列共振回路120の共振周波数に一致しており、直列共振回路120が共振する。
【0060】
送電コイル101に流れるキャリア信号に相当する交番電流により、キャリア信号に対応する交番磁束が発生し、これが磁気結合している受電コイル201と交差して、受電コイル201にキャリア信号と同一周波数の交番電流が流れ始める(図6;ステップS201)。
【0061】
この交番電流は全波整流回路203に充電される。また、キャリア信号検出回路206は、キャリア信号による交番電流を検出し、検出信号を出力する。
【0062】
この状態で、バッテリ電圧が正常であれば(ステップS202;Yes)、電圧監視回路205は、オン信号を出力し、電源スイッチ207をオンする(ステップS204)。即ち、キャリア信号を検出すると、即座に、電源スイッチ207をオンして、定電圧レギュレータ208にバッテリからの電力を供給して、定電圧レギュレータ208から各部に動作電圧を供給する。照合コード要求信号生成回路209は、定電圧レギュレータ208から動作電圧が供給されてから動作を開始し、電圧監視回路205がオン状態であることを判別して、要求信号を出力する(ステップS205)。
【0063】
一方、バッテリ切れ等のためにバッテリ電圧が異常(基準レベル以下)であれば(ステップS202;No)、動作用の電力を確保するため、動作電力蓄積コンデンサ204の充電電圧が基準レベルに達するまで待機する(ステップS203)。この間、携帯キー100からは連続的にキャリア信号によりエネルギーが供給される。動作電力蓄積コンデンサ204にロックアクチュエータ400を駆動・保持できる程度のエネルギーが蓄積されると、充電電圧が基準レベルを超えるようになり(ステップS203;Yes)、電圧監視回路205は、オン信号を出力し、電源スイッチ207をオンする(ステップS204)。即ち、キャリア信号を検出した後、動作電力蓄積コンデンサ204がある程度充電されるのを待って、電源スイッチ207をオンして、定電圧レギュレータ208にバッテリからの電力を供給して、定電圧レギュレータ208から各部に動作電圧を供給する。照合コード要求信号生成回路209は、定電圧レギュレータ208から動作電圧が供給されてから動作を開始し、電圧監視回路205がオン状態であることを判別して、例えば、所定パターンの要求信号を出力する(ステップS205)。
【0064】
照合コード要求信号生成回路209から出力された要求信号に応答して、負荷変動スイッチ210が、例えば、所定パターンでオンし、コイル201aと201bの接続点を接地する。これにより、直列共振回路220のインピーダンスは従前の値からは大きく変化する。このため、直列共振回路120の送電コイル101との接続点の電圧は直前の値から大きく変動する。
【0065】
負荷変動監視回路108はこの電圧変動を復調し、さらに、照合コード要求信号判定回路109は、この電圧変動が、照合コード要求信号によるものであるか否かを、その変動パターン等から判別する(図5;ステップS104)。
【0066】
要求信号によるものであった場合には(ステップS104;Yes)、照合コード要求信号判定回路109は、要求検出信号を出力する(ステップS205)。この要求検出信号に応答して、照合コード発生回路110は、予め登録されている照合コードのシーケンシャルパターンを順次出力する(ステップS106)。ASK変調回路104は、分周回路103から供給されるキャリア信号を照合コード発生回路110から供給される照合コード(ベースバンド信号)でASK変調して出力する。
【0067】
これにより、直列共振回路120には、照合コードによって振幅変調された交番信号が供給され、直列共振回路220に送信される(ステップS106)。
【0068】
直列共振回路220で受信された振幅変調された交番信号は、検波回路211により検波され、照合コードが復調される(図6:ステップS206)。
【0069】
復調された照合コードは、照合コード照合回路213に供給され、予め登録されている照合コード(この車両の携帯キー100に予め割り当てられている照合コード)に一致するか否かを判別する(ステップS207)。なお、この間も動作電力蓄積コンデンサ204への充電は継続されている。
【0070】
照合コード照合回路213が、受信した照合コードと予め登録されている照合コードとが一致する、即ち、携帯キー100がこの車両のキーとして正当なものであると判別した場合には(ステップS207;Yes)、照合コード照合回路213は、駆動パルス発生回路214に一致信号を出力する(ステップS208)。
【0071】
この一致信号に応答して、駆動パルス発生回路214は、定電圧レギュレータ208からの動作電圧により、駆動パルスを出力する。
アクチュエータ駆動選択回路215は、ロックポジションスイッチ401bの設定を判別し、現状を変更する方向にアクチュエータ401aを駆動するためパルスを出力する。
【0072】
アクチュエータドライバ216は、この駆動パルスに応答して、ダイオード217を介してバッテリから供給される電力及び/又はダイオード218を介して動作電力蓄積コンデンサ204から供給される電力を用いて、アクチュエータ401aを駆動する。
【0073】
これにより、ロック状態であったロック機構はアンロック状態となり、アンロック状態であったロック機構はロック状態となる。さらに、ロックポジションスイッチ401bが切り替わる(ステップS208)。
【0074】
なお、携帯キー100では、一旦電力の供給が開始すると、電源制御回路114が起動するため、起動スイッチ113をユーザが離しても、電源制御回路114から半導体スイッチに一定期間はオン信号が供給される。このため、携帯キー100は、この一定期間の間は、受電回路200に電力の供給を継続する。一定時間が経過すると(ステップS105:Yes)、電源制御回路114は、電源オン信号をオフし、半導体スイッチ112はオフする。これにより、携帯キー100内の各部への電力の供給も停止し、受電回路200への給電も停止する(ステップS107)。
【0075】
受電回路200への送信が停止すると、キャリア信号検出回路206が、キャリア信号が存在しないことを判別し、電源スイッチ207をオフし(ステップS210)、これにより各部への動作電力の供給が停止する。
【0076】
なお、通常時には、ドアロックコントロール部300の指示に応答して、アクチュエータドライバ216はアクチュエータ401aを駆動して、ロック・アンロックを適宜制御する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態のドアロックシステムによれば、照合コードの一致不一致に基づいて、ロックとアンロックとを切り替えているので、キーシリンダが不要であり、防盗性の高いロック・アンロックシステムを得ることができる。
【0078】
また、車外より非接触式の給電方法で、回路及びアクチュエータの動作電力を供給しているので、内部バッテリが消耗している場合などでも、ドアを解錠することができる。
【0079】
また、バッテリが有効な場合には、携帯キーからの給電開始後、即座に、照合コードの送信を要求するので、解錠のために待つ必要がなく、消費電力も少なくても済み、電池の消耗を抑えることができる。
【0080】
また、受電回路から携帯キーへの照合コードの要求を負荷を変動させるという簡単な構成で実現しているので、回路構成が簡単である。
【0081】
(第2の実施の形態)
上記実施の形態においては、携帯キー100と受電回路200とをそれぞれディスクリート回路で構成した例を示したが、回路の一部、特に、データ処理の部分をマイクロプロセッサで実現することにより、回路構成をシンプル化することも可能である。
また、上記実施形態では、シリンダキーを一切配置しなかったが、シリンダキーを配置し、照合コードによるキーとシリンダキーによるキー操作とを連動させるといった様々なバリエーションが可能である。
【0082】
以下、マイクロプロセッサを用い、且つ、シリンダキーと連動を取る構成のキーロック・アンロックシステムについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付す。
【0083】
本実施形態のドアロックシステムは、図7に示すように、携帯キー100と、車両のドアや車体に設置された受電回路200とロックアクチュエータ400とキーシリンダスイッチ500とから構成される。なお、図1のドアロックコントロール部300を配置してもよい。
【0084】
携帯キー100と受電回路200とは基本的に第1実施形態と同一の構成である。一方、ロックアクチュエータ400の構成のうち、ロックポジションスイッチ401bは本実施の形態では配置されていない。
また、キーシリンダスイッチ500は、ロックとアンロックの一方を受電回路200に指定するためのキーであり、例えば、図8に示すように、コア141の先端にキープレート145が配置される。また、受電回路200のコア603には、キープレート145が挿入されるキーホールが形成されている。さらに、コア603は一定角度範囲で回動可能に配置されており、キープレート145の回転に伴うコア603の回転がスイッチで検出され、キーシリンダスイッチ500からのロックとアンロックの指示として処理される。
【0085】
本実施形態の携帯キー100は、図9に示すように、マイクロプロセッサ150と、電源スイッチ保持素子151と、検波回路152と、二値化回路153と、前述の出力アンプ106と、送電用の直列共振回路120と、電池111と、半導体スイッチ112と、起動スイッチ113とから構成される。
【0086】
マイクロプロセッサ150は、例えば、メモリ内蔵型の1チップマイクロプロセッサから構成され、後述する動作を実行するためのプログラムを記憶しており、2つの出力ポートから、直列共振回路120の共振周波数を有するパルス信号(キャリア信号)を出力アンプ106に出力する。また、マイクロプロセッサ150は、検波回路152と二値化回路153とを介して供給される負荷変動信号を取り込み、照合コードの送信要求を判別する。
【0087】
また、マイクロプロセッサ150は、照合コード送信要求信号を検出すると、このキャリア信号を照合コードで変調した変調信号を生成し、これを出力ポートから出力する。さらに、マイクロプロセッサ150は、電力が供給された後、一定期間電源スイッチ保持素子151をオンして、半導体スイッチ112をオンさせる。
【0088】
半導体スイッチ保持素子151は、例えば、MOSトランジスタなどから構成され、マイクロプロセッサ150からの制御信号によってオンして、半導体スイッチ112をオンさせる。
【0089】
検波回路152は、直列共振回路120の送電コイル101と共振コンデンサ107の接続点の電圧を検出し、二値化回路153がこれを二値化してマイクロプロセッサ150の入力ポートに供給する。
【0090】
本実施形態の受電回路200は、図10に示すように、マイクロプロセッサ250と、電源選択スイッチ251と、二値化回路252と、キーシリンダスイッチ500と、第1実施形態と同様の全波整流回路203と、動作電力蓄積コンデンサ204と、電圧監視回路205と、電源スイッチ207と、定電圧レギュレータ208と、負荷変動スイッチ210と、検波回路211と、アクチュエータドライバ216と、受電用の直列共振回路220と、ダイオード217と218と、とから構成される。
【0091】
マイクロプロセッサ250は、電圧監視回路205からの監視信号とに基づいて、携帯キー100からキャリア信号が供給されており、且つ、動作電圧がほぼ十分なレベル以上に達しているときに、負荷変動スイッチ210をオンして、携帯キー100に照合コードの送信を要求する。
【0092】
また、マイクロプロセッサ250は、携帯キー100から送信されて来た照合コードを検波回路211と二値化回路252とを介して取り込み、照合コードを予め記憶している値と比較し、一致すれば、キーシリンダスイッチ500が指定するロック状態又はアンロック状態に設定するように、アクチュエータータドライバ216に指示し、アクチュエータ401aを駆動する。
【0093】
さらに、マイクロプロセッサ250は、受信した照合コードが記憶している照合コードと一致するときに、負荷変動スイッチ210をオンして、照合コードの受信完了を示す受信完了信号を送信する。
【0094】
電源選択スイッチ251は、全波整流回路203の出力ラインと動作電力蓄積コンデンサ204との間に接続され、バッテリ電圧VBATで動作し、バッテリ電圧VBATが基準レベル以上あるときにはオフし、バッテリ電圧VBATが基準レベル未満のときにはオンして、全波整流回路203の出力ラインと動作電力蓄積コンデンサ204とを接続する。
【0095】
二値化回路252は検波回路211の出力信号を波形整形及び二値化してマイクロプロセッサ250に供給する。
【0096】
次に、図8及び図9に示す構成のドアロック・アンロックシステムの動作について説明する。
例えば、ドライバがドアの窪み部601にキープレート145を挿入し、起動スイッチ113を押下すると、半導体スイッチ112がオンし、電池111からマイクロプロセッサ150を含む各部に動作電力が供給される。
【0097】
電力の供給を受けて、マイクロプロセッサ150は、図11に示す起動処理を開始し、まず、初期化処理を実行する(ステップS301)。続いて、電源スイッチ保持素子151をオンさせ、さらに、内部タイマで所定期間のカウントを開始し、起動スイッチ113がオフされても、内部に所定期間電力の供給を継続する状態を生成する(ステップS302)。
【0098】
次に、マイクロプロセッサ150は、出力アンプ106に、キャリア周波数と同一の周波数を有し、論理レベルが反対の一対の二値信号を供給する。出力アンプ106は、この信号を増幅してキャリア信号として直列共振回路120に供給する(ステップS303)。
【0099】
続いて、マイクロプロセッサ150は、受電回路200から照合コード要求信号を受信したか否かを判別し(ステップS304)、受信するまでキャリア信号の出力を繰り返す(ステップS303,S304;No)。
【0100】
送電コイル101に流れるキャリア信号により、磁気結合している受電コイル201にキャリア信号と同一周波数の交番電流が流れ始める。
【0101】
ここでは、バッテリからの電圧VBATの供給がないものとする。
まず、バッテリからの電圧VBATの供給が無いため、電源選択スイッチ251がオンし、全波整流回路203の出力電流は主に動作電力蓄積コンデンサ204に充電され、全波整流回路203の出力電圧Vchgは徐々に上昇する。
【0102】
全波整流回路203の出力電圧Vchg、即ち、動作電力蓄積コンデンサ204の充電電圧が基準レベルに達すると、電圧監視回路205は、検出信号を出力する。この検出信号により電源スイッチ207がオンし、定電圧レギュレータ208にバッテリからの電力を供給して、定電圧レギュレータ208からマイクロプロセッサ250を含む各部に動作電圧を供給する。
【0103】
すると、マイクロプロセッサ250は、図11に示す処理を開始し、まず、初期化処理を実行し(ステップS401)、続いて、例えば、二値化回路252がキャリア信号に対応する信号を出力していること、或いは、図3のキャリア信号検出回路206と同様の回路(図示せず)により、キャリア信号を受信しているか否かをチェックする(ステップS402)。そして、キャリア信号を受信していると判別すると(ステップS402;Yes)、照合コード要求信号を負荷変動スイッチ210に出力する(ステップS403)。
【0104】
マイクロプロセッサ250からの要求信号に応答して、負荷変動スイッチ210がオンし、コイル201aと201bの接続点を接地し、直列共振回路220のインピーダンスを例えば所定パターンで変動させる。これにより、直列共振回路120の送電コイル101との接続点の電圧は変動する。
【0105】
検波回路152は、この電圧変動を復号し、二値化回路153は、これを波形整形及び二値化してマイクロプロセッサ150に供給する。
【0106】
マイクロプロセッサ150は、図11のステップS304で、これを検出し(ステップs304;Yes)、照合コードでキャリア信号を変調して変調後のデータを出力アンプ106に順次供給する(ステップS305)、続いて、キャリア信号の送信を継続する(ステップS306〜S308)。
【0107】
直列共振回路220で受信された照合コードは、検波回路211により復調され、二値化回路252で波形整形及び二値化され、マイクロプロセッサ250に供給される。
【0108】
マイクロプロセッサ250は、二値化回路252から供給される照合コードを順次取り込み、予め記憶している照合コードと照合する(ステップS404)。
【0109】
受信した照合コードと予め登録されている照合コードとが一致する場合(ステップS405;Yes)、即ち、携帯キー100がこの車両のキーとして正当なものである場合には、マイクロプロセッサ250は、キーシリンダスイッチ500がロックを指示しているか、アンロックを指示しているかを判別し、判別に従って、駆動方向と駆動パルスを、アクチュエータドライバ216に供給する。アクチュエータドライバ216は、ダイオード218を介して動作電力蓄積コンデンサ204から供給される電力を用いて、アクチュエータ401aを駆動する(ステップS406)。これにより、ドアがロック状態又はアンロック状態となる。
【0110】
続いて、マイクロプロセッサ250は、負荷変動スイッチ210を制御して、照合コード受信完了信号を、携帯キー100に送信させる(ステップS407)。
【0111】
ステップS405で照合コードが一致しないと判別された場合(ステップS405;No)、又は、ステップ407で照合コード受信完了信号を送信し終わると、マイクロプロセッサ250は今回の処理を終了する。
【0112】
ステップS407で送信された照合コード受信完了信号は、直列共振回路220から直列共振回路120に伝達され、検波回路152で検波され、二値化回路153で二値化されてマイクロプロセッサ150に供給される。
【0113】
マイクロプロセッサ150は、図11のステップS307でこれを受信し(ステップS307;Yes)、ステップS309で、電源スイッチ保持素子151をオフすることにより、半導体スイッチ112をオフし、携帯キー100内の各部への電力の供給を停止する(ステップS309)。
【0114】
また、照合コード受信完了信号を受信できない場合でも(ステップS307;No)、半導体スイッチ112をオンしてから一定期間が経過すれば(ステップS308;Yes)、電源スイッチ保持素子をオフして電力の供給を停止する(ステップS309)。
【0115】
一方、バッテリからの電圧の供給があるとすると、電源選択スイッチ251がオフし、全波整流回路203の出力電流は動作電力蓄積コンデンサ204には充電されず、全波整流回路203の出力電圧Vchgは急速に上昇する。
【0116】
このため、電圧監視回路205は、携帯キー100からのキャリア信号の供給が開始されると、すぐに、電源スイッチ207をオンして、定電圧レギュレータ208にバッテリからの電力を供給して、定電圧レギュレータ208からマイクロプロセッサ250を含む各部に動作電圧を供給する。以後の動作は前述のバッテリからの電圧の供給が無い場合と同様である。
【0117】
この第2実施形態においては、照合コードの一致不一致に基づいて、キーシリンダからの指示に基づいて、アクチュエータを駆動してロック・アンロックを切り替えているので、ピッキングによる解錠が困難であり、盗難防止などに寄与できる。
【0118】
また、車外より非接触式の給電方法で、回路及びアクチュエータの動作電力を供給しているので、内部バッテリが消耗している場合などでも、ドアを解錠することができる。
【0119】
また、バッテリが有効な場合には、携帯キーからの給電開始後、即座に、照合コードの送信を要求するので、解錠のために待つ必要がなく、消費電力も少なくても済み、電池の消耗を抑えることができる。
【0120】
また、受電回路から携帯キーへの照合コードの要求を負荷を変動させるという簡単な構成で実現しているので、回路構成が簡単である。
【0121】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、動作電力蓄積コンデンサ204への充電時間を短くするために、出力アンプ106としてに図13に例示するような昇圧回路などを使用し、全波整流回路203の出力電圧を高めるようにしてもよい。図13の昇圧回路は、通常知られているように、ハーフブリッジタイプのものであり、電源電圧Vccとすれば、−Vccと2・Vccの電圧を生成可能であり、送電効率が向上する。
【0122】
本発明の回路構成の場合、携帯キー100からの非接触給電で動作電力蓄積コンデンサ204に蓄えた電力でロック・アンロック機構をアクチュエータで駆動する。従って、比較的大きい電力が必要であり、昇圧回路を用いる手法は非常に有効である。
【0123】
さらに、図13の昇圧回路を図2のCMOSドライバINV1とINV2に置換することにより、より高い電圧での送電が可能となる。
【0124】
例えば、上記第1の実施の形態においては、バッテリ電圧の供給の有無に関わらず動作電力蓄積コンデンサ204を充電したが、第2実施形態同様に、バッテリ電圧が供給されているときには、動作電力蓄積コンデンサ204を充電しないように制御してもよい。
また、第2の実施の形態に、図3に示すキャリア検出回路206と同様の回路を配置し、キャリア信号が供給されているときにのみ、電源スイッチ207をオンするようにしてもよい。
【0125】
上記実施の形態では、直列共振回路120から直列共振回路220に送信される搬送波をASK変調したが、他の変調方式を使用してもよい。
【0126】
上記実施の形態では、直列共振回路120から直列共振回路220に送信される搬送波を変調することにより、携帯キー100から受電回路200に照合コードを送信し、直列共振回路220のインピーダンスを制御することにより、照合コード要求信号を受電回路200から携帯キー100に通信したが、他の通信(無線)手段を使用することも可能である。
【0127】
また、図1に示した構成のシステムで、キーシリンダスイッチ500による制御を行っても良い。また、図7に示した構成のシステムで、ロックポジションスイッチ401bによる制御をおこなってもよい。
【0128】
本発明において、携帯キーから受電回路に送信された照合コードが受電回路が記憶していた照合コードと一致しているとは、両照合コードが完全に一致している場合だけでなく、一方を演算処理すると他方が得られるというように、互いに確実に対応関係にあることが確認できる状態全般を意味するものであり、実質的に一致の意味である。
【0129】
また、受電電力を充電するためにコンデンサを使用したが、二次電池等、非接触給電により給電されたエネルギーを貯蔵できるならば任意の構成が採用可能である。
【0130】
上記各実施の形態においては、車両のドアのロックを例にこの発明を説明したが、このドアロック・アンロックシステムは、車両に限定されず、船舶、家屋、等、キーシステムが利用されている様々な分野のキーとして利用可能である。
さらに、上述した回路構成やフローチャートは一例であり任意に変更・修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施形態に係るドアロック・アンロックシステムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示す携帯キーの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す受電回路の構成を示すブロック図である。
【図4】携帯キーと車両に配置された受電回路の配置構造を示す図である。
【図5】図2に示す携帯キーの動作を説明するための図である。
【図6】図3に示す受電回路の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るドアロック・アンロック制御システムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【図8】携帯キーと車両に配置された受電回路の配置構造を示す図である。
【図9】図7に示す携帯キーの第2の実施形態に係る構成を示すブロック図である。
【図10】図7に示す受電回路の第2の実施形態に係る構成を示すブロック図である。
【図11】図9に示す携帯キーのマイクロプロセッサの動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図10に示す受電回路のマイクロプロセッサの動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】昇圧回路の例を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
100 携帯キー(電子キー)
101 送電コイル(電磁誘導回路、照合コード送信手段)
102 発振回路(電磁誘導回路)
103 分周回路(電磁誘導回路)
104 ASK変調回路(照合コード送信手段)
105 反転回路(電磁誘導回路)
106 出力アンプ(電磁誘導回路、照合コード送信手段)
107 共振コンデンサ(電磁誘導回路)
108 負荷変動監視回路(照合コード送信手段)
109 照合コード要求信号判定回路(照合コード送信手段)
110 照合コード発生回路(照合コード送信手段)
150 マイクロプロセッサ(電磁誘導回路、照合コード送信手段)
152 検波回路(照合コード送信手段)
200 受電回路(ドアロック制御手段)
201 受電コイル(電磁誘導手段、照合コード要求手段)
202 共振コンデンサ(電磁誘導手段)
203 全波整流回路(チャージ手段)
204 動作電力蓄積コンデンサ(チャージ手段)
205 電圧監視回路(照合コード要求手段)
206 キャリア信号検出回路(照合コード要求手段)
209 照合コード要求信号生成回路(照合コード要求手段)
210 負荷変動スイッチ(照合コード要求手段)
211 検波回路(照合手段)
213 照合コード照合回路(照合手段)
214 駆動パルス発生回路(切換手段)
215 アクチュエータ駆動選択回路(切換手段)
216 アクチュエータドライバ(切換手段)
250 マイクロプロセッサ(電磁誘導手段、照合コード要求手段、照合手段)
251 電源選択スイッチ(チャージ手段、照合コード要求手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型の電子キーと、
ドアの状態をロック状態又はロック解除状態にするドアロック制御手段と、から構成され、
前記電子キーは、電磁誘導回路と、照合コードを前記ドアロック制御手段に送信する照合コード送信手段と、を備え、
前記ドアロック制御手段は、
前記電子キーの前記電磁誘導回路との相互誘導により誘起起電力を生ずる電磁誘導手段と、
前記電磁誘導手段の起電力により電力がチャージされるチャージ手段と、
前記電子キーの前記照合コード送信手段から送信された照合コードを受信し、受信した照合コードと予め格納している照合コードとを照合する照合手段と、
前記照合手段が両照合コードが一致すると判別したときに、前記チャージ手段にチャージされた電力を動作電力として、ドアをロック状態からロック解除状態に切り換える切換手段と、
を備える、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項2】
前記電子キーの前記電磁誘導回路は、所定周期の交番磁界を発生し、
前記ドアロック制御手段の前記電磁誘導手段は、前記交番磁界により電圧が誘起され、
前記照合コード送信手段は、前記交番磁界を変調することにより照合コードを送信し、
前記照合手段は、誘起電圧を復調することにより、照合コードを受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドアロック制御装置。
【請求項3】
前記ドアロック制御手段は、前記チャージ手段が所定のチャージ状態に達したときに、前記電子キーに照合コードを要求する照合コード要求手段を備え、
前記電子キーの前記照合コード送信手段は、前記照合コード要求手段からの要求に応答して、前記照合コードを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドアロック制御装置。
【請求項4】
前記照合コード要求手段は、前記電磁誘導回路と前記電磁誘導手段との間の電磁誘導結合状態を変化させる手段を備え、
前記照合コード送信手段は、前記電磁誘導結合状態の変化を検出し、変化の検出に応答して、前記照合コードを送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載のドアロック制御装置。
【請求項5】
前記ドアロック制御手段は、前記切換手段に動作電力を供給するバッテリを備え、
前記照合コード要求手段は、前記バッテリから電力が供給されているときには、前記チャージ手段のチャージを待つことなく、照合コードの送信を要求する、
ことを特徴とする請求項3に記載のドアロック制御装置。
【請求項6】
前記電子キーの前記電磁誘導回路は、インダクタンスと、電池と、前記電池の電圧を昇圧して前記インダクタンスに交番電圧として印加する昇圧型出力アンプと、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のドアロック制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−32140(P2007−32140A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218758(P2005−218758)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】