説明

ドアロック装置

【課題】ロック機構をアンロック状態またはロック状態に切り換えるためだけのロック操作部材を車両の室内に設ける必要がなく、車両が走行している場合には、ラッチ機構のラッチ状態が解除されることを防止することができるドアロック装置を提供する。
【解決手段】ドアロック装置は、インサイドドアハンドルの操作に応じて互いに異なるロック位置、アンロック位置、開扉位置に配置されるメインインサイドドアハンドルレバーと、チャイルドロック機構を伝達状態と非伝達状態とに切り換えるチャイルドアクチュエータ130と、車両検知手段により検知した車速が予め設定した閾値以上の場合にはチャイルドアクチュエータに非伝達指令を与える制御手段200とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両本体に対してドアが閉位置に配置された場合にラッチ状態となってドアの開方向への移動を規制するラッチ機構と、ラッチ機構に対して解除位置及び非解除位置の互いに異なる2位置に変位する一方、解除位置にある状態において所定の解除方向に移動した場合にラッチ機構のラッチ状態を解除するオープンレバーと、インサイドドアハンドルレバーとオープンレバーとの間に介在し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはオープンレバーを非解除位置に変位させたロック状態に切り換わる一方、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはオープンレバーを解除位置に変位させたアンロック状態に切り換わるロック機構とを備えるドアロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドアロック装置は、通常、ラッチ機構およびロック機構を備えている。ラッチ機構は、車両本体に対してドアが閉位置に配置された場合にラッチ状態となってドアの開方向への移動を規制するものである。
【0003】
ロック機構は、車両の室内に設けたインサイドドアハンドルからラッチ機構に至るまでの間に介在し、オープンレバーを解除位置に配置するアンロック状態と、オープンレバーを非解除位置に配置するロック状態とに切り換えるものである。このロック機構は、アンロック状態において、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合、これをラッチ機構に伝達することによりラッチ状態を解除してドアの開方向への移動を許容する一方、ロック状態において、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合、ラッチ機構のラッチ状態を維持するものである。
【0004】
従来のドアロック装置の中には、車両の室内に設けたインサイドドアハンドルに連係させてあるとともに、ロック機構に連係させてあり、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはロック機構をロック状態に切り換え、かつインサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはロック機構をアンロック状態に切り換えるインサイドドアハンドルレバーを備えるものがある。
【0005】
このドアロック装置によれば、インサイドドアハンドルのロック操作、アンロック操作によってロック機構をロック状態とアンロック状態とに切り換えることができるため、車両の室内に設けるいわゆるシルノブ等のロック機構を切換操作するためだけのロック操作部材を省略することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3338950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記ドアロック装置を適用した車両では、ロック機構をロック状態に切り換えた状態で走行していても、インサイドドアハンドルをアンロック操作し、かつ開扉操作した場合には、ラッチ機構のラッチ状態が解除される虞れがある。
【0008】
本発明の目的は、上記実情に鑑み、ロック機構をアンロック状態またはロック状態に切り換えるためだけのロック操作部材を車両の室内に設ける必要がなく、車両が走行している場合には、ラッチ機構のラッチ状態が解除されることを防止することができるドアロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両本体に対してドアが閉位置に配置された場合にラッチ状態となってドアの開方向への移動を規制するラッチ機構と、ラッチ機構に対して解除位置及び非解除位置の互いに異なる2位置に変位する一方、解除位置にある状態において所定の解除方向に移動した場合にラッチ機構のラッチ状態を解除するオープンレバーと、インサイドドアハンドルのロック操作、アンロック操作、開扉操作に応じて互いに異なる3位置に変位し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはロック位置に配置され、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはアンロック位置に配置され、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合には開扉位置に配置されるインサイドドアハンドルレバーと、インサイドドアハンドルレバーとオープンレバーとの間に介在し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはオープンレバーを非解除位置に変位させたロック状態に切り換わる一方、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはオープンレバーを解除位置に変位させたアンロック状態に切り換えるロック機構と、インサイドドアハンドルレバーからオープンレバーおよびロック機構に至る間に介在し、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合にはその開扉操作に応じてオープンレバーを解除方向に移動させる伝達状態と、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合でもラッチ機構のラッチ状態を維持する非伝達状態とに切り換え可能に構成したチャイルドロック機構と、伝達指令が与えられた場合にはチャイルドロック機構を伝達状態に切り換える一方、非伝達指令が与えられた場合にはチャイルドロック機構を非伝達状態に切り換えるチャイルドアクチュエータと、車両検知手段により検知した車速が予め設定した閾値以上の場合にはチャイルドアクチュエータに非伝達指令を与える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るドアロック装置は、上記請求項1において、制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満の場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係るドアロック装置は、上記請求項1において、制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、かつフットブレーキ検知手段によりブレーキが作動されていないことが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係るドアロック装置は、上記請求項1において、制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、かつギアポジション検知手段によりギアがパーキングポジションに配置されていることが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係るドアロック装置は、上記請求項1において、制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、フットブレーキ検知手段によりブレーキが作動されていないことが検知され、かつギアポジション検知手段によりギアがパーキングポジションに配置されていることが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に係るドアロック装置は、上記請求項1〜5のいずれか一つにおいて、手動操作部が互いに異なるチャイルドロック位置とチャイルドアンロック位置とにそれぞれ移動可能であり、ドアを開成した状態において操作可能、かつドアを閉位置に配置した場合に操作不能となる位置に手動操作部を配設し、手動操作部をチャイルドロック位置に移動した場合にチャイルドロック機構を非伝達状態にする一方、手動操作部をチャイルドアンロック位置に移動した場合にチャイルドロック機構を伝達状態にする切換操作レバーを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に係るドアロック装置は、上記請求項1〜6のいずれか一つにおいて、チャイルドロック機構は、伝達状態において、インサイドドアハンドルのロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置に配置された場合、ロック機構を介してオープンレバーを非解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルのアンロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置からアンロック位置に移動された場合、ロック機構を介してオープンレバーを解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルの開扉操作によりインサイドドアハンドルレバーが開扉操作位置に移動された場合、オープンレバーを解除方向に移動させる一方、非伝達状態において、インサイドドアハンドルのロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがアンロック位置からロック位置に移動された場合、ロック機構を介してオープンレバーを非解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルのアンロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置からアンロック位置に移動された場合、オープンレバーを非解除位置に維持し、インサイドドアハンドルの開扉操作によりインサイドドアハンドルレバーが開扉操作位置に移動された場合のオープンレバーへの動力を非伝達とするように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るドアロック装置によれば、車両検知手段により検知した車速が予め設定した閾値以上の場合にはチャイルドアクチュエータに非伝達指令を与える制御手段を備えるため、車両が走行している状態でラッチ機構のラッチ状態が解除されることを防止することができる。しかも、インサイドドアハンドルのロック操作、アンロック操作、開扉操作に応じて互いに異なる3位置に変位し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはロック位置に配置され、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはアンロック位置に配置され、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合には開扉位置に配置されるインサイドドアハンドルレバーを備えるため、ロック機構を切換操作するためだけのロック操作部材を車両の内部に設ける必要がない。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満である場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであるため、車両が停止している状態では、インサイドドアハンドルによってドアを開くことができ、車両の内部に人が取り残されることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係るドアロック装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1および図2は、本発明の実施の形態であるドアロック装置を示したものである。ここで例示するドアロック装置1は、例えば図3〜図5に示すように、四輪自動車の車両本体Bにおいて後席右側に配置された前方ヒンジのドアDに設けられるもので、図1および図2に示すように本体ケース10に装着されたラッチケース11の内部にラッチ機構Lを備えている。
【0020】
ラッチ機構Lは、図3および図5に示す車両本体Bに設けたストライカSを噛合保持するためのもので、図1および図7に示すように、ラッチ2とラチェット3とを備えている。
【0021】
ラッチ2は、図1に示すように、ラッチケース11に形成したストライカ侵入溝11aよりも上方となる位置に、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸2xを介して回転可能な態様で平板状に設けたものである。ラッチ2とラッチケース11との間には、図には明示していないが、ラッチ軸2xを中心に、図7中、ラッチ2を常時、時計回りに向けて付勢するラッチバネを設けてある。
【0022】
このラッチ2は、上記ラッチバネにより付勢されているが、ラッチケース11に設けた不図示の第1ラッチストッパに当接することにより、その時計回りの回転が規制され、初期位置が設定されている。換言すれば、ラッチ2が第1ラッチストッパに当接した状態が、最も時計回り方向に回転した位置である。また、ラッチ軸2xの近傍には、第2ラッチストッパ25が設けてあり、ラッチバネの付勢力に抗してラッチ2を反時計回りに回転した場合、第2ラッチストッパ25がラッチ2に当接することにより、反時計回り方向の回転が規制される。このようなラッチ2には、噛合溝20、フック部21、および係止部22を設けてある。
【0023】
噛合溝20は、ラッチ2の外周面からラッチ軸2xに向けて形成したもので、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。
【0024】
フック部21は、図7−3に示すように、噛合溝20を下方に向けて開口させた場合に噛合溝20よりも室内側に位置する部分である。このフック部21は、ラッチ2を反時計回りに最も回転させた場合にラッチケース11のストライカ侵入溝11aを横切る位置で停止する一方、図7−1に示すように、ラッチ2を時計回りに最も回転させた場合にストライカ侵入溝11aを開放する位置で停止するように構成してある。
【0025】
係止部22は、図7−3に示すように、噛合溝20を下方に向けて開口させた場合に噛合溝20よりも室外側に位置する部分である。この係止部22は、図7−1に示すように、ラッチ2を時計回りに最も回転させた場合、ストライカ侵入溝11aを横切り、かつこのストライカ侵入溝11aの奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。
【0026】
ラチェット3は、図1に示すように、ラッチケース11のストライカ侵入溝11aよりも下方、かつラッチ軸2xよりも室内側となる位置に、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸3xを介して回転可能な態様で平板状に設けたものである。ラチェット3とラッチケース11との間には、図には明示していないが、図7において、ラチェット軸3xを中心にラチェット3を常時、反時計回りに向けて付勢するラチェットバネを設けてある。このラチェット3は、上記ラチェットバネの付勢力により、ラチェット軸3xを中心に、図7−1において、反時計回りに回転するよう付勢されているが、図7−2および図7−3に示すように、ラッチケース11に設けたラチェットストッパ35に当接することにより、その反時計回りの回転が規制され、初期位置が設定されている。このようなラチェット3には、係合部30および作用部31を設けてある。
【0027】
係合部30は、ラチェット3を初期位置に配置した状態で、ラチェット軸3xから室外側に向けて径外方向に延在する部分であり、ラチェット軸3xを中心として回転することによりその突出端面を介して上述したラッチ2のフック部21および係止部22に係合することが可能である。
【0028】
作用部31は、ラチェット3を初期位置に配置した状態で、ラチェット軸3xから室内側に向けて径外方向に延在する部分である。
【0029】
このラチェット3には、車両前側となる位置にラチェット3とともに一体となってラチェット軸3xの軸心回りに回転する図2に示すラチェットレバー38が、図7び示す連結ピン36を介して設けてある。ラチェットレバー38は、図7に示すラチェット軸3xからラチェット3の作用部31と同一方向に向けて延在し、かつラッチケース11の内部から本体ケース10の内部にまで延在するよう形成した、図2に示す当接部39を有するものである。
【0030】
上記のように構成したラッチ機構Lでは、図5の二点鎖線で示すように、ドアDが車両本体Bに対して開成状態にある場合、図7−1に示すように、ラッチ2がストライカ侵入溝11aを開放する位置に配置されることになる。この状態からドアDを閉位置に向けて移動させた場合には、車両本体Bに設けたストライカSが、ラッチケース11のストライカ侵入溝11aに進入し、やがて、ストライカSがラッチ2の係止部22に当接することになる。この結果、ラッチ2がラッチバネの弾性力に抗して図7−1において反時計回りに回転する。この間、ラチェット3は、ラチェットバネの弾性力によって係合部30の突出端面がラッチ2の外周面に摺接することになり、ラッチ2の外周面形状に応じて適宜ラチェット軸3xの軸心回りに回転する。
【0031】
上述した状態からさらにドアDを閉方向に移動させた場合には、ストライカ侵入溝11aに対するストライカSの進入量が漸次増大し、図7−2に示すように、ラチェット3の係合部30がラッチ2の噛合溝20に至る。その後、図5の実線で示すように、ドアDを閉成移動させた場合には、図7−3に示すように、ラッチ2のフック部21がラチェット3の係合部30に当接することになるため、ラッチバネの弾性復元力に抗してラッチ2の時計回りの回転が阻止されることになる。この状態においては、ラッチ2のフック部21がストライカ侵入溝11aを横切るように配置されるため、フック部21によってストライカSがストライカ侵入溝11aの奥方(室外側)から離脱する方向へ移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアDが車両本体Bに対して閉じた状態に維持される(ラッチ状態)。
【0032】
一方、上述したラッチ状態からラチェットバネの弾性力に抗してラチェットレバー38を回転させることで当接部39を図2の上方に移動させ、図7−3において、ラチェット軸3xを中心にラチェット3を時計回りに回転させると、ラッチ2のフック部21とラチェット3の係合部30との当接係合状態が解除され、ラッチバネの弾性復元力によって、図7−3において、ラッチ2が時計回りに回転する。この結果、図7−1に示すように、ストライカ侵入溝11aが開放され、ストライカSがストライカ侵入溝11aから離脱する方向に移動可能となり、ドアDを車両本体Bに対して開成移動させることができるようになる。
【0033】
また、上記ドアロック装置1には、図2に示すように、本体ケース10の内部にアウトサイドドアハンドル開扉操作伝達機構4、インサイドドアハンドル開扉操作伝達機構5、ロック機構6、チャイルドロック機構7を設けてある。
【0034】
アウトサイドドアハンドル開扉操作伝達機構4は、図1、図3〜図5に示すアウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、その開扉操作を上記ラッチ機構Lに伝達することで、ラッチ機構Lがラッチ状態にある場合でも、これを解除(アンラッチ状態に切り換える)するものであり、図2および図5に示すように、アウトサイドドアハンドル連係部材13、アウトサイドドアハンドルレバー40、およびオープンレバー70で構成してある。
【0035】
アウトサイドドアハンドルOHは、図4に示すように、略上下方向に沿って延在するアウトサイドドアハンドル軸OHXの軸心OHx回りに揺動可能な態様でドアDに設けたもので、アウトサイドドアハンドル操作部OHaと、アウトサイド連結端部OHbとを備えており、アウトサイドドアハンドル操作部OHaがドアDの外表面に現れるようドアDに取り付けてある。
【0036】
アウトサイドドアハンドル操作部OHaは、車両に乗車する者が操作するための把手であり、アウトサイドドアハンドル軸OHXの軸心OHxから径外方向に延在する態様で形成してある。
【0037】
アウトサイド連結端部OHbは、上記アウトサイドドアハンドル連係部材13の一端を連係させる部分であり、アウトサイドドアハンドル軸OHXの軸心OHxから径外方向に延在する態様で形成してある。
【0038】
このようなアウトサイドドアハンドルOHとドアDとの間には、不図示のアウトサイドドアハンドル付勢バネが設けてあり、アウトサイドドアハンドル操作部OHaの延在方向が、ドアDの外表面に沿うよう回転位置(アウトサイドドアハンドルOHの初期位置)が設定されている。
【0039】
アウトサイドドアハンドル連係部材13は、アウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、その開扉操作をアウトサイドドアハンドルレバー40に伝達するものであり、例えばワイヤやリンクで構成してある。このアウトサイドドアハンドル連係部材13は、他方の端部を、後述するアウトサイドドアハンドルレバー40のアウトサイドドアハンドル連係端部42に連係させてある。
【0040】
アウトサイドドアハンドルレバー40は、図8に示すように、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するアウトサイドドアハンドルレバー軸40Xの軸心40xを中心に、揺動可能な態様で本体ケース10に設けたもので、アウトサイドドアハンドルレバー基部41、アウトサイドドアハンドル連係端部42、アウトサイド動作端部43、およびアウトサイド受圧部44を有している。
【0041】
このアウトサイドドアハンドルレバー40と本体ケース10との間には、上記軸心40xを中心に、図8中、アウトサイドドアハンドルレバー40反時計回りに回転するよう付勢するアウトサイドドアハンドルレバーバネが設けてある。また、上記アウトサイドドアハンドルレバーバネの付勢力により付勢したアウトサイドドアハンドルレバー40に突き当たり、アウトサイドドアハンドルレバー40の回転位置(初期位置)を規定する不図示のストッパを設けてある。
【0042】
アウトサイドドアハンドルレバー基部41は、例えば円板状に形成してあり、その中央に、上記アウトサイドドアハンドルレバー軸40Xを貫通させるためのアウトサイドドアハンドルレバー軸孔41aを形成してある。
【0043】
アウトサイドドアハンドル連係端部42は、アウトサイドドアハンドルレバー40を初期位置に配置した状態では、アウトサイドドアハンドルレバー基部41の室外側端部から、室外方向に向けて延在する部分である。このアウトサイドドアハンドル連係端部42には、アウトサイドドアハンドル連係部材13の他方の端部を取り付けてある。
【0044】
アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44は、アウトサイドドアハンドルレバー40を初期位置に配置した状態では、共にアウトサイドドアハンドルレバー基部41の室内側端部から、室内方向に向けて延在する部分であるが、アウトサイド動作端部43は、その後、さらに室内側に向けて延在する部分であり、アウトサイド受圧部44は、その後、下方に向けて延在する部分である。アウトサイド動作端部43は、ラチェットレバー38の当接部39の下方域に配置してある。
【0045】
これらアウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44は、上述した不図示のアウトサイドドアハンドルレバーバネによって、図2に示すように下方に移動した状態に初期位置が設定されている。このアウトサイドドアハンドルレバー40は、アウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、上記軸心40xを中心に回転し、アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44が図2において上方に移動するものである。
【0046】
オープンレバー70は、リンクレバー60に取り付けてあり、そのリンクレバー60はロックレバー50に連係させてある。そこで、ロックレバー50、リンクレバー60、オープンレバー70の順に説明する。
【0047】
ロックレバー50は、図2に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40よりも車両前方となる位置に、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在するロックレバー軸50Xの軸心50x回りに揺動可能な態様で本体ケース10に設けたもので、図10に示すように、ロックレバー基部51と、バネ連係部52と、リンクレバー連係部53と、ウォームホイール連係部54と、サブインサイドドアハンドルレバー連係部55とを備えている。
【0048】
ロックレバー基部51は、円板状に形成してあり、その中央に、ロックレバー軸50Xを貫通させるためのロックレバー軸孔51aを形成してある。
【0049】
バネ連係部52は、ロックレバー軸50Xの軸心50xから径外方向に延在する態様で板状に形成してある。このバネ連係部52の先端には、図9に示すように、室外側の端面から室外側に向けて突出するバネ連係ピン52aを形成してある。このバネ連係部52と本体ケース10との間には、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、図2に示すように、ロックレバー50が最も反時計回りに揺動したアンロック揺動位置と、図21に示すように、ロックレバー50が最も時計回りに揺動したロック揺動位置とのいずれか一方に向けてロックレバー50を付勢するオーバーセンタ付勢バネ50sを設けてある。
【0050】
リンクレバー連係部53は、図2に示すように、オーバーセンタ付勢バネ50sによってロックレバー50をアンロック揺動位置に揺動させた場合、ロックレバー基部51の車両後方側端部から、下方に向けて傾斜する態様で延在するよう形成した部分である。このリンクレバー連係部53の先端には、図9に示すように、室外側の端面から室外側に向けて突出する態様で、リンクレバー連結ピン53aを設けてある。リンクレバー連結ピン53aは、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在した柱状突起である。なお、ウォームホイール連係部54、およびサブインサイドドアハンドルレバー連係部55は後述する。
【0051】
リンクレバー60は、図2および図9に示すように、ロックレバー50とアウトサイドドアハンドルレバー40との間に設けてあり、図11に示すように、リンクレバー基部61を備えている。
【0052】
リンクレバー基部61は、円板状に形成してあり、その中央に、連結具69を取り付けるためのリンクレバー軸孔61aを有している。このリンクレバー軸孔61aに取り付ける連結具69は、図11−4に示すように、円筒状の連結具本体69aと、連結具本体69aの内部に設けた係合溝69bと、連結具本体69aの先端部の周面において外方に突出する態様で形成した連結具係合爪69cとを備えている。
【0053】
この連結具本体69aの基端部をリンクレバー軸孔61aに例えば圧入することによって、連結具69をリンクレバー60に取り付けてある。このような連結具69の係合溝69bに、図9、および図12に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40の先端を挿入することで、連結具69をアウトサイドドアハンドルレバー40に取り付けてある。よって、連結具69を介してアウトサイドドアハンドルレバー40とリンクレバー60とが連係されている。また、連結具本体69aは、車両本体Bの左右幅方向に沿って延在するリンクレバー軸としての機能を有し、この軸心60x回りにリンクレバー60を揺動させることができる。
【0054】
連結具69によって、リンクレバー60とアウトサイドドアハンドルレバー40とを連係させた状態では、リンクレバー60は、上記軸心60x回りに揺動可能である。しかも、アウトサイドドアハンドルレバー軸40Xの軸心40xを中心にアウトサイドドアハンドルレバー40を揺動させた場合、リンクレバー60も上記軸心40xを中心に揺動することとなる。従って、アウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44が図2中上方に移動し、リンクレバー60も上方に移動する一方、アウトサイドドアハンドルOHの開扉操作が除去された場合には、アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44とともに、図2に示すようにリンクレバー60も下方に移動した状態となる。
【0055】
また、このリンクレバー60は、図11に示すように、軸心60xの径外方向に延在するロックレバー連係部62を備えている。このロックレバー連係部62には、連結孔62aを形成してある。この連結孔62aには、図9に示すように、ロックレバー50のリンクレバー連結ピン53aを挿入してある。連結孔62aは、リンクレバー連結ピン53aが上下方向に移動することができるように、軸心60xに径外方向に対して交差する方向に延在する態様(この例では図2に示すように上下方向に延在する態様)で形成してある。すなわち、連結孔62aは、リンクレバー連結ピン53aに対する長孔である。
【0056】
また、ロックレバー連係部62の基端側には、図9、および図12に示すように、後述するオープンレバー70のオープン当接部に当接する当接壁63を設けてある。当接壁63は、ロックレバー連係部62の室内側の表面から室内側に向けて突出するよう構成した壁である。
【0057】
さらに、ロックレバー連係部62の基端側には、後述するオープンプリングの一端を掛止するための掛止ピン64を設けてある。掛止ピン64は、ロックレバー連係部62の室外側の端面から室外側に突出する態様で形成してある。
【0058】
オープンレバー70は、図2,図9、および図13に示すように、円板状に形成したオープンレバー基部71を有している。このオープンレバー基部71には、オープンレバー軸孔71aを形成してある。このオープンレバー軸孔71aに連結具本体69aを取り付けた状態では、連結具69を介してリンクレバー60とアウトサイドドアハンドルレバー40とが連係されている。連結具69がオープンレバー70に取り付けられた状態では、連結具係合爪69cにより、オープンレバー70から連結具69が外れることを防止している。
【0059】
また、リンクレバー60と同様、連結具本体69aは、車両本体Bの左右幅方向に沿って延在するオープンレバー軸としての機能を有し、上記軸心60xに合致する軸心70x回りにオープンレバー70を揺動させることができる。連結具69によって、リンクレバー60とアウトサイドドアハンドルレバー40とを連係させた状態では、オープンレバー70は上記軸心70x回りに揺動可能である。しかも、アウトサイドドアハンドルレバー軸40Xの軸心40xを中心にアウトサイドドアハンドルレバー40が揺動した場合には、オープンレバー70も軸心40xを中心に揺動することとなる。
【0060】
従って、アウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44が図2中上方に移動し、オープンレバー70も上方に移動する一方、アウトサイドドアハンドルOHの開扉操作が除去された場合には、アウトサイド動作端部43およびアウトサイド受圧部44とともに図2に示すように、オープンレバー70も下方に移動した状態となる。換言すれば、アウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合には、オープンレバー70が、上記軸心70xに交差した解除方向である上方に移動する一方、アウトサイドドアハンドルOHの開扉操作が除去された場合には、オープンレバー70も下方に復帰移動した状態となる。
【0061】
このようなオープンレバー70は、図13に示すように、スプリング掛止部72と、ラチェット駆動部73と、リンク当接部74とを備えている。
【0062】
スプリング掛止部72は、オープンレバー基部71の周面から外方に向けて突出する態様で形成した部分であり、かつ図2に示すオープンプリング70sを掛止する部分である。
【0063】
オープンプリング70sは、その一端を、図11に示すリンクレバー60の掛止ピン64に掛け止めてある一方、その他端は、図13に示すように、オープンレバー基部71の外周面から突出させる態様で形成した掛止片75に掛け止めてある。オープンプリング70sは、自身の付勢力により、リンクレバー60の当接壁63に、上記リンク当接部74を当接させることで、オープンレバー70の回転位置(初期位置)を設定するものである。
【0064】
上述したスプリング掛止部72は、オープンレバー70を初期位置に配置した場合、オープンレバー基部71の車両後方側端部から、車両後方側に向けて突出させ、かつその先端部が、室内側に向けて突出するよう屈曲させて形成した部分である。
【0065】
ラチェット駆動部73は、オープンレバー70を初期位置に配置した場合、オープンレバー基部71の上端部から、上方に延在するよう形成してある。このラチェット駆動部73は、その先端部を、室外側に向けて屈曲させてある。オープンレバー70が初期位置に配置された場合、ラチェット駆動部73は、ラチェットレバー38の当接部39の下端面に対して近接対向するよう配置されることとなる。以下、このオープンレバー70の初期位置を解除位置という。
【0066】
リンク当接部74は、オープンレバー基部71とラチェット駆動部73との中間部において、車両前方側の側部から、車両前方に向けて突出させ、その後、室外側に向けて屈曲するよう形成した部分である。このリンク当接部74は、図9に示すように、上記オープンプリング70sの付勢力により、リンクレバー60の当接壁63に当接している。
【0067】
次に、上記のような構成を有するアウトサイドドアハンドル開扉操作伝達機構4の作用を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、車両本体Bの開口をドアDによって閉成しており、ラッチ機構Lがラッチ状態に切り換えてあり、アウトサイドドアハンドルOHが初期位置に配置されており、図2に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40が初期位置に配置されており、ロックレバー50がアンロック揺動位置に配置されており、オープンレバー70が解除位置に配置されているものとして説明する。
【0068】
この状態から、車両に乗車する者がアウトサイドドアハンドルOHを開扉操作した場合には、アウトサイドドアハンドルレバー40が、アウトサイドドアハンドルレバー軸40Xの軸心40xを中心に、図8−1中、反時計回りに回転し、アウトサイド動作端部43が、図2中、上方に移動することとなる。このアウトサイド動作端部43の移動に伴い、リンクレバー60およびオープンレバー70が、図14に示すように上方(解除方向)に移動し、オープンレバー70のラチェット駆動部73が、ラチェットレバー38の当接部39に当接し、これを図14中、上方に移動させることとなる。この結果、ラッチ機構Lがラッチ状態にあった場合にも、これをアンラッチ状態に切り換えることができるため、車両本体Bに対してドアDを開成移動させることができるようになる。
【0069】
なお、リンクレバー60が図14に示すように、上方に移動した場合でも、その移動に伴い、ロックレバー50のリンクレバー連結ピン53aは、リンクレバー60の連結孔62aの内部を移動するのみであり、上述したリンクレバー60の移動に伴ってロックレバー50が、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に回転することはない。
【0070】
その後、車両に乗車するものがアウトサイドドアハンドルOHの開扉操作を除去した場合には、アウトサイドドアハンドル付勢バネの付勢力によりアウトサイドドアハンドルOHが初期位置に復帰し、アウトサイドドアハンドルレバーバネの付勢力により、アウトサイドドアハンドルレバー40が初期位置に復帰し、リンクレバー60およびオープンレバー70が図2に示す下方に移動した状態に復帰することとなる。
【0071】
インサイドドアハンドル開扉操作伝達機構5は、図4、図5、図6に示すインサイドドアハンドルIHが開扉操作された場合には、その開扉操作をラッチ機構Lに伝達することで、ラッチ機構Lがラッチ状態にある場合でも、これを解除(アンラッチ状態に切り換える)するものであり、図2、および図4に示すように、インサイドドアハンドル連係部材14、インサイドドアハンドルレバー190、コネクトレバー100、および上述したオープンレバー70で構成してある。
【0072】
インサイドドアハンドルIHは、図4に示すように、略上下方向に沿って延在するインサイドドアハンドル軸IHXの軸心IHx回りに回転可能となる態様でドアDに設けたもので、インサイドドアハンドル操作部IHaと、ハンドルレバー連係端部IHbとを備えている。なお、この例では、図6に示すように、ドアDの内表面に凹部15を設けてある。より具体的には、ドアDの室内側の表面を構築するドアトリムDTに凹部15を設けてある。この凹部15は、インサイドドアハンドル操作部IHaを挿入することができる大きさであって、ドアDの室内側の表面から室外側に向けて形成してある。
【0073】
インサイドドアハンドル操作部IHaは、車両に乗車している者が操作するための把手であり、インサイドドアハンドル軸IHXの軸心IHxから径外方向に延在する態様で形成してある。
【0074】
ハンドルレバー連係端部IHbは、上記インサイドドアハンドル連係部材14の一端を連係させる部分であり、インサイドドアハンドル軸IHXの軸心IHxから径外方向に延在する態様で形成してある。
【0075】
このようなインサイドドアハンドルIHは、図6中二点鎖線で示すように、インサイドドアハンドル操作部IHaの先端が凹部15の奥方に位置するロック位置から、インサイドドアハンドル操作部IHaの先端が室内側に突出する開扉操作位置まで揺動するようドアDに取り付けてある。
【0076】
インサイドドアハンドル連係部材14は、例えばワイヤやリンクで構成してあり、他方の端部を、後述するメインインサイドドアハンドルレバー80のインサイドドアハンドル連係部82に連係させてある。
【0077】
インサイドドアハンドルレバー190は、メインインサイドドアハンドルレバー(インサイドドアハンドルレバー)80とサブインサイドドアハンドルレバー90とで構成してある。
【0078】
メインインサイドドアハンドルレバー80およびサブインサイドドアハンドルレバー90は、図2に示すように、ロックレバー50の下方となる部位において、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在するインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りに揺動可能な態様で本体ケース10に設けたもので、図15に示すように、インサイドドアハンドルレバー基部81、インサイドドアハンドル連係部82、およびサブレバー連係部83とを有している。
【0079】
インサイドドアハンドルレバー基部81は、円板状に形成してあり、その中央に、インサイドドアハンドルレバー軸80Xを貫通させるためのインサイドドアハンドルレバー軸孔81aを形成してある。
【0080】
インサイドドアハンドル連係部82は、図2に示すように、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xから径外方向に延在する部分である。このインサイドドアハンドル連係部82は、軸心80xから自身の先端部に至る中間部位に、室内側の表面から室内側に向けて折れ曲がる折曲部82aを設けてあり、図16に示すように、本体ケース10に形成した開口10aを通じて、自身の先端側を本体ケース10の外部にまで延在させてある。このようなインサイドドアハンドル連係部82の先端部には、上記インサイドドアハンドル連係部材14の他方の端部を連係させてある。
【0081】
このメインインサイドドアハンドルレバー80は、図20に示すように、インサイドドアハンドル軸IHXの軸心IHxを中心に、インサイドドアハンドル連係部82が最も時計回りに揺動した第3の位置から、図21に示すように、インサイドドアハンドル軸IHXの軸心IHxを中心に、インサイドドアハンドル連係部82が最も反時計回りに揺動した第1の位置まで揺動するよう構成してある。
【0082】
このメインインサイドドアハンドルレバー80は、インサイドドアハンドルIHがロック位置に配置された場合、インサイドドアハンドル連係部82が第1の位置に配置され、かつインサイドドアハンドルIHが開扉操作位置に配置された場合、インサイドドアハンドル連係部82が第3の位置に配置されるようインサイドドアハンドル連係部材14によりインサイドドアハンドルIHに連係させてある。
【0083】
また、メインインサイドドアハンドルレバー80と本体ケース10との間には、アンロック位置設定バネ80sを設けてある。このアンロック位置設定バネ80sは、第1の位置と第3の位置との間に設定した第2の位置と、上記第3の位置との間にインサイドドアハンドル連係部82が配置された場合には、図2−2に示すように、インサイドドアハンドル連係部82が第2の位置に移動するようメインインサイドドアハンドルレバー80を付勢するものである。
【0084】
インサイドドアハンドル連係部82が第2の位置に配置された場合には、インサイドドアハンドルIHが、図6中、実線で示すアンロック位置(インサイドドアハンドル操作部IHaの延在方向が、ドアDの室内側の表面に沿う回転位置)になるようインサイドドアハンドル連係部材14によりインサイドドアハンドルIHに連係させてある。
【0085】
サブレバー連係部83は、図2に示すように、インサイドドアハンドル連係部82を第2の位置に配置した場合、インサイドドアハンドルレバー基部81の車両後方側端部から車両後方に向けて下方に傾斜するように延在させた部分である。このサブレバー連係部83には、後述するチャイルドピン150を挿入するためのピン係合孔83Hを形成してある。
【0086】
ピン係合孔83Hは、図15に示すように、チャイルドピン150が軸心80xの径内外方向にのみ移動することができるよう軸心80xの径内外方向に延在する第1孔83aとチャイルドピン150がインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りにのみ移動することができるようインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りに延在する第2孔83bとを備えている。すなわち、第1孔83aは、軸心80xの径内外方向において、チャイルドピン150に対して長孔であり、かつ第2孔83bは、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回り方向において、チャイルドピン150に対して長孔である。なお、この例では、第1孔83aの内部において、軸心80xに最も近接する内側の端部から、上方に向けてインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りに第2孔83bが延在するようピン係合孔83Hを形成してある。
【0087】
また、メインインサイドドアハンドルレバー80において、第1孔83aの延在方向における軸心90の径外方向の縁には、径外方向に向けて突出する係合壁85を設けてある。
【0088】
サブインサイドドアハンドルレバー90は、後述するようロック操作、アンロック操作がインサイドドアハンドルIHに与えられた場合、それらロック操作、アンロック操作をメインインサイドドアハンドルレバー80から上記ロックレバー50に伝達するものであるとともに、後述するロックアクチュエータ110の駆動によりロック揺動位置またはアンロック揺動位置にロックレバー50が配置される際のロックレバー50の揺動をメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達するものである。
【0089】
サブインサイドドアハンドルレバー90は、上記インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りに揺動可能な態様で本体ケース10に設けたもので、図17に示すように、サブインサイドドアハンドルレバー基部91と、インハンレバー連係部92と、ロックレバー当接部93とを有している。
【0090】
サブインサイドドアハンドルレバー基部91は、円板状に形成してあり、その中央に、インサイドドアハンドルレバー軸80Xを貫通させるためのサブインサイドドアハンドルレバー軸孔91aを形成してある。
【0091】
インハンレバー連係部92は、図2に示すように、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xから径外方向に延在させた部分である。このインハンレバー連係部92には、サブピン係合孔92aを形成してある。
【0092】
サブピン係合孔92aは、上記メインインサイドドアハンドルレバー80の第1孔83aと同一の形状であって、同一の大きさに形成してあり、かつインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xからの距離も第1孔83aと同一となるようインハンレバー連係部92に形成してある。すなわち、サブピン係合孔92aは、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xから径外方向に延在する態様でインハンレバー連係部92に形成してあり、軸心80xの径内外方向において、チャイルドピン150に対して長孔である。
【0093】
メインインサイドドアハンドルレバー80のピン係合孔83Hと、サブインサイドドアハンドルレバー90のサブピン係合孔92aを上述したように形成してあるため、図2に示すように、チャイルドピン150を、第1孔83aの径外方向の端部であって、かつサブピン係合孔92aの径外方向の端部に配置した状態では、チャイルドピン150によってメインインサイドドアハンドルレバー80とサブインサイドドアハンドルレバー90とが連結され、軸心80xを中心にメインインサイドドアハンドルレバー80が揺動した場合には、例えば図20、および図21に示すように、この揺動とともにサブインサイドドアハンドルレバー90も揺動する。一方、チャイルドピン150を、図25に示すように、第1孔83aの径内方向の端部であって、かつサブピン係合孔92aの径内方向の端部に配置した状態では、軸心80xを中心に図25中、メインインサイドドアハンドルレバー80を時計回りに揺動させても、チャイルドピン150が第1孔83aの内部を単に移動するのみで、メインインサイドドアハンドルレバー80の揺動をサブインサイドドアハンドルレバー90に非伝達する(以下、第1孔83aの径内方向の端部であって、かつサブピン係合孔92aの径内方向の端部にチャイルドピン150が配置された場合を「チャイルドピン150の連動位置」といい、第1孔83aの径外方向の端部であって、かつサブピン係合孔92aの径外方向の端部にチャイルドピン150が配置された場合を「チャイルドピン150の非連動位置」という。
【0094】
ロックレバー当接部93は、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xから径外方向に延在し、その後、インサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80x回りに延在する部分である。
【0095】
コネクトレバー100は、図18に示すように、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在するコネクトレバー軸100xの軸心回りに揺動可能な態様で本体ケース10に設けたもので、図19に示すように、コネクトレバー基部101と、コネクト受圧部102と、コネクト押圧部103とを備えている。このコネクトレバー100の初期位置は、図2に示すように、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置されており、かつアウトサイドドアハンドルレバー40が初期位置に配置されている状態において、連動位置に配置されたチャイルドピン150にコネクト受圧部102が当接し、かつアウトサイド受圧部44にコネクト押圧部103が当接することにより設定されている。
【0096】
コネクトレバー基部101は、図19に示すように、円板状に形成してあり、その中央に、コネクトレバー軸100xを貫通させるためのコネクトレバー軸孔101aを形成してある。
【0097】
コネクト受圧部102は、図2に示すように、コネクトレバー100を初期位置に配置した状態において、コネクトレバー基部101の車両前方側端部から、車両前方に向けて上方に傾斜させる態様で延在する部分である。このコネクト受圧部102の上方側の側端部には、メインインサイドドアハンドルレバー80の第1孔83a、およびサブインサイドドアハンドルレバー90のサブピン係合孔92aを貫通したチャイルドピン150が当接している。
【0098】
コネクト押圧部103は、図2に示すように、コネクトレバー100を初期位置に配置した状態において、コネクトレバー基部101の車両後方側端部から、車両後方に向けて延在する部分である。このコネクト押圧部103の先端は、上方に向けて折り曲げてある。このコネクト押圧部103は、アウトサイドドアハンドルレバー40のコネクト受圧部102の下端部に当接する態様で配置してある。
【0099】
次に、上記のような構成を有するインサイドドアハンドル開扉操作伝達機構5の作用を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、車両本体Bの開口をドアDによって閉成しており、ラッチ機構Lがラッチ状態に切り換えてあり、図6中、実線で示すように、インサイドドアハンドルIHがアンロック位置に配置されており、図2に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40、ロックレバー50、およびコネクトレバー100が初期位置に配置されており、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置されており、オープンレバー70が解除位置に配置されており、チャイルドピン150が連動位置に配置されているものとして説明する。
【0100】
この状態から、車両に乗車している者が、軸心IHxを中心に、図6中の二点差線で示すようにインサイドドアハンドル操作部IHaを反時計回りに回転(すなわち、先端が室内側に突出するようインサイドドアハンドル操作部IHaを回転)し、インサイドドアハンドル操作部IHaが開扉位置に配置されるようインサイドドアハンドルIHを開扉操作した場合には、その者による開扉操作がインサイドドアハンドル連係部材14を介してメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達され、アンロック位置設定バネ80sの付勢力に抗してメインインサイドドアハンドルレバー80が、軸心80xを中心に、図20中、時計回りに揺動してインサイドドアハンドル連係部82が第3の位置に配置されることとなる。
【0101】
上述したメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動はチャイルドピン150によってコネクトレバー100に伝達され、コネクトレバー100は、コネクトレバー軸100xを中心に、図20に示すように、反時計回りに回転することとなる。
【0102】
このコネクトレバー100の回転に応じて、アウトサイドドアハンドルレバー40のアウトサイド動作端部43が、図20中、上方に移動することとなる。このアウトサイド動作端部43の移動に伴い、リンクレバー60およびオープンレバー70が、図20に示すように、上方(解除方向)に移動し、オープンレバー70のラチェット駆動部73が、ラチェットレバー38の当接部39に当接し、これを図20中、上方に移動させることとなる。この結果、ラッチ機構Lがラッチ状態にあった場合にも、これをアンラッチ状態に切り換えることができるため、車両本体Bに対してドアDを開成移動させることができるようになる。
【0103】
なお、リンクレバー60が図20に示すように、上方に移動した場合でも、その移動に伴い、ロックレバー50のリンクレバー連結ピン53aは、リンクレバー60の連結孔62aの内部を移動するのみであり、上述したリンクレバー60の移動に伴ってロックレバー50が、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に回転することはない。
【0104】
その後、車両に乗車するものがインサイドドアハンドルIHの開扉操作を除去した場合には、アンロック位置設定バネ80sの付勢力によりメインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置され、かつインサイドドアハンドルIHがアンロック位置に配置され、コネクトレバー100が初期位置に復帰し、アウトサイドドアハンドルレバーバネの付勢力により、アウトサイドドアハンドルレバー40が初期位置に復帰することとなる。
【0105】
ロック機構6は、メインインサイドドアハンドルレバー80からラッチ機構Lに至るまでの間に介在し、アンロック状態においてインサイドドアハンドルIHが開扉操作された場合にこれをラッチ機構Lに伝達することによりラッチ状態を解除してドアDの開方向への移動を許容する一方、ロック状態においてインサイドドアハンドルIHが開扉操作された場合にもラッチ機構のラッチ状態を維持するものであるとともに、アンロック状態においてアウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合にこれをラッチ機構Lに伝達することによりラッチ状態を解除してドアDの開方向への移動を許容する一方、ロック状態においてアウトサイドドアハンドルOHが開扉操作された場合にもラッチ機構のラッチ状態を維持するものである。このようなロック機構6は、図2に示すように、ロックアクチュエータ110、ウォームホイール120、および上述したロックレバー50、リンクレバー60で構成してある。
【0106】
ウォームホイール120は、上記ロックレバー軸50Xの車両前方となる位置において、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在するウォームホイール軸120xを中心に、回転可能な態様で本体ケース10に設けたもので、電動モータ(ロックアクチュエータ)110の出力軸111に固着したウォームギア112に歯合するよう配置してある。このウォームホイール120には、ウォームホイール軸120xに対して同一軸心上となる態様で間欠ギアホイール121が固着してある。間欠ギアホイール121は、後述するロックレバー50の間欠ドリブンギアに対して一方向のみの間欠動力伝達手段を構成するものである。このウォームホイール120と本体ケース10との間には、図18に示すように、ウォームホイール120を所定の回転位置(初期位置)に維持するためのウォームホイール初期状態維持バネ120sを設けてある。
【0107】
次に、上述したロックレバー50において、図10に示すウォームホイール連係部54、およびサブインサイドドアハンドルレバー連係部55を説明する。
【0108】
ウォームホイール連係部54は、図2に示すように、オーバーセンタ付勢バネ50sによってロックレバー50をアンロック揺動位置に揺動させた場合、ロックレバー基部51の車両前方側端部から、車両前方に向けて下方に傾斜する態様で延在するよう形成した部分である。このウォームホイール連係部54は、ロックレバー軸50Xの軸心50xから離隔するに従って先端側が徐々に開径するよう扇形状に構成してある。
【0109】
このウォームホイール連係部54の先端側において、ロックレバー軸50Xに対する周面には、上記間欠ギアホイール121に歯合する間欠ドリブンギア54aを設けてある。 図には明示していないが、これらロックレバー50の間欠ドリブンギア54aとウォームホイール120の間欠ギアホイール121との間に間欠動力伝達手段を設けてある。この間欠動力伝達手段は、ウォームホイール軸120xを中心に、ウォームホイール120を任意の一方方向に回転させることによって、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、ロックレバー50を任意の方向に揺動させることができる一方、ロックレバー50を任意の方向に揺動させる場合には、間欠ドリブンギア54aと間欠ギアホイール121との間においてロックレバー50の揺動力をウォームホイール120に伝達することを遮断し、ウォームホイール120を回転させることなくロックレバー50を任意の方向に揺動させることができるように構成してある。
【0110】
サブインサイドドアハンドルレバー連係部55は、オーバーセンタ付勢バネ50sによってロックレバー50をアンロック揺動位置に揺動させた場合、ロックレバー基部51の下方側端部から、車両後方に向けて下方に向けて延在するよう形成した部分である。
【0111】
このサブインサイドドアハンドルレバー連係部55は、ロックレバー軸50Xの軸心50xから離隔するに従って先端側が徐々に開径するよう扇形状に構成してある。このサブインサイドドアハンドルレバー連係部55の先端側において、ロックレバー軸50Xに対する周面には、上記メインインサイドドアハンドルレバー80のロックレバー当接部93を嵌入させるレバー嵌入溝55Hを形成してある。このレバー嵌入溝55Hは、サブインサイドドアハンドルレバー連係部55の周面からロックレバー軸50Xの軸心50xに向けて形成してあり、図10−1中、上方に位置する第1当接壁55aと、下方に位置する第2当接壁55bと、第1当接壁55aの径内方向の端部と第2当接壁55bの径内方向の端部とを連結する連結壁55cとで構成してある。
【0112】
第1当接壁55aは、自身の表面と、軸心50xを通過する面とが成す角が一様である。一方、第2当接壁55bは、奥側の表面55b1と、軸心50xを通過する面とが成す角、および手前側の表面55b2と、軸心50xを通過する面とが成す角が異なるよう構成してある。具体的には、奥側の表面50b1と、軸心50xを通過する面とが成す角が比較的小さく設定してある一方、手前側の表面50b1と、軸心50xを通過する面とが成す角が比較的大きく設定してある。
【0113】
このようなロックレバー50は、図2に示すように、上記リンクレバー連結ピン53aが、リンクレバー60の連結孔62aの上部側に位置し、上記間欠ドリブンギア54aが、ウォームホイール120の間欠ギアホイール121に歯合し、かつサブインサイドドアハンドルレバー90のロックレバー当接部93が上記第1当接壁55aにのみ当接するようアンロック揺動位置を設定してある。
【0114】
また、図10に示すように、ウォームホイール連係部54の上端部にはセンサ押圧部50bを設けてあり、本体ケース10の内部には、このセンサ押圧部50bに当接することが可能であって、ロック機構6がロック状態にあるか否かを検出するロック状態検出センサSaを設けてある。
【0115】
このセンサ押圧部50bは、後述するように、ロック機構6をロック状態に切り換えた場合には、ロック状態検出センサSaの検出子Sa1に当接する一方、ロック機構6をアンロック状態に変位させた場合には、上記検出子Sa1に当接する部分から外れた部位に配置されるよう構成してある。
【0116】
次に、上記のような構成を有するロック機構6の動作を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、車両本体Bの開口をドアDによって閉成しており、ラッチ機構Lがラッチ状態に切り換えてあり、図6中、実線で示すように、インサイドドアハンドルIHがアンロック位置に配置されており、図2に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40、ロックレバー50、オープンレバー70、およびコネクトレバー100が初期位置に配置されており、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置されており、オープンレバー70が解除位置に配置されており、チャイルドピン150が連動位置に配置されているものとして説明する。
【0117】
この状態から、車両に乗車している者が、軸心IHxを中心に、図6中の二点鎖線で示すように、インサイドドアハンドル操作部IHaを時計回りに回転(すなわち、先端が凹部15に引っ込むようインサイドドアハンドル操作部IHaを回転)させ、インサイドドアハンドル操作部IHaがロック位置に配置されるようインサイドドアハンドルIHをロック操作した場合には、その者によるロック操作が、インサイドドアハンドル連係部材14を介してメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達され、図21に示すように、メインインサイドドアハンドルレバー80が、軸心80xを中心に反時計回りに揺動し、第1の位置に配置されることとなる。
【0118】
上述したメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動はチャイルドピン150によってサブインサイドドアハンドルレバー90に伝達され、メインインサイドドアハンドルレバー80の揺動とともに、サブインサイドドアハンドルレバー90も、軸心80xを中心に、反時計回りに揺動する。
【0119】
上述したサブインサイドドアハンドルレバー90の揺動により、サブインサイドドアハンドルレバー90のロックレバー当接部93が、ロックレバー50の第1当接壁55aに当接し、当該当接によりロックレバー50が、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力に抗して、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、時計回りに回転することとなる。なお、このロックレバー50の回転のとき、上記間欠動力伝達手段により、ロックレバー50の揺動力がウォームホイール120に伝達されることがない。
【0120】
ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、ロックレバー50が時計回りに回転した場合、リンクレバー60は、軸心60xを中心として、反時計回りに揺動するとともに、オープンレバー70は、軸心70xを中心に反時計回りに揺動することとなる。この揺動により、オープンレバー70のラチェット駆動部73がラチェットレバー38の当接部39の下端面に対して近接対向する部分から外れるよう配置(非解除位置に配置)されることとなり、ロック機構6がロック状態に切り換わる。
【0121】
なお、上述にはインサイドドアハンドルIHの操作により、ロック機構6をロック状態に切り換えるもので説明した。しかし、アンロック状態のロック機構6は、後述するように運転席に設けたロックキーを操作することで、制御ユニット200からロックアクチュエータ110にロック指令を与えても、同様にロック状態に切り換えることができる。
【0122】
また、このようにロックアクチュエータ110によりロック機構6をロック状態に切り換えても、ロックレバー50の揺動がサブインサイドドアハンドルレバー90によりメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達されるため、インサイドドアハンドル操作部IHaの先端が凹部15に引っ込み、インサイドドアハンドル操作部がロック位置に配置される。よって、例えば車両の室内にいる者は、インサイドドアハンドル操作部IHaの位置を見れば、ロック機構6がロック状態にあることが判る。
【0123】
上述したようにロック機構6がロック状態に切り換えられた状態において、車両の室外におり、これから車両に乗車する者がアウトサイドドアハンドルOHを開扉操作した場合には、オープンレバー70が、アウトサイドドアハンドルレバー軸40Xの軸心40xを中心に、図8−1中、反時計回りに回転し、アウトサイド動作端部43が、図22に示すように、上方(解除方向)に移動することとなる。このアウトサイド動作端部43の移動に伴い、リンクレバー60およびオープンレバー70が、車両前方側に傾斜するよう上方に移動するが、オープンレバー70のラチェット3駆動部が、ラチェットレバー38の当接部39に当接することがない。この結果、ラッチ状態にあるラッチ機構Lをアンラッチ状態に切り換えることができないため、車両本体Bに対してドアDを開成移動させることができない。
【0124】
また、図21に示すように、ロック機構6がロック状態に切り換えられた状態において、車両に乗車している者が、軸心IHxを中心に、インサイドドアハンドル操作部IHaを反時計回りに回転させ、インサイドドアハンドル操作部IHaが図6中実線で示すアンロック位置に配置されるようインサイドドアハンドルIHをアンロック操作した場合には、その者によるアンロック操作が、インサイドドアハンドル連係部材14を介してメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達され、図23に示すように、メインインサイドドアハンドルレバー80が、軸心80xを中心に、時計回りに揺動し、第2の位置に配置されることとなる。
【0125】
上述したメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動はチャイルドピン150によってサブインサイドドアハンドルレバー90に伝達され、メインインサイドドアハンドルレバー80の揺動とともに、サブインサイドドアハンドルレバー90も、軸心80xを中心に、時計回りに揺動する。
【0126】
サブインサイドドアハンドルレバー90の揺動により、サブインサイドドアハンドルレバー90のロックレバー当接部93が、ロックレバー50の第2当接壁55bの奥側の表面55b1のみに当接し、当該当接によりロックレバー50が、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力に抗して、軸心50xを中心に、反時計回りに回転することとなる。なお、このロックレバー50の回転のとき、上記間欠動力伝達手段により、ロックレバー50の揺動力がウォームホイール120に伝達されることがない。
【0127】
軸心50xを中心に、ロックレバー50が反時計回りに回転した場合、リンクレバー60は、リンクレバー軸60xを中心に、時計回りに揺動するとともに、オープンレバー70は、オープンレバー軸70を中心に、時計回りに揺動することとなる。オープンレバー70がそのように揺動した場合には、オープンレバー70のラチェット駆動部73がラチェットレバー38の当接部39の下端面に対して近接対向するよう配置され、オープンレバー70が解除位置に復帰することとなる(アンロック状態)。
【0128】
このようにロック機構6をアンロック状態に切り換えた場合には、オープンレバー70が解除位置に配置される一方、ロック機構6をロック状態に切り換えた場合には、オープンレバー70が、非解除位置に配置されることとなる。
【0129】
なお、上述には、インサイドドアハンドルIHの操作により、ロック機構6をアンロック状態に切り換えるもので説明した。しかし、ロック状態のロック機構6は、後述するように、例えば運転席に設けたアンロックキーを操作することで、制御ユニット200からロックアクチュエータ110にアンロック指令を与えても、同様にアンロック状態に切り換えることができる。
【0130】
また、このようにロックアクチュエータ110によりロック機構6をアンロック状態に切り換えても、ロックレバー50の揺動がサブインサイドドアハンドルレバー90によりメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達されるため、インサイドドアハンドル操作部IHaがアンロック位置に配置される。よって、例えば車両の室内にいる者は、インサイドドアハンドル操作部IHaの位置を見れば、ロック機構6がアンロック状態にあることが判る。
【0131】
なお、上述したようにロック機構6をアンロック状態に切り換えた後、インサイドドアハンドルIHで開扉操作を行った場合には、図20に示すように、サブインサイドドアハンドルレバー90のロックレバー当接部93は、ロックレバー50の第2当接壁55bの手前側の表面55b2に当接することがない。上記当接を回避するよう、第2当接壁55bの手前側の表面50b1と、軸心50xを通過する面とが成す角を比較的大きく設定してあるためである。
【0132】
なお、メインインサイドドアハンドルレバー80と、サブインサイドドアハンドルレバー90と、ロックレバー50と、リンクレバー60とで、ロック操作伝達機構6aを構成している。このロック操作伝達機構6aは、インサイドドアハンドルIHがアンロック操作された場合、このアンロック操作をオープンレバー70に伝達することでオープンレバー70を解除位置に配置する一方、インサイドドアハンドルIHがロック操作された場合、このロック操作をオープンレバー70に伝達することでオープンレバー70を非解除位置に配置するものである。
【0133】
チャイルドロック機構7は、図2に示すように、インサイドドアハンドル開扉操作伝達機構5の途中であって、かつロック操作伝達機構6aの途中に、伝達状態と非伝達状態とに切り換え可能に構成してある。具体的には、チャイルドロック機構7は、インサイドドアハンドル開扉操作伝達機構5において、メインインサイドドアハンドルレバー80とサブインサイドドアハンドルレバー90との間に介在させてあり、かつロック操作伝達機構6aにおいて、メインインサイドドアハンドルレバー80とサブインサイドドアハンドルレバー90との間に介在させてある。換言すれば、チャイルドロック機構7は、メインインサイドドアハンドル80からオープンレバー70およびロック機構6に至る間に介在させてある。このチャイルドロック機構7は、チャイルドピン150と、チャイルドレバー140(切換操作レバー)とで構成してある。
【0134】
チャイルドレバー140は、メインインサイドドアハンドルレバー80のインサイドドアハンドルレバー軸80Xの軸心80xよりも下方となる位置に、車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在するチャイルドレバー軸140Xの軸心140xを中心に、回転可能な態様で本体ケース10に設けたもので、図24に示すように、チャイルドレバー基部141と、ピン係合部142と、パワーチャイルド連係部143と、手動操作レバー保持部144とを備えている。
【0135】
チャイルドレバー基部141は、円板状に形成してあり、その中央に、チャイルドレバー軸140Xを貫通させるためのチャイルドレバー軸孔141aを形成してある。
【0136】
ピン係合部142は、チャイルドレバー軸140Xの軸心140xから径外方向に延在する態様で形成してある。このピン係合部142の先端には、上記チャイルドピン150を挿通させるためのピン係合孔142aを形成してある。ピン係合孔142aは、上記チャイルドピン150がチャイルドレバー軸140Xの軸心140xの径内外方向にのみ移動することができるよう軸心140xから径外方向に沿って延在するよう形成してある。このチャイルドレバー140は、例えば図2に示すように、チャイルドピン150を連動位置に配置された状態を初期位置に設定してある。
【0137】
なお、上述したようにチャイルドレバー140を初期位置に配置した状態では、ピン係合部142は、チャイルドレバー基部141の車両前方側端部から車両後方に向け、上方に傾斜するよう延在する部分である。
【0138】
パワーチャイルド連係部143は、図2に示すように、チャイルドレバー140を初期位置に配置した状態では、チャイルドレバー基部141の車両前方側端部から車両前方に向け、下方に傾斜するよう延在する部分である。このパワーチャイルド連係部143の先端には、第2ピン係合孔143aを形成してある。
【0139】
第2ピン係合孔143aには、パワーチャイルドピン133を挿通させてある。パワーチャイルドピン133は、図2、および図12に示すように、チャイルドアクチュエータ130の出力軸131の軸心131xから、径外方向に延在する柱状突起である。
【0140】
このパワーチャイルドピン133は、チャイルドアクチュエータ130の出力軸131に固着したウォームギア132が回転した場合、ウォームギア132の延在方向に沿って移動可能に構成してある。
【0141】
手動操作レバー保持部144は、図2に示すように、チャイルドレバー140を初期位置に配置した状態では、チャイルドレバー基部141の車両後方側端部から車両後方に向け、上方に傾斜するよう延在する部分である。この手動操作レバー保持部144の先端には、室内側に位置する端面から車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在する柱状体の手動操作部144aを設けてある。この手動操作部144aの先端部は、図2−1に示す本体ケース10に設けた操作孔17を通じて本体ケース10の外部にまで突出し、かつ図12に示すように、ドアDのドアトリムDTに設けた操作開口DTaを通じて車両の室内側まで突出している。
【0142】
この手動操作部144aは、チャイルドレバー軸140Xの軸心140x回りに揺動操作することで、チャイルドレバー140を、軸心140x回りに揺動させることができる。この例では、図5に示すように、ドアDの内表面であって、しかもドアDを閉位置に配置した場合には塞がれる位置に手動操作部144aを設けてある。
【0143】
また、操作孔17は、図2に示すように、本体ケース10に設けた円弧状の開口であり、チャイルドレバー140における手動操作部144aの位置を規定するものである。図2に示すように、本体ケース10の操作孔17において下方となる位置が、手動操作部144aのチャイルドアンロック位置である。この図2に示す状態から、軸心140xを中心に、図2中、手動操作部144aを反時計回りに回転し、手動操作部144aを上方に移動させた位置がチャイルドロック位置である。
【0144】
また、図24に示すように、軸心140xから手動操作レバー保持部144の先端部に至る中間部位には、コネクトレバー軸100xを貫通させるための貫通孔144bを形成してあり、かつ係合壁145を設けてある。
【0145】
この係合壁145は、軸心140xの径外方向に位置する部位が、室内側に向けて突出する態様で形成してある。また、この係合壁145は、径内方向に向けて突出する態様で形成してある。
【0146】
図26に示すように、係合壁145と、メインインサイドドアハンドルレバー80の係合壁85とで、係合手段180を構成している。この係合手段180は、後述するように、チャイルドロック機構7を非伝達状態に切り換えた状態で、メインインサイドドアハンドルレバー80を第1の位置もしくは第2の位置に配置した状態を維持するものである。 チャイルドピン150は、図18に示すように、チャイルドレバー140に装着してある。このチャイルドピン150は、ベース部151と、装着部152と、伝達部153とを有している。
【0147】
ベース部151は、チャイルドレバー140とサブインサイドドアハンドルレバー90との間に位置する部位である。
【0148】
装着部152は、ベース部151の室外側に位置する端面から車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在した柱状突起である。
【0149】
チャイルドピン150は、装着部152の先端をピン係合孔142aに挿入し、かつベース部151をチャイルドレバー140とサブインサイドドアハンドルレバー90と挟持することにより、ピン係合孔の延在方向に沿って移動可能に構成してある。
【0150】
伝達部153は、ベース部151の室内側に位置する端面から車両本体Bの左右幅方向に沿って略水平に延在した柱状突起である。
【0151】
この伝達部153は、サブインサイドドアハンドルレバー90のサブピン係合孔92aを貫通し、その突出端部がメインインサイドドアハンドルレバー80のサブレバー連係部83の室内側の端面を超える位置に達している。
【0152】
ところで、図2に示すように、ロック機構6がアンロック状態に切り換えられ、チャイルドピン150が連動位置に配置された状態(チャイルドアンロック状態)では、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力により、ロックレバー50はアンロック揺動位置に向けて付勢されることとなる。このロックレバー50に加えられる付勢力は、サブインサイドドアハンドルレバー90を通じてメインインサイドドアハンドルレバー80に加えられることとなる。よって、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置された状態が維持される。
【0153】
また、図21に示すように、ロック機構6がロック状態に切り換えられ、チャイルドピン150が連動位置に配置された状態(チャイルドアンロック状態)では、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力により、ロックレバー50はロック揺動位置に向けて付勢されることとなる。このロックレバー50に加えられる付勢力は、サブインサイドドアハンドルレバー90を通じてメインインサイドドアハンドルレバー80に加えられることとなる。よって、メインインサイドドアハンドルレバー80が第1の位置に配置された状態が維持される。
【0154】
次に、上記のような構成を有するチャイルドロック機構7の作用を説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、車両本体Bの開口をドアDによって閉成しており、ラッチ機構Lがラッチ状態に切り換えてあり、図6中、実線で示すようにインサイドドアハンドルIHがアンロック位置に配置されており、図2に示すように、アウトサイドドアハンドルレバー40、ロックレバー50、オープンレバー70、およびコネクトレバー100、チャイルドレバー140が初期位置に配置してあり、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置されており、チャイルドピン150が連動位置に配置された状態にあるものとして説明する。
【0155】
図2に示す状態から、後述する制御ユニット200よりチャイルドアクチュエータ130に非伝達指令が与えられた場合には、チャイルドアクチュエータ130が駆動し、その駆動により、チャイルドレバー軸140Xを中心に、図2中、チャイルドレバー140が反時計回りに揺動することとなる。
【0156】
チャイルドレバー軸140Xを中心に、図2中、チャイルドレバー140を反時計回りに回転させた場合、図25に示すように、連動位置に占位していたチャイルドピン150が非連動位置に配置されることとなる(チャイルドロック状態)。
【0157】
なお、ドアDを開成した状態において、手動操作部144aにより、チャイルドレバー軸140Xを中心に、図2中、チャイルドレバー140を反時計回りに回転させても、同様に、チャイルドピン150を非連動位置に配置させることができる。
【0158】
図25に示すように、チャイルドピン150が非連動位置に配置された状態では、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力を、サブインサイドドアハンドルレバー90を通じてメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達することができない。よって、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力によって、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置された状態を維持することはできない。
【0159】
しかし、図25に示すチャイルドロック状態では、チャイルドレバー140の係合壁145と、メインインサイドドアハンドルレバー80の係合壁85とが当接することにより、メインインサイドドアハンドルレバー80が第2の位置に配置された状態を維持することができる。
【0160】
この状態において、インサイドドアハンドルIHを開扉操作位置に配置した場合、その開扉操作に応じてメインインサイドドアハンドルレバー80が図25に示す第2の位置から第3の位置に配置されることとなるが、チャイルドピン150が非連動位置に占位しているため、メインインサイドドアハンドルレバー80の揺動とともにサブインサイドドアハンドルレバー90が揺動することがない。この結果、コネクトレバー100、アウトサイドドアハンドルレバー40、ラチェットレバー38も揺動することがなく、ラッチ状態にあるラッチ機構Lをアンラッチ状態に切り換えることができず、車両本体Bに対してドアDを開成移動させることができない。
【0161】
また、図25に示す状態において、インサイドドアハンドルIHにロック操作を行った場合、そのロック操作に応じて、メインインサイドドアハンドルレバー80は、第2の位置から第1の位置に配置されることとなる。
【0162】
このようなメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動の際、チャイルドピン150が、サブインサイドドアハンドルレバー90のサブピン係合孔92aの上方側の端部に突き当たるため、サブインサイドドアハンドルレバー90もメインインサイドドアハンドルレバー80とともに揺動する。
【0163】
上述したサブインサイドドアハンドルレバー90の揺動により、サブインサイドドアハンドルレバー90のロックレバー当接部93が、ロックレバー50の第1当接壁55aに当接し、当該当接によりロックレバー50が、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力に抗して、ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、時計回りに回転することとなる。 ロックレバー軸50Xの軸心50xを中心に、ロックレバー50が時計回りに回転した場合、リンクレバー60は、軸心60xを中心として、反時計回りに揺動するとともに、オープンレバー70は、軸心70xを中心に反時計回りに揺動することとなる。この揺動により、オープンレバー70のラチェット駆動部73がラチェットレバー38の当接部39の下端面に対して近接対向する部分から外れるよう配置(非解除位置に配置)されることとなり、ロック機構6がロック状態に切り換わる。
【0164】
図26に示すチャイルドピン150が非連動位置に配置された状態では、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力を、サブインサイドドアハンドルレバー90を通じてメインインサイドドアハンドルレバー80に伝達することができない。よって、オーバーセンタ付勢バネ50sの付勢力によって、メインインサイドドアハンドルレバー80が第1の位置に配置された状態を維持することはできない。
【0165】
しかし、図26に示すチャイルドロック状態では、チャイルドレバー140の係合壁145と、メインインサイドドアハンドルレバー80の係合壁85とが当接することにより、メインインサイドドアハンドルレバー80が第1の位置に配置された状態を維持することができる。
【0166】
この状態の後、インサイドドアハンドルIHにアンロック操作を行った場合、このアンロック操作に応じて、メインインサイドドアハンドルレバー80は、第1の位置から第2の位置に配置されることとなる。
【0167】
このようなメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動の際、チャイルドピン150は、メインインサイドドアハンドルレバー80のピン係合孔83Hの内部を移動するだけであり、メインインサイドドアハンドルレバー80とともに、サブインサイドドアハンドルレバー90も揺動することがない。
【0168】
この結果、ロックレバー50、リンクレバー60が揺動することがなくオープンレバー70が非解除位置に維持されることとなる。
【0169】
この状態の後、インサイドドアハンドルIHに開扉操作を行った場合、この開扉操作に応じて、メインインサイドドアハンドルレバー80は、第2の位置から第3の位置に配置されることとなる。
【0170】
このようなメインインサイドドアハンドルレバー80の揺動の際、チャイルドピン150は、メインインサイドドアハンドルレバー80のピン係合孔83Hの内部を移動するだけであり、メインインサイドドアハンドルレバー80とともに、サブインサイドドアハンドルレバー90も揺動することがない。
【0171】
この結果、コネクトレバー100が揺動することがなくオープンレバー70が解除方向に移動することもない。
【0172】
また、図25に示すように、チャイルドピン150が非連動位置に配置された状態において、制御ユニット200からチャイルドアクチュエータ130に伝達指令が与えられた場合には、チャイルドアクチュエータ130が駆動し、その駆動により、チャイルドレバー軸140Xを中心に、図25中、チャイルドレバー140が時計回りに揺動することとなる。
【0173】
チャイルドレバー軸140Xを中心に、図25中、チャイルドレバー140を時計回りに回転すると、図2に示すように、非連動位置に占位していたチャイルドピン150が連動位置に配置されることとなる(チャイルドアンロック状態)。
【0174】
なお、ドアDを開成した状態において、車両に乗車している者が手動操作部144aを操作することにより、チャイルドレバー軸140Xを中心に、図25中、チャイルドレバー140を時計回りに回転させても、同様に、チャイルドピン150を連動位置に配置させることができる。
【0175】
図27は、本発明の実施の形態におけるドアロック装置1の制御系を示すブロック図である。上述したドアロック装置1を適用する車両は、車速検知センサS1、ギアポジション検知センサS2、フットブレーキ検知センサS3、ロックスイッチSW1、アンロックスイッチSW2を備えているとともに、ドアロック装置1を制御するための制御ユニット(制御手段)200を備えている。
【0176】
車速検知センサ(車速検知手段)S1は、車速検知指令が制御ユニット200から与えられた場合には、その車速検知指令に応じて車両の速度を検知し、検知した車速を車速検知信号として制御ユニット200に与えるものである。
【0177】
ギアポジション検知センサ(ギアポジション検知手段)S2は、ギアポジション検知指令が制御ユニット200から与えられた場合には、そのギアポジション検知指令に応じて車両のギアポジションを検知し、検知したギアポジションに応じたポジション検知信号を制御ユニット200に与えるものである。例えばギアがパーキングポジションにある場合には、その旨をパーキングポジション検知信号として制御ユニット200に与えるものである。
【0178】
フットブレーキ検知センサS3(フットブレーキ検知手段)は、フットブレーキ検知指令が制御ユニット200から与えられた場合には、そのフットブレーキ検知指令に応じて車両のフットブレーキが作動しているか作動していないかを検知し、検知したフットブレーキの作動状態をフットブレーキ検知信号として制御ユニット200に与えるものである。例えばフットブレーキが作動していない場合には、その旨をフットブレーキオフ信号として制御ユニット200に与えるものである。
【0179】
ロックスイッチSW1は、例えば車両に内蔵されており、運転席に設けた不図示のロックキーが操作された場合には、ロック命令を制御ユニット200に与えるものである。
なお、このロックスイッチSW1は、車両から降りた運転手が運転席のドアDを閉成し、当該ドアDのキーシリンダーにキーを挿入して施錠操作を行った場合、制御ユニット200にロック命令を与えるものでもある。
【0180】
アンロックスイッチSW2は、例えば車両に内蔵されており、運転席に設けたアンロックキーが操作された場合には、アンロック命令を制御ユニット200に与えるものである。なお、このアンロックスイッチSW2は、車外の運転手が運転席のドアDのキーシリンダーにキーを挿入して解錠操作を行った場合、制御ユニット200にアンロック命令を与えるものでもある。
【0181】
制御ユニット200は、メモリ210に記憶されたプログラムやデータに基づき動作するものであり、ドアロック装置1を統括的に制御するものである。この制御ユニット200は、入力処理部201と、走行状態判断処理部202と、ロックアクチュエータ駆動処理部203と、チャイルドアクチュエータ駆動処理部204とを備えて構成してある。また、上記メモリ210は、予め設定された車両の基準車速(例えば3km/hour)等、必要なデータが格納されているものである。
【0182】
入力処理部201は、各検知センサS1〜S3、および各スイッチSW1〜SW2から与えられる信号や命令を入力処理するものである。
【0183】
走行状態判断処理部202は、当該車両の走行状態を判断するものである。より詳細に説明すると、走行状態判断処理部202は、入力処理部201を通じて入力処理された車速検知信号に含まれる車速が予め設定された基準車速(閾値)以上である場合には、車両が走行状態であると判断するものである。その一方、車速が基準車速未満である場合には、当該車両は停止状態であると判断するものである。
【0184】
ロックアクチュエータ駆動処理部203は、ロックアクチュエータ110の駆動処理を行うものである。より詳細に説明すると、ロックアクチュエータ駆動処理部203は、入力処理部201を通じてロックスイッチSW1からロック命令が与えられた場合には、ロックアクチュエータ110にロック指令を送信する一方、入力処理部201を通じてアンロックスイッチSW2からアンロック命令が与えられた場合には、ロックアクチュエータ110にアンロック指令を送信するものである。
【0185】
チャイルドアクチュエータ駆動処理部204は、チャイルドアクチュエータ130の駆動処理を行うものである。より詳細に説明すると、チャイルドアクチュエータ駆動処理部204は、チャイルドアクチュエータ130に非伝達指令および伝達指令を送信するものである。
【0186】
上記のようにロック機構6およびチャイルドロック機構7を備えたドアロック装置1では、ロックキーおよびアンロックキーを操作することでロックアクチュエータ110を駆動すれば、ロック機構6をロック状態とアンロック状態とに切り換えることができる。
【0187】
また、ドアDを開成した状態において、手動操作部144aを、図26に示すチャイルドロック位置から図25に示すチャイルドアンロック位置に移動させれば、チャイルドロック機構7を非伝達状態から伝達状態に切り換えることができ、かつ、図25に示すチャイルドアンロック位置から図26に示すチャイルドロック位置に移動させれば、チャイルドロック機構7を非伝達状態に切り換えることができる。
【0188】
よって、車両から人が離れる前には、ロックキーを操作することによりロック機構6をロック状態に切り換え、かつ手動操作部144aによりチャイルドロック機構7を非伝達状態に切り換えておけば、ドアDのウィンドウガラスを破られたとしても、インサイドドアハンドルIHのアンロック操作によりロック状態にあるロック機構6をアンロック状態に切り換えることもできず、かつインサイドドアハンドルIHを開扉操作してもラッチ機構Lがラッチ状態を維持するため、ドアDを開くことができない。しかも、ドアDを閉位置に配置した場合に操作不能となる位置に手動操作部144aを設けてあるため、この手動操作部144aを操作することもできない。
【0189】
図28および図29は、制御ユニット200が実施する走行検知制御、停止検知制御の処理内容を示すフローチャートである、これら図28および図29を適宜利用してドアロック装置1の動作について更に説明する。
【0190】
走行検知制御における制御ユニット200の処理内容について説明する。説明の前提として、車両は停止状態にあり、かつチャイルドロック機構7は伝達状態にあるものとし、そのような状態で車両が走行し始めたものとする。
【0191】
制御ユニット200は、メモリ210に予め格納してある予め設定したサイクルタイムが経過した場合(ステップS101:Yes)には、走行状態判断処理部202を通じて車速検知センサS1に車速検知指令を送信する(ステップS102)。
【0192】
その後、制御ユニット200は、入力処理部201を通じて、車速検知センサS1より車速検知信号が送信された場合(ステップS103:Yes)、走行状態判断処理部202を通じて、車速検知信号に含まれる検知車速がメモリ210に格納してある基準車速以上であるか否かを判断する(ステップS104)。検知車速が基準車速未満である場合(ステップS104:No)、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202通じて、車両が停車状態にあると判断して後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の制御を終了する。
【0193】
一方、検知車速が基準車速以上である場合(ステップS104:Yes)、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202を通じて車両が走行状態にあると判断し、チャイルドアクチュエータ駆動処理部204を通じてチャイルドアクチュエータ130に非伝達指令を送信し(チャイルドアクチュエータ130駆動処理)(ステップS105))、その後に手順をリターンさせて今回の制御を終了する。非伝達指令が与えられたチャイルドアクチュエータ130は、伝達状態にある場合には非伝達状態に切り換わる。
【0194】
このドアロック装置1によれば、基準車速以上で車両が走行している場合、上記制御ユニット200によりチャイルドロック機構7が非伝達状態に切り換えられるため、インサイドドアハンドルIHの開扉操作、およびアンロック操作が無効化され、ラッチ機構Lのラッチ状態を維持することができる。
【0195】
次に、停止検知制御における制御ユニット200の処理内容について説明する。説明の前提として、車両は走行状態にあり、かつチャイルドロック機構7は非伝達状態にあるものとし、そのような状態で車両が停止し始めたものとする。
【0196】
制御ユニット200は、上述したように、メモリ210に予め格納してあるサイクルタイムが経過した場合(ステップS201)には、走行状態判断処理部202を通じて車速検知センサS1に車速検知指令を送信する(ステップS202)。
【0197】
その後、制御ユニット200は、入力処理部201を通じて、車速検知センサS1から車速検知信号が送信された場合(ステップS203:Yes)、走行状態判断処理部202を通じて、車速検知信号に含まれる検知車速がメモリ210に格納してある基準車速以上であるか否かを判断する(ステップS204)。検知車速が基準車速以上である場合(ステップS204:Yes)、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202通じて、車両が走行状態にあると判断して後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の制御を終了する。
【0198】
一方、検知車速が基準車速未満である場合(ステップS204:No)、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202を通じて車両が停止状態にあると判断する。その後、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202を通じてギアポジション検知センサS2にギアポジション検知指令を送信する(ステップS205)。
【0199】
制御ユニット200は、入力処理部201を通じて、ギアポジション検知センサS2よりポジション検知信号が送信された場合(ステップS206:Yes)、走行状態判断処理部202を通じて、当該ポジション検知信号がパーキングポジション検知信号か否かを判断する(ステップS207)。ポジション検知信号がパーキングポジション検知信号でない場合(ステップS207:No)には、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の制御を終了する。
【0200】
一方、ポジション検知信号がパーキングポジション検知信号である場合(ステップS207:Yes)、制御ユニット200は、走行状態判断処理部202を通じてフットブレーキ検知センサS3にフットブレーキ検知指令を送信する(ステップS208)。
【0201】
制御ユニット200は、入力処理部201を通じて、フットブレーキ検知センサS3よりフットブレーキ検知信号が送信された場合(ステップS209:Yes)、走行状態判断処理部202を通じて、当該フットブレーキ検知信号がフットブレーキオフ信号であるか否かを判断する(ステップS210)。フットブレーキ検知信号がフットブレーキオフ信号でない場合(ステップS210:No)には、運転席に運転手がいるものと判断し、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の制御を終了する。
【0202】
一方、フットブレーキ検知信号がフットブレーキオフ信号である場合(ステップS210:Yes)、制御ユニット200は、運転席に運転手がおらず、完全に車両が走行しない状態にあるものと判断し、チャイルドアクチュエータ駆動処理部204を通じてチャイルドアクチュエータ130に伝達指令を送信し(チャイルドアクチュエータ130駆動処理(ステップS211)、その後、手順をリターンさせて今回の制御を終了する。伝達指令が与えられたチャイルドアクチュエータ130は、非伝達状態にある場合には伝達状態に切り換わる。
【0203】
このドアロック装置1によれば、車速が基準車速未満であり、かつ所定の条件を満たす場合には、制御ユニット200によりチャイルドロック機構7が伝達状態に切り換えられるため、インサイドドアハンドルIHの開扉操作が有効化され、車両の内部に人が取り残される事態を招くことがない。
【0204】
しかも、単に、車速が基準車速未満であることのみを伝達状態に切り換える条件にしているのではなく、ギアポジションがパーキングポジションにあり、かつフットブレーキが踏まれていないことを伝達状態への切り換えの条件にしているため、車両が信号等で単に停車した場合にチャイルドロック機構7を伝達状態に切り換えることがない。よって、チャイルドロック機構7が必要以上に切り換えることを防止することができる。
【0205】
以上説明したように本実施の形態に係るドアロック装置1によれば、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以上である場合には、チャイルドアクチュエータ130に非伝達指令を与える制御手段を備えるため、車両が走行している状態では、ラッチ機構Lのラッチ状態を維持することができる。
【0206】
なお、上述した実施の形態には、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であり、ギアがパーキングポジションに配置されており、かつフットブレーキが作動していない3つの条件を満たした場合に、制御ユニット200からチャイルドアクチュエータ130に伝達指令を送信するもので説明した。しかし、この発明は、制御ユニット200から指令を送信する条件の数は3つに限られない。
【0207】
制御ユニット200から指令を送信する条件の数については、例えば、単に、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速であることを制御ユニット200から指令を送信する条件としても良いし、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であり、かつギアポジションがパーキングポジションに配置されていることを制御ユニット200から指令を送信する条件としても良いし、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であり、かつフットブレーキが作動していないことを制御ユニット200から指令を送信する条件としても良い。
【0208】
単に、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であることを制御ユニット200から指令を送信する条件とした場合でも、車両が停止した状態では、インサイドドアハンドルIHの開扉操作が有効化するため、車両の内部に人が取り残される事態を招くことがない。
【0209】
また、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であり、かつギアポジションがパーキングポジションに配置されていることを制御ユニット200から指令を送信する条件とした場合、もしくは車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であり、かつフットブレーキが作動していないことを制御ユニット200から指令を送信する条件とした場合には、必要以上にチャイルドアクチュエータ130が切り換えることを防止することができる。
【0210】
もちろん、上述したように、制御ユニット200から指令を送信する条件を、上記3つに設定した場合には、さらにチャイルドロック機構7等が不必要に切り換える回数を低減することができる。
【0211】
また、車速検知センサS1により検知した車速が基準車速以下であることを必須の条件とし、適宜条件を付加しても、上述と同様、チャイルドロック機構7等が不必要に切り換える回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】本発明の実施の形態であるドアロック装置を適用したドアの要部を示す概念図である。
【図2−1】図1に示したドアロック装置の正面図である。
【図2−2】図1に示したドアロック装置が備えるロック機構およびチャイルドロック機構を示す説明図である。
【図3】図1に示したドアロック装置を適用した車両の側面図である。
【図4】図1に示したドアを室内側から見た場合の斜視図である。
【図5】図3に示した車両の要部断面平面図である。
【図6】図4に示したドアの要部断面平面図である。
【図7−1】図1に示したドアロック装置が備えるラッチ機構の動作を示す説明図である。
【図7−2】図1に示したドアロック装置が備えるラッチ機構の動作を示す説明図である。
【図7−3】図1に示したドアロック装置が備えるラッチ機構の動作を示す説明図である。
【図8−1】図1に示したドアロック装置が備えるアウトサイドドアハンドルレバーの正面図である。
【図8−2】図8−1に示したアウトサイドドアハンドルレバーの側面図である。
【図9】図2−1における矢視D−Dの断面図である。
【図10−1】図1に示したドアロック装置が備えるロックレバーの正面図である。
【図10−2】図10−1における矢視E−Eの断面図である。
【図10−3】図10−1に示したロックレバーの側面図である。
【図11−1】図1に示したドアロック装置が備えるリンクレバーの正面図である。
【図11−2】図11−1に示したリンクレバーの平面図である。
【図11−3】図11−1に示したリンクレバーの底面図である。
【図11−4】図11−1に示したリンクレバーの側面図である。
【図12】図2−1における矢視A−Aの断面図である。
【図13−1】図1に示したドアロック装置が備えるオープンレバーの正面図である。
【図13−2】図13−1に示したオープンレバーの平面図である。
【図13−3】図13−1に示したオープンレバーの側面図である。
【図14】図2−2に示したドアロック装置においてアウトサイドドアハンドルが開扉操作された場合を示す説明図である。
【図15−1】図1に示したドアロック装置が備えるインサイドドアハンドルレバーの正面図である。
【図15−2】図15−1に示したインサイドドアハンドルレバーの底面図である。
【図15−3】図15−1に示したインサイドドアハンドルレバーの側面図である。
【図16】図2−1における矢視C−Cの断面図である。
【図17】図1に示したドアロック装置が備えるサブインサイドドアハンドルレバーの正面図である。
【図18】図2−1における矢視B−Bの断面図である。
【図19】図1に示したドアロック装置が備えるコネクトレバーの正面図である。
【図20】図2−2に示したドアロック装置においてインサイドドアハンドルが開扉操作された場合を示す説明図である。
【図21】図2−2に示したドアロック装置において、ロック機構のロック状態を示す説明図である。
【図22】図21に示したドアロック装置において、アウトサイドドアハンドルレバーが開扉操作された場合を示す説明図である。
【図23】図21に示したドアロック装置において、インサイドドアハンドルレバーがアンロック操作された場合を示す説明図である。
【図24−1】図1に示したドアロック装置が備えるチャイルドレバーの正面図である。
【図24−2】図24−1に示したチャイルドレバーの底面図である。
【図24−3】図24−1に示したチャイルドレバーの側面図である。
【図25】図2−2に示したドアロック装置において、チャイルドロック機構の非伝達状態を示す説明図である。
【図26】図25に示したドアロック装置において、インサイドドアハンドルレバーがロック操作された場合を示す説明図である。
【図27】図1に示したドアロック装置の制御系を示すブロック図である。
【図28】図27に示した制御ユニットが実施する走行検知制御の処理内容を示すフローチャートである。
【図29】図27に示した制御ユニットが実施する停止検知制御の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0213】
1 ドアロック装置
2 ラッチ
3 ラチェット
4 アウトサイドドアハンドル開扉操作伝達機構
5 インサイドドアハンドル開扉操作伝達機構
6 ロック機構
7 チャイルドロック機構
10 本体ケース
10a 開口
11 ラッチケース
11a ストライカ侵入溝
13 アウトサイドドアハンドル連係部材
14 インサイドドアハンドル連係部材
17 操作孔
20 噛合溝
21 フック部
22 係止部
25 第2ラッチストッパ
30 係合部
31 作用部
35 ラチェットストッパ
36 連結ピン
38 ラチェットレバー
39 当接部
40 アウトサイドドアハンドルレバー
42 アウトサイドドアハンドル連係端部
43 アウトサイド動作端部
44 アウトサイド受圧部
50 ロックレバー
50b センサ押圧部
50s オーバーセンタ付勢バネ
52 バネ連係部
52a バネ連係ピン
53 リンクレバー連係部
53a リンクレバー連結ピン
54 ウォームホイール連係部
54a 間欠ドリブンギア
55 サブインサイドドアハンドルレバー連係部
55H レバー嵌入溝
55a 第1当接壁
55b 第2当接壁
55c 連結壁
60 リンクレバー
62 ロックレバー連係部
62a 連結孔
63 当接壁
64 掛止ピン
69 連結具
69a 連結具本体
69b 係合溝
69c 連結具係合爪
70 オープンレバー
70s オープンプリング
72 スプリング掛止部
73 ラチェット駆動部
74 リンク当接部
75 掛止片
80 インサイドドアハンドルレバー
80 メインインサイドドアハンドルレバー(インサイドドアハンドルレバー)
80s アンロック位置設定バネ
82 インサイドドアハンドル連係部
82a 折曲部
83 サブレバー連係部
83H ピン係合孔
83a 第1孔
83b 第2孔
85 係合壁
90 サブインサイドドアハンドルレバー
92 インハンレバー連係部
92a サブピン係合孔
93 ロックレバー当接部
100 コネクトレバー
102 コネクト受圧部
103 コネクト押圧部
110 ロックアクチュエータ
112 ウォームギア
120 ウォームホイール
120s ウォームホイール初期状態維持バネ
121 間欠ギアホイール
130 チャイルドアクチュエータ
132 ウォームギア
133 パワーチャイルドピン
140 チャイルドレバー(切換操作レバー)
142 ピン係合部
143 パワーチャイルド連係部
144 手動操作レバー保持部
144a 手動操作部
145 係合壁
150 チャイルドピン
151 ベース部
152 装着部
153 伝達部
180 係合手段
190 インサイドドアハンドルレバー
200 制御ユニット
201 入力処理部
202 走行状態判断処理部
203 ロックアクチュエータ駆動処理部
204 チャイルドアクチュエータ駆動処理部
210 メモリ
D ドア
IH インサイドドアハンドル
L ラッチ機構
OH アウトサイドドアハンドル
S1 車速検知センサ
S2 ギアポジション検知センサ
S3 フットブレーキ検知センサ
SW1 ロックスイッチ
SW2 アンロックスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体に対してドアが閉位置に配置された場合にラッチ状態となってドアの開方向への移動を規制するラッチ機構と、
ラッチ機構に対して解除位置及び非解除位置の互いに異なる2位置に変位する一方、解除位置にある状態において所定の解除方向に移動した場合にラッチ機構のラッチ状態を解除するオープンレバーと、
インサイドドアハンドルのロック操作、アンロック操作、開扉操作に応じて互いに異なる3位置に変位し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはロック位置に配置され、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはアンロック位置に配置され、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合には開扉位置に配置されるインサイドドアハンドルレバーと、
インサイドドアハンドルレバーとオープンレバーとの間に介在し、インサイドドアハンドルがロック操作された場合にはオープンレバーを非解除位置に変位させたロック状態に切り換わる一方、インサイドドアハンドルがアンロック操作された場合にはオープンレバーを解除位置に変位させたアンロック状態に切り換わるロック機構と、
インサイドドアハンドルレバーからオープンレバーおよびロック機構に至る間に介在し、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合にはその開扉操作に応じてオープンレバーを解除方向に移動させる伝達状態と、インサイドドアハンドルが開扉操作された場合でもラッチ機構のラッチ状態を維持する非伝達状態とに切り換え可能に構成したチャイルドロック機構と、
伝達指令が与えられた場合にはチャイルドロック機構を伝達状態に切り換える一方、非伝達指令が与えられた場合にはチャイルドロック機構を非伝達状態に切り換えるチャイルドアクチュエータと、
車両検知手段により検知した車速が予め設定した閾値以上の場合にはチャイルドアクチュエータに非伝達指令を与える制御手段と
を備えることを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満の場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、かつフットブレーキ検知手段によりブレーキが作動されていないことが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項4】
制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、かつギアポジション検知手段によりギアがパーキングポジションに配置されていることが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項5】
制御手段は、車両検知手段により検知した車速が閾値未満であって、フットブレーキ検知手段によりブレーキが作動されていないことが検知され、かつギアポジション検知手段によりギアがパーキングポジションに配置されていることが検知された場合にはチャイルドアクチュエータに伝達指令を与えるものであることを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項6】
手動操作部が互いに異なるチャイルドロック位置とチャイルドアンロック位置とにそれぞれ移動可能であり、ドアを開成した状態において操作可能、かつドアを閉位置に配置した場合に操作不能となる位置に手動操作部を配設し、手動操作部をチャイルドロック位置に移動した場合にチャイルドロック機構を非伝達状態にする一方、手動操作部をチャイルドアンロック位置に移動した場合にチャイルドロック機構を伝達状態にする切換操作レバーを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のドアロック装置。
【請求項7】
チャイルドロック機構は、
伝達状態において、インサイドドアハンドルのロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置に配置された場合、ロック機構を介してオープンレバーを非解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルのアンロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置からアンロック位置に移動された場合、ロック機構を介してオープンレバーを解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルの開扉操作によりインサイドドアハンドルレバーが開扉操作位置に移動された場合、オープンレバーを解除方向に移動させる一方、
非伝達状態において、インサイドドアハンドルのロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがアンロック位置からロック位置に移動された場合、ロック機構を介してオープンレバーを非解除位置に配置させ、インサイドドアハンドルのアンロック操作によりインサイドドアハンドルレバーがロック位置からアンロック位置に移動された場合、オープンレバーを非解除位置に維持し、インサイドドアハンドルの開扉操作によりインサイドドアハンドルレバーが開扉操作位置に移動された場合のオープンレバーへの動力を非伝達とするように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図14】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【図24−3】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−57683(P2009−57683A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223032(P2007−223032)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】