説明

ドア取り外しシステム

【課題】占有スペースを削減でき、かつ、コストを低減して、サイクルタイムを短縮できるドア取り外しシステムを提供すること。
【解決手段】ドア取り外しシステム1は、自動車のボディ10にボルト12で固定されたドア11を、このボディ10から取り外す。このドア取り外しシステム1は、ドア11を上下から挟持する双腕ロボット20と、ボルト12を取り外す単腕ロボット30と、これらを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、双腕ロボット20の一対のマニピュレータ22A、22Bでドア11を上下から挟持し、この状態で、単腕ロボット30でボルト12を取り外し、その後、双腕ロボット20でドア11を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア取り外しシステムに関する。詳しくは、自動車のドアを取り外すドア取り外しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の製造工程では、ボディにボルトでドアを仮固定しておき、この状態で塗装を行っている。その後、このボルトを取り外し、ドアを把持して搬送することで、ドアをボディから取り外し、ボディとドアとを別々のラインで組み立てる。
ここで、ドアをボディから取り外すラインでは、例えば、ボディの両側に位置しナットランナを備えた2台の第1ロボットと、ボディの両側に位置しドアを把持する2台の第2ロボットと、を備えるドア取り外し装置が用いられる(特許文献1参照)。このドア取り外し装置では、ドアを開いた状態で、第1ロボットのナットランナでボルト緩めてドアとボディとの連結を解除し、その後、第2ロボットでドアを把持して、ドアを搬送する。
ここで、第2ロボットは、単腕ロボットであり、この第2ロボットには、1枚のドアを把持するための専用のドア把持ハンドが取り付けられる。このドア把持ハンドの構造は、ドアの形状や構造に応じて、機種毎に異なっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−103925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、1枚のドアを1つの単腕ロボットで支持して搬送するため、ロボットが大型化し、ロボットが占有する占有スペースが大きくなるうえに、ロボットの汎用性が低下する、という問題があった。
また、多機種を生産するラインでは、機種毎にドアの形状や構造が異なるため、複数種類の治具が必要になり、コストが上昇する、という問題があった。さらに、製造ラインで製造する機種が変更されるたびに、把持治具を交換したり調整したりすることになり、サイクルタイムが長期化する、という問題があった。
【0004】
本発明は、占有スペースを削減でき、かつ、コストを低減して、サイクルタイムを短縮できるドア取り外しシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のドア取り外しシステム(例えば、後述のドア取り外しシステム1)は、自動車のボディ(例えば、後述のボディ10)にボルト(例えば、後述のボルト12)で固定されたドア(例えば、後述のドア11)を、当該ボディから取り外すドア取り外しシステムであって、前記ドアを上下から挟持する双腕ロボット(例えば、後述の双腕ロボット20)と、前記ボルトを取り外す単腕ロボット(例えば、後述の単腕ロボット30)と、これらを制御する制御手段(例えば、後述の制御装置40)と、を備え、前記制御手段は、前記双腕ロボットの一対のマニピュレータ(例えば、後述のマニピュレータ22A、22B)で前記ドアを上下から挟持し、この状態で、前記単腕ロボットで前記ボルトを取り外し、その後、前記双腕ロボットでドアを搬送することを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、1枚のドアを双腕ロボットの一対のマニピュレータで挟持して搬送するため、従来のように単腕で把持する場合に比べて、システムを小型化できる。よって、システムの占有スペースを削減できるうえに、ロボットの汎用性を向上できる。
また、双腕ロボットでドアを上下から挟持することによりドアを把持したので、機種毎にドアの形状や構造が異なっても、双腕ロボットに取り付ける把持治具は、ドアを挟み込むことができる構造であればよい。したがって、把持治具を簡素な構造にすることができ、コストを低減できる。また、把持治具を交換したり調整したりする回数を低減して、サイクルタイムを短縮できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1枚のドアを双腕ロボットの一対のマニピュレータで挟持して搬送するため、従来のように単腕で把持する場合に比べて、システムを小型化できる。よって、システムの占有スペースを削減できるうえに、ロボットの汎用性を向上できる。
また、双腕ロボットでドアを上下から挟持することによりドアを把持したので、機種毎にドアの形状や構造が異なっても、双腕ロボットに取り付ける把持治具は、ドアを挟み込むことができる構造であればよい。したがって、把持治具を簡素な構造にすることができ、コストを低減できる。また、把持治具を交換したり調整したりする回数を低減して、サイクルタイムを短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドア取り外しシステム1の斜視図である。
ドア取り外しシステム1は、自動車のボディ10にボルト12で仮固定されたドア11を、このボディ10から取り外すものである。このドア取り外しシステム1は、ドア11を上下から挟持する双腕ロボット20と、ボルト12を取り外す単腕ロボット30と、これらを制御する制御手段としての制御装置40(図3参照)と、を備える。
【0009】
自動車のボディ10には、上下一対のヒンジ部材13、14を介して、ドア11が取り付けられる。
一対のヒンジ部材13、14は、それぞれ、ボディ10に固定されるとともに、1本のボルト12でドア11の長さ方向一端側の端面に仮固定されている。
このドア11は、インナパネル15とアウタパネル16とを接合して形成される。
インナパネル15は、略平板矩形状のパネル本体151と、このパネル本体151の上端に設けられた略コの字形状のフレーム部152と、を備える。フレーム部152とパネル本体151の上辺とで囲まれた領域は、図示しない窓ガラスが露出する開口となっている。
アウタパネル16は、インナパネル15のパネル本体151の外側に取り付けられる。アウタパネル16の上辺とインナパネル15のパネル本体151の上辺との間には、窓ガラスを収容するための隙間が形成されている。
【0010】
双腕ロボット20は、ロボット本体21と、このロボット本体21を挟んで設けられた第1マニピュレータ22Aおよび第2マニピュレータ22Bと、を備える。
マニピュレータ22A、22Bは、7軸であり、ロボット本体21に軸支されるアーム23A、23Bと、これらアーム23A、23Bの先端フランジ面24A、24Bに軸支された第1把持治具50および第2把持治具60と、を備える。
【0011】
ロボット本体21は、床面に対して所定方向にスライド可能なスライド部211と、このスライド部211に略鉛直方向を旋回軸213として旋回可能な旋回部212とを備える。
【0012】
スライド部211は、自動車のボディ10の搬送方向すなわち図1中矢印A方向と、この自動車のボディ10の搬送方向に交差する方向すなわち図1中矢印B方向と、にスライド可能となっている。
このスライド部211には、この旋回軸213に作用するトルクを検出するトルクセンサ214が設けられている。トルクセンサ214は、具体的には、旋回軸213を駆動するモータの回転軸に作用するトルクを検出する。
【0013】
旋回部212には、マニピュレータ22A、22Bに鉛直方向に作用する荷重を検出する荷重センサ215A、215Bが設けられている。
【0014】
アーム23A、23Bは、ロボット本体21側から順に、第1腕部231、第2腕部232、第3腕部233、第4腕部234、第5腕部235、および、第6腕部236を備える。
【0015】
第1腕部231は、略直線状に延出しており、ロボット本体21に軸支される。ロボット本体21は、略水平方向に延びる回転軸216を回転中心として、第1腕部231を回転させる。
アーム23Aの第1腕部231の回転軸216と、アーム23Bの第1腕部231の回転軸216とは、同一直線上に位置している。
上述の荷重センサ215A、215Bは、これら回転軸216を駆動するモータの回転軸に作用するトルクを検出する。
【0016】
第2腕部232は、略直線状に延出しており、第1腕部231に軸支される。第1腕部231は、図示しない駆動機構により、第1腕部231の延出方向に交差する方向を回転中心として、第2腕部232を回転させる。これにより、第1腕部231の延出方向と第2腕部232の延出方向との成す角度が変化する。
第3腕部233は、略直線状に延出しており、第2腕部232に軸支される。第2腕部232は、図示しない駆動機構により、第2腕部232の延出方向を回転中心として、第3腕部233を回転させる。
【0017】
第4腕部234は、略直線状に延出しており、第3腕部233に軸支される。第3腕部233は、図示しない駆動機構により、第3腕部233の延出方向に交差する方向を回転中心として、第4腕部234を回転させる。これにより、第3腕部233の延出方向と第4腕部234の延出方向との成す角度が変化する。
第5腕部235は、略直線状に延出しており、第4腕部234に軸支される。第4腕部234は、図示しない駆動機構により、第4腕部234の延出方向を回転中心として、第5腕部235を回転させる。
【0018】
第6腕部236は、略直線状に延出しており、第5腕部235に軸支される。第5腕部235は、図示しない駆動機構により、第5腕部235の延出方向に交差する方向を回転中心として、第6腕部236を回転させる。これにより、第5腕部235の延出方向と第6腕部236の延出方向との成す角度が変化する。
【0019】
第1把持治具50および第2把持治具60は、アーム23A、23Bの先端フランジ面24A、24Bで第6腕部236に軸支される。第6腕部236は、図示しない駆動機構により、第6腕部236の延出方向を回転中心として、第1把持治具50および第2把持治具60を回転させる。
【0020】
図2(a)は、第1把持治具50の斜視図である。
第1把持治具50は、アーム23Aの先端フランジ面24Aに取り付けられた支持部51と、この支持部51に支持される略コの字形状の係止部52と、図示しないレーザ測定装置と、を備える。
【0021】
係止部52は、アーム23Aの先端フランジ面24Aに取り付けられたフレーム53と、このフレーム53の表面に設けられたウレタン製の緩衝部54と、フレーム53に設けられて緩衝部54から突出するドア開けピン55と、を備える。
【0022】
フレーム53は、略L字形状であり、先端フランジ面24Aに略平行に延出する板状の第1フレーム531と、この第1フレーム531の一端側に設けられて第1フレーム531に対して略直交方向に延出する板状の第2フレーム532と、を備える。
【0023】
緩衝部54は、第1フレーム531の内側の表面に沿って設けられた第1緩衝部541と、第2フレーム532の内側の表面に沿って設けられた第2緩衝部542と、この第2緩衝部542の先端側に設けられて第1緩衝部541に対向するように延出する第3緩衝部543と、を備える。
ドア開けピン55は、第2フレーム532に設けられ、第2緩衝部542の表面から突出している。
【0024】
図2(b)は、第2把持治具60の斜視図である。
第2把持治具60は、アーム23Bの先端フランジ面24Bに取り付けられた支持部61と、この支持部61の両端側に支持された互いに略平行な一対の略L字形状の係止部62と、を備える。
この係止部62は、それぞれ、第1把持治具50の係止部52と同様の構成であるが、ドア開けピンが設けられていない点が異なる。
【0025】
図1に戻って、単腕ロボット30は、ロボット本体31と、このロボット本体31に設けられた1本のマニピュレータ32と、を備える。
マニピュレータ32は、7軸であり、ロボット本体31に設けられたアーム33と、このアーム33の先端にナットランナ支持具70を介して支持されたナットランナ71と、を備える。
単腕ロボット30のロボット本体31およびアーム33は、双腕ロボット20のロボット本体31およびアーム23A、23Bと同様の構成であるが、単腕ロボット30のスライド部211は、図1中矢印A方向にのみスライド可能である点が、双腕ロボット20のスライド部211と異なる。
【0026】
図3は、制御装置40の概略構成を示すブロック図である。
制御装置40は、双腕ロボット20のマニピュレータ22Aでドア11を開けるドア開け部41と、双腕ロボット20のマニピュレータ22A、22Bでドア11を上下から挟持するドア挟持部42と、単腕ロボット30でボルト12を取り外すボルト取り外し部43と、双腕ロボット20でドア11を搬送するドア搬送部44と、を備える。
【0027】
ドア開け部41は、マニピュレータ22Aの第1把持治具50のドア開けピン55を、ドア11のアウタパネル16とインナパネル15との隙間に挿入して、このドア11をボディ10の外側に向かって引くことで、ドア11が開く。
【0028】
ドア挟持部42は、マニピュレータ22Aの第1把持治具50と、マニピュレータ22Bの第2把持治具60とで、ドア11を上下から挟持する。ドア11を挟持する際、図示しない力覚センサによりマニピュレータ22A、22Bに作用する反力を検出し、この検出した反力に基づいて、マニピュレータ22A、22Bをフィードバック制御する。
【0029】
ボルト取り外し部43は、単腕ロボット30を制御して、ボルト12にナットランナ71のソケットを嵌合し、このナットランナ71を駆動することで、ボルト12を取り外す。ここで、ボルト取り外し部43は、上下一対のボルト12のうち、上側のボルト12を緩めて取り外した後、下側のボルト12を緩めて取り外す。
【0030】
ドア搬送部44は、荷重センサ215Bにより、一対のマニピュレータ22A、22Bのうちドア11の下側を支持する方、ここではマニピュレータ22Bにかかる荷重を検出する。
具体的には、マニピュレータ22Bについて回転軸216以外の回転軸をロックしておき、荷重センサ215Bにより、マニピュレータ22Bの回転軸216を駆動するモータに作用するトルクを検出する。なお、本実施形態では、荷重センサ215Bにより回転軸216に作用するトルクを検出したが、これに限らず、回転軸216を駆動するモータの電流値に基づいて、この回転軸216に作用するトルクを算出してもよい。
そして、この検出した荷重が所定値以上である場合にのみ、ロボット本体21の旋回軸213の旋回を開始して、一対のマニピュレータ22A、22Bでドア11の搬送を開始する。
【0031】
また、双腕ロボット20の旋回軸213を旋回させる際、トルクセンサ214により旋回軸213に作用するトルクを検出し、この検出したトルクが所定値以上である場合には、双腕ロボット20の旋回を停止する。なお、本実施形態では、トルクセンサにより旋回軸213に作用するトルクを検出したが、これに限らず、旋回軸213を駆動するモータの電流値に基づいて、この旋回軸213に作用するトルクを算出してもよい。
【0032】
以下、ドア取り外しシステム1の動作について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ボディ10がライン上を搬送され、ドア取り外しシステム1に供給される。この状態では、ドア11は閉じた状態である。
【0033】
まず、ST10では、単腕ロボット30は、原位置に位置している。
ST11では、単腕ロボット30のスライド部211をスライドさせて、ドア11の開閉範囲の外側にマニピュレータ32を移動させ、ST12では、この単腕ロボット30を待機させる。
【0034】
一方、ST0では、双腕ロボット20は、原位置に位置している。
ST1では、双腕ロボット20のスライド部211をスライドさせて、ドア11を把持する位置にマニピュレータ22A、22Bを移動させる。
ST2では、双腕ロボット20の第1マニピュレータ22Aに設けられた図示しないレーザ測定装置により、ドア11の位置を測定する。
【0035】
ST3では、測定したドアの位置に基づいて、予めティーチングされた動作を補正して、双腕ロボット20の第1マニピュレータ22Aによりドア11を開ける。
具体的には、図5に示すように、第1マニピュレータ22Aを駆動して、第1把持治具50のドア開けピン55を、ドア11のアウタパネル16の上辺とインナパネル15のパネル本体151の上辺との隙間に挿入するとともに、係止部52の第3緩衝部543をインナパネル15のパネル本体151の上辺に係止させて、このドア11をボディ10の外側に向かって引く。すると、ドア11が開いて、ドア11の下辺が露出する。
【0036】
ST4では、測定したドア11の位置に基づいて、双腕ロボット20の第1マニピュレータ22Aおよび第2マニピュレータ22Bにより、ドア11を把持する。
具体的には、図6に示すように、第2マニピュレータ22Bを駆動して、第2把持治具60の係止部62の第3緩衝部543をドア11の下辺に係止させるとともに、係止部62の第2緩衝部542でドア11の下辺を支持する。この状態では、第1把持治具50の緩衝部54と、第2把持治具60の緩衝部54とは、ドア11を上下に挟んで互いに対向した状態である。この状態から、第1把持治具50と第2把持治具60とを接近させることで、第1マニピュレータ22Aおよび第2マニピュレータ22Bによりドア11を挟持する。
【0037】
ST5では、双腕ロボット20の第1マニピュレータ22Aおよび第2マニピュレータ22Bによりドア11を把持した状態で、この双腕ロボット20を待機させる。
【0038】
一方、ST13では、双腕ロボット20によりドア11が把持された後、単腕ロボット30のスライド部211をスライドさせて、ボルト12を緩める位置にマニピュレータ32を移動させる。
【0039】
ST14では、測定したドア11の位置に基づいて、図7に示すように、ナットランナ71のソケットをヒンジ部材13、14のボルト12に嵌合させ、ナットランナ71を駆動して、上下のボルト12を緩めて取り外す。ここで、上側のヒンジ部材13のボルト12、下側のヒンジ部材14のボルト12の順に取り外す。
具体的には、図8に示すように、まず、ナットランナ71のソケットをボルト12に嵌合させる。その後、図7中矢印で示すように、ナットランナ71のソケット711の回転軸Cを中心としてアーム33を回動させることにより、ボルト12の締め付けトルクのうち高トルク範囲を弛緩させ、その後、ナットランナ71を駆動して、ボルト12の締め付けトルクのうち低トルク範囲を弛緩させる。このようにして、図9に示すように、ボルト12を取り外す。
【0040】
ST15では、双腕ロボット20によるドア11の搬送経路の外側に、単腕ロボット30のマニピュレータ32を移動させ、ST16では、単腕ロボット30のスライド部211をスライドさせて、原位置に戻る。
【0041】
一方、ST6では、ボルトが外れたか否かを判定する。ここで、荷重センサ215Bにより第2マニピュレータ22Bに作用する荷重を検出し、この検出した荷重が所定値以上である場合、ドアとボディとの連結が解除されたと判定する。この判定がNOの場合、ST5に戻り、YESの場合、ST7に移る。
【0042】
ST7では、図10に示すように、双腕ロボット20の旋回軸213を旋回させるとともに、双腕ロボット20のスライド部211を図10中矢印方向Bにスライドさせて、双腕ロボット20によりドア11を搬送する。
ここで、双腕ロボット20の旋回軸213を旋回させる際、トルクセンサ214により旋回軸213に作用するトルクを検出し、この検出したトルクが所定値以上である場合には、双腕ロボット20の旋回を停止する。
ST8では、双腕ロボット20によりこのドア11をパレットに載置し、ST9では、双腕ロボット20のスライド部211をスライドさせて、原位置に戻る。
【0043】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)1枚のドア11を双腕ロボット20の一対のマニピュレータ22A、22Bで挟持して搬送するため、従来のように単腕で把持する場合に比べて、ドア取り付けシステム1を小型化できる。よって、ドア取り付けシステム1の占有スペースを削減できるうえに、ロボット20、30汎用性を向上できる。
また、双腕ロボット20でドア11を上下から挟持することによりドア11を把持したので、機種毎にドアの形状や構造が異なっても、双腕ロボット20に取り付ける把持治具は、ドアを挟み込むことができる構造であればよい。したがって、第1把持治具50および第2把持治具60のように、把持治具を簡素な構造にすることができ、コストを低減できる。また、把持治具を交換したり調整したりする回数を低減して、サイクルタイムを短縮できる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るドア取り外しシステムの斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの第1把持治具および第2把持治具の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【図4】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの動作のフローチャートである。
【図5】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの第1把持治具をドアに係止した状態を示す斜視図である。
【図6】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの双腕ロボットでドアを把持した状態を示す斜視図である。
【図7】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの単腕ロボットでボルトを取り外している状態を示す斜視図である。
【図8】前記実施形態に係る単腕ロボットのナットランナでボルトを取り外す前の状態を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態に係る単腕ロボットのナットランナでボルトを取り外した後の状態を示す斜視図である。
【図10】前記実施形態に係るドア取り外しシステムの双腕ロボットでドアを搬送している状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ドア取り外しシステム
10 ボディ
11 ドア
12 ボルト
20 双腕ロボット
22A 第1マニピュレータ
22B 第2マニピュレータ
30 単腕ロボット
40 制御装置(制御手段)
213 旋回軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディにボルトで固定されたドアを、当該ボディから取り外すドア取り外しシステムであって、
前記ドアを上下から挟持する双腕ロボットと、前記ボルトを取り外す単腕ロボットと、これらを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記双腕ロボットの一対のマニピュレータで前記ドアを上下から挟持し、この状態で、前記単腕ロボットで前記ボルトを取り外し、その後、前記双腕ロボットでドアを搬送することを特徴とするドア取り外しシステム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−214701(P2009−214701A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60278(P2008−60278)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】