説明

ドア操作装置

【課題】換気により生じた圧力差によりドアが開き難くなる事態を是正する構造を、容易且つ適切にドアに備えさせることができるようにする。
【解決手段】ドアDに取り付けられてこのドアDにドアハンドル1’等のドア操作体1を備え付けさせるドア操作装置Hである。ドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとを連通させる通気部23を備えた装置本体2に、ドア操作体1のドアDを開放させる操作に連動してこの通気部23の閉鎖を解く位置に移動されるこの通気部23の閉鎖部材24を内蔵させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアに取り付けられてこのドアにドアハンドル、ドアノブ等のドア操作体を備え付けさせるドア操作装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の玄関ドアなどにあっては、換気により住宅内外に圧力差が生じていると、これを開くために比較的大きな力を要することが少なくない。ドアを開くに先だってドアを挟んだ一方側の空間と他方側との空間とを通気させるようにすれば、この圧力差を是正してドアを開きやすくすることができる。
【0003】
このような技術として、ドアノブの近傍に配されたツマミを操作すると扉と床の隙間を塞ぐ気密材が上方に移動するようにしたものがある。(特許文献1参照)
また、ドアノブの操作によりドアの下部に設けられた換気口を塞ぐ換気ドアを換気口を開く向きに回動させるようにしたものがある。(特許文献2参照)
また、ドアに設けられたプッシュプル錠を操作するとドアのヒンジ側に設けられた圧力差緩和機構により内外の通気がなされるようにしたものがある。(特許文献3参照)
【0004】
しかし、これらのものはいずれも、ドアの下部やヒンジの設けられた側に別途の造作を必要とさせると共に、ドアノブなどの操作に連係して通気を確保する機構を動作させるためのリンクロッドなどをドア内に配させることを必要とさせるものであった。
【特許文献1】特開2006−57364号公報
【特許文献2】特公平4−66988号公報
【特許文献3】特開2006−322264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、換気により生じた圧力差によりドアが開き難くなる事態を是正する構造を、容易且つ適切にドアに備えさせることができるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、ドア操作装置を、ドアに取り付けられてこのドアにドアハンドル等のドア操作体を備え付けさせるドア操作装置であって、
ドアを挟んだ一方側の空間と他方側との空間とを連通させる通気部を備えた装置本体に、ドア操作体のドアを開放させる操作に連動してこの通気部の閉鎖を解く位置に移動されるこの通気部の閉鎖部材を内蔵させてなるものとした。
【0007】
かかる構成によれば、通常は閉鎖部材により通気部を閉鎖させてドアの気密性を確保させることができる。一方、ドアを開くときはこの通気部の閉鎖を解いてドアを挟んだ一方側の空間と他方側との空間とに気圧差がある場合でも、ドア操作体の操作をきっかけにしてこの気圧差を急速に減じさせてドアを開く力を小さなものとすることができる。特に、かかるドア操作装置は、既設のドアや、既存のドアに備えさせることにより、これらのドアに上記機能を容易に付与し得る特長を有している。
【0008】
前記通気部を、装置本体における上下方向又は左右方向に複数箇所、または、装置本体における上下方向又は左右方向に連続して、形成させるようにしておけば、ドアと組み合わされるドア操作装置のスペース内にできるだけ通気流量を大きくさせる態様で通気部を合理的に形成させることができ、ドア操作体の操作をきっかけにして前記気圧差があるときはこの差を急速に減じさせることができる。
【0009】
また、前記通気部の入り口を、ドアの外面との間に通気隙間を開けてこのドアに外装される目隠し体により覆われるようにしておけば、かかる通気隙間を通じた通気を確保しつつ、通気部がドアの外観性などに影響を与えることがないようにすることができる。
【0010】
また、ドア操作体のドアを開放させる操作に連動して閉鎖部材が通気部の通気方向に対し交叉する向きに移動してこの通気部の閉鎖を解くようにしておけば、ドアを挟んだ一方側の空間と他方側との空間とに気圧差があるときにこの気圧差によって閉鎖部材に作用される力の向きと逆向きに閉鎖部材を移動させる場合に比べて、比較的スムースに閉鎖部材を移動させて通気部の閉鎖を解くことができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかるドア操作装置によれば、これをドアに単純に組み合わさせるだけで、このドアに換気により生じた圧力差によりドアが開き難くなる事態を是正する機能を、容易且つ適切に備えさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図14に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について説明する。なお、ここで図1〜図7はドア操作装置Hの第一例を、図8及び図9はドア操作装置Hの第二例を、図10〜図14はドア操作装置Hの第三例を、それぞれ示している。
【0013】
この実施の形態にかかるドア操作装置Hは、ドアDに取り付けられてこのドアDにドアハンドル、ドアノブ等のドア操作体1を備え付けさせるものである。すなわち、かかるドア操作装置Hは、ドアDのヒンジ側Daと反対の側の自由端Db側に形成されたドア操作体1の取付部Dcを利用してこのドアDに取り付けられる装置本体2と、この装置本体2に備えられるドア操作体1とを備えている。
【0014】
かかる取付部Dcは、ドアDの自由端Dbに開口Ddを配してドアDの内方に続く空所として形成される。装置本体2は、この取付部Dcに納められるケース状をなす。装置本体2の幅広の一面20がドアDの一面の内方にこの一面と平行をなすように位置され、装置本体2の幅広の他面20がドアDの他面の内方にこの他面と平行をなすように位置され、さらに装置本体2における側端部21の一方が取付部Dcの開口を塞いでドアDの自由端Db部の一部となる。ドア操作体1は典型的には図3に示されるように取付部Dcに連通するこのドア操作体1の支持部10の通し孔を通じてドアDの一面側と他面側とにそれぞれ備えられる。装置本体2の側端部21の一方からは図示しないドア枠に設けられたストライクに対するラッチボルト22が突出され、ドア操作体1をドアDを開放させる向きに操作するとラッチボルト22は装置本体2内に引き込まれ、ドアDの開放が許容されるようになる。
【0015】
この実施の形態にかかるドア操作装置Hは、通常はドアDの気密性を確保しつつ、ドアDを開くときはドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとに気圧差がある場合でも、ドア操作体1の操作をきっかけにしてこの気圧差を急速に減じさせてドアDを小さな力で開けるようにするものである。
【0016】
この実施の形態にかかるドア操作装置Hはいずれも、装置本体2にドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとを連通させる通気部23を備えさせている。ドアDにはこの通気部23に連通する通気孔Dfが形成される。それと共に、この装置本体2に、ドア操作体1のドアDを開放させる向きの操作に連動してこの通気部23の閉鎖を解く位置に移動されるこの通気部23の閉鎖部材24を内蔵させている。
【0017】
これにより、この実施の形態にかかるドア操作装置Hにあっては、通常は閉鎖部材24により通気部23を閉鎖させてドアDの気密性を確保させることができる。一方、ドアDを開くときはこの通気部23の閉鎖を解いてドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとに気圧差がある場合でも、ドア操作体1の操作をきっかけにしてこの気圧差を急速に減じさせてドアDを小さな力で開けることができる。特に、かかるドア操作装置Hは、既設のドアDや、既存のドアDに備えさせることにより、これらのドアDに上記機能を容易に付与し得る特長を有している。
【0018】
ドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとに気圧差がある場合としては、典型的には、第三種換気により建物の内部が外部よりも低圧になっている場合があげられる。あるいはまた、第三種換気により建物の内部にある一つの部屋がドアDによりこの一つの部屋と仕切られるこの一つの部屋に隣接した空間よりも低圧になっている場合があげられる。
【0019】
また、前記第一例及び第二例にかかるドア操作装置Hにあっては前記通気部23が、装置本体2における上下方向に複数箇所形成されている。また、前記第三例にかかるドア操作装置Hにあっては前記通気部23が、装置本体2における上下方向に連続して、形成されている。これにより、この実施の形態にかかるドア操作装置Hにあっては、ドアDと組み合わされるドア操作装置Hのスペース内にできるだけ通気流量を大きくさせる態様で通気部23を合理的に形成させることができ、ドア操作体1の操作をきっかけにして前記気圧差があるときはこの差を急速に減じさせるようになっている。
【0020】
また、前記第一例〜第三例にかかるドア操作装置Hにあってはいずれも、前記通気部23の入り口が、ドアDの外面Dgとの間に通気隙間Dhを開けてこのドアDに外装される目隠し体3により覆われるようになっており、かかる通気隙間Dhを通じた通気を確保しつつ、通気部23がドアDの外観性などに影響を与えることがないようになっている。
【0021】
(第一例)
第一例にかかるドア操作装置Hは、装置本体2は、ラッチボルト22の突出される側端部21と、この側端部21に対向するドアDの中央側に位置される側端部21’との間において、上部中央に符号251で示す回動部材を内蔵し、この回動部材251とドアDの中央側に位置される側端部21’との間に閉鎖部材24を内蔵している。通気部23は、回動部材251とドアDの中央側に位置される側端部21’との間において、上下方向に間隔を開けて、三箇所形成されている。かかる通気部23は、装置本体2の一面20を構成する板体と、装置本体2の他面20を構成する板体にそれぞれ、貫通孔23aを形成させることで形成されている。各貫通孔23aは、孔形状を左右方向に長辺を沿わせる長方形状とすると共に、装置本体2の一面20側の各貫通孔23aの真後ろにこれに対応する他面20側の貫通孔23aが位置されるようになっている。
【0022】
回動部材251は、ドアDの肉厚方向に回動中心軸を配するようにして装置本体2に支持されている。この回動部材251は中心部251aと、この中心部251aから上方に突き出す上部アーム251bと、この中心部251aから下方に突き出す下部アーム251cと、この中心部251aから閉鎖部材24の側に向けて突き出す連係アーム251dとを備えている。回動部材251の中心部251aには方形孔が形成されており、図中符号11で示すレバーハンドル1’の固定軸がこの方形孔に通されて装置本体2の一面20側と他面20側とにそれぞれドア操作体1としてのレバーハンドル1’が備え付けられるようになっている。回動部材251の上部アーム251bは図中符号252で示すラッチボルト用バネの付勢により突出位置に位置づけられるラッチボルト22に連係されて通常は縦向きに位置づけられ、かつ、下部アーム251cは図中符号253で示す補助バネにより閉鎖部材24側に付勢されて通常は縦向きに位置づけられ、このように位置づけられる回動部材251によってレバーハンドル1’は基準位置に位置づけられる。(図4)基準位置にあるレバーハンドル1’を操作すると、前記両バネ252、253の付勢に抗して回動部材251は回動され、ラッチボルト22は引き込まれ、かつ、通気部23を閉鎖していた閉鎖部材24が前記連係アーム251dの移動により下方に移動されてこの閉鎖を解くようになっている。(図6)この第一例では、ドアDを挟んだ一方側の空間Saと他方側との空間Sbとに気圧差があるときにこの気圧差によって閉鎖部材24に作用される力の向きに直交する下方にレバーハンドル1’の操作により閉鎖部材24が移動されるようになっていることから、この力の作用される方向と逆向きに閉鎖部材24を移動させる場合に比べて、比較的スムースに閉鎖部材24を移動させて通気部23の閉鎖を解くことができる。すなわち、この例では、ドア操作体1のドアDを開放させる操作に連動して閉鎖部材24が通気部23の通気方向xに対し交叉する向きに移動してこの通気部23の閉鎖を解くようになっている。
【0023】
閉鎖部材24は、装置本体2の内部に上下方向にスライド移動するようにして納められている。閉鎖部材24は、装置本体2の一面20を構成する板体の内面と、他面20を構成する板体の内面との間に密に納まる厚さを備えた板状をなす。この閉鎖部材24には、装置本体2に形成された通気部23となる各貫通孔23aに、この閉鎖部材24の下降前位置では連通せず、かつ、下降終了位置で連通する貫通孔24aが形成されている。回動部材251の連係アーム251dは、閉鎖部材24におけるこの回動部材251の側にある側部に形成された連係凹所24bにそのアーム端を入れ込ませて、閉鎖部材24と連係されている。そして、レバーハンドル1’が基準位置にあるときは連係アーム251dによって閉鎖部材24は下降前位置に位置づけられて、装置本体2の一面20側の貫通孔23aと他面20側の貫通孔23aとの間に閉鎖部材24の貫通孔24aの形成されていない箇所が入り込み、通気部23はこの閉鎖部材24により閉鎖されるようになっている。(図4)基準位置にあるレバーハンドル1’を操作すると回動部材251の回動により連係アーム251dのアーム端が下方に移動し、これにより閉鎖部材24が下降終了位置に移動されて、装置本体2の一面20側の貫通孔23aと他面20側の貫通孔23aとの間に閉鎖部材24の貫通孔24aが位置され、通気部23の閉鎖が解かれるようになっている。(図6)
【0024】
また、この第一例では、目隠し体3は、上下方向に長い略長方形の板状体として構成されている、目隠し体3の長さは装置本体2の上下寸法よりも長く、目隠し体3は、装置本体2の上端部よりも上方に位置される箇所と下端部よりも下方に位置される箇所をもって、ドアDに取り付けられるようになっている。目隠し体3におけるドアDの外面Dgに向けられる側には、このドアDの外面Dgと目隠し体3の面との間に通気隙間Dhを形成させるための複数のスペーサ部30が備えられている。
【0025】
(第二例)
第二例にかかるドア操作装置Hは、回動部材251と閉鎖部材24との連係を解除できるように構成された点で第一例のドア操作装置Hと異なっている。その余の点では第二例にかかるドア操作装置Hは第一例にかかるドア操作装置と実質的に同一であるので、その説明は省略する。この第二例では、閉鎖部材24は、貫通孔24aの形成されたメインパーツ24cと、このメインパーツ24cに対して左右方向にスライド移動可能に組み合わされたサブパーツ24dとから構成されている。そして、このサブパーツ24dに回動部材251の連係アーム251dのアーム端に対する連係凹所24bが形成されている。これによりこの第二例にあっては、サブパーツ24dの連係凹所24bに連係アーム251dのアーム端を入れ込ませた連係状態から、この連係凹所24bよりアーム端を抜け出させる向きにサブパーツ24dをスライド移動させることにより、レバーハンドル1’を操作しても閉鎖部材24が移動されないようにすることができる。(図9)
【0026】
この第二例にあっては、かかるサブパーツ24dは、装置本体2の一面20側又は他面20側を構成する板体に形成された割溝261に案内されると共に、この割溝261とこれに連通するドアDに形成される図示しない貫通孔とを通じて外端を外方に突き出す軸部24eを備えている。かかる割溝261は、第一縦溝部261aと、第二縦溝部261bと、この第一縦溝部261aの上端と第二縦溝部261bの上端との間に亘る横溝部261cとを備えている。第一縦溝部261aが回動部材251に近い側にある。第一縦溝部261aの上端に軸部24eがある状態から軸部24eの外端を摘むなどして横溝部261cを通じて軸部24eを第二縦溝部261b内に移動させる操作を行うと、サブパーツ24dは回動部材251から離れる向きに移動され、回動部材251の連係凹所24bから連係アーム251dのアーム端が抜け出しレバーハンドル1’と閉鎖部材24との連係が解かれる。図示の例では、この状態からさらに、第二縦溝部261bの下端に向けて軸部24eを移動操作すると、サブパーツ24d共々メインパーツ24cが下方に移動され閉鎖部材24が下降終了位置に至るようになっている。これにより図示の例では、レバーハンドル1’の操作にかかわらず、常時通気部23の閉鎖状態が解かれた状態を作り出すこともできるようになっている。(図9)
【0027】
(第三例)
第三例にかかるドア操作装置Hは、装置本体2は、ドアDの左右方向にスライド移動可能に装置本体2に内蔵される閉鎖部材24としてのスライド体24fと、ドア操作体1としてのハンドルバー1”の操作によりドアDの厚さ方向にスライド移動可能に組み合わされた連動バー272とを備えている。
【0028】
ハンドルバー1”は、装置本体2の一面20側および他面20側においてそれぞれ備えられた上下一対の軸受け部273、273間に亘るように設けられている。ハンドルバー1”は左右方向に長い水平断面を有し、その一端側において軸受け部273に上下方向に軸線を配した軸体12をもって回動可能に組み合わされている。ハンドルバー1”の他端はドアDの中央側に向けられている。
【0029】
連動バー272は、装置本体2の内部を通じてバー両端をそれぞれ装置本体2外に延出させると共に、装置本体2の一面20側のハンドルバー1”の両端間にバー一端を回動可能に組み付け、かつ、装置本体2の他面側のハンドルバー1”の両端間にバー他端を回動可能に組み付け、いずれのハンドルバー1”を操作してもドアDの厚さ方向へのスライド移動を生じるようになっている。
【0030】
通気部23は、装置本体2におけるドアDの中央側に近い箇所に形成されている。この通気部23は、装置本体2に上下方向に長く形成されている。この通気部23の装置本体2の一面20側(図11における下側)の入り口は、装置本体2の他面側の入り口よりもドアDの自由端Db側から遠い位置にあり、通気部23は装置本体2の一面20側の入り口からドアDの肉厚方向略中程の位置までの間に亘る第一流路23dと、装置本体2の他面20側の入り口からドアDの肉厚方向略中程の位置までに亘る第二流路23bとを、この肉厚方向略中程の位置で上下方向に長い連絡流路23eによって連絡させてなる。これによりこの例では、通気部23がドアDの肉厚方向に沿って真っ直ぐに続いていないことから、この通気部23を利用して室内側にドアDの施錠を解く工具などを入れ込むことが難しくなっている。かかる通気部23の入り口も、上下方向に長い板状の目隠し体3によって通気隙間Dhを作った状態で覆われている。図中符号30で示すのはこの通気隙間Dhを作るスペーサー部である。
【0031】
スライド体24fは、ラッチボルト22の備えられた外端部24gと、通気部23の連絡流路23eに対する弁体24iの備えられた内端部24hとを有している。スライド体24fの内端部24hは、第二流路23bを形成するドアDの自由端Db側に位置される壁部に形成された貫通孔23cを通じて通気部23内に入り込む。そして、このスライド体24fの内端部24hの端末には第一流路23dの側から連絡流路23eの内壁に着座して通気部23を閉鎖する上下方向に長い弁体24iが形成されている。
【0032】
図中符号274で示されるのはラッチボルト22をスライド体24fの外端部24gから突出させる向きに常時付勢するラッチボルト用バネである。一方、スライド体24fは装置本体2の内部に形成されたドアDの自由端側Dbに向いたバネ押さえ部275と、このスライド体24fの外端側に形成されてドアDの中央側に向いたバネ押さえ部24jとの間に介装された圧縮コイルバネ276により前記弁体24iを連絡流路23eの内壁に着座させる位置に通常は位置づけられるようになっている。(図11)
【0033】
装置本体2の内部には、スライド体24fの中間部に形成されたラック24kに噛み合う第一ギヤ部277bと、連動バー272の中間部に形成されたラック272aに噛み合う第二ギヤ部277aとを上下に一体に備えたピニオン277が回転軸を上下方向に沿わせて配されている。そして、この第三例にあっては、前記圧縮コイルバネ276の付勢によりスライド体24fと連動バー272とを介してハンドルバー1”が基準位置に位置づけられるようになっている。
【0034】
この第三例にあっては、ドアDの一面側(図11における下側)において基準位置にあるハンドルバー1”を引き操作すると、ピニオン277を介してスライド体24fがドアDの中央側にスライド移動され、これにより連絡流路23eの内壁から弁体24iが離座して通気部23の閉鎖が解かれるようになっている。なお、この例では、ドアDの他面20(図11における上側)側においては基準位置にあるハンドルバー1”を押し操作すると通気部23の閉鎖が解かれるようになっている。例えば、外開きの玄関ドアDにこの第三例にかかるドア操作装置Hを備えさせるときには、ドアDの屋外側に位置されるハンドルバー1”を引き操作したときに通気部23の閉鎖が解かれるようにしておく。
【0035】
図13に示されるように、前記ピニオン277の第一ギヤ部277bを第二ギヤ部277aよりも大径に構成させておけば、連動バー272の移動量に比しスライド体24fを大きく動かしてラッチボルト22をストライクから抜け出しやすくすることができる。
【0036】
また、図14に示されるように、前記ピニオン277に変えて、屈曲部271aを装置本体2に回動可能に支持されると共に、屈曲部271aを挟んだ一端271bをスライド体24fに回動可能に組み付け、他端271cを連動バー272に回動可能に組み付けさせた連係体271を用いてスライド体24fとハンドルバー1”とを連係させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第一例にかかるドア操作装置Hの利用状態を示した斜視構成図
【図2】同正面構成図
【図3】同平面構成図
【図4】同断面構成図(通気部23閉鎖状態)
【図5】図2におけるA−A線断面構成図(通気部23閉鎖状態)
【図6】第一例にかかるドア操作装置Hの利用状態を示した断面構成図(通気部23開放状態)
【図7】図6の状態における図5と同じ位置での断面構成図
【図8】第二例にかかるドア操作装置Hの利用状態を示した断面構成図
【図9】同断面構成図(ドア操作体1と閉鎖部材24との連係を解いた状態)
【図10】第三例にかかるドア操作装置Hの利用状態を示した斜視構成図
【図11】同水平断面構成図
【図12】同要部斜視構成図
【図13】同要部斜視構成図(ピニオン277の変更例)
【図14】同要部平面構成図(ピニオン277を連係体271に変更した例)
【符号の説明】
【0038】
D ドア
H ドア操作装置
Sa、Sb 空間
1 ドア操作体
1’ ドアハンドル
2 装置本体
23 通気部
24 閉鎖部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに取り付けられてこのドアにドアハンドル等のドア操作体を備え付けさせるドア操作装置であって、
ドアを挟んだ一方側の空間と他方側との空間とを連通させる通気部を備えた装置本体に、ドア操作体のドアを開放させる操作に連動してこの通気部の閉鎖を解く位置に移動されるこの通気部の閉鎖部材を内蔵させてなることを特徴とするドア操作装置。
【請求項2】
通気部の入り口を、ドアの外面との間に通気隙間を開けて覆う目隠し体を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のドア操作装置。
【請求項3】
ドア操作体のドアを開放させる操作に連動して閉鎖部材が通気部の通気方向に対し交叉する向きに移動してこの通気部の閉鎖を解くようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドア操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−156146(P2010−156146A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334810(P2008−334810)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】