説明

ドア敷居部内に光モジュールを備えるエレベータ装置

本発明は、踊り場(S1、S2)の間のエレベータ昇降路(11)内に変位可能に配置されたエレベータかご(12)を備えるエレベータ装置に関する。このエレベータかご(12)は、かご戸(14)を有し、エレベータ昇降路(11)は踊り場(S1、S2)にそれぞれの乗場戸(13)を有する。かご戸(14)または乗場戸(13)がドア敷居部(16)に関連付けられている。本発明の目的は、エレベータかご(12)と踊り場(S1、S2)との間のすき間(30)または段差を示すことにある。このため、エレベータかご(12)または踊り場(S1、S2)のドア敷居部(16)に少なくとも1つの光モジュール(20、21、22)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアの間のエレベータ昇降路内を移動可能に構成されたエレベータかごを備えるエレベータ装置に関し、エレベータかごはかご戸を有し、かつ/またはエレベータ昇降路は各フロアに乗場戸を有する。かご戸または乗場戸には敷居部が配設されている。本発明はまた、エレベータ装置内において、フロアの間のエレベータ昇降路内を移動するエレベータかごとフロアとの間のすき間を示す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のエレベータは乗場戸とかご戸とを有する。乗場戸は、それぞれの階においてエレベータかごがその階に存在しないときに、エレベータ昇降路を閉じるものである。エレベータかごが乗客の出入りのためある階に停止すると、乗場戸が開かれる。エレベータかごは、かご戸により閉じられている。エレベータかごがエレベータ昇降路内を移動している間、このかご戸は閉じられている。かご戸は、ある階での出入りのために開かれる。乗場戸またはかご戸は多くの場合、2つの部品で製作され、かつ本質的に2枚のドアパネルからなり、そのうち第1のドアパネルはドア開口のほぼ中央に案内され、第2のドアパネルはドア開口の開いた残りの半分を閉じるものである。製作の如何にかかわらず、乗場戸またはかご戸は敷居部において、フロアまたはエレベータかごの少なくとも床領域内で案内される。敷居部は通常、アルミニウムで作製される。高精度で製作されているにもかかわらず、エレベータかごが停止すると、エレベータかごとそれぞれのフロアとの間にはすき間が残る。人間の傷害に関して、このすき間は多くの場合、危険なものでない。しかし物体がこのすき間にはまり込むことはあり得る。さらに、エレベータ装置の機能に障害があると、出入りする人間にケガをさせる可能性がある危険な出っ張りないし段差となるフロアの高さとエレベータかごの高さとの違いが生じる可能性がある。
【0003】
特開平04−235886号により、フロアの敷居部とエレベータかご床の敷居部とを有するエレベータ装置が知られている。エレベータかご戸上には、外向きに突出するプラスチックキャップが配置されている。プラスチックキャップの下方には、出入りする乗客から見える光をプラスチックキャップのスリットを通して発する光源が設置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のエレベータでは、フロアレベルとエレベータかごとのすき間には追加的要素の設置はできないため、そのような構成はもはや不可能である。代表的には、すき間の幅は1cmである。したがって利用可能なスペースは大きく制限され、エレベータかごの敷居部もそれに応じて狭く構成される。さらに、エレベータの利用者がこのプラスチックキャップを踏むため、光が発するプラスチックキャップのスリットが汚れ、高さの違いの発生に関する警告が知覚不能、よって役に立たなくなり、その結果、安全性に関するリスクが生じる。
【0005】
この背景に対する目的は、注意がフロアとエレベータかごとの間のすき間または段差に向けられ、追加的な要素および/またはスペースの必要なしに警告機能が汚れにより損なわれることのないエレベータ装置および方法を提供することにある。
【0006】
この目的は、独立請求項の特徴により実現される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フロアの間のエレベータ昇降路内を移動可能に構成されたエレベータかごを備えるエレベータ装置において、エレベータかごはかご戸を有し、またはエレベータ昇降路は各フロアに乗場戸を有し、エレベータ装置のかごとフロアとの間のすき間または段差の警告を行なうため、警告が容易に視認できる位置に少なくとも1個の光モジュールが配置されるという着想に基づいている。フロアおよび/またはエレベータかごの敷居部への光モジュールの一体化により、光が警告として発せられ、エレベータの利用者により確実に感知される。警告灯はすき間または段差による危険が発生するまさにその箇所において発光すると有利である。敷居部の光モジュールには戸の絶え間ない移動による清掃効果を及ぼし、光モジュールの汚れが常に取り除かれ、すき間または段差の警告が確実に感知されるようになっていると有利である。
【0008】
光モジュールはエレベータかごおよび/またはフロアの床領域内に配置すると有利である。通常、エレベータを出入りする人間は床を見るため、かご戸または乗場戸の敷居部に配置された光モジュールは特に容易に視認できる。
【0009】
敷居部は溝を有すると有利である。光モジュールは固定および/または保護のための付加的な機械要素を必要とせずこの溝内に直接取り付けられる。かご戸および/または乗場戸はそれぞれドア案内溝の対応する敷居部内で案内されると有利である。そのようなドア案内溝はエレベータ扉を案内するため敷居部の上部側において必要となる。ドア案内溝は、戸の直近に延び、かつ少なくとも1枚のドアパネルを案内する敷居部の領域である。本発明によれば、光モジュールは敷居部の上部側に省スペース形式で一体化して組み込まれる。「省スペース」とは、敷居部の幅が光モジュールの存在により影響を受けないことを意味している。少なくとも1枚のドアパネルの幅と固定手段のためのスペースとにより大部分が決定される敷居部の最小幅は変わらず狭いままである。ドア案内溝への光モジュールの一体化には、敷居部の剛性が付加的な溝によって損なわれないという利点がある。さらに、発生し得る汚れ物質を規則的にドア案内溝内へ押し戻すことなく汚れ物質を収容および捕集するための、ドア案内溝近傍の付加的な溝の必要がない。したがって、敷居部に光モジュールを一体化するための付加的な要素および/またはスペースが不必要である。さらに、光モジュールが付加的な機械要素なしに省スペース形式で敷居部内に直接一体化されるため、光モジュールの設置および保守がより簡易かつ迅速となる。
【0010】
有利な実施形態はサブクレームにおいて記述されている。
【0011】
好ましい実施形態では、光モジュールはエレベータかごおよび/またはフロアの側部領域まで延びている。光モジュールはまたエレベータかごまたはフロアの側部領域において少なくとも部分的に視認可能である。敷居部はそれぞれの側部領域まで延ばすことが可能であり、この場合、光モジュールはこの側部敷居部に一体化される。光モジュールはエレベータかごまたはフロアの側部領域にのみ配置することができる。しかし、床領域および側部領域の双方に光モジュールを配置することも可能である。さらに、敷居部を設けずにエレベータかごまたはフロアの側部領域に光モジュールを配置することもできる。光モジュールを故障なく機能させるため、光モジュールをドア案内溝の少なくとも1つの垂直壁内に配置することが有利であると予測される。この光モジュールの配置により、ドア案内溝内の汚れが光モジュールを覆うことが防止される。また、ドア案内溝内における戸の前後移動により、光モジュール前部に生じ得る汚れの堆積が除去される。
【0012】
複数のドアパネルを備えた入れ子式のエレベータ扉の場合、できる限り多くのスペースを省くため、扉のドアパネルのための2本のドア案内溝の間に光モジュールを配置すると有利である。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施形態では、かごの内部空間に向けられているためかごの内部空間の方向から感知可能な第1の光モジュールをドア案内溝内に配置することが予見される。また反対側垂直壁上の同じドア案内溝内には、かご内部から外へ光るとともに、かごに入る際に感知可能となるように反対の方向に向けれらている第2光モジュールが配置されている。ドア案内溝内に2つの光モジュールを配置することには、光モジュールにより発せられた光が、エレベータかごに入る際およびエレベータかごから出る際の両方において感知可能であるという利点がある。それぞれの垂直壁に装着することにより、汚れ、したがって視認性の悪化が防止される。
【0014】
本発明の有利な実施形態では、内側および外側のドア案内溝を備えた敷居部を形成することが予見される。本実施形態は、かご戸および/または乗場戸が2つの部品で形成される場合に特に用いられる。この場合、外側のドア案内溝に第1光モジュールを配置し、内側のドア案内溝に第2光モジュールを配置すると有利である。これにより、第1光モジュールはかご内部より視認可能であり、エレベータかごから出る際に感知可能となる。第2光モジュールはエレベータかごに入る際に視認可能である。内側および外側のドア案内溝に第1および第2の光モジュールを装着することには、敷居部の剛性が維持されるとともに、光モジュールから発せられる光に対する局所的なすき間の影響が弱められ、2つの光モジュールを別個に制御しエレベータ装置の状態に応じて選択的に点灯および消灯することができるという利点がある。例えば、エレベータかごが空の場合、かご内部には人がいないため、かご内部に向けられた光モジュールを点灯する必要はない。
【0015】
別の方法として、第1光モジュールおよび第2光モジュールを敷居部の近接する壁部に配置することが可能である。これにより、2つの光モジュールに共通の電源を実現でき、その結果、装置のための支出および費用が低減される。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態では、光モジュールがエレベータかごの位置に応じて光信号を発するように制御されることが予見される。これにより例えば、フロアとエレベータかごとの高さの違いによる危険な状況に注意を引くことができる。また光モジュールをいくつかの部分に分割し、それらの部分を交互に点灯および消灯させることも可能である。光モジュールはエレベータかごおよび/またはフロアの床領域および/または側部領域の全長にわたって延びるものとすることができる。しかし、光モジュールはエレベータかごおよび/またはフロアの床領域または側部領域の1箇所または数箇所の位置に配置することもできる。
【0017】
光モジュールは、白色領域の波長における光信号を発すると有利である。白色光は特に容易に視認できる。また光モジュールにより発せられる光信号は、かご戸の位置および/または乗場戸の位置に応じて発光されると有利である。例えば、戸が閉まっているとき、敷居部に組み込まれた光モジュールは視認不能なため、光モジュールを点灯する必要はない。さらに、エレベータの位置を考慮せず、それぞれの戸が開いているときに常に恒久的に光モジュールを点灯することも可能である。これには、フロアとエレベータかごとの高さの違いの有無にかかわらず、エレベータの利用者がエレベータかごとフロアとの間のすき間を常時認識させられるという利点がある。
【0018】
光モジュールは、例えばプリント回路基板上に配置されたLEDで形成すると特に有利である。これらのLEDは、好ましくは耐傷性材料から作製される拡散ディスクにより覆うことが好ましい。これにより、光モジュールを非常に小型かつ独立式のものとし、敷居部における例えば1.5cm未満の非常に小型の溝にも挿入することができる。拡散ディスクを通して、LEDにより発せられた光は均一に分散され、光モジュールが光の帯として作用するようになっている。LEDの使用により、電流消費量が確実に低いものとなる。拡散ディスクに耐傷性材料を用いることにより、光モジュールが汚れおよび損傷から保護される。LEDの寿命は、従来の他の光源よりもはるかに長い。
【0019】
また、電流を流すと光り始める有機発光物質を光モジュールに組み込むことも可能である。このようなOLEDは背景照明を必要とせず、可撓的に構成される。また非常に少ないエネルギーしか消費せず、放出された光はあらゆる角度から容易に視認できる。本発明による光モジュールの全長に沿ってOLEDが取り付けられるように大面積のOLEDを具現化することも可能である。発光する他のプラスチック、いわゆるスマートプラスチックも使用可能である。
【0020】
光モジュールを発光させるさらなる手段は、光モジュールに光導波管を組み込むことである。光導波管の端面内には、例えばレーザまたはLEDとしての良好な光源により発光体が連結される。光導波管は原理的には、その長手方向軸に沿って光を伝送するためのものであるが、光をその端面に連結すると、改変されていない未被覆の光導波管であっても長側面に光を認めることができる。さらに、光導波管の長側面から発光可能なように、光導波管の長側面を改変することができる。このためには、導波された光波の全反射が生じず光波がこれらの点において光導波管から発出可能となるように、光導波管のそれぞれの長側面の屈折率を変更する必要がある。内側光導波路の表面にある小さな凹凸は、これらの点において発光可能となるように屈折率を変えるものとなる。光導波管の使用が有利なのは、十分なスペースが利用可能で電流の供給も問題のないエレベータかご内またはフロア上の位置において光導波管への光の連結が予見できるからである。
【0021】
本発明の例示的な実施形態では、かご戸および/または乗場戸を開閉する際に光モジュールを清掃するように光モジュールの上部を移動する清浄要素がかご戸および/または乗場戸の光モジュールの領域内に配置される。この清浄要素は例えばラバーリップまたはブラシの形態をとることができる。開閉の際の光モジュール上部における移動により、光モジュール上の汚れの堆積が確実に除去される。
【0022】
光モジュールが、エレベータ装置の状態に応じてその光の色を変えると特に有利である。そのためには、様々な色の光を発し得る発光ダイオードまたは物質を光モジュールに組み込むか、または様々な色をそれぞれ発し得るいくつかの発光ダイオードまたは物質を配置することが必要である。光モジュールの警告効果を高めるさらなる手段は、危険の状態または警告の状態に応じて光モジュールの照明継続時間を変化させることである。したがって例えば、フロアとエレベータかごとの高さの違いが生じた場合に、脈動光が発せられるように光モジュールが定時パルスを発生させることも可能であり、これにより知覚可能性が高められる。これに対し、すき間に注意を向けさせるため、恒久的に発光する光が用いられる。恒久的に発光する光は、段差による危険がないことを乗客に示すものである。警告機能のレベルを変化させるため、例えばフロアの高さとエレベータかごの高さとの間の特に高い段差により大きな危険がある場合に、光モジュールを短い間隔で点滅させることが考えられる。危険がより小さい場合、点灯と消灯との間隔を長くすることができる。
【0023】
エレベータ装置においてエレベータかごとフロアとの間のすき間を示す本発明による方法では、かご戸または乗場戸に敷居部が割り当てられていると考えられる。フロアおよび/またはエレベータかごの敷居部における溝内には、可視域の波長を有する光を発する少なくとも1つの光モジュールが配置されている。
【0024】
以下、図面で概略的に示される例示的実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
エレベータ装置10の構造が図1に概略的に示されている。エレベータ装置10は、フロアS1およびS2の間のエレベータ昇降路11内を移動させられるエレベータかご12を含む。エレベータかご12は、モータ(図示せず)により運動が与えられるエレベータロープ24に固定されている。エレベータかご12は、かご戸14により閉じられている。フロアS1およびS2において、エレベータ昇降路11は乗場戸13により閉じられている。フロアS1およびS2の乗場戸13の前方にはエレベータ踊り場25、26がある。フロアS1、S2の床領域は、参照符号15により示されている。エレベータかご12の床領域は、参照符号23により示されている。
【0026】
本明細書に記述する例示的実施形態では、それぞれ2枚のドアパネル(図6)、すなわちエレベータかご12またはフロアS1、S2の第1のドア領域を覆う第1ドアパネル13a、14aと第2のドア領域を覆う第2ドアパネル13b、14bとから構成されるかご戸14および乗場戸13が用いられる。乗場戸13も2つの部品で形成される。かご戸14および乗場戸13のドアパネル14a、14b、13a、13bは、それぞれ敷居部16内を案内される。敷居部16は、それぞれのフロアS1またはS2の床領域15内に配置される。エレベータかご12の敷居部16は、エレベータかご12の床領域23内に配置されている。乗場戸13およびかご戸14の敷居部16は本質的同一に構成されている。
【0027】
乗場戸13の敷居部16は、外側ドア案内溝17と内側ドア案内溝18とを有する。エレベータ踊り場25、26から見ると、外側ドア案内溝17はエレベータかご12に向かって最も遠くに配置され、内側ドア案内溝はエレベータ踊り場25、26の内側に延びている。ドア案内溝の幅は例えば1.4cmである。
【0028】
エレベータかご12の敷居部16における内側ドア案内溝18は、エレベータかご12の敷居部16の外側ドア案内溝17よりかご内部27に向かって内側に設置される。
【0029】
敷居部16は、内側および外側ドア案内溝17、18の近傍に配置された溝19を有する。この溝19の寸法は、ドア案内溝17、18よりも小さいことが好ましい。本発明によれば、ドア案内溝17および18の間に延びる溝19内に光モジュール20を組み込むことが予見される。図2から明白な通り、かご戸14のドアパネル14a、14bおよび乗場戸13のドアパネル13a、13bは、エレベータかご12およびフロアS2の敷居部16内においてそれぞれの光モジュール20の上部を移動するため、光モジュール20に対し清浄効果を及ぼす。ドアパネル13bと14aとの間のスペースは、非常に限られているため、これら2枚のドアパネルの間に機械的要素を組み込むことはできない。
【0030】
敷居部16の拡大図が、2枚パネルのかご戸14に関して具体的に図3に示されている。外側ドア案内溝17は、エレベータかご12の最外縁部に配置されている。外側ドア案内溝17と内側ドア案内溝18との間には、光モジュール20が収容された溝19が配置されている。外側ドア案内溝17内におけるかご戸14の概略的に描かれたドアパネル14aの移動が、図3に矢印で示されている。
【0031】
図4の代替的実施形態では、光モジュール21、22がドア案内溝17、18の垂直壁内に配置されている。またエレベータかご12で用いられる敷居部16が図示されている。外側ドア案内溝17内には、かご内部27に面する壁部に配置された第1光モジュール21が組み込まれている。内側ドア案内溝18内の垂直壁には、エレベータかご12に入る際に見える第2光モジュール22が配置されている。本実施形態では、内側および外側ドア案内溝17、18の間に配置された溝19は開口しており、溝19内に堆積することのある汚れをかご戸14のドアパネル14a、14bと敷居部16との間の縁部に捕集されることなく集めることができる。
【0032】
光モジュール20、21、22を備えた敷居部16の本発明による実施形態が、図5aおよび図5bに拡大して示されているが、図5aは図4の細部Bを拡大して示しており、図5bは図3の細部Cを拡大して示している。
【0033】
図5aに示す光モジュール22は、敷居部16内にポジティブフィット(positive fit)して収容され、かつ垂直壁内に配置されている。かご戸14のドアパネル14bは、かご戸14の移動の際に光モジュール22の上部を移動して清浄効果を及ぼす清浄要素28を備えている。
【0034】
図5bにおいて、かご戸14のドアパネル14a上には、かご戸14の移動の際に溝19およびその中に組み込まれた光モジュール20の上部を移動し、光モジュール20を清掃する清浄要素29が配置されている。
【0035】
かご戸14または乗場戸13のそれぞれ床領域23、15における敷居部16内の光モジュール20、21、22の別の配置方法として、エレベータかご12またはフロアS1、S2の側部領域31に光モジュール20、21、22を配置することも可能である。この配置は図6に示されている。この配置では、この側部領域31まで延びる敷居部16の側部領域31内に光モジュール20、21、22を案内することも可能である。しかしながら、エレベータかご12またはフロアS1、S2のいずれかに敷居部16を用いず側部領域31に光モジュール20、21、22を配置することも可能である。敷居部16が側部に配置される場合、光モジュール21、22は、側部のドア案内溝17、18に押し込まれるかご戸14または乗場戸13によりそれぞれ清掃される。
【0036】
光モジュール20、21、22の制御に関するさらなる説明は本明細書では行なわない。これは図示しないエレベータ制御装置により行なわれる。
【0037】
本発明による実施形態によれば、フロアS1、S2とエレベータかご12との間のすき間30に注意を向けることができるようになる。光モジュール20、21、22は大きな構造的出費なしに敷居部16と一体化できるように配置されている。光モジュール20、21、22の敷居部16への一体化には、かご戸14または乗場戸13がそれぞれの光モジュール20、21、22の上部を通過して摺動し清浄効果を及ぼす結果、光モジュール20、21、22の警告機能が汚れにより損なわれないという利点がある。
【0038】
光モジュールは敷居部の溝内に直接組み込むことができ、この溝の寸法はドア案内溝よりも小さい。これによりスペースが節約され、設置のための付加的な機械的要素が不必要となる。特に、敷居部(図2参照)上の光モジュールのためのスペースが不必要となる。
【0039】
図7は、本発明による光モジュールを概略的に示している。光モジュール支持体のそれぞれの外側端部には、チャネルの内側に向けて光を発する円筒状LED40を固定することが好ましい。光モジュール支持体のチャネル内に存する円筒状(tublar)レンズを通して、LEDの光は均一に分散され、外向きに投射される。レンズおよびLEDは透明カバー42により保護されている。ホルダ41は、LEDを保持するとともに冷却作用を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】エレベータ装置の概略図である。
【図2】図1の細部Aの拡大断面図である。
【図3】本発明による敷居部の概略図である。
【図4】本発明による敷居部の別の実施形態である。
【図5a】図4の細部Bの拡大概略図である。
【図5b】図3の細部Cの拡大図である。
【図6】エレベータかご内またはフロア上における光モジュールの配置の概略図である。
【図7】本発明による光モジュールの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ昇降路(11)内にフロア(S1、S2)の間で移動可能に配置されたエレベータかご(12)を備えるエレベータ装置であって、エレベータかご(12)がかご戸(14)を有するか、あるいはエレベータ昇降路(11)が各階(S1、S2)に乗場戸(13)を有し、かご戸(14)または乗場戸(13)には敷居部(16)が割り当てられ、敷居部(16)に少なくとも1つの光モジュール(20、21、22)が配置され、光モジュール(20、21、22)が敷居部(16)における溝(19)内に配置されており、
光モジュール(20、21、22)が敷居部(16)上部のドア案内溝(17、18、19)内に省スペース形式で配置されることを特徴とする、エレベータ装置。
【請求項2】
光モジュール(20)が2つのドア案内溝(17、18)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
ドア案内溝(17、18)内の第1光モジュール(21)がかご内部(27)の方向に向けられ、ドア案内溝(17、18)内の第2光モジュール(22)が反対方向に向けられることを特徴とする、請求項1または2の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
光モジュール(20、21、22)が白色領域の光を放射することを特徴とする、請求項1から3の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項5】
光モジュール(20、21、22)がかご戸(14)または乗場戸(13)の位置に応じて光信号を発することを特徴とする、請求項1から4の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
光モジュール(20、21、22)が、拡散ディスクの下方に配置されたLED(40)を含み、拡散ディスクが好ましくは耐傷性材料からなることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項7】
光モジュール(20、21、22)が、電流を供給すると光り始める有機発光物質を含むことを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項8】
光モジュール(20、21、22)が、光を連結可能、かつ軸方向長さに沿ってエレベータかご(12)またはフロア(S1、S2)の方向に光を発する光導波管を含むことを特徴とする、請求項1から7の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項9】
かご戸(14)または乗場戸(13)が、かご戸(14)または乗場戸(13)が開閉されると光モジュール(20、21、22)上部を清掃するように移動する清浄要素(28、29)を有することを特徴とする、請求項1から8の一項に記載のエレベータ装置。
【請求項10】
エレベータ装置(10)においてエレベータかご(12)とフロア(S1、S2)との間のすき間(30)を示す方法であって、エレベータかご(12)がフロア(S1、S2)の間のエレベータ昇降路(11)内を移動し、敷居部(16)がかご戸(14)または乗場戸(13)に割り当てられ、可視域の波長を有する光を発する少なくとも1つの光モジュール(20、21、22)が敷居部(16)に配置され、光モジュール(20、21、22)が敷居部(16)の溝(19)内に配置されており、
光モジュール(20、21、22)が敷居部(16)上部のドア案内溝(17、18、19)内に省スペース形式で配置されていることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−517850(P2008−517850A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537093(P2007−537093)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000606
【国際公開番号】WO2006/045211
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】