説明

ドア装置

【課題】ドア装置を、ドア体の引き込みスペースを開口部に隣接して設けることなく、しかも、車椅子の通行者にも開閉操作しやすい構成となるようにする。
【解決手段】ドア体2を、走行レール6にスライド移動自在に吊持される戸先側のスライドドア部3と、見付け幅方向中間部が開口部H戸尻側に揺動自在に配した支持アーム7のアーム部7a、7b先端に枢支される戸尻側の回転ドア部4とを連結部材5により揺動自在に連結し、スライドドア部3のスライド移動により回転ドア部4を回転させて戸尻側の側壁Wに沿って引き寄せて、スライドドア部3と回転ドア部4とが折曲する状態で開口部を開放するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内に設けられるトイレブースのような個室の出入り口部等を開閉するドア装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物内に設けられるトイレブースのような個室の出入り口部を開閉するドア装置としては、ドア体の戸尻側端部を躯体に揺動自在に連結した開き戸装置や、ドア体を左右方向に押し引きする引き戸装置が一般的である。前記開き戸装置は、健常者にとっては容易に開閉することができるが、車椅子に乗った人が開閉しようとした場合では、車椅子を移動させながらドア体の開閉をしなければならず、操作が難しいという問題がある。一方、引き戸装置は、車椅子使用者にも操作しやすい構成であるが、ドア体を引き込むためのスペースを開口部に隣接して別途設ける必要があり、設置箇所が限定されるという問題がある。
【0003】
この改善策として、ドア体の戸尻側部位を、基端部が開口部に揺動自在に設けられた支持アームの先端に枢支する一方、ドア体の戸先側部位を、開口部の上方に設けたレール体に移動自在に吊持する構成とした回転式のドア装置が提唱されている(特許文献1)。そして、このものでは、ドア体の戸先側部位を表裏何れか一方に操作することにより、支持アームが前記一方に向けて揺動し、該一方に揺動する支持アームの枢支部を支点として、ドア体が戸尻側端部を表裏方向他方側に突出する状態で回転し、この状態でドア体を戸尻側に押しやることで、ドア体が開口部の戸尻側に寄せられて開口部を開放するように構成されており、これによって、開き戸装置ほど大きなストロークで押し操作をすることなく、しかも、引き戸装置のように引き込みスペースを別途設けることなく開口部を開放できるように構成されている。
また、ドア体を複数の扉体に分割するとともに、これらを互いに揺動自在に連結した折り戸式のドア装置が提唱されている(特許文献2)。そして、このものでは、戸先側に設けた把手付きの案内扉を、引き戸の開閉操作のように左右方向に押し引き操作することにより、各扉体を折り畳む状態で開口部を大きく開放することができるように構成され、これによって、引き戸装置のような操作で開閉できるものでありながら、ドア体を引き込むスペースが小さくできるように構成されている。
【特許文献1】特開平11−50732号公報
【特許文献2】特開2004−324155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献1のものでは、ドア体を開放作動させる場合に、戸先側を表裏方向に押しやる開き戸装置のような操作に続いて、引き戸装置のように戸尻側に押しやる操作を行なう必要があって、操作が難しいばかりでなく、ドア体を押し操作すると支持アームの枢支部の両側が開口することになるので、通行者が戸先側と戸尻側の何れの開口に進入すればよいのか一瞬戸惑ってしまうことが想定され、操作性に劣るという問題がある。そのうえ、このものにおいて、ドア体の戸先側の端部が開口部から突出した状態で開閉作動するので通行の邪魔になるという問題もある。
また、特許文献2のものでは、ドア体を複数に分割する構成であるため、部品点数が増加して構成が複雑になるという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、躯体開口部を開閉するドア体を、戸先側に配され、開口部上方に配した走行レールにスライド移動自在に吊持されるスライドドア部と、戸尻側に配され、見付け幅方向中間部が開口部戸尻側に揺動自在に配した支持アームのアーム先端に枢支される回転ドア部とを揺動自在に連結し、前記スライドドア部のスライド移動により支持アームを表裏方向一方に揺動せしめることに基づいて、回転ドア部が支持アームとの枢支部を支点として戸尻側端部を表裏方向一方に向けて回転するように構成し、スライドドア部と回転ドア部とが左右方向に並列して開口部を閉鎖する全閉姿勢と、スライドドア部に対して回転ドア部が揺動して戸尻側に引き寄せられて開口部を開放する全開姿勢とに変姿するように構成したドア装置である。
請求項2の発明は、スライドドア部と回転ドア部とは、上下に設けたギア付きヒンジを介して連結されている請求項1に記載のドア装置である。
請求項3の発明は、ドア体は、開放作動に伴い閉鎖方向の付勢力が蓄勢される付勢手段が設けられる一方、スライドドア部の戸先側と躯体とのあいだに設けた磁性体により全閉姿勢が保持される構成とし、前記付勢手段は、ドア体の磁性体による全閉姿勢の保持解除に伴い、支持アームを表裏方向一方に揺動させるように調整されている請求項1または2に記載のドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ドア体の引き込みスペースを開口部に隣接して設ける必要のないものでありながら、引き戸装置と同様の操作でドア体を開閉することができて操作性のよいものにできるうえ、回転ドア部が開口部から突出して通行の邪魔をするようなことがないようにできる。
請求項2の発明とすることにより、回転ドア部を安定した揺動状態とすることができるうえ、指挟みを防止できる。
請求項3の発明とすることにより、全閉姿勢のドア体を開放する作動を円滑、かつ、軽快に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は躯体に形成された開口部Hに設けられるドア装置であって、該ドア装置1を構成するドア体2は、開口部Hの左右方向一方であって戸先側に位置するスライドドア部3と、戸尻側に位置する回転ドア部4とにより構成されており、スライドドア部3の戸尻側端部と、戸尻側に位置する回転ドア部4の戸先側端部とは、互いの突き合わせ部に後述する連結部材5を組み込むことにより揺動自在に連結されている。
【0008】
一方、開口部Hの上縁部には、左右方向を向く走行レール6が設けられている一方、開口部Hの戸尻側には支持アーム7が設けられている。前記支持アーム7は、上下一対のアーム部7a、7bと、これらアーム部7a、7bの基端部同士を一体的に連結する支軸部7cとを備えてコ字形状に形成されており、支軸部7cを、開口部Hの戸尻側部位に回転自在に支持することにより、上下一対のアーム部7a、7bが開口部Hを揺動するように設定されている。ここで、本実施の形態のアーム部7a、7bは、図1をドア装置1の正面図としたとき、開口部Hの裏面側(図1の図面奥側)への揺動が許容されるように構成されており、表面側(図1の図面手前側)への揺動は規制されるように構成されている。
【0009】
そして、前記ドア体2の戸先側を構成するスライドドア部3は、幅狭なパネル体を用いて形成されており、表裏両パネル面には開閉操作用の操作ハンドル3aがそれぞれ設けられている。また、スライドドア部3の上端面には、走行ローラ8が上方に向けて突設されており、該走行ローラ8を開口部H上縁部の走行レール6に移動自在に吊持することにより、スライドドア部3は、走行レール6に沿って開口部Hを左右方向に移動自在に走行するように構成されている。
【0010】
前記回転ドア部4は、幅広のパネル体を用いて構成されており、見付け幅方向中間部を、前記支持アーム7の上下一対のアーム部7a、7bの先端部に枢支軸7d、7eを介して回転自在に枢支されている。これによって、回転ドア部4は、各枢支軸7d、7eで構成される枢支部を支点として支持アーム7に対して回転自在な状態で支持されるように構成されている。
【0011】
そして、スライドドア部3と回転ドア部4とを揺動自在に連結する前記連結部材5は、上下方向に長いパイプ体9と、該パイプ体9の上下に組み込まれる一対のヒンジユニット10とにより構成されており、前記パイプ体9は、左右一対の円弧面を備えたパイプ形状に形成されている。そして、パイプ体9の上下にはそれぞれヒンジユニット10が組み込まれているが、該ヒンジユニット10は、一対のL字形に折曲された取り付けプレート11と、これら取り付けプレート11とそれぞれ一体回転する一対のギア体12とを、これらギア体12同士が互いに噛合する状態として、パイプ体9と同様の外形状に形成されたギアプレート13に回転自在に組み込むことにより構成される所謂ギア付きヒンジに構成されている。そして、ヒンジユニット10を、各一対の取り付けプレート11とギア体12とがそれぞれ回転自在に組み込まれたギアプレート13をパイプ体9の上下両端面に固定し、各ヒンジユニット10の一対の取り付けプレート11を、スライドドア部3の上下の戸尻側端部と、回転ドア部4の上下の戸先側端部とにそれぞれ固定することにより、スライドドア部3と回転ドア部4との揺動自在な連結がなされるように設定されている。この連結状態において、ドア体2は、スライドドア部3と回転ドア部4とが揺動する場合に、パイプ体9があいだに配設されることによりドア部3、4同士のあいだに指が挟まるようなことが防止され、かつ、各ヒンジユニット10に配される一対のギア体12同士が互いに噛合する状態で揺動することにより、ドア部3、4の連結部における上下部位が同じ揺動状態(同速度での揺動)となって、ガタつきがなく回転ドア部4を安定した状態で揺動させることができるように構成されている。
【0012】
このように構成されたドア体2は、スライドドア部3と回転ドア部4とが左右方向に並列する状態において開口部Hを閉鎖する全閉姿勢となるように設定されている。このとき、開口部Hの戸先側上部であって、スライドドア部3に設けられた走行ローラ8との対向部位には、マグネット(本発明の磁性体に相当する)14が一体的に設けられている。そして、ドア体2は、全閉姿勢に近付くことによりマグネット14の磁着力により走行ローラ8が戸先側に吸引され、これによって、ドア体2が全閉姿勢となり、該全閉姿勢が保持されるように設定されている。
前記全閉姿勢の状態からドア体2を開放操作する場合では、スライドドア部3の操作ハンドル3aを把持し、引き戸式のドア装置を操作する場合と同様の操作であって、この場合では、マグネット14の磁着力に抗する操作力で操作ハンドル3aを戸尻側(図1において右側)に向けて操作することにより、ドア体2の開放操作が開始するように設定されている。
【0013】
ここで、本実施の形態のドア装置1は、回転ドア部4と、支持アーム7の上側のアーム部7aとの連結部である上側枢支軸7dとの連結部に自動閉鎖装置(本発明の付勢手段に相当する)15が設けられている。前記自動閉鎖装置15は、ドア体2が開放作動(後述するように、回転ドア部4が戸尻側に引き寄せられるように支持アーム7に対して回転作動)することにより蓄勢され、ドア体2(回転ドア部4)を閉鎖方向に付勢するように設定された付勢弾機(図示せず)が内装されている。さらに、本実施の形態において、自動閉鎖装置15の付勢弾機は、スライドドア部3がマグネット14の磁着力に抗して開口部Hの戸先側から離れた開放操作始動時に、図2に示すように、支持アーム7a、7bと回転ドア部4との連結部である枢支部(枢支軸7d、7e部)を裏面側に向けて強制的に変位させる付勢力を有するように調整されている。尚、前記開放操作開始時に発生する付勢力の大きさは、マグネット14の磁着力よりも小さく設定されており、これによって、ドア体2が自動閉鎖装置15の付勢弾機に基づいて閉鎖した場合では、スライドドア部3が開口部Hの戸先側に近付くことでマグネット14の磁着力に基づいて全閉姿勢に変姿するように構成されている。
これによって、操作ハンドル3aが戸尻側に向けて開放操作がなされ、スライドドア部3が開口部Hの戸先から離れた状態となると、支持アーム7a、7bと回転ドア部4との連結部である枢支部(枢支軸7d、7e部)が、強制的に裏面側に向けて変位し、これによって、支持アーム7のアーム部7a、7bが裏面側に向けて揺動する作動と、回転ドア部4を戸尻側端部が裏面側に突出する状態での回転変位する作動とで構成される開放作動が、円滑、かつ、軽快に開始するように構成されている。
【0014】
そして、前記開放作動が開始された状態において、操作ハンドル3aをさらに戸尻側に操作してスライドドア部3が戸尻側に移動させると、図3、4に示すように、支持アーム7のアーム部7a、7bは裏面側に向けてさらに揺動変位し、これに伴い、回転ドア部4は、スライドドア部3に対して戸尻側端部をさらに裏面側に位置させるように裏面側への変位と、回転揺動とを行うように設定されている。ここで、本実施の形態における開口部Hは、戸尻側の端部から裏面側に向けて側壁Wが立設されている。そして、回転ドア部4は、スライドドア部3の戸尻側への変位に伴い、戸先側端部は走行レール6に沿って戸尻側に変位する一方で、戸尻側端部は側壁Wに沿うようにして裏面側に変位することで戸尻側に引き寄せられ、スライドドア部3が開口部Hの戸尻側に達し、回転ドア部4がスライドドア部3に対して直交状となることにより、スライドドア部3の戸先側に開口が形成される全開姿勢となるように設定されている。尚、ドア体2は、通行者が操作ハンドル3aを離すと自動閉鎖装置15の付勢弾機に基づいて閉鎖作動を開始し、前述したように、全閉姿勢となる少し前の段階になるとマグネット14に吸引されて全閉姿勢となるように設定されている。このように、ドア体2は、引き戸装置と同様の操作ハンドル3aの操作、即ち、操作ハンドル3aを戸尻側に押しやる操作をするだけでドア体2を開放させることができ、しかも、回転ドア部4の戸先側端部は、スライドドア部3の戸尻側端部に連結されていて、全閉姿勢と全開姿勢との変姿の過程で、走行レール6に沿った軌跡で変姿することになって開口部Hから表面側に突出して通行の邪魔をするようなことがなく、操作性のよいドア装置1となるように構成されている。
【0015】
叙述の如く構成された本形態において、ドア体2は、スライドドア部3と回転ドア部4との二枚のドア部3、4を連結部材5により揺動自在に連結したものに構成されて、部品点数の少ないドア体2とすることができるうえ、スライドドア部3を、引き戸装置と同様に左右方向へ移動する作動が行なわれることで開口部Hを開閉することができるため、引き戸装置のように開口部に隣接して引き込みスペースを別途設けることなく、引き戸装置と同様の感覚で操作、通行することができて、車椅子の通行者にとっても操作性のよいドア装置1とすることができる。しかも、ドア体2を開放作動すると、回転ドア部4の回転変位により回転ドア部4の左右両側に開口部が形成されるが、該回転ドア部4の戸先側に操作ハンドル3aが設けられたスライドドア部3が連結されているので、出入り口部を誤ってしまうことがないという利点もある。
そのうえ、このものでは、回転ドア部4はスライドドア部3の戸尻側端部に連結されているので、ドア体2の開閉作動の過程で、回転ドア部4の戸先側端部は走行レール6に沿った軌跡で変姿することになって開口部Hから突出することがなく、回転ドア部4が通行の邪魔になるようなこともない。
【0016】
そのうえ、本発明が実施されたものにあっては、スライドドア部3と回転ドア部4とを連結する連結部材5を、ギア付きヒンジで構成されるギアユニット10と、該ギアユニット10が上下に組み込まれる上下方向長尺状のパイプ体9とにより構成したので、スライドドア部3と回転ドア部4との連結部が上下において回転速度がずれてしまうようなことがなく、回転ドア部4を安定した揺動状態とすることができるうえ、ドア部3、4同士のあいだに指挟みしてしまうような不具合も防止できる。
【0017】
さらに、このものにあっては、自動閉鎖装置15が設けられていて、開放されたドア体2を自動的に閉鎖することができるが、自動閉鎖装置15は、ドア体2がマグネット14による磁着力に抗して開放操作されると、回転ドア部4の支持アーム7のアーム部7a、7bへの枢支部(枢支軸7d、7e部)を表裏方向裏面側に押しやるように付勢するように調整されているので、全閉姿勢から開放作動する場合に、回転ドア部4と支持アーム7との開放方向への回転作動が円滑、かつ、軽快に始動されることになって、操作性のさらなる向上を図ることができる。
【0018】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図5に示す第二の実施の形態のように構成することができる。
前記第二の実施の形態のドア装置を構成するドア体16は、戸先側のスライドドア部17と戸尻側の回転ドア部18とを連結部材19により揺動自在に連結して構成し、第一の実施の形態と同様に、スライドドア部17を引き戸装置のように左右に移動させることにより、回転ドア部18の戸尻側端部が表裏方向一方である裏面側に向けて突出する状態で回転して戸尻側に引き寄せられ、スライドドア部17の戸先側に大きな開口を形成するように構成され、引き戸装置と同様の感覚で操作、通行することができて、操作性のよいドア装置とすることができ、しかも、ドア体16の開閉作動の過程で、回転ドア部18が開口部から突出することがなく、回転ドア部18が通行の邪魔をしないようにできる。尚、図中、第一の実施の形態と同様の部材構成については同様の符号を付すことで説明を省略する。
そしてこのものでは、連結部材19を、パイプ体19aと、該パイプ体19aの上下に設けられるギア付きヒンジであるヒンジユニット19bとで構成するにあたり、パイプ体19aの形状が断面長円形状に形成されている。これによって、ドア体16は、スライドドア部17と回転ドア部18とがガタつきなく揺動するように構成することができ、しかも、スライドドア部17と回転ドア部18とのあいだに指挟みの惧れがなく、そのうえ、ドア体16を正面視したときの意匠をスッキリした意匠にすることができる。
【0019】
また、図6、7に示す第三の実施の形態のようにすることもできる。
第三の実施の形態のものも、基本構成は前記第一の実施の形態と同様であり、第一の実施の形態と同様の符号を付すことで説明を省略するが、ドア体20を構成するスライドドア部21と回転ドア部22とを揺動自在に連結する連結部材23はつぎのように構成されている。
第三の実施の形態の連結部材23は、スライドドア部21の戸尻側端面に一体化されるべく平板部が形成された略円筒状のパイプ体23aと、パイプ体23aの断面形状と同形状に形成され、パイプ体23aの上下端面に固定される上下一対の固定プレート23bと、これら各固定プレート23bに対して回転自在に軸承される上下一対の支軸23cと、該支軸23cの頭部と一体化された取り付けアーム23dとを備えて構成されている。そして、上下の取り付けアーム23dを、回転ドア部22の戸先側の上下端面にそれぞれ一体化することにより、回転ドア部22がスライドドア部21に対して揺動自在になるように構成されている。この場合に、上下の支軸23cを同芯状に設けることにより、回転ドア部22がスライドドア部21に対してガタつきなく揺動することができるように構成されている。
そして、このものにおいても、スライドドア部21を引き戸装置のように左右に移動させることにより、回転ドア部22の戸尻側端部が表裏方向一方である裏面側に向けて突出する状態で回転して戸尻側に引き寄せられ、スライドドア部21の戸先側に大きな開口を形成するように構成され、引き戸装置と同様の感覚で操作、通行することができて、操作性のよいドア装置とすることができ、しかも、ドア体20の開閉作動の過程で、回転ドア部22が開口部から突出することがなく、回転ドア部22が通行の邪魔をしないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ドア装置の概略正面図である。
【図2】図2(A)、(B)それぞれドア体の開放開始状態を説明する一部正面図、平面図である。
【図3】ドア装置の開放状態を説明する正面図である。
【図4】ドア装置の開閉過程を説明する平面図である。
【図5】図5(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態におけるドア装置の平面図、正面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれ第三の実施の形態におけるドア装置の平面図、正面図である。
【図7】第三の実施の形態におけるドア装置の開閉過程を説明する平面図である。
【図8】図8(A)、(B)はそれぞれ第三の実施の形態における要部の平面図、正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ドア装置
2 ドア体
3 スライドドア部
4 回転ドア部
5 連結部材
6 走行レール
7 支持アーム
9 パイプ体
10 ヒンジユニット
14 マグネット
15 自動閉鎖装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体開口部を開閉するドア体を、戸先側に配され、開口部上方に配した走行レールにスライド移動自在に吊持されるスライドドア部と、戸尻側に配され、見付け幅方向中間部が開口部戸尻側に揺動自在に配した支持アームのアーム先端に枢支される回転ドア部とを揺動自在に連結し、前記スライドドア部のスライド移動により支持アームを表裏方向一方に揺動せしめることに基づいて、回転ドア部が支持アームとの枢支部を支点として戸尻側端部を表裏方向一方に向けて回転するように構成し、スライドドア部と回転ドア部とが左右方向に並列して開口部を閉鎖する全閉姿勢と、スライドドア部に対して回転ドア部が揺動して戸尻側に引き寄せられて開口部を開放する全開姿勢とに変姿するように構成したドア装置。
【請求項2】
スライドドア部と回転ドア部とは、上下に設けたギア付きヒンジを介して連結されている請求項1に記載のドア装置。
【請求項3】
ドア体は、開放作動に伴い閉鎖方向の付勢力が蓄勢される付勢手段が設けられる一方、スライドドア部の戸先側と躯体とのあいだに設けた磁性体により全閉姿勢が保持される構成とし、前記付勢手段は、ドア体の磁性体による全閉姿勢の保持解除に伴い、支持アームを表裏方向一方に揺動させるように調整されている請求項1または2に記載のドア装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−74261(P2009−74261A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242223(P2007−242223)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(593022342)ベニックス株式会社 (13)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】