説明

ドア連結装置

【課題】安価なドア連結装置を提供すること。
【解決手段】ラッチ47と連係したラッチレバー54と、ラチェット48と連係したラチェットレバー55、プッシュロッド58、ベルクランク56、プルロッド57とを選択的に作動する単一のアクチュエータ70とを備え、フロントドア2とリアドア3の両方を閉塞状態にした場合において、アクチュエータ70がラッチレバー54を作動することによりラッチ47をストライカ60に噛合させてフロントドア2とリアドア3とを連結し、フロントドア2とリアドア3とが連結状態にある場合において、フロントドア2とリアドア3の少なくとも一方を開放操作すると、アクチュエータ70がラチェットレバー55,プッシュロッド58、ベルクランク56、プルロッド57を作動することによりラッチ47とストライカ60との噛合状態を解除してフロントドア2とリアドア3の連結状態を解除するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドア連結装置に関し、特に車体の前後方向に連続した開口部を閉塞するフロントドアとリアドアとを連結するドア連結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の前後方向に連続して形成された開口部をフロントドアとリアドアとにより閉塞するいわゆるセンターピラーレス構造を有する車両が知られている。このセンターピラーレス構造を有する車両は、フロントドアとリアドアとを独立して開放可能とする一方、フロントドアとリアドアとが閉塞状態にあることを条件にフロントドアとリアドアとを互いに連結するドア連結装置によって車両の側面衝突に備えている。
【0003】
ドア連結装置は、フロントドアとリアドアのいずれか一方に設けたストライカと、いずれか他方に設けたラッチ装置とにより、フロントドアとリアドアとを連結するものであり、ラッチ装置は、ストライカと噛合するラッチと、当該ラッチと噛合するラチェットとを有している。ラッチはクローズアクチュエータと連係し、フロントドアとリアドアの両方が閉塞状態にあることを条件にクローズアクチュエータがラッチを作動させてフロントドアとリアドアとを連結する。一方、ラチェットはリリースアクチュエータと連係し、フロントドアとリアドアのいずれか一方を開放操作した場合に、リリースアクチュエータがラチェットを作動させてラッチとストライカの噛合状態を解除してフロントドアとリアドアの連結状態を解除する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−27557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したドア連結装置は、クローズアクチュエータを作動させてフロントドアとリアドアとを連結する一方、リリースアクチュエータを作動させてフロントドアとリアドアとの連結状態を解除するため、クローズアクチュエータとリリースアクチュエータの二つのアクチュエータを必要とし、高価なドア連結装置となっていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、安価なドア連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドア連結装置は、車体の前後方向に形成された開口部を閉塞するフロントドアとリアドアのいずれか一方にストライカを備え、前記フロントドアと前記リアドアのいずれか他方に前記ストライカが進入する進入溝を形成するとともに、前記ストライカと噛合するラッチと、該ラッチと係合するラチェットとを前記他方に備えたドア連結装置において、前記ラッチと連係したラッチ連係手段と、前記ラチェットと連係したラチェット連係手段と、前記ラッチ連係手段と前記ラチェット連係手段とを選択的に作動する単一のアクチュエータとを備え、前記フロントドアと前記リアドアの両方を閉塞状態にした場合において、前記アクチュエータが前記ラッチ連係手段を作動することにより前記ラッチを前記ストライカに噛合させて前記フロントドアと前記リアドアとを連結し、前記フロントドアと前記リアドアとが連結状態にある場合において、前記フロントドアと前記リアドアの少なくとも一方を開放操作すると、前記アクチュエータが前記ラチェット連係手段を作動することにより前記ラッチとストライカとの噛合状態を解除して前記フロントドアとリアドアの連結状態を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るドア連結装置は、フロントドアとリアドアとを連結する場合には、ラッチと連係したラッチ連係手段を選択して作動し、フロントドアとリアドアの連結状態を解除する場合には、ラチェットと連係したラチェット連係手段を選択して作動すればよいので、一つのアクチュエータでフロントドアとリアドアの連結と連結状態の解除を行うことができる。したがって、安価なドア連結装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドア連結装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
図1は本発明の実施例に係るドア連結装置を適用した車両の概要を示す側面図、図2は図1に示した車両のフロントドアとリアドアの継ぎ目を示す断面図、図3は図1に示したドア連結装置の後方外観図である。
【0011】
実施例に係るドア連結装置は、前後方向に連続して形成された開口部を有する、いわゆる、センターピラーレスの車両1に適用するものであって、図1に示すように、フロントドア2は前方ヒンジにより開口部前方に支承し、リアドア3は車両1の前後方向にスライド可能に支承してある。このフロントドア2と、リアドア3とにより、車両の前後方向に連続して形成した開口部が閉塞可能となっている。
【0012】
フロントドア2の後方部上方にはアッパーラッチ機構10が配設してあり、後方部下方にはロアラッチ機構11が配設してある。これらは公知のラッチ機構であって、車体本体に取り付けたストライカ(図示せず)と噛合してフロントドア2を閉塞するものである。
【0013】
アッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11とは、フロントリモコン13に接続してあり、アッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11とは、フロントドア2を閉ドア操作した場合に、フロントドア2の閉塞状態を維持する一方、当該フロントリモコン13の操作によりフロントドア2の閉塞状態を解除してフロントドア2を開放可能にするリリース機能を有している。
【0014】
フロントドア2の室内側にはインサイドハンドル14が配設してあり、室外側にはアウターハンドル15が配設してある。インサイドハンドル14とアウターハンドル15はフロントリモコン13に接続してある。フロントリモコン13は、インサイドハンドル14またはアウターハンドル15の操作を条件に、アッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11とを操作して、フロントドア2の閉塞状態を解除する。
【0015】
また、フロントドア2の室内側には、フロントリモコン13と接続したロックアンロックノブ16が配設してある。ロックアンロックノブ16がロック状態にある場合には、フロントリモコン13がインサイドハンドル14およびアウターハンドル15からの操作を無効化し、インサイドハンドル14またはアウターハンドル15を操作してもアッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11とはフロントドア2の閉塞状態を維持する。一方、ロックアンロックノブ16がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル14またはアウターハンドル15からの操作により、フロントリモコン13がアッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11とを操作して、フロントドア2の閉塞状態を解除する。
【0016】
リアドア3の前方上部と前方下部、および後方中央部にはリアドア3を支承するローラ(図示せず)が配設してある。ローラ(図示せず)は、車両本体に形成した開口部の上部と下部、および後方中央部に取り付けたレール部4を転動し、リアドア3は車両の前後方向に開閉可能となっている。
【0017】
リアドア3の後方部略中央にはリアラッチ機構21が配設してある。リアラッチ機構21は、公知のラッチ機構であって、車両本体に取り付けたストライカ(図示せず)と噛合してリアドア3を閉塞するものである。
【0018】
リアラッチ機構21はリアリモコン22に接続してあり、リアラッチ機構21はリアドア3を閉ドア操作した場合に、リアドア3の閉塞状態を維持する一方、当該リアリモコン22の操作によりリアドア3の閉塞状態を解除してリアドア3を開閉可能にするリリース機能を有している。
【0019】
リアドア3の室内側にはインサイドハンドル23が配設してあり、室外側にはアウターハンドル24が配設してある。インサイドハンドル23とアウターハンドル24はリアリモコン22に接続してある。リアリモコン22はインサイドハンドル23またはアウターハンドル24の操作を条件に、リアラッチ機構21を操作してリアドア3の閉塞状態を解除する。
【0020】
また、リアドア3の室内側には、リアリモコン22と接続したロックアンロックノブ25が配設してある。ロックアンロックノブ25がロック状態にある場合には、リアリモコン22がインサイドハンドル23およびアウターハンドル24からの操作を無効化し、インサイドハンドル23またはアウターハンドル24を操作してもリアラッチ機構21はリアドア3の閉塞状態を維持する。一方、ロックアンロックノブ25がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル23またはアウターハンドル24からの操作により、リアリモコン22がリアラッチ機構21を操作してリアドア3の閉塞状態を解除する。
【0021】
図2に示すように、フロントドア2は、室外側から室内側に向けてやや車両前方に傾斜するように形成した後端面2aを有し、リアドア3はフロントドア2の後端面2aと略平行になるように室外側から室内側に形成した前端面3aを有している。そして、フロントドア2とリアドア3とを閉塞した場合に、リアドア3の前方とフロントドア2の後方とが重なるようになっている。
【0022】
このように形成したフロントドア2の後端面にはラッチ装置40が配設してあり、リアドア3の前端面にはストライカ60が配設してある。これらラッチ装置40とストライカ60とがフロントドア2とリアドア3とを連結するドア連結装置を構成する。なお、ここで例示するドア連結装置は、四輪自動車の左側(助手席側)に配設されたフロントドア2とリアドア3とを連結するものであるが、右側(運転手席側)に配設されたフロントドア2とリアドア3とに適用することも可能である。
【0023】
ラッチ装置40は、カバープレート(図示せず)と、ハウジング42と、バックプレート(図示せず)とを有している。図3に示すように、ハウジング42の車両後側となる面には、ラッチ機構収容部44が設けてある。ラッチ機構収容部44はその高さ方向のほぼ中央となる位置に、室内側から室外側に向けて略水平に延在する水平切欠溝45を有し、ラッチ機構が内部に収容してある。水平切欠溝45は、フロントドア2とリアドア3の両方を閉塞した場合に、ストライカ60が進入する進入溝であり、最初にフロントドア2を閉塞し、次にリアドア3を閉塞した場合には、ストライカ60が車両後方から車両前方に向けて水平切欠溝45に進入する。また、最初にリアドア3を閉塞し、次にフロントドア2を閉塞した場合には、ストライカ60が室内側から室外側に向けて水平切欠溝45に進入する。
【0024】
ラッチ機構は、リアドア3の略中央に設けたストライカ60を噛合保持するためのもので、ラッチ47とラチェット48とを備えて構成してある。
【0025】
ラッチ47は、ラッチ機構収容部44の水平切欠溝45よりも下方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸49を介して回動可能に配設したもので、ラッチ軸49の径外方向に延在し、外周面に噛合部471およびラチェット係合部472が形成してある。
【0026】
噛合部471は、フロントドア2とリアドア3を閉塞した状態で、ラッチ47を図3において反時計回りに回動させた場合に、ストライカ60と噛合する部分である(図3−3参照)。噛合部471はラッチ47を図3において反時計回りに回動させると、図3−3に示すように、ラッチ機構収容部44の水平切欠溝45を横切る位置で停止する(ラッチ位置)一方、ラッチ47を図3において時計回り回動させると、図3−1に示すように水平切欠溝45を開放する位置で停止する(開放位置)ように形成してある。
【0027】
ラチェット係合部472は、フロントドア2とリアドア3を閉塞した状態でラッチ47を図3において反時計回りに回動させた場合に、水平切欠溝45よりも上方に位置し(図3−3参照)、時計回りに回動させた場合に室内側に位置する部分である(図3−1参照)。このラチェット係合部472は、ラッチ47を図3において反時計回りに回動させると、図3−3に示すように、ラチェット48と当接係合する(ラッチ位置)一方、ラッチ47を図3において時計回りに回動させると、図3−1に示すようにラチェット48を開放する位置で停止する(開放位置)ように形成してある。
【0028】
このように構成したラッチ47は、図示せぬラッチバネにより、図3において時計方向に付勢してある。
【0029】
ラチェット48は、ラッチ機構収容部44の水平切欠溝45を基準にしてラッチ軸49と対称となる位置に車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸50を介して回動可能に配設したもので、ラッチ係合部481、作用部482が形成してある。
【0030】
ラッチ係合部481は、図3−1において、ラチェット軸50から室外側に向けて径外方向に延在する部分であり、ラチェット48が図3において時計回りに回動した場合にその突出端面を介して上述したラッチ47のラチェット係合部472に当接係合することが可能である。作用部482はラチェット軸50から所定の半径を有した孔である。
【0031】
このように構成したラチェット48は、図示せぬラチェットバネにより、図3において反時計方向に付勢してある。
【0032】
このように、ラッチ機構を収納したラッチ機構収容部44は、車両の室内側と室外側をともに車両前側に折り曲げたコの字状のカバープレート(図示せず)により隠蔽してある。カバープレートは、たとえば、金属により形成してあり、ラッチ機構収容部44に形成した水平切欠溝45にストライカ60を進入可能とするために、水平切欠溝45と略同一形状の切欠溝(図示せず)が形成してある。
【0033】
また、ハウジング42の車両前側となる面には、ドアの左右方向に延在するドア連結機構収容部53が設けてあり、ドア連結機構が内部に収容してある。ドア連結機構は、フロントドア2とリアドア3とが閉塞状態にある場合に、ラッチ47を図3において反時計回りに回動させることにより、ラチェット48と噛合させてフロントドア2とリアドア3とを連結する。一方、ラッチ47とラチェット48とが噛合し、フロントドア2とリアドア3とが連結状態にある場合(フロントドア2とリアドア3とが閉塞状態にある場合)に、フロントドア2とリアドア3の少なくとも一方を開放操作(インサイドハンドル14,23またはアウターハンドル15,24を操作)すると、ラチェット48を図3において時計回りに回動させることにより、ラッチ47との噛合状態を解除してフロントドア2とリアドア3を開放可能とするものである。
【0034】
ドア連結機構は、ラッチ47と連係するラッチ連係手段と、ラチェット48と連係するラチェット連係手段とを有している。ラッチ連係手段はラッチレバー54を有し、ラチェット連係手段は、ラチェットレバー55と、ベルクランク56と、プルロッド57、プッシュロッド58とを有している。
【0035】
ラッチレバー54は、ラッチ軸49に一体に取り付けてあり、ラッチ47の回動に伴って同一方向に回動する。ラッチレバー54は、レバー部541と作用凸部542とを有している。レバー部541は、図3−1に示すように、ラッチ47が水平切欠溝45を開放した状態でラッチ軸49から室外側に斜め下方に延在した部分であり、図3−3に示すように、ラッチ47が水平切欠溝45と交差した状態でラッチ軸49から室内側に斜め下方に位置する。作用凸部542は、レバー部541の端部に形成した車両前方に延在した突起である。
【0036】
ラチェットレバー55は、ラチェット軸50に一体に取り付けてあり、ラチェット48の回動に伴って同一方向に回動する。ラチェットレバー55は、レバー部551と作用部552とを有している。レバー部551はラチェット軸50から室外側斜め上方に延在した部分である。作用部552はラチェット48の作用部482と連結する部分であり、作用部552とラチェット48の作用部482とはピン59により連結してある。また、レバー部551の端部には取付孔553が形成してある。
【0037】
ベルクランク56はハウジング42の上部から室外側に延在したベルクランク取付部421に回動可能に取り付けてある。ベルクランク56は、略L字形状を有しており、その交差部分が回動中心となっている。ベルクランク56の一方の脚部561には取付孔562が形成してあり、ラチェットレバーのレバー部551の端部(取付孔553)とは、プッシュロッド58により連結してあり、ベルクランク56とラチェットレバー55とは連係して回動するようになっている。ベルクランク56の他方の脚部563には取付孔564が形成してあり、プルロッド57の一端部が接続してある。
【0038】
このように、ドア連結機構を収容したドア連結機構収容部53は、バックプレート(図示せず)により隠蔽してある。バックプレートは、カバープレートと同様に、例えば金属により形成してある。
【0039】
そして、バックプレートとカバープレートとは協働して、ハウジング42をサンドイッチ構造とした後、これらを貫通するピン(図示せず)をカシメ、一体構造にしてある。なお、ピンに換えて、バックプレートとカバープレートのいずれか一方に貫通孔を設け、いずれか他方にネジ孔を設けることにより、ネジを貫通孔側から挿入してネジ孔にねじ込むことにより、カバープレート、ハウジング42、バックプレートを一体構造にしても良い。
【0040】
また、カバープレートには、一つの(単一の)アクチュエータ70が取り付けてある。アクチュエータ70は、ラッチ連係手段とラチェット連係手段とを選択的に作動させるものであり、アクチュエータ70の出力軸701には、アクチュエータレバー71が取り付けてある。アクチュエータレバー71は、ラッチレバー作用部711と、ベルクランク作用部712とを有している。ラッチレバー作用部711はアクチュエータ70の出力軸701から上方に延在する部分であり、ラッチ連係手段を選択してアクチュエータ70の出力軸701を時計回りに回動させると、アクチュエータレバー71のラッチレバー作用部711がラッチレバー54の作用凸部542と当接した後に、ラッチレバー54を反時計回り(ラッチ位置方向)に回動させる。一方、アクチュエータ70の出力軸701を反時計回りに回動させてもアクチュエータレバー71のラッチレバー作用部711とラッチレバー54の作用凸部542とは離反するのでラッチレバー54に作用を及ぼすことがない。
【0041】
ベルクランク作用部712は、アクチュエータ70の出力軸701の左側に形成した部分であり、出力軸701を中心とした弧状の取付孔713を有している。この取付孔713には、上述したプルロッド57の端部が摺動可能に取り付けてあり、ラチェット連係手段を選択してアクチュエータ70の出力軸701を反時計回りに回動させると、アクチュエータレバー71がプルロッド57を引き込んでベルクランク56を時計回りに回動させる。一方、アクチュエータ70の出力軸701を時計回りに回動させても、プルロッド57はベルクランク作用部712の取付孔713内を摺動(空転)し、ベルクランク56に作用を及ぼすことがない。そして、ベルクランク56の時計回りの回動によってラチェットレバー55は時計回りに回動し、ラチェット48とラッチ47の噛合状態は解除される。
【0042】
なお、アクチュエータ70をカバープレートに取り付けるものとしたが、バックプレート、あるいはフロントドア2に取り付けるものとしても良い。
【0043】
上記のように構成したドア連結装置は、ロックアンロックノブ16,25がアンロック状態にあるときに、いずれかのドア2,3のインサイドハンドル14,23またはアウターハンドル15,24を操作すると、ラチェット連係手段の作動が選択される。そして、アクチュエータ70に電力が供給され、アクチュエータ70の出力軸701が反時計回りに回動する。出力軸701の回動にともなってアクチュエータレバー71も反時計回りに回動し、ベルクランク作用部712の取付孔713に接続したプルロッド57に引き込み作用が働く。このとき、アクチュエータレバー71のラッチレバー作用部711とラッチレバー54の作用凸部542とは離反しており、ラッチレバー54に作用を及ぼすことはない。
【0044】
そして、プルロッド57の引き込み作用によって、ベルクランク56は時計回りに回動し、プッシュロッド58に押し込み作用が働く。このため、ラチェットレバー55が時計回りに回動してラチェット48を回動させて、ラチェット48とラッチ47との当接係合状態を解除する。この結果、ラッチ47はリアドア3に配設したストライカ60との噛合状態を解除して、フロントドア2とリアドア3との連結を解除する。つづいて、操作したドア2,3のリモコン13,22からアッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11、またはリアラッチ機構21にドアの開放操作がなされ、アッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11、またはリアラッチ機構21はドアの閉塞状態を解除して当該ドアは開放可能となる。そして、フロントドア2とリアドア3の少なくとも一方を開放すると、水平切欠溝45からストライカ60が抜去される。
【0045】
一方、フロントドア2とリアドア3の両方を閉塞すると、ストライカ60が水平切欠溝45に進入する。また、フロントドア2とリアドア3の閉塞にともなって、アッパーラッチ機構10とロアラッチ機構11、リアラッチ機構21は、それぞれ車両に設けたストライカ(図示せず)と噛合し、フロントドア2とリアドア3の閉塞状態を維持する。
【0046】
ここで、ラッチ連係手段の作動を選択すると、アクチュエータ70に電力を供給されアクチュエータ70の出力軸701が時計回りに回動する。出力軸701の回動にともなってアクチュエータレバー71も時計回りに回動する。このとき、アクチュエータレバー71のベルクランク作用部712の取付孔713内をプルロッド57が摺動(空転)して、ベルクランク56に作用を及ぼすことはない。
【0047】
その後、アクチュエータレバー71のラッチレバー作用部711とラッチレバー54の作用凸部542とが当接し、ラッチレバー54を反時計方向(ラッチ位置方向)に回動し、ラッチ47がラチェット48と当接係合する。この結果、ストライカ60とラッチ47とが噛合し、フロントドア2とリアドア3とが連結される。
【0048】
本発明の実施例に係るドア連結装置によれば、フロントドア2とリアドア3を独立して開閉操作でき、フロントドア2とリアドア3の両方を閉塞すると、リアドア3に配設したストライカ60とフロントドア2に配設したラッチ装置40とが噛合し、フロントドア2とリアドア3とを強固に連結するので、車両が側面衝突した場合にも、フロントドア2とリアドア3の継ぎ目で大きくへこむことがない。このため、乗員の安全を確保できる。
【0049】
また、フロントドア2とリアドア3とを連結する場合には、ラッチ47と連係したラッチレバー54を選択し、フロントドア2とリアドア3の連結状態を解除する場合には、ラチェット48と連係したラチェットレバー55、プッシュロッド58、ベルクランク56、プルロッド57を選択して作動させればよいので、一つのアクチュエータ70でフロントドア2とリアドア3の連結と連結状態の解除を行うことができる。したがって、安価なドア連結装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明に係るドア連結装置は、車体の前後方向に連続した開口部を閉塞するフロントドアとリアドアとを連結するドア連結装置に有用であり、特に、リアドアをスライドドアとするドア連結装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例に係るドア連結装置を適用した車両の概要を示す側面図である。
【図2】図1に示した車両のフロントドアとリアドアの継ぎ目を示す断面図である。
【図3−1】カバープレートを取り外したドア連結装置の後方外観図であって、ドアの開放状態を示した図である。
【図3−2】カバープレートを取り外したドア連結装置の後方外観図であって、ドアの連結操作を説明する説明図である。
【図3−3】カバープレートを取り外したドア連結装置の後方外観図であって、ドアの連結状態を示した図である。
【図3−4】カバープレートを取り外したドア連結装置の後方外観図であって、ドアの離脱操作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 フロントドア
2a 後端面
3 リアドア
3a 前端面
4 レール部
10 アッパーラッチ機構
11 ロアラッチ機構
13 フロントリモコン
14 インサイドハンドル
15 アウターハンドル
16 ロックアンロックノブ
21 リアラッチ機構
22 リアリモコン
23 インサイドハンドル
24 アウターハンドル
25 ロックアンロックノブ
40 ラッチ装置
42 ハウジング
421 ベルクランク取付部
44 ラッチ機構収容部
45 水平切欠溝
47 ラッチ
471 噛合部
472 ラチェット係合部
48 ラチェット
481 ラッチ係合部
482 作用部
49 ラッチ軸
50 ラチェット軸
53 ドア連結機構収容部
54 ラッチレバー
541 レバー部
542 作用凸部
55 ラチェットレバー
551 レバー部
552 作用部
553 取付孔
56 ベルクランク
561 脚部
562 取付孔
563 脚部
564 取付孔
57 プルロッド
58 プッシュロッド
59 ピン
60 ストライカ
70 アクチュエータ
701 出力軸
71 アクチュエータレバー
711 ラッチレバー作用部
712 ベルクランク作用部
713 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前後方向に形成された開口部を閉塞するフロントドアとリアドアのいずれか一方にストライカを備え、
前記フロントドアと前記リアドアのいずれか他方に前記ストライカが進入する進入溝を形成するとともに、前記ストライカと噛合するラッチと、該ラッチと係合するラチェットとを前記他方に備えたドア連結装置において、
前記ラッチと連係したラッチ連係手段と、
前記ラチェットと連係したラチェット連係手段と、
前記ラッチ連係手段と前記ラチェット連係手段とを選択的に作動する単一のアクチュエータと
を備え、
前記フロントドアと前記リアドアの両方を閉塞状態にした場合において、前記アクチュエータが前記ラッチ連係手段を作動することにより前記ラッチを前記ストライカに噛合させて前記フロントドアと前記リアドアとを連結し、
前記フロントドアと前記リアドアとが連結状態にある場合において、前記フロントドアと前記リアドアの少なくとも一方を開放操作すると、前記アクチュエータが前記ラチェット連係手段を作動することにより前記ラッチとストライカとの噛合状態を解除して前記フロントドアとリアドアの連結状態を解除することを特徴とするドア連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【公開番号】特開2006−2371(P2006−2371A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177448(P2004−177448)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】