説明

ドア

【課題】室外面材とガラスユニットとを確実に接着可能なドアを提供すること。
【解決手段】パネル枠体50の室外枠部60に、室外内当接面90および室外外当接面92と、これらの間に設けられた室外凹部94と、を設けている。このため、室外内当接面90および室外外当接面92による2箇所の当接により、室外面材26と室外枠部60との見込み方向の位置決めをしつつ、室外凹部94に設けられた両面テープ96により、室外面材26と、室外枠部60とを接着することができる。したがって、両面テープ96のつぶし代を一定にすることができ、室外面材26とガラスユニット40とを確実に接着できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルユニットを有する扉体を備えたドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアとして、その一部にガラスなどのパネルが設けられた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のドアは、一側小窓フレームと他側小窓フレームとからなる小窓フレームを備えている。一側・他側小窓フレームは、上フレーム、下フレーム、縦フレームを方形状に枠組みしてある。また、各フレームは、内横板と縦板と外横板とで断面略コ字状となっている。そして、表面板の平面部分が各フレームの縦板の平面部分に両面接着テープで接着されている。
【0003】
【特許文献1】実公平7−28390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたドアでは、縦板および表面板の平面部分に両面粘着テープを貼り付けるとともに、この両面粘着テープをつぶして接着しているが、全ての箇所で均一につぶすことは困難であるため、表面板の平面精度により両面粘着テープのつぶし代にむらが出てしまい、両者を確実に接着できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、室外面材とパネルユニットとを確実に接着可能なドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のドアは、室内面材開口部を有する室内面材と、室外面材開口部を有する室外面材と、前記室内面材および前記室外面材の間に設けられる中間体と、前記室内面材開口部および前記室外面材開口部により構成され室内側および室外側を貫通する扉開口に設けられたパネルユニットと、を有して構成された扉体を備え、前記パネルユニットは、パネル枠体と、このパネル枠体の内部に支持されたパネルと、を有し、前記パネル枠体は、その少なくとも室外側の面に、前記室外面材の内面に当接する一対の当接部と、この一対の当接部の間においてこれらの当接部よりも凹んだ凹部とが形成され、前記凹部に設けられた接着部材を介して前記室外面材の内面に接着されていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、一対の当接部による2箇所の当接により室外面材とパネル枠体との見込み方向の位置決めをしつつ、この一対の当接部の間に設けられた接着部材を介して室外面材とパネル枠体とを接着することができる。したがって、室外面材が一対の当接部に当接するまでプレスすることで、接着部材のつぶし代を一定にすることができ、室外面材と、パネルユニットとを確実に接着できる。さらに、室外側から室外面材をパネル枠体に固着する構成を利用する必要がなく、室外側からの見た目をすっきりさせることができる。
【0008】
また、本発明のドアでは、前記一対の当接部および前記凹部は、前記パネル枠体の全周にわたって連続的に形成されている構成が好ましい。
このような構成によれば、パネル枠体の全周にわたって室外面材を確実に接着でき、室外面材とパネルユニットとをより強固に接着できる。また、接着部材を全周にわたって連続させることができるため、気密性や止水性を向上させることができる。ここで、パネル枠体の形状としては、円環状、四角枠状や三角枠状などの多角枠状が例示できる。そして、これら各形状のパネル枠体は、一体成形で当接部と凹部とを形成してもよいし、別体で成形した枠材を接合することで当接部と凹部とを形成してもよい。別体の枠材を接合する場合、交差角度の半分で切断した部材、例えば交差角度が直角の場合には端部を45°で切断した部材を接合する等、任意の形状の枠体を利用できる。
【0009】
さらに、本発明のドアでは、前記パネル枠体は、一対のパネル縦部材と、一対のパネル横部材とにより四角枠状に形成され、
前記パネル縦部材および前記パネル横部材のうち一方における見付け方向内側に位置する第1の前記当接部の長手方向の寸法は、前記凹部および見付け方向外側に位置する第2の前記当接部の長手方向の寸法よりも短く形成され、他方における前記凹部および前記第1の当接部の長手方向の寸法は、前記第2の当接部の長手方向の寸法よりも短く形成されている構成が好ましい。
このような構成によれば、パネル縦部材とパネル横部材とを枠組みするだけの簡単な方法で、パネル枠体の全周にわたって一対の当接部および凹部を設けることができる。したがって、室外面材とパネルユニットとを強固に接着できるドアを容易に製造することができる。なお、長手方向とは、パネル縦部材の長手方向(上下方向)やパネル横部材の長手方向(左右方向)のことである。
【0010】
また、本発明のドアでは、前記室外面材開口部には、室内側に延出する延出部が形成され、前記パネル枠体は、見付け方向内側端縁が前記延出部に当接することにより前記室外面材に対して位置決めされている構成が好ましい。
このような構成によれば、延出部とパネル枠体とを当接させることで、パネル枠体を支持する機能のみを有する別部材を設けることなく、パネル枠体の見付け方向の位置決めをできる。また、パネル枠体の自重による接着性能の低下を防止できるとともに、パネル枠体の落下を防止できる。さらに、火災時に延出部でパネル枠体が支持されるのでパネル枠体が落下することがなく、十分な防火性能を確保できる。
【0011】
さらに、本発明のドアでは、前記延出部は、前記室外面材開口部が室内側に折り曲げられた折曲部と、この折曲部を被覆するとともに前記パネルの表面に当接または近接する被覆部材と、を備え、前記凹部における前記接着部材が設けられる部分と反対側と前記パネルとの間には、止水材が設けられている構成が好ましい。
このような構成によれば、室外面材開口部を折り曲げるだけの簡単な方法で、延出部の基礎となる折曲部を設けることができる。さらに、折曲部を被覆する被覆部材をパネルに当接させればパネルの傷付きを防止できるとともに、この被覆部材を一次的な止水材として機能させることができる。
【0012】
また、本発明のドアでは、前記パネル枠体は、前記一対の当接部および前記凹部を有する室外枠部と、前記室外枠部に取り付けられる室内枠部と、前記室外枠部に前記室内枠部を室内側から着脱自在に固着する固着部材と、を備え、前記パネルは、前記室外枠部と前記室内枠部とで狭持されている構成が好ましい。
このような構成によれば、室内枠部を必要に応じて取り外すことにより、パネルを容易に交換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るドア1を示す縦断面図である。図2は、ドア1を示す横断面図である。図3は、ドア1の扉体20の室外側からの外観を示す正面図である。図4は、扉体20の室内側からの外観を示す正面図である。
【0014】
図1および図2において、ドア1は、外壁開口部に固定される枠体10と、この枠体10に開閉自在に支持された扉体20と、を備えている。
枠体10は、上枠11、下枠12および左右の縦枠13を備えている。
扉体20は、一方(図2の左側)の縦枠13に複数箇所の蝶番21を介して回動支持され、蝶番21の回動軸を中心にして室外側に開閉可能に構成されている。また、扉体20の戸先側には、図示しない操作ハンドルや施錠装置が設けられている。そして、扉体20は、四周枠組みされた枠材22と、この枠材22の室内外にそれぞれ固定された金属製の室内面材24および室外面材26と、室内面材24と室外面材26との間に充填された中間体としての樹脂製の断熱材28とを備えている。
室内面材24と室外面材26は、それぞれ枠材22および断熱材28の室内側および室外側を覆って設けられ、折り曲げられた四周端縁が枠材22に固定されている。
また、扉体20には、図1〜図4に示すように、左右方向略中央において上下方向に並ぶ3箇所に扉開口としてのガラス開口30が設けられている。このガラス開口30を介して、室内外に光が透過できるようになっている。そして、ガラス開口30は、室内面材24に設けられた四角形の室内面材開口部32と、室外面材26に設けられた四角形の室外面材開口部35と、これら室内面材開口部32および室外面材開口部35間(室内面材24および室外面材26対向面間)に設けられるパネルユニットとしてのガラスユニット40と、を備えている。
【0015】
次に、図5〜図7も参照して、詳しく説明する。
図5は、扉体20の要部を拡大して示す横断面図である。図6は、扉体20の要部を拡大して示す縦断面図である。図7は、扉体20の室外枠部60を示す斜視図である。
【0016】
室内面材開口部32は、室外面材開口部35よりも大きい四角形状を有している。また、この室内面材開口部32の上側および下側には、図6に示すように、キャップ33が設けられている。
室外面材開口部35には、図5および図6に示すように、室内側に延出する延出部36が設けられている。この延出部36は、室外面材開口部35が室内側に折り曲げられた折曲部37と、この折曲部37を被覆するゴム製の被覆部材38と、を備えている。
ガラスユニット40は、四角枠状のパネル枠体50と、このパネル枠体50内に設けられた樹脂製のビード150と、パネル枠体50内に設けられた軟質樹脂製の止水材152と、ビード150および止水材152を介してパネル枠体50の内部に支持されたガラスパネル156(複層ガラス)と、を備えている。
パネル枠体50は、室外側に設けられるアルミ形材製の室外枠部60と、室内側に設けられる室内枠部100と、室内枠部100に取り付けられるカバー部材140と、を備えている。
室外枠部60は、図5〜図7に示すように、一対のパネル縦部材としての室外縦部材62と、一対のパネル横部材としての室外横部材80と、を四周枠組みすることで四角枠状に形成されている。ここで、室外縦部材62および室外横部材80は、略等しい構成を有しているため、室外縦部材62について詳細に説明し、室外横部材80については、説明を簡略にする。
【0017】
室外縦部材62は、室外面材26の裏面に接着されるパネル側接着部64を備えている。このパネル側接着部64は、パネル枠体50の見付け方向内側に位置する室外縦内当接面64Aと、見付け方向外側に位置する室外縦外当接面64Bと、室外縦内当接面64Aおよび室外縦外当接面64Bの間に設けられた凹部を構成する室外縦凹部64Cと、を備えている。
室外縦内当接面64Aおよび室外縦外当接面64Bは、略同一面上に位置している。また、室外縦凹部64Cは、室外縦内当接面64Aおよび室外縦外当接面64Bよりも、室内側に凹んでいる。そして、室外縦内当接面64Aおよび室外縦凹部64Cは、その長手方向(図7における上下方向)の両端部が切り欠かれることで、室外縦外当接面64Bよりも長手方向において短く形成されている。
また、パネル側接着部64には、室外縦外当接面64Bと室外縦凹部64Cとの連結部分から室内側に延びる縦中間部66が設けられている。この縦中間部66の外側面には、断面略C字状の略筒状に形成された縦筒部68が設けられている。この縦筒部68には、パネル枠体50の外側から内側に向けて図示しない枠組みビスが挿通される枠組みビス孔68Aが設けられている。
さらに、縦中間部66の室内側には、断面略コ字状の縦先端部70が設けられている。この縦先端部70には、室内側から室外側に向けて固着部材としての室内枠部取付ビス72が螺合されるビス螺合部70Aが設けられている。また、縦先端部70における略コ字状の一対の板状部分の先端には、パネル枠体50の内側および外側にそれぞれ延びる鍔部74が設けられている。
【0018】
室外横部材80は、パネル側接着部82を備えている。このパネル側接着部82は、パネル枠体50の見付け方向内側に位置する室外横内当接面82Aと、見付け方向外側に位置する室外横外当接面82Bと、凹部を構成する室外横凹部82Cと、を備えている。
室外横内当接面82Aおよび室外横外当接面82Bは、略同一面上に位置している。室外横凹部82Cは、室外横内当接面82Aおよび室外横外当接面82Bよりも、室内側に凹んでいる。そして、室外横内当接面82Aは、その長手方向(図7における左右方向)の両端部が切り欠かれることで、室外横凹部82Cおよび室外横外当接面82Bよりも長手方向において短く形成されている。
また、パネル側接着部82には、横中間部84が設けられている。この横中間部84には、断面略C字状の略筒状に形成された横筒部86が設けられている。この横筒部86の内部には、枠組みビスが螺合される。
さらに、横中間部84の室内側には、断面略コ字状の横先端部87と鍔部88とが設けられている。
【0019】
そして、室外縦部材62と室外横部材80とは、枠組みビス孔68Aに挿通された枠組みビスが横筒部86の内部に螺合されることで、四角枠状の室外枠部60が形成される。そして、室外縦内当接面64Aと室外横内当接面82Aとが、室外枠部60の全周にわたって連続的に設けられることで、第1の当接部としての室外内当接面90が形成される。また、室外縦外当接面64Bと室外横外当接面82Bとにより、室外枠部60の全周にわたる第2の当接部としての室外外当接面92が形成される。さらに、室外縦凹部64Cと室外横凹部82Cとにより、室外枠部60の全周にわたる凹部としての室外凹部94が形成される。
また、室外凹部94内には、室外凹部94の深さ寸法よりも大きい厚さ寸法を有し、四角枠状に加工された接着部材として、両面に接着性を有する両面テープ96が設けられている。そして、この両面テープ96により、室外面材26と室外枠部60とが接着される。
【0020】
室内枠部100は、図4に示すように、一対の室内縦部材102と一対の室内横部材120とを四周枠組みすることで、室外枠部60と略等しい四角枠状に形成されている。ここで、室内縦部材102および室内横部材120は、略等しい構成を有しているため、室内縦部材102について詳細に説明し、室内横部材120については、説明を簡略にする。
室内縦部材102は、図5に示すように室内側に設けられる室内縦基部104を備えている。この室内縦基部104には、長手方向に沿って室外側に凹んだブロック取付部106が設けられている。このブロック取付部106の長手方向の両端側(室内縦部材102の上下方向の両端側)には、断熱性を有する樹脂製のブロック108が設けられている。また、室内縦基部104の室外側には、ビード150が取り付けられている。
室内横部材120は、図6に示すように室内横基部122を備えている。また、室内横基部122には、室外側に向けて突出する突出部124が設けられている。さらに、室内横基部122の室外側には、ビード150が設けられている。
そして、室内枠部100は、室内縦部材102と室内横部材120とが、例えば図示しないビスなどにより固定されることで四角枠状に形成される。さらに、室内枠部100は、室外枠部60の鍔部74と、室内縦部材102のブロック取付部106との間に設けられたブロック108を介して、室外枠部60に着脱自在に固定される。具体的には、室内枠部100は、ブロック取付部106およびブロック108内に挿通された室内枠部取付ビス72が、ビス螺合部70Aに螺合されることで、室外枠部60に固定される。
【0021】
カバー部材140は、図5に示すように、室内枠部100の室内縦部材102に着脱可能に取り付けられる。
止水材152は、室外枠部60の室内側に四周連続して設けられている。具体的には、止水材152は、室外縦凹部64Cおよび室外横凹部82Cの裏面に設けられている。
ガラスパネル156は、室内側の周縁でビード150を圧縮し、室外側の周縁で止水材152を圧縮する状態で設けられている。また、ガラスパネル156は、室外面材開口部35の被覆部材38との当接により、室外面材26に対する見込み方向の位置決めがなされている。
【0022】
次に、ドア1を構成する扉体20の組み立て手順の一例を説明する。
まず、室外面材26の折曲部37に、被覆部材38を取り付ける。そして、この室外面材26を枠材22に取り付ける。この後、室外面材26の室内面側に断熱材28を設置して、枠材22に室内面材24を取り付ける。
また、室外枠部60を組み立てて、室外内当接面90と室外外当接面92と室外凹部94とを形成する。そして、室外凹部94内に両面テープ96を貼り付けるとともに、室外凹部94の裏面に止水材152を貼り付ける。さらに、室内枠部100を組み立て、ビード150を取り付けるとともに、ブロック取付部106に室内枠部取付ビス72およびブロック108を取り付ける。
次に、室外枠部60の内縁(室外内当接面90側の縁)と被覆部材38とを当接させるとともに、室外内当接面90および室外外当接面92と室外面材26の裏面とを当接させて両面テープ96をつぶすことで、両面テープ96を介して室外枠部60と室外面材26とを接着する。この室外枠部60と被覆部材38との当接により、室外枠部60は室外面材26に対する見付け方向の位置決めがなされる。また、室外内当接面90および室外外当接面92の2箇所が室外面材26に当接することで、室外枠部60は室外面材26に対する見込み方向の位置決めがなされる。
【0023】
この後、ガラスパネル156を止水材152に当接する状態で設置する。そして、ビード150をガラスパネル156に当接させ、ブロック108を室外縦部材62の鍔部74に当接させ、室内枠部取付ビス72をビス螺合部70Aに螺合させることで、室内枠部100を室外枠部60に取り付ける。この螺合により、ビード150を介してガラスパネル156が室外側に押し付けられる。そして、この押し付けにより、ガラスパネル156は止水材152を圧縮し、被覆部材38との当接により見込み方向の位置決めがなされる。
そして、カバー部材140をブロック取付部106の開口を閉塞するように、室内縦部材102に取り付ける。
以上により、扉体20の組み立てが完了する。
【0024】
このような第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)パネル枠体50の室外側を構成する室外枠部60に、室外内当接面90および室外外当接面92と、これらの間に設けられた室外凹部94と、を設けている。
このため、室外内当接面90および室外外当接面92による2箇所の当接により、室外面材26と室外枠部60との見込み方向の位置決めをしつつ、室外凹部94に設けられた両面テープ96により、室外面材26と、室外枠部60とを接着することができる。したがって、両面テープ96のつぶし代を一定にすることができ、室外面材26とガラスユニット40とを確実に接着できる。
さらに、室外側から室外面材26をガラスユニット40に固着する構成を利用する必要がなく、室外側からのドア1の見た目をすっきりさせることができる。
【0025】
(2)室外内当接面90と室外外当接面92と室外凹部94とを室外枠部60の全周にわたって設けている。
このため、室外枠部60と室外面材26を確実に接着できる。また、両面テープ96を全周にわたって連続させることができるため、気密性や止水性を向上させることができる。
【0026】
(3)室外縦部材62の室外縦内当接面64Aおよび室外縦凹部64Cの長手方向の寸法を、室外縦外当接面64Bの長手方向の寸法よりも短く形成している。さらに、室外横部材80の室外横内当接面82Aの長手方向の寸法を、室外横凹部82Cおよび室外横外当接面82Bの長手方向の寸法よりも短く形成している。
このため、室外縦部材62と室外横部材80とを枠組みするだけの簡単な方法で、室外枠部60の全周にわたって室外内当接面90と、室外外当接面92と、室外凹部94と、を設けることができる。したがって、上記(2)のような効果を有するドア1を、容易に製造することができる。
【0027】
(4)室外面材開口部35に、パネル枠体50の見付け方向内側端縁と当接することにより、このパネル枠体50を室外面材26に対して位置決めする延出部36を設けている。
このため、パネル枠体50の見付け方向の位置決めをできる。さらに、パネル枠体50の自重による接着性能の低下を防止できるとともに、パネル枠体50の落下を防止できる。また、火災時に延出部36でパネル枠体50が支持されるので、パネル枠体50が落下することがなく、十分な防火性能を確保できる。また、室内横部材120に突出部124を設けているため、この突出部124でもパネル枠体50を支持することができ、より確実にパネル枠体50の落下を防止できる。
【0028】
(5)延出部36を、室外面材開口部35を折り曲げた折曲部37と、この折曲部37を被覆する被覆部材38とで構成している。さらに、室外縦凹部64Cおよび室外横凹部82Cの裏面とガラスパネル156との間に、止水材152を設けている。
このため、室外面材26を折り曲げるだけの簡単な方法で、延出部36の基礎となる折曲部37を設けることができる。さらには、被覆部材38とガラスパネル156とを当接させることで、ガラスパネル156の傷付きを防止できる上、被覆部材38を一次的な止水材として機能させることができる。また、室外側からは、室外面材26、被覆部材38、ガラスパネル156のみが見えることになり、ドア1の見た目をすっきりさせることができる。さらに、意匠性が高い被覆部材38を用いることで、室外から見えない止水材152で十分な止水性能を確保しつつ、ドア1の意匠性を高めることができる。そして、室外凹部94を目印にして止水材152を設けることができ、作業性を向上できる。
【0029】
(6)パネル枠体50を、室外枠部60と、この室外枠部60に取り付けられる室内枠部100と、室外枠部60に室内枠部100を室内側から着脱自在に取り付ける室内枠部取付ビス72とで構成している。
このため、室内枠部100を必要に応じて取り外すことにより、ガラスパネル156を容易に交換できる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、図8に基づいて、本発明の第2実施形態のドアについて説明する。
この第2実施形態は、扉体200の形態が相違し、他の構成は第1実施形態と略同一である。なお、第1実施形態の構成と同様の機能を有する構成については、同一の名称を付して説明を簡略にする。
図8は、扉体200の要部を拡大して示す横断面図である。
【0031】
図8に示すように、扉体200は、図示しない枠材と室内面材202と室外面材26と断熱材28とを備えている。扉体200の扉開口としてのガラス開口204には、室内面材開口部206と室外面材開口部35とパネルユニットとしてのガラスユニット210とが設けられている。
室内面材開口部206には、室外側に折り曲げられた延出部208が設けられている。
ガラスユニット210は、パネル枠体220とビード266と止水材152とガラスパネル156とを備えている。
パネル枠体220は、室外枠部230と室内枠部250とを備えている。
【0032】
室外枠部230は、一対のパネル縦部材としての室外縦部材232と、この室外縦部材232と同様の構成を有する図示しない一対のパネル横部材としての室外横部材と、を備えている。
室外縦部材232は、室外縦内当接面64A、室外縦外当接面64B、および、室外縦凹部64Cを有するパネル側接着部64を備えている。
また、室外横部材は、室外縦内当接面64A、室外縦外当接面64B、および、室外縦凹部64Cと同様の構成を有する、室外横内当接面、室外横外当接面、および、室外横縦凹部を少なくとも備えている。
室内枠部250は、一対のパネル縦部材としての室内縦部材252と、この室内縦部材252と同様の構成を有する図示しない一対のパネル横部材としての室内横部材と、を備えている。
室内縦部材252は、室内面材202に接着され、パネル側接着部64と同様の構成を有するパネル側接着部254を備えている。すなわち、パネル側接着部254は、パネル枠体220の内側に位置する室内縦内当接面254Aと、外側に位置する室内縦外当接面254Bと、室内縦内当接面254Aおよび室内縦外当接面254Bの間に設けられた室内縦凹部254Cと、を備えている。
また、パネル側接着部254の室外側には、ビード266が設けられている。さらに、パネル側接着部254には、室外側に延びる縦中間部258が設けられている。また、室内横部材は、室内縦内当接面254A、室内縦外当接面254B、および、室内縦凹部254Cと同様の構成を有する、室内横内当接面、室内横外当接面、および、室内横凹部を少なくとも有している。
さらに、室外縦部材232と室内縦部材252は断熱部材234で一体的に連結され、室外横部材と室内横部材も同様に断熱部材で一体的に連結される。
【0033】
そして、断熱部材234で連結された縦部材(室外縦部材232、室内縦部材252)と、横部材(室外横部材、室内横部材)とを四周枠組みすることで、室外縦内当接面64Aと室外横内当接面、室外縦外当接面64Bと室外横外当接面、室外縦凹部64Cと室外横凹部により、室外枠部230の全周にそれぞれわたる、第1の当接部としての室外内当接面260、第2の当接部としての室外外当接面262、凹部としての室外凹部264が形成され、室内縦内当接面254Aと室内横内当接面、室内縦外当接面254Bと室内横外当接面、室内縦凹部254Cと室内横凹部により、室内枠部250の全周にそれぞれわたる、第1の当接部としての室内内当接面270、第2の当接部としての室内外当接面272、凹部としての室内凹部274が形成される。
そして、室外凹部264および室内凹部274内には、これらの深さ寸法よりも大きい厚さ寸法を有し、四角枠状に加工された両面テープ96が設けられている。そして、この両面テープ96により、室外面材26と室外枠部230、室内面材202と室内枠部250とが接着される。
【0034】
そして、扉体200を組み立てる際には、ガラスパネル156の四周を囲むようにして縦部材(室外縦部材232、室内縦部材252)と横部材(室外横部材、室内横部材)とを四周枠組みし、室外枠部230を第1実施形態の室外枠部60と同様に両面テープ96を介して室外面材26に接着させる。また、室内枠部250の内縁と延出部208とを当接させるとともに、室内内当接面270および室内外当接面272と室内面材202の裏面とを当接させ、両面テープ96をつぶすことで、両面テープ96を介して室内枠部250と室内面材202とを接着する。この室内枠部250と延出部208との当接により、室内枠部250は見付け方向の位置決めがなされる。また、室内内当接面270および室内外当接面272の2箇所が室内面材202に当接することで、室内枠部250は見込み方向の位置決めがなされる。
【0035】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(7)パネル枠体220の室内側を構成する室内枠部250に、室内内当接面270および室内外当接面272と、これらの間に設けられた室内凹部274と、を設けている。そして、室内枠部250と室外枠部230との間でこれらを連結する断熱部材234を設けている。
このため、室外枠部230と同様の作用により、両面テープ96のつぶし代を一定にすることができ、室内面材202とガラスユニット210とをより確実に接着できる。
さらに、室内側から室内面材202を室内枠部250に固着する構成を利用しないので、室内側および室外側からの見た目をすっきりさせることができる。
【0036】
なお、本発明は、前記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、第1実施形態においては、ドア1を例示して説明したが、本発明のドアとしては、回動開閉可能に設けられたものでもよく、またスライド開閉可能に設けられたものでもよい。
また、第1実施形態では、本発明の当接部として、平面状の室外内当接面90などを例示したが、曲面状などとしてもよい。また、室外内当接面90、室外外当接面92、および、室外凹部94を室外枠部60の全周にわたって連続的に設けたが、断続的に設けてもよいし、四角枠状の一辺に対応する部分のみに設けてもよい。
また、室外縦部材62および室外横部材80を枠組みすることで室外枠部60を形成したが、打ち抜き成型などで形成された四角枠状の部材を室外枠部60として用いてもよい。
さらには、延出部36を設けることでパネル枠体50を室外面材26に対して位置決めしたが、延出部36を設けずに枠材22に架け渡した横材などでパネル枠体50を支持する(位置決めする)構成としてもよい。
また、被覆部材38をガラスパネル156の表面に当接させずに近接させてもよい。
【0037】
また、第1実施形態では、3箇所のガラス開口30を設けたが、ガラス開口30は1箇所や2箇所でもよく、また4箇所以上であってもよい。
さらに、第1実施形態では、パネルとしてガラスパネル156を用いたがこれに限らず、プラスチックパネル、金属パネル、木パネル等、他の材質でもよい。そして、パネルは透光性を有していても有さなくてもどちらでも構わない。
そして、上述の各構成を第2実施形態に適用してもよい。
【0038】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係るドアを示す縦断面図である。
【図2】前記ドアを示す横断面図である。
【図3】前記ドアの扉体の室外側からの外観を示す正面図である。
【図4】前記扉体の室内側からの外観を示す正面図である。
【図5】前記扉体の要部を拡大して示す横断面図である。
【図6】前記扉体の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記扉体の室外枠部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る扉体の要部を拡大して示す横断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…ドア、20,200…扉体、24,202…室内面材、26…室外面材、30,204…ガラス開口(扉開口)、32,206…室内面材開口部、35…室外面材開口部、36,208…延出部、37…折曲部、38…被覆部材、40,210…ガラスユニット(パネルユニット)、50,220…パネル枠体、60,230…室外枠部、62,232…室外縦部材(パネル縦部材)、72…室内枠部取付ビス(固着部材)、80…室外横部材(パネル横部材)、90,260…室外内当接面(第1の当接部)、92,262…室外外当接面(第2の当接部)、94,264…室外凹部(凹部)、96…両面テープ(接着部材)、100,250…室内枠部、156…ガラスパネル、234…断熱部材(固着部材)、252…室内縦部材(パネル縦部材)、270…室内内当接面(当接部)、272…室内外当接面(当接部)、274…室内凹部(凹部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内面材開口部を有する室内面材と、室外面材開口部を有する室外面材と、前記室内面材および前記室外面材の間に設けられる中間体と、前記室内面材開口部および前記室外面材開口部により構成され室内側および室外側を貫通する扉開口に設けられたパネルユニットと、を有して構成された扉体を備え、
前記パネルユニットは、パネル枠体と、このパネル枠体の内部に支持されたパネルと、を有し、
前記パネル枠体は、その少なくとも室外側の面に、前記室外面材の内面に当接する一対の当接部と、この一対の当接部の間においてこれらの当接部よりも凹んだ凹部とが形成され、前記凹部に設けられた接着部材を介して前記室外面材の内面に接着されているドア。
【請求項2】
前記一対の当接部および前記凹部は、前記パネル枠体の全周にわたって連続的に形成されている請求項1に記載のドア。
【請求項3】
前記パネル枠体は、一対のパネル縦部材と、一対のパネル横部材とにより四角枠状に形成され、
前記パネル縦部材および前記パネル横部材のうち一方における見付け方向内側に位置する第1の前記当接部の長手方向の寸法は、前記凹部および見付け方向外側に位置する第2の前記当接部の長手方向の寸法よりも短く形成され、他方における前記凹部および前記第1の当接部の長手方向の寸法は、前記第2の当接部の長手方向の寸法よりも短く形成されている請求項2に記載のドア。
【請求項4】
前記室外面材開口部には、室内側に延出する延出部が形成され、
前記パネル枠体は、見付け方向内側端縁が前記延出部に当接することにより前記室外面材に対して位置決めされている請求項1から請求項3のいずれかに記載のドア。
【請求項5】
前記延出部は、前記室外面材開口部が室内側に折り曲げられた折曲部と、この折曲部を被覆するとともに前記パネルの表面に当接または近接する被覆部材と、を備え、
前記凹部における前記接着部材が設けられる部分と反対側と前記パネルとの間には、止水材が設けられている請求項4に記載のドア。
【請求項6】
前記パネル枠体は、前記一対の当接部および前記凹部を有する室外枠部と、前記室外枠部に取り付けられる室内枠部と、前記室外枠部に前記室内枠部を室内側から着脱自在に固着する固着部材と、を備え、
前記パネルは、前記室外枠部と前記室内枠部とで狭持されている請求項1から請求項5のいずれかに記載のドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−144389(P2009−144389A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321993(P2007−321993)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】