説明

ドッキング装置、情報処理装置および電子機器

【課題】シャッターの破損を回避できるドッキング装置を得ることにある。
【解決手段】ドッキング装置(2)は、電子機器(1)の底面(6a)と向かい合う載置面(20)を有する本体(19)を備えている。本体(19)の載置面(20)に、電子機器(1)の第1のコネクタ(9)に接続される第2のコネクタ(22)と複数の位置決め突起(30a, 30b)が配置されている。第2のコネクタ(22)は、電子機器(1)の接続口(11)を閉じているシャッター(13)を開く突起(25a, 25b)を有する。位置決め突起(30a, 30b)は、載置面(20)から突出するとともに、電子機器(1)に係合することで載置面(20)と電子機器(1)との位置合わせを実行する。位置決め突起(30a, 30b)は、第2のコネクタ(22)よりも本体(19)の奥行き方向にずれた位置において第2のコネクタ(22)に対し本体(19)の幅方向に互いに振り分けて配置されているとともに、第2のコネクタ(22)の突起(25a, 25b)よりも突出高さが大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポータブルコンピュータのような電子機器を外部周辺機器に接続する際に使用するドッキング装置に関する。さらに、本発明は、ポータブルコンピュータのような電子機器とこの電子機器の機能を拡張する際に用いるドッキング装置とを備える情報処理装置、および機能拡張用のドッキング装置に接続可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータのような携帯形の電子機器は、筐体が薄くコンパクトに設計されている。このため、筐体の内部に例えばマルチドライブや複数の拡張カード等を収容するスペースを充分に確保することが困難となる。
【0003】
したがって、携帯性を重要視する電子機器は、必要に応じて機能拡張用のドッキング装置に接続して使用することがある。従来のドッキング装置は、特許文献1に開示されているように、電子機器の筐体が置かれる載置面と、載置面から突出するドッキングコネクタと、各種の外部周辺機器を接続するための複数の中継コネクタとを備えている。中継コネクタは、ドッキング装置の内部でドッキングコネクタに接続されている。
【0004】
電子機器は、ドッキングコネクタに対応する拡張コネクタを有している。拡張コネクタは、筐体の底面に開けた接続口を通じて筐体の外に露出している。拡張コネクタは、電子機器の筐体をドッキング装置の載置面の上に置いた時に、この載置面から突出するドッキングコネクタに接続される。
【0005】
一方、特許文献2に開示された電子機器は、電子機器を単独で使用する際に拡張コネクタを例えば埃や水滴等から保護するためのシャッターを装備している。シャッターは、筐体の接続口を開閉するとともに、常時接続口を閉じている。
【0006】
特許文献2では、シャッターを開けるのを忘れて電子機器をドッキング装置に接続しようとした場合に、ドッキングコネクタがシャッターに衝突するのを防止するため、ドッキング装置の載置面に一対の位置決めピンを配置している。位置決めピンは、ドッキングコネクタを間に挟んだ両側に振り分けられているとともに、載置面からの突出高さがドッキングコネクタの突出高さよりも大きく設定されている。
【0007】
この構成によると、シャッターが閉じているのを知らずに電子機器をドッキング装置の載置面の上に置くと、ドッキングコネクタよりも先に位置決めピンの先端がシャッターに突き当たる。この結果、電子機器が載置面から浮き上がった状態で停止するので、オペレータはシャッターが閉じていることを知ることができる。
【特許文献1】特開2004−227166号公報
【特許文献2】特開2001−142566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、シャッターが閉じているのを知らずに電子機器を載置面に押し付けると、位置決めピンの先端がシャッターに強い力で押し付けられるのを避けられない。シャッターは、通常合成樹脂製の薄いパネルで構成されることが多いために、位置決めピンとの衝突によりシャッターが変形したり、破壊されるのを否めない。
【0009】
この結果、シャッターを開くことができなくなり、ドッキング装置に対する電子機器の接続が損なわれるといった問題が生じてくる。
【0010】
本発明の目的は、電子機器を載置面に載置する時に、電子機器が載置面の正規の位置からずれていてもコネクタの突起がシャッターに突き当たるのを防止でき、シャッターの破損を回避できるドッキング装置を得ることにある。
【0011】
本発明の目的は、電子機器をドッキング装置に接続する時に、電子機器の筐体とドッキング装置の載置面との間にずれが生じてもコネクタの突起がシャッターに突き当たるのを防止でき、シャッターの破損を回避できる情報処理装置を得ることにある。
【0012】
本発明の目的は、電子機器の筐体を載置面に載置する時に、筐体が載置面の正規の位置からずれていてもコネクタの突起がシャッターに突き当たるのを防止でき、シャッターの破損を回避できる電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るドッキング装置は、
第1のコネクタを露出させる接続口を有する底面と、上記接続口を開閉するとともに、常時接続口を閉じるシャッターと、を備える電子機器が接続されるドッキング装置であって、
(1)上記電子機器の底面と向かい合う載置面を有する本体と、(2)上記本体の載置面に配置され、上記第1のコネクタに取り外し可能に接続されるとともに、上記電子機器のシャッターを開く突起を有する第2のコネクタと、(3)上記本体の載置面から突出し、上記電子機器に係合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行する複数の位置決め突起と、を備えており、
上記位置決め突起は、上記第2のコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記第2のコネクタに対し上記本体の幅方向に互いに振り分けて配置されているとともに、上記第2のコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きいことを特徴としている。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る情報処理装置は、
第1のコネクタを露出させる接続口を有する底面と、上記接続口を開閉するとともに、常時接続口を閉じるシャッターと、を備える電子機器と、上記電子機器が取り外し可能に接続されるドッキング装置と、を具備している。
上記ドッキング装置は、(1)上記電子機器の底面と向かい合う載置面を有する本体と、(2)上記本体の載置面に配置され、上記第1のコネクタに取り外し可能に接続されるとともに、上記電子機器のシャッターを開く突起を有する第2のコネクタと、(3)上記本体の載置面から突出し、上記電子機器に係合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行する複数の位置決め突起と、を含んでいる。
上記位置決め突起は、上記第2のコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記第2のコネクタに対し上記本体の幅方向に互いに振り分けて配置されているとともに、上記第2のコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きいことを特徴としている。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、
(1)載置面を有する本体と、(2)上記載置面に配置され、シャッター開閉用の突起を有するドッキングコネクタと、(3)上記載置面から突出し、上記ドッキングコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記ドッキングコネクタに対し上記本体の幅方向に振り分けて配置されるとともに、上記ドッキングコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きい複数の位置決め突起と、を具備するドッキング装置に接続可能な電子機器であって、
上記本体の載置面と向かい合う底面と、この底面に開口された接続口とを有する筐体と、
上記筐体内に設けられ、上記接続口を通じて上記筐体の外に露出されるとともに、上記ドッキングコネクタに取り外し可能に接続される拡張コネクタと、
上記筐体に設けられ、上記接続口を閉じるとともに、上記ドッキングコネクタの突起によって開かれるシャッターと、
上記筐体の底面に設けられ、上記位置決め突起が取り外し可能に嵌合することで上記載置面と上記筐体との相対的な位置合わせを実行する複数の凹部と、を備えており、
上記凹部の深さ寸法は、上記位置決め突起の突出高さと同等もしくは上記位置決め突起の突出高さよりも大きいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタの突起がシャッターに突き当たるのを防止でき、シャッターの破損を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1および図2は、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ1と、このポータブルコンピュータ1が接続されるドッキング装置2とを有する情報処理装置3を開示している。
【0019】
ポータブルコンピュータ1は、コンピュータ本体4とディスプレイユニット5とで構成されている。コンピュータ本体4は、筐体6を有している。筐体6は、底面6aを有する偏平な箱状をなしている。ディスプレイユニット5は、図示しない液晶表示パネルを収容している。ディスプレイユニット5は、筐体6の後端部に支持されている。ディスプレイユニット5は、筐体6の上に重なり合う閉じ位置と、筐体6の後端部から起立する開き位置との間で回動可能となっている。
【0020】
図3に示すように、筐体6の内部にプリント回路板8が収容されている。プリント回路板8は、筐体6の底面6aと略平行に配置されている。プリント回路板8の下面に拡張コネクタとしての第1のコネクタ9が実装されている。第1のコネクタ9は、筐体6の内部に収容されて、プリント回路板8と筐体6の底面6aとの間に位置している。図8に示すように、第1のコネクタ9は、筐体6の幅方向に延びているとともに、その長手方向に沿う両端部に嵌合孔10a,10bが形成されている、
図3および図4に示すように、筐体6の底面6aに接続口11が形成されている。接続口11は、筐体6の幅方向に延びる長方形の開口形状を有し、上記第1のコネクタ9と向かい合っている。接続口11は、底面6aの後半部の略中央に位置している。接続口11にシャッター13が配置されている。シャッター13は、ポータブルコンピュータ1を単独で使用する時に、第1のコネクタ9を例えば埃や水分等から保護するためのものである。
【0021】
シャッター13は、一対のシャッタープレート13a,13bを有している。シャッタープレート13a,13bは、例えばABS樹脂のような合成樹脂材料によって薄い板状に形成されており、ある程度の弾性を有している。シャッタープレート13a,13bは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に筐体6に支持されているとともに、常時第1の位置に保持されている。
【0022】
図4は、シャッタープレート13a,13bが第1の位置に移動した状態を開示している。第1の位置では、シャッタープレート13a,13bは、第1のコネクタ9を下方から覆うように接続口11の内側で互いに平行に並んでいる。
【0023】
図3は、シャッタープレート13a,13bが第2の位置に移動した状態を開示している。第2の位置では、シャッタープレート13a,13bは、第1のコネクタ9を間に挟んで向かい合うように第1のコネクタ9の下方から退いている。そのため、シャッタープレート13a,13bが第2の位置に移動すると、第1のコネクタ9が接続口11を介して筐体6の外に露出する。
【0024】
図4および図8に示すように、筐体6の底面6aに一対の嵌合凹部14a,14bが一体に形成されている。嵌合凹部14a,14bは、上記接続口11を間に挟んで筐体6の幅方向に互いに振り分けられている。言い換えると、第1のコネクタ9を露出させる接続口11は、嵌合凹部14a,14bの間に位置している。
【0025】
筐体6の底面6aの後端部に一対の脚部15a,15bが形成されている。脚部15a,15bは底面6aから下向きに突出するとともに、その突出端にゴム製のパッド16を有している。脚部15a,15bは、底面6aの幅方向に沿う両端に位置するとともに、上記第1のコネクタ9よりも後方に位置している。
【0026】
さらに、筐体6の底面6aの後端部に一対の凹部17a,17bが形成されている。凹部17a,17bは、好ましい例として脚部15a,15bの直後に開口している。そのため、凹部17a,17bは、筐体4の幅方向に互いに離れているとともに、これら凹部17a,17bの配置間隔Lが充分に確保されている。
【0027】
一方、上記ドッキング装置2は、ポータブルコンピュータ1を例えば外部キーボード、プリンタ、外部モニターのような外部周辺機器に接続する際に使用するものである。図3に示すように、ドッキング装置2は、例えば机の天板18の上に据え付けられる本体19を備えている。
【0028】
本体19は、筐体6の後半部に対応する大きさの偏平な箱状であり、筐体6の幅方向に延びる細長い形状を有している。本体19の上面は、筐体6が置かれる平坦な載置面20となっている。載置面20は、前方に進むに従い下向きに傾斜するとともに、筐体6を載置面20の上に置いた時に、筐体6の底面6aと向かい合う。
【0029】
図3に示すように、本体19の内部にプリント回路板21が収容されている。プリント回路板21は、載置面20と略平行に配置されている。プリント回路板21の上面にドッキングコネクタとしての第2のコネクタ22が実装されている。第2のコネクタ22は、ポータブルコンピュータ1の第1のコネクタ9が取り外し可能に嵌合されるものである。
【0030】
第2のコネクタ22は、本体19の上面に開けた開口部23を貫通して載置面20の上に突出している。第2のコネクタ22は、載置面20の前端部において、この載置面20の幅方向に沿う中央部に位置するとともに、本体19の幅方向に延びている。
【0031】
第2のコネクタ22は、一対の突起25a,25bを有している。突起25a,25bは、第2のコネクタ22の長手方向に沿う両端部に位置している。突起25a,25bは、ポータブルコンピュータ1のシャッター13を開くためのものであり、その尖った先端が第2のコネクタ22の上端よりも上方に突出している。
【0032】
突起25a,25bは、ポータブルコンピュータ1の筐体6を載置面20上の定位置に置いた時に、シャッタープレート13a,13bの間に入り込み、シャッタープレート13a,13bを第1の位置から第2の位置に向けて移動させる。さらに、突起25a,25bは、第2のコネクタ22よりも先に第1のコネクタ9の嵌合孔10a,10bに嵌合する。この嵌合により、第1のコネクタ9と第2のコネクタ22との相対的な位置合わせが実行される。
【0033】
図5および図8に示すように、本体19の載置面20に一対の嵌合突起26a,26bが一体に形成されている。嵌合突起26a,26bは、中空の円筒状をなすとともに、載置面20から上向きに突出している。嵌合突起26a,26bは、第2のコネクタ22を間に挟んで本体19の幅方向に互いに振り分けられている。
【0034】
嵌合突起26a,26bは、載置面20の上にポータブルコンピュータ1の筐体6を置いた時に、筐体6の嵌合凹部14a,14bに嵌合する。この嵌合により、載置面20とポータブルコンピュータ1の筐体6との相対的な位置合わせがなされる。
【0035】
図8に示すように、本体19は、一対のフック28a,28bを有している。フック28a,28bは、ポータブルコンピュータ1の筐体6を載置面20上の定位置に保持するためのものであり、嵌合突起26a,26bの内側に入り込んでいる。フック28a,28bは、その先端が嵌合突起26a,26bの突出端から本体19の前方に突出する係合位置と、嵌合突起26a,26bの内側に引っ込む係合解除位置との間で移動可能となっている。さらに、フック28a,28bは、図示しないスプリングにより係合位置に向けて付勢されている。
【0036】
本体19の嵌合突起26a,26bが筐体6の嵌合凹部14a,14bに嵌合すると、フック28a,28bの先端が嵌合凹部14a,14bの内面に引っ掛かる。これにより、ポータブルコンピュータ1が載置面20上の定位置に保持されるとともに、第1のコネクタ9と第2のコネクタ22との接続状態が維持される。
【0037】
図5および図8に示すように、本体19の載置面20の後端部に一対の位置決め突起30a,30bが一体に形成されている。位置決め突起30a,30bは、筐体6の凹部17a,17bに対応するものであり、載置面20から上向きに突出している。位置決め突起30a,30bは、第2のコネクタ22よりも本体19の奥行き方向に沿う後方にずれているとともに、第2のコネクタ22に対し本体22の幅方向に互いに振り分けて配置されている。
【0038】
載置面20に対する位置決め突起30a,30bの突出高さH1は、載置面20に対する突起25a,25bの突出高さH2よりも大きく設定されている。位置決め突起30a,30bが嵌合する凹部17a,17bの深さ寸法深Dは、位置決め突起30a,30bの突出高さH1よりも僅かに大きく設定されている。
【0039】
本体19の載置面20の後端部に一対の窪み部31a,31bが形成されている。窪み部31a,31bは、筐体6の後端部の脚部15a,15bが入り込むものであり、位置決め突起30a,30bの直前に位置している。
【0040】
図5に示すように、本体19に一対の押し出し片32a,32bが支持されている。押し出し片32a,32bの上端は、載置面20に露出している。押し出し片32a,32bは、イジェクトレバー33を図 の二点鎖線で示すイジェクト位置に回動させた時に、載置面20から上向きに突出し、ポータブルコンピュータ1の筐体6を載置面20から押し上げる。
【0041】
さらに、イジェクトレバー33をイジェクト位置に回動させると、フック28a,28bが係合位置から係合解除位置に移動して、筐体6の嵌合凹部14a,14bから離脱する。これにより、載置面20に対するポータブルコンピュータ1のロックが解除されるとともに、第1のコネクタ9と第2のコネクタ22との接続が解除される。
【0042】
次に、ポータブルコンピュータ1をドッキング装置2に接続する手順について説明する。
【0043】
まず、載置面20から突出する位置決め突起30a,30bと筐体6の凹部17a,17bとの位置を合わせた後、筐体6の後半部を載置面20の上に置く。
【0044】
これにより、最初に位置決め突起30a,30bの先端が筐体6の凹部17a,17bに挿入され、筐体6の後端部と載置面20の後端部との間の大まかな位置合わせがなされる。次に、載置面20上の嵌合突起26a,26bが筐体6の嵌合凹部14a,14bに挿入され、筐体6の後半部と載置面20の前端部との間の大まかな位置合わせがなされる。
【0045】
以上の位置合わせにより、第2のコネクタ22がシャッター13によって閉じられた接続口11と向かい合い、第2のコネクタ22の突起25a,25bの尖った先端がシャッタープレート13a,13bの間に入り込む。突起25a,25bは、シャッタープレート13a,13bを第1の位置から第2の位置に移動させて、接続口11を開放するとともに、第1のコネクタ9の嵌合孔10a,10bに嵌合する。
【0046】
この嵌合により、第1のコネクタ9と第2のコネクタ22との相対的な位置合わせが実行されて、第1のコネクタ9と第2のコネクタ22とが互いに向かい合う。最後に、ポータブルコンピュータ1を載置面20に向けて軽く押し込むと、第1のコネクタ9が第2のコネクタ22に対し精度よく嵌合し、ポータブルコンピュータ1とドッキング装置2との間の電気的な接続が完了する。
【0047】
ポータブルコンピュータ1をドッキング装置2に接続した状態では、ポータブルコンピュータ1は、コンピュータ本体4の手元側が低くなるように傾斜している。さらに、コンピュータ本体4の前半部は、ドッキング装置2の載置面20の前方に張り出しており、コンピュータ本体4の筐体6の前端部が机の天板18に接している。
【0048】
したがって、本実施の形態によると、ポータブルコンピュータ1は、ドッキング装置2の載置面20と机の天板18との間に跨ることになる。
【0049】
一方、ポータブルコンピュータ1をドッキング装置2に接続する際に、位置決め突起30a,30bおよび嵌合突起26a,26bの位置をよく確認せずにコンピュータ本体4の筐体6を無造作に載置面20の上に置いてしまうことがあり得る。
【0050】
すると、コンピュータ本体4の筐体6が載置面20上の正規の位置からドッキング装置2の幅方向にずれたり、あるいはドッキング装置2の奥行き方向にずれてしまい、載置面20の上の第2のコネクタ22と筐体6の接続口11との位置関係が不適切となる。
【0051】
図6および図7は、コンピュータ本体4の筐体6が載置面20に対しドッキング装置2の奥行き方向にずれた例を開示している。図6および図7では、位置決め突起30a,30bの先端が、筐体6の底面6aに開口する凹部17a,17bの縁に引っ掛かっており、凹部17a,17bへの位置決め突起30a,30bの挿入が妨げられている。
【0052】
図8および図9は、コンピュータ本体4の筐体6が載置面20に対しドッキング装置2の幅方向にずれた例を開示している。図8および図9においても、位置決め突起30a,30bの先端が、筐体6の底面6aに開口する凹部17a,17bの縁に引っ掛かっており、凹部17a,17bへの位置決め突起30a,30bの挿入が妨げられている。
【0053】
上記実施の形態によると、載置面20に対する位置決め突起30a,30bの突出高さH1は、第2のコネクタ22の突起25a,25bの突出高さH2を上回っている。このため、図6ないし図9に示すように、位置決め突起30a,30bの先端が筐体6の底面6aに突き当たった状態では、筐体6は、位置決め突起30a,30bの先端と机の天板18との間に跨ることになる。
【0054】
この結果、第2のコネクタ22の突起25a,25bの先端とシャッタープレート13a,13bとの間に隙間が形成され、突起25a,25bの先端がシャッタープレート13a,13bに衝突することはない。
【0055】
そのため、筐体6が載置面20上の正規の位置からずれているにも拘らず、ポータブルコンピュータ1を載置面20に向けて押し込んだとしても、第2のコネクタ22の突起25a,25bがシャッタープレート13a,13bに押し付けられずに済む。よって、シャッタープレート13a,13bの破損を未然に防止することができる。
【0056】
さらに、上記実施の形態によると、位置決め突起30a,30bは、載置面20の幅方向に沿う両端に位置するので、位置決め突起30a,30bの配置間隔Lが充分に確保されている。このため、位置決め突起30a,30bの先端が筐体6の底面6aに接触した時に、筐体6をぐらつくことなく安定して支えることができる。それとともに、位置決め突起30a,30bが載置面20の端に位置するので、位置決め突起30a,30bが邪魔にならず、ドッキング装置2の使い勝手が良好となる。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に特定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
【0058】
例えば、上記実施の形態では、載置面の前端部に第2のコネクタを設けるとともに、載置面の後端部に位置決め突起を配置しているが、これとは逆に、載置面の前端部に位置決め突起を配置し、載置面の後端部に第2のコネクタを設けてもよい。
【0059】
さらに、位置決め突起が挿入される凹部の深さ寸法を位置決め突起の突出高さと同等に設定し、位置決め突起の先端を凹部の終端に突き当てるようにしてもよい。
【0060】
それとともに、ドッキング装置の載置面の大きさも上記実施の形態に限らず、例えば筐体の底面と同等の大きさに形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態において、ドッキング装置にポータブルコンピュータを接続した状態を示す情報処理装置の斜視図。
【図2】本発明の実施の形態において、ドッキング装置にポータブルコンピュータを接続した状態を示す情報処理装置の平面図。
【図3】本発明の実施の形態において、ドッキング装置にポータブルコンピュータを接続した状態を示す情報処理装置の断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータの筐体の底面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るドッキング装置の斜視図。
【図6】本発明の実施の形態において、ポータブルコンピュータの筐体がドッキング装置の載置面に対しドッキング装置の奥行き方向にずれた状態を示す断面図。
【図7】本発明の実施の形態において、ポータブルコンピュータの筐体がドッキング装置の載置面に対しドッキング装置の奥行き方向にずれた状態を示す断面図。
【図8】本発明の実施の形態において、ポータブルコンピュータの筐体がドッキング装置の載置面に対しドッキング装置の幅方向にずれた状態を示す断面図。
【図9】本発明の実施の形態において、ポータブルコンピュータの筐体がドッキング装置の載置面に対しドッキング装置の幅方向にずれた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0062】
1…電子機器(ポータブルコンピュータ)、2…ドッキング装置、3…情報処理装置、6…筐体、6a…底面、9…第1のコネクタ(拡張コネクタ)、11…接続口、13…シャッター、17a,17b…凹部、19…本体、20…載置面、22…第2のコネクタ(ドッキングコネクタ)、25a,25b…突起、30a,30b…位置決め突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコネクタを露出させる接続口を有する底面と、上記接続口を開閉するとともに、常時接続口を閉じるシャッターと、を備える電子機器が接続されるドッキング装置であって、
上記電子機器の底面と向かい合う載置面を有する本体と、
上記本体の載置面に配置され、上記第1のコネクタに取り外し可能に接続されるとともに、上記電子機器のシャッターを開く突起を有する第2のコネクタと、
上記本体の載置面から突出し、上記電子機器に係合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行する複数の位置決め突起と、を具備し、
上記位置決め突起は、上記第2のコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記第2のコネクタに対し上記本体の幅方向に互いに振り分けて配置されているとともに、上記第2のコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きいことを特徴とするドッキング装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記第2のコネクタは、上記載置面の前端部に位置するとともに、上記位置決め突起は、上記載置面の後端部に位置することを特徴とするドッキング装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、上記本体は、上記載置面から突出する一対の嵌合突起を有し、これら嵌合突起は、上記電子機器に取り外し可能に嵌合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行するとともに、これら嵌合突起の間に上記第2のコネクタが位置することを特徴とするドッキング装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、上記本体は、上記嵌合突起に対応する位置に上記電子機器に取り外し可能に引っ掛かる一対のフックを有することを特徴とするドッキング装置。
【請求項5】
第1のコネクタを露出させる接続口を有する底面と、上記接続口を開閉するとともに、常時接続口を閉じるシャッターと、を備える電子機器と、
上記電子機器が取り外し可能に接続されるドッキング装置と、を具備する情報処置装置であって、
上記ドッキング装置は、
上記電子機器の底面と向かい合う載置面を有する本体と、
上記本体の載置面に配置され、上記第1のコネクタに取り外し可能に接続されるとともに、上記電子機器のシャッターを開く突起を有する第2のコネクタと、
上記本体の載置面から突出し、上記電子機器に係合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行する複数の位置決め突起と、を含み、
上記位置決め突起は、上記第2のコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記第2のコネクタに対し上記本体の幅方向に互いに振り分けて配置されているとともに、上記第2のコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きいことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、上記電子機器の底面は、上記位置決め突起が嵌合する複数の凹部を有し、これら凹部の深さ寸法は、上記位置決め突起の高さ寸法と同等もしくは上記位置決め突起の高さ寸法よりも大きいことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項5の記載において、上記電子機器の底面は、上記凹部の近傍に複数の脚部を有し、上記ドッキング装置の載置面は、上記脚部が入り込む複数の窪み部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項5の記載において、上記ドッキング装置の本体は、上記載置面から突出する一対の嵌合突起を有し、これら嵌合突起は、上記電子機器に取り外し可能に嵌合することで上記載置面と上記電子機器との相対的な位置合わせを実行するとともに、これら嵌合突起の間に上記第2のコネクタが位置することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8の記載において、上記ドッキング装置の本体は、上記嵌合突起に対応する位置に上記電子機器に取り外し可能に引っ掛かる一対のフックを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
(1)載置面を有する本体と、(2)上記載置面に配置され、シャッター開閉用の突起を有するドッキングコネクタと、(3)上記載置面から突出し、上記ドッキングコネクタよりも上記本体の奥行き方向にずれた位置において上記ドッキングコネクタに対し上記本体の幅方向に振り分けて配置されるとともに、上記ドッキングコネクタの突起よりも上記載置面に対する突出高さが大きい複数の位置決め突起と、を具備するドッキング装置に接続可能な電子機器であって、
上記本体の載置面と向かい合う底面と、この底面に開口された接続口とを有する筐体と、
上記筐体内に設けられ、上記接続口を通じて上記筐体の外に露出されるとともに、上記ドッキングコネクタに取り外し可能に接続される拡張コネクタと、
上記筐体に設けられ、上記接続口を閉じるとともに、上記ドッキングコネクタの突起によって開かれるシャッターと、
上記筐体の底面に設けられ、上記位置決め突起が取り外し可能に嵌合することで上記載置面と上記筐体との相対的な位置合わせを実行する複数の凹部と、を具備し、
上記凹部の深さ寸法は、上記位置決め突起の突出高さと同等もしくは上記位置決め突起の突出高さよりも大きいことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項10の記載において、上記シャッターは、合成樹脂製の一対のシャッターパネルを有し、上記シャッターパネルは、上記コネクタの下方において互いに平行に並ぶ第1の位置と、上記コネクタを間に挟んで向かい合うように上記コネクタの下方から退く第2の位置との間で移動可能であることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−299630(P2008−299630A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145460(P2007−145460)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】