説明

ドパミンD1R作動薬によるヒトリンパ腫及び白血病癌細胞及びTCR−活性化正常ヒト細胞の死滅化

ドパミンD1/D5受容体は、種々のタイプのヒト及び動物の白血病、リンパ腫及び活性化T−細胞において高度に過剰発現される。ドパミンD1受容体はまた、他のタイプの癌細胞において劇的に上昇した水準又はまったく穏やかな水準でさえまた発現される。フェノルドパムメシラートのような選択的ドパミンD1受容体作動薬は、ドパミンD1受容体を発現するそのようなヒト及び動物T−細胞を迅速に、強力にそして選択的に殺す。したがって、病気を起こす細胞を殺すことにより、リンパ腫、白血病及び免疫系の他の癌、及びT−細胞媒介自己免疫疾患、そして(慢性炎症のような)過剰活性化炎症性T−細胞により起こされた他の病気、あるいは移植片宿主相関症(GVHD)又は移植片拒絶反応により、あるいはドパミンD1受容体を発現する任意の他の細胞タイプにより起こされた、他の病気を治療するために、選択的ドパミンD1/5受容体作動薬は使用されることができる。さらに使用する前に、望ましくない白血病、リンパ腫又は活性化T−細胞から、一定の細胞集団を浄化することのようなインビボ又はインビトロでのいずれかで、これらの目的のために、選択的ドパミンD1/5受容体作動薬は使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドパミンD1R作動薬によるヒトリンパ腫及び白血病癌細胞及びTCR−活性化正常ヒト細胞の死滅化に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
リンパ腫及び白血病
ヒトは、非常に攻撃的な腫瘍である種々のタイプのリンパ腫及び白血病を患っている。大抵の場合、現在存在する治療様式(化学療法、放射線療法、外科手術、或る種の追加の抗癌剤及び骨髄移植術)は全く満足できるものではなく、ほんの比較的に少さい割合のリンパ腫及び白血病患者だけしか、多数年にわたって生き延びることができない。したがって、一方ではともかく正常な(悪性でない)細胞にほとんど影響を及ぼすことなしに、白血病及びリンパ腫癌細胞を選択的に殺すことができる新規な医薬を発見することの緊急な必要性が存在する。
【0003】
ドパミン及びその受容体
神経系においての最も重要な神経伝達物質の1つであるドパミンは、D1R及びD5RからなるD1R系統、そしてD2R、D3R及びD4RからなるD2R系統に下位区分化される5種の受容体D1R〜D5Rを有する。D1クラスのドパミン受容体(またそれにD1R及びD5Rが属している)は、Gsタンパク質カップリングされているのに対して、D2クラスのドパミン受容体(またそれにD2R、D3R及びD4Rが属している)は、Giカップリングされている。
【0004】
幾つかの独立した研究は、正常ヒトT−細胞及び周辺リンパ球がD2、D3、D4及びD5サブタイプのドパミン作動性受容体を発現するが、しかしドパミンD1受容体サブタイプを発現しないことを示している。
【0005】
フェノルドパムメシラート
フェノルドパムメシラート(fenoldopam mesylate)は、主として重度の高血圧、うっ血性心不全、及び急性及び慢性腎不全の治療においてその血管拡張作用のために広く研究されており,そしてクリニックにおいて使用されている高度に選択的なドパミンD1受容体作動薬である。
【0006】
フェノルドパムメシラートは、BBBを横断せす、したがって周辺作用のみを有する。化学的には、フェノルドパムは、6−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−〔1H〕−3−ベンゾアゼピン−7,8−ジオールメタンスルホネートである。それは米国特許第4,197,297号、同第4,600,714号及び同第6,238,693号に記載されてきており、そして現在ではゼネリック医薬である。
【0007】
フェノルドパムは、生物学的活性に応答性であるR−異性体を有するラセミ混合物である。R−異性体は、D1−様受容体に対して、S−異性体が発揮するよりもおよそ250倍高い親和性を持っている。フェノルドパムは、α2−アドレナリン受容体に結合するが、しかし穏やかな親和性をもって結合する。それは、D2−様受容体、α1及びβアドレナリン受容体、5HT1及び5HT2受容体又はムスカリン受容体に対して有意義な親和性を有しない。フェノルドパム又は何か他のD1受容体作動薬が癌細胞を殺す能力を有するという証拠は今までには存在しなかった。種々のタイプのヒト及び動物白血病及びリンパ腫ならびに活性化T−細胞は、D1受容体を発現しない正常な静止T−細胞に比較して、高く上昇した水準のドパミンD1受容体を発現することが、今や見い出された。フェノルドパム、選択的ドパミンD1受容体作動薬及び他の選択的ドパミンD1受容体作動薬は、リンパ腫、白血病及び活性化T−細胞を迅速に、強力に、そして選択的に殺すことがまた見い出された。これらの知見に基づいて、本発明は、白血病、リンパ腫、活性化T−細胞、自己免疫T−細胞及び過剰活性化炎症性T−細胞を選択的に殺すためのフェノルドパムメシラート(fenoldopam mesylate)及び他のドパミンD1受容体作動薬の使用に向けられている。フェノルドパムはまた、ドパミンD1受容体を発現する他の癌細胞を殺す能力を有することが予想される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
T−細胞媒介自己免疫疾患
ヒトは幾つかのタイプの自己免疫疾患を患っており、これらの中の或るものは(多かれ少なかれ或る程度まで)自己免疫T−細胞により媒介されている。ヒトT−細胞媒介自己免疫疾患の中には以下のものがある:インスリン依存性(1型)真正糖尿病、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫心筋炎、そして恐らくはまた少なくとも1部分(近年行われた新しい観察に従えば)脱毛症及び乾癬。全てのこれらの病気の現存する治療の有益な成果は非常に限られており、とても満足できるものではない。従って、一方では静止している非活性化T−細胞については差し控えながら、活性化自己免疫T−細胞を選択的に殺すか又は不活動にさせることができる新しい医薬を見つけ出すことの緊急な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
リンパ腫及び白血病を死滅させることに関する本発明の面は、以下の発見に基づいている:
1)ヒト及びマウスリンパ腫(これらの中には幾つかのタイプのT−細胞リンパ腫がある)、及びヒト及びマウス白血病(これらの中にはT−細胞白血病がある)の或るタイプが、D1ドパミン受容体を発現しない正常ヒト静止周辺T−細胞とは対照的に、それらの細胞表面上で発現したドパミンD1受容体の水準においての劇的な上昇を有する。他のタイプの非T−白血病及びリンパ腫(これらの中にはB−細胞バーキットリンパ腫がある)はまた、種々の水準のドパミンD1受容体を発現する。
2)フェノルドパムメシラートの1nM〜0.01mM濃度に、又は他のドパミンD1/5受容体作動薬の同様な濃度に、(上に特定された)5つの異なるタイプのヒトリンパ腫及び白血病を、インビトロで曝露すると、これらの癌細胞の全て又はほとんど大部分の死に導く。
3)フェノルドパムメシラートへの、又は(以下に特定される)他の高度に特異性のドパミンD1/5受容体作動薬への、異なるタイプのヒトリンパ腫及び白血病の、比較的に短い時間期間(例えば10〜30分)インビトロでの曝露はリンパ腫又は白血病細胞の死を起こさせるのに十分である。試験され、そしてリンパ腫及び白血病を殺すのに有効であると分かった選択的ドパミンD1/D5受容体作動薬は、(1R−シス)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシ−1−イル−〔1H〕−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩(TOCRIS Cookson製品名:A77636塩酸塩;カタログ番号:1701;“強力な、選択的D1−様作動薬;経口的に活性”と称せられる)、(±)−1−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−(1H)−3−ベンゾアゼピン−7,8−ジオール臭化水素酸塩(TOCRIS COOKSON製品名:SKF38393臭化水素酸塩;カタログ番号:0922;“D1−様ドパミン受容体選択的部分作動薬”と称せられる)、及びシス−(±)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1H−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩(TOCRIS COOKSON製品名:1534;カタログ番号:A68930塩酸塩;“強力且つ選択的D1−様ドパミン受容体作動薬”と称せられる)である。
4)フェノルドパムメシラート及び全ての他の選択的ドパミンD1/D5受容体作動体によりリンパ腫及び白血病を殺すことは常に投与量依存性である。それでもやはり、予想されるように、或る種のD1R作動薬は他のよりも非常に有効であり、そして他のものの濃度よりも低い濃度で癌細胞を殺すことができた。フェノルドパムメシラート及びA77636塩酸塩は最も有効な癌キラーであり、したがって本発明を使用するための好ましい態様である。
【0010】
5)試験されたリンパ腫及び白血病細胞の殆どは、正常な(癌でない)ヒトT−細胞上でのD1/D5受容体、ドパミンD3受容体及びドパミンD2受容体それぞれの非常に低い発現に比較して、D1/D5受容体のみばかりでなくドパミンD3及びドパミンD2受容体をもまた、それらの細胞表面上に著しく上昇した水準で発現した。なお、ドパミンD2及びD3受容体作動薬はともかく、ドパミンD1/5受容体作動薬により発揮される効果と比較して、非常に低い抗癌死滅化活性を示した。
【0011】
ドパミンD1R作動薬は、試験された白血病及びリンハ腫細胞の、主として壊死により実質的な死滅を一貫して起こさせたけれども、(その5つの受容体のサブタイプの全てを主として誘発することができる)ドパミンそれ自体は、或る場合においてはまた、ヒト白血病及びリンパ腫を殺したが、しかし他のある場合においてはそうしなかった。本明細書おいて全ての試験された高度に選択的なD1R作動薬の中でフェノルドパムメシラート及びA77636塩酸塩が最も有効な癌キラーであった。
【0012】
T−細胞媒介自己免疫疾患の治療に関連した本発明の面は、以下の発見に基づいている:
1.(上記T−細胞受容体を発現しないか又は重大でない最小の水準に発現する静止正常ヒト周辺T−細胞とは対照的に)T−細胞受容体(TCR)−活性化正常ヒト周辺T−細胞は、それらの細胞表面上で劇的に上昇した水準のドパミンD1受容体を発現する。
2.フェノルドパムメシラートのような幾種かの高度に選択的なドパミンD1/5受容体作動薬への、インビトロでのTCR−活性化ヒト正常周辺T−細胞の曝露は、これらの活性化T−細胞の実質的な割合を殺すが、しかし静止〔活性化されていない)ヒト正常周辺T−細胞の死は有意義に低い。全ての選択的ドパミンD1/5受容体作動薬によりTCR−活性化T−細胞を殺すことは投与量依存性であった。それでもやはり、予想されるように、或る種のD1R作動薬は、他より非常にいっそう有効であり、そして他のものの濃度より低い濃度で癌細胞を殺すことができた。本明細書中で試験された全ての高度に選択的なD1R作動薬の中でフェノルドパムメシラート及びA77636塩酸塩は、TCR−活性化T−細胞の最も有効なキラーであって、したがってこの方法において使用するための好ましい態様である。
【0013】
本発明は添付図面に関連してより良く理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好ましい態様の詳細な記載
5種の異なる選択的D1R作動薬を、本明細書において特別に開示し、そして諸実験において使用したけれども、本発明はそれらに限定されると考えられるべきでない。そのような作動薬であると知られている分子の構造を変化させ、そして作動薬的活性についてスクリーニングすることによるか、又は当業界に知られている他の手段によるような他のそのような作動薬を決定することは当業界の技術内にある。さらに単クローン性抗体はしばしば作動薬的活性を有している。したがって、抗原としてD1R又はそのエピトロープ類を用いて抗体を育成し、そしてD1R作動薬的活性について抗体をスクリーニングすることができる。次ぎに任意のそのような陽性抗体を、本発明に従って直接に使用することができるか、あるいは人化抗体、単鎖抗体、又は親抗体のD1R作動化活性を維持している抗体フラグメント又は誘導体を生成するための慣用の方法で遺伝学的に作り上げることができる。本明細書において用いられるものとして“抗体”と言う用語は、多クローン性抗体又は単クローン性抗体、あるいは任意の上記の遺伝学的に作り上げた抗体を包含することが意図される。
【0015】
ドパミンD1R作動薬は、直接に又は間接的にドパミンD1受容体を活性化することができる。受容体のG−たんぱく質結合たんぱく質又はその下流のエフェクターたんぱく質の任意なものをまた、本発明の作動薬により直接に又は間接的に活性化することができる。本発明の効果をいったん理解したならば、所望の活性及び選択性を有する他の作動薬をスクリーニングし、そしてそれを得ることは当業者の技術内にある。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられるものとして“選択的”という用語は、D2R、D3R及びD4Rに対して比較的に小さい活性を有するか又は活性を有してなく、D1R及びD5Rに対して実質的に選択的作動薬活性を有することを意味する。本発明の作動薬は、好ましくはドパミンD1受容体について全体的に選択的である一方で、それらはまたドパミン受容体のD1系統の部員であるD5受容体に対して幾らかの作動薬活性を有することが許容される。好ましい作動薬はD2R、D3R及びD4Rに対して比較的に僅かな活性を有するか又は全く活性を有しておらず、D1Rに関して強い活性を有し、そしてD5Rに対してできるだけ小さい活性を有する。
【0017】
ドパミンD1受容体を発現する任意の細胞、特にそのような受容体を過剰に発現する細胞を、本発明により殺すことができる。本明細書に示されるように、或る種の白血病及びリンパ腫細胞(多くの場合D1Rについて70〜80%陽性)及びTCR−活性化細胞は、対応する正常な又は静止している細胞に比較してD1Rを過剰に発現する。なお、幾らかの他の癌は、非常に低いD1R発現(時にはほんの10%陽性でさえある)を有するが、しかしそれらはまた本発明に従ってD1R作動薬により非常に有効に殺される。したがって低い又は穏やかな水準にあるD1Rでさえ、細胞を、D1R選択的作動薬により誘発される死滅に感受性にさせることができる。したがって、本発明は、低い又は穏やかな水準でさえ、D1Rを発現する他の悪性細胞を死滅させることをカバーすることがまた意図される。
【0018】
TCR−活性化T−細胞は、正常な“静止している”T−細胞に比較してD1Rを過剰に発現する。したがって、そのような活性化細胞は、前記活性化T−細胞が治療されるべき病気又は症状の一因となっている、即ちその病気又は症状が炎症性T−細胞のような活性化T−細胞により起こされるか又は悪化されている病気又は症状において排除されることができる。そのような病気又は症状の例は、インスリン依存性(1型)真正糖尿病、多発性硬化症、重症筋肉無力症、自己免疫心筋炎、脱毛症及び乾癬症のようなT−細胞媒介自己免疫疾患である。他のそのような病気は難治性炎症、及び炎症性T−細胞によって媒介される他の病気である。
【0019】
本発明に従って治療することができる他の病気又は症状は、移植片宿主相関病(GVHD)である。GVHDを、ヒト及び/又は動物供与体から到来する活性化宿主活性化同種T−細胞を殺すことにより予防するか又は治療することができる。そのような活性化T−細胞は、事情が変われば、完全に又は部分的に不釣り合いの組み合わせの臓器又は骨髄細胞の移植の後に、GVHDを起こす可能性がある。同様に、本発明により、移植片拒絶反応を治療するか又は予防することができる。活性化宿主T−細胞は、完全に又は部分的に不釣り合い臓器及び骨髄細胞の移植後に供与者組織に対して宿主反応を起こし、それにより移植片拒絶反応を生ずる可能性がある。
【0020】
本発明の作動薬は、インビボ又はインビトロのいずれかでD1R受容体を発現する細胞の死を起こさせるために用いられることができる。ヒト又は他の動物生体においての病気を治療する場合、本発明の作動薬を、当業界に既知の任意の都合の良い方法で、全身的にあるいは治療されるべき細胞の部位に局所的に投与することができる。したがって、作動薬を、静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射、腫瘍内注射、くも膜下内注射又は頭蓋内注射により投与することができる。その作動薬を、経皮軟膏又は植え込み型医薬送り出しポンプにより投与することができる。その作動薬をまた、経口的に投与することができる。
【0021】
本発明の作動薬をまた、体外(ex vivo)で用いることができる。例えば、自己骨髄移植法のために後で使用されるべき自己幹細胞の調整材料内の癌細胞を殺すためのような、白血病及び/又はリンパ腫細胞を浄化し、そして/又は殺すような方法で、それらを用いることができる。事実、骨髄移植、T−細胞移植、又は任意の他の用途のために“清浄化”細胞集団をさらに使用する前に、望ましくない白血病、リンパ腫又は活性化T−細胞から、骨髄細胞のような一定の細胞集団を浄化するか又は“清浄化”するためにドパミンD1受容体作動薬を使用することができる。例えばT−細胞サイトカイン又は成長因子又は任意のT−細胞分泌物たんぱく質、等を採取する、癌の免疫治療のためのようなさらにインビトロ培養するためにそのような“清浄化された”細胞集団をまた使用することができる。
【実施例】
【0022】
例 1:
材料及び方法
それらの抗癌効果について試験されるドパミンD1受容体作動薬
5種の異なる高度に選択的なドパミンD1/5受容体作動薬を、それらの抗−リンパ腫及び抗−白血病死滅化活性について試験した:
1)TOCRIS Cookson製品名:A77636塩酸塩;カタログ番号:1701;化学名:(1R−シス)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシ−1−イル−〔1H〕−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩(“強力な、選択的D1−様作動薬;経口的に活性”と称せられている)。
2)TOCRIS COOKSON製品名:SKF38393臭化水素酸塩;カタログ番号:0922;化学名:(±)−1−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−(1H)−3−ベンゾアゼピン−7,8−ジオール臭化水素酸塩(“D1−様ドパミン受容体選択的部分作動薬”と称されている)。
3)TOCRIS COOKSON製品名:1534;カタログ番号:A68930塩酸塩;化学名:シス−(±)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1H−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩(“強力且つ選択的D1−様ドパミン受容体作動薬”と称されている)。
4)フェノルドパムメシラート(FD)(“フェノルドパムメシラート注射USP”と名づけられたBedford Laboratories/USA製品(フェノルドパムは、6−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−〔1H〕−3−ベンゾピラン−7,8−ジオールメタンスルホネートである)。
5)フェノルドパム臭化水素酸塩:SIGMA製品番号F−6800、CAS#:D7227−56−9;同義語1:SKF82526。
ドパミン及び他のドパミン−受容体類似体を対照として使用した。
i.ドパミン及びドパミンD3R選択的作動薬:U−99194マレイン酸塩(Sigma Chemicals)。
ドパミンD1R選択的作動薬:SKF 38393。
ドパミンD2R選択的作動薬:キンピロール(Quinpirole)。
ドパミンD3R選択的作動薬:7−ヒドロキシ−DPAT。
ii.ドパミンD4R選択的作動薬:PD168077。
ドパミンD2R選択的作動薬:L−741,626。
ドパミンD4R選択的作動薬:L−741,741
(Tocris Cookson)。
【0023】
ヒト癌細胞系
ヒトB−リンパ腫(バーキットリンパ腫)系:Raji及びDaudi;
ヒトT−細胞白血病系:Jurkat;ヒトT−リンパ腫(皮膚“Sezary”T−リンパ腫)系:Hut78;及びヒト慢性骨髄性白血病(CML):K−562を、アメリカン タイプ セル カルチュア(ATCC)から得た、そして10%FCS、1%グルタミン及び1%抗生物質を補充した(IMDM又はRPMI−1640のいずれかの)組織培地中に維持した(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)。
【0024】
正常な周辺ヒトT−細胞
赤血球、死んだ細胞、多形核白血球及び顆粒球からリンパ球を分離するために密度勾配遠心分離を用いた。血液銀行により供給された、血漿が存在しない且つ前冷凍されていない“新しい”50mlの白血球のサンプルをPBS中に1:1に希釈し、そして底に5.6%のポリスクロース及び9.6%のメトリゾエートナトリウムの溶液を含有する(イスラエル国エルサレムのNovamed製の)Uni−SEPmaxi+試験管に加えた。その試験管を遠心分離(1200rpm、30分)し、そして(血漿とポリスクロース/メトリゾエートナトリウムとの界面に移動する)リンパ球の得られた層を2mlのピペットにより取り出した。そのリンパ球を、PBSで2回洗浄し(1000rpm、10分)、そして5%FCSを含有する8mlのPBS中に再懸濁させた。次ぎに他のリンパ球(即ちB−細胞及びNK−細胞)からT−細胞を分離するためにナイロンウールカラムを用いた。PBS/5%FCSと共に37℃で30分間予備インキュベートしたナイロンウールカラム(Novamed製)上に(注射器注入により)細胞懸濁液を装入した(カラム当たり2ml)。この細胞装入の後に室温で1時間水平においてそのカラムをさらにインキュベートした。インキュベーションの後に、非粘着性のT−細胞を溶離するためにPBS(カラム当たり12ml)をカラムに加えた。溶離された細胞を清浄な試験管に集めそして遠心分離した(800rpm、15分)。得られた細胞集団は、TCR染色及びFACSortを用いる流動細胞光度測定法により数値を求めたときに、>90%T−細胞からなっていた。その細胞を、10%FCS、1%グルタミン及び1%抗生物質を補充したRPMI−1640中に維持した(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)。
【0025】
正常な周辺ヒトT−細胞のT−細胞受容体(TCR)活性化
非組織培養処理された24ウェルのプレート(ニュージャージー州、フランクリンレークスのFalcon製)を4℃で一夜、抗−CD3及び抗−CD28単クローン性抗体(mAbs)(カリフォルニア州サンホーゼのBD Pharmingen製)でコーティングした(PBS中10g/ml)。そのウェルを次ぎにPBSで洗浄し、37℃で1時間封鎖し(PBS/1%BSA)、そして再び洗浄した。新しく精製した正常なヒトT−細胞を、それらのそれぞれの新しい媒体に再懸濁させ、そして抗−CD3/CD28−コーティングウェル中に接種し(1x10/ウェル)、そしてそれらのプレートを72時間インキュベートした(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)。次ぎに、各々のウェルからそれらの細胞及びそれらの媒体を収集し、50ml試験管に移し、遠心分離し(1200rpm、10分)、そしてTCR−活性化細胞及びそれらの培養液の両方を収集し、そして清浄な別の試験管に移した。
【0026】
癌細胞ならびに正常な“静止”T−細胞及び正常なTCR−活性化T−細胞の、D1R作動薬(これらの中でFD)への曝露
ヒト癌細胞、そして平行して“静止”正常ヒトT−細胞及びT−細胞受容体(TCR)−活性化正常ヒトT−細胞を、96の組織培養ウェルに接種し(20万〜50万細胞/ウェル)、そして1分〜72時間の範囲の種々の時間期間にわたって、(他のように示さない限り)通常0.1nM〜0.1mMの範囲で、順次希釈でD1R作動薬を加えた。後に、細胞生存能力を試験した。FDを用いる大部分の実験において、0、15分、30分及び60分の時間で合計1時間の間に4回(FDx4)、0.01nM〜0.1mMの順次希釈で、この薬剤を再び加えた。
【0027】
LDH放出を追跡することによる細胞生存能力に対するFDの効果を試験する
LDHの放出を測定することによる細胞死の測定を、製造者の取り扱い説明書に従ってCytoTox 96非−放射能細胞毒性アッセイ(Promega製)を用いて行った。
【0028】
詳細:CytoTox 96非−放射能細胞毒性アッセイは、51Cr放出細胞毒性アッセイに対する比色代替アッセイである。CytoTox 96アッセイは、51Crが放射能アッセイで放出されるとほぼ同じ様式で、細胞溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を定量的に測定する。培養上澄み液中に放出されたLDHを、赤色ホルマザン生成物への、テトラゾリウム塩(INT)の変換を生ずる30分カップリングされた酵素アッセイで測定する。形成される色の量は、溶解細胞の数に比例する。可視波長吸光度データを、標準の96−ウェルプレート読取器を用いて収集する。
【0029】
流動細胞光度測定法を用いて細胞死、細胞消滅及び壊死を追跡することによる細胞生存能力に対するFDの効果を試験する
流動細胞光度測定法及びホスファチジルセリンの検出による細胞死の測定を、製造者の取り扱い説明書に従って、IQプロダクツキット(R&Dシステムズ)を用いて行った。
【0030】
詳細:ホスファチジルセリン検出キットは、流動細胞光度測定法による細胞消滅の検出のための迅速な且つ信頼できる方法を提供する。この方法は、単一細胞水準での検出を可能にし、そしてまた、細胞消滅と壊死との間の識別を可能にする。
【0031】
細胞消滅の早期の段階の間にホスファチジルセリン(PS)は細胞膜の外側に曝されるようになる。細胞消滅のこの早期段階は、PS結合たんぱく質(アネキシンV)により特異的に検出されることができる。
【0032】
細胞消滅の早期の段階の間で細胞膜はそのままの状態にあり、そして細胞は沃化プロピジウム(propidium iodide)(PI)を排除する。後に、細胞消滅の過程の間に膜は多孔性になり、そしてPIはDNAと会合されるようになる。PIのその取り込みは壊死の表示である。
【0033】
標準の顕微鏡を用いてのトリパンブルーによる生存細胞及び死んだ細胞の計数
トリパンブルーを吸収する細胞は、死んでいるか又は死への過程にある。
ドパミンD1受容体及び流動細胞光度測定法のための免疫表現型染色
氷上で30分間、1:50希釈/1x10細胞/100A1で、いずれかのD1Rに対して向けられたウサギ抗血清(Calbiochem製)を用いて、正常なヒトT−細胞(静止しているか又はTCR−活性化72時間後のいずれか)を、単一又は二重の免疫蛍光染色に付した。アイソタイプ制御を用いて染色するために細胞を、正常なウサギ血清(Jackson Immunoresearch Labortories製)で染色した。次ぎにそれらの細胞を、フルオロレセインイソチオシアネート(FITC)−共役ヤギ抗−ウサギIgG(1:100希釈の100A1:Jackson製)で染色した。幾つかの実験において、PE−共役化マウス抗−ヒトTCRab mAb(貯蔵物の20A1;Serotec製)で二重染色を行った。第2及び第3抗体でのみ染色された細胞を、追加の陰性の対照として供した。蛍光プロフィルをFACSortにおいて記録した。
【0034】
例 2:
ヒトT−細胞癌はそれらの細胞表面上に非常に高い水準のドパミンD1Rを発現する一方で、正常なヒトT−細胞はそれを発現しない
正常なT−細胞、そして癌T−細胞白血病細胞及びリンパ腫細胞の細胞表面上のドパミンD1受容体(D1R)の発現は、最初にウサギ抗−D1R特異性抗体を用い、次ぎにFITC−共役化抗−ウサギ抗体を用い、そしてFACSortを用いる流動細胞光度測定分析により、これらの細胞の免疫蛍光染色により、研究された。非−特異性アイソタイプコントロール染色のためにウサギ血清を用いた。
【0035】
図1に示される結果は、ヒトT−白血病細胞(Jurkat)及びマウスT−リンパ腫細胞(EL−4)が、それらの細胞表面上に非常に高い水準のドパミンD1Rを発現する一方で、正常なヒトT−細胞はそれを発現しないことを立証する。したがって、ヒト白血病上の正味の特異性D1R染色は61%(74.8%特異性染色−13.7%制御非特異性染色)であって、ヒトT−リンパ腫上の正味の特異性D1R染色は57.8%(71%特異性染色−13.2%コントロール非特異性染色)であったが、その一方で正常な周辺ヒトT−細胞についての正味のそれは、ほんの5.7%(13.9%特異性染色−8.2%コントロール非特異性染色)であった(図1A〜図1F)。
【0036】
幾つかのタイプの非−Tヒトリンパ腫及び白血病、即ちヒトバーキットB−リンパ腫(Daudi及びRaji)及びヒト慢性骨髄性白血病(CML)(K−562)細胞はまた、それらの細胞表面上に種々の程度のD1Rを発現することがさらに見い出された(データ示さず)。
【0037】
例 3:
生存細胞の数により明らかであるようにフェノルドパムメシラートはヒト癌白血病及びリンパ腫を殺す
また血圧を調節するためのFDA−認可医薬でもあるフェノルドパムメシラート(FDM)のような選択的D1R作動薬がドパミンD1Rを発現するヒト癌細胞を殺すことができることを立証するために、さらに試験を行った。この目的のためにJurkat T−細胞白血病系、Hut−78ヒトT−リンパ腫(皮膚“Sezary”T−リンパ腫)系、及びK−562ヒト慢性骨髄性白血病(CML)及びDaudiヒトB−リンパ腫(バーキットリンパ腫)系を、組織培養ウェルに接種した(50万細胞/0.5ml/ウェル)。(MW=401、10mg/ml=25mMの最初濃度で、最初の臨床的に使用されるアンプルから)FDMを、10−2M〜10−10Mの順次希釈に、(製造者により説明されているように)0.9%塩化ナトリウム注射を用いて希釈した。次ぎにFDMを対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに加え(0.5ml細胞に与える濃度でFDMの5マイクロリットル、1:100希釈)、その結果、試験された最終FDM濃度は10−4M〜10−12であった。
【0038】
0、15分、30分及び60分の時間で合計1時間の間に4回対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに、(各々の上記濃度で)FDMを加えた。流動細胞光度測定法を用いて、生きている細胞の数を計数することにより、3日後に、細胞生存/死を評価した。
【0039】
表1は、非常に有意義に且つ投与量に依存性の様式で、FDMがヒトT−細胞白血病、Sezary T−細胞リンパ腫及び慢性骨髄性白血病(CML)を殺したことを示す。
【0040】
【表1】

【0041】
興味深いことには、表1は、10−4MのFDM(患者の血圧を下げるために、FDA−認可された48時間注入治療のために患者に注射された最初のFDM濃度)の1時間で癌細胞の全ての死滅を起こさせることを示す。(48時間FDA認可注入を受けている患者の循環においてFDMの報告されたおよその定常状態濃度である)10−8M(=0.1nM)FDMの10,000低い濃度で、62%のヒトT−白血病、32%のヒトSezary T−リンパ腫、及び25%のヒトCML細胞の死を起こさせた。
【0042】
上記した同じヒトT−白血病、T−リンパ腫及びCML細胞ならびにヒトバーキットB細胞リンパ腫(Daudi)を用いての続いての実験において(合計1時間の間の15分間隔の4回細胞にもう一度加えられた)幾つかの濃度でのFDMが、細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の増大した放出により明らかなように、ヒトT−細胞、B−細胞及びCML癌の全ての4つのタイプの細胞を殺したことが示された(図2〜5)。
【0043】
留意点として、増大したLDH放出を、FDMの添加の1時間後に直ちに測定した。FDMの明らかな死滅化効果にもかかわらず、この効果の投与量依存性は複雑であり、予期されてなく、そして各々の癌のタイプに対して異なっている(図2〜図5)。
【0044】
例 4:
活性化された正常なヒトT−細胞はまた、それらの細胞表面上に非常に高い水準のドパミンD1Rを発現する一方で、静止している正常ヒトT−細胞はそれを発現しない
ドパミンD1Rはまた、(抗−CD3及び抗−CD28単クローン性抗体を用いて)インビトロで“古典的な”T−細胞受容体(TCR)活性化を受けた正常な(即ち、非癌性の)周辺ヒトT−細胞において非常に高い水準で発現される一方で、“静止”(即ち活性化されていない)正常なヒトT−細胞は発現しない(2人の異なる健康なヒト個人から由来するT−細胞を表す図6及び図7)。そのようなTCR−活性化は、適当な抗原提供細胞(APC’s)により提供される異質(foreign)抗原に出会うT−細胞がTCRを介して高度に活性化されるようになるインビボ状況を模倣するために通常用いられる。
【0045】
例 5:
フェノルドパムメシラートは、TCR−活性化された正常なヒト周辺T−細胞の著しい死を誘発するが、しかし静止している正常なヒトT−細胞の死を誘発しない
TCR−活性化正常なヒトT−細胞において本明細書にて見い出されるD1R発現の上昇した水準を有する線に沿って(図6及び図7)、10−4M〜10−10MでのFDMは、これらの活性化細胞の著しい死を起こした(図8)一方で、静止している正常なヒトT−細胞には殆ど影響せず(図9);後者の静止している細胞は、事実、ここで試験された最も高いFDM濃度(10−4M)によってのみ死んだ。
【0046】
例 6:
ヒト白血病及びリンパ腫に対するフェノルドパム臭化水素酸塩の効果
次ぎに、FDMに類似している化学構造を有するフェノルドパム臭化水素酸塩が、ヒト白血病及びリンパ腫を殺すその能力について試験した。表2〜4は、投与量及び時間依存性様式でフェノルドパム臭化水素酸塩が、ヒトB−細胞リンパ腫(表2)からの、T−細胞リンパ腫(表3)からの、及びCML(表4)からのLDHの放出を実質的に増大させることが事実本当であることを示す。表2は、ヒトB−細胞リンパ腫の最大死滅化が10−8Mのフェルドパム臭化水素酸塩を用いて観察されたことを示す。
【0047】
表3及び4は、効果の速度論を研究するために主として計画された実験の結果を示す(ここで、フェノルドパム臭化水素酸塩を10−4M〜10−6Mの範囲の濃度でのみ試験した)、そしてフェノルドパム臭化水素酸塩添加の1分後には、すでに増大したLDHが存在することを示している。なお、死滅の程度は、時間(10分、30分及び60分)と共に徐々に増大し、そして1時間後には、癌細胞が、はなはだしい細胞死を示す劇的な水準のLDHを放出した。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
例 7:
リンパ腫及び白血病細胞に対する他の選択的ドパミンD1R作動薬の効果
3種の追加の高度に選択的なドパミンD1R作動薬が、ヒトリンパ腫及び白血病細胞を殺すことがまた示された。これらの高度に選択的なD1R作動薬は、“強力な、選択的D1−様作動薬、経口的に活性”として称せられる、A77636塩酸塩;“D1−様ドパミン受容体選択的部分的作動薬”として称せられるSKF38393臭化水素酸塩;及び“強力且つ選択的なD1−様ドパミン受容体作動薬”として称せられるA68930塩酸塩(Tocris Cooksonカタログ)を包含した。
【0052】
これらの3種の高度に選択的なD1R作動薬は、投与量依存性様式で、実質的な数のヒトT−細胞白血病(図10〜12)、T−細胞リンパ腫(図13〜15)、2つのタイプのB−細胞リンパ腫(図16〜18(Daudi)、図19〜21(Raji))及びCML(図22〜24)を事実、殺した。それとは反対に、ともかく正常な(即ち、癌でない)ヒトT−細胞に対しては実質的に低い作用を有した(図25〜27)。全ての上記セットの実験(図10〜24)において、D1R作動薬の添加の3日後に生存している細胞の数により細胞死を評価した。興味深いことには、それら3種のD1R作動薬はそれらを殺す能力に関して異なっており、通常最も有効なのはA77636塩酸塩である。さらに、一定のD1R作動薬により誘発される癌細胞死の程度は、癌のタイプによって癌の種類毎に変化した(図10〜24)。
【0053】
選択的D1R作動薬により誘発される癌の死滅は、D1受容体に対して高度に特異的である。図28は、LDHの放出においての〜3倍上昇により明らかであるように、D1R作動薬(この場合においてA77636)への、ほんの1分間だけのヒトB細胞癌の曝露が細胞を殺すのに十分であることを示す。LDHへのいっそう長い曝露(10分、30分及び60分)は、細胞死の程度においてさらに増加し、1時間で横ばい状態に達し、その結果、2時間D1R作動薬の添加は有意義にさらに有効であることはなかった。図29は、D1R作動薬への1分間だけのCMLの曝露(そして次ぎに細胞の洗浄、及び作動薬が存在しない媒体中への再懸濁)は、3日後、流動細胞光度測定法により計数された生存細胞の数から明らかであるように、細胞の〜48%を殺すのに十分であったことを示す。D1R作動薬への15分間のCML細胞の曝露は、60%の細胞を殺し、そしてD1R作動薬への1時間のCML細胞の曝露は、76%の細胞を殺した。D1R作動薬と共にのCML細胞の非常に長いインキュベーション(72時間)は、1時間の効果を超えての追加の価値が存在しなかった。図30は、T−白血病細胞について、D1R作動薬と共にの1分間インキュベーションが、著しい細胞死を起こさせるために十分ではなかったことを示す。その効果は15分後に有意義なものとなり、そして1時間インキュベーションの後に最大に到達し−細胞の94%を殺す。さらにまた、D1R作動薬と共に72時間インキュベーションは、それ以上の効果がなかった。
【0054】
癌死滅化は選択的D1R作動薬によってのみ誘発されそしてD2R及びD3R作動薬によっては誘発されなく、効果がD1R受容体によってのみ特異的に媒介されたことを示す
ドパミンD1R作動薬によって誘発される効果の選択性を試験するために、ドパミンD2R−キンピロール(Quinpirole)及びドパミンD3R−R7−ヒドロキシ−DPATについて高度に選択的な作動薬の効果を、平行して(即ち、同じ実験内で)試験した。(勿論そのD1R−5受容体の全てを活性化することができる)ドパミンそれ自体の効果をまた試験した。これらの分子の全てを同様な濃度(10−4M)で試験した。表5及び6は、D1R作動薬(1時間)が実質的な数のヒトB−リンパ腫及びCMLを殺したけれども、D2R及びD3R作動薬はそのような効果を有しなかったことを示す。D1Rに対する特異性及びその効果の制限はまた、表7及び8において見られる。これらの結果は、癌細胞の死滅化がドパミンD1Rにより特異的に媒介されたことを示す。興味深いことには、ドパミンそれ自体は、B−リンパ腫細胞を殺したが、しかしCMLを殺さなかった(表5及び6)。
【0055】
【表5】

【0056】
【表6】

【0057】
例 8:
D1R作動薬と共にインキュベーションした後の細胞死のメカニズムの研究
選択的D1R作動薬により誘発される癌死は壊死を経て起こる。癌細胞が、D1R作動薬と共にのそれらのインキュベーションに起因して死ぬメカニズムを研究するために、ホスファチジルセリン検出キットを使用した。このキットは、流動細胞光度測定法による細胞消滅の検出のための迅速な且つ信頼できる方法を提供し、単一細胞水準での検出を可能にし、そしてまた細胞消滅と壊死との間の識別を可能にする。
【0058】
細胞消滅の早期の段階の間に、ホスファチジルセリン(PS)は細胞膜の外側に曝されるようになる。この細胞消滅の早期段階を、PS結合たんぱく質(アネキシンV)により特異的に検出することができる。細胞消滅の早期の段階の間に、細胞膜はそのままの状態にあり、そして細胞は沃化プロピジウム(propidium iodide)(PI)を排除する。後に、細胞消滅の過程の間に該膜は多孔性になり、そしてPIはDNAと会合するようになる。PIの取り込みは壊死の表示である。したがって、アネキシンVPIは細胞消滅を受けている細胞と考えられる一方で、アネキシンVPIは壊死を受けている細胞と考えられる。生存細胞はアネキシンVPIである。
【0059】
表7及び8は、D1R(しかしD2R又はD3Rでない)作動薬に1時間曝されるT−白血病及びT−リンパ腫細胞が主として壊死のメカニズムを経て死ぬことを示す。事実、1時間後生存細胞の数においての著しい減少に平行して、アネキシンVPI壊死T−白血病細胞のパーセントが、6.3%から90.4%に劇的に上昇した一方で、細胞消滅の細胞のパーセントは変化しなかった(表7)。
【0060】
【表7】

【0061】
Sezary T−リンパ腫に関して(表8)。D1R作動薬は壊死細胞の数において劇的な増加を起こしたが、しかしまた細胞消滅の細胞のパーセント%を2倍増加させた。
【0062】
【表8】

【0063】
例 9:
TCR−活性化正常周辺ヒトT−細胞及び静止正常周辺ヒトT−細胞に対するフェノルドパム以外のD1R作動薬の効果
フェノルドパム以外のD1R作動薬はまた、静止している正常な周辺ヒトT−細胞よりも非常に多くのTCR−活性化正常周辺ヒトT−細胞を殺す。TCR−活性化正常ヒトT−細胞において、ここで見い出されるD1R発現の上昇した水準(図6及び7)、そしてFDMがこれらの活性化細胞の著しい死を起こさせる(図8)一方で、静止している正常なヒトT−細胞に対しては殆ど影響しない(図9)ことの発見との線に沿って他のD1R作動薬は同様な性質を示す(図31)。したがって、例えば10−5Mで用いられたA77636の高度に選択的なドパミンD1R作動薬は、静止正常ヒトT−細胞の12%、及びTCR−活性化正常ヒトT−細胞の46%(即ち3.8培多い)を殺した(図31)。
【0064】
特定の態様の上記記載は、不当な実験を行うことなしに、そして一般的な概念から離れることなしに、他者が現在の知識を適用することによりそのような特定の態様を種々の適用のために容易に修正し、そして/又は適合させることができる、本発明の一般的な特質を非常に十分に明らかにするだろう。それ故、そのような適合化及び修正は、開示された態様の等価値の意味及び範囲内にあることが理解されるべきであり、そして理解されることが意図される。本明細書において使用されている用語又は術語は、記載の目的のためであって、限定のためではないことが理解されるべきである。種々の開示された機能を実施するための手段、材料及び工程は本発明から離れることなしに種々の別の形をとることができる。したがって機能的な記述の後に続く、上記明細書に及び/又は特許請求の範囲に見られるような、“.....する手段”及び“.....のための手段”又は任意の方法工程の言語は、明細書中に上に開示された1つの態様及び複数の態様に正確に等価値であろうと、そうでなかろうと、挙げられた機能を実施する現在又は将来において存在することができる、どんな構造的、物理的、化学的又は電気的要素又は構造であれ、又はどんな方法工程であれ、規定し且つカバーすることが意図され、即ち同じ機能を実施するための他の手段又は工程が使用されることができ、そしてそのような表現は、それらの最も広い解釈で与えられることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図面において、図1A〜図1Fは、ドパミンD1受容体が、殆ど大部分のT−白血病及びT−リンパ腫細胞において発現されるが、しかし正常ヒトT−細胞においては殆ど発現されないことを立証する流動細胞光度測定法FACSort結果を示す。図1A〜図1Cにおいて、新しく単離された正常ヒトT−細胞ならびにヒトT−白血病細胞系(Jurkat)及びマウスT−リンパ腫細胞系(EL−4)を、ウサギ抗−DR1 IgGを用い次ぎにFITC−共役化抗−ウサギIgG(第2Ab)及びPE−共役化抗−ヒトTCRαβ mAb(第3Ab)(後者は全て試験された細胞のT−細胞起源を確認するため)を用いて二重免疫蛍光染色に付した。図1D〜図1Fにおいて、全て3つのタイプのT−細胞のアイソトープ・コントロール非特異的染色は、正常なウサギ血清及び同様な第2及び第3Ab類を用いている。T−細胞タイプの各々の内のTCRD1R二重陽性細胞の実際のパーセンテージを、(各々上方図の窓枠で囲まれた)特異的染色から、(各々下方図での窓枠で囲まれた)非特異的染色を引き算することにより推定した:正常ヒトT−細胞:%TCRD1R細胞=13.9−8.21=5.69%;ヒトT−細胞白血病:%TCRD1R細胞=74.8−13.7=61.1%;マウスT−細胞リンパ腫:%TCRD1R細胞=71−13.2=57.8%。行われた4回からの代表的実験。
【図2】図2は、高度に選択的なドパミンD1R作動薬のフェノルドパムメシラート(FDM)が、投与量依存性様式でヒトT−細胞白血病を殺すことを示すグラフである。ヒトT−細胞白血病(Jurkat)を、96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そして10−2M〜10−10Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終FDM濃度範囲は10−4M〜10−12Mであった。(各々の上記濃度での)FDMを、0、15分、30分及び45分の時間で合計1時間の間に4回対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに加えた。FDMのこれらの添加間にてマイクロタイタプレートを湿潤化インキュベータ(37℃、5%COを有する)に置いた。FDMの最後の添加の15分後、50マイクロリットルの上澄み液を各々のウェルの上部部分から注意深く取り出し、細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の、上記上澄み液への放出の程度を、製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図3】図3は、フェノルドパムメシラート(FDM)が、投与量依存様式でヒト皮膚Sezary T−細胞リンパ種を殺すことを示すグラフである、ヒト皮膚Sezary T−細胞リンパ腫細胞(HUT−78)を、96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そして10−2M〜10−10Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェルに1:00に希釈し、その結果、試験された最終FDM濃度は10−4M〜10−12Mであった。0、15分、30分及び45分の時間での合計1時間の間に4回、対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに(各々の上記濃度で)FDMを加えた。FDMのこれらの添加間にてマイクロタイタプレートの湿潤化インキュベータ(37℃、5%COを有する)中に置いた。FDMの最後の添加の15分後、各々のウェルの上部部分から50マイクロリットルの上澄み液を注意深く取り出し、細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、上記上澄み秋への放出の程度を製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図4】図4は、FDMが投与量依存様式でヒト慢性骨髄性白血病(CML)を殺すことを示すグラフである。ヒトCML(K−562)細胞を96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)しそして10−2M〜10−10Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終FDM濃度範囲は10−4M〜10−12Mであった。(各々の上記濃度で)FDMを、0、15分、30分及び45分の時間での合計1時間の間に4回、対応するマイクロタイタ(microtiter)ウエルに加えた。これらのFDMの添加間にて、マイクロタイタプレートを湿潤化インキュベータ(37℃、5%のCOを有する)中に置いた。FDMの最後の添加の15分後、各々のウェルの上部部分から50マイクロリットルの上澄み液を注意深く取り出し、細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、上記上澄み液中への放出の程度を製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図5】図5は、FDMが投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫を殺すことを示すグラフである。ヒトバーキットB−リンパ腫細胞(Daudi)を、96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そして10−2M〜10−10Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェル中に1:00に希釈し、その結果試験された最終FDM濃度範囲は10−4M〜10−12であった。(各々の上記濃度で)FDMを、0、15分、30分及び45分の時間での合計1時間の間に4回対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに加えた。FDMのこれらの添加間にてマイクロタイタプレートを湿潤化インキュベータ(37℃、5%COを有する)中に置いた。FDMの最後の添加の15分後、各々のウェルの上部部分から50マイクロリットルの上澄み液を注意深く取り出し、細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、上記上澄み液中への放出の程度を製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして、測定した。
【図6】図6A及び図6Bは、ドパミンD1受容体がヒトTCR−活性化周辺T−細胞上の殆ど大部分において発現される(図6B)が、しかし静止している正常周辺T−細胞においては発現されない(図6A)ことを示すグラフである。任意の個人の“新しい”血液サンプルから精製された正常なヒトのT−細胞を、なんらさらに処理せず、そして湿潤化インキュベータ中の72時間インキュベーションのためにそのままに放置するかあるいは(材料及び方法において記載されたように抗−CD3及び抗−CD28単クローン性抗体を用いて)、インビトロで“古典的”T−細胞受容体(TCR)活性化を受けさせる(図6B)のいずれかを行った。次に“静止している”T−細胞及びTCR−活性化T−細胞を、ウサギ抗−DR1 IgGを用い、次ぎにFITC−共役化抗−ウサギIgG(第2Ab)を用いて単一免疫蛍光染色に付した(図6A)。平行して、抗−D1R抗体の代わりに正常なウサギ血清を用いて非特異性コントロール染色に付した(図6A及び図6Bにおいて別の線としてまた示される)。
【図7】図7A及び図7Bは、ドパミンD1受容体がヒトTCR−活性化周辺T−細胞の殆ど大部分において発現される(図7B)が、しかし静止している正常な周辺T−細胞において発現されない(図7A)ことを示すグラフである。他の任意の個人の“新しい”血液サンプルから精製された正常なヒトT−細胞を、図6において記載されたようにして、処理し且つ厳密に試験した。
【図8】図8は、FDMが投与量依存性様式で、ヒトTCR−活性化T−細胞を殺すことを示すグラフである。一定の任意の個人のための“新しい”血液サンプルから精製された正常なヒトT−細胞を、そのままに放置するか又は(材料及び方法において記載されたようにして、抗−CD3及び抗−CD28単クローン性抗体を用いて)インビトロで“古典的”T−細胞受容体(TCR)活性化を受けさせるかのいずれかを行った。次ぎに、TCR−活性化T−細胞及び静止している非処理細胞(図9に示される結果)の両方を、96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、10−2M〜10−8Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェル中に1:00に希釈し、その結果試験されたFDMの最終濃度範囲は10−4M〜10−10Mであった。0、15分、30分及び45分の時間で合計1時間の間に4回対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに(上記の濃度の各々で)FDMを加えた。FDMのこれらの添加間にて、マイクロタイタプレートを湿潤化インキュベータ(37℃、5%COを有する)に置いた。FDMの最後の添加の15分後、50マイクロリットルの上澄み液を各々のウェルの上部部分から注意深く取り出し、そして細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、上記上澄み液への放出の程度を、製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図9】図9は、FDMが静止している正常なヒトT−細胞に対して非常穏やかな死滅効果を有することを示すグラフである。一定の任意の個人のための“新しい”血液サンプルから精製された正常なヒトT−細胞を、そのままに放置するか又は(材料及び方法において記載されたようにして、(抗−CD3及び抗−CD28単クローン性抗体を用いて)インビトロで“古典的”T−細胞受容体(TCR)活性化を受けさせるかのいずれかを行った。次ぎに、TCR−活性化T−細胞(図8に示される結果)及び静止している非処理細胞の両方を、96ウェルのプレートに接種(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、10−2M〜10−8Mの出発濃度でFDMを加え、そして対応するウェル中に1:00に希釈し、その結果試験された最終FDM濃度範囲は10−4M〜10−10Mであった。0、15分、30分及び45分の時間で合計1時間の間に4回、対応するマイクロタイタ(microtiter)ウェルに(上記濃度の各々で)FDMを加えた。FDMのこれらの添加間にて、マイクロタイタプレートを湿潤化インキュベータ(37℃、5%のCOを有する)に置いた。FDMの最後の添加の15分後、50マイクロリットルの上澄み液を上記各々のウェルの上部部分から注意深く取り出し、そして細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、上記上澄み液への放出の程度を、製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用い、そして(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図10】図10は、高度に選択的のドパミンD1R作動薬のA77636塩酸塩が、投与量依存様式でヒトT−細胞白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトT−細胞白血病(Jurkat)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA77636塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を1分の固定した時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。留意点として、A77636塩酸塩は、製造者(Tocris)に依れば、経口的に活性なD1R作動薬である。
【図11】図11は、高度に選択的のドパミンD1R作動薬のA68930塩酸塩が、投与量依存性様式でヒトT−細胞白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトT−細胞白血病(Jurkat)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて、各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図12】図12は、高度に選択的のドパミンD1R作動薬のSKF38393臭化水素酸塩が、投与量依存様式でヒトT−細胞白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトT−細胞白血病(Jurkat)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図13】図13は、A77636塩酸塩が、投与量依存性様式でヒト皮膚Sezary T−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト皮膚Sezary T−リンパ腫細胞(HUT−78)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA77636塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図14】図14は、A68930塩酸塩が、投与量依存性様式でヒト皮膚Sezary T−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト皮膚Sezary T−リンパ腫細胞(HUT−78)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図15】図15は、SKF38393臭化水素酸塩が、投与量依存性様式でヒト皮膚Sezary T−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト皮膚Sezary T−リンパ腫細胞(HUT−78)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの、100マイクロリットルを試験した)。
【図16】図16は、A77636塩酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−リンパ腫細胞(Daudi)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA77636塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図17】図17は、A68930塩酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−リンパ腫細胞(Daudi)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図18】図18は、SKF38393臭化水素酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−リンパ腫細胞(Daudi)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、マイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図19】図19は、A77636塩酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−細胞リンパ腫(Raji)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA77636塩酸塩を加えそして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図20】図20は、A68930塩酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−細胞リンパ腫(Raji)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加えそして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図21】図21は、SKF38393臭化水素酸塩が、投与量依存性様式でヒトバーキットB−リンパ腫の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒトバーキットB−細胞リンパ腫(Raji)細胞を96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図22】図22は、A77636塩酸塩が、投与量依存性様式で慢性骨髄性白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト慢性骨髄性白血病細胞(CML)(K−562)を、96ウェルのプレートに接種し(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)そしてA77636塩酸塩を加えそして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図23】図23は、A68930塩酸塩が、投与量依存性様式で慢性骨髄性白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト慢性骨髄性白血病細胞(CML)(K−562)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図24】図24は、SKF38393臭化水素酸塩が、投与量依存性様式で慢性骨髄性白血病の著しい細胞死を誘発することを示すグラフである。ヒト慢性骨髄性白血病細胞(CML)(K−562)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後にマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図25】図25は、A77636塩酸塩が、静止している正常なヒトのT−細胞に対して非常に穏やかな死滅化効果を有することを示すグラフである。他の任意の個人の“新しい”血液サンプルから精製した正常なヒトT−細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA77636塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図26】図26は、A68930塩酸塩が、静止している正常なヒトのT−細胞に対して非常に穏やかな死滅化効果を有することを示す。他の任意の個人の“新しい”血液サンプルから精製した正常なヒトT−細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてA68930塩酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図27】図27は、SKF38393臭化水素酸塩が、静止している正常なヒトのT−細胞に対して非常に穏やかな死滅化効果を有することを示す。他の任意な個人の“新しい”血液サンプルから精製した正常なヒトT−細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、そしてSKF38393臭化水素酸塩を加え、そして10−1M〜10−4Mの出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度範囲は10−3M〜10−6Mであった。後に、そのマイクロタイタ(microtiter)プレートを3日間インキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に置いた。次ぎに流動細胞光度測定法により生きている細胞の数を求めた(細胞を、1分の固定時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図28】図28は、A77636塩酸塩が、ヒトバーキットB−リンパ腫の非常に迅速な死を起こさせることを示す。ヒトバーキットB−リンパ腫細胞(Raji)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、A77636塩酸塩を加え、そして10−2Mの固定した出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度は10−4であった。次ぎに1分、10分、30分、60分又は120分インキュベーションのために細胞をインキュベータ(37℃、湿潤化インキュベータ、5%CO)に移した。次ぎに各々のウェルの上部分から50マイクロリットルの上澄み液を注意深く取り出し、そして細胞死/溶解の際に放出される安定な細胞質ゾル酵素であるLDHの、前記上澄み液への放出の程度を、製造者の取り扱い説明書に従って市販のキットを用いて(例1の)材料及び方法に記載されたようにして測定した。
【図29】図29は、A77636塩酸塩が、ヒト慢性骨髄性白血病の非常に迅速な死を起こさせることを示すグラフである。ヒト慢性骨髄性白血病細胞(CML)(K−562)を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、A77636塩酸塩を加え、そして10−2Mの固定した出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度は10−4Mであった。その実験は、1分、15分、1時間又は72時間、D1R作動薬に細胞を曝露することの効果を試験するために計画された。かくして、D1R作動薬の添加の1分後又は15分後又は1時間後に、対応する細胞を試験管に移し、遠心分離し(10分間1000rpm)、そして上澄み液を取り出した。次ぎにそれらの細胞を新しい媒体(即ちD1R作動薬を含有しない媒体)中に再懸濁し、新しい清浄なマイクロタイタ(microtiter)ウェルに接種し、そして追加の3日間インキュベータに戻した。72時間サンプルは、D1R作動薬の添加後そのような遠心分離を受けなかった。したがってその媒体は置き換えられなく、そしてこれらの細胞は72時間インキュベータ中にそのままの状態におかれた。72時間インキュベーションの終わりに生きている細胞の数を、流動細胞光度測定法により求めた(細胞を、1分の固定した時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図30】図30は、A77636塩酸塩が、ヒトT−細胞白血病の非常に迅速な死を起こさせることを示す。ヒトT−白血病(Jurkat)細胞を、96ウェルのプレートに接種(50万細胞/mlの0.5ml/ウェル)し、A77636塩酸塩を加え、そして10−2Mの固定した出発濃度でウェル中に1:00に希釈し、その結果、試験された最終濃度は10−4Mであった。その実験は、1分、15分、1時間又は72時間、D1R作動薬に細胞を曝露することの効果を試験するために計画された。かくして、D1R作動薬の添加の、1分後又は15分後又は1時間後に、対応する細胞を試験管に移し、遠心分離し(10分間1000rpm)、そして上澄み液を取り出した。次ぎにそれらの細胞を新しい媒体(即ちD1R作動薬を含有しない媒体)中に再懸濁し、新しい清浄なマイクロタイタ(microtiter)ウェルに接種し、そして追加の3日間インキュベータに戻した。72時間サンプルは、D1R作動薬の添加後そのような遠心分離を受けなかった。したがって、その媒体は置き換えられなく、そしてこれらの細胞は72時間インキュベータ中にそのままの状態におかれた。72時間インキュベーションの終わりに生きている細胞の数を、流動細胞光度測定法により求めた(細胞を、1分の固定した時間長さにわたってFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。
【図31】図31A及び図31Bは、A77636塩酸塩が静止している正常な(図31A)ヒトT−細胞よりも非常に多くのTCR−活性化(図31B)ヒトT−細胞を殺すことを示すグラフである。一定の任意の個人の“新しい”血液サンプルから精製された正常なヒトT−細胞を、そのままに放置するか、又は(材料及び方法に記載されたようにして抗−CD3又は抗−CD28単クローン性抗体を用いて)インビトロで、“古典的”T−細胞受容体(TCR)活性化を受けさせるかのいずれかを行った。次ぎに、TCR−活性化T−細胞(図31B)及び静止している非処理細胞(図31A)の両方を、96ウェルのプレートに接種し(20万細胞/mlの0.5ml/ウェル)、そして高度に選択的なドパミンD1R作動薬であるA77636塩酸塩を10−5Mの最終濃度で加えた。次ぎに、細胞を72時間インキュベーションのためにインキュベータに移した。72時間インキュベーションの終わりに、各々のウェル中の生きている細胞の数を、流動細胞光度法により求めた(1分の固定した時間長さにわたって細胞をFACsortにより計数し、それらにおいて各々のサンプルの100マイクロリットルを試験した)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドパミンD1受容体を発現するヒト又は他の動物の細胞を、選択的ドパミンD1受容体作動薬の有効な量と接触させることを包含する、前記細胞の死を起こさせる方法。
【請求項2】
ドパミンD1受容体を発現する前記細胞が白血病又はリンパ腫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドパミンD1受容体を発現する前記細胞が、ドパミンD1受容体を発現する癌細胞であって、この癌細胞が白血病又はリンパ腫細胞以外の細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ドパミンD1受容体を発現する前記細胞が、TCR活性化T−細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記TCR−活性化T−細胞が、自己免疫T−細胞である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞を選択的ドパミンD1受容体作動薬の有効な量と接触させる前記工程が、ドパミン受容体を発現する細胞の排除により軽減されることができる病気又は症状を有するヒト又は動物生体の体中に前記ドパミンD1受容体作動薬を投与することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記病気又は症状は、その細胞がドパミンD1受容体を発現している癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記病気又は症状が白血病又はリンパ腫であり、そしてドパミンD1受容体を発現する前記細胞が白血病又はリンパ腫細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記病気又は症状が、T−細胞媒介自己免疫疾患である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記T−細胞媒介自己免疫疾患が、インスリン依存性(1型)真正糖尿病、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫心筋炎、脱毛又は乾癬症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記病気又は症状が、過剰活性化炎症T−細胞によりひき起こされるか又は悪化させられているものである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記病気又は症状が難治性炎症である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記病気又は症状が移植片宿主相関病であり、そしてドパミンD1受容体を発現する前記細胞が活性化供与者対宿主T−細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記病気又は症状が移植片拒絶反応であり、そしてドパミンD1受容体を発現する前記細胞が移植片組織に対して活性化された宿主T−細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記投与する工程が静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射、腫瘍内注射、くも膜下内注射又は頭蓋内注射による、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞を選択的ドパミンD1受容体作動薬の有効量と接触させる前記工程が、体外で前記細胞を前記ドパミンD1受容体作動薬と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞は、そこから白血病、リンパ腫又は活性化T−細胞を取り除くことが所望される細胞集団である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
骨髄移植、T−細胞移植又は培養により分泌された分子を回収するためのインビトロ培養のために、前記細胞集団を用いる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞が白血病又はリンパ腫を有するヒト又は他の動物生体からの自己T−細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
そのような体外処理されて、それにより白血病又はリンパ腫細胞の前記T−細胞を取り除いている自己T−細胞を、ヒト又は動物生体に戻し投与する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記作動薬がフェノルドパム(fenoldopam)の塩である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記作動薬がフェノルドパムメシラートである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記作動薬がフェノルドパム臭化水素酸塩である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記作動薬が、(1R−シス)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカ−1−イル−〔1H〕−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記作動薬が、(±)−1−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−(1H)−3−ベンゾアゼピン−7,8−ジオール臭化水素酸塩である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記作動薬が、シス−(±)−1−(アミノメチル)−3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1H−2−ベンゾピラン−5,6−ジオール塩酸塩である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2009−503109(P2009−503109A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525207(P2008−525207)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/030360
【国際公開番号】WO2007/019266
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508036558)ミノイエット セラピューティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】