説明

ドライバ検出システム、キー信号検出装置、ドアロック制御システム、およびエンジン制御システム

【課題】ドライバの飲酒運転を防止するための対策を、ドライバが飲食店舗にいる間に施せるようにする。
【解決手段】車両のドライバが飲食店舗に入店する(S31)。無線キーはキー信号を繰り返し送信しているので、飲食店舗内の店側装置の通信可能範囲内においてもこのキー信号を送信する(S32)。店側装置はこのキー信号を受信すると(S33)、車両を運転してきた客が来店した旨を飲食店舗の店員に知らせるための画像を表示する(S34)。このような表示を見た店員は、入店してきたドライバに対して、車両を運転して来店したのかを問い合わせた上で、車両を運転して来ている場合には、飲酒に対する警告を行う(S35)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ検出システム、キー信号検出装置、ドアロック制御システム、およびエンジン制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転による痛ましい交通事故が法令の厳罰化をもってしてもなくならない状況のなか、飲酒運転を抑制するための技術として、ドライバの飲酒を検出したとき車両を走行不能にする技術が種々提案されている。例えば、呼気中のアルコール濃度を検知し、濃度が所定量以上のときに車両を走行不能にする技術は、海外の法律で搭載が義務化される程に実用化されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの技術は、ドライバが飲食店舗での飲酒を終えた後で車両を運転しようとしているか否かを判断する、いわば事後的な対応策のための技術である。
【0004】
そこで本発明は、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を、ドライバが飲食店舗にいる間に施せるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の第1の特徴は、車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、飲食店舗に設置されたキー信号検出装置(6)とを備えたドライバ検出システムを利用するものである。なお、ここでいう「自動的に」とは、「ドライバによる無線キー装置に対する特別な操作によらずに」ということを意味する。
【0006】
本発明の第1の特徴においては、このドライバ検出システム中のキー信号検出装置は、上記の無線キー装置を携帯したドライバが飲食店舗に入店したときに、前記キー信号を検出する(33、49、83)。また、キー信号検出装置は、キー信号を検出したことに基づいて、キー装置を携帯する客が来店した旨を飲食店舗の店員に表示する(S34、S55、S84)。
【0007】
このように、無線キー装置がキー信号を自動的に繰り返し無線送信していることを利用して、その無線キー装置を携帯しているドライバを飲食店舗内で見つける。そのために、キー信号を検出するキー信号検出装置を当該飲食店舗内に設置する。
【0008】
このようになっていることで、ドライバが当該飲店舗に入り、さらに、キー信号検出装置の通信エリア内に入ることで、キー信号検出装置が、無線キー装置を携帯する客が来店した旨を店員に表示する。これによって店員は、新たに入店した客が車両を運転する可能性が高いことを知ることができ、その客に対して酒を提供しないようにし、あるいは、客に対して飲酒運転に対する注意を促すことができる。したがって、このドライバ検出システムは、ドライバが飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0009】
また、このドライバ検出システムは、当該車両に搭載され、無線キー装置が送信したキー信号を受信したことに基づいて、当該車両のドアロックを解除する車載側無線通信機(4)を備えていてもよい。そして、車載側無線通信機は、車両の駐車位置の情報を含む駐車情報を、無線キー装置に送信するようになっていてもよい。
【0010】
この場合、無線キー装置は、車載側無線通信機から送信された駐車情報を記憶すると共に飲食店舗内で当該駐車情報をキー信号検出装置に無線送信するようになっていてもよい。そして、キー信号検出装置は、無線キー装置から送信された駐車情報中の駐車位置が、当該飲食店舗の所在位置の近傍であることに基づいて、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示するようになっていてもよい。
【0011】
車両の駐車位置が飲食店舗の近傍にある場合は、ドライバは飲食店舗から自宅に車両を用いて帰る可能性が高い、しかし、車両の駐車位置が飲食店舗の近傍にない場合は、ドライバが飲食店舗から自宅に車両を用いずに帰る可能性も少なくない。したがって、上記のように、駐車位置と飲食店舗との間の距離に応じて表示の有無を切り替えることで、ドライバの飲酒運転の可能性が高いとには表示を行い、そうでないときには表示を行わないという、1回の表示当たりの飲酒運転防止効果の高い処理を実行することができる。
【0012】
また、車載側無線通信機は、無線キー装置に送信する駐車情報に、駐車位置がドライバの自宅用駐車位置であるか否かの情報を更に含めるようになっていてもよい。この場合、キー信号検出装置は、無線キー装置から送信された駐車情報中の駐車位置が、飲食店舗の所在位置の近傍であったとしても、駐車位置情報によれば駐車位置がドライバの自宅用駐車位置である場合は、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示しないようになっていてもよい。
【0013】
駐車位置が飲食店舗の近傍にあったとしても、その駐車位置が自宅用の駐車位置であれば、ドライバが飲食店舗から歩いて自宅に戻る可能性が非常に高い。したがって、この場合は、上記のように、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示しないようになっていることで、1回の表示当たりの飲酒運転防止効果の高い処理を実行することができる。
【0014】
また、車両に搭載され、無線キー装置が送信したキー信号を受信したことに基づいて、車両のドアロックを解除すると共に車両のエンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)を、ドライバ検出システムが有していてもよい。この場合、キー信号検出装置は、店員の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を送信することで、無線キー装置のキー信号の送信によって車載側無線装置がエンジンの始動を許可する機能を、当該期間中において無効化するようになっていてもよい。
【0015】
このようになっていることで、店員がキー信号検出装置を用いて、ドライバによる車両の運転をある期間禁止することができる。このような機能は、例えば、ドライバが飲食店舗において、帰宅時に車両を運転しないから酒を提供して欲しい旨を宣言したときに、店員が当該ドライバに酒を提供する代わりに、ドライバの無線キー装置を使って車両をある期間運転できなくするために用いることができる。
【0016】
また、このドライバ検出システムは、解除用装置(7)を有していてもよい。この解除用装置は、作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信することで、無線キー装置のキー信号の送信によって車載側無線装置がエンジンの始動を許可する機能を有効化することができるようになっている。
【0017】
このような解除用装置を、例えば運転代行業者が使用することが考えられる。例えば、ドライバが運転代行業者を手配して、自身の車両を運転させることになった場合、運転代行業者は、上記のような解除用装置を用いて、ドライバの無線キー装置に解除命令を送信することが考えられる。
【0018】
また、上記の第1の特徴は、車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置を携帯した車両のドライバが飲食店舗に入店したときに、キー信号を検出する検出手段(S33、S49、S83)と、検出手段がキー信号を検出したことに基づいて、無線キー装置を携帯する客が来店した旨を飲食店舗の店員に表示する表示手段(S34、S55、S84)と、を備えたキー信号検出装置として捉えることもできる。
【0019】
また、本発明の第2の特徴は、車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、当該車両に搭載され、無線キー装置が送信したキー信号を受信したことに基づいて、当該車両のドアロックを解除する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムについてのものである。このドアロック制御システムにおいて、車載側無線通信機は、当該車両の駐車位置の情報を含む駐車情報を、無線キー装置に送信し、無線キー装置は、車載側無線通信機から送信された駐車情報を記憶すると共に無線送信する。
【0020】
そして、駐車情報の送信相手は、飲食店舗に設置されるキー信号検出装置である。このとき、当該キー信号検出装置が駐車情報を受信し、受信した駐車情報中の駐車位置が、当該飲食店舗の所在位置の近傍であることに基づいて、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を飲食店舗の店員に表示するようになっていたとする。この場合、店員は、車両を運転して帰宅する可能性の高いドライバの来店を知ることができるようになる。そして、当該店員が当該ドライバに、飲酒に対する注意を促すことができる。したがって、このドアロック制御システムは、ドライバが飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0021】
また、本発明の第4の特徴も、車両のドアロックを解除し、かつ当該車両のエンジンの始動を許可させるためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、当該車両に搭載され、無線キー装置が送信したキー信号を受信したことに基づいて、車両のドアロックを解除すると共にエンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムについてのものである。
【0022】
このドアロック制御システムにおいて、無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、車載側無線通信機に送信するキー信号に、当該期間を示す期間指定情報を含めるようになっている。そして、車載側無線通信機は、現在が、受信したキー信号中に含まれる期間指定情報の示す期間中であれば、エンジンの始動を禁止し、また、現在が当該期間外であれば、エンジンの始動を許可する。
【0023】
このように、無線キー装置が期間制限命令を受信したことに基づいて、その期間制限命令が指定する機能制限期間を示す期間指定情報をキー信号に含める。そして、車載側無線通信機は、現在と期間指定情報の示す期間とを比較して、現在が当該期間内ならエンジンの始動を禁止し、当該期間外ならエンジンの始動を許可する。
【0024】
このようになっていることで、例えば、飲食店舗側から無線キー装置に期間制限命令を送信することで、ドライバによる車両の運転をある期間禁止することができる。このような機能は、例えば、ドライバが飲食店舗において、帰宅時に車両を運転しないから酒を提供して欲しい旨を宣言したときに、店員が当該ドライバに酒を提供する代わりに、ドライバの無線キー装置を使って車両を運転できなくするために用いることができる。したがって、このドアロック制御システムは、ドライバが飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0025】
また、このドアロック制御システムは、作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備えていてもよい。更に無線キー装置は、解除命令を受信したことに基づいて、車載側無線通信機に送信するキー信号に期間指定情報を含めるようになっていてもよい。このような解除用装置を、例えば上述の運転代行業者が使用することが考えられる。
【0026】
また、本発明の第3の特徴は、車両のドアロックを解除し、かつ当該車両のエンジンの始動を許可させるためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、当該車両に搭載され、無線キー装置が送信したキー信号を受信したことに基づいて、車両のドアロックを解除すると共にエンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムについてのものである。
【0027】
このドアロック制御システムにおいて、無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、当該期間中においては、車載側無線通信機に送信するキー信号に、当該期間中である旨を示す期間中情報を含め、当該期間外においては、車載側無線通信機に送信するキー信号に、当該期間中情報を含めないようになっている。更に、車載側無線通信機は、受信したキー信号中に、当該期間中情報が含まれていることに基づいて、エンジンの始動を禁止するようになっている。
【0028】
このように、無線キー装置が期間制限命令を受信したことに基づいて、その期間制限命令が指定する機能制限期間中には、キー信号に期間中情報を含める。そして、車載側無線通信機は、期間中情報を含むキー信号を受信した際には、エンジンの始動を禁止する。
【0029】
このようになっていることで、例えば、飲食店舗側から無線キー装置に期間制限命令を送信することで、ドライバによる車両の運転をある期間禁止することができる。このような機能は、例えば、ドライバが飲食店舗において、帰宅時に車両を運転しないから酒を提供して欲しい旨を宣言したときに、店員が当該ドライバに酒を提供する代わりに、ドライバの無線キー装置を使って車両を運転できなくするために用いることができる。したがって、このドアロック制御システムは、ドライバが飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0030】
また、このドアロック制御システムは、作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備えていてもよい。この場合、無線キー装置は、解除命令を受信したことに基づいて、車載側無線通信機に送信するキー信号に前記期間中情報を含めることを終了するようになっていてもよい。このような解除用装置を、例えば上述の運転代行業者が使用することが考えられる。
【0031】
また、本発明の第4の特徴は、車両のエンジンの始動を許可させるためのエンジン始動許可命令を含むキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、車両に搭載され、無線キー装置が送信したエンジン始動許可命令を受信したときエンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたエンジン制御システムについてのものである。
【0032】
この無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、当該期間中においては、前記車載側無線通信機に前記エンジン始動許可命令を送信することを停止するようになっている。
【0033】
このように、無線キー装置が期間制限命令を受信したことに基づいて、エンジン始動許可命令を送信しなくなる。このようになっていることで、例えば、飲食店舗側から無線キー装置に期間制限命令を送信することで、ドライバによる車両の運転をある期間禁止することができる。このような機能は、例えば、ドライバが飲食店舗において、帰宅時に車両を運転しないから酒を提供して欲しい旨を宣言したときに、店員が当該ドライバに酒を提供する代わりに、ドライバの無線キー装置を使って車両を運転できなくするために用いることができる。したがって、このエンジン制御システムは、ドライバが飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0034】
また、このエンジン制御システムは、作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備えていてもよい。更に、無線キー装置は、解除命令を受信したことに基づいて、エンジン始動許可命令の送信停止を解除するようになっていてもよい。このような解除用装置を、例えば上述の運転代行業者が使用することが考えられる。
【0035】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るドライバ検出システムの構成を概念的に示す。ドライバ検出システムは、ドライバ1が携帯する無線キー装置2、ドライバ1が所有する車両3に搭載された車載側無線通信機4、ドライバ1が入店する飲食店舗5内に設置された店側無線通信機6を含んでいる。
【0037】
無線キー装置(キー信号検出装置の一例に相当する)2は自動的に(すなわち、ユーザの操作によらずに)キー信号を繰り返し周囲に無線送信する。車載側無線通信機4は、このキー信号を受信すると、車両3のドアのロックを解除し、車両3のエンジンの始動を許可する。また、ドライバ1が飲食店舗5内に入ると、無線キー装置2が送信するキー信号を店側無線通信機6が受信し、以下詳述するような、ドライバ1の飲酒運転を防ぐための作動を行う。
【0038】
図2に、無線キー装置2の構成をブロック図で示す。無線キー装置2は、無線部21、フラッシュメモリ22、および制御部23を有している。
【0039】
無線部21は、無線送受信機能を有し、当該機能によって、制御部23の制御に基づいたデータの送受信を行うことができる。無線送受信機能とは、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果を制御回路に出力し、また、制御部から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の信号を上記のアンテナに出力する機能をいう。
【0040】
フラッシュメモリ22は、各種情報を記録するための書き込み可能な不揮発性記憶媒体である。本実施形態においては、フラッシュメモリ22には、無線キー装置2を他の無線キー装置と区別するための識別コードであるキーIDがあらかじめ記録されている。
【0041】
制御部23は、CPU、RAM、ROM、I/Oを有する周知のマイコンである。このCPUがROMから読み出したプログラムを実行し、その実行の際に適宜RAMを使用することで、制御部23の各種作動が実現する。
【0042】
具体的には、制御部23は、繰り返し(例えば定期的に)フラッシュメモリ22に記録されたキーIDを含んだキー信号を、無線部21を用いて無線送信する。
【0043】
図3に車載側無線通信機4の構成および他の車載装置7〜9との接続関係を、ブロック図で示す。車載側無線通信機4は、上述の無線送受信機能を有する無線部41、および、制御部42を有している。
【0044】
制御部42のハードウェア構成は、制御部23と同様である。ただし、後述するとおり、制御部42の処理内容と制御部23の処理内容は異なる。また、制御部42は、処理の必要に応じて、ドアロックECU7、エンジンECU8、およびナビゲーション装置9のそれぞれとの間で信号を授受する。
【0045】
ドアロックECU7は、制御部42からの信号に基づいて、車両3のドアのロックのオン/オフを切り替える装置である。
【0046】
エンジンECU8は、車両3内に設けられたエンジンスタートスイッチがオンとなったことに基づいて、車両3のエンジンを始動させる装置である。ただし、エンジンECU8は、制御部42からの制御に応じて、このエンジンの始動の禁止/許可を切り替えるようになっている。ナビゲーション装置9は、車両3の現在地および設定された目的地までの経路を地図に重ねて表示する装置である。
【0047】
ここで、制御部42の作動について説明する。制御部42は、無線キー装置2を携帯する無線部41を介して無線キー装置2からキー信号を受信すると、受信したキー信号中のキーIDが、車載側無線通信機4に対応する正規のものであるか否かを判定し、正規のものであれば、ドアロックECU7を制御してドアのロックを解除させ、また、エンジンECU8を制御してエンジンの始動を許可させる。
【0048】
図4に、店側無線通信機6の構成をブロック図で示す。店側無線通信機6は、無線部61、表示部62、操作部63、および制御部64を有している。
【0049】
無線部61は、上述の無線送受信機能を有している。無線部61の通信可能範囲は、飲食店舗5の客用スペース全部であってもよいし、飲食店舗5の入退店口付近のみであってもよい。表示部62は、制御回路64から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示するディスプレイである。操作部63は、店側無線通信機6のユーザ、すなわち店側無線通信機6の店員の操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御部64に出力する装置である。制御部64のハードウェア構成は、制御部23と同様である。ただし、後述するとおり、制御部64の処理内容と制御部23の処理内容は異なる。
【0050】
以下、このドライバ検出システムにおける無線キー装置2と店側無線通信機6の作動、および無線キー装置2および店側無線通信機6を用いた飲酒運転防止手順について、図5のシーケンス図を用いて説明する。
【0051】
まず、ドライバ1が飲食店舗5に入店する(ステップS31)。無線キー装置2の制御部23はキー信号を繰り返し送信しているので、飲食店舗5内の店側無線通信機6の通信可能範囲内においてもこのキー信号を送信する(ステップS32)。
【0052】
店側無線通信機6の制御部64は、無線部61を介してこのキー信号を受信することで無線キー装置2の存在を検知すると(ステップS33)、表示部62を制御して、無線キー装置を携帯する客(すなわち車両を運転してきた客)が来店した旨を飲食店舗5の店員に知らせるための画像を表示させる(ステップS34)。この画像は、例えば、図6に示すように、「注意:スマートキー検知(自動車での来店)」という文字列を含んでいてもよい。
【0053】
このような表示を見た飲食店舗5の店員は、入店してきたドライバ1に対して、車両を運転して来店したのかを問い合わせた上で、車両を運転して来ている場合には、飲酒に対する警告を行う(ステップS35)。
【0054】
以上のように、キー信号検出装置2が、ドライバ1が飲食店舗5に入店したときに、キー信号を検出し、また、店側無線通信機6は、キー信号を検出したことに基づいて、キー装置を携帯する客が来店した旨を飲食店舗の店員に表示する。
【0055】
このように、無線キー装置2がキー信号を自動的に繰り返し無線送信していることを利用して、その無線キー装置2を携帯しているドライバ1を飲食店舗5内で見つける。そのために、キー信号を検出する店側無線通信機6を当該飲食店舗内に設置する。
【0056】
このようになっていることで、ドライバ1が当該飲店舗5に入り、さらに、店側無線通信機6の通信エリア内に入ることで、店側無線通信機6が、無線キー装置2を携帯する客が来店した旨を店員に表示する。これによって店員は、新たに入店した客が車両を運転する可能性が高いことを知ることができ、その客に対して酒を提供しないようにし、あるいは、客に対して飲酒運転に対する注意を促すことができる。したがって、このドライバ検出システムは、ドライバ1が飲食店にいる間に、当該ドライバの飲酒運転を防止するための対策を施す助けとなる。
【0057】
また、このようなシステムの普及を浸透させることにより、車両で来店したドライバへ飲食店舗の従業員が警告することを義務化し、その警告を怠った場合の罰則を制定することも可能である。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のドライバ検出システムのハードウェア構成は、第1実施形態と同じである。以下、本実施形態におけるドライバ検出システムの作動について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0059】
本実施形態におけるナビゲーション装置9は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、GPS(Global Positioning System)受信機からの信号に基づいて、車両3の現在位置を特定し、特定した現在位置情報(例えば緯度、経度から成る)を、繰り返し(または制御部42からの要求信号に応じて)制御部42に出力する。さらにナビゲーション装置9は、あらかじめ登録された自宅用駐車場(すなわち、ドライバ1が自宅にいるときに車両3を頻繁に駐車する位置)の位置と現在位置とが一致するか否かを判定し、一致する場合には、現在位置情報と共に自宅信号を制御部42に出力する。
【0060】
また、本実施形態においては、ドライバ検出システムは、図5のような手順に代えて、図7に示すような手順で作動する。まず、車載側無線通信機4の制御部42は、車両3が駐車したか否かを、エンジンECU8からのエンジンの作動停止の信号の有無によって判定し(ステップS41)、駐車したと判定した場合,そのときにナビゲーション装置9から受けた現在位置情報を、駐車位置情報として特定する(ステップS42)。
【0061】
また制御部42は、ナビゲーション装置9から現在位置情報と共に自宅信号を受けているか否かを判定し、受けていれば、自宅フラグをセットして駐車情報に含め、受けていなければ、非自宅フラグをセットして駐車情報に含める(ステップS43)。
【0062】
続いて制御部42は、無線部41を用いて駐車情報を無線キー装置2に送信する(ステップS44)。
【0063】
無線キー装置2の制御部23は、無線部21を介してこの駐車情報を受信すると、フラッシュメモリ22に記録する(ステップS45)。その後、ドライバ1が無線キー装置2と共に車両3から退出し(ステップ46)、飲食店舗5に入る(ステップS47)。
【0064】
飲食店舗5にドライバ1が入った後に無線キー装置2がキー信号を送信すると(ステップS48)、店側無線通信機6の制御部64はそのキー信号を受信し(ステップ49)、その受信に基づいて、駐車情報を要求する信号を、無線部61を用いて、無線キー装置2に送信する(ステップS50)。
【0065】
そして、無線キー装置2の制御部23は、駐車情報の要求を受けたことに基づいて、フラッシュメモリ22に記録されている駐車情報を読み出し、無線部21を用いて店側無線通信機6に無線送信する(ステップS52)。
【0066】
店側無線通信機6の制御部64はこの駐車情報を受信することで無線キー装置2の存在を検出すると(ステップS53)、続いて、この駐車情報に基づいて、飲食店舗5の近くに車両が駐車したか否かを判定する(ステップS53)。ここで、飲食店舗5の近くに車両が駐車したか否かは、あらかじめ制御部64のROM等に記録されている飲食店舗5の所在位置と、受信した駐車情報に含まれる車両3の駐車位置との距離が、基準距離(例えば、1キロメートル)以下であるか否かによって判定する。
【0067】
飲食店舗5の近くに車両が駐車したと判定した場合、制御部64は、続いて駐車情報中に自宅フラグがセットされているか非自宅フラグがセットされているかを判定する(ステップS54)。
【0068】
非自宅フラグがセットされていると判定した場合、続いて、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に伝えるための表示を、表示部62に行わせる(ステップ55)。
【0069】
このような表示を見た飲食店舗5の店員は、入店してきたドライバ1に対して、車両を運転して来店したのかを問い合わせた上で、車両を運転して来ている場合には、飲酒に対する警告を行う(ステップS56)。
【0070】
なお、ステップS53で、飲食店舗5の近くに車両が駐車していないと判定した場合、および、ステップS54で、自宅フラグがセットされていると判定した場合、制御部64は、ステップS55の表示制御を行わない。
【0071】
以上のように、無線キー装置2は、車載側無線通信機4から送信された駐車情報を記憶すると共に飲食店舗5内で当該駐車情報を店側無線通信機6に無線送信する。そして、店側無線通信機6は、無線キー装置から送信された駐車情報中の駐車位置が、当該飲食店舗の所在位置の近傍であることを第1の条件として、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示する。
【0072】
車両3の駐車位置が飲食店舗5の近傍にある場合は、ドライバ1は飲食店舗5から自宅に車両3を用いて帰る可能性が高い、しかし、車両3の駐車位置が飲食店舗5の近傍にない場合は、ドライバ1が飲食店舗から自宅に車両3を用いずに帰る可能性も少なくない。したがって、上記のように、駐車位置と飲食店舗との間の距離に応じて表示の有無を切り替えることで、ドライバ1の飲酒運転の可能性が高いとには表示を行い、そうでないときには表示を行わないという、1回の表示当たりの飲酒運転防止効果の高い処理を実行することができる。
【0073】
また、車載側無線通信機4は、無線キー装置2に送信する駐車情報に、駐車位置がドライバ1の自宅用駐車位置であるか否かの情報を更に含めるようになっている。この場合、店側無線通信機6は、無線キー装置2から送信された駐車情報中の駐車位置が、飲食店舗6の所在位置の近傍であったとしても、駐車位置情報によれば駐車位置がドライバ1の自宅用駐車位置である場合は、車両3で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示しないようになっている。
【0074】
駐車位置が飲食店舗5の近傍にあったとしても、その駐車位置が自宅用の駐車位置であれば、ドライバ1が飲食店舗5から歩いて自宅に戻る可能性が非常に高い。したがって、この場合は、上記のように、車両3で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を店員に表示しないようになっていることで、1回の表示当たりの飲酒運転防止効果の高い処理を実行することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては、ドライバ検出システムは、第1実施形態と同様のハードウェア構成の無線キー装置2、車載側無線通信機4、および店側無線通信機6に加え、運転代行業者側装置(解除用装置の一例に相当する)10を有している。図8に、運転代行業者側装置10の構成をブロック図で示す。
【0075】
運転代行業者側装置10は、後述するとおり、無線キー装置2に後述する解除命令を送信するために、運転代行業者が使用する無線通信機である。この運転代行業者側装置10は、無線部11、操作部12、および制御部13を有している。
【0076】
無線部11は、上述の無線送受信機能を有している。無線部11の通信可能範囲は、運転代行業者側装置10のごく近傍(例えば周囲20センチメートル以内)であってもよい。操作部12は、運転代行業者側装置10のユーザ、すなわち運転代行業者の操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御部13に出力する装置である。制御部13のハードウェア構成は、制御部23と同様である。ただし、後述するとおり、制御部13の処理内容と制御部23の処理内容は異なる。
【0077】
以下、本実施形態のドライバ検出システムにおける無線キー装置2、店側無線通信機6、および運転代行業者側装置10の作動、および無線キー装置2、店側無線通信機6、および運転代行業者側装置10を用いた飲酒運転防止手順について、図9のシーケンス図を用いて説明する。
【0078】
まず、ドライバ1が飲食店舗5に入店し(ステップS81)。飲食店舗5内で無線キー装置2がキー信号を送信し(ステップS82)、店側無線通信機6がキー信号を受信することで無線キー装置2を検出し(ステップS83)、その検出に基づいて店側無線通信機6が車両で帰宅する可能性が高い客の来店を報知し(ステップS84)、その報知を受けた店員がドライバ1に対して飲酒に対する警告を行う(ステップS85)までの作動および手順は、第1実施形態のステップS31〜S35と同じである。
【0079】
そして、そのような警告を受けたドライバ1が、「自ら車両3を運転して帰宅しない」旨を店員に対して宣言したとする(ステップS86)。
【0080】
その場合、ドライバ1が飲食店舗5から退出する際に、店員に対して退店の意思を通知すると(ステップS87)、店員は、無線キー装置2に対して期間制限命令を送信するために、店側無線通信機6の操作部63に対して所定の期間制限操作を行う(ステップS88)。
【0081】
この制御部64は、この期間制限操作があったことに基づいて、無線部61を用いて、無線キー装置2に対して、所定の期間制限命令を送信する(ステップS89)。期間制限命令は、その命令の送信対象となる無線キー装置の機能制限の期間(期間指定情報の一例に相当する)を指定する信号である。
【0082】
機能制限の期間(以下、制限期間という)の指定の形式としては、「現在からX期間」という現在からの期間を示す形式でもよいし、「現在から午後Y時Z分まで」という期限時刻を示す形式でもよい。なお、機能制限の期間の長さは、あらかじめ決められた固定値であってもよいし、店員が操作部63を用いて入力した値を用いるようになっていてもよい。
【0083】
なお、飲食店舗5内に無線キー装置2と同等の機能の無線キー装置が他にも複数ある場合に、無線キー装置2にのみ期間制限命令を受け付けさせる方法としては、下記の(1)、(2)のような方法のいずれかを用いる。
【0084】
(1)無線部61の通信可能範囲を、飲食店舗5の入退店口付近のみに限定させておき、その範囲内にドライバ1以外の客がいないことを店員が確認した上で、操作部63を操作して期間制限命令を送信させる。
【0085】
(2)店側無線通信機6に、無線部61と同等の機能をする他の無線部(以下、無線機Bという)を設けておき、無線機Bを店員のみが入れるスペースに設置し、無線機Bの通信可能範囲を無線機Bのごく近傍(例えば20センチメートル以内)にあらかじめ制限しておく。そして、ステップS86のような宣言を行ったドライバ1の無線キー装置2を店員が一時的に預かり、ドライバ1の退店時に店員が無線機Bの通信可能範囲内に無線キー装置2のみ配置して操作部63に対して所定の期間制限操作を行い、制御部64がその操作に基づいて、無線部Bのみを用いて期間制限命令を送信する。
【0086】
期間制限命令を店側無線通信機6から受けた無線キー装置2の制御部23は、期間制限処理を実行する(ステップS90)。具体的には、期間制限命令中の制限期間をフラッシュメモリ22に記録し、制限期間が経過したか否かを逐次判定する。そして、制限期間が経過するまでの間は、送信するキー信号に、フラッシュメモリ22に記録した制限期間の情報を含める。
【0087】
このような状態でドライバ1が退店して(ステップS92)車両3に戻ると、車両3の車載側無線通信機4が無線キー装置2からのキー信号を受信する。本実施形態の制御部42は、図10に示すようなプログラム100を実行して、当該キー信号に基づく処理を行う。
【0088】
すなわち、制御部42は、無線部41を介してキー信号を受信するまで待ち(ステップ105)、受信すると続いてドアロックECU7を制御してドアロックを解除させる(ステップ110)。そして受信したキー信号中に含まれる制限期間と現在時刻とを比較し、現在時刻が制限期間内であるか否かを判定する(ステップ115)。
【0089】
そして、制限期間内でなければエンジンECU8を制御してエンジンの始動を許可させる(ステップ120)、制限期間内であればエンジンECU8を制御してエンジンの始動を禁止させる(ステップ125)。したがって、無線キー装置2が制限期間を含むキー信号を送信しており、現在時刻が制限期間内である場合は、車載側無線通信機4がエンジンの作動を禁止する。この場合は、無線キー装置2を用いて車両3の運転をすることができない。ただし、他の者(例えばドライバ1の家族)が車両3のスペアキーを用いて車両3を運転することは可能である。
【0090】
その後、制限期間が経過したとき、無線キー装置2の制御部23はその旨を検出し(ステップS94)、期間制限を解除する(ステップS95)。すなわち、フラッシュメモリ22中の制限期間を削除する。したがって、この期間制限の解除後は、無線キー装置2から送信されるキー信号に制限期間が含まれなくなる。その結果、車載側無線通信機4は、キー信号を受けたときにエンジンを始動することができるようになる。
【0091】
なお、制限期間が経過する前においても、無線キー装置2の期間制限を解除することが適切な場合がある。運転代行業者に車両3を運転させる場合がその一例である。制限期間の経過前に期間制限を解除するための機能として、無線キー装置2の制御部23は、制限期間が経過する前においても、無線部21を介して所定の期間制限解除命令を受信したことに基づいて、ステップS95と同じように期間制限を解除する。
【0092】
この期間制限命令は、運転代行業者側装置10が送信するようになっている。具体的には、運転代行業者が無線キー装置2を無線部11の通信可能範囲内に配置し、所定の解除操作を操作部12に対して行うと、制御部13は、その操作に基づいて、無線部11を用いて期間制限解除命令を送信する(ステップS96)。無線キー装置2は、この期間制限解除命令を受けて、上述の通り期間制限を解除する(ステップS97)。
【0093】
以上のように、本実施形態のドライバ検出システムは、第1実施形態と同じ作動に加え、店側無線通信機6は、店員の所定の期間制限操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置2に対して期間制限命令を送信することで、無線キー装置2のキー信号の送信によって車載側無線通信機4がエンジンの始動を許可する機能を、当該制限期間中において無効化する。
【0094】
具体的には、無線キー装置2は、受信した期間制限命令中の制限期間を記憶し、送信するキー信号に、当該制限期間を含めるようになっている。そして、このキー信号を受信した車載側無線通信機4は、現在と制限期間とを比較して、現在が当該期間内ならエンジンの始動を禁止し、当該期間外ならエンジンの始動を許可する。
【0095】
このようになっていることで、店員がキー信号検出装置を用いて、ドライバによる車両の運転をある期間禁止することができる。
【0096】
さらに、このドアロックECU7は、作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信することで、無線キー装置のキー信号の送信によって車載側無線装置がエンジンの始動を許可する機能を有効化することができるようになっている。
【0097】
したがって、ドライバ1が運転代行業者を手配して、自身の車両を運転させることになった場合、運転代行業者は、上記のような運転代行業者側装置10を用いて、ドライバ1の無線キー装置2に解除命令を送信することができる。
【0098】
なお、上記の各実施形態においては、無線キー装置2および車載側無線通信機4の組み合わせが、ドアロック制御システムの一例として機能するとともに、エンジン制御システムの一例としても機能する。
【0099】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0100】
例えば、第3実施形態においては、期間制限命令に基づいて車載側無線通信機4のエンジン始動許可機能を無効化する方法として、無線キー装置2が期間制限命令に示された制限期間の情報を車載側無線通信機4に送信し、車載側無線通信機4がその制限期間と現在時刻とを比較し、現在が制限期間内ならエンジン始動機能を禁止する方法を採用している。しかし、この方法に代えて、以下の(A)〜(C)の方法のうちいずれかを用いてもよい。
【0101】
(A)無線キー装置2が、店側無線通信機6から期間制限命令を受信したことに基づいて、制限期間を記憶し、当該制限期間と現在時刻を逐次比較する。そして無線キー装置2は、現在が制限期間内である場合には、車載側無線通信機4に送信するキー信号に、当該制限期間中である旨を示す期間中情報を含める。そして、当該制限期間外である場合には、車載側無線通信機4に送信するキー信号に、当該期間中情報を含めない。そして、車載側無線通信機4は、受信したキー信号中に、当該期間中情報が含まれていることに基づいて、エンジンの始動を禁止し、当該期間中情報が含まれていないことに基づいて、エンジンの始動を許可する。
【0102】
(B)無線キー装置2が、店側無線通信機6から期間制限命令を受信したことに基づいて、制限期間を記憶し、当該制限期間と現在時刻を逐次比較する。そして無線キー装置2は、当該制限期間中においては、無線部21がキー信号を送信することを禁止し、当該制限期間外においては、無線部21にキー信号を繰り返し送信させる。
【0103】
(C)車載側無線通信機4は、受信したキー信号中にアンロック命令が含まれていれば、ドアロックECU7を制御して車両3のドアをアンロックする。また車載側無線通信機4は、受信したキー信号中にエンジン始動許可命令が含まれていれば、エンジンECU8を制御してエンジン始動を許可し、エンジン始動許可命令が含まれていなければ、エンジンECU8を制御してエンジン始動を禁止する。無線キー装置2は、店側無線通信機6から期間制限命令を受信したことに基づいて、制限期間を記憶し、当該制限期間と現在時刻を逐次比較する。そして無線キー装置2は、当該制限期間中においては、アンロック命令を含みエンジン始動許可命令を含まないキー信号を送信し、当該制限機外においては、アンロック命令およびエンジン始動許可命令を共に含むキー信号を送信する。
【0104】
以上の(A)〜(C)の方法のいずれを採用しても、無線キー装置2が受信した期間制限命令中の制限期間内においては、無線キー装置2を用いてエンジンを始動することができなくなる。ここで、(B)の場合には、キー信号自体がエンジン始動許可命令を含むキー信号に該当する。
【0105】
なお、上記の(A)〜(C)の方法のいずれにおいても、無線キー装置2は、運転代行業者側装置10からの解除命令に基づいて、記憶している制限期間を削除することで期間制限を解除することができる。この制限期間の削除により、(A)の場合には、キー信号に期間中情報が含まれなくなり、(B)の場合にはキー信号が送信されるようになり、(C)の場合にはキー信号にエンジン始動許可命令が含まれるようになる。
【0106】
また、第3実施形態においては、ステップS81〜S85の手順を、図7のステップS41〜S56の手順に置き換えてもよい。
【0107】
また、第2実施形態において、無線キー装置2は、ステップS48において送信するキー信号中に駐車情報を含めるようになっていてもよい。このようになっている場合は、ステップS50、S51、S52の手順は不要になる。
【0108】
また、上記の実施形態において、制御回路12、23、42、64がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態に係るドライバ検出システムの構成を示す概念図である。
【図2】無線キー装置2の構成を示すブロック図である。
【図3】車載側無線通信機4の構成および他の車載装置7〜9との接続関係を示すブロック図である。
【図4】店側無線通信機5の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態におけるドライバ検出システムの作動を示すシーケンス図である。
【図6】無線キー装置2を所持する客の来店を知らせる表示の一例を示す図である。
【図7】第2実施形態におけるドライバ検出システムの作動を示すシーケンス図である。
【図8】運転代行業者側装置10の構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態におけるドライバ検出システムの作動を示すシーケンス図である。
【図10】第3実施形態における車載側無線通信機4の制御部42が実行するプログラム100のフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
1…ドライバ、2…無線キー装置、3…車両、4…車載側無線通信機、5…飲食店舗、
6…店側無線通信機、7…ドアロックECU、8…エンジンECU、
9…ナビゲーション装置、10…運転代行業者側装置、
11、21、41、61…無線部、12、63…操作部、
13、23、42、64…制御部、21…無線部、22…フラッシュメモリ、
62…表示部、70…表示画面、100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、飲食店舗に設置されたキー信号検出装置(6)とを備えたドライバ検出システムであって、
前記キー信号検出装置は、前記無線キー装置を携帯した前記車両のドライバが前記飲食店舗に入店したときに、前記キー信号を検出する検出手段(S33、S49、S83)と、
前記検出手段が前記キー信号を検出したことに基づいて、前記無線キー装置を携帯する客が来店した旨を前記飲食店舗の店員に表示する表示手段(S34、S55、S84)と、を有することを特徴とするドライバ検出システム。
【請求項2】
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記キー信号を受信したことに基づいて、前記車両のドアロックを解除する車載側無線通信機(4)を備え、
前記車載側無線通信機は、前記車両の駐車位置の情報を含む駐車情報を、前記無線キー装置に送信し、
前記無線キー装置は、前記車載側無線通信機から送信された前記駐車情報を記憶すると共に前記飲食店舗内で前記駐車情報を前記キー信号検出装置に無線送信し、
前記キー信号検出装置の前記表示手段は、前記無線キー装置から送信された前記駐車情報中の前記駐車位置が、前記飲食店舗の所在位置の近傍であることに基づいて、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を前記店員に表示することを特徴とする請求項1に記載のドライバ検出システム。
【請求項3】
前記車載側無線通信機は、前記無線キー装置に送信する前記駐車情報に、前記駐車位置が前記ドライバの自宅用駐車位置であるか否かの情報を更に含め、
前記キー信号検出装置の前記表示手段は、前記無線キー装置から送信された前記駐車情報中の前記駐車位置が、前記飲食店舗の所在位置の近傍であっても、前記駐車位置情報によれば前記駐車位置が前記ドライバの自宅用駐車位置である場合は、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を前記店員に表示しないことを特徴とする請求項2に記載のドライバ検出システム。
【請求項4】
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記キー信号を受信したことに基づいて、前記車両のドアロックを解除すると共に前記車両のエンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)を備え、
前記キー信号検出装置は、前記店員の所定の操作を受け付けたことに基づいて、前記無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を送信することで、前記無線キー装置の前記キー信号の送信によって前記車載側無線装置が前記エンジンの始動を許可する機能を、前記期間中において無効化することを特徴とする請求項1に記載のドライバ検出システム。
【請求項5】
作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、前記無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信することで、前記無線キー装置の前記キー信号の送信によって前記車載側無線装置が前記エンジンの始動を許可する機能を有効化する解除用装置(7)を備えたことを特徴とする請求項4に記載のドライバ検出システム。
【請求項6】
飲食店舗に設置されたキー信号検出装置であって、
車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置を携帯した前記車両のドライバが前記飲食店舗に入店したときに、前記キー信号を検出する検出手段(S33、S49、S83)と、
前記検出手段が前記キー信号を検出したことに基づいて、前記無線キー装置を携帯する客が来店した旨を前記飲食店舗の店員に表示する表示手段(S34、S55、S84)と、を備えたキー信号検出装置。
【請求項7】
車両のドアロックを解除するためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記キー信号を受信したことに基づいて、前記車両のドアロックを解除する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムであって、
前記車載側無線通信機は、前記車両の駐車位置の情報を含む駐車情報を、前記無線キー装置に送信し、
前記無線キー装置は、前記車載側無線通信機から送信された前記駐車情報を記憶し、
飲食店舗に設置されるキー信号検出装置であって、前記駐車情報を受信し、受信した前記駐車情報の示す駐車位置が、前記飲食店舗の所在位置の近傍であることに基づいて、車両で帰宅する可能性が高い客が来店した旨を前記飲食店舗の店員に表示するキー信号検出装置に対し、前記無線キー装置は、記憶した前記駐車情報を無線送信することを特徴とするドアロック制御システム。
【請求項8】
車両のドアロックを解除し、かつ前記車両のエンジンの始動を許可させるためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記キー信号を受信したことに基づいて、前記車両のドアロックを解除すると共に前記エンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムであって、
前記無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、前記車載側無線通信機に送信する前記キー信号に、当該期間を示す期間指定情報を含めるようになっており、
前記車載側無線通信機は、現在が、受信した前記キー信号中に含まれる前記期間指定情報の示す期間中であれば、前記エンジンの始動を禁止し、また、現在が当該期間外であれば、前記エンジンの始動を許可することを特徴とするドアロック制御システム。
【請求項9】
作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、前記無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備え、
前記無線キー装置は、前記解除命令を受信したことに基づいて、前記車載側無線通信機に送信する前記キー信号に前記期間指定情報を含めることを終了することを特徴とする請求項8に記載のドアロック制御システム。
【請求項10】
車両のドアロックを解除し、かつ前記車両のエンジンの始動を許可させるためのキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記キー信号を受信したことに基づいて、前記車両のドアロックを解除すると共に前記エンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたドアロック制御システムであって、
前記無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、当該期間中においては、前記車載側無線通信機に送信する前記キー信号に、当該期間中である旨を示す期間中情報を含め、当該期間外においては、前記車載側無線通信機に送信する前記キー信号に、前記期間中情報を含めないようになっており、
前記車載側無線通信機は、受信した前記キー信号中に、前記期間中情報が含まれていることに基づいて、前記エンジンの始動を禁止することを特徴とするドアロック制御システム。
【請求項11】
作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、前記無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備え、
前記無線キー装置は、前記解除命令を受信したことに基づいて、前記車載側無線通信機に送信する前記キー信号に前記期間中情報を含めることを終了することを特徴とする請求項10に記載のドアロック制御システム。
【請求項12】
車両のエンジンの始動を許可させるためのエンジン始動許可命令を含むキー信号を自動的に繰り返し無線送信する無線キー装置(2)と、
前記車両に搭載され、前記無線キー装置が送信した前記エンジン始動許可命令を受信したとき前記エンジンの始動を許可する車載側無線通信機(4)と、を備えたエンジン制御システムであって、
前記無線キー装置は、当該無線キー装置の機能制限の期間を指定する期間制限命令を受信したことに基づいて、当該機能制限の期間を記憶し、当該期間中においては、前記車載側無線通信機に前記エンジン始動許可命令を送信することを停止するようになっているエンジン制御システム。
【請求項13】
作業者の所定の操作を受け付けたことに基づいて、前記無線キー装置に対して、当該無線キー装置の機能制限を解除する解除命令を送信する解除用装置(7)を備え、
前記無線キー装置は、前記解除命令を受信したことに基づいて、前記エンジン始動許可命令の送信停止を解除することを特徴とする請求項12に記載のエンジン制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−59282(P2009−59282A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227716(P2007−227716)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】