説明

ドライバ状態判定システム、判定方法及び判定用プログラム

【課題】運転行動の種類毎にドライバの状態を精度良く適切に判定する。
【解決手段】データ計測手段100は、自車の車両情報と環境情報とを計測する。特徴量生成手段300は、状態設定手段200が設定したドライバの状態と計測した車両情報及び環境情報とを用いて、運転行動に応じた特徴量生成方法によって特徴量を生成する。判定器学習手段400は、蓄積した特徴量を用いて、ドライバの状態と車両情報・環境情報の関係を学習し、車両情報・環境情報に対してドライバ状態を判定するための判定器を構築(学習)する。ドライバ状態判定手段600は、運転行動取得手段800で判定した運転行動に対応した判定器を、判定器記憶手段500を検索して取得し、取得したその判定器に基づいて、特徴量生成手段300が生成した特徴量に対するドライバ状態を判定する。ドライバ状態提示手段700は、判定したドライバ状態をドライバに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライバ状態判定システム、判定方法及び判定用プログラムに係り、特に自動車を運転しているドライバ状態を判定できるドライバ状態判定システム、判定方法及び判定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバの状態に応じてドライバの運転の支援内容を変化させる運転支援装置が開発されている。この運転支援装置では、例えば、危険な運転をしているドライバには、注意すべき警告情報を早めに提示したり、平常通りの運転をしているドライバには、警告情報を控えめ(小さい文字で表示、画面の端に表示など)に提示したりする。このように、運転支援装置は、ドライバの状態に合わせて情報を提示することで、安全運転に必要な情報を適切なタイミングで提示できる。更には、ドライバにとって不要な情報が提示されないため、画一的な情報提示に比べ、鬱陶しいと感じる頻度が下がり、情報の受容性が向上する。
【0003】
特許文献1には、運転支援装置の一例が開示されている。この特許文献1記載の運転支援装置では、心電図や心拍などの生体情報からドライバの平常状態を検出し、平常状態時の車両情報(アクセル、ブレーキ、車速、車間距離など)を用いて、ドライバモデルを作成する。
【0004】
そして、現在の車両情報とドライバモデルとを比較し、平常状態での運動行動からの逸脱を検出すると、注意喚起や警告等をドライバに対して行う。具体的には、ドライバモデルとして、ある車両情報を他の車両情報から予測する確率モデルを作成する(例:ブレーキ踏み込み量=f(アクセル、車速、車間距離…))。そして、特許文献1記載の運転支援装置は、現在の車両情報から特定の車両情報を予測し、予測値と実測値が異なる場合に平常状態から逸脱していると判定する。
【0005】
また、特許文献2には、運転支援装置の他の例が開示されている。この特許文献2記載の運転支援装置では、過去に追従走行した際の運動行動と、周辺の環境、交通量とを関連づけて記憶しておき、同様の環境、交通量の際に、似たような追従走行を自動的に行う。
【0006】
具体的には、追従走行において、スロットルオフ時の速度、車間距離の相関関係を分類して記憶しておき、個々の分類(直線の式で表現される)をドライバの状態と捉える。そして、特許文献2記載の運転支援装置は、分類されたドライバ状態と道路環境や交通量とマッピングしておき、同様の環境、交通量において、そのドライバの追従状態に近いドライバ状態を探し、そのドライバ状態の運転行動に合うように自動運転を行わせる。更には、特許文献2記載の運転支援装置は、運転中のドライバの状態の変化を捉え、その変化の頻度などから運転の疲労度や技量を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−272834号公報
【特許文献2】特開2008−018872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1及び2記載の運転支援装置は、以下の問題点がある。
【0009】
第1の問題点は、個々の運転行動によっては、必ずしも精度の良いドライバ状態判定結果を得ることができないことである。その理由は、運転行動(停止や発進など)によってドライバ状態の判定に寄与する運転行動の特徴を表す特徴量(ブレーキの踏み込み量、アクセル踏み込み量、速度やそれらを基にした統計量)が異なり、個々の運転行動に対してドライバモデルを用意する必要があると考えられる。しかし、上記の特許文献1及び2記載の運転支援装置では、運転行動全体に対し、同じドライバモデルを用いてドライバ状態を判定しているためである。
【0010】
第2の問題点は、複数のドライバ状態を判定することができないということである。特許文献1記載の運転支援装置では、車両情報からドライバが平常状態の運転かどうかのみを判定するだけであり、平常状態以外の状態(例えば、ゆとり状態、危険状態、注意散漫状態)のいずれであるかが分からない。また、特許文献2記載の運転支援装置では、車両情報からどのドライバモデル(速度と車間距離の関係)に合致するかは分かるが、どのようなドライバ状態であるかは分からない。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、運転行動の種類毎にドライバの状態を精度良く適切に判定できるドライバ状態判定システム、判定方法及び判定用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明のドライバ状態判定システムは、ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得手段と、車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、運転行動取得手段により取得された運転行動毎に、ドライバの状態と車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、判定器学習手段が構築した判定器の中から、運転行動取得手段により取得された運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明のドライバ状態判定方法は、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を行う判定方法であって、
上記学習フェーズは、ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、第1の情報取得ステップで取得された車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、第1の運転行動取得ステップにより取得された運転行動毎に、ドライバの状態と車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップとを含み、上記判定フェーズは、ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、第2の情報取得ステップで取得された車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、判定器学習ステップにより構築された判定器の中から、第2の運転行動取得ステップにより取得された運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
更に、上記の目的を達成するため、本発明のドライバ状態判定用プログラムは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を、コンピュータにより実行させるドライバ状態判定用プログラムであって、ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、第1の情報取得ステップで取得された車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、第1の運転行動取得ステップにより取得された運転行動毎に、ドライバの状態と車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップとを含む学習フェーズをコンピュータに実行させ、続いて、ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、第2の情報取得ステップで取得された車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、判定器学習ステップにより構築された判定器の中から、第2の運転行動取得ステップにより取得された運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップとを含む判定フェーズをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転行動の種類毎にドライバの状態を精度良く適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のドライバ状態判定システムの第1の実施形態のブロック図である。
【図2】図1中の状態設定手段によるドライバ状態の取得及び設定の一例を説明する図である。
【図3】図1中のデータ計測手段で計測した車両情報及び環境情報の一例を示す図である。
【図4】図1中の運転行動取得手段が保持する運転行動判定ルールと特徴量生成手段による特徴量生成方法の一例を示す図である。
【図5】図1中の特徴量生成手段が生成する特徴量の一例を示す図である。
【図6】図1中の判定器学習手段がSVMで判定器を構築する場合に用いる特徴量の一例と特徴空間を示す図である。
【図7】図1中の判定記憶手段の記憶データの各例を示す図である。
【図8】図1のドライバ状態判定手段により、ドライバ状態のラベルを付与する方法の一例を説明する図である。
【図9】図1中のドライバ状態提示手段による提示方法の各例を示す図である。
【図10】本発明のドライバ状態判定システムの第1の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図11】図1中のデータ計測手段で計測した車両情報及び環境情報の一例を示す図である。
【図12】図1中の特徴量生成手段が生成する特徴量の一例を示す図である。
【図13】図1の実施の形態の具体例を説明する車両情報及び環境情報の一例とドライバ状態の判定結果の一例を示す図である。
【図14】本発明のドライバ状態判定システムの第2の実施形態のブロック図である。
【図15】図14中の判定結果蓄積手段が蓄積する運転行動と判定結果との組の各例を示す図である。
【図16】本発明のドライバ状態判定システムの第2の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図17】図14中のドライバ状態提示手段によるドライバ状態の提示方法の各例を示す図である。
【図18】本発明のドライバ状態判定システムの第3の実施形態のブロック図である。
【図19】運転行動に対応した重み付けルールの例を示す図である。
【図20】図18中のドライバ状態判定手段の判定処理の一例を説明する図である。
【図21】本発明のドライバ状態判定システムの第3の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図22】本発明のドライバ状態判定システムの第4の実施形態のブロック図である。
【図23】図22中の信頼度設定手段の信頼度設定ルールの一例を示す図である。
【図24】本発明のドライバ状態判定システムの第4の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図25】図22中のドライバ状態判定手段の判定処理動作の一例を説明する図である。
【図26】本発明のドライバ状態判定システムの第5の実施形態のブロック図である。
【図27】図26中の判定器類似度計算手段及び判定器統合手段の処理の一例を説明する図である。
【図28】図26中の判定器類似度計算手段の処理動作の一例を説明する図である。
【図29】本発明のドライバ状態判定システムの第5の実施形態の要部の動作説明用フローチャートである。
【図30】本発明のドライバ状態判定システムの第6の実施形態のブロック図である。
【図31】図30中のドライバ情報記憶手段が記憶するドライバ情報の一例と、類似ドライバ検索手段及び判定器複製手段の処理の一例を示す図である。
【図32】本発明のドライバ状態判定システムの第6の実施形態の要部の動作説明用フローチャートである。
【図33】本発明のドライバ状態判定システムにおける特徴量生成手段が有する特徴量生成方法の一例を示す図である。
【図34】本発明のドライバ状態判定システムの第7の実施形態のブロック図である。
【図35】本発明のドライバ状態判定システムの第7の実施形態の要部の動作説明用フローチャートである。
【図36】本発明のドライバ状態判定システムの第8の実施形態のブロック図である。
【図37】図36中の判定器選択手段が提示する画面の一例を示す図である。
【図38】本発明のドライバ状態判定システムの第8の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図39】本発明のドライバ状態判定システムの第9の実施形態のブロック図である。
【図40】本発明のドライバ状態判定システムの第9の実施形態の動作説明用フローチャートである。
【図41】本発明のクライアントとサーバとからなるドライバ状態判定システムの一実施形態のブロック図である。
【図42】本発明のクライアントとサーバとからなるドライバ状態判定システムの他の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して詳細に説明する。以下説明する本発明のドライバ状態判定システム、判定方法及び判定用プログラムは、判定したドライバ状態に基づいて、運転支援装置による運転を支援するためのシステム、判定方法及び判定用プログラムである。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明になるドライバ状態判定システムの第1の実施形態のブロック図を示す。本実施形態のドライバ状態判定システム10は、データ計測手段100と、状態設定手段200と、特徴量生成手段300と、判定器学習手段400と、判定器記憶手段500と、ドライバ状態判定手段600と、ドライバ状態提示手段700と、運転行動取得手段800とを備える。
【0019】
はじめに、本発明で取り扱う車両情報、環境情報、ドライバ状態について説明する。
【0020】
「車両情報」とは、ドライバ状態の判定対象のドライバが運転する自動車(以下、これを自車という)の各部の状態を表す情報であり、自車の各部に備え付けられたセンサで取得する情報である。具体的には、速度計により計測した速度、加速度センサにより計測した加速度、ブレーキペダルやアクセルペダルの踏み込み量、ミリ波レーダなどにより計測した先行車や後続車との車間距離、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)で計測した自車の現在位置などを指す。本明細書では、車両情報は走行中、常に計測されているものとし、ドライバ状態判定システムは、いつでも取得可能であるとする。
【0021】
「環境情報」とは、自車周辺の状況を表す情報である。例えば、自車が走行している道路の種類(一方通行、幹線道路、スクールゾーンなど)、車線数、勾配、周辺の天候、渋滞状況を表す。本明細書では、ドライバ状態判定システムは、インターネットやVICS(Vehicle Information and Communication System)などにアクセスし、地図データや気象情報を入手することで、環境情報をいつでも取得可能であるとする。
【0022】
「ドライバの状態」とは、ドライバの体の調子や心理的な状態を表すパラメータであり、例えば「ゆとり」、「焦り」、「漫然」、「眠い」、「疲労」などがある。本発明では、ドライバに問い合わせることでドライバの状態を取得したり、心電や心拍、血圧などの生体センサから得られる生体情報を基にドライバの状態を取得したりする。
【0023】
また、「ドライバ状態」とは、本発明により自動的に判定されるドライバの状態を表すパラメータであり、ドライバから直接又は間接に取得される上記「ドライバの状態」とは異なる。
【0024】
次に、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10の各構成要素について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム10は、運転中、常にドライバの運転行動を監視し、任意の運転行動を行った場合、その運転行動の特徴を基にドライバ状態を判定するドライバ状態判定システムである。
【0025】
ドライバ状態判定システム10の動作は、ドライバの状態と車両情報・環境情報の関係を学習し、車両情報・環境情報に対してドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズと、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズとの2つのフェーズから構成される。ただし、学習フェーズと判定フェーズに実行順があるわけではなく、並行して行ったり、一度学習し、数回判定した後、再度学習するなど、実行回数にも制限があるわけではない。
【0026】
まず、学習フェーズについて説明する。図1において、状態設定手段200は、ドライバの心理や体調などのドライバの状態を取得し、設定する。ドライバの状態は、心電や心拍、血圧などを計測する生体センサを用いてドライバから直接に取得して設定してもよいし、ドライバに問い合わせて間接に取得して設定してもよい。
【0027】
ドライバに問い合わせて取得して設定する場合は、例えば、図2に示すように、車内のカーナビゲーションシステム上でドライバの心理状態や体調などの複数の候補を列挙して表示し、ドライバに選択させる。ドライバが「ゆとり」を選択すると、状態設定手段200は、ドライバの状態として「ゆとり」を取得して設定する。
【0028】
データ計測手段100は、自車の車両情報と環境情報とを時々刻々と計測し、バッファに蓄積する。図3は、データ計測手段100が計測した車両情報と環境情報の一例を示す。図3では、計測した車両情報302と環境情報303とが走行時間順に時系列に並んでいる。
【0029】
図3において、車両情報302は、走行時間、走行距離、自車の速度、ブレーキ踏み込み量、先行車との距離を表している。環境情報303は、現在走行している道路が一般道であるか高速道であるか、天候が晴れであるか雨であるかを示している。
【0030】
上記の車両情報302及び環境情報303について、具体的にデータ304を用いて説明する。データ304は、走行開始から9秒後のデータであり、速度が50.45km/hで、ブレーキ踏み込み量が0.47、先行車との距離が12.23、一般道であり(高速道ではない)、晴れている(雨は降っていない)ことを示している。
【0031】
なお、図3は一例であり、他のドライバ状態や車両情報、環境情報あるいは、それらを用いて加工した情報を特徴量として用いてもよい。例えば、車両情報として「アクセル踏み込み量」や「ステアリング回転量」を用いたり、環境情報として「道路勾配」や「砂利道」などを用いてもよい。
【0032】
図1の運転行動取得手段800は、データ計測手段100が蓄積している車両情報を監視し、運転行動判定ルールに基づき、ドライバが行った運転行動が何であったかを判定する。
【0033】
図4の401は、上記の運転行動判定ルールの一例を示す。図4の運転行動ルール401は、停止行動、右折行動、発進行動などの複数種類の運転行動のそれぞれを判定するために定められたルールである。例えば、停止行動の場合、図4の401に示すように、「交差点手前100mの時点で30km/h以上」、「交差点手前100m以降加速しない」、「交差点で停止する」という3つの条件から構成され、これらの条件を満たした場合、ドライバが行った運転が「停止行動」であったと判定する。また、運転行動取得手段800は、図4の401に示した複数の運転行動判定ルールを保持している。
【0034】
図1の特徴量生成手段300は、データ計測手段100が計測した車両情報、環境情報と、状態設定手段200が設定したドライバの状態と、運転行動取得手段800が取得したドライバの運転行動とから、判定器を学習するために用いる特徴量を生成する。
【0035】
特徴量生成手段300は、運転行動に応じた特徴量生成方法を保持しており、運転行動に応じて特徴量を生成する。具体的には、特徴量生成方法は、特徴量を生成するプログラム、あるいはモジュール、あるいはプログラム関数で実装され、運転行動と紐付けている。
【0036】
図4の402は、上記の特徴量生成方法の一例を示す。図4の特徴量生成方法402は、停止行動、右折行動、発進行動などの複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成するために定められた方法を示す。例えば、停止行動に対して、「(1)停止位置の100m手前から、停止位置までの車両情報、環境情報を抽出し、(2)走行時間を停止までの時間に変換し、(3)車両情報同士の相関係数を求め、(4)ドライバ状態を付与する」という特徴量生成方法が関連付けられている。
【0037】
特徴量生成手段300は、運転行動取得手段800が取得したドライバの運転行動が停止行動で、状態設定手段200が設定したドライバ状態がゆとり状態である場合において、データ計測手段100が計測した図3に示した車両情報302及び環境情報303から図5のような特徴量を生成する。
【0038】
図5に示す特徴量は、停止までの一連の計測データ及び、特徴量生成方法に基づいて生成した値を示している。具体的には、図5に示す特徴量は、ドライバ状態501、車両情報502、環境情報503から構成されている。車両情報502は、停止までの時間、交差点までの距離、速度、ブレーキ踏み込み量、先行車との距離、速度とブレーキ踏み込み量との相関係数、速度と先行車との距離の相関係数、ブレーキ踏み込み量と先行車との距離の相関係数の各情報から構成されている。また、環境情報503は、一般道かどうか、高速道かどうか、晴れかどうか、雨かどうかの各情報から構成されている。
【0039】
例えば、図5に示すデータ504の場合、ドライバ状態がゆとり(1)であり、停止までの時間は10秒、交差点までの距離は100m、速度は30km/h、ブレーキ踏み込み量は0.47、先行車との距離は50m、速度とブレーキ踏み込み量との相関係数は−0.52、速度と先行車との距離の相関係数は0.68、ブレーキ踏み込み量と先行車との距離の相関係数は−0.07、一般道を走っており、天候は晴れであることを示している。
【0040】
ここで、特徴量生成手段300は、特徴量生成方法を複数保持しており、複数の運転行動に対して特徴量をできる。図4に示すように、例えば、発進行動や右折行動に対する特徴量生成方法を保持している。
【0041】
なお、図4の例では、車両情報同士の演算などにより特徴量を求める特徴量生成方法402が記載されているが、他の特徴量生成方法も考えられる。例えば、車両情報の各項目を用いた主成分分析を行い、上位いくつかの主成分を車両情報として用いたり、フーリエ変換やウェーブレット変換などによって周波数成分を抽出し、周波数成分を特徴量としたりするようにしてもよい。
【0042】
図1の判定器学習手段400は、特徴量生成手段300が生成した特徴量の各データを記憶しておき、あるいは一定数以上の特徴量のデータを記憶すると、それらの特徴量のデータを用いてドライバの状態と車両情報・環境情報の関係を学習し、車両情報・環境情報に対してドライバ状態を判定するための判定器を構築する。ここで、特徴量の各データとは、図5の504のように、特徴量の各行単位の複数のデータから構成される。また、判定器は、運動行動毎に構築される。学習方式としては、SVM(Support Vector Machine)やニューラルネットワーク、回帰分析などを用いる。
【0043】
図6は、判定器学習手段400がSVMで判定器を構築する場合に用いる特徴量の一例を示す。図6に示す特徴量601は、各データに、ゆとり、通常というドライバ状態が付与されている。ここで、特徴量の各データ(行毎)をベクトル表現し、特徴量の全ベクトルで構成される多次元空間(特徴空間)に配置する。特徴空間の模式図を図6に特徴空間602として示す。
【0044】
例えば、図6に示す特徴量のあるデータ610は、特徴空間602の611に配置される。判定器学習手段400は、SVMによって、「ゆとり」と「通常」状態を分類する分割超平面を求めることで、特徴空間602の超平面603を判定器として求める。超平面603を判定器として用いることで、別の特徴量の各データが、超平面603のいずれ側の領域に特徴量が分布するかが分かる。図6に示す例では、超平面603の左側の領域に分布する特徴量がドライバがゆとり状態であり、右側の領域に分布する特徴量が通常状態であることを判定できる。
【0045】
判定器記憶手段500は、判定器学習手段400が学習した判定器を運転行動と関連付けて記憶する。判定器記憶手段500は、例えば、図7の701に示すように、運転行動と判定器のパラメータを関連づけて記憶する。SVMを用いた場合は、判定器のパラメータとして、超平面を表す関数、あるいは超平面を構成するサポートベクタ、ニューラルネットワークを用いた場合は、ノード数やノードの重みなどが考えられる。
【0046】
図7の701では、運動行動と判定器を関連づけて記憶しているが、判定器記憶手段500は、判定器だけでなく、判定器の学習に用いた特徴量も記憶しておくことも考えられる。
【0047】
また、図7の702に示すように、判定器記憶手段500は、判定器で判定できる状態も判定器と運転行動に関連付けて記憶することも考えられる。あるいは、図7の703に示すように、判定器で判定できる状態とドライバを判定器と運転行動に関連付けて記憶することも考えられる。
【0048】
次に、本実施形態の判定フェーズについて説明する。判定フェーズでは、学習フェーズで構築した判定器を用いて、ドライバ状態を判定する。判定フェーズは、学習フェーズと異なり、状態設定手段200は機能せず、ドライバの状態は設定されない。
【0049】
図1に示すデータ計測手段100は、判定フェーズでは学習フェーズと同様、自車の車両情報と環境情報とを時々刻々と計測し、バッファに蓄積する。
【0050】
運転行動取得手段800は、判定フェーズでは学習フェーズと同様、運転行動判定ルールに基づき、ドライバが行った運転行動が何であったかを判定する。
【0051】
特徴量生成手段300は、判定フェーズでは学習フェーズと同様、データ計測手段100が計測した車両情報及び環境情報を用いて、運転行動取得手段800が取得した運転行動に応じて特徴量を生成する。また、特徴量生成手段300は、運転行動に応じた特徴量生成方法を保持しており、運転行動に応じて特徴量を生成する。
【0052】
判定器記憶手段500は、運転行動に対応する判定器を選択する。判定器記憶手段500は、学習フェーズで説明したように、図7の702に示すように、1つの運動行動に対し、複数の判定器が関連付いている場合も考えられる。その場合は、複数の判定器それぞれで判定処理を行う。ただし、本実施形態では1つの判定処理のみを行う場合について説明する。
【0053】
図1のドライバ状態判定手段600は、運転行動取得手段800で判定した運転行動に対応した判定器を、判定器記憶手段500を検索して取得し、取得したその判定器に基づいて、特徴量生成手段300が生成した特徴量に対するドライバ状態を判定する。具体的には、ドライバ状態判定手段600は、特徴量を構成する各データを逐次判定し、各データにドライバ状態のラベルを付与する。
【0054】
このドライバ状態判定手段600により、ドライバ状態のラベルを付与する方法について、図8の特徴量801を例に説明する。特徴量801は、運転行動取得手段800が運転行動を検出し、特徴量生成手段300が停止行動に対して生成したものとする。また、判定器記憶手段500が、停止行動に対応する判定器として図6の超平面603を記憶しているものとする。
【0055】
ここで、ドライバ状態判定手段600は、図8の特徴量801の各データ(行)毎に超平面のいずれの領域にいるか調べる。この例では、図8のドライバ状態802を得たとする。図8に示すドライバ状態802は、「1」はゆとり状態、「2」は通常状態であることを示す。このドライバ状態802より、ドライバ状態判定手段600は、特徴量801のドライバ状態は、ゆとり状態の数が10、通常状態の数が3であることから、「ゆとり10,通常3」であると判定する。
【0056】
ドライバ状態判定手段600は、このようにして判定したドライバ状態「ゆとり10,通常3」をそのままドライバ状態提示手段700に送信する。なお、ドライバ状態判定手段600からドライバ状態提示手段700に送信する情報は、上記の例に限定されるものではなく、例えば、判定結果が多かったゆとり状態のみでもよいし、「ゆとり77%」あるいは「ゆとり77%,通常23%」のように割合で表現した情報でもよい。
【0057】
ドライバ状態提示手段700は、ドライバ状態判定手段600が判定したドライバ状態を、ドライバ状態判定手段600から入力として受けてドライバに提示する。この提示方法は、例えば、図9(A)に示す数値とグラフからなる表示でもよいし、同図(B)に示すようなメータ表示でもよい。図9(A)、(B)では、ゆとりの割合が77%(=(10/13)×100)であることを示している。このように、ドライバ状態提示手段700は、ドライバに対してドライバ状態をプログレスバーやメータ表示にして視覚的に分かりやすく表示する。
【0058】
なお、ドライバ状態提示手段700によるドライバ状態の提示方法としては、上記以外に、カーナビゲーションシステムやダッシュボード、速度メータの背景色をドライバ状態に合わせて変更したり、フロントガラスにドライバ状態を表す文字や数字を投影したり、カーナビゲーションシステム内でCG(Computer Graphics)で作成したキャラクタの動きを変更したりするなどが考えられる。
【0059】
例えば、特定のドライバ状態(例えばゆとり状態)が偏っている場合には、キャラクタが笑顔になるが、他のドライバ状態(例えば危険状態)に偏っている場合には、キャラクタが怒ったりする。更には、カーナビゲーションシステムで表示するヒヤリハット警告や道路情報提示(”右折レーンあり”)の出し方を調整することが考えられる。例えば、ゆとり状態と判定された場合は、しばらくの間は、ヒヤリハット情報を提示しなかったり、警告音を出さないようにするなどが考えられる。
【0060】
なお、本実施形態では、2つのドライバ状態を認識する例を用いて説明したが、判定器学習手段400において、よく知られたクラスタリング手法やmulti-class svmなどを用いることで3つ以上の複数のドライバ状態を認識することが可能になる。
【0061】
また、判定器学習手段400において、one-class svmを用いることで、ドライバの状態が特定の状態かを判定できる。具体的には、普段のドライバ状態(通常状態)での特徴量を生成し、one-class svmで学習しておく。そして、他の特徴量をドライバ状態判定手段600で判定することで、普段のドライバ状態と同じかどうかを判定できる。
【0062】
また本実施形態では、特徴量の各データの判定結果として必ずドライバの状態を示していたが、判定できない場合は、判定できない旨を示すことも考えられる。具体的には、あるデータの判定結果として「−1」が付与されたデータは判定できないとして、ドライバの状態を求める際に利用しないということが考えられる。
【0063】
更には、判定対象の特徴量において、判定できなかったデータが、特定の個数あった場合は、ドライバの状態として「判定不能」とし、判定結果を示さない、あるいは判定できなかった旨の情報をドライバに提示することも考えられる。
【0064】
次に、ドライバ状態判定システム10の物理的な構成について説明する。
【0065】
ドライバ状態提示手段700は、ディスプレイなどの情報表示装置を備えたコンピュータ上で動作するソフトウェアで実装すればよい。例えば、車載機器上のソフトウェアで実装された場合は、カーナビゲーションシステム上で、ドライバ状態に関する情報を表示することが考えられる。
【0066】
状態設定手段200は、心電計や心拍計、血圧計などのセンサに接続され、ドライバの状態を計測できるコンピュータか、ディスプレイなどの情報表示装置とタッチパネルやキーボードといった入力装置を備えたコンピュータ上で動作するソフトウェアで実装すればよい。
【0067】
運転行動取得手段800とデータ計測手段100は、自動車の情報を得るためのセンサに接続されたり、地図情報を保持したり、インターネットに接続できたりするコンピュータ上で動作するソフトウェアで実装すればよく、例えば、カーナビゲーションシステム上で動作するソフトウェアが考えられる。
【0068】
特徴量生成手段300、判定器学習手段400、及びドライバ状態判定手段600は、カーナビゲーションシステム上やパーソナルコンピュータやサーバ型のコンピュータ上で動作するソフトウェアで実装すればよい。
【0069】
判定器記憶手段500は、運動行動と判定器を実装するモデルのパラメータを対応付けて記憶するデータベースであり、カーナビゲーションシステム上やパーソナルコンピュータやサーバ型のコンピュータ上に、広く知られているデータベースソフトウェアで実装すればよい。
【0070】
ただし、本実施形態では、システム内の各手段について、特定の物理的な構成を前提としている訳ではない。
【0071】
次に、図1に示した本実施形態のドライバ状態判定システム10の動作について、図10のフローチャートを参照して説明する。図10に示すフローチャートでは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」と、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」を示す。
【0072】
まず、学習フェーズについて説明する。状態設定手段200は、ドライバ状態を設定する(ステップS1)。データ計測手段100は、自車の車両情報と環境情報とを時々刻々計測し、記憶する(ステップS2)。運転行動取得手段800は、運転行動判定ルールに基づき、ドライバの運転行動を取得する(ステップS3)。特徴量生成手段300は、ステップS1で設定したドライバの状態と、ステップS2で計測した車両情報及び環境情報を用いて、ステップS3で取得した運転行動に応じた特徴量生成方法によって、ドライバ状態を判定するための判定器の構築に用いる特徴量を生成する(ステップS4)。
【0073】
判定器学習手段400は、ステップS4で生成した特徴量を蓄積する(ステップS5)。続いて、判定器学習手段400が蓄積している特徴量の数、あるいはデータの数が、予め設定された閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS6)。判定器学習手段400が蓄積している特徴量の数、あるいはデータの数が、予め設定された閾値よりも少ない場合は(ステップS6がNO)、以降の処理は行わずステップS1に戻る。
【0074】
判定器学習手段400が蓄積している特徴量の数、あるいはデータの数が、予め設定された閾値以上である場合は(ステップS6がYES)、蓄積した特徴量を用いて、ドライバの状態と車両情報・環境情報の関係を学習し、車両情報・環境情報に対してドライバ状態を判定するための判定器を構築(学習)する(ステップS7)。
【0075】
そして、判定器記憶手段500は、ステップS7で学習した判定器のパラメータを、運転行動と関連付けて記憶する(ステップS8)。
【0076】
次に、判定フェーズについて説明する。データ計測手段100は、学習フェーズと同様、自車の車両情報と環境情報とを計測し、データ計測手段100内のバッファに蓄積する(ステップS101)。続いて、運転行動取得手段800は、学習フェーズと同様、運転行動判定ルールに基づき、運転行動を取得する(ステップS102)。
【0077】
続いて、特徴量生成手段300は、学習フェーズと同様、ステップS101で計測した車両情報及び環境情報から、ステップS102で取得した運転行動に応じた特徴量生成方法によって特徴量を生成する(ステップS103)。続いて、判定器記憶手段500は、ステップS102で取得した運転行動に対応する判定器を取得する(ステップS104)。
【0078】
ドライバ状態判定手段600は、ステップS104で判定器記憶手段500が取得した判定器を用いて、ステップS103で特徴量生成手段300が生成した特徴量に対するドライバ状態を判定する(ステップS105)。そして、ドライバ状態提示手段700は、ステップS105でドライバ状態判定手段600が判定したドライバ状態をドライバに提示する(ステップS106)。
【0079】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム10の動作を、具体例を用いつつ詳細に説明する。
【0080】
ドライバ状態判定システム10は、文字列やボタンなどを表示できる画面、マウス、キーボード等を備えたカーナビゲーションシステムで構成されているものとし、自動車に搭載されているものとする。また、ドライバ状態判定システム10は、自動車の各センサに接続されており、車速やブレーキ踏み込み量などの車両情報を入手したり、インターネットやVICS、あるいは自身の地図情報などから、環境情報を取得できるものとする。また、判定器記憶手段500は、データベースプログラム上で動作しているものとする。
【0081】
ここでは、交差点での停止行動において、ドライバの状態としてゆとり状態と通常状態を判定する例について説明する。つまり、ある交差点での停止行動において、ゆとり状態、通常状態それぞれに対応した特徴量から判定器を構築し、他の交差点での停止行動における特徴量に対するドライバ状態を判定する例について図10のフローチャートを併せ参照して説明する。
【0082】
図10のステップS1で、状態設定手段200は図2の画面を提示し、ドライバが「ゆとり」を選択したものとし、ドライバの状態として「ゆとり」を取得する。続くステップS2で、データ計測手段100が図11に1101で示す車両情報及び環境情報を計測したとする。
【0083】
次のステップS3では、運転行動取得手段800が運転行動を取得する。ここでは、運転行動取得手段800が図4の運転行動判定ルール401を保持しているものとする(なお、運転行動判定ルール401中の停止行動における「交差点」は以下の説明では「停止位置」であるものとする。)。図11の1101に示した計測された車両情報及び環境情報を見ると、図4の運転行動判定ルール401中の停止行動に関する運転行動判定ルールが合致する。具体的には、図11の1101に示した計測された車両情報では、走行時間の経過につれて減速していき、最終的に走行距離200mの位置で速度0km/hの停止状態に到ることが示されている。また、その停止位置の手前100mの走行距離100mの位置では速度が30km/h以上であり、それ以降常に減速状態にある。従って、これは上記の停止行動に関する運転行動判定ルール401に合致したものとし、運転行動取得手段800が運転行動を停止行動と判定する。
【0084】
続いて、ステップS4で、特徴量生成手段300が、図11に示す車両情報及び環境情報1101などを用いて、図12に示す特徴量1201を生成する。ここでは、特徴量生成手段300が、図33の3301に示す特徴量生成方法を保持しているものとする。特徴量生成手段300は、この図33に示す停止行動に関連する特徴量生成方法3301を用いて、図11に示す車両情報及び環境情報1101中の走行時間と走行距離とから、停止までの時間、停止までの距離という値を計算し、他の車両情報、環境情報及びドライバの状態と合わせ特徴量とするものとする。これにより、特徴量生成手段300は、図12に示す特徴量1201を生成する。図12に示す特徴量1201は、ドライバ状態が「1」であり、これはドライバ状態がゆとり状態であることを表す。
【0085】
次に、ステップS5において、判定器学習手段400は、ステップS4で生成した特徴量1201を蓄積する。ここで、判定器学習手段400が蓄積する特徴量の閾値を「2」とすると、ステップS6において、判定器学習手段400が蓄積する特徴量の数はこの段階では「1」であり、閾値よりも小さいため、以降の処理は行わない。
【0086】
続いて、別の交差点において、通常状態において、同様に停止行動を行い、特徴量を生成する処理について説明する。
【0087】
図10のステップS1において、ドライバが提示されたドライバの状態の複数の候補の中から通常状態を選択したものとすると、状態設定手段200が通常状態を設定する。図10のステップS2からステップS5までの処理は上記の場合と同様に行われる。ただし、今回は、データ計測手段100が図11の1102に示す車両情報及び環境情報を計測し(ステップS2)、特徴量生成手段300が図12の特徴量1202を生成したものとする(ステップS4)。
【0088】
この結果、ステップS6において、判定器学習手段400が蓄積する特徴量の数(積算値)は「2」となり、閾値「2」以上になるため、ステップS7に処理を移す。ステップS7では、判定器学習手段400が、SVMを用いて分割平面を求める。具体的には、図12の特徴量1201の各データと特徴量1202の各データを個々にベクトル表現し、特徴空間に配置する。そして、ドライバの状態を2分する(ゆとり:1,通常:2)分割平面を求める。
【0089】
続くステップS8では、判定器記憶手段500が、ステップS7で求めた停止行動のドライバ状態を判定する分割平面を、図7の701に示すように(図7ではモデル1)記憶する。これにより、学習フェーズは終了する。
【0090】
次に、別の交差点で、ドライバの状態が不明な状態での停止行動に対し、ドライバ状態を判定する本実施形態の判定フェーズの処理について説明する。
【0091】
図10のステップS101は、データ計測手段100が、図13の1301に示す車両情報及び環境情報を計測したものとする。続くステップS102では、運転行動取得手段800が運転行動を取得する。ここでは、計測された図13の車両情報及び環境情報1301は、走行距離1100mでの停止位置の手前100mの走行距離1000mの位置では速度が30km/h以上であり、それ以降常に減速状態にあるので、図4の運転行動判定ルール401の停止行動に合致することから、運転行動取得手段800は、運転行動として「停止行動」を取得する。
【0092】
ここでは、図10のステップS103において、特徴量生成手段300が、図13に示した車両情報及び環境情報1301を用いて、走行時間、走行距離から、停止までの時間、停止までの距離という値を計算し、他の車両情報、環境情報及びドライバの状態と合わせ図13の1302に示す特徴量を生成する。
【0093】
続くステップS104では、ドライバ状態判定手段600が、停止行動に対して判定器記憶手段500が記憶している分割平面のパラメータである図7の701を取得し、分割平面を再構築する。続くステップS105では、ドライバ状態判定手段600が、ステップS104で取得した分割平面に対し、ステップS103で生成した図13に示す特徴量の各データ1302が、ゆとり状態、通常状態のいずれに分類されるか逐次判定する。ここでは、ドライバ状態は、図13の1303に示すように判定されたとものとする。つまり、図13に示すドライバ状態1303からゆとり状態が全部で10回、通常状態が3回という結果が得られる。
【0094】
続くステップS106では、ドライバ状態提示手段700が、ステップS105でドライバ状態判定手段600が判定した判定結果(図13のドライバ状態1303)を図9(A)又は(B)に示すようにドライバに提示する。この例は、メータがゆとり側にふれており、かつ、その割合が77%であることを示している。
【0095】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム10の効果について説明する。
【0096】
本実施形態のドライバ状態判定システム10では、運転行動に応じて特徴量を生成し、判定器を構築している。そのため、ドライバの運転全体で捉えるよりも精度良くドライバの状態と車両情報・環境情報の関係を学習でき、車両情報・環境情報に対してドライバ状態を判定するための判定器を構築できる。
【0097】
また、本実施形態のドライバ状態判定システム10では、運転行動毎に特徴量を生成し、判定処理を行っているため、精度良くドライバ状態を判定できる。更には、特徴量の各データ毎に判定しているため、判定器あるいは特徴量の誤差やノイズの影響を受けにくいという特長がある。
【0098】
(第2の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第2の実施形態について説明する。図14は、本発明になるドライバ状態判定システムの第2の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図14に示す本実施形態のドライバ状態判定システム20は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、ドライバ状態判定手段600とドライバ状態提示手段700との間に判定結果蓄積手段900が追加されている点で異なる。
【0099】
第1の実施形態のドライバ状態判定システム10では、ドライバ状態判定手段600が判定した結果をそのままドライバ状態提示手段700が提示していた。ここで、実際の運転環境を考えると、ドライバは同じ状態で走行していても、外的な要因のために一時的に状態を乱される場合がある。例えば、突然割り込みされたり、歩行者が飛び出してきた場合、一時的にドライバの状態が変化してしまう。その結果、例えば「ゆとり」状態を維持していたとしても、一時的な事象のために「危険」状態と判定してしまう。
【0100】
更に第1の実施形態のドライバ状態判定システム10では、運転行動取得手段800が次の運転行動を取得するまでは、ドライバの状態が変わらないため、以後「ゆとり」状態であっても、ドライバ状態提示手段700により「危険」状態と表示され続けることで、ドライバにとって納得性が低い情報提示になってしまう。
【0101】
そこで、本実施形態の判定結果蓄積手段900は、過去の判定結果を記憶しておき、その過去の判定結果を現在の判定結果と比較して得た比較結果に基づいて、提示すべき判定状態を決定する。判定結果蓄積手段900は、運転行動取得手段800が取得した運転行動と、それに対する判定結果との組を記憶すると共に、記憶している過去の運転行動と判定結果との組と、ドライバ状態判定手段600からの現在の判定結果とから、現在の判定結果が適切かどうかを判定し(状態遷移の有無を判定し)、適切であればそのまま、そうでなければ現在の判定結果を修正し、ドライバ状態提示手段700に送信する。
【0102】
図15は、判定結果蓄積手段900が蓄積する運転行動と判定結果との組の各例を示す。判定結果蓄積手段900は、同じ運転行動において2回以上連続して同じ状態が判定された場合に、状態が遷移したと判定する場合について説明する。
【0103】
ここで、ドライバ状態判定手段600は、過去に3回停止行動でゆとり状態と判定し、1回発進行動でゆとり状態と判定したものとすると、判定結果蓄積手段900は、それぞれの運転行動と判定結果とを対応付けて図15に1501で示すデータを蓄積している。
【0104】
この状態において、次にドライバ状態判定手段600が停止行動に対して通常状態と判定した場合について説明する。ここで、過去に3回停止行動で連続してゆとり状態と判定されているため、今回の判定は間違い、あるいは何らかの外乱によるものであると考える。
【0105】
そして、判定結果蓄積手段900は、図15に1502で示すように、今回の停止行動と通常状態という組を追加記憶するが、上記のように今回の判定は間違い、あるいは何らかの外乱によるものであると判断して、ドライバ状態提示手段700には、ゆとり状態を送信する。
【0106】
もし、次の判定においても、ドライバ状態判定手段600が、ドライバ状態が通常状態であると判定した場合は、判定結果蓄積手段900は、図15に1503で示すように、今回も停止行動と通常状態という組を追加記憶するが、2回ゆとり状態が連続するので、今度はドライバ状態がゆとり状態から通常状態に遷移したと判断し、ドライバ状態提示手段700には、通常状態を送信する。
【0107】
このように、本実施形態では、ドライバの状態が間違いかどうかを判定する指標として、同じ運転行動とドライバ状態の組が連続して判定される回数を用いているが、ドライバ状態の連続性を判定する他の指標として、環境情報も用いてもよい。この場合は、例えば、2つの判定結果に関連する特徴量の環境情報同士の相関係数やベクトル間のコサイン値を用いるcos類似度によって環境情報の類似度を求め、類似する環境情報で、運転行動とドライバ状態の組が連続して判定されている場合は、次に違うドライバ状態が判定されても、ドライバ状態は遷移していないものとする。
【0108】
また、本実施形態では、判定結果蓄積手段900は、修正した判定結果のみをドライバ状態提示手段700に送信したが、修正前の判定結果も送信してもよい。この場合は、ドライバ状態提示手段700は、図17に1702で示すように、ゆとり状態と通常状態とを比較しながら両結果を提示したり、図17に1703で示すように、判定不能、あるいは判定が困難であることを示す文字を提示してもよい。あるいは、ドライバ判定状態提示手段700が、「もしかして“ゆとり”がなくなりました?」や「“ゆとり”が少なくなってきました」のように、状態が変化しつつある可能性があることを提示することも考えられる。
【0109】
次に、図14に示した本実施形態のドライバ状態判定システム20の動作について、図16のフローチャートを参照して説明する。図16に示すフローチャートでは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」と、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」を示す。
【0110】
本実施形態のドライバ状態判定システム20は、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と同様に動作するが、状態判定手段600が判定した結果を記憶し、判定結果が正しいかどうかを判定し、間違えている場合は判定結果を修正する点で、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と動作が異なる。
【0111】
図16の学習フェーズを示すステップS1〜ステップS8と、判定フェーズ中のステップS101からステップS105の動作は第1の実施形態と同じであるため、図10と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0112】
図16において、ステップS105に続くステップS201において、判定結果蓄積手段900は、運転行動取得手段800が取得した運転行動と、ドライバ状態判定手段600が判定器記憶手段500からの判定器を用いて、特徴量生成手段300が生成した特徴量に対するドライバ状態をステップS105で判定して得たドライバ状態とを取得し、それらの組を判定結果として蓄積する。
【0113】
続いて、判定結果蓄積手段900は、既に蓄積している過去の判定結果と、この度新たに蓄積する現在の判定結果とを比較し、現在の判定結果が誤判定かどうかを判定する(ステップS202)。判定結果蓄積手段900は、現在の判定結果が過去の判定結果と予め定めた回数(例えば、2回)連続して同じであれば、誤判定でないと判断して、その現在の判定結果をドライバ状態提示手段700に供給して、その判定結果を提示させる(ステップS106)。
【0114】
一方、判定結果蓄積手段900は、現在の判定結果が過去の判定結果と上記の予め定めた回数連続して同じでないときは、誤判定であると判断して、その現在の判定結果を修正する(ステップS203)。その修正方法は、例えば前述したように、現在の判定結果に対して上記の予め定めた回数前の過去の判定結果を採用する方法である。ドライバ状態提示手段700は、判定結果蓄積手段900から上記の修正結果を受けて修正した判定結果を提示する(ステップS106)。
【0115】
次に、第2の実施形態のドライバ状態判定システム20の動作を、具体例を用いつつ更に詳細に説明する。
【0116】
本実施の形態では図16のステップS105において、ドライバ状態判定手段600が停止行動に対しドライバ状態が「通常状態」であると判定した場合について説明する。更には、図15に示すように、過去に4回ドライバ状態を判定しており、停止行動において3回ゆとり状態と判定し、発進行動において1回ゆとり状態と判定していたものとする。
【0117】
図16のステップS201では、判定結果蓄積手段900は、図15に1501で示すように過去に蓄積された判定結果に加えて、ステップS105で判定した現在の判定結果を図15に1502で示すように蓄積する。続く図16のステップS202では、判定結果蓄積手段900は、過去の判定結果1501と現在の判定結果1502とを比較し、ステップS105で判定した判定結果が正しいかどうか判定する。
【0118】
本実施の形態では、同じ運転行動において2回以上連続して同じ状態が判定された場合に、状態が遷移したと判定するものとすると、判定結果蓄積手段900は、ステップS105で判定した判定結果1502の「停止行動,通常状態」は誤りであると判定する。そのため、図16のステップS203において、判定結果蓄積手段900は、判定結果を「通常状態」から「ゆとり状態」に修正する。
【0119】
図16のステップS106では、図16のステップS203で修正された判定結果を判定結果蓄積手段900から供給されたドライバ状態提示手段700が、例えば図17に1701で示すように提示する。
【0120】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム20の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム20では、過去の判定結果を用いて、現在の判定結果が外乱により誤ったかどうか判定しているため、環境や周辺車両等の影響による一時的な判定結果の変化を吸収でき、安定してドライバ状態を判定できる。
【0121】
(第3の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第3の実施形態について説明する。図18は、本発明になるドライバ状態判定システムの第3の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図18に示す本実施形態のドライバ状態判定システム30は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、運転行動取得手段800とドライバ状態判定手段600との間に重要度記憶手段1000が追加されている点で異なる。
【0122】
第1の実施形態のドライバ状態判定システム10では、ドライバ状態判定手段600は、特徴量生成手段300が生成した特徴量の各データに対するドライバ状態を逐次判定していた。
【0123】
しかし、ドライバ状態の特徴は、運転行動中に一様に現れないと考えられる。例えば、停止行動においては、停止行動開始を表すアクセルを外すタイミングや、ブレーキを踏み始めるタイミングにドライバ状態の特徴が現れると考えられる。一方で、停止間際では、どのようなドライバ状態であっても似たような車両操作を行うと考えられる。
【0124】
そこで、本実施形態のドライバ状態判定システム30は、特徴量の各データに対するドライバ状態を逐次判定する際に、運転行動に応じて各データの判定結果に重み付けを行い、ドライバ状態をより正確に判定しようとするものである。
【0125】
重要度記憶手段1000は、運転行動と、その運転行動に対応した重み付けルールとを対応付けて記憶する。図19は、運転行動に対応した重み付けルールの例を示す。図19に示す重み付けルールでは、例えば、停止行動において、停止まで50〜100mの特徴量の判定結果に対しては2.0の重み付けを行い、停止まで0〜50mの特徴量の判定結果に対しては1.0の重み付けを行う。
【0126】
具体的には、特徴量の停止まで50〜100mの範囲にあるドライバ状態のデータが「ゆとり状態」と判定された場合、1データあたり2データ「ゆとり状態」と判定されたものと同等に扱う。一方、停止まで0〜50mの範囲にあるドライバ状態のデータについては、重み付けは1.0とするため、第1の実施形態と同様、各データの判定結果をそのまま利用する。
【0127】
ドライバ状態判定手段600は、重要度記憶手段1000が選択した重み付けルールに従い、特徴量生成手段300が生成した特徴量に対してドライバ状態を判定する。
【0128】
ここで、図20の停止行動における特徴量を用いてドライバ状態判定手段600によるドライバ状態の判定処理を説明する。図20に示す特徴量2001に対して、ドライバ状態判定手段600は、第1の実施形態と同様にドライバ状態を判定し、その判定結果が図20に示すドライバ状態(暫定)2002であるとする。
【0129】
ここで、ドライバ状態判定手段600は、図19に示した重み付けルールから、図20に2003で示す重み付けを取得する。そして、ドライバ状態判定手段600は、図20に示すドライバ状態(暫定)2002と重み付け2003とから、ゆとり状態、通常状態のドライバ状態の判定結果を図20に2004で示すように求める。例えば、通常状態の場合、図20に示すように重み付けが2のデータが1つ、重み付けが1のデータが2つであるため、通常状態は4(=2+1+1)とする。また、ゆとり状態の場合、図20に示すように重み付けが2のデータが6つ、重み付けが1のデータが4つであるため、ゆとり状態は16(=2×6+1×4)とする。
【0130】
なお、本実施形態では、重み付けルールを停止まで、あるいは発進からの距離区間で指定したが、他のパラメータ(例えば、時間や特定の環境情報)を含めた関数で指定してもよい。
【0131】
次に、図18に示す第3の実施形態のドライバ状態判定システム30の動作を、図21のフローチャートを参照して説明する。図21に示すフローチャートでは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」と、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」を示す。
【0132】
本実施形態のドライバ状態判定システム30は、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と同様に動作するが、ドライバ状態判定手段600が、重要度記憶手段1000が記憶している重み付けルールに基づいて、特徴量生成手段300が生成した特徴量の判定結果に重み付けを行う点で、第1の実施形態と異なる。
【0133】
図21の学習フェーズを示すステップS1〜ステップS8と、判定フェーズ中のステップS101からステップS105の動作は第1の実施形態と同じであるため、図10と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
図21において、ステップS105に続くステップS301において、図18のドライバ状態判定手段600は、重要度記憶手段1000が記憶している重み付けルールの中から、特徴量生成手段300が生成した特徴量の運転行動に対応する重み付けルールを取得する。
【0135】
続いて、ドライバ状態判定手段600は、ステップS105で判定したドライバ状態に対して、ステップS301で取得した重み付けルールを適用し、判定結果に重み付けを行う。その際、ドライバ状態判定手段600は、ステップS301で取得した重み付けルールに従って、判定結果に重み付けを行う(ステップS302)。
【0136】
次に、第3の実施形態のドライバ状態判定システム30の動作を、具体例を用いつつ更に詳細に説明する。
【0137】
本実施形態では、停止行動における図20に示す特徴量2001に対して、図21のステップS105で、図20に示すドライバ状態2002のように判定されたとものとする。また、重要度記憶手段1000が、図19に示す重み付けルールを記憶しているものとする。
【0138】
図21のステップS301で、図18に示すドライバ状態判定手段600は、停止行動に対する重み付けルールとして「停止まで50〜100mは、2.0,停止まで0〜50mは1.0」を取得する。つまり、停止まで50〜100m区間では、1回の判定結果について2回判定されたものとカウントし、一方停止まで0〜50m区間では、1回の判定結果について1回判定されたものとしてカウントする。
【0139】
続いて、図21のステップS302で、ドライバ状態判定手段600は、上記の重み付けルールに基づいて判定結果を求める。具体的には図20の2004のように求め、ドライバ状態として「ゆとり状態16,通常状態4」を求める。
【0140】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム30の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム30では、運転行動において、ドライバの状態が最も現れやすい時間や距離などに重み付けを行い、ドライバ状態を判定するため、運転行動に対して、精度良くドライバ状態を判定できる。
【0141】
(第4の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第4の実施形態について説明する。図22は、本発明になるドライバ状態判定システムの第4の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図22に示す本実施形態のドライバ状態判定システム40は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、運転行動取得手段800とドライバ状態判定手段600との間に判定信頼度設定手段1100が追加されている点で異なる。
【0142】
第1の実施形態のドライバ状態判定システム10では、運転行動を検出すると必ずドライバ状態の判定処理を行っていた。しかし、自動車の周辺の状況によっては、ドライバ状態の特徴が現れない可能性があると考えられる。例えば、ゆとり運転の場合、晴れた日の広い道路での運転よりも、雨の日の狭い道路での運転のほうがドライバの特徴がでにくいと考えられる。つまり、周辺の状況によっては判定結果の信頼度が低い場合があり得る。ここで、「周辺の状況」とは、環境情報として得られる天候や道路の種類などを示す。
【0143】
そこで、本実施形態のドライバ状態判定システム40は、周辺の状況に応じて判定結果に信頼度を付与し、判定結果の利用可否を決定したり、提示方法、利用方法を変更したりするものである。
【0144】
図22において、判定信頼度設定手段1100は、データ計測手段100が計測した環境情報に対して、判定信頼度を設定する。また、判定信頼度設定手段1100は、データ計測手段100が計測した環境情報に対して判定信頼度を決定するための信頼度設定ルールを保持している。
【0145】
図23は、判定信頼度設定手段1100が保持する上記の信頼度設定ルールの例を示す。図23に示すように、信頼度設定ルールは、周辺状況として、天候が晴れ、道幅が広い道路を走っている場合には、判定信頼度を1.0とする。また、信頼度設定ルールは、天候が晴れ、道幅が狭い道路を走っている場合には、判定信頼度を0.7とし、天候が雨、道幅が広い道路を走っている場合には判定信頼度を0.6と、天候が雨、道幅が狭い道路を走っている場合には判定信頼度を0.3とする。このように、信頼度設定ルールは、信頼度を周囲状況に応じた運転のし易さに対応した値に設定するルールである。
【0146】
従って、図22に示すデータ計測手段100が環境情報として、例えば「天候が雨,道幅が狭い」を計測した場合は、判定信頼度設定手段1100はこの計測環境情報を受け、図23に示した信頼度設定ルールに従い、「0.3」の値の判定信頼度をドライバ状態判定手段600に供給する。
【0147】
図22に示すドライバ状態判定手段600は、判定信頼度の値に応じて、判定方法を変更する。例えば、判定信頼度が閾値以下であれば、判定処理を行わず、「判定不可能」である旨をドライバ状態提示手段700に供給する。あるいは、ドライバ状態判定手段600は、第1の実施形態と同様に、判定器記憶手段500が選択した判定器を用いて、特徴量生成手段300が抽出した特徴量に対するドライバ状態を判定し、判定結果に判定信頼度を乗じた値を判定結果として、ドライバ状態提示手段700に供給する。あるいは、ドライバ状態判定手段600は、判定結果と判定信頼度との組をドライバ状態提示手段700に供給する。
【0148】
なお、本実施形態では、判定信頼度を1つの値で表したが、特徴量の各データ毎に判定信頼度を取得してもよい。この場合は、特徴量の各データに判定信頼度を取得することで、一部環境情報が異なるデータがある場合などでも、詳細に判定信頼度を付与できる。
【0149】
次に、図22に示す本実施形態のドライバ状態判定システム40の動作を、図24のフローチャートを参照して説明する。図24に示すフローチャートでは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」と、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」を示す。
【0150】
本実施形態のドライバ状態判定システム40は、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と同様に動作するが、判定信頼度設定手段1100が判定信頼度を設定し、ドライバ状態判定手段600が、判定信頼度設定手段1100が設定した判定信頼度を用いてドライバ状態を判定する点で、第1の実施形態と異なる。
【0151】
図24の学習フェーズを示すステップS1〜ステップS8と、判定フェーズ中のステップS101からステップS104の動作は第1の実施形態と同じであるため、図10と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
図24において、ステップS104に続くステップS401では、判定信頼度設定手段1100は、データ計測手段100が計測した環境情報に対し、信頼度設定ルールを用いて、判定信頼度を設定する。
【0153】
続いて、図22に示すドライバ状態判定手段600は、判定信頼度の値に応じて、判定方法を変更して、ドライバ状態を判定する(ステップS402)。例えば、図22に示すドライバ状態判定手段600は、判定信頼度設定手段1100からの判定信頼度が閾値以下であれば、判定処理を行わず、「判定不可能」である旨の情報をドライバ状態提示手段700に供給する。あるいは、図22に示すドライバ状態判定手段600は、第1の実施形態と同様に、判定器記憶手段500が選択した判定器を用いて、特徴量生成手段300が抽出した特徴量に対するドライバ状態を判定し、判定結果に判定信頼度を乗じた値を判定結果として、ドライバ状態提示手段700に供給してもよい。
【0154】
図22に示すドライバ状態提示手段700は、ドライバ状態判定手段600から上記のドライバ状態の判定情報を受けてそれを提示する(図24のステップS106)。
【0155】
次に、第4の実施形態のドライバ状態判定システム40の動作を、具体例を用いつつ更に詳細に説明する。
【0156】
ここでは、一例として判定信頼度設定手段1100が図25に示す信頼度設定ルール2505を保持しているものとする。また、特徴量生成手段300が、図25に示す特徴量2501を生成したものとする。
【0157】
この場合、図24のステップS401では、判定信頼度設定手段1100が、データ計測手段100が計測した環境情報に対し、図25に示した信頼度設定ルール2505を用いて、判定信頼度を設定する。
【0158】
続いて、図24のステップS402では、図22に示すドライバ状態判定手段600は、判定信頼度設定手段1100により設定された図25に示す判定信頼度2505を入力として受け、図25に示すように特徴量の各データ2501に信頼度2503を付与する。図25に示す特徴量の各データ2501は「晴れ,一般道」であるため、図25に示すように、判定信頼度2505に基づき付与される信頼度2503は「0.7」となる。
【0159】
更に、上記のステップS402では、図22に示すドライバ状態判定手段600は、第1の実施形態と同様に、判定器記憶手段500が選択した判定器を用いて、特徴量生成手段300が抽出した特徴量に対するドライバ状態を判定する。これにより得られる判定結果は、図25にドライバ状態(暫定)2502として示される。
【0160】
更に、上記のステップS402では、図22に示すドライバ状態判定手段600は、ドライバ状態(暫定)2502のゆとり状態、通常状態の数をそれぞれカウントし、そのカウント値に信頼度2503を乗じた値を算出し、図25に2504で示すドライバ状態を得る。ここでは、図25に示すように、ゆとり状態の数「10」に信頼度2503の値「0.7」を乗じた値「7」と、通常状態の数「3」に信頼度2503の値「0.7」を乗じた値「2.1」とをドライバ状態2504とする。そして、図22に示すドライバ状態判定手段600は、算出したドライバ状態2504をドライバ状態提示手段700に供給する。
【0161】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム40の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム40では、ドライバ状態の判定結果に信頼度を付与することにより、判定が困難であったり、判定精度があまり高くないことを示すことができる。そのため、本実施形態のドライバ状態判定システム40では、ドライバに誤ったドライバ状態を示す割合が下がり、信頼度の低い誤判定結果であれば、ドライバは間違いを納得できたりするなど、ドライバのドライバ状態判定結果に対する信頼性が向上する。
【0162】
(第5の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第5の実施形態について説明する。図26は、本発明になるドライバ状態判定システムの第5の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図26に示す本実施形態のドライバ状態判定システム50は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、判定器類似度計算手段1200と判定器統合手段1300とが追加されている点で異なる。
【0163】
また、本実施形態では、このドライバ状態判定システム50を複数のドライバが利用するものとし、判定器記憶手段500はドライバと運転行動に関連付けて複数の判定器を保持する。更に、本実施形態では、判定器記憶手段500は、複数の判定器とそれぞれ関連付けて、判定器を構築するのに用いた特徴量も記憶するものとする。
【0164】
図28は、本実施形態における判定器記憶手段500が記憶する判定器等を示す。図28の2802に示すように、例えば、ドライバXの停止行動の判定器はA、右折行動の判定器はCである。また、ドライバYの停止行動の判定器はBである。
【0165】
しかし、ドライバ状態判定システム50を車載器に搭載した場合を考えると、記憶容量に制限があり、多くの判定器を保持することは困難である。例えば、図28の2802に示すドライバと運転行動に対応した判定器の場合、判定器記憶手段500は、同じ停止行動に対して複数のドライバX及びYの判定器A及びBを記憶している。
【0166】
そこで、本実施形態では、後述するように、判定器記憶手段500が記憶している判定器のうち、類似する判定器を探し、それらを統合することで、使用する記憶容量を削減する。具体的には、判定器類似度計算手段1200が、判定器同士の類似度を求め、判定器統合手段1300が類似度に基づいて、判定器同士を統合する。
【0167】
判定器類似度計算手段1200は、判定器記憶手段500が記憶する任意の判定器を2つ選択し、一方の判定器を用いて、他方の判定器の構築に使用した特徴量を再判定し、判定結果が正しいか判定する。同様に、もう一方の組み合わせでも再判定を行い、両判定正解率の積を類似度とする。
【0168】
この類似度の計算方法について図27と共に更に詳細に説明する。図26に示す判定器記憶手段500が記憶しているドライバX、Yの停止行動に関する判定器A、Bについて、それぞれの判定器を構築するために特徴量A−1からA−5、特徴量B−1からB−5(図27の2701、2702)が用いられたものとする。ただし、判定器を構築するのに使用した特徴量は、判定器に関する情報として判定器記憶手段500が記憶しているものとする。
【0169】
ここで、判定器Bを用いて上記の特徴量A−1〜A−5のドライバ状態を判定して図27に2703で示す判定結果を得、判定器Aを用いて上記の特徴量B−1〜B−5のドライバ状態を判定して図27に2704に示す判定結果を得たものとする。判定結果2703及び2704それぞれの正解率は、図27に示すようにいずれも4/5であるので、類似度は0.64(=(4/5)・(4/5)=16/25)と算出される。
【0170】
判定器統合手段1300は、判定器類似度計算手段1200が計算した類似度に基づいて、判定器の統合処理を行う。例えば、類似度が閾値以上の判定器組の一方の名称をもう一方に変更し、名称を変更した判定器を削除する。
【0171】
この判定器の統合処理について、図28を用いて具体的に説明する。図28の2801が判定器類似度計算手段1200が計算した類似度であるとする。ここでは、判定器Aと判定器Bとの間の類似度が「0.9」、判定器Aと判定器Cとの間の類似度が「0.2」、判定器Bと判定器Cとの間の類似度が「0.5」である。ここで、類似度統合手段1300が、閾値「0.8」以上の類似度をもつ判定器組みを統合するものとすると、類似度統合手段1300は、類似度計算結果2801に基づき、判定器Bを削除し、判定器Aに統合する。この結果、図28の2802に示すドライバと運転行動に対する判定器は、判定器Bが判定器Aに変更される。
【0172】
なお、本実施形態では、判定器の類似度に、判定器を学習する際に用いた特徴量を他の判定器を用いて判定した判定結果の正解率を用いたが、他の値を用いてもよい。例えば、SVMを用いた判定器であれば、2つの判定器のサポートベクタ同士のcos類似度や、分割平面の近さを用いて類似度を求めることも考えられる。
【0173】
また、本実施形態では、類似する判定器のうち一方を削除することで判定器を統合したが、他の方法を用いてもよい。例えば、それぞれの判定器を構築するのに用いた特徴量をすべて用いて再度判定器を構築し直し、両判定器を置き換えることも考えられる。
【0174】
また、類似度を計算し、統合処理を行う対象として、異なるドライバ間、同じ運転行動に関する判定器とは限らず、同じドライバ間や、異なる運転行動に関する判定器に対して行うことも考えられる。
【0175】
次に、図26に示す本実施形態のドライバ状態判定システム50の要部の動作を、図29のフローチャートを参照して説明する。図29に示すフローチャートは、前記した判定器の学習フェーズ及び判定フェーズとは別に動作する統合フェーズのフローチャートを示す。
【0176】
図26において、類似度計算手段1200は、判定器記憶手段500が記憶している判定器を2つ取得する(ステップS501)。続いて、類似度計算手段1200は、ステップS501で取得した2つの判定器同士の類似度を求める(ステップS502)。続いて、類似度計算手段1200が、判定器記憶手段500が記憶している判定器のすべての組み合わせについて類似度を求めたかどうか判定する(ステップS503)。判定器のすべての組み合わせについて類似度を求めていない場合は、ステップS501に戻る。このようにして、判定器記憶手段500が記憶している判定器のすべての組み合わせについて類似度を求めるまで、ステップS501〜S503の処理を繰り返す。
【0177】
ステップS503で類似度計算手段1200が、判定器記憶手段500が記憶している判定器のすべての組み合わせについて類似度を求めたと判定された場合は、判定器統合手段1300は、ステップS503までに類似度計算手段1200が求めた判定器同士の類似度を用いて、統合対象となる判定器を選択する(ステップS504)。
【0178】
ステップS504では、例えば、類似度順にソートし、上位から予め決まった件数、あるいは割合の判定器を統合対象となる判定器として選択する。あるいは、予め決められた閾値以上の類似度を持つ判定器組を選択する。あるいは、類似度の分布から、平均値あるいは中央値などの統計的指標をもとに閾値を決定し、閾値以上、あるいは以下の類似度を持つ判定器組を選択する。
【0179】
そして、判定器統合手段1300は、ステップS504で選択した判定器組を統合し、判定器記憶手段500に記憶している運転行動と判定器に関する項目を修正する(ステップS505)。
【0180】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム50の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム50では、類似する判定器を検索し、類似する判定器を統合するようにしているため、判定器を記憶するための記憶手段500の記憶容量を節約できる。また、本実施形態のドライバ状態判定システム50では、サーバで大量のドライバの判定器を記憶したり、車載器のように記憶容量に制限のある端末で複数のドライバ、運転行動に対する判定器を記憶したりすることが可能になる。
【0181】
(第6の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第6の実施形態について説明する。図30は、本発明になるドライバ状態判定システムの第6の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図30に示す本実施形態のドライバ状態判定システム60は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、ドライバ情報記憶手段1400と類似ドライバ検索手段1500と判定器複製手段1600とが追加されている点で異なる。
【0182】
本実施形態のドライバ状態判定システム60は、ドライバ同士の類似度を求め、類似するドライバのうち、一方の判定器が判定器記憶手段500にない場合は、もう一方のドライバの判定器を複製し、判定器記憶手段500に登録するようにしたものである。
【0183】
図30において、ドライバ情報記憶手段1400は、ドライバ情報を記憶する。図31の3101は、ドライバ情報記憶手段1400が記憶するドライバ情報の例を示す。図31に示すドライバ情報3101は、各ドライバの性別、年齢、運転歴、住所、平均運転速度などから構成されている。例えば、ドライバXは、女性であり、年齢40歳、運転歴20年、住所は緯度35.0度、経度135.0度、平均運転速度は40km/hであることを示す。また、ドライバYは、男性であり、年齢50歳、運転歴20年、住所は緯度35.1度、経度135.1度、平均運転速度は55km/hであることを示す。更に、ドライバZは、男性であり、年齢30歳、運転歴5年、住所は緯度34.0度、経度134.0度、平均運転速度は35km/hであることを示す。
【0184】
類似ドライバ検索手段1500は、ドライバ情報記憶手段1400が記憶しているドライバ情報3101の中から、本実施形態を現在利用しているドライバのドライバ情報に類似するドライバ情報を検索する。例えば、ドライバ情報をベクトルで記述し、ドライバ情報時間のcos類似度や相関係数を用いて類似度を測る。そして、類似度が最も高いドライバを選択する。
【0185】
一例として、図31のドライバ情報3101のドライバXとドライバYとの間の類似度(cos類似度)を求めると、0.994(=(0×1+40×50+20×20+35.0×35.1+135.0×135.1+40×55)/sqrt(0×0+40×40+20×20+35.0×35.0+135.0×135.0+40×40)/sqrt(1×1+50×50+20×20+35.1×35.1+135.1×135.1+55×55))である。同様に、図31の3102に示すように、ドライバYとドライZとの間の類似度は0.982、ドライバZとドライバXとの間の類似度は0.993のように求まる。
【0186】
なお、上記の説明ではベクトル同士の類似度を用いたが他の類似度の計算方法も考えられる。例えば、ベクトルの各項目を正規化してからcos類似度や相関係数を求めたり、ベクトル同士の各項目を正規化してからcos類似度や相関係数を求めたり、ベクトル同士のユークリッド距離を類似度とする場合なども考えられる。更には、システム運用者が選択した任意の項目から構成されるベクトルを用いて類似度計算をすることも考えられる。
【0187】
図30の判定器複製手段1600は、判定器記憶手段500が記憶している類似ドライバそれぞれの判定器を調べ、同じ運転行動に対して判定器が存在するか調べる。例えば、判定器記憶手段500が、図31に3103で示すように、判定器をドライバと運転行動と対応付けて記憶しているものとする。
【0188】
ここで、類似ドライバ検索手段1500が、ドライバXとYが類似ドライバとして検出すると、ドライバX、Yそれぞれの運転行動−判定器のペアを調べる。図31に3103で示す記憶情報の場合、ドライバXについては停止行動と右折行動に関する判定器があるが、ドライバYについては停止行動に関する判定器しかない。そこで、判定器複製手段1600は、ドライバXの右折行動に関する判定器Cを複製し、それを図31に3104で示すように、ドライバYの右折行動に関する判定器として判定器記憶手段500に登録する。
【0189】
ただし、この場合、判定器Cをもう一つ作るのではなく、リレーショナルデータベースなどにおけるインデックスのみを共有するといった方法も考えられる。また、判定器学習手段400が判定器を構築するのに用いた特徴量の数を判定器と関連付けて判定器記憶手段500に記憶しておき、判定器複製手段1600が類似ドライバ間のある運転行動において、特徴量の数が十分大きいときに、判定器を複製するなどが考えられる(例えば、特徴量を多く使っている判定器を複製して、特徴量が少ない判定器を複製した判定器に置き換える。)。更には、判定器を構築した日時を判定器と関連付けて判定器記憶手段500に記憶しておき、判定器複製手段1600は、類似ドライバ間の任意の運転行動において、学習日時の差が十分大きいときに複製するなど考えられる(例えば、新しい判定器を複製して、古い判定器を複製した判定器に置き換える。)。
【0190】
次に、図30に示す本実施形態のドライバ状態判定システム60の要部の動作を、図32のフローチャートを参照して説明する。図32に示すフローチャートは、前記した判定器の学習フェーズ及び判定フェーズとは別に動作する複製フェーズのフローチャートを示す。
【0191】
図30において、類似ドライバ検索手段1500は、まず現在のドライバ名を取得する(ステップS601)。続いて、類似ドライバ検索手段1500は、ドライバ情報記憶手段1400が記憶するドライバ情報を用いて、ステップS601で取得したドライバと他のドライバとの類似度を前述した方法で求める(ステップS602)。続いて、類似ドライバ検索手段1500は、ステップS601で取得したドライバとドライバ情報記憶手段1400が記憶する他のすべてのドライバとの間の類似度を求めたかを判定し(ステップS603)、他のすべてのドライバとの間の類似度を求めるまでステップS602及びS603を繰り返す。
【0192】
類似ドライバ検索手段1500は、ステップS601で取得したドライバと他のすべてのドライバとの間の類似度を求めた場合は、ステップS602で求めた類似度のうち、最も高い類似度をもつドライバを選択する(ステップS604)。続いて、判定器複製手段1600は、ステップS601で選択したドライバの判定器と、ステップS604で選択した最も高い類似度をもつドライバの判定器とを判定器記憶手段500から検索し、それぞれ同じ運転行動−判定器のペアを記憶しているか調べる(ステップS605)。
【0193】
もし、ある運転行動−判定器のペアが一方のドライバにあるが、他方のドライバにない場合は、判定器複製手段1600は、ステップS605で不足が確認された運転行動−判定器ペアを複製し、それを他方のドライバの運転行動−判定器ペアとして判定器記憶手段500に追加登録する(ステップS606)。なお、ステップS605で選択したドライバとの間で運転行動−判定器のペアの不足がないと判定された場合は、判定器複製手段1600は、複製を行うことなく処理を終了する。
【0194】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム60の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム60では、類似するドライバ同士で、一方のドライバではまだ学習していない判定器を、他方のドライバから流用することができる。そのため、ドライバ状態判定システム60を使用し始めたばかりでまだ判定器を構築できていない、あるいは特徴量が少なく、精度の良い判定器を構築できていないドライバに対し、既に学習してある判定器を提供でき、当該ドライバに対して精度の良いドライバ状態の判定ができる。
【0195】
(第7の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第7の実施形態について説明する。図34は、本発明になるドライバ状態判定システムの第7の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図34に示す本実施形態のドライバ状態判定システム70は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、判定器取得手段1700と判定器転送手段1800とが追加されている点で異なる。
【0196】
図34において、判定器取得手段1700は、他のドライバ状態判定システムの判定器、あるいはシステムの管理者が作成した判定器を取得する。例えば、他のドライバ状態判定システムに、インターネットを経由して接続し、各システムの判定器記憶手段500が記憶している判定器をダウンロードする。その際、各判定器記憶手段は図7の701〜703に示したように、判定器と運転行動やドライバ状態、ドライバなどと関連付けて記憶しているため、それら判定器に関連付いた情報を同時に収集する。
【0197】
また、図34の判定器転送手段1800は、判定器取得手段1700が取得した判定器及び関連情報を判定器記憶手段500に転送する。このときすべてを転送してもよいし、一部を選択的に転送してもよい。例えば、ドライバに転送候補となる判定器及び関連情報の一覧を提示、選択させ、選択された判定器及び関連情報のみ転送する。あるいは、作成日時の新しい判定器及び関連情報の上位数件のみ転送するようにしてもよい。
【0198】
次に、図34に示す本実施形態のドライバ状態判定システム70の要部の動作を、図35のフローチャートを参照して説明する。図35に示すフローチャートは、前記した判定器の学習フェーズ及び判定フェーズとは別に動作する複製フェーズのフローチャートを示す。
【0199】
図34において、判定器取得手段1700は、他のドライバ状態判定システムの判定器や管理者が作成した判定器を取得する(ステップS701)。その際、判定器に関連付いた情報も同時に収集する。次に、判定器転送手段1800は、ステップS701で取得された判定器及び関連情報を判定器取得手段1700から受け、それを判定器記憶手段500に転送する(ステップS702)。その際、取得されたすべての判定器及び関連情報を転送してもよいし、選択的に転送してもよい。
【0200】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム70の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム70は、他のドライバの判定器を流用したり、システムの管理者が作成した判定器を利用できる。そのため、ドライバ状態判定システム70を使用し始めたばかりでまだ判定器を構築できていない、あるいは特徴量が少なく、精度の良い判定器を構築できていないドライバに対し、既に学習してある判定器を提供できたり、システム運用者によりリファインされた判定器を利用することで、精度の良い判定を行える。
【0201】
(第8の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第8の実施形態について説明する。図36は、本発明になるドライバ状態判定システムの第8の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図36に示す本実施形態のドライバ状態判定システム80は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、判定器記憶手段500とドライバ状態判定手段600との間に判定器選択手段1900が追加されている点で異なる。
【0202】
第1の実施形態のドライバ状態判定システム10ではドライバ状態判定手段600は、運転行動手段800が取得した運転行動に対応する判定器を用いて、ドライバ状態を判定した。これに対し、本実施形態のドライバ状態判定システム80のドライバ状態判定手段600は、ドライバが任意に選択した判定器を用いてドライバ状態を判定する。
【0203】
判定器選択手段1900は、判定器記憶手段500が記憶する判定器、運転行動及びドライバ状態などが関連付けられた情報を判定器記憶手段500から取得し、ドライバに判定器の選択を促す画面を表示する。そして、その画面から任意に判定器を選択すると、判定器選択手段1900は、その選択された判定器をドライバ状態判定手段600に供給する。
【0204】
図37は、ドライバに判定器の選択を促す画面の一例を示す。図37に示す画面は、停止行動においてゆとり・通常状態を判定するための判定器、停止行動においてゆとり・疲労状態を判定するための判定器、右折行動においてゆとり・通常状態を判定するための判定器などを選択できる画面を示す。この画面からドライバが例えば、停止行動−ゆとり・通常状態を判定するための判定器を選択すると、判定器選択手段1900は、ドライバ状態判定手段600に選択したその判定器を供給する。ドライバ状態判定手段600は、供給された判定器を用いて、第1の実施形態と同様にドライバ状態を判定する。
【0205】
なお、判定器の一覧を提示する際、現在の運転行動にのみ関連した判定器を提示したり、作成日時順、文字順などで提示したりする。
【0206】
次に、図36に示す第8の実施形態のドライバ状態判定システム80の動作を、図38のフローチャートを参照して説明する。図38に示すフローチャートでは、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」と、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」を示す。
【0207】
本実施形態のドライバ状態判定システム80は、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と同様に動作するが、判定器の一覧をドライバに提示し、ドライバが選択した判定器を用いてドライバ状態を判定する点で、第1の実施形態とは異なる。
【0208】
図38の学習フェーズを示すステップS1〜ステップS8と、判定フェーズ中のステップS101からステップS103、ステップS105〜S106の動作は第1の実施形態と同じであるため、図10と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0209】
図38において、ステップS103に続くステップS801において、図36に示す判定器選択手段1900が、判定器記憶手段500から記憶されている判定器、運転行動及び状態などを関連付けた情報を取得し、ドライバに判定器の一覧として提示する。これにより、ドライバは提示された判定器一覧の中から任意の一の判定器を選択すると(ステップS802)、判定器選択手段1900は、その選択された判定器をドライバ状態判定手段600に送信する(ステップS803)。そして、ドライバ状態判定手段600は、上記の選択された判定器を用いてドライバ状態を判定する(ステップS105)。
【0210】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム80の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム80では、ドライバが自ら判定器を選択し、ドライバ状態を判定できるため、ドライバが任意の状態を判定したり、他人のモデルで状態を判定するなど、現在保持している判定器の判定傾向を調べたり、興味ある状態の判定を行える。
【0211】
(第9の実施形態)
次に、本発明になるドライバ状態判定システムの第9の実施形態について説明する。図39は、本発明になるドライバ状態判定システムの第9の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図39に示す本実施形態のドライバ状態判定システム90は、図1に示した第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と比較すると、状態設定手段200と判定器学習手段400が除かれており、それにより特徴量生成手段330と判定器記憶手段530が第1の実施形態と異なる。
【0212】
判定器を構築し、判定器の追加削除を行わない場合や、外部から判定器を取得するだけの利用形態では、状態設定手段200及び判定器学習手段400は不要である。例えば、ドライバ状態判定システムを販売する際に、販売店側で判定器を構築し、ドライバには判定器の追加、削除をさせない場合には、判定器の構築処理は不要である。あるいは、判定器の構築機能を有さず、判定器をメモリカードなどの媒体で配布・入手する形態の場合も、判定器の構築処理は不要である。
【0213】
そこで、本実施形態のドライバ状態判定システム90は、図39のブロック図に示すように、図1の構成から状態設定手段200と判定器学習手段400とを削除した構成である。本実施形態のドライバ状態判定システム90は、第1の実施形態のドライバ状態判定システム10と同様に動作するが、判定器を学習しない点で、第1の実施形態とは異なる。
【0214】
図40は、本実施形態のドライバ状態判定システム90の動作説明用フローチャートを示す。同図中、図10と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態のドライバ状態判定システム90では、判定器を学習しないため、図40に示すように、ドライバ状態判定システム90は図40のフローチャートに示すように、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する「学習フェーズ」は存在せず、構築した判定器を用いてドライバ状態を判定する「判定フェーズ」のみからなる。
【0215】
本実施形態では、図40のステップS901で、図39の特徴量生成手段330は、データ計測手段100で計測された車両情報及び環境情報のみから、運転行動取得手段800で取得された運転行動に応じた特徴量生成方法によって特徴量を生成する。
【0216】
続いて、図40のステップS902で、図39の判定器記憶手段530は、例えば販売店側で構築された判定器、あるいはメモリカードなどの媒体からダウンロード(配布)された判定器を取得する。それ以外の動作は第1の実施形態のドライバ状態判定システム10の判定フェーズと同様である。
【0217】
次に、本実施形態のドライバ状態判定システム90の効果について説明する。本実施形態のドライバ状態判定システム90は、判定器の構築処理を有さないため、予め登録された判定器以外を利用できないようにしたり、許可された判定器のみしか利用できないようにするなど、システムの運用に合わせて判定器変更の制限をドライバに課すことができる。すなわち、本実施形態のドライバ状態判定システム90によれば、サービス提供者が検査し、適切な判定を行えることを確認した判定器を配布している場合に、判定器変更の制限を課すことで、故意にドライバにより判定器を変更されることによる判定器の性能低下を防ぐことができる。更に、本実施形態のドライバ状態判定システム90によれば、運転行動に対して適切なドライバ状態を付与せず学習するなど、不適切な学習による判定器の性能低下も防ぐことができる。
【0218】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1〜第9実施形態のドライバ状態判定システム10〜90の各動作を、一台の自動車内に設置されたコンピュータにより実行させるドライバ状態判定用プログラムも包含するものである。なお、上記のコンピュータには、各車から車両情報や環境情報が無線LANや携帯電話を通じて転送されるサーバや、各車で車両情報や環境情報から特徴量を生成するクライアントや、各車から特徴量が転送されるサーバも含まれる。
【0219】
図41は、クライアントとサーバとからなるドライバ状態判定システムの一実施形態のブロック図を示す。同図において、クライアントCL1は自車内に設置されており、データ計測手段150、状態設定手段250、特徴量生成手段350、ドライバ状態提示手段750及び運転行動取得手段850とから構成されている。ここで、データ計測手段150、状態設定手段250、特徴量生成手段350、ドライバ状態提示手段750及び運転行動取得手段850は、図1の実施形態のデータ計測手段100、状態設定手段200、特徴量生成手段300、ドライバ状態提示手段700及び運転行動取得手段800と構成及び動作が同じであるので、その説明は省略する。
【0220】
また、図41において、サーバSV1は判定器学習手段450、判定器記憶手段550及びドライバ状態判定手段650から構成される。ここで、判定器学習手段450、判定器記憶手段550及びドライバ状態判定手段650は、図1の判定器学習手段400、判定器記憶手段500及びドライバ状態判定手段600と構成及び動作が同じであるので、その説明は省略する。
【0221】
本実施形態では、自車内に設置されたクライアントCL1が車両情報を計測し、運転行動の判定及び特徴量生成を行い、特徴量をサーバSV1へ送信し、サーバSV1にて受信した特徴量に基づいてドライバ状態を判定する構成である。
【0222】
図42は、クライアントとサーバとからなるドライバ状態判定システムの他の実施形態のブロック図を示す。同図において、クライアントCL2は自車内に設置されており、データ計測手段150、状態設定手段250及びドライバ状態提示手段750から構成されている。ここで、データ計測手段150、状態設定手段250及びドライバ状態提示手段750は、図1のデータ計測手段100、状態設定手段200及びドライバ状態提示手段700と構成及び動作が同じであるので、その説明は省略する。
【0223】
また、図42において、サーバSV2は特徴量生成手段355、判定器学習手段450、判定器記憶手段550、ドライバ状態判定手段650及び運転行動取得手段855から構成される。ここで、特徴量生成手段355、判定器学習手段450、判定器記憶手段550、ドライバ状態判定手段650及び運転行動取得手段855は、図1の特徴量生成手段300、判定器学習手段400、判定器記憶手段500、ドライバ状態判定手段600及び運転行動取得手段800と構成及び動作が同じであるので、その説明は省略する。
【0224】
本実施形態では、自車内に設置されたクライアントCL2が車両情報を計測してサーバSV2へ送信し、サーバSV2がクライアントCL2からの車両情報に基づいて、運転行動の判定及び特徴量生成を行い、ドライバ状態を判定する構成である。
【0225】
なお、図41、図42では、図1のドライバ状態判定システム10の構成と同様の構成を示しているが、他の実施形態のドライバ状態判定システム20〜90の構成と同様の構成を図41、図42のサーバやクライアントに適用することができることは勿論である。
【0226】
また、本発明には、上記の実施形態のドライバ状態判定システム10〜90のいずれかが搭載され、ドライバ状態を常に判定し続け、判定したドライバ状態をドライバに提示する構成のドライバ状態表示装置付き自動車も含まれる。このドライバ状態表示装置付き自動車によれば、ドライバにゆとり状態であるか否かを提示することで、ドライバ自身の運転状態の把握を促し、よりゆとりを持った安全運転を心がけるように誘導することができる。
【産業上の利用可能性】
【0227】
本発明によれば、自動車などの車両を運転する運転行動を学習し、ドライバに適応したサービス、アプリケーションを提供するシステムといった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0228】
10、20、30、40、50、60、70、80、90 ドライバ状態判定システム
100、150 データ計測手段
200、250 状態設定手段
300、330、350、355 特徴量生成手段
400、450 判定器学習手段
500、530、550 判定器記憶手段
600、650 ドライバ状態判定手段
700、750 ドライバ状態提示手段
800、850、855 運転行動取得手段
900 判定結果蓄積手段
1000 重要度記憶手段
1100 判定信頼度設定手段
1200 判定器類似度計算手段
1300 判定器統合手段
1400 ドライバ情報記憶手段
1500 類似ドライバ検索手段
1600 判定器複製手段
1700 判定器取得手段
1800 判定器転送手段
1900 判定器選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得手段と、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、
前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動毎に、前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、
前記判定器学習手段が構築した前記判定器の中から、前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を有することを特徴とするドライバ状態判定システム。
【請求項2】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得手段と、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、
前記ドライバの生体的又は心理的な状態を設定する状態設定手段と、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動と前記状態設定手段により設定された前記状態とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する特徴量生成手段と、
前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動毎に、前記特徴量のデータを用いて前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、
前記判定器学習手段が構築した前記判定器の中から、前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記特徴量生成手段が生成した前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を有することを特徴とするドライバ状態判定システム。
【請求項3】
前記運転行動取得手段が取得した運転行動と、それに対する前記ドライバ状態判定手段の判定結果との組を記憶すると共に、記憶している過去の前記運転行動と判定結果との組と、前記ドライバ状態判定手段からの現在の判定結果とから、前記現在の判定結果が適切となるように修正する判定結果蓄積手段を更に有することを特徴する請求項1又は2記載のドライバ状態判定システム。
【請求項4】
前記運転行動と、その運転行動に対応した重み付けルールとを対応付けて記憶する重要度記憶手段を更に有し、
前記ドライバ状態判定手段は、前記運転行動取得手段で取得された運転行動に応じて前記重要度記憶手段から選択した前記重み付けルールに従い、前記特徴量生成手段が生成した特徴量に対してドライバ状態を判定することを特徴とする請求項2記載のドライバ状態判定システム。
【請求項5】
前記情報取得手段により取得された前記環境情報に応じて、予め保持された信頼度設定ルールに従って判定信頼度を設定する判定信頼度設定手段を更に有し、前記ドライバ状態判定手段は、前記判定信頼度の値に応じて、判定方法を変更することを特徴とする請求項1又は2記載のドライバ状態判定システム。
【請求項6】
前記判定器学習手段が構築した前記判定器を、前記運転行動取得手段が取得した前記運転行動と関連付けて記憶する判定器記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のドライバ状態判定システム。
【請求項7】
前記判定器記憶手段が記憶している複数の判定器において、それらの判定器同士の類似度を求める判定器類似度計算手段と、
前記類似度に応じた前記判定器の組を1つ又は複数選択し、選択した判定器の組を1つの判定器に統合し、前記判定器記憶手段に記憶されている選択した前記判定器の組を、統合した前記判定器に修正する判定器統合手段と
を更に有することを特徴とする請求項6記載のドライバ状態判定システム。
【請求項8】
複数のドライバに関するドライバ情報を用いて、判定対象のドライバの類似度を求め、そのうち最も高い類似度のドライバを選択する類似ドライバ検索手段と、
前記判定器記憶手段がドライバと対応付けて記憶している前記判定器のうち、前記類似ドライバ検索手段で選択された類似ドライバの判定器が存在するかを調べ、存在するときは、その類似ドライバの判定器を、判定対象のドライバの判定器として前記判定器記憶手段に複製記憶する判定器複製手段と
を更に有することを特徴とする請求項6記載のドライバ状態判定システム。
【請求項9】
前記判定器学習手段で構築される前記判定器と同様に、ドライバ状態を判定するための第2の判定器を関連情報と共に外部から取得する判定器取得手段と、
前記判定器取得手段が取得した前記第2の判定器及び関連情報を前記判定器記憶手段に転送する判定器転送手段と
を更に有することを特徴とする請求項6記載のドライバ状態判定システム。
【請求項10】
前記判定器記憶手段が記憶する前記判定器、前記運転行動及び前記ドライバの状態などが関連付けられた情報を取得し、前記ドライバに判定器の選択を促す画面を表示し、表示された前記判定器の中から選択された判定器を前記ドライバ状態判定手段に供給する判定器選択手段を更に有し、
前記ドライバ状態判定手段は、前記判定器選択手段から供給された前記判定器を用いてドライバ状態を判定することを特徴とする請求項6記載のドライバ状態判定システム。
【請求項11】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得手段と、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する特徴量生成手段と、
予め用意されたドライバ状態を判定するための判定器の中から、前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記特徴量生成手段が生成した前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を有することを特徴とするドライバ状態判定システム。
【請求項12】
最終的に得られたドライバ状態の判定結果を、前記ドライバに提示するドライバ状態提示手段を有することを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載のドライバ状態判定システム。
【請求項13】
ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、前記判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を行う判定方法であって、
前記学習フェーズは、
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、
前記第1の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、
前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動毎に、前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップと
を含み、前記判定フェーズは、
前記ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、
前記第2の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、前記予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、
前記判定器学習ステップにより構築された前記判定器の中から、前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
を含むことを特徴とするドライバ状態判定方法。
【請求項14】
ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、前記判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を行う判定方法であって、
前記学習フェーズは、
前記ドライバの生体的又は心理的な状態を設定する状態設定ステップと、
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、
前記第1の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記第1の情報取得ステップにより取得された前記車両情報及び環境情報と前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動と前記状態設定ステップにより設定された前記状態とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する第1の特徴量生成ステップと、
前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動毎に、前記第1の特徴量生成ステップにより生成された前記特徴量を用いて前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップと
を含み、前記判定フェーズは、
前記ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、
前記第2の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、前記予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記第2の情報取得ステップにより取得された前記車両情報及び環境情報と前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する第2の特徴量生成ステップと、
前記判定器学習ステップが構築した前記判定器の中から、前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記第2の特徴量生成ステップにより生成された前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
を含むことを特徴とするドライバ状態判定方法。
【請求項15】
前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動と、それに対する前記ドライバ状態判定ステップの判定結果との組を記憶すると共に、記憶している過去の前記運転行動と判定結果との組と、前記ドライバ状態判定ステップで得られた現在の判定結果とから、前記現在の判定結果が適切となるように修正する判定結果蓄積ステップを前記判定フェーズに含むことを特徴する請求項13又は14記載のドライバ状態判定方法。
【請求項16】
前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動と、その運転行動に対応した重み付けルールとを対応付けて記憶手段に記憶する重要度記憶ステップを更に含み、
前記ドライバ状態判定ステップは、前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に応じて前記記憶手段から選択した前記重み付けルールに従い、前記第2の特徴量生成ステップが生成した特徴量に対してドライバ状態を判定することを特徴とする請求項14記載のドライバ状態判定方法。
【請求項17】
前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記環境情報に応じて、予め保持された信頼度設定ルールに従って判定信頼度を設定する判定信頼度設定ステップを更に含み、前記ドライバ状態判定ステップは、前記判定信頼度の値に応じて、判定方法を変更することを特徴とする請求項13又は14記載のドライバ状態判定方法。
【請求項18】
前記判定器学習ステップが構築した前記判定器を、前記第1の運転行動取得手段が取得した前記運転行動と関連付けて判定器記憶手段に記憶する判定器記憶ステップを更に含むことを特徴とする請求項13乃至17のうちいずれか一項記載のドライバ状態判定方法。
【請求項19】
前記判定器記憶手段が記憶している複数の判定器において、それらの判定器同士の類似度を求める判定器類似度計算ステップと、
前記類似度に応じた前記判定器の組を1つ又は複数選択し、選択した判定器の組を1つの判定器に統合し、前記判定器記憶手段に記憶されている選択した前記判定器の組を、統合した前記判定器に修正する判定器統合ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項18記載のドライバ状態判定方法。
【請求項20】
複数のドライバに関するドライバ情報を用いて、判定対象のドライバの類似度を求め、そのうち最も高い類似度のドライバを選択する類似ドライバ検索ステップと、
前記判定器記憶手段がドライバと対応付けて記憶している前記判定器のうち、前記類似ドライバ検索ステップで選択された類似ドライバの判定器が存在するかを調べ、存在するときは、その類似ドライバの判定器を、判定対象のドライバの判定器として前記判定器記憶手段に複製記憶する判定器複製ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項18記載のドライバ状態判定方法。
【請求項21】
前記判定器学習ステップで構築される前記判定器と同様に、ドライバ状態を判定するための第2の判定器を関連情報と共に外部から取得する判定器取得ステップと、
前記判定器取得ステップが取得した前記第2の判定器及び関連情報を前記判定器記憶手段に転送する判定器転送ステップと
を更に含むことを特徴とする請求項18記載のドライバ状態判定方法。
【請求項22】
前記判定器記憶手段が記憶する前記判定器、前記運転行動及び前記ドライバの状態などが関連付けられた情報を取得し、前記ドライバに判定器の選択を促す画面を表示し、表示された前記判定器の中から選択された判定器を前記ドライバ状態判定ステップに供給する判定器選択ステップを更に含み、
前記ドライバ状態判定ステップは、前記判定器選択ステップから供給された前記判定器を用いてドライバ状態を判定することを特徴とする請求項18記載のドライバ状態判定方法。
【請求項23】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得ステップと、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する特徴量生成ステップと、
予め用意されたドライバ状態を判定するための判定器の中から、前記運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記特徴量生成ステップが生成した前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
を含むことを特徴とするドライバ状態判定方法。
【請求項24】
最終的に得られたドライバ状態の判定結果を、前記ドライバに提示するドライバ状態提示ステップを含むことを特徴とする請求項13乃至23のうちいずれか一項記載のドライバ状態判定方法。
【請求項25】
ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、前記判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を、コンピュータにより実行させるドライバ状態判定用プログラムであって、
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、
前記第1の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、
前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動毎に、前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップと
を含む前記学習フェーズを前記コンピュータに実行させ、続いて、
前記ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、
前記第2の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、前記予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、
前記判定器学習ステップにより構築された前記判定器の中から、前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
を含む前記判定フェーズを前記コンピュータに実行させることを特徴とするドライバ状態判定用プログラム。
【請求項26】
ドライバ状態を判定するための判定器を構築する学習フェーズの処理を行った後、前記判定器を用いてドライバ状態を判定する判定フェーズの処理を、コンピュータにより実行させるドライバ状態判定用プログラムであって、
前記ドライバの生体的又は心理的な状態を設定する状態設定ステップと、
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第1の情報取得ステップと、
前記第1の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第1の運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記第1の情報取得ステップにより取得された前記車両情報及び環境情報と前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動と前記状態設定ステップにより設定された前記状態とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する第1の特徴量生成ステップと、
前記第1の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動毎に、前記第1の特徴量生成ステップにより生成された前記特徴量を用いて前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習ステップと
を含む前記学習フェーズを前記コンピュータに実行させ、続いて、
前記ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する第2の情報取得ステップと、
前記第2の情報取得ステップで取得された前記車両情報及び環境情報から、前記予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する第2の運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記第2の情報取得ステップにより取得された前記車両情報及び環境情報と前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する第2の特徴量生成ステップと、
前記判定器学習ステップが構築した前記判定器の中から、前記第2の運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記第2の特徴量生成ステップにより生成された前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
を含む前記判定フェーズを前記コンピュータに実行させることを特徴とするドライバ状態判定用プログラム。
【請求項27】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得する情報取得ステップと、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得ステップと、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する特徴量生成ステップと、
予め用意されたドライバ状態を判定するための判定器の中から、前記運転行動取得ステップにより取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記特徴量生成ステップが生成した前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定ステップと
をコンピュータにより実行させることを特徴とするドライバ状態判定用プログラム。
【請求項28】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とから、予め定めた運転行動判定ルールに基づき取得された、前記ドライバの運転行動を、前記自動車から受信し、前記運転行動毎に、前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、
前記判定器学習手段が構築した前記判定器の中から、受信した前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項29】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報を、前記自動車から受信し、受信したその車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、
前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動毎に、前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、
前記判定器学習手段が構築した前記判定器の中から、前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、ドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項30】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報と、前記ドライバの生体的又は心理的なドライバの状態とを、前記自動車から受信し、受信したその車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得する運転行動取得手段と、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動と、受信した前記ドライバの状態とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成する特徴量生成手段と、
前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動毎に、前記特徴量のデータを用いて前記ドライバの状態と前記車両情報及び環境情報との関係を学習し、ドライバ状態を判定するための判定器を構築する判定器学習手段と、
前記判定器学習手段が構築した前記判定器の中から、前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動に対応した判定器を取得し、取得したその判定器に基づいて、前記特徴量生成手段が生成した前記特徴量に対するドライバ状態を判定するドライバ状態判定手段と
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項31】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得してサーバへ送信する情報取得手段と、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得してその運転行動を前記サーバへ送信する運転行動取得手段と
を備え、前記自動車に搭載されており、前記サーバによりドライバ状態を判定させることを特徴とするクライアント。
【請求項32】
ドライバが運転する自動車の各部の状態を表す車両情報と、前記自動車の周辺の状況を表す環境情報とを取得してサーバへ送信する情報取得手段と、
前記車両情報及び環境情報から、予め定めた運転行動判定ルールに基づき、前記ドライバの運転行動を判定し取得してその運転行動を前記サーバへ送信する運転行動取得手段と、
前記ドライバの生体的又は心理的な状態を設定する状態設定手段と、
予め設定された運転行動に応じた特徴量生成方法を使用して、前記車両情報及び環境情報と前記運転行動取得手段により取得された前記運転行動と前記状態設定手段により設定された前記状態とに基づいて、複数種類の運転行動のそれぞれの特徴量を生成して前記サーバへ送信する特徴量生成手段と
を備え、前記自動車に搭載されており、前記サーバによりドライバ状態を判定させることを特徴とするクライアント。
【請求項33】
請求項1乃至12のうちいずれか一項記載のドライバ状態判定システムが搭載されていることを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2010−256943(P2010−256943A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102565(P2009−102565)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】