説明

ドライブシャフト支持構造

【課題】支持部に変更を加えずに、ドライブシャフトの支持位置を柔軟に変更することが可能であるとともに容易に変更することが可能なドライブシャフト支持構造を提供する。
【解決手段】トランスミッションに対してギヤノイズ評価試験を行う際に、前記トランスミッションに取り付けられるドライブシャフト2を支持するドライブシャフト支持構造1であって、ドライブシャフト2が貫通可能な軸受部分を有する専用軸受部10と、専用軸受部10を位置決めしつつ着脱自在に固定可能な専用テーブル部20と、専用テーブル部20を位置決めしつつ着脱自在に固定可能であり、かつ、定位置に固定される支持部30と、を備え、専用テーブル部20は複数種類用意され、複数種類の専用テーブル部20は、種類毎にそれぞれ異なる位置に専用軸受部10を固定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブシャフト支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に用いられるトランスミッションにおいては、品質保証の観点から、当該トランスミッションの製造後、車両に搭載される前に、ギヤノイズ評価試験が行われている(例えば、特許文献1)。ギヤノイズ評価試験は、トランスミッションのギアをモータ等の駆動源を用いて回転させ、このときに当該ギアから発生するノイズ、振動等を測定評価することである。
【0003】
従来、ギヤノイズ評価試験は、トランスミッションにギヤノイズ評価試験用ドライブシャフト(ドライブシャフト)が取り付けられている状態で行われるものがあり、例えば、図8に示すように、ギヤノイズ評価試験時、ドライブシャフトがドライブシャフト支持構造100により支持されている。ドライブシャフト支持構造100は、ドライブシャフトの貫通可能なリング形状を有する部材である軸受部110と、軸受部110が固定される支持部120と、を有する。そして、支持部120が固定台(不図示)上に固定された状態で、支持部120上に軸受部110が固定され、さらに軸受部110にドライブシャフトが貫通されることにより、ドライブシャフトが支持される。
【0004】
しかし、車種毎にトランスミッションの種類も異なり、ドライブシャフトの種類(長さ、径等)も異なってくる。これに伴い、ギヤノイズ評価試験時にも、ドライブシャフトの種類に応じてドライブシャフトの支持位置(軸受部110)を変更する必要がある。つまり、トランスミッション毎に支持部120上の軸受部110の位置を変更する必要、又は軸受部分の大きさが異なる別の軸受部に変更する必要がある。
これに対し、ドライブシャフト支持構造100は、予め支持部120に軸受部固定用ボルト穴を複数組形成しておき、トランスミッション毎に軸受部110を固定する軸受部固定用ボルト穴を変更することにより軸受部110の位置を変更して対応していた。しかし、軸受部110の位置の変更可能な範囲が軸受部固定用ボルト穴のある位置に限定されるため、多種類のトランスミッションのギヤノイズ評価試験を行うとき、既存の軸受部固定用ボルト穴では対応しきれなくなり、柔軟性に欠ける。
このようなとき、支持部120に新たに軸受部固定用ボルト穴を追加したり、固定台から支持部120を一旦取り外して支持部120の固定位置を変更したりして対応する方法が考えられる。しかし、軸受部固定用ボルト穴を追加する位置や、支持部120を固定し直す位置の調整をする必要が生じるため、作業の困難性を招く。また、支持部120に軸受部固定用ボルト穴を追加することによる支持部120の剛性の変化や、支持部120の固定位置の変更は、ギヤノイズ評価試験の条件の変更を招き、試験結果に影響を及ぼす。したがって、一旦支持部120を固定台に固定すると、固定時の状態を保持し、支持部120への軸受部固定用ボルト穴の追加や、支持部120の固定位置の変更は、行わない方が好ましい。
また、支持部120に形成される軸受部固定用ボルト穴が複数個所に存在すると、軸受部110を支持部120に対して固定する際に、軸受部110を誤った箇所に固定しないように注意する必要があるため、軸受部110の支持部120への固定作業が煩雑になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−225310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、支持部に変更を加えずに、ドライブシャフトの支持位置を柔軟に変更することが可能であるとともに容易に変更することが可能なドライブシャフト支持構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のドライブシャフト支持構造は、トランスミッションに対してギヤノイズ評価試験を行う際に、前記トランスミッションに取り付けられるドライブシャフトを支持するドライブシャフト支持構造であって、前記ドライブシャフトが貫通可能な軸受部分を有する軸受部と、前記軸受部を位置決めしつつ着脱自在に固定可能なテーブル部と、前記テーブル部を位置決めしつつ着脱自在に固定可能であり、かつ、定位置に固定される支持部と、を備え、前記テーブル部は複数種類用意され、前記複数種類のテーブル部は、種類毎にそれぞれ異なる位置に前記軸受部を固定可能である。
【0008】
請求項2に記載のドライブシャフト支持構造においては、前記テーブル部には、前記軸受部を位置決めするためのピン部材が挿入されるピン穴と、該軸受部を固定するためのボルトが螺入されるボルト穴とが形成され、前記テーブル部の種類により前記ピン穴及びボルト穴の形成位置が異なっており、前記ドライブシャフトの種類に応じて、前記複数種類のテーブル部から一種類のテーブル部を選択して、前記支持部に固定する。
【0009】
請求項3に記載のドライブシャフト支持構造においては、前記軸受部は複数種類用意され、前記複数種類の軸受部は、種類毎にそれぞれ径の異なる軸受部分を有し、前記ドライブシャフトの種類に応じて、前記複数種類の軸受部から一種類の軸受部を選択して、前記テーブル部に固定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持部に変更を加えずに、ドライブシャフトの支持位置を柔軟に変更することが可能であるとともに容易に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るドライブシャフト支持構造の実施の一形態であるドライブシャフト支持構造の概略構成図である。
【図2】専用テーブル部に専用軸受部を固定するときを示す図である。
【図3】専用軸受部の板状部を下方から見たときを示す図である。
【図4】支持部に専用テーブル部を固定するときを示す図である。
【図5】専用テーブル部の一例を示す図であり、(a)は中央部に軸受部固定用ボルト穴及びピン穴を形成される専用テーブル部を、(b)はAT側に軸受部固定用ボルト穴及びピン穴を形成される専用テーブル部を、(c)は吸収モータ側に軸受部固定用ボルト穴及びピン穴を形成される専用テーブル部を、示す図である。
【図6】専用軸受部の一例を示す図であり、(a)は軸受部分の径がd1の専用軸受部を、(b)は軸受部分の径がd2の専用軸受部を、示す図である。
【図7】ギヤノイズ評価試験時に試験対象のトランスミッションの種類が変更され、これに伴いドライブシャフトも変更されたときに、ドライブシャフト支持構造で用いられる専用軸受部と専用テーブル部との組み合わせを示す図であり、(a)は図5(a)に示す専用軸受部と図6(a)に示す専用テーブル部とを組み合わせた図であり、(b)は図5(a)に示す専用軸受部と図6(b)に示す専用テーブル部とを組み合わせた図であり、(c)は図5(b)に示す専用軸受部と図6(c)に示す専用テーブル部とを組み合わせた図である。
【図8】ドライブシャフト支持構造の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るドライブシャフト支持構造の実施の一形態であるドライブシャフト支持構造1について、図面を参照して説明する。
なお、説明の便宜上、図1における上側をドライブシャフト支持構造1の上方向、同様に、下側を下方向、として以下の説明を行う。
【0013】
ドライブシャフト支持構造1は、製造後かつ車両に搭載される前のトランスミッションに対してギヤノイズ評価試験を行う際に用いられる。ギヤノイズ評価試験は、トランスミッションのギアを吸収モータ等の駆動源を用いて回転させ、このときに当該ギアから発生するノイズ、振動等を測定評価することである。
図1に示すように、本実施形態においては、ギヤノイズ評価試験は試験対象であるトランスミッション(AT)にギヤノイズ評価試験用ドライブシャフト(以下単に「ドライブシャフト」と記す)2が取り付けられている状態で行われ、ドライブシャフト2は試験対象であるトランスミッションの種類に対応してシャフト径、長さ等が異なるものが用いられる。
ドライブシャフト支持構造1はギヤノイズ評価試験時にドライブシャフト2を支持するために用いられる。
【0014】
ドライブシャフト支持構造1は、専用軸受部10、専用テーブル部20、及び支持部30を備える。
図2に示すように、専用軸受部10は、ドライブシャフト2用の軸受部材である。
専用軸受部10は、ドライブシャフト2が貫通可能な軸受部分(貫通孔)を有するリング状部11、及びリング状部11の下端に形成される板状部12を備える。
専用軸受部10は、複数種類用意され、その種類毎に軸受部分の径が異なっている。つまり、複数種類の専用軸受部10・10・・・は、ドライブシャフト2の形態(軸径、長さ等)に応じて、それぞれ径の異なる軸受部分を有する。
また、専用軸受部10の板状部12においては、中央部にリング状部11が配置されており、リング状部11の両側縁部に一組の軸受部ボルト穴13・13が板状部12を上下方向に貫通するように設けられている。板状部12の下面においては、各軸受部ボルト穴13よりも中央部寄りに一組の軸受部ピン穴14・14(図2及び図3参照)が、それぞれ所定位置に形成されている。
【0015】
図2に示すように、専用テーブル部20は、専用軸受部10を固定するための部材である。
専用テーブル部20は、金属製の板状部材であり、上部に専用軸受部10の板状部12を載置可能な板形状を有している。
専用テーブル部20には、専用軸受部10を固定及び位置決めするために用いる軸受部固定用ボルト穴21・21及びピン穴22・22が形成されている。より具体的には、軸受部固定用ボルト穴21・21は、専用軸受部10を専用テーブル部20に着脱自在に固定するための軸受部固定ボルト3・3が螺入される(ねじ込まれる)ボルト穴であり、専用軸受部10の軸受部ボルト穴13・13と同軸上に形成されている。軸受部固定用ピン穴22・22は、専用軸受部10を専用テーブル部20に位置決めするための軸受部固定ノックピン4・4が嵌入される穴であり、専用軸受部10の軸受部ピン穴14・14と同軸上に形成されている。
つまり、軸受部固定用ボルト穴21及びピン穴22は、専用テーブル部20の上部に専用軸受部10の板状部12を載置したときに、板状部12の軸受部ボルト穴13及び軸受部ピン穴14と、それぞれ対向する位置に形成されている。
専用テーブル部20は、軸受部固定用ボルト穴21・21及びピン穴22・22の形成位置の異なるものが複数種類用意されている。
また、専用テーブル部20においては、四隅にテーブル部固定用ボルト穴23・23・23・23が形成されており、対向する辺の各中央部に一組のテーブル部固定用ピン穴24・24が形成されている。より具体的には、各テーブル部固定用ボルト穴23は、専用テーブル部20を支持部30に固定するためにテーブル部固定ボルト7を挿入するための穴であり、支持部30の各支持テーブルボルト穴34と同軸上に形成されている。テーブル部固定用ピン穴24・24は、専用テーブル部20を支持部30に位置決めするためのテーブル部固定ノックピン8・8が嵌入される穴であり、支持部30のピン穴35・35と同軸上に形成されている。
【0016】
専用軸受部10の専用テーブル部20に対する固定は、(1)専用テーブル部20の上部に専用軸受部10(板状部12)を載置し、(2)各軸受部ピン穴14及びそれに対応する各軸受部固定用ピン穴22に軸受部固定ノックピン4を挿入するとともに、板状部12の各軸受部ボルト穴13に挿入した軸受部固定ボルト3を専用テーブル部20の各軸受部固定用ボルト穴21に螺挿することで行われる。
この場合、各軸受部ピン穴14及び各軸受部固定用ピン穴22に軸受部固定ノックピン4を挿入することで、専用軸受部10の専用テーブル部20に対する位置決めがなされている。
一方、各軸受部ピン穴14及び各軸受部固定用ピン穴22に軸受部固定ノックピン4が挿入されるとともに、各軸受部ボルト穴13に挿入した軸受部固定ボルト3が各軸受部固定用ボルト穴21に螺挿された状態から、各軸受部固定ボルト3及び各ノックピン4が外されることにより、専用軸受部10の専用テーブル部20に対する固定状態が解除され、専用テーブル部20から専用軸受部10を取り外すことが可能になる。なお、前述のように、専用軸受部10と専用テーブル部20との固定の際、軸受部固定ノックピン4・4が用いられることにより、専用軸受部10がより高精度に位置決めされる。
【0017】
図4に示すように、支持部30は、専用テーブル部20が着脱自在に取り付けられる部材であり、定位置に固定される。つまり、支持部30は、専用テーブル部20及び専用軸受部10を定位置に固定・支持する部材である。
支持部30は、支持テーブル部31、支持柱部32、及び支持スタンド部33を有し、上方から下方に向けて支持テーブル部31→支持柱部32→支持スタンド部33の順に配置される一体構造を有する。
支持テーブル部31は、上部に専用テーブル部20を載置可能な板形状を有しており、専用テーブル部20を固定及び位置決めするために用いる支持テーブルボルト穴34及びピン穴35がそれぞれ一組ずつ形成されている。支持テーブルボルト穴34及びピン穴35は、支持テーブル部31の上部に専用テーブル部20を載置したときに、テーブル部固定用ボルト穴23及びピン穴24と、それぞれ対向する位置に形成されている。
支持柱部32は、上下方向に突出する突出形状を有し、当該突出形状により支持部30の高さを決定する部材であり、上端に支持テーブル部31が固定されている。
支持スタンド部33は、板形状を有し、支持柱部32の下端が固定されている。支持スタンド部33は、固定台(不図示)上に載置されており、固定台に支持部固定ボルト5及びノックピン6を用いて固定及び位置決めされている。つまり、四つの支持部固定ボルト5が支持スタンド部33の四隅に形成されるボルト穴をそれぞれ貫通して前記固定台にねじ込まれており、さらに二つの支持部固定ノックピン6が支持スタンド部33の互いに対向する辺の各中央部に形成される位置決め用の穴をそれぞれ貫通して固定台に挿入されている。
【0018】
専用テーブル部20の支持部30に対する固定は、(1)支持部30(支持テーブル部31)の上部に専用テーブル部20を載置し、(2)各テーブル部固定用ピン穴24及びそれに対応する各支持テーブルピン穴35にテーブル部固定ノックピン8を挿入するとともに、専用テーブル部20の各テーブル部固定用ボルト穴23に挿入したテーブル部固定ボルト7を支持テーブル部31の各支持テーブルボルト穴34に螺挿することで行われる。
この場合、各テーブル部固定用ピン穴24及び各支持テーブルピン穴35にテーブル部固定ノックピン8を挿入することで、専用テーブル部20の支持部30に対する位置決めがなされている。
一方、各テーブル部固定用ピン穴24及び各支持テーブルピン穴35にテーブル部固定ノックピン8が挿入されるとともに、専用テーブル部20の各テーブル部固定用ボルト穴23に挿入したテーブル部固定ボルト7が支持テーブル部31の各支持テーブルボルト穴34に螺挿された状態から、テーブル部固定ボルト7及びノックピン8が外されることにより、専用テーブル部20の支持部30に対する固定状態が解除され、支持部30から専用テーブル部20を取り外すことが可能になる。
【0019】
図5に示すように、専用テーブル部20は、複数種類用意されており、種類毎に異なる位置に軸受部固定用ボルト穴21・21及びピン穴22・22が形成されている。また、種類毎に異なる位置に形成される軸受部固定用ボルト穴21・21及びピン穴22・22は、種類毎に所定位置(例えば、AT寄り、吸収モータ寄り等)に配置されている。このように、専用テーブル部20(20a・20b・20c)を複数種類用意することにより、ドライブシャフト2の形態に応じて、専用テーブル部20(20a・20b・20c)を適宜選択・交換して、異なる位置で専用軸受部10を固定可能に構成されている。
また、図6に示すように、専用軸受部10は、複数種類用意されており、種類毎に径の異なる軸受部分を有している。このように、専用軸受部10(10a・10b)を複数種類用意することにより、ドライブシャフト2の形態に応じて、選択・交換して専用テーブル部20(つまり、専用テーブル部20a、20b、20cのうち何れか)に固定可能に構成されている。
以上のように、本実施形態では、三種類の専用テーブル部20a・20b・20cと二種類の専用軸受部10a・10bとを用意することにより、ドライブシャフト2の変更に柔軟に対応できるようにしている。
【0020】
なお、専用テーブル部20a・20b・20cにおいては、種類にかかわらず同じ位置にテーブル部固定用ボルト穴23・23・23・23及びピン穴24・24がそれぞれ形成されており、種類にかかわらず同様に支持部30(支持テーブル部31)に固定可能に構成されている。これにより、専用テーブル部20a・20b・20cを種類毎に交換して支持テーブル部31に固定するときでも支持テーブルボルト穴34・34・34・34及びピン穴35・35を流用でき、支持テーブル部31に専用テーブル部固定用のボルト穴を追加する等の変更を加える必要がないように構成されている。
また、専用軸受部10a・10bにおいては、種類にかかわらず同じ位置に軸受部ボルト穴13・13及び軸受部ピン穴14・14がそれぞれ形成されており、種類にかかわらず同様に専用テーブル部20に固定可能に構成されている。
【0021】
以上のように構成されるドライブシャフト支持構造1を用いたギヤノイズ評価試験は、図1に示すように、固定台(不図示)に支持部30が固定され、支持部30に専用テーブル部20が固定され、専用テーブル部20に専用軸受部10が固定され、さらに専用軸受部10の軸受部分にドライブシャフト2が貫通されて支持されている状態で行われる。
【0022】
以下では、ギヤノイズ評価試験時、試験対象のトランスミッションの種類が変更されるのに伴いドライブシャフト2の種類が変更され(ドライブシャフト2のシャフト径がd1からd2のものに変更され)、これにより専用軸受部10及び専用テーブル部20の種類が変更されるときの手順について説明する。
図5(a)、(b)及び(c)に示すように、専用テーブル部20は、専用テーブル部20aと、専用テーブル部20aに比べてAT側に軸受部固定用ボルト穴21及びピン穴22が形成されている専用テーブル部20bと、吸収モータ側に軸受部固定用ボルト穴21及びピン穴22が形成されている専用テーブル部20cと、の三種類が用意されているものとする。また、図6(a)及び(b)に示すように、専用軸受部10は、軸受部分の径をd1とする専用軸受部10aと、専用軸受部10aの軸受部分の径d1より大きい径d2(d2>d1)を有する専用軸受部10bと、の二種類が用意されているものとする。
また、図7(a)に示すように、当初、専用軸受部10a及び専用テーブル部20aが用いられ、専用軸受部10aに、シャフト径d1のドライブシャフト2aが貫通しているものとする。
【0023】
図7(b)に示すように、ギヤノイズ評価試験時、例えば、試験対象のトランスミッションの種類が変更され、これに伴いドライブシャフト2aもドライブシャフト2bに変更され、ドライブシャフト2aのときと比べ、シャフト径はd1のままで変更ないが、支持位置(専用軸受部10aの位置)をAT側に寄せる必要が生じたとする。このようなとき、専用テーブル部20bを用意し、専用テーブル部20aに代えて用いることにより対応する。詳細には、固定台と支持部30との固定状態を保持したまま、支持テーブル部31から専用テーブル部20aを取り外し、さらに専用テーブル部20aから専用軸受部10aを取り外す。そして、専用軸受部10aを専用テーブル部20bに固定し、さらに専用テーブル部20bを支持テーブル部31に固定することにより対応する。
また、図7(c)に示すように、ドライブシャフト2aがドライブシャフト2cに変更され、ドライブシャフト2aのときと比べ、シャフト径がd1からd2に変更され、さらに支持位置を吸収モータ側に寄せる必要が生じたとする。このようなとき、専用テーブル部20cを用意して専用テーブル部20aに代えて用い、さらに専用軸受部10bを用意して専用軸受部10aに代えて用いることにより対応する。詳細には、固定台と支持部30との固定状態を保持したまま、支持部30から専用テーブル部20aを取り外し、さらに専用テーブル部20aから専用軸受部10aを取り外す。そして、専用軸受部10bを専用テーブル部20cに固定し、さらに専用テーブル部20cを支持部30に固定することにより対応する。
【0024】
以上のように構成することで、ギヤノイズ評価試験時、ドライブシャフトの種類が変更され、ドライブシャフトの支持位置、つまり専用軸受部10の位置を変更する必要が生じたとき、ドライブシャフトの種類に応じた専用テーブル部を用意し、従前の専用テーブル部と交換して用いればよい。これにより、支持部30に専用テーブル部固定用のボルト穴を追加する、支持部30の固定位置を変更する等、支持部30に変更を加えずに専用軸受部10の固定位置(ドライブシャフトの支持位置)を変更することが可能である。
また、専用テーブル部を作成する際に任意の位置に軸受部固定用ボルト穴及び位置決め用のピン穴を形成し、専用軸受部10の固定位置を任意に設定できるので、ドライブシャフトの支持位置を柔軟に変更することが可能である。
また、テーブル部固定ボルト7及びノックピン8を外したりねじ込んだりするだけで専用テーブル部を交換できるので、ドライブシャフトの支持位置を容易に変更することが可能である。
【0025】
また、専用軸受部10が専用テーブル部20に対して着脱自在に構成されているので、ドライブシャフトの径が変更されたとしても、変更後のドライブシャフトの径に適合する専用軸受部を用意し、従前の専用軸受部に代えて専用テーブル部20に軸受部固定ボルト3及びノックピン4を用いて固定し直せばよい。したがって、ドライブシャフトの径の変更に対して、柔軟に対応でき、かつ、簡易な手順で対応することが可能である。
【0026】
また、専用テーブル部20は、支持部30に対して着脱自在であり、特定の種類のドライブシャフトに対してギヤノイズ評価試験が行われるときに用いられる専用品として構成されている。これにより、専用テーブル部20に形成される軸受部固定用ボルト穴21及びピン穴22は、特定の種類のドライブシャフトに対応するもののみ存すればよく、様々な種類に対応するように多数存する必要がない。したがって、専用軸受部10を専用テーブル部20に固定するとき、専用軸受部10の固定位置の誤認(軸受部固定用ボルト穴21及びピン穴22の選択ミス)を回避することが可能であり、専用軸受部10の専用テーブル部20に対する固定作業が容易となる。
【0027】
また、支持部30の支持スタンド部33は、固定台に、支持部固定ボルト5のみならず支持部固定ノックピン6も用いて固定されている。これにより、支持部30の位置変動を抑制できるので支持部30の固定位置精度が向上し、精度よくギヤノイズ評価試験を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ドライブシャフト支持構造
2、2a、2b ドライブシャフト
10、10a、10b 専用軸受部
20、20a、20b、20c 専用テーブル部
21 軸受部固定用ボルト穴
22 軸受部固定用ピン穴
30 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッションに対してギヤノイズ評価試験を行う際に、前記トランスミッションに取り付けられるドライブシャフトを支持するドライブシャフト支持構造であって、
前記ドライブシャフトが貫通可能な軸受部分を有する軸受部と、
前記軸受部を位置決めしつつ着脱自在に固定可能なテーブル部と、
前記テーブル部を位置決めしつつ着脱自在に固定可能であり、かつ、定位置に固定される支持部と、を備え、
前記テーブル部は複数種類用意され、
前記複数種類のテーブル部は、種類毎にそれぞれ異なる位置に前記軸受部を固定可能であるドライブシャフト支持構造。
【請求項2】
前記テーブル部には、前記軸受部を位置決めするためのピン部材が挿入されるピン穴と、該軸受部を固定するためのボルトが螺入されるボルト穴とが形成され、
前記テーブル部の種類により前記ピン穴及びボルト穴の形成位置が異なっており、
前記ドライブシャフトの種類に応じて、前記複数種類のテーブル部から一種類のテーブル部を選択して、前記支持部に固定する請求項1に記載のドライブシャフト支持構造。
【請求項3】
前記軸受部は複数種類用意され、
前記複数種類の軸受部は、種類毎にそれぞれ径の異なる軸受部分を有し、
前記ドライブシャフトの種類に応じて、前記複数種類の軸受部から一種類の軸受部を選択して、前記テーブル部に固定する請求項1又は請求項2に記載のドライブシャフト支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−160119(P2010−160119A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4011(P2009−4011)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】