説明

ドライブレコーダ

【課題】内蔵するGセンサの軸と車両向きとの対応を自動的に設定することを可能とするドライブレコーダを提供することを目的とする。
【解決手段】第1の方向の加速度を出力する第1の加速度センサ(5−G1)と、第1の方向と異なる第2の方向の加速度を出力する第2の加速度センサ(5−G2)と、第1の加速度センサ及び第2の加速度センサの出力に基づいて第1及び第2の加速度センサ出力のいずれが車両の前後方向の加速度を示すかを判断する制御部(24)を有することを特徴とするドライブレコーダ(2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダに関し、特に自動設定可能なドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設置したカメラにより車両周辺の映像を撮影し、衝突や急ブレーキなど車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車両速度を記録する車載用映像等記録装置、いわゆるドライブレコーダが提案されている。ドライブレコーダを車両に備えることにより、事故が発生した場合には記録した情報を解析することにより、事故原因を検証することが可能となっている。また、運転手の安全運転意識の向上が図れるとともに、日頃の運転状況を記録した映像を安全運転指導などに役立てることができる。
【0003】
特許文献1及び2は、車載カメラにより撮影した映像を循環的に記憶し、事故発生時に記憶した映像を他の記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。また、特許文献3及び4は、車両速度や変速機のシフト位置など走行データを循環記憶し、事故発生時に記憶した走行データを他の記録媒体に記録するドライブレコーダが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−16785号公報
【特許文献2】特開平06−237463号公報
【特許文献3】特開平06−331391号公報
【特許文献4】特開平06−186061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブレコーダは、2軸(X軸及びY軸)又は3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度センサを内蔵し、予め設定された閾値以上の加速度値を検出した場合に、事故の発生や危険な運転が発生したと判断して、その前後の画像等を記録する。
【0006】
ドライブレコーダでは、車両の前後方向の対応した軸からの加速度値によって急発進や急減速等の判別を行い、車両の左右方向に対応した加速度値によって急ハンドル等の判別を行う。したがって、加速度センサ各軸と車両の向きとの対応を取る必要があった。
【0007】
しかしながら、ドライブレコーダを車内に取り付ける場合、ドライブレコーダ本体がどのように取り付けられるかによって、ドライブレコーダが内蔵する加速度センサの軸と車両の向きとの対応が変化する。即ち、ドライブレコーダの取付け方向を予め決めておけば加速度センサの軸は常に一定となるが、ドライブレコーダの取付けの自由度が低くなってしまう。逆に、取付けの自由度を持たせるために、ドライブレコーダを取付けた後に、加速度センサの軸を設定するようにすると、加速度センサの軸と車両の向きの対応を変化させる必要がある。
【0008】
また、1つのドライブレコーダを複数の車両で共用する場合、ドライブレコーダを他の車両に付け替えたりする場合にも、ドライブレコーダ本体がどのように取り付けられるかによって、ドライブレコーダが内蔵する加速度センサの軸と車両の向きとの対応が変化することとなる。
【0009】
そこで、本発明は、内蔵する加速度センサの軸と車両の向きとの対応を自動的に設定することを可能とするドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るドライブレコーダでは、第1の方向の加速度を出力する第1の加速度センサと、第1の方向と異なる第2の方向の加速度を出力する第2の加速度センサと、第1の加速度センサ及び第2の加速度センサの出力に基づいて第1及び第2の加速度センサ出力のいずれが車両の前後方向の加速度を示すかを判断する制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るドライブレコーダによれば、自動的に且つ正確に、加速度センサの自動設定を行うことが可能となった。
【0012】
また、本発明に係るドライブレコーダによれば、車速パルス等の外部入力を用いなくても、自動的に且つ正確に、加速度センサの自動設定を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加した形態で実施することも可能である。
【0014】
最初に、ドライブレコーダにおける情報の記録について説明する。
【0015】
図1は、車両1にドライブレコーダ2を搭載した例を示す図である。
【0016】
車両1内にドライブレコーダ2が設置され、車両1の前方を撮影する第1カメラ3及び車両1の後方を撮影する第2カメラ4と接続されている。第1カメラ3等による映像情報をドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に循環的に記憶する。所定の記録条件が成立すると、半導体記憶部15に記憶された映像情報がメモリカード7に記録される。所定の記録条件とは、事故等の発生により車両1へ衝撃が加わった場合等を言い、詳細については後述する。
【0017】
また、ドライブレコーダ2は、映像情報の他に、車両の速度情報などを含む運行情報を取得して、ドライブレコーダ2内の半導体記憶部15に循環的に記憶する。運行情報は、前述した記録条件が成立した場合には、映像情報と関連付けられて映像情報と共にメモリカード7に記録される。
【0018】
図2は、ドライブレコーダ2を車両1に設置した例を示す図である。
【0019】
ドライブレコーダ2は、例えば、ハンドルの左下方でセンターパネルの端等に固定され、第1カメラ3(及び図2には図示されない第2カメラ4)、不図示のバッテリ21、車載用の表示部30等と電気的に接続されている。第1カメラ3は車室内ミラーの裏側のフロントガラス面に取り付けられ、車両前方を撮影し、映像情報をドライブレコーダ2へ送信する。
【0020】
図3は、ドライブレコーダ2の本体の斜視図である。
【0021】
ドライブレコーダ2には、マイクロフォン8、スイッチ9、電源スイッチ20、LED25、ブザー26、不図示の開閉センサ27、開閉ノブ31等を有している。図3において、スイッチ9を有する面を表面とする。
【0022】
マイクロフォン8は車両1内の音声を集音する。スイッチ9は、映像情報をドライブレコーダ2に記録するタイミングの決定、ドライブレコーダ2の初期化等のための諸入力に利用される。LED25及びブザー26は、発光や警告音等を発生させることによって、ドライブレコーダ2の状況をユーザに知らせる機能を有している。
【0023】
開閉ノブ31は、メモリカード7が後述するI/F11を構成するスロットに挿入された後に、メモリカード7を保護するようにその上部にスライドされて位置決めされる(図3の状況)。メモリカード7を抜く場合には、開閉ノブ31を矢印Aの方向にスライドさせる。また、ドライブレコーダ2は、開閉ノブ31に連動した開閉センサ27を有しており、開閉ノブ31がメモリカード7の上部にスライドされている状態(図3の状態)で、閉状態を示すOFF信号を出力し、メモリカード7を抜き出せる状態で、開状態を示すON信号を出力するように構成されている。
【0024】
図4は、再生装置の外観例を示す図である。
【0025】
メモリカード7に記録された映像情報及び運行情報等はパーソナルコンピュータ等から構成される再生装置400により再生される。メモリカード7はパーソナルコンピュータに接続されたI/Fに挿入され、映像情報及び運行情報等が読み取られる。ユーザは再生された映像情報及び運行情報等を検証することによって、車両の走行状態又は事故原因の究明等を行うことができる。
【0026】
図5は、ドライブレコーダ2の電気的構成を示すブロック図である。
【0027】
第1カメラ3は、車両1の前方を撮影してアナログのビデオ信号を第1映像情報500として出力するよう制御され、例えば二次元イメージセンサとしてCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)から構成される。
【0028】
第2カメラ4は、2台目のカメラとして車両1に設置され、車両後方や車室内等のカメラ3と異なる方向を撮影してアナログのビデオ信号を第2映像情報501として出力するよう制御される。なお、カメラを1台のみ必要とする場合には第2カメラ4をドライブレコーダ2に接続する必要はない。
【0029】
なお、図1及び3では、2台のカメラを備えた場合を示しているが、ドライブレコーダ2と接続されるカメラの台数は2台に限定されるものではなく、1台であっても、3台以上であっても良い。
【0030】
加速度センサ5は、車両1に加わる衝撃の大きさを重力加速度として検出する、いわゆる2軸のGセンサ(Gravity Accelerative Sensor)で構成される。加速度センサ5は、衝撃を受けるとその重力加速度に基づいた電流を発生する直交した2つの軸を有する半導体からなり、2種類のアナログ出力G1及びG2から構成されるアナログ重力加速度情報502を出力する。アナログ重力加速度情報502は、A/D変換器6でデジタル信号に変換され、デジタルの重力加速度情報503としてCPU24へ入力される。なお、加速度センサ5は、アナログ出力G1を出力する第1のセンサとアナログ出力G2を出力する第2のセンサを有していると考えることもできる。また、加速度センサ5として、3軸のGセンサを利用することもできる。その場合には、3軸のうち、2つの軸の出力を利用することとなる。
【0031】
メモリカード7は、ドライブレコーダ2から取り外し可能な記録媒体であり、プログラム可能な不揮発性半導体メモリカードであるSDカード(Secure Digital Memory Card)で構成される。メモリカード7には、映像情報及び運行情報が記録される。また、メモリカード7には、後述する記録条件、メモリカード7の固有のID、メモリカード7を利用する利用者(例えば、タクシー乗務員等)のID又は氏名のデータ等の諸情報が別途記録される。さらに、メモリカード7には、ディップスイッチが設けられており、ディップスイッチの操作によってメモリカード7を書き込み禁止状態にすることができるように構成されている。
【0032】
なお、本実施の形態では取り外し可能な記憶媒体としてSDカードを用いているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、取り外し可能な他のメモリカード(例えば、CFカード(Compact Flash Card)又はメモリスティック等)、ハードディスク等を利用することもできる。また、メモリカード7の替わりに、ドライブレコーダ2にハードディスクを内蔵して用いることも可能であり、この場合にはドライブレコーダ2に送信回路を設け無線通信によりハードディスクに記録した映像情報及び運行情報を再生装置400へ送信するよう構成すればよい。
【0033】
マイクロフォン8は、CPU24と電気的に接続され、車両1の車室内または車外の音声を集音して音声情報504としてCPU24へ送信するよう構成される。音声情報504はCPU24内のアナログ/デジタル変換器でデジタル信号に変換される。なお、道路上の騒音を不必要に集音しないように、マイクロフォンの正面の感度が高い単一指向性マイクロフォンを用いることが好ましい。
【0034】
スイッチ(SW)9は、ユーザにより操作されることにより、電気的に接続されたCPU24へ信号を送信する。これにより、CPU24は第2RAM15に記憶された映像情報及び運行情報をメモリカード7に記録させるよう制御する。すなわち、SW9の操作は記録条件の成立として作用する。なお、SW9が操作された瞬間の映像情報のみをメモリカード7に記録するようにしてもよい。また、SW9は、後述するように、ドライブレコーダ2の他の機能を利用するための操作手段としても利用される。
【0035】
インターフェイス(I/F)11は、ドライブレコーダ2に設けられたメモリカード7の差込口、いわゆるスロット部をも構成する。I/F11は、ドライブレコーダ2から送信される映像情報及び運行情報を含む記録情報506を、差し込まれたメモリカード7へ転送し、ドライブレコーダ2に予め記憶されている、諸情報507をCPU24へ転送する。
【0036】
ビデオスイッチ(以下「ビデオSW」)12は、複数のカメラが設けられる場合に撮影するカメラを切り換えるためのスイッチである。本実施の形態では、第1カメラ3及び第2カメラ4が接続され、CPU24からの選択信号508により一方のカメラが選択されるよう構成されている。選択されたカメラからの映像情報を選択映像情報509として画像処理回路13へ出力する。なお、ビデオSW12に計時機能を持たせ、一定の時間間隔で切り換えを行うように構成してもよい。
【0037】
画像処理回路13は、第1カメラ3及び第2カメラ4からビデオSW12を介して入力される選択映像情報509をデジタル信号に変換し、画像データ510を作成して出力する。画像処理回路13は、JPEG−IC(Joint Photographic coding Experts Group−Integrated Circuit)から構成され、JPEG形式のデータを作成する。この場合、JPEG−ICはアドレスを指定してデータを出力する機能を有さないため、毎秒30ファイルを第1RAM(Random Access Memory)14へ書込み、1ファイル毎に上書き処理を行う。
【0038】
第1RAM14は、画像処理回路13によって変換された画像データ510を一時的に記憶する。なお、第1RAM14はCPU24内のDMA(Direct Memory Access)回路と接続されており、入力された映像のうち3枚に1枚、即ち、毎秒10ファイルがDMAの機能により第2RAM15へ転送されて循環的に記憶される。入力された映像すべてを第2RAM15へ転送しても良い。この場合、毎秒30ファイルになる。
【0039】
第2RAM(半導体記憶部)15は、画像処理回路13により画像データに変換された映像情報、及び運行情報を循環的に記憶する。
【0040】
なお、第1RAM14及び第2RAM15には、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられる。SDRAMはCPUのクロックに同期して動作するよう設計されているため、入出力の待ち時間が短く、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)に比較してアクセスを高速に行うことができ、大容量の映像データを高速に処理する制御に適しているためである。
【0041】
不揮発性ROM16は、ドライブレコーダ2を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム17等を記憶する。不揮発性ROM16には、マスクROMを用いてもよいが、プログラム可能な不揮発性半導体メモリであるフラッシュメモリ、EEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、強誘電体メモリ等を用いればプログラムの書き込みや消去が可能となる。
【0042】
制御プログラム17は、不揮発性ROM16内に記憶されドライブレコーダ2の起動時にCPU24に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
【0043】
アクセサリスイッチ(ACCスイッチ)19は、車両1に備えられたエンジン始動用のキーシリンダと電気的に一体に構成されている。ユーザのキー操作によりスイッチがオンとされるとアクセサリオン信号511をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ドライブレコーダ2はACCスイッチ19のアクセサリオン信号511を受信することにより、電源制御回路22から電源が供給され制御を開始する。なお、ACCスイッチ19の出力信号に代わりに、イグニッションキー出力信号(IGオン信号)を利用することも可能である。
【0044】
電源スイッチ(電源SW)20は、ユーザによりスイッチ操作がなされると、電源オン信号をドライブレコーダ2のCPU24及び電源制御回路22へ送信する。ACCスイッチ19をオンさせずにドライブレコーダ2を動作させたい場合に用いることができる。
【0045】
バッテリ21は、車両1内に備えられ、ドライブレコーダ2の本体に電源を供給する。また、バッテリは、電源制御回路22へ電源を供給する。なお、バッテリ21は車両に装備可能で12Vあるいは24Vの起電力を発生できるものであればよい。
【0046】
電源制御回路22には、バックアップバッテリ31を含んで構成され、バッテリ21とドライブレコーダ2との接続が切断された場合でも所定期間ドライブレコーダの動作を確保できるように構成されている。また、電源制御回路22は、バッテリ21のからの供給電圧を検出して、バッテリ21からの供給電圧が低下(0を含む)した場合には、その旨を示す制御信号をCPU24へ送出することができるように構成されている。
【0047】
電源制御回路22は、バッテリ21からの電源をCPU24及びドライブレコーダ2の各部へ供給する。
【0048】
CPU(Central Processing Unit)24は、ドライブレコーダ2の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU24は、制御プログラム17に基づき、ドライブレコーダ2の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0049】
LED25は、CPU24から電源が供給されることによるドライブレコーダ2の起動中は点灯し、ユーザへ起動中であることを報知する。また、ドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の点滅を行い、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
【0050】
ブザー26は、撮影トリガがかかった場合やドライブレコーダ2に異常が生じた場合等には、CPU24によって所定の警告音を発生し、異常の発生をユーザへ報知するよう構成されている。
【0051】
開閉センサ27は、メモリカード7の抜き差しに伴う開閉ノブ31の移動に応じて、開信号及び閉信号を出力するように構成されている。
【0052】
RTC(Real Time Clock)28は、現在時刻に対応した信号を発生し、CPU24へ送信する。
【0053】
表示部30は、液晶ディスプレイ等から構成され、後述する所定の状況で、メモリカード7に記録された映像情報を再生する。図2では、車両に搭載されたナビゲーション装置のディスプレイを表示部30として用いる場合を示したが、別体のディスプレイを表示部30として利用するようにしても良い。表示部30の利用によって、事故が発生した場合にその場で事故原因を検証することが可能となる。いずれにしても、ドライブレコーダ2は、映像情報を出力するための出力ポートを有していることが好ましい。
【0054】
なお、ドライブレコーダ2は映像記録専用の装置として第1カメラ3、第2カメラ4、、及び/又は表示部30等と同一の筐体内に収容して一体的に構成してもよい。また、ドライブレコーダ2は、車載用ナビゲーション装置の一機能として構成することもできる。
【0055】
図6は、再生装置400の電気的構成を示すブロック図である。
【0056】
インターフェイス(I/F)411は、再生装置400に設けられたメモリカード7の差込口、いわゆるスロット部を構成する。I/F411は、メモリカード7に記録された、映像情報及び運行情報等を再生装置400側に転送する。
【0057】
RAM414は、CPU424がメモリカード7から転送された映像情報の画像処理及び運行情報の情報処理等を行う際に一時的にデータを記憶するために利用される。RAM414には、例えばSDRAMが用いられる。
【0058】
不揮発性ROM416は、再生装置400を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラム417等を記憶する。不揮発性ROM16には、例えば、EEPROM、強誘電体メモリ等が用いられる。
【0059】
制御プログラム417は、不揮発性ROM416内に記憶され、再生装置400の起動時にCPU424に読み出され、各部の制御やデータ演算処理のプログラムとして機能する。
【0060】
CPU424は、再生装置400の制御装置として動作し、マイクロコンピュータ等により構成される。CPU424は、制御プログラム417に基づき、再生装置400の各部の制御やデータ演算処理等を実行する。
【0061】
操作部430は、キーボード、マウス等から構成され、ユーザが再生装置400を操作する場合に、CPU424への操作入力を行うための手段として利用する。
【0062】
表示部440は、液晶表示装置等から構成され、メモリカード7に記録された映像情報及び運行情報等を適宜表示するために利用される。
【0063】
地図情報記録部450は、ハードディスク、DVD等の記録媒体によって構成され、道路情報及び制限速度情報等を含んだ地図情報が記録されている。
【0064】
カード情報記録部460は、ハードディスク等の記録媒体によって構成され、メモリカード7に記録された映像情報及び運行情報等を、記録するために利用される。
【0065】
図7は、ドライブレコーダ2の全体処理フローを示す図である。
【0066】
図7に示す処理フローは、主にドライブレコーダ2のCPU24が、制御プログラム17に従って、ドライブレコーダ2の各構成要素と共同して実行する。
【0067】
ACCスイッチ19のON及び電源スイッチ20のONによって、電源が投入されドライブレコーダ2の動作開始が指示されると、CPU24は、起動処理を行う(S1)。起動処理では、ブートプログラムによる初期化処理及びドライブレコーダ2に関連する各種要素に関する自己診断処理が含まれる。自己診断処理については後述する。
【0068】
ドライブレコーダ2の起動処理が完了すると、CPU24は、映像情報を循環的に第2RAM15に記憶する(S2)。具体的には、CPU24は、1秒間に10枚の割合で、第1カメラ3及び第2カメラ4によって撮像された静止画データ(640×480ピクセル)を交互に取得し(即ち、カメラ3からの静止画を0.2秒毎、カメラ4からの静止画を0.2秒毎というように交互に取得し)、第1RAM14を介して第2RAM15に循環的に記録する。また、CPU24は、第1カメラ3及び第2カメラ4による静止画データを取得する毎に、運行情報を取得し静止画データに対応づけて第2RAM15に循環的に記録する。なお、上述したCPU24が取得する静止画データの時間間隔や枚数は一例であって、これに限定されるものではない。
【0069】
次に、CPU24は、後述する記録条件が成立したか否かの判断を行う(S3)。記録条件が成立する場合とは、以下の3つ場合を言う。但し、その内の1つ又は2つであってもよく、また3つ以外の他の条件を定めても良い。
【0070】
1.G検出:加速度センサ5が、0.40G以上の重力加速度を検出した場合を言う。このような場合を記録条件の成立としたのは、車両1にこのような重力加速度がかかった場合には、事故の発生又は事故の急迫と認識できるからである。なお、上記の設定値(0.40G)は一例であって、他の位を採用することも可能である。詳細については後述する。
【0071】
2.速度トリガ:車速センサ10から検出した車両1の所定の期間内の速度差が、閾値以上となった場合を言う。具体的には、60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、14km/h以上となった場合に、記録条件が成立したと判断する。このような場合を記録条件の成立としたのは、車両1がこのような速度変化を起こした場合には、事故の発生または事故の急迫と認識できるからである。なお、上記の設定値(60km/h以上で走行中に、1秒間の減速が、14km/h以上)は一例であって、他の値を採用することも可能である。
【0072】
3.撮影SW:SW9が操作された場合をいう。
【0073】
次に、CPU24は、記録条件が成立した場合には、記録条件成立前12秒間及び成立後8秒間の合計20秒間の映像情報(1回の記録条件成立毎に200枚分の静止画)及び運行情報を第2RAM15からメモリカード7に転送して記録する(S4)。また、記録条件が成立した場合には、成立した記録条件を示すイベントデータ(上記の3つの内の何れかを示すデータ)を合わせてメモリカード7に記録する。メモリカード7には、少なくとも15イベント分の映像情報等を記録することができる容量を有している。
【0074】
なお、記録条件が成立した場合には、記録条件成立前12秒及び成立後8秒間の合計20秒間における、マイクロフォン8から取得した音声情報を、映像情報等と供に、更にメモリカード7に記録するように構成しても良い。メモリカード7に記録された映像情報及び運行情報等は、再生装置400にて表示することができるので、ドライブレコーダ2のユーザは、車両1の走行状態及び事故状況を検証することが可能となる。なお、上述したCPU24が、記録条件成立時に、メモリカード7に記録する期間(記録条件成立前12秒及び記録条件成立後8秒)は一例であって、これに限定されるものではない。
【0075】
次に、CPU24は、ACCスイッチ19のOFF信号又は電源スイッチ20のOFF信号による終了信号を受信したか否かの判断を行い(S5)、終了信号を受信した場合には、終了処理を行って(S6)、一連の処理を終了する。終了信号を受信していない場合には、S2〜S4を繰り返し実行する。
【0076】
図8は、ドライブレコーダの取り付け箇所の例を示す図である。
【0077】
図中のドライブレコーダ2は、図2に示す様に、車両1のコンソールの右側、即ちドライバー側に、開閉ノブ31を上にして、スイッチ8を矢印B側に向けて配置した場合を示している。この場合、ドライブレコーダ2が有する加速度センサ5の第1の軸の出力G1(第1の加速度センサの出力G1)が、車両1の前後方向に対応し、第2の軸の出力G2(第2の加速度センサの出力G2)が車両の左右方向に対応することとなる。
【0078】
また、図中のドライブレコーダ2´は、車両1のコンソールの左側、即ち助手席側に、開閉ノブ31を上にして、スイッチ8を矢印B側に向けて配置した場合を示している。この場合も、ドライブレコーダ2´が有する加速度センサ5の第1の軸の出力G1が、車両1の前後方向に対応し、第2の軸の出力G2が車両の左右方向に対応することとなる。しかしながら、その出力の正負の向きは、ドライブレコーダ2の場合と反対になる。
【0079】
図9は、図8に示すドライブレコーダ2の加速度センサの出力例を示す図である。
【0080】
図9(a)は、車両1の速度例を示し、図9(b)は第1の軸の出力G1の一例を示し、図9(c)は第2の軸の出力G2の一例を示している。
【0081】
図9(a)に示すように、時刻t0〜t1まで停車し、時刻t1で前方に移動を開始して時刻t2まで加速し、時刻t2〜t3までほぼ定速で直進し、時刻t3〜t4まで減速して、時刻t4〜t5まで停止した状態を示している。
【0082】
図9(b)に示す様に、時刻t1〜t2の加速状態では、出力G1は、正の出力を示し、時刻t3〜t4の減速状態では、出力G1は、負の出力を示している。また、前述したように、時刻t0〜t5は、直進または停止状態であるので、車両1の左右方向の重力加速度を示す出力G2は、図9(c)に示すように、ほぼ0(ゼロ)の状態を示している。
【0083】
図10は、図8に示すドライブレコーダ2´の加速度センサの出力例を示す図である。
【0084】
図10(a)は、車両1の速度例を示し、図10(b)は第1の軸の出力G1の一例を示し、図10(c)は第2の軸の出力G2の一例を示している。
【0085】
図10(a)は、図9(a)と同様な、車両の速度例を示しているので、説明を省略する。
【0086】
図10(b)に示す様に、時刻t1〜t2の加速状態では、出力G1は、ドライブレコーダの取り付け方向が反対であるため、負の出力を示し、時刻t3〜t4の減速状態では、出力G1は、正の出力を示している。また、前述したように、時刻t0〜t5は、直進または停止状態であるので、車両1の左右方向の重力加速度を示す出力G2は、図10(c)に示すように、ほぼ0(ゼロ)の状態を示している。
【0087】
このように、取り付け方向が異なることによって、車両が前方に加減速した場合に発生する、加速度センサ5の出力値が異なる。また、図9及び図10の例では、加速度センサ5の出力G1が車両の前後方向と一致し、出力値の符号のみが変化したが、加速度センサ5の出力G2が車両の前後方向と一致する可能性もある。
【0088】
図11は、加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの一例を示す図である。
【0089】
図11に示す処理フローは、不揮発性ROM16に記憶された制御プログラム17に基づいてCPU24が実行するものとし、処理フローが実行される時点で、ドライブレコーダ2には電力が供給され、図7に示す起動処理(S1)が完了し、動作可能な状態となっているものとする。また、加速度センサ5からは、2つの出力G1及びG2のデジタルデータがCPU24へ入力され得る状態となっているものとする。以下、デジタルデータをG1値及びG2値と言う。
【0090】
最初に、CPU24は、ドライブレコーダ2のSW9が押されたか否かの判断を行う(S10)。
【0091】
次に、CPU24は、車両1が走行を開始したか否かの判断を行う(S11)。CPU24は、G1値及びG2値の絶対値の何れかが、所定閾値以上(例えば、0.2G以上)となった場合に、「走行状態」となったと判断する。
【0092】
なお、S10の後、所定時間経過(例えば、10秒)しても、G1位又はG2位が所定閾値以上とならない場合には、以降の自動設定を行わずに、最初から、やり直すようにすることが好ましい。例えば、LED25、ブザー26及び/又は表示部30において、所定の警告表示(例えば、「設定を最初からやり直してください。」)を行って、再度のSW9の操作を待機することが好ましい(S10参照)。
【0093】
CPU24は、「走行状態」となったと判断した場合に、その時のG1値及びG2値の絶対値が大きい方を、車両の前後方向の加速度の出力に対応していると判断し、その時の符号を取得して(S12)、そのデータを記憶し(S13)、一連の動作を終了する。
【0094】
例えば、図9(b)の例において、時刻t0〜t1の間にSW9がONされた場合、CPU24は、時刻t1〜t2の間で、G1値の絶対値が0.2Gを超えた時に、走行状態となったと判断し、G1値が車両の前後方向の加速度の出力に対応している値である事及びその時の符号(正)を取得して、内部メモリ等に一時記憶する。
【0095】
即ち、上述した例では、「G1値」が車両の前後方向の加速度の出力に対応している値と設定し(「G2値」が車両の左右方向の加速度に対応している値と設定)、その符号が「正」の場合、車両の進行方向への加速度が発生したと見なし(例えば、急発進時)、符号が「負」の場合、車両の進行方向とは逆の方向への加速度が発生したと見なす(例えば、急ブレーキ)。
【0096】
このように、本発明に係るドライブレコーダ2では、図11に示す処理フローを利用することによって、SW9をONした後の加速度センサ5の出力を利用して、車両が「走行状態」となった時を検出し、その時の加速度センサ5の出力及びその符号に基づいて、車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号を確定する。したがって、車速パルス及びGPS信号等の外部入力を使用せずに、自動的に且つ正確に、加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となった。
【0097】
ユーザは、ドライブレコーダ2の自動設定の用意がでたら、SW9をONした後に、車両1を前方に発進させるだけで、簡単に加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となった。例えば、駐車場等に車両1を停車した場合、次に移動を開始するのは、前進か後進かは状況に応じて異なる。また、ハンドルを切りながら、車両1を発進させる場合もある。そこで、本発明に係るドライブレコーダ2では、ユーザが、車両1を前方方向に直進させる準備が整ったときに、SW9を操作して、その後の加速度センサ5の出力に基づいて、加速度センサ5の自動設定を行うものである。
【0098】
図12は、加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの他の例を示す図である。
【0099】
図12に示す処理フローは、不揮発性ROM16に記憶された制御プログラム17に基づいてCPU24が実行するものとし、処理フローが実行される時点で、ドライブレコーダ2には電力が供給され、図7に示す起動処理(S1)が完了し、動作可能な状態となっているものとする。また、加速度センサ5からは、2つの出力G1及びG2のデジタルデータG1値及びG2値がCPU24へ入力され得る状態となっているものとする。
【0100】
図12に示す処理フローと、図11に示す処理フローとの差異は、図12に示す処理フローにおいて、SW9のONが検出された後、表示部30に所定の指示表示を行う(S20)点のみである。
【0101】
具体的には、表示部30に、「ドライブレコーダの設定を行いますので、前方に直進してください。」等のメッセージを表示する。
【0102】
他のステップは、全て図11と同様であるので、説明を省略する。
【0103】
本発明に係るドライブレコーダ2では、図12に示す処理フローを利用することによって、SW9をONした後の加速度センサ5の出力を利用して、車両が「走行状態」となった時を検出し、その時の加速度センサ5の出力及びその符号に基づいて、車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号を確定する。したがって、車速パルス及びGPS信号等の外部入力を使用せずに、自動的に且つ正確に、加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となった。さらに、図12に示す処理フローでは、ユーザへの指示表示を表示部30へ表示することから、更に正確に加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となった。
【0104】
なお、S20の指示メッセージだけでなく、自動設定全体について、音声ガイダンスを表示部30の音声出力部等から出力するようにしても良い。例えば、ドライブレコーダ2の電源がONされ、自動設定がなされていない場合には、S10の前に、「ドライブレコーダの自動設定を行います。車両を水平な場所において、前進する準備をしてください。準備ができたら、ドライブレコーダのスイッチを長押ししてください。」という音声ガイダンス及びその旨の指示表示が表示部30から出力される。そして、S20の指示後に、所定の処理(S11〜S13)が完了すると、「設定が完了しました。」という音声メッセージを表示部30から出力する。このような音声ガイダンスを行いことによって、さらに容易且つ正確に、加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となる。
【0105】
図11及び図12に示す処理フローでは、SW9をONした後の加速度センサ5の出力を用いて、加速度センサ5の自動設定を行っている。しかしながら、SW9の操作は、前述したように記録条件の成立の一つ(撮影SW)となるので、記録条件の成立(所定の映像情報の記録を行う場合)の指示及び加速度センサ5の自動設定に関して、SW9を兼用して利用していることとなる。そこで、記録条件の成立とする場合と、加速度センサ5の自動設定を行う場合とで、操作方法を異なるようにすることが好ましい。例えば、加速度センサ5の自動設定を行う場合には、SW9を所定時間以上(例えば、1秒以上)「長押し」するようにし、記録条件の成立とする場合には単純な1回の押圧とするように区別しても良い。なお、加速度センサ5の自動設定を行う場合には、上記の「長押し」に限定されず、連続して複数回以上の押圧とする等、様々な改変が可能である。さらに、記録条件の成立(所定の映像情報の記録を行う場合)の指示と、加速度センサ5の自動設定の為に複数のスイッチを設けても良い。
【0106】
図13は、加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの更に他の例を示す図である。
【0107】
図13に示す処理フローは、不揮発性ROM16に記憶された制御プログラム17に基づいてCPU24が実行するものとし、処理フローが実行される時点で、ドライブレコーダ2には電力が供給され、図7に示す起動処理(S1)が完了し、動作可能な状態となっているものとする。また、加速度センサ5からは、2つの出力G1及びG2のデジタルデータG1値及びG2値がCPU24へ入力され得る状態となっているものとする。
【0108】
図13に示す処理フローと、図12に示す処理フローとの差異は、図13に示す処理フローでは、加速度センサ5の自動設定として、更にオフセット設定を行っている点である。オフセット設定については後述する。
【0109】
図14は、ドライブレコーダ2と加速度センサ5との位置関係を示す図である。
【0110】
図14(a)はドライブレコーダ2を立てて車両1に配置した場合を示し(図8参照)、図14(b)はドライブレコーダ2を図10(a)の状態から更に角度θだけ傾けた状態を示した図である。また、図14(a)及び図14(b)の矢印Bは、図8と同様に、ドライブレコーダ2の表面(スイッチ8がある面)を示している。
【0111】
図14(b)のようにドライブレコーダ2が設置されてしまうと、重力によって、車両1が完全に停止していても、加速度センサ5は、所定の値を出力してしまう。そこで、車両1が完全に停止している状態での加速度センサ5の出力が「0」となるように、オフセット設定を行って、正確な加速度値を得られるようにしている。本ドライブレコーダ2では、図14(b)に示す傾き角度θが30度程度までオフセット設定を行うことで適切に動作可能なように構成されている。
【0112】
図13に示す処理フローにおいて、CPU24は、最初に、ドライブレコーダ2のSW9が押されたか否かの判断を行う(S10)。
【0113】
次に、CPU24は、SW9の操作が「長押し」されたか否か(例えば、1秒以上、SW9が押圧されたか否か)の判断を行う(S31)。S31において、「長押し」と判断された場合には、S20以下のステップに移行し、図12に示す処理フローと同様に、加速度センサ5の何れの出力が車両1の前後方向に対応しているか及びその符号の方向を確定し、内部メモリ等に記憶させる。
【0114】
S31において、「長押し」ではないと判断された場合には、CPU24は、SW9の操作が「連続2回押圧」されたか否か(例えば、1秒以内に2回SW9が押圧されたか否か)の判断を行う(S32)。S32において、「連続2回押圧」されていないと判断された場合には、通常の操作であると判断し、記録条件成立として(S33)、連のステップを終了する。
【0115】
S32において、「連続2回押圧」ではないと判断された場合には、CPU24は、オフセット設定を行うモードを開始すべく、加速度センサ5のG1値及びG2値を取得する(S34)。
【0116】
次に、CPU24は、G1値及びG2値の絶対値が、所定時間以上(例えば、5秒以上)、所定閾値以上(例えば、1G以上)の値を出力しているか否かの判断を行う(S35)。前述したように、図14におけるθが30度以下の場合には、本願のドライブレコーダ2は加速度センサ5のオフセット設定を行って、適切にその出力を利用することができる。ここで言う、所定時間以上(例えば、5秒以上)、所定閾値以上(例えば、1G以上)とは、オフセット設定の可能範囲を超えると思えるような値を指す。
【0117】
したがって、S35において、所定時間以上(例えば、5秒以上)、所定閾値以上(例えば、1G以上)の値を検出した場合には、表示部30に警告表示を行い(S36)、加速度センサ5の自動設定を終了する。
【0118】
S35において、所定時間以上(例えば、5秒以上)、所定閾値以上(例えば、1G以上)の値を検出していない場合には、CPU24は、S33において検出した値を「0」にするように、オフセット設定を行う(S37)。
【0119】
その後、CPU24は、図12に示したステップS20、S11〜S13を行って、加速度センサ5の自動設定及びオフセット設定を終了する。オフセット設定を行う場合では、ドライブレコーダ2を取り付けた場合が多いと思われるので必ず加速度センサ5の自動設定を連続して行うこととしたものである。
【0120】
本発明に係るドライブレコーダ2では、図13に示す処理フローを利用することによって、SW9をONした後の加速度センサ5の出力を利用して、車両が「走行状態」となった時を検出し、その時の加速度センサ5の出力及びその符号に基づいて、車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号を確定する。したがって、車速パルス及びGPS信号等の外部入力を使用せずに、自動的に且つ正確に、加速度センサ5の自動設定を行うことが可能となった。さらに、図13に示す処理フローでは、ドライブレコーダ2が設置された場合のオフセット設定も合わせて行うことが可能となった。
【0121】
図11〜図13に示す処理フローは、所定回実行され(例えば、5回)、所定回の判断結果の内、最も多い判断結果に基づいて、加速度センサ5の自動設定を行うようにしても良い。
【0122】
また、図11〜図13に示す処理フローは、連続的に実行され、所定回数以上連続して(例えば連続5回以上)、同じ判定結果がでた場合に、その判断結果に基づいて、加速度センサ5の自動設定を行うようにしても良い。
【0123】
図11〜図13に示す処理フローでは、加速度センサ5からのアナログ出力502とA/D変換器6でデジタル出力に変換後にCPU24へ入力して利用していた。しかしながら、車両のエンジンの振動や道路の段差によって、出力されるデジタル値にノイズが乗る可能性がある。そこで、A/D変換器6の出力をそのまま使用するのではなく、その値をフィルタリングした値を用いるようにしても良い。フィルタリングする方法としては、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタをA/D変換器6とCPU24との間に配置しても良いし、予め不揮発性ROM16等に記憶されたフィルタリング処理用のソフトウエアによるFIRデジタルフィルタによってA/D変換器6でデジタル出力を処理するようにしても良い。
【0124】
さらに、図11〜図13に示す処理フローにおいて、例えば10msec毎に検出したA/D変換器6のデジタル出力の10サンプル分の平均値、又は10サンプルの移動平均で平滑化したデータを用いても良い。これらのデータを利用することは、結果的に、ローパスフィルタでノイズをカットするのと同様の効果を得ることができる。
【0125】
図11〜図13に示す処理フローによって、車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号を確定した後には、前述した記録条件が成立した場合、急加速(例えば、車両の前後方向の加速度の出力が+0.4G以上)、急減速(例えば、車両の前後方向の加速度の出力が−0.4G以上)、急ハンドル(例えば、車両の左右方向の加速度の出力が+0.4G以上)等が検出された場合には、それに対応した点滅をLED25で行ったり、警告音をブザー26から発するようにしても良い。また、表示部30において、検出した状態に応じたメッセージ(例えば、「急加速です、エコドライブでいきましょう!」、「急ブレーキでは、十分な車間距離を取りましょう!」)を表示するようにしても良い。さらに、個別に用意した警告ランプを点灯させ、点灯の色や点滅方法を変更しても良い。これによって、ドライバー自身に運転の悪い癖を認識させることも可能となる。
【0126】
次に、図11〜図13に示す処理フローによって、確定された車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号のリセットについて説明する。
【0127】
ドライブレコーダ2では、ACCスイッチ19のアクセサリオン信号511を受信することにより、電源制御回路22から電源が供給され制御を開始する(即ち、電源が投入される)。また、電源SW20を利用して、ACCスイッチ19をオンさせずにドライブレコーダ2の電源を投入することができる。このように、ドライブレコーダ2の電源が投入される毎に、CPU24は、図11〜図13に示す処理フローによって、確定された車両の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両1の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号をリセットする。ドライブレコーダ2がユーザによって車両内部で移動されたり、付け替えられたりした場合には、必ず、ドライブレコーダ2の電源が再投入されることから、誤った判定を避けるために、電源投入時には、必ず、確定され、内部メモリ等に記憶されたデータをリセットすることとしたものである。
【0128】
なお、図5に示す様に、ドライブレコーダ2は、バッテリ21から供給される電圧によって動作するように構成されているが、バッテリ21と直接接続せずに、車両のシガーソケットから供給される電圧によって動作するようにしても良い。シガーソケットから電圧を取れるようにすることによって、面倒なバッテリ21との配線を行わずに済ませることができ効率的にドライブレコーダ2を設置することが可能となる。そのような場合、シガーソケットから電圧は、ACCスイッチ19に連動してON/OFFされるため、ドライブレコーダ2も、ACCスイッチ19のONに応じて電源が投入されることとなる。したがって、シガーソケットから電圧を取る場合にも、同様の構成で、確定され、内部メモリ等に記憶されたデータをリセットすることができる。
【0129】
また、ドライブレコーダ2とバッテリ21との接続が切断された場合に、CPU24は、図11〜図13に示す処理フローによって、確定された車両1の前後方向の加速度の出力に対応している値(軸)、車両の左右方向の加速度の出力に対応している値(軸)、及びその符号をリセットする。具体的には、電源制御回路22が内蔵するバックアップバッテリを利用して動作し、バッテリ21の供給電源の低下を検知する制御信号をCPU24に供給し、供給された制御信号に応じて、CPU24は、確定され、内部メモリ等に記憶されたデータをリセットする。ドライブレコーダ2とバッテリ21との接続が切断された場合には、ドライブレコーダ2が一旦取り外されたと判断し、誤った判定を避けるために、確定され、内部メモリ等に記憶されたデータをリセットすることとしたものである。
【0130】
前述したように、確定され、内部メモリ等に記憶されたデータをリセットされた後には、再度、図11〜13図に示す処理フローに従って、値や符号が確定され、内部メモリ等に記憶されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】ドライブレコーダを車両に搭載した例を示す図である。
【図2】ドライブレコーダの等を車両に設置した例を示す図である。
【図3】ドライブレコーダ本体の斜視図である。
【図4】再生装置の外観例を示す図である。
【図5】ドライブレコーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】ドライブレコーダの処理フローの一例を示す図である。
【図8】ドライブレコーダの取り付け箇所の例を示す図である。
【図9】図8に示すドライブレコーダ2の加速度センサの出力例を示す図である。
【図10】図8に示すドライブレコーダ2の加速度センサの出力例を示す図である。
【図11】加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの他の例を示す図である。
【図12】加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの他の例を示す図である。
【図13】加速度センサ5の自動設定を行うための処理フローの更に他の例を示す図である。
【図14】ドライブレコーダと加速度センサとの位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0132】
1 車両
2 ドライブレコーダ
3 第1カメラ
4 第2カメラ
5 加速度センサ
6 A/D変換器
7 メモリカード
8 マイクロフォン
9 スイッチ
11 インターフェイス
12 ビデオスイッチ
13 画像処理回路
14 第1RAM
15 第2RAM
16 不揮発性ROM
17 制御プログラム
18 表示灯
19 アクセサリスイッチ
20 電源スイッチ
21 バッテリ
22 電源制御回路
24 CPU
25 LED
26 ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用のドライブレコーダであって、
第1の方向の加速度を出力する第1の加速度センサと、
第1の方向と異なる第2の方向の加速度を出力する第2の加速度センサと、
前記第1の加速度センサ及び第2の加速度センサの出力に基づいて、前記第1及び第2の加速度センサ出力の何れが車両の前後方向の加速度を示すかを判断する制御部と、
を有することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
制御入力を行うための入力部を更に有し、
前記制御部は、前記制御入力の入力後に入力された前記第1及び第2の加速度センサの出力に基づいて、前記第1及び第2の加速度センサの出力の何れが前記車両の前後方向の加速度を示すかを判断する、請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
表示部を更に有し、
前記制御部は、前記表示部に、前記車両の停止状態において前記制御入力を行うように指示表示又は音声ガイダンスを行うように制御する、請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
表示部を更に有し、
前記制御部は、前記表示部に、前記車両の停止状態において前記制御入力を行い、次に前記車両を前進させるように指示表示又は音声ガイダンスを行うように制御する、請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
画像撮像部を更に有し、
前記入力部に入力される制御入力は、前記画像撮像部による撮像開始指示である、請求項2〜4の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記入力部に入力される制御入力は、前記ドライブレコーダのオフセット補正の開始指示である、請求項2〜4の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
前記制御部が、前記第1及び第2の加速度センサの出力の何れが前記車両の前後方向の加速度を示すかの判断を行った場合、又は前記第1及び第2の加速度センサの出力の何れが前記車両の前後方向の加速度を示すかの判断をまだ行っていない場合に、その旨を音又は表示によって報知する報知手段を更に有する、請求項2〜6の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項8】
前記制御入力後、所定時間経過しても、前記第1及び第2の加速度センサの出力が閾値以上にならない場合には、前記制御部は、前記第1及び第2の加速度センサの出力の何れが前記車両の前後方向の加速度を示すかの判断を中止する、請求項2〜7の何れか一項に記載のドライブレコーダ。
【請求項9】
前記第1及び第2の加速度センサから前記制御部への出力からノイズを除去するフィルタリング手段を更に有する、請求項1〜8の何れか一項に記載のドライブレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−301106(P2009−301106A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151711(P2008−151711)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】