説明

ドライレジスト感光材料の製造方法およびドライレジスト感光材料

【課題】 複数のレジスト層を有するドライレジスト感光材料であって品質故障のないドライレジスト感光材料を安定に製造できるドライレジスト感光材料の製造方法およびドライレジスト感光材料の提供。
【解決手段】 同時多層塗布装置を用いて支持体上に2種以上の塗布液を一括で塗布して乾燥することにより、前記複数層の感光層を同時に形成するドライレジスト感光材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライレジスト感光材料の製造方法およびドライレジスト感光材料に関し、特に、複数のレジスト層を有するドライレジスト感光材料であって感光層のレチキュレーションや吸湿・膨潤など品質故障のないドライレジスト感光材料を安定に、しかも高い生産効率で製造できるドライレジスト感光材料の製造方法および前記製造方法で製造されたドライレジスト感光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライレジスト感光材料においては、より高精度な配線パターンの書き込みができることが要求されている。
【0003】
このような要求に応えられるドライレジスト感光材料としては、感光層などの層を2層以上有するものや、支持体と感光層との間にクッション層を設けたものなどの多層型ドライレジスト感光材料がある。
【0004】
多層型ドライレジスト感光材料においても、感光層を形成する塗布液としては、非水溶性有機溶媒系の塗布液が一般的に使用されるが、各層毎に特性の大きく異なる塗布液を用いることが多い。
【0005】
それ故、多層型ドライレジスト感光材料は、これまでは、塗布層を塗布して次いでそれを乾燥させて一の層を形成し、その上に次の塗布液を塗布して乾燥して他の層を形成するという方法で製造されるのが一般的であった(特許文献1〜5)。
【特許文献1】特開平10−111570号
【特許文献2】特開平03−017650号
【特許文献3】特開昭56−025732号
【特許文献4】特開昭56−136027号
【特許文献5】特開平10−337524号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記方法においては、1層毎に塗布液の塗布、乾燥、巻取りを行なうので生産効率が悪いという問題があり、また、製造ラインが大掛かりになり,製造ラインの占めるスペースや投資額が増大するという問題もあった。更に、乾燥や巻取りの際に異物が混入し、各種の品質故障の原因になることもあった。加えて一の塗布液を塗布してからその上に他の塗布液を塗布するまでに長時間が経過することが多いから、前記一の塗布液を塗布されて形成された一の感光層が吸湿して、前記吸湿に起因する皺であるレチキュレーションや吸湿膨張などの問題が生じることもあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、多層型ドライレジスト感光材料であって感光層のレチキュレーションや吸湿・膨潤など品質故障のないドライレジスト感光材料を安定に、しかも高い生産効率で製造できるドライレジスト感光材料の製造方法およびドライレジスト感光材料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、支持体上に2層以上の感光層を形成したドライレジスト感光材料の製造方法であって、同時多層塗布装置を用いて支持体上に2種以上の塗布液を一括で塗布して乾燥することにより、前記複数層の感光層を同時に形成することを特徴とするドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0009】
前記ドライレジスト感光材料の製造方法においては、前記複数の感光層を同時に形成しているから、各感光層毎に塗布液の塗布と乾燥、巻取りとを繰り返す場合に比較して製造ラインが遥かに短くて済み、製造ラインの占めるスペースや投資額も少なくて済む。更に、工程長が短くなるから、工程内において塗布液面が開放系にあることによる異物混入の可能性が少なくなり、したがって工程内の塵埃管理の負担も少なくなる。
【0010】
加えて同時に複数の塗布液を塗布しているから、1層づつ塗布液を塗布して乾燥する場合に比較して1度に大きな膜厚の塗布膜を形成できる。したがって、巻取り皺を軽減できる。また、1層づつ塗布液を塗布して乾燥する場合には、塗布後、乾燥中に塗布液または感光層が吸湿してレチキュレーションが生じることがあるが、前記方法においては、上層として硬度の高い膜を形成することにより、レチキュレーションを効果的に防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドライレジスト感光材料の製造方法において、前記同時多層塗布装置として2以上のスロットを有するダイコータを用いることを特徴とするドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のドライレジスト感光材料の製造方法において、前記同時多層塗布装置として1のスライド面と1または2以上のスロットを有するダイコータを用いることを特徴とするドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0013】
請求項2および3に記載のダイコータは、本発明のドライレジスト感光材料の製造方法において好適に使用される同時多層塗布装置の例である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法において、隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する上層塗布液の表面張力σ1が、支持体層により近い下層を形成する下層塗布液の表面張力σ2よりも小さいドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0015】
前記ドライレジスト感光材料の製造方法によれば、上層塗布液が下層塗布液によって弾かれる塗布弾きの発生を好適に防止できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法において、隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する塗布液の比重g1が、支持体層により近い下層を形成する塗布液の比重g2以下であるドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0017】
前記ドライレジスト感光材料の製造方法によれば、上層と下層との塗布液が混ざり合う塗布液の混合の発生を効果的に防止できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法において、隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する上層塗布液の粘度η1が、支持体層により近い下層を形成する下層塗布液の粘度η2以下であるドライレジスト感光材料の製造方法に関する。
【0019】
前記ドライレジスト感光材料の製造方法によっても、上層と下層との塗布液が混ざり合う塗布液の混合の発生を効果的に防止できる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法によって製造されたことを特徴とするドライレジスト感光材料に関する。
【0021】
前記ドライレジスト感光材料においては、請求項1〜6のところで説明した理由により、レチキュレーションや上層の塗布液と下層の塗布液との混合や塗布弾きなどの品質故障がなお。また、製造ラインの占めるスペースや投資額も少なくて済むから、安価に製造できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、複数のレジスト層を有するドライレジスト感光材料であって感光層のレチキュレーションや吸湿・膨潤など品質故障のないドライレジスト感光材料を安定に、しかも高い生産効率で製造できるドライレジスト感光材料の製造方法およびドライレジスト感光材料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
1.ドライレジスト感光材料の形態
本発明に係るドライレジスト感光材料の製造方法で製造されるドライレジスト感光材料としては、たとえば図1に示すように、支持体2上に下層4を形成し、その上に上層6を形成した2層型ドライレジスト感光材料20などがある。なお、上層6の表面に保護フィルム10を貼着し、使用開始まで、上層を空気中の酸素から保護するのが好ましい。図1の(A)は、2層型ドライレジスト感光材料であって上層6の表面に保護フィルム10を貼着したものを示す。
【0024】
下層4の例としては低感度層があり、上層の例としては、前記低感度層よりもレーザ光に対する感度が高い高感度層がある。
【0025】
ドライレジスト感光材料においては、図2において(A)に示すように、上層6の側を銅貼り基板30の無電解銅鍍金層32に貼り合せ、同図において(B)に示すように、支持体2の側からレーザ光を照射して露光する。また、上層6の表面に保護フィルム10を貼着したものにおいては、保護フィルム10を剥離してから上層6の側を銅貼り基板30に貼り合せて露光する。なお、図2において36は銅貼り基板30の基板を、34は銅蒸着層を、38はスルーホールを示す。
【0026】
2.同時多層塗布装置の形態
本発明に係るドライレジスト感光材料の製造方法において使用される同時多層塗布装置の例を図3および図4に示す。
【0027】
図3において(A)に示す同時多層塗布装置100および(B)に示す同時多層塗布装置102は、2層型ドライレジスト感光材料20の製造に使用される同時多層塗布装置の一例である。
【0028】
同時多層塗布装置100は、2つのスロットを有するダイコータの例であって、支持体2を巻き掛けて搬送する搬送ドラム40と、搬送ドラム40に対向するように配設されたダイ42とを有する。
【0029】
ダイ42は、略楔状に形成され、ドラム40に向かって厚さが縮小するように配設されている。
【0030】
ダイ42の内部には、ドラム40に相対する側の端面に向かって第1スロット44Aおよび第2スロット46Aが設けられている。第1スロット44Aおよび第2スロット46Aは互いに平行に形成され、ドラム40に相対する側の端面において開口している。第1スロット44Aからは下層4を形成する下層塗布液が吐出され、第2スロット46Aからは上層6を形成する上層塗布液が吐出される。
【0031】
第1スロット44Aおよび第2スロット46Aの根元部には、塗布液供給流路44Bおよび塗布液供給流路46Bが夫々連通している。第1スロット44Aおよび第2スロット46Aには、夫々塗布液供給流路44Bおよび塗布液供給流路46Bを通して塗布液が供給される。
【0032】
ドラム40に支持体2を巻き掛けて矢印aの方向に回転させ、同時に塗布液供給流路44Bに下層塗布液を、塗布液供給流路46Bに上層塗布液を供給すれば、下層塗布液は第1スロット44Aから支持体2上に吐出され、上層塗布液は第2スロット46Aから吐出されて下層塗布液に積層される。これを適宜の方法で乾燥すれば、支持体2上に形成された下層4と、その上に重ねて形成された上層6とを有する2層型ドライレジスト感光材料20が形成される。
【0033】
同時多層塗布装置102は、1のスライド面と1または2以上のスロットを有するダイコータの例であって、支持体2を巻き掛けて搬送する搬送ドラム50と、搬送ドラム50に対向するように配設されたダイ52とを有する。
【0034】
ダイ52は、略楔状に形成され、ドラム50に向かって厚さが縮小するように配設されている。
【0035】
ダイ52の内部には、ドラム50に相対向する端面において開口する第1スロット54Aと、上方からスロット54Aの開口部に向かって斜め下方に延びスライド面58と、スライド面58の途中に開口する第2スロット56Aとを備える。第1スロット54Aと第2スロット56Aの根元には、第1スロット54Aおよび第2スロット56Aに夫々塗布液を供給する塗布液供給流路54Aおよび塗布液供給流路56Bが設けられている。
【0036】
ドラム50に支持体2を巻き掛けて矢印aの方向に回転させ、同時に塗布液供給流路54Bに下層塗布液を、塗布液供給流路56Bに上層塗布液を供給すれば、下層塗布液は第1スロット54Aから支持体2上に吐出される。一方、上層形成液は、第2スロット56Aからスライド面58に吐出され、下層塗布液に積層される。これを適宜の方法で乾燥すれば、支持体2上に形成された下層4と、その上に重ねて形成された上層6とを有する2層型ドライレジスト感光材料20が形成される。
【0037】
3.ドライレジスト感光材料の各層の説明
3−1 下層
下層4の主成分としては、たとえばバインダと重合性化合物と光重合性開始剤とを挙げることができる。下層には、このほか、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤、着色剤などを配合でき、更に基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤等)を配合してもよい。これらの成分を適宜配合することにより、下層4の感度、焼きだし性、膜物性等の性質を後述する上層6との関係で調整することができる。
【0038】
以下、下層4に配合される各成分について詳説する。
【0039】
A.バインダ
バインダとしては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性乃至可溶性のポリマーが使用される。
【0040】
このようなポリマーとしては、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などの酸性基を有する酸性基含有ポリマーが挙げられる。
【0041】
酸性基含有ポリマーの例としては、ビニル共重合体系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などであってカルボキシル基を有するものが挙げられ、これらの中で、溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成の容易さ、膜物性の調整の容易さなどの点からカルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂が最も好ましい。
【0042】
カルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂としては、カルボキシル基を有するカルボキシル基含有ビニルモノマーの単独重合体、および前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとそれ以外の共重合モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0043】
A−1 カルボキシル基含有ビニルモノマー
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
【0044】
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
【0045】
A−2 共重合体モノマー
共重合モノマーには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、リン酸モノ(2―アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2―アクリロイルオキシエチルエステル)、官能基(例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基)を有するビニルモノマーなどが挙げられる。
【0046】
前記(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0047】
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
【0048】
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0049】
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0050】
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0051】
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0052】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0053】
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t-Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0054】
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0055】
これらの共重合モノマーは、単独でも2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0056】
A−3 カルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂の製法
前記カルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂は、それぞれ相当するモノマーを公知の方法により常法に従って共重合させることで調製することができる。例えば、前記モノマーを適当な溶媒中に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加して溶液中で重合させる溶液重合法を利用することにより調製することができる。また、水性媒体中に前記モノマーを分散させ、その中にラジカル重合開始剤を添加して重合を開始させる乳化重合等も可能である。
【0057】
前記溶液重合法で用いられる適当な溶媒には特に制限はなく、使用するモノマー、及び生成する共重合体の溶解性等に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記ラジカル重合開始剤には特に制限はなく、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩などが挙げられる。
【0059】
A−3 カルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂の特性
カルボキシル基含有ビニル共重合体系樹脂のカルボキシル基含有ビニルモノマーの含有率には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、15〜35モル%が特に好ましい。
【0060】
前記含有率が、5モル%以上であれば、アルカリ性現像液に対する充分な限造成が得られ、50モル%以下であれば、硬化部(画像部)の現像液耐性が充分である。
【0061】
前記カルボキシル基を有するバインダーの分子量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、質量平均分子量として、2,000〜300,000が好ましく、4,000〜150,000がより好ましい。
【0062】
前記質量平均分子量が2,000以上であれば、充分な膜強度が得られ、安定な製造が容易であり、300,000以下であれば、良好な現像性が得られる。
【0063】
前記カルボキシル基を有するバインダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記バインダーを2種以上併用する場合としては、例えば、異なる共重合成分からなる2種以上のバインダー、異なる質量平均分子量の2種以上のバインダー、異なる分散度の2種以上のバインダー、などの組合せが挙げられる。
【0064】
前記カルボキシル基を有するバインダーは、そのカルボキシル基の一部又は全部が塩基性物質で中和されていてもよい。また、前記バインダーは、さらにポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の構造の異なる樹脂を併用してもよい。
【0065】
また、前記バインダーとしては、特許2873889号等に記載のアルカリ水溶液に可溶な樹脂などを用いることができる。
【0066】
前記感光層における前記バインダーの含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が特に好ましい。
【0067】
前記含有量が10質量%未満であると、アルカリ現像性やプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)との密着性が低下することがあり、90質量%を超えると、現像時間に対する安定性や、硬化膜(テント膜)の強度が低下することがある。なお、前記含有量は、前記バインダーと必要に応じて併用される高分子結合剤との合計の含有量であってもよい。
【0068】
前記バインダーの酸価には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、70〜250(mgKOH/g)が好ましく、90〜200(mgKOH/g)がより好ましく、100〜180(mgKOH/g)が特に好ましい。
【0069】
酸価が70(mgKOH/g)以上であれば、充分な現像性や解像性が得られる。一方、酸価が250(mgKOH/g)以下であれば、パターンの耐現像液性及び密着性のいずれも良好である。したがって、酸価が前記範囲内であれば、配線パターン等の永久パターンを高精細に得ることができる。
【0070】
B.重合性化合物
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレタン基及びアリール基の少なくともいずれかを有するモノマー又はオリゴマーが好適に挙げられる。また、これらは、重合性基を2種以上有することが好ましい。
【0071】
前記重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合(例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエステルやビニルエーテル等のビニル基、アリルエーテルやアリルエステル等のアリル基など)、重合可能な環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基等)などが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和結合が好ましい。
【0072】
B−1 ウレタン基含有モノマー
前記ウレタン基含有モノマーとしては、ウレタン基を有する限り、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特公昭48−41708、特開昭51−37193、特公平5−50737、特公平7−7208、特開2001−154346、特開2001−356476号公報等に記載されている化合物などが挙げられ、例えば、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と分子中に水酸基を有するビニルモノマーとの付加物などが挙げられる。
【0073】
前記分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート等のジイソシアネート;該ジイソシアネートを更に2官能アルコールとの重付加物(この場合も両末端はイソシアネート基);該ジイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート等の3量体;該ジイソシアネート若しくはジイソシアネート類と、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、グリセリン等の多官能アルコール、又はこれらのエチレンオキシド付加物等の得られる他官能アルコールとの付加体などが挙げられる。
【0074】
前記分子中に水酸基を有するビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(ランダム、ブロック等)などの異なるアルキレンオキシド部を有するジオール体の片末端(メタ)アクリレート体などが挙げられる。
【0075】
また、前記ウレタン基含有モノマーとしては、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレート環を有する化合物が挙げられる。
【0076】
B−2 アリール基含有モノマー
前記アリール基含有モノマーとしては、アリール基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物及び多価アミノアルコール化合物の少なくともいずれかと不飽和カルボン酸とのエステル又はアミドなどが挙げられる。
【0077】
前記アリール基を有する多価アルコール化合物、多価アミン化合物又は多価アミノアルコール化合物としては、例えば、ポリスチレンオキサイド、キシリレンジオール、ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、2、2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシエチルレゾルシノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、2,3,5,6−テトラメチル−p−キシレン−α,α’−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ブタンジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1’−ビ−2−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、1,1’−メチレン−ジ−2−ナフトール、1,2,4−ベンゼントリオール、ビフェノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、カテコール、4−クロルレゾルシノール、ハイドロキノン、ヒドロキシベンジルアルコール、メチルハイドロキノン、メチレン−2,4,6−トリヒドロキシベンゾエート、フロログリシノール、ピロガロール、レゾルシノール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、α−(1−アミノエチル)−p−ヒドロキシベンジルアルコール、3−アミノ−4−ヒドロキシフェニルスルホンなどが挙げられる。また、この他、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、ノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジル化合物にα、β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、フタル酸やトリメリット酸などと分子中に水酸基を含有するビニルモノマーから得られるエステル化物、フタル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、ベンゼンジスルホン酸ジアリル、重合性モノマーとしてカチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ビスフェノールAジビニルエーテル)、エポキシ化合物(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、ビニルエステル類(例えば、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート、ジビニルベンゼン−1,3−ジスルホネート等)、スチレン化合物(例えば、ジビニルベンゼン、p−アリルスチレン、p−イソプロペンスチレン等)が挙げられる。
【0078】
前記アリール基含有モノマーの具体例としては、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換しさせたエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン等)、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリルオキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、フェノール性のOH基1個に置換させたエトキシ基の数が2から20である2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロイルオキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン等)、又はこれらの化合物のポリエーテル部位として同一分子中にポリエチレンオキシド骨格とポリプロピレンオキシド骨格の両方を含む化合物(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等、又は、市販品として、新中村化学工業社製、BPE−200、BPE−500、BPE−1000)、ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物などが挙げられる。なお、これらは、ビスフェノールA骨格に由来する部分をビスフェノールF又はビスフェノールS等に変更した化合物であってもよい。
【0079】
前記ビスフェノール骨格とウレタン基とを有する重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールとエチレンオキシド又はプロピレンオキシド等の付加物、重付加物として得られる末端に水酸基を有する化合物にイソシアネート基と重合性基とを有する化合物(例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、α、α−ジメチル−ビニルベンジルイソシアネート等)などが挙げられる。
【0080】
B−3 その他の重合性モノマー
本発明のパターン形成方法には、前記パターン形成材料としての特性を悪化させない範囲で、前記ウレタン基を含有するモノマー、アリール基含有モノマー以外の重合性モノマーを併用してもよい。
【0081】
前記ウレタン基を含有するモノマー、芳香環を含有するモノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。
【0082】
前記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜18であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2から18であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,5−ベンタンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート(例えば、WO01/98832号公報に記載の化合物等)、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくともいずれかを付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、キシレノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0083】
前記(メタ)アクリル酸エステル類の中でも、その入手の容易さ等の観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール鎖/プロピレングリコール鎖を少なくとも各々一つずつ有するアルキレングリコール鎖のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステルなどが好ましい。
【0084】
前記イタコン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イタコン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4ーブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、及びソルビトールテトライタコネートなどが挙げられる。
【0085】
前記クロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(クロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネートなどが挙げられる。
【0086】
前記イソクロトン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(イソクロトン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネートなどが挙げられる。
【0087】
前記マレイン酸と前記脂肪族多価アルコール化合物とのエステル(マレイン酸エステル)としては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレートなどが挙げられる。
【0088】
前記多価アミン化合物と前記不飽和カルボン酸類から誘導されるアミドとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、オクタメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられる。
【0089】
また、上記以外にも、前記重合性モノマーとして、例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレートやポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー類、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなど)と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、アリルエステル(例えば、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、ジアリルアミド(例えば、ジアリルアセトアミド等)、カチオン重合性のジビニルエーテル類(例えば、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等)、エポキシ化合物(例えば、ブタンジオール−1,4−ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等)、オキセタン類(例えば、1,4−ビス〔(3−エチルー3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン等)、エポキシ化合物、オキセタン類(例えば、WO01/22165号公報に記載の化合物)、N−β−ヒドロキシエチル−β−(メタクリルアミド)エチルアクリレート、N,N−ビス(β−メタクリロキシエチル)アクリルアミド、アリルメタクリレート等の異なったエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する化合物などが挙げられる。
【0090】
前記ビニルエステル類としては、例えば、ジビニルサクシネート、ジビニルアジペートなどが挙げられる。
【0091】
これらの多官能モノマー又はオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0092】
前記重合性モノマーは、必要に応じて、分子内に重合性基を1個含有する重合性化合物(単官能モノマー)を併用してもよい。
【0093】
前記単官能モノマーとしては、例えば、前記バインダーの原料として例示した化合物、特開平6−236031号公報に記載されている2塩基のモノ((メタ)アクリロイルオキシアルキルエステル)モノ(ハロヒドロキシアルキルエステル)等の単官能モノマー(例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート等)、特許2744643号公報、WO00/52529号公報、特許2548016号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0094】
B−4 重合性化合物の含有量
下層2における重合性化合物の含有量は、例えば、5〜90質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。前記含有量が、5質量%以上であれば、膜のテント強度は充分であり、90質量%以下であれば、保存時のエッジフュージョン(ロール端部からのしみだし故障)の悪化を防止できる。
【0095】
また、重合性化合物中に前記重合性基を2個以上有する多官能モノマーの含有量は、5〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が特に好ましい。
【0096】
C 光重合性開始剤
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(より好ましくは330〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0097】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの等)、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類などが挙げられる。これらの中でも、感光層の感度、保存性、及び感光層とプリント配線板形成用基板との密着性等の観点から、トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素、オキシム誘導体、ケトン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が好ましい。
【0098】
前記ヘキサアリールビイミダゾールとしては、例えば、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(3−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(4−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(4−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、WO00/52529号公報に記載の化合物などが挙げられる。
【0099】
前記ビイミダゾール類は、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan,33,565(1960)、及びJ.Org.Chem,36(16)2262(1971)に開示されている方法により容易に合成することができる。
【0100】
トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物が挙げられる。
【0101】
3−2 上層
上層6の主成分としては、たとえばバインダと重合性化合物と光重合性開始剤とを挙げることができる。バインダ、重合性化合物、光重合性開始剤の何れも、下層のところで述べたとおりである。
【0102】
3−3 支持体
支持体2は、露光後、下層から剥離でき、しかも露光時に使用されるレーザ光をよく透過するものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。具体的には無色透明な合成樹脂フィルムであることが好ましいが、着色透明なフィルムであってもよく、また半透明フィルムであってもよい。
【0103】
支持体2に使用される合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0104】
前記支持体の厚みは、例えば、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、8〜50μmが特に好ましいが、目的に応じて前記範囲外のものも選択できる。
【0105】
前記パターン形成材料は、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
【0106】
3−5 保護フィルム
保護フィルム10としては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
【0107】
保護フィルム10の厚みは、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましいが、前記範囲には限定されない。
【0108】
保護フィルム10を用いる場合、下層4と支持体2との間の接着力Aと、上層6と保護フィルム10との接着力Bとの間に、接着力A>接着力Bの関係が成立することが好ましい。
【0109】
支持体2と保護フィルム10との組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体2及び保護フィルム10の少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。
【0110】
支持体2の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0111】
また、支持体2と保護フィルム10との静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
【0112】
前記静摩擦係数が0.3以上であれば、滑り過ぎが生じることなく、ドライレジスト感光材料20またはドライレジスト感光材料22をロール状に巻回した場合に巻ズレが発生することがない。また、前記静摩擦係数が1.4以下であれば、ドライレジスト感光材料20またはドライレジスト感光材料22をロール状に巻くことはそれほど困難ではない。
【実施例】
【0113】
1.実施例1,実施例2、比較例1〜3
[下層塗布液の組成]
下層塗布液の組成は下記のとおりである。
a.メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/ヘ゛ンシ゛ルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (共重合体組成(モル比):55/11.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:70℃) ・・・15質量部
b.ドデカポリプロピレングリコールジアクリレート ・・・ 6.5質量部
c.テトラエチレングリコールジメタクリレート ・・・ 1.5質量部
d.4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン ・・・ 0.04質量部
e.ベンゾフェノン ・・・ 1.0質量部
f.4−トルエンスルホンアミド ・・・ 0.5質量部
g.マラカイトグリーン蓚酸塩 ・・・ 0.02質量部
h.1,2,4−トリアゾール ・・・ 0.01質量部
i.ロイコクリスタルバイオレット ・・・ 0.2質量部
j.トリブロモフェニルスルホン ・・・ 0.1質量部
k.弗素系オリゴマー ・・・ 0.1質量部
l.メチルエチルケトン ・・・15質量部
m.プロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・10質量部
n.シクロヘキサノン ・・・ 5質量部。
【0114】
[上層塗布液の組成]
上層塗布液の組成は下記のとおりである。
a.メチルメタクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート/ヘ゛ンシ゛ルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合体組成(モル比):40/26.7/4.5/28.8、質量平均分子量:90000、Tg:50℃) ・・・15質量部
b.ポリプロピレングリコールジアクリレート ・・・ 6.5質量部
c.テトラエチレングリコールジメタクリレート ・・・ 1.5質量部
d.4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン ・・・ 0.4質量部
e.ベンゾフェノン ・・・ 3.0質量部
f.4−トルエンスルホンアミド ・・・ 0.5質量部
g.マラカイトグリーン蓚酸塩 ・・・ 0.02質量部
h.1,2,4−トリアゾール ・・・ 0.01質量部
i.ロイコクリスタルバイオレット ・・・ 0.2質量部
j.トリブロモフェニルスルホン ・・・ 0.1質量部
k.弗素系オリゴマー ・・・ 0.1質量部
l.メチルエチルケトン ・・・15質量部
m.プロピレングリコールモノメチルエーテル ・・・10質量部
n.シクロヘキサノン ・・・ 5質量部。
【0115】
図3において(A)に示すダイコータ100を用い、支持体2として厚さ16μmのPETフィルムを用い、下層塗布液を第1スロット44Aに、上層塗布液を第2スロット46Aに供給して支持体2に塗布し、目視でレチキュレーション現象の有無および程度を評価した。結果を表1に示す。なお表1における下層塗布液および上層塗布液の厚みは乾膜厚みである(以下同様。)。
【0116】
【表1】

表1において、○は、レチキュレーションの発生が認められなかったことを示し、△は、レチキュレーションの発生が認められたものの、品質上許容できるぎりぎりのレベルであったことを示し、×は、品質上許容できない程度のレチキュレーションの発生が認められたことを示す。
【0117】
なお、上層塗布液および下層塗布液の物性は表2に示す通りであった。
【0118】
【表2】

表1から明らかなように、下層形成液と上層形成液とを同時重層塗布して支持体上の塗膜の厚さを大きくすることにより、得られたドライレジスト感光材料を巻取るときの皺の発生を低減させることができる。
【0119】
また、比較例1〜3に示すように、支持体上に塗布液を1層だけ塗布したときはレチキュレーションが生じ易いが、実施例1および2に示すように、下層形成液と上層形成液とを同時重層塗布したときは、全体としての塗布厚みが比較例1〜3と同一であってもレチキュレーションが生じ難い。
【0120】
2.実施例3,参考例1、2
実施例1,2、比較例1〜3で使用した上層形成液および下層形成液の表面張力を表3に示すように調整した場合における塗布ハジキ故障の有無および程度について目視で評価した。結果を表3に示す。また、下層の塗布厚みを15μm、上層の塗布厚みを5μmとした。また、比重および粘度については表2に示す通りである。
【0121】
【表3】

表3において、○は、塗布面に塗布ハジキが認められなかったことを、×は、塗布ハジキが明瞭に認められたことを示す。
【0122】
表3から明らかなように、上層塗布液の表面張力σ1が下層塗布液の表面張力σ2よりも小さい実施例3においてはドライレジスト感光材料20の表面に塗布ハジキの発生は認められなかったが、上層塗布液の表面張力σ1が下層塗布液の表面張力σ2と均しいかまたは大きな参考例1および参考例2においては、品質上問題になる程度に塗布ハジキの発生が認められた。
【0123】
3.実施例4、5、参考例3、4
実施例1,2、比較例1〜3で使用した上層形成液および下層形成液の比重を表4に示すように調整した場合における塗布液間の層混合の発生について目視で評価した。結果を表4に示す。
【0124】
【表4】

表4において、○は、塗布液の層混合が認められなかったことを示し、△は、塗布液の層混合が一部認められたことを示す。
【0125】
下層塗布液および上層塗布液の表面張力、粘度、乾膜厚みについては表5に示すとおりである。
【0126】
【表5】

表4に示すように、上層塗布液の比重g1が下層塗布液の比重g2と均しいかまたは小さい実施例4および5においてはドライレジスト感光材料20の表面に塗布液の層混合は認められなかったが、上層塗布液の表面張力σ1が下層塗布液の表面張力σ2よりも大きな参考例3および参考例4においては、表面の一部に塗布液の層混合の発生が認められた。
【0127】
4.実施例6〜11、参考例5〜8
実施例1,2、比較例1〜3で使用した上層形成液および下層形成液の粘度を表6に示すように調整した場合における塗布液間の層混合の発生について目視で評価した。結果を表6に示す。
【0128】
【表6】

表6において、○は、塗布液の層混合が認められなかったことを示し、△は、塗布液の層混合が一部認められたことを、×は、塗布液の層混合が多く見られたことを示す。
【0129】
下層塗布液および上層塗布液の表面張力、比重、乾膜厚みについては表7に示すとおりである。
【0130】
【表7】

表6に示すように、上層塗布液の粘度η1が下層塗布液の粘度η2よりも小さい実施例6〜11においてはドライレジスト感光材料20の表面に塗布液の層混合は認められなかったが、上層塗布液の粘度η1が下層塗布液の粘度η2と等しいかまたは大きな参考例5〜8においては、塗布液の層混合の発生が明らかに認められた。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】図1は、2層型のドライレジスト感光材料の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示すドライレジスト感光材料を基板に貼り付けた状態を示す断面図である。
【図3】図3は、2層の同時多層塗布装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0132】
2 支持体
4 下層
6 上層
100 同時多層塗布装置
102 同時多層塗布装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に複数層の感光層を形成したドライレジスト感光材料の製造方法であって、
同時多層塗布装置を用いて支持体上に2種以上の塗布液を一括で塗布して乾燥することにより、前記複数層の感光層を同時に形成することを特徴とするドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項2】
前記同時多層塗布装置として2以上のスロットを有するダイコータを用いることを特徴とする請求項1に記載のドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項3】
前記同時多層塗布装置として1のスライド面と1または2以上のスロットを有するダイコータを用いることを特徴とする請求項1に記載のドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項4】
隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する上層塗布液の表面張力σ1は、支持体層により近い下層を形成する下層塗布液の表面張力σ2よりも小さい請求項1〜3の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項5】
隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する上層塗布液の比重g1は、支持体層により近い下層を形成する下層塗布液の比重g2以下である請求項1〜4の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項6】
隣接して形成される2層のうち、支持体からより遠い上層を形成する上昇塗布液の粘度η1は、支持体層により近い下層を形成する下層塗布液の粘度η2以下である請求項1〜5の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のドライレジスト感光材料の製造方法によって製造されたことを特徴とするドライレジスト感光材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−51469(P2006−51469A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236496(P2004−236496)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】