説明

ドラッグデリバリー組成物

【課題】動物に対する水溶性活性剤の供給に有用な安定な透明多成分組成物の提供。
【解決手段】該組成物を、動物に対して供給される活性剤に加えて油相、水性相および界面活性剤系の混合物と一緒に配合する。該組成物を、ゼラチンおよびデンプンカプセルなどのカプセルと相溶性であるように特別に配合する。該組成物の水性相は実質的な量のポリエチレングリコールを含み、そして場合により可塑剤を含むこともできる。好ましい活性剤はタンパク質性物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、1993年10月15日出願のPCT出願第PCT\US93\09933号明細書の一部継続であり、それは1992年10月16日出願の出願第07/963,326号明細書の一部継続であり、それは1992年5月20日出願の第885,202号明細書の一部継続であり、それは1992年4月15日出願のPCT出願第PCT\US92\03086号明細書の継続であり、それは、現在は放棄された1992年2月25日出願の出願第841,931号明細書の一部継続であり、それは、現在は放棄された1992年2月14日出願の出願第837,347号明細書の一部継続であり、それは順に、現在は放棄された1991年4月19日出願の出願第687,691号明細書の一部継続である。これらの出願は本明細書中にそのまま援用される。
【0002】
本発明は、生物学的活性剤の供給において有用な組成物並びにその製造法および使用法に関する。更に詳しくは、本発明は、薬剤として用いられる治療的に活性なものを含む薬物、タンパク質およびポリペプチドなどの生物学的活性剤の供給を促進するように、主として経口投与用に設計されたカプセル中に好都合に配合されたある種の独特の製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的活性物質のための新規な且つ改良されたデリバリーシステムに対する要求は存続している。バイオテクノロジー革命から出現した治療薬の多く、並びにインスリンおよびカルシトニンなどのいくつかの旧来の薬剤は、小型および大型分子タンパク質から成る。これらの薬物は、消化経路で残存することができないし、しかも胃腸管の粘膜内層を通過し且つ血流に入ることが容易ではないので、現在、それらは患者に注射される必要がある。タンパク質が例えば消化系の内層を介して血流に入ることを可能にする新規なドラッグデリバリーシステムは極めて有益であると考えられる。
【0004】
改良されたドラッグデリバリーシステムもまた、患者に対してはるかに改良された便宜を提供しうる。例えば、カルシトニンは、骨粗鬆症および他の骨損失に関係した疾患の治療に用いられる一般的なペプチドホルモンである。骨粗鬆症は、閉経後の女性の2/3を含む2400万人の米国人に影響を与えている。現在のところ、大部分のカルシトニンは注射によって与えられる。骨粗鬆症に対するカルシトニン治療は、低用量ではあるが頻繁な投薬による長期投与を必要とする。カルシトニンの経口用または坐剤製剤は、このような治療を受けている患者に対して大きな利益を与えるであろう。
【0005】
最近になって、ミクロエマルジョン、ミセルおよびリポソームなどの熱力学的に安定な組成物が、タンパク質性材料のための経口ドラッグデリバリーシステムを配合するのに試用されてきた。ミクロエマルジョンは、当該技術分野において、混合された場合に、粒度が約200nm未満、一般的には約5〜10nmより大の安定な透明溶液を生成する油、界面活性剤および水性成分の熱力学的に安定な組成物として知られている。ミクロエマルジョンは、高剪断混合装置の使用によって粒度が約200nm未満であるように製造されたエマルジョンのように、放置した場合にそれらが普通のエマルジョンに変化しないという点で安定である。ミクロエマルジョンは、更に、両方とも本明細書中にそのまま援用されるScience,カールウェイト(Kahlweit),240,617〜621(1988)(非特許文献1)でおよびバーガバ(Bhargava)ら、Pharm.Tech.,46〜53(1987年3月)(非特許文献2)に記載されている。
【0006】
油中水(w/o)ミクロエマルジョンは、水性相が不連続相であるようなミクロエマルジョンである。w/oミクロエマルジョンは、染料溶解性および導電率分析などの試験によって決定することができる。概して、w/oミクロエマルジョンは、水溶性染料を最初に分散させることはない。w/oミクロエマルジョンはまた、低い電気導電率を有する。
【0007】
ミセル溶液は、いくつかの点でミクロエマルジョンと似ているが、しかしながら、概して、それらの粒度は更に小さい。界面活性剤分子は、水中の協同的会合によって集合してミセルと称する凝集体を生成する。これらのミセルは油成分を可溶化することができるが、概して、ミクロエマルジョン程ではない。「膨潤ミセル」という用語は、時々、油成分を含むミセル溶液を意味するのに用いられる。
【0008】
このような組成物の目的は、タンパク質性材料を水性成分中に可溶化することおよび該タンパク質性材料の生物学的利用能を維持しながら該材料の貯蔵を提供することである。
種々の活性剤、特にタンパク質およびペプチドは、生体による該薬剤の適当な吸収のために腸部分に対して投与する必要がある。これらの薬物の生物学的利用能は、通常、胃中条件に対する薬剤の暴露によって低減する。したがって、ドラッグデリバリー組成物は、概して、腸溶コーティングカプセルで投与される。問題は、このようなカプセルという限界内に薬物の生物学的利用能を維持することができ、しかも投与の際に薬物の供給を更に促進することができるドラッグデリバリー組成物を製造する場合に起こる。典型的にいえば、ドラッグデリバリー組成物の化学組成とカプセルの化学組成とは、カプセルの構造的一体性および組成物の安定性を破壊する親水性物質の大量移動が起こるという点で熱力学的に相いれないからである。
【0009】
タンパク質およびペプチドを含めた生物学的活性物質の供給のための油中水ミクロエマルジョン製剤は、本明細書中にそのまま援用される同一譲渡人の同時係属出願第07/885,202号明細書に示されている。ミクロエマルジョンシステムのカプセル、好ましくは腸溶コーティングカプセルヘの配合は、活性剤の腸への供給用に示されている。しかしながら、若干の実施態様において、ミクロエマルジョンおよびカプセルの水性相とミクロエマルジョン組成物との間に物質移動が起こり、カプセルの分解をもたらすことがあることが分った。
【0010】
胃腸管においてミクロエマルジョンを生成するように規定された薬剤を含む組成物は、デサイ(Desai)による米国特許第5,206,219号明細書(特許文献1)に開示されている。デサイの組成物は、コレステロールおよびリン脂質の存在を必要とする。組成物の水分は5%w/w未満に維持されており、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのようなポリオール補助溶剤が親水性物質として含まれる。コレステロールおよびリン脂質の存在の必要性は、ドラッグデリバリーシステムの配合を不都合に制限する。
【特許文献1】米国特許第5,206,219号明細書
【非特許文献1】Science,カールウェイト(Kahlweit),240,617〜621(1988)
【非特許文献2】バーガバ(Bhargava)ら、Pharm.Tech.,46〜53(1987年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、タンパク質およびペプチドのような活性剤の供給に有用なドラッグデリバリー組成物であって、システムの安定性および活性剤の生物学的利用能を維持しながらカプセル中で製造し且つ貯蔵することができる上記組成物を配合することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中において、油相、水性相、界面活性剤またはその混合物および好ましくはタンパク質性の治療的活性剤を含むドラッグデリバリー組成物を提供する。ドラッグデリバリー組成物は透明な組成物であり且つ熱力学的に安定である。このようなドラッグデリバリー組成物は、好ましくは経口経路による活性剤の貯蔵および投与に適している。
【0013】
本発明のドラッグデリバリー組成物は、カプセルと相溶性であるように特別に配合される。例えば、組成物はカプセルの形で優れた貯蔵安定性を示す。組成物は、主要な量のポリエチレングリコールおよび単独でかまたは可塑剤との混合物での少量の水を含む水性相を含む。このような製剤は、水性相中に主要な量の水を有している対応するw/oミクロエマルジョン製剤よりもカプセルの形で極めて優れている。
本発明のドラッグデリバリー組成物は、コレステロール成分と一緒にリン脂質が存在するのを必要としないという点で、腸内の現場でミクロエマルジョンを生成するように配合されている経口多成分ドラッグデリバリー組成物とは区別される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の組成物を、図1〜5にグラフで示す。頂点Aは、水性相100重量%を示し、頂点Bは油相100重量%を示し、そして頂点Cは、界面活性剤および透過エンハンサー100重量%を示す。影付き部分は、透明溶液を生じる組成物を表わす。いずれの部分も重量基準である。
【図1】図1は、水性相がPEG600 8.6部、水1部およびソルビトール0.4部から構成された相図である。油相はカプテクス(Captex)200から成り、界面活性剤相はイムウィター(Imwitor)308が6部およびトゥイーン(Tween)80が4部から構成された。
【図2】図2は、水性相がPEG300 8.6部、水1部およびソルビトール0.4部から構成された相図である。油相はカプテクス200から成り、界面活性剤相はイムウィター308が6部およびトゥイーン80が4部から構成された。
【図3】図3は、水性相がPEG400 8.6部、水1部およびソルビトール0.4部から構成された相図である。油相はカプテクス200から成り、界面活性剤相はイムウィター308が6部およびトゥイーン80が4部から構成された。
【図4】図4は、水性相がPEG400 8.6部、水1部およびソルビトール0.4部から構成された相図である。油相はカプテクス200から成り、界面活性剤相はイムウィター308が4部およびトゥイーン80が6部から構成された。
【図5】図5は、水性相がPEG400 8.0部、水1部およびソルビトール1.0部から構成された相図である。油相はカプテクス200から成り、界面活性剤相はイムウィター308が6部およびトゥイーン80が4部から構成された。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中において、油または脂質(疎水性)相、水性(親水性)相および界面活性剤または界面活性剤混合物並びに活性剤、好ましくは生物学的活性剤、更に好ましくは治療的タンパク質性活性剤を含むドラッグデリバリー組成物を提供する。ドラッグデリバリー組成物は、経口、肛門および腔投与用、好ましくは経口および肛門投与用、そして更に好ましくは経口投与用のカプセルと一緒に用いるのに最適化されている。しかしながら、本発明の組成物は、非経口、腸および任意の他の粘膜手段などのいずれの方法によっても並びにカプセル容器を用いることなく投与することができる。
【0016】
本発明は、活性剤を含むおよび含まない透明溶液を提供する。概して、活性剤不含で配合された組成物をデリバリー組成物と称し且つ活性含有組成物を、概して、ドラッグデリバリー組成物と称する。デリバリー組成物には様々な用途があるが、主として、本発明において定義されたものなどの活性剤を包含することができる薬剤組成物として有用である。
【0017】
デリバリー組成物は、主要な量のポリエチレングリコール(PEG)および少量の水すなわち食塩水を含むように水性相の成分を配合することによってカプセル容器と相溶性であるように設計されてきた。PEG対水の比率は、カプセル材料の組成にしたがって、デリバリー組成物とカプセル組成物との間の安定性を最適にするように変更される。このような方法で、カプセルおよびデリバリー組成物間の物質移動が減少して、製剤全体が一層安定になる。
【0018】
本デリバリー組成物は、多成分システムとして記載される。本発明のデリバリー組成物は、膨潤ミセルおよびw/oミクロエマルジョンに似た、好ましくは透明な、熱力学的に安定な溶液であるが、しかしながら、本組成物の粒度は、ミセルおよびミクロエマルジョンを包含すると通常理解される範囲内ではないことがある。概して、本発明の組成物の粒度は約15nm未満、好ましくは約10nm未満、そして更に好ましくは約5nm未満であり、したがって、該組成物は溶液と称することもできる。
【0019】
デリバリー組成物は、下記の範囲のいずれかの油、水性相成分および界面活性剤によって配合することができる。該組成物は、リン脂質およびコレステロール成分の混合物を必要とすることなく製造することができる。
【0020】
デリバリー組成物の油相は少なくとも1種類の油成分を含む。油成分は、概して、食品または薬品工業において認可された任意のこのような既知の油である。油またはその混合物は室温で液体であってよいが、若干の場合、固形油を緩かに加熱して液体を生成することも許容される。室温で固体である油の加熱は、坐剤、クリーム剤、軟膏および若干の場合経口カプセル剤とするための製剤に望ましい。
【0021】
本発明の目的に適した油の例としては、約9〜83個、好ましくは21〜60個、そして更に好ましくは21〜45個の炭素原子を有するグリセロールのトリエステルがある。トリグリセリドは、更に、9〜15個の炭素原子を有する短鎖トリグリセリド、21〜45個の炭素原子を有する中鎖トリグリセリド、および45個を越える炭素原子を有する長鎖トリグリセリドとして定義される。中鎖トリグリセリドが好ましい。グリセロールトリエステルの例としては、天然の食用油、例えば、カノーラ油、コーン油、オリーブ油、サンフラワー油およびヤシ油、トリアセチン、デカン酸エステル、並びに化学的に合成された油、例えば、1−オレイル−2,3−ジアセチルグリセロールがある。商業的に入手可能なトリグリセリド油は、天然でも化学的に合成されたものでも、カールスハムンス・リピド・スペシャルティーズ(Karlshamns Lipid Specialties),USAからカプテクス(登録商標)シリーズとして、およびハルス・アメリカ・インコーポレーテッド(Huls America Inc.)からミグリオル(Miglyol)シリーズとして入手可能である。
【0022】
他の適当な油としては、約7〜55個、好ましくは15〜40個の炭素原子を有するプロピレングリコールのジエステル、更に好ましくは、カプリン酸およびカプリル酸並びにそれらの混合物の、19〜23個の炭素原子を有するプロピレングリコールエステルがある。プロピレングリコールのジエステルは、更に、7〜11個の炭素原子を有する短鎖、15〜31個の炭素原子を有する中鎖、および31個を越える炭素原子を有する長鎖として定義される。好ましいプロピレングリコールジエステルは中鎖油である。プロピレングリコールのジエステルとしては、カプリン酸、カプリル酸およびそれらの混合物のプロピレングリコールエステル、例えば、カプテクス(登録商標)200およびカプテクス(登録商標)800(カールスハムンス・リピド・スペシャルティーズ、コロンブス、OH)並びにグリセロールについて上記の他のエステル基がある。
【0023】
油は、天然または合成由来でありうるし且つそれらの構造中に異なる長さの脂肪酸を含むことがある。他の親油性油成分は、魚油製品および鉱油製品などの油相中で用いることもできる。油相として機能する他の親油性物質もまた本発明によって包含される。このような油成分は、食品または医薬品用銘柄品質であるのが好ましい。
【0024】
油相は、デリバリー組成物中に約1〜約80重量%、好ましくは約5〜約70重量%、そして更に好ましくは8〜50重量%存在している。この重量%基準は、透明デリバリー組成物を構成する成分、すなわち、活性剤または任意の添加剤、例えば酸化防止剤、保存剤等を含まない油相成分、水性相成分および界面活性剤成分の全重量に基いている。
【0025】
本発明のデリバリー組成物は、界面活性剤または界面活性剤混合物(「界面活性剤成分」)と油および水性相成分との間の相互作用によって生成される。界面活性剤成分はその親水親油バランス(HLB)によって記載することができるが、それは、任意目盛での経験的量であり、界面活性剤または界面活性剤混合物の極性の尺度である。P.ベシャー(Becher)ら、「Nonionic Surfactant,Physical Chemistry」,マルセル・デッカー(Marcel Dekker),NY(1987),439〜456頁を参照されたい。それは広く知られ且つ用いられている用語である。
【0026】
本発明のデリバリー組成物は、1種類の界面活性剤かまたは界面活性剤混合物を用いて製造することができる。組成物の最終HLBは、概して、少なくとも約5、好ましくは約5〜約15である。組成物は、好ましくは、多用性、より大きい安定性および増加した薬物吸収性を考慮するように界面活性剤混合物を用いて製造される。界面活性剤成分は、概して、HLBが10未満、好ましくは8未満の少なくとも1種類の低HLB界面活性剤およびHLBが10より大、好ましくは12より大の少なくとも1種類の高HLB界面活性剤を含む。
【0027】
界面活性剤成分は、デリバリー組成物中に約3〜約98重量%、好ましくは約10〜約80重量%、更に好ましくは約15〜約75重量%存在する。
デリバリー組成物中で用いることができる界面活性剤としては、イオン性剤、すなわち陽イオン性、陰イオン性または両性イオン性および非イオン性剤両方またはそれらの混合物がある。陽イオン界面活性剤の例としては、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムおよびこれらの界面活性剤の他の塩がある。短鎖モノヒドロキシルアルコール、例えばC〜Cアルコールは、毒性因子のためにこれらのシステムの界面活性剤として用いられないことが好ましく、したがって、組成物は、このような短鎖モノヒドロキシルアルコールを実質的に含まない。各種界面活性剤はまた透過促進性を有する。
【0028】
陰イオン界面活性剤の例としては、C8−32、好ましくはC8−12、更に好ましくはC脂肪酸およびそれらの塩;コール酸およびその誘導体、例えばデオキシコレート並びにその塩、ウルソデオキシコール酸およびタウロコール酸;酒石酸のC8−56ジエステル;リン脂質、例えばホスファチジン酸およびホスファチジルセリン;乳酸のC5−29モノエステル;アルキル−、オレフィン−およびアルキルアリール誘導体を含めたC8−20スルホネート;トリデシル−およびドデシルベンゼンスルホン酸;並びにC5−33サルコシンおよびベタイン誘導体がある。
【0029】
双性イオン界面活性剤としては、レシチン、ホスファチジルエタノールアミンおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質がある。リン脂質は、低HLB界面活性剤としても高HLB界面活性剤としても用いるのに特に好ましい。
【0030】
用いることができる非イオン界面活性剤の中には、エトキシル化ヒマシ油;C5−29モノグリセリドおよびそれらのエトキシル化誘導体;C15−60ジグリセリドおよび1〜90個のPOE基を有するそれらのポリオキシエチレン誘導体;長鎖脂肪酸(16個以上の炭素原子を有する脂肪酸)のC10−40エステル(アルコール中10〜40個の炭素原子);C10−40アルコール;ステロール、例えばコレステロール、エルゴステロールおよびそれらのC2−24エステル;C8−96エトキシル化脂肪酸エステル;C14−130スクロース脂肪酸エステル;並びにC20−130ソルビトールおよびソルビタンモノエステル、ジエステルおよびトリエステル、並びに1〜90個のPOE基を有するそれらのポリオキシエチレン(POE)誘導体、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビトールヘキサオレエートPOE(50)がある。
【0031】
好ましい低HLB界面活性剤としては、C〜C13モノグリセリド、モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド、C15〜C23ジグリセリド、並びにモノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリドがある。特に好ましい低HLB界面活性剤は、少なくとも約80重量%、好ましくは少なくとも約90重量%、そして更に好ましくは少なくとも約95重量%の、C、C、C、C若しくはC10脂肪酸官能基を有するモノグリセリド若しくはジグリセリドまたはそれらの混合物、好ましくはC、C11若しくはC13モノグリセリドまたはそれらの混合物、そして更に好ましくはC11若しくはC13モノグリセリドまたはそれらの混合物を含むものである。これらの界面活性剤の市販の例としては、ハルス・アメリカ・インコーポレーテッドによって製造された、約80〜90重量%のC11モノグリセリドを有するイムウィター308;並びにシグマ・ケミカルズ(Sigma Chemicals)により約99重量%のC11モノグリセリドを有する1−モノオクタノイル−rac−グリセロールとして製造されたグリセロール・モノカプリリン(Glycerol Monocaprylin)およびシグマ・ケミカルズにより約99重量%のC13モノグリセリドを有する1−モノデカノイル−1−rac−グリセロールとして製造された、グリセロール・モノカプレート(Glycerol Monocaprate)がある。いくつかの好ましい実施態様において、低HLB界面活性剤または低HLB界面活性剤混合物は、少なくとも約80重量%の純度の上記に挙げられたモノグリセリドのみである。
【0032】
好ましい高HLB界面活性剤としては、ソルビタン界面活性剤、好ましくはHLBが約13〜約17であるものがある。このような界面活性剤としては、ICIインコーポレーテッドによってそれぞれトゥイーン80、60、40および20として市販されているPOE(20)ソルビタンモノオレエート、モノステアレート、モノパルミテートおよびモノラウレート、並びにICIによってトゥイーン21として市販されているPOE(4)ソルビタンモノラウレートがある。更に好ましいのは、エトキシル化ヒマシ油界面活性剤、好ましくはHLBが約12〜約20であるもの、例えばクレモフォア(Cremophor)EL、RH−40およびRH−60並びにBASFインコーポレーテッドによって販売されているプルロニク(Pluronic)Fシリーズである。オレイン酸カリウムもまた高HLB界面活性剤として好ましい。
【0033】
低HLB界面活性剤は、デリバリー組成物中において約1〜約40重量%、好ましくは約5〜約30重量%、更に好ましくは約10〜約30重量%、そしていくつかの実施態様においては20〜30重量%の量で存在するのが好ましい。高HLB界面活性剤は、デリバリー組成物中において約2〜約60重量%、好ましくは約5〜約50重量%、そして更に好ましくは約10〜約40重量%の量で存在している。
【0034】
活性剤は、ドラッグデリバリー組成物中の水に可溶化されている。水すなわち塩水は、デリバリー組成物中に約0.5〜約15重量%、好ましくは約1〜約10重量%、更に好ましくは約2〜約8重量%の量で存在しているが、しかしながらいくつかの高水分システムにおいて、水は5〜約15重量%、好ましくは8〜約15重量%より大の量で存在している。この低量の水は活性剤の可溶化を可能にし且つデリバリー組成物とカプセル組成物との間の相溶性を提供する。
【0035】
ポリエチレングリコール(PEG)は、カプセル組成物との相溶性を促すようにデリバリー組成物中に包含される。本発明によって有用なカプセル剤としては、硬質および軟質ゼラチンカプセル剤およびデンプンカプセル剤がある。硬質および軟質ゼラチンカプセル剤は、本明細書中にそのまま援用されるThe Theory and Practice of Industrial Pharmacy,ラクマン(Lachman)ら、リー・アンド・フェビカー(Lea & Febiger),374〜408頁(第3版、1986年)で十分に論評されたようにゼラチン配合物から製造される。ゼラチンは、動物の骨、皮部分および冷凍ブタ肉外皮などの源からの被処理動物コラーゲンの不可逆加水分解抽出によって得られた不均一生成物である。ゼラチンは、米国薬局方グリセリンおよび米国薬局方ソルビトールなどの可塑剤並びに水と配合することができる。グリセリン対ゼラチンの比率は、硬質および軟質ゼラチンカプセル剤それぞれに対して約0.4:1〜約0.8:1である。硬質ゼラチンカプセル剤の水分は、約22℃での相対湿度約25%において約10〜16%であり且つ軟質ゼラチンカプセル剤では約5〜12%である。ゼラチンカプセル剤はまた、保存剤、着色剤、着香剤等のような添加剤を含むことができる。市販のゼラチンカプセル剤は、ワーナー・ランバート・カンパニー(Warner−Lambert Co.)のカプスゲル(CAPSUGEL)部によって製造されたものであり、それらは容量約0.1〜1.4mlの#5〜#000の一般的なカプセル寸法範囲で利用可能である。
【0036】
PEG成分は、デリバリー組成物中に約2〜約60重量%、好ましくは約5〜約55重量%、そして更に好ましくは約15〜約55重量%の量で存在している。典型的に、PEG成分の重量平均分子量は約200〜約1200であり、そして市販のPEG材料としては、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.)などから食品または医薬品銘柄でいずれも商業的に入手可能なPEG200、PEG300、PEG400、PEG540、PEG600、PEG800およびPEG1000がある。PEG成分は、更に、低HLB界面活性剤および透過エンハンサーの溶媒として並びに活性剤、特にタンパク質およびペプチドの安定剤として機能する。
【0037】
可塑剤もまた、カプセルおよびデリバリー組成物間の物質移動を妨げるようにデリバリー組成物中に配合することができる。このような可塑剤としては、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、プロピレングリコール並びに糖化合物、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトースおよび類似の糖化合物がある。可塑剤は、デリバリー組成物の約0.5〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約8重量%、そして更に好ましくは約1〜約5重量%の量で存在する。プロピレングリコールは、貯蔵中にカプセル不安定性を引き起こすと考えられるので、プロピレングリコールは、カプセル封入製品として用いるための本発明の組成物中の可塑剤として用いられないことが好ましい。したがって、カプセル封入使用のための組成物は、いくつかの好ましい実施態様において可塑剤がプロピレングリコールではないという条件付きで製造することができる。
【0038】
本発明の一つの実施態様において、デリバリー組成物は、水性相、すなわち、水と極めて可溶性であって高HLB界面活性剤であるとは考えられない成分を有すると記載することができる。水性相は、主として水、PEG成分および可塑剤成分を含む。この水性相は、デリバリー組成物中に約1〜70重量%、好ましくは約5〜約60重量%、そして更に好ましくは約8〜約55重量%の量で存在する。水性相は、主要な量のPEG成分と、少量の水すなわち食塩水および可塑剤を含む。水性相は、PEG成分を約60%〜約95重量%、好ましくは約70〜約90重量%、そして更に好ましくは約75〜約90重量%含む。水性相の水すなわち食塩水含量は、約2〜30重量%、好ましくは約5〜約15重量%、更に好ましくは約7〜約13重量%である。組成物中のPEG成分対水の比率は、概して、少なくとも約2:1、好ましくは約2:1〜約99:1、更に好ましくは約4:1〜約95:5、そしてなお一層好ましくは約5:1〜約95:5である。可塑剤は、水性相の約1%〜約15重量%、好ましくは約2〜約12重量%、そして更に好ましくは約3〜約9重量%の量で存在する。
【0039】
ドラッグデリバリー組成物中に包含される活性剤は水溶性であるのが好ましい。水溶性活性剤は、任意の生物学的に活性な、好ましくは治療的物質、特に水溶性タンパク質、ペプチドおよび他の薬学的に活性な化合物、すなわち、薬物または薬剤、および診断薬として用いることができる化合物でありうる。一般的には「治療的」であると定義されないビタミンおよび他の食品助剤は、活性剤の定義の範囲外である。
【0040】
これらのシステムにおいて用いるのに適当な治療薬は、下記の一般的な性質を特徴とする。薬剤は、水性相のpHが、哺乳動物腸管のpH範囲である約5.5〜約8.5である場合にオクタノール:水分配係数が約0.1未満、好ましくは0.05未満、そして更に好ましくは約0.001未満である極性の水溶性化合、物である。薬剤の分子量は約200より大、好ましくは300より大、そして更に好ましくは400より大である。適当な薬剤はまた、治療的投薬量で投与された場合、経口生物学的利用能が(腹腔内注射と比較して)約50%未満、好ましくは約35%未満、そして更に好ましくは約20%未満のGI管を介する不十分な吸収を特徴とする。
【0041】
「治療的」とは、非経口経路によって薬剤が投与された場合に引出されるその薬剤の通常のおよび望ましい薬理学的または生理学的反応を生じる薬剤の量を意味する。治療的であるように投与される活性物質の量は、投薬濃度および投薬回数に基いて当業者によって容易に決定される。
【0042】
化学クラスの適当な治療薬としては、水溶性タンパク質またはペプチドがある。薬剤の一つの群は、分子量が約300〜約2,000であり(本明細書中の分子量はいずれも重量平均である)且つ少なくとも1個、好ましくは2個またはそれ以上のペプチド結合を有する永溶性ペプチドである。第二群の薬剤は、重量平均分子量が約2,000〜約10,000の、少なくとも3個、好ましくは5個またはそれ以上のペプチド結合を有する水溶性ポリペプチドである。第三群の薬剤は、分子量が10,000より大で且つ少なくとも6個、好ましくは10個またはそれ以上のペプチド結合を有する水溶性タンパク質である。
【0043】
これらの活性剤をデリバリー組成物と混合してドラッグデリバリー組成物を生成する。活性剤の一般的な量は、ドラッグデリバリー組成物のグラム当たり最大約500mgまで、そして大部分の場合、約0.5〜300mg/g(ドラッグデリバリー組成物)である。ドラッグデリバリー組成物中に含まれる活性剤の量は、その溶解性および活性、目的とする用途、用いられるエマルジョンの量等に応じてかなり変更されうる。
【0044】
3〜10個のアミノ酸残基を有する分子量300〜2,000の適当な治療的ペプチドとしては、平均分子量が約600のテトラペプチドであり、テトラペプチドの第四位が可変性のそれらの配列の一部分としてアミノ酸をアルギニン−グリシン−アスパラギン酸の順序で有するRGD含有ペプチドであるフィブリノーゲン受容体アンタゴニストペプチドがある。このようなペプチドは、1ピコモル/mL程度の低い血漿濃度において活性な、極めて強力な血小板凝集阻害剤である。好ましいフィブリノーゲンアンタゴニストは、本明細書中にその開示がそのまま援用されているアリ(Ali)ら、公開出願第EP 0341915号明細書の方法によって製造されたペプチド、シクロ(S,S)−Nα−アセチル−Cys−(Nα−メチル)Arg−Gly−Asp−Pen−NH(配列番号:1)である。更に好ましいのは、本明細書中にその開示がそのまま援用されている公開第EPO 0423212号、出願第90311537.6号明細書に開示された方法によって製造することができるペプチド、シクロ(S,S)−(2−メルカプト)ベンゾイル−(Nα−メチル)Arg−Gly−Asp−(2−メルカプト)フェニルアミドである。
【0045】
RGD含有ペプチドおよびペプチド様分子は、概して、化合物の可溶性および治療効力に応じてドラッグデリバリー組成物のグラム当たり約10mg〜約500mgの範囲の量で存在する。
【0046】
本発明において有用な他のフィブリノーゲンアンタゴニストは、本明細書中にこれらの開示がいずれもそのまま援用される、ピアシュバチャー(Pierschbacher)ら、WO 89/05150(US/88/04403)号明細書;マーグリー(Marguerie)、EP 0275748号明細書;アダムス(Adams)ら、米国特許第4,857,508号明細書;ツィマーマン(Zimmerman)ら、米国特許第4,683,291号明細書;ナット(Nutt)ら、EP 0410537号明細書;ナットら、EP 0410539号明細書;ナットら、EP 0410540号明細書;ナットら、EP 0410541号明細書;ナットら、EP 0410767号明細書;ナットら、EP 0410832号明細書;ナットら、EP 0422937号明細書;ナットら、EP 0422938号明細書;アリグ(Alig)ら、EP 0372486号明細書;オーバ(Ohba)ら、WO90/02751(PCT/JP89/00926)号明細書;クライン(Klein)ら、米国特許第4,952,562号明細書;スカボロー(Scarborough)ら、WO 90/15620(PCT/US90/03417)号明細書;アリ(Ali)ら、1990年11月2日出願のPCT US 90/06514号明細書で開示されたペプチド;アリグら、EP 0381033号明細書;およびアリグら、EP 0384362号明細書で開示されたペプチド様化合物;並びに環状RGDペプチド
【0047】
【化1】

【0048】
Dtc=4,4’−ジメチルチアゾリジン−5−カルボン酸
Amf=パラアミノメチルフェニルアラニン
である。
【0049】
エンケファリンおよび類似体は、これらの製剤中に有効に包含されうるペプチドの他の例である。これらのペプチドは鎮痛性を有し且つ2種類の天然に存在するエンケファリン、すなわち、配列HN−Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−OH(配列番号3、MW=556)を有するペンタペプチド、[Leu]−エンケファリン、および配列HN−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH(配列番号4、MW=574)を有する[Met]−エンケファリンの構造に基いている。類似体の例としては、1個または2個のアミノ酸残基の天然のL異性体が対応するD異性体で置換えられているペプチド、例えば、[D−Ala,Leu]−エンケファリン(MW=570)または[D−Ala,Met]−エンケファリン(MW=588)がある。更に有用なのは、1個またはそれ以上の非アミノ酸または化学修飾因子アミノ酸残基を有する類似体、例えば、δクラスのオピオイド受容体と選択的に相互作用する[D−Pen2,5,pCl−Phe]−エンケファリン(MW=680)である(本明細書中にそのまま援用されるボーン(Vaughn),L.K.ら、Life Sciences45,1001,1989年を参照されたい)。
【0050】
もう一つの有用なクラスのペプチドは、成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)に関係したヘキサペプチドである。具体的な例としては、ペプチドHis−D−Trp−Ala−Trp−D−Phe−Lys−NH並びに関連同族体および類似体がある。更に有用なのは、D−TrpがD−[β−ナフチル]−アラニンで置換えられている類似体Ala−His−D−βNal−Ala−Trp−D−Phe−Lys−NHである(本明細書中にそのまま援用されるC.Y.ボワーズ(Bowers)、J.Pediatr.Endocrinol.,21,1993年)。成長ホルモン放出ペプチドは、例えば、本明細書中にいずれもそのまま援用される、モメニ(Momany)、米国特許第4,411,890号明細書;モメニ、米国特許第4,410,513号明細書;モメニ、米国特許第4,410,512号明細書;モメニ、米国特許第4,228,158号明細書;モメニ、米国特許第4,228,157号明細書;モメニ、米国特許第4,228,156号明細書;モメニ、米国特許第4,228,155号明細書;モメニ、米国特許第4,226,857号明細書;モメニ、米国特許第4,224,316号明細書;モメニ、米国特許第4,223,021号明細書;モメニ、米国特許第4,223,020号明細書;モメニ、米国特許第4,223,019号明細書;ボワーズら、米国特許第4,880,778号明細書;ボワーズら、米国特許第4,880,777号明細書;ボワーズら、米国特許第4,839,344号明細書;ボワーズら、米国特許第WO89/10933(PCT/US89/01829)号明細書;ボワーズら、EP−A 398961号明細書、ボワーズら、EP−A 400051号明細書で開示されている。これらの化合物は、ヒトおよび動物の成長を促進するのに有用である。
【0051】
GHRPのアンタゴニストは、異常に加速された成長または過剰の血漿濃度の成長ホルモンが見られる臨床症状において有用である。具体的なGHRPのアンタゴニストの例としては、ヘキサペプチドHis−D−Trp−D−Lys−Trp−D−Phe−Lys−NHがある。GHRPのアゴニストもアンタゴニストも、それらの効力に応じて薬剤組成物のグラム当たり0.001〜100mgの範囲で存在するのが有効である。
【0052】
ノナペプチジルバソプレシンVおよびV受容体アゴニストおよびアンタゴニストは、過度の尿排出および血餅因子VIII欠乏の症状を治療するのに臨床的に用いられる。特に有用な薬剤としては、アルギニンバソプレシン(AVP)、リシンバソプレシン(LVP)およびデスモプレシン(dDAVP)、それぞれ分子量1084、1056および1069がある。デスモプレシンは、より長い血漿半減期を有し且つAVPまたはLVPの昇圧(血管収縮)活性を欠いているので、それは経口剤形中への包含に特に好ましい。デスモプレシンは経口剤形で用いられてきたが、経口生物学的利用能は僅か0.1〜0.2%で不十分である(本明細書中にそのまま援用される、A.フィエレスタド・ポールセン(Fjellestad−Paulsen)、O.ポールセン、L.ダゲイ・アベンサー(d’Agay−Abensour)、S.ランディン(Lundin)およびP.チェルニコウ(Czernichow)、Regulatory Peptides 43,303〜307,1993年)。AVP、LVPまたはdDAVPは、薬剤組成物のグラム当たり約0.01〜10.0mgの範囲の量で製剤中に有効に包含される。上記化合物の同族体または類似体である他のVまたはVバソプレシン受容体アゴニストまたはアンタゴニストは、より高濃度であるが、概して、それらの治療効力および可溶性に応じて薬剤組成物のグラム当たり200mg未満で包含されうる。
【0053】
更にもう一つのクラスの有用なペプチドとしては、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)およびその類似体がある。これらのペプチドは約10個の天然または人工合成アミノ酸残基を有し、そして分子量は約1,000〜約1600である。適当な例としては、pGluがピログルタミン酸残基であり且つペプチドのC末端がアミド化(−NH)されているpGlu−His−Trp−Ser−Tyr−Gly−Leu−Arg−Pro−Gly−NH(配列番号5、MW=1182)の配列を有するLH−RHそれ自体;LH−RHアゴニスト類似体[Des−Gly10,D−Trp,Pro]−LH−RH、エチルアミド(MW=1283);および配列、N−アセチル−D−βNal−p−Cl−D−Phe−3−ピリジル−D−Ala−Ser−N−ε−ニコチノイル−Lys−N−ε−ニコチノイル−D−Lys−Leu−N−ε−イソプロピル−Lys−Pro−D−Ala−NHを有するLH−RHアンタゴニスト、アンチド(MW=1592)がある。ロイプロリド、5−オキソプロ−His−Trp−Ser−Tyr−D−Leu−Leu−Arg−Pro−NHC(MW=1210)は、もう一つのLH−RH類似体であり且つ前立腺癌の治療に有用である。
【0054】
分子量が約800〜約3000のメラノサイト刺激ホルモン(MSH)および類似体もまた、これらの製剤中に有効に包含されうる。特に好ましいのは、長い循環半減期および/または増加した耐タンパク質分解性を示す類似体である。
【0055】
ペプチジルプロテイナーゼ阻害剤は、薬剤組成物中に有効に包含されうるもう一つの種類のペプチドおよびペプチド類似体である。特に好ましいのは、ある種の転移性癌およびある種の炎症性疾患、例えば関節炎の治療に有用であるコラゲナーゼおよびエラスターゼなどのメタロプロテイナーゼの阻害剤;ウイルスゲノムにコードされたプロテアーゼ、例えば、HIV−1およびHIV−2ウイルスプロテアーゼの阻害剤;高血圧症の治療に有用なレニンまたはアンギオテンシン変換酵素の阻害剤(ACE阻害剤);並びに血栓症の治療に有用な血餅カスケードプロテアーゼの阻害剤、例えば、トロンビン阻害剤である。抗トロンビン薬として更に有用なのは、ヒルタンパク質ヒルジンのペプチドおよびポリペプチドフラグメント並びにこれらのフラグメントの類似体およびヒルジン自体である。
【0056】
本明細書中にそのまま援用される米国特許第5,002,771号明細書に記載のものなどのカルシトニンは、高カルシウム血症および骨損失を治療するのに有用な一連の治療的ポリペプチドである。製剤中に包含するのに好ましいカルシトニンは、サケ、ウナギおよびヒトカルシトニンである。サケカルシトニンおよびウナギカルシトニンは、それらのより高い効力およびより好ましい薬動学的プロフィールゆえに最も好ましい。ヒトカルシトニンは、他のものに対する有害反応または不感性が分っているまたは疑われる患者において好ましい。合成サケ、ウナギまたはヒトカルシトニンは、それらの天然に存在する対応物と同様のアミノ酸配列を有するが、多くの場合、例えば、[Des−Cys,Asu]−ウナギカルシトニンであるカルバカルシトニンの場合のように、天然分子の一部不完全なまたは化学的に変更された変型でありうる。それらの分子量は約3300〜3500である。
【0057】
製剤中に有効に含まれうるカルシウム代謝の他のポリペプチド調節剤としては、分子量がそれぞれ9425および9511の84アミノ酸残基ポリペプチドヒトまたはウシ上皮正体ホルモン(PTH)、並びに14〜83アミノ酸残基を有し且つ分子量が1400〜9950であるそれらの一部不完全な変型および生物学的活性フラグメントがある。この種類で更に有用なのは、PTH関連ペプチド、例えば、86アミノ酸残基を有し且つ分子量が9903であるヒト高カルシウム血症の悪性ペプチドである。14〜85アミノ酸残基を有し且つ分子量が約1400〜9950であるこの分子の生物学的活性フラグメント、更にはアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有するこのようなフラグメントのポリペプチド類似体もまた、製剤中に有効に含まれることができる。
【0058】
心房ナトリウム排泄増加性ペプチド(ANP)およびそれらの類似体は、高血圧症の治療に有用なポリペプチドである。これらの製剤で用いるのに特に好ましいのは、分子量が約1000〜約4000のヒトANPおよびそれらの類似体である。脳ナトリウム排泄増加性ペプチドもまたこの目的に有用である。
【0059】
インスリンは、製剤中に包含されうるもう一つの群のポリペプチドである。ヒト、ウシ、ブタ若しくはヒツジインスリンまたはそれらの化学修飾誘導体は特に妊ましいと考えられる。このインスリンは、二つの異なる鎖AおよびBを有するジスルフィド結合した二量体ポリペプチドであり、二量体の分子量は約6000である。
【0060】
この分子量範囲にある他の有用なポリペプチドとしては、アミリン、インスリン様成長因子I、IIおよびIII(IGF−I、IGF−II、IGF−III)、ソマトメジン、表皮成長因子(EGF)およびトランスフォーミング成長因子−α(TGF−α)がある。これらの分子のポリペプチド類似体もまた製剤中に包含されうる。
【0061】
これらの製剤中に包含するのに有用なタンパク質としては、ヒト、ウシ、ヒツジまたはブタ成長ホルモン;α−、β−またはγ−インターフェロン;リンホカイン、例えばインターロイキン1〜6;成長因子、例えば血小板由来増殖因子、酸性または塩基性繊維芽細胞成長因子;治療的酵素、例えばアスパラギナーゼまたはスーパーオキシドジスムターゼ;エリトロポエチン;および単クローン性抗体またはそれらの抗原結合フラグメントがある。
【0062】
更に適当な薬剤としては、少なくとも2単位、好ましくは3単位またはそれ以上の単糖単位を有し且つ更に1個またはそれ以上の以下の化学置換基、すなわちアミノ基(遊離またはアシル化された)、カルボキシル基(遊離またはアシル化された)、リン酸基(遊離またはエステル化された)または硫酸基(遊離またはエステル化された)を含む水溶性複合多糖がある。
【0063】
特に好ましい多糖としては、抗凝血物質として有用なヘパリン、および抗炎症薬として有用な、集合的に「セレクチン」として知られる哺乳動物細胞レクチンの多糖阻害剤がある。
【0064】
更に適当な薬剤としては、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらのポリマーがある。適当なヌクレオシドとしては、3’−アジド−3’−デオキシチミジン、アデノシン、シチジン、イノシン、チミジンまたはグアノシンの2’,3’−ジデオキシ誘導体がある。適当なポリヌクレオチドとしては、ウイルスタンパク質若しくはRNA、腫瘍遺伝子タンパク質若しくはRNA、または炎症性タンパク質若しくはRNAをコードしているものに対して相補的なヌクレオチド配列を含む3〜30ヌクレオチド塩基を有する「アンチセンス」ヌクレオチドがある。更に有用なのは、上記をコードしているDNAと一緒に三重らせん構造を形成することができる3〜30塩基を有するポリヌクレオチドである。
【0065】
好ましい水溶性活性剤としては、RGDフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト、エンケファリン、成長ホルモン放出ペプチドおよび類似体、バソプレシン、デスモプレシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、メラノサイト刺激ホルモンおよび類似体、カルシトニン、上皮正体ホルモン、PTH関連ペプチド、インスリン、心房ナトリウム排泄増加性ペプチドおよび類似体、成長ホルモン、インターフェロン、リンホカイン、エリトロポエチン、インターロイキン、コロニー刺激因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍壊死因子、複合多糖、並びにヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらのポリマーがある。
【0066】
このシステムにおいて用いることができる薬物は、経口生物学的利用能が低いことを特徴とする水溶性薬物である。用いることができる薬物のいくつかの例としては、抗凝血物質、例えばヘパリンまたはその誘導体;抗微生物薬、例えばペニシリンG、カルベニシリン、メジオシリンおよび他のあまり吸収されないペニシリン誘導体;セファロスポリン、例えばセファロチン、セフォキシチン、セフォタキシムおよび通常注射投与されるこの系列の他の分子;抗腫瘍薬、例えばフルオロウラシル、シタラビン、アザウリジン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびブレオマイシン;抗炎症薬、例えば金チオグルコースおよび金チオリンゴ酸ナトリウム;並びに駆虫薬、例えばスラミンおよびメベンダゾールがある。
【0067】
ドラッグデリバリー組成物は、ペプチドおよびタンパク質の粘膜吸収を促進するための薬剤と一緒に配合することができる。これらとしては、胆汁酸塩、例えば、トリヒドロキシ胆汁酸塩、すなわち、コール酸塩、タウロコール酸塩およびグリココール酸塩;ジヒドロキシ胆汁酸塩、すなわち、デオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩およびウルソデオキシコール酸塩;トリケト胆汁酸塩、例えばデヒドロコール酸塩がある。非イオン界面活性剤、例えば、12〜18個の炭素原子のアルキル鎖長および2〜60のポリオキシエチレン(POE)鎖長を有するポリオキシエチレンエーテル、2〜60POE基を有するp−t−オクチルフェノキシポリオキシエチレン、2〜60POE基を有するノニルフェノキシポリオキシエチレン、8〜24アルキル鎖長および4〜80POE基を有するポリオキシエチレンソルビタンエステル、並びに1−ドデシルヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン(アゾン、ラウロカプラム)を用いることができる。陰イオン界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムおよびスルホコハク酸ジオクチルナトリウムを用いることができる。8〜24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸アシル鎖または1〜4個の二重結合および16〜24個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸アシル鎖を含むリゾレシチンを用いることができる。アシルカルニチン、アシルコリンおよびアシルアミノ酸を用いることができ、例えば、12〜20個の炭素アシル基を有し、ここにおいてアシル基は1〜4個の二重結合を有するアシルカルニチン;8〜22個の炭素原子および1〜4個の二重結合を有する脂肪酸のアシルコリンエステルなどのアシルコリン;そして8〜24個の炭素原子を有するアシル基および1〜4個の二重結合並びにαまたはβアミノ基を有し且つ分子量が350未満であるアミノ酸を有するN−アシルアミノ酸およびジペプチドなどのアシルアミノ酸である。更に、14〜24個の炭素原子および1〜4個の二重結合を有するモノおよびポリ不飽和脂肪酸およびそれらの塩、並びにサリチル酸およびそのナトリウム塩、5−メトキシサリチル酸ナトリウムを用いることができる。
【0068】
好ましい透過エンハンサーとしては、C8−18脂肪酸、アシルカルナチン、コール酸およびリン脂質またはそれらの組合せがある。これらは、特に、好ましい低HLB界面活性剤、例えば、C8−18脂肪酸官能基を有するモノ−およびジグリセリドとの組合せで十分に機能する。透過エンハンサーの特に好ましい組合せは、C11モノグリセリド(例えば、イムウィター308)、オレイン酸およびリン脂質の混合物である。
【0069】
活性剤、特にタンパク質またはペプチドの安定化は、概して、組成物の水性相のpHおよび緩衝能を変更することによって促進される。HClおよびNaOHのような化合物を用いてpHを調整することができるし且つ酢酸のような化合物を緩衝剤として用いることができる。典型的に、カルシトニンのようなタンパク質、dDAVP、RGDペプチドおよびそれらの類似体には約5未満のpHが好ましい。PEG成分自体、ヒト成長ホルモンなどの他のタンパク質性物質を安定化することができる。
【0070】
他の成分をドラッグデリバリー組成物と一緒に用いて、タンパク質性活性剤の分解を抑制するまたは妨げることができる。このような成分としては、本明細書中に援用される米国特許第5,206,219号明細書に示されたプロテアーゼ阻害剤、酵素阻害剤および安定剤がある。好ましい安定剤はシクロデキストリンである。
【0071】
更に、場合により、酸化防止剤、着色剤、油溶性薬剤等のような他の補助薬が製剤中に含まれていてよい。これらの成分および補助薬はそれぞれ、患者に用いるのに適当でなければならないし且つ通常は食品銘柄および/または薬学的に許容しうる物質である。
【0072】
本発明の組成物は、それらが無毒性であり且つ生分解性または非吸収性物質を含むという点で生物学的に適合している。無毒性とは、一つの経路の毒性が別の経路の毒性と同等ではないことがあるという点で、患者に対する投与経路に応じた無毒性を意味する。
【0073】
保存剤、着色剤、着香剤または油溶性薬剤、例えばステロイドなどの補助薬は、存在するならば、組成物の新規な性質に悪影響を与えないような量、概して、ドラッグデリバリー組成物の全容量に基いて最大20容量%までの量でのみ含まれるべきである。
【0074】
本発明のデリバリー組成物は、望ましい比率の選択された成分を室温または僅かに高温で静かに撹拝しながら単純に混合することによって容易に製造しうる。高エネルギー混合または加熱は不必要であるが、所望ならば、それぞれ少しずつ用いて組成物の生成速度を増加させてよい。更に、成分は、組成物を生成する際に活性剤が水性相中に存在しているのが好ましいこと以外、特定の順序で加える必要はない。しかしながら、好ましくは、界面活性剤を最初に油相と混合した後、適当な比率の水性相成分を加えるべきである。活性剤を最初に水中に溶解させた後にこれを他の水性相成分に加えることは好ましい。
【0075】
本発明のデリバリー組成物は、室温で固体である組成物を生成するために、高融点油、すなわち、室温(22〜23℃)を越える、好ましくは約30℃を越える融点を有する油と配合することができる。更に、高融点界面活性剤、例えば、少なくとも12個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸およびアルコールのC10−40エステル、これらの界面活性剤の融点は室温を越える、好ましくは30℃を越える。好ましくは、組成物は、体温、概して約35〜40℃で溶融する。高融点油の量および該油の融点は異なることがあるが、最終組成物は室温で固体である。固体組成物は坐剤輸送ビヒクルまたは経口輸送ビヒクルとして用いることができる。組成物は、高融点油と直接的に配合することができるかまたは組成物を最初に配合した後に高融点油を組成物と配合することができる。このような高融点油は当該技術分野において周知であり、例えば、部分水素化ヤシ油、パーム油、カカオ脂、水素化ピーナッツ油および各種水素化植物油、更にはそれらの組合せがある。好ましい油としては、水素化ヤシ油およびパーム油並びにそれらの混合物がある。高分子量PEG成分もまた固体組成物を生成するのに用いることができる。
【0076】
ドラッグデリバリー組成物中に含まれた活性剤の投与、特に経口投与は、カプセルの形であるのが好ましい。カプセルは、概して、デンプンまたはゼラチン素材である。ある種の活性剤は胃の低pH環境に対して感受性であるかもしれないし、したがって、更に高いpH環境の腸系に供給されなければならない。このような活性剤は、坐剤の形で供給されるのが有利であるが、経口供給が望まれる場合、カプセルに腸溶コーティングを与えることができる。このようなコーティングは、カプセルの腸溶コーティング法と同様に、当該技術分野において周知である。腸溶コーティングカプセルを製造する方法は以下の通りである。活性剤を含むドラッグデリバリー組成物を製造した後、この組成物をカプセル中に入れる。次に、カプセルを腸溶コーティング液によって被覆する。腸溶コーティング液はポリマー性腸溶コーティング物質および溶剤を含む。ポリマー性腸溶コーティング物質は、概して、約5.5〜7.0のpHの腸液との接触によって溶解するが、更に低いpH胃液中には溶解しない薬学的に許容しうるポリマーである。腸溶ポリマーコーティングは容易に商業的に入手可能であり、例えば、イーストマン・ケミカル・プロダクツ・インコーポレーテッド(Eastman Chemical Products,Inc.)から入手可能なイーストマン(登録商標)C−A−P(商標)(酢酸フタル酸セルロース)およびC−A−T(酢酸トリメリット酸セルロース)腸溶コーティング材料がある。スプレイコーティングまたは浸漬コーティングなどの完全なポリマーコーティングを塗布する様々な技術が知られており、数層の腸溶物質を必要とすることがある。
【0077】
ここで、本発明を以下の実施例によって例証するが、それに制限されるものではない。
[実施例]
【実施例1】
【0078】
デリバリー組成物の製造
室温で完全に液体である透明な安定組成物の水性相中に高濃度のPEQを含む種々の組成物を製造した。組成物は、各種成分をランダムな順序で単純に混合することによって製造された。これらの組成物と配合された活性剤はなかったが、しかしながら、活性剤の添加は、得られた組成物の特性を変更することなく行うことができる。
【0079】
得られた組成物を、図1に示された相図でグラフによって表わす。頂点Aは、水性相100重量%を示し、頂点Bは油相100重量%を示し、そして頂点Cは、界面活性剤および透過エンハンサー100重量%を示す。影付き部分は、透明溶液を生じる組成物を表わす。
【0080】
水性相は、PEG600 8.6部、水1部およびソルビトール0.4部から成った。油相はカプテクス200(カールスハムンス・リピド・スペシャルティーズ、USAによって製造された、脂肪酸組成がカプロン酸(4.1重量%)、カプリル酸(68.29重量%)、カプリン酸(27.4重量%)、ラウリン酸および高級脂肪酸(0.2重量%)であるプロピレングリコールジカプリレート/カプレート)から成った。界面活性剤相は、イムウィター308 6部およびトゥイーン80(シグマ・ケミカルによって製造されたポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB=15)4部から成った。
【実施例2】
【0081】
デリバリー組成物の製造
PEG600をPEG300に置換えたこと以外は実施例1に記載のように相図を作成した。相図を図2に示す。
【実施例3】
【0082】
デリバリー組成物の製造
PEG600をPEG400に置換えたこと以外は実施例1に記載のように相図を作成した。相図を図3に示す。
【実施例4】
【0083】
デリバリー組成物の製造
界面活性剤相がイムウィター308 4部およびトゥイーン80 6部から成ったこと以外は実施例3に記載のように相図を作成した。相図を図4に示す。
【実施例5】
【0084】
デリバリー組成物の製造
水性相がPEG400 8部、ソルビトール1部および水1部から成ったこと以外は実施例3に記載のように相図を作成した。相図を図5に示す。
【実施例6】
【0085】
dDAVPイヌ実験
ペプチドdDAVPを可溶化することができるドラッグデリバリー製剤を下記の組成で製造した。
【0086】
【表1】

【0087】
ソルビトールを最初に水および塩酸中に溶解させた後、PEQ−400、トゥイーン80、予め溶融されたイムウィター308およびカプテクス200を加え、そして均一になるまで混合した。その間に、dDAVPを40mM酢酸緩衝液、pH5.0溶液中に溶解させた。薬物溶液をソルビトール/水/1N HCl/PEG−400/カプテクス200/トゥイーン80/イムウィター308と混合して、透明なドラッグデリバリー組成物を生成した。同様の手順を用いて、下記の組成(%w/w)を有する実施例6b、6cおよび6dを製造した。6dにおいては、薬物不含酢酸緩衝溶液を用いた。
【0088】
【表2】

【0089】
方法論
dDAVPすなわちデスモプレシンはバソプレシンの合成類似体であり、血流中の半減期が天然バソプレシンよりも長いことが実証されている。薬理学的に、それは抗利尿作用を有し、したがって、尿崩症および小児夜行性遺尿症の治療において有用であった。更に、それは因子VIIIの循環濃度を上昇させ、したがって、いくつかの型の血友病の治療において用いられてきた。
【0090】
体重9〜12kgの雄のビーグル犬を全実験において用いた。各実験の前に、全被験動物を一晩中絶食させたが、水は随意に摂取させた。以下の実験を用いて、本発明のカプセル剤中に封入されたdDAVP含有透明液体の利点を実証した。
【0091】
1.経口投与:カプスゲル製の寸法0el(0.78ml)の腸溶コーティング硬質ゼラチンカプセルに、材料
(i)薬物0μg/g(組成物)または薬物0μg/カプセル(表6D、実施例6d)
(ii)薬物18μg/g(組成物)または薬物13μg/カプセル(表6C、実施例6c)
(iii)薬物59μg/g(組成物)または薬物43μg/カプセル(表6B、実施例6b)
(iv)薬物171μg/g(組成物)または薬物125μg/カプセル(表6A、実施例6a)
を含むドラッグデリバリー組成物0.73gを充填する。
【0092】
2.経口投与:寸法0elの腸溶コーティング硬質ゼラチンカプセルに、材料、すなわち、充填剤としてのデキストロースと混合されたdDAVP 171μg(表6E)を充填する。
【0093】
3.皮下投与:dDAVP4μg/ml(組成物)、dDAVP0.4μg/kg(動物)(表6F)。
dDAVP投与後の血漿因子VIII濃度を、薬物に対する薬力学的反応として用いた。dDAVPに対する最大反応は、dDAVPの皮下投与後の血漿因子VIII反応濃度を測定することによって決定された(表6F)。組成物6a〜6cまでを含むカプセル剤の投与は用量反応を与え、組成物6dは、対照が不活性充填剤であるという条件付きでのデキストロース中dDAVPであるプラシーボ対照であった。
【0094】
カプセル剤投与に関する実験には、各実験における各被験動物に対して1個のカプセルを与えた。血液試料は、dDAVP投与直前(t=0)およびその後の様々な時間に採取された。因子VIIIの血漿濃度は、市販のキットを用いて決定された。値は、t=0で得られた値に相対する因子VIII濃度の変化百分率として表わされ、そして表6.1において平均値+/−平均の標準誤差として示される。
結果
血漿因子VIII濃度の用量依存性増加は、透明液体カプセル当たり13、43および125マイクログラム(μg)のdDAVPを含むカプセル剤の投与後のイヌにおいて観察された(表6C、6Bおよび6A)。因子VIII濃度の同程度の増加は、43μg/カプセルおよび125μg/カプセルの投与後に観察された(表6Bおよび6A)。これとは対照的に、12μg/カプセルでのdDAVPの投与後の因子VIII濃度の反応(表6C)は、プラシーボ処理された動物において観察された濃度(表6D)と大差がなかった。
【0095】
透明液体製剤の促進作用は、透明液体中にdDAVPを含むカプセル剤を用いて投与されたのと、デキストロースが不活性充填剤として用いられた混合物中にdDAVPを含むカプセル剤を用いたのを比較して、表6Aおよび6Eにおいても見られる。後者の場合、dDAVPは、6時間の試験時間にわたってほとんど反応を示さなかった(表6E)。これは、本発明の透明液体中にdDAVPを含むカプセル剤を与えられた被験動物において観察された最大反応(表6A)とは著しく違っていた。
【0096】
表6Fおよび6Aの比較は、皮下注射によって用量0.4μg/kgで与えられたdDAVPが、本発明の製剤によってdDAVPを用量10μg/kg(125μg/kg)においてカプセルで経口投与されたのと同様の因子VIII濃度増加を生じたことを示す(125μg/g、表6A)。
【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
粒度測定
組成物6dの粒度は、光子相関分光分析法を用いて決定された。この組成物は粘度が106センチポアズで屈折率が1.455であり、そして裸眼では透明に見えた。
【0100】
500ミリワットレーザー源を用いるブルックヘブン・インスツルメント(Brookhaven Instrument)BI−9000ATを用い且つ約57キロカウント/秒の計数率を得た。粒度を3回測定し、そして得られた結果は、粒度1.2、1.8および3ナノメートルであり、それぞれ多分散性0.43、0.1および0.72であった。
【実施例7】
【0101】
カルシトニン製剤
ゼラチンカプセルと相溶性であることが分った、高濃度のペプチド薬剤カルシトニンを可溶化しうる製剤を製造した。この製剤は、より多くの薬剤を可溶化する水性相の濃度を最大限にしたが、水溶性ゼラチンカプセルとの相溶性を与える水分濃度を最小限にした。これは、極性相中の水をポリエチレングリコールおよびソルビトールで置換えることによって達成されて、製剤とゼラチンシェルとの間に水分または可塑剤の交換がほとんどないと考えられる製剤を生成した。製造された組成物を表7.1に示す。
【0102】
【表5】

【0103】
カルシトニンを最初に水に溶解させた。次に、ソルビトールを加え且つ溶解させた後、酢酸および塩酸並びにPEG−400の予め混合された溶液を加え、そして均一になるまで混合した。その間に、イムウィター308を溶融させ且つトゥイーン80およびカプテクス200と混合して均一混合物を生成した。界面活性剤および油混合物を薬剤/水/ソルビトール/PEG−400/酸混合物と混合して、透明液体製剤を生成した。
【0104】
カルシトニンは、この製剤中において少なくとも2か月間化学的に安定であることが分った。
【実施例8】
【0105】
カプセル相溶性
実施例7の組成物を、薬剤を用いることなく製造して、ゼラチンカプセル中の組成物の安定性を試験した。用いられた組成物を表8.1に示す。
【0106】
【表6】

【0107】
ソルビトールを最初に水に溶解させた後、酢酸および塩酸並びにPEG−400の予め混合された溶液を加え、そして均一になるまで混合した。その間に、イムウィター308を溶融させ且つトゥイーン80およびカプテクス200と混合して均一混合物を生成した。透明液体製剤を生成する薬剤/水/ソルビトール/PEG−400/酸混合物。
【0108】
この製剤は、カプスゲル製硬質ゼラチンカプセルと相溶性であり且つその中に貯蔵された場合に少なくとも2か月間安定であることが分った。カプセルは脆くもならないし軟質にもならないし、しかも製剤は、表8.2に示されたように、カプセルシェルに対する有意の水分量を得ることも失うこともなかった。製剤自体は、目視観察によって確認されたように透明で且つ均一のままであった。
【0109】
【表7】

【実施例9】
【0110】
ラットにおけるカルセイン生物学的利用能
マーカーとしてカルセイン(calcein)を包含する組成物A〜Fを、ラットにおける十二指腸内生物学的利用能実験用に製造した。カルセイン溶液、水およびソルビトールまたはグリセリンを、ソルビトールまたはグリセリンが溶解するまで一緒に混合した後、ポリエチレングリコールを加え、そして均一になるまで混合した。その間に、1種類または複数の油および界面活性剤を一緒に混合して均一混合物を生成した。界面活性剤および油混合物を水性相と混合して透明液体製剤を生成した。多くの場合、液体が透明になる前に少量の1N水酸化ナトリウムを加えてpHを塩基性範囲にした(組成物C、DおよびE)。
組成物A
マーカーとして3mMカルセインを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(12%w/w)、イムウィター308(29.8%w/w)、トゥイーン80(19.2%w/w)、ポリエチレングリコール400(32.4%w/w)、ソルビトール(1.6%w/w)、滅菌水(3%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(3%w/w)によって製造した。
組成物B
4.2mMカルセインを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(13%w/w)、イムウィター308(26%w/w)、クレモフォアRH40(26%w/w)、ポリエチレングリコール400(28%w/w)、グリセリン(2.8%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(4.2%w/w)によって製造した。
組成物C
2.9mMカルセインを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(12%w/w)、イムウィター308(28.8%w/w)、トゥイーン80(22.3%w/w)、グリココール酸(1.9%w/w)、タウロコール酸ナトリウム(1.9%w/w)、ポリエチレングリコール600(31%w/w)、グリセリン(3.1%w/w)、滅菌水(1.2%w/w)、1N水酸化ナトリウム(0.7%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(2.9%w/w)によって製造した。
組成物D
3.0mMカルセインを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(11.5%w/w)、イムウィター308(23.4%w/w)、トゥイーン80(21.8%w/w)、グリココール酸(3.7%w/w)、タウロコール酸ナトリウム(3.7%w/w)、ポリエチレングリコール600(28.7%w/w)、グリセリン(1.3%w/w)、滅菌水(1.5%w/w)、1N水酸化ナトリウム(1.4%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(3%w/w)によって製造した。
組成物E
1.5mMカルセインをマーカーとして含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(7%w/w)、タラ肝オイルメチルエステル(5%w/w)、イムウィター308(28.6%w/w)、トゥイーン80(19.1%w/w)、ポリエチレングリコール400(34%w/w)、ソルビトール(1.6%w/w)、滅菌水(2.9%w/w)、1N NaOH(0.2%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(1.5%w/w)によって製造した。
組成物F
2.9mMカルセインを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(10%w/w)、イムウィター308(25%w/w)、グリココール酸(5%w/w)、タウロコール酸ナトリウム(5%w/w)、リノール酸(20%w/w)、ポリエチレングリコール600(29%w/w)、ソルビトール(1.5%w/w)および10mMトリス pH7.4中100mMカルセイン溶液(4.5%w/w)によって製造した。
方法論
実施例A〜Fにおける製剤を十二指腸内投与して、無意識ラットモデルを用いてカルセイン(5(6)−カルボキシフルオレセイン、MW 623)の生物学的利用能を評価し(ウォーカー(Walker)ら、Life Sciences47,29〜361990年)、そしてカルセインを緩衝溶液として投与した場合に得られたものと比較した。血漿中のカルセイン濃度は、蛍光分光分析法を用いて測定された。投薬量は2.5マイクロモルカルセイン/kg(動物)であった。組成物A〜Fの結果を以下の表9.1に与える。
【0111】
【表8】

【実施例10】
【0112】
ラットにおけるカルシトニン生物学的利用能
カルシトニンを包含する組成物A〜Cを、ラットにおける十二指腸内生物学的利用能実験用に製造した。カルシトニン(Ca+2血清濃度を低下させることによる高カルシウム血症の治療において用いられる)の生物学的利用能は、無意識ラットモデルを用いて決定された。
組成物A
カルシトニン約30μg/mlを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(11.4%w/w)、イムウィター308(23.3%w/w)、トゥイーン80(21.7%w/w)、グリココール酸(3.7%w/w)、ケノデオキシコール酸(3.7%w/w)、PEG600(28.6%w/w)、グリセリン(1.3%w/w)、酢酸(0.53%w/w)、1N NaOH(1.4%w/w)、力ルシトニン溶液750mcg/ml(3.9%w/w)および水(4.4%w/w)によって製造した。カルシトニン約10μg/mlおよび3μg/mlを含む他の同様の製剤を、カルシトニン溶液の一部分を水で置換えることによって製造した。
組成物B
カルシトニン約30μg/mlを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(11.7%w/w)、イムウィター308(28%w/w)、トゥイーン80(18.7%w/w)、モレクソル(Molecusol)(β−シクロデキストリン)(3%w/w)、PEG 400(31.3%w/w)、ソルビトール(1.7%w/w)、1n HCl(0.33%w/w)、カルシトニン溶液750mcg/ml(3.9%w/w)および水(1.43%w/w)によって製造した。カルシトニン約10μg/mlおよび約3μg/mlを含む他の同様の製剤を、カルシトニン溶液の一部分を水で置換えることによって製造した。
組成物C
カルシトニン約30μg/mlを含む透明液体を、以下の組成、すなわち、カプテクス200(11.7%w/w)、イムウィター308(28%w/w)、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテル(18.7%w/w)、PEG 1000(31%w/w)、ソルビトール(1.7%w/w)、カルシトニン溶液750mcg/ml(3.9%w/w)および水(5.1%w/w)によって製造した。カルシトニン約10μg/mlおよび3μg/mlを含む他の同様の製剤を、カルシトニン溶液の一部分を水で置換えることによって製造した。
方法論
絶食したラット(雄スプラーク・ドーリー(Spraque−Dawley);87〜106g)を腹腔内ペントバルビタールによって麻酔した。頸部切開して頸静脈を露出させた。カテーテルを頸静脈に挿入して、カルシウム分析用の血液試料を採取した。腹膜腔を切開し且つ十二指腸を露出させた。十二指腸の表面を巾着縫合した。
【0113】
被験動物の十二指腸内に1ml/kg(体重)および静脈内に2ml/kg(体重)投薬した後、食塩水100μlによって洗浄した。したがって、十二指腸内投与は約3μg、10μgおよび30μg/kg(動物体重)であり且つ静脈内注射(カルシトニン5i.u.=3i.u./mlで1μg)は約1.2μg/kg(体重)であった。
【0114】
製剤を導入した後、腹膜腔に製剤が漏れないように注射針を引抜いた時に巾着縫合をきつく締めた。
腹膜を外科手術用ステープルによって閉じ、そして被験動物を実験の間中麻酔した状態のままにした。血液試料(50〜200μl)を実験経過中に定期的に採取した。その血液試料を用いて血清を調製し、それを用い、ベックマン(Beckman)700カルシウム臨床検定キットを用いて血清Ca+2(遊離イオン化カルシウム)濃度を決定した。血清カルシウム濃度を表10.1において単位mg/dLで報告する。各群のラット数を(#)値として与える。
【0115】
【表9】

【実施例11】
【0116】
実験は、本発明の製剤によってラットを用いて行って、RGDペプチド、例えば、シクロ(S,S)−Nα−アセチル−Cys−(Nα−メチル)Arg−Gly−Asp−Pen−NHペプチドの供給用ビヒクルとしてそれらを評価した。
製剤
試験製剤を、図1〜5に示したように、出願の方法によって製造する。
試験法
静脈内(i.v.)投与:絶食したラットを腹腔内(i.p.)注射によって麻酔し、そして外科手術によって頸静脈カテーテルを装着する(ACUCプロトコル#90−151)。ラットを外科手術から1日間回復させる。カテーテルを付けたラットを実験前の18時間絶食させる。各ラットにペプチド1mgかまたは3mg/kg(動物)用量を外側尾静脈投与によって与える。0.5mlアリコートの血液試料を0分、1分、3分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、150分および180分に集める。0分試料は投薬の15分前に採取する。血漿は、全血から1600xgで5分間の遠心分離によって取出された後、血漿を試料当たり250μlアリコート中において−20℃で貯蔵する。血液ペレットをヘパリン処理された食塩水12.5単位によって還元し且つ適切なラットに対して頸静脈カテーテルを介して戻した。実験後、ペントバルビタールのi.v.投与によってラットを安楽死させる。
十二指腸内(i.d.)投与:絶食したラットに麻酔混合剤をi.p.注射投与し、そして外科手術によって頸静脈および十二指腸カテーテルを装着する。ラットを外科手術から4〜5日間回復させる(ACUCプロトコル#91−055)。カテーテルを付けたラットを実験前の18〜20時間絶食させる。各群のラットに各製剤(3.3ml/kg)中のペプチド10mg/kg(動物)かまたは各製剤(3.3ml/kg)中のペプチド6.5mg/kg(動物)を与える。塩類溶液中にペプチド10mg/kg(体重)を含む食塩水対照を一群のラットに投与する。0.5mlアリコートの血液試料を、頸静脈カテーテルを介してヘパリン処理されたエッペンドルフ管に0分、10分、30分、60分、120分、180分、240分および1440分に集める。0分試料は、十二指腸カテーテルによる投薬の15分前に採取する。i.v.投与プロトコルにおいて記載のように、血漿を分析用に集め且つ血液をラットに戻した。24時間後、ペントバルビタールのi.v.投与によってラットを安楽死させ、瀉血し、そして腸管の肉眼観察を行う。
カラム後HPLC蛍光検定:試料および標準液用に、血漿成分をセトニトリル0.6mlによって沈澱させた後、16,000xgで20分間の遠心分離によってペレットにする。上澄みを除去した後、N下において40℃で乾燥させて粉末にする。粉末を1%TFA溶液0.5ml中に溶解させた後、固相抽出法(SPEP)によって処理する。SPEPは以下の通りである。(1)C18カラム1mlをメタノールによって状態調節した後、カラムを水1mlによって洗浄し、(2)標準液および試料をカラムに入れた後、水1mlによって2回洗浄し、(3)メタノールを0.5mlアリコートずつ2回用いるカラムからの溶離によって標準液および試料を試験管に集める。試料および標準液をN下において40℃で乾燥させて粉末にした後、10%メタノール:90%超純水溶液100μl中に溶解させる。標準液および試料をHPLCバイアル中に入れる。標準液の入ったバイアルを、HPLC分析用試料の入ったバイアルの前後に置く。ペプチド標準に対しては、以下の通りの標準液濃度に基く分析用にアリコートを注入する。すなわち、50μlアリコートを、カラム後蛍光検出による分析用に注入する。蛍光クロマトグラフィーデータを集め且つネルソン・クロマトグラフィー・データ・システム(Nelson Chromatography Data System)を用いて積分する。ピーク面積比(Y)およびペプチド標準濃度(X)を用いて、原点を通る直線の傾斜を等式:
傾斜=(X*Yの和)/(Xの和)から決定する。傾斜は、ピーク面積比と試料のペプチド血漿濃度との関係を表わす。
結果
血漿濃度曲線下の面積(AUC)を各試験群について決定する。生物学的利用能百分率は、iv投与からの平均Aucを用いて等式:
[(AUCid/AUCiv)*(mg/kgiv/mg/kgid)]*100
によって決定される。
【実施例12】
【0117】
実験は、本明細書中にそのまま援用される米国特許第4,703,036号明細書に開示された、分子量が約515のトリペプチド−アルデヒド誘導体(CAS 第126721−07−1号)であって、該ペプチドが抗凝血活性を有するタンパク質性物質(N−メチル−D−フェニルアラニル−L−プロピル−L−アルギニナルスルフェート)の生物学的利用能を本発明の製剤が増大させることができるかどうかを決定するように行うことができる。
【0118】
製剤は、図1〜5で記載の組成にしたがって、ペプチド約0.7重量%を含んで製造することができる。食塩水中にペプチドを含む対照組成物も製造する。どちらの標晶もペプチド5mg/ml(組成物)を含む。
【0119】
雄フィッシャー(Fisher)344ラットをメトキシフルランによって麻酔し、腹部正中切開を行って腸を露出させ、そしてミクロエマルジョンの形のペプチド5mg/kg(動物)を十二指腸内腔末端に注射する。注射部位および外科手術切開部位を外科的接着によって閉じ、被験動物を回復させる。血液試料を心臓穿刺によってヘパリン処理されたバクテイナー(Vacutainer)管に適当な時間に集める。血液を血漿にし、そして血漿試料のペプチドをUV検出によるHPLCによって分析する。
【0120】
結果は、食塩水と比較される本発明の製剤の曲線(AUC)下の面積を計算することによって決定される。
[本発明の態様]
[1]
生物学的活性物質の貯蔵および投与に適当した安定な透明ドラッグデリバリー組成物であって、
(a) (1)1〜80重量%の薬学的に許容しうる油相;
(2)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、モノグリセリド若しくはジグリセリド(C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含む)またはそれらの混合物を含む低HLB界面活性剤;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、1〜40重量%の低HLB界面活性剤;
(3)ソルビタン界面活性剤;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、2〜60重量%の高HLB界面活性剤;
(4)2〜60重量%のポリエチレングリコール;
(5)0.5〜15重量%の水
から本質的に成るデリバリー組成物;および
(b)オクタノール:水分配係数が0.1未満である治療的有効量の生物学的活性物質
を含み;
該組成物はコレステロールおよびリン脂質の混合物を含まないという条件付きであり、そしてポリエチレングリコール対水の比率が少なくとも2:1である上記組成物。
[2]
デリバリー組成物が、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコースまたはラクトースを含めた少なくとも1種類の可塑剤を更に含み、該可塑剤が該デリバリー組成物の0.5〜10重量%の量で存在している1に記載のドラッグデリバリー組成物。
[3]
ドラッグデリバリー組成物がカプセル中に含まれていて且つポリエチレングリコール対水の比率が4:1〜99:1であり、そして前記可塑剤がソルビトール、マンニトールまたはグリセリンを含む2に記載のドラッグデリバリー組成物。
[4]
カプセルがゼラチンまたはデンプンカプセルである3に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[5]
活性物質がタンパク質、ペプチドまたは多糖を含む4に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[6]
界面活性剤成分が、HLBが10未満である低HLB界面活性剤およびHLBが10を越える高HLB界面活性剤を含む界面活性剤混合物であり、そして該低HLB界面活性剤がC9-13モノグリセリドを含む5に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[7]
活性物質が、エリトロポエチン、インスリン、成長ホルモン、カルシトニン、成長コロニー刺激因子、RGDペプチド、血液調節ペプチド、コラゲナーゼ阻害剤、アンギオテンシン阻害剤、ヘパリン、視床下部放出ペプチド、組織プラスミノーゲン活性化因子、心房ナトリウム排泄増加性ペプチド、腫瘍壊死因子、シクロスポリン、バソプレシン、バソプレシンアンタゴニスト、t−PA、チスイコウモリ由来プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、インターフェロンおよびインターロイキンから成る群より選択される薬剤を生物学的に有効な治療的無毒性量で含む5に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[8]
活性物質が、インスリン、成長ホルモン、フィブリノーゲンアンタゴニストおよびカルシトニンから成る群より選択される薬剤を含む5に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[9]
安定な透明デリバリー組成物であって、
(a)5〜70重量%の薬学的に許容しうる油相;
(b)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、モノグリセリド若しくはジグリセリド(C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含む)またはそれらの混合物を含む低HLB界面活性剤;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、1〜40重量%の低HLB界面活性剤;
(c)ソルビタン界面活性剤;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、2〜60重量%の高HLB界面活性剤;
(d)60〜95重量%のポリエチレングリコール、2〜30重量%の水、およびソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコースまたはラクトースを含めた1〜15重量%の可塑剤を含む、5〜60重量%の水性相
から本質的に成り;
ポリエチレングリコール対水の比率が少なくとも2:1であるが、但し、コレステロールとリン脂質との混合物は含まない、上記組成物。
[10]
ポリエチレングリコール対水の比率が4:1〜99:1であり、そして前記可塑剤がソルビトール、マンニトールまたはグリセリンを含む9に記載のデリバリー組成物。
[11]
水性相が前記水、ポリエチレングリコールおよび可塑剤から成る10に記載のデリバリー組成物。
[12]
オクタノール:水分配係数が0.1未満である治療的有効量の生物学的活性治療物質を更に含む11に記載のデリバリー組成物。
[13]
ドラッグデリバリー組成物が硬質ゼラチン、軟質ゼラチンまたはデンプンカプセル中に含まれている12に記載のドラッグデリバリー組成物。
[14]
生物学的活性物質がタンパク質、ペプチドまたは多糖を含む13に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[15]
界面活性剤成分が、HLBが10未満である低HLB界面活性剤およびHLBが10を越える高HLB界面活性剤を含む界面活性剤混合物であり、そして該低HLB界面活性剤がC9-13モノグリセリドを含む14に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[16]
活性物質が、エリトロポエチン、インスリン、成長ホルモン、カルシトニン、成長コロニー刺激因子、RGDペプチド、血液調節ペプチド、コラゲナーゼ阻害剤、アンギオテンシン阻害剤、ヘパリン、視床下部放出ペプチド、組織プラスミノーゲン活性化因子、心房ナトリウム排泄増加性ペプチド、腫瘍壊死因子、シクロスポリン、バソプレシン、バソプレシンアンタゴニスト、t−PA、チスイコウモリ由来プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、インターフェロンおよびインターロイキンから成る群より選択される薬剤を生物学的に有効な治療的無毒性量で含む14に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[17]
活性物質が、インスリン、成長ホルモン、フィブリノーゲンアンタゴニストおよびカルシトニンから成る群より選択される薬剤を含む14に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[18]
油が、18〜81個の炭素原子を有するトリグリセリドおよび7〜55個の炭素原子を有するプロピレングリコールジエステルから成る群より選択される14に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[19]
(a)(1)5〜70重量%の油相;
(2)水、ポリエチレングリコールおよび少なくとも1種類の可塑剤から本質的に成る5〜60重量%の水性相であって、2〜30重量%の水、60〜95重量%のポリエチレングリコール、並びにソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコースまたはラクトースを含む1〜15重量%の可塑剤を含む該水性相;および
(3)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、モノグリセリド若しくはジグリセリド(C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含む)またはそれらの混合物を含む低HLB界面活性剤;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、1〜40重量%の低HLB界面活性剤;
(4)ソルビタン界面活性剤;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、2〜60重量%の高HLB界面活性剤;
から本質的に成るデリバリー組成物;および
(b)オクタノール:水分配係数が0.1未満である治療的有効量の生物学的活性治療物質
を含むが、但し、コレステロールとリン脂質との混合物は含まない、ドラッグデリバリー組成物をカプセル中に含んでいる、経口、肛門または腟内投与によって動物の体内に投与するためのカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[20]
前記生物学的活性物質がタンパク質、ペプチドまたは多糖を含み、前記可塑剤がソルビトール、マンニトールまたはグリセリンを含む、19に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[21]
前記投与が経口である20に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[22]
デリバリー組成物中のポリエチレングリコール対水の重量比が、4:1〜99:1である、21に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[23]
低HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在し、高HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在する、6に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[24]
デリバリー組成物が、15〜55重量%中のポリエチレングリコールを含む、23に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[25]
界面活性剤の混合物が、ドラッグデリバリー組成物の15〜75重量%含まれる、5に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[26]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、25に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[27]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、7に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[28]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、24に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[29]
低HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在し、高HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在する、15に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[30]
水性相が70〜90重量%のポリエチレングリコールを含み、そして該ポリエチレングリコール対水の比率が、5:1〜95:5である、29に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[31]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、14に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[32]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、16に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[33]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、29に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[34]
デリバリー組成物の界面活性剤成分が、HLBが10未満である低HLB界面活性剤およびHLBが10を越える高HLB界面活性剤を含む界面活性剤混合物であり、そして該低HLB界面活性剤がC9-13モノグリセリドを含む、22に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[35]
低HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在し、高HLB界面活性剤がデリバリー組成物の10〜40重量%存在する、34に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[36]
活性物質が、エリトロポエチン、インスリン、成長ホルモン、カルシトニン、成長コロニー刺激因子、RGDペプチド、血液調節ペプチド、コラゲナーゼ阻害剤、アンギオテンシン阻害剤、ヘパリン、視床下部放出ペプチド、組織プラスミノーゲン活性化因子、心房ナトリウム排泄増加性ペプチド、腫瘍壊死因子、シクロスポリン、バソプレシン、バソプレシンアンタゴニスト、t−PA、チスイコウモリ由来のプラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、インターフェロンおよびインターロイキンから成る群より選択される薬剤を生物学的に有効な治療的無毒性量で含む、35に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[37]
ドラッグデリバリー組成物が、硬質ゼラチン、軟質ゼラチンまたはデンプンカプセル中に含まれる、35に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[38]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、22に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[39]
可塑剤がプロピレングリコールを含まない、35に記載のカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。
[40]
本発明のドラッグデリバリー組成物には、エリトロポエチン、インスリン、成長ホルモン、フィブリノーゲンアンタゴニスト、カルシトニン、コロニー刺激因子、RGD含有ペプチド、血液調節ペプチド、コラゲナーゼ阻害剤、アンギオテンシン阻害剤、ヘパリン、セレクチン、視床下部放出ペプチド、組織プラスミノーゲン活性化因子、心房ナトリウム排泄増加性ペプチド、腫瘍壊死因子、シクロスポリン、バソプレシン、VまたはVバソプレシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、t−PA、チスイコウモリ由来プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、インターフェロンおよびインターロイキンから成る群より選択される薬剤が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的活性物質の貯蔵および投与に適当した安定な透明ドラッグデリバリー組成物であって、
(a)
(1)1〜80重量%の薬学的に許容しうる油相;
(2)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、モノグリセリド若しくはジグリセリド(C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含む)またはそれらの混合物を含む低HLB界面活性剤、好ましくはC、C11若しくはC13モノグリセリドまたはそれらの混合物;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、1〜40重量%の低HLB界面活性剤;
(3)ソルビタン界面活性剤;POE(ポリオキシエチレン)20ソルビタンモノオレエート、モノステアレート、モノパルミテートおよびモノラウレート;POE(ポリオキシエチレン)4ソルビタンモノラウレート;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、2〜60重量%の高HLB界面活性剤;
(4)2〜60重量%のポリエチレングリコール;
(5)0.5〜15重量%の水
から本質的に成るデリバリー組成物;および
(b)オクタノール:水分配係数が0.1未満である治療的有効量の生物学的活性物質
を含み;
該組成物はコレステロールおよびリン脂質の混合物を含まないという条件付きであり、そしてポリエチレングリコール対水の比率が3.7:1〜110:1である上記組成物。
【請求項2】
安定な透明デリバリー組成物であって、
(a)5〜70重量%の薬学的に許容しうる油相;
(b)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、モノグリセリド若しくはジグリセリド(C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含む)またはそれらの混合物を含む低HLB界面活性剤、好ましくはC、C11若しくはC13モノグリセリドまたはそれらの混合物;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、5〜30重量%の低HLB界面活性剤;
(c)ソルビタン界面活性剤;POE(ポリオキシエチレン)20ソルビタンモノオレエート、モノステアレート、モノパルミテートおよびモノラウレート;POE(ポリオキシエチレン)4ソルビタンモノラウレート;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、5〜50重量%の高HLB界面活性剤;
(d)60〜95重量%のポリエチレングリコール、2〜15重量%の水、およびソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコースまたはラクトースを含めた1〜15重量%の可塑剤を含む、5〜60重量%の水性相
を含み;
ポリエチレングリコール対水の比率が4:1〜99:1であるが、但し、コレステロールとリン脂質との混合物は含まない、上記組成物。
【請求項3】
(a)(1)5〜70重量%の薬学的に許容しうる油相;
(2)水、ポリエチレングリコールおよび少なくとも1種類の可塑剤から本質的に成る5〜60重量%の水性相であって、2〜30重量%の水、60〜95重量%のポリエチレングリコール、並びにソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコース及びラクトースから成る群より選択される少なくとも1種類の可塑剤1〜15重量%を含む該水性相;および
(3)C9〜C13モノグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC19〜C25ジグリセリド;C15〜C23ジグリセリド;モノおよびポリ不飽和脂肪酸のC35〜C47ジグリセリド;少なくとも80重量%の、C6、C7、C8、C9、C10脂肪酸官能基の少なくとも1つを含むモノグリセリド若しくはジグリセリドまたはそれらの混合物を含む、HLBが10未満である低HLB界面活性剤;低HLBリン脂質;並びにその混合物;から成る群より選択される、1〜40重量%のHLBが10未満である低HLB界面活性剤;
(4)ソルビタン界面活性剤;エトキシル化ヒマシ油界面活性剤;高HLBリン脂質;オレイン酸カリウム;及びその混合物;から成る群より選択される、2〜60重量%のHLBが10を越える高HLB界面活性剤;
から本質的に成るデリバリー組成物、ただしデリバリー組成物中のポリエチレングリコール対水の重量比が、4:1〜99:1である;および
(b)オクタノール:水分配係数が0.1未満である治療的有効量の生物学的活性物質であって、タンパク質、ペプチド及び多糖から成る群より選択される該生物学的活性物質
を含むが、但し、コレステロールとリン脂質との混合物は含まない、ドラッグデリバリー組成物をカプセル中に含んでいる、経口、肛門または腟内投与によって動物の体内に投与するためのカプセル封入ドラッグデリバリー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−149074(P2012−149074A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59920(P2012−59920)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2007−307119(P2007−307119)の分割
【原出願日】平成6年11月16日(1994.11.16)
【出願人】(507356914)エルディーエス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】