説明

ドリルロッド

【課題】ドリルロッドを構成する複数のロッド要素の連結、分離を簡便にする伝送ラインの構造を提供する。
【解決手段】ロッド要素10,11のそれぞれは、ドリルロッド1の長手方向軸に沿って延びるケーブル17を有し、ケーブル17は誘導コイル100,110のそれぞれに接続される。誘導コイル100,110は、ドリルロッド1に沿ったエネルギあるいはデータの伝送のために電磁的に互いに結合される。第1のロッド要素10は、その内管20の外周に位置する内側誘導コイル100を有し、第2のロッド要素11は、その外管40の内周に位置する外側誘導コイル110を有する。二つの誘導コイル100,110は、複数のリングセグメント部から分節的に構築され、互いに少なくとも一部の領域において、径方向に対向して重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、回転に関して固定されかつ取り外し可能な方法で互いに連結された少なくとも2本のロッド要素を有するドリルロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルロッドのロッド要素それぞれは、環または円筒形状の受け入れ空間が間に形成された内管および外管を有する。さらに、それぞれのロッド要素は、ドリルロッドの長手方向軸に沿って延びるエネルギライン、データライン、またはエネルギとデータの双方を送るラインを有する。以降、これらのラインを総称して伝送ラインと記す。ロッド要素の伝送ラインは、誘導コイルにそれぞれ連結され、この場合誘導コイルは、ドリルロッドに沿ったエネルギやデータの伝送のために電磁的に互いに結合され得る。
【0003】
対象となるドリルロッドは、特に、地面内に穴を作り出すためのオーガのドリルロッドになり得る。そのような穴は、たとえば、地盤改良の目的で、または埋め込み杭(場所打ち杭)または止水壁を作り出すために作られる。
【0004】
地面に作り出される穴は、かなりの深さまたは長さを有することが多いという事実により、ドリルロッドは、たいてい複数のロッド要素からなる複合部分から構築される。個々のロッド要素は、隣接するロッド要素との機械的連結のためにその端部に連結手段を有する。たとえば、ロッド要素の第1の端部は雄結合領域を有し、第1の端部の反対側に位置する第2の端部は雌結合領域を有する。このようにして、ほぼ同一設計のものである複数のロッド要素は、連結されてドリルロッドまたはドリルストリングに構成され得る。この連結では、外管だけでなく内管も互いに連結される必要があることが重要である。
【0005】
穴を作り出す間、掘削孔の内側の位置、特に掘削孔の先端部の位置のデータを掘削装置のオペレータに伝送することがしばしば望ましい。そのようなデータは、たとえば掘削孔内の圧力または温度値、傾斜角度または塩分を含むことができる。さらには、特定の掘削方法では、作動パラメータなどのデータを掘削孔の先端部または掘削ヘッドに伝送することが有利になり得る。これらの目的のために、ドリルロッド内に伝送ラインを設けることが知られており、伝送ラインを介して情報をドリルロッドに沿って伝送することができる。
【0006】
各々が外管および内管を備える2本のロッドセグメントを有するオーガの例が、DE29914494U1に説明されている。内管と外管の間には、ケーブルが、各々のロッドセグメント内に導かれている。ケーブルは、プラグ連結部(plug connection)を用いて互いに結合される。
【0007】
ドリルストリングの内側でラインを連結するために、ロッド要素の軸方向端部に誘導コイルを設けることがさらに知られており、誘導コイルを介して、ラインを電磁的に結合させることができる。
【0008】
電磁結合の例は、二重管の場合ではないが、US2002/0193004A1に開示されている。誘導コイルは、ロッド要素の軸方向の連結領域上に直接配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国実用新案第29914494号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0193004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、内管および外管を備えたロッド要素からなるドリルロッド内の伝送ラインのためのコンパクトで換装が容易な連結を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目的は、本発明により、請求項1の特徴を有するドリルロッドによって解決される。好ましい実施形態を、従属請求項ならびに本説明および図において述べる。
【0012】
本発明によるドリルロッドは、第1のロッド要素が、その内管の外周に位置する内側誘導コイルを有し、第2のロッド要素が、その外管の内周に位置する外側誘導コイルを有すること、およびこれらの誘導コイルのそれぞれが複数のリングセグメント部から分節的に構築され、互いに少なくとも一部の領域において径方向に対向して重なることを特徴とする。
【0013】
基本的に、ドリルロッドは、いかなる掘削方法においても、またいかなる所望の掘削装置でも使用可能である。二重ロッドとも称され得るドリルロッドの内管は、たとえばいわゆるフラッシュ管として使用可能である。多くの場合、地面内の穴は、フラッシング式で実行され、すなわちフラッシング液体が、ドリルロッドを介して地面内に導入され、掘削孔底部のドリルロッドから送り出され、除去された掘削廃物を流し戻す。故に、この場合、内管は、フラッシング液体を掘削孔内に導入するように機能する。
【0014】
内管の別の機能はまた、硬化懸濁液を導入することにあり得る。埋め込み杭を作り出すために、たとえばコンクリートが、掘削の完了時、ドリルロッドの引き抜き中に内管を介して掘削孔に導入され得る。したがって、内管はまた、コンクリート管とも称され得る。
【0015】
本発明の第1の基本的な思想は、相互に動作可能に結合している誘導コイルが、1つの同じ管、すなわちいずれもが内管上に、または外管上には設けられず、第1の誘導コイルはそれぞれのロッド要素の内管上に配置され、第2の誘導コイルはそれぞれのロッド要素の外管上に配置されるという事実にある。故に、本発明によれば、誘導コイルは、内側ロッドと外側ロッドの間に配置される。その結果、ロッド要素の正面またはロッド要素の連結領域は、通常の連結器システムを、制限がかかることなく依然として使用できるように保たれ得る。本発明による誘導コイルの構成は、したがって、既存のドリルロッドまたはロッド要素を容易に換装する実現性を提供し、その場合、すでに存在している連結システム、特に外管のものを続けて使用することができる。
【0016】
本発明の別の基本的な思想は、相互に動作可能に結合している誘導コイルが、相互に連結されたロッド要素においては、誘導コイル同士が径方向に重なるように、すなわちこれらが少なくとも一部の領域において互いに対して径方向に位置するように配置されるという事実において見出され得る。互いに対する誘導コイルの径方向の配置はまた、ロッド要素の軸方向正面が自由なままとすることができるため、つまり誘導コイルの配置による制限を受けないようにできるため換装する可能性をさらに高める。
【0017】
誘導コイルの容易な取り付けのために、これらは、本発明による複数のセグメントから構築される。これは、特に、誘導コイルが、1つの部分から構成されるのではなく、複数の部分から構成されるということで理解されるものである。個々の部分すなわちリングセグメントは、リング形状のコイルのリングの一部を形成する。
【0018】
本発明は、誘導コイルを、2本のロッド要素間の移行部上であるが、ロッド要素の連結または結合領域の外側に配置する可能性をもたらす。このようにして、連結領域は、誘導コイルによって妨げられない。ここでは連結領域は、特に、外管と内管の一方または両方の、互いの間のそれぞれの管の回転方向かつ軸方向に関し固定された連結のために機能するセクションとして理解される。連結領域は、たとえばねじ山、1つまたは複数の溝、スナップロックまたはプラグ連結部または他の連結器システムを含むことができる。本発明によれば、誘導コイルは、好ましくは、ロッド要素の連結領域または連結表面から軸方向および径方向の一方または双方において離間されるように配置される。
【0019】
特にコンパクトな配置を達成するために、誘導コイルの少なくとも1つは、リング形状の受け入れ溝内に配置されることが好ましい。受け入れ溝は、特に、内管の外周に位置する外側溝または外管の内周に位置する内側溝になり得る。したがって、内側誘導コイルが第1のロッド要素の内管の外側溝内に配置されることと、外側誘導コイルが第2のロッド要素の外管の内側溝内に配置されることの一方または双方が実施されることが特に好ましい。複数のリングセグメント部から構築された分割された誘導コイルのため、これらは、それぞれの溝内に挿入することが特に容易である。
【0020】
誘導コイルの取り扱い、特にそれぞれの溝内の挿入は、少なくとも2つのリングセグメント部が、互いに取り外し可能に連結されることで容易となり得る。ここでは、取り外し可能な連結は、特に、工具または手で取り外すことができ、かつ特に取り外しプロセスを逆行することによって再度復元することができるような連結として理解される。取り外し可能な連結では、連結された要素は、互いから取り外されたときに重大な損傷を被らない。取り外し可能な連結部は、たとえばねじ、プラグまたはスナップロック連結であり得る。
【0021】
少なくとも2つのリングセグメント部が互いに対して移動可能である、誘導コイルに関する別の好ましい実施形態が、提供される。このようにして、誘導コイルの形状は、コイルの溝内への挿入がさらに容易にされるように改変され得る。少なくとも2つのリングセグメント部が、互いに回動可能に連結されることが特に好ましい。誘導コイルの長手方向軸に特に平行に通ることができる回動軸を有する回動式連結の結果、コイルをそれぞれのロッド要素内に挿入することをさらに容易にすることが、有利な方法で達成される。挿入された誘導コイルを安全に保持するために、回動式連結を封止するための手段が設けられ得る。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態では、第1のロッド要素の内管が別の内管との連結のためのプラグ形状またはスリーブ形状の接合領域を有し、内側誘導コイルをプラグ形状またはスリーブ形状の接合領域から軸方向に離間されるように配置する対策がなされる。その結果、接合領域は、誘導コイルからの妨害なく、隣接するロッド要素の内管を接合するのに利用可能である。特に、内管は、接合領域から軸方向に離間されるように設けられた受け入れ溝を有することができ、この受け入れ溝内には誘導コイルが配置される。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態では、外側誘導コイルを第2のロッド要素の外管のプラグ形状の接合部分の内側に配置する対策がなされる。故に、接合されたロッド要素の場合、外側誘導コイルは、好ましくは第2のロッド要素の外管のプラグ形状の接合部の径方向において内側に位置するように配置される。
【0024】
掘削中、かなりのトルクが、通常、外管および2つの隣接する外管の間の管連結部を介して伝達される。外側誘導コイルが、外管の接合部の径方向において内側に配置されるという事実により、前記接合部は、機械的安定性をもたらすために十分に利用可能である。特に、これは、プラグ形状の接合部の連結領域が、たいてい接合部の外側円周に配置され、したがって誘導コイルを配置することによる制限を全く受けない状態に保たれ得るという事実にも帰することができる。さらには、接合部内側のコイルの配置は、すでに存在しているプラグ形状の接合部が、誘導コイルの換装の場合にほとんど変わらないままで依然として使用され得ることを可能にする。故に、ロッド要素は、誘導コイルを、外管のその内周上のプラグ形状の接合部上に配置するだけで換装され得る。
【0025】
欠陥があった場合の換装および取り換えを簡単に行うことは、ロッド要素の少なくとも1つが、内側誘導コイルと外側誘導コイルの一方または双方が装着されるアダプタまたは装着スリーブを備えることで達成され得る。故に、装着スリーブは、第1のロッド要素の内管のセクションと第2のロッド要素の外管のセクションの一方または両方を少なくとも部分的に形成する。
【0026】
より好適には、装着スリーブは、ロッド要素とは別個の部分であり、この部分は、特に固定されるように、好ましくは軸方向かつ回転方向において固定されるようにロッド要素に結合される。故に、挿入された装着スリーブは、好ましくはロッド要素に対して移動可能ではない。特に、装着スリーブを内管と外管の一方または双方の基本管体に溶接する、押し付けるまたはねじ込む対策がなされ得る。装着スリーブの取り換えのために、これは、好ましくは、取り外し可能にロッド要素内に挿入される。装着スリーブをロッド要素内に長手方向に導入できれば特に好ましい。
【0027】
より好適には、第1のロッド要素は第1の装着スリーブを有し、第2のロッド要素は第2の装着スリーブを有する。好ましい実施形態では、これらの装着スリーブは、互いに機械的に結合され得る。
【0028】
特に外側誘導コイルに関して、装着スリーブは、好ましくは外管の基本管体または接合領域内に挿入するように設計される。したがって、外側誘導コイルのための装着スリーブは、基本的には、トルクおよび軸方向の力を伝達する前記外管を特別に適合させることなく外管内に挿入され得る。
【0029】
特に内側誘導コイルに関して、装着スリーブは、内管の基本管体の外周上に配置されれば有利になり得る。しかし、通常、より少量の力が、外管を介してではなく内管を介して伝達されるという事実により、内側誘導コイルのための装着スリーブが、内管の基本管体の軸方向の延長部内に配置されれば特にコンパクトな配置には有利になり得る。
【0030】
より好適には、装着スリーブは、内側誘導コイルと外側誘導コイルの一方または双方のための受け入れ領域を含む。この目的のため、たとえば内側溝と外側溝の一方または双方が、装着スリーブ上に設けられ得る。
【0031】
装着スリーブは、第1のロッド要素の内管の基本管体の軸方向の延長部に配置された管形状のセクションを有することが特に好ましい。また、内管の既存の軸方向の端部領域に加えて装着スリーブを設けることも可能である。故に、既存のロッド要素は、その内管の軸方向端部が、内側誘導コイルを備えた装着スリーブによって取り換えられまたは補強されることで、特に容易な方法で換装され得る。
【0032】
別の好ましい実施形態は、装着スリーブが、外管の接合部内に挿入されるという事実にある。これは、ロッド要素を換装する簡単な可能性をもたらし、その場合、かなりの力がそれを介して伝達される可能性がある外管の接合部は、ほとんど変わらないままとすることができる。特に、本発明により、装着スリーブが、外管のプラグ形状の接合部の内側に配置または固定され、また内側に配置かつ固定されることが好ましい。このようにして、外側誘導コイルは、外管に容易に取り付けられ得る。
【0033】
伝送ラインの誘導のために、装着スリーブは、好ましくはケーブルチャネルを有する。ケーブルチャネルは、伝送ラインのための開口部を含むことができ、この開口部を介して、内側と外側誘導コイルの一方または双方の伝送ラインが内管と外管の間のリング空間内に導かれる。より好適には、ケーブルチャネルは、ロッド要素およびドリルロッドの長手方向にそれぞれ延びる。
【0034】
ドリルロッドの整備を容易にすることは、第1のロッド要素と第2のロッド要素の一方または双方の外管が、伝送ラインへのアクセスのために開くことができるキャップを有することで達成される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】分離された装着スリーブおよび誘導コイルを備えたドリルロッドのロッド要素の断面図である。
【図2】挿入された装着スリーブおよび誘導コイルを備えた図1のロッド要素の断面図である。
【図3】図1のロッド要素の上側セクションの斜視図である。
【図4】図1のロッド要素の下側セクションの斜視図である。
【図5】内側誘導コイルの側面図である。
【図6】第1の装着スリーブの側面図である。
【図7】図8の線A−Aに沿った図6の装着スリーブの断面図である。
【図8】挿入された内側誘導コイルを備えた図6の装着スリーブの側面図である。
【図9】分離された内側誘導コイルを備えた図6の装着スリーブの斜視図である。
【図10】挿入された内側誘導コイルを備えた図6の装着スリーブの斜視図である。
【図11】内側誘導コイルの斜視図である。
【図12】図14の線A−Aに沿った図11の内側誘導コイルの断面図である。
【図13】図11の内側誘導コイルの縦方向の断面図である。
【図14】図11の内側誘導コイルの正面からの図である。
【図15】分離された外側誘導コイルを備えた第2の装着スリーブの断面図である。
【図16】挿入された外側誘導コイルを備えた図15の第2の装着スリーブの断面図である。
【図17】挿入された誘導コイルを備えた図15の第2の装着スリーブの斜視図である。
【図18】外側誘導コイルの斜視図である。
【図19】図21の線A−Aに沿った図18の外側誘導コイルの断面図である。
【図20】図18の外側誘導コイルの縦方向の断面図である。
【図21】図18の外側誘導コイルの正面からの図である。
【図22】内側誘導コイルの斜視図である。
【図23】外側誘導コイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明を、添付の概略図に示す好ましい実施形態によってさらに説明する。すべての図において、同一または対応する構成要素には、同じ参照記号が与えられる。
【0037】
図1および図2は、本発明によるドリルロッド1のロッド要素10の実施形態を示しており、ロッド要素10は、第1の軸方向端部12に第1の接合領域および第2の軸方向端部13に第2の接合領域を有する。2つの接合領域上では、別のロッド要素が、いずれの場合にも接合され得る。その結果、ほぼ同じ構造を有することができる複数のロッド要素を互いに連結することにより、基本的にあらゆる長さのドリルロッドを形成することができる。ドリルロッドの長手方向軸は、参照記号14で示されている。
【0038】
図3は、ロッド要素10の上側の軸方向端部の詳細を斜視図で示している。図4では、ロッド要素10の下側の軸方向端部が、斜視図で示されている。
【0039】
以下では、本発明によるドリルロッドの構成要素になり得るロッド要素10の実施形態を、図1から4を参照して説明する。
【0040】
ロッド要素10は、これと同軸に配置された内管20および外管40を有する。内管20および外管40は、回転に関して固定されるように互いに連結され、すなわち内管20と外管40の間の相対回転移動は、本質的に可能でない。
【0041】
内管20と外管40の間には、環または円筒形状の受け入れ空間16が形成され、その中には、図1および2においてのみ概略的に示される少なくとも1本のケーブル17が、配置される。したがって、内管20と外管40の間の環または円筒形状の空間またはそのセクションはまた、ケーブル収容部とも称され得る。外管40は、ケーブル収容部または代替的に受け入れ空間16を開くためのキャップ18を有する。この方法では、ケーブル収容部または受け入れ空間16への容易なアクセスが享受可能である。受け入れ空間16内では、チャネル15が少なくともケーブル(または該当する場合には複数のケーブル)17用のセクション内に形成される。
【0042】
内管20は、ロッド要素10の長さのかなりの部分にわたって延びる基本管体22を備える。基本管体22は、ほぼ一定の壁厚さを備えた管形状の構造を有する。図1および2に示す基本管体22の下側端部には、内管20の一部を形成する第1の中間部分24が設けられる。図1および2から看取できるように、第1の中間部分は外管40の一部も同様に構成する。第1の中間部分24内には、軸方向のチャネル28がケーブル17を通過させるために設けられる。
【0043】
内管20の第2の上側端部には、第2の中間部分26が設けられる。第2の中間部分26は外管40の内側に配置され、これに堅固に連結される。より好適には、中間部分26は外管40に圧入もしくは溶接されるか、または圧入後溶接される。
【0044】
第1の中間部分24および第2の中間部分26は、装着スリーブ60,80の結合のために機能する。中間部分24,26は、したがって結合部分とも称され得る。
【0045】
外管40は、外管40の長さのかなりの部分に沿って延びる管形状の基本管体41を備える。外管40の軸方向の両端部には、接合部42が、隣接する外管との連結のためにいずれの場合にも設けられる。図1および2の底部に示す外管40の端部は、雌接合部とも称され得る受け入れソケット44を備える。図示した実施形態では、受け入れソケット44は、堅固に結合された、特に互いに溶接された第1のソケット部45および第2のソケット部46を備える。受け入れソケット44内には、軸方向のリブ47および軸方向の溝48が、隣接する外管との回転に関して固定される方式の連結をもたらすために設けられる。加えて、受け入れソケット44は、隣接する外管との軸方向に関して固定される連結を生み出すための周方向の溝49を含む。周方向の溝49は、受け入れソケット44内の内側溝として設けられる。周方向の溝49の1つの領域内には、アクセス用開口部50が設けられ、これを介して、隣接する外管との軸方向の固定のための固定要素、特にリンクチェーン57を挿入することができる。
【0046】
図1および2の上部に示す端部において、外管40は、雄接合部とも称され得るプラグ部52を有する。プラグ部52は、受け入れソケット44の軸方向のリブ47および軸方向の溝48に対応する軸方向のリブ53および軸方向の溝54を含む。さらに、プラグ部52は、プラグ部52上の外側溝として設計される、周方向の溝49に対応する周方向の溝55を有する。受け入れソケット44に対してプラグ部52を軸方向に固定するために、リンクチェーン57が周方向の溝49,55内に挿入される。
【0047】
受け入れソケット44の内側には、第1の装着スリーブ60が、内側誘導コイル100とも称され得る第1の誘導コイルを受け入れるために設けられる。第1の装着スリーブ60は、内管20の一部を形成する管形状のセクション61を含む。さらに、第1の装着スリーブ60は、外管40上に支持されるための支持リング62を備える。管形状のセクション61の軸方向端部の領域には、隣接するロッド要素の内管との結合のための接合領域64が設けられる。図示する実施形態では、接合領域64は、雌接合領域として設計される。
【0048】
内側誘導コイル100を受け入れるために、径方向の受け入れ溝66が、第1の装着スリーブ60上、特にその管形状のセクション61上に設計される。受け入れ溝66は、管形状のセクション61の外周に配置され、したがって外側溝と称され得る。
【0049】
受け入れ溝66に隣接して、係合溝または開口部67が、内側誘導コイル100の容易な取り外しのために設けられ、これもまた、特に図4、9、および10から看取することができる。
【0050】
支持リング62と管形状のセクション61の間には、ケーブルを通過させるためのケーブルチャネル76が設けられる。
【0051】
接合領域64の反対側に位置する端部において、第1の装着スリーブ60は、内管20の基本管体22、または内管20の第1の中間部分24もしくは総括的には結合部分に結合するための結合領域68を含む。
【0052】
ロッド要素10は、図1および2において上部に表すその軸方向端部13において、外側誘導コイル110を受け入れるように設計された第2の装着スリーブ80を有する。第2の装着スリーブ80は、内管20の一部を形成する管形状のセクション81を含む。管形状のセクション81は、雄接合領域とも称され得る接合領域84を有する。接合領域84は、設計上、第1の装着スリーブ60の接合領域64に対応する。接合領域84の反対側に位置するその端部では、第2の装着スリーブ80を、内管20の基本管体22、または内管20の第2の中間部分26もしくは総括的には結合部分に結合させるための結合領域88が、設けられる。
【0053】
さらには、第2の装着スリーブ80は、外管40の一部の内周に、より具体的には外管の接合部42と外管の基本管体41の一方または双方に支えられるように設けられたスリーブ本体82を備える。スリーブ本体82の内周では、スリーブ本体82は、外側誘導コイル110のための径方向の受け入れ溝86を有する。受け入れ溝86は、内側溝とも称され得、スリーブ本体82の内周表面に沿って周方向に環状になって延びる。管形状のセクション81とスリーブ本体82の間には、ケーブルを通過させるためのケーブルチャネル96が設けられる。
【0054】
ケーブルリザーバのためのキャップ18は、好ましくは外管40の基本管体41の軸方向端部に、特に第1および第2の中間部分24、26の一方または双方に隣接して配置される。
【0055】
すでに記載しているように、本発明によるドリルロッドは、複数のロッド要素10,11を列として配置することによって作り出され得る。故に、本発明によるドリルロッドでは、特に、図1および2に示すロッド要素の下側軸方向端部に関連して説明した特徴を有する第1のロッド要素10が設けられ得る。さらに、ロッド要素の上側の軸方向端部に関連して説明した特徴を有する第2のロッド要素11が設けられ得る。したがって、図1および2はまた、それぞれの下側領域内には、第1のロッド要素10が示され、それぞれの上側領域内には、第2のロッド要素11が示されるようにして理解することもできる。ロッド要素10,11は互いに結合され得る。図5から23に関連して説明した誘導コイルおよび装着スリーブは、任意選択で、第1のロッド要素10または第2のロッド要素11を参照することができる。
【0056】
図5から10は、内側誘導コイル100および第1の装着スリーブ60またはその一部の詳細をさらに示している。第1の装着スリーブ60は、特に、内側誘導コイル100を受け入れるように機能する。特に、図7から看取できるように、誘導コイル100は、複数の、この場合は3つのリングセグメント部102を有する。誘導コイル100は、2つのリングセグメント部102間に、開口部領域109またはスロットを有し、この開口部領域ではコイルを設けられた受け入れ溝66内に挿入するためにリングセグメント部102同士を引き離す、または間隔を広げることができる。こうして分割された誘導コイル100は、径方向の受け入れ溝66内に容易に挿入され得る。
【0057】
誘導コイル100をしっかりと位置固定するために、ここでは一例として溝表面内の凹部として設計された固定手段70が、受け入れ溝66上に設けられる。これに合うように、誘導コイル100は、この例ではコイルの内面上のピンとして設計された対応する固定手段108を有する。
【0058】
図11から14は、例示的な実施形態により、内側誘導コイル100のさらなる詳細を示している。内側誘導コイル100は、いくつかの円弧形状のリングセグメント部102に分割されている。個々のリングセグメント部102を、プラグ連結器104を介して互いに連結することにより内側誘導コイル100が構築される。プラグ連結器104はまた、コイル本体の一部、またはコイル本体の巻線を形成することもできる。2つのリングセグメント部102間には、いずれの場合も、プラグ連結器104を覆うカバー105が設けられる。
【0059】
内側誘導コイル100のさらなる詳細が、図22において実施形態によって例示されている。リングセグメント部102の少なくとも一部は、回動継手106を介して互いに回動可能に連結される。回動継手106の回動の軸は、誘導コイル100の長手方向軸に沿って通っている。コイル本体を伝送ラインに接続するために、電気接合手段または接合ライン107が、リングセグメント部102の1つに設けられる。前記接合ラインは、好ましくは、内側誘導コイル100の開口部領域109内にまたはその近くに位置する。接合ライン107は、好ましくは誘導コイル100の正面に配置される。
【0060】
図15から17は、第2の装着スリーブ80および外側誘導コイル110を示している。第2の装着スリーブ80は、特に、外側誘導コイル110を受け入れるように機能する。外側誘導コイル110は、実質的に内側誘導コイル100に合わせて設計され、外側誘導コイル110が内側誘導コイル100の周りに配置され得るように内側誘導コイル100と比べて大きい直径を有する。
【0061】
図18から21は、外側誘導コイル110の別の例示的な実施形態を示している。外側誘導コイル110は、実質的に内側誘導コイル100に対応しており、これも同様に、いくつかの円弧形状のリングセグメント部112に分割されている。複数のリングセグメント部112はプラグ連結器114を介して互いに連結され、これにより外側誘導コイル110が構成される。2つのリングセグメント部112間には、開口部領域119またはスロットが設けられ、設けられた受け入れ溝86内に挿入するために、開口部領域において隣接するリングセグメント部を互いに引き寄せる、または間隔を狭めることができる。誘導コイル110は、したがって径方向の受け入れ溝86内に容易に挿入され得る。
【0062】
外側誘導コイル110のさらなる詳細を、図23に示す。内側誘導コイル100と一致して、リングセグメント部112の一部は、回動継手116を介して互いに回動可能に連結され、その場合、回動継手116の回動の軸は、誘導コイル110の長手方向軸に沿って延びている。2つのリングセグメント部112間には、プラグ連結器114を覆うカバー115が、いずれの場合にも設けられる。コイル本体を伝送ラインに連結するために、好ましくは開口部領域119内にまたはその近くに位置する電気接合手段または接合ライン117が設けられる。接合ライン117は、好ましくは誘導コイル110の正面に配置される。
【0063】
誘導コイル110をしっかりと位置固定または回転に関して固定するために、ここでは例として溝表面内の凹部として設計された固定手段90が、受け入れ溝86上に設けられる。これに合わせて、誘導コイル110は、ここではコイルの外面上のピンとして設計された対応する固定手段118を有する。誘導コイル110の固定手段118は、第2の装着スリーブ80の固定手段90に係合させることができる。
【0064】
内側誘導コイルおよび外側誘導コイルのいずれも、少なくとも1つの巻線を備えたコイル本体を有する。コイル本体の1つまたは恐らくは複数の巻線は、基本的には、任意の選択された形で配置され得る。たとえば、誘導コイル100、110は、円周方向に1つまたは複数の巻線を有することができる。しかし、誘導コイル100、110はまた、1つまたは複数の巻線が、トロイダルコアと称され得るリングに巻き付けられるいわゆる環状コイルとして設計されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ドリルロッド、10,11 ロッド要素、12 第1の軸方向端部、13 第2の軸方向端部、14 ドリルロッドの長手方向軸、15 チャネル、16 受け入れ空間、17 ケーブル(伝送ライン)、18 キャップ、20 内管、22 基本管体、24 第1の中間部分、26 第2の中間部分、28 軸方向チャネル、40 外管、42 接合部分、44 受け入れソケット、45 第1のソケット部、46 第2のソケット部、47,53 軸方向リブ、48,54 軸方向溝、49,55 周方向の溝、50 アクセス用開口部、52 プラグ部、57 リンクチェーン、60 第1の装着スリーブ、61,81 管形状のセクション、62 支持リング、64,84 接合領域、66,86 径方向の受け入れ溝、67 開口部、68,88 結合領域、70 固定手段、76,96 ケーブルチャネル、80 第2の装着スリーブ、82 スリーブ本体、100 内側誘導コイル、102,112 リングセグメント部、104,114 プラグ連結器、105,115 カバー、106,116 回動継手、107,117 接合ライン、108,118 固定手段、109,119 開口部領域、110 外側誘導コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転に関して固定され、かつ取り外し可能な方法で互いに連結された少なくとも2本のロッド要素を有するドリルロッドであって、
前記ロッド要素のそれぞれが、環または円筒形状の受け入れ空間が間に形成された内管および外管を有し、
前記ロッド要素のそれぞれが、当該ドリルロッドの長手方向軸に沿って延び、エネルギまたはデータの一方または双方を伝送する伝送ラインを有し、
前記ロッド要素の前記伝送ラインが、誘導コイルにそれぞれ接続され、前記誘導コイルは、前記ドリルロッドに沿ったエネルギおよびデータの一方または双方の伝送のために電磁的に互いに結合され得る、
ドリルロッドにおいて、
第1のロッド要素は、その内管の外周に位置する内側誘導コイルを有し、第2のロッド要素は、その外管の内周に位置する外側誘導コイルを有し、
内側誘導コイルと外側誘導コイルは、複数のリングセグメント部から分節的に構築され、互いに少なくとも一部の領域において径方向に対向して重なる、
ドリルロッド。
【請求項2】
請求項1に記載のドリルロッドであって、前記内側誘導コイルおよび前記外側誘導コイルの少なくとも1つがリング形状の受け入れ溝内に配置される、ドリルロッド。
【請求項3】
請求項1に記載のドリルロッドであって、少なくとも2つのリングセグメント部が、互いに取り外し可能に連結される、ドリルロッド。
【請求項4】
請求項1に記載のドリルロッドであって、少なくとも2つのリングセグメント部が、互いに回動可能に連結される、ドリルロッド。
【請求項5】
請求項1に記載のドリルロッドであって、
前記第1のロッド要素の前記内管が、別の内管との連結のためのプラグ形状またはスリーブ形状の接合領域を有し、
前記内側誘導コイルが、前記プラグ形状またはスリーブ形状の接合領域から軸方向に離間されるように配置される、ドリルロッド。
【請求項6】
請求項1に記載のドリルロッドであって、前記外側誘導コイルが、前記第2のロッド要素の前記外管のプラグ形状の接合部の内側に配置される、ドリルロッド。
【請求項7】
請求項1に記載のドリルロッドであって、前記ロッド要素の少なくとも1つが装着スリーブを備え、装着スリーブには前記内側誘導コイルおよび前記外側誘導コイルの一方または双方が装着される、ドリルロッド。
【請求項8】
請求項7に記載のドリルロッドであって、前記装着スリーブが、前記第1のロッド要素の前記内管の基本管体の軸方向の延長部内に配置された管形状のセクションを有する、ドリルロッド。
【請求項9】
請求項7に記載のドリルロッドであって、前記装着スリーブが、前記外管の接合部内に挿入される、ドリルロッド。
【請求項10】
請求項7に記載のドリルロッドであって、前記装着スリーブが、前記伝送ラインのためのケーブルチャネルを有する、ドリルロッド。
【請求項11】
請求項1に記載のドリルロッドであって、前記第1のロッド要素および前記第2のロッド要素の一方または双方の前記外管が、前記伝送ラインへのアクセスのために開くことができるキャップを有する、ドリルロッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−184648(P2012−184648A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41106(P2012−41106)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(502407107)バウアー マシーネン ゲーエムベーハー (48)
【Fターム(参考)】