説明

ドレン排出システム

【課題】本発明は、潜熱回収型の熱源機を取り替える場合に、ドレンを排出する流路を新たに設置することが不可能な場合であっても、既に設けられた洗濯注水管を利用することで確実にドレンを排出することができるドレン排出システムを提供することを目的とした。
【解決手段】ドレン排出システムは、少なくとも浴槽9内から汲み出した湯水を洗濯機24の槽内に注水可能な洗濯注水管3と、湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器10b、11bで発生したドレンを流すドレン配管5とを有する。そして、ドレン配管5を洗濯注水管3に接続し、熱交換器10b、11bで発生したドレンを洗濯注水管3を介して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型の熱交換器から発生するドレンを排出するドレン排出システムに関するものであり、特に洗濯注水回路を利用したドレン排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給水源からの水に加えて、風呂の残湯や給湯装置からの湯水を洗濯機に供給可能な家庭用の給湯システムがある。例えば、特許文献1にその技術が開示されている。一般的に、この種の給湯システムは、図7に示すように、加熱部101に接続された洗濯注水ユニット102を備えており、洗濯機104に供給する湯水の種類を、図示しないリモコンにおけるモード選択により決定することができる。即ち、そのモードには、残湯洗いモード、湯洗いモード、あるいは水洗いモード等があり、使用者が所望のモードを選択することで、各機器においてそのモードに応じた動作が制御される。特に、残湯洗いモードを選択した場合は、資源の無駄遣いが抑制されるため、環境に優しくなる上、家庭におけるランニングコストの削減にも繋がるとされている。
【0003】
しかしながら、近年の洗濯機における機能の多様化(全自動洗濯機能、洗濯乾燥機能等)に伴い、洗濯注水ユニットの制御が洗濯機の機能に適応できなくなってきている。そのため、最近では、洗濯注水ユニットが設置されているにも関わらず、その機能を有効的に利用できる家庭が少なくなってきている。特に、洗濯注水ユニットを利用できない家庭においては、そのユニット及びそのユニットに接続された配管が残っている。
【0004】
なお、洗濯注水ユニットは、洗濯機の動作状態に合わせて制御されるものであって、図7に示すように、洗濯機に湯水が導入される洗濯注水管103と、給水源からの水が分岐して流入する給水副管105と、加熱部101で加熱された湯水が分岐して流入する給湯副管106と、風呂往き管108とが接続されており、洗濯注水ユニット102に具備された図示しない三方弁及び電磁弁等を制御して、各配管を流れる湯水の流路を切り換え可能としたものである。
【0005】
ところで、近年、地球の温暖化が深刻化しており、世界的に温室効果ガス(二酸化炭素やメタン等)の排出量の削減が急務とされている。その1つの方策として、各家庭における省エネルギーの取り組みがある。そこで、本発明者らは、各家庭にエネルギー効率が高い潜熱回収型の熱源機を普及させて、温室効果ガスの排出を抑制することに注目した。
【0006】
ここで、潜熱回収型の熱源機においては、燃焼ガスに含まれた水蒸気が、湯水や熱媒体と熱交換することによって温度が低下するため、液化してドレンを発生する。また、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応し、窒素酸化物が生成されるため、熱交換器の表面側に発生したドレンが燃焼ガスに晒されることで、ドレンに窒素酸化物が溶け込み酸性(主に硝酸)を呈する。そのため、この種の熱源機には、酸性のドレンを中和する中和器が内蔵されており、発生したドレンは中和器で中和されてから外部に排水する構成とされている。即ち、潜熱回収型の熱源機を設置する場合は、外部にドレンの排出系統が必要となる。
【0007】
ところが、特にマンション等の集合住宅で、既設の顕熱回収型の熱源機を新たに潜熱回収型の熱源機に取り替える場合においては、熱源機の外部にドレン排出用の流路を設けるために必要以上に工事費が掛かったり、熱源機の外部にドレン排出用の流路を確保すること自体が困難な場合がある。特に、マンションでは、熱源機があらゆる系統の配管が収容された所謂パイプシャフトに収められている場合が多く、この場合、新たにドレン排出用の流路を設けることが難しい。そのため、潜熱回収型の熱源機を設置したいという使用者の希望に応じることが不可能な場合があった。
【0008】
そこで、特許文献2の熱源機では、ドレン排出用の流路を新たに設けることなく、既設の流路を用いてドレンが排出可能とされている。即ち、特許文献2の熱源機では、既設の風呂追い焚き回路にドレン配管を接続してドレン排出系統を形成し、所定のタイミングをもって中和済みドレンを風呂追い焚き回路を介して、浴槽の排水口等に排出するドレン排出システムを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−319381号公報
【特許文献2】特開2006−300481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2では、浴槽に湯張りするための流路に、排水目的のドレンを流すことは、入浴者にとっては気持ちの良いものではない。また、中和器において十分に中和される前にドレンが排出され、風呂追い焚き回路内に弱酸性のドレンが滞留した場合に、風呂追い焚き回路が腐食したり、水流センサー等に不具合を生じさせる懸念がある。
【0011】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、潜熱回収型の熱源機を取り替える場合に、ドレンを排出する流路を新たに設置することが不可能な場合であっても、既に設けられた洗濯注水管を利用することで確実にドレンを排出することができるドレン排出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、浴槽内から汲み出した湯水を洗濯機の槽内に注水することを目的とした洗濯注水管と、湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生したドレンを流すドレン配管とを有し、ドレン配管を洗濯注水管に接続し、発生したドレンを洗濯注水管を介して排出することを特徴とするドレン排出システムである。
なお、ここで言う「浴槽内から汲み出した湯水を洗濯機の槽内に注水することを目的とした洗濯注水管」とは、今現在、洗濯注水管を洗濯機への注水管として使用している場合とそうでない場合との双方を意味する。
【0013】
本発明のドレン排出システムは、浴槽内の湯水を汲み出して洗濯機に注水することを目的とした洗濯注水管が既に設置された住宅において、エネルギー効率が高い潜熱回収型の熱源機を設置する際に有効的なシステムである。即ち、本発明は、既に設置されている洗濯注水管にドレン配管を接続することで、ドレンを洗濯注水管を介して排出できるため、新たにドレン排出用の流路を設ける必要がない。そのため、熱源機の外部に物理的にドレン排出用の流路を設けることが不可能な場合、例えば、集合住宅のように、パイプシャフト等の設置制限があるスペースに熱源機を設置するような場合であっても、既設の洗濯注水管さえ存在すれば、設置工事費が必要以上に増加することなく、熱源機の外部側のドレン排出系統を確実に確保することができる。
従って、本発明によれば、潜熱回収型の熱源機を取り替える場合に、ドレンを排出する流路を新たに設置することが不可能な場合であっても、既に設けられた洗濯注水管を利用することで確実にドレンを排出することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、洗濯注水管に流入したドレンは、洗濯機の槽内又は洗濯水の排水系統に排出されることを特徴とする請求項1に記載のドレン排出システムである。
【0015】
かかる構成によれば、ドレンを洗濯機の槽内を介してから洗濯水の排水系統に流すか、直接洗濯水の排水系統に流すため、確実にドレンを外部に排出することができる。
また、熱源機内にドレンを中和する中和器が設けられているのであれば、ドレンは中性であるため、ドレンを洗濯用の水に混ぜて洗濯用水として使用できる。即ち、ドレンを洗濯用水として有効利用してから排出することができる。
また、ドレンを洗濯水の排水系統に直接流す場合においては、例えば、洗濯水の排水系統に流す直前に中和器を配することで、熱源機に中和器を設けなくても中和したドレンを排出させることが可能となる。そのため、本発明によれば、ドレンを洗濯水の排水系統に流す構成とすれば、熱源機の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、熱源機にはドレンを中和する中和器が具備されており、中和器はドレン配管よりドレンの流れ方向上流側に位置するものであって、中和器を通過したドレンが洗濯注水管から排出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン排出システムである。
【0017】
かかる構成によれば、熱源機で発生したドレンを熱源機内部で確実中和させることができるため、中和器より下流側に位置するドレン配管や洗濯注水管の耐腐食性が低い場合であっても、それらの配管内がドレンの酸化作用によって腐食してしまう不具合が防止される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、中和器とドレン配管との間には、ドレンが一時的に貯留されるドレンタンクが設けられており、ドレンタンクの水位が一定以上になればドレンタンク内のドレンがドレン配管に流されるものであることを特徴とする請求項3に記載のドレン排出システムである。
【0019】
かかる構成によれば、ドレンタンクの水位に基づいて、ドレンタンク内のドレンをドレン配管に流すため、ドレンタンク内が溢れて熱源機内に漏洩することがない。
【0020】
請求項5に記載の発明は、ドレン配管と洗濯注水管との接続部には、流路の切り替えを可能とした三方弁が設けられ、前記三方弁は、通常の状態において、ドレン配管と洗濯注水管を不連通状態に維持するものであって、所定の条件が満たされた場合に、三方弁をドレン配管と洗濯注水管が連通する状態に切り換えてドレンを接続部よりもドレンの流れ方向下流側に流し、排出すべきドレンが排出されると再び三方弁を前記不連通状態に切り替えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のドレン排出システムである。
【0021】
かかる構成によれば、所定の条件が満たされると、三方弁がドレン配管と洗濯注水管が連通する状態に切り替えられて、洗濯注水管を介して接続部の下流側にドレンが排出されるため、洗濯注水管に流入したドレンが洗濯注水管を介して接続部より上流側に逆流する不具合が阻止される。また、排出すべきドレンが排出されると、三方弁の位置が通常状態に戻るため、本来の洗濯注水管が有する洗濯機への注水機能も果たすことができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、洗濯注水管を介して洗濯機に湯水が注水されている最中に、前記所定の条件が満たされた場合には、一旦前記注水動作を停止してから、三方弁をドレン配管と洗濯注水管が連通する状態に切り替えることを特徴とする請求項5に記載のドレン排出システムである。
【0023】
かかる構成によれば、洗濯機に湯水を注水する注水動作よりも、ドレンを排出するドレン排出動作の方が優先されるため、熱源機側でドレンが溢れる不具合が防止される。即ち、熱源機内部が溢れたドレンで、電気系統がショートしてしまうことがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明のドレン排出システムでは、浴槽内の湯水を洗濯機に注水できる洗濯注水管を介してドレンを排出することができるため、潜熱回収型の熱源機を新たに設置する場合に、新たにドレン排出用の流路を設ける必要がない。これにより、物理的にドレン排出用の流路をもうけることが不可能な場合であっても、潜熱回収型の熱源機の設置を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るドレン排出システムを機能させることが可能な潜熱回収型の熱源機が配された作動原理図である。
【図2】図1の熱源機を示す配管系統図である。
【図3】熱源機における暖房用回路を示す配管系統図である。
【図4】熱源機における追い焚き用回路を示す配管系統図である。
【図5】洗濯注水ユニットとその周辺配管を示す配管系統図である。
【図6】別の実施形態に係るドレン排出システムを機能させることが可能な潜熱回収型の熱源機が配された作動原理図である。
【図7】顕熱回収型の熱源機が配された作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係るドレン排出システムについて説明する。
本実施形態に係るドレン排出システムは、図1に示すように、潜熱回収型の熱源機1と、浴槽9内の残湯、給水源からの水、又は、熱源機1で加熱された湯のいずれかの湯水を洗濯注水管3を介して洗濯機24に注水する洗濯注水ユニット2とを有しており、熱源機1で発生したドレンを洗濯注水管3を介して外部に排出するものである。
【0027】
まず、本実施形態に採用される熱源機1について説明する。
なお、図2における熱源機の配管系統図の構成は、従来より公知のものであるため、簡単に説明する。
熱源機1は、図2に示すように、燃料ガスを燃料として燃焼する燃焼装置7と、その燃焼装置7に内蔵された追い焚き・暖房用熱交換器10及び給湯用熱交換器11と、追い焚き・暖房用回路20と、給湯用回路21と、風呂循環回路22を有している。
【0028】
燃焼装置7は、缶体8内に複数のバーナ12を内蔵している。そして、各系統毎(追い焚き・暖房系統、給湯系統)に電磁弁14が3つずつ設けられており、各系統毎に燃料ガスの供給を断続することができる。また、缶体8の内側下部(空気の流れ方向上流側)には、主に燃料ガスと混合される空気を送風する送風機16が各系統毎に取り付けられている。
また、缶体8の外側であって、電磁弁14より上流側には、各系統毎にガス比例弁15が1つずつ設けられており、ガス比例弁15のさらに上流側には、元ガス電磁弁19が設けられている。
【0029】
給湯用回路21は、図示しない給水源からの水が流れる流入側流路25と、給湯用熱交換器11で加熱して給湯栓28(図1)や浴槽9(図1)等に流す流出側流路26と、流出側流路26に加熱前の水を流すバイパス流路27とにより構成されている。即ち、給湯用回路21は、給湯用熱交換器11で加熱された高温の湯をバイパス流路27を介して供給される低温の水と混合して所望の温度に調整し、給湯栓28や浴槽9等に対し給湯する回路である。
【0030】
追い焚き・暖房用回路20は、湯水が流れる回路であり、浴室乾燥機等の高温側暖房端末又は床暖房等の低温側暖房端末と追い焚き・暖房用熱交換器10との間を循環する暖房用回路30(図3)と、風呂循環回路22を流れる湯水を加熱する液・液熱交換器13と追い焚き・暖房用熱交換器10との間を循環する追い焚き用回路31(図4)とにより構成されている。
また、追い焚き・暖房用回路20には、追い焚き・暖房用熱交換器10を構成する後述する一次熱交換器10aと二次熱交換器10bとを結ぶ流路に追い焚き・暖房用循環ポンプ32と膨張タンク33が設けられている。即ち、追い焚き・暖房用循環ポンプ32を駆動することで、回路内の熱媒体を循環させることができると共に、膨張タンク33において、追い焚き・暖房用回路20でオーバーフローした湯水の排水や、不足した湯水注水を行うことができる。
【0031】
風呂循環回路22は、浴槽9を含む循環回路を形成するものであり、浴槽9側から熱源機1の液・液熱交換器13に湯水を戻す風呂戻り管35と、追い焚き用熱交換器10側から浴槽11側に湯水を送り出す風呂往き管36を備えている。また、風呂戻り管35には、風呂循環ポンプ37が設けられており、風呂循環ポンプ37を駆動して浴槽9内の湯水を循環回路内で循環させる。
【0032】
ここで、前記した追い焚き・暖房用熱交換器10と給湯用熱交換器11は、主に燃焼ガスの顕熱を回収する顕熱回収型の一次熱交換器10a、11aと、各一次熱交換器10a、11a、よりも湯水の流れ方向上流側に位置し主に燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収型の二次熱交換器10b、11bを有している。より具体的には、缶体8内部の左側の追い焚き・暖房用熱交換器10は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器10a、二次熱交換器10bが配されており、缶体8内部の右側の給湯用熱交換器11は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器11a、二次熱交換器11bが配されている。
なお、顕熱回収型の熱交換器は、フィン付の銅管で形成されており、潜熱回収型の熱交換器はステンレス製の裸管で形成されている。即ち、潜熱回収型の二次熱交換器10b,11bは、顕熱回収型の一次熱交換器10a,11aよりも耐腐食性に優れた材料により構成されている。
【0033】
また、二次熱交換器10b、11bでは、燃焼ガスに含まれている水蒸気の潜熱が回収されると、その水蒸気が液化してドレンとなる。また、このドレンは、酸性を呈するため、中和してから排水する必要性がある。従って、本実施形態で採用される熱源機1においては、二次熱交換器10b、11bで発生したドレンを排水するためのドレン排水系統23の一部が形成されている。
【0034】
即ち、熱源機1におけるドレン排出系統23は、流路の中途に中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された公知の中和器29と、中和器29で中和されたドレンが一時的に貯留される公知のドレンタンク42と、ドレンタンク42の下流に接続されたドレン配管5と、ドレンタンク42に貯留されたドレンをドレン配管5に排出可能なドレン排出ポンプ43とが設けられている。
【0035】
即ち、熱源機1で発生したドレンは、中和器29で中和されて、一旦ドレンタンク42に貯留され、ドレンタンク42内の水位が、一定以上に達すれば、ドレン排出ポンプ43が起動してドレンタンク42内のドレンがドレン配管5側に排出される。
【0036】
ところで、熱源機1の設置が制限される環境下においては、ドレンの排水箇所を確保することが不可能な場合がある。即ち、先にも説明したように、集合住宅などにおいては、例えば、パイプシャフト等に熱源機1が設置されるため、ドレン配管5から排出されたドレンを排水口等に排水させることができない場合が発生する。
【0037】
そこで、本実施形態では、ドレン配管5を洗濯注水ユニット2が有する洗濯注水管3に接続する構成とした。即ち、本実施形態のドレン排出システムでは、熱源機1で発生したドレンを、洗濯注水ユニット2を有効的に利用して、洗濯機24側から排水することとしている。
【0038】
以下に、洗濯注水ユニット2について説明する。
なお、図5における洗濯注水ユニット2の配管系統図の構成は、ドレン排出系統のみが特徴的構成であるため、公知の他の構成については簡単に説明する。
【0039】
洗濯注水ユニット2は、洗濯機24の動作状態に合わせて制御されるものであって、例えば、洗濯機24が注水動作や、すすぎ動作を行う場合に、浴槽9内の残湯、図示しない給水源から供給される水(上水)、又は、熱源機1で加熱された湯のうちのいずれかの湯水を、洗濯機24の槽内に供給する装置である。なお、洗濯機24に供給する湯水の選択は、図示しないリモコンによって、使用者が行うことができる。
【0040】
即ち、洗濯注水ユニット2は、図1、5に示すように、洗濯機24と接続され、その洗濯機24に図示しないリモコンによって選択された湯水を導入する洗濯注水管3を有している。そして、洗濯注水管3に、図示しない給水源からの流路が分岐した給水副管38を流れる水と、熱源機1の流出側流路26から分岐した給湯副管39を流れる湯と、風呂往き管36を流れる湯水が流入する構成とされている。なお、給水副管38と給湯副管39は、図5に示すように、洗濯注水管3に至る前に合流しており、その合流部が洗濯注水管3と接続されている。
【0041】
また、給水副管38には、図5に示すように、水の流れ方向上流側から順番に、水ガバナ50、注水電磁弁51が設けられ、給湯副管39には、湯の流れ方向上流側から順番に、逆流抵抗弁52、注湯電磁弁53が設けられ、さらに前記合流部に2つの逆止弁55、56が設けられている。そして、注水電磁弁51及び注湯電磁弁53は、通常時において閉状態が維持され、通電により開状態に制御される。
【0042】
洗濯注水管3は、図5に示すように、湯水の流れ方向上流側から順番に、風呂・洗濯三方弁44、フィルター45、水流スイッチ46が設けられており、風呂・洗濯三方弁44の位置で風呂往き管36が接続され、フィルター45と水流スイッチ46との間で給水副管38と給湯副管39との合流部が接続されている。
【0043】
風呂・洗濯三方弁44は、図5の(a)〜(c)の3パターンに切り替えることができ、浴槽9内の残湯を洗濯注水管3側へ供給可能とするものである。即ち、風呂・洗濯三方弁44は、(a)は風呂循環位置、(b)は注水位置、(c)はフィルター洗浄位置(逆洗位置)の切り替えを可能としている。
フィルター45は、風呂・洗濯三方弁44の下流側に配されており、残湯に混入した毛髪や垢などが洗濯機24側に流れるのを阻止するものである。
水流スイッチ46は、公知の水流センサで、洗濯注水管3内の湯水の流れを検知するものである。
【0044】
ここで、前記したように、本実施形態では、熱源機1で発生したドレンを洗濯注水管3を介して外部に排出する構成とされており、洗濯注水管3の中途でドレン配管5が接続されている。より具体的には、洗濯注水管3の水流スイッチ46よりも下流側にドレン・洗濯三方弁6が設けられ、そのドレン・洗濯三方弁6にドレン配管5が接続されている。
ドレン・洗濯三方弁6は、電気制御により切り替えられるものであり、水流スイッチ46よりも下流側に配されている。即ち、ドレン・洗濯三方弁6は、通常時においてはドレン配管5側を閉塞した状態(注水位置)が維持され、所定の条件が満たされるとドレン配管5側と洗濯注水管3側を連通させた状態(排出位置)に制御される。
【0045】
また、洗濯注水管3のドレン・洗濯三方弁6の位置よりさらに下流側には、手動式の槽内・排水三方弁18が設けられている。具体的には、槽内・排水三方弁18は、洗濯注水管3の末端のカランに接続されており、洗濯機24の槽内に導入される経路と、洗濯機24の洗濯パン57に設けられた排水口49側に排出される経路とのいずれかの経路に切り替えることができるものである。即ち、本実施形態において、ドレン・洗濯三方弁6が注水位置且つ槽内・排水三方弁18が槽内側に連通されると、洗濯機24内に湯水が注水される。
【0046】
次に、洗濯注水ユニット2を用いて、洗濯機24に注水する際の各機器の動作について簡単に説明する。
(浴槽9内の残湯を洗濯機24に注水する場合)
まず、風呂・洗濯三方弁44が(b)注水位置に切り替えられ、この状態で風呂循環ポンプ37が起動される。すると、浴槽9内の湯水が風呂往き管36側から洗濯注水流路3側に導入される。そして、フィルター45と水流スイッチ46を通過して下流側に流れる。そして、通常時であれば、ドレン・洗濯三方弁6はドレン配管5側を閉塞した状態を維持しているため、浴槽9から送られた湯水はドレン・洗濯三方弁6を通過して洗濯機24に注水される。なお、洗濯機24への注水時においては、槽内・排水三方弁18を槽内方向に切り替えておく必要がある。
【0047】
(上水を洗濯機24に注水する場合)
まず、風呂・洗濯三方弁44が(b)注水位置から(a)風呂循環位置に切り替えられる。これにより、浴槽9側に供給される湯水が流入することが防止される。そして、この状態において、注水電磁弁51を開く。これにより、上水が水ガバナ50、注水電磁弁51を経て、合流部に至る。そして、合流部の逆止弁55、56を通過して洗濯注水管3に導入され、水流スイッチ46を通過して洗濯機24に注水される。なお、このときも、通常時であれば、ドレン・洗濯三方弁6はドレン配管5側を閉塞した状態を維持している。
【0048】
(熱源機1で加熱された湯を注水する場合)
まず、風呂・洗濯三方弁44が(b)注水位置から(a)風呂循環位置に切り替えられ、浴槽9側に供給される湯水が流入することが防止される。そして、この状態において、注湯電磁弁52を開く。これにより、湯が逆流抵抗弁52、注湯電磁弁53を経て、合流部に至る。そして、合流部の逆止弁55、56を通過して洗濯注水管3に導入され、水流スイッチ46を通過して洗濯機24に注水される。なお、このときも、通常時であれば、ドレン・洗濯三方弁6はドレン配管5側を閉塞した状態を維持している。
【0049】
また、浴槽9内の残湯を洗濯機24に注水する場合においては、水流スイッチ46が残湯による水流を検知した上で、一旦風呂循環ポンプ37を停止し、風呂・洗濯三方弁44を(c)逆洗位置に切り替えて、この状態で熱源機1で加熱した湯をフィルター45に導入すれば、フィルター45内の毛髪や垢を浴槽9側に流せるため、洗濯機24に注水される湯水にその毛髪や垢が混入することを防止できる。
【0050】
次に、本実施形態におけるドレン排出の際の各機器の動作について説明する。
ここで、前記したように、ドレンタンク42における水位が一定以上となれば、ドレン排出ポンプ43が起動されて、ドレンタンク42内のドレンがドレン排出管5側に流される。そこで、本実施形態では、ドレン排出管5が接続されたドレン・洗濯三方弁6が、注水位置から排出位置に切り替わる条件を、ドレンタンク42の水位が一定以上検知された時とした。即ち、ドレンタンク42の水位が一定以上となれば、ドレン・洗濯三方弁6が排出位置に切り替えられ、ドレン排出ポンプ43の駆動によりドレンタンク42内のドレンがドレン排出管5に排出され、洗濯注水管3を介して洗濯機24側から外部に排出される。そして、ドレンタンク42の水位が所定の低水位となれば、ドレン・洗濯三方弁6が再び注水位置に切り替えられる。
なお、本実施形態では、槽内・排出三方弁18は、手動式であるため、洗濯注水管3を用いて洗濯機24内に注水していないのであれば、排水口49側に排出される経路に切り替えておくことが好ましい。
【0051】
また、本実施形態においては、洗濯注水管3を介して洗濯機24に湯水を注水可能とした構成であるため、その注水の最中に、ドレンタンク42の水位が一定以上となってしまう場合が考えられる。そこで、本実施形態では、このような場合においては、注水動作を一旦停止してから、ドレン・洗濯三方弁6が、注水位置から排出位置に切り替える制御を行うこととした。即ち、洗濯機24への注水動作よりも、ドレンの排出動作が優先される。従って、注水動作中にドレンの排出動作が実行された場合には、残湯を注水している際であれば一時的に風呂循環ポンプ37を停止し、上水を注水している際であれば一時的に注水電磁弁51を閉止し、湯を注水している際であれば一時的に注湯電磁弁53を閉止する。そして、水流スイッチ46によって水流が検知されなくなると、ドレン・洗濯三方弁6が排出位置に切り替えられ、洗濯注水管3を介して洗濯機24の槽内にドレンが排出される。そして、ドレンタンク42の水位が所定の低水位となれば、ドレン・洗濯三方弁6が再び注水位置に切り替えられる。
なお、ドレン中和器29で中和されているため中性であり、実際に洗濯機24に注水される湯水に希釈されるため、何ら問題ない。
また、本実施形態では、ドレン・洗濯三方弁6が再び注水位置に切り替えられた後、所定量の注水又は注湯動作(浴槽9内の残湯を注水することも含む)が実行される。これにより、洗濯注水管5内が洗浄されドレンが残留することが防止される。
【0052】
上記実施形態では、ドレン・洗濯三方弁6にドレン配管5を接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ドレン配管5を洗濯注水管3に直接接続した構成であっても構わない。
また、ドレン・洗濯三方弁6に代えて、洗濯注水管3とドレン配管5との接続部より上流側に二方弁を設けた構成であっても構わない。具体的には、図6に示すように、洗濯注水管3とドレン配管5に1つずつ二方弁60、61を設けた構成である。そして、この構成によれば、注水又は注湯動作(浴槽9内の残湯を注水することも含む)の際には、洗濯注水管3側の二方弁60が開状態且つドレン配管5側に二方弁61が閉状態に制御され、ドレン排出動作の際には、洗濯注水管3側の二方弁60が閉状態且つドレン配管5側に二方弁61が開状態に制御される。即ち、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
上記実施形態では、洗濯機24の直前に槽内・排出三方弁18を設け、洗濯機24の槽内か洗濯パン57の排水口49のいずれかにドレンを流す構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、洗濯注水ユニット2自体を使用していない条件があるならば、槽内・排出三方弁18を設けず、常に排水口49側に排出される構成にしても構わない。
また、手動の槽内・排出三方弁18に代えて、電気制御式の三方弁を用いても構わない。
【0054】
上記実施形態では、ドレン排出後、洗濯注水管3内を注水又は注湯動作により洗浄する動作を示したが、本発明はこれに限定されず、ドレン排出後、洗浄動作を実行しなくても構わない。
【0055】
上記実施形態では、洗濯注水ユニット2が機能していることを前提としてドレン排出システムを構築した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、今現在、洗濯注水ユニット2は機能しておらず、単に洗濯注水管3が存在する条件下に上記実施形態に示したドレン排出システムを構築しても構わない。
【符号の説明】
【0056】
1 熱源機
2 洗濯注水ユニット
3 洗濯注水管
5 ドレン配管
6 ドレン・洗濯三方弁(三方弁)
24 洗濯機
29 中和器
42 ドレンタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内から汲み出した湯水を洗濯機の槽内に注水することを目的とした洗濯注水管と、
湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生したドレンを流すドレン配管とを有し、
ドレン配管を洗濯注水管に接続し、発生したドレンを洗濯注水管を介して排出することを特徴とするドレン排出システム。
【請求項2】
洗濯注水管に流入したドレンは、洗濯機の槽内又は洗濯水の排水系統に排出されることを特徴とする請求項1に記載のドレン排出システム。
【請求項3】
熱源機にはドレンを中和する中和器が具備されており、
中和器はドレン配管よりドレンの流れ方向上流側に位置するものであって、
中和器を通過したドレンが洗濯注水管から排出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン排出システム。
【請求項4】
中和器とドレン配管との間には、ドレンが一時的に貯留されるドレンタンクが設けられており、ドレンタンクの水位が一定以上になれば、ドレンタンク内のドレンがドレン配管に流されるものであることを特徴とする請求項3に記載のドレン排出システム。
【請求項5】
ドレン配管と洗濯注水管との接続部には、流路の切り替えを可能とした三方弁が設けられ、
前記三方弁は、通常の状態において、ドレン配管と洗濯注水管を不連通状態に維持するものであって、
所定の条件が満たされた場合に、三方弁をドレン配管と洗濯注水管が連通する状態に切り換えてドレンを接続部よりもドレンの流れ方向下流側に流し、排出すべきドレンが排出されると再び三方弁を前記不連通状態に切り替えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のドレン排出システム。
【請求項6】
洗濯注水管を介して洗濯機に湯水が注水されている最中に、前記所定の条件が満たされた場合には、一旦前記注水動作を停止してからドレン配管と洗濯注水管が連通する状態に三方弁を切り換えることを特徴とする請求項5に記載のドレン排出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−29730(P2012−29730A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169820(P2010−169820)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】