説明

ドレン排出方法、ドレン排出装置及び熱源装置

【課題】 ドレンの排水に関し、設備の簡略化とともに、効率的な排水を実現する。
【解決手段】 熱交換により熱交換器に生じるドレンのドレン排出方法であって、発生したドレン2を回収し、そのドレンをミスト18に変換する処理と、ミストを外気に排出させる処理とを含む構成である。ドレン2の水面4に沿って気体(空気6)を流すとともに、特定箇所の水面に気体の通過域(スリット部12)を設定し、高速化した気体を水面に接触させて通過域を通過させることにより、水面からドレンをミスト18に変換する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排気から潜熱を吸収する2次熱交換器を備える熱源装置等の熱交換により生じたドレンの排出処理に関し、特に、ドレンをミスト化して排出の簡易化等に資するドレン排出方法、ドレン排出装置及び熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1次熱交換器に燃焼排気を通過させて顕熱を吸収させた後、2次熱交換器に流して潜熱を吸収する熱源装置が普及しているが、熱交換の際、主として2次熱交換器に発生する多量のドレンは回収された後、中和されて排水されている。このドレンの排水には、通常、専用配管が用いられる等、排水設備を必要とされてきたが、専用配管を用いない排水形態も提案されている。
【0003】
このようなドレン排水に関し、燃焼用ファンで空気が送り込まれる空気流路部に中和後のドレンを噴霧して排出する構成(特許文献1)や、燃焼用空気供給ファンの風力によりドレンを蒸発させて器具外に排出する構成(特許文献2)等がある。
【特許文献1】特開2004−132642号公報(段落番号0005、図1等)
【特許文献2】特開2005−61792号公報(段落番号0034、0040、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーナの上流にドレンを噴霧する構成(特許文献1)では、ドレンをバーナに付着させると、バーナを劣化させる等のおそれがあるし、バーナが燃焼していない場合にはドレンの排出ができない。風力によりドレンを蒸発させる構成(特許文献2)では、外気の湿度が影響する等、蒸発効率がドレン排水に影響するという課題がある。ノズルを用いた場合、その噴射口がドレンに含まれる不純物で詰まることが予想され、清浄化のためのメンテナンスが不可欠であろう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ドレン排水に関し、設備の簡略化とともに、効率的な排水を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、熱交換により熱交換器に生じるドレンのドレン排出方法であって、発生したドレンを回収し、そのドレンをミストに変換する処理と、前記ミストを外気に排出させる処理とを含む構成である。斯かる構成では、ドレンがミスト化されて排出されるので、外気に導く程度の管路を設置すればよく、ドレン排出設備が簡略化され、効率的なドレン排水が可能である。
【0007】
上記目的を達成するためには、前記ドレン排出方法において、前記ドレンの水面に沿って気体を流すとともに、特定箇所の前記水面に前記気体の通過域を設定し、高速化した前記気体を前記水面に接触させて前記通過域を通過させることにより、前記水面から前記ドレンを前記ミストに変換する構成としてもよい。斯かる構成とすれば、ドレンのミスト化効率が高められる。
【0008】
上記目的を達成するためには、前記ドレン排出方法において、前記ドレンに超音波を作用させて前記ミストに変換する処理を含む構成としてもよい。斯かる構成とすれば、ドレンに超音波を作用させてミスト化することができる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、熱交換により熱交換器に生じたドレンを排出させるドレン排出装置であって、前記ドレンを溜める容器と、前記容器内の前記ドレンをミストに変換するミスト変換手段と、前記ミストを外気に導く排気部とを含む構成である。斯かる構成では、ドレンがミスト化されて排出されるので、外気に導く程度の管路を設置すればよく、ドレン排出設備が簡略化され、効率的なドレン排出ができる。
【0010】
上記目的を達成するためには、前記ドレン排出装置において、前記ミスト変換手段は、前記ドレンの水面上に気体を流す気体供給手段と、前記水面上の特定箇所に前記気体を通過させる狭い通過域を設定し、高速化された前記気体を前記水面に接触させて通過させる通過域設定手段とを含み、前記水面の前記特定箇所からミストに変換する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するためには、前記ドレン排出装置において、前記ミスト変換手段は、気体を供給する気体供給手段と、前記ドレンの水面上に立設して前記気体の通過を規制する仕切り板と、前記仕切り板と前記水面との間に前記気体の通過域を設定し、高速化された前記気体を前記水面に接触させて通過させるスリット部とを含み、前記水面の前記特定箇所からミストに変換する構成としてもよい。
【0012】
上記目的を達成するためには、前記ドレン排出装置において、前記ミスト変換手段は、超音波振動子を備え、発生した超音波を前記ドレンに付与することにより、前記ドレンをミストに変換する構成としてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、熱源装置であって、燃焼手段と、前記燃焼手段に生じる熱を熱交換に使用し、その熱交換によりドレンを生じる熱交換器と、前記ドレンを溜める容器と、前記容器内の前記ドレンをミストに変換するミスト変換手段と、前記ミスト変換手段により変換した前記ミストを前記燃焼手段の燃焼排気とともに、又は燃焼排気とは別個に外気に放出させる排気手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0015】
(1) ドレンのミスト化のための構成が簡略化されるとともに、メンテナンスが容易である。
【0016】
(2) ミスト化されたドレンは機器外に容易に導くことができ、燃焼と無関係にドレンのミスト化及び排出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係るドレン排出方法及びドレンのミスト変換の原理を示す図である。
【0019】
図1の(A)に示すように、ドレン2の水面4に沿って気体として例えば、空気6を流す。気流を生じさせるための気体を供給する気体供給手段として例えば、空気供給部8が設置され、空気6は空気供給部8から供給される。この空気6が供給される水面4の特定箇所には、水面4上に任意の通過域を設定する通過域設定手段として仕切り板10が備えられ、この仕切り板10と水面4との間には、通過域としてスリット部12が設定されている。このスリット部12の間隔dは、供給される空気6を高速化し、スリット部12で水面4に接触させ、閉空間部14から自由空間部16に流すに必要な間隔であればよい。閉空間部14は例えば、一部に仕切り板10を備えて供給される空気6を閉じ込めるとともに、スリット部12から自由空間部16に放出させるための空間部でもある。
【0020】
斯かる構成とすれば、図1の(B)に示すように、空気供給部8から供給される空気6は、閉空間部14からスリット部12を通過し、自由空間部16側に流れる。その際、スリット部12では、閉空間部14に比較して遙に狭い通過域を設定していることから、通過する空気6が高速化され、水面4に高速流が接触することになる。斯かる空気6がスリット部12を通過する際に、風圧に応じて仕切り板10の下側の水面4を押し下げ、その水面4に局所的に接触圧を生じる。この結果、スリット部12の下面側の水面4の水粒子の活発化やキャビテーションを生じさせる。このような高速流を成す空気6と水面4との接触、また、水面4の表面張力、通過する空気6に対する抗力等により、ドレン2がミスト18に変換される。発生したミスト18は、通過する空気6で押し流され、自由空間部16側に流れる。このミスト18は、空気6が連続して供給されている限り、止まることなく、生じることになる。
【0021】
このように、ドレン2をミスト化するための駆動手段に空気6等の気体を用いているので、ミスト化に必要な気流を生じさせるだけでよく、極めて簡単な構成でドレン2をミスト18に変換し、ミスト18により排出、廃棄することができる。
【0022】
このドレン2のミスト化において、空気6の高速化や風圧、水面4との接触圧は、空気供給部8からの空気6の供給量やスリット部12の間隔dに依存するので、空気6の供給能力、スリット部12の間隔dを調整して所望のミスト量を達成することができる。
【0023】
〔第2の実施の形態〕
【0024】
本発明の第2の実施の形態について、図2を参照して説明する。図2は、第2の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0025】
このドレン排出装置20は、ミスト化させるドレン2を溜めるドレンタンク22を備え、このドレンタンク22には仕切り板10が設置されて1次室26と2次室28とが形成されている。1次室26は既述の閉空間部14を形成し、2次室28は外気に開放された自由空間部16を形成する。仕切り板10と水面4との間には既述のスリット部12が形成され、このスリット部12が空気6の通過域としての通気路を構成する。ドレンタンク22には、既述の間隔dを持つスリット部12が形成されるようにドレン2が溜められ、その水位が維持される。
【0026】
そこで、1次室26には送風口30が形成され、この送風口30には空気供給部8を構成する送風ファン32が設置され、送風ファン32がモータ34により駆動される。この送風ファン32で発生させた空気6は、1次室26の閉空間部14に供給され、スリット部12を通過して2次室28側に流れる。2次室28には、ミスト18を外気に排出させる流出口36が形成されている。
【0027】
斯かる構成において、送風ファン32を駆動することにより送風口30から1次室26に送り込まれた空気6は、1次室26からスリット部12を通り、2次室28に流れる。その際、空気6はスリット部12の水面4に高速で接触しながら、2次室28に流れるとともに、水面4にキャビテーション等を生じさせ、ドレン2はミスト18に変換される。即ち、仕切り板10、送風ファン32等によりミスト変換部が構成される。スリット部12の下部及び2次室28側で発生したミスト18は2次室28に流れる空気6で押し流され、空気6とともに2次室28の流出口36から大気中に放出される。送風ファン32で発生させた空気6の流れは、ミスト18の搬送手段を兼ねる。
【0028】
ミスト18が流出口36に至る通気路を通過する際、粒子の大きなミスト18は、水面4に落下したり、2次室28の壁面に衝突しその壁面を伝って水面4に流れ落ちる。従って、流出口36から放出するミスト18は、小さな粒子のものとなる。
【0029】
このように、このドレン排出装置20によれば、簡単な構造で空気6を駆動手段に用いてミスト18を発生させることができるとともに、空気6を用いてミスト18を空気中に拡散させることができる。
【0030】
〔第3の実施の形態〕
【0031】
本発明の第3の実施の形態について、図3を参照して説明する。図3は、第3の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。図3において、図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0032】
このドレン排出装置20は、図3の(A)に示すように、ミスト発生に伴う水面4の下降に応じて仕切り板10の高さを調整可能にし(矢印a)、スリット部12の間隔dを一定に維持するように構成したものである。仕切り板10が昇降可能に1次室26又は2次室28に設置されるとともに、水面4の水位を検出する水位センサ50が備えられ、この水位センサ50の検出水位により昇降機構部52で仕切り板10を所定位置に昇降させて維持するものである。水位センサ50は後述の水位電極50H、50L、50COMを備え(図5)、各電極の水没を以て水位を検出することができる。
【0033】
斯かる構成とすれば、図3の(B)に示すように、水面4が下降すると、それに対応して仕切り板10を矢印bで示す方向に下降させることにより、スリット部12を一定の間隔dに維持することができる。従って、ドレン2をミスト18に変換して排出することができる。
【0034】
この場合、仕切り板10の下面側に浮き等を設け、仕切り板10を水面4上に浮かせる構成にし、スリット部12の間隔dを一定に維持する構成としてもよい。
【0035】
〔第4の実施の形態〕
【0036】
本発明の第4の実施の形態について、図4を参照して説明する。図4は、第4の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。図4において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0037】
このドレン排出装置20は、図4の(A)に示すように、ミスト発生に伴う水面4の下降に応じて仕切り板10の角度θを調整可能にし(矢印c、e)、スリット部12の間隔dを一定に維持するように構成したものである。仕切り板10が角度変化により昇降可能に1次室26又は2次室28に設置されるとともに、水面4の水位を検出する水位センサ50が備えられ、この水位センサ50の検出水位により角度調整機構部54で仕切り板10を角度変化により所定位置に昇降させて維持するものである。水位センサ50は後述の水位電極50H、50L、50COMを備え(図5)、各電極の水没を以て水位を検出することができる。
【0038】
斯かる構成とすれば、図4の(B)に示すように、水面4が下降すると、それに対応して矢印eで示す方向に仕切り板10を下降させ、スリット部12を一定の間隔dに維持することができる。従って、ドレン2をミスト18に変換して排出させることができる。
【0039】
なお、この場合、仕切り板10の自重と空気6による風圧によりスリット部12の間隔dを決定する構成としてもよい。
【0040】
〔第5の実施の形態〕
【0041】
本発明の第5の実施の形態について、図5を参照して説明する。図5は、ドレン排出方法、ドレン排出装置を備えた熱源装置の構成例を示す図である。図5において、図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0042】
この熱源装置100は、給湯装置や暖房装置の熱源であって、熱源部110とドレン排出部120とを備えており、ドレン排出部120は、既述のドレン排出装置20(図2)を以て構成されている。
【0043】
熱源部110のバーナ60に供給された燃料ガスGは、燃焼室62に送風ファン64により送り込まれた空気66と混合されて燃焼する。燃焼排気68は、燃焼室62内に設置された1次熱交換器70を通過し、2次熱交換器72を経て排気部75より機器外の大気中に排出される。1次熱交換器70では、燃焼排気68から顕熱を吸収して熱交換が行われ、2次熱交換器72では、燃焼排気68から潜熱を吸収して熱交換が行われる。通水管74を通して水Wが2次熱交換器72に循環し、2次熱交換器72での熱交換により加熱された後、1次熱交換器70に循環し、既述の熱交換により温水HWとして給湯需要に対応する。
【0044】
2次熱交換器72の熱交換では、燃焼排気68中の水蒸気が結露し、多量の酸性のドレン2を生じる。このドレン2はドレン受け76で回収された後、ドレン回収路78を通り、中和器80に導かれて中和される。中和器80には例えば炭酸カルシウム等の中和剤82が用いられている。ドレン2の中和は、ドレン2のph(ペーハー)を中性に近づけるものであればいずれの方法でもよい。中和後のドレン2はドレン回路84を通り、ドレン排出部120のドレンタンク22に導かれて溜められる。
【0045】
ドレンタンク22に溜められたドレン2は、ミスト変換部であるドレン排出部120によってミスト18に変換される。このミスト化については、既述した通りである。ミスト18は、排気部75に貫通配置されたミスト排出管86を通して排気部75の排気口部77に導かれ、燃焼時には燃焼排気68とともに、また、非燃焼時には送風ファン32からの空気6とともに、外気に放出される。大粒のミスト18はミスト排出管86の内壁に付着する等してドレンタンク22に戻され、気化ないし霧化したものだけが外気に放出される。
【0046】
この場合、ドレンタンク22にはドレン2の水位を検出するための水位センサ50が設置され、この水位センサ50では、上限水位を検出する上限水位電極50H、下限水位を検出する下限水位電極50L、共通電極50COMが備えられており、共通電極50COMと下限水位電極50Lとが水没している場合には上限未満の水位L、共通電極50COMと上限水位電極50Hとが水没している場合には上限水位Hを検出する。水位Hを越える場合には、ドレン2がオーバーフローし、オーバーフロー流路90から排出される。
【0047】
次に、この熱源装置100の制御装置について、図6を参照して説明する。図6は、制御装置の構成例を示す図である。
【0048】
制御装置130には制御部132が備えられ、この制御部132にはマイクロコンピュータ等のプロセッサ134、入出力(I/O)部136、記憶部138等が備えられている。I/O部136には水位センサ50の下限水位電極50L及び上限水位電極50Hの検出信号等が加えられ、その検出信号は制御情報としてプロセッサ134に取り込まれる。プロセッサ134は、記憶部138に格納されている制御プログラムにより、燃焼制御、給湯・追焚き・暖房制御、送風制御等を実行する。そこで、I/O部136には、送風ファン32、64の各モータ等が接続され、送風ファン64は燃焼時に駆動され、送風ファン32はドレン2のミスト化処理の際に駆動される。燃焼制御や給湯・追焚き・暖房制御では、図示しない例えば流量センサ、湯温センサ、入水温センサ等からの検出信号も制御入力として取り込まれ、図示しない点火プラグや電磁弁、比例制御弁等の機能部品の制御が行われる。
【0049】
次に、熱源装置100の制御動作について、図7を参照して説明する。図7は、熱源装置100の制御動作を示すフローチャートである。
【0050】
この制御動作には、給湯・追焚き・暖房等の燃焼制御が含まれている。ドレンタンク22の水位がH以上(水位センサ50の上限水位電極50HがON)か否かを確認する(ステップS1)。この水位H付近までが送風によるミスト化変換可能領域である。そこで、上限水位電極50HがONした場合、送風ファン32を駆動することにより、ドレン2がミスト化され(ステップS2)、ミスト化されたドレン排出を行う。この場合、同時に送風ファン64を駆動すれば、排気部75から熱源部110へのミスト18の逆流を防ぐことができるとともに、排気部75の周辺における白煙現象を解消でき、ミスト18を拡散させることができる。斯かる動作は上限水位電極50HがOFFするまで継続する。
【0051】
ドレンタンク22の水位がH未満の場合には、バーナ60が燃焼中か否かを判断する(ステップS3)。バーナ60が燃焼中か否かは炎検知センサ等の検出出力により判断可能であるが、同一制御手段が燃焼制御も行うため、その時点の動作モード等でも判断可能である。バーナ60が燃焼している場合は、ドレンタンク22の水位がL以上(下限水位電極50LがON)の間(ステップS4)、送風ファン32を駆動させ、ドレン2がミスト化され(ステップS5)、ドレン排出を行う。このとき、送風ファン64は燃焼のために既に駆動している。
【0052】
バーナ60が燃焼していない場合、又はドレンタンク22の水位がL未満(下限水位電極50LがOFF)の場合、送風ファン32を停止し、ドレン2のミスト化の停止(ステップS6)を行うが、これは、ステップS2及びステップS5によるドレン排出動作の終了及び、ドレンタンク22内のドレン2のレベルが低下すると、送風によるミスト化変換能力が低下するので、ミスト化処理を停止する。
【0053】
ドレン2のミスト化を行うのは、ドレンタンク22の水位がL以上の場合であり、かつバーナ60が燃焼中に行い、ドレンタンク22の水位がHに達するとバーナ60の燃焼にかかわらずドレン2のミスト化を行う。バーナ60の燃焼とともにドレン2のミスト化を行うと、ドレン2のミスト18が、排気部75に排出される燃焼排気68とともに効率よく機器外に排出される。
【0054】
〔第6の実施の形態〕
【0055】
本発明の第6の実施の形態について、図8を参照して説明する。図8は、ドレン排出方法、ドレン排出装置を備えた熱源装置の構成例を示す図である。図8において、図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0056】
この熱源装置100では、第5の実施の形態に係る熱源装置100の送風ファン32、64を単一化して例えば、送風ファン64のみで構成し、送風ファン64とドレンタンク22との間に送風回路92を設置することにより、送風ファン64からの送風をドレン2のミスト化の駆動手段に用いたものである。斯かる構成によっても、ドレン2のミスト化を図ることができる。
【0057】
この熱源装置100の制御装置については、図6に示した送風ファン32を除いた構成とすればよい。斯かる構成とすれば、送風ファン64を以て燃焼用及びミスト化用の送風が得られる。
【0058】
次に、熱源装置100の制御動作について、図9を参照して説明する。図9は、熱源装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0059】
この制御動作には、給湯・追焚き・暖房等の燃焼制御が含まれている。ドレンタンク22の水位がH以上(水位センサ50の上限水位電極50HがON)か否かを確認する(ステップS11)。この水位H付近までが送風によるミスト化変換可能領域である。そこで、上限水位電極50HがONした場合は、送風ファン64を駆動し、ドレン2のミスト化を行い(ステップS12)ドレン排出を行う。斯かる動作は上限水位電極50HがOFFするまで継続する。
【0060】
ドレンタンク22の水位がH未満の場合には、バーナ60が燃焼中か否かを判断する(ステップS13)。バーナ60が燃焼中か否かは炎検知センサ等にて判断可能であるが、同一制御手段が燃焼制御も行うため、その時点の動作モード等にても判断可能である。バーナ60が燃焼している場合は、送風ファン64は燃焼のために駆動しているため、同時に送風回路92を経由した送風によりドレン2のミスト化が行われ(ステップS14)、ドレン排出を行う。ドレン2のミスト化は、ドレンタンク22の水位がL以上(下限水位電極50LがON)の場合、効率よく行われるため、送風回路92に開閉手段を設け、ドレンタンク22の水位がL以上の場合のみ送風回路92を開放する構造にしてもよい。
【0061】
バーナ60が燃焼していない場合は、送風ファン64を停止し、ドレン2のミスト化を停止させ(ステップS15)、これは、燃焼に伴う事前、事後のファン動作を強制的に停止するものではなく、ステップS12によるドレン排出動作の終了のためである。
【0062】
ドレン2のミスト化はバーナ60が燃焼中に行い、ドレンタンク22の水位がHに達すると、バーナ60の燃焼にかかわらずドレン2のミスト化を行う。バーナ60の燃焼とともにドレン2のミスト化を行うと、共通して使用する送風ファン64の有効利用になる。また、ミスト18が燃焼排気68とともに効率よく外気に放出され、ドレン2の排出が行われる。
【0063】
〔第7の実施の形態〕
【0064】
本発明の第7の実施の形態について、図10を参照して説明する。図10は、超音波を用いたドレン排出方法、ドレン排出装置を備えた熱源装置の構成例を示す図である。図10において、図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0065】
この熱源装置100は、給湯装置や暖房装置の熱源であって、熱源部110とドレン排出部120とを備えており、ドレン排出部120には、超音波によるミスト化変換装置が用いられている。
【0066】
この実施の形態の場合、単一又は複数の超音波振動子として、3組の超音波振動子140をドレンタンク22の底面に設置してドレン2のミスト化を行う構成である。
【0067】
ドレンタンク22にはドレン2の水位を検出するための水位センサ50が設置され、この水位センサ50では、上限水位を検出する上限水位電極50H、下限水位を検出する下限水位電極50L、共通電極50COMが備えられており、共通電極50COMと下限水位電極50Lとが水没している場合には上限未満の水位L、共通電極50COMと上限水位電極50Hとが水没している場合には上限水位Hを検出する。この場合、下限水位電極50Lは、超音波振動子140でドレン2をミスト化できる最低水位を基準に位置決めされ、上限水位電極50Hは超音波振動子140でドレン2をミスト化できる最高水位を基準に位置決めされる。水位Hを越える場合にドレン2を流すため、超音波振動子140のミスト化変換可能領域の上限位置にオーバーフロー流路90が設けられている。
【0068】
ドレンタンク22には燃焼室62が空気配管142により連通され、この空気配管142を通して少量の空気66が燃焼室62よりドレンタンク22に流れ込むように構成されている。このような空気66をドレンタンク22に供給するのは、ミスト18をドレンタンク22から排気部75に押し出す駆動手段に空気66を用いるためである。ミスト18はミスト排出管86を通じて排気部75に導かれ、機器外に放出される。この場合、排気用ファンを独立して設置してもよい。
【0069】
次に、この熱源装置100の制御装置について、図11を参照して説明する。図11は、制御装置の構成例を示す図である。図11において、図6と同一部分には同一符号を付してある。また、図11において、図6に示す制御装置130と異なる点は、送風ファン64とともに、超音波振動子140が設置された点である。その他の構成は、既述の制御装置130と同一であるので、その説明を省略する。
【0070】
次に、熱源装置100の制御動作について、図12を参照して説明する。図12は、熱源装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0071】
ドレンタンク22の水位がH以上(水位センサ50の上限水位電極50HがON)か否かが判断され(ステップS21)、この水位Hの付近までが超音波振動子140によるミスト化が可能であり、この水位Hを上回るとミスト化が低下する。従って、上限水位電極50HがONした場合は、送風ファン64を駆動し(ステップS22)、超音波振動子140を動作させ、ドレン2のミスト化を行い(ステップS23)、このミスト化は、水位センサ50がOFFするまで継続する。
【0072】
ドレンタンク22の水位がH未満の場合には、バーナ60が燃焼中か否かを判断し(ステップS24)、バーナ60が燃焼中か否かは炎検知センサ等にて検出される。同一制御手段が燃焼制御も行うため、その時点の動作モード等にても判断可能である。バーナ60が燃焼している場合には、ドレンタンク22の水位がL以上(下限水位電極50LがON)の間(ステップS25)、超音波振動子140を動作させ、ドレン2のミスト化を行い(ステップS26)、ドレン排出を行う。このとき、送風ファン64は燃焼のために既に駆動している。
【0073】
バーナ60が燃焼していない場合は、送風ファン64を停止させる(ステップS27)。これは燃焼に伴う事前、事後のファン動作を強制的に停止するものではなく、ステップS22及びステップS23によるドレン排出動作の終了のためである。続いて、超音波振動子140の停止を行い、ドレン2のミスト化を停止する(ステップS28)。
【0074】
なお、ドレンタンク22の水位がL未満(下限水位電極LがOFF)の場合も、ドレン2のミスト化を停止するが、これは、ドレンタンク22内のドレン2が減少しすぎると超音波振動子140にてミスト化ができなくなり、更に超音波振動子140の故障の原因となってしまうためである。
【0075】
超音波によるミスト化は、白煙現象を呈する場合があるが、これは送風ファン等を用いて拡散させることにより、解消ないし軽減することができる。この拡散用ファンには大容量の風量を必要としないので、燃焼用の送風ファン64を兼用すればよい。
【0076】
ミスト18の排出は、燃焼時、未燃焼時のいずれでもよいが、排気部75からの逆流防止や騒音防止から、上記実施の形態では、一例として燃焼時にミスト排出を行っている。
【0077】
〔その他の実施の形態等〕
【0078】
(1) ドレン2のミスト化には例えば、図13に示すように、ドレンタンク22内に水車146が設置され、この水車146をモータにより回転させてミスト化することが可能である。その他の構成は、図10に示す熱源装置100と同一であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
(2) 上記実施の形態では、ドレン2を中和した後、ミスト化しているが、未中和のドレン2をミスト化してもよい。
【0080】
(3) ミスト18を排出するミスト排出管86を設置すれば、大きなものは回収されるので、外部に結露を生じることがない。
【0081】
(4) ドレン2の回収要因は2次熱交換器72を用いることが主たるものであるが、他の要因、例えば排気口よりの雨水の浸入等によるドレンタンク22の水位上昇が想定される場合にも、ドレンタンク22の水位監視とともに、そのミスト化を行うので、ドレンタンク22から不用水を排出することができる。
【0082】
(5) 第5の実施の形態(図5)、第6の実施の形態(図8)では、排気部75にミスト排出管86を貫通させて排気部75を通過する燃焼排気68と、ミスト排出管86を通過したミスト18とを排気口部77で合流させる構成としたが、図14又は図15に示すように、ミスト排出管86と排気部75とを合体させ、燃焼排気68とともにミスト18を排出する構成としても同様の効果が期待できる。
【0083】
請求項に記載していない特徴事項について、上記実施の形態から抽出して列挙すれば、次の通りである。
【0084】
ドレン排出方法において、
前記通過域を調整して前記ドレンの前記ミストへの変換率を調整することを特徴とするドレン排出方法。
【0085】
ドレン排出装置において、
前記容器に前記ドレンを補充し、前記仕切り板と前記水面との間隔を所定間隔に維持させる補液手段を備えたことを特徴とするドレン排出装置。
【0086】
ドレン排出装置において、
前記仕切り板を備えて前記スリット部を通して外気に開放された遮蔽空間を前記容器に備えることを特徴とするドレン排出装置。
【0087】
ドレン排出装置において、
前記仕切り板と前記水面との間隔を所定間隔に維持するスリット調整手段を備えたことを特徴とするドレン排出装置。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、空気等の気体を駆動手段に用いてドレンをミストに変換し、それを空気中に拡散でき、ドレン排出の簡略化を図ることができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施の形態に係るドレン排出方法及びドレンのミスト化原理を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。
【図3】第3の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。
【図4】第4の実施の形態に係るドレン排出装置の構成例を示す図である。
【図5】第5の実施の形態に係る熱源装置の構成例を示す図である。
【図6】制御装置の構成例を示す図である。
【図7】制御動作を示すフローチャートである。
【図8】第6の実施の形態に係る熱源装置の構成例を示す図である。
【図9】制御動作を示すフローチャートである。
【図10】第7の実施の形態に係る超音波によるドレン排出方法、ドレン排出装置及び熱源装置の構成例を示す図である。
【図11】制御装置の構成例を示す図である。
【図12】制御動作を示すフローチャートである。
【図13】その他のドレン排出方法、ドレン排出装置及び熱源装置の構成例を示す図である。
【図14】他のドレン排出装置の構成例を示す図である。
【図15】他のドレン排出装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
2 ドレン
4 水面
6 空気(気体)
8 空気供給部(気体供給手段)
10 仕切り板(通過域設定手段)
12 スリット部
18 ミスト
20 ドレン排出装置
22 ドレンタンク(容器)
52 昇降機構部
54 角度調整機構部
75 排気部
86 ミスト排出管
100 熱源装置
110 熱源部
120 ドレン排出部
140 超音波振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換により熱交換器に生じるドレンのドレン排出方法であって、
発生したドレンを回収し、そのドレンをミストに変換する処理と、
前記ミストを外気に排出させる処理と、
を含むことを特徴とするドレン排出方法。
【請求項2】
請求項1記載のドレン排出方法において、
前記ドレンの水面に沿って気体を流すとともに、特定箇所の前記水面に前記気体の通過域を設定し、高速化した前記気体を前記水面に接触させて前記通過域を通過させることにより、前記水面から前記ドレンを前記ミストに変換することを特徴とするドレン排出方法。
【請求項3】
請求項1記載のドレン排出方法において、
前記ドレンに超音波を作用させて前記ミストに変換する処理を含むことを特徴とするドレン排出方法。
【請求項4】
熱交換により熱交換器に生じたドレンを排出させるドレン排出装置であって、
前記ドレンを溜める容器と、
前記容器内の前記ドレンをミストに変換するミスト変換手段と、
前記ミストを外気に導く排気部と、
を含むことを特徴とするドレン排出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のドレン排出装置において、
前記ミスト変換手段は、前記ドレンの水面上に気体を流す気体供給手段と、
前記水面上の特定箇所に前記気体を通過させる狭い通過域を設定し、高速化された前記気体を前記水面に接触させて通過させる通過域設定手段と、
を含み、前記水面の前記特定箇所からミストに変換する構成であることを特徴とするドレン排出装置。
【請求項6】
請求項4に記載のドレン排出装置において、
前記ミスト変換手段は、気体を供給する気体供給手段と、
前記ドレンの水面上に立設して前記気体の通過を規制する仕切り板と、
前記仕切り板と前記水面との間に前記気体の通過域を設定し、高速化された前記気体を前記水面に接触させて通過させるスリット部と、
を含み、前記水面の前記特定箇所からミストに変換する構成であることを特徴とするドレン排出装置。
【請求項7】
請求項4に記載のドレン排出装置において、
前記ミスト変換手段は、超音波振動子を備え、発生した超音波を前記ドレンに付与することにより、前記ドレンをミストに変換する構成であることを特徴とするドレン排出装置。
【請求項8】
燃焼手段と、
前記燃焼手段に生じる熱を熱交換に使用し、その熱交換によりドレンを生じる熱交換器と、
前記ドレンを溜める容器と、
前記容器内の前記ドレンをミストに変換するミスト変換手段と、
前記ミスト変換手段により変換した前記ミストを前記燃焼手段の燃焼排気とともに、又は燃焼排気とは別個に外気に放出させる排気手段と、
を備えたことを特徴とする熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−46813(P2007−46813A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229992(P2005−229992)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】