説明

ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤の連続投与のための組成物

カルビドパ及びレボドパのアルギニン塩、並びにレボドパの投与と併用した、例えば、不穏下肢症候群、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン様症候群、PSP、MSA、ALS、ジャイ−ドレーガー症候群及び一酸化炭素又はマンガン中毒を含む脳障害に由来する状態などの神経学的疾患若しくは障害又は運動疾患若しくは障害を治療するための連続投与に適した、カルビドパのアルギニン塩を含む組成物が本明細書に開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/179,511号の優先権を主張し、その全体は本明細書に参照として組み込まれている。
【0002】
本発明は、脳内のドーパミンレベルが低下する疾患及び障害、例えばパーキンソン病を治療する方法に有用な化合物及び製剤に関する。特に、本発明は、カルビドパ及びレボドパのアルギニン塩並びにそれらを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドーパミン濃度の低下より特徴付けられる変性状態である。レボドパ(L−ドーパ又はL−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)は、ドーパミンの直接の代謝前駆体であり、それはドーパミンとは違って血液脳関門を越えることができ、脳内のドーパミン濃度を回復させるために最も一般的に使用されている。過去40年間、レボドパは、パーキンソン病治療のための最も効果的な治療薬であり続けている。
【0004】
しかしながら、レボドパは、血漿中半減期が短いことにより、現行の最善の一般的な標準治療の下でさえ拍動性のドーパミン作動性刺激が生じる。したがって、長期間の治療は、患者によっては重大な障害の原因となり得る運動症状の変動及びジスキネジアを伴う。レボドパ/ドーパミンをより連続的且つ生理学的に脳に最終的に送達することができる治療戦略があれば、運動症状の合併症が低減した標準的なレボドパが有益にも得られ、これは、パーキンソン病及び他の神経学的障害又は運動障害に罹患している患者に非常に必要とされている(Olanow CW;Mov.Dis.2008,23(Suppl.3):S613−S622)。持続放出経口レボドパ製剤が開発されているが、良くても、このような調製物は、標準的な錠剤より有効でないことが見出されている。歩行可能ポンプ又はパッチを用いることによって、十二指腸内投与又は注入によるレボドパの連続投与も試みられている。特に十二指腸内へのこのような治療は、非常に侵襲的であり、不便である。更に、このような治療は、ドーパミン作動性の有害事象を伴う可能性がある。すなわち、レボドパ又はドーパ作動薬の連続投与は、薬物の連続送達にも関わらず自己制御する効果停止期間(off period)をやはり伴う。Nutt JG;Mov.Dis.2008,23(Suppl.3):S580−4。
【0005】
レボドパからドーパミンへの代謝的変換は、特に、腸粘膜、肝臓、脳及び脳毛細血管内に高濃度で存在する偏在性の酵素である芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ酵素により触媒される。レボドパの脳外の代謝の可能性があるため、多量のレボドパを投与することが必要であり、それにより患者によっては吐気を引き起こすドーパミンの高い脳外濃度を生じる。したがって、レボドパは、通常、カルビドパ又はベンセラジドなどのドーパデカルボキシラーゼ阻害剤の経口投与と同時に投与され、この阻害剤は、臨床反応に必要とされるレボドパ用量を60〜80%まで減少させることにより、脳外でのレボドパからドーパミンへの変換を阻害することによってその副作用の一部を防ぐ。まさにこの用量低減を達成する方法は不明確である。レボドパを単独で含むか、又はレボドパの代謝分解と関連する酵素の阻害剤と共に含む様々な製剤、例えば、カルビドパ及びベンセラジドなどのデカルボキシラーゼ阻害剤、エンタカポン及びトルカポンなどのカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、並びにモクロベミド、ラサギリン又はセレギリン又はサフィナミドなどのモノアミンオキシダーゼ(MAO)−A若しくはMAO−B阻害剤が周知である。現在利用可能な経口薬物としては、カルビドパ又はレボドパを含むSINEMET(登録商標)及びSINEMET(登録商標)CR持続放出錠剤、カルビドパ、エンタカポン及びレボドパを含有するSTALEVO(登録商標)錠剤、並びにレボドパ及びベンセラジドを含有するMADOPAR(登録商標)錠剤が挙げられる。パーキンソン病などの運動障害をより効果的に治療するために、L−ドーパの持続的刺激をもたらすことができる方法及び組成物に対して依然として差し迫った必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
わずかに水に可溶性である白色結晶化合物のカルビドパ[(−)−L−α−ヒドラジノ−α−メチル−β−(3,4−ジヒドロキシベンゼン)プロパン酸一水和物]は、レボドパと共に通常投与されているドーパデカルボキシラーゼ阻害剤である。経口投与したカルビドパの40〜70%のみが、ヒト、サル及びイヌに吸収される。カルビドパは、30年以上にわたってレボドパと共に経口投与されているが、例えば、皮下又は経皮送達用に適した量で有効な濃度を有する安定な液体製剤はこれまで実現していない。特に、十二指腸投与などの現在の侵襲的な形よりも容易に患者に投与できるようなカルビドパ製剤に対して差し迫った長年にわたる必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
現在、本発明に従って、カルビドパのアルギニン塩が、生理学的に許容可能なpHにおいて、例えば、連続皮下、経皮、皮内、静脈内及び/又は十二指腸内投与に適した安定な液体製剤を形成できることを見出した。開示されているこのような組成物は、カルビドパを患者に実質的に連続して投与することができる。
【0008】
レボドパの別個の(例えば経口)同時投与と共に、カルビドパなどのドーパデカルボキシラーゼ阻害剤を実質的に連続して投与することは、L−ドーパを実質的に連続して刺激できるので、例えば、レボドパ経口投与計画の有効性を延長させ、及び/又はレボドパの1日投与量を減少させるが、パーキンソン病などの運動障害及び/又は神経学的障害を有効に治療することを更に見出した。
【0009】
一態様において、本発明は、例えば、連続皮下、経皮、皮内、静脈内、経口、又は十二指腸内投与に適した、カルビドパ及びレボドパから選択される活性剤のアルギニン塩に関する。
【0010】
例えば、経皮パッチ又は皮下ポンプ(例えばインスリン様ポンプ)を、例えば使用して、又は使用せずに、患者に対して実質的に連続投与するのに適切であり得る、カルビドパのアルギニン塩を含む、例えばカルビドパ及びアルギニンを含む、薬学的に許容可能な液体(例えば、室温で液体)製剤若しくは液体組成物又はゲル製剤若しくはゲル組成物も本明細書で企図される。このような企図される液体組成物は、少なくとも1重量%、少なくとも4重量%、少なくとも6重量%又はそれ以上のカルビドパ(例えば約2重量%〜約6重量%のカルビドパ)を含んでもよく、それによって、1重量%未満のカルビドパしかを有することができないカルビドパ製剤と比べて、より少量の薬理学的に許容可能な製剤の投与によって効果を達成するのを容易にし得る。別の実施形態において、カルビドパと塩基性アミノ酸、例えばカルビドパとアルギニンを約1.0:0.5〜約1:約2.5までのモル比、例えば1:1.0〜1.2のモル比で含む、液体組成物又はゲル組成物が本明細書で企図される。本明細書で企図される場合、カルビドパ及びアルギニンを含む液体組成物は、25℃で、生理学的に許容可能なpH、例えば約6.5〜9.5、例えば約7〜約9、又は約8〜約9のpHを有してもよい。
【0011】
更に別の実施形態において、レボドパとアルギニンを約1.0:0.5〜約1:2のモル比、例えば約1:1.8のモル比で含む、薬学的に許容可能な液体組成物又はゲル組成物が本明細書で企図される。例えば、少なくとも約4重量%、又は少なくとも5重量%、少なくとも6重量%(例えば約3重量%〜約7重量%)又はそれ以上のレボドパを含み得る液体組成物が本明細書で提供される。本明細書で企図される、レボドパ及び塩基性アミノ酸を有する液体組成物は、25℃で、約8〜10、例えば約8.5〜約9.5のpHを有してもよい。
【0012】
本明細書で企図される例示的な液体組成物は、液体溶液であってもよく、例えばカルビドパ及びアルギニンを含む、実質的に均一の混合物であってもよく、水を含んでもよく、又は代替として、実質的に非水性であってもよい。他の実施形態において、企図される組成物はまた、N−メチルピロリドン(NMP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、プロピレングリコール、酸化防止剤又はそれらの組み合わせなどの1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤も含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態において、本発明の薬学的に許容可能な液体組成物は、エンタカポン又はトルカポンなどの更なる活性剤を含んでもよい。
【0014】
a)カルビドパのアルギニン塩を含む本発明の液体製剤又はゲル製剤を含む、連続投与に適した第1の組成物と、b)レボドパ又はその薬学的に許容可能な塩若しくはエステルを含む、経口投与に適した第2の組成物と、c)任意選択で、第2の製剤と併用する第1の製剤の投与に関する指示書とを含むキットも本明細書で提供される。
【0015】
カルビドパのアルギニン塩の連続投与のためのキットにおける第1の組成物は、注入ポンプを使用することなどによって、経皮、皮内、皮下、静脈内、又は十二指腸内投与用に製剤化されてもよい。
【0016】
キットにおける第2の組成物、すなわちレボドパ組成物は、レボドパ、レボドパの薬学的に許容可能な塩、好ましくは本明細書に開示されているようなレボドパのアルギニン塩を含んでもよく、又はレボドパを含み、更にカルビドパ及び/若しくはベンセラジドなどの1つ若しくは複数のデカルボキシラーゼ阻害剤、又はエンタカポン及び/若しくはトルカポンなどの1つ若しくは複数のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、又はセレギリン及び/若しくはラサギリンなどの1つ若しくは複数のMAO−A若しくはMOA−B阻害剤、又はそれらの組み合わせを含む組成物であってもよい。
【0017】
患者の脳内のドーパミンレベルの低下により特徴付けられる疾患又は障害(例えばパーキンソン病)を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量のデカルボキシラーゼ阻害剤、その塩、例えばカルビドパのアルギニン塩、又はそのエステルを実質的に連続投与する工程と、治療有効量のレボドパ若しくは薬学的に許容可能なその塩(例えばアルギニンレボドパ)、又はレボドパを含む組成物を投与する工程(例えばその唯一の活性剤としてレボドパを有する組成物、例えば錠剤、又はレボドパ及びカルビドパ、ベンセラジド、エンタカポン、トルカポン、セレギリン及び/若しくはラサギリンなどの1つ若しくは複数の他の活性剤を含む組成物を投与する工程とを含む方法も本明細書で提供される。
【0018】
一実施形態において、それを必要とする患者において神経学的障害又は運動障害を治療又は改善する方法であって、カルビドパの塩基性アミノ酸塩(例えばカルビドパアルギニン)を含む治療有効量の組成物を投与する工程と、レボドパを含む治療有効量の組成物を投与する工程とを含む方法が提供される。例えば、カルビドパ及びアルギニンを含む組成物は、実質的に連続して投与されてもよく、及び/又はレボドパを含む組成物は、カルビドパアルギニン塩を含む組成物を実質的に連続投与している間、別の間隔で(例えば1日に1回、2回、3回又はそれ以上の回数、経口投与により)投与されてもよい。
【0019】
カルビドパアルギニンなどのカルビドパ塩を含む液体組成物又はゲル組成物を患者に(例えば実質的に連続して)投与する工程を含む、デカルボキシラーゼ活性を実質的に連続して阻害する方法、及び/又はレボドパを投与した患者においてレボドパの半減期を増加させる方法も本明細書で提供される。例えば、開示されている方法により、カルビドパを連続投与した後の患者の血漿中のレボドパの半減期は、カルビドパの別個の経口投与と共にレボドパを投与した後の患者の血清中のレボドパの半減期と比べて、少なくとも1.5倍、又は少なくとも2倍長くなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】カルビドパ(CD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図1B】カルビドパ(CD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図1C】カルビドパ(CD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図2A】レボドパ(LD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図2B】レボドパ(LD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図2C】レボドパ(LD)アルギニン塩の質量スペクトルを示す。
【図3A】3%カルビドパ溶液の連続皮下投与と併用した(四角)、又は併用していない(ダイヤモンド)、スタレボ(100/25/200mg、LD/CD/E)の経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定したカルビドパの平均濃度を示す。
【図3B】3%カルビドパ溶液の連続皮下投与と併用した(四角)、又は併用していない(ダイヤモンド)、ドピカル(Dopicar)+ロドシン(125/25mg LD/CD)の経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定したカルビドパの平均濃度を示す。
【図3C】3%カルビドパ溶液の連続皮下投与と併用した(四角)、又は併用していない(ダイヤモンド)、シネメットCR(100/25mg、LD/CD)q8及び12hの経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定したカルビドパの平均濃度を示す。
【図4A】カルビドパの連続皮下投与と併用した、又は併用していない、レボドパ/カルビドパの経口投与後にCD−1マウスで測定した、L−ドーパ及びドーパミンの脳内濃度(それぞれ4Aの左側パネル及び右側パネル)を示す。
【図4B】カルビドパの連続皮下投与と併用した、又は併用していない、レボドパ/カルビドパの経口投与後にCD−1マウスで測定した、カルビドパ及びL−ドーパの血漿濃度(それぞれ4Bの左側パネル及び右側パネル)を示す。
【図5A】Sinemet(登録商標)(100/25mg)q8hの経口投与と併用した、0、2及び4%のカルビドパの連続皮下投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定したL−ドーパの平均濃度を示す。
【図5B】Sinemet(登録商標)(100/25mg)q8hの経口投与と併用した、0、2及び4%のカルビドパの連続皮下投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定したカルビドパの平均濃度を示す。
【図6A】Dopicar(登録商標)(125/12.5mg LD/CD)+Lodosyn(登録商標)(12.5mg CD)q12hの経口投与と併用した、2及び4%のカルビドパの連続皮下投与後の2匹の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)(ブタ#3)の血漿中で測定したL−ドーパの平均濃度を示す。
【図6B】Dopicar(登録商標)(125/12.5mg LD/CD)+Lodosyn(登録商標)(12.5mg CD)q12hの経口投与と併用した、2及び4%のカルビドパの連続皮下投与後の2匹の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)(ブタ#4)の血漿中で測定したL−ドーパの平均濃度を示す。
【図7】ベンセラジド又はカルビドパの連続皮下投与(60mg/日)と併用した、又は併用していない、スタレボ(LD/CD/E 100/25/200)、q8hの経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定した場合の平均(±SD)LD(レボドパ)濃度(ng/ml)を示す。
【図8A】2.5%エンタカポン、及びL−ドーパ/カルビドパ(LD/CD)の経口投与と併用した、又は併用していない、2%カルビドパの連続皮下投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定した場合のL−ドーパの血漿濃度を示す。
【図8B】2.5%エンタカポン、及びL−ドーパ/カルビドパ(LD/CD)の経口投与と併用した、又は併用していない、2%カルビドパの連続皮下投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定した場合の3−O−メチルドーパ(3−OMD)の血漿濃度を示す。
【図9】カルビドパプロピルエステル(CDPE)の経皮送達の結果を示す。
【図10A】シネメット(100/25mg LD/CD)と比較して、アルギニン塩として腸溶コーティングした、又はコーティングしていないLD及びCD(それぞれ、LD及びCDと指定した、100/25mg LD/CD)の経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定した場合のレボドパの血漿濃度を示す。
【図10B】シネメット(100/25mg LD/CD)と比較して、アルギニン塩として腸溶コーティングした、又はコーティングしていないLD及びCD(それぞれ、LD及びCDと指定した、100/25mg LD/CD)の経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定した場合のカルビドパの血漿濃度を示す。
【図11】カルビドパ及びカルビドパプロピルエステル(CDPE)によるL−ドーパ脱カルボキシル化の阻害を示す。
【図12A】肝臓抽出物中のカルビドパ及びカルビドパプロピルエステルによるL−ドーパ脱カルボキシル化の阻害を示す。
【図12B】肝臓抽出物中のカルビドパ及びカルビドパプロピルエステルによるL−ドーパのドーパミンへの代謝の阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
室温で安定であるカルビドパのアルギニン塩(例えばアルギニン及びカルビドパ)を含む、生理学的に許容可能なpHを有する液体組成物であって、その液体組成物は、低侵襲様式で患者に対して有効量のカルビドパの連続送達を容易にすることができる、液体組成物が本明細書に開示される(例えば、開示されている液体製剤は、著しく高い濃度のカルビドパを含むので、大量の液体の投与は必要とされない)。このような製剤は、レボドパの半減期を延長する連続的なデカルボキシラーゼ阻害を促進できる。例えば、以下に記載するように、L−ドーパを、6〜8時間毎のカルビドパの経口投与と並行して連続して投与したインビボでの研究からの結果により、カルビドパの経口投与計画と一致する、L−ドーパの血漿中濃度の拍動性パターンが実証されるが、レボドパの別個又は連続投与と併用した、COMT阻害剤と併用した、又は併用していない、同時及び/又は頻繁に反復される、例えばドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(例えばカルビドパ若しくはその塩、又はベンセラジド)の同時投与は、例えばパーキンソン病の治療により効果的である。更に、例えばカルビドパ(エンタカポンと併用した、又は併用していない)の薬物動態プロファイルにより、例えばレボドパ又はその塩の(連続又は別の間隔での)投与と一緒に、COMT阻害剤と併用して、又は併用せずに、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤(例えばベンセラジド又はカルビドパ若しくはその塩)を実質的に連続投与することを含む、このような新規の治療が立証されることを発見した。
【0022】
例えば実質的に連続皮下又は経皮投与のために、例えば生理学的に許容可能なpHにおいて、より高い濃度(例えば1重量%より多い)のカルビドパ及び/又はレボドパの安定な溶解を、予想外にも可能にするカルビドパの製剤が本明細書で提供される。このような製剤はまた、静脈内、皮内、経口又は十二指腸内投与にも適切であり得る。例えば、投与の際に、ドーパデカルボキシラーゼ活性の実質的に一定の阻害を得ることができ、それによって、投与されたレボドパの半減期を増加させ、レボドパの血漿中濃度の拍動性を実質的に低下させて、血漿中のレボドパの低いトラフ濃度を回避できる製剤及び方法が本明細書で提供される。
【0023】
本発明による連続カルビドパ投与の治療戦略は、L−ドーパを実質的に連続して模倣できる。例えば、本発明の治療及び/又は方法は、レボドパの経口投与計画を約2〜約3回/日まで延長でき、及び/又はレボドパの日用量を減少でき、及び/又はパーキンソン病における標準的な経口レボドパ製剤に関連する運動合併症の危険性を減少若しくは排除さえできる。
【0024】
一実施形態において、カルビドパの実質的に連続投与を可能にする、カルビドパアルギニン塩を含む、薬学的に許容可能な製剤が本明細書で提供される。例えば、カルビドパ遊離塩基は、実際には、アルコール、クロロホルム又はエーテルに不溶性であり、わずかに水に可溶性であるが、例えば、カルビドパを含み、患者に対する実質的な連続投与に適切であり得る、安定な液体製剤が本明細書で提供される。更に、このような製剤は、生理学的に許容可能なpHを有し得る。
【0025】
一態様において、本発明はカルビドパアルギニン塩に関する。
【0026】
一実施形態において、本開示はまた、本発明のカルビドパ塩を含む液体製剤も提供する。例えば、開示されているカルビドパアルギニン塩は、25℃又は30℃で、例えば約6〜9.5、好ましくは約7〜約9、より好ましくは約8〜9のpHを有する水性液体に溶解できる。代替として、カルビドパ(遊離塩基)及びアルギニンは、液体(例えば水溶液)中で一緒に溶解して、開示されている液体製剤を形成する。開示されている液体製剤は、約1.0重量%又はそれ以上のカルビドパ又はカルビドパアルギニン塩を含んでもよく、例えば約1重量%〜約20重量%又はそれ以上のカルビドパ、例えば約2重量%〜約10重量%のカルビドパを含んでもよい。例えば、液体製剤は、カルビドパ及びアルギニンを、約1:0.5〜約1:2.5、又は約1:1〜約1:1.2、例えば約1:1又は1:1.1のモル比で含んでもよい。
【0027】
開示されている液体製剤(例えばカルビドパ及びアルギニン又はカルビドパのアルギニン塩を含む液体組成物)は、25℃にて、24時間、48時間、7日間、又はそれ以上、安定であり得る。例えば、例示的な液体製剤は、約2重量%〜約15重量%、又は約2重量%〜約10重量%、又は2重量%〜約6重量%のカルビドパと共に、1:1.1のモル比のカルビドパ:アルギニンを含んでもよい。このようなカルビドパ:アルギニン液体製剤は、カルビドパのリシン又はヒスチジン塩を含む液体組成物と比べて、7日間でより安定であり得る。
【0028】
一部の実施形態において、開示されている液体製剤又は組成物は、液体溶液、すなわち実質的に均一の液体混合物である。このような液体混合物は、水及び/又は他の賦形剤を含んでもよい。別の実施形態において、開示されている液体組成物は実質的に非水溶性であってもよい。
【0029】
例えば、以下の例6に開示しているように、安定な液体溶液は、予想外にもカルビドパ及びアルギニンから形成できる。このような溶液は室温にて安定であり、例えば、2、3、4、6、及び/又は8重量パーセントのカルビドパの高いカルビドパ濃度でさえ、実質的に透明な溶液である。このような溶液、例えば約6重量パーセントまでのカルビドパは、少なくとも48時間安定である(例えば沈殿しない)。更に、高濃度のカルビドパでさえも、このような開示されている溶液は、生理学的に許容可能なpHを有するので、このような溶液は、適切なpHに調整できるが、それでも、より少ない体積でかなりの量のカルビドパを有するので、例えば大量の溶液を投与することなく、患者への投与を容易にできる。
【0030】
更に、例えば以下の例6に示すように、カルビドパ及びアルギニン(例えばカルビドパのアルギニン塩)を有する溶液は、ヒスチジン又はリシンなどの他の塩基性アミノ酸を含むカルビドパの溶液と比較した場合でさえ、予想外にもより安定である。
【0031】
一部の実施形態において、企図される液体製剤は、レボドパ若しくはレボドパ及びアルギニン、並びに/又は任意選択で、エンタカポン若しくはトルカポンなどのカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、並びに/又はモクロベミド、ラサギリン、セレギリン若しくはサフィナミドなどのモノアミンオキシダーゼ(MAO)−A若しくはMAO−B阻害剤を更に含んでもよい。
【0032】
レボドパのアルギニン塩を含む液体製剤、又はアルギニン及びレボドパを含む液体製剤も本明細書で提供される。一実施形態において、レボドパ及びアルギニンを約1:1.5〜約1:2.5、又は約1:1.8〜約1.20のモル比で含む液体製剤が本明細書で提供される。このようなレボドパ及びアルギニン製剤又は溶液は、約8〜約10、例えば約8.5〜約9.5のpHを有してもよい。レボドパ及びアルギニンを有する開示されている製剤は、約2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%又はそれ以上のレボドパを含んでもよく、例えば約4重量%又はそれ以上のレボドパを含んでもよい。
【0033】
一部の実施形態において、開示されている液体製剤は、室温にて、1日、2日、3日、1週、若しくは1ヶ月又はそれ以上の間、安定である。本発明の好ましい実施形態において、開示されている液体製剤は更に、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、プロピレングリコール、又はそれらの1つ若しくは複数の組み合わせなどの薬学的に許容可能な賦形剤を含み、更に、限定されないが、N−アセチルシステイン、亜硫酸水素ナトリウム、グルタチオン、及びアスコルビン酸などの1つ若しくは複数の酸化防止剤を含んでもよい。例えば、一実施形態において、約0.5〜約20重量%のカルビドパ(例えば約2重量%〜約6重量%)、約0.25〜約20重量%のアルギニン、約0〜約30重量%のNMP、約0〜約5重量%のPVP、及び/又は約0〜約5重量%の1つ若しくは複数の水溶性酸化防止剤を含む、安定な液体製剤が本明細書で提供される。
【0034】
本発明は更に、カルビドパアルギニン塩を含む安定な凍結乾燥粉末を提供する。一実施形態において、そのような安定な凍結乾燥粉末は、約20〜99%のカルビドパ塩、約0〜60%のNMP、約0〜15%のPVP、及び約0〜5%の1つ若しくは複数の水溶性酸化防止剤を含んでもよい。凍結乾燥粉末は、水のみ又はNMPを含む水を加えることにより液体製剤に再構成でき、酸化防止剤を含んでもよいか、又は含まなくてもよい。
【0035】
本発明の液体製剤は、カルビドパ又はレボドパ塩を必要としている患者へのカルビドパ又はレボドパ塩の連続投与のために設計されてもよい。例えば、患者は、開示されているカルビドパアルギニン塩を含む製剤を、実質的に(例えば、皮下、経皮、十二指腸内、皮内、又は静脈内に)連続投与されてもよく、一方で、レボドパ、レボドパ塩、又はレボドパを含む組成物は、別の間隔、例えば1日に2、3、4、又は5回、経口投与される。
【0036】
本明細書において、その中で使用する場合、用語「レボドパを含む組成物」は、任意選択で、1つ若しくは複数のデカルボキシラーゼ阻害剤、1つ若しくは複数のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、及び/又は1つ若しくは複数のMAO−A若しくはMAO−B阻害剤と一緒に、レボドパを含む製剤を企図する。例えば、レボドパを含む組成物は、レボドパ(又はその塩)及び任意選択で1つ若しくは複数の他の薬物を含む1回分の投薬量の製剤を含んでもよく、その1回分の投薬量の製剤は、経口投与に適した即時放出、制御放出、二重放出又は多重放出製剤であってもよい。
【0037】
用語「デカルボキシラーゼ阻害剤」とは、ドーパデカルボキシラーゼ(DDC)阻害剤、例えば、カルビドパ及びベンセラジドなどの芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼによるレボドパのドーパミンへの末梢代謝を阻害する薬物をいう。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容可能な担体」又は「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、薬学的投与に適合する、任意及び全ての溶媒、分散媒、防腐剤、酸化防止剤、コーティング、等張剤、及び吸収遅延剤などをいう。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。組成物はまた、補足的、追加的、又は増強的な治療機能を与える、他の活性化合物を含んでもよい。
【0039】
用語「生理学的に許容可能なpH」は、例えば、顕著な有害作用を有さずに患者に対する組成物の投与を容易にする組成物のpH、例えば約4〜約9のpHを意味すると理解される。
【0040】
用語「COMT阻害剤」とは、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼによるレボドパの3−メチルドーパへの分解を阻害し、レボドパの作用を延長する阻害剤、エンタカポン又はトルカポンなどをいう。例えば、本明細書で企図されるレボドパを含む組成物はまた、デカルボキシラーゼ阻害剤(カルビドパ又はベンセラジド)及びエンタカポンを含んでもよく、例えば「3剤併用」である。
【0041】
用語「MAO−A又はMAO−B阻害剤」とは、モノアミンオキシダーゼA又はBによるドーパミンの分解を防ぐ阻害剤、例えばモクロベミド、ラサギリン、セレギリン又はサフィナミド、より好ましくはラサギリンをいう。
【0042】
a)カルビドパアルギニン塩並びに/又はカルビドパ及びアルギニンを含む、連続投与に適した第1の製剤と、b)レボドパ又はレボドパのアルギニン塩を含む、経口投与に適した第2の製剤と、c)製剤b)と併用する製剤a)の投与に関する指示書とを含むキットも本明細書で企図される。カルビドパ塩を含む製剤a)は、経皮、静脈内、皮下、皮内、筋肉内又は十二指腸内などの任意の適切な経路による連続投与に適切であり得る。
【0043】
カルビドパ塩を含む企図されるキットの第1の製剤は、液体製剤に再構成できる液体又は凍結乾燥粉末であってもよいか、又は例えば経皮パッチの一部を形成してもよく、限定されないが、経皮、静脈内、皮下、皮内、筋肉内又は十二指腸内などの任意の適切な経路による連続投与のために設計されてもよい。一実施形態において、第1の製剤は開示されているカルビドパアルギニン塩を含み、皮下投与に適している。企図されるキットの第2の製剤は、レボドパ、レボドパエステル、レボドパ塩、又はレボドパを含む組成物を含んでもよく、限定されないが、丸薬、錠剤、分散性錠剤、カプセル、液剤などの任意の適切な経口投薬として提示できる。一実施形態において、第2の製剤は、レボドパ及びベンセラジドの両方、又はレボドパ及びカルビドパの両方を含む、即時放出、制御放出又は二重放出経口製剤の形態であってもよい。丸薬、錠剤などの形態のこのような経口製剤は、約1:10〜1:4、好ましくは約1:4〜1:1の比のカルビドパ又はベンセラジド対レボドパを含んでもよい。他の企図される第2の製剤は、例えば、レボドパ、カルビドパ、及びエンタカポンを含む錠剤、又は例えば、レボドパアルギニン塩及び/若しくはカルビドパアルギニン塩を含む錠剤である製剤を含む。
【0044】
別の実施形態において、キットは、限定されないが、経皮、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、十二指腸内の連続投与に適した、カルビドパ及びアルギニンを含む第1の液体製剤と、レボドパ及びカルビドパを含む、即時放出、制御放出又は二重放出経口製剤の形態の第2の製剤とを含む。丸薬、錠剤などの形態の経口製剤は、約1:10〜約1:4、好ましくは約1:4〜約1:1の比のカルビドパ対レボドパを含んでもよい。
【0045】
別の態様において、本発明は、限定されないが、カルビドパのエチル、プロピル、イソプロピル又はヘキシルエステルなどのカルビドパエステル、及びそれらの塩を含む製剤に関する。本明細書で企図されるレボドパエステルの例としては、アルキルエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、若しくはイソプロピルエステル、又はベンジルエステルが挙げられる。
【0046】
本発明の組成物は、治療有効量のレボドパ若しくはその塩又はレボドパを含む組成物と一緒に、必要とする患者に実質的に連続して同時投与した場合、患者の脳内のドーパミン濃度の低下及び/又は変動によって特徴付けられる疾患又は障害の治療に有用である。例に示すように、患者にレボドパの別個の(例えば経口)投与を用いてでさえも、レボドパの投与と一緒に、カルビドパの別々の連続投与は、現在の標準的な別個のカルビドパ及びレボドパの同時投与と比べて、投与の際に患者の血漿中の著しく高い濃度のレボドパを生じる。例えば、開示されている方法は、(例えば別個の経口投与での)カルビドパの連続投与を併用していない、レボドパの投与後の患者の血清中のレボドパの半減期と比べて、カルビドパの連続投与後、少なくとも1.5倍、又は少なくとも2倍長い、患者の血漿中のレボドパの半減期を生じ得る。
【0047】
開示されている方法に従う、例えばカルビドパ及びレボドパの企図される投与は、典型的に、所定の期間(通常、選択される組み合わせに依存して、数週、数ヶ月、又は数年)にわたって実施できる。企図される治療は、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤が、実質的に連続して投与され、一方、レボドパが、実質的に同時様式で、企図される治療剤、又は治療剤の少なくとも2つの投与と共に、別の間隔で投与される様式で複数の治療剤の投与を包含することを目的とする。投与は、限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、皮下、経皮を含む、任意の適切な経路、及び粘膜組織を介する直接吸収によって達成できる。
【0048】
一部の実施形態において、レボドパは、例えば企図されるカルビドパ製剤の投与と比べて、同じ経路によって、又は異なる経路によって投与できる。例えば、カルビドパは、例えば実質的に連続して皮下投与でき、一方、レボドパは、例えば別の間隔で経口投与できる。一実施形態において、(例えばカルビドパ及びアルギニンを有する)開示されている液体カルビドパ組成物は、実質的に連続して投与され、一方、レボドパを含む(及びドーパデカルボキシラーゼ阻害剤などの1つ若しくは複数の他の活性剤も含んでもよい)経口組成物は別の間隔で投与される。代替として、例えば、レボドパ及びカルビドパの両方は、皮下又は経皮に投与できる。
【0049】
本明細書で企図される、脳内のドーパミン濃度の低下により特徴付けられる疾患又は障害は、不穏下肢症候群、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン様症候群、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ジャイ−ドレーガー症候群及び一酸化炭素又はマンガン中毒を含む脳障害に由来する状態を含む、神経学的又は運動障害である。1つの好ましい実施形態において、治療される疾患はパーキンソン病である。
【0050】
好ましい実施形態において、企図されるデカルボキシラーゼ阻害剤は、カルビドパのアルギニン塩である。開示されているカルビドパ/アルギニン製剤は、例えば、レボドパ、レボドパのアルギニン塩、又はレボドパを含む組成物の経口投与と併用して、約10〜250μl/時間、好ましくは約15〜85μl/時間の平均速度で、皮下注入のためのポンプ(インスリンポンプ)により、例えば液体製剤を用いて実質的に連続して投与できる。
【0051】
例えば、本発明によれば、カルビドパ及びアルギニンを含む薬学的に有効な量の組成物(本発明のキットの第1の組成物のカルビドパアルギニン塩)は、神経学的又は運動障害、例えばパーキンソン病を治療するために患者に実質的に連続して投与でき、一方、レボドパ又はその塩、例えばレボドパアルギニン塩を含むキットの第2の組成物は、患者に不連続的に投与される。
【0052】
一部の実施形態において、カルビドパ及びアルギニンを含む組成物は、室温で液体であってもよい。その組成物は、12時間、1日、1週間、又はそれ以上にわたって実質的に連続して投与できる。レボドパを含む組成物は、レボドパ及び任意選択で、ベンセラジド又はカルビドパを含む、即時放出、制御放出、又は二重放出経口製剤の全て又は一部を形成してもよく、例えば経口投与によって(例えば錠剤によって)、1日に1、2、3、若しくは4回、又はそれ以上の回数、投与できる。
【0053】
患者の脳内のドーパミン濃度の低下により特徴付けられる疾患又は障害(例えばパーキンソン病)を治療するための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の開示されているレボドパ塩を実質的に連続して同時投与する工程を含む方法も本明細書で提供される。
【0054】
ここで、本発明が概して記載され、本発明の特定の態様及び実施形態の例示の目的のみのために含まれる以下の例を参照することによって、本発明はより容易に理解され、以下の例は決して本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0055】
(例1)カルビドパ−アルギニン塩の調製及び特徴付け
カルビドパ(CD)−アルギニン塩は以下のように調製した。カルビドパ[Teva Pharmaceuticals Ltd.、イスラエル]を、(1:1のモル比で)L−アルギニン[Merck]を含む適切な容器内で秤量し、0.2%の亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]水溶液を加えて、4.0%の最終濃度のカルビドパを得た。混合物を、常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、溶液を0.45μMのナイロン膜を用いて濾過した。濾過した溶液を、ドライアイス中で即座に凍結させ、その後、凍結乾燥に供した。オフホワイトの結晶を得て、その後、MS分析に供した。MS分析結果は、カルビドパ及びL−アルギニンのイオン及びフラグメントを明確に示した(図1a)。ピーク249は、フラグメント:227、188及び144を有するカルビドパ+Na(226+23)を表し(図1b)、ピーク176は、フラグメント:157、130及び116を有するアルギニン+2H(174+2)を表す(図1c)。
【0056】
(例2)皮下投与のためのカルビドパ溶液/製剤の調製
4%のカルビドパ溶液/製剤は以下のように調製した。カルビドパ[Assia Ltd.、イスラエル]を適切な容器内で秤量し、次いで水を加えて、73%の全ての計画したバッチ重量を得た。混合物を室温で20分間撹拌した。L−アルギニン[Sigma]を混合物に加えて、カルビドパと1:1のモル比を得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、N−メチル2−ピロリドン[Pharmasolve,ISP]を加えて、10%(w/w)の最終濃度を得た。亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、1%(v/w)の最終濃度を得た。撹拌を65±3℃にて更に30分間継続した。その後、PVP[ポリビニルピロリドン、Sigma]溶液を調製し、加えて、1%(v/w)の最終濃度を得た。撹拌を65±3℃にて30分間継続した。加熱を停止させて、調製物を室温まで冷却させた。溶液を無菌の0.22μMのPVDF膜を用いて濾過した。
【0057】
カルビドパ−アルギニン溶液/製剤、2及び3%を、それぞれの量の再蒸留水(DDW)を用いて4%のカルビドパ−アルギニン溶液/製剤を希釈することによって調製した。
【0058】
(例3)皮下投与のためのカルビドパ溶液/製剤の調製
6%のカルビドパ溶液/製剤を以下のように調製した。カルビドパ[Teva Pharmaceuticals Ltd、イスラエル]及びアルギニン[Merck](1:1.1のモル比)を適切な容器内で秤量し、次いで水を加えて、84%の全ての計画したバッチ重量を得た。N−メチル2−ピロリドン[Pharmasolve,ISP]を加えて、5%(w/w)の最終濃度を得て、亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、0.1%(v/w)の最終濃度を得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、加熱を停止させ、調製物を室温まで冷却させた。溶液を、無菌の0.22μMのPVDF膜を用いて濾過した。
【0059】
(例4)皮下投与のためのカルビドパ溶液/製剤の調製
4%のカルビドパ溶液/製剤は以下のように調製した。カルビドパ[Teva]及びL−アルギニン[Merck](1:1.1のモル比)を適切な容器内で秤量し、水を加えて、89%の全ての計画したバッチ重量を得た。N−メチル2−ピロリドン[Pharmasolve,ISP]を加えて、3.5%(w/w)の最終濃度を得た。亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、0.05%(v/w)の最終濃度を得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、加熱を停止させ、調製物を室温まで冷却させた。溶液を、無菌の0.22μMのPVDF膜を用いて濾過した。
【0060】
カルビドパ−アルギニン溶液/製剤、2及び3%を、0.05%の亜硫酸水素ナトリウムを含むか、又は含まない、3.5%のN−MPを含有するそれぞれの量の再蒸留水(DDW)を用いて4%のカルビドパ−アルギニン溶液/製剤を希釈することによって調製した。
【0061】
(例5)経皮送達のためのカルビドパ製剤の調製
8%のカルビドパ製剤は以下のように調製した。カルビドパ[Teva]及びL−アルギニン[Merck](1:1のモル比)を適切な容器内で秤量し、プロピレングリコール[Merck]を加えて、75%の全ての計画したバッチ重量を得た。亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、0.05%の最終濃度を得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、加熱を停止させ、調製物を室温まで冷却させた。PEG−400[Merck]、10%の全ての計画したバッチ重量を加えた。pHを、85%の乳酸[Fluka]を用いて7.5に調整した。
【0062】
(例6)カルビドパ−アルギニン、カルビドパ−リシン及びカルビドパ−ヒスチジン溶液/製剤の調製及び安定性
カルビドパ溶液/製剤は以下のように調製した。カルビドパ[Teva]を、(1:1、1:1.1又は1:2のモル比で)L−アルギニン[Merck]又はL−リシン[Sigma]又はL−ヒスチジン[Sigma]を含む適切な容器内で秤量し、水を加えた。N−メチル2−ピロリドン[Pharmasolve,ISP]を加えて、5%(w/w)の最終濃度を得た。亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、0.05%(v/w)の最終濃度を得た。混合物を常に撹拌しながら68±3℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、加熱を停止させ、調製物を室温まで冷却させた。安定な製剤(2%のCD:リシン及び2%のCD:アルギニン、1:1.1のモル比)を、25℃で、t=0及びt=7日にて、HPLC分析に更に供した。
【0063】
その結果は、水溶液中のカルビドパの溶解性及び安定性に対する3つの塩基性アミノ酸[L−アルギニン(PI−10.76)、L−リシン(PI−9.74)及びL−ヒスチジン(PI−7.59)]の効果に関して、それらの3つの塩基性アミノ酸の間の有意差を示す。表1は、視覚的(表1A)に、又はUV HPLC(表1B)により測定した場合の塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン又はヒスチジン)を有するそれらの水溶液中のカルビドパの溶解性及び安定性を示す。アルギニンを用いると、6%のカルビドパの安定な溶液が調製されるのに対して、4%未満のみを有する溶液がリシンを用いて製剤化できた(表1A)。更に、リシンを有する2%のカルビドパの溶液は、25℃にて7日後、アルギニンを有するものより安定ではなかった(表1B)。加えて、1%以上の濃度でヒスチジンを有する安定な溶液は作製できなかった(表1A)。
【表1】


【表2】

【0064】
(例7)レボドパ−アルギニン塩の調製
レボドパ(LD)−アルギニン塩は以下のように調製した。レボドパ[Teva]を、(1:1.8のモル比で)L−アルギニン[Merck]を含む適切な容器内で秤量し、0.2%の亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]水溶液を加えて、4.4%の最終濃度のL−ドーパを得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、溶液を0.45μMのナイロン膜を用いて濾過した。濾過した溶液を、ドライアイス中で即座に凍結し、続いて凍結乾燥に供した。濾過した溶液を、ドライアイス中で即座に凍結し、続いて凍結乾燥に供した。オフホワイトの結晶を得て、続いてMS分析に供した。(図2に示すように)MS分析の結果は、LD及びアルギニンイオンを明確に示した。LD:フラグメント178.97、151.96、136.98を有する197(図2a及び2b);アルギニン:フラグメント130、116を有する175(図2a及び2c)。
【0065】
(例8)皮下投与のためのカルビドパ及びカルビドパ/エンタカポンの溶液/製剤の調製、及びブタにおけるそれらの局所的安全性評価
10%のカルビドパ及び4/6%のカルビドパ/エンタカポンの溶液/製剤は以下のように調製した。カルビドパ[Assia Ltd.]を適切な容器内で秤量し、次いで水を加えて、73%の全ての計画したバッチ重量を得た。混合物を20分間室温にて撹拌した。L−アルギニン[Sigma]を混合物に加えて、カルビドパと1:1のモル比で得た。混合物を常に撹拌しながら65±10℃まで加熱した。固体が完全に溶解してから、N−メチル2−ピロリドン[Pharmasolve,ISP]を加えて、10%(w/w)の最終濃度を得た。亜硫酸水素ナトリウム[Sigma]溶液を調製し、加えて、1%(v/w)の最終濃度を得た。撹拌を65±3℃にて更に30分間継続した。その後、PVP[ポリビニルピロリドン、Sigma]溶液を調製し、加えて、1%(v/w)の最終濃度を得た。撹拌を65±3℃にて30分間継続した。加熱を停止させ、調製物を室温まで冷却させた。溶液を、無菌の0.22μMのPVDF膜を用いて濾過した。濾過した溶液をドライアイス中で即座に凍結し、続いて凍結乾燥に供した。凍結乾燥した結晶を再蒸留水で再構成して、4及び10%のカルビドパ溶液を得た。エンタカポン[Comtan(登録商標)、Novartisから抽出した]を4%のカルビドパ溶液に加えて、6%(w/v)の最終濃度を得た。両方の製剤(10%のCD及び4/6%のCD/E)を、21時間、ブタに対して皮下に連続投与して、潜在的局所反応を評価した。巨視的及び微視的評価により、これらのカルビドパ溶液/製剤の21時間の連続皮下投与が安全であることが示された(表2)。
【0066】
表2は、25又は82μl/hの速度にて21時間、10%のCD(カルビドパ)又は4/6%のCD/エンタカポンの連続皮下投与後の雌のランドレース×大型シロブタから得た皮膚生検の組織学的評価の結果を示す。
【表3】

【0067】
(例9)ブタにおけるレボドパ及びカルビドパの薬物動態プロファイルに対するカルビドパの連続皮下投与の効果
この実験において、ブタにおけるレボドパの薬物動態に対する、経口L−ドーパ/カルビドパの同時投与を併用して、カルビドパの連続皮下投与の効果を決定することを目的とした。
【0068】
30〜35kgの体重のブタに、68時間の全時間、カルビドパ(60mg/ブタ/日)と併用して、又は併用せずに、1日に3回又は2回(それぞれq8又は12h)、Stalevo(登録商標)(Novartis、100/25/200mg、LD/CD/E)、Dopicar(登録商標)[Teva]+Lodosyn(登録商標)(Merck & CO)(125/25mg、LD/CD)又はSinemet CR(登録商標)(MSD、100/25mg、LD/CD)のいずれかを経口投与した。血液サンプルを所定の時点で回収し、L−ドーパ及びカルビドパの血漿濃度をLC−MSにより分析した。
【0069】
結果により、任意の経口LD調製物と併用したカルビドパの連続皮下同時投与は、レボドパの半減期(t1/2)及びAUCを顕著に(2倍より多く)増加させることが示された。対照的に、増加させたカルビドパの経口投与量又は頻度は、表3に示すように、レボドパのPKプロファイルを大幅に向上させなかった。また、CDの一定の定常状態の濃度は、カルビドパの連続皮下投与(60mg/ブタ/日)の68時間の間、164±34ng/mlにて維持した。これは、変動するパターンと反対であり、標準的な治療の投与後に得たCDの非常に低いトラフ濃度であった(図3A〜3C)。治療に関連する局所又は全身毒性の兆候は、68時間の研究時間全てにわたって観測されなかった。
【0070】
レボドパの薬物動態パラメータを、3%のカルビドパ(CD)溶液の連続皮下(SC)投与と併用した、又は併用していない、(A)スタレボ(100/25/200mg、LD/CD/E)、(B)ドピカル+ロドシン(125/25mg、LD/CD)、(C)シネメットCR(100/25mg、LD/CD)q8及び12h(q8h=8時間ごと)の経口投与後の雌のランドレース×大型シロブタ(30〜35kg)の血漿中で測定し、表3に結果を示す。
【表4】


【表5】


【表6】

【0071】
(例10)マウスにおけるレボドパ及びドーパミンの脳内分布に対するカルビドパの連続皮下投与の効果
この実験において、マウスにおけるレボドパ/カルビドパ(32/8mg/kgのTID)の経口投与後の脳内のレボドパ及びドーパミンの濃度に対するカルビドパ(15mg/kg/日)の連続皮下投与の効果を決定することを目的とした。
【0072】
マウスに、生理食塩水(陰性対照)、媒体又はカルビドパ溶液を含有するアルゼットポンプを皮下に移植した。LD/CDを注入してから1日後に、q8hで経口投与した。脳内のレボドパ及びドーパミンの濃度を、LD/CDの4回の経口投与後に測定した。その結果により、経口LDの投与後7時間のドーパミン濃度が、カルビドパを連続皮下投与したマウスの脳内で著しくより高く(図4A)、同時に血漿LDのより高い濃度(図4B)が示された。
【0073】
(例11)ブタにおけるレボドパ及びカルビドパの局所的毒性及び薬物動態プロファイルに対するカルビドパの連続皮下投与の用量効果
この実験において、L−ドーパの局所耐性及び薬物動態に対する、ブタに連続皮下投与したカルビドパの用量効果を決定することを目的とした。
【0074】
30〜35kgの体重のブタに、24時間の全時間の間、連続皮下の媒体、2%又は4%のカルビドパ(それぞれ、0、40又は80mg/ブタ/日)と併用して、Sinemet(登録商標)(Merck & Co.、100/25mg、LD/CD)、1日に3回(q8h)、又はDopicar(登録商標)(Teva)+Lodosyn(登録商標)(Merck & Co.、(125/25mg、LD/CD)、1日に2回(q12h)を経口投与した。血液サンプルを所定の時点で回収し、L−ドーパ及びカルビドパの血漿濃度をLC−MSにより分析した。皮膚生検を即座に注入部位から回収し、投与から1週間及び2週間後、局所耐性を、H&Eで染色したスライドの組織学的分析により評価した。組織学的に治療に関連する異常は注入部位において観測されなかった。
【0075】
2又は4%のカルビドパ溶液を、Sinemet(登録商標)(図5A〜5B)又はDopicar(登録商標)+Lodosyn(登録商標)(図6A〜6B)と同時投与した場合、L−ドーパの血漿濃度に対する有意な用量効果は観測されなかった。したがって、利用した実験条件の下で、2%又はそれ未満のカルビドパの連続皮下投与が、ブタにおけるDDC(ドーパデカルボキシラーゼ)の最適阻害を維持するのに十分であり得ることが示唆された。
【0076】
(例12)ブタにおけるレボドパの薬物動態に対する、エンタカポンの連続皮下投与と併用した、又は併用していない、カルビドパの連続皮下投与の効果
この実験において、ブタにおけるL−ドーパ/カルビドパの連続経口投与と同時に、エンタカポンと併用した、又は併用していない、カルビドパの連続皮下投与後のL−ドーパの血漿濃度を決定することを目的とした。L−ドーパの血漿濃度をHPLC−ECDにより測定した。図8における結果により、エンタカポンが3−OMD(3−オルト−メチルドーパ)の濃度を効果的に減少させた(8B)が、レボドパの薬物動態は更に延長しない(8A)ことが示され、これは、エンタカポン及び/又はCOMT阻害が、カルビドパ/DDC−依存性、又は他のLD代謝経路を妨げることを示唆する。
【0077】
(例13)ブタにおけるレボドパの薬物動態に対するベンセラジドの連続皮下投与の効果
この実験において、別のDDC阻害剤であるベンセラジドの連続皮下投与と併用した、経口L−ドーパ/カルビドパの同時投与後のL−ドーパの血漿濃度を決定することを目的とした。L−ドーパの血漿濃度はHPLC−ECDにより測定した。
【0078】
その結果により、ベンセラジドは、LDの薬物動態プロファイルを延長させることが示され、これは、任意のDDC阻害剤による連続ドーパ−デカルボキシラーゼ(DDC)阻害が、図7に示すように、LDの排出半減期を増加させることを示唆する。
【0079】
(例14)フランツセル送達システムを用いるエキソビボでのブタの全層皮膚を介するカルビドパプロピルエステル(CDPE)の経皮送達
この実験において、フランツセル送達システムを用いるエキソビボでのブタの全層皮膚を介するカルビドパプロピルエステルの経皮送達を決定することを目的とした。CDPEを含有するゲル製剤を調製した。サンプルを、皮膚に対する製剤塗布後、0、16、19及び22時間においてレシーバーセルから回収した。レシーバーセル流体中のCD化合物の量を、280nMでの分光光度計により決定した。図9に示す結果により、CDPEが、エンハンサー用量依存的に皮膚を浸透することが実証された。
【0080】
(例15)レボドパ及びカルビドパの薬物動態プロファイルに対するレボドパアルギニン及びカルビドパアルギニン塩の経口投与の効果
この実験において、腸溶コーティングした、又はしていない、いずれかのアルギニン塩として経口投与したLD及びCDの薬物動態を決定することを目的とした。ブタに、255/45mgのLD−アルギニン塩(LD)/CD−アルギニン塩(CD)を、ゼラチンでコーティングした、又はコーティングしていないカプセル(100/25LD/CDに対応する)中で30〜35kgのブタに経口投与した。LD及びCDの血漿濃度をHPLC−ECDにより測定した。
【0081】
図10A〜10Bにおける結果により、LD及びCDが、LD/CD(Sinemet(登録商標))と比べて、より急速及び効果的に吸収され、腸溶コーティングしたLD/CDの経口投与が血漿LD(10A)及びCD(10B)のPKを延長させたことが示された。
【0082】
(例16)インビトロでのドーパデカルボキシラーゼ(DDC)の活性に対するカルビドパエステルの阻害効果
この実験において、ドーパデカルボキシラーゼの活性に対するカルビドパエステル(CDE)の阻害効果を決定することを目的とした。DDC酵素をブタの肝臓ホモジネートから得て、それらの活性を、カルビドパプロピルエステル(CDPE)を有する、又は有さないLD濃度を比較することにより測定した。肝臓ホモジネート調製は、Umezawaら(J.Antib.1975,28(12):947−52)に記載されている方法に基づいた。
【0083】
全てのサンプルを高圧液体クロマトグラフィーカラムで分離し、L−ドーパ及びドーパミンの強度及び濃度を、280nMにてHP UV−HPLC分析により決定した。
【0084】
図11及び12A〜12Bに示す結果により、CDPEが、カルビドパ及びベンセラジドと同様の方法で、L−ドーパのドーパミンへの脱カルボキシル化を阻害することが実証される。
【0085】
本発明の主題の特定の実施形態を説明したが、上述の明細書は例示であり、限定ではない。本発明の多くの変更が、本明細書を検討する際に当業者に明らかになるだろう。本発明の全範囲は、等価物、及び本明細書の全範囲と共に、そのような変更と共に、特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0086】
他に示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得られることを目的とする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルビドパ及びレボドパから選択される活性剤のアルギニン塩。
【請求項2】
請求項1に記載のアルギニン塩を含み、任意選択で、薬学的に許容可能な賦形剤を含む、薬学的に許容可能な液体組成物又はゲル組成物。
【請求項3】
カルビドパアルギニン塩を含む、請求項2に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項4】
(a)アルギニンと、(b)カルビドパ、レボドパ又はそれらの組み合わせから選択される活性剤とを含む薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項5】
アルギニンと、カルビドパとを含み、少なくとも約1重量%又は少なくとも約4重量%のカルビドパを含むことが好ましい、請求項4に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項6】
カルビドパ及びアルギニンは、約1:0.5〜約1:2.5、又は約1:1〜約1:1.2から選択されるモル比を有する、請求項5に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項7】
少なくとも約4重量%のレボドパを含む、請求項4に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項8】
レボドパ及びアルギニンは、約1:1.5〜約1:2.5のモル比を有する、請求項7に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項9】
N−メチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、酸化防止剤、又はそれらの組み合わせから選択されることが好ましい薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む、請求項4から8までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項10】
水を更に含む、請求項4から9までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項11】
実質的に非水性である、請求項4から10までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項12】
エンタカポン又はトルカポンを更に含む、請求項4から11までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項13】
48時間以上の間、25℃で実質的に安定である、請求項4から12までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項14】
前記液体製剤は、25℃で約6.5〜約9.5のpHを有する、請求項4から13までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項15】
前記液体製剤は、25℃で約8〜約9.5のpHを有する、請求項4から6までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項16】
液体溶液である、請求項4から15までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物。
【請求項17】
a)請求項4から16までのいずれか一項に記載の液体製剤又はゲル製剤を含む、連続投与に適した第1の組成物と、b)レボドパ又はその薬学的に許容可能な塩若しくはエステルを含む、経口投与に適した第2の組成物と、c)任意選択で、前記第2の製剤と併用する前記第1の製剤の投与に関する指示書とを含むキット。
【請求項18】
連続投与用の前記第1の製剤は、注入ポンプを使用することなどによる経皮、皮内、皮下、静脈内、又は十二指腸内投与用である、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
レボドパ組成物は、カルビドパ、ベンセラジド、エンタカポン、トルカポン、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項17又は18に記載のキット。
【請求項20】
レボドパ組成物は、レボドパの薬学的に許容可能な塩、好ましくはそのアルギニン塩を含む、請求項17から19までのいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
不穏下肢症候群、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハンチントン病、パーキンソン様症候群、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選択される神経学的障害を治療する方法であって、(i)それを必要とする患者に、治療有効量のレボドパ又はその薬学的に許容可能な塩を含むレボドパ組成物を投与する工程と、(ii)それを必要とする患者に、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤を含む治療有効量の組成物を実質的に連続して投与する工程とを含む上記方法。
【請求項22】
ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤は、カルビドパのアルギニン塩である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤を含む組成物は、請求項4から13までのいずれか一項に記載の薬学的に許容可能な液体組成物である、請求項23に記載の方法。
【請求項24】
レボドパ組成物は、例えば錠剤、液剤、カプセル、ゲルカプセル、又は分配可能な錠剤の形態で、前記患者に経口投与される、請求項21から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
レボドパ組成物は、レボドパのアルギニン塩を含む、請求項21から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤の連続投与と共にレボドパを投与した後の前記患者の血漿中のレボドパの半減期は、カルビドパの連続投与なしでレボドパを投与した後の患者の血清中のレボドパの半減期と比べて少なくとも1.5倍長くなっている、請求項21から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
それを必要とする患者において、パーキンソン病を治療又は改善する方法であって、
前記患者に、アルギニン及びカルビドパを含む有効量の液体組成物を実質的に連続投与する工程と、
前記患者に、別の間隔で、有効量のレボドパ又はその薬学的に許容可能な塩を同時経口投与する工程と
を含む上記方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2012−527447(P2012−527447A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511409(P2012−511409)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000400
【国際公開番号】WO2010/134074
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510144661)ニューロデルム リミテッド (2)
【Fターム(参考)】