説明

ナットフィーダ

【課題】低騒音で、動力の消費量が少ないナットフィーダを提供する。
【解決手段】ナットがストックされ、ナットを連続的に供給する供給部1と、前記供給部から供給されたナットを、供給部1上のナットの搬送方向と逆向きに搬送して、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのナットのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のナットを供給部1に滑落させて戻す、供給部1に並設された選別部2とから構成される。なお、供給部1側に張り出した掻き落とし部材23を、選別部2に設けることが好ましい。また、供給部1側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部20aを選別部2に凹陥形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表裏の外形が異なるナットを、ナットを所望の向きに整列して、連続的に供給するために使用される、ナットフィーダの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーツを供給する装置として、特許文献1に示されるような、パーツフィーダがある。このパーツフィーダは主に、パーツを受容する略円筒形状のボウルと、このボウルに振動を発生させる振動部とから構成されている。振動部は、主に電磁石と板バネとから構成され、電磁石のON・OFFによる力を、板バネを利用して増幅し、振動を発生させるものである。この振動は、板バネの角度を調整することで方向性を持たせることが可能で、この振動により、ボウル内に受容されたパーツを、ボウルの外壁面に沿って移動させるようになっている。ボウルの外壁部には、ナットを整列するためのアタッチメントが取り付けられ、ボウルの外壁面に沿って、パーツが移動すると、パーツが整列するようになっている。
【0003】
しかしながら、このようなパーツフィーダは、ボウル全体を振動させる必要があるため、大きなエネルギーが必要なることや、パーツとパーツが接触することから、パーツフィーダが発する騒音が大変大きい(ボウル内にナットが入っている状態で約90dB)という問題があった。
【特許文献1】特開2006−213516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低騒音で、動力の消費量が少ないナットフィーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明は、表裏の外形が異なるナットを、所望の向きに整列して、連続的に排出するナットフィーダにおいて、
ナットが一端にストックされ、ナットを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、
前記供給部上のナットを、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与える第1の振動部と、
前記供給部の他端から供給されたナットを、供給部上のナットの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのナットのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のナットを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部と、
前記選別部上のナットを、供給部上のナットの搬送方向と反対方向に搬送する振動を前記選別部に与える第2の振動部とを有することを特徴とする特徴とする。
【0006】
なお、ナットの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、1個のナットの全高よりも大きく、2個のナットの全高よりも小さくなるように選別部に設けることが好ましい。
【0007】
また、供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法をナットの幅寸法と殆ど同一にしてナットの搬送路とすることが好ましい。
【0008】
また、その下端と搬送路上面との間の寸法が、搬送路に搬送されるナットの全高よりも僅かに大きい寸法の規制板を搬送路に沿って、搬送路の上方に配設することが好ましい。
【0009】
また、搬送路の幅方向の中央部に、ナットの搬送方向に沿って吸着防止溝を凹陥形成したことが好ましい。
【0010】
また、搬送路の滑落部側の縁部に、滑落部側に傾斜した滑落面を形成することが好ましい。
【0011】
また、表裏の外形が異なるナットは、ナット本体の座面に複数のプロジェクションを有するウェルドナットであり、
ウェルドナットのプロジェクション間の寸法よりも小さい幅寸法の選別板を、その下端と選別部上面との間の寸法が、ウェルドナットのナット本体の高さ寸法よりも大きく、ウェルドナットの全高より小さくなるようにウェルドナットの搬送方向に沿って、選別部の上方に配設することが好ましい。
【0012】
また、供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ナットが流通する流通路を形成することが好ましい。
【0013】
また、選別部にナットを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けることが好ましい。
【0014】
また、供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成したことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
ナットが一端にストックされ、ナットを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、前記供給部の他端から供給されたナットを、供給部上のナットの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのナットのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のナットを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部とを有するので、ナットが接触することによる騒音の発生を抑制することが可能となる。具体的には、同じ種類のウェルドナットを、同じ供給量で供給する場合において、従来のボウル全体を振動させるナットフィーダでは、約90dBの騒音が発生していたが、本発明のナットフィーダでは、騒音は約80.5dBとなり、騒音を劇的に低下させることが可能となる。また、ボウル全体を振動させるナットフィーダと比較して、動力の消費量を少なくすることが可能となる。
【0016】
なお、ナットの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、1個のナットの全高よりも大きく、2個のナットの全高よりも小さくなるように選別部に設けると、上下に重なったナットを掻き落として、上下に重なっていない、ナットのみを搬送することが可能となり、ナットを適切に選別することが可能となる。
【0017】
また、供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法をナットの幅寸法と殆ど同一にしてナットの搬送路とすると、「所望の向き」でないナットを、滑落部に滑落させて、この「所望の向き」でないナットを供給部に戻すことが可能となる。
【0018】
また、その下端と搬送路上面との間の寸法が、搬送路に搬送されるナットの全高よりも僅かに大きい寸法の規制板を搬送路に沿って、搬送路の上方に配設すると、「所望の向き」でないナットは、前記規制板と当接することなく、滑落部に滑落するが、「所望の向き」のナットは、前記規制板と当接して滑落部に滑落することなく、搬送路上を搬送され、「所望の向き」のナットが、滑落部に滑落することを防止することが可能となる。
【0019】
また、搬送路の幅方向の中央部に、ナットの搬送方向に沿って吸着防止溝を凹陥形成すると、機械油をこの吸着防止溝を通じて排出することができ、また、ナットと搬送路との接触面積を減少させることができ、表面に機械油が塗布された「所望の向き」でないナットが、機械油により搬送路に吸着されて、滑落部への滑落が阻害されることを防止することが可能となる。
【0020】
また、搬送路の滑落部側の縁部に、滑落部側に傾斜した滑落面を形成すると、確実に「所望の向き」でないナットを滑落部に滑落させることが可能となる。
【0021】
また、表裏の外形が異なるナットは、ナット本体の座面に複数のプロジェクションを有するウェルドナットであり、
ウェルドナットのプロジェクション間の寸法よりも小さい幅寸法の選別板を、その下端と選別部上面との間の寸法が、ウェルドナットのナット本体の高さ寸法よりも大きく、ウェルドナットの全高より小さくなるようにウェルドナットの搬送方向に沿って、選別部の上方に配設すると、「所望の向き」のウェルドナットのみが、選別板の下を搬送され、「所望の向き」でないウェルドナットは、選別板の下に侵入することができないため、確実に「所望の向き」のウェルドナットのみを、ナットフィーダから排出することが可能となる。
【0022】
また、供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ナットが流通する流通路を形成すると、スムーズに供給路にナットを導くことが可能となる。
【0023】
また、選別部にナットを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けると、ナットがストックされている部分から、急激にこのナットが搬送される経路が絞られないので、供給路の入口でナットが詰まることを防止することが可能となる。
【0024】
また、供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路(内側の供給路)に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成すると、簡単な構造で、複数の供給路を形成することが可能となる。また、外側の供給路上で搬送されるウェルドナットが、内側の供給路側に移動することを防止して、外側の供給路上のウェルドナットが整列されて、ウェルドナットをスムーズに搬送させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。図1は本発明の実施の形態を示すナットフィーダの上面図であり、図2は図1の正面図である。このナットフィーダは、供給部1、選別部2、第1の振動部3、第2の振動部4とから構成されている。選別部2は、供給部1に並設されている。言い換えると、選別部2は供給部1と平行に隣接して配設されている。供給部1は、第1の振動部3上に取り付けられ、選別部2は、第2の振動部4上に取り付けられている。
【0026】
本発明のパーツフィーダは、図3に示されるようなプロジェクション60cを有するウェルドナット60を、プロジェクション60cがある面を上にして(図3の(B)の状態、以下「所望の向き」とする)、順次排出する実施形態である。このウェルドナット60は、略正方形板状のナット本体60aと、ナット本体60aの外周から座面にかけて突設された、プロジェクション20cとから構成されている。本実施形態に使用されるウェルドナット60は、ナット本体60aの、それぞれの角にプロジェクション60cが突設されている。このプロジェクション20cは、電気抵抗溶接する際に電流を集中させ、溶接時に溶融して被溶接部材の溶融金属と溶け合い被溶接部材と一体化して取り付けられるものである。ナット本体60aには、ねじ穴60bが形成されている。
【0027】
供給部1は、ウェルドナット60がストックされ、選別部2にウェルドナット60を連続的に供給するためのものである。
【0028】
選別部2は、供給部1から供給されたウェルドナット60を、「所望の向き」か否かに選別し、「所望の向き」のウェルドナット60のみを、順次排出し、「所望の向き」でないウェルドナット60を再び、供給部1に戻すものである。
【0029】
第1の振動部3は、供給部1上のウェルドナット60を、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与えるものである。第1の振動部3は、主に、電磁石と板バネとから構成され、電磁石のON・OFFによる力を、板バネを利用して増幅し、振動を発生させるようになっている。この振動は、板バネの角度を調整することで方向性を持たせることが可能で、この振動により、供給部1上のウェルドナット60が、一定の方向(本実施形態では、図1において、右側から左側の方向)に搬送されるようになっている。なお、前記振動は、コントローラにより制御されるようになっている。
【0030】
第2の振動部4は、選別部2上のウェルドナット60を、供給部1上のウェルドナット60の搬送方向と反対方向(本実施形態では、図1において、左側から右側の方向)に搬送する振動を選別部2に与えるものであり、第1の振動部3と基本的に同じ構造をしている。
【0031】
(供給部1)
図4に供給部1の詳細図を示す。10は供給部本体であり、横長の板形状をしている。供給部本体10の選別部2と隣接する辺に対向する辺の両端部分は、円弧形状に切り欠かれた形状をしている。供給部本体10は、図4のA−A断面に示されるように、供給部本体の上面10が、左側が高くなるように、水平面に対してα°傾くように配設されている。また、供給部本体10は、図4のB−B断面に示されるように、供給部本体の上面10が、選別部2側が高くなるように、水平面に対してβ°傾くように配設されている。
【0032】
供給部10の選別部2と隣接する辺以外の外縁には、供給部本体10と直交するガイド板11が立設されている。
【0033】
供給部本体10の選別部2と隣接する辺には、供給部本体10と直交する遮閉板12が立設されている。供給部本体10の選別部2と隣接する辺の両端部分には、遮閉板12は立設されてなく、選別部2に開口している。供給部本体10の高い方に(図4において左側)、開口している部分は、図4に示されるように、2個のウェルドナット60の幅寸法のよりもやや大きくなっていて、選別部2にウェルドナット60を供給する供給口1aとなっている。
【0034】
一方で、供給部本体10の低い方に(図4において右側)、開口している部分は、図4に示されるように、ウェルドナット60の幅寸法のよりも著しく大きくなっていて、選別部2からウェルドナット60が戻される戻し口1bとなっている。
【0035】
供給部本体10の上面には、板状のガイド部材13が貼設されている。このガイド板13は、図4に示されるように、遮閉板12に沿って貼設され、遮閉板12側と反対側の長辺の両端は、略円弧形状に切り欠かれた形状となっている。このように構成することにより、供給部本体10の、ガイド部材13が貼設されていない部分の、図4における右側には、ストック部1g形成され、このストック部1gの左側には、流通路1cが形成されている。流通路1cの幅寸法は、2個のウェルドナット60の幅寸法よりも、やや大きくなっている。
【0036】
流通路1cと供給口1aとの間の、ガイド部材13が貼設されていない部分は、供給路1dとなっている。図4に示されるように、供給路1dは、ウェルドナット60の幅寸法よりも僅かに大きい幅の略円弧形状をしていて、2つ設けられている。
【0037】
図4に示されるように、選別部2側の供給路1dには、略円弧形状の板状部材14が貼設されていて、隣接する供給路1dの選別部2側の方が高くなっていて、隣接する供給路1d間に段差が形成されている。板状部材14は、図4のA−A断面に示されるように、流通路1cの出口では、高さがなく、供給口1aに向かって徐々に高さが高くなっている。
【0038】
なお本実施形態では、供給路1dは2つ設けられているが、本発明では、供給路1dは2つに限定されず、3つ以上であっても差し支えない。
【0039】
(選別部)
次に、選別部2の説明をする。図5に選別部2の上面図を示し、図6に選別部2の正面図を示す。20は選別部本体であり、横長の板状をしている。選別部本体20は、図6に示されるように、右側が高くなるように配設されていて、選別部本体20の上面は、右側に向かって高くなっている。つまり、供給部本体10の上面と、選別部本体20の上面とは、逆向きに傾いている。選別部本体20の供給口1aに臨む部分の高さは、供給部本体1の供給口1aの高さと、殆ど同じか、もしくは僅かに低い高さになっている。また、図5のC−C断面に示されるように、選別部本体20の上面は、水平面に対して、供給部1の反対側に向けて低くなるようにγ°傾斜している。なお、ウェルドナット60は、供給部1の搬送方向と反対方向、つまり図6において左側から右側に搬送されるようになっている。
【0040】
選別部本体20の供給部1と隣接する辺と対向する辺には、外枠21が立設されている。図5のC−C断面や、D−D断面に示されるように、外枠21の上部の供給部側1には、外枠21に沿って規制板22が貼設されている。図5のD−D断面に示されるように、規制板22の下端と選別部本体20の上面との間の寸法は、ウェルドナット60の全高より僅かに大きくなっている。
【0041】
23は掻き落とし部材であり、規制板22に取り付けられている。掻き落とし部材23は、ウェルドナット60の搬送方向(以下「搬送方向」とする)に向けて(図6において左側から右側に向けて)、徐々に供給部1側に張り出している。図5のC−C断面に示されるように、掻き落とし部材23の下端と選別部本体20の上面との間の寸法は、1個のウェルドナット60の全高寸法より大きいが、2個のウェルドナット60の全高寸法より小さくなっている。
【0042】
選別部本体20には、掻き落とし部材23の先端23aよりもやや手前の部分から、「搬送方向」に沿って、滑落部20aが凹陥形成され、図1に示されるように供給部の戻し口1bに開口している。この滑落部20aは、図5のD−D断面やE−E断面に示されるように、供給部1側に向けて、徐々に低くなっている。滑落部20aの、戻し口1bに開口する部分は、戻し口1と殆ど同じ高さか、もしくは、やや高くなっている。
【0043】
滑落部20aと外枠21の間の選別部本体20は、言い換えると選別部本体20上の滑落部20aが形成されていない部分は、ウェルドナット60が搬送される搬送路20bとなっている。この搬送路20bの幅寸法は、図5のD−D断面に示されるように、ウェルドナット60の幅寸法と殆ど同一になっている。なお、ウェルドナット60の幅寸法と殆ど同一の寸法には、ウェルドナット60の幅寸法を1とすると、0.5以上1.2よりも小さい寸法を含む。
【0044】
搬送路20bの幅方向の中央部には、図5のD−D断面に示されるように、「搬送方向」に沿って、吸着防止溝20cが凹陥形成されている。この吸着防止溝20cの終端は、滑落部20aに開口している。
【0045】
搬送路20bの滑落部20a側の縁部には、滑落部側20a側に傾斜した傾斜面20dが形成されている。この傾斜面20dは、図5に示されるように、「搬送方向」に向かって大きくなるように形成されている。
【0046】
搬送路20bの終端部分から「搬送方向」に沿って、選別部本体20上面上に、選別板25が配設されている。選別板25は複数の取付板26を介して、外枠21に取り付けられている。選別板25の幅寸法は、図5のE−E断面に示されるように、ウェルドナット60のプロジェクション60c間の寸法よりも小さくなっている。ここで、「ウェルドナット60のプロジェクション60c間の寸法」とは、図3に示されるように、隣接するプロジェクション60cの基部の内側間の寸法aのことをいう。選別板25の入口部分25aは、鋭頭形状をして、外枠21側に位置している。選別板25の下端と、選別板25と対面する選別部本体20上面との間の寸法は、図5のE−E断面に示されるように、ウェルドナット60のナット本体60aの高さ寸法よりも大きく、プロジェクション60cを含むウェルドナット60の全高寸法よりも小さくなっている。
【0047】
選別板25が設けられている部分に沿って、外枠21と対向するように脱落防止板27が選別部20本体に立設されている。外枠21と脱落防止板27の内側間の寸法は、ウェルドナット60の幅寸法よりも僅かに大きくなっている。
【0048】
(本発明の作用)
次に本発明の作用について説明をする。図7に本発明の作用を示す説明図を示す。ウェルドナット60を収納するホッパー(図示せず)により、ウェルドナット60が、供給部1のストック部1gに供給される。ストック部1gに供給されたウェルドナット60は、振動部3が発する振動により、図7において右から左に移動し、流通路1cに搬送される。図4のB−B断面に示されるように、供給部本体10はβ°傾いていて、また、ガイド部材13と供給部本体10間に段差があるので、確実に流通路1cに導かれるようになっている。
【0049】
前述したように、供給部本体10は、β°傾いているので、ウェルドナット60は、流通路1cから、外側の供給路1e(選別部2から遠い供給路1d)に搬送される。前述したように、隣接する外側の供給路1eと内側の供給路1f(選別部2側の供給路1d)間には、板状部材14bにより、段差があるので、外側の供給路1e上で搬送されるウェルドナット60が、内側の供給路1f側に移動することを防止して、外側の供給路1e上のウェルドナット60が整列されて、スムーズに搬送されるようになっている。
【0050】
しかし、図7に示されるように、外側の供給路1e上に、密にウェルドナット60が存在する場合には、流通路1cから内側の流通路1fにもウェルドナット60が搬送されるようになる。
【0051】
供給路1d上のウェルドナット60は、順次、連続的に、供給口1aから、選別部2に供給される。
【0052】
選別部2に供給されたウェルドナット60は、振動部4が発する振動により、供給部1上のウェルドナット60の搬送方向と反対方向(図7において左側から右側)に搬送される。図5のC−C断面図に示されるように、選別部2本体の上面は、γ°傾いているので、選別部2に供給されたウェルドナット60は、外枠21と当接して、外枠21に沿って、搬送される。
【0053】
上下に重なったウェルドナット60が、掻き落とし部材23が設けられている位置に搬送されると、図5のC−C断面に示されるように、上側のウェルドナット60は、掻き落とし部材23により、掻き落とされて、上下に重なっていない、ウェルドナット60のみが、掻き落とし部材23の下を通過して、搬送路20bに搬送されるようになっている。
【0054】
図6のD−D断面に示されるように、搬送路20bには傾斜面20dが形成されているので、プロジェクション60cが下側になっている「所望の向き」でないウェルドナット60は、滑落部20a側のプロジェクション60cが傾斜面20d上に位置し、ウェルドナット60が傾いて、搬送路20b上を搬送中に、滑落部20aに滑落する。搬送路20bには、吸着防止溝20cが形成されているので、ウェルドナット60の表面に機械油が塗布されている場合であっても、ウェルドナット60が機械油により搬送路20bに吸着することを防止して、滑落部20aへの滑落が阻害されることを防止している。なお、前述したように、吸着防止溝20cの終端は、滑落部20aに開口しているので、余分な機械油が滑落部20aに排出されるようになっている。滑落部20aに滑落したウェルドナット60は、図7に示されるように、供給部1の戻し口1bから供給部1に戻されるようになっている。
【0055】
一方で、プロジェクション60cが上側になっている「所望の向き」のウェルドナット60は、図5のD−D断面に示されるように、規制板22の下端が、プロジェクション60cと当接することにより、滑落部20a側へ傾くことが規制され、搬送路20b上を搬送中に、滑落部20aに滑落することがない。
【0056】
「所望の向き」のウェルドナット60が、選別板25の入口部分25aまで搬送されると、図5のE−E断面に示されるように、プロジェクション60cの間に選別板25の下端が位置するようにして、ウェルドナット60が搬送される。前述したように、選別板25の下端と、選別板25と対面する選別部本体20上面との間の寸法は、ウェルドナット60の全高よりも小さいが、ウェルドナット60のナット本体60aの高さ寸法よりも大きいので、「所望の向き」のウェルドナット60は、選別板25の下を移動することが可能となっている。
【0057】
一方で、「所望の向き」でないウェルドナット60が、選別板25の入口部分25aまで搬送されると、選別板25の下端と、選別板25と対面する選別部本体20上面との間の寸法は、ウェルドナット60の全高よりも小さいので、選別板25の下に入ることができず、滑落部20aに滑落することとなる。
【0058】
選別板25の下で搬送されるウェルドナット60は、連続的に選別部2から排出されるようになっている。
【0059】
なお、ナット本体60aの座面に複数のプロジェクション60cを有するウェルドナット60を「所望の向き」に整列して連続的に排出する実施形態について本発明を説明したが、本発明により「所望の向き」に整列して連続的に排出されるナットは、ウェルドナット60に限定されず、表裏の外形が異なるナットあれば、本発明を適用可能なことは言うまでもない。
【0060】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うナットフィーダもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態を示すナットフィーダの上面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】ウェルドナットの詳細図である。
【図4】供給部の詳細図である。
【図5】選別部の上面図である。
【図6】選別部の正面図である。
【図7】本発明の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 供給部
1a 供給口
1b 戻し口
1c 流通路
1d 供給路
1e 外側の供給路
1f 内側の供給路
1g ストック部
2 選別部
3 第1の振動部
4 第2の振動部
10 供給部本体
11 ガイド板
12 遮閉板
13 ガイド部材
14 板状部材
20 選別部本体
20a 滑落部
20b 搬送路
20c 吸着防止溝
20d 傾斜面
21 外枠
22 規制板
23 掻き落とし部材
23a 掻き落とし部材の先端部分
25 選別板
25a 入口部分(選別板)
26 取付板
27 脱落防止板
60 ウェルドナット
60a ナット本体
60b ねじ穴
60c プロジェクション
70 ボルト
a プロジェクション間の寸法
α 供給部本体10の水平面に対する角度
β 供給部本体10の水平面に対する角度
γ 選別部本体20の水平面に対する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の外形が異なるナットを、所望の向きに整列して、連続的に排出するナットフィーダにおいて、
ナットが一端にストックされ、ナットを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、
前記供給部上のナットを、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与える第1の振動部と、
前記供給部の他端から供給されたナットを、供給部上のナットの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのナットのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のナットを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部と、
前記選別部上のナットを、供給部上のナットの搬送方向と反対方向に搬送する振動を前記選別部に与える第2の振動部とを有することを特徴とする特徴とするナットフィーダ。
【請求項2】
ナットの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、1個のナットの全高よりも大きく、2個のナットの全高よりも小さくなるように選別部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のナットフィーダ。
【請求項3】
供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法をナットの幅寸法と殆ど同一にしてナットの搬送路としたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のナットフィーダ。
【請求項4】
その下端と搬送路上面との間の寸法が、搬送路に搬送されるナットの全高よりも僅かに大きい寸法の規制板を搬送路に沿って、搬送路の上方に配設したことを特徴とする請求項3に記載のナットフィーダ。
【請求項5】
搬送路の幅方向の中央部に、ナットの搬送方向に沿って吸着防止溝を凹陥形成したことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載のナットフィーダ。
【請求項6】
搬送路の滑落部側の縁部に、滑落部側に傾斜した滑落面を形成したことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載のナットフィーダ。
【請求項7】
表裏の外形が異なるナットは、ナット本体の座面に複数のプロジェクションを有するウェルドナットであり、
ウェルドナットのプロジェクション間の寸法よりも小さい幅寸法の選別板を、その下端と選別部上面との間の寸法が、ウェルドナットのナット本体の高さ寸法よりも大きく、ウェルドナットの全高より小さくなるようにウェルドナットの搬送方向に沿って、選別部の上方に配設したことを特徴とする請求項1〜請求項6に記載のナットフィーダ。
【請求項8】
供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ナットが流通する流通路を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のナットフィーダ。
【請求項9】
選別部にナットを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のナットフィーダ。
【請求項10】
供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成したことを特徴とする請求項9に記載のナットフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273688(P2008−273688A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118770(P2007−118770)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(392014760)新光機器株式会社 (50)
【出願人】(506332937)株式会社フィーダシステム (10)
【Fターム(参考)】