説明

ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の複合体

本出願は、ウロジラチンといったナトリウム利尿ペプチド、および免疫グロブリンの定常領域またはその断片の複合体を記載する。当該複合体を含む組成物、および当該複合体を用いるための方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本開示に含まれる2006年12月21日出願の米国仮特許出願第60/876,913号について優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
体内の塩分および水分恒常性を達成するために協調して作用する、関連するペプチドのファミリーが発見されている。これらのペプチドは、ナトリウム利尿および利尿の調節における役割のためにナトリウム利尿ペプチドといい、さまざまなアミノ酸配列を有し、および体内のさまざまな組織を起源とする。ナトリウム利尿ペプチドのこのファミリーは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、デンドロアスピス(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、およびウロジラチン(URO、またはウラリチド)を含む。それらの組織特異的分布は下記の通りである:心臓(ANP、BNP、およびDNP);脳(ANP、BNP、およびCNP);内皮細胞(CNP);血漿(DNP);および腎臓(URO)。これらのペプチドは、人体における血液量/血圧の複雑なバランスの維持に決定的な役割を果たすホルモン系の構成成分である。
【0003】
ウロジラチンは、ANPのように、前駆体タンパク質pro−ANPに由来し、および腎臓細胞によって分泌される。ウロジラチンは、集合管中の腎臓細胞に直接作用してナトリウムおよび水の排泄を促進し、ナトリウムおよび水の再吸収を阻害する。ANPおよびBNPといった他のナトリウム利尿ペプチドのように、ウロジラチンは、細菌感染、肺および気管支疾患、腎不全、および鬱血性心不全を含むさまざまな症状の治療における使用について研究されている(たとえば、特許文献1〜4;および非特許文献1〜4を参照)。
【0004】
ナトリウム利尿ペプチドのさまざまな治療用途を考えると、当該ペプチドの生物活性を保持し、およびより長い血清半減期といった他の有利な性質を有する、ナトリウム利尿ペプチドまたはその誘導体の修飾型を開発する必要性が存在する。本発明はこの必要性および他の関連する必要性を、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域の新規複合体を提供することによって対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許番号5,571,789
【特許文献2】米国特許番号6,831,064
【特許文献3】米国特許出願公報US2005/0089514
【特許文献4】PCT出願公報WO2006/110743
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ケンツ(Kentsch)他,Eur.J.Clin.Invest.1992,22(10):662−669
【非特許文献2】ケンツ(Kentsch)他,Eur.J.Clin.Invest.1995,25(4):281−283
【非特許文献3】アイズナー(Eisner)他,Am.Heart J.1995,129(4):766−773
【非特許文献4】フォスマン(Forssmann)他,Clinical Pharmacology and Therapeutics 1998,64(3):322−330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む新規複合体に関する。当該複合体はNPR(たとえば、NPR−A)受容体に結合する。一部の場合には、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域はリンカーを介して結合する。別の場合には、複合体は直接融合ポリペプチドであり、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の間の直接融合の結果でありえ、またはペプチドリンカーを含みうる。一部の典型的な実施形態では、ナトリウム利尿ペプチドはウロジラチンである。別の典型的な実施形態では、複合体は配列番号:6または12のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドである。この複合体では、抗体定常領域はナトリウム利尿ペプチドのN末端またはC末端と結合しうるか、またはナトリウム利尿ペプチドは抗体定常領域の内部アミノ酸と結合しうる。さらに、複合体は2つ以上の抗体定常領域を含みうる。たとえば、互いに同一でありうるかまたは異なりうる2つの抗体定常領域が、ナトリウム利尿ペプチドとの複合体中に存在しうる。定常領域は、ナトリウム利尿ペプチドをはさむようにN末端およびC末端の両方に位置しうるか、またはナトリウム利尿ペプチドの同一(N末端またはC末端)に位置しうる。
【0008】
さらに、複合体は単量体でも二量体でもよく、および抗体定常領域は抗体重鎖または軽鎖のどちらかに由来しうる。典型的な一実施形態では、複合体は、重鎖定常領域内に位置するジスルフィド結合を介して結合した、ナトリウム利尿ペプチド−抗体重鎖定常領域の融合ポリペプチドの2本の同一の鎖から成るホモ二量体である。別の一実施形態では、複合体は融合ポリペプチドの2つの異なる系のヘテロ二量体である:一方はナトリウム利尿ペプチド−抗体重鎖定常領域融合および他方はナトリウム利尿ペプチド−抗体軽鎖定常領域融合の、重鎖および軽鎖定常領域内に位置するジスルフィド結合を介して結合したものである。
【0009】
NPR−A受容体と結合する能力の上に、複合体は好ましくはさらにNPR−A受容体を活性化することができ、細胞内cGMPレベルの上昇をもたらす。未修飾ナトリウム利尿ペプチドと比較して、複合体は血清半減期の増大を示す。
【0010】
別の一態様では、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離核酸に関する。典型的な一実施形態では、ナトリウム利尿ペプチドはウロジラチンである。別の典型的な一実施形態では、核酸は配列番号:5または11のポリヌクレオチド配列を含む。
【0011】
本発明はまた、上記の核酸を含む発現カセット、当該発現カセットでトランスフェクションされた単離宿主細胞に関する。宿主細胞は原核細胞または真核細胞でありうる。
【0012】
別の一態様では、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む融合ポリペプチドを組み換えによって作製するための方法に関する。当該方法は下記の段階を含む:a.宿主細胞を上記の発現カセットでトランスフェクションする段階;およびb.細胞が融合ポリペプチドを発現するのに適した条件下で当該細胞を培養する段階。一例では、ナトリウム利尿ペプチドはウロジラチンである。
【0013】
別の一態様では、本発明は、(1)ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の複合体および(2)薬学的に許容可能なキャリヤーを含む組成物に関する。本発明はまた、必要とする患者にナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の複合体の有効量を投与する段階を含む、細菌感染、肺および気管支疾患、腎不全、または心不全を治療する方法に関する。一部の実施形態では、複合体は融合タンパク質である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】Uro−Fc(huFcG1(m1))のDNAおよびタンパク質配列。
【図1B】Fc−Uro(huFcG1(m1))のDNAおよびタンパク質配列。
【図2A】Uro−Fc(huFcG1(m1))およびウラリチドの精製NPR−A−Fc融合タンパク質との結合。
【図2B】Fc−Uro(huFcG1(m1))およびウラリチドの精製NPR−A−Fc融合タンパク質との結合。
【図3A】Uro−Fc(huFcG1(m1))およびウラリチドはトランスフェクションされた細胞上に発現されるNPR−A受容体を活性化する。
【図3B】Fc−Uro(huFcG1(m1))およびウラリチドはトランスフェクションされた細胞上に発現されるNPR−A受容体を活性化する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
「抗体」とは、対応する抗原を非共有的に、可逆的に、および特異的な方法で結合できる、免疫グロブリンファミリーの糖タンパク質、または免疫グロブリンの断片を含むポリペプチドをいう。典型的な抗体構造単位は四量体を含む。各四量体はポリペプチド鎖の同一の2対から成り、各対はジスルフィド結合を介して結合した1本の「軽」鎖(約25kD)および1本の「重」鎖(約50〜70kD)を含む。認められている免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖はκまたはλに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、またはε、に分類され、それが今度は免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEをそれぞれ定義する。各鎖のN末端は、主に抗原認識を担う、約100から110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)の語は、それぞれ軽鎖および重鎖のこれらの領域をいい、一方CLおよびCHはそれぞれ軽鎖および重鎖の定常領域をいう。各軽鎖定常領域すなわちCL内には1個の定常ドメインがあり、一方、各重鎖定常領域すなわちCH内には、重鎖の種類(γ、μ、α、δ、またはε)に応じて、3または4個の定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)がある。
【0016】
「単離された」の語は、核酸またはタンパク質に用いる場合、核酸またはタンパク質が、天然状態で随伴する他の細胞成分を本質的に含まないことを意味する。好ましくは均一状態であるが、乾燥または水溶液内にあってもよい。純度および均一性は典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーといった分析化学手法を用いて測定される。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は、当該遺伝子に隣接しおよび目的遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。「精製された」の語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲル中で本質的に1本のバンドを生じることを意味する。特に、それは核酸またはタンパク質が少なくとも純度85%、より好ましくは少なくとも純度95%、および非常に好ましくは少なくとも純度99%であることを意味する。
【0017】
「ナトリウム利尿ペプチド」とは、ナトリウム利尿、利尿、および血管拡張を促進する生物活性を有するペプチドである。そのような活性を試験するためのアッセイは当該分野で公知であり、たとえば、米国特許番号4,751,284および5,449,751に記載される通りである。ナトリウム利尿ペプチドの例は、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP(99−126))、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、デンドロアスピス(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン(URO、またはウラリチド)、および、血管拡張、ナトリウム利尿、または利尿活性を保持するプロホルモンANP(1−126)またはBNP前駆体ポリペプチドの任意の断片を含むがそれらに限定されない。典型的なナトリウム利尿ペプチドおよびその使用または調製のさらなる説明については、たとえば、米国特許番号4,751,284、4,782,044、4,895,932、5,449,751、5,461,142、5,571,789、および5,767,239を参照。またハ(Ha)他,Regul.Pept.133(1−3):13−19,2006も参照。ここでは、「ナトリウム利尿ペプチド」の語はまた、天然に存在するナトリウム利尿ペプチド(たとえば、ANPまたはURO)と実質的に同一なアミノ酸配列(たとえば、配列同一性が少なくとも80%または85%、より好ましくは少なくとも90%、95%、またはより高い)を有するペプチドを広く包含する。典型的には、そのようなペプチドは、天然に存在する配列から付加、欠失、または置換によって修飾されている1、2、3、4、または最大5個のアミノ酸を含みうる。さらに、「ナトリウム利尿ペプチド」の語は、対応する野生型ナトリウム利尿ペプチドの生物活性の相当な部分、たとえば、少なくとも1%、好ましくは10%、より好ましくは50%、および非常に好ましくは少なくとも80%、90%以上を保持している限り、1つ以上の残基に化学修飾(たとえば脱アミノ化、リン酸化、PEG化など)または対応するD−異性体による置換を含む、天然に存在するナトリウム利尿ペプチドのアミノ酸配列を有する任意のペプチドを包含する。
【0018】
「ウロジラチン」の語は一般的に、米国特許番号5,449,751に記載されおよびGenBank受入番号1506430Aに示されるアミノ酸配列を有する32アミノ酸のペプチドホルモンをいう。ウロジラチンは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の95−126断片であり、ANP(95−126)ともいう。「心房性ナトリウム利尿ペプチド」または「ANP(99−126)」の語は、ウロジラチンと同一の遺伝子から転写されおよび同一のポリペプチド前駆体ANP(1−126)に由来するが、N末端の最初の4個のアミノ酸を有しない、28アミノ酸ペプチドホルモンをいう。プロホルモンの詳細な説明については、たとえば、オイカワ(Oikawa)他 (Nature 1984;309:724−726),ナカヤマ(Nakayama)他(Nature 1984;310:699−701),グリーンバーグ(Greenberg)他(Nature 1984;312:656−658),サイドマン(Seidman)他(Hypertension 1985;7:31−34)およびGenBank受入番号1007205A、1009248A、1101403A、およびAAA35529を参照。このプロホルモンをコードするポリヌクレオチド配列は、GenBank受入番号NM_6172.1に提供される。従来、ウロジラチン(URO)の語は天然に存在するペプチドをいうものとしてしばしば用いられているが、一方「ウラリチド」の語は組み換え的に作製されたかまたは化学的に合成されたペプチドをいうものとしてしばしば用いられる。本出願では、「ウロジラチン」および「ウラリチド」の語は、天然に存在するペプチドおよび組み換えまたは合成ペプチドの両方を広く包含するように相互に交換可能に用いられる。それらの語はまた、ナトリウム利尿ペプチドとしての生物活性を保持している限り、1つ以上の残基に化学修飾(たとえば脱アミノ化、リン酸化、PEG化など)または対応するD−異性体による置換を含む、上述のアミノ酸配列の任意のペプチドを包含する。さらに、化学的に修飾されたウロジラチンまたはウラリチドは、目的の化学修飾を促進する目的で(たとえば、複合体化のための反応基を提供するために)、1または2個のアミノ酸置換を含みうる。本出願の「ウロジラチン」または「ウラリチド」は、それが化学修飾またはアミノ酸配列修飾を含むかどうかにかかわらず、天然に存在する野生型ウロジラチンまたはANP(95−126)の生物活性の相当な部分、すなわち、少なくとも1%、好ましくは10%、より好ましくは50%、および非常に好ましくは少なくとも80%または90%を保持する。
【0019】
ここでは、「抗体(または免疫グロブリン)定常領域」は、抗体重鎖または軽鎖の定常領域の少なくとも一部に対応するポリペプチドをいい、そのような一部は少なくとも1つの定常ドメイン(たとえば、CLの定常ドメイン、またはCHの定常ドメインのうちの1つ)を含む。たとえば、本発明の複合体を作製するために用いられる「抗体定常領域」は、抗体重鎖に由来することができ、および3つのうち2つ(IgA、IgD、およびIgGについてCH2およびCH3)または4つのうち3つ(IgEおよびIgMについてCH2、CH3、およびCH4)の定常ドメインを含む;第1の定常ドメイン(CH1)は一部の場合に存在しうるが、しかし他では除外されうる。そのような抗体定常領域は、さまざまな手段によって、たとえば、組み換え法または合成法によって、または、たとえば、未変化抗体または抗体重鎖または軽鎖のペプシンまたはパパイン消化といった酵素消化後の精製によって、得ることができる。本明細書でこの語によってさらに包含されるのは、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体中のそのような「抗体定常領域」の存在が複合体へ、より高い血清安定性、たとえば、抗体定常領域を含まないナトリウム利尿ペプチドと同一条件下で比較した場合、血清半減期の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、50%、80%、100%、200%以上の増加を与える限り、対応する抗体重鎖または軽鎖定常領域または少なくとも抗体鎖のC末端に最も近い1つの定常ドメインを含むその一部のアミノ酸配列と実質的な配列同一性(たとえば、少なくとも80%、85%、90%、95%以上)を有するポリペプチドである。ヒト抗体、たとえば、ヒトIgGは、本発明のナトリウム利尿ペプチド複合体を作製する目的で、定常領域またはその断片を得るためにしばしば用いられる。
【0020】
本明細書では「複合体」は、リンカーの使用ありまたは無しで、ポリペプチドレベルで結合した、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチドおよび1つの抗体定常領域を有する化合物をいう。複合体は、ペプチドリンカーのためのコード領域を含むかまたは含まない、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチドおよび1つの抗体定常領域をコードする遺伝子の核酸レベルでの結合の結果として生じる融合ポリペプチドでありうる。
【0021】
「NPR−A受容体」は本明細書では、ナトリウム利尿ペプチド受容体A型をいう。グアニリルシクラーゼAともいい、細胞表面上に発現される膜貫通型タンパク質であり、およびホルモン刺激に応じてcGMPを合成する。たとえば、チンカーズ(Chinkers)他,Nature 338:78−83,1989およびロウ(Lowe)他,EMBOJ.8(5):1377−84,1989を参照。NPR−B(グアニリルシクラーゼB)およびNPR−C(非グアニリルシクラーゼ)はNPRファミリーの2つの他のメンバーである。
【0022】
「ナトリウム利尿ペプチド受容体」すなわち「NPR」は、3つの受容体:NPR−A(グアニリルシクラーゼA)、NPR−B(グアニリルシクラーゼB)およびNPR−C(非グアニリルシクラーゼ)を含む受容体ファミリーである。
【0023】
本明細書では、ナトリウム利尿ペプチド(たとえば、ウロジラチン)および抗体定常領域を含む複合体は、当該複合体が同一アッセイ条件下で、対応する野生型ナトリウム利尿ペプチド(たとえば、ウロジラチン)と同様のNPR−A受容体に対する結合親和性を示す場合、NPR−A受容体と「結合する」という。たとえば、本発明のウロジラチン−抗体定常領域複合体は、NPR−A結合アッセイで野生型ウロジラチンによって示されるよりも、少なくとも0.1%、1%、10%、または20%、好ましくは少なくとも25%または30%、およびより好ましくは少なくとも50%またはさらに高い結合親和性を有する。
【0024】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」の語は、1本鎖または2本鎖型の、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)およびそのポリマーをいう。特に限定されない限り、その語は、参照核酸と同様の結合特性を有しおよび天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で代謝される、天然ヌクレオチドの既知のアナログを含む核酸を包含する。特記されない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾された変異体(たとえば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ(ortholog)、SNP、および相補配列、ならびに明示的に示された配列を黙示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生じることによって達成されうる(バツァー(Batzer)他,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);オオツカ(Ohtsuka)他,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);およびロソリニ(Rossolini)他,MoI.Cell.Probes 8:91−98(1994)。核酸の語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと相互に交換可能に用いられる。
【0025】
「遺伝子」の語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAセグメントを意味する。それはコード領域の先行領域および後続領域(リーダーおよびトレイラー)、ならびに各コードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
【0026】
「アミノ酸」の語は、天然に存在するおよび合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティクス(mimetics)をいう。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードでコードされるもの、および後で修飾されるアミノ酸、たとえば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基と結合するα炭素を有する化合物、たとえば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムをいう。そのようなアナログは修飾R基(たとえば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、しかし天然に存在するアミノ酸と同一の基本化学構造を保持する。「アミノ酸ミメティクス」とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、しかし天然に存在するアミノ酸と同様の方法で機能する化合物をいう。
【0027】
非天然アミノ酸誘導体またはアナログの部位特異的な方法でのポリペプチド鎖への組み込みを可能にする、本分野で公知である多数の方法がある。たとえば、WO02/086075を参照。
【0028】
アミノ酸はここでは一般的に知られる3文字表記によって、またはIUPAC−IUB生化学命名委員会(IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字表記で表わすことができる。ヌクレオチドも、同様に、一般的に許容される1文字表記で表わすことができる。
【0029】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に当てはまる。特定の核酸配列に関して、「保存的に修飾された変異体」とは、同一なまたは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸をいい、または当該核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一な核酸が、任意の所定のタンパク質をコードする。たとえば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定されるすべての部位で、当該コドンは、コードされたポリペプチドを変化させることなく、記載の対応コドンのうちのいずれかに変更されうる。そのような核酸変異は、保存的に修飾された変異の一種である、「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードするすべての核酸配列はここでは、当該核酸のすべての可能なサイレント変異もまた記載する。当業者は、核酸中の各コドン(メチオニンの通常唯一のコドンであるAUG、およびトリプトファンの通常唯一のコドンであるTGGを除く)は修飾され、機能的に同一な分子を生じ得ることを理解する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載される各配列に内在する。
【0030】
アミノ酸配列については、当業者は、コードされた配列中の1個のアミノ酸または小さい割合のアミノ酸を変化、付加または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失または付加は、当該変化が化学的に類似のアミノ酸とのアミノ酸置換を結果として生じる場合は、「保存的に修飾された変異体」であることを理解する。機能的に類似のアミノ酸を与える保存的置換表は本分野でよく知られている。そのような保存的に修飾された変異体は、本発明の多型変異体、種間ホモログ、および対立遺伝子に加えて存在し、およびそれらを除外しない。
【0031】
下記の8つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(たとえば、クレイトン(Creighton),『タンパク質』(Proteins),W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1984)を参照)。
【0032】
アミノ酸はここでは一般的に知られる3文字表記によって、またはIUPAC−IUB生化学命名委員会(IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字表記で表わすことができる。ヌクレオチドも、同様に、一般的に許容される1文字表記で表わすことができる。
【0033】
本出願では、アミノ酸残基は、未修飾野生型ポリペプチド配列において1番を付けられる最も左側の残基からの相対位置にしたがって番号が付けられる。
【0034】
ここでは、「同一な」またはパーセント「同一性」の語は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を説明する関連で、下記の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いてまたは手動整列および目視検査によって、比較ウィンドウまたは測定される指定の領域にわたって最大の一致について比較および整列する際、同一であるかまたは、同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドの規定の割合を有する2つ以上の配列または部分配列をいう(たとえば、本発明の複合体を作製するのに用いられるウラリチドペプチドは、天然に存在するウロジラチンの配列(配列番号:2)と実質的に同一な、配列番号:2と少なくとも80%または85%、好ましくは90%同一性、より好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を有する;一方複合体中の定常領域ポリペプチドは、天然に存在する抗体重鎖または軽鎖定常領域、たとえば、配列番号:4の完全長または一部と実質的に同一な、配列番号:4と少なくとも80%または85%、好ましくは90%同一性、より好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を有するアミノ酸配列を有する)。一例として、配列番号:2または4と実質的に同一なアミノ酸配列は、配列番号:2において1、2、3、4、または最大5個のアミノ酸を置換、欠失または付加することによる、または配列番号:4において1、2、3、4、5、6、7、8、9、または最大10個のアミノ酸を置換、欠失または付加することによる、配列番号:2または4に由来する配列でありうる。配列番号:2または4といった天然に存在するナトリウム利尿ペプチドまたは抗体定常領域のアミノ酸配列と実質的に同一な配列は、本発明の複合体の作製における使用に適する。ポリヌクレオチド配列に関して、同一性の定義はまた、被験配列の相補鎖もいう。好ましくは、同一性は、長さ少なくとも約50アミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって、またはより好ましくは長さ75〜100または100〜150(たとえば、約120)アミノ酸またはヌクレオチドである領域にわたって存在する。
【0035】
配列比較のためには、典型的には1つの配列が、被験配列を比較する参照配列の役割を果たす。配列比較アルゴリズムを用いる場合、被験配列および参照配列はコンピュータに入力され、部分配列座標が必要に応じて指定され、および配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが使用されうるか、または代替的なパラメーターが指定されうる。配列比較アルゴリズムは次いで、プログラムパラメーターに基づいて、参照配列と比較して被験配列についてのパーセント配列同一性を計算する。たとえば、それぞれ配列番号:2または4の、典型的なアミノ酸配列と共に用いられるナトリウム利尿ペプチドまたは抗体定常領域の配列比較については、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムおよび下記で考察されるデフォルトパラメーターが用いられる。
【0036】
「比較ウィンドウ」はここでは、同数の連続部位の参照配列と、2つの配列が最適に整列された後に比較されうる、20から600、普通は約50から約200、より普通は約100から約150から成る群から選択される連続部位の数のうちいずれか1つのセグメントへの参照を含む。比較のための配列の整列の方法は本分野でよく知られている。比較のための配列の最適整列は、たとえば、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman),Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所ホモロジーアルゴリズムによって、ニードルマン(Needleman)およびブンシュ(Wunsch),J.Mol.Biol.48:443(1970)のホモロジー整列アルゴリズムによって、ピアソン(Pearson)およびリップマン(Lipman),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施によって(ウィスコンシンジェネティクス(Wisconsin Genetics)ソフトウェアパッケージ(ジェネティクスコンピューターグループ(Genetics Computer Group,ウィスコンシン州マジソン、サイエンスドライブ575(Science Dr.,Madison))のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動整列および目視検査によって(たとえば、『分子生物学最新プロトコル』(Current Protocols in Molecular Biology)(アウスベル(Ausubel)他編.1995補遺)を参照)、実施されうる。
【0037】
パーセント配列同一性および配列類似性の決定に適するアルゴリズムの好ましい一例が、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、アルトシュル(Altschul)他,Nuc.Acids Res.25:3389−3402 (1977)およびアルトシュル他,J.Mol.Biol.215:403−410 (1990)にそれぞれ記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、ここに記載されるパラメーターと共に、本発明の核酸およびタンパク質についてパーセント配列同一性を決定するために用いられる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のウェブサイトを通じて公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列する際に一致するかまたはある正の閾値スコアTを満たす、クエリー配列中の長さWの短いワードを同定することによって、高スコアの 配列対 (HSP)をまず同定することを含む。Tを近隣ワードスコア閾値という(neighborhood word score threshold)(アルトシュル(Altschul)他,前掲)。これらの最初の近隣ワードヒットは、それらを含む、より長いHSPを見出すための検索を開始するための種として作用する。ワードヒットは、累積整列スコアを増加できるかぎり長く、各配列に沿って両方向へ伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(マッチ残基の対についての報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列については、累積スコアを計算するためにスコアマトリクスが用いられる。ワードヒットの各方向への伸長は:累積整列スコアが最大達成値から量X低下する時;;1つ以上のネガティブスコア残基整列の累積によって、累積スコアがゼロ以下となる時;または配列の各終端に達した時、停止される。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長3、および期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアマトリクス(ヘニコフ(Henikoff)およびヘニコフ(Henikoff),Proc.Natl.Acad.Sd.USA 89:10915 (1989))整列(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を用いる。
【0038】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析を実施する(たとえば、カーリン(Karlin)およびアルトシュル(Altschul),Proc.Natl Acad.Sci.USA 90:5873−5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然によって起こる確率の指標を提供する、最小和確率(P(N))である。たとえば、被験核酸の参照核酸との比較の最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、および非常に好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列と類似していると考えられる。
【0039】
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一である指標は、下記のように、第1の核酸にコードされるポリペプチドが、第2の核酸にコードされるポリペプチドに対して作製された抗体と免疫学的に交差反応することである。したがって、ポリペプチドは典型的には、たとえば2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、第2のペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるというもう1つの指標は、下記のように、2つの分子またはその相補鎖が厳密条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらに別の指標は、配列を増幅するために同一のプライマーが使用されうることである。
【0040】
「ポリペプチド」および「ペプチド」は、ここではアミノ酸残基のポリマーをいうのに相互に交換可能に用いられる;一方「タンパク質」は1または複数のポリペプチド鎖を含みうる。3つすべての語が、1つ以上のアミノ酸残基が天然に存在するアミノ酸の人工化学ミメティックであるアミノ酸ポリマー、および天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーにも適用される。ここでは、それらの語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合で結合している、完全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。
【0041】
「発現カセット」とは、組み換え的にまたは合成的に作製された、宿主細胞において特定のポリヌクレオチド配列(たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質をコードするもの)の転写を可能にする一連の特定の核酸配列を有する核酸構築物である。発現カセットは、ウイルスゲノム、または核酸断片の一部でありうる。典型的には、発現カセットは、プロモーターと、および随意的にエンハンサーといった他の甜茶調節配列と、調節可能に結合した、転写すべきポリヌクレオチドを含む。
【0042】
「投与」または「投与する」の語は、ある物質を、哺乳類、特にヒトといった動物と接触させるさまざまな方法をいう。投与様式は、静脈内、腹腔内、鼻内、経皮、局所、皮下、非経口、筋肉内、経口、または全身、および注射、経口摂取、吸入、埋め込み、または任意の他の手段による吸着を介して物質を接触させる方法を含みうるがそれらに限定されない。候補治療薬は、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、菱形剤、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ジェル、または乳液の形で医薬組成物として処方されうる。本発明のナトリウム利尿ペプチド複合体の投与の1つの典型的な方法は、複合体がたとえば水溶液、懸濁液、または乳液などといった静脈内注射に適する形の医薬組成物として処方されうる、静脈内デリバリー経由である。本発明のナトリウム利尿ペプチド複合体を配送するための別の方法は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、またはクリーム、パッチ、または坐剤の形のような経皮または経粘膜投与を含む。
【0043】
「有効量」は、有益なまたは目的の作用を、そのような作用の検出に一般的に用いられる方法によって容易に検出可能なレベルで生じるのに十分な、有効成分、たとえば、本発明のウロジラチン−Fc融合タンパク質の、医薬組成物または生理的組成物中の量をいう。好ましくは、そのような作用は、当該有効成分が投与されていない基底レベルの値から少なくとも10%の変化を結果として生じ、より好ましくは当該変化は基底レベルから少なくとも20%、50%、80%、またはさらに高い割合である。下に記載される通り、有効成分の有効量は、対象の年齢、一般状態、治療する症状の重症度、および投与される特定の生物活性物質、などに応じて対象ごとに異なりうる。任意の個別ケースにおける適当な「有効」量は、当業者によって、関連テキストおよび文献を参照しておよび/または通常の実験を用いることによって決定されうる。
【0044】
「薬学的に許容可能なキャリヤー」または「添加物」とは、たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド融合タンパク質を含む、本発明の組成物の処方に用いられる、不活性な成分である。そのようなキャリヤーまたは添加物は、有効成分を安定化するように作用でき、および、たとえば、それを必要とする患者への注射による使用に適しうる。この不活性な成分は、本発明の組成物に含まれる場合、組成物の目的のpH、粘度、色、臭い、または芳香を提供する物質でありうる。薬学的に許容可能なキャリヤーは、糖質(たとえばグルコース、スクロース、またはデキストラン)、抗酸化剤(たとえばアルコルビン酸またはグルタチオン)、キレート剤、低分子量タンパク質、高分子量ポリマー、ゲル形成剤、または他の安定剤および添加剤を含みうるがそれらに限定されない。薬学的に許容可能なキャリヤーの他の例は、湿潤剤、乳化剤、分散剤、または特に微生物の増殖または作用を防ぐのに有用な保存料を含む。さまざまな保存料がよく知られており、および、たとえば、フェノールおよびアスコルビン酸を含む。キャリヤー、安定剤、またはアジュバントの例は、『レミントンの薬科学』(Remington's Pharmaceutical Sciences),マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company),ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia),第17版(1985)に見ることができる。
【0045】
ここでは、「患者」とはヒトまたは非ヒト哺乳類をいう。
【0046】
「血清半減期の増加」とは、修飾された生物活性な分子(たとえば、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む本発明の複合体)の、その被修飾形(たとえば、ナトリウム利尿ペプチド単独)と比較した循環半減期の正の変化である。血清半減期は、生物活性な分子の投与後のさまざまな時点での血液試料採取、および各試料中のその分子の濃度測定によって測定される。血清濃度の時間との相関は、血清半減期の計算を可能にする。増加は望ましくは少なくとも約10%から20%、または少なくとも約50%から100%である。好ましくは増加は少なくとも約3倍、より好ましくは少なくとも約5倍、および非常に好ましくは少なくとも約10倍以上である。
【0047】
I.序論
本発明者らは、ナトリウム利尿ペプチド、たとえばウロジラチン(GenBank受入番号1506430)、および免疫グロブリン重鎖または軽鎖定常領域の少なくとも一部に相当するポリペプチドの間の複合体の作製に成功し、および当該複合体が、ナトリウム利尿ペプチドの生物活性、たとえば、ウロジラチンの活性を、その天然受容体であるNPR−A受容体に対する特異的結合特異性、および受容体との結合に際して細胞内cGMPレベル上昇を誘導する能力に関して保持することを実証した。複合体の抗体定常領域部分が複合体の半減期を延長し、非複合体型ナトリウム利尿ペプチド単独よりも複合体をより安定化するため、抗体定常領域を含む複合体は、ナトリウム利尿ペプチドの使用が適応される症状の治療において、非複合体型ナトリウム利尿ペプチドのより有効な代替物を提供する。
【0048】
ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む本発明の複合体を作製するためのいくつかの方法がある。たとえば、当業者は、ナトリウム利尿ペプチドおよび定常領域をコードする遺伝子が融合タンパク質の結合コード配列として核酸レベルで結合される場合、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質はトランスフェクションされた細胞で発現されうることを理解する。一方、ナトリウム利尿ペプチド部分および抗体定常領域は、別々の作製後に、組み換え産生、化学合成、または必要に応じて酵素消化後の天然起源からの精製といったさまざまな方法によってポリペプチドレベルで結合されうる。別々に作製されたナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域は、直接化学結合(ペプチド結合または非ペプチド結合、たとえばジスルフィド結合)によって、または1つ以上の化学リンカーを介して結合されうる。ペプチドのN−またはC−末端アミノ酸が結合部位を提供でき、またはいずれかのペプチド配列の中に位置するアミノ酸、すなわち、内部アミノ酸が、結合部位を提供できる。第3の選択肢として、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質は、本分野で公知である化学的方法によって、単一ペプチドとして直接的に合成されうる。
【0049】
II.ナトリウム利尿ペプチド、抗体定常領域、またはそれらの融合タンパク質の組み換え作製
A.一般的な組み換え技術
本発明は、分子生物学および細胞生物学における多数の通常の技術を利用する。組み換え遺伝学の分野の一般的な方法および技術を開示する基本的な文書は、サムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell),『分子クローニング・実験の手引き』(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)(第3版2001);クリーグラー(Kriegler),『遺伝子導入および発現:実験の手引き』(Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびアウスベル(Ausubel)他編,『分子生物学最新プロトコル』(Current Protocols in Molecular Biology)(1994)を含む。
【0050】
核酸については、サイズはキロベース(kb)または塩基対(bp)で与えられる。これらは、アガロースまたはアクリルアミドゲル電気泳動に、配列決定された核酸に、または出版されたDNA配列に由来する推定である。タンパク質については、サイズはキロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数で与えられる。タンパク質サイズは、ゲル電気泳動から、配列決定されたタンパク質から、由来するアミノ酸配列から、または出版されたタンパク質配列から推定される。
【0051】
市販されていないオリゴヌクレオチドは、たとえば、ビューケージ(Beaucage)およびカルサーズ(Caruthers),Tetrahedron Lett.22:1859−1862 (1981)によって最初に記載された固相ホスホルアミダイトトリエステル法にしたがって、バンデバンター(Van Devanter)他,Nucleic Acids Res.12:6159−6168(1984)に記載される通り自動合成装置を用いて化学的に合成されうる。オリゴヌクレオチドの精製は、たとえば、ピアソン(Pearson)およびリーニエ(Reanier),J.Chrom.255:137−149(1983)に記載される通り、未変性アクリルアミドゲル電気泳動または陰イオン交換HPLCといった任意の本分野で認められた戦略を用いて実施される。
【0052】
ナトリウム利尿ペプチド、抗体定常領域、またはそれらの融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよび合成オリゴヌクレオチドの配列は、たとえば、ウォレス(Wallace)他,Gene 16:21−26 (1981)の2本鎖テンプレートを配列決定するための鎖終止法を用いて確認されうる。
【0053】
B.ナトリウム利尿ペプチドまたは抗体定常領域のコード配列の作製
天然に存在するナトリウム利尿ペプチドのアミノ酸配列は本分野で公知であるため、それらのコードポリヌクレオチド配列もまた公知であるかまたは容易に導くことができる。たとえば、ウロジラチンをコードするポリヌクレオチド配列は本分野でよく知られており、および本明細書で配列番号:1として、配列番号:2で示す対応するアミノ酸配列と共に提供される。ヒトまたは他の種のIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体の定常領域および重鎖または軽鎖の各定常ドメインをコードするいくつかの配列もまた同定されている。ヒトIgG1重鎖定常領域の一部をコードする1つの典型的な配列が本明細書で配列番号:3として、配列番号:4で示す対応するアミノ酸配列と共に提供される。
【0054】
本分野でよく知られている方法を用いて、これらの配列の変異体をコードするポリヌクレオチド配列が容易に作製されうる。たとえば、PCRに基づく突然変異誘発法は、配列番号:2のアミノ酸配列と実質的な同一性(たとえば、少なくとも80%、85%、90%または95%配列同一性)を有する変異体のコード配列を作製することを可能にする。同様に、抗体定常領域の変異体をコードするポリヌクレオチド配列を作製することができ、それはこれらの典型的な配列との90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、ないし99%またはさらに高い配列同一性を有しうる。
【0055】
本出願に記載される通りナトリウム利尿ペプチドペプチド、抗体定常領域、またはその融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を得る際に、当業者は次いで当該ポリヌクレオチド配列をベクター、たとえば、発現ベクターへ、組み換えポリペプチドが結果として得られる構築物から作製されうるようにサブクローニングできる。コード配列へのさらなる修飾、たとえば、ヌクレオチド置換が、組み換えポリペプチドの特徴を変化させるように後で実施されうる。
【0056】
C.宿主生物における好ましいコドン用法のための核酸の修飾
ナトリウム利尿ペプチド、抗体定常領域、またはその融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、特定の宿主の好ましいコドン用法に一致するようにさらに偏光されうる。たとえば、細菌細胞の1系統の好ましいコドン用法を用いて、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質をコードしおよびこの系統に好まれるコドンを含むポリヌクレオチドを得ることができる。宿主細胞が示す好ましいコドン用法の頻度は、宿主細胞が発現する多数の遺伝子における好ましいコドン用法の頻度を平均することによって計算できる(たとえば、計算サービスをかずさDNA研究所(Kazusa DNA Research Institute)(日本)のウェブサイトで利用できる)。この分析は、好ましくは、宿主細胞が高度に発現する遺伝子に限定される。
【0057】
修飾の完了に際して、コード配列は配列決定によって確認され、および次いで、目的ポリペプチド、たとえばウロジラチンおよびFc断片を含む融合タンパク質の、組み換え産生のための適当な発現ベクターへサブクローニングされる。
【0058】
III.組み換えタンパク質の発現および精製
コード配列の確認後、目的の組み換えタンパク質、たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質は、組み換え遺伝学の分野の通常の方法を用いて作製されうる。
【0059】
A.組み換えポリペプチドの発現のための細胞
原核および真核の両方の、さまざまな細胞型が、本発明の組み換えタンパク質の発現に適する。これらの細胞型は、たとえば、大腸菌(E.coli)、バチルス(Bacillus sp.)、およびサルモネラ(Salmonella)といったさまざまな細菌、および、酵母、昆虫細胞、および哺乳類細胞(たとえば、CHO細胞)といった真核細胞を含むがそれらに限定されない。一部の場合には、植物細胞もまた、組み換えポリペプチドの組み換え発現のための宿主細胞として適当である。遺伝子発現に適する細胞は当業者によく知られており、およびサムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell)(前掲)といった多数の科学文献に記載されている。
【0060】
B.発現系
本発明の組み換えポリペプチドをコードする核酸の高レベル発現を得るために,典型的には、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、直接転写の強力なプロモーター,転写/翻訳ターミネーターおよび翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターへサブクローニングする。適当な細菌プロモーターは本分野でよく知られており、およびたとえば、サムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell)(前掲)、およびアウスベル(Ausubel)他(前掲)に記載されている。ポリペプチドを発現するための細菌発現系は、たとえば、大腸菌(E.coli)、バチルス(Bacillus sp.)、サルモネラ(Salmonella)、およびカウロバクター(Caulobacter)で利用可能である。そのような発現系のためのキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核発現系は本分野でよく知られておりおよびまた市販されている。一実施形態では、真核発現ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、またはレトロウイルスベクターである。
【0061】
異種核酸の直接発現に用いられるプロモーターは、特定の用途に依存する。プロモーターは随意的に異種転写開始部位から、天然の状況での転写開始部位からとほぼ等しい距離に配置される。本分野で公知である通り、しかし、この距離にいくらかの変化を、プロモーター機能の損失無しに与えることができる
【0062】
プロモーターに加えて、発現ベクターは典型的には、宿主細胞においてポリペプチドの発現に必要なすべての追加の配列を含む、転写ユニットまたは発現カセットを含む。典型的な発現カセットは、したがって、ポリペプチドをコードする核酸配列に動作可能に結合したプロモーター、および転写産物の効率的なポリアデニル化に必要なシグナル、リボソーム結合部位、および翻訳終止部を含む。ポリペプチドをコードする核酸配列は典型的には、形質転換細胞によるポリペプチドの分泌を促進するための、切断可能なシグナルペプチド配列と結合している。そのようなシグナルペプチドは、特に、組織プラスミノーゲン活性化因子、インシュリン、および神経増殖因子、およびオオタバコガ(Heliothis virescens)の幼若ホルモンエステラーゼに由来するシグナルペプチドを含む。カセットの他の配列は、エンハンサー、および、ゲノムDNAが構造遺伝子として用いられる場合は、機能性スプライスドナーおよびアクセプター部位を有するイントロンを含みうる。
【0063】
プロモーター配列に加えて、発現カセットもまた、効率的な終止を提供するために構造遺伝子の下流に転写終止領域を含むべきである。終止領域はプロモーター配列と同一の遺伝子から得ることができ、または別の遺伝子から得ることができる。
【0064】
細胞へ遺伝情報を運ぶのに用いられる具体的な発現ベクターは特に決定的ではない。真核または原核細胞における発現に用いられる従来のベクターの任意のものが使用されうる。標準的な細菌発現ベクターは、pBR322を基礎とするプラスミド、pSKF、pET23Dといったプラスミド、およびGSTおよびLacZといった融合発現系を含む。たとえば、c−mycのように、単離の便利な方法を提供するためにエピトープタグもまた組み換えタンパク質に加えることができる。
【0065】
真核ウイルス由来の調節配列を含む発現ベクターは、典型的には、真核発現ベクター、たとえば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン・バー(Epstein−Barr)ウイルスに由来するベクターに使用される。他の典型的な真核ベクターは、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、および、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳がんウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリへドリンプロモーター、または真核細胞における発現に有効であることが示されている他のプロモーターの調節下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターを含む。
【0066】
一部の発現系は、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼおよびジヒドロ葉酸還元酵素といった、遺伝子増幅を提供するマーカーを有する。代替的に、ポリへドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの支配下にある組み換え抗体または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を有する昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクターといった、遺伝子増幅が関与しない高収量発現系もまた適当である。
【0067】
典型的には発現ベクターに含まれる配列は、大腸菌(E.coli)で機能するレプリコン、組み換えプラスミドを持つ細菌の選択を可能にする抗生物質耐性をコードする遺伝子、および真核配列の挿入を可能にするプラスミドの非必須領域の唯一の制限部位もまた含む。選択される具体的な抗生物質耐性遺伝子は決定的でなく、本分野で公知の多数の耐性遺伝子のうち任意のものが適当である。原核配列は、必要に応じて、真核細胞におけるDNAの複製に干渉しないように、随意的に選択される。抗生物質耐性選択マーカーと同様に、既知の代謝経路に基づく代謝選択マーカーもまた、形質転換宿主細胞を選択するための手段として使用されうる。
【0068】
組み換えタンパク質(たとえば、本発明のウロジラチン−Fc断片融合タンパク質)の周辺発現が望まれる場合、発現ベクターはさらに、発現すべきタンパク質のコード配列の5'に直接結合された、大腸菌(E.coli)OppA(周辺オリゴペプチド結合タンパク質)分泌シグナルまたはその修飾型といった分泌シグナルをコードする配列を含む。このシグナル配列は、細胞質で産生された組み換えタンパク質を、細胞膜を通過して周辺腔へ導く。発現ベクターはさらに、組み換えタンパク質が周辺腔に入る際にシグナル配列を酵素的に切断できる、シグナルペプチダーゼ1をコードする配列を含みうる。組み換えタンパク質の周辺産生についてのより詳細な記載は、たとえば、グレイ(Gray)他,Gene 39:247−254(1985),U.S.Patent Nos.6,160,089および6,436,674に見出すことができる。
【0069】
上記で考察した通り、当業者は、一部の修飾、特にさまざまな保存的置換を、典型的なナトリウム利尿ペプチドまたは抗体定常領域(たとえば、配列番号:2および4)に、ナトリウム利尿ペプチドの生物活性および抗体定常領域の望まれる安定化作用をまだ保持したままで行うことができることを理解する。さらに、ポリヌクレオチドコード配列の修飾はまた、結果として生じるアミノ酸配列を変えることなく、特定の発現宿主において好ましいコドン用法を与えるように実施されうる。
【0070】
C.トランスフェクション法
標準的なトランスフェクション法を用いて、大量の組み換えポリペプチドを発現する細菌、哺乳類、酵母、昆虫、または植物細胞株が作製され、組み換えポリペプチドは次いで標準的な方法を用いて精製される(たとえば、コリー(Colley)他,J.Biol.Chem.264:17619−17622 (1989);『タンパク質精製ガイド』(Guide to Protein Purification),in Methods in Enzymology,vol.182 (ドイチャー(Deutscher)編,1990)を参照)。真核および原核細胞の形質転換は、標準的な方法にしたがって実施される(たとえば、モリソン(Morrison),J Bad.132:349−351(1977);クラーク・カーチス(Clark−Curtiss)およびカーチス(Curtiss),Methods in Enzymology 101:347−362(ウー(Wu)他編,1983)を参照。
【0071】
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞へ導入するためのよく知られた方法のうち任意のものが使用されうる。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、血漿ベクター、ウイルスベクターおよび、クローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来遺伝物質を宿主細胞へ導入するための任意の他のよく知られた方法の使用を含む(たとえば、サムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell)、前掲)。使用する具体的な遺伝子工学手順は、ウロジラチン、CH断片、またはそれらの融合タンパク質を発現できる宿主細胞へ、少なくとも1個の遺伝子の導入に成功できさえすればよい。
【0072】
D.組み換えによって産生されたポリペプチドの精製
トランスフェクションされた宿主細胞における組み換えポリペプチドの発現が一旦確認されれば、宿主 細胞は次いで、組み換え ポリペプチドを精製する目的のために適当なスケールで培養される。
【0073】
1.原核および真核細胞からの組み換えタンパク質の精製
ポリペプチド、たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質が、典型的にはプロモーター誘導後、組み換え的に形質転換細菌によって大量に産生される際、発現は構成的でありうるが、ポリペプチドは不溶性凝集物を形成しうる。タンパク質封入体の精製に適したいくつかの手順がある。たとえば、凝集タンパク質(以後、封入体と呼ぶ)の精製は、典型的には、たとえば約100〜150μg/mlリゾチームおよび非イオン性界面活性剤0.1%ノニデット(Nonidet)P40の緩衝液中でのインキュベートによる細菌細胞の破壊による、封入体の抽出、分離および/または精製を含む。細胞懸濁液は、ポリトロン(Polytron)グラインダー(ブリンクマン・インスツルメンツ社(Brinkman Instruments)、ニューヨーク州ウェストベリー(Westbury))を用いて磨砕されうる。代替的に、細胞は氷上で超音波処理されうる。細菌を溶解する代替的な方法は、アウスベル(Ausubel)他およびサムブルック(Sambrook)およびラッセル(Russell)(共に前掲)に記載され、および当業者に明らかとなる。
【0074】
細胞懸濁液は一般的に遠心分離され、および封入体を含む沈澱が、封入体を溶解せずに洗浄する緩衝液、たとえば、20mMトリス(Tris)−HCl(pH7.2)、1mM EDTA、150mM NaClおよび非イオン性界面活性剤2%トリトン(Triton)−X100に再懸濁される。細胞残渣を可能な限り除去するように洗浄段階を反復する必要がありうる。残った封入体の沈澱を、適当な緩衝液(たとえば、20mMリン酸ナトリウム、pH6.8、150mM NaCl)に再懸濁しうる。他の適当な緩衝液は当業者に明らかとなる。
【0075】
洗浄段階後、封入体は、強い水素受容体および強い水素供与体の両方(またはこれらの性質の一方をそれぞれ有する溶媒の組み合わせ)である溶媒の添加によって可溶化される。封入体を形成したタンパク質は、次いで、適合する緩衝液での希釈または透析によって再生されうる。適当な溶媒は、尿素(約4Mないし約8M)、ホルムアルデヒド(少なくとも約80%、体積/体積基準)、および塩酸グアニジン(約4Mないし約8M)を含むがそれらに限定されない。凝集形成タンパク質を可溶化できる一部の溶媒、たとえばSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および70%ギ酸は、免疫原性および/または活性の欠如を伴うタンパク質の不可逆的変性の可能性のために、この手順には不適当でありうる。塩酸グアニジンおよび類似の物質は変性剤であるが、この変性は不可逆でなく、および変性剤の除去(たとえば透析によって)または希釈に際して再生が可能であり、目的の免疫学的におよび/または生物学的に活性なタンパク質の再変性を可能にする。可溶化後、当該タンパク質は、他の細菌タンパク質から標準的な分離方法によって分離されうる。組み換えポリペプチドの細菌封入体からの精製のさらなる説明については、たとえば、パトラ(Patra)他,Protein Expression and Purification 18:182−190(2000)を参照。
【0076】
代替的に、組み換えポリペプチド、たとえば、組み換えによって産生された本発明のウロジラチン−Fc断片融合タンパク質を、細菌周辺質から精製することが可能である。組み換えタンパク質が細菌の周辺質へ排出される場合、細菌の周辺画分は、当業者に明らかである他の方法に加えて、冷浸透圧ショックによって単離されうる(たとえば、アウスベル(Ausubel)他(前掲)を参照)。組み換えタンパク質を周辺質から単離するために、細菌細胞は遠心分離されて沈澱が形成される。沈澱は、20%スクロースを含む緩衝液に再懸濁される。細胞を溶解するために、細菌を遠心分離し、および沈澱を氷冷5mM MgSO4に再懸濁し、および氷浴中に約10分間保持する。細胞懸濁液を遠心分離し、および上清をデカントしおよび保存する。上清中に存在する組み換えタンパク質は宿主タンパク質から、当業者によく知られた標準的な分離方法によって分離されうる。
【0077】
2.精製のための標準的なタンパク質分離法
下記の標準的なタンパク質精製方法は、原核細胞(たとえば細菌細胞)および真核細胞(たとえば哺乳類細胞)での組み換えタンパク質産生過程の両方に適用可能である。組み換えポリペプチド、たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質が宿主細胞において可溶型で発現される場合、その精製は下記の標準的なタンパク質精製手順に従うことができる。この標準的な精製手順はまた、化学合成から得られたナトリウム利尿ペプチド、抗体定常領域、またはそれらの複合体(ペプチド結合によって結合したそれらの複合体、すなわち、融合タンパク質を含む)を精製するのにも適している。
【0078】
i.可溶性分画
しばしば最初の段階として、およびタンパク質混合物が複雑である場合は、最初の塩分画が、不要な宿主細胞タンパク質(または細胞培地に由来するタンパク質)の多くを、目的の組み換えタンパク質、たとえば、本発明のウロジラチン−Fc断片融合タンパク質から分離できる。好ましい塩は硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水の量を効果的に減少させることによってタンパク質を沈澱する。タンパク質は次いで、それらの溶解度に基づいて沈澱する。タンパク質が疎水性であるほど、タンパク質はより低い硫酸アンモニウム濃度にて沈澱する可能性が高い。典型的な手順は、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液へ、結果として生じる硫酸アンモニウム濃度が20〜30%の間になるように加える。これは大部分の疎水性タンパク質を沈澱する。沈澱は廃棄され(目的のタンパク質が疎水性でない限り)、および硫酸アンモニウムが上清へ、目的のタンパク質を沈澱することが知られている濃度へ添加される。沈澱は次いで緩衝液中で可溶化され、および必要に応じて透析またはダイアフィルトレーションによって過剰の塩が除去される。冷エタノール沈澱といった、タンパク質の溶解度に基づく他の方法は当業者によく知られており、および複雑なタンパク質混合物を分画するのに使用されうる。
【0079】
ii.サイズ分画ろ過
計算分子量に基づいて、サイズがより大きい、およびより小さいタンパク質は、異なる孔径の膜(たとえば、アミコン(Amicon)またはミリポア(Millipore)膜)を通した限外ろ過を用いて単離されうる。最初の段階として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質、たとえば、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質の分子量よりも小さい分子量カットオフを有する孔径の膜を通して限外ろ過する。限外ろ過の不透過物を次いで、目的のタンパク質の分子量よりも大きい分子量カットオフを有する膜に対して限外ろ過する。組み換えタンパク質は膜をろ液へと通過する。ろ液を次いで下記の通りクロマトグラフィーしうる。
【0080】
iii.カラムクロマトグラフィー
目的のタンパク質(たとえば本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質)はまた、他のタンパク質から、サイズ、正味表面電荷、疎水性、またはリガンドに対する親和性に基づいて分離されうる。さらに、ナトリウム利尿ペプチドまたはその融合パートナーの抗体定常領域に対して作製された抗体を、カラムマトリクスに結合しおよび組み換えポリペプチドを免疫精製できる。これらの方法のすべては本分野でよく知られている。
【0081】
クロマトグラフィー法は任意のスケールでおよび多数の異なる製造者(たとえば、ファルマシア・バイオテク社(Pharmacia Biotech))由来の装置を用いて実施できることが当業者に明らかとなる。
【0082】
IV.ナトリウム利尿ペプチド、抗体定常領域、またはそれらの融合タンパク質の化学合成
組み換え産生が上記の方法にしたがって実行可能である一方、aナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域はまた、それらの複合体化の前に、従来のペプチド合成または本分野でよく知られた他の手順を用いて合成されうる。さらに、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域融合タンパク質はまた、特に融合タンパク質が相対的に長さが短い、たとえば、150〜200アミノ酸未満である場合は、単一ポリペプチドとして化学的に合成されうる。
【0083】
ポリペプチドは、固相ペプチド合成法によって、メリフィールド(Merrifield)他,J.Am.Chem.Soc,85:2149−2156(1963);『ペプチド:分析、合成、生物学』(The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology)グロス(Gross)およびマイエンホファー(Meienhofer)(編),アカデミックプレス社(Academic Press),ニューヨーク,第2巻,pp.3−284(1980)のバラニー(Barany)およびメリフィールド(Merrifield),『固相ペプチド合成』(Solid−Phase Peptide Synthesis);およびスチュワート(Stewart)他,『固相 ペプチド合成第2版』(Solid Phase Peptide Synthesis 2nd ed.),ピアスケミカル社(Pierce Chem.Co.),ロックフォード(Rockford),111.(1984)によって記載されたものと同様の手順を用いて合成されうる。合成中に、保護された側鎖を持つN−α−保護アミノ酸が、C末端でおよび固相担体へ、すなわち、ポリスチレンビーズへ結合された成長中のポリペプチド鎖へ段階的に添加される。ペプチドは、N−α−脱保護アミノ酸のアミノ基を、ジシクロヘキシルカルボジイミドといった試薬と反応させることによって活性化されているN−α−保護アミノ酸のα−カルボキシ基へ結合させることによって合成される。活性化カルボキシルへの遊離アミノ基の付加は、ペプチド結合形成に繋がる。最も一般的に用いられるN−α−保護基は、酸不安定性であるBoc、および塩基不安定性であるFmocを含む。
【0084】
固相担体としての使用に適する材料は当業者によく知られており、および下記を含むがそれらに限定されない:クロロメチル樹脂またはブロモメチル樹脂といったハロメチル樹脂;ヒドロキシメチル樹脂;4−(α−[2,4−ジメトキシフェニル]−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ樹脂といったフェノール樹脂;tert−アルキルオキシカルボニル−ヒドラジド化樹脂など。そのような樹脂は市販されており、およびそれらの調製方法は当業者に公知である。
【0085】
要約すると、C−末端N−α−保護アミノ酸がまず固相担体に付加される。N−α−保護基が次いで除去される。脱保護されたα−アミノ基は、次のN−α−保護アミノ酸の活性化α−カルボキシラート基と結合する。その過程は目的のペプチドが合成されるまで反復される。結果として生じるペプチドは、次いで不溶性ポリマー担体から切断され、およびアミノ酸側鎖は脱保護される。より長いペプチドを、保護ペプチド断片の縮合によって得ることができる。適当な化学、樹脂、保護基、保護アミノ酸および試薬の詳細は当業者によく知られており、およびそのためここで詳細に考察しない(アサートン(Atherton)他,固相ペプチド合成:実践的手法(Solid−Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach),IRLプレス社(IRL Press)(1989),およびボダンスキー(Bodanszky),『ペプチド化学・実践的テキストブック第2版』(Peptide Chemistry,A Practical Textbook,2nd Ed.),シュプリンガー・フェアラーク社(Springer−Verlag)(1993)を参照)。
【0086】
V.ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の化学的複合体化
ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域は、たとえば、組み換え発現および精製といった別々の作製後に、本発明の複合体を生じるように化学的手段によって結合されうる。化学的複合体化は、典型的には、ペプチド結合(一部の場合には単一融合タンパク質を形成する)およびジスルフィド結合といった非ペプチド結合を含むさまざまな共有結合によって達成される。代替法では、化学的複合体化はまた、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を結合する1つ以上の化学リンカーを用いることによっても達成されうる。2つ以上の化合物の化学結合を介した複合体化を可能にする複数の官能基を有する分子である、さまざまなリンカーが本分野で公知であり、および多数の販売者から容易に入手されうる。
【0087】
一部の場合には、化学修飾は、たとえば、ナトリウム利尿ペプチドを抗体定常領域と、または2つの抗体定常領域を互いに、直接的にまたは結合化合物を介して、タンパク質化学の分野でよく知られている方法によって結合する目的での誘導体化を含む、複合体化過程を円滑化しうる。共有結合は複合体化の好ましい手段であるが、一部の場合には、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を結合するために非共有結合が使用されうる。複合体化部位はしばしばペプチドのN−またはC末端であるが、しかしまた内部アミノ酸上の官能基を介してペプチドの中に位置しうる。
【0088】
ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を結合するための手順は、それらのアミノ酸組成、およびペプチドが結合する場所にしたがって異なる。ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域の両方のペプチドが、典型的にはカルボン酸(−COOH)、遊離アミン(−NH2)、またはスルフヒドリル(−SH)基といったさまざまな官能基を含み、それらは他方のペプチド鎖上の適当な官能基との反応に利用可能であり、結果として結合を生じる。
【0089】
代替的に、ナトリウム利尿ペプチドまたは抗体定常領域は、追加の反応性官能基を露出または付加するように誘導体化されうる。誘導体化は、シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis))、ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Company)(イリノイ州ロックフォード(Rockford))、およびモレキュラー・バイオサイエンシズ社(Molecular Biosciences)(コロラド州ボールダー(Boulder))から入手可能であるもののようないくつかのリンカー分子のうち任意のものの付加を含みうる。リンカーは、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域のペプチド鎖の両方と共有結合を形成できる。適当なリンカーは当業者によく知られており、および、直鎖または分枝鎖炭素リンカー、ヘテロ環式炭素リンカー、またはペプチドリンカーを含むがそれらに限定されない。複合体化パートナーはポリペプチドであるため、リンカーは構成アミノ酸とそれらの側基を通じて(たとえば、ジスルフィド結合を通じてシステインと)結合しうる。リンカーはまた、末端アミノ酸のα炭素アミノ基およびカルボキシル基と結合しうる。
【0090】
複合体化の代替法として、ペプチド鎖は、タグおよびタグバインダーの相互作用を介して非共有的に結合されうる。タグおよびタグバインダーは、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域に化学的手段によって結合されうる。たとえば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアクリレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテートといった合成ポリマーは、適当なタグまたはタグパインダーを形成しうる。この目的に適した対はまた、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン、および多数の公知の細胞表面受容体−リガンド対、たとえば、サイトカイン、細胞接着分子、ウイルスタンパク質、ステロイド、およびさまざまなトキシン/ベノムとそれぞれの受容体を含む。これらのタグまたはそのコード配列の多くは市販されている。ペプチド、ポリエーテルなどといった他の一般的なリンカーもまたタグの役割を果たすことができ、および約5ないし200アミノ酸のポリGly配列といったポリペプチド配列を含む。そのような柔軟なリンカーは当業者に公知である。たとえば、ポリ(エチレングリコール)リンカーはシアウォーター・ポリマーズ社(ShearwaterPolymers、Inc.)(アラバマ州ハンツビル(Huntsville)から入手可能である。これらのリンカーは随意的に、アミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ官能結合を有する。多数の他のタグ/タグバインダー対もまたこの目的に使用でき、およびこの開示の検討に際して当業者に明らかとなる。
【0091】
1つの別の代替法は、2つのペプチド鎖は、結合当事者の一方がまず固相担体に固定化される場合、タグ/タグバインダー相互作用を介して結合されうることである。タグバインダーは、現在利用可能な任意のさまざまな方法を用いて、固相基材へ固定される。固相基材は、基材のすべてまたは一部を、タグバインダーの一部と反応性である化学基を表面へ固定する化学試薬へ曝露することによって、一般的に誘導体化または官能化される。たとえば、より長い鎖部分との結合に適した基は、アミン、ヒドロキシル、チオール、およびカルボキシル基を含む。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランを用いて、ガラス表面といったさまざまな表面を官能化できる。固相バイオポリマーアレイの構築は、文献によく記載されている。たとえば、メリフィールド(Merrifield),J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)(たとえばペプチドの固相合成を記載);ガイセン(Geysen)他,J.Immun.Meth.102:259−274(1987) (ピン上の固相成分の合成を記載);フランク(Frank)およびドリング(Doring),Tetrahedron 44:6031−6040(1988)(セルロースディスク上のさまざまなペプチド配列の合成を記載);フォダー(Fodor)他,Science,251:767−777(1991);シェルドン(Sheldon)他,Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);およびコザール(Kozal)他,Nature Medicine 2(7):753759(1996)(すべて固相基材に固定されたバイオポリマーのアレイを記載)を参照。タグバインダーを基材へ固定するための非化学的手法は、熱、UV照射による架橋、などといった他の一般的な方法を含む。
【0092】
VI.複合体についての機能アッセイ
本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体は、非複合体型ナトリウム利尿ペプチドによって治療可能であると知られている症状のための治療用途に有用である。たとえば、当該複合体は、医薬用途に該当するナトリウム利尿ペプチドの生物活性の一部(たとえば、少なくとも0.1%、1%、10%、20%、30%、50%以上)を保持する。ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域の複合体が一旦作製されれば、当該複合体によって保持されている目的の生物活性のレベルを評価するために、いくつかの機能アッセイのうち1つ以上を実施でき、対応する野生型ナトリウム利尿ペプチドが典型的には対照または比較基準としてアッセイに用いられる。
【0093】
A.NPR結合アッセイ
ナトリウム利尿ペプチドの活性の1つの側面は、その天然受容体を高い親和性で結合する能力である。たとえば、ウロジラチンはNPR−A受容体を高い親和性で結合し、本発明に記載の潜在的に有用なウロジラチン−抗体定常領域複合体はしたがって、さまざまなNPR−A結合アッセイで試験されうる。1つのアッセイ形式は、無細胞in vitro系であり、ここで受容体およびウロジラチンのような野生型ナトリウム利尿ペプチドの間の特異的結合を可能にする条件下で、NPR−A受容体またはその細胞外ドメインを含むその修飾型が被験化合物(たとえばウロジラチン複合体)と共に提供される。別のアッセイ形式は、細胞を基礎とするin vitro系であり、ここでNPR−A受容体を天然に発現するかまたはトランスフェクション後に受容体(またはその細胞外ドメインを含むNPR−Aの修飾型)を発現する細胞が、ナトリウム利尿ペプチド(たとえば、ウロジラチン)および抗体定常領域の複合体といった被験化合物と、受容体および野生型ナトリウム利尿ペプチド(たとえばウロジラチン)の間の特異的結合を可能にする条件下で、接触して配置される。同様のアッセイが、NPR−BおよびNPR−Cについての結合親和性を評価するために使用されうる。この種類の典型的なアッセイ系は、たとえば、ロウ(Lowe)およびフェンドリー(Fendly),J.Biol.Chem.267:21691−21697,1992といった科学文献に、および本明細書の後の項でより詳細に記載される。
【0094】
B.NPR−A活性化アッセイ
ナトリウム利尿ペプチドの活性の別の指標は、その自然のNPR受容体(たとえば、NPR−A受容体)、グアニリルシクラーゼを活性化する能力であり、それは細胞内cGMPレベルの検出可能な上昇に繋がる。典型的には、この種類のアッセイは、NPR受容体(たとえばNPR−A)または当該タンパク質の機能性変異体を発現するようにトランスフェクションされている細胞全体を用いて実施される。これらの細胞の被験化合物(たとえばウロジラチン−Fc断片複合体)への曝露後、それらの細胞内cGMP濃度が測定され、および、野生型ナトリウム利尿ペプチド(たとえば、ウロジラチン)へ、またはNPR−A受容体に対して作用を有しない物質だけへ曝露された対照細胞で見られる濃度と比較される。同様の受容体活性化アッセイが、NPR−Bの活性化を評価するために使用されうる。cGMPレベルを測定するNPR活性化アッセイ系のより詳細な記載はまた、ロウ(Lowe)およびフェンドリー(Fendly),J.Biol.Chem.267:21691−21697,1992に、および本明細書の後の項に見出すことができる。
【0095】
C.薬物動態試験
薬物動態試験が、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体の、ナトリウム利尿ペプチド単独と比較した血清半減期の増加を測定するために実施される。被験化合物のin vivoすなわち血清半減期を測定するためのいくつかの方法が本分野で公知であり、典型的にはラットおよびマウスといった実験動物で、化合物の動物への投与(たとえば、静脈内注射による)後のさまざまな時点での被験化合物の血清濃度を監視することによって実施される。一般的な方法論についてのより詳細な説明については、たとえば、U.S.PatentNos.5,780,054;6,423,685;および7,022,673を参照。これらの本分野で知られた方法を用いた薬物動態実験で観察される血清半減期の増加は、ヒト患者における半減期の増加の指標として一般に受容されている。
【0096】
VII.医薬組成物および投与
ウロジラチンおよびその他を含むナトリウム利尿ペプチドは、細菌感染、肺および気管支疾患、腎不全、および鬱血性心不全といったさまざまな医学的症状の治療における使用について知られており、たとえば、U.S.Patent Nos.5,571,789および6,831,064、US2005/0089514、およびWO2006/110743を参照。したがって、本発明の別の態様は、ナトリウム利尿ペプチドの治療的有効性を保持しおよび好ましくは非複合体型ナトリウム利尿ペプチド単独と比較してより長い血清半減期を有する、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体を含む医薬組成物である。この組成物は、しばしば少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリヤーをさらに含み、特定のナトリウム利尿ペプチドの投与が適応される症状のための治療用途に使用されうる。本発明の医薬組成物は、さまざまなドラッグデリバリーシステムにおける使用に適する。本発明における使用に適当な処方は、『レミントンの薬科学』(Remington's Pharmaceutical Sciences),マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company),ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia),第17版(1985)に見られる。ドラッグデリバリーのための方法の短い総説については、ランガー(Langer),Science 249:1527−1533 (1990)を参照。
【0097】
本発明の化合物を含む医薬組成物を調製するために、不活性なおよび薬学的に許容可能な添加物またはキャリヤーが用いられる。液体医薬組成物は、たとえば、皮内、皮下、非経口、筋肉内、または静脈内投与に適する、液剤、懸濁剤、および乳剤を含む。有効成分(たとえば、本発明のウロジラチン−Fc融合タンパク質)の無菌水溶液、または有効成分の水、緩衝水、生理食塩水、PBS、エタノール、またはプロピレングリコールを含む溶媒の無菌溶液は、非経口投与に適する液体組成物の例である。組成物は、生理条件に近づけるために必要に応じて、pH調整剤および緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、界面活性剤、などといった薬学的に許容可能な助剤を含みうる。
【0098】
無菌溶液は、有効成分(たとえば、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体)を目的の溶媒系に溶解し、および次いで結果として得られた溶液を滅菌するためにメンブレンフィルターを通すことによって、または、代替的に、無菌化合物を無菌条件下で予め滅菌された溶媒に溶解することによって、調製されうる。結果として生じる水溶液は、そのまま使用するために包装でき、または凍結乾燥して、使用前に凍結乾燥調製物を無菌水キャリヤーと合わせることができる。調製物のpHは典型的には5ないし9、より好ましくは7ないし8、および非常に好ましくは6.5ないし7または7.5となる。
【0099】
一部の実施形態では、組成物は、ゼラチン、アスコルビン酸、トレハロース、スキムミルク、デンプン、キシリトールなどといった不活性成分を用いる、固体または半固体処方でありうる。
【0100】
本発明の医薬組成物は、たとえば、皮下、皮内、経皮、筋肉内、静脈内、または腹腔内といったさまざまな経路によって投与されうる。一部の場合には、組成物は非経口、鼻内、局所、経口、またはエアロゾルまたは経皮的にといった局所投与によって、予防的処置のために配送されうる。しばしば、医薬組成物は局所的に投与、たとえば、膣内または直腸内にデポされうる。代替的に、医薬組成物は経口投与されうる。このように、本発明は、生理的に許容可能なキャリヤー、好ましくは水系キャリヤー、たとえば、水、緩衝水、生理食塩水、PBSなどに溶解または懸濁された、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体を含む、全身、局所、および経口投与のための組成物を提供する。組成物は、生理条件に近づけるために必要に応じて、pH調整剤および緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤、界面活性剤、などといった薬学的に許容可能な助剤を含みうる。
【0101】
代替的に,組成物は坐剤またはペッサリーとして配送されうる。一部の実施形態では、本発明の化合物は米国特許第6,468,526および6,372,209号明細書に記載されるような保存マトリクス中で調製され、および溶解性について選択された可溶性ポリマー材料および/または複合糖質材料製の可溶性要素内で配送され、そのためそれは使用前は実質的に固形のままであり、およびヒトの体温および水分のために使用中に溶解し、望まれる時限放出および投与で化合物を放出する。たとえば、米国特許第5,529,782号明細書を参照。化合物はまた、米国特許第4,693,705号明細書に記載されたようなスポンジ状配送媒体で、またはタンポン様配送チューブを介して、配送されうる。
【0102】
一部の実施形態では、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体(たとえば、ウロジラチン−Fc融合タンパク質)を含む組成物は、経口投与用に処方される。たとえば、最終組み換え産物の物理的形状は、随意的に徐放処方の、経口摂取に適した錠剤/カプセルでありうる。
【0103】
医薬組成物を投与する好ましい経路は、平均的な成人患者について、ナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体の週用量約0.01〜10g/kg患者体重、好ましくは0.05〜5g/kg、より好ましくは約0.1〜1g/kgでの静脈内または筋肉内注射による。適当な用量は、日、週、隔週、または月間隔で、組成物の単回または反復投与によって、主治医の決定する用量レベルおよびパターンを用いて、配送されうる。いずれにしろ、医薬処方は、本発明のナトリウム利尿ペプチド−抗体定常領域複合体の、個人において目的の医学的用途を達成するのに十分な量を提供すべきである。
【0104】
本発明の医薬組成物の治療的有効性を高めるために、相加または相乗効果を提供するための追加の成分が組成物に含まれうる。そのような随意的な成分の一部の例は、当業者に既に公知である腎臓または心臓症状のための治療剤を含む。
【実施例】
【0105】
下記の実施例は説明のためだけに提供され、および限定のためではない。当業者は、本質的に同一または類似の結果を生じるように変化または改変されうるさまざまな決定的でないパラメーターを容易に理解する。
【0106】
方法
1.Uro−Fc(huFcG1(m1))およびFc−Uro(huFcG1(m1))DNA構築物および融合タンパク質の作製
Uro−Fc(huFcG1(m1))DNA構築物を下記の通り作製した:proANPのシグナル配列(Genbank配列NM_006172.1:ヒト(Homo sapiens)ナトリウム利尿ペプチド前駆体A(NPPA)、mRNA配列を使用)をゲノムDNAからPCRを用いて作製した。シグナル配列の3'末端について用いたプライマーはウロジラチン配列の最初の20塩基を含み、およびウロジラチンの5'末端についてのプライマーはシグナル配列の最後の20塩基を含んだ。これらの2つのPCRの産物を2回目のラウンドに合わせて、外側プライマーの内側にPad制限部位および部分Kozak配列(CACC)を5'末端におよびNotl制限部位を5'末端に付加した、完全長シグナル配列を伴うウロジラチンを増幅した。結果として生じる産物をPacl/Notlで切断し、およびhuFcG1m(1)配列を含む発現ベクターへ、標準的な分子生物学手法を用いてライゲーションした。
【0107】
HuFcG1m(1)はGenbank配列BC067091(ヒト(Homo sapiens)免疫グロブリン重鎖定常γ1(G1mマーカー)、mRNA)に基づいて作製し、および標準的な分子生物学手法を用いて配列変化を行い、プライマーが必要な変化を有し、およびNotl制限部位を両側に付加した。結果として生じる産物をNotlで切断し、および次いで発現ベクターへライゲーションした。
【0108】
BC067091への塩基変化を下記の通り行った:HuFcG1m(1)はBC067091の749位で開始する。塩基変化は下記の位置で行った:788C→G、789T→C、791C→G、792T→A、796G→C、798G→C、799A→G、1154G→C、1156T→G、1160C→T、および1309C→T。
【0109】
Fc−Uro(huFcG1(m1))DNA構築物は下記の通り調製した:Fc−Uro(huFcG1(m1))DNAは、3対のPCRプライマーおよび上記のUro−Fc(huFcG1(m1))DNAを用いて作製した。第1の対の5'プライマーは、Pad制限部位と後続のproANP(Genbank配列NM_006172.1:ヒト(Homo sapiens)ナトリウム利尿ペプチド前駆体A(NPPA)、mRNA配列を使用)のシグナル配列の最初の20塩基に対応した。第1の対の3'プライマーは、シグナル配列の最後の21塩基とhuFcG1m(1)の最初の19塩基(上記参照)を含んだ。第2のプライマー対の5'プライマーは、第1の3'プライマー(シグナル配列)の相補配列を含み、一方、第2の対の3'プライマーはhuFcG1m(1)の最後の21塩基とウロジラチン配列の最初の20塩基に対応した。第3の組の5'プライマーはhuFcG1m(1)の3'プライマーの相補配列を含み、一方、3'プライマーはウロジラチン配列の最後の20塩基と後続の終止コドンおよびNotl制限部位に対応した。結果として生じるDNA断片をPadおよびNotlで切断し、および続いて発現ベクターへライゲーションした。
【0110】
上記のDNA配列を含む哺乳類発現ベクターを、哺乳類組織培養細胞へトランスフェクションし、および記載のDNA配列によってコードされるタンパク質を、組織培地から、標準的な分子生物学およびタンパク質精製法を用いて精製した。
【0111】
2.ナトリウム利尿ペプチド受容体(NPR)結合アッセイ
結合親和性定数(KD)の推定値を結果として生じる、分析物の動態測定をBIAcore2000&3000装置および製造元(ビアコア社(BIAcore)、スウェーデン)による方法を用いて実施した。ヒト免疫グロブリンのFcドメインをコードするDNAと融合した受容体NPR−Aの細胞外ドメインをコードする発現構築物を、哺乳類細胞で発現し、および培地から、標準的な分子生物学およびタンパク質精製法を用いて精製した(ベネット(Bennett)他,J.Biol.Chem.266(34):23060−23067,1991)。精製されたNPR−A−Fc受容体融合タンパク質を、センサーチップ表面に固定されたヤギ抗ヒトFcγ(GAHFc)抗体(ジャクソン・イムノリサーチ社(Jackson ImmunoResearch),品番109−005−098)によって捕捉した。捕捉後に占有されていないGAHFcを分析物から、ヒトFc(huFc,ジャクソン・イムノリサーチ社,品番009−000−008)の注射によって遮蔽した。分析物を注射して結合相を得て、次いでHBS−P分析緩衝液(10mM HEPES、150mM塩化ナトリウム、0.005%P−20界面活性剤、pH7.4)を注射して各結合サイクルについて解離を監視した。
【0112】
各分析物−受容体対の結合動態を、BIAevaluateプログラム(ビアコア社(BIAcore)、スウェーデン)を用いて異なる分析物濃度から集めたセンサーグラムデータの全体的分析から計算した。各受容体に対する各分析物の結合(ka)および解離(kd)の結果として生じる親和性(KD)は、BIAevaluateソフトウェア((ビアコア社、スウェーデン)からの同一の1:1ラングミュア(Langmuir)モデルを用いて分析物濃度系列由来のセンサーグラムの結合相および解離相を同時に合致させることによって得られた。
【0113】
3.NPR−A受容体活性化の測定
被験化合物によるNPR−A受容体活性化は、NPR−A受容体をコードする発現ベクターDNAでトランスフェクションされた哺乳類細胞とのインキュベート、およびこれらの細胞において産生されたcGMPの量を測定することによって測定された。
【0114】
NPR−Aをコードする発現ベクターDNAでトランスフェクションされた哺乳類組織培養細胞(たとえば、3T12細胞)を、96ウェルマイクロタイタープレートで18〜20時間(〜50,000細胞/ウェル)、標準的な組織培養条件を用いて培養した。組織培地を次いで無血清培地に交換し、細胞を1mM IBMXで30分間予備インキュベートし、およびさまざまな濃度の被験化合物で10分間処理した。細胞を次いで0.2ml/ウェルの0.1M HClで20分間溶解し、および溶解物を1000Xgにて2分間遠心分離した。上清中のcGMP を、市販キット(直接cGMP EIAキット、アッセイデザインズ社(Assay Designs,Inc.)、品番901−014)を用いて取扱説明書に従って測定した。
【0115】
4.薬物動態試験
被験化合物のin vivo 半減期を、薬物動態 試験をラットで標準的な手順を用いて実施することによって推定した。 すべての動物手順は、PDLバイオファーマ社(PDL BioPharma,Inc.)の施設内動物実験委員会によって承認されたプロトコルに基づいて実施した。PDLバイオファーマ社は国際実験動物管理公認協会(Association for Accreditation of Laboratory Animal Care International)によって認証されている。体重280〜355gの雄スプレイグ・ドーリー(Sprague−Dawley)ラットの群をイソフラレンで麻酔し、および頸静脈および頸動脈をそれぞれ静脈内ボーラス注射および採血のためにカニューレ処置した。被験化合物を単回静脈内ボーラスとして投与し、およびK2EDTAおよびアプロチニン入りの採血管へ規定の時点に採血した。血漿を血液試料から標準的な手順を用いて調製し、および分割して−80℃にて分析まで保存した。
【0116】
Uro−Fc(hFcG1(m1))の血漿レベルを、サンドイッチELISAによって96ウェルマイクロタイタープレートで測定した。要約すると、血漿試料希釈(未処理動物由来プール血漿を用いて調整および10%スーパーブロック(SuperBlock)ブロッキング緩衝液(ピアス社(Pierce),イリノイ州ロックフォード(Rockford)で1:10希釈)を、アフィニピュア(AffiniPure)ロバ抗ヒトIgG Fcγ断片特異的(ジャクソン・イムノリサーチラブズ社(Jackson ImmunoResearch Labs,Inc.),ペンシルベニア州ウェストグローブ(West Grove))でコーティングされたマイクロタイタープレートでインキュベートした。精製Uro−Fc(hFcG1(m1))(プールしたラット血漿で調整および10%スーパーブロック・ブロッキング緩衝液で1:10希釈)の段階希釈を標準として用いた。プレートを洗浄後、ヒツジ抗ヒトウロジラチン血清(ストラテジック・バイオソリューションズ社(Strategic Biosolutions),デラウェア州ニューアーク(Newark))を添加し、およびインキュベートおよび洗浄後、ウェルをペルオキシダーゼ複合体化ロバ抗ヒツジIgG(H+L)(ジャクソン・イムノリサーチラブズ社,ペンシルベニア州ウェストグローブ)とインキュベートした。ELISAを発色させ、プレートをマイクロタイタープレートリーダーで読み取り、および濃Uro−Fc(hFcGl(ml))の血漿試料中の濃度を標準的な手順を用いて計算した。
【0117】
血漿ウラリチド濃度を、サンドイッチELISAによって96ウェルマイクロタイタープレートで測定した。プレートをアフィニピュア(AffiniPure)F(ab')2断片ウサギ抗マウスIgG,Fcγ断片特異的(ジャクソン・イムノリサーチラブズ社(Jackson ImmunoResearch Labs,Inc.),ペンシルベニア州ウェストグローブ(WestGrove))でコーティングし、次いで洗浄および捕捉抗体マウス抗ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)モノクローナル抗体アブカム2093(アブカム社(Abcam,Inc.),マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge))と共にインキュベートした。血漿試料インキュベートおよびELISAの以降の段階は、Uro−Fc(hFcG1(m1))ELISAについて上述の通り実施した。
【0118】
薬物濃度−時間データを、非コンパートメント分析(NCA)手法で市販の薬物動態(PK)ソフトウェアWinNonlin5.2(ファーサイト社(Pharsight Corporation);カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View))を用いて分析した。薬物の終末半減期(t1/2)を式t1/2=ln(2)/λzから計算し、一方λzは終末期の試料採取時間における濃度の自然対数の回帰から推定された終末消失速度である。
【0119】
結果
図1Aに示す通り、アミノ末端にpro−ANPのシグナル配列およびヒトウロジラチン、続いて3アミノ酸残基のリンカー、およびカルボキシ末端にヒト免疫グロブリン重鎖定常γ1領域の変異体のFc部分(G1mマーカー)から成る融合タンパク質Uro−Fc(huFcG1(m1))をコードする組み換えDNA断片が作製された。図1Bは、アミノ末端にヒト免疫グロブリン重鎖定常γ1領域の変異体のFc部分(G1mマーカー)、およびカルボキシ末端にヒトウロジラチンから成る別の融合タンパク質Fc−Uro(huFcG1(m1))をコードする組み換えDNA断片を示す。これらのDNA配列によってコードされる融合タンパク質を、標準的な分子生物学およびタンパク質精製法を用いて作製した。
【0120】
図2は、ウラリチドを対照として用いた、Uro−Fc(huFcG1(m1))およびFc−Uro(huFcG1(m1))の、精製NPR−A−Fc融合タンパク質との結合を示す。Uro−Fc(huFcG1(m1))DNAによってコードされる精製ウロジラチン−Fc融合タンパク質の受容体結合活性は、ウラリチドと比較して、ビアコア(BIAcore)システムを用いて上記の通り測定された。結合測定は、受容体NPR−Aの細胞外ドメインの精製Fc融合タンパク質を用いて実施した。NPR−A受容体タンパク質に対する結合親和性(KD)は、ウラリチドについて3.1±1.0pM(n=5)、およびウロジラチン−Fc融合タンパク質について7.0±5.8pM(n=8)であった。これは、ウラリチドと同様に、Uro−Fc(huFcG1(m1))融合タンパク質は高い親和性でNPR−A受容体と結合することを実証する(図2A)。同様に、Fc−Uro(huFcG1(m1))DNAによってコードされる精製Fc−ウロジラチン融合タンパク質の受容体結合活性もまた、ウラリチドと比較して、ビアコア・システムを用いて上記の通り測定された。NPR−A受容体に対する結合親和性(KD)は、ウラリチドについて4.2±1.0pM(n=3)、およびFc−ウロジラチン融合タンパク質について0.35±0.1nM(n=6)であった。これは、Fc−Uro(huFcG1(m1))融合タンパク質がNPR−A受容体と結合することを実証する(図2B)。
【0121】
融合タンパク質Uro−Fc(huFcG1(m1))およびFc−Uro(huFcG1(m1))はさらに、トランスフェクションされた細胞上に発現されるNPR−A受容体を活性化する能力について試験された。図3に示す通り、Uro−Fc(huFcG1(m1))およびFc−Uro(huFcG1(m1))DNAによってコードされる精製ウロジラチン−Fc融合タンパク質の生物活性が、ウラリチドと比較して測定された。さまざまな濃度のウラリチドおよびUro−Fc(huFcG1(m1))タンパク質を、NPR−A受容体を発現する細胞とインキュベートし、および細胞内cGMPレベルを上記の方法にしたがって測定した。ウラリチドおよび融合タンパク質の両方が用量依存的にcGMPレベルを誘導し、EC50はそれぞれ8.9±2.4nMおよび26.3±7.5nMであった(平均±SD、n=4回の独立実験)。これは、Uro−Fc(huFcG1(m1))融合タンパク質が、ウロジラチン受容体NPR−Aの刺激において生物活性であることを実証する(図3A)。同様の方法で、Fc−Uro(huFcG1(m1))およびウラリチドは、トランスフェクションされた細胞上に発現されたNPR−A受容体を活性化することが示された。Fc−Uro(huFcG1(m1))DNAによってコードされる精製Fc−ウロジラチン融合タンパク質の生物活性が、ウラリチドと比較して、上記の方法にしたがって測定された。さまざまな濃度のウラリチドおよびFc−Uro(huFcG1(m1))タンパク質を、NPR−A受容体を発現する細胞とインキュベートし、および細胞内cGMPレベルを測定した。ウラリチドおよび融合タンパク質の両方が用量依存的にcGMPレベルを誘導し、EC50はそれぞれ27nMおよび86nMであった。これは、Fc−Uro(huFcG1(m1))融合タンパク質が、ウロジラチン受容体NPR−Aの刺激において生物活性であることを実証する(図3B)。
【0122】
ナトリウム利尿ペプチド複合体のin vivo半減期の潜在的な延長を測定するため、融合タンパク質Uro−Fc(hFcG1(m1)および非複合体型ウラリチドを、方法に記載される通り、ラットでの薬物動態試験に供した。精製Uro−Fc(hFcG1(m1)を単回静脈内ボーラスとして2種類の用量(用量群あたりラット5匹)、0.41mg/kg(25ug/kgウラリチドのモル当量)、および2.9mg/kg(25ug/kgウラリチドの7倍モル当量)にて投与した。動物から0.5、1、2、5、10、30分、および1、3、6、24時間に、および次いで24時間毎に、ボーラス注射の8日後まで採血した。Uro−Fc(hFcG1(m1)の血漿レベルをELISAによって測定し、および終末半減期(t1/2)を計算した。中央値t1/2は、用量0.41mg/kgを用いて4.9時間(範囲:1.6〜24.7時間)、および用量2.9mg/kgについて16.1時間(範囲:0.6〜31.6時間)であった。
【0123】
比較して、非複合体型ウラリチドの半減期を、ラットにおいて25および100ug/kg(4匹/用量群)にて単回静脈内ボーラス注射後に測定した。ボーラス注射後0.5、1、2、3.5、5、7.5、10、20、および30分に採血した。終末半減期を、ELISAによって測定したウラリチド血漿レベルから計算した。中央値t1/2は、25ug/kgについて0.78分(範囲:0.50〜0.99分)、および100ug/kgのボーラスについて0.83分(範囲:0.57〜1.16分)であった。これらの値は、別の方法論を用いて生じた公表データと非常に似通っている(0.73分、アバシ(Abassi),Z.A.,他,1992,Am.J.Physiol.263 (Endocrinol.Metab.26): E870−E876)。これは、ウロジラチン融合タンパク質Uro−Fc(hFcG1(m1)のin vivo終末半減期が、非複合体型ウラリチドと比較して延長されることを実証する(25ug/kgウラリチドのモル当量にて〜400倍)。
【0124】
本出願に引用された、公開されたアミノ酸またはポリヌクレオチド配列を含む、すべての特許、特許出願、および他の出版物は、本明細書において全体が参照により本開示に含まれる。ここに引用されるいずれかの参照文献および本明細書の特定の教示の間の対立があれば後者を支持して解決される。同様に、本分野で理解される単語または語句の定義、および本明細書で具体的に教示される単語または語句の定義の間の対立があれば後者を支持して解決される。
【0125】
配列一覧
配列番号:1 ウロジラチンポリヌクレオチド配列
1 actgcccctc ggagcctgcg gagatccagc tgcttcgggg gcaggatgga
61 caggattgga gcccagagcg gactgggctg taacagcttc cggtactga

配列番号:2 ウロジラチンアミノ酸配列
1 TAPRSLRRSS CFGGRMDRIG AQSGLGCNSF RY

配列番号:3 ヒトFc IgG1(m1)ポリヌクレオチド配列(配列番号:7の76-756)
1 gacaaaactc acacatgccc accgtgccca gcacctgaag ccgagggcgc gccgtcagtc
61 ttcctcttcc ccccaaaacc caaggacacc ctcatgatct cccggacccc tgaggtcaca
121 tgcgtggtgg tggacgtgag ccacgaagac cctgaggtca agttcaactg gtacgtggac
181 ggcgtggagg tgcataatgc caagacaaag ccgcgggagg agcagtacaa cagcacgtac
241 cgtgtggtca gcgtcctcac cgtcctgcac caggactggc tgaatggcaa ggagtacaag
301 tgcaaggtct ccaacaaagc cctcccagcc cccatcgaga aaaccatctc caaagccaaa
361 gggcagcccc gagaaccaca ggtgtacacc ctgcccccat cccggcagga gttgaccaag
421 aaccaggtca gcctgacctg cctggtcaaa ggcttctatc ccagcgacat cgccgtggag
481 tgggagagca atgggcagcc ggagaacaac tacaagacca cgcctcccgt gctggactcc
541 gacggctcct tcttcctcta tagcaagctc accgtggaca agagcaggtg gcagcagggg
601 aacgtcttct catgctccgt gatgcatgag gctctgcaca accactacac gcagaagagc
661 ctctccctgt ctccgggtaa a

配列番号:4 ヒトFc IgG1(m1)アミノ酸配列(配列番号:8の26-252)
1 DKTHTCPPCP APEAEGAPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD
61 GVEVHNAKTK PREEQYNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK
121 GQPREPQVYT LPPSRQELTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS
181 DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK

配列番号:5 Fc-Uro huFcG1(m1)融合ポリヌクレオチド配列(シグナルペプチド配列を含まない、配列番号:7の76-855に相当)
1 gacaaaactc acacatgccc accgtgccca gcacctgaag ccgagggcgc gccgtcagtc
61 ttcctcttcc ccccaaaacc caaggacacc ctcatgatct cccggacccc tgaggtcaca
121 tgcgtggtgg tggacgtgag ccacgaagac cctgaggtca agttcaactg gtacgtggac
181 ggcgtggagg tgcataatgc caagacaaag ccgcgggagg agcagtacaa cagcacgtac
241 cgtgtggtca gcgtcctcac cgtcctgcac caggactggc tgaatggcaa ggagtacaag
301 tgcaaggtct ccaacaaagc cctcccagcc cccatcgaga aaaccatctc caaagccaaa
361 gggcagcccc gagaaccaca ggtgtacacc ctgcccccat cccggcagga gttgaccaag
421 aaccaggtca gcctgacctg cctggtcaaa ggcttctatc ccagcgacat cgccgtggag
481 tgggagagca atgggcagcc ggagaacaac tacaagacca cgcctcccgt gctggactcc
541 gacggctcct tcttcctcta tagcaagctc accgtggaca agagcaggtg gcagcagggg
601 aacgtcttct catgctccgt gatgcatgag gctctgcaca accactacac gcagaagagc
661 ctctccctgt ctccgggtaa aactgcccct cggagcctgc ggagatccag ctgcttcggg
721 ggcaggatgg acaggattgg agcccagagc ggactgggct gtaacagctt ccggtactga

配列番号:6 Fc-Uro huFcG1(m1)融合アミノ酸配列(シグナルペプチドを含まない、配列番号:8の26-284に相当)
1 DKTHTCPPCP APEAEGAPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD
61 GVEVHNAKTK PREEQYNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK
121 GQPREPQVYT LPPSRQELTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS
181 DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGKTAP RSLRRSSCFG
241 GRMDRIGAQS GLGCNSFRY

配列番号:7 Fc-Uro huFcG1(m1)融合ポリヌクレオチド配列(1-76位に位置するシグナルペプチド配列を含む)
1 atgagctcct tctccaccac caccgtgagc ttcctccttt tactggcatt ccagctccta
61 ggtcagacca gagctgacaa aactcacaca tgcccaccgt gcccagcacc tgaagccgag
121 ggcgcgccgt cagtcttcct cttcccccca aaacccaagg acaccctcat gatctcccgg
181 acccctgagg tcacatgcgt ggtggtggac gtgagccacg aagaccctga ggtcaagttc
241 aactggtacg tggacggcgt ggaggtgcat aatgccaaga caaagccgcg ggaggagcag
301 tacaacagca cgtaccgtgt ggtcagcgtc ctcaccgtcc tgcaccagga ctggctgaat
361 ggcaaggagt acaagtgcaa ggtctccaac aaagccctcc cagcccccat cgagaaaacc
421 atctccaaag ccaaagggca gccccgagaa ccacaggtgt acaccctgcc cccatcccgg
481 caggagttga ccaagaacca ggtcagcctg acctgcctgg tcaaaggctt ctatcccagc
541 gacatcgccg tggagtggga gagcaatggg cagccggaga acaactacaa gaccacgcct
601 cccgtgctgg actccgacgg ctccttcttc ctctatagca agctcaccgt ggacaagagc
661 aggtggcagc aggggaacgt cttctcatgc tccgtgatgc atgaggctct gcacaaccac
721 tacacgcaga agagcctctc cctgtctccg ggtaaaactg cccctcggag cctgcggaga
781 tccagctgct tcgggggcag gatggacagg attggagccc agagcggact gggctgtaac
841 agcttccggt actga

配列番号:8 Fc-Uro huFcG1(m1)融合アミノ酸配列(1-25位に位置するシグナルペプチドを含む)
1 MSSFSTTTVS FLLLLAFQLL GQTRADKTHT CPPCPAPEAE GAPSVFLFPP KPKDTLMISR
61 TPEVTCVVVD VSHEDPEVKF NWYVDGVEVH NAKTKPREEQ YNSTYRVVSV LTVLHQDWLN
121 GKEYKCKVSN KALPAPIEKT ISKAKGQPRE PQVYTLPPSR QELTKNQVSL TCLVKGFYPS
181 DIAVEWESNG QPENNYKTTP PVLDSDGSFF LYSKLTVDKS RWQQGNVFSC SVMHEALHNH
241 YTQKSLSLSP GKTAPRSLRR SSCFGGRMDR IGAQSGLGCN SFRY

配列番号:9 リンカーポリヌクレオチド配列(配列番号:13の172-180に相当、NotI部位を含む)
1 gcggccgcg

配列番号:10リンカーアミノ酸配列(配列番号:14の58-60に相当)
1 AAA

配列番号:11 Uro-Fc huFcG1(m1)融合ポリヌクレオチド配列(シグナルペプチドを含まない、配列番号:13の76-864に相当)
1 actgcccctc ggagcctgcg gagatccagc tgcttcgggg gcaggatgga caggattgga
61 gcccagagcg gactgggctg taacagcttc cggtacgcgg ccgcggacaa aactcacaca
121 tgcccaccgt gcccagcacc tgaagccgag ggcgcgccgt cagtcttcct cttcccccca
181 aaacccaagg acaccctcat gatctcccgg acccctgagg tcacatgcgt ggtggtggac
241 gtgagccacg aagaccctga ggtcaagttc aactggtacg tggacggcgt ggaggtgcat
301 aatgccaaga caaagccgcg ggaggagcag tacaacagca cgtaccgtgt ggtcagcgtc
361 ctcaccgtcc tgcaccagga ctggctgaat ggcaaggagt acaagtgcaa ggtctccaac
421 aaagccctcc cagcccccat cgagaaaacc atctccaaag ccaaagggca gccccgagaa
481 ccacaggtgt acaccctgcc cccatcccgg caggagttga ccaagaacca ggtcagcctg
541 acctgcctgg tcaaaggctt ctatcccagc gacatcgccg tggagtggga gagcaatggg
601 cagccggaga acaactacaa gaccacgcct cccgtgctgg actccgacgg ctccttcttc
661 ctctatagca agctcaccgt ggacaagagc aggtggcagc aggggaacgt cttctcatgc
721 tccgtgatgc atgaggctct gcacaaccac tacacgcaga agagcctctc cctgtctccg
781 ggtaaatga

配列番号:12 Uro-Fc huFcG1(m1)融合アミノ酸配列(シグナルペプチドを含まない、配列番号:14の26-287に相当)
1 TAPRSLRRSS CFGGRMDRIG AQSGLGCNSF RYAAADKTHT CPPCPAPEAE GAPSVFLFPP
61 KPKDTLMISR TPEVTCVVVD VSHEDPEVKF NWYVDGVEVH NAKTKPREEQ YNSTYRVVSV
121 LTVLHQDWLN GKEYKCKVSN KALPAPIEKT ISKAKGQPRE PQVYTLPPSR QELTKNQVSL
181 TCLVKGFYPS DIAVEWESNG QPENNYKTTP PVLDSDGSFF LYSKLTVDKS RWQQGNVFSC
241 SVMHEALHNH YTQKSLSLSP GK

配列番号:13 Uro-Fc huFcG1(m1)融合ポリヌクレオチド配列(1-75位に位置するシグナルペプチド配列を含む)
1 atgagctcct tctccaccac caccgtgagc ttcctccttt tactggcatt ccagctccta
61 ggtcagacca gagctactgc ccctcggagc ctgcggagat ccagctgctt cgggggcagg
121 atggacagga ttggagccca gagcggactg ggctgtaaca gcttccggta cgcggccgcg
181 gacaaaactc acacatgccc accgtgccca gcacctgaag ccgagggcgc gccgtcagtc
241 ttcctcttcc ccccaaaacc caaggacacc ctcatgatct cccggacccc tgaggtcaca
301 tgcgtggtgg tggacgtgag ccacgaagac cctgaggtca agttcaactg gtacgtggac
361 ggcgtggagg tgcataatgc caagacaaag ccgcgggagg agcagtacaa cagcacgtac
421 cgtgtggtca gcgtcctcac cgtcctgcac caggactggc tgaatggcaa ggagtacaag
481 tgcaaggtct ccaacaaagc cctcccagcc cccatcgaga aaaccatctc caaagccaaa
541 gggcagcccc gagaaccaca ggtgtacacc ctgcccccat cccggcagga gttgaccaag
601 aaccaggtca gcctgacctg cctggtcaaa ggcttctatc ccagcgacat cgccgtggag
661 tgggagagca atgggcagcc ggagaacaac tacaagacca cgcctcccgt gctggactcc
721 gacggctcct tcttcctcta tagcaagctc accgtggaca agagcaggtg gcagcagggg
781 aacgtcttct catgctccgt gatgcatgag gctctgcaca accactacac gcagaagagc
841 ctctccctgt ctccgggtaa atga

配列番号:14 Uro-Fc huFcG1(m1)融合アミノ酸配列(1-25位に位置するシグナルペプチド配列を含む)
1 MSSFSTTTVS FLLLLAFQLL GQTRATAPRS LRRSSCFGGR MDRIGAQSGL GCNSFRYAAA
61 DKTHTCPPCP APEAEGAPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD
121 GVEVHNAKTK PREEQYNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK
181 GQPREPQVYT LPPSRQELTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS
241 DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合体がナトリウム利尿ペプチド受容体と結合する、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む複合体。
【請求項2】
ナトリウム利尿ペプチドがウロジラチンである、請求項1の複合体。
【請求項3】
ナトリウム利尿ペプチド受容体がNPR−Aである、請求項1の複合体。
【請求項4】
ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域がリンカーを介して結合している、請求項1の複合体。
【請求項5】
融合ポリペプチドである、請求項1の複合体。
【請求項6】
融合ポリペプチドがペプチドリンカーをさらに含む、請求項5の複合体。
【請求項7】
融合ポリペプチドが配列番号:6または12のアミノ酸配列を含む、請求項5の複合体。
【請求項8】
抗体定常領域がナトリウム利尿ペプチドのN末端と結合している、請求項1の複合体。
【請求項9】
抗体定常領域がナトリウム利尿ペプチドのC末端と結合している、請求項1の複合体。
【請求項10】
ナトリウム利尿ペプチドが抗体定常領域の内部アミノ酸と結合している、請求項1の複合体。
【請求項11】
ナトリウム利尿ペプチド受容体を活性化する、請求項1の複合体。
【請求項12】
ナトリウム利尿ペプチドと比較して長い血清半減期を有する、請求項1の複合体。
【請求項13】
ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
【請求項14】
融合ポリペプチドがペプチドリンカーをさらに含む、請求項13の核酸。
【請求項15】
ナトリウム利尿ペプチドがウロジラチンである、請求項13の核酸。
【請求項16】
配列番号:5または11のポリヌクレオチド配列を含む、請求項13の核酸。
【請求項17】
請求項13の核酸を含む発現カセット。
【請求項18】
請求項17の発現カセットでトランスフェクションされた単離宿主細胞。
【請求項19】
真核細胞である、請求項18の宿主細胞。
【請求項20】
a.請求項17の発現カセットで宿主細胞をトランスフェクションする段階;および
b.細胞が融合ポリペプチドを発現するのに適した条件下で細胞を培養する段階
:を含む、ナトリウム利尿ペプチドおよび抗体定常領域を含む融合ポリペプチドを組み換え的に作製するための方法。
【請求項21】
ナトリウム利尿ペプチドがウロジラチンである、請求項20の方法。
【請求項22】
請求項1の複合体および薬学的に許容可能なキャリヤーを含む組成物。
【請求項23】
必要とする患者へ請求項1の複合体の有効量を投与する段階を含む、細菌感染、肺および気管支疾患、腎不全、または心不全を治療するための方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2010−514417(P2010−514417A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543226(P2009−543226)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088404
【国際公開番号】WO2008/079995
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(500533422)ピーディーエル バイオファーマ,インコーポレイティド (18)
【Fターム(参考)】