説明

ナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物

本発明は、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、さらに、(a)陽イオン交換層状物質は10層以下の厚さおよび10層を超える厚さに離層され、その物質のほとんどは10層以下の厚さで存在すること、(b)0.5時間1,500倍の重力を受けたときに陽イオン交換層状物質の10%未満が沈降すること、および(c)陽イオン交換層状物質の層の平均の層間隔がX線回折分光法で試験したときに3nmより大きいこと、の1つ以上を特徴とする。また、本発明は、(a)水を含む液体の中に陽イオン交換層状物質を分散させて分散液を形成する工程、(b)陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量以下の量の有機陽イオンを分散液に加える工程、および(c)陽イオン交換された層状物質を乾燥せずに、液体の水の少なくとも一部を有機溶媒と交換する工程によって、ナノコンポジットポリマーに混入するための陽イオン交換層状物質を調製する方法である。本発明は、また、そのように作られたナノコンポジット材料またはそのような陽イオン交換層状物質を含有するナノコンポジット材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノコンポジットポリマーを作るのに有用な陽イオン交換層状物質の組成物および該組成物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
離層されたまたは剥離された陽イオン交換層状物質(たとえば離層された2:1層状ケイ酸塩粘土)は、ポリマー系において補強充填剤として使用することができる。そのようなポリマー系は、離層された陽イオン交換層状物質の少なくとも1つの寸法が、100ナノメートル未満であるとき、「ナノコンポジット」として知られている。ナノコンポジットポリマーは、一般に、従来の充填剤入りポリマーよりも増強された機械的特性を有する。たとえば、ナノコンポジットポリマーは、増加したモジュラス、より低い密度、改善された透明度および/またはより低い熱膨張係数の両方を提供することができ、場合によっては、増加した衝撃靭性、従来の充填剤を使用しては通常得られない機械的性質の組合わせを提供することができる。
【0003】
陽イオン交換層状物質は、しばしば、ポリマーと混合されるときに、陽イオン交換層状物質の離層を促進するために、有機陽イオン(通常「オニウム」)で処理される(たとえば、米国特許第5,973,053号明細書参照)。しかしながら、先行技術の方法を使用したポリマー中の有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質の離層の程度は要望されるほど高くはない。ポリマー中の有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質の離層の程度を増加することができれば、ナノコンポジットポリマー技術の進歩になるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5973053号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた機械的性質を有するナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様において、本発明は、有機陽イオンで不完全に交換された(すなわち部分的に交換された)または完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、陽イオン交換層状物質は1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、組成物の代表的な凍結乾燥試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントよりも大きいことを特徴とする。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、1,500倍の重力を0.5時間受けたときに組成物の10%未満が沈降することを特徴とする。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、部分的にまたは完全に有機陽イオンで交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、陽イオン交換層状物質の層の平均の層と層の間の間隔は、エックス線回折分光法によって試験したときに、3ナノメートルより大きいことを特徴とする。
【0009】
さらに別の実施態様において、本発明は、陽イオン交換層状物質を調製する方法であって、次の工程を含む。
(a)陽イオン交換層状物質を水を含む液体の中に分散させて分散液を形成する工程、
(b)陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量以下の量の有機陽イオンを分散液に加える工程、および
(c)液体の水の少なくとも一部を有機溶媒と交換する工程。
【0010】
別の実施態様において、本発明は、前述の実施態様のいずれか1つの陽イオン交換層状物質を含むナノコンポジット組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の組成物を使用して作られたエポキシナノコンポジットの透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の組成物を使用して作られたポリプロピレンナノコンポジットの透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
離層されたまたは剥離された陽イオン交換層状物質(たとえば離層された2:1層状ケイ酸塩粘土)は、ポリマー系において補強充填剤として使用することができる。そのようなポリマー系は、離層された陽イオン交換層状物質の少なくとも1つの寸法が100ナノメートル未満であるとき、「ナノコンポジット」として知られている。典型的には、先行技術のナノコンポジットポリマーの透過型電子顕微鏡は、離層された陽イオン交換層状物質の単層をわずかに示すかまたはまったく示さず、むしろたいていは陽イオン交換層状物質の多層の積層を示す。しかしながら、先行技術のナノコンポジットポリマーは、一般に、従来の充填剤入りポリマーに比べ、増強された機械的特性を有する。たとえば、先行技術のナノコンポジットポリマーは、増加したモジュラスおよび増加した衝撃靭性の両方を提供することができ、従来の充填剤を使用したのでは通常得られない機械的性質の組合わせを提供することができる。
【0013】
陽イオン交換層状物質は、ポリマーと混合したときに陽イオン交換層状物質の離層を促進するために、多くの場合、有機陽イオン(通常「オニウム」)で処理される(たとえば、米国特許第5,973,053号明細書参照)。従来、層状物質は「完全に交換」または「過剰に交換」されている。すなわち、層状物質の交換可能な陽イオンはオニウムイオンで本質的に完全に置換されているか、または層状物質の交換可能な陽イオンはオニウムイオンで本質的に完全に置換されかつその層状物質は追加のオニウムイオンを含む。
【0014】
用語「陽イオン交換層状物質」とは、層状の酸化物、硫化物およびオキシハロゲン化物(oxyhalides)、層状ケイ酸塩(たとえばマガジイット(Magadiite)およびケニヤイット(kenyaite))、層状2:1ケイ酸塩(たとえば天然および合成のスメクタイト、ホルマイト(hormites)、蛭石、イライト、雲母および緑泥石)を意味する。
【0015】
陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量とは、一組の陽イオン(典型的にはナトリウム、カルシウムまたは水素のような無機イオン)を別の一組の陽イオン(無機または有機のいずれか)と交換する能力のことをいう。陽イオン交換容量は、いくつかの方法によって測定することができ、それらの大部分は、実際に交換反応を行い、交換するイオンの各々の存在について生成物を分析するものである。したがって、交換の化学量論はモルパーセント基準で決定することができる。様々な陽イオン交換層状物質は、それらの個々の構造および単位格子組成に起因する異なる陽イオン交換容量を有すると言われている。また、いくつかの陽イオン交換層状物質については、交換処理の間に、交換するタイプのイオンのすべてが代替イオンと交換されるとは限らないとも言われている。
【0016】
用語「有機陽イオン」とは、少なくとも1個の炭化水素ラジカルを含む陽イオンを意味する。有機陽イオンの例としては、ホスホニウム、アルソニウム、スルホニウム、オキソニウム、イミダゾリウム、ベンゾイミダゾリウム、イミダゾリニウム、プロトン化アミン、プロトン化アミンオキシド、プロトン化ベタイン、アンモニウム、ピリジニウム、アニリニウム、ピロリウム(pyrroliums)、ピペリジニウム(piperidiniums)、ピラゾリウム(pyrazoliums)、キノリニウム(quinoliniums)、イソキノリニウム(isoqunoliniums)、インドリウム(indoliums)、オキサゾリウム(oxazoliums)、ベンゾオキサゾリウム(benzoxazoliums)、およびキヌクリジニウム(quinuclidiniums)が挙げられるが、それらに限定されるものではない。有機陽イオンの典型的な例は、式R(ただしR、R、RまたはRの少なくとも1つは、10個以上の炭素原子を含む。)の第四級アンモニウム化合物である。用語「有機陽イオン」としては、また、プロトン化アミンも挙げられ、それは、限定するものではないがたとえば、陽イオン交換層状物質を酸と接触させ、それに続けて陽イオン交換層状物質を有機アミンと接触させ、アミンをプロトン化することによって調製することができる。
【0017】
本発明は、改善された機械的性質を有するナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物を提供する。1つの実施態様において、本発明は、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む、ナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、陽イオン交換層状物質は1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、組成物の代表的な凍結乾燥試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいことを特徴とする。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、組成物の代表的な凍結乾燥試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。たとえ液体が好ましくは本質的に有機溶媒からなるとしても、液体は好ましくは少なくともいくらかの水を含む(たとえば、液体は主として有機溶媒であり、少量の水を含む。)。好ましくは、陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量の20%超は、有機陽イオンで交換されている。
【0018】
ナノコンポジットエポキシポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にアセトンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジエトキシメチルアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基が12〜18個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質はモンモリロナイト、フッ素雲母(fluoromica)または海泡石であるときに得られる。当然のことながら、有機陽イオンは、上記の第四級アンモニウム陽イオンおよびエポキシ基と反応することができるプロトン化アミンの混合物を含む、第四級アンモニウム陽イオンの混合物のような、有機陽イオンの混合物であってもよい。第四級アンモニウム陽イオンに加えてアルコキシシリルアルキルアミンと層状物質の反応と同様に、第四級アンモニウム陽イオン上の遊離アミンの存在も受け入れ可能である。好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量は、第四級アンモニウム有機陽イオンで40〜75%の範囲で交換される。他方、海泡石は第四級アンモニウム有機陽イオンで好ましくは100%交換される。ナノコンポジットポリオレフィンポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にジエチルベンゼンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジメチルジアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基が約12〜20個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイトまたはフッ素雲母であり、そしてこの場合、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量は、好ましくはジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで30〜100%の範囲で交換されている(そして、より好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量はジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで50〜80パーセントの範囲で交換されている)ときに得ることができる。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、ナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物であって、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含み、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、1,500倍の重力に0.5時間さらされたときに組成物の10%未満が沈降することを特徴とする。たとえ液体が好ましくは本質的に有機溶媒からなるとしても、液体は少なくともいくらかの水を含むことが好ましい。好ましくは、陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量の20%超が有機陽イオンで交換される。
【0020】
ナノコンポジットエポキシポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にアセトンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジエトキシメチルアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基は12〜18個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイト、フッ素雲母または海泡石であるときに得られる。好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量は、第四級アンモニウム有機陽イオンで40〜75%の範囲で交換される。
【0021】
ナノコンポジットポリオレフィンポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にジエチルベンゼンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジメチルジアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基は約12〜20個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイトまたはフッ素雲母であり、そしてこの場合は、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量はジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで好ましくは30〜100%の範囲で交換されている(そして、より好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量はジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで50〜80%の範囲で交換されている)ときに得ることができる。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、ナノコンポジットポリマーを作るのに有用な組成物であって、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含み、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、陽イオン交換層状物質の層の平均の層間隔(d-spacing)が、エックス線回折分光法によって試験したときに、3ナノメートルより大きいことを特徴とする。たとえ液体が好ましくは本質的に有機溶媒からなるとしても、液体は少なくともいくらかの水を含むことが好ましい。好ましくは、陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量の20%超が有機陽イオンで交換されている。
【0023】
ナノコンポジットエポキシポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にアセトンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジエトキシメチルアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基が12〜18個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイトまたはフッ素雲母であるときに得られる。好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量の40〜75%が第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されている。
【0024】
ナノコンポジットポリオレフィンポリマーを作るのに特に適した前節の組成物は、有機溶媒が本質的にジエチルベンゼンおよび少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジメチルジアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基が約12〜20個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイトまたはフッ素雲母であり、そしてこの場合は好ましくはモンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量の30〜100%がジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されている(そして、より好ましくは、モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量の50〜80%がジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されている)ときに得ることができる。
【0025】
さらに別の実施態様において、本発明は、ナノコンポジットポリマー中に混入するための陽イオン交換層状物質を調製する方法であって、次の工程を含む。
(a)陽イオン交換層状物質を、水を含む液体の中に分散させて、分散液を形成する工程、
(b)陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量未満またはそれに等しい量の有機陽イオンを分散液に加える工程、および
(c)液体の水の少なくとも一部を有機溶媒と交換する工程。
工程(c)は任意の適切な単位操作によって遂行することができる。限定するものではないが、たとえば、工程(c)は、工程(b)の分散液を遠心分離処理して陽イオン交換層状物質を沈降させ、引き続いて沈降した陽イオン交換層状物質を有機溶媒中に再分散させる工程からなるものであってもよい。または、工程(c)は、工程(b)の分散液を濾過して陽イオン交換層状物質の濾過ケークを形成し、引き続いて濾過ケークを有機溶媒中に再分散させる工程からなるものであってもよい。工程(c)は分散液を乾燥する工程を含むべきではない。
【0026】
前節の方法は、ナノコンポジットポリマーを製造するために、工程(c)の陽イオン交換層状物質をポリマーと混合するさらなる工程によってナノコンポジットポリマーを作るために使用することができる。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックス中で、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックス中で、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。いかなる種類のポリマーも使用することができる。ポリマーが熱可塑性ポリマーであるときは、混合は押出機を使用して行うことができる。ポリマーが熱硬化性ポリマーであるときは、前記組成物は、熱硬化性ポリマー成分(たとえばエポキシポリマーの樹脂または硬化剤)または未硬化の熱硬化性ポリマーと混合することができる。溶媒または液体は、陽イオン交換層状物質をポリマーまたは熱硬化性ポリマー成分と少なくともいくらか混合した後に除去される。混合が押出機の中で行われるときは、溶媒またはその一部は、最後の段階または押出機の段階で除去してもよいし、溶媒またはその一部は押出工程の後で除去してもよい。ポリマーが熱硬化性樹脂であるときは、溶媒は、陽イオン交換層状物質を、熱硬化性樹脂の前駆物質(たとえばモノマーまたはオリゴマー、またはモノマーまたはオリゴマーと硬化剤)と混合した後に除去することができるが、好ましくは、硬化工程の前に除去される。とはいえ、いくらかの溶媒は加熱による硬化中に除去されてもよい。
【0027】
ナノコンポジットポリマーは、本発明の組成物を使用して、ナノコンポジットポリマーを製造するための本発明の方法の工程(c)の陽イオン交換層状物質が存在する状態で、1種またはそれ以上のモノマー(たとえば遊離基重合によって重合されるモノマー)を重合することによって作ることができる。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックスの中で1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。
【0028】
ナノコンポジットポリマーは、本発明の組成物を使用して、本発明の方法の工程(c)の陽イオン交換層状物質を熱可塑性ポリマーの溶液(たとえば「ポリエチレン」を作るための溶液法からのエチレン/オクテンポリマーの溶液)と混合し、続いて熱可塑性ポリマーから溶媒を除去してナノコンポジットポリマーを生成させることによって作ることができる。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。好ましくは、陽イオン交換層状物質は、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層され、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントは5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きい。
【0029】
本発明において使用される特定の有機溶媒(または2種またはそれ以上の有機溶媒の混合物)は、特定の用途に依存するであろう。次の理論は適切な溶媒または溶媒の混合物を決定するのを支援するための指針として使用することができる。限定するものではないが、たとえば、より多くの有機溶媒を有する本発明の組成物は、多価アルコールと混合し、続いて多価アルコールから有機溶媒を脱蔵(devolitilization)し、続いて多価アルコールをイソシアナートと混合してもよい。
【0030】
本発明に関する理論(出願人はそれに束縛されるべきでない。)は、この段落に示される。陽イオン交換層状物質は、陽イオン交換層状物質が相対的に均一に有機陽イオンで交換されるように、そして、限定するものではないが、たとえば、有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質の遠心分離または濾過を容易にするために、最初に水に分散し、次に有機陽イオンにさらされなければならない(有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質は、水中で凝固する傾向があり、それによって大部分の水からの分離が容易になる。)。その後、水を有機溶媒と交換することは、有機溶媒中に有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質を再分散させる。この工程は分散液の含水率をさらに減少させるために繰り返してもよい。しかしながら、少量の残余の水は本発明において有益であり得ると考えられている。有機溶媒中の有機陽イオンに処理された陽イオン交換層状物質の含有量が比較的低い場合は、コロイド懸濁液を得ることができ、そのコロイド懸濁液は、限定するものではないが、たとえば、次の実施例においてより詳しく記述するように、ナノコンポジットエポキシポリマーを作るために未硬化のエポキシ樹脂と混合することができる。有機溶媒中の有機陽イオンで処理された陽イオン交換層状物質の含有量が比較的高い場合は、ペーストが得られ、そのペーストは、限定するものではないが、たとえば、次の実施例においてより詳しく記述するように、ナノコンポジット熱可塑性ポリマーを作るために押出機の中で熱可塑性樹脂と混合することができる。いずれにしても、有機溶媒中での有機陽イオン処理陽イオン交換層状物質の層の層と層の分離は、乾燥され、その後有機溶媒にさらされた有機陽イオン処理陽イオン交換層状物質に比べて増加すると考えられている。有機陽イオン処理陽イオン交換層状物質が乾燥され、その後有機溶媒にさらされる場合は、有機溶媒にさらされる前に有機陽イオン処理陽イオン交換層物質を乾燥しない場合よりも、層と層の分離は少ない(そして離層はそれで作られたナノコンポジットポリマーの中でより少ない)と考えられている。増加した層と層の厚さまたは分離を有する陽イオン処理陽イオン交換層状物質は、ナノコンポジットポリマー中でより大きな程度に離層し、改善された機械的性質を有するナノコンポジットポリマーを生成することが知られている。また、陽イオン交換層状物質は、フッ素雲母およびマガジイットのような多くの種類の陽イオン交換層状物質については、有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された、好ましくは部分的に交換された陽イオン交換容量を有するべきであると考えられている。本発明における有機陽イオン処理陽イオン交換層状物質を乾燥しないことと有機溶媒への曝露との組合わせは、特定の種類の陽イオン交換層状物質に依存する交換パーセントに最適値を有する層と層の分離の増加に帰着すると考えられている。さらに、それは、有機溶媒が有機陽イオンの有機基と同様の極性を有する場合に、最善であると考えられている。たとえば、溶媒がアセトンである場合は、長鎖炭化水素基を有する有機陽イオンよりも、エトキシ基を有する有機陽イオンが良い。そして、溶媒がジエチルベンゼンである場合は、エトキシ基を有する有機陽イオンよりも、長鎖炭化水素基を有する有機陽イオンが良い。有機溶媒が陽イオン交換層状物質の上に交換された有機陽イオンの有機基と同様の極性を有し、かつ陽イオン交換層状物質の上に交換された有機陽イオンの領域が有機溶媒の付加のための余地を残しているときは、有機溶媒は陽イオン交換層状物質の層の間に挿入し、有機陽イオンと結びつき、それによって層と層の分離を増加させると考えられている。この段落における上記の議論は単なる理論であり、出願人はそれに束縛されることを意図していないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0031】
実施例1 アセトン中の有機粘土のコロイド溶液の調製
Cloisite NA銘柄粘土(サザン・クレー・プロダクツ社(Southern Clay Products))50gを5リットルの水の中に混合し、一晩、撹拌する。翌日、エタノールにEthoquad C/12(アクゾ・ノベル社(Akzo Nobel)、ジエトキシメチルC12−14第四級アンモニウム=クロリド)を10%溶かした溶液137.8gを、粘土懸濁液に加える。混合物をさらに7時間撹拌し、その後、有機粘土を真空濾過によって液体から分離し、洗浄水の伝導率が室温で20μS/cmに下がるまで水で洗浄する。濾過ケーク30gをアセトン15mL中に再分散させる。再分散した濾過ケークを2,000倍の重力で5分間遠心分離機の中に入れ、濾過ケークを沈降させる。上部の液体を捨て、再度アセトン200mLを加え、濾過ケークを再分散させる。再分散した濾過ケークを、30分間2,000倍の重力で遠心分離機中で入れるが、処理された粘土の沈降はほとんどない。
【0032】
実施例2 エポキシナノコンポジットの調製
実施例1の懸濁液200mLに、DER 383エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical))40gを加える。混合物は、その後、ほとんどのアセトンが除去されるまで、ロータリーエバポレータに入れる。その後、生じた濃い混合物は、一晩、60℃の真空乾燥器に入れ、溶媒の除去を完結させる。翌日、Jeffamine D230硬化剤(ハンズマン社(Hunsman))12.0gを加える。混合物を手で徹底的に撹拌し、試験用金型の中に注ぎ、60℃で一晩硬化し、続いて1.5時間120℃で処理する。生じた淡黄色の棒は、光学的に透明であり、透過型電子顕微鏡で測定したときに、十分に剥離された処理された粘土を2.5質量%含んでいた。
【0033】
実施例3 アセトン中の反応性有機粘土のコロイド溶液の調製
水にCloisite NAを1.85質量%懸濁させた懸濁液を、80℃の水の中に粘土を入れて一晩撹拌することによって調製する。別途、Ethoquad C/12とドデシルアミンの第四級塩との45:25モル比の溶液を、Ethoquad C/12を3質量%に調節したエタノール/水混合物中で調製する。Ethoquadに関して粘土:第四級塩のモル交換率が1:0.46になるように、これらの溶液を混ぜ合わせる。生じた有機粘土の最終組成は、Ethoquad C/12が46%および第四級ドデシルアミンが25.5%であると計算される。処理された有機粘土は、真空濾過によって液体から分離され、洗浄水の伝導率が室温で20μS/cmに下がるまで、水で洗浄される。濾過ケーク30gを、アセトン15mLに再分散させる。再分散した濾過ケークを2,000倍の重力で5分間遠心分離機の中に入れ、濾過ケークを沈降させる。上部の液体を捨て、再度アセトン200mLを加え、濾過ケークを再分散させる。再分散した濾過ケークを30分間2,000倍の重力で遠心分離機の中に入れるが、処理された粘土の沈降はほとんどない。
【0034】
実施例4 エポキシナノコンポジットの調製
実施例3のコロイド懸濁液200mLに、DER 383エポキシ樹脂(ダウ・ケミカル社)50gおよび4−アミノフェニルスルホン硬化剤(オールドリッチ社(Aldrich))17gを加える。溶液をすべての固形物が完全に溶解するまで振とうし、ロータリーエバポレータに入れてアセトンをほとんど除去する。その後、生じた混合物を70℃の真空乾燥器に一晩入れ、アセトンの除去を完結させる。翌日、この混合物を120℃で4時間硬化させ、続いて、さらに5時間160℃で最終硬化させる。生じた淡黄色のプラークは、光学的に透明であり、TGAによって測定したときに2.3%の粘土を含む。剥離の程度は実施例2において観察されたのよりもさらに良い。この場合、エポキシマトリックスは、ドデシルアンモニウムイオンとの反応によって有機粘土の表面に化学的に結合している。
【0035】
実施例5 有機粘土ペーストの調製
2%のモンモリロナイト粘土(Cloisite NA)の水溶液は、乾燥した粘土粉末を熱水の中に入れ激しく混合することによって調製する。混合物を放冷し、2日間静置して大きな粒子を容器の底に沈降させる。混合物の上部をさらなる使用のために分離する。別途、エタノールにArquat 2HT(ジメチルジC16−18第四級アンモニウム=クロリド)を3%溶かした溶液を調製する。両方の溶液を、70℃に予熱し、適切な流量で混ぜ合わせ、その結果、モンモリロナイト粘土の式量を基準として1:0.5の粘土:第四級塩比率のArquat 2HT有機粘土が調製される。
有機粘土を真空濾過によって液から分離し、分離された液の伝導率測定によって監視しながら、NaCl塩の大部分が除去されるまで、真水で洗浄する。水で湿った濾過ケーク150gを遠心分離機容器に入れ、アセトン300mLを加える。粘土が溶媒の中に均一に分散するまで、混合物を激しく振とうする。その後、粘土を遠心分離によって溶媒から分離し、液を捨てる。再度アセトン300mLで同じ洗浄処置を繰り返し、続いて250mLのジエチルベンゼンで2回洗浄する。最終生成物はジエチルベンゼン中の有機粘土の濃いゲルである。
【0036】
実施例6 ポリプロピレンナノコンポジットの調製
ポリプロピレン樹脂(Inspire 112)およびマレイン化ポリプロピレン相溶化剤(Polybond 3150)を細かい粉末に粉砕する。相溶化剤25gを実施例5のゲルに加える。その2つを、均質なペーストが得られるまで徹底的に混合し、ポリプロピレン樹脂粉末300gに加え、さらに混合する。この混合物を、混合バレルの終端に脱蔵ポートを装備した二軸スクリュー押出機に供給し、溶媒を除去する。生じたポリプロピレンナノコンポジットは、同じ有機粘土であるが乾燥したものを使用して調製されたポリプロピレンナノコンポジットに比べて、(TEM撮像に基づいて)ずっとよい分布および粘土小板の剥離を示す。ポリマーマトリックス中の大きな粘土凝集体(1μm以上)の存在は、ほとんど完全に除去されていた。生じたナノコンポジットの機械的性質(屈曲モジュラスおよび衝撃靭性)もまた、同じ有機粘土であるが乾燥したものを使用して作られたナノコンポジットの機械的性質よりも著しくよい。
【0037】
むすび
最後に、本発明をその好ましい実施態様に関して上述したが、本発明はそれによって限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められる発明の範囲内に含まれるすべての代替物、変形および均等物を包含するように意図されていることが容易に分かるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機陽イオンで部分的にまたは完全に交換された陽イオン交換容量を有する陽イオン交換層状物質を含む組成物であって、陽イオン交換層状物質は有機溶媒を含む液体の中にあり、さらに、
(a)陽イオン交換層状物質が、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、組成物の代表的な凍結乾燥試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいこと、
(b)0.5時間、1,500倍の重力を受けたときに陽イオン交換層状物質の10パーセント未満が沈降すること、および
(c)陽イオン交換層状物質の層の平均の層間隔が、X線回折分光法によって試験したときに、3ナノメートルより大きいこと
の1つまたは2つ以上を特徴とする組成物。
【請求項2】
陽イオン交換層状物質が、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、組成物の代表的な凍結乾燥試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
液体が水を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
液体が本質的に有機溶媒からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量の20%超が有機陽イオンで交換されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
有機溶媒が本質的にアセトンと少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジエトキシメチルアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基は12〜18個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイト、フッ素雲母または海泡石であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量の40〜85%が第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されていることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
有機陽イオンが2種以上の有機陽イオンの混合物からなることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
有機陽イオンが、第四級アンモニウム化合物、およびエポキシ基と反応性のプロトン化されたアミンまたは遊離のアミンからなることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
有機溶媒が本質的にジエチルベンゼンと少量の水からなり、有機陽イオンが本質的にジメチルジアルキル第四級アンモニウム(ただしアルキル基は約12〜20個の炭素原子を有する。)からなり、そして陽イオン交換層状物質がモンモリロナイト、フッ素雲母または海泡石であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
モンモリロナイト、フッ素雲母または海泡石の陽イオン交換容量の30〜100%が、ジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されていることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
モンモリロナイトまたはフッ素雲母の陽イオン交換容量の50〜80%が、ジメチルジアルキル第四級アンモニウム有機陽イオンで交換されていることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
有機陽イオンが1種または2種以上の有機陽イオンからなることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
(a)水を含む液体の中に陽イオン交換層状物質を分散させて、分散液を形成する工程、
(b)陽イオン交換層状物質の陽イオン交換容量以下の量の有機陽イオンを分散液に加える工程、および
(c)液体の水の少なくとも一部を有機溶媒と交換する工程
を含む方法。
【請求項15】
工程(c)が、工程(b)の分散液を遠心分離処理して陽イオン交換層状物質を沈降させ、続いて沈降した陽イオン交換層状物質を有機溶媒の中に再分散させることを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)が、工程(b)の分散液を濾過して陽イオン交換層状物質の濾過ケークを形成し、続いて濾過ケークを有機溶媒の中に再分散させることを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
陽イオン交換層状物質が、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいような、ナノコンポジットポリマーを製造するために、工程(c)の陽イオン交換層状物質を、ポリマー、ポリマー成分またはプレポリマーと混合する工程をさらに含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
陽イオン交換層状物質が、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ポリマーが熱可塑性ポリマーであり、ポリマーは押出機の中で組成物と混合され、ポリマーと陽イオン交換層状物質の少なくともいくらかの混合が生じた後に溶媒が除去されることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ポリマーが熱硬化性ポリマーであり、組成物が熱硬化性ポリマー成分とまたは未硬化の熱硬化性ポリマーと混合され、ポリマーと陽イオン交換層状物質の少なくともいくらかの混合が生じた後に溶媒が除去されることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
ポリマーがウレタンポリマーであり、組成物が多価アルコールと混合され、組成物との多価アルコール混合物を形成し、その後、多価アルコール混合物は有機溶媒の大部分を除去するために脱蔵され、その後、イソシアナートと反応させてウレタンポリマーを製造することを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項22】
陽イオン交換層状物質が、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいような、ナノコンポジットポリマーを製造するために、工程(c)の陽イオン交換層状物質の存在下に1種または2種以上のモノマーを重合する工程をさらに含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
陽イオン交換層状物質が、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および/または10層の、および10層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層および10層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、10層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいような、ナノコンポジットポリマーを製造するために、工程(c)の混合陽イオン交換層状物質を熱可塑性ポリマーの溶液と混合する工程、次いで熱可塑性ポリマーから溶媒を除去する工程をさらに含む請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
陽イオン交換層状物質は、ポリマーマトリックスの中で、1層、2層、3層、4層および/または5層の、および5層を超える層の陽イオン交換層状物質に離層されており、1層、2層、3層、4層および5層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントが、ナノコンポジットポリマーの代表試料を透過型電子顕微鏡によって試験したときに、5層を超える層の陽イオン交換層状物質の体積パーセントより大きいことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
溶媒の少なくとも一部が硬化の前に除去されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか1項に記載の方法によって作られたポリマー組成物。
【請求項27】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物とマトリックスポリマーを使用して作られたナノコンポジットポリマー組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−541186(P2009−541186A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511018(P2009−511018)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/011604
【国際公開番号】WO2007/133763
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】