説明

ナノスケール共金属構造を用いた太陽エネルギー変換のための装置および方法

ナノスケール共金属構造を用いた太陽光変換のための装置および方法を開示する。共金属構造は共軸であっても共平面であってもよい。太陽電池として使用されるナノスケール光学装置(100)は、各々が第1の電気導体(120)と第2の電気導体(160)との間に配置される光起電性材料(180)を含む複数のナノスケール共金属構造を備える。太陽電池の製造方法は、複数のナノスケール平面構造を準備するステップと、複数の平面構造の複数の平面を、複数の平面間に空間を残しつつ、光電半導体(180)で被覆するステップと、光電半導体(180)を外側導体層で被覆するステップとを含み、外側導体層の一部が平面構造間に配置されて共平面構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国陸軍ナティック兵士システムセンターからの契約第DAAD16−02−C−0037号により全部または一部が政府支援されたもので、米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、ナノスケール光学を利用した太陽エネルギー変換の分野、より詳細には、共軸および共平面を含むナノスケール共金属構造を利用した太陽光変換のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノスケール光学とは、サブ波長(可視光の場合)の単位次元に構成された物質との光学的相互作用の学問である。ナノスケール光学は、ナノリソグラフィ、高密度光学データ記憶、ナノメートル規模の光化学、太陽電池、サブ波長位置分解能での材料撮像および表面改質、生物学的および固体構造の局所線形および非線形分光、量子コンピューティング、および量子通信などの光学技術において多数の用途を有する。
【0004】
概して、太陽エネルギーは、2つの方法すなわち電気(太陽光発電)と熱(太陽熱)として採り入れることができる。既存の太陽電池はすべて100%未満の効率である。つまり、太陽電池は入射太陽エネルギーの100%未満を使用可能な形式に変換する。現時点で、高効率太陽電池は、平均開口面効率(AAE)が約10〜28%のp−n接合光電(PV)電池と、平均AAEが約17%のモジュールでのみ実現可能と思われる。調査グレードの多重接合集光器では、約39%もの高い効率が報告されている。これらは、高価な結晶性半導体に基づく。標準的な結晶シリコン(c−Si)PV技術に関しては、材料コストが薄膜形成のコストよりも約50%も高いだけでなく、非晶質シリコン(a−Si)製の可撓基板PVなどと比べて設置コストも高い。非晶性半導体に基づく安価なPVは、以下のAAEを有する。a−Siは約12%、CdTe(テルル化カドミウム)は約16%、CIS(ジセレン化銅インジウム)は約19%。B.von Roedern、K.Zweibel、およびH.S.Ullal、“The role of polycrystalline thin−film PV technologies for achieving mid−term market competitive PV modules”(「中期市場競争力を有するPVモジュールを実現する多結晶質薄膜PV技術の役割」)、第31回IEEE光電池専門家会議および展示会、フロリダ州、レイクブエナビスタ、2005年1月3〜7日を参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安価な電池の低効率の背景にある基本的な物理現象は、高い光子吸収効率と電荷収集効率とを同時に保証する際の困難さに直接関連する。これは、太陽電池に入射する光、およびその光と光電半導体材料との相互作用によって放出される電子と正孔の同時性要件から生じる。すなわち、光起電性材料は、(光子の形で)光を吸収するのに十分なほど厚くなければならないが、解放された電荷キャリア(電子と正孔)が採取されるエッジ(上部と下部)に首尾よく移動できるように十分薄くなければならない。
【0006】
さらに、a−Siベースの太陽電池に関しては、安定化効率は、ステーバー−ロンスキー効果(SWE)として知られる光誘起欠陥生成のために初期値よりも通常約15%低い。D.L.StaeblerとC.R.Wronski、“Reversible conductivity changes in discharge−produced amorphous Si”(「放電生成非晶質Siにおける可逆的導電率の変動」)Appl.Phys.Lett.31、292−294(1977)。活性PV層の厚みを減らし、表面に波形をつけることによって、効率は大幅に向上するが、低キャリア移動度と寿命積およびSWEは構造不規則性のため、半導体の局所電子状態の帯テールによって制御される。構造不規則性は、生成されたキャリアの拡散長を大幅に低減する非晶性材料のすべてにとって根本的な問題である。
【0007】
光学レクテナを用いて太陽電池を製造しようとする従来技術の試みは、低コストで大規模金属ナノ構造を実現する上で大きな問題があった。近年、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、入射する可視光を受信し伝送する光学アンテナのように働くと報告されている。これらのナノ構造は高度に金属性で、良好に整列した成長方位を有することが示された。MWCNTは、電子ビームリソグラフィなどの高価で時間のかかる最新技術を使用せずに、定着したプラズマ強化化学蒸着(PECVD)法によってほとんどの導電性基板または半導体基板で低コストで大規模に製造することもできるが、上記最新技術は、拡張性はないが当該分野において大部分のその他の実験的アプローチによりいまだに否応なく使用されている。よって、高効率で低コストの新たな種類の太陽電池が、当該技術で必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ナノスケール共金属構造を使用した太陽光変換の装置および方法を以下に開示する。共金属構造は共軸であっても共平面であってもよい。
【0009】
本発明の態様によると、複数のナノスケール共金属構造を備える太陽電池として使用されるナノスケール光学装置を提供するもので、該複数のナノスケール共金属構造は、それぞれが第1の電気導体と第2の電気導体との間に位置する光起電性材料を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の態様によると、複数のナノスケール共軸構造を備える太陽電池を提供するもので、該複数のナノスケール共軸構造は、それぞれが光起電性材料に接触し、外側導体層で被覆される導電性コアを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の態様によると、複数のナノスケール共平面構造を備える太陽電池を提供するもので、該複数のナノスケール共平面構造は、それぞれが第1の導電層と第2の導電層との間に位置する光電層を含み、光は、第1の導電層と第2の導電層との間の共平面構造に入射することを特徴とする。
【0012】
本発明の態様によると、太陽電池の製造方法を提供するもので、該方法は、複数のナノスケール平面構造を準備するステップと、複数の平面構造の複数の平面を、複数の平面間の空間を残しつつ光電半導体で被覆するステップと、外側導体層で光電半導体を被覆するステップとを備える。外側導体層の一部は平面構造間に位置して共平面構造を形成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を添付図面を参照してさらに説明する。複数の図において同様の構造には同じ参照符号を付す。図面は必ずしも等縮尺である必要はなく、本発明の実施形態の原理を説明することに重点を置くものである。
【0014】
図面は本発明の実施形態を説明しているが、図示以外の実施形態も言及しているように考えるべきである。ここでの開示は、表示のための説明的な実施形態を提示しているだけで限定するものではない。本発明の実施形態の原理の範囲と精神に属する多数の他の変形や実施形態が可能である。
【0015】
ここで開示される実施形態は、ナノスケール光学を用いた太陽エネルギー変換の分野に関し、より詳細には、ナノスケール共金属構造を用いた太陽光変換の装置および方法に関する。太陽電池は、太陽エネルギーを収集または吸収し、太陽エネルギーを電気、熱、またはその他の使用可能な形態に変換する装置である。ナノスケール共金属太陽電池の製造方法も開示する。以下の定義は、ここで開示の実施形態の様々な態様と特徴を説明するのに使用するものである。
【0016】
本明細書で言及されるように、「カーボンナノチューブ」、「ナノチューブ」、「ナノワイヤ」、および「ナノロッド」は置換可能に使用される。
【0017】
本明細書で言及されるように、「ナノスケール」は、約5000ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)未満の距離と特徴を指す。
【0018】
本明細書で言及されるように、「単層カーボンナノチューブ」(SWCNT)は、円柱状に巻かれた1枚のグラフェンシートを含む。「2層カーボンナノチューブ」(DWCNT)は、平行な2枚のグラフェンシートを含み、複数のシート(通常、約3〜約30枚)を含むものが「多層カーボンナノチューブ」(MWCNT)である。
【0019】
本明細書で言及されるように、「単心共軸送電線」(SCCTL)は、中心に1つのナノチューブを有する。「2心共軸送電線」(DCCTL)は中心に2つのナノチューブを有する。
【0020】
本明細書で言及されるように、CNTは、個々の細管の縦軸が互いに略平行な面で配向されるように「整列」されている。
【0021】
本明細書で言及されるように、「細管」は個々のCNTである。
【0022】
本明細書で使用される用語「直線CNT」は、個々のCNT細管の表面から直線軸に沿って生じる分岐を含まないCNTを指す。
【0023】
本明細書で使用される用語「アレイ」は、互いに近接して基板材料に装着される複数のCNT細管を指す。
【0024】
本明細書で言及されるように、「ナノスケール共軸線」は、複数の同心層を含むナノスケール共軸ワイヤを指す。一実施形態では、ナノスケール共軸線は3つの同心層すなわち内側導体、コアの周囲の光起電被覆、および外側導体を有する。共軸線内の電磁エネルギーの伝送は波長に依存せず、横電磁(TEM)モードで生じる。一実施形態では、内側導体は金属コアである。一実施形態では、外側導体は金属遮蔽材である。
【0025】
本明細書で言及されるように、「ナノスケール共平面線」は、複数の平行層を含むナノスケール共平面構造を指す。一実施形態では、ナノスケール共平面線は、3つの平行層すなわち2つの金属導体とその導体間の光起電被覆とを有する。共平面線内の電磁エネルギーの伝送は波長に依存せず、横電磁(TEM)モードで生じる。
【0026】
本明細書で言及されるように、「横電磁(TEM)」は、電場と磁場の両方が伝播方向に直交する送電線内の電磁モードを指す。その他の可能なモードは、電場のみが伝播方向に直交する横電場(TE)と磁場のみが伝播方向に直交する横磁場(TM)とを含むがそれらに限定されない。
【0027】
本明細書で言及されるように、「触媒遷移金属」は、いかなる遷移金属、遷移金属合金、またはその混合物であってもよい。触媒遷移金属の例としては、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、およびイリジウム(Ir)を含むがそれらに限定されない。一実施形態では、触媒遷移金属はニッケル(Ni)を含む。一実施形態では、触媒遷移金属は鉄(Fe)を含む。一実施形態では、触媒遷移金属はコバルト(Co)を含む。
【0028】
本明細書で言及されるように、「触媒遷移金属合金」はいかなる遷移金属合金であってもよい。好ましくは、触媒遷移金属合金は、2以上の遷移金属の均一混合物または固溶体である。触媒遷移金属合金の例は、ニッケル/金(Ni/Au)合金、ニッケル/クロム(Ni/Cr)合金、鉄/クロム(Fe/Cr)合金、およびコバルト/鉄(Co/Fe)合金を含むがこれらに限定されない。
【0029】
用語「ナノチューブ」、「ナノワイヤ」、「ナノロッド」、「ナノ結晶」、「ナノ粒子」、および「ナノ構造」は、本明細書で置換可能に使用される。これらの用語は、数ナノメートル(nm)から約数ミクロンまでの範囲で、たとえば、最大寸法によって特徴付けられるサイズの材料構造を指す。高度に対称的な構造が生成される用途では、サイズ(最大寸法)は数十ミクロンもの大きさであり得る。
【0030】
用語「CVD」は化学蒸着を指す。CVDでは、化学物質のガス混合物が高温で分離される(たとえば、COがCとOに)。これはCVDの「CV」の部分である。その後、遊離された分子の一部を近くの基板に蒸着させ(CVDの「D」)、残りを流出させてよい。CVD法の例は、「プラズマ強化化学蒸着」(PECVD)、「熱フィラメント化学蒸着」(HFCVD)、および「シンクロトロン放射化学蒸着」(SRCVD)を含むがこれらに限定されない。
【0031】
本明細書で言及されるように、「光信号」は、ガンマ線、X線、紫外光、可視光、赤外線、マイクロ波、電波(ULF、VLF、LF、MF、HF、長、短、HAM、VHF、UHF、SHF、EHF)、宇宙マイクロ波背景放射線、およびその他の形態の電磁スペクトル放射を含む、任意の電磁放射パルスを指す。
【0032】
本発明の実施形態は、概して、ナノスケール光学装置を製造するためのナノスケール共金属線の利用に関する。ナノスケール光学装置は、上面と下面を有する金属膜と複数の共金属構造とから成る多機能ナノ複合材料である。ナノスケール共軸線は、光起電性材料が充填され、中心に同心金属コアを有する金属シリンダを備える。各ナノスケール共軸線は、膜表面を越えて延在する中央コアと、膜内に埋め込まれた部分とを有することができる。ナノスケール共平面線は、光起電性材料を充填した介在空間を有する金属壁を備える。各ナノスケール共平面線は、膜表面を越えて延在する壁と膜内に埋め込まれた部分とを有することができる。
【0033】
共金属構造は、横電磁(TEM)波が2つの金属間の空間で効率的に伝播されるように、2つ以上だが通常2つの金属面が密接する構造である。金属またはその表面は、同じまたは異なる金属材料で構成することができる。これらの金属のいくつかは、誘導放射線を透過させることができる。共金属伝送線は、伝播の他のモード、たとえば、横電場(TE)または横磁場(TM)モードも容認し得る。共金属構造の従来例は共軸ワイヤまたはケーブルである。ナノスケール共金属構造は、共金属構造の2つの金属間の分離距離がナノスケールであり、よってナノスケールが約1〜約数千ナノメートルの構造である。ナノスケール共金属構造の2つの主要例は、ナノスケール共軸ワイヤとナノスケール共平面送電線である。これらの共金属構造の両方およびその変形は、波長が金属の分離距離(すなわち、サブ波長伝播)よりも小さい波を含む波をTEMモードで伝送することができる。固定長共金属構造は定在波を可能とし、放射線共振器として機能する。ナノスケール寸法により、かかる波は、可視スペクトル内およびその近傍、すなわち、紫外線(約200nm〜約400nm)から赤外線(約800nm〜約5000nm)の波を含む。
【0034】
外部放射線と共金属構造との結合効率は、構造の形状と動作モードに依存する。いくつかの共金属構造、たとえば、図14〜16および図20〜22に示される共平面構造は、波長よりもずっと小さな電極間分離距離であっても、何の構造も追加せずに放射線に結合する。ナノスケール共軸線などのその他の構造では、波長以上の十分大きな外径を得るための構造は必要ではない。電極間経路が照射波長よりもずっと小さい(すなわち、TEMモードのみが伝播できる)場合、アンテナのような特別な構造が必要とされるかもしれない。
【0035】
本発明の実施形態は、導電性媒体と、光起電活性媒体を充填したナノスケール共軸線に整合されたナノアンテナインピーダンスを含む基本ユニットを用いることによって、光子と電荷キャリアの採取効率を向上させる。ナノアンテナが効率的な光収集を実現する一方、ナノスケール共金属部は収集された放射線を捕集し、電子−正孔ペアへの効率的な変換を保証する。ナノスケール共軸の実施形態に関しては、共軸の対称性は、電磁放射のTEMモードを伝えるのに効率的であるため、光子と電荷キャリアの両方について高い採取効率をもたらす。ナノスケール共軸線長は高い光子採取を確保するため数ミクロン長にすることができ、ナノスケール共軸線幅は内部電極と外部電極間の高いキャリア採取を実現するのに十分なほどに直径を容易に小さくすることができる。共軸線は、サブ波長伝播、ひいては電極間の非常に小さな距離を可能にする。実際に、電極間の距離は、光伝播(すなわちナノスケール)を阻害せずにキャリア拡散長より小さくてよい。ナノスケール共平面の実施形態も電磁放射のTEMモードを伝えるのに効率的であり、ゆえに光子と電荷キャリアの両方について高い採取効率をもたらす。
【0036】
本発明の実施形態は、横電磁(TEM)伝送を可能にする任意の送電線とともに機能する。かかる線は、共軸送電線(すなわち、単心の共軸線)、図12Bの41に示されるような多心共軸送電線(多心共軸)、ストリップ線路、および共平面線を含むが、これらに限定されない。ストリップ線路は、光電池の膜によって分離される2つの平坦な平行金属電極(ストリップ)を有する送電線である。各電極の幅Lは照射波長より大きい。電極は距離dだけ離れており、その距離は照射波長より小さいことがある。一実施形態では、複数のコア(多心)を有するナノスケール共軸線は、光子と電荷キャリアの両方について高い採取効率をもたらすために使用することができる。一実施形態では、ナノストリップ線路(すなわち、ナノスケールでdの可視光用のストリップ線路)は、光子と電荷キャリアの両方について高い採取効率をもたらす。
【0037】
アンテナは外部共振器である。本発明の実施形態のナノアンテナは、大きなアスペクト比を有する幅広い共振器であり、すなわち、長さlが径dよりもずっと大きく、たとえば、l>3dである。ナノアンテナのバンド幅は、太陽光スペクトル全体を覆うように同調することができる。本明細書に記載のナノアンテナは従来のアンテナの方向特性を有し、従来の無線技術が可視周波数範囲でのナノスケール光学システムに適用されることを立証する。
【0038】
本発明の実施形態のシステム性能は、高い材料および設置コストなどの欠点なしでc−Siの性能に匹敵する。本発明の実施形態のシステムは、さらに他の改良を可能にする。多層方法では、光子エネルギーは半導体バンドギャップに整合させて、光子損失を最小限に抑え、効率をさらに向上させることができる。
【0039】
図1Aは、複数のナノスケール共軸構造を含むナノスケール光学装置100の概略図を示す。ナノスケール共軸構造は、インピーダンス整合アンテナ110と光起電性材料180で被覆された共軸部分115とを有する内側導体120を含む。ナノスケール光学装置100は基板190によって支持される。内側導体120は、光学ナノアンテナ110を形成するナノスケール共軸構造を越えて延在する。外側導体160は、共軸部分115の外部被覆材である。複数のナノスケール共軸構造は、導電性マトリックス140に埋め込まれる。ナノスケール共軸構造はナノスケール共軸太陽電池であってもよい。ナノスケール光学装置は本発明の実施形態により製造される。
【0040】
内側導体120は金属コアであってもよい。内側導体の金属の例は、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、またはクロム(Cr)などの純遷移金属、ステンレス鋼(Fe/C/Cr/Ni)またはアルミニウム合金(Al/Mn/Zn)などの合金、および金属ポリマーを含むがこれらに限定されない。その他の内部導体は、高ドープ半導体、および半金属(無視できるほど小さなバンドギャップの金属、たとえば、グラファイト)である。当業者であれば、内側導体が当該技術において公知のその他の導電性材料であってもよく、本発明の実施形態の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。
【0041】
光起電性材料180は、可視スペクトル内の光の吸収を最大化するバンドギャップを有する。光起電性材料の例は、シリコン(Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化ガリウムインジウム(InGaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、Cu(InGa)Se、GaP、CdS、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化鉛(PbTe)、Inl−xGaN、有機半導体(たとえば、フタロシアニン銅(CuPc))、誘電体、および当業者にとって公知の類似の材料を含むがこれらに限定されない。光起電性材料は、結晶質(肉眼で見える規模の原子の周期的配列)、多結晶質(顕微鏡でしか見えない規模の原子の周期的配列)、または非晶質(肉眼で見える規模の原子の非周期的配列)のいずれでもあり得る。当業者であれば、光起電性材料は、可視スペクトル内の光の吸収を向上させるようなバンドギャップを有する、当業者に公知のその他の材料でもよいことを認識するであろう。光起電性材料180は、内側導体120の周囲で均一であってよく、あるいは、光起電性材料180は、内側導体120を非均一に取り巻いてもよい。
【0042】
外側導体160は金属であってもよい。よって、外側導体160は、金属円柱の形状を取ってよい。外側導体の例は、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、またはクロム(Cr)などの純遷移金属、ステンレス鋼(Fe/C/Cr/Ni)またはアルミニウム合金(Al/Mn/Zn)などの合金、および金属ポリマーを含むがこれらに限定されない。その他の内部導体は、高ドープ半導体、および半金属(無視できるほど小さなバンドギャップの金属、たとえば、グラファイト)である。当業者であれば、外側導体は当該技術において公知のその他の導電性材料であってもよく、これらは本発明の実施形態の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。
【0043】
図1Bは、図1Aのナノスケール共軸太陽電池の上面図である。図1Bでは、内側導体120の直径は2rで、外側導体160の直径は2Rである。当業者であれば、直径は変動させることができ、本発明の実施形態の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。
【0044】
図2A、図2B、および図2Cはそれぞれ、整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線の概略図および例示の図である。図2A、図2B、および図2Cは、複数のナノスケール共軸構造を有するアレイから選択された単一のナノスケール共軸構造を示す。それらの概略図は、ナノスケール共軸太陽電池を製造する主要な3つのステップを示す。例示の図は、サンプル表面に対して30度の角度で走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られる。
【0045】
図2Aは、整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。プラズマ強化化学蒸着(PECVD)法が、ニッケル触媒を用いて平均約5−6μm長の縦に整列された多層直線カーボンナノチューブを成長させるために採用された(図2A)。触媒は、ガラス基板の上面にスパッタされた薄クロム層(約10nm)上に電着された。
【0046】
図2Bは、光起電性材料で被覆された後の整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。ナノチューブは、アルミニウム酸化物(Al)の光電層で被覆された。光電層の厚さは約100nm〜約150nm以上である。
【0047】
図2Cは、光起電性材料と外側導電性材料で被覆された後の整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。ナノチューブは、外側導体である約100nm〜約150nm厚のクロム層でスパッタされた。一実施形態では、外側導体は150nmより厚い。
【0048】
図3は、整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線のアレイを示す。アレイは、基板190上に均一にあるいはランダムに配分されたナノスケール共軸送電線を有してよい。ナノスケール共軸送電線は、基板190上に列で、または不均等に配列されてよい。基板190は透明であってよい。基板190は、ポリマー、ガラス、セラミック材料、カーボンファイバ、ガラスファイバ、またはその組み合わせから構成されてよい。当業者であれば、基板は当該技術において公知のその他の材料であってもよく、本発明の実施形態の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。
【0049】
縦に整列された導体(たとえば、多層カーボンナノチューブまたはその他のナノワイヤ/ナノファイバ)のアレイは、成長させられるか又は基板に装着される。次に、導体は適切な光起電性材料で被覆される。次に、導体は外側導体として機能する金属層で被覆される。
【0050】
ナノスケール共軸送電線のアレイは、(約10nmの)薄クロム層で被覆されたガラス基板上で成長する縦に整列されたカーボンナノチューブを含む。この層上で、ナノチューブのPECVD成長のためのニッケル触媒が電気化学的に蒸着された。次に、ナノチューブが150nmのアルミニウム酸化物で被覆され、続いて100nmのクロムで被覆された。ナノスケール共軸のアレイ全体が、スピンオンガラス(SOG)で充填された。このスピンオンガラスは、アレイ機能に影響を及ぼさないが、ナノスケール共軸の上部を機械的に研磨することを可能にする。このようにして、ナノスケール共軸コアを露出させることができ、それらのコアは波長に依存しない送電線として機能することができる。図3Aは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって視認される露出共軸構造を示す。
【0051】
図3Bは、走査型電子顕微鏡で視認される単一のナノスケール共軸送電線の断面図である。図3Bは、研磨および露出後のナノスケール共軸送電線の内部構造を示す。
【0052】
図3Cは、シリコン(Si)、クロム(Cr)およびアルミニウム(Al)の濃度マッピングを示す共軸層の組成のエネルギー分散X線分光(EDS)分析を示す。図3Cの点線はEDS線走査の位置に相当し、3つの提示されているグラフは走査線に沿ったシリコン(Si)、クロム(Cr)、およびアルミニウム(Al)の濃度に対応する。図3Cは、シリコン濃度がシリカ(SiO)を多量に含む領域で最も高いことを示す。同様に、最高クロム濃度はナノスケール共軸層の金属被覆の領域に存在し、最高アルミニウム濃度は光起電被覆(Al)の領域で観察される。
【0053】
図3Dは、ナノスケール共軸の周囲の外側導体の凹状窪みに集光器を有するナノスケール共軸太陽電池のアレイの断面図である。基板は可撓性である。一実施形態では、基板190はアルミニウム(Al)箔、またはその他の可撓金属材料(銅、カーボンファイバ、鋼、および類似の材料)である。基板は湿式化学方法および電気化学方法または従来の真空蒸着技術(たとえば、スパッタリング、蒸発、および類似の技術)を用いて、触媒粒子(たとえば、Fe、Ni、Co)で被覆される。次に、ナノチューブである内部導体120が、本明細書に記載の技術(たとえば、CVD、PECVD、および類似の技術)を用いて成長させられ、基板領域が光電層170を形成する露出金属基板のみに影響を及ぼす酸素にさらされる。半導体材料180の薄膜は従来の蒸着技術(たとえば、CVDおよび類似の技術)を用いて成長させられる。最後に、基板領域が、光起電被覆180に対して適切な湿潤特性を有する軟金属層160で被覆されて、集光器185が形成される。集光器185は、被覆された内部導体120に隣接する凹状メニスカスである。一実施形態では、金属粉末または液体がコア間の間隔の充填に使用されて、その後、熱処理されて集光器185を形成する。各ナノスケール共軸ユニット周囲の凹状メニスカス領域は集光器185としての役割を果たし、追加アンテナがナノアンテナ自体よりもずっと大きい領域から光を回収する。集光器185は、非常に高い効率を維持しつつ、太陽電池アレイ全体を少数のナノスケール共軸ユニットで製造することを可能にする。集光器185は、当該技術において公知の手法を用いて太陽電池アレイに単に追加することができる。
【0054】
一実施形態では、集光器185は、半導体塗布されたナノスケール共軸コアの表面を低湿潤させる導電性媒体内で自己形成する。低湿潤金属媒体(たとえば、金属粉末または金属粒子を含む液体)は外側導体160として蒸着され、熱処理は湿潤角、すなわち、集光器185の曲率を制御するのに使用される。これは集光器185に各ナノスケール共軸コア周りの凸状の窪みを形成する。
【0055】
図4A、図4B、および図4Cは、白色光がナノスケール共軸送電線のアレイを透過する光学実験の結果を示す。図4Aは、ナノスケール共軸送電線を表す暗点を有する反射光で可視なアレイの表面トポグラフィーを示す。図4Bは、光るナノスケール共軸送電線の明点を有する透過光で可視な図4Aと同じアレイの表面トポグラフィーを示す。図4Cは、反射光(図4A)と透過光(図4A)の合成としてアレイの表面トポグラフィーを示す。図4Aと図4Bの両方の照光するナノスケール共軸送電線における点の位置には非常に良好な相関関係がある。透過光が白いままである(図4B)ということは、遮断周波数がなく、波長に依存しない伝送を示唆する。
【0056】
本発明の実施形態のナノスケール共軸構造は、太陽電池ユニットの大規模製造のために低コスト構成ブロックとして使用することができる。太陽電池は、ナノスケール共軸コアとして大規模に製造される非整列導体を含むことができる。図5は、非直線導体と可撓マトリックスとを有するナノスケール共軸太陽電池の一実施形態の断面図である。非直線導体は、隣接導体に対して整列されていない。非直線導体は、任意の高導電性ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノファイバ、または類似の構造で使用することができる。
【0057】
非直線導体の例は、熱CVD(化学蒸着)技術によって成長させられるカーボンナノチューブであり得る。その後、内側導体は所望のバンドギャップの適切な半導体で化学的に多重被覆され、最終的に金属化されて共軸構造を完成することができる。図5は非直線導体を示す。適切なバンドギャップの半導体180a、180b、180cで多重被覆された非直線導体120は、外側導体160を有する表面上に金属化され、導電性で可撓の媒体145(たとえば、導電性塗料またはポリマー)内に埋め込まれる。突出部分110は(たとえば、エッチングによって)露出させられ、光起電性材料170の薄層がこの構造の上面に蒸着される。次に、第2の透明導体(たとえば、インジウムスズ酸化物またはその他の導電性ポリマー)が貼付される。第1の接点172は突出部110に隣接し、光電層170の上に位置する。第2の接点174は突出部110に対向する内側導体120の端部に隣接し、導電性媒体145内に位置する。一実施形態では、アンテナ部は非整列で、ランダムに配置され、ランダムに傾斜し、様々な長さを有する。非線形でランダムに配置されるナノスケール共軸送電線は、非干渉性の広帯域の非偏光太陽放射線を捕捉することによって、回収効率を大幅に高める。
【0058】
一実施形態では、様々なバンドギャップを有する半導体が、光子吸収効率を向上させるためにナノスケール共軸部分内で使用される。半導体バンドギャップと入射光子エネルギーとの整合が良好であるほど、ナノスケール共軸ベースの太陽電池のエネルギー変換効率が向上する。光起電性材料は、並列構造(図6A)または直列構造(図6B)で内側導体に沿って蒸着させることができる。図6Aは、並列配置で配列された様々なバンドギャップ半導体180a、180bの多層構造を有するナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。図6Bは、直列配置で配列された様々なバンドギャップ半導体180a、180b、180cの多層構造を有するナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。半導体が様々なバンドギャップを有する結果、回収された光子の様々なエネルギーが半導体バンドギャップと一層良好に整合させられるため、光子吸収がより効率的になる。
【0059】
一実施形態では、集光器185は、ナノスケール共軸太陽電池の上端から延在して光子回収効率を高める。図7は、ナノスケール共軸太陽電池の上端から延在する集光器185を備えたナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。集光器185は、光子回収向上のためにナノスケール共軸ワイヤの上端から延在する円錐部である。集光器185はホーンアンテナであって、マイクロ波技術において公知の様々な形状を取ることができる。集光器185は、放物線状に傾斜した壁、直線的な円錐状の壁、または類似の形状を含むがこれらに限定されない。集光器185は金属性でもよい。集光器185は、金属、合金、高ドープ半導体、導電性ポリマー、およびその他の導電性材料を含むがこれらに限定されない任意の高導電性材料で製造してよい。集光器185は、各ナノスケール共軸の外側導体層の一体化部分とすることができる。集光器185は、ナノスケール共軸の頂部で別々に製造される付属品とすることができる。集光器185は、半導体被覆ナノスケール共軸コアの表面を不完全に湿潤させる「非湿潤」導電性媒体を採用することによって実現し、図3Dに示されるように各ナノスケール共軸コアの周囲の凸状窪みを形成することができる。
【0060】
太陽電池の製造方法は、触媒材料で基板を被覆するステップと、ナノスケール共軸ユニットの内部コアとして基板上で複数のカーボンナノチューブを成長させるステップと、基板を酸化させるステップと、光起電膜で基板を被覆するステップと、ナノスケール共軸ユニットの光起電膜を湿潤させる金属媒体で充填するステップと、を含む。
【0061】
ナノスケール共軸太陽電池は、以下に概説する方法または類似の方法を用いて製造することができる。即ち、アルミニウム(Al)箔などの可撓金属基板は、湿式化学蒸着、電気化学蒸着、CVD、スパッタリング、蒸発、および類似の技術を含むがこれらに限定されない任意の好適な技術によって触媒材料(たとえば、Ni)で被覆される。処理された基板は、内部導体およびナノスケール共軸ユニットのコアとしてカーボンナノチューブまたはその他の好適なナノロッド/ナノワイヤを触媒成長させるために使用される。ナノチューブの成長は、CVDまたはPECVDおよび類似の技術を含む任意の適切な技術によって実行することができる。ナノチューブの成長後、基板の残りの露出面、すなわち、ナノチューブ/ナノワイヤのない領域が酸化されて、基板と外側導体間の光電層を形成する。その後、システム全体が、任意の好適な技術(たとえば、CVD、電気化学蒸着、および類似の技術)によって光電層で被覆され、最終的に金属媒体(たとえば、スズ(Sn)粉末)を充填することができる。金属媒体とナノスケール共軸の外側導体間の弱い湿潤接触を得るために、金属媒体を選択して処理すべきである。金属媒体は、任意の従来の技術、たとえば、溶射、塗装、回転塗布、CVD、蒸発、スパッタリング、および類似の技術によって蒸着することができる。
【0062】
本発明の実施形態は、概して、ナノスケール光学装置を製造するためのナノスケール共軸送電線(NCTL)の使用に関する。ナノスケール光学装置は、上面と下面を有する金属膜と光起電性材料が充填された複数の円柱状経路とで形成された多機能ナノ複合材料である。ナノロッドのアレイは、複数の円柱状経路を通って金属膜を貫通する。ナノロッドのアレイは、金属膜の表面を越えて延在する突出部と、金属膜内に埋め込まれた部分とを有する。突出部はナノアンテナとして機能し、可視周波数で電磁放射線を授受することができる。埋込み部はナノスケール共軸送電線(CTL)として機能し、ナノロッドの垂直寸法を越える波長で外部放射線を伝播させることができる。
【0063】
ナノスケール光学装置は光を集束させることができるので、場を約10倍まで増強できる。金属膜に埋め込まれたナノ−CTLを有する光学ナノアンテナのアレイは、ナノスケールの寸法に光を効果的に圧縮する。ナノアンテナは可視周波数で電磁放射線を授受することができる。ナノ−CTLにおける光の極度の圧縮は、ナノ−CTLの電極間の電子の非対称トンネリングを招き、光周波数での整流作用と光の直流(DC)電圧への変換をもたらす。この特性は、新たな種類の効率的で低コストのレクテナ太陽電池につながる。ナノ−CTLにおける光の極度の圧縮は迅速で、従来の光周波数でのダイオード整流を不可能ではないにしろ非効率にする通常の寄生静電容量によって制限されない。
【0064】
図8は、本発明の実施形態により合成されるナノスケール光学装置100の概略図を示す。ナノスケール光学装置100は、光起電性材料180が充填された円柱状経路160を通って金属膜140を貫通する金属ナノロッド120のアレイを有する。各ナノロッド120は、金属膜の各面から突出する光学ナノアンテナ110と、金属膜内に埋め込まれるナノスケール共軸送電線(CTL)115とを有する。
【0065】
図9Aは、本発明の実施形態により合成されるナノスケール光学装置200の基本構造の3次元構成を示す。金属膜240を越えて延在するナノロッド220は、可視周波数での電磁放射線を授受可能なナノアンテナ110として機能する。光学ナノアンテナ110のアレイによって回収される入射光は、共軸送電線(ケーブル)115のナノスケールの経路に入るように圧縮されてから、ナノアンテナ110セグメントによって膜の反対側で減圧(および再放射)される。ナノアンテナ110は従来のアンテナの方向性特徴を備え、従来の無線技術が可視周波数範囲でナノスケール光学装置200に適用されることを立証する。光のための従来の共軸ケーブルを開発することも可能である。ナノスケール共軸ケーブル115を使用する利点は、(導波管とは対照的に)遮断周波数を持たない、すなわち、ナノスケール共軸ケーブル115が垂直寸法を超える波長での放射線の伝播を可能にすることである。ナノスケール光学装置200でナノスケール共軸ケーブル115を使用する目的は、内部電極と外部電極間の限られた空間に外部放射線を導き圧縮することである。この圧縮の度合いは以下のように推定することができる。整合アンテナはλのオーダーである領域から放射線を回収する。続いて、この放射エネルギーは効率的に共軸送電線に移送されて、そこでπ(R−r)の領域に圧縮されるため、電力圧縮率はλ/π(R−r)のオーダーである。半径r≒5nmのナノロッド120を採用し、垂直寸法R≒20nmを使用することによって、可視範囲で数百程度の電力圧縮率が可能である。
【0066】
共軸線内の電場は1/ρとして変動する。ここでρは中心からの半径距離なので、小さなrに対して非常に大きくなる可能性がある。電場促進はλ/ρ程度であり、r≒5nmのナノロッド220では可視範囲で約100程度であると立証することができる。さらなる大幅な電場促進は、たとえば、金または銀の動作範囲で活性プラズモン共鳴を有するナノロッド220を使用することによって達成可能である。計算によると、プラズモン(Mie)共鳴により、10倍ものさらなる共鳴増強が実現される。総電場促進は、10〜10にもなると予測できるため、共軸ケーブルの光起電力における非直線プロセスをトリガさせるのに十分なほど高く、送信電磁エネルギーの所望のスイッチオフを生じさせる。その効果を説明するため、プラズモンナノロッド220で達成され得る10の中程度の促進を検討する。電場強度は入射線束1W/mに対して約2V/μmであり、通常のレーザポインタより約1000倍小さい。かかる電場強度は、通常のナノロッド220からの電場放出を引き起こすのに十分である。
【0067】
図9Bは、図9Aのナノロッド220の相対的特徴を示す走査型電子顕微鏡写真像を示す。ナノロッド220は、ナノスケール光学装置200内に直線的に整列される。図9Cは、図9Aのナノスケール光学装置200の透過型電子顕微鏡写真像を示す。図9Aのナノスケール光学装置200では、製造中にナノスケール光学装置200の上半分のみがエッチングされ、下半分はエッチングされなかった。この結果、図9Cの透過型光学顕微鏡写真像に示されるように、上半分だけが透過光を有する。
【0068】
図10Aは、ナノスケール光学装置100の代表的な製造方法を示す。ステップ1では、クロムは通常約15nmの厚さでガラス基板上にスパッタされる。選択された厚さの触媒遷移金属(たとえば、ニッケル)が、ステップ2および3に示されるように、クロムガラス上に電着され、その後、カーボンナノチューブが成長させられる。プラズマ強化化学蒸着(PECVD)はステップ4に示されるように、クロム層をエッチングするのに使用される。通常のPECVDは約1時間継続する。光起電性(または半導体)材料(たとえば、SiO、ただし、0≦x≦2)が、ステップ5に示されるように基板上にスパッタされる。当業者であれば、スパッタされた材料はナノスケール光学装置の適用によって必要とされる特定の機能を有する任意の材料であってよく、本発明の実施形態の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。通常、光起電性材料が被覆されて、約100nmの厚みをもたらす。次に、アルミニウムがスパッタされてから、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)が回転塗布され、ステップ6および7に示されるように、約40分間約180℃で焼結される。通常、約400nmのアルミニウムがスパッタされる。ステップ8では、ナノロッド120の先端にアルミニウム層が、約25分、約20%HSOにおいて、4.0Vで、陽極としてサンプルを、陰極としてプラチナ電極を用いて電気化学エッチングされる。この例では、サンプルの下半分のみがエッチングされた結果、透過型電子顕微鏡写真像で見られるようにその部分だけが透過光を有する。
【0069】
図10Bは、ナノスケール光学装置100を製造する別の方法を示す。ステップ1では、クロムは、通常、約15nmの厚さでガラス基板上にスパッタされる。選択された厚さの触媒遷移金属(たとえば、ニッケル)がステップ2および3に示されるように、クロムガラス上に電着され、その後、カーボンナノチューブが成長させられる。プラズマ強化化学蒸着(PECVD)がステップ4に示されるように、クロム層をエッチングするのに使用される。通常のPECVDは約1時間継続する。光起電性(または半導体)材料(たとえば、SiO、ここで、0≦x≦2)がステップ5に示されるように、基板上にスパッタされる。当業者であれば、スパッタ材料がナノスケール光学装置の適用によって求められる特定の機能を有する任意の材料で構成されてよく、本発明の実施形態の範囲と精神に含まれることを認識するであろう。通常、光起電性材料が被覆されて約100nmの厚さをもたらす。次に、アルミニウムがステップ6に示されるように、被覆された基板上にスパッタされる。通常、約400nmのアルミニウムがスパッタされる。ステップ7では、ナノチューブの先端が研磨によって除去される。ステップ8では、ナノロッド120の先端でのアルミニウム層の電気化学エッチングは、約20%のHSO内で、4.0Vで、サンプルを陽極として、プラチナ電極を陰極として約25分で実現される。
【0070】
図11は、可視周波数範囲におけるナノロッド120のアレイのアンテナ作用を実証する結果を示す。偏波もナノアンテナ長効果もどちらも、外部放射線がアンテナ理論と良好に一致してナノロッド120の非周期的なアレイによって反射/散乱されるレーダ断面(RCS)型の実験において示される。主要部分は、最大RCS散乱振幅でのナノアンテナ長対照射波長を示す。図11の右上図は、漸次変化するナノロッド120長により干渉色(左から右)のサンプル写真図を示す。図11の右下はナノロッド120の走査型電子顕微鏡写真画像を示す。
【0071】
図12Aは、本発明の実施形態により製造されたナノスケール光学装置100の一部の可視写真像を示す。ナノ−CTL115は、緑色と赤色のレーザで背後から照らされている。緑色光と赤色光のいずれもナノ−CTL115を通って誘導される。各活性ナノ−CTL115は緑色のハローによって取り巻かれる。より小さな赤色光の点も可視である。図12Bは、番号付けされたナノ−CTL115の対応するSEMクローズアップ(上面図)を示す。ナノ−CTLの番号37および番号47は単心であり、番号41および番号48は二重心である。ナノ−CTL番号37は、Siで被覆され、Al膜を貫通する円柱管内に共軸に配置されるCNTコアを備える。空隙(暗い輪)はSiで被覆されたCNTとAl壁とを分離する。図12Bに示されるように、空隙は、放射線の波長(緑色の場合〜550nmで赤色の場合650nm)よりもずっと薄い(〜100nm)。よって、ナノ−CTLのサブ波長作用が実証された。
【0072】
一実施形態では、ナノスケール光学装置は図13に示されるような太陽電池として使用することができる。ナノ−CTL(概して650で示す)内の非対称電極間電子トンネリングは、太陽電池バッテリ600の整流機構である。最大場は常に内部電極にあるので、トンネリングは非対称である。よって、電子は内部電極から外部電極に通り抜ける。光電池680(半導体)は金属光電インタフェースでのバンドオフセットを低減することができる。これにより、光電池での電荷蓄積が除去され、電場誘起バンド屈曲と、その結果としてトンネリングの迅速処理をもたらす。太陽放射620は、ナノロッド640のナノアンテナセグメント630を介してナノ−CTL650に入る。十分大きな場がトンネリングをトリガする結果、外部電極に負電荷が蓄積する。内部電極が接続されて正帯電バッテリ端子を提供する。
【0073】
図14は、第1の電気導体710と第2の電気導体720を含む平行共平面導波管700を示す。一実施形態では、第1および第2の電気導体710および720は、互いに略平行である。一実施形態では、第1および第2の電気導体710および720は金属電極である。光起電性材料は、電気導体710と720との間の空間に配置することができる。電気導体710と720間の空間には空気または真空を配置させることもできる。電気導体710と720間に介在する空間に光起電性材料が充填されると、導波路機能は光エネルギーを光起電性材料に運び、そこで光エネルギーは電気エネルギーに変換される。
【0074】
図15は、複数の電気導体710、720、730を含む多層平行共平面導波管701を示す。一実施形態では、複数の電気導体は互いに略平行である。一実施形態では、複数の電気導体は金属電極である。光起電性材料は、複数の電気導体間の空間内に配置できる。複数の電気導体間の空間には空気または真空を配置させることもできる。複数の電気導体間に介在する空間に光起電性材料が充填されると、導波路機能は光エネルギーを光起電性材料に運ぶように機能し、そこで光エネルギーは電気エネルギーに変換される。
【0075】
内部電気導体のいくつかは透明金属で製造できる。たとえば、図15の中間電気導体720は、透明金属で製造できる。光学伝播モード(すなわち、TEMモード)に関しては、この構造は平行共平面導波管701(図14と同様)だが、追加のバイアス電極を有する。多モード伝播は、十分大きな電極間間隔で実現することができる。
【0076】
図16は、第1の電気導体710と第2の電気導体720が平行でない非平行共平面導波管702を示す。一実施形態では、第1および第2の電気導体710および720は金属電極である。光起電性材料は、電気導体710および720間の空間内に配置することができる。電気導体710および720間の空間に空気または真空を配置させることもできる。電気導体710と720間の介在空間に光起電性材料を充填すると、導波路機能は光エネルギーを光起電性材料に運び、そこで光エネルギーは電気エネルギーに変換される。一実施形態では、非平行共平面導波管の多層バージョンは3以上の非平行電気導体を有する。
【0077】
図17は任意の形状の共金属導波管703を示す。構造の形状は、伝播方向で不変である。一実施形態では、任意の形状の共金属導波管の多層バージョンは3以上の層を有する。光起電性材料180は、内側導体120と外側導体160の間の空間に配置させることができる。内側導体120と外側導体160間の介在空間に光起電性材料180が充填されると、導波路機能は光エネルギーを光起電性材料180に運ぶように機能し、そこで光エネルギーは電気エネルギーに変換される。
【0078】
内側導体、外側導体、および素子は、円形、正方形、矩形、円柱状、およびその他の対称および非対称の形状を含むがそれらに限定されない様々な形状を取ることができる。特定の形状は、アレイ上の素子の密度を増減させることによって効率性を増し得る。当業者であれば、内側導体、外側導体、および素子が任意の形状および任意の断面を取ることができ、本発明の精神と範囲に含まれることを認識するであろう。
【0079】
太陽電池として使用されるナノスケール光学装置は、それぞれが第1の電気導体と第2の電気導体との間に位置する光起電性材料を含む複数のナノスケール共金属構造を備える。ナノスケール光学装置は共金属太陽電池である。
【0080】
光起電性材料の厚さは、第1の電気導体と第2の電気導体間の分離距離である。一実施形態では、第1の電気導体と第2の電気導体間の分離距離はナノスケールで、光起電性材料の厚さはナノスケールである。光起電効果を通じて太陽エネルギーによって解放される電荷キャリア(電子と正孔)は、電流または電圧の形で採取されるナノスケール距離だけ移動すればよい。光起電性材料の厚さは、キャリア拡散長と略同じかそれ未満であるべきである。たとえば、非晶質シリコン(Si)では、キャリア拡散長は約100nmである。TEM伝播に関しては、共金属構造の電極間間隔全体は光起電性材料と略同じであるべきである。
【0081】
十分大きな電極間間隔については、TE(横電場)および/またはTM(横磁場)モードがTEMモードに加えて伝播することのできる多モード伝播が発生する。多モード伝播は、内側導体と外側導体の間に位置する透明導体コア(内側導体)または透明導体(光起電性材料に加えて)で発生することができる。透明導体は光波長より小さいまたは大きい直径を有することができ、光はアンテナを介して間接的にだけではなく直接的に入射することができる。透明導体は、ナノスケール厚の光起電性材料を一面または両面に有してよい。多モード伝播に関しては、共金属構造内の電極間間隔全体は光波長と略等しくあるべきである。
【0082】
一実施形態では、第1の電気導体の突出部は第2の電気導体を越えて延在し、アンテナとして機能する。基板は複数のナノスケール共金属構造を支持してよい。一実施形態では、透明導体は、第1の電気導体と第2の電気導体の間に位置する。
【0083】
一実施形態では、複数の共金属構造が直列に接続される結果、総電圧が各共金属構造によって光生成される電圧の略合計となる。一実施形態では、複数の共金属構造が並列に接続された結果、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の最小値と最大値との間になる。
【0084】
太陽光電池では、光エネルギーは光電半導体媒体によって吸収され、半導体価電子帯の電子に移される。これにより電子のエネルギーが増大し、電子は半導体伝導帯へと引き上げられて、そこで移動可能になる。伝導帯へと引き上げられた各電子は、価電子帯に正孔を残していく。正孔は電子の負の電荷とは対照的な正に帯電した実体とみなすことができ、正孔も移動可能である。いったんこの電子−正孔ペアが生成されれば、電子と正孔はそれぞれ、金属電極へと移動させることによって採取されなければならない。移動は電場の影響下で起こり、正孔は電場の方向に移動して、電子は電場に逆らう方向に移動する。
【0085】
太陽電池内の電場は、ショットキー障壁、p−n接合、およびp−i−n接合を含むいくつかの方法で生成することができる。ショットキー障壁は、ダイオードとしての使用に適した整流特性を有する金属半導体接合である。大部分の金属半導体接合は本質的にショットキー障壁を形成する。2つのショットキー障壁を、1つは共金属構造内の各金属半導体接合で形成することによって、適切な電場が確立される。p−n接合は、n型半導体とp型半導体を共に密接に接触させて結合することにより形成される。p−n接合も電場を確立する。p−i−n接合(p型半導体、真性半導体、n型半導体)は、p型半導体領域とn型半導体領域間に幅広の非ドープの真性半導体領域を有する接合ダイオードである。太陽電池に関しては、p領域とn領域は真性半導体領域よりも薄く、電場を確立するために存在する。
【0086】
図18は、p−n接合を有するナノスケール共軸太陽電池704を示す。p型光電半導体層770およびn型光電半導体層780は、いずれか一方が内側導体120に隣接し、他方が外側導体160に隣接するように入れ替えることができる。太陽電池は共軸p−n接合共金属太陽電池である。
【0087】
図19は、p−i−n接合を有するナノスケール共軸太陽電池705を示す。p型光電半導体層770およびn型光電半導体層780は、いずれか一方が内側導体120に隣接し、他方が外側導体160に隣接するように入れ替えることができる。真性半導体層775はp型層770とn型層780との間にある。太陽電池は共軸p−i−n接合共金属太陽電池である。
【0088】
太陽電池は導電性コアを含む複数のナノスケール共軸構造を備え、各ナノスケール共軸構造が、光起電性材料に接触し、外側導体層で被覆される。太陽電池は共軸共金属太陽電池である。
【0089】
一実施形態では、光起電性材料は導電性コアの一部に接触する。基板は、複数のナノスケール共軸構造を支持してよい。一実施形態では、光起電性材料は、光電半導体から成るp−n接合を含む。一実施形態では、光起電性材料は、p型半導体層、真性光電半導体層、およびn型半導体層で形成されるp−i−n接合を含む。一実施形態では、透明導体は導電性コアと外側導体層との間に位置する。
【0090】
一実施形態では、導電性コアの突出部は外側導体層を越えて延在し、アンテナとして機能する。太陽電池は、アンテナを有する共軸共金属太陽電池である。
【0091】
一実施形態では、複数の共軸構造が直列に接続される結果、総電圧が各共軸構造によって光生成される電圧の合計となる。一実施形態では、複数の共軸構造が並列に接続された結果、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の最小値と最大値との間になる。
【0092】
図20は、p−n接合を有するナノスケール共平面太陽電池706を示す。p型光電半導体層770およびn型光電半導体層780は、いずれか一方が第1の導電層790に隣接し、他方が第2の導電層792に隣接するように入れ替えることができる。太陽電池は、共平面p−n接合共金属太陽電池である。
【0093】
図21は、p−i−n接合を有するナノスケール共平面太陽電池707を示す。p型光電半導体層770とn型光電半導体層780は、いずれか一方が第1の導電層790に隣接し、他方が第2の導電層792に隣接するように入れ替えることができる。真性半導体層775はp型層770とn型層780との間に位置する。太陽電池は共平面p−i−n接合共金属太陽電池である。
【0094】
太陽電池は、それぞれが第1の導電層と第2の導電層との間に位置する光電層を含む複数のナノスケール共平面構造を備え、光が第1の導電層と第2の導電層との間の共平面構造に入射する。太陽電池は共平面共金属太陽電池である。
【0095】
一実施形態では、第1の導電層が第2の導電層に略平行である。基板は、複数のナノスケール共平面構造を支持してよい。一実施形態では、第1の導電層と第2の導電層は、光電層を介してのみ電気的に接触する。一実施形態では、光電層は平面p−n接合を含む。一実施形態では、光電層は、p型半導体層、真性光電半導体層、およびn型半導体層で形成される平面p−i−n接合を含む。一実施形態では、透明導体は第1の導電層と第2の導電層との間に位置する。
【0096】
一実施形態では、第1の導電層の突出部は第2の導電層を越えて延在する。太陽電池は、アンテナを有する共平面共金属太陽電池である。
【0097】
一実施形態では、複数の共平面構造が直列に接続される結果、総電圧が各共平面構造によって光生成される電圧の合計となる。一実施形態では、複数の共平面構造が並列に接続された結果、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の最小値と最大値との間になる。
【0098】
図22はナノスケール共平面太陽電池708の側面図である。本実施形態では、第2の金属796は2つの第1の金属794の間に位置し、光起電性材料180は第1の金属794と第2の金属796との間に位置する。複数の第1の金属794は互いに平行であってもよいし、角度を持っていてもよい。第2の金属796と第1の金属794は、互いに平行であってもよいし、角度を持っていてもよい。第2の金属796は、上部導体としての役割も果たす。光起電性材料180は、本明細書に記載される、あるいは当該技術において公知の任意の光起電性材料、p−n接合構造、またはp−i−n接合構造であってもよい。基板が導電性と透過性を有するとき、光エネルギーは下から光起電性材料180に達し、そこでナノスケール共平面太陽電池において電気エネルギーに変換される。
【0099】
太陽電池として使用されるナノスケール光学装置は、外側導体で被覆された光起電性材料によって囲まれた内側導体と、複数のナノスケール共軸構造を有する膜と、膜表面を越えて延在する内側導体の突出部とを含む複数のナノスケール共軸構造を備える。
【0100】
太陽電池の製造方法は、触媒材料で基板を被覆するステップと、ナノスケール共軸ユニットの内部コアとして複数のカーボンナノチューブを基板上で成長させるステップと、光起電膜で被覆するステップと、金属媒体で被覆するステップとを含む。該方法はさらに、光起電膜での被覆前に基板を酸化させるステップを含む。
【0101】
太陽電池の製造方法は、クロム層で基板を被覆するステップと、被覆された基板上に触媒遷移金属を電着するステップと、カーボンナノチューブ(CNT)のアレイを被覆された基板上で成長させるステップと、クロム層をエッチングするステップと、被覆された基板とCNTのアレイを光起電性材料で被覆するステップと、被覆された基板とCNTのアレイを金属材料で被覆するステップとを含む。
【0102】
太陽電池の製造方法は、複数のナノスケール平面構造を準備するステップと、複数の平面構造の複数の平面を、複数の平面間の空間を残しつつ光電半導体で被覆するステップと、光電半導体を外側導体層で被覆するステップとを備え、外側導体層の一部が平面構造間に配置されて共平面構造を形成する。一実施形態では、光起電性材料は、複数の平面構造の複数の平面をその形状に沿って被覆する。光起電性材料は平面構造間の空間を部分的にのみ充填し、該空間を完全には充填しない。一実施形態では、金属ナノスケール共平面構造が光学的に透明な基板上に設けられて、基板側から光エネルギーが光起電性材料に到達し、そこで太陽電池において電気エネルギーに変換される。一実施形態では、金属ナノスケール共平面構造は光学的に不透明な基板上に設けられ、最上部の金属被覆は透明であるので、最上部の金属被覆を通る光は光起電性材料に到達し、そこで太陽電池において電気エネルギーに変換される。
【0103】
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、および公開された参考文献は、参照により全文を本明細書に組み込む。上記に開示した、およびその他の特徴と機能、またはその代替は、所望に組み合わせて多くのその他の様々なシステムまたは用途とすることができると理解される。現時点では予測不能または予期不能な様々な代替、修正、変形、または改良は、引き続き当業者によって行うことが可能であり、それらは添付の請求項に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1A】導電性マトリックスに埋め込まれる開示実施形態の複数のナノスケール共軸共金属太陽電池ユニットの概略図である。
【図1B】図1Aのナノスケール共軸太陽電池ユニットの上面図である。
【図2A】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられるナノスケール共軸送電線の概略図および例示の図であり、整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。
【図2B】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられるナノスケール共軸送電線の概略図および例示の図であり、光起電性材料の被覆後の整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。
【図2C】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられるナノスケール共軸送電線の概略図および例示の図であり、光起電性材料および外側導体材料の被覆後の整列カーボンナノチューブの概略図および例示の図である。
【図3A】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線のアレイを示し、走査型電子顕微鏡(SEM)によって視認される露出共軸構造を示す。
【図3B】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線のアレイを示し、走査型電子顕微鏡によって視認される単独のナノスケール共軸送電線の断面図である。
【図3C】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線のアレイを示し、シリコン(Si)、クロム(Cr)、およびアルミニウム(Al)の濃度マッピングを示す共軸層の組成のエネルギー分散X線分光(EDS)分析を示す。
【図3D】整列カーボンナノチューブの周囲に据えられたナノスケール共軸送電線のアレイを示し、集光器を有するナノスケール共軸太陽電池のアレイの断面図を示す。
【図4A】白色光がナノスケール共軸送電線のアレイを透過する光学実験の結果を示し、ナノスケール共軸送電線を表す暗点を有する反射光で可視なアレイの表面トポグラフィーを示す。
【図4B】白色光がナノスケール共軸送電線のアレイを透過する光学実験の結果を示し、光るナノスケール共軸送電線の明点を有する透過光で可視な図4Aと同じアレイの表面トポグラフィーを示す。
【図4C】白色光がナノスケール共軸送電線のアレイを透過する光学実験の結果を示し、反射光(図4A)と透過光(図4B)の合成としてアレイの表面トポグラフィーを示す。
【図5】非直線導電線と可撓マトリックスを有するナノスケール共軸太陽電池の断面図である。
【図6A】並列に配列される様々なバンドギャップ半導体の多層構造を有するナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。
【図6B】直列に配列される様々なバンドギャップ半導体の多層構造を有するナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。
【図7】ナノスケール共軸太陽電池の上端から延在する集光器を有するナノスケール共軸太陽電池の正面斜視図である。
【図8】カーボンナノチューブのアレイを含み、アレイの各細管が光学ナノアンテナとして知られる金属膜から突出する部分と、ナノスケール共軸送電線として知られる金属膜内に埋め込まれる部分とを含むナノスケール光学装置の概略図を示す。
【図9A】本発明の実施形態によるナノスケール光学装置の3次元構造を示す。
【図9B】図9Aのナノスケール光学装置で使用されるナノロッドの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図9C】図9Aのナノスケール光学装置の透過型光学顕微鏡画像を示す。
【図10A】本実施形態によるナノスケール光学装置の製造方法を示す。
【図10B】本実施形態によるナノスケール光学装置の製造方法を示す。
【図11】最大レーダ断面(RCS)散乱振幅での、ナノアンテナ長対照射波長のグラフを示す。
【図12A】本実施形態により製造されたナノスケール光学装置の一部の可視SEM像(オーバレイ)を示す。
【図12B】図12Aのナノスケール光学装置の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【図13】本実施形態により製造された太陽電池の概略図である。
【図14】平行共平面導波管の斜視図を示す。
【図15】多層平行共平面導波管の斜視図である。
【図16】非平行共平面導波管の斜視図である。
【図17】任意の形状の共金属導波管の斜視図である。
【図18】p−n接合を有するナノスケール共軸太陽電池の斜視図である。
【図19】p−i−n接合を有するナノスケール共軸太陽電池の斜視図である。
【図20】p−n接合を有するナノスケール共平面太陽電池の斜視図である。
【図21】p−i−n接合を有するナノスケール共平面太陽電池の斜視図である。
【図22】ナノスケール共平面太陽電池の側面図である。
【符号の説明】
【0105】
100 ナノスケール光学装置
110 光学ナノアンテナ
115 共軸部分
120 内側導体
140 導電性マトリックス
160 外側導体
180 光起電性材料
190 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池として使用されるナノスケール光学装置において、複数のナノスケール共金属構造を有し、該複数のナノスケール共金属構造の各々が第1の電気導体と第2の電気導体との間に光起電性材料を備えたことを特徴とするナノスケール光学装置。
【請求項2】
前記第2の電気導体を越えて延在する前記第1の電気導体の突出部をさらに備える請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項3】
前記複数のナノスケール共金属構造を支持する基板をさらに備える請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項4】
前記第1の電気導体と前記第2の電気導体との間に透明導体をさらに備える請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項5】
前記複数の共金属構造が直列に接続され、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の総計となる請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項6】
前記複数の共金属構造が並列に接続され、総電圧が各共金属構造によって光生成された前記電圧の最小値と最大値との間になる請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項7】
前記光起電性材料の厚さがキャリア拡散長と同等である請求項1に記載のナノスケール光学装置。
【請求項8】
複数のナノスケール共軸構造を備え、該複数のナノスケール共軸構造の各々が、光起電性材料に接触し外側導体層で被覆された導電性コアを有することを特徴とする太陽電池。
【請求項9】
前記光起電性材料は前記導電性コアの一部と接触する請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記外側導体層を越えて延在する前記導電性コアの突出部をさらに備える請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記複数のナノスケール共軸構造を支持する基板をさらに備える請求項8に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記光起電性材料は光電半導体で構成されるp−n接合を含む請求項8に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記光起電性材料は、p型半導体層、真性光電半導体層、およびn型半導体層で形成されるp−i−n接合を含む請求項8に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記導電性コアと前記外側導体層との間に透明導体をさらに備える請求項8に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記複数の共軸構造が直列に接続され、総電圧が各共軸構造によって光生成された電圧の総計となる請求項8に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記複数の共軸構造が並列に接続され、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の最小値と最大値との間になる請求項8に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記光起電性材料の厚さがキャリア拡散長と同等である請求項8に記載の太陽電池。
【請求項18】
複数のナノスケール共平面構造を有し、該複数のナノスケール共平面構造の各々が第1の導電層と第2の導電層との間に光電層を備え、
光が前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の前記共平面構造に入射することを特徴とする太陽電池。
【請求項19】
前記第1の導電層は前記第2の導電層に略平行である請求項18に記載の太陽電池。
【請求項20】
前記第2の導電層を越えて延在する前記第1の導電層の突出部をさらに備える請求項18に記載の太陽電池。
【請求項21】
前記複数のナノスケール共平面構造を支持する基板をさらに備える請求項18に記載の太陽電池。
【請求項22】
前記第1の導電層と前記第2の導電層は前記光電層を介してのみ電気的に接触する請求項18に記載の太陽電池。
【請求項23】
前記光電層が平面p−n接合を含む請求項18に記載の太陽電池。
【請求項24】
前記光電層が、p型半導体層、真性光電半導体層、およびn型半導体層で形成される平面p−i−n接合を含む請求項18に記載の太陽電池。
【請求項25】
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に透明導体をさらに備える請求項18に記載の太陽電池。
【請求項26】
前記複数の共平面構造が直列に接続され、総電圧が各共平面構造によって光生成された電圧の総計となる請求項18に記載の太陽電池。
【請求項27】
前記複数の共平面構造が並列に接続され、総電圧が各共金属構造によって光生成された電圧の最小値と最大値との間になる請求項18に記載の太陽電池。
【請求項28】
前記光電層の厚さがキャリア拡散長と同等である請求項18に記載の太陽電池。
【請求項29】
複数のナノスケール平面構造を準備するステップと、
前記複数の平面間の空間を残しつつ、前記複数の平面構造の複数の平面を光電半導体で被覆するステップと、
前記光電半導体を外側導体層で被覆するステップと、を備え、
前記外側導体層の一部を前記平面構造間に配置して共平面構造を形成することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項30】
前記光電半導体は前記複数の平面構造の前記複数の平面をコンフォーマルに被覆する請求項29に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−506546(P2009−506546A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528023(P2008−528023)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/032452
【国際公開番号】WO2007/120175
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505100919)ザ トラスティーズ オブ ボストン カレッジ (3)
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF BOSTON COLLEGE
【Fターム(参考)】