ナノステッパー/センサーシステム及びその使用方法
【課題】ナノポア解析技術を向上させること
【解決手段】ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム(10a)は、ナノポアシステム(30a)及び第1のナノステッパーシステム(20)を含む。ナノポアシステムはナノポアアパーチャ(34)を有する構造体(32)を含む。第1のナノステッパーシステム(20)は、x/y方向可動構造体(22)と、前記構造体(32)に隣接して配置された第1のナノステッパーアーム(24)とを含む。第1のナノステッパーアーム(24)はターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体(22)は、ターゲットポリマー(38)が配置された第1のナノステッパーアーム(24)をナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように位置決めし、ナノポアアパーチャ(34)を介してターゲットポリマー(38)を制御可能に移動させるように動作する。
【解決手段】ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム(10a)は、ナノポアシステム(30a)及び第1のナノステッパーシステム(20)を含む。ナノポアシステムはナノポアアパーチャ(34)を有する構造体(32)を含む。第1のナノステッパーシステム(20)は、x/y方向可動構造体(22)と、前記構造体(32)に隣接して配置された第1のナノステッパーアーム(24)とを含む。第1のナノステッパーアーム(24)はターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体(22)は、ターゲットポリマー(38)が配置された第1のナノステッパーアーム(24)をナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように位置決めし、ナノポアアパーチャ(34)を介してターゲットポリマー(38)を制御可能に移動させるように動作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
迅速な態様でDNA及びRNAのヌクレオチド配列を決定することは、バイオテクノロジーにおける研究者の、特に生物の全ゲノム配列を得るために探索を行うプロジェクトにとって、主要な目標である。更に、核酸分子配列を迅速に決定することは、個体における遺伝変種および多型、ならびに個体数を特定するために重要である。
【0003】
ナノポアシークエンシングは、核酸分子の配列を迅速に決定する1つの方法である。ナノポアシークエンシングは、ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際に、個々のポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)内の個々のヌクレオチド(又はヌクレオチドの環境における物理的変化(即ち、電流))を物理的に検知する特性に基づいている。原理的には、ポリヌクレオチドの配列は単一分子から決定され得る。しかしながら、実際には、同一分子の複数の通過、又は同一のポリヌクレオチド配列を有する複数分子の通過から得られるデータの統計的平均からポリヌクレオチド配列を決定することが好ましい。脂質2分子膜における直径2.6ナノメートルのナノポアアパーチャ(即ち、イオンチャネル)に1本鎖RNA及びDNA分子を通過させるために電界を用いることにより、分子が小さなイオンチャネルを通過する際にポリヌクレオチドの特性を決定するために膜チャネルを用いることが、Kasianowicz他により研究されている(非特許文献1を参照、この文献は参照により本明細書に組み込まれる)。ナノポアアパーチャの直径は、常にポリヌクレオチドの1本鎖だけがナノポアアパーチャを通過することを可能にする。ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ポリヌクレオチドはナノポアアパーチャを部分的にブロックし、結果として一時的なイオン電流の減少をもたらす。電流減少の長さは、直接的にポリヌクレオチドの長さに比例するので、Kasianowicz他は、イオン電流の変化を測定することにより、ポリヌクレオチドの長さを実験的に決定することができた。
【0004】
Baldarelli他(特許文献1)及びChurch他(特許文献2)は、モノマーの原則により、モノマーにおけるDNA及びRNA分子を含むポリヌクレオチドの特性を決定するためにナノポアを使用することを説明している。特に、Baldarelli他は、ナノポアアパーチャにポリヌクレオチドを通過させることにより、ポリヌクレオチドの特性を決定して、配列を決定した。ナノポアアパーチャは構造体またはインターフェースに組み込まれて、2つの媒体を分離する。ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ポリヌクレオチドは、ナノポアアパーチャをブロッキングすることにより、イオン電流を変化させる。個々のヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ナノポアアパーチャを一時的にブロッキングするヌクレオチドの特定を可能にする態様で各塩基/ヌクレオチドがイオン電流を変化させ、それによりポリヌクレオチドのヌクレオチド組成の特性を決定し、恐らくポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することが可能になる。
【0005】
従来のナノポア解析技術に関する1つの欠点は、ターゲットポリヌクレオチドを解析する速度の制御である。Kasianowicz他(非特許文献1)により説明されるように、ナノポア解析はポリヌクレオチドの長さ決定を実行するための有用な方法である。しかしながら、移動(translocation:転位、転移、転座)の速度はヌクレオチド組成に依存し、Kasianowicz他により概説された測定条件下で、1秒あたり105〜107ヌクレオチドの範囲を有することができる。従って、ある任意のポリヌクレオチドの長さと、その移動時間との相関関係は単純ではない。また、移動速度が速度および規則性において実質的により良く制御される場合には、ポリヌクレオチド内の組成およびヌクレオチドの構成単位間の空間的関係に関して、より高い解像度を得ることができることも期待されている。従来のナノポア解析技術に関する別の欠点は、個々のポリマーの各々が一般に、検出領域を一度だけ通過するということである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,015,714号
【特許文献2】米国特許第5,795,782号
【特許文献3】米国特許第5,986,381号
【特許文献4】米国特許第6,657,359号
【特許文献5】米国特許第6,695,297号
【特許文献6】米国特許第6,541,892号
【特許文献7】米国特許第6,210,896号
【特許文献8】米国特許出願第20020110818号
【特許文献9】米国特許出願第20020039737号
【特許文献10】国際公開第00/79257号パンフレット
【非特許文献1】Kasianowicz他著、「Proc.Natl.Acad.Sci.」、USA.93:13770−3、1996年
【非特許文献2】Storrs Hoen、Qing Bai、Jonah A.Harley他著、「A High-Performance Dipole Surface Drive for Large Travel and Force」、Transducers 2003 12th International Conference on Solid State Sensors,Actuators,and Microsystems,Boston,2003年6月8日〜12日
【非特許文献3】Storrs Hoen,Paul Merchant,Gladys Koke,Judy Williams,Hewlett Packard Laboratories著、「Electrostatic Surface Drives:theoretical considerations and fabrication」、Transducers 1997、1997 International Conference on Solid-State Sensors and Actuators,Chicago,1997年6月16日〜19日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、上述した技術的な問題を克服、又は少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム及び方法が提供される。係るシステムの一つは、とりわけ、ナノポアシステム及び第1のナノステッパーシステムを含む。ナノポアシステムは、ナノポアアパーチャを有する構造体を含む。第1のナノステッパーシステムは、x/y方向可動構造体と、前記構造体に隣接して配置された第1のナノステッパーアームとを含む。第1のナノステッパーアームはターゲットポリマーと相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体は、ターゲットポリマーが配置された第1のナノステッパーアームを、ナノポアアパーチャと実質的に一列になるように位置決めするように動作する。x/y方向可動構造体は、ナノポアアパーチャを介してターゲットポリマーを制御可能に移動させるように動作する。
【0009】
別のシステムは、とりわけ、センサーシステム及びナノステッパーシステムを含む。センサーシステムはセンサーを含む。ナノステッパーシステムは、x/y方向可動構造体と、前記センサーに隣接して配置されたナノステッパーアームとを含む。ナノステッパーアームはターゲットポリマーと相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体は、ターゲットポリマーが配置されたナノステッパーアームを、センサーに実質的に隣接して配置するように動作する。x/y方向可動構造体は、センサーがターゲットポリマーを検知するように、センサーの近くにターゲットポリマーを制御可能で可逆的に移動させるように動作する。
【0010】
ポリマーを解析するための代表的な方法は、とりわけ、第1のx/y方向可動構造体を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、ナノポアアパーチャを通してターゲットポリマーを移動させ、前記x/y方向可動構造体が、ターゲットポリマーをナノポアアパーチャと実質的に一列になるように配置するように動作し、前記x/y方向可動構造体が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向は、ナノポアアパーチャが形成される構造体を貫く軸として規定され、及び前記第1のx/y方向可動構造体の移動の関数として、ナノポアアパーチャに対するターゲットポリマーの移動に対応する信号をモニターすることを含む。
【0011】
別の代表的な方法は、とりわけ、ナノステッパーシステムを用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、センサーに隣接するターゲットポリマーを移動させ、前記ナノステッパーシステムが、センサーの実質的に近くにターゲットポリマーを配置するように動作し、前記ナノステッパーシステムは、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向が前記センサーと同一平面内にあり、y方向が前記センサーの左右にターゲットポリマーを移動させる方向であり、及び前記ナノステッパーシステムの移動の関数として、センサーに対するターゲットポリマーの移動に対応する信号をモニターすることを含む。
【0012】
他のシステム、方法、特徴および/または利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することにより当業者には明らかになるであろう。さらなる係るシステム、方法、特徴および/または利点の全ては、本明細書内に含まれ、添付の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサーがターゲットポリマーを検知するように、ターゲットポリマーを制御可能で可逆的にセンサーに隣接して移動させるように動作するナノステッパーシステムを有するナノステッパー/センサーシステムが提供される。係るナノステッパー/センサーシステムは、センサーに対するターゲットポリマーの物理的配置およびアラインメントに対する頑強な方法を提供する。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーを通過する際にターゲットポリマーの移動速度を制御するように動作することができる。このためナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーの移動を逆転させることができ、これにより、ターゲットポリマーがセンサーによって複数回検知(解析)されることが可能になる。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、コイル状または非直線状の構造から実質的に直線状になるようにターゲットポリマーを「伸ばす」ように、ターゲットポリマーに力を作用させるように動作することもできる。更に、本発明のナノステッパー/センサーシステムを使用することにより、ターゲットポリマーの逆方向への移動の確率を実質的に低減することができ、かくしてターゲットポリマーの規定された方向の解析を確実にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図面を参照する。図面中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではないことに留意されたい。
【0015】
本明細書においてより詳細に説明されるように、ナノステッパー/センサーシステム及びその使用方法が提供される。用語「ナノステッパー」は、マイクロマシン化された静電アクチュエータを意味し、これについては特許文献3でより詳細に説明されており、特許文献3は参照により本明細書に組み込まれる。ナノステッパーは、約50μm移動する間に、最大数百マイクロニュートンの力を示す静電作動型ダイポール表面駆動を使用する。ダイポールステッピングモーターの設計により、この装置が2つの方向に沿って長い距離を移動する間に、大きな力を提供することを可能にする。アクティブフィードバックを用いて、ナノステッパーは、約1.5ナノメートル、及び約0.1nm(1オングストローム)までの精度で、反復可能に配置され得る。
【0016】
一例として、いくつかの実施形態は、センサーがターゲットポリマーを検知(例えば、ターゲットポリマーの1つ又は複数の特性を検出)するように、ターゲットポリマー(例えば、ポリペプチド及びポリヌクレオチド)を、制御可能で可逆的にセンサーに隣接(例えば、非常に接近)して移動させるように動作するナノステッパーシステムを有するナノステッパー/センサーシステムを提供する。ナノステッパー/センサーシステムの実施形態は、センサーに対するターゲットポリマーの物理的配置およびアラインメントに対する頑強な方法を提供する。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーを通過する際にターゲットポリマーの移動速度を制御するように動作する。この点に関して、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーの移動を逆転させることができ、これにより、ターゲットポリマーがセンサーによって複数回検知(解析)されることが可能になる。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、コイル状または非直線状の構造から実質的に直線状になるようにターゲットポリマーを「伸ばす」ように、ターゲットポリマーに力を作用させるように動作する。ナノステッパー/センサーシステムを使用することに関するさらなる利点は、ターゲットポリマーの逆方向への移動の確率を実質的に低減し、かくして、ターゲットポリマーの規定された方向の解析を確実にすることである。
【0017】
図1は、ターゲットポリマーを制御可能および可逆的に解析するために使用され得るナノステッパー/センサーシステム10の代表的な実施形態を示す。ターゲットポリマーは、以下に限定されないが、バイオポリマー、ポリペプチド(例えば、タンパク質およびその一部)、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、PNA、及びその一部)、合成ポリマー(例えば、コポリマー及びブロックポリマー)などを含むことができる。ナノステッパー/センサーシステム10は、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20及びセンサーシステム30を含む。ナノステッパーシステム20及びセンサーシステム30は、ターゲット分子の1つ又は複数の特性を測定するために、センサーシステム30におけるセンサーに対してターゲットポリマーを配置するように動作する。ターゲットポリマーの位置およびその移動(例えば、速度およびステップサイズ)は、ナノステッパーシステム20により制御される。移動は、ターゲットポリマーに対して前方向または後方向に行うことができる。更に、センサーに対するターゲットポリマーの位置決めは、再現および反復されることができ、それにより、同一分子に関して正確かつ精密な測定が実施されることを可能にする。
【0018】
図2は、ナノステッパー/センサーシステム10を使用するための代表的なプロセス12を示す流れ図である。図2に示されるように、機能(又は方法)はブロック14から開始するように構成され、ブロック14においてターゲットポリマー、ナノステッパーシステム20、及びセンサーシステム30が準備される。ブロック16において、ターゲットポリマーが、ナノステッパーアームに(例えば、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電子的、磁気的等により)付けられる。ブロック18において、ナノステッパーシステム20は、センサーに対してターゲットポリマーを制御される態様で移動させる。結果として、センサーシステム30は、ターゲットポリマーの1つ又は複数の特性を測定するように動作する。
【0019】
一般に、ナノステッパーシステムは、1つ又は複数のナノステッパーアームが取り付けられたx/y方向可動構造体を含む。x/y方向可動構造体は、制御可能および再生可能な態様で、x及びy方向に独立して動くように動作する。また、ナノステッパーシステムは、制御可能および再生可能な態様でz方向に動くように動作し、かつx/y方向可動構造体から独立して動くことができるz方向可動構造体も含むことができる。x/y方向可動構造体および/またはz方向可動構造体を使用して、ナノステッパーシステムは、センサーに対してターゲットポリマーを移動させるための機械的な力を生じさせることができる。言い換えれば、ナノステッパーシステムは、ターゲットポリマーを3次元で移動させることができる。別の実施形態において、ナノステッパーシステムは、センサーに対してターゲットポリマーを移動させるための機械的な力と連係して、電気的および/または磁気的な力を使用することができる。
【0020】
ナノステッパーアームの一部は、ターゲットポリマーと相互作用する1つ又は複数の化学物質、生化学物質、磁気構造体、導電性構造体、及びそれらの組み合わせを含むことができる。ナノステッパーアームとターゲットポリマーとの間の相互作用は、センサーに対してターゲットポリマーを移動させる間に加えられる力に耐えるほど十分に頑強であるべきである。一実施形態において、ナノステッパーアームとターゲットポリマーとの間の相互作用の強さは、ターゲットポリマーの骨格(例えば、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの糖骨格)中の結合と少なくとも同程度に強いべきである。ターゲットポリマーは、以下に限定されないが、共有結合、バイオ共役(bio-conjugation)結合(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用)、ターゲットポリマーの一部とのハイブリダイゼーション相互作用(例えば、DNA、RNA、及びPNAを使用)、磁気的相互作用(例えば、ターゲットポリマーが磁気構造体を含む)、ジンクフィンガータンパク質、及びこれらの組み合わせなどの1つ又は複数の相互作用を用いて、ナノステッパーアーム上に配置され得る。
【0021】
ナノステッパーは、センサーがターゲットポリマー分子の1つ又は複数の特性を測定することができるように、ターゲットポリマーを配置し、ターゲットポリマーをセンサーに対して制御可能、反復可能、かつ可逆的な態様で(例えば、隣接させて、又は十分に接近させて)通過移動する(例えば、引っ張る)ように動作する。
【0022】
一般に、x方向は、センサーシステム30の、ナノポアが形成される構造体を貫く軸として定義される。センサーシステム30の面に平行な方向をy方向と呼ぶこととする。x及びy方向の双方に対して直交する方向をz方向と呼ぶこととする。一実施形態において、x方向は、ナノポアを実質的に貫通する軸であるが、別の実施形態においては、x方向は、センサーシステム30の軸に対する垂線と約60〜75度の角度の範囲内にある軸である。
【0023】
図3に示されるように、x方向は、センサーと同じ平面内にあり、そのため、x方向の移動は、センサーを前方向および後方向に通過するようにターゲットポリマーを移動させる。また、y方向もセンサーと同じ平面内にあるが、y方向の移動はターゲットポリマーをセンサーの左右方向に移動させる。別の実施形態において、ナノステッパーはz方向に移動させるように動作し、z方向はセンサーに平行な平面内にある。z方向の移動は、ターゲットポリマーをセンサーの上方および下方に移動させる。
【0024】
ナノステッパーシステムの可動域は、特定の用途に使用されるナノステッパーのタイプの設計仕様に依存する。典型的な実施形態において、ナノステッパーの可動域は、少なくとも約±0.5μm(例えば、少なくとも約±1μm、又は少なくとも約±2.5μm、又は少なくとも約±5μm)である。典型的な実施形態において、ナノステッパーシステムの可動域は、最大約±60μm(例えば、約±50μm、約±40μm、約±30μm、約±20μm、又は約±10μm)である。他の実施形態においては、ナノステッパーシステムは、上記したものよりも小さいか又は大きい可動域を有することができる。本段落において記載された可動域は、ナノステッパーシステムの中心位置から測定されており、「±」の所与の値として与えられる。従って、全可動域は所与の値の2倍(例えば、±35μmは、70μmの全可動域を提供する)となることを理解されたい。
【0025】
更に、ナノステッパーは、1秒あたり約1〜1,000,000ステップのステッピング速度で、約0.1〜400nm(1〜4000オングストローム)のステップサイズで移動することができる。ターゲットポリマーが2箇所で固定されている場合(1箇所はナノステッパーアームである)、ナノステッパーは、ターゲットポリマーに対して約1ナノニュートン〜500μニュートンの力を作用させることができ、それにより、ターゲットポリマーを実質的に直線状の形態へと伸ばすことができる。
【0026】
ナノステッパーシステムに関するさらなる詳細については、非特許文献2、非特許文献3、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9に記載されており、これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
一般に、センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーに対して動かされる際にターゲットポリマーの特性を検知するように動作する。例えば、センサーシステムは、センサーの近傍で通過する各分子を検知することによりターゲットポリマーの配列を決定することができる(例えば、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の決定)。センサーシステムは、以下に限定されないが、種々の検知技術を使用したナノポアシステム等のシステムを含むことができる。センサーの種類およびタイプは、使用されるセンサーシステムのタイプ及び実施される測定によって決まる。センサーの例示的な例は、ターゲットポリマーの分子の電気的特性を検出するように動作するシステムを含む。例えば、ターゲットポリマー分子に対応する個々のコンダクタンス又は電子トンネル電流の変化の振幅および/または持続時間は、ターゲットポリマーがアパーチャを通過して移動する際に検知されることができ、アパーチャはターゲットポリマーと相互作用する適切な電子検知システムを有する。
【0028】
一実施形態において、センサーシステム30は、以下に限定されないが、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、それらの組み合わせ、及びそれらの特定領域などのターゲットポリマーの特性を検出/解析/モニターするためのナノポアシステムである。例えば、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド(ただし、分かりやすくするために、以降ポリヌクレオチドと称す)のナノポアシークエンシングが記載されている(Church他に対する特許文献2、Baldarelli他に対する特許文献1、これらの教示はともに参照により本明細書に組み込まれる)。
【0029】
一般に、ナノポアシークエンシングは、媒体の2つの独立したプール、及びプール間の接触面(インターフェース)を使用することを含む。プール間の接触面は、プールのうちの1つに存在するポリヌクレオチドの個々のモノマー残基と連続的に相互作用することができる。ナノステッパーシステムは、接触面のいずれの側に配置されてもよく、いくつかの実施形態においては、ナノステッパーシステムは、接触面の両側に配置され得る。
【0030】
ポリヌクレオチドのモノマーに依存する特性を推測するのに適切なデータを生成しながら、ポリヌクレオチドの個々のモノマー残基が連続的に接触面と相互作用する間に、接触面に依存する測定がある期間にわたって継続される。ナノポアシークエンシングにより達成されるモノマーに依存する特性決定は、以下に限定されないが、個々のポリヌクレオチドを配列順に構成するモノマーの数および組成などの物理的特性を特定することを含むことができる。
【0031】
この実施形態において、用語「シークエンシング」は、ポリヌクレオチド分子におけるヌクレオチドの配列順序を決定することを意味する。本明細書において使用される場合のシークエンシングは、その定義の範囲内において、配列が予め分かっていないポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を新規な態様で決定することを含む。また、本明細書において使用される場合のシークエンシングは、その定義の範囲内において、配列が予め分かっているポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することも含む。配列が予め分かっているポリヌクレオチドのシークエンシングは、ポリヌクレオチドを特定し、ポリヌクレオチドを確認し、又は多型および遺伝変種を探索するために使用され得る。
【0032】
図3は、ナノステッパー/センサーシステム10aの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10aは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、及びナノポアアパーチャ34を含むナノポアシステム30aを含む。ナノステッパーシステム20は、以下に限定されないが、x/y方向可動構造体22、及びこれに取り付けられたナノステッパーアーム24を含む。上述したように、x/y方向可動構造体22は、x方向の移動によりセンサーを通過するようにターゲットポリマー38が前後に移動するように、センサー(図示されないが、ナノポアアパーチャ34に隣接している)及びナノポアアパーチャ34と同一平面内にあるx方向に動くことができる。また、y方向もセンサーと同一平面内にあるが、y方向の移動はターゲットポリマー38をセンサーの左右に移動させる。ナノステッパーシステム20に関する更なる詳細は上述された。
【0033】
ナノポアシステム30aは、以下に限定されないが、媒体の2つの独立した隣接するプールを分離する構造体32を含むことができる。2つの隣接するプールは、構造体32のシス側およびトランス側に配置される。構造体32は、以下に限定されないが、一度に1つのポリペプチドのみを一方のプールから他方へ連続的なモノマーごとの移動(即ち、通過)を行うことを可能にするように寸法決めされた少なくとも1つのナノポアアパーチャ34、及びターゲットポリヌクレオチド38の測定を実行するために使用され得る検出コンポーネントを含む。
【0034】
ナノポアシステム30aのための例示的な検出コンポーネントは、特許文献10に記載されており、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャ34に、又はその近くで構造体32に直接的に結合された電極、並びにシス及びトランスのプール内に配置された電極を含むことができる。電極は、以下に限定されないが、2つのプールを横切るイオン電流の差、又はナノポアアパーチャの両端の電子トンネル電流を検出することができる。
【0035】
一般に、検知(センシング)は、ターゲットポリヌクレオチド38がナノポアアパーチャ34の中を通って移動し、又はナノポアアパーチャ34に十分に接近して通過する際に行われる。測定(例えば、イオン流遮断の持続時間または振幅を測定することを含むイオン流測定)は、ナノポア検出システムにより、ターゲットポリヌクレオチド38のヌクレオチドモノマーの各々が、ナノポアアパーチャ34の中を通って、又はナノポアアパーチャ34に十分に接近して通過する際に行われ得る。測定はターゲットポリヌクレオチド38の配列および/または長さを特定するために使用され得る。
【0036】
構造体32は、以下に限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、雲母、ポリイミド、シリコン、及びそれらの組み合わせなどの材料から作成され得る。構造体32は、以下に限定されないが、検出電極および検出集積回路を含むことができる。構造体32は、1つ又は複数のナノポアアパーチャ34を含むことができる。ナノポアアパーチャ34は、1本鎖ポリヌクレオチドだけが一度にナノポアアパーチャ34の中を通って移動できるように、又は2本鎖または1本鎖ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャ34の中を通って移動できるように寸法決めされ得る。ナノポアアパーチャ34は、約3〜5ナノメートルの直径(1本鎖または2本鎖ポリヌクレオチドの解析用)を有することができ、及び約2〜4ナノメートルの直径(1本鎖ポリヌクレオチドの解析用)を有することができる。使用される検出方法に依存して、ナノポアアパーチャ34のサイズは、ポリヌクレオチドの半径寸法よりも著しく大きくなる場合がある。別の実施形態において、ナノポアアパーチャは、ポリペプチドがナノポアアパーチャを通過できるように寸法決めされ得る。
【0037】
ナノポア検出システムは、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャと相互作用するようなポリヌクレオチドの特性を測定できる電子機器;特性の測定を制御して、対応するデータを格納することができるコンピューターシステム;ナノポアシステムの状態を制御することができる制御機器;及び後述されるような、測定を実施するために使用されるナノポアシステムに含まれるコンポーネントを含む。
【0038】
ナノポア検出システムは、以下に限定されないが、個々のコンダクタンスの振幅または持続時間、又はナノポアアパーチャ34の両端における電子トンネル電流の変化などの特性を測定することができる。このような変化は、配列におけるモノマーを特定することができる。なぜなら、各モノマーは特有のコンダクタンスの変化シグネチャを有するからである。例えば、体積、形状、又は各モノマーの変化は、特有の態様でコンダクタンスに影響を及ぼすことができる。代案として、ターゲットポリヌクレオチド38のヌクレオチドの数(また、サイズの測定値)は、ナノポアアパーチャ34を通過する任意の核酸についてのヌクレオチドに依存するコンダクタンス変化の数の関数として推定され得る。ヌクレオチドの数はコンダクタンス変化の数と正確には一致しない。なぜなら、核酸の各ヌクレオチドがナノポアアパーチャ34を連続的に通過する際に、2つ以上のコンダクタンスのレベル変化が生じる場合があるからである。しかしながら、既知の配列を有するポリヌクレオチドを用いて標準品を準備することにより決定可能な2つの値の間には、比例関係が存在する。
【0039】
構造体32のいずれかの側のプール内に配置された媒体は、構造体32の相互作用について、適切なポリヌクレオチドの可動性を可能にする任意の流体とすることができる。一般に、媒体は液体であり、通常はポリヌクレオチドが分散され得る水溶液または他の液体または溶液である。導電性の媒体を使用する場合、それは電流を伝えることができる任意の媒体とすることができる。このような溶液は一般に、導電物質(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、セシウム、バリウム、硫酸塩、又はリン酸塩)のようなイオンを含む。ナノポアアパーチャ34の両端のコンダクタンスは、導電媒体を介してナノポアアパーチャ34の両端に流れる電流を測定することにより求められ得る。電圧差は、適切な電子装置を用いて、プール間のバリヤの両端に加えられ得る。代案として、媒体の2つのプールのイオン組成における差異、即ち各プールにおいて異なるイオンを有するか、又はプールの溶液又は媒体中に異なる濃度の少なくとも1つのイオンが存在するかにより、電気化学的な勾配が確立され得る。コンダクタンスの変化は、ナノポア検出システムにより測定され、モノマーに依存する特性を示す。
【0040】
ナノステッパーは、ナノポアアパーチャ34に関してターゲットポリヌクレオチド38を移動させ、それにより個々のヌクレオチドが連続的にナノポアアパーチャ34と相互作用し、ナノポアアパーチャ34のコンダクタンスに変化を生じさせる。
【0041】
図4は、ナノステッパー/センサーシステム10aを使用するための代表的なプロセス40を示す流れ図である。図4に示されるように、機能(又は方法)はブロック42から開始するように構成され、ブロック42においてターゲットポリマー38、ナノステッパーシステム20、及びナノポアシステム30aが準備される。ブロック44において、ターゲットポリマー38が、ナノステッパーシステム20のナノステッパーアーム24に対して(例えば、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電子的、磁気的等により)配置される。ブロック46において、ターゲットポリマー38はナノポアアパーチャ34に通される。ターゲットポリマー38は、以下に限定されないが、電子的、電気泳動的、磁気的、及びそれらの組み合わせなどの力(例えば、場)を用いて、ナノポアアパーチャ34に通され得る。例えば、ターゲットポリマー38は、ナノポアに印加された電圧を用いてナノポアアパーチャ34に引き寄せられ得る。ブロック48において、ナノステッパーシステム20は、センサーに関して、ターゲットポリマー38を制御された態様で移動させる。結果として、センサーシステム30は、ターゲットポリマー38の1つ又は複数の特性を測定するように動作する。
【0042】
図5A〜図5Dは、ナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスを示す。図5Aは、上述したようなナノステッパーシステム20、上述したようなナノポアシステム30a、及びターゲットポリマー38を示す。図5Bにおいて、ターゲットポリマー38(例えば、ポリヌクレオチド)は、上述した1つ又は複数の相互作用を用いてナノステッパーアーム24上に配置される。
【0043】
図5Cは、ターゲットポリヌクレオチドをナノポアに通す方法を示す。ナノステッパーアームとナノポア構造体32のシス側との間に、第1の電圧が印加される。これにより、ターゲットポリマー38の非付着の端部をナノポアアパーチャ34のシス側の方へ引き寄せて、ナノポアアパーチャ34に非常に接近させる電気力が生じる。
【0044】
図5Dにおいて、ターゲットポリマー38がナノポアアパーチャ34の中を通って、ナノポアアパーチャ34のトランス側へと移動するように、ナノポア構造体32の両端に第2の電圧が印加される。ひとたびターゲットポリマー38がナノポアアパーチャ34に通されると、電圧勾配がオフされ得る。この実施形態において、ターゲットポリマー38の位置決め及び移動は、機械的であり、ナノステッパーにより駆動される。別の実施形態において、電圧勾配はオンのままにされてもよい。ターゲットポリマーをナノポアに通すために使用される引力は、ターゲットポリマー38に張力を与えて、それをまっすぐにするために使用され得る。別の実施形態において、第1の電圧および第2の電圧は、同時に使用され得る。
【0045】
別の実施形態において、ナノステッパーアームの取付部とは反対側の端部においてターゲットポリマー38上に、磁性構造体が配置され得る。次いで、ナノステッパー/センサーシステム10aに磁界を加えることにより、x/y方向可動構造体22が該磁界とは逆の方向に移動する際に、ターゲットポリマー38がまっすぐにされる。更に他の実施形態において、ナノステッパーアーム24の取付部とは反対側の端部にあるターゲットポリマー38は、図6及び図7に示されるような別の構造体に取り付けられ得る。
【0046】
図5E及び図5Fは、ナノステッパーシステム20により、ターゲットポリマー38をナノポアアパーチャ34の内外へ移動することを示す。ナノポアアパーチャ34を通過するターゲットポリマー38の移動に対応する信号が、ナノポア検出システムによりモニターされる。解析完了後に、ターゲットポリマー38をナノステッパーアーム24から開放することができる(例えば、電気斥力、pH変化、塩濃度変化等により)。
【0047】
図6は、ナノステッパー/センサーシステム10bの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10bは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、ナノポアシステム30a、及び第2のナノステッパーシステム50を含む。ナノステッパーシステム20、及び第2のナノステッパーシステム50は、ナノポアシステム30aのシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。第2のナノステッパーシステム50は、第2のナノステッパーアーム54が配置されたx/y方向可動構造体52を含む。ターゲットポリマー38の両端部は、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置される。ターゲットポリマー38は、ナノポアアパーチャ34に通された後に第2のナノステッパーアーム54上に配置され(上述したような態様で)、逆もまた同様である。2つのナノステッパーシステム20及び50は、ナノポアアパーチャ34を介してターゲットポリマー38を前後に移動させるために使用され得る。更に、ナノステッパーシステム20及び50は、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにするために使用され得る。2つのナノステッパーシステムは、ターゲットポリマーの位置と張力を正確に制御するために連係して働くように動作され得る。
【0048】
図7は、ナノステッパー/センサーシステム10cの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10cは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、ナノポアシステム30a、及び撓み(flexure)システム60を含む。ナノステッパーシステム20及び撓みシステム60は、ナノポアシステム30aのシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。撓みシステム60は、以下に限定されないが、撓みベース62に取り付けられた可撓性部材64を含む。可撓性部材64は機械的にフレキシブルであり、x/y方向可動構造体52に反対力を提供することができ、これはターゲットポリマー38をまっすぐにするために使用され得る。上述したような相互作用を通じて、可撓性部材64上にターゲットポリマー38を配置することができ、該相互作用は、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電気的、及び磁気的な相互作用を含む。
【0049】
ターゲットポリマー38の1つの端部はナノステッパーアーム24上に配置され、ターゲットポリマー38の反対側の端部は可撓性部材64上に配置される。ターゲットポリマー38は、ナノポアアパーチャ34に通された後に可撓性部材64上に配置され、逆もまた同様である。ナノステッパーシステム20及び可撓性部材64は、ナノポアアパーチャ34を介してターゲットポリマー38を前後に移動させるために使用され得る。更に、ナノステッパーシステム20及び可撓性部材64は、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにするために使用され得る。
【0050】
図8は、ナノステッパー/センサーシステム10dの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10dは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、切り欠きシステム70、及び第2のナノステッパーシステム50を含む。切り欠きシステム70は、構造体72の上部に配置された切り欠き(スリット)74を有する構造体72を含む。また、用語「切り欠き」は、同様の結果を達成する構造体72におけるスリット及び他の窪みも含むことができる。上述したコンポーネントに加えて、ナノステッパーシステム20は、x/y方向可動構造体から独立して制御可能および再生可能な態様でz方向に移動させるように動作するz方向可動構造体26を含む。切り欠き74を使用したシステムにおいては、単一の流体のみが存在する。切り欠き74は、先端部が約1ナノメートルのサイズまで狭くなる形状を有することができる。例えば、切り欠き74は三角形の形状になることができる。ナノポア検出システムは、切り欠き74に隣接して配置され、ナノポアシステムと同様の態様でターゲットポリマー38を操作して検知する。ナノステッパーシステム20及び第2のナノステッパーシステム50は、切り欠きシステム70のシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。
【0051】
ターゲットポリマー38の両端部は、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置される。ターゲットポリマー38は、切り欠き74に通される前に、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置され得る。次いで、ターゲットポリマー38は、x/y方向可動構造体22及び52、並びにz方向可動構造体26の組み合わせを用いて、切り欠き74中へ移動することができる。言い換えれば、ターゲットポリマー38を十分に切り欠き74内に配置するように、z方向可動構造体26によりナノステッパーシステム20が上下に移動することができる。その後、2つのx/y方向可動構造体22及び52を用いて、切り欠きアパーチャ(切り欠き)74を介してターゲットポリマー38を前後に移動させることができる。更に、ナノステッパーシステム20及び50を用いて、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにすることができる。
【0052】
図9A及び図9Bは、ナノステッパー/センサーシステム10eの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10eは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20及びナノポア/アレイシステム80を含む。上述したコンポーネントに加えて、ナノステッパーシステム20は、制御可能および再生可能な態様でz方向に移動させるように動作し、かつx/y方向可動構造体から独立して移動させることができるz方向可動構造体26を含む。ナノポア/アレイシステム80は、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャ34を有する構造体32(ナノポアシステム30aに類似)、及び上面に複数の別個の領域(スポット)84を有するアレイ82を含む。アレイ82は、以下に限定されないが、当業者により知られたようなアレイ及びマイクロアレイを含むことができる。別個の領域は、1つ又は複数のターゲットポリマーと相互作用するように形成され得る。ナノステッパーシステム20がアレイ82とナノポアシステムとの間を移動することができるように、アレイ82は、ナノポアシステムに隣接して、又はナノポアシステムから離れて配置され得る。ナノステッパーシステム20は、アレイ領域82からターゲットポリマーを拾い上げ、ナノポアアパーチャ34の付近にそれらを戻し、次いで圧電アクチュエーターの使用とは異なる検出プロセス中に、数オングストロームのスケールで正確かつ反復可能な運動を行うために、数マイクロメートルを超える(例えば、約100μm)長距離移動ができる。
【0053】
最初に、ナノステッパーシステム20は、それ自体を、ターゲットポリマー88が配置された別個の領域と実質的に一列になるように位置決めする。ターゲットポリマー88は、アレイ82と反対側の端部においてナノステッパーアーム24と相互作用する。次いで、ターゲットポリマー88はアレイ82から開放される。その後、ナノステッパーシステム20が、ナノポアアパーチャと実質的に一列になるようにナノステッパーアーム24を移動させる。その後、ターゲットポリマー88は、ナノステッパーシステム20を使用して、本明細書で説明されたような態様で、ナノアパーチャの中を通って移動され得る。
【0054】
上述した実施形態に対して、多くの変形および修正を行うことができることは強調されるべきである。このような全ての修正および変形は、本発明の範囲内に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ナノステッパー/センサーシステムの実施形態の概略図である。
【図2】図1に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスの流れ図である。
【図3】代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図4】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスの流れ図である。
【図5A】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5B】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5C】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5D】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5E】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5F】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図6】一対のナノステッパーを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図7】撓みシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図8】2つのナノステッパー及び切り欠きシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図9A】アレイシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図9B】アレイシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【符号の説明】
【0056】
20 ナノステッパーシステム
22 x/y方向可動構造体
24 ナノステッパーアーム
30 センサーシステム
30a ナノポアシステム
32 構造体
34 ナノポアアパーチャ
38 ターゲットポリマー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
迅速な態様でDNA及びRNAのヌクレオチド配列を決定することは、バイオテクノロジーにおける研究者の、特に生物の全ゲノム配列を得るために探索を行うプロジェクトにとって、主要な目標である。更に、核酸分子配列を迅速に決定することは、個体における遺伝変種および多型、ならびに個体数を特定するために重要である。
【0003】
ナノポアシークエンシングは、核酸分子の配列を迅速に決定する1つの方法である。ナノポアシークエンシングは、ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際に、個々のポリヌクレオチド(例えば、DNA及びRNA)内の個々のヌクレオチド(又はヌクレオチドの環境における物理的変化(即ち、電流))を物理的に検知する特性に基づいている。原理的には、ポリヌクレオチドの配列は単一分子から決定され得る。しかしながら、実際には、同一分子の複数の通過、又は同一のポリヌクレオチド配列を有する複数分子の通過から得られるデータの統計的平均からポリヌクレオチド配列を決定することが好ましい。脂質2分子膜における直径2.6ナノメートルのナノポアアパーチャ(即ち、イオンチャネル)に1本鎖RNA及びDNA分子を通過させるために電界を用いることにより、分子が小さなイオンチャネルを通過する際にポリヌクレオチドの特性を決定するために膜チャネルを用いることが、Kasianowicz他により研究されている(非特許文献1を参照、この文献は参照により本明細書に組み込まれる)。ナノポアアパーチャの直径は、常にポリヌクレオチドの1本鎖だけがナノポアアパーチャを通過することを可能にする。ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ポリヌクレオチドはナノポアアパーチャを部分的にブロックし、結果として一時的なイオン電流の減少をもたらす。電流減少の長さは、直接的にポリヌクレオチドの長さに比例するので、Kasianowicz他は、イオン電流の変化を測定することにより、ポリヌクレオチドの長さを実験的に決定することができた。
【0004】
Baldarelli他(特許文献1)及びChurch他(特許文献2)は、モノマーの原則により、モノマーにおけるDNA及びRNA分子を含むポリヌクレオチドの特性を決定するためにナノポアを使用することを説明している。特に、Baldarelli他は、ナノポアアパーチャにポリヌクレオチドを通過させることにより、ポリヌクレオチドの特性を決定して、配列を決定した。ナノポアアパーチャは構造体またはインターフェースに組み込まれて、2つの媒体を分離する。ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ポリヌクレオチドは、ナノポアアパーチャをブロッキングすることにより、イオン電流を変化させる。個々のヌクレオチドがナノポアアパーチャを通過する際、ナノポアアパーチャを一時的にブロッキングするヌクレオチドの特定を可能にする態様で各塩基/ヌクレオチドがイオン電流を変化させ、それによりポリヌクレオチドのヌクレオチド組成の特性を決定し、恐らくポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することが可能になる。
【0005】
従来のナノポア解析技術に関する1つの欠点は、ターゲットポリヌクレオチドを解析する速度の制御である。Kasianowicz他(非特許文献1)により説明されるように、ナノポア解析はポリヌクレオチドの長さ決定を実行するための有用な方法である。しかしながら、移動(translocation:転位、転移、転座)の速度はヌクレオチド組成に依存し、Kasianowicz他により概説された測定条件下で、1秒あたり105〜107ヌクレオチドの範囲を有することができる。従って、ある任意のポリヌクレオチドの長さと、その移動時間との相関関係は単純ではない。また、移動速度が速度および規則性において実質的により良く制御される場合には、ポリヌクレオチド内の組成およびヌクレオチドの構成単位間の空間的関係に関して、より高い解像度を得ることができることも期待されている。従来のナノポア解析技術に関する別の欠点は、個々のポリマーの各々が一般に、検出領域を一度だけ通過するということである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,015,714号
【特許文献2】米国特許第5,795,782号
【特許文献3】米国特許第5,986,381号
【特許文献4】米国特許第6,657,359号
【特許文献5】米国特許第6,695,297号
【特許文献6】米国特許第6,541,892号
【特許文献7】米国特許第6,210,896号
【特許文献8】米国特許出願第20020110818号
【特許文献9】米国特許出願第20020039737号
【特許文献10】国際公開第00/79257号パンフレット
【非特許文献1】Kasianowicz他著、「Proc.Natl.Acad.Sci.」、USA.93:13770−3、1996年
【非特許文献2】Storrs Hoen、Qing Bai、Jonah A.Harley他著、「A High-Performance Dipole Surface Drive for Large Travel and Force」、Transducers 2003 12th International Conference on Solid State Sensors,Actuators,and Microsystems,Boston,2003年6月8日〜12日
【非特許文献3】Storrs Hoen,Paul Merchant,Gladys Koke,Judy Williams,Hewlett Packard Laboratories著、「Electrostatic Surface Drives:theoretical considerations and fabrication」、Transducers 1997、1997 International Conference on Solid-State Sensors and Actuators,Chicago,1997年6月16日〜19日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、上述した技術的な問題を克服、又は少なくとも緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリマーを解析するためのナノステッパー/センサーシステム及び方法が提供される。係るシステムの一つは、とりわけ、ナノポアシステム及び第1のナノステッパーシステムを含む。ナノポアシステムは、ナノポアアパーチャを有する構造体を含む。第1のナノステッパーシステムは、x/y方向可動構造体と、前記構造体に隣接して配置された第1のナノステッパーアームとを含む。第1のナノステッパーアームはターゲットポリマーと相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体は、ターゲットポリマーが配置された第1のナノステッパーアームを、ナノポアアパーチャと実質的に一列になるように位置決めするように動作する。x/y方向可動構造体は、ナノポアアパーチャを介してターゲットポリマーを制御可能に移動させるように動作する。
【0009】
別のシステムは、とりわけ、センサーシステム及びナノステッパーシステムを含む。センサーシステムはセンサーを含む。ナノステッパーシステムは、x/y方向可動構造体と、前記センサーに隣接して配置されたナノステッパーアームとを含む。ナノステッパーアームはターゲットポリマーと相互作用するように適合され、x/y方向可動構造体は、ターゲットポリマーが配置されたナノステッパーアームを、センサーに実質的に隣接して配置するように動作する。x/y方向可動構造体は、センサーがターゲットポリマーを検知するように、センサーの近くにターゲットポリマーを制御可能で可逆的に移動させるように動作する。
【0010】
ポリマーを解析するための代表的な方法は、とりわけ、第1のx/y方向可動構造体を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、ナノポアアパーチャを通してターゲットポリマーを移動させ、前記x/y方向可動構造体が、ターゲットポリマーをナノポアアパーチャと実質的に一列になるように配置するように動作し、前記x/y方向可動構造体が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向は、ナノポアアパーチャが形成される構造体を貫く軸として規定され、及び前記第1のx/y方向可動構造体の移動の関数として、ナノポアアパーチャに対するターゲットポリマーの移動に対応する信号をモニターすることを含む。
【0011】
別の代表的な方法は、とりわけ、ナノステッパーシステムを用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、センサーに隣接するターゲットポリマーを移動させ、前記ナノステッパーシステムが、センサーの実質的に近くにターゲットポリマーを配置するように動作し、前記ナノステッパーシステムは、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向が前記センサーと同一平面内にあり、y方向が前記センサーの左右にターゲットポリマーを移動させる方向であり、及び前記ナノステッパーシステムの移動の関数として、センサーに対するターゲットポリマーの移動に対応する信号をモニターすることを含む。
【0012】
他のシステム、方法、特徴および/または利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することにより当業者には明らかになるであろう。さらなる係るシステム、方法、特徴および/または利点の全ては、本明細書内に含まれ、添付の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサーがターゲットポリマーを検知するように、ターゲットポリマーを制御可能で可逆的にセンサーに隣接して移動させるように動作するナノステッパーシステムを有するナノステッパー/センサーシステムが提供される。係るナノステッパー/センサーシステムは、センサーに対するターゲットポリマーの物理的配置およびアラインメントに対する頑強な方法を提供する。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーを通過する際にターゲットポリマーの移動速度を制御するように動作することができる。このためナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーの移動を逆転させることができ、これにより、ターゲットポリマーがセンサーによって複数回検知(解析)されることが可能になる。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、コイル状または非直線状の構造から実質的に直線状になるようにターゲットポリマーを「伸ばす」ように、ターゲットポリマーに力を作用させるように動作することもできる。更に、本発明のナノステッパー/センサーシステムを使用することにより、ターゲットポリマーの逆方向への移動の確率を実質的に低減することができ、かくしてターゲットポリマーの規定された方向の解析を確実にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、図面を参照する。図面中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではないことに留意されたい。
【0015】
本明細書においてより詳細に説明されるように、ナノステッパー/センサーシステム及びその使用方法が提供される。用語「ナノステッパー」は、マイクロマシン化された静電アクチュエータを意味し、これについては特許文献3でより詳細に説明されており、特許文献3は参照により本明細書に組み込まれる。ナノステッパーは、約50μm移動する間に、最大数百マイクロニュートンの力を示す静電作動型ダイポール表面駆動を使用する。ダイポールステッピングモーターの設計により、この装置が2つの方向に沿って長い距離を移動する間に、大きな力を提供することを可能にする。アクティブフィードバックを用いて、ナノステッパーは、約1.5ナノメートル、及び約0.1nm(1オングストローム)までの精度で、反復可能に配置され得る。
【0016】
一例として、いくつかの実施形態は、センサーがターゲットポリマーを検知(例えば、ターゲットポリマーの1つ又は複数の特性を検出)するように、ターゲットポリマー(例えば、ポリペプチド及びポリヌクレオチド)を、制御可能で可逆的にセンサーに隣接(例えば、非常に接近)して移動させるように動作するナノステッパーシステムを有するナノステッパー/センサーシステムを提供する。ナノステッパー/センサーシステムの実施形態は、センサーに対するターゲットポリマーの物理的配置およびアラインメントに対する頑強な方法を提供する。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーを通過する際にターゲットポリマーの移動速度を制御するように動作する。この点に関して、ナノステッパー/センサーシステムは、ターゲットポリマーの移動を逆転させることができ、これにより、ターゲットポリマーがセンサーによって複数回検知(解析)されることが可能になる。更に、ナノステッパー/センサーシステムは、コイル状または非直線状の構造から実質的に直線状になるようにターゲットポリマーを「伸ばす」ように、ターゲットポリマーに力を作用させるように動作する。ナノステッパー/センサーシステムを使用することに関するさらなる利点は、ターゲットポリマーの逆方向への移動の確率を実質的に低減し、かくして、ターゲットポリマーの規定された方向の解析を確実にすることである。
【0017】
図1は、ターゲットポリマーを制御可能および可逆的に解析するために使用され得るナノステッパー/センサーシステム10の代表的な実施形態を示す。ターゲットポリマーは、以下に限定されないが、バイオポリマー、ポリペプチド(例えば、タンパク質およびその一部)、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、PNA、及びその一部)、合成ポリマー(例えば、コポリマー及びブロックポリマー)などを含むことができる。ナノステッパー/センサーシステム10は、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20及びセンサーシステム30を含む。ナノステッパーシステム20及びセンサーシステム30は、ターゲット分子の1つ又は複数の特性を測定するために、センサーシステム30におけるセンサーに対してターゲットポリマーを配置するように動作する。ターゲットポリマーの位置およびその移動(例えば、速度およびステップサイズ)は、ナノステッパーシステム20により制御される。移動は、ターゲットポリマーに対して前方向または後方向に行うことができる。更に、センサーに対するターゲットポリマーの位置決めは、再現および反復されることができ、それにより、同一分子に関して正確かつ精密な測定が実施されることを可能にする。
【0018】
図2は、ナノステッパー/センサーシステム10を使用するための代表的なプロセス12を示す流れ図である。図2に示されるように、機能(又は方法)はブロック14から開始するように構成され、ブロック14においてターゲットポリマー、ナノステッパーシステム20、及びセンサーシステム30が準備される。ブロック16において、ターゲットポリマーが、ナノステッパーアームに(例えば、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電子的、磁気的等により)付けられる。ブロック18において、ナノステッパーシステム20は、センサーに対してターゲットポリマーを制御される態様で移動させる。結果として、センサーシステム30は、ターゲットポリマーの1つ又は複数の特性を測定するように動作する。
【0019】
一般に、ナノステッパーシステムは、1つ又は複数のナノステッパーアームが取り付けられたx/y方向可動構造体を含む。x/y方向可動構造体は、制御可能および再生可能な態様で、x及びy方向に独立して動くように動作する。また、ナノステッパーシステムは、制御可能および再生可能な態様でz方向に動くように動作し、かつx/y方向可動構造体から独立して動くことができるz方向可動構造体も含むことができる。x/y方向可動構造体および/またはz方向可動構造体を使用して、ナノステッパーシステムは、センサーに対してターゲットポリマーを移動させるための機械的な力を生じさせることができる。言い換えれば、ナノステッパーシステムは、ターゲットポリマーを3次元で移動させることができる。別の実施形態において、ナノステッパーシステムは、センサーに対してターゲットポリマーを移動させるための機械的な力と連係して、電気的および/または磁気的な力を使用することができる。
【0020】
ナノステッパーアームの一部は、ターゲットポリマーと相互作用する1つ又は複数の化学物質、生化学物質、磁気構造体、導電性構造体、及びそれらの組み合わせを含むことができる。ナノステッパーアームとターゲットポリマーとの間の相互作用は、センサーに対してターゲットポリマーを移動させる間に加えられる力に耐えるほど十分に頑強であるべきである。一実施形態において、ナノステッパーアームとターゲットポリマーとの間の相互作用の強さは、ターゲットポリマーの骨格(例えば、ポリヌクレオチド及びポリペプチドの糖骨格)中の結合と少なくとも同程度に強いべきである。ターゲットポリマーは、以下に限定されないが、共有結合、バイオ共役(bio-conjugation)結合(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用)、ターゲットポリマーの一部とのハイブリダイゼーション相互作用(例えば、DNA、RNA、及びPNAを使用)、磁気的相互作用(例えば、ターゲットポリマーが磁気構造体を含む)、ジンクフィンガータンパク質、及びこれらの組み合わせなどの1つ又は複数の相互作用を用いて、ナノステッパーアーム上に配置され得る。
【0021】
ナノステッパーは、センサーがターゲットポリマー分子の1つ又は複数の特性を測定することができるように、ターゲットポリマーを配置し、ターゲットポリマーをセンサーに対して制御可能、反復可能、かつ可逆的な態様で(例えば、隣接させて、又は十分に接近させて)通過移動する(例えば、引っ張る)ように動作する。
【0022】
一般に、x方向は、センサーシステム30の、ナノポアが形成される構造体を貫く軸として定義される。センサーシステム30の面に平行な方向をy方向と呼ぶこととする。x及びy方向の双方に対して直交する方向をz方向と呼ぶこととする。一実施形態において、x方向は、ナノポアを実質的に貫通する軸であるが、別の実施形態においては、x方向は、センサーシステム30の軸に対する垂線と約60〜75度の角度の範囲内にある軸である。
【0023】
図3に示されるように、x方向は、センサーと同じ平面内にあり、そのため、x方向の移動は、センサーを前方向および後方向に通過するようにターゲットポリマーを移動させる。また、y方向もセンサーと同じ平面内にあるが、y方向の移動はターゲットポリマーをセンサーの左右方向に移動させる。別の実施形態において、ナノステッパーはz方向に移動させるように動作し、z方向はセンサーに平行な平面内にある。z方向の移動は、ターゲットポリマーをセンサーの上方および下方に移動させる。
【0024】
ナノステッパーシステムの可動域は、特定の用途に使用されるナノステッパーのタイプの設計仕様に依存する。典型的な実施形態において、ナノステッパーの可動域は、少なくとも約±0.5μm(例えば、少なくとも約±1μm、又は少なくとも約±2.5μm、又は少なくとも約±5μm)である。典型的な実施形態において、ナノステッパーシステムの可動域は、最大約±60μm(例えば、約±50μm、約±40μm、約±30μm、約±20μm、又は約±10μm)である。他の実施形態においては、ナノステッパーシステムは、上記したものよりも小さいか又は大きい可動域を有することができる。本段落において記載された可動域は、ナノステッパーシステムの中心位置から測定されており、「±」の所与の値として与えられる。従って、全可動域は所与の値の2倍(例えば、±35μmは、70μmの全可動域を提供する)となることを理解されたい。
【0025】
更に、ナノステッパーは、1秒あたり約1〜1,000,000ステップのステッピング速度で、約0.1〜400nm(1〜4000オングストローム)のステップサイズで移動することができる。ターゲットポリマーが2箇所で固定されている場合(1箇所はナノステッパーアームである)、ナノステッパーは、ターゲットポリマーに対して約1ナノニュートン〜500μニュートンの力を作用させることができ、それにより、ターゲットポリマーを実質的に直線状の形態へと伸ばすことができる。
【0026】
ナノステッパーシステムに関するさらなる詳細については、非特許文献2、非特許文献3、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9に記載されており、これらの各文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
一般に、センサーシステムは、ターゲットポリマーがセンサーに対して動かされる際にターゲットポリマーの特性を検知するように動作する。例えば、センサーシステムは、センサーの近傍で通過する各分子を検知することによりターゲットポリマーの配列を決定することができる(例えば、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列の決定)。センサーシステムは、以下に限定されないが、種々の検知技術を使用したナノポアシステム等のシステムを含むことができる。センサーの種類およびタイプは、使用されるセンサーシステムのタイプ及び実施される測定によって決まる。センサーの例示的な例は、ターゲットポリマーの分子の電気的特性を検出するように動作するシステムを含む。例えば、ターゲットポリマー分子に対応する個々のコンダクタンス又は電子トンネル電流の変化の振幅および/または持続時間は、ターゲットポリマーがアパーチャを通過して移動する際に検知されることができ、アパーチャはターゲットポリマーと相互作用する適切な電子検知システムを有する。
【0028】
一実施形態において、センサーシステム30は、以下に限定されないが、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、それらの組み合わせ、及びそれらの特定領域などのターゲットポリマーの特性を検出/解析/モニターするためのナノポアシステムである。例えば、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド(ただし、分かりやすくするために、以降ポリヌクレオチドと称す)のナノポアシークエンシングが記載されている(Church他に対する特許文献2、Baldarelli他に対する特許文献1、これらの教示はともに参照により本明細書に組み込まれる)。
【0029】
一般に、ナノポアシークエンシングは、媒体の2つの独立したプール、及びプール間の接触面(インターフェース)を使用することを含む。プール間の接触面は、プールのうちの1つに存在するポリヌクレオチドの個々のモノマー残基と連続的に相互作用することができる。ナノステッパーシステムは、接触面のいずれの側に配置されてもよく、いくつかの実施形態においては、ナノステッパーシステムは、接触面の両側に配置され得る。
【0030】
ポリヌクレオチドのモノマーに依存する特性を推測するのに適切なデータを生成しながら、ポリヌクレオチドの個々のモノマー残基が連続的に接触面と相互作用する間に、接触面に依存する測定がある期間にわたって継続される。ナノポアシークエンシングにより達成されるモノマーに依存する特性決定は、以下に限定されないが、個々のポリヌクレオチドを配列順に構成するモノマーの数および組成などの物理的特性を特定することを含むことができる。
【0031】
この実施形態において、用語「シークエンシング」は、ポリヌクレオチド分子におけるヌクレオチドの配列順序を決定することを意味する。本明細書において使用される場合のシークエンシングは、その定義の範囲内において、配列が予め分かっていないポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を新規な態様で決定することを含む。また、本明細書において使用される場合のシークエンシングは、その定義の範囲内において、配列が予め分かっているポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することも含む。配列が予め分かっているポリヌクレオチドのシークエンシングは、ポリヌクレオチドを特定し、ポリヌクレオチドを確認し、又は多型および遺伝変種を探索するために使用され得る。
【0032】
図3は、ナノステッパー/センサーシステム10aの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10aは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、及びナノポアアパーチャ34を含むナノポアシステム30aを含む。ナノステッパーシステム20は、以下に限定されないが、x/y方向可動構造体22、及びこれに取り付けられたナノステッパーアーム24を含む。上述したように、x/y方向可動構造体22は、x方向の移動によりセンサーを通過するようにターゲットポリマー38が前後に移動するように、センサー(図示されないが、ナノポアアパーチャ34に隣接している)及びナノポアアパーチャ34と同一平面内にあるx方向に動くことができる。また、y方向もセンサーと同一平面内にあるが、y方向の移動はターゲットポリマー38をセンサーの左右に移動させる。ナノステッパーシステム20に関する更なる詳細は上述された。
【0033】
ナノポアシステム30aは、以下に限定されないが、媒体の2つの独立した隣接するプールを分離する構造体32を含むことができる。2つの隣接するプールは、構造体32のシス側およびトランス側に配置される。構造体32は、以下に限定されないが、一度に1つのポリペプチドのみを一方のプールから他方へ連続的なモノマーごとの移動(即ち、通過)を行うことを可能にするように寸法決めされた少なくとも1つのナノポアアパーチャ34、及びターゲットポリヌクレオチド38の測定を実行するために使用され得る検出コンポーネントを含む。
【0034】
ナノポアシステム30aのための例示的な検出コンポーネントは、特許文献10に記載されており、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャ34に、又はその近くで構造体32に直接的に結合された電極、並びにシス及びトランスのプール内に配置された電極を含むことができる。電極は、以下に限定されないが、2つのプールを横切るイオン電流の差、又はナノポアアパーチャの両端の電子トンネル電流を検出することができる。
【0035】
一般に、検知(センシング)は、ターゲットポリヌクレオチド38がナノポアアパーチャ34の中を通って移動し、又はナノポアアパーチャ34に十分に接近して通過する際に行われる。測定(例えば、イオン流遮断の持続時間または振幅を測定することを含むイオン流測定)は、ナノポア検出システムにより、ターゲットポリヌクレオチド38のヌクレオチドモノマーの各々が、ナノポアアパーチャ34の中を通って、又はナノポアアパーチャ34に十分に接近して通過する際に行われ得る。測定はターゲットポリヌクレオチド38の配列および/または長さを特定するために使用され得る。
【0036】
構造体32は、以下に限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、雲母、ポリイミド、シリコン、及びそれらの組み合わせなどの材料から作成され得る。構造体32は、以下に限定されないが、検出電極および検出集積回路を含むことができる。構造体32は、1つ又は複数のナノポアアパーチャ34を含むことができる。ナノポアアパーチャ34は、1本鎖ポリヌクレオチドだけが一度にナノポアアパーチャ34の中を通って移動できるように、又は2本鎖または1本鎖ポリヌクレオチドがナノポアアパーチャ34の中を通って移動できるように寸法決めされ得る。ナノポアアパーチャ34は、約3〜5ナノメートルの直径(1本鎖または2本鎖ポリヌクレオチドの解析用)を有することができ、及び約2〜4ナノメートルの直径(1本鎖ポリヌクレオチドの解析用)を有することができる。使用される検出方法に依存して、ナノポアアパーチャ34のサイズは、ポリヌクレオチドの半径寸法よりも著しく大きくなる場合がある。別の実施形態において、ナノポアアパーチャは、ポリペプチドがナノポアアパーチャを通過できるように寸法決めされ得る。
【0037】
ナノポア検出システムは、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャと相互作用するようなポリヌクレオチドの特性を測定できる電子機器;特性の測定を制御して、対応するデータを格納することができるコンピューターシステム;ナノポアシステムの状態を制御することができる制御機器;及び後述されるような、測定を実施するために使用されるナノポアシステムに含まれるコンポーネントを含む。
【0038】
ナノポア検出システムは、以下に限定されないが、個々のコンダクタンスの振幅または持続時間、又はナノポアアパーチャ34の両端における電子トンネル電流の変化などの特性を測定することができる。このような変化は、配列におけるモノマーを特定することができる。なぜなら、各モノマーは特有のコンダクタンスの変化シグネチャを有するからである。例えば、体積、形状、又は各モノマーの変化は、特有の態様でコンダクタンスに影響を及ぼすことができる。代案として、ターゲットポリヌクレオチド38のヌクレオチドの数(また、サイズの測定値)は、ナノポアアパーチャ34を通過する任意の核酸についてのヌクレオチドに依存するコンダクタンス変化の数の関数として推定され得る。ヌクレオチドの数はコンダクタンス変化の数と正確には一致しない。なぜなら、核酸の各ヌクレオチドがナノポアアパーチャ34を連続的に通過する際に、2つ以上のコンダクタンスのレベル変化が生じる場合があるからである。しかしながら、既知の配列を有するポリヌクレオチドを用いて標準品を準備することにより決定可能な2つの値の間には、比例関係が存在する。
【0039】
構造体32のいずれかの側のプール内に配置された媒体は、構造体32の相互作用について、適切なポリヌクレオチドの可動性を可能にする任意の流体とすることができる。一般に、媒体は液体であり、通常はポリヌクレオチドが分散され得る水溶液または他の液体または溶液である。導電性の媒体を使用する場合、それは電流を伝えることができる任意の媒体とすることができる。このような溶液は一般に、導電物質(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、セシウム、バリウム、硫酸塩、又はリン酸塩)のようなイオンを含む。ナノポアアパーチャ34の両端のコンダクタンスは、導電媒体を介してナノポアアパーチャ34の両端に流れる電流を測定することにより求められ得る。電圧差は、適切な電子装置を用いて、プール間のバリヤの両端に加えられ得る。代案として、媒体の2つのプールのイオン組成における差異、即ち各プールにおいて異なるイオンを有するか、又はプールの溶液又は媒体中に異なる濃度の少なくとも1つのイオンが存在するかにより、電気化学的な勾配が確立され得る。コンダクタンスの変化は、ナノポア検出システムにより測定され、モノマーに依存する特性を示す。
【0040】
ナノステッパーは、ナノポアアパーチャ34に関してターゲットポリヌクレオチド38を移動させ、それにより個々のヌクレオチドが連続的にナノポアアパーチャ34と相互作用し、ナノポアアパーチャ34のコンダクタンスに変化を生じさせる。
【0041】
図4は、ナノステッパー/センサーシステム10aを使用するための代表的なプロセス40を示す流れ図である。図4に示されるように、機能(又は方法)はブロック42から開始するように構成され、ブロック42においてターゲットポリマー38、ナノステッパーシステム20、及びナノポアシステム30aが準備される。ブロック44において、ターゲットポリマー38が、ナノステッパーシステム20のナノステッパーアーム24に対して(例えば、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電子的、磁気的等により)配置される。ブロック46において、ターゲットポリマー38はナノポアアパーチャ34に通される。ターゲットポリマー38は、以下に限定されないが、電子的、電気泳動的、磁気的、及びそれらの組み合わせなどの力(例えば、場)を用いて、ナノポアアパーチャ34に通され得る。例えば、ターゲットポリマー38は、ナノポアに印加された電圧を用いてナノポアアパーチャ34に引き寄せられ得る。ブロック48において、ナノステッパーシステム20は、センサーに関して、ターゲットポリマー38を制御された態様で移動させる。結果として、センサーシステム30は、ターゲットポリマー38の1つ又は複数の特性を測定するように動作する。
【0042】
図5A〜図5Dは、ナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスを示す。図5Aは、上述したようなナノステッパーシステム20、上述したようなナノポアシステム30a、及びターゲットポリマー38を示す。図5Bにおいて、ターゲットポリマー38(例えば、ポリヌクレオチド)は、上述した1つ又は複数の相互作用を用いてナノステッパーアーム24上に配置される。
【0043】
図5Cは、ターゲットポリヌクレオチドをナノポアに通す方法を示す。ナノステッパーアームとナノポア構造体32のシス側との間に、第1の電圧が印加される。これにより、ターゲットポリマー38の非付着の端部をナノポアアパーチャ34のシス側の方へ引き寄せて、ナノポアアパーチャ34に非常に接近させる電気力が生じる。
【0044】
図5Dにおいて、ターゲットポリマー38がナノポアアパーチャ34の中を通って、ナノポアアパーチャ34のトランス側へと移動するように、ナノポア構造体32の両端に第2の電圧が印加される。ひとたびターゲットポリマー38がナノポアアパーチャ34に通されると、電圧勾配がオフされ得る。この実施形態において、ターゲットポリマー38の位置決め及び移動は、機械的であり、ナノステッパーにより駆動される。別の実施形態において、電圧勾配はオンのままにされてもよい。ターゲットポリマーをナノポアに通すために使用される引力は、ターゲットポリマー38に張力を与えて、それをまっすぐにするために使用され得る。別の実施形態において、第1の電圧および第2の電圧は、同時に使用され得る。
【0045】
別の実施形態において、ナノステッパーアームの取付部とは反対側の端部においてターゲットポリマー38上に、磁性構造体が配置され得る。次いで、ナノステッパー/センサーシステム10aに磁界を加えることにより、x/y方向可動構造体22が該磁界とは逆の方向に移動する際に、ターゲットポリマー38がまっすぐにされる。更に他の実施形態において、ナノステッパーアーム24の取付部とは反対側の端部にあるターゲットポリマー38は、図6及び図7に示されるような別の構造体に取り付けられ得る。
【0046】
図5E及び図5Fは、ナノステッパーシステム20により、ターゲットポリマー38をナノポアアパーチャ34の内外へ移動することを示す。ナノポアアパーチャ34を通過するターゲットポリマー38の移動に対応する信号が、ナノポア検出システムによりモニターされる。解析完了後に、ターゲットポリマー38をナノステッパーアーム24から開放することができる(例えば、電気斥力、pH変化、塩濃度変化等により)。
【0047】
図6は、ナノステッパー/センサーシステム10bの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10bは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、ナノポアシステム30a、及び第2のナノステッパーシステム50を含む。ナノステッパーシステム20、及び第2のナノステッパーシステム50は、ナノポアシステム30aのシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。第2のナノステッパーシステム50は、第2のナノステッパーアーム54が配置されたx/y方向可動構造体52を含む。ターゲットポリマー38の両端部は、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置される。ターゲットポリマー38は、ナノポアアパーチャ34に通された後に第2のナノステッパーアーム54上に配置され(上述したような態様で)、逆もまた同様である。2つのナノステッパーシステム20及び50は、ナノポアアパーチャ34を介してターゲットポリマー38を前後に移動させるために使用され得る。更に、ナノステッパーシステム20及び50は、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにするために使用され得る。2つのナノステッパーシステムは、ターゲットポリマーの位置と張力を正確に制御するために連係して働くように動作され得る。
【0048】
図7は、ナノステッパー/センサーシステム10cの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10cは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、ナノポアシステム30a、及び撓み(flexure)システム60を含む。ナノステッパーシステム20及び撓みシステム60は、ナノポアシステム30aのシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。撓みシステム60は、以下に限定されないが、撓みベース62に取り付けられた可撓性部材64を含む。可撓性部材64は機械的にフレキシブルであり、x/y方向可動構造体52に反対力を提供することができ、これはターゲットポリマー38をまっすぐにするために使用され得る。上述したような相互作用を通じて、可撓性部材64上にターゲットポリマー38を配置することができ、該相互作用は、共有結合的、イオン的、生化学的、機械的、電気的、及び磁気的な相互作用を含む。
【0049】
ターゲットポリマー38の1つの端部はナノステッパーアーム24上に配置され、ターゲットポリマー38の反対側の端部は可撓性部材64上に配置される。ターゲットポリマー38は、ナノポアアパーチャ34に通された後に可撓性部材64上に配置され、逆もまた同様である。ナノステッパーシステム20及び可撓性部材64は、ナノポアアパーチャ34を介してターゲットポリマー38を前後に移動させるために使用され得る。更に、ナノステッパーシステム20及び可撓性部材64は、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにするために使用され得る。
【0050】
図8は、ナノステッパー/センサーシステム10dの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10dは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20、切り欠きシステム70、及び第2のナノステッパーシステム50を含む。切り欠きシステム70は、構造体72の上部に配置された切り欠き(スリット)74を有する構造体72を含む。また、用語「切り欠き」は、同様の結果を達成する構造体72におけるスリット及び他の窪みも含むことができる。上述したコンポーネントに加えて、ナノステッパーシステム20は、x/y方向可動構造体から独立して制御可能および再生可能な態様でz方向に移動させるように動作するz方向可動構造体26を含む。切り欠き74を使用したシステムにおいては、単一の流体のみが存在する。切り欠き74は、先端部が約1ナノメートルのサイズまで狭くなる形状を有することができる。例えば、切り欠き74は三角形の形状になることができる。ナノポア検出システムは、切り欠き74に隣接して配置され、ナノポアシステムと同様の態様でターゲットポリマー38を操作して検知する。ナノステッパーシステム20及び第2のナノステッパーシステム50は、切り欠きシステム70のシス側およびトランス側にそれぞれ配置される。
【0051】
ターゲットポリマー38の両端部は、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置される。ターゲットポリマー38は、切り欠き74に通される前に、各ナノステッパーアーム24及び54上に配置され得る。次いで、ターゲットポリマー38は、x/y方向可動構造体22及び52、並びにz方向可動構造体26の組み合わせを用いて、切り欠き74中へ移動することができる。言い換えれば、ターゲットポリマー38を十分に切り欠き74内に配置するように、z方向可動構造体26によりナノステッパーシステム20が上下に移動することができる。その後、2つのx/y方向可動構造体22及び52を用いて、切り欠きアパーチャ(切り欠き)74を介してターゲットポリマー38を前後に移動させることができる。更に、ナノステッパーシステム20及び50を用いて、ターゲットポリマー38を実質的にまっすぐにすることができる。
【0052】
図9A及び図9Bは、ナノステッパー/センサーシステム10eの代表的な実施形態を示す。ナノステッパー/センサーシステム10eは、以下に限定されないが、ナノステッパーシステム20及びナノポア/アレイシステム80を含む。上述したコンポーネントに加えて、ナノステッパーシステム20は、制御可能および再生可能な態様でz方向に移動させるように動作し、かつx/y方向可動構造体から独立して移動させることができるz方向可動構造体26を含む。ナノポア/アレイシステム80は、以下に限定されないが、ナノポアアパーチャ34を有する構造体32(ナノポアシステム30aに類似)、及び上面に複数の別個の領域(スポット)84を有するアレイ82を含む。アレイ82は、以下に限定されないが、当業者により知られたようなアレイ及びマイクロアレイを含むことができる。別個の領域は、1つ又は複数のターゲットポリマーと相互作用するように形成され得る。ナノステッパーシステム20がアレイ82とナノポアシステムとの間を移動することができるように、アレイ82は、ナノポアシステムに隣接して、又はナノポアシステムから離れて配置され得る。ナノステッパーシステム20は、アレイ領域82からターゲットポリマーを拾い上げ、ナノポアアパーチャ34の付近にそれらを戻し、次いで圧電アクチュエーターの使用とは異なる検出プロセス中に、数オングストロームのスケールで正確かつ反復可能な運動を行うために、数マイクロメートルを超える(例えば、約100μm)長距離移動ができる。
【0053】
最初に、ナノステッパーシステム20は、それ自体を、ターゲットポリマー88が配置された別個の領域と実質的に一列になるように位置決めする。ターゲットポリマー88は、アレイ82と反対側の端部においてナノステッパーアーム24と相互作用する。次いで、ターゲットポリマー88はアレイ82から開放される。その後、ナノステッパーシステム20が、ナノポアアパーチャと実質的に一列になるようにナノステッパーアーム24を移動させる。その後、ターゲットポリマー88は、ナノステッパーシステム20を使用して、本明細書で説明されたような態様で、ナノアパーチャの中を通って移動され得る。
【0054】
上述した実施形態に対して、多くの変形および修正を行うことができることは強調されるべきである。このような全ての修正および変形は、本発明の範囲内に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ナノステッパー/センサーシステムの実施形態の概略図である。
【図2】図1に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスの流れ図である。
【図3】代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図4】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用するための代表的なプロセスの流れ図である。
【図5A】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5B】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5C】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5D】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5E】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図5F】図3に示されたナノステッパー/センサーシステムを使用した代表的なプロセスの図である。
【図6】一対のナノステッパーを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図7】撓みシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図8】2つのナノステッパー及び切り欠きシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図9A】アレイシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【図9B】アレイシステムを組み込んだ代表的なナノステッパー/センサーシステムの図である。
【符号の説明】
【0056】
20 ナノステッパーシステム
22 x/y方向可動構造体
24 ナノステッパーアーム
30 センサーシステム
30a ナノポアシステム
32 構造体
34 ナノポアアパーチャ
38 ターゲットポリマー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のx/y方向可動構造体(22)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、ナノポアアパーチャ(34)を通してターゲットポリマー(38)を移動させ、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように前記ターゲットポリマー(38)を位置決めするように動作し、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向は、前記ナノポアアパーチャ(34)が形成される構造体を貫く軸として規定されており、及び
前記第1のx/y方向可動構造体(22)の移動の関数として、前記ナノポアアパーチャ(34)に対する前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを含む、ポリマーを解析するための方法。
【請求項2】
前記ナノポアアパーチャ(34)を有する前記構造体を含むナノポアシステム(30a)を準備し、
前記第1のx/y方向可動構造体(22)及び第1のナノステッパーアーム(24)を有する第1のナノステッパーシステム(20)を準備し、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、前記第1のナノステッパーアーム(24)をx及びy方向に独立して移動させるように動作し、y方向が、前記ナノポアアパーチャ(34)に対して垂直な平面内にあり、前記ナノポアアパーチャ(34)の左右に前記第1のナノステッパーアーム(24)を移動させる方向であり、
前記第1のナノステッパーアーム(24)上に前記ターゲットポリマー(38)を固定し、前記第1のナノステッパーアーム(24)が前記ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように、ターゲットポリマー(38)が前記ナノポアアパーチャ(34)に隣接して配置されることができ、
前記ナノポアアパーチャ(34)に前記ターゲットポリマー(38)を通し、
前記第1のナノステッパーシステム(20)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を移動させ、及び
前記ナノポアアパーチャ(34)を介した前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記x/y方向可動構造体(22)を移動させることを更に含み、その移動により、前記ターゲットポリマー(38)が前記ナノポアアパーチャ(34)を通して移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ナノポアアパーチャ(34)を有する構造体を含むナノポアシステム(30a)と、及び
x/y方向可動構造体(22)及び前記構造体(32)に隣接して配置された第1のナノステッパーアーム(24)を有する第1のナノステッパーシステム(20)であって、前記第1のナノステッパーアーム(24)がターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記ターゲットポリマー(38)が配置された前記第1のナノステッパーアーム(24)を、前記ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように位置決めするように動作し、前記x/y方向可動構造体(22)が前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を制御可能に移動するように動作する、前記第1のナノステッパーシステム(20)とを含む、システム。
【請求項5】
前記第1のナノステッパーシステム(20)が、前記x/y方向可動構造体(22)を用いて、前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を反復可能で制御可能な態様で移動することができる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ナノステッパーシステム(20)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、センサーに隣接したターゲットポリマー(38)を移動させ、前記ナノステッパーシステム(20)が、前記ターゲットポリマー(38)を前記センサーの実質的に近くに配置するように動作し、前記ナノステッパーシステム(20)が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向が、前記センサーと同一平面内にあり、y方向が、前記センサーの左右に前記ターゲットポリマー(38)を移動させる方向であり、及び
前記ナノステッパーシステム(20)の移動の関数として、前記センサーに対する前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを含む、ポリマーを解析するための方法。
【請求項7】
センサーを含むセンサーシステム(30)と、及び
x/y方向可動構造体(22)及び前記センサーに隣接して配置されたナノステッパーアーム(24)を有するナノステッパーシステム(20)であって、前記ナノステッパーアーム(24)がターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記ターゲットポリマー(38)が配置された前記ナノステッパーアーム(24)を、前記センサーに実質的に隣接するように配置するように動作し、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記センサーが前記ターゲットポリマー(38)を検知するように、制御可能で可逆的に前記ターゲットポリマー(38)を前記センサー付近で移動させるように動作する、ナノステッパーシステム(20)とを含む、システム。
【請求項8】
前記ナノステッパーシステム(20)は、x方向に±60μm移動するように動作し、かつy方向に±60μm移動するように動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ナノステッパーシステム(20)が、1秒あたり約1〜1,000,000ステップのステッピング速度で、約0.1nm〜400nm(1〜4000オングストローム)のステップサイズで移動するように動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ナノステッパーシステム(20)が、約1ナノニュートン〜500μニュートンの力で前記ターゲットポリマー(38)を伸ばすように動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項1】
第1のx/y方向可動構造体(22)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、ナノポアアパーチャ(34)を通してターゲットポリマー(38)を移動させ、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように前記ターゲットポリマー(38)を位置決めするように動作し、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向は、前記ナノポアアパーチャ(34)が形成される構造体を貫く軸として規定されており、及び
前記第1のx/y方向可動構造体(22)の移動の関数として、前記ナノポアアパーチャ(34)に対する前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを含む、ポリマーを解析するための方法。
【請求項2】
前記ナノポアアパーチャ(34)を有する前記構造体を含むナノポアシステム(30a)を準備し、
前記第1のx/y方向可動構造体(22)及び第1のナノステッパーアーム(24)を有する第1のナノステッパーシステム(20)を準備し、前記第1のx/y方向可動構造体(22)が、前記第1のナノステッパーアーム(24)をx及びy方向に独立して移動させるように動作し、y方向が、前記ナノポアアパーチャ(34)に対して垂直な平面内にあり、前記ナノポアアパーチャ(34)の左右に前記第1のナノステッパーアーム(24)を移動させる方向であり、
前記第1のナノステッパーアーム(24)上に前記ターゲットポリマー(38)を固定し、前記第1のナノステッパーアーム(24)が前記ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように、ターゲットポリマー(38)が前記ナノポアアパーチャ(34)に隣接して配置されることができ、
前記ナノポアアパーチャ(34)に前記ターゲットポリマー(38)を通し、
前記第1のナノステッパーシステム(20)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を移動させ、及び
前記ナノポアアパーチャ(34)を介した前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記x/y方向可動構造体(22)を移動させることを更に含み、その移動により、前記ターゲットポリマー(38)が前記ナノポアアパーチャ(34)を通して移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ナノポアアパーチャ(34)を有する構造体を含むナノポアシステム(30a)と、及び
x/y方向可動構造体(22)及び前記構造体(32)に隣接して配置された第1のナノステッパーアーム(24)を有する第1のナノステッパーシステム(20)であって、前記第1のナノステッパーアーム(24)がターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記ターゲットポリマー(38)が配置された前記第1のナノステッパーアーム(24)を、前記ナノポアアパーチャ(34)と実質的に一列になるように位置決めするように動作し、前記x/y方向可動構造体(22)が前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を制御可能に移動するように動作する、前記第1のナノステッパーシステム(20)とを含む、システム。
【請求項5】
前記第1のナノステッパーシステム(20)が、前記x/y方向可動構造体(22)を用いて、前記ナノポアアパーチャ(34)を通して前記ターゲットポリマー(38)を反復可能で制御可能な態様で移動することができる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ナノステッパーシステム(20)を用いて、制御可能で反復可能で可逆的な態様で、センサーに隣接したターゲットポリマー(38)を移動させ、前記ナノステッパーシステム(20)が、前記ターゲットポリマー(38)を前記センサーの実質的に近くに配置するように動作し、前記ナノステッパーシステム(20)が、x及びy方向に独立して移動するように動作し、x方向が、前記センサーと同一平面内にあり、y方向が、前記センサーの左右に前記ターゲットポリマー(38)を移動させる方向であり、及び
前記ナノステッパーシステム(20)の移動の関数として、前記センサーに対する前記ターゲットポリマー(38)の移動に対応する信号をモニターすることを含む、ポリマーを解析するための方法。
【請求項7】
センサーを含むセンサーシステム(30)と、及び
x/y方向可動構造体(22)及び前記センサーに隣接して配置されたナノステッパーアーム(24)を有するナノステッパーシステム(20)であって、前記ナノステッパーアーム(24)がターゲットポリマー(38)と相互作用するように適合され、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記ターゲットポリマー(38)が配置された前記ナノステッパーアーム(24)を、前記センサーに実質的に隣接するように配置するように動作し、前記x/y方向可動構造体(22)は、前記センサーが前記ターゲットポリマー(38)を検知するように、制御可能で可逆的に前記ターゲットポリマー(38)を前記センサー付近で移動させるように動作する、ナノステッパーシステム(20)とを含む、システム。
【請求項8】
前記ナノステッパーシステム(20)は、x方向に±60μm移動するように動作し、かつy方向に±60μm移動するように動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ナノステッパーシステム(20)が、1秒あたり約1〜1,000,000ステップのステッピング速度で、約0.1nm〜400nm(1〜4000オングストローム)のステップサイズで移動するように動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ナノステッパーシステム(20)が、約1ナノニュートン〜500μニュートンの力で前記ターゲットポリマー(38)を伸ばすように動作する、請求項7に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2006−78491(P2006−78491A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263361(P2005−263361)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
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