説明

ナノパターニング方法、硬化されたレジストフィルム及び該レジストフィルムを含有する物品

本発明のナノパターニング方法は、レジストフィルム(12)を形成する工程、及び該レジストフィルム(12)にパターンを形成する工程を含む。該レジストフィルム(12)は、少なくとも2つのビニル基を持つ有機シリコーン化合物、該有機シリコーン化合物とは異なる、有機シリコーン架橋剤、触媒、及び触媒阻害剤を含む。硬化されたレジストフィルム(12)は、該触媒及び該触媒阻害剤の存在下で生成された、該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤との間の反応生成物を含む。本発明の物品(10)は、基板(14)を含み、また該硬化されたレジストフィルム(12)は、該基板(14)上に設けられる。該レジストフィルム(12)における該触媒阻害剤の存在のために、該レジストフィルム(12)は、硬化を伴うことなしに、室温にて何時間にも渡り、取扱うことができる。同時に、該レジストフィルム(12)は、工業的に価値あるものと考えられる、十分に短い期間内に硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ナノパターニング方法、内部に形成された所定のパターンを有する、硬化されたレジストフィルム、及び該レジストフィルムを含有する物品に関するものである。より具体的には、該硬化されたレジストフィルムは、従来のポリマー材料を含むレジストフィルムを凌駕する、多くの利点を与える。
【0002】
(関連出願との相互引照)
本件特許出願は、2005年6月2日付で出願された、米国仮特許出願第60/686432号に関する優先権及び該特許出願のあらゆる利益を請求するものである。
【0003】
(政府による実施権)
米国政府は、本件特許における、支払済みの実施権を有し、また譲渡証書番号ECF0424204の下で、(米国)国立科学財団(National Science Foundation)によって授与されたものとして、妥当な時期に、他人の実施権に対して、限られた状況の下での、特許権者としての権利を請求する権限を持つ。
【背景技術】
【0004】
ナノパターニング法は、ナノ構造を製造するための、ナノテクノロジー的な研究の本質的部分となっている。これらナノ構造及びナノパターニング技術が、重大な実際上の価値を持つためには、該ナノパターニング技術が、低コストかつ高処理量であることが不可欠である。コスト低下及び処理量の増大を目的として、新たに出現した多くの技術の中でも、ナノインプリントリトグラフ法(NIL)は、有望な技術である。NILは、10nm以下の構造をパターニングする能力を有し、しかも単純な装置及び簡単な処理を必要とするに過ぎない。故に、NILは、膨大な数の電気及び光デバイスの製造において、またウエハ-スケールの加工に応用されている。
【0005】
NILに関する一方法は、熱エンボッシング技術を包含する。熱エンボッシングを実施するためには、レジストフィルムを基板上に形成するが、この操作は、一般的には基板上にポリマー材料を回転塗布して、該レジストフィルムを形成することによって行われている。該レジストフィルムに含められた、従来のポリマー材料は、熱可塑性物質、例えばポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート)を含む。所定のパターンは、高い圧力及び熱の適用条件下で、該レジストフィルム内に形成される。
【0006】
該熱可塑性物質の熱エンボッシング処理に係る問題の一つは、該熱可塑性物質をそのTg以上の温度に加熱した後においてさえ、該熱可塑性物質の粘度が著しく高い点にある。結果として、該熱エンボッシング処理は、典型的に高圧及び10分間〜60分間及びこれを越える長いインプリント時間を必要とし、このことは該パターンの形成速度に影響を及ぼす。更に、該熱可塑性物質から作成された該レジストフィルムは、該材料のTg以上における温度安定性を示さず、このことは該熱可塑性物質の適用範囲を限定する恐れがある。
【0007】
これらの問題点を解決するための一つの方法は、該ナノインプリント工程中に硬化し得るプリカーサを使用して、該所定のパターンを形成することである。Carcenac等は、硬化性のプリカーサとして、シルガード(Sylgard) 184TMを使用した(Carcenac等, 「改善された加工許容度を持つ、ナノインプリントリトグラフィー用の3-層系(Tri-Layer Systems for Nanoimprint Lithography with an Improved Process Latitude)」Microelectronics Engineering, 2000, 53:163)。シルガード184は、3つの主な成分を含む:ビニル-末端を持つポリ(ジメチルシロキサン)-を主成分とするポリマー(ビニル-末端を持つPDMS-をベースとするポリマー);シリル-水素化物架橋剤;及びプラチナ-ヒドロシリル化触媒。該ビニル-末端を持つPDMS-をベースとするポリマーは、約20,000なる数平均分子量及び約400なる重合度を持つ。更に、該プラチナ-ヒドロシリル化触媒は、約10ppmなる量で存在する。
【0008】
シルガード184の使用に係る問題の一つは、その硬化時間が極めて長く、ナノパターニング技術に対して、如何なる工業的価値をも与えないことにある。より具体的には、該シルガード184は、全て1.0MPa(10 bar)なる圧力の下で、25℃にて硬化するのに24時間を要し、また65℃にて硬化するには4時間を要し、100℃にて硬化するには1時間を要し、また150℃では15分間を要する。該シルガード184中の触媒の量を、0.01質量%まで高めたとしても、硬化には、依然として150℃にて5分間を越える時間を要し、これでは、工業的に価値あるものとするためには不十分である。
【0009】
ステップ&フラッシュ(Step-and-Flash)インプリントリトグラフィー(S-FIL)
S-FIL法は、機械的インプリント法を基本とするが、液状レジストとしてUV硬化性の液状物質を使用する、もう一つのナノパターニング技術である。S-FILを使用する場合、該液状レジストを、基板上に液滴の状態で分配し、次いで鋳型を該基板と接触させて、該基板に対して押圧して、該液状レジストを展開させ、結果として該液状レジストのフィルムを形成する。次いで、このフィルムを、UV光に暴露して硬化させる。S-FIL法は、室温にて実施することができ、従って従来のNIL技術のように、高温の使用は必要とされない。しかし、S-FIL法は、依然として理想的な方法とはいえない。というのは、このS-FIL法において使用される従来のUV硬化性の液状物質が、典型的にはアクリル官能基を持つモノマー及びオリゴマーのラジカル重合を含むメカニズムに基くものであるからである。該UV硬化性の液状物質は、典型的に硬化後に強い収縮性を示す。更に、該UV硬化性の液状物質は、高い酸素感受性を持ち、従って酸素掃去性のフリーラジカル種となる傾向があり、また該レジストフィルム表面における重合を阻害する。結果として、該レジストフィルムは、その内部に形成される該パターン中に欠陥を発生する傾向がある。
【0010】
従って、従来のポリマー材料を使用する、公知のナノパターニング技術の上記諸欠点を改善する、ナノパターニング法に対する需要が、依然として存在する。即ち、硬化後の収縮に対して抵抗性であり、酸素に対して非-感受性である、硬化性液状物質を含有する、ナノパターニング法において使用するための、レジストフィルムに対する需要が、依然として存在する。
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、ナノパターニング方法、内部に形成された所定のパターンを持つ、硬化されたレジストフィルム、及び該レジストフィルムを含有する物品を提供することにある。本発明のナノパターニング方法は、レジストフィルムを生成する工程、及び該レジストフィルム内に所定のパターンを形成する工程を含む。該レジストフィルムは、少なくとも2つのビニル基を持つ、有機シリコーン化合物、該有機シリコーン化合物とは異なる、有機シリコーン架橋剤、触媒、及び触媒阻害剤を含む。従って、該硬化されたレジストフィルムは、該触媒及び該触媒阻害剤の存在下での反応による、少なくとも2つのビニル基を持つ該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン化合物とは異なる、該有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含むものである。本発明の物品は、基板を含み、また該硬化されたレジストフィルムは、該基板上に設けられる。
【0012】
該レジストフィルムにおける該触媒阻害剤の存在のために、該レジストフィルムは、室温にて何時間もの間、硬化を開始することなく、維持することができる。同時に、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、及び該触媒は、一旦反応が開始された場合には、該触媒阻害剤が存在することから、十分に短期間の間に硬化するように処方することができる。結果として、一旦該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤との間の反応が開始された場合には、該レジストフィルムは、工業的に価値あるものとするのに十分に短期間の間に硬化する。というのは、工業的な応用は、しばしば高い処理量を必要とするからである。更に、本発明による硬化されたレジストフィルムは、硬化後の収縮に対して抵抗性であり、酸素に対して非-感受性であり、低い表面エネルギーを持ち、また高い酸素プラズマエッチング耐性を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、添付図面との関連で、以下に詳しく記載される説明を参照することによって、よりよく理解されるので、本発明の他の利点は、容易に理解されるであろう。
本発明によるナノパターニング(nano-patterning)は、主としてナノテクノロジー的な研究において利用される。ナノパターニングとして特徴付けることのできる、公知の工程は、夫々ナノインプリント(nanoimprint)リトグラフィー(NIL)及びマイクロプリント(microprint)リトグラフィーとも呼ばれる、ナノ-及びマイクロ-リトグラフィー法ナノスケール接触印刷(nano-scale contact printing)、UV-補助ナノインプリントリトグラフィー、ステップ&フラッシュ(Step-and-Flash)インプリントリトグラフィー(S-FIL)、及び複合(combined)-ナノインプリント&フォトリトグラフィー技術を含むが、これらに限定されるものではない。これらの方法は、特に多数の電気並びに光デバイスの製造において、またウエハ-スケールの物品の加工において有用であることが立証されている。
【0014】
ナノパターニングにおいては、レジストフィルム12を準備し、また典型的には基板14上に形成するが、該レジストフィルム12は、該基板14から自立式に形成される。図1及び2に示したように、あるパターンを該レジストフィルム12内に形成する。このパターンは、様々なメカニズム、例えば金型を用いて、あるいはマスキング及びエッチングによって形成でき、これらについては、以下において更に詳細に説明する。金型を用いる場合、該パターンは、典型的に制御された温度及び低圧条件下で、該レジストフィルム12内に形成される。より具体的には、あるパターンは、該金型の表面から、該レジストフィルム12に転写される。次いで、以下において更に詳細に説明するように、該レジストフィルム12を硬化して、硬化されたレジストフィルム12を生成する。該硬化されたレジストフィルム12は、該基板14との組合せとして、物品10を生成するが、これは、基本的には該基板14上の、パターン化された構造である。好ましくは、該基板14は、珪素又はガラスから作られるが、同様に金属及びプラスチックから製造することも可能である。
【0015】
本発明のナノパターニング法において使用する、該レジストフィルム12は、有機シリコーン化合物、有機シリコーン架橋剤、触媒、及び触媒阻害剤を含む。該有機シリコーン化合物、有機シリコーン架橋剤、触媒、及び触媒阻害剤は、各々別々に、単一の混合物中に、あるいはこれら成分の1種又はそれ以上を含む、2又はそれ以上の混合物として、与えることができる。これら成分をどのように与えるかとは無関係に、該成分全てを一緒に混合し、生成する液体形状にある該混合物を、基板14上に適用して、レジストフィルム12を製造する。ここで使用する「レジストフィルム12」とは、該有機シリコーン化合物、有機シリコーン架橋剤、触媒、及び触媒阻害剤から生成された液状混合物の、未硬化フィルムを意味し、また「硬化された」レジストフィルム12とは、該混合物を硬化して、触媒の存在下及び更に触媒阻害剤の存在下における、該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤との反応による生成物を形成した後の、該レジストフィルム12を意味する。
【0016】
該基板14上に、該レジストフィルム12を形成するために、該液状混合物は、典型的には該基板14上に、該混合物を回転-塗布、浸漬-塗布、及び噴霧-塗布することによって適用される。あるいはまた、該混合物は、液滴として該基板14に適用することができる。該パターンは、典型的には、室温にて、1.4MPa(14 bar)以下、好ましくは約0.01〜約1.4MPa(約0.1〜約14 bar)なる範囲内の圧力条件下で、該レジストフィルム12内に形成される。次いで、該レジストフィルム12は、20〜150℃なる範囲、好ましくは60〜120℃なる範囲、最も好ましくは約80〜約100℃なる範囲内の温度にて硬化され、その後該金型は、該レジストフィルム12から分離される。該レジストフィルム12は、5分間以下の期間硬化され、硬化されたレジストフィルム12を生成する。典型的に、該レジストフィルム12は、120℃以下の温度にて、1分未満の期間内に硬化する。
【0017】
該有機シリコーン化合物は、少なくとも2つのビニル基を持つ。更に、該有機シリコーン化合物は、(SiRR'O)基、(SiRO2/3)基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、シリコーン基を含み、ここでR及びR'は、各々アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、一態様において、該有機シリコーン化合物は、以下の式:
【0018】
【化1】

【0019】
(ここで、n及びmは、両者共に≧0であり、また、xは少なくとも5である)で表される構造を持つ。好ましくは、該有機シリコーン化合物は、10,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ。より好ましくは、該有機シリコーン化合物は、5,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ。図3を参照すると、該有機シリコーン化合物の数平均分子量は、該硬化されたレジストフィルム12の貯蔵弾性率又は弾性率に影響を及ぼす。該硬化されたレジストフィルム12の貯蔵弾性率については、以下において更に詳しく説明する。従来技術において使用されている有機シリコーン化合物の数平均分子量よりも、実質的に低い、本発明で使用する該有機シリコーン化合物の数平均分子量は、また、同様に以下において更に詳しく説明するように、十分に短い期間内での硬化に寄与する。
【0020】
典型的には、該有機シリコーン化合物は、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、約94質量部以下なる量で、該レジストフィルム12内に存在する。換言すれば、他の成分、例えば添加物等を、該レジストフィルム12に含めることができ、また存在する該有機シリコーン化合物の量は、該添加物が、該レジストフィルム12に含められている場合には、該レジストフィルム12の94質量部未満である。該レジストフィルム12に含めることができる、適当な添加剤については、以下において更に詳しく説明する。
【0021】
該有機シリコーン架橋剤は、該有機シリコーン化合物とは異なっており、また典型的には少なくとも3個のSi-H基を含んでいる。しかし、別の態様では、該有機シリコーン架橋剤は、少なくとも2つのSi-H基を含むことができるものと理解すべきである。例えば、該有機シリコーン架橋剤は、僅かに2つのSi-H基を含むことができ、この場合該有機シリコーン化合物は、少なくとも3個のビニル基を含んでいて、該硬化されたレジストフィルム12における適当な架橋密度を達成する。該硬化されたレジストフィルム12における、該架橋密度は、硬化前に、該レジストフィルム12内に存在する、反応性の基、即ちビニル基又はSi-H基の数に依存する。例えば、より高い架橋密度は、高率でSi-H基を含む有機シリコーン架橋剤を使用した場合に、達成される。このより高い架橋密度は、該硬化されたレジストフィルム12の貯蔵弾性率に影響を与えるもう一つのファクタである。
典型的に、該有機シリコーン架橋剤は、以下の式:
【0022】
【化2】

【0023】
(ここで、y及びzは、各々≧1であり、また、R及びR'は、各々アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される)で表される構造を持つ。該有機シリコーン化合物のビニル基と、該有機シリコーン架橋剤のSi-H基は、当分野においてヒドロシリル化反応として知られている反応を通して、相互に反応する。該ビニル基と、該Si-H基とが反応した後に、該硬化されたレジストフィルム12は、該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含み、この反応生成物は、該触媒の存在下、及び更に該触媒阻害剤の存在下において生成される。
【0024】
典型的には、該有機シリコーン架橋剤の少なくとも1.2個のSi-H基が、該有機シリコーン化合物の各ビニル基に対して存在し、結果として該硬化されたレジストフィルム12における十分な架橋密度を達成する。該有機シリコーン架橋剤は、該有機シリコーン化合物よりも小さな数平均分子量を持つので、該有機シリコーン化合物のビニル基に対する、所定数の該有機シリコーン架橋剤のSi-H基を得るために、典型的には、必要とされる該有機シリコーン化合物の量に比して、より少量の該有機シリコーン架橋剤が必要とされるに過ぎない。より具体的には、該有機シリコーン架橋剤は、典型的には該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、5質量部以下の量で存在する。該レジストフィルム12内の該有機シリコーン架橋剤の量は、非-反応性の希釈剤及び他の添加物が、該レジストフィルム12内に存在する場合には、該レジストフィルム12の全質量を基準として、5質量部未満であり得る。
【0025】
該レジストフィルム12としての、硬化された有機シリコーン材料の使用は、多くの有利な特性をもたらす。例えば、該硬化されたレジストフィルム12は、該硬化されたレジストフィルム12に対して弾性を付与する、その内部におけるシリコーンの存在のために、金型から取出す際の破損及び剥離に対して抵抗することができる。更に、該シリコーンの存在は、また該レジストフィルム12に対して、比較的低い表面エネルギーを付与し、そのために従来の材料と比較して、該金型表面からの、比較的容易な離型性がもたらされる。該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤とから形成された、該硬化されたレジストフィルム12は、また以下において更に詳細に説明されるように、酸素プラズマエッチングに対する優れた耐性を示す。
該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との間の、該ヒドロシリル化反応は、典型的に上記触媒の存在を必要とし、また以下のような反応式に従って進行する:
【0026】
【化3】

【0027】
ここで、R及びR'は上記の通りであり、またR"は、上記式に示すような特定の反応に関与しなかった、該有機シリコーン化合物又は該有機シリコーン架橋剤の何れかの残部を表す。該ビニル基と該Si-H基との間の反応を触媒するのに適した該触媒は、遷移金属化合物をベースとするものである。より具体的には、該適当な触媒は、プラチナをベースとする化合物、ロジウムをベースとする化合物、コバルトをベースとする化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第VIII族元素をベースとする化合物であり得る。好ましくは、該触媒は、該ヒドロシリル化反応を触媒する、プラチナをベースとする化合物又はロジウムをベースとする化合物であり、クロロ白金酸のアルコール溶液、プラチナ-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、及びこれらの組合せを包含する。好ましくは、該触媒は、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、2〜500ppmなる範囲の量、より好ましくは10〜150ppmなる範囲、及び最も好ましくは60〜100ppmなる範囲の量で存在する。
【0028】
該有機シリコーン化合物の比較的小さな数平均分子量及び該レジストフィルム12内に存在する比較的大量の該触媒のために、該レジストフィルム12は、典型的に20〜150℃なる範囲の温度にて、5分未満の期間内に硬化する。より具体的には、該レジストフィルム12は、典型的に120℃以下なる温度にて、1分未満の期間内に硬化する。このような短い硬化時間は、工業的に価値のある、本発明に従って、該レジストフィルム12を製造するのに十分に迅速である。しかし、該ビニル基と該Si-H基との間の早すぎる反応が、該触媒阻害剤の不在下で発生する可能性がある。従って、該触媒阻害剤は、この早すぎる反応を防止するために存在する。該触媒阻害剤は、典型的に周囲温度にて該触媒と反応し、かつこれを失活させる。高い反応温度が設定された場合には、該触媒阻害剤は分解して、活性な状態にある該触媒を遊離する。適当な触媒阻害剤は、アセチレン性アルコール、フマレート、マレエート、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。適当な触媒阻害剤の具体的な例は、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートを含む。典型的には、該触媒阻害剤は、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、0.1〜2質量部なる範囲の量で存在する。
【0029】
必要に応じて、該レジストフィルム12に、添加剤を含めて、所定の物理化学的な諸特性を改善することができる。添加物は、典型的に該有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン架橋剤との反応生成物中には組込まれず、典型的には比較的少ない量で使用される。添加剤が含まれる場合、このような添加剤は、安定剤、接着促進剤、離型剤、非-反応性希釈剤及びこれらの組合せからなる群から選択される添加剤を含むが、これらに限定されない。該安定剤は、早期の反応の開始、及び貯蔵中のゲル化を防止するために使用される。該接着促進剤、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、基板14の表面接着性を改善するために使用される。該離型剤は、様々な技術に関与している、接触面の表面エネルギーを減じるために使用される。該非-反応性希釈剤は、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤を含有する、該混合物中に含めることができ、これにより、該混合物の粘度を下げ、結果として該レジストフィルム12の所定の厚みを得ることが可能となる。該非-反応性希釈剤は、典型的にはPGMEA、2-ヘプタノン、キシレン、ジメチルシロキサン環式物質、及びこれらの混合物等の、80℃を越える沸点を持つ溶剤を包含する。
【0030】
該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤並びに任意の添加剤を含有する、該混合物の粘度は、該基板14上に十分に適用できる程度に低いものである。好ましくは、該混合物は、1〜10,000、好ましくは10〜1,000、及び最も好ましくは10〜200センチストークス(cSt)なる範囲の、室温(約20℃)における動粘度を持つ。該混合物において、該反応性希釈剤の、その他の成分に相対的な量を変更することによって、該レジストフィルム12の厚みの調節が容易になる。該混合物のより低い粘度は、より薄い厚みを持つレジストフィルム12の生成を容易にする。該レジストフィルム12の厚みは、100nm以下〜数ミクロンなる範囲内であり得る。
【0031】
該硬化されたレジストフィルム12は、理想的な貯蔵弾性率を有し、結果として該硬化されたレジストフィルム12の優れた機械的な保全性を保証し、一方で離型の際における破損及び剥離に対して抵抗する。より具体的には、著しく高い貯蔵弾性率を有する、硬化されたレジストフィルム12は、しばしば脆く、また金型から取出す際に容易に破壊される傾向を持ち、また著しく低い貯蔵弾性率を有する、レジストフィルム12は、パターン形成後に圧潰される傾向を示す。図3を参照すると、該硬化されたレジストフィルム12の貯蔵弾性率は、該有機シリコーン化合物の数平均分子量及び該硬化されたレジストフィルム12の架橋密度によって影響される。即ち、該有機シリコーン化合物の数平均分子量を調節することにより、また該レジストフィルム12中に存在するSi-H基の相対的な量を調節して、所定の貯蔵弾性率を持つ該硬化されたレジストフィルム12を得ることによって、該貯蔵弾性率を調節することができる。典型的には、該貯蔵弾性率は、1,000〜5,000MPaなる範囲内にある。
【0032】
一態様において、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤、並びに任意の添加剤を含む該混合物は、該レジストフィルム12を生成するために、該基板14に直接適用される。図1〜5に示したように、次に、該パターンを、該レジストフィルム12上に形成することができる。別の態様では、図6に示したように、平坦化フィルム16を、該基板14上に形成する。
【0033】
該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤、並びに任意の添加剤を含む該混合物を、該平坦化フィルム16上に適用して、該レジストフィルム12を生成する。
該平坦化フィルム16は、ポリマーから作成され、またこの平坦化フィルム16の製造工程は、より具体的には該基板14上に、該ポリマーを適用して、該基板14上に該平坦化フィルム16を形成するものとして定義される。該ポリマーは、以下において説明する理由のために、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物の酸素プラズマエッチング速度よりも高い、酸素プラズマエッチング速度を持つ可能性がある。より具体的には、該ポリマーは、該有機シリコーン化合物及び該有機シリコーン架橋剤の酸素プラズマエッチング速度よりも、少なくとも10倍の、高い酸素プラズマエッチング速度を持つことができ、また該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物の酸素プラズマエッチング速度よりも、100倍を超える高いものであり得る。他の例においては、下方の該基板14内にパターンを転写する際のマスク材料として使用する場合には、該平坦化フィルム16が、高い酸素プラズマエッチング耐性を持つことが望ましいことであり得る。
【0034】
該ポリマーは、典型的には、少なくとも30℃なるTgを持つアモルファスポリマーである。該ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン、ポリシルセスキオキサン、及びこれらの組合せからなる群から選択されるが、これらに限定されない。しかし、ポリスチレン及びポリシルセスキオキサンを含むが、これらに限定されない他のポリマーも適当なポリマーであり得る。該ポリマーから作られた該平坦化フィルム16に関して使用する一つの理由は、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤、並びに任意の添加剤を含む該混合物を、該基板14上に回転塗布する際に、該レジストフィルム12による、該基板14の良好な湿潤状態を達成するためである。該基板14の良好な湿潤状態は、該レジストフィルム12の均一性を保証する。
【0035】
該平坦化フィルム16は、プラズマエッチング工程における、下部の該基板14に、パターンを転写する際のエッチングマスクとして機能し得、また所定のエッチング耐性を持つことが望ましい。これは、またリフトオフ工程における犠牲層として使用でき、あるいは大きなアスペクト比を持つ構造を得るために使用することができる。該リフトオフ工程において、該平坦化フィルム16は、該基板14上に形成され、また該レジストフィルム12は、該平坦化フィルム16上に形成される。次いで、典型的には、短い(小さな)アスペクト比を持つ構造である該パターンを、該レジストフィルム12内に形成する。次に、該レジストフィルム12を硬化して、該硬化されたレジストフィルム12を生成するが、このものは、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含む。該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との間の反応生成物の幾つかは、該硬化されたレジストフィルム12の該パターン内に維持される。該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物は、典型的にはある種のプラズマエッチング、例えばフッ素プラズマエッチングに対して、及び該平坦化フィルム16における、該ポリマーのフッ素プラズマエッチング速度間の差異に対して敏感であり、また該硬化されたレジストフィルム12は、夫々の酸素プラズマエッチング速度間の差ほど顕著ではあり得ない。故に、該パターン内に残された、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物は、該硬化されたレジストフィルム12内の該パターンから、フッ素プラズマエッチング処理される。次いで、酸素プラズマエッチングを利用して、該平坦化フィルム16内にあるパターンを形成する。該平坦化フィルム16内の該ポリマーの、及び該硬化されたレジストフィルム12内の該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物の、著しい酸素プラズマエッチング速度における差異のために、該硬化されたレジストフィルム12内の、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物も、酸素プラズマエッチング処理されるが、該レジストフィルム12のエッチングは、該平坦化フィルム16のエッチングに比して無視できる。従って、該硬化されたレジストフィルム12は、該平坦化フィルム16に対するマスクとして機能し、また該平坦化フィルム16は、更に該レジストフィルム12の背後までエッチングされ、アンダカット形状を生成する。場合により、金属層、より詳しくは金属線を、該硬化されたレジストフィルム12上に配置することができる。該平坦化フィルム16は、上記のようにエッチングすることができ、また所望により、次に該金属層を、該硬化されたレジストフィルム12上に配置することができる。次に、露出した、硬化レジストフィルム12は、少なくとも部分的に適当な溶媒で溶解して、該金属層をリフトオフすることができる。
【実施例】
【0036】
本明細書に提示するような、本発明のナノパターニング方法、内部にパターンが形成された、本発明の硬化されたレジストフィルム12、及び該レジストフィルム12を含む、本発明の物品10を例示する以下の実施例は、本発明を例示する目的で与えられるものであり、本発明を限定するものではない。
実施例
PMMAを包含する平坦化フィルム16を、先ずシリコーン基板14上に形成する。より詳しくは、該PMMAをトルエンに溶解して、平坦化溶液を生成し、これを、該シリコーン基板14上に回転塗布して、該平坦化フィルム16を生成する。該平坦化フィルム16は、約400nmなる厚みを持つ。次いで、有機シリコーン化合物、有機シリコーン架橋剤、触媒、触媒阻害剤、及び添加剤を含む混合物を製造する。より詳しくは、この混合物は、約1850ダルトンなる数平均分子量を持つ、ジビニル末端を持つポリ(ジメチルシロキサン)10g、3個のSi-H基を持ち、かつ約1200ダルトンなる数平均分子量を持つ、シリルハイドライドをベースとするジメチルシロキサン1.09g、シリコーン流体中に分散させた、プラチナ-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体0.27g(0.054質量%なる量のPt)、及びジメチルマレエート28mgを含む。この混合物を、該平坦化フィルム16上に回転塗布して、約300nmなる厚みを持つレジストフィルム12を形成する。様々なナノ及びミクロンスケールのパターンを、NJ州、モンマンスジャンクション(Monmouth Junction)のナノネックス社(Nanonex, Inc.)から市販品として入手できる、NX-1000インプリンタを使用して、該レジストフィルム12内に形成する。これら例示パターンの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、添付した図1及び2に示す。これらのパターンは、該レジストフィルム12を介して、該平坦化フィルム16全体に渡らないように、インプリントすることによって形成する。インプリント法は、約0.01〜約1.4MPa(約0.1〜約14 bar)なる範囲の圧力下で行われる(例えば、図1を参照)。次いで、該レジストフィルム12を、約80℃の温度にて、約1分間硬化して、該触媒の存在下及び更に該触媒阻害剤の存在下での反応により得た、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含む、該レジストフィルム12を生成する。インプリント後に、該金型並びに該基板14を分離し、また該金型のパターンのレプリカを、該レジストフィルム12内に捺印する。
【0037】
該パターン内に残留する、該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物を、フッ素プラズマエッチングによって除去し、該平坦化フィルム16を露出させる。大きなアスペクト比を持つインプリント法は、該レジストフィルム12及び該平坦化フィルム16を、酸素プラズマエッチングすることにより実施する。該有機シリコーン化合物と該有機シリコーン架橋剤との反応生成物の、酸素プラズマエッチング速度は、正確な組成に依存して、5nm/分未満であり、また該PMMAの酸素プラズマエッチング速度は、約110nm/分である。
【0038】
以上、本発明を例示的に説明してきた。また、使用した用語は、限定するものではなく、寧ろ説明するためのものであることを理解すべきである。明らかに、本発明の多数の変更並びに改良が、上記の教示に照らして可能である。従って、具体的に記載されたものではなく、本発明は、本発明の特許請求の範囲内で実施できるものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のレジストフィルム上の、350nmなるライン幅を持つパターンを示す、走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2】本発明のレジストフィルム上の、250nmなるライン幅及び1.8μmなるライン高さを持つパターンを示す、SEM写真である。
【図3】有機シリコーン化合物の数平均分子量、有機シリコーン架橋剤中のSi-H基の数、及び硬化されたレジストフィルムにおける貯蔵弾性率の関係を示すグラフである。
【図4】本発明のレジストフィルム上の、ミクロンスケールのパターンを示す、250nmなるライン幅及び1.8μmなるライン高さを持つパターンを示す、走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】本発明のレジストフィルム上の、140nmなるライン幅を持つ格子パターンを有する、パターンを示すSEM写真である。
【図6】基板、平坦化層又は下層、及び該レジストフィルムを含む物品の、模式的な側面図である。
【符号の説明】
【0040】
10・・;12・・レジストフィルム;14・・基板;16・・平坦化フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノパターニング方法であって、
(1) 少なくとも2個のビニル基を有する有機シリコーン化合物、
前記有機シリコーン化合物とは異なる有機シリコーン架橋剤、
触媒、及び
触媒阻害剤、
を含むレジストフィルム(12)を形成する工程、及び
(2) 該レジストフィルム(12)にパターンを形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記触媒阻害剤が、アセチレン性アルコール、フマレート、マレエート、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記触媒阻害剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、0.1〜2質量部の量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
該触媒が、遷移金属化合物に基づくものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該触媒が、プラチナをベースとする化合物、ロジウムをベースとする化合物、コバルトをベースとする化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第VIII族元素をベースとする化合物を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、2〜500ppmの量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、60〜100ppmの量で存在する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
該有機シリコーン化合物が、(SiRR'O)基、(SiRO2/3)基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、シリコーン基を含み、ここで、R及びR'各々は、アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
該有機シリコーン化合物が、以下の式、
【化1】

(ここで、n及びmは、両者共に≧0であり、またxは少なくとも5である)で表される構造を持つ、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該有機シリコーン化合物が、10,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該有機シリコーン化合物が、5,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項10記載の方法。
【請求項12】
該有機シリコーン化合物が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、94質量部以下で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも2個のSi-H基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
該有機シリコーン化合物が、少なくとも3個のビニル基を含んでいる、請求項12記載の方法。
【請求項15】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも3個のSi-H基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
該有機シリコーン架橋剤が、以下の式、
【化2】

(ここで、y及びzは、各々≧1であり、またR及びR'は、各々アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される)で表される構造を有する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
該有機シリコーン架橋剤の少なくとも1.2個のSi-H基が、該有機シリコーン化合物の各ビニル基に対して存在する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
該有機シリコーン架橋剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、5質量部以下で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
更に、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤を含む混合物を、基板(14)に適用して、該レジストフィルム(12)を生成する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
該混合物を適用する工程が、更に該混合物の、該基板(14)への回転塗布、浸漬塗布、及び噴霧塗布の少なくとも一つのとして規定される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
該混合物を適用する工程が、更に該混合物の液滴を、該基板(14)上に適用する工程として規定される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
更に、20〜150℃の温度及び1.4MPa(14 bar)以下の圧力にて、5分間以下の期間に渡り、該樹脂フィルム(12)を硬化して、硬化されたレジストフィルム(12)を生成する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
基板(14)にポリマーを適用して、該基板(14)上に、平坦化フィルム(16)を形成する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
該ポリマーが、更に、少なくとも30℃のTgを持つアモルファスポリマーとして規定される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
該ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)を含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
更に、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤を含む混合物を、平坦化フィルム(16)上に適用して、該レジストフィルム(12)を生成する工程をも含む、請求項22記載の方法。
【請求項27】
該レジストフィルム(12)が、更に安定剤、接着促進剤、離型剤、非-反応性希釈剤及びこれらの組合せからなる群から選択される添加剤をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
上部に形成された、所定のパターンを持つ、硬化されたレジストフィルム(12)であって、該レジストフィルム(12)が、
触媒の存在下、及び更に触媒阻害剤の存在下での反応による、
少なくとも2個のビニル基を有する有機シリコーン化合物と、
該有機シリコーン化合物とは異なる、有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含むことを特徴とする、硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項29】
該触媒阻害剤が、アセチレン性アルコール、フマレート、マレエート、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項30】
該触媒阻害剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、0.1〜2質量部の量で存在する、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項31】
該触媒が、遷移金属化合物をベースとするものである、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項32】
該触媒が、プラチナをベースとする化合物、ロジウムをベースとする化合物、コバルトをベースとする化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、第VIII族元素をベースとする化合物を含む、請求項30記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項33】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、2〜500ppmの量で存在する、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項34】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、60〜100ppmの量で存在する、請求項32記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項35】
該有機シリコーン化合物が、(SiRR'O)基、(SiRO2/3)基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、シリコーン基を含み、ここでR及びR'各々は、アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項36】
該有機シリコーン化合物が、以下の式、
【化3】

(ここで、n及びmは、両者共に≧0であり、また、xは少なくとも5である)で表される構造を持つものである、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項37】
該有機シリコーン化合物が、10,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項35記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項38】
該有機シリコーン化合物が、5,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項36記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項39】
該有機シリコーン化合物が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、94質量部以下で存在する、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項40】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも2個のSi-H基を含む、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項41】
該有機シリコーン化合物が、少なくとも3個のビニル基を含んでいる、請求項39記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項42】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも3個のSi-H基を含む、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項43】
該有機シリコーン架橋剤が、以下の式、
【化4】

(ここで、y及びzは、各々≧1であり、また、R及びR'は、各々アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される)で表される構造を持つ、請求項41記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項44】
該有機シリコーン架橋剤の少なくとも1.2個のSi-H基が、該有機シリコーン化合物の各ビニル基に対して存在する、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項45】
該有機シリコーン架橋剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、5質量部以下で存在する、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項46】
該レジストフィルム(12)が、更に安定剤、接着促進剤、離型剤、非-反応性希釈剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される添加剤をも含む、請求項27記載の硬化されたレジストフィルム(12)。
【請求項47】
基板(14)層及び該基板(14)層上に形成され、かつその上に形成された所定のパターンを持つ、硬化されたレジストフィルム(12)を含み;かつ
該硬化されたレジストフィルム(12)が、
触媒の存在下、及び更に触媒阻害剤の存在下における、
少なくとも2個のビニル基を持つ有機シリコーン化合物と、該有機シリコーン化合物とは異なる、有機シリコーン架橋剤との反応生成物を含む、
ことを特徴とする、物品(10)。
【請求項48】
該触媒阻害剤が、アセチレン性アルコール、フマレート、マレエート、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項46記載の方法。
【請求項49】
該触媒阻害剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、0.1〜2質量部の量で存在する、請求項46記載の物品(10)。
【請求項50】
該触媒が、遷移金属化合物をベースとする、請求項46記載の物品(10)。
【請求項51】
該触媒が、プラチナをベースとする化合物、ロジウムをベースとする化合物、コバルトをベースとする化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、第VIII族元素をベースとする化合物を含む、請求項49記載の物品(10)。
【請求項52】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、2〜500ppmの量で存在する、請求項50記載の物品(10)。
【請求項53】
該触媒が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、60〜100ppmの量で存在する、請求項51記載の物品(10)。
【請求項54】
該有機シリコーン化合物が、(SiRR'O)基、(SiRO2/3)基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、シリコーン基を含み、ここで、R及びR'各々は、アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項46記載の物品(10)。
【請求項55】
該有機シリコーン化合物が、以下の式、
【化5】

(ここで、n及びmは、両者共に≧0であり、また、xは少なくとも5である)で表される構造を持つものである、請求項53記載の物品(10)。
【請求項56】
該有機シリコーン化合物が、10,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項54記載の物品(10)。
【請求項57】
該有機シリコーン化合物が、5,000ダルトン以下の数平均分子量を持つ、請求項55記載の物品(10)。
【請求項58】
該有機シリコーン化合物が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、94質量部以下の量で存在する、請求項46記載の物品(10)。
【請求項59】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも2個のSi-H基を含む、請求項46記載の物品(10)。
【請求項60】
該有機シリコーン化合物が、少なくとも3個のビニル基を含む、請求項58記載の物品(10)。
【請求項61】
該有機シリコーン架橋剤が、少なくとも3個のSi-H基を含む、請求項46記載の物品(10)。
【請求項62】
該有機シリコーン架橋剤が、以下の式、
【化6】

(ここで、y及びzは、各々≧1であり、また、R及びR'は、各々アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、水素原子、フェニル基、炭化水素基、フルオロカーボン基、及びこれらの組合せからなる群から選択される)で表される構造を持つ、請求項60記載の物品(10)。
【請求項63】
該有機シリコーン架橋剤の少なくとも1.2個のSi-H基が、該有機シリコーン化合物の各ビニル基に対して存在する、請求項60記載の物品(10)。
【請求項64】
該有機シリコーン架橋剤が、該有機シリコーン化合物、該有機シリコーン架橋剤、該触媒、及び該触媒阻害剤の全質量を基準として、5質量部以下の量で存在する、請求項46記載の物品(10)。
【請求項65】
該混合物を適用する工程が、更に該基板(14)上に該混合物の液滴を適用する工程として規定される、請求項61記載の物品(10)。
【請求項66】
更に、ポリマーから生成され、該基板(14)上に配置された、平坦化フィルム(16)をも含む、請求項46記載の物品(10)。
【請求項67】
該ポリマーが、更に、少なくとも30℃のTgを持つアモルファスポリマーとして規定される、請求項65記載の物品(10)。
【請求項68】
該ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)を含む、請求項23記載の物品(10)。
【請求項69】
該レジストフィルム(12)が、該平坦化フィルム(16)上に配置されている、請求項66記載の物品(10)。
【請求項70】
該レジストフィルム(12)が、更に安定剤、接着促進剤、離型剤、非-反応性希釈剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される添加剤をも含む、請求項46記載の物品(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−501091(P2009−501091A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514617(P2008−514617)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/043278
【国際公開番号】WO2006/132672
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【Fターム(参考)】