説明

ナノ粒子の表面処理方法

本発明は、ナノ粒子の表面処理方法に関する。本発明は、特に、溶媒中でのナノ粒子の分散能を向上させ、多価酸とアミンのような窒素含有塩基から構成される混合物、又は多価酸と窒素含有塩基の塩、例えばアンモニウム塩、或いは対応するベタインを用いるナノ粒子の表面処理方法に関する。本発明は、また、本発明方法によって得ることができる表面変性ナノ粒子にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明はナノ粒子の表面処理方法に関する。特に、本発明は、溶媒中でのナノ粒子の分散性を向上させ、多塩基酸と窒素含有塩基、例えばアミンの混合物、又は多塩基酸と窒素含有塩基からの塩、例えばアンモニウム塩、或いは好適なベタインを用いるナノ粒子の表面処理方法に関する。本発明は、また、本発明方法によって得ることができる表面変性ナノ粒子にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術:
ナノ粒子を製造するための多数の方法が知られている。これに関し、「ナノ粒子」という用語は1μm未満の寸法を有する粒子を指す。このタイプのナノ粒子は、例えば保安用印刷インクなどのインクの製造において、金属又は非金属基材の表面変性において、リン光性又は蛍光性材料として、生体分子のためのマーカーとして、ポリマー充填材として、X線造影剤としてなどの幅広い範囲の用途を有する。
【0003】
かかるナノ粒子を製造するための合成経路は当業者に公知である。公報の例は、WO−02/20696−A1、EP−1473347−A1、及びEP−1473348−A1である。本発明方法は、また、von Haaseらによって記載されたナノ粒子(Journal of Physical Chemistry B, 104, 2824-2828)にも適用することができる。
【0004】
例えば2nm〜20nmの寸法範囲のナノ粒子は、今日では、高沸点溶媒中での反応によって大量に製造することができる。かかる実質的に無機及び/又は結晶質の粒子の分散性は、概ね良好であるが、ナノ粒子の表面に結合する有機分子によって大きく影響を受ける。これらの分子は、通常、ナノ粒子の表面に結合する1種類以上の好ましくは極性の化学基を有する。この結合は、粒子表面に対するイオン相互作用及び/又は共有結合によって形成することができる。
【0005】
粒子表面と相互作用する成分とは別に、これらの有機分子は、一般に少なくとも1種類の更なる成分を含んでおり、その極性によって或る溶媒中での分散性が決定される。幾つかの場合においては、これはナノ粒子表面と相互作用する成分と同じ成分である可能性もある。例えば、長いアルカン鎖によって、ヘキサン、トルエン、又はクロロホルムのような弱極性又は非極性溶媒中での粒子の溶解性(即ち分散性)が向上する。
【0006】
一般に、ナノ粒子の合成中に表面と相互作用する基を加えて、粒子の成長(及びこれにより粒径)を制御し、反応媒体中での粒子の溶解性(分散性)を向上させる。更に、これらにより、粒子の集合、即ち凝集体の形成も抑制される。
【0007】
しかしながら、粒子は、加えられた試薬物質との反応によって溶液中での成長プロセス中に結合し始める可能性があるので、有機分子を合成条件(例えば反応温度)下で表面から少なくとも部分的に除去できなければならない。したがって、表面に対する有機分子の結合の強度は所定の最大値を超えてはならない。これは、そうでなければこれらを粒子の成長に必要な粒子成分によって置き換えることができないからである。
【0008】
したがって、この方法で製造されるナノ粒子はそれらの表面上に有機分子を有し、これによって反応媒体中でのそれらの分散性が確保される。しかしながら、工業的見地からは、これらをより容易に保存することができるように、合成後にナノ粒子を単離することが望ましい。ナノ粒子を単離する際には、洗浄又は分離工程を通常行う。しかしながら、これにより、表面に結合している有機分子の一部が合成後の洗浄及び清浄化工程においてナノ粒子の表面から除去されるという問題が引き起こされる可能性がある。これにより粒子の分散性が低下する。したがって、場合によっては洗浄及び/又は清浄化工程を含み、単離後のこのタイプのナノ粒子の分散性又は溶解性を向上させる方法が必要である。
【0009】
また、合成中及び合成後にナノ粒子の表面に結合する有機分子を反応媒体に適合させることも確保しなければならない。例えば、高度に非極性の反応媒体と一緒には、非極性基を有する有機分子を用いる。しかしながら、種々の用途に関しては、場合によっては反応媒体と異なる特性(例えば極性)を有する反応媒体と異なる溶媒中にナノ粒子が分散している分散液を得ることが望ましい。したがって、選択された溶媒中での粒子の分散性を向上させることができる最も一般的に可能な方法が求められている。溶媒の極性は主として用途のタイプによって決定されるので、溶媒は、反応媒体中で用いられる成分の1つに限定されるべきではなく、可能な限り自由に選択可能なものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO−02/20696−A1
【特許文献2】EP−1473347−A1
【特許文献3】EP−1473348−A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Journal of Physical Chemistry B, 104, 2824-2828
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記で述べた問題点は、ナノ粒子の表面処理のための本発明方法によって解決される。本発明の目的は、処理されたナノ粒子の分散性を向上させる表面処理方法を提供することである。本発明の特段の目的は、それらの合成後に単離して場合によっては洗浄工程にかけたナノ粒子の分散性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、合成に続いて単離を行い、場合によっては単離の後に1回以上の洗浄工程にかけたナノ粒子の分散性を向上させるための表面処理方法であって、(i)1種類以上の有機窒素含有塩基及び1種類以上の多塩基酸;又は(ii)1種類以上の有機窒素含有塩基と1種類以上の多塩基酸の塩;又は(iii)1種類以上の窒素含有塩基基及び1種類以上の多塩基酸基を分子内に有するベタイン;によってナノ粒子を処理することを含む上記方法に関する。
【0014】
ここで用いる「多塩基酸基」又は「多塩基酸」という表現は、完全に解離すると、非解離条件(例えばpH0)において酸又は酸基の酸素原子に結合している2以上のプロトンを放出することができる酸又は酸基を意味する。
【0015】
以下において、「酸/塩基の組み合わせ」としての1種類又は複数の窒素含有塩基及び1種類又は複数の多塩基酸の組み合わせを示す。この表現は、会合から他のものが形成されない限りにおいて、(i)組み合わせ、(ii)塩、及び(iii)ベタインを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明:
本発明方法は、ナノ粒子を合成し、それらを反応媒体から分離し、場合によっては分離の後に洗浄工程を行った後に、ナノ粒子を窒素含有塩基と多塩基酸の混合物又はその塩で表面処理することを含む。合成後にナノ粒子を分離するために用いる方法は特に限定されないが、例えば、遠心分離、濾過、及び場合によっては負圧下での蒸発による溶媒の除去を行うことができる。
【0017】
本発明によれば、「洗浄工程」は、ナノ粒子を清浄化するため、例えば出発物質の残渣又は場合によってはナノ粒子の表面に結合する反応混合物中に存在する他の化学物質を除去するために、ナノ粒子の単離(例えば沈殿による)の後に行う、場合によって用いられる処理工程を意味する。洗浄工程は、好ましくは単離されたナノ粒子がその中で可溶性を示さないか又は僅かしか示さないように選択される好適な溶媒を用いて行う。例えばM. Haaseらの「コロイド状のランタニドがドープされたナノ結晶の合成及び特性(Synthesis and properties of colloidal lanthanide-doped nanocrystals)」, Journal of Alloys and Compounds, 303-304 (2000), 191-197、又はH. MeyssamyらのAdvanced Materials, 1999, 11, No.10, p.840-844に記載されているようなナノ粒子の水熱合成においては、水と混和性の溶媒、例えばTHFのような水混和性エーテル、アセトンのような水混和性ケトン、又はメタノール若しくはエタノールのような水混和性アルコールが好ましく用いられる。20℃において任意の混合比で水と完全に混和性の溶媒は水混和性と考えられる。「水熱合成」は、加圧下(例えばオートクレーブ中)、及び昇温下(好ましくは150℃より高い)において、唯一の反応媒体としての水の中での好適なカチオン源及び好適なアニオン源からのナノ粒子の合成であると考えられる。好ましくはWO−02/20696による、遊離電子対を有するリン又は窒素原子を有する配位溶媒中でのナノ粒子の有機合成においては、洗浄のためにメタノールが好ましく用いられる。WO−2004/046035による硫酸塩の合成においては、洗浄のために水熱合成に関するものと同じ溶媒を用いることができる。WO−2005/105933にしたがって硫酸塩を合成する場合には、得られるナノ粒子はメタノール中にも分散性である可能性があり、したがって他の水混和性アルコール又は水混和性ケトン若しくはエーテルを用いることが推奨されることを注意すべきである。WO−2004/06714にしたがうバナジン酸塩又はPCT/EP2004/012376にしたがう二酸化チタンナノ粒子の合成においても、水熱合成に関するものと同じ水混和性溶媒を用いることができる。
【0018】
本発明方法において用いることができるナノ粒子はいかなる特定の限定も受けない。本発明に関連して「ナノ粒子」という用語は、1μm未満、好ましくは300nm未満、より好ましくは1nm〜25nm、最も好ましくは2nm〜10nmの寸法(最長軸)を有する粒子を意味する。これらのナノ粒子は、その構造に関して実質的に均一である材料から製造することができる。しかしながら、例えばEP−1473347及びEP−1473348に記載されているコア/シェル粒子のような複数の層から構成されるナノ粒子を指す場合もある。ナノ粒子は、結晶質、部分的結晶質、又は非晶質であってよく、結晶質の材料が好ましい。ナノ粒子の形態もいかなる特定の限定も受けない。特に、ナノ粒子は、例えば、楕円体、球状、プレート形状、針状(長さ/幅≧2、好ましくは≧5)、立方体、斜方形、又は不規則な構造であってよい。
【0019】
窒素含有塩基はいかなる特定の限定も受けない。これは1つ以上の塩基性窒素原子を含む。特に、脂肪族、脂環式、及び芳香族の窒素含有塩基を用いることができる。これに関連して「塩基」という用語は、プロトンを取り込むことによってカチオン(例えばアミンの場合にはアンモニウムイオン)を形成することができる化合物を意味する。化合物は、好ましくは、2〜6、特に3〜5のpK値(25℃、水溶液)を有する。
【0020】
本発明方法において用いるための脂肪族窒素含有塩基の代表例として、第1級(NHR)、第2級(NHRR’)、及び第3級(NRR’R”)アミンを挙げることができる。基R、R’、及びR”は、同一であっても異なっていてもよく、場合によっては20個以下の炭素原子を有する単置換又は多置換脂肪族炭化水素基(それぞれは飽和であっても不飽和であってもよく、不飽和炭化水素基は1〜4個、好ましくは1又は2個の炭素−炭素二重結合を有する)を意味する。また、これらの基は直鎖であっても分岐であってもよい。16個以下の炭素原子を有する基が好ましい。直鎖又は分岐アルキル基も好ましい。3〜14、より特に好ましくは6〜12の炭素数を有する基R、R’、又はR”を有するアミンが特に好ましい。特に、有機溶媒とのより良好な相溶性を示すので、これらの基R、R’、及びR”を有する第2級及び第3級アミン、最も特に好ましくは第3級アミンが好ましい。脂肪族窒素含有塩基における全炭素数は、1〜60、好ましくは6〜50、より好ましくは8〜40、最も好ましくは12〜36の範囲である。
【0021】
基R、R’、及びR”に関する置換基として用いることのできる基は、シクロアルキル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシル基、ベンジル若しくはフェニルのような芳香族基(これらはここで列記する基の1以上によって更に置換されていてもよい)、並びにエーテル基及びエステル基である。これらが炭素原子を含む場合には、これらの置換基は、アミンの基R、R’、及びR”の上記に与えた炭素数、或いは全炭素数に含まれる。
【0022】
基R、R’、及びR”の2つが一緒になって環を形成していてもよい。関係する基R、R’、及びR”が一緒になって5〜7員環を形成することが好ましい。シクロヘキシル環が最も好ましい。
【0023】
第1級アミンの好ましい代表例は、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、及びテトラデシルアミンであり、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、及びドデシルアミンが好ましく、これらは場合によっては置換されていてもよい。
【0024】
第2級アミンの好ましい代表例は、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、及びジテトラデシルアミンであり、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、及びジドデシルアミンが好ましく、これらは場合によっては置換されていてもよい。
【0025】
第3級アミンの好ましい代表例は、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、及びトリテトラデシルアミンであり、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、及びトリドデシルアミンが好ましく、これらは場合によっては置換されていてもよい。
【0026】
「脂環式窒素含有塩基」という用語は、例えば2〜30個の炭素原子を有し、少なくとも1つの非芳香環の成分として1つ以上の窒素原子を含む化合物を意味する。この環は、また、酸素又はイオウのようなヘテロ原子を含んでいてもよい。また、「脂環式窒素含有塩基」という用語は、場合によっては縮合していてもよい2つ以上の環系を有する化合物も包含するが、単環系が好ましい。窒素含有環に加えて場合によっては存在する1つ又は複数の環系は、脂環式であっても又は芳香族であってもよく、場合によっては環の成分としてS又はOのような他の原子を含んでいてもよい。3〜16個の炭素原子を有する化合物が好ましく、4〜11個の炭素原子を有する化合物がより好ましく、4〜6個の炭素原子を有する化合物が最も好ましい。これらの化合物は、場合によっては、脂肪族窒素含有塩基に関して上記に示したような1以上の置換基で置換されていてもよく、これ/これらの場合によって存在する置換基は上記の炭素数に含まれる。脂環式窒素含有塩基の好ましい代表例は、環の成分としてアミン(NH)又はイミン(=N−)基を含む4、5、6、7、又は8員の環系であってよい。脂環式窒素含有塩基の例は、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピラゾール、及びモルホリンである。
【0027】
「芳香族窒素含有塩基」という用語は、少なくとも1つの芳香環の成分として1つ以上の窒素原子を含む3〜30個の炭素原子を有する化合物を意味する。この環は、また、酸素又はイオウのようなヘテロ原子を含んでいてもよい。この用語は、また、縮合していてもよい2つ以上の環系を有する化合物も包含するが、単環系が好ましい。窒素含有環とは別に存在する1つ又は複数の環系は、脂環式又は芳香族であってよく、場合によっては環の構成成分としてS又はOのような他の原子を含んでいてもよい。4〜15個の炭素原子を有する化合物が好ましく、5〜11個の炭素原子を有する化合物がより好ましい。これらの化合物は、場合によっては脂肪族窒素含有塩基に関して上記に示した1つ以上の置換基で置換されていてもよく、ここで場合によって存在する1つ又は複数の置換基は上記の炭素数に含まれる。芳香族窒素含有塩基の特に好ましい代表例は、4、5、6、7、及び8員の環系である。芳香族窒素含有塩基の代表例は、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、ピロール、アクリジン、ピラジン、キノキサリン、プテリジン、プリン、イミダゾール、チアゾール、及びオキサゾールである。ピリジンが特に好ましい。
【0028】
本発明の処理方法において窒素含有塩基と組み合わせて用いる多塩基酸は特に限定されない。酸は、1つより多いプロトンを放出することができるものであり、有機酸又は無機酸であってよい。好適な酸の例は、リン含有酸、例えばリン酸、二リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、二ホスホン酸、ポリホスホン酸、リン酸モノエステル、並びにリン酸又はホスホン酸から誘導される有機リン酸又はホスホン酸である。
【0029】
有機リン含有酸は、場合によってはとりわけ脂肪族窒素含有塩基の基R、R’、及びR”の置換基に関して上記に示したものと同様の置換基で置換されていてもよい、少なくとも1つの脂肪族、脂環式、又は芳香族有機基を含んでいてよい。有機リン含有酸の全炭素数は、P原子あたり好ましくは26以下、特に20以下である。存在していてよい置換基は炭素数に含まれる。
【0030】
有機モノホスホン酸の場合には、これらは、好ましくは次式(1):
【0031】
【化1】

【0032】
(式中、Rは、好ましくは1〜18個、より好ましくは2〜12個、更により好ましくは3〜6個の炭素原子を有し、場合によってはヘテロ原子を有する、直鎖又は分岐で、飽和又は不飽和の炭化水素基であってよい)によって表すことができる。基Rは、また、1〜4個、好ましくは1又は2個の炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。基Rは脂肪族又は芳香族であってよく、例えばシクロアルキル、シクロアルケニル、アルキル、アルケニル、又はアリール基を含む。基Rは、非置換であるか、或いは単置換若しくは多置換であってよい。好ましくは、Rの置換基は、好ましくは5〜7個の炭素原子、より好ましくは6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、カルボキシ基、ヒドロキシル基、及び芳香族基(アリール)、例えばベンジル若しくはフェニル基の中から選択される。芳香族基Rの場合には、1つの芳香環が存在していてよく、或いは2又は3つの環の縮合環系が存在していてよい。
【0033】
基Rにおいては、1つ以上の第2級炭素原子(−CH−)が、ヘテロ原子、例えば酸素原子(−O−)、イオウ原子(−S−)、或いは第2級アミノ基(−NH−)で置き換えられている。分岐炭化水素基Rにおいては、1つ以上の第3級炭素原子(−CH−)がN原子によって置き換えられている。基R中のヘテロ原子の全数は、好ましくは6以下、より好ましくは4以下(例えば1、2、又は3)である。更に、ヘテロ原子は、ホスホン酸基の直ぐ隣には存在せず、及び/又は互いに直接結合していないことが好ましい。存在させることができるヘテロ原子はここで与える炭素数には含まれない。
【0034】
好ましい有機ホスホン酸の例としては、フェニルホスホン酸及びテトラデシルホスホン酸が挙げられる。
有機二ホスホン酸は、好ましくは、次式(2):
【0035】
【化2】

【0036】
(式中、Xは、好ましくは1〜18個、より好ましくは2〜12個、最も好ましくは3〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐で、飽和又は不飽和の二価炭化水素基を表し、ここでXは1〜4個、好ましくは1又は2個の炭素−炭素二重結合を含んでいてよい)
によって表すことができる。Xの例としては、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルキレン、アルケニレン、又はアリーレン基が挙げられる。
【0037】
Xは、好ましくは式(1)の基Rから得ることができ、この場合、炭素原子からH原子を抜き取ることによって第2の結合部位を第2のホスホン酸基のために利用できる。また、H原子の抜き取りは、基Rの従前に示したC含有置換基の1つにおいて行うこともできる。更に、1以上のC原子がヘテロ原子によって置き換えられていてよい。式(1)に関して示したものと同じ事項が適用される。
【0038】
ホスホン酸基は、Xの同じ炭素原子又は異なる炭素原子において与えられていてよく、ここでは同じ炭素原子上に存在していることが好ましい。
好ましい二ホスホン酸の例は、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はモルホリノメタン二ホスホン酸を含む。
【0039】
2つより多いホスホン酸基を含む有機ポリホスホン酸は、好ましくは、次式(3):
Y[P(O)(OH) (3)
(式中、nは2より大きい整数を表し、Yは、好ましくは1〜18個、より好ましくは2〜12個、更により好ましくは3〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐で、飽和又不飽和のn価の炭化水素基を表す)
によって表される。Yは、1〜4つ、好ましくは1又は2つの炭素−炭素二重結合を含んでいてよい。好ましくは、nは、3〜6、より好ましくは3又は4の整数値である。
【0040】
Yは、好ましくは式(1)の基Rから得られ、この場合、n−1個の炭素原子からn−1個のH原子を抜き取ることによってn−1個のホスホン酸基のためのn−1個の更なる結合部位が形成される。また、1つ以上のH原子の抜き取りは、基Rの従前に示したC含有置換基の1つにおいて行うこともできる。更に、1つ以上のC原子がヘテロ原子によって置き換えられていてよい。式(1)に関して示したものと同じ事項が適用される。
【0041】
ホスホン酸基は、(n=3又は4の場合においては)Y基の同じ炭素原子と結合していてよく、又は(3、4、5、又は6個のホスホン酸基の場合においては)それぞれ異なる炭素原子と結合していてよい。また、2又は3つのホスホン酸基が炭素原子に結合していて、存在する全ての他のホスホン酸基が他の1つの炭素原子又は複数の他の炭素原子と結合していてよい。
【0042】
ポリホスホン酸の例としては、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ジエチルトリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びニトリロ−トリ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
【0043】
リン酸モノエステルは、好ましくは次の一般式(4):
R−O−PO(OH) (4)
(式中、Rは式(1)の有機モノホスホン酸に関して上記に定義したものと同じ意味を有する)
によって表すことができる化合物である。
【0044】
また、二リン酸モノエステル又はポリリン酸モノエステルを用いることもでき、これらは好ましくは次式(5):
Y[O−PO(OH) (5)
(式中、lは2〜5、好ましくは2又は3の整数値である)によって表される。lが2である場合には、Yは、式(2)の有機二ホスホン酸におけるXに関して定義したものと同じ意味を有する。lが2より大きい場合には、Yは、式(3)のポリホスホン酸に関する上記のものと同じ意味を有する。リン酸モノエステル基は、Yの同じか又は異なる炭素原子に結合していてよい。
【0045】
硫酸、亜硫酸、スルホン酸、少なくとも2つの硫酸モノエステル基を有する有機硫酸モノエステル、或いは少なくとも2つのスルホン酸エステル基を有する有機スルホン酸のような硫黄含有酸を用いることもできる。
【0046】
少なくとも2つの硫酸モノエステル基を有する硫酸モノエステルは、好ましくは次式(6):
X”(O−SO−OH) (6)
(式中、eは少なくとも2、好ましくは2〜5、より好ましくは2又は3の整数値を表す)
によって表すことができる。
【0047】
eが2である場合には、X”は、式(2)の有機二ホスホン酸の場合におけるXと同じ意味を有する。eが2より大きい場合には、X”は、式(3)におけるYと同じ意味を有する。
【0048】
硫酸モノエステル基は、それぞれ、Xの同一か又は異なる炭素原子に独立して結合していてよく、ここで2又は3つの硫酸モノエステル基が同じ炭素原子に結合していてもよい。
【0049】
少なくとも2つのスルホン酸モノエステル基を有するスルホン酸モノエステルは、好ましくは次式(7):
X”’(O−SO−OH) (7)
(式中、fは、少なくとも2、好ましくは2〜5、より好ましくは2又は3の整数値を表す)
によって表すことができる。
【0050】
fが2である場合には、X”’は、式(2)の有機二ホスホン酸の場合におけるXと同じ意味を有する。fが2より大きい場合には、X’”は、式(3)におけるYと同じ意味を有する。
【0051】
スルホン酸モノエステル基は、それぞれ、Xの同一か又は異なる炭素原子に独立して結合していてよく、ここで2又は3つのスルホン酸モノエステル基が同じ炭素原子に結合していてもよい。
【0052】
特に好ましい酸はリン酸である。
上記に記載の多塩基酸と窒素含有塩基(i)又は好適な塩(ii)の組み合わせとは別に、ベタイン(iii)、即ち分子内塩を用いることもできる。「ベタイン」という用語は、分子内に正の電荷(例えばアンモニウム又はピリジニウム基)を有する基及び負の電荷(例えば(部分的に)脱プロトン化されているリン酸モノエステル基)を有する基を含む化合物を意味する。かかる化合物は、次式(8):
(B)−Z−(S) (8)
(式中、Bは窒素含有塩基基を表し、Zは有機結合基を表し、Sは多塩基酸基を表し、g及びhは、これらの基の数を表し、好ましくはベタインが電荷的に中性であるように選択される)によって表すことができる。或いは、ベタインは、必要な数の正又は負の電荷の対イオンと会合する。
【0053】
これらのベタインは、1つ以上の窒素含有塩基基B(例えば、第1級、第2級、又は第3級アミノ基、イミノ基、ピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ピラゾイル、又はモルホリニル基)を含んでいて、gは好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1又は2である。これらの少なくとも1つは、プロトン化形態で存在し、即ち正の電荷を有する。
【0054】
これらのベタインは、また、分子内に1つ以上の多塩基酸基(例えば、リン酸モノエステル基、ホスホン酸基、硫酸モノエステル基、及びスルホン酸モノエステル基)を含み、即ちhは好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1又は2である。少なくとも1つの多塩基酸基は(部分的に)解離した形態で存在し、即ち負の電荷を有する。これらは、有機結合基Zによって互いに結合している。ベタインの場合においては、「多塩基酸基」という表現は、それらの部分的か又は完全に脱プロトン化されている形態で存在する基も含み、これらの形態においては必ずしも複数のプロトンを有しない(例えば、−O−P(OH)(O)基)。
【0055】
有機結合基Zは、特に限定されないが、好ましくは1〜45個、より好ましくは4〜30個、更により好ましくは5〜22個、最も好ましくは6〜18個の炭素原子を有する。結合基は、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であってよく、これらはそれ自体、1以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基で置換されていてもよい。更に、有機結合基は、それ自体シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基であってよく、これは更に1以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基で置換されていてもよい。また、複数の塩基基及び酸基が分子内においてヘテロ原子によって(例えばエーテル又はスルフィド結合によって)結合していてもよく、結合基は1以上の置換基(例えば、F、Cl、Br、I、シアノ、カルボキシ、又はヒドロキシル)を有していてもよい。
【0056】
酸/塩基の組み合わせ(i)又は(ii)における1種類又は複数の多塩基酸に対する1種類又は複数の窒素含有塩基の量比は特に限定されない。しかしながら、本発明によれば、量比は、窒素含有塩基と1種類又は複数の多塩基酸の塩を形成することができるようなものであることが好ましい。したがって、塩基/酸のモル比は、好ましくは0.8より大きく、より好ましくは0.95より大きい。比較的大過剰の塩基を用いても表面処理を妨げることはないが、幾つかの溶媒中において溶解性の問題を引き起こす可能性がある。したがって、塩基/酸のモル比は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、更により好ましくは1.2〜2.5の範囲でなければならない。1.2〜2の範囲の比が更により好ましい。
【0057】
用いる酸/塩基の組み合わせの量も特に限定されない。表面変性のために必要な量は、ナノ粒子の表面、又はナノ粒子の表面上への分散促進分子の表面被覆の程度のような測定するのが困難なファクターによって定まるので、酸/塩基の組み合わせの一般的に適用できる必要量を示すことは困難である。しかしながら、過剰の酸/塩基の組み合わせは表面変性を妨げない。したがって、疑わしい場合には過剰の酸/塩基の組み合わせを用いるべきである。しかしながら、経済的な理由により、用いる酸/塩基の組み合わせの量を可能な限り低く保持することが望ましい。酸/塩基の組み合わせの最小量を決定するための出発点として、ナノ粒子の表面上に酸/塩基の単層を生成するのに必要な量を規定することができる。一般に、ナノ粒子1gあたり、少なくとも2mLの塩基又は酸の1モル/Lの溶液(即ち、少なくとも2×10−3モルの塩基及び2×10−3モルの酸)を用いることで十分であり、全体積は、好ましくは5mL〜25mL(即ち、ナノ粒子1gあたり、3mL〜23mLの溶媒、及び2mLの塩基又は酸の1モル/Lの溶液)の範囲である。しかしながら、酸/塩基の組み合わせがそれ自体処理条件下で液体である場合には、溶媒を用いることは絶対に必要な訳ではない。
【0058】
窒素含有塩基、特に脂肪族、脂環式、及び芳香族塩基、並びに多塩基酸の中から、好ましくは、表面処理中に塩を形成するものが選択される。これは、用いる塩基の少なくとも1つのアルカリ度が、用いる多塩基酸の少なくとも1つの第1の解離工程の酸性度よりも大きくなければならない(pK(塩基)≦pKS1(酸))ことを意味する。これは、幾つかの場合において酸/塩基の組み合わせの溶解性をこれによって増加させることができるので、特に遊離酸又は塩基が用いる溶媒中に不溶である場合に有利である。
【0059】
個々の成分の添加順序はいかなる特定の限定も受けない。これは、塩基、酸、ナノ粒子、及び場合によっては溶媒を、任意の自由な順番で加えることができることを意味する。しかしながら、ナノ粒子を溶媒中に配置し、次に場合によっては溶媒中において酸/塩基の組み合わせ((i)、(ii)、又は(iii))をそれに加えることが好ましい。当然、ナノ粒子(場合によっては溶媒中)を酸/塩基の組み合わせ(場合によっては溶媒中)に加えることもできる。好ましくは、それによって塩基及び酸及び/又はそれらの塩を、逐次的でなく同時にナノ粒子(場合によっては溶媒中)と結合させる。
【0060】
変法(ii)の場合において、即ち酸/塩基の組み合わせを塩として加える場合においては、塩は、ナノ粒子と結合させる前に、製造し、例えば溶媒除去又は分別結晶化によって単離することもできる。ここで用いる「塩」という用語は、1:1の比の多塩基酸と塩基の塩、即ち多塩基酸の1つのプロトンのみが塩基によって引き抜かれているもの、並びに2:1、又は多塩基酸のプロトン数によって3:1、4:1、5:1等の塩基/酸の比の塩の両方を含む。1:1の比の塩の例は(N(n−C13)H)(HPO)である。1:2の比の塩の例は[(N(n−C13)H)(HPO)]2−である。窒素含有塩基が1より多い塩基性窒素原子を含む場合には、塩は1:2、2:2、2:3等の酸/塩基の比で形成してもよい。したがって、必要な塩の形成と相反しないならば、変法(i)に関して適用されるものと同じ事項が、変法(ii)及び(iii)に関して適用される。
【0061】
本発明の表面処理方法は、好ましくは溶媒中で行う。酸/塩基の組み合わせの量と同様に、溶媒の量も特に限定されない。酸/塩基の組み合わせが液体である場合には(例えば大過剰の酸又は塩基の場合で、処理条件下において過剰に存在する成分が液体であるならば)、溶媒を用いる必要はない。一般に、溶媒は、本発明の表面処理方法において用いる液体が、それぞれ0.005モル/L〜1モル/L、好ましくは0.01モル/L〜0.8モル/L、より好ましくは0.1モル/L〜0.5モル/Lの塩基及び酸の濃度を有するような量で用いる。
【0062】
また、溶媒のタイプも特に限定されない。通常用いられる有機溶媒を用いることができる。例は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンのような芳香族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、及びテトラクロロメタンのようなハロゲン化溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、及びテトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル、メチルエチルケトン(MEK)及びジエチルケトンのようなケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールのようなアルコール、酢酸ブチル及び酢酸エチルのようなエステル、並びにアセトニトリルのような他の通常の溶媒である。これらの溶媒は、単独か又は2種類以上の溶媒の混合物で用いることができる。これに関し、プロトン性又は非プロトン性溶媒を用いることができ、非プロトン性溶媒が好ましい。好ましい溶媒は、常圧において30℃〜180℃、より好ましくは60℃〜160℃、更により好ましくは90℃〜150℃の沸点を有する。
【0063】
好ましくは、本発明の表面処理方法において用いる溶媒は、ナノ粒子分散液の最終用途において用いる溶媒であるか、或いは極性に関してそれと類似するものである。これにより、最終用途において良好な再分散を達成することを確保することができる。
【0064】
上記に記載したように、ナノ粒子に関する本発明の表面処理方法は、ナノ粒子を好ましくは溶媒中において窒素含有塩基及び多塩基酸の組み合わせで処理することによって行う。処理中の条件に関しては明確な限定は存在しないが、室温と用いる全ての溶媒の沸点との間の範囲の温度において、常圧で処理を行うことが有利である。反応速度を増加させるために、ナノ粒子の表面処理のための本発明方法は、好ましくは室温より高く、好ましくは30℃〜100℃、より好ましくは60℃〜90℃の範囲の温度で行う。
【0065】
1種類以上の高沸点溶媒(常圧において100℃より高い沸点)を用いる場合には、減圧及び昇温温度において処理を行うことが有利である場合がある。この場合においては、本発明によって処理したナノ粒子を単離するために、酸/塩基の組み合わせによる処理の直後に溶媒を減圧下で蒸発させることができる。しかしながら、処理したナノ粒子の処理溶液からの分離は、また、限外濾過又は遠心分離のような当業者に公知の他の方法によって行うこともできる。
【0066】
また、本発明方法において用いる液体又は分散液(ナノ粒子、酸/塩基の組み合わせ、及び場合によっては溶媒)は溶解金属イオンを実質的に含まない、即ち溶解金属イオンの濃度は好ましくは0.01モル/L未満、より好ましくは0.001モル/L未満であることが好ましい。
【0067】
本発明の表面処理方法は、それらの合成及び単離の後に減少した分散性を有する任意の無機ナノ粒子に適用することができる。好ましくは、これらは、完全か又は主として結晶質の構造を有する無機金属塩ナノ粒子である。ナノ粒子はドープさせることができ、及び特にリン光性又は蛍光性であることができる。
【0068】
ナノ粒子は、好ましくは、リン酸塩、ハロリン酸塩、ヒ酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、アルミン酸塩、没食子酸塩、ケイ酸塩、ゲルマン酸塩、酸化物、バナジウム酸塩、ニオブ酸塩、タンタル酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、アルカリハロゲン酸塩、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、ヨウ化物)、窒化物、硫化物、セレン化物、スルホセレン化物、及び酸硫化物の群から選択される。
【0069】
したがって、本発明方法は、リン酸塩含有及びリン酸塩非含有ナノ粒子に適用することができる。本発明方法は、更に、半導性、及び好ましくは非半導性ナノ粒子に適用することができ、後者は上記に示すクラスの物質の中から選択することができる。
【0070】
好ましくは、本発明方法は以下のナノ粒子に適用する。
(1)水熱合成されたナノ粒子。
(2)上記のクラスの物質から選択される、WO−02/20696−A1の教示によるドープ又は非ドープナノ粒子。これらは、アニオン及びカチオン源を、ナノ粒子の結晶成長を制御する成分、特に有機リン化合物(例えば、上記WO公報の請求項3において開示されているもの)又はモノアルキルアミン、特にドデシルアミン、又はジアルキルアミン、特にビス(エチルヘキシル)アミン、並びに場合によっては更なる溶媒を含む合成混合物中で加熱しながら反応させる方法によって得ることができる。本発明の表面処理方法にかけられるナノ粒子は、WO−02/20696−A1の実施例、及びかかる文献の請求項32〜34に開示されている。
【0071】
(3)配位能を有する非水性溶媒、特にポリアルコール又はDMSOの中での制御された結晶成長によって得ることができ、実質的にZ−硫酸塩(Z=マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、又はバリウム)から構成される結晶格子又はドープの場合にはホスト格子を有する、1nm〜50nmの平均粒径を有し、及び水中に分散性である特性を有する、WO−2004/046035の教示によるナノ粒子。
【0072】
(4)場合によってはドープされたナノ粒子状金属硫酸塩ナノ粒子を製造するための方法(ここで、金属は多価及び一価遷移金属の中から選択される)によって得ることができる、WO−2005/105933の教示によるナノ粒子。該方法は、少なくとも以下の:
(a)以下の成分:
・少なくとも2つのヒドロキシル基を有する極性有機溶媒、又は少なくとも1つのスルホキシド基を有する極性溶媒;
・多価金属又は一価遷移金属の源、硫酸塩の源、及び場合によってはドーパント金属の源;及び
・以下:
○イミダゾールとは異なる芳香族窒素含有複素環式化合物を有する塩基;
○脂肪族窒素含有複素環式化合物を有する塩基;
○脂肪族ヒドロキシル置換アミン;
○脂肪族ポリアミン;
○芳香族アミン;
○アンモニア及びアンモニア放出性化合物;及び
○金属水酸化物;
の中から選択される塩基;
を含む反応混合物を加熱する;
工程を含む。
【0073】
(5)反応媒体中に同様に可溶性か又は分散性である反応性バナジウム酸塩源を、反応媒体中に可溶性か又は分散性である反応性金属(III)塩とを加熱しながら反応させることを含み、反応媒体が20/80〜90/10の体積比の水及び少なくとも1種類のポリアルコールを含むことを特徴とする、金属(III)バナジウム酸塩を含むナノ粒子を製造する方法によって得ることができる、WO−2004/096714によるナノ粒子。
【0074】
(6)加水分解可能なハロゲン化物含有チタン化合物を、少なくとも1種類のポリアルコールを含む反応混合物中で水と反応させることを含む方法で得られる、チタン含有酸化物粒子から完全か又は部分的に構成される、好ましくは25nm未満の寸法を有するナノ粒子。
【0075】
(7)第1の金属塩又は酸化物から形成されるコア、及び第2の金属塩又は酸化物から形成されるシェルを含み、非半導性を有し、好ましくはコア及びシェルの塩が、好ましくはリン酸塩、硫酸塩、又はフッ化物の中から選択される同じアニオンを有する、EP−1473347−A1による発光性ナノ粒子。
【0076】
(8)リン酸塩、硫酸塩、又はフッ化物の中から選択される発光性金属塩から形成されるコア、及びその電子励起の後のコアからナノ粒子の表面へのエネルギー移動を抑止又は減少させることができる金属塩又は酸化物から形成されるシェルを含む、EP−1473348−A1による発光性ナノ粒子。
【0077】
驚くべきことに、本発明によれば、用いる酸/塩基の組み合わせとナノ粒子の化学組成との間を特に適合させる必要はないことが見出された。しかしながら、本発明の一態様においては、処理するナノ粒子を構成するアニオン(コア/シェル粒子においてはシェルを構成するアニオン)に対応する多塩基酸を酸/塩基の組み合わせのために用いる。これによって、ナノ粒子の表面に関する酸/塩基の組み合わせの特に良好な親和性を達成することができると考えられる。例えば、その表面上にリン酸塩基を有するナノ粒子の表面処理の場合には、酸/塩基の組み合わせのための多塩基酸としてリン酸を用いることができる。これに対応して、ホウ酸塩を用いることによって製造されたナノ粒子の場合には、ホウ酸を用いることができる。同様に、ナノ粒子の合成中に金属硫酸塩を用いる場合においては、本発明の表面処理方法において硫酸を用いることができる。
【0078】
他の態様においては、酸/塩基の組み合わせは、ナノ粒子の合成において用いた成分(多塩基酸、これらの多塩基酸のアニオン、及び/又は窒素含有塩基)を含まない。この場合において、例えば硫酸塩ナノ粒子の場合においては、硫酸又は硫酸塩イオンを含まない酸/塩基の組み合わせを用いる(例えば、多塩基酸としてリン酸を用いる)。同様に、リン酸塩ナノ粒子の場合においては、リン酸又はリン酸塩を含まない酸/塩基の組み合わせを用いることができる(例えば、多塩基酸として硫酸を用いる)。
【0079】
また、本発明の表面処理方法は、いかなる粒子成長も起こらない条件下で行う。したがって、好ましくは、金属イオン(特に溶解形)は実質的に存在させず、特にナノ粒子中に(カチオンとして)も存在させない。
【0080】
ここで、実施例によって本発明の表面処理方法を説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0081】
溶液A:
9.8g(100ミリモル)の無水リン酸:HPOを40mLのジフェニルエーテルに加え、次に50mL(150ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0082】
溶液B:
9.8g(100ミリモル)の無水リン酸:HPOを80mLのジフェニルエーテルに加え、次に95mL(150ミリモル)のトリドデシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を200mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0083】
溶液C:
9.8g(50ミリモル)の無水ピロリン酸:Hを40mLのジフェニルエーテルに加え、次に50mL(150ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0084】
溶液D:
15.8g(100ミリモル)の無水フェニルホスホン酸:CPOを40mLのジフェニルエーテルに加え、次に50mL(150ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0085】
溶液E:
10.3g(50ミリモル)の1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸:Cを含む水溶液を40mLのジフェニルエーテルに加え、次に50mL(150ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、まずは水の大部分が留去されるまで50℃に加熱し、次に80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0086】
溶液F:
15g(50ミリモル)の無水アミノトリ(メチレンホスホン酸):C12NOを30mLのジフェニルエーテルに加え、次に50mL(150ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0087】
溶液G:
22g(50ミリモル)の無水エチレンジアミンテトラ(メチルホスホン酸):C2012を80mLのジフェニルエーテルに加え、次に67mL(200ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を200mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0088】
溶液H:
14g(50ミリモル)のベンゼン−1,3−ジスルホン酸ジナトリウム塩:CNaを100mLの水中に溶解し、次にDowex 50(H形)を充填したイオン交換カラムにゆっくりと通した。かくして得られた遊離形のベンゼン−1,3−ジスルホン酸の溶液に、次に50mLのジフェニルエーテル及び33mL(100ミリモル)のトリヘキシルアミンを加えた。混合物をロータリーエバポレーター上で負圧下に配置し、まずは水の大部分が留去されるまで50℃に加熱した。次に80℃にゆっくりと加熱した。明澄な溶液が得られ、これ以上水が発生しなくなったら直ぐに、加熱を停止した。冷却した後、ジフェニルエーテルを用いて溶液を100mLにし、閉止した容器内で保存した。
【0089】
(1)LaPO:Eu−ナノ粒子:
WO−02/20696−A1に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのLaPO:Eu−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Aに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0090】
(2)CePO:Tb−ナノ粒子:
WO−02/20696−A1に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのCePO:Tb−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び4mLの溶液Bに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0091】
(3)LaPO−Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子:
K. Kompe, H. Borchert, J. Storz, A. Lobo, S. Adams, T. Moller, M. Haase (2003), 70%の光ルミネセンス量子収量を有する緑発光CePO4:Tb/LaPO4コア/シェルナノ粒子(Green-Emitting CePO4:Tb/LaPO4 Core/Shell Nanoparticles with 70% Photoluminescence Quantum Yield), Angew. Chem. Int. Ed. 42:5513; Angew Chem. 115:5672に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのLaPO:Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Aに加え、次に明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0092】
(4)LaPO:Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子:
K. Kompe, H. Borchert, J. Storz, A. Lobo, S. Adams, T. Moller, M. Haase (2003), 70%の光ルミネセンス量子収量を有する緑発光CePO4:Tb/LaPO4コア/シェルナノ粒子(Green-Emitting CePO4:Tb/LaPO4 Core/Shell Nanoparticles with 70% Photoluminescence Quantum Yield), Angew. Chem. Int. Ed. 42:5513; Angew Chem. 115:5672に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのLaPO:Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Cに加え、次に明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0093】
(5)LaPO:Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子:
K. Kompe, H. Borchert, J. Storz, A. Lobo, S. Adams, T. Moller, M. Haase (2003), 70%の光ルミネセンス量子収量を有する緑発光CePO4:Tb/LaPO4コア/シェルナノ粒子(Green-Emitting CePO4:Tb/LaPO4 Core/Shell Nanoparticles with 70% Photoluminescence Quantum Yield), Angew. Chem. Int. Ed. 42:5513; Angew Chem. 115:5672に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのLaPO:Ce,Tb/LaPO−コア/シェルナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Dに加え、次に明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0094】
(6)LaPO:Ce,Nd/LaPO−コア/シェルナノ粒子:
K. Kompe, H. Borchert, J. Storz, A. Lobo, S. Adams, T. Moller, M. Haase (2003), 70%の光ルミネセンス量子収量を有する緑発光CePO4:Tb/LaPO4コア/シェルナノ粒子(Green-Emitting CePO4:Tb/LaPO4 Core/Shell Nanoparticles with 70% Photoluminescence Quantum Yield), Angew. Chem. Int. Ed. 42:5513; Angew Chem. 115:5672に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのLaPO:Ce,Nd/LaPO−コア/シェルナノ粒子を、19mLのクロロホルム及び1mLの溶液Aに加え、明澄な溶液が得られるまで一晩加熱した。
【0095】
(7)YVO:Eu−ナノ粒子:
WO−2004/096714に記載されている方法にしたがって製造した0.75gのYVO:Eu−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Aに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0096】
(8)GdP1−x:Eu−ナノ粒子:
WO−2004/096714に記載されている方法にしたがって製造した0.75gのGdP1−x:Eu−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Aに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0097】
(9)YP1−x:Eu−ナノ粒子:
WO−2004/096714に記載されている方法にしたがって製造した0.75gのYP1−x:Eu−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Bに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0098】
(10)NaYF:Yb,Er−ナノ粒子:
PCT/DE2000/003130に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのNaYF:Yb,Er−ナノ粒子を、20mLのジフェニルエーテル及び2mLの溶液Cに加え、明澄な溶液が得られるまで20mbarにおいて80℃に加熱した。
【0099】
(11)酢酸ブチル中のTiO−ナノ粒子:
PCT/EP2004/012376に記載されている方法にしたがって製造した1.0gのTiO−ナノ粒子を、50mLのメタノール及び3mLの溶液Aに加え、明澄な溶液が得られるまで常圧下で60℃に加熱した。溶液を50mLの酢酸ブチルと混合し、メタノールを注意深く留去した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成工程に続いて単離を行い、場合によっては単離の後に1回以上の洗浄工程にかけたナノ粒子の分散性を向上させるための表面処理方法であって、
(i)1種類以上の有機窒素含有塩基及び1種類以上の多塩基酸;又は
(ii)1種類以上の有機窒素含有塩基及び1種類以上の多塩基酸からの塩;又は
(iii)1種類以上の窒素含有塩基基及び1種類以上の多塩基酸基を分子内に有するベタイン;
によってナノ粒子を処理することを含む上記方法。
【請求項2】
(i)塩基及び酸、又は(ii)それらの塩、又は(iii)ベタインによる処理において溶媒を用いる、請求項1に記載の表面処理方法。
【請求項3】
処理温度が30℃〜100℃の範囲である、請求項1又は2に記載の表面処理方法。
【請求項4】
(i)又は(ii)の場合には酸に対する塩基のモル比(塩基/酸)、或いは(iii)の場合には塩基基/多塩基酸基のモル比が1〜5の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項5】
(i)又は(ii)の場合には酸に対する塩基のモル比(塩基/酸)、或いは(iii)の場合には塩基基/多塩基酸基のモル比が1〜2の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項6】
窒素含有塩基が2〜30個の範囲の炭素原子を有する、請求項1〜5のいずれかの(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項7】
塩基が、式:NHR、NHRR’、又はNRR’R”(式中、R、R’、及びR”は、場合によっては置換されていてよく、それぞれ3〜14個の範囲の炭素原子を有する有機炭化水素基である)にしたがう第1級、第2級、又は第3級アミンである、請求項6の(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項8】
塩基が3〜30個の範囲の炭素原子を有する芳香族窒素含有塩基である、請求項1〜6のいずれかの(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項9】
塩基が2〜30個の炭素原子を有する脂環式窒素含有塩基である、請求項1〜6のいずれかの(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項10】
(i)又は(ii)の場合には多塩基酸、又は(iii)の場合には多塩基酸基が、リン含有及びイオウ含有酸若しくは酸基の中から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項11】
酸が、リン酸、二リン酸、ポリリン酸、有機ホスホン酸、有機二ホスホン酸、有機ポリホスホン酸、リン酸モノエステル、少なくとも2つのホスホン酸エステル基を有するホスホン酸モノエステル、硫酸、亜硫酸、スルホン酸、少なくとも2つの硫酸モノエステル基を有する硫酸モノエステル、及び少なくとも2つのスルホン酸モノエステル基を有するスルホン酸モノエステルの中から選択される、請求項10の(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項12】
多塩基酸が、場合によっては1以上のヒドロキシル、アミノ、又はカルボン酸、若しくはシアノ官能基を有する1以上の有機基を有する、請求項10又は11の(i)又は(ii)の場合の表面処理方法。
【請求項13】
(i)又は(ii)の場合は用いる塩基の少なくとも1種類、或いは(iii)の場合には存在する窒素含有塩基基の1つが、用いる酸の少なくとも1つからプロトンを除去するためにアルカリ性を有する(pK(塩基)≦pKS1(酸))、請求項1〜12のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項14】
処理中に金属イオンを実質的に存在させない、請求項1〜13のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の表面処理方法を用いて得ることができるナノ粒子。
【請求項16】
溶媒、及び請求項15に記載のナノ粒子を含むナノ粒子分散液。
【請求項17】
保安用印刷インクなどのインクの製造におけるか、金属又は非金属基材の表面変性におけるか、リン光性若しくは蛍光性材料としてか、生体分子用のマーカーとしてか、ポリマー充填材としてか、又はX線造影剤としての、請求項15に記載のナノ粒子又は請求項16に記載のナノ粒子分散液の使用。

【公表番号】特表2010−513639(P2010−513639A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542069(P2009−542069)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064345
【国際公開番号】WO2008/074869
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(506370685)ツェントラム・フューア・アンゲヴァンテ・ナノテヒノロギー(ツェーアーエン)ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】