説明

ナノ粒子組成物およびその製法並びに使用法

固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含む組成物を開示する。また、層状に形成された材料を含むナノ粒子をも開示する。層状に形成された材料を微粉砕することにより、ナノ粒子を製造する方法を提供する。また、潤滑剤の製造方法をも開示し、該方法は、層状に形成された材料を微粉砕して、ナノ粒子を形成する工程、および該ナノ粒子を基剤に配合して、潤滑剤を形成する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互引照
本件特許出願は、2006年1月12日付で出願された、米国仮特許出願第60/758,307号に基く優先権を請求するものである。
【0002】
米連邦政府の後援による研究または開発である旨の陳述
本件特許出願の趣旨達成に係る努力は、部分的にザナショナルサイエンスファウンデーション(The National Science Foundation)からの承諾(NSF/DMI 0115532)によって支援されたものであった。該政府は、本件特許出願から発生するあらゆる特許において、幾分かの権利を持つことができる。
【0003】
背景技術
長年に渡り、潤滑剤、被覆、または送出メカニズム(delivery mechanism)として使用できる、ナノ粒子の開発のために、かなりの努力がはらわれてきた。ナノ粒子組成物を改善する新たな方法、その製造方法、並びにその使用法が、探し求められている。
【0004】
発明の概要
一局面においては、組成物が記載され、該組成物は、固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含有する。
【0005】
もう一つの局面においては、層状に形成された材料(layered material)を含む、ナノ粒子が開示される。
【0006】
更なる局面においては、層状に形成された材料を微粉砕(mill)する工程を含む、ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0007】
更に別の局面においては、潤滑剤の製造方法を開示し、ここで、該方法は、層状に形成された材料を微粉砕して、ナノ粒子を形成する工程、および該ナノ粒子を基剤中に配合して、潤滑剤を生成する工程を含む。
【0008】
本発明のその他の局面は、以下の詳細な説明および添付図面を考察することにより、明らかになるであろう。
【0009】
詳細な説明
あらゆる態様を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の説明において示される、あるいは以下の図面において例示される成分、部材の構成および配列の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。本発明では、その他の態様も可能であり、また本発明は、様々な方法で実施し、あるいは実行することができる。また、本明細書で使用する語法並びに述語は、説明のためのものであり、本発明の限定を意味するものではないと理解すべきである。
【0010】
本明細書に列挙するあらゆる数値範囲は、下限値から上限値までの全ての値を含むものである。例えば、濃度範囲が、1%〜50%なる範囲として述べられた場合、2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%なる範囲等の値が、本明細書において明確に列挙されているものとする。具体的に数値が意図されているのは実施例においてのみであり、また列挙された下限値と上限値とを含む、これらの間にある数値のあらゆる可能な組合せが、本出願明細書中に、明確に述べられているものと考えるべきである。
【0011】
本明細書においては、固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含む組成物および該組成物の製造方法を記載する。また、層状に形成された材料を含むナノ粒子をも記載する。該ナノ粒子は、固体潤滑剤ナノ粒子であり得る。該ナノ粒子は、出発物質または固体潤滑剤出発物質から製造できる。固体潤滑剤の例は、層状に形成された材料、適当なカルコゲナイド、より相応しくはモリブデンジスルフィド、タングステンジスルフィド、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。別の適当な層状に形成された材料は、グラファイトまたは挿入(intercalated)グラファイトである。単独でまたは該層状に形成された材料との組合せで使用できる、他の固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(TeflonTM))、窒化ホウ素(適当には、六方晶系窒化ホウ素)、軟質金属(例えば、銀、鉛、ニッケル、銅)、フッ化セリウム、酸化亜鉛、硫酸銀、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、フッ化バリウム、硫化錫、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、硝酸ホウ素、ホウ砂、フッ化炭素、リン化亜鉛、ホウ素、またはこれらの組合せである。フッ化炭素は、限定するものではないが、炭素を主成分(carbon-based)とする材料、例えば審美的な特性を改善するためにフッ素化されている、グラファイトであり得る。このような材料は、例えばCFx(ここで、xは約0.05〜約1.2なる範囲の値である)等の材料を含む。このような材料は、アクフルオール(Accufluor)なる商品名の下で、アライドケミカル(Allied Chemical)社により製造されている。
【0012】
該方法は、固体潤滑剤供給材料を微粉砕する工程を含むことができる。一態様において、該固体潤滑剤供給材料は、約500nm(サブミクロンサイズ)〜約10nmなる範囲の平均の寸法を持つ粒子に、微粉砕することができる。適当には、該粒子は、約500nmまたはそれ未満、適当には約100nmまたはそれ未満、適当には約80nmまたはそれ未満、およびより適当には約50nmまたはそれ未満の平均の粒子寸法を持つ。あるいはまた、該ボールミル微粉砕は、混合物を含む微粉化固体潤滑剤粒子を与えることができ、該混合物は、約500nmまたはそれ未満の平均の粒子寸法を持つ粒子と、より大きな粒子とを含む。微粉砕は、特にボールミル微粉砕処理および化学機械的微粉砕処理を含むことができる。ボールミル微粉砕処理の例は、乾式ボールミル微粉砕、湿式ボールミル微粉砕、およびこれらの組み合わせを含むことができる。ボールミル微粉砕処理は、2種の相互作用する物体を含むことができる、打撃粉砕方法を意味するものであり得、そこでは、一方の物体はボール、ロッド、4-点ピン(ジャック形状)、または他の形状のものであり得る。化学機械的微粉砕処理は、有機媒体とナノ粒子との間に複合体を形成し得る、打撃粉砕方法を意味するものであり得る。化学機械的微粉砕処理の結果として、該有機媒体は、該ナノ粒子を被覆し、カプセル化し、またはその挿入体を形成し得る。
【0013】
もう一つの態様においては、該固体潤滑剤供給材料を、乾式微粉砕処理し、次いで湿式微粉砕処理することができる。乳化剤を基剤と混合し、得られる混合物を、該湿式微粉砕した粒子に添加することができる。乾式微粉砕は、真空、ガスまたはこれらの組み合わせの存在下で、微粉砕されている粒子を意味するものであり得る。湿式微粉砕は、液体の存在下で微粉砕されている粒子を意味するものであり得る。
【0014】
該固体潤滑剤ナノ粒子の組成物は、更に有機媒体を含むことも可能である。有機媒体の例は、オイル系媒体、グリース系媒体、アルコール系媒体、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。有機媒体の具体的な例は、複合オイル、カノーラ(canola)オイル、植物油、大豆油、コーン油、菜種油のエチルおよびメチルエステル、蒸留モノグリセライド、モノグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの酢酸エステル、モノグリセライドの有機酸エステル、ソルビタン、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、n-ヘキサデカン、炭化水素油、リン脂質、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。これら有機媒体の多くが、環境上の観点から許容され得るものである。
【0015】
該組成物は、乳化剤、界面活性剤、または分散剤を含むことができる。乳化剤の例は、約2〜約7なる範囲の親水-親油バランス値(HLB)、あるいはまた約3〜約5なる範囲のHLB、または約4なるHLBを持つ乳化剤を含むが、これらに限定されない。乳化剤の他の例は、レシチン、大豆レシチン、リン脂質レシチン、洗浄剤、蒸留モノグリセライド、モノグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの酢酸エステル、モノグリセライドの有機酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、リン含有化合物、硫黄含有化合物、窒素含有化合物、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0016】
次に、潤滑剤の製造方法を説明する。該組成物は、基剤中に分散される添加剤として使用できる。基剤の例としては、オイル、グリース、プラスチック、ゲル、スプレイ、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。基剤の具体的な例は、炭化水素油、植物油、コーン油、ピーナッツ油、カノーラオイル、大豆油、鉱油、パラフィンオイル、合成油、石油ゲル、石油グリース、炭化水素ゲル、炭化水素グリース、リチウムを主成分(lithium based)とするグリース、フルオロエーテルを主成分(fluoroether based)とするグリース、エチレンビステアラミド、ワックス、シリコーン、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0017】
最終用途の部品である、ある物体を、少なくとも1種の固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含む組成物で、潤滑または被覆する方法を、ここに記載する。更に、送出しメカニズムとして、固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含む該組成物を用いることにより、ある物体を潤滑する方法をもここに記載する。
【0018】
様々な利点の中でも、特に、高い分散安定性および耐凝集性を示す、ナノ粒子を主成分(nanoparticle based)とする潤滑剤を調製するための組成物およびその製法を、ここに記載する。図1は、ナノ粒子を主成分とする潤滑剤または組成物の製法を示す。固体潤滑剤供給材料を、ライン210を介してボールミル処理装置215に導入する。ボールミル微粉砕は、ボールミル処理装置215内で行われ、また該固体潤滑剤供給材料は、約500nmまたはそれ未満、適当には約100nmまたはそれ未満、適当には約80nmまたはそれ未満、より適当には約50nmまたはそれ未満の平均粒子寸法を持つ粒子を構成するように、微粉砕される。あるいはまた、該ボールミル微粉砕は、混合物を含む、微粉砕固体潤滑剤粒子を与えることができ、該混合物は、約500nmまたはそれ未満の平均粒子寸法を持つ粒子と、より大きな粒子とを含む。該ボールミル微粉砕は、高エネルギーボールミル微粉砕、中エネルギー(medium energy)ボールミル微粉砕、またはこれらの組み合わせであり得る。更に、様々な態様において、該ボールミル微粉砕は、真空条件下で、ガスの存在下で、液体の存在下で、第二の固体の存在下で、あるいはこれらの組み合わせの下で実施することができる。該ナノ粒子組成物は、ライン220を介して、該処理装置から取り出すことができる。該ナノ粒子組成物は、ナノ粒子を主成分とする潤滑剤であり得る。
【0019】
もう一つの態様において、該ボールミル微粉砕は、第一のボールミル微粉砕および少なくとも一回の、更なるこれに続くボールミル微粉砕、またはボールミル微粉砕および/または他の適当と思われる処理を含むことができる。適当には、該ボールミル微粉砕は、乾式微粉砕、およびこれに続く湿式微粉砕処理を含むことができる。図2は、ナノ粒子を主成分とする潤滑剤の更なる製法を示し、ここでは、乾式微粉砕に引続き、湿式微粉砕される。フィード110は、ボールミル処理装置115に、固体潤滑剤供給材料を導入し、ここで、該処理装置においては、乾式ボールミル微粉砕、例えば真空または空気中での微粉砕は、該固体潤滑剤供給材料を、上記サイズの平均寸法を持つ粒子まで微細化する。ライン120は、該乾式微粉砕された粒子を、湿式微粉砕処理装置125に搬送する。ライン160を介して、該乾式微粉砕された粒子は、該湿式微粉砕処理装置125に入る前に、複合オイルまたは有機媒体と併合される。あるいはまた、該有機媒体および乾式微粉砕された粒子は、該湿式微粉砕処理装置125において、併合することができる。更に別の態様(図示せず)において、該乾式微粉砕および湿式微粉砕処理は、単一の処理装置内で行うことができ、そこでは、初めに乾式微粉砕処理を行い、次いで湿式処理するために、該有機媒体は該単一の処理装置に供給される。更に別の態様においては、該ボールミル処理装置内のボールを該有機媒体で被覆して、該固体潤滑剤ナノ粒子内に、該有機媒体を配合することができる。
【0020】
湿式微粉砕後、ライン130は、該湿式微粉砕された粒子を、容器135に搬送するが、該容器は超音波処理デバイスであり得る。あるいはまた、該ライン130は、固体潤滑剤ナノ粒子、有機媒体、および有機媒体と結合した該固体潤滑剤ナノ粒子を含む複合体を含有する混合物を搬送することができる。
【0021】
他の態様においては、該湿式微粉砕処理した粒子を該容器135に導入する前に、基剤を、ライン150を介して該容器135に供給することができる。あるいはまた、該基剤を該湿式微粉砕処理装置125に供給し、また超音波処理を含むことができる、該混合処理を、該湿式微粉砕処理装置125において実施することも可能である。このような態様では、該固体潤滑剤ナノ粒子組成物を添加剤として使用し、また該基剤中に分散させることができる。基剤は、該基剤と固体潤滑剤ナノ粒子組成物とを、適切に混合する、その能力に従って、該固体潤滑剤ナノ粒子組成物と配合することができる。このような場合において、該固体潤滑剤ナノ粒子組成物は、該基剤の性能を高めることができる。
【0022】
更なる態様においては、乳化剤を該基剤と混合することができる。乳化剤は、更に該基剤に対する、該固体潤滑剤ナノ粒子組成物の分散性を高めることができる。該乳化剤は、基剤中でのナノ粒子組成物の分散安定性を高めるように選択することができる。乳化剤は、またライン140を介して、該容器135に供給することも可能である。多くの態様において、該乳化剤および基剤は、該湿式微粉砕された粒子の導入に先立って、該容器135内で併合される。該乳化剤と該基剤との予備混合は、固体潤滑剤ナノ粒子と有機媒体との複合体および/または固体潤滑剤ナノ粒子を添加する際に、該複合体/ナノ粒子を均一に分散/溶解することにより、分散性を高めることができる。幾つかの態様において、該乳化剤と該基剤との該混合は、超音波処理を含むことができる。あるいはまた、該乳化剤を、該湿式微粉砕処理装置125に供給し、また超音波処理を含むことができる該混合処理を、該湿式微粉砕処理装置125内で実施することができる。ライン120を介して該容器135から取出された該潤滑剤は、該湿式微粉砕された粒子、有機媒体、および基剤を含むブレンドであり得る。該ブレンドは、更に乳化剤を含むことができる。更に別の態様では、合せ面との相互作用中に、該ナノ粒子を主成分とする潤滑剤に、添加剤を加えることができる。
【0023】
更なる態様においては、酸化防止剤または錆止め剤を、該固体潤滑剤ナノ粒子と共に微粉砕することができる。酸化防止剤の例は、ヒンダードフェノール、アルキル化フェノール、アルキルアミン、アリールアミン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4,4'-ジ-t-オクチルジフェニルアミン、t-ブチルヒドロキノン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ホスフィット、チオエステル、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。錆止め剤の例は、アルカリ土類金属ビスアルキルフェノールスルホネート、ジチオホスフェート、アルケニル琥珀酸半-アミド、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。もう一つの態様において、殺生物剤を、該固体潤滑剤ナノ粒子と共に微粉砕することができる。殺生物剤の例は、アルキルまたはキドロキシルアミン(kydroxylamine)ベンゾトリアゾール、アルキル、アルケニル琥珀酸の部分アルキルエステルのアミン塩、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0024】
更に他の態様において、湿式微粉砕粒子の更なる処理は、該固体潤滑剤粒子との複合体の一部ではない、オイルの除去工程を含むことができる。このような方法は、固体潤滑剤の乾式粒子の使用に起因する利益を持つ用途、例えば被覆用途に適したものであり得る。オイルおよび/または他の液体を、湿式微粉砕粒子から除去して、実質的な乾燥固体潤滑剤粒子および複合体を製造することができる。乾燥を伴う、このような湿式微粉砕処理は、凝集傾向の低い固体潤滑剤の製造を可能とする。特定の態様においては、複合体の一部ではないオイルを溶解する、アセトン等の試薬を添加し、引続き極端に厳密な乾燥等の乾燥工程を行って、有機媒体中で微粉砕することにより処理した粒子を含む、実質的に乾燥状態にある固体潤滑剤の製造を可能とする。
【0025】
ボールミル微粉砕の条件は、変更することができ、また特に温度、微粉砕時間、および該ボールおよびバイアルのサイズおよび材質等の条件を、巧みに処理することができる。様々な態様において、ボールミル処理は、約12時間〜約50時間、相応しくは約36時間〜約50時間、適当には約40時間〜約50時間、およびより適当には約48時間行うことができる。適当には、ボールミル処理は、室温にて行う。微粉砕期間を増大した結果得られる利益は、該有機媒体と固体潤滑剤ナノ粒子との相互作用期間の増大、およびより微細な径、良好な収率でのナノ粒子の生成、より均一な形状、およびより高い不動態状態にある表面の形成等の、少なくとも一つを含むことができる。上記微粉砕処理を実施するのに適した、ボールミル処理装置の一例は、焼入れステンレススチール製バイアルおよび焼入れステンレススチール製粉砕ボールを備えた、スペックスサーチプレップ(SUPEX CertiPrep)モデル8000Dを含むが、任意の型のボールミル装置を使用することができる。一態様において、600-650MPaなる範囲の応力、14.9Nなる負荷、および10-3-10-4/secなる範囲の歪を使用することができる。
【0026】
ナノ粒子を主成分とする潤滑剤中の成分の割合は、該潤滑剤の性能、例えば該潤滑剤の分散安定性、および凝集に対する抵抗性等に寄与することができる。湿式微粉砕において、固体潤滑剤ナノ粒子対有機媒体の適当な比は、質量基準で、約1部の粒子対約4部の有機媒体なる比、適当には質量基準で、約1部の粒子対約3部の有機媒体なる比、適当には質量基準で、約3部の粒子対約8部の有機媒体なる比、適当には質量基準で、約2部の粒子対約4部の有機媒体なる比、適当には質量基準で、約1部の粒子対約2部の有機媒体なる比、および適当には質量基準で、約1部の粒子対約1.5部の有機媒体なる比であり得る。
【0027】
該固体潤滑剤ナノ粒子を含有する潤滑剤中の、有機媒体対乳化剤の適当な比は、質量基準で、約1部の有機媒体対約1部またはそれ未満の乳化剤なる比、適当には質量基準で、約1部の有機媒体対約0.5部の乳化剤なる比、あるいは適当には質量基準で、約1部の有機媒体に対して約0.4〜約1部の乳化剤なる比率であり得る。
【0028】
該基剤中で超音波処理され、またはそこに分散された、固体潤滑剤ナノ粒子組成物の量(質量基準)は、約0.25%〜約5%なる範囲、適当には0.5%〜約3%なる範囲、適当には0.5%〜約2%なる範囲、およびより適当には0.75%〜約2%なる範囲内であり得る。
【0029】
最終用途、保存寿命等に依存して、該基剤中で超音波処理され、あるいはそこに分散された、乳化剤の量(質量基準)は、約0.5%〜約10%なる範囲、適当には約4%〜約8%なる範囲、適当には約5%〜約6%なる範囲、および適当には約0.75%〜約2.25%なる範囲内であり得る。
【0030】
該固体潤滑剤ナノ粒子組成物は、制限無しに、潤滑剤、被覆、送出し(放出)メカニズムまたはこれらの組合せとして使用することができる。該固体潤滑剤ナノ粒子組成物は、制限無しに、基油に分散させる添加剤として使用することができる。該組成物は、同様に制限無しに、境界潤滑レジーム(regime)を潤滑するためにも使用できる。境界潤滑レジームは、平均の油膜厚が、該複合体の表面粗さよりも小さい可能性があり、またその表面隆起部の相対的な運動の下で、相互に接触することとなる可能性がある、潤滑レジームであり得る。様々な用途における、2つの表面と潤滑剤との相対的な運動中に、3つの異なる潤滑段階が起る可能性があり、また該境界潤滑レジームは、温度、圧力および速度に関して、最も過酷な状態であり得る。合せ面は、大きな荷重、低い速度、極圧(例えば、1-2GPa)、および高い局所温度(例えば、150-300℃)という過酷な接触状態に暴露される恐れがある。該境界潤滑レジームは、またより低い圧力および低摺動速度または高い温度条件下でも存在し得る。該境界潤滑レジームにおいて、該合せ面は、直接的な物理的接触状態にあってもよい。更に、該組成物は、制限無しに、機器用途、製造用途、鉱業的用途、航空宇宙学的用途、自動車用途、薬学的用途、医学的用途、歯科学的用途、化粧学的用途、食物製品用途、栄養学的用途、健康関連用途、バイオ燃料用途、またはこれらの組合せにおける潤滑剤または被覆として使用することができる。最終的な応用における用途の具体的な例は、制限無しに、機械器具、軸受、ギア、カムシャフト、ポンプ、トランスミッション、ピストンリング、エンジン、発電機、ピン-ジョイント、航空宇宙学的システム、採掘装置、製造装置、またはこれらの組合せを含む。用途の更なる具体的な例は、制限無しに、潤滑剤、グリース、ゲル、配合プラスチック部品、ペースト、粉末、エマルション、分散物、またはこれらの組合せであり得る。該組成物は、また薬学的用途、医学的用途、歯科学的用途、化粧学的用途、食物製品用途、栄養学的用途、健康関連用途、バイオ燃料用途、またはこれらの組合せにおける、放出メカニズムとして、該固体潤滑剤ナノ粒子組成物を使用する、潤滑剤として使用することもできる。これら様々な組成物および方法は、また制限無しに、ハイブリッド無機-有機資材において使用することもできる。無機-有機資材を用いる用途の例は、光学、エレクトロニクス、イオニックス(ionics)、メカニックス、エネルギー、環境、生物学、医薬、知能(smart)膜、分離デバイス、機能性知能被膜、光起電力電池および燃料電池、光触媒、ニュー(new)触媒、センサ、知能マイクロエレクトロニクス、マイクロ-オプティカルおよびフォトニック部品およびナノフォトニックス用のシステム、革新的化粧料、活性分子のターゲティング、撮像、これを用いた治療、およびその制御放出を組合わせた、インテリジェント治療媒介体(vector)、および自動車または包装産業用の、ナノセラミック-ポリマー複合体を包含するが、これらに限定されない。
【0031】
幾つかの態様において、該ボールミル処理工程は、独立ケージ型の高密な、卵形形状を持つ構成体(architecture)(フットボール型またはフラーレン型の構成体に類似)を生成することができる。これは、モリブデンジスルフィドを、ガスまたは真空中で微粉砕した際に起り得る。図7(A)は、空気中で48時間、ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドナノ粒子の独立ケージ型の高密な、卵形形状を持つ構成体を示す。
【0032】
他の態様において、該ボールミル処理工程は、有機媒体およびリン脂質が挿入され、かつ封入された、モリブデンジスルフィドナノ粒子の、開放末端を持つ、卵形形状の構成体(ココナッツ形状に類似)を生成し得る。これは、モリブデンジスルフィドを、ガスまたは真空中で微粉砕し、次いで有機媒体中で微粉砕した際に起り得る。図7(B)は、空気中で48時間、ボールミル微粉砕され、次いで48時間カノーラ油中で微粉砕されている、モリブデンジスルフィドナノ粒子の、開放末端を持つ、卵形形状の構成体を示す。
【0033】
実施例において示すように、該ナノ粒子を主成分とする潤滑剤の摩擦学的性能を、改善することができる。該摩擦学的性能は、様々な特性を評価することによって測定することができる。耐磨耗特性は、工業的標準のフォーボールウエアテスト(Four-Ball Wear Test)(ASTM D4172)を利用して測定されている、潤滑流体特性の一つであり得る。このフォーボールウエアテストは、加圧条件下および摺動運動条件下にあるオイルによってもたらされる、防護能を評価することを可能とする。テスト潤滑剤の浴中に配置された、3個の固定されたスチールボールを、予め設定したテスト条件にて、回転接触状態にある、同一のグレードの4つのボールと、接触状態に置くことができる。潤滑剤の磨耗保護特性は、該3個の固定ボール上の平均磨耗痕を、比較することにより測定できる。該平均磨耗痕が少ないほど、該潤滑剤の保護性能は良好である。極圧特性は、工業的標準のフォーボールウエアテスト(Four-Ball Wear Test)(ASTM D2783)を利用して測定されている、潤滑流体特性であり得る。以下の2つの測定を行うことができる:1) 負荷-磨耗指数(以前のミーン-ヘルツ(Mean-Hertz)負荷)および2) 融着負荷(weld load)(kg)。該負荷-磨耗指数は、潤滑剤の負荷-担持特性であり得る。これは、印加された負荷において、磨耗を最小にする、潤滑剤の能力の指数であり得る。該融着負荷は、該回転中のボールが、該3個の静止ボールに融着する時点における、キログラム単位で表した、最低の適用された負荷であり得、これは、該潤滑剤が耐え得る極圧レベルを示す。該融着点のスコアおよび負荷磨耗指数が高いほど、潤滑剤の耐摩耗性および極圧特性は良好である。摩擦係数(COF)は、工業的標準のフォーボールウエアテスト(ASTM D4172)を利用して測定されている、潤滑流体特性の一つであり得る。COFは、2つの物体間の摩擦力対これらを一緒に加圧している圧力の比を表す、無次元のスカラー値であり得る。該摩擦係数は、使用する該材料に依存する可能性がある。例えば、金属上の氷は、低いCOFを有し、一方舗道上のゴムは、高いCOFを持つ。摩擦を減じるための通常の方法は、潤滑剤、例えばオイルまたは水を使用することであり得、該潤滑剤は、2つの表面間に置かれ、しばしば該COFを劇的に減じる。
【0034】
該組成物は、約0.4mm〜約0.5mmなる範囲の磨耗痕径を持つことができる。該組成物は、約0.06〜約0.08なる範囲のCOFを持つことができる。該組成物は、約150kg〜約350kgなる範囲の融着負荷を持つ可能性がある。該組成物は、約20〜約40なる範囲の負荷磨耗指数を持つことができる。これらの潤滑工学的特性の値は、該基剤中で超音波処理され、またはそこに溶解された固体潤滑剤ナノ粒子組成物の量に応じて、変化してもよい。
【0035】
本発明の様々な特徴および局面を、以下の実施例に示す。該実施例は本発明を例示するものであって、これを限定するものではない。
実施例
実施例1
ボールミル微粉砕を、焼入れステンレススチール製バイアルおよびボールを用いて、スペックス(SUPEX) 8000D装置内で行った。MoS2(アルファエーサー(Alfa Aesar)製、純度:98%;平均粒径:700nm)およびカノーラオイル(クリスコ(Crisco)製)を、1部のMoS2(10g)対2部(20g)のカノーラオイルなる比で、出発物質として使用した。ボール対粉末比は、2:1であった。換言すれば、該容器内のボールの質量は、2質量%であり、また該MoS2サンプルの質量は、1質量%であった。MoS2は、空気中で48時間ボールミル微粉砕処理し、次いでカノーラオイル中で、室温にて48時間、微粉砕処理した。得られたナノ粒子は、ボールミル微粉砕処理後、約50nmなる粒径のものであった。以下の表1に、微粉砕処理条件および得られた粒子の形態をまとめた。該ボールミル微粉砕されたナノ粒子の形状に及ぼす、微粉砕用媒体の強力な効果の存在が観測された。乾式微粉砕は、該粒子サイズが、ミクロンサイズからナノメータサイズに減じられた際に、面の挫屈および折畳みを示した。しかし、ここで使用した該乾式微粉砕条件は、数個のナノ粒子を埋設した微細クラスタを生成した。他方で、湿式微粉砕は、挫屈を示さなかったが、解凝集を示した。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
図3は、得られたままの(700nm)、空気中で微粉砕した、およびハイブリッド微粉砕(空気媒体中で48時間、次いでオイル媒体中で48時間)したMoS2ナノ粒子の、TEM顕微鏡写真を示す。図3(A)は、実施された、該得られたままのMoS2サンプルの、ミクロンサイズの粒子チャンクを示す。これらの顕微鏡写真、特に図3(B)は、該空気媒体中で微粉砕した際の、潤滑剤ナノ粒子の凝集塊を示す。図3(B)は、空気媒体中で微粉砕されたMoS2におけるサイズの減少を明確に立証している。より高い倍率(円形領域)は、該空気媒体中での微粉砕後の、ディスク形状のナノ粒子の形成を明らかにした。図3(C)および(D)から、該粒径は、空気媒体中で微粉砕およびハイブリッド条件下で微粉砕した後に、30nm未満に減じられるものと結論付けることができる。時として観測されるクラスタとは無関係に、該クラスタの平均サイズは、200nmまたはそれ未満である。
【0039】
ハイブリッド微粉砕したサンプルは、パラフィン油(ウォルマート(Walmart)から入手)中に分散させたが、沈降することなしに、懸濁状態を維持した。しかし、この分散物は、数週間後には均質ではなかった。該分散物を安定化し、かつ耐磨耗特性を延長するために、リン脂質を添加した。約2質量%の大豆レシチンリン脂質(アメリカンレシチン(American Lecithin)から入手)を、該基剤オイルに添加した。
【0040】
図4および5は、夫々、ボールミル微粉砕前後の、MoS2のXRDおよびXPSスペクトルを示す。XRDスペクトルは、微粉砕後の該MoS2における、如何なる相変化並びに検知可能な無定形化を示さなかった。この観測は、微粉砕された材料に関するTEM分析において、該ナノ粒子マトリックス全体に渡り観測された、連続的な小板(platelet)と一致している。ピークのブロード化(FWHM)は、夫々空気媒体中およびハイブリッド媒体中でボールミル微粉砕された、MoS2のXRDスペクトルにおいて観測された。このピークのブロード化は、粒径における減少に起因するものであり得る。見積もられたその粒径は、6nmである。このことは、ボールミル微粉砕の主題に従うものであり、ここでクラスタは、10nm程度の粒子および準-粒子からなっている。XPS分析を実施して、得られたままの、およびハイブリッド微粉砕したMoS2ナノ粒子に関する表面化学を検討した。図3に示したように、該MoS2サンプルにおける、285eVにて観測される炭素(C)のピークは、286.7eVにシフトした。286eVおよび287.8eVなる結合エネルギーは、夫々C-OおよびC=O結合の形成に相当する。該観測された結合エネルギーレベルは、混合状態にあるC-OおよびC=O鎖を含む薄い層が、該MoS2粒子を包み込んでいることを立証しているものと思われる。
【0041】
合成されたナノ粒子に関する、予備的な潤滑工学的なテストを、ASTM D4172に従って、フォーボール装置で行った。使用したボールは、AISI 52100ステンレススチール製であり、また高度に研磨したものであった。ASTM D4172に従って、フォーボールウエアスカー(Four Ball Wear Scar)測定を、以下のようなテスト条件下で行った:
【0042】
【表3】

【0043】
各静止ボールのウエアスカー(磨耗痕)径(WSD、mm)を、垂直並びに水平方向両者において定量化した。3回の独立なテストから求めたWSDの平均値は、±0.03mmなる精度の範囲内であることが報告された。
【0044】
ASTM D2783を利用した、フォーボール極圧測定を、以下の表に示す条件下で行った:
【0045】
【表4】

【0046】
3個の異なる粒子(w/w比で)を、パラフィンオイル中の添加剤としての、これらの対磨耗特性につき評価した。図6(A)は、ナノ粒子添加なしの、パラフィンオイル、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気媒体中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイル、および空気媒体中で48時間微粉砕し、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイルに関する、平均ウエアスカー(磨耗痕)測定値を示す。図6(B)は、ナノ粒子添加なしの、パラフィンオイル、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気媒体中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイル、および空気媒体中で48時間微粉砕し、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイルに関する、負荷磨耗指数を示す。図6(C)は、ナノ粒子添加なしの、パラフィンオイル、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気媒体中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイル、および空気媒体中で48時間微粉砕し、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイルに関する、COFを示す。図6(D)は、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気媒体中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイル、および空気媒体中で48時間微粉砕し、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕したMoS2を含むパラフィンオイルに関する、極圧データを示す。各テストにおいて、該ナノ粒子添加剤は、1質量%なる量で存在した。
【0047】
基剤オイル中のナノ粒子組成物添加剤からのテストデータ
【表5】

【0048】
エネルギー分散x-線解析(EDS)を利用して研究した、該磨耗痕における転写フィルムは、モリブデンおよび硫黄に加えて、リン酸塩の特徴を同定した。図9(a)は、ナノ粒子添加物を含まないパラフィンオイルの基本的な場合を描写したものである。図9(b)は、モリブデンジスルフィドナノ粒子および乳化剤を含むパラフィンオイルを描写したものである。これは、該磨耗跡におけるモリブデン(Mo)-硫黄(S)-リン(P)存在の初期の証拠を示す。鉄(Fe)が図9(a)および9(b)に見られるが、これは、該フォー-ボールテストにおける該ボール(52100スチール)の材料であるからである。該モリブデンおよび硫黄のピークは、一致しており、識別不可能である。というのは、これらが同一の結合エネルギーを持つからである。元素マッピングも、同様な結果を示した。
予言的実施例:
【0049】
実施例2-23は、特に述べない限り、実施例1と同様な方法を用いて行う。
実施例2
【0050】
MoS2(アルファエーサー(Alfa Aesar)製、純度:98%;平均粒径:700nm)およびADMから入手したカノーラオイルを、出発物質として使用する。該MoS2粉末を、様々な時間条件、変動するボール/粉末比、および様々な周囲条件下で、空気媒体、カノーラオイル媒体条件にて開始し、およびその後の空気媒体、次いでカノーラオイル媒体中での微粉砕の組合せにより、ボールミル微粉砕する。また、該粉末を、様々な型の有機媒体中でも微粉砕する。例えば、使用する一つの有機媒体は、カノーラオイルメチルエステルである。この粉末の該加工は、上記実施例と同一である。
【0051】
様々な型のボールミル微粉砕を利用することができる。例えば、第一段階において、空気中での低温ボールミル微粉砕、これに続く有機媒体中での高温ボールミル微粉砕を利用する。
【0052】
該ボールミル微粉砕後、得られる該活性EP-EA(極圧-環境上許容される)粒子を、パラフィンオイル等の基剤オイルと混合されている、リン脂質で処理する。
実施例3
【0053】
モリブデンジスルフィドを、1部のホウ素に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比を用いて、ホウ素と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例4
【0054】
モリブデンジスルフィドを、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比を用いて、銅と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-銅-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例5
【0055】
1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/グラファイト(アルファエーサー(Alfa Aesar)社から得た)混合物を、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-グラファイト-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例6
【0056】
1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/窒化ホウ素(アルファエーサー(Alfa Aesar)社から得た)混合物を、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-窒化ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例7
【0057】
1:1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/グラファイト/窒化ホウ素混合物を、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-グラファイト-窒化ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例8
【0058】
1:1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/グラファイト混合物を、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-グラファイト-ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例9
【0059】
1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/グラファイト混合物を、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィド/グラファイトなる比にて、銅と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-グラファイト-銅-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例10
【0060】
1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/窒化ホウ素混合物を、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィド/窒化ホウ素なる比にて、ホウ素と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-窒化ホウ素-ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例11
【0061】
1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/窒化ホウ素混合物を、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィド/窒化ホウ素なる比を用いて、銅と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比を用いて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-窒化ホウ素-銅-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例12
【0062】
1:1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/窒化ホウ素/グラファイト混合物を、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィド/窒化ホウ素/グラファイトなる比を用いて、ホウ素と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-窒化ホウ素-グラファイト-ホウ素-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例13
【0063】
1:1:1なる比率の、モリブデンジスルフィド/窒化ホウ素/グラファイト混合物を、1部の金属に対して1部のモリブデンジスルフィド/窒化ホウ素/グラファイトなる比を用いて、銅と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、1.5部のカノーラオイルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、植物油(カノーラオイル)と共にボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-窒化ホウ素-グラファイト-銅-カノーラオイル)対2部の乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例14
【0064】
モリブデンジスルフィドを、1部のポリテトラフルオロエチレン[テフロン(TeflonTM)]に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、テフロン(TeflonTM)と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、リン脂質乳化剤(大豆レシチン)と共に、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例15
【0065】
モリブデンジスルフィドを、1部のポリテトラフルオロエチレン[テフロン(TeflonTM)]に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、テフロン(TeflonTM)と共にボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、リン脂質乳化剤(大豆レシチン)と共に、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例16
【0066】
モリブデンジスルフィドを、銅、銀、鉛等の金属添加剤と共に、1部の金属添加剤に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、更に植物油を主成分とするエステル(カノーラオイルのメチルエステル)中で、1.5部のエステルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-エステル)対2部のリン脂質乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例17
【0067】
モリブデンジスルフィドを、銅、銀、鉛等の金属添加剤と共に、1部の金属添加剤に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、ボールミル微粉砕する。次いで、この混合物を、更に植物油を主成分とするエステル(カノーラオイルのメチルエステル)中で、1.5部のエステルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例18
【0068】
モリブデンジスルフィドをボールミル微粉砕する。得られるこの固体潤滑剤ナノ粒子を、更に植物油を主成分とするエステル(カノーラオイルのメチルエステル)中で、1.5部のエステルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-エステル)対2部のリン脂質乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例19
【0069】
モリブデンジスルフィドをボールミル微粉砕する。得られるこの固体潤滑剤ナノ粒子を、更に植物油を主成分とするエステル(カノーラオイルのメチルエステル)中で、1.5部のエステルに対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例20
【0070】
モリブデンジスルフィドを、銅、銀、鉛等の金属添加剤と共に、1部の金属添加剤に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、ボールミル微粉砕する。この混合物を、更に脂肪酸(オレイン酸)中で、1.5部の脂肪酸に対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-オレイン酸)対2部のリン脂質乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例21
【0071】
モリブデンジスルフィドを、銅、銀、鉛等の金属添加剤と共に、1部の金属添加剤に対して1部のモリブデンジスルフィドなる比率にて、ボールミル微粉砕する。この混合物を、更に脂肪酸(オレイン酸)中で、1.5部の脂肪酸に対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例22
【0072】
モリブデンジスルフィドをボールミル微粉砕する。得られるこの固体潤滑剤ナノ粒子を、更に脂肪酸(オレイン酸)中で、1.5部の脂肪酸に対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。乳化剤を、1部の固体潤滑剤ナノ粒子組成物(MoS2-オレイン酸)対2部のリン脂質乳化剤なる比にて、添加する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
実施例23
【0073】
モリブデンジスルフィドを、ボールミル微粉砕する。得られるこの固体潤滑剤ナノ粒子を、更に脂肪酸(オレイン酸)中で、1.5部の脂肪酸に対して1部の固体潤滑剤ナノ粒子なる比にて、ボールミル微粉砕する。これを、基剤オイル(パラフィンオイル)に添加する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】固体潤滑剤ナノ粒子の製造方法を示す図である。
【図2】ナノ粒子を主成分とする潤滑剤の一製法を例示する図である。
【図3】モリブデンジスルフィド粒子の、透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。図3(A)は、入手したままの、典型的には約数μm乃至サブミクロンサイズなる範囲の、モリブデンジスルフィドを示す。図3(B)は、空気中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドを示す。図3(C)は、高解像度電子顕微鏡分析法による像を示し、該像は、空気中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドを示す。図3(D)は、高解像度透過型電子顕微鏡分析法による像を示し、該像は、空気中で48時間ボールミル微粉砕され、次いでオイル中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドを示す。
【図4】モリブデンジスルフィド粒子のXRDスペクトルを示すグラフである。図4(A)は、空気中で48時間ボールミル微粉砕され、次いでオイル中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドに関するXRDスペクトルである。図4(B)は、空気中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドに関するXRDスペクトルである。図4(C)は、ボールミル微粉砕されていない、モリブデンジスルフィドに関するXRDスペクトルである。
【図5】モリブデンジスルフィド粒子の、XPSスペクトルを示すグラフである。ボールミル微粉砕されていない、モリブデンジスルフィドに関する炭素ピークが示されており、また空気中で48時間ボールミル微粉砕され、次いでオイル中で48時間ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドに関する炭素ピークも示されている。
【図6】パラフィンオイル中の様々な添加剤に関する、潤滑工学的テストデータを示すグラフおよび棒図表を示す。図6(A)は、基剤オイル(パラフィンオイル)、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気中で48時間微粉砕されたMoS2を含むパラフィンオイル、および空気中で48時間微粉砕され、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕されたMoS2を含むパラフィンオイルに関する、平均磨耗痕の径を示す。図6(B)は、ナノ粒子添加剤を含まないパラフィンオイル、ミクロンサイズのMoS2を含むパラフィンオイル、空気中で48時間微粉砕されたMoS2を含むパラフィンオイル、および空気中で48時間微粉砕され、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕されたMoS2を含むパラフィンオイルに関する、負荷磨耗指数を示す。図6(C)は、ナノ粒子添加剤を含まないパラフィンオイル、ミクロンサイズのMoS2(c-MoS2)を含むパラフィンオイル、空気中で48時間微粉砕されたMoS2(d-MoS2)を含むパラフィンオイル、および空気中で48時間微粉砕され、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕されたMoS2(n-MoS2)を含むパラフィンオイルに関する、COFを示す。図6(D)は、ミクロンサイズのMoS2(c-MoS2)を含むパラフィンオイル、空気中で48時間微粉砕されたMoS2(d-MoS2)を含むパラフィンオイル、および空気中で48時間微粉砕され、次いでカノーラオイル中で48時間微粉砕されたMoS2(n-MoS2)を含むパラフィンオイルに関する、極圧データを示す。各テストにおいて、該固体潤滑剤ナノ粒子添加剤は、1質量%なる量にて存在した。
【図7】モリブデンジスルフィドナノ粒子(15-70nmなる平均サイズ)の、構成体を示す、TEM像である。図7(A)は、空気中で48時間、ボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドナノ粒子の独立ケージ型の高密な、卵形形状を持つ構成体を示す。図7(B)は、空気中で48時間ボールミル微粉砕され、次いで48時間カノーラ油中でボールミル微粉砕されている、モリブデンジスルフィドナノ粒子の、開放末端を持つ、卵形形状の構成体を示す。
【図8】パラフィンオイル中の様々な添加剤に関する、磨耗痕径の比較結果を示すグラフである。添加剤の一つは、結晶性モリブデンジスルフィド(c-MoS2)である。もう一つは、空気中でボールミル微粉砕されたモリブデンジスルフィドナノ粒子(n-MoS2)である。更なる添加剤は、空気中でボールミル微粉砕され、次いでカノーラオイル中でボールミル微粉砕され、またリン脂質乳化剤が添加された、モリブデンジスルフィドナノ粒子(n-MoS2+乳化剤)である。
【図9】ナノ粒子を主成分とする潤滑剤に関する、フォーボール潤滑工学的テストにおける、磨耗痕径の化学的分析を示す、エネルギー分散型x-線分析(EDS)を利用して作成した、写真およびグラフを示す。図9(A)は、如何なるナノ粒子組成物添加剤をも含まないパラフィンオイルを示す。図9(B)は、空気中で48時間ボールミル微粉砕され、次いでオイル中で48時間ボールミル微粉砕され、またリン脂質乳化剤で処理された、モリブデンジスルフィドナノ粒子を含むパラフィンオイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体潤滑剤ナノ粒子と;
有機媒体と、
を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記固体潤滑剤ナノ粒子が、ボールミルで微粉砕されたナノ粒子、化学機械的に微粉砕されたナノ粒子、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ナノ粒子を主成分とする潤滑剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記有機媒体が、オイル系媒体、グリース系媒体、アルコール系媒体、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記有機媒体が、複合オイル、カノーラオイル、植物油、大豆油、コーン油、菜種油のエチルおよびメチルエステル、蒸留モノグリセライド、モノグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの酢酸エステル、モノグリセライドの有機酸エステル、ソルビタン、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、炭化水素油、n-ヘキサデカン、リン脂質、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記有機媒体が、複合油を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子が、モリブデンジスルフィド、タングステンジスルフィド、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化セリウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、六方晶系窒化ホウ素、硫酸銀、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、フッ化バリウム、硫化錫、リン酸亜鉛、銀、鉛、ニッケル、硫化亜鉛、マイカ、硝酸ホウ素、ホウ砂、フッ化炭素、挿入グラファイト、リン化亜鉛、銅、ホウ素、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
更に、ミクロンサイズの粒子をも含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
更に、乳化剤をも含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記乳化剤が、約2〜約7なる範囲の親水-親油バランス値を持つ、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記乳化剤が、レシチン、リン脂質レシチン、大豆レシチン、洗浄剤、蒸留モノグリセライド、モノグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの酢酸エステル、モノグリセライドの有機酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、またはこれらの組合せを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
更に、基剤をも含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記基剤が、オイル、グリース、スプレイ、プラスチック、ゲル、またはこれらの組合せを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記基剤が、炭化水素油、植物油、コーン油、ピーナッツ油、カノーラオイル、大豆油、鉱油、パラフィンオイル、合成油、石油ゲル、石油グリース、炭化水素ゲル、炭化水素グリース、リチウムを主成分とするグリース、フルオロエーテルを主成分とするグリース、エチレンビステアラミド、ワックス、シリコーン、またはこれらの組合せを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
質量基準で、約1部またはそれ未満の乳化剤に対して、約1部の有機媒体を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
質量基準で、約0.4部またはそれ未満の乳化剤に対して、約1部の有機媒体を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
約3部の有機媒体に対して、約1部の固体潤滑剤ナノ粒子を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
約4部の有機媒体に対して、約1部の固体潤滑剤ナノ粒子を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
約8部の有機媒体に対して、約3部の固体潤滑剤ナノ粒子を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
約4部の有機媒体に対して、約2部の固体潤滑剤ナノ粒子を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
約2部の有機媒体に対して、約1部の固体潤滑剤ナノ粒子を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
前記固体潤滑剤ナノ粒子が、閉鎖型構成体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記固体潤滑剤ナノ粒子が、開放型構成体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
最終用途の部品としての対象を、請求項1記載の組成物で潤滑処理または被覆する工程を含むことを特徴とする、該対象を潤滑処理または被覆する方法。
【請求項25】
前記対象が、境界潤滑レジームを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記方法を、機械的用途、製造用途、鉱業的用途、航空宇宙産業用途、および自動車産業用途を含む用途において使用する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記方法を、薬学的用途、医学的用途、歯科学的用途、化粧学的用途、食物製品用途、栄養学的用途、健康関連用途、バイオ-燃料用途、およびこれらの組合せを含む用途において利用する、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、機械器具、軸受、ギア、カムシャフト、ポンプ、トランスミッション、ピストンリング、エンジン、発電機、ピン-ジョイント、航空宇宙学的システム、採掘装置、製造装置、無機-有機資材、またはこれらの組合せを含む、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記組成物を、潤滑剤、グリース、ゲル、スプレイ、配合プラスチック部品、ペースト、粉末、エマルション、分散物、またはこれらの組合せに添加する、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記対象の潤滑処理が、固体潤滑剤ナノ粒子および有機媒体を含む前記組成物を、送出メカニズムとして使用することを含む、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記方法を、薬学的用途、医学的用途、歯科学的用途、化粧学的用途、食物製品用途、栄養学的用途、健康関連用途、バイオ-燃料用途、およびこれらの組合せにおいて利用する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記方法を、無機-有機資材用途を包含する用途において利用する、請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記無機-有機資材用途が光学、エレクトロニクス、イオニックス、メカニックス、エネルギー、環境、生物学、医薬、知能膜、分離デバイス、機能性知能被膜、光起電力電池および燃料電池、光触媒、ニュー触媒、センサ、知能マイクロエレクトロニクス、マイクロ-オプティカルおよびフォトニック部品およびナノフォトニックス用のシステム、革新的化粧料、活性分子のターゲティング、撮像、これを用いた治療、およびその制御放出を組合わせた、インテリジェント治療媒介体、および自動車または包装産業用の、ナノセラミック-ポリマー複合体を包含する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
層状に形成された材料を含むことを特徴とする、ナノ粒子。
【請求項35】
前記層状に形成された材料が、カルコゲナイドを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
前記層状に形成された材料が、モリブデンジスルフィド、タングステンジスルフィド、グラファイト、挿入グラファイト、またはこれらの組合せを含む、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
更に、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、六方晶系窒化ホウ素、またはこれらの組合せをも含む、請求項34記載の組成物。
【請求項38】
更に、軟質金属、銀、鉛、ニッケル、銅、フッ化セリウム、酸化亜鉛、硫酸銀、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、フッ化バリウム、硫化錫、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、硝酸ホウ素、ホウ砂、フッ素化炭素、リン化亜鉛、ホウ素、またはこれらの組合せをも含む、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
層状に形成された材料を、微粉砕する工程を含むことを特徴とする、ナノ粒子の製造方法。
【請求項40】
前記微粉砕工程が、ボールミル微粉砕、化学機械的微粉砕、またはこれらの組合せを含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記粒子が、約500nmまたはそれ未満の平均サイズにまで微粉砕される、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記粒子が、約100nmまたはそれ未満の平均サイズにまで微粉砕される、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記層状に形成された材料が、カルコゲナイドを含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記層状に形成された材料が、モリブデンジスルフィド、タングステンジスルフィド、グラファイト、挿入グラファイト、またはこれらの組合せを含む、請求項39記載の方法。
【請求項45】
更に、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、六方晶系窒化ホウ素、またはこれらの組合せと共に、前記層状に形成された材料を、微粉砕する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項46】
更に、軟質金属、銀、鉛、ニッケル、銅、フッ化セリウム、酸化亜鉛、硫酸銀、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、フッ化バリウム、硫化錫、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、硝酸ホウ素、ホウ砂、フッ化炭素、リン化亜鉛、ホウ素、またはこれらの組合せと共に、前記層状に形成された材料を微粉砕する工程を含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記ボールミル微粉砕が、高エネルギーボールミル微粉砕、中エネルギーボールミル微粉砕、またはこれらの組合せを含む、請求項40記載の方法。
【請求項48】
前記ボールミル微粉砕が、前記層状に形成された材料を、真空中で、ガス中で、液体中で、第二の固体の存在下で、またはこれらの組合せで微粉砕する工程を含む、請求項40記載の方法。
【請求項49】
前記ボールミル微粉砕が、前記の層状に形成された材料を、空気中で、アルコール中で、オイル中で、またはこれらの組合せの下で微粉砕する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記ボールミル微粉砕が、第一ボールミル微粉砕、および少なくとも1回の、更なるその後のボールミル微粉砕処理を含む、請求項40記載の方法。
【請求項51】
前記第一ボールミル微粉砕が、乾式微粉砕を含み、かつ該少なくとも1回の更なるその後のボールミル微粉砕処理が、湿式微粉砕処理を含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記ボールミル微粉砕が、空気中でのおよびその後の有機媒体中での微粉砕である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記有機媒体が、アルコール、オイル、またはこれらの組合せを含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記有機媒体が、複合油、カノーラオイル、植物油、大豆油、コーン油、菜種油のエチルおよびメチルエステル、蒸留モノグリセライド、モノグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの酢酸エステル、モノグリセライド有機酸エステル、ソルビタン、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、炭化水素油、n-ヘキサデカン、またはこれらの組合せを含む、請求項52記載の方法。
【請求項55】
前記有機媒体が、複合油を含む、請求項52記載の方法。
【請求項56】
前記ボールミル微粉砕工程を約12〜約50時間に渡り行う、請求項40記載の方法。
【請求項57】
前記微粉砕工程が、酸化防止剤と共に、前記層状に形成された材料を微粉砕する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項58】
前記微粉砕工程が、耐蝕性物質と共に、前記層状に形成された材料を微粉砕する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項59】
前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール、アルキル化フェノール、アルキルアミン、アリールアミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4'-ジ- tert-オクチルジフェニルアミン、tert-ブチルヒドロキノン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ホスフィット、チオエステル、またはこれらの組合せを含む、請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記耐蝕剤が、アルカリ土類金属ビスアルキルフェノールスルホネート、ジチオホスフェート、アルケニル琥珀酸半-アミド、またはこれらの組合せを含む、請求項58記載の方法。
【請求項61】
潤滑剤の製造方法であって、該方法が、層状に形成された材料を微粉砕してナノ粒子を形成する工程および得られる該ナノ粒子を、基剤中に組み込んで、潤滑剤を生成する工程を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項62】
更に、ポリテトラフルオロエチレン、窒化ホウ素、六方晶系窒化ホウ素、またはこれらの組合せと共に、前記層状に形成された材料を、微粉砕する工程をも含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
更に、軟質金属、銀、鉛、ニッケル、銅、フッ化セリウム、酸化亜鉛、硫酸銀、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、フッ化バリウム、硫化錫、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、硝酸ホウ素、ホウ砂、フッ化炭素、リン化亜鉛、ホウ素、またはこれらの組合せと共に、前記層状に形成された材料を微粉砕する工程をも含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記基剤と乳化剤とを混合する、請求項61記載の方法。
【請求項65】
前記乳化剤を、前記ナノ粒子を添加する前に、前記基剤と混合する、請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記混合処理が、超音波処理を含む、請求項64記載の方法。
【請求項67】
約0.5〜約2質量%なる範囲の量の前記ナノ粒子を、前記基剤中で超音波処理し、あるいはそこに分散させる、請求項61記載の方法。
【請求項68】
約0.25〜約5質量%なる範囲の量の前記ナノ粒子を、前記基剤中で超音波処理し、あるいはそこに分散させる、請求項61記載の方法。
【請求項69】
約0.75〜約2.25質量%なる範囲の量の前記乳化剤を、前記基剤中で超音波処理し、あるいはそこに分散させる、請求項64記載の方法。
【請求項70】
約0.5〜約10質量%なる範囲の量の前記乳化剤を、前記基剤中で超音波処理し、あるいはそこに分散させる、請求項64記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−523863(P2009−523863A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550538(P2008−550538)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/060506
【国際公開番号】WO2007/082299
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(500467264)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アーカンソー (10)
【Fターム(参考)】