説明

ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の鎮咳去痰における治療用途、並びにそれらの薬品組成物

【課題】
本発明は鎮咳去痰に対する治療用途の為の、鎮咳去痰の薬品組成物の調製におけるナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩、それらによって調製された薬品組成物を提供する。
【解決手段】
本発明の鎮咳去痰の薬品組成物は有効用量の活性成分としてのナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩、及び薬学的に許容される担体を含む。本発明の薬品組成物は良好な鎮咳去痰効果があり、毒性や副作用が見られない。また、急慢性気管支炎、風邪などによる咳、痰のような症状に有効であり、かつ、品質が安定し、服用量が少なく、治療効果が迅速のような特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鎮咳去痰の治療分野に係り、特に、鎮咳去痰の薬品組成物の調製におけるナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の応用に関し、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩によって調製された薬品組成物、並びに鎮咳去痰に対する治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
咳、痰、喘息は呼吸器系統の病気に常に現れる症状であり、日常生活では急慢性気管支炎や風邪などによって引き起こされることが多く、臨床状態として咳に喀痰を伴うことが普通である。幼児や中高年層は体質などが原因で、急慢性気管支炎や風邪による咳、痰などの病状を招きやすい。よくある病気として、発病の初期に適切な手当てを施さないと、次第に重症化して、人体の健康と生活に大きな影響を及ぼすようになる。
【0003】
鎮咳去痰の化学薬品において、鎮咳薬としてコデイン(codeine)、デキストロメトルファン(dextromethorphan)、ペントキシベリン(pentoxyverine)、ベンプロペリン(benproperine)等、去痰薬として塩化アンモニウム(ammonium chloride)、アセチルシステイン(acetylcysteine)、ブロムヘクシン(bromhexine)等が知られている。しかし、今までの鎮咳去痰の化学薬品は共通の欠陥がある。即ち、鎮咳に用いられる化学薬品は去痰の効果がなく、痰のない空咳に対しては効くが、多痰の咳に対しては最適でない。一方、去痰ための化学薬品は鎮咳にあまり効果がない。その上、化学薬品は体に副作用が強い。例えば、コデインを長期に渡り服用すると、中毒になりやすい;デキストロメトルファンはめまい現象、おくびを起こしやすい;ペントキシベリンは頭痛、めまい、口渇、便秘などの症状をもたらし、更にアトロヒンのような副作用も伴い、緑内障のある患者には禁忌である;ベンプロペリンはめまい、胸やけ、エップロ−レッセンスなどの不良な反応を引き起こす;塩化アンモニウムは胃の粘膜に局所的な刺激を与えるため、潰瘍又は肝、腎不全の者への使用は避けるべきである;アセチルシステインは特殊な臭いがあって、悪心、嘔吐等の現象を引き起こすので、呼吸道に刺激を与え、気管支炎の患者には適用できない;ブロムヘクシンは胃部不快感を起こし、消化性潰瘍の患者には適用できない。
【0004】
鎮咳去痰に対しては、伝統の漢方薬で色々努力して来た。例えば橘紅丸、川貝枇杷糖漿、消咳喘糖漿等の漢方薬は中華人民共和国の薬典(2000年版第一巻)に既に記載されている。しかし、その特徴から見ると、今まで使用されてきた鎮咳去痰における伝統の漢方薬は、用量が多くて不便であるという問題がある。例えば、橘紅丸は化橘紅、陳皮などの15種類の植物原料から配合された丸薬であり、一回の服用量が10g以上になる。川貝枇杷糖漿は川貝母、桔梗、枇杷葉、薄荷の4種類の植物原料から配合されたシロップ剤であり、消咳喘糖漿はツツジを主な原料としたシロップ剤であって、両方とも一回の服用量が10mlになる。上述のような漢方薬は用量が多く、携帯にも不便である。
このため、胃及び呼吸道に刺激がなく、副作用が小さく、携帯及び服用に便利、安全であると共に、効果が顕著で空咳にも痰多にも適用できる新たな薬を研究整備する必要がある。
【0005】
ナリンゲニンの化学名称は5, 7, 4′- trihydroxy-flavanone であり、フラボン類化合物であるナリンギンのグリコシドとして、桜や梅のつぼみの組織に広く存在している。ナリンゲニンは酸化と潰瘍を防ぎ、乳癌の増殖及び乳房腫瘍の形成を抑制し、血管の病気を治療することができる。ナリンギンはナリンゲニンの誘導体として、ナリンギンの7配位上で2糖と結合して形成したグリコシドであり、抗酸化、抗潰瘍、抗炎症などに用いられることが知られている。現時点では、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩が鎮咳去痰の活性を有することは知られていない。
【0006】
ナリンゲニンの分子式:C15H12O5
ナリンゲニンの構造式は次の通りである。
【0007】

【0008】
ナリンゲニン (Naringenin)
ナリンギンの分子式:C27H32O14
ナリンギンの構造式は次の通りである。
【0009】

【0010】
ナリンギン(Naringin)
ナリンゲニン及びナリンギンはすべてフラボン類化合物に属し、遊離フェノール性ヒドロキシル基を有しているので、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ物質と反応して塩を形成する。
【0011】
ナリンゲニン塩とは上述のアルカリ反応によってナリンゲニンから生成されたナリンゲニンのナトリウム塩又はナリンゲニンのカリウム塩を指す。ナリンギン塩とは上述のアルカリ反応によってナリンギンから生成されたナリンギンのナトリウム塩又はナリンギンのカリウム塩を指す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的はナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の新たな治療用途を提供することである。
ここで、前記用途とは、鎮咳去痰の薬品組成物の調製におけるナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の応用を指す。
本発明のもう一つの目的は鎮咳去痰に用いられる薬品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の鎮咳去痰に用いられる薬品組成物は有効用量の活性成分であるナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩、及び薬学的に許容される担体を含む。
但し、有効用量は一日の服用量が0.1〜500 mg/kg重量であり、一日の最適な服用量は1〜100mg/kg重量である。
また、上記薬品組成物は錠剤、シロップ剤、カプセル剤、粉末注射剤、注射剤、吸入剤からなる群のいずれかである薬剤に調製できる。
また、上記薬品組成物は経口投与、注射投与、又は吸入投与に用いられる。
また、上記薬品組成物において、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の調製方法は以下示すようになる。
【0014】
ナリンギンは Rosenmund(Rosenmund, Ber., 61,2608(1958))及びZemlen, Bognar(Ber.,75,648(1942))に記載されている方法によって得られる。
更に、ナリンギンは植物原料から抽出することもできる。
ナリンギンを有する植物原料として、枳殻、枳実、ミカン、レモン、グループフルーツ、橘紅、化橘紅、オレンジ等が挙げられる。
【0015】
ナリンギンの抽出方法は以下のステップを含む。まず、ナリンギンを含有する植物原料を粉砕し、水で1〜3回抽出して、その液体を濾過、併合する;該濾過液体を濃縮した後アルコールで沈殿し、再度濾過して、該濾過液体からアルコールを取り出してクロマトグラフィー、又は直接クロマトグラフィーを行って分離し、有機溶媒を洗い落とす、洗い落とした溶媒を回収し、溶媒を取り除いて、ナリンギンの粗製品を得る。また1〜10回再結晶して、ナリンギンの単体を得る。
【0016】
ナリンゲニンの調製方法は三種類ある。
第一の方法は、ナリンギンを加水分解し、ナリンゲニンの単体を得る方法である。
ナリンゲニンの調製方法は以下のステップを含む。ナリンギンを加水溶解して、均一に撹絆し、酸もしくは塩基もしくは酵素を加えて分解し、沈殿濾過してナリンゲニン粗製品を得る;有機溶媒を使って1〜10回再結晶して、ナリンゲニンの単体を得る。
【0017】
上記の酵素はグルクロニグーゼ又は可断裂六炭素糖の酵素である。
第二の方法は、ナリンゲニンを有する植物原料からナリンゲニンの単体を得る方法である。
ナリンゲニンを有する植物原料は桜の蕾と梅の蕾等を含む。
ナリンゲニンの抽出方法は以下のステップを含む。ナリンゲニンを有する植物原料を粉砕して、有機溶媒で1〜3回抽出し、その液体を濾過、併合する;次に該濾過液体をエキスに濃縮して、該エキスを沈殿させて、ナリンゲニンの粗製品を得る;最後に有機溶媒で1〜10回再結晶して、ナリンゲニンの単体を得る。
【0018】
第三の方法は、ナリンギンを有する植物原料を直接加水分解し、抽出した後、ナリンゲニンの単体を得る方法である。
ナリンゲニンの抽出方法は以下のステップを含む。ナリンギンを有する植物原料を粉砕し、水又は有機溶媒で1〜3回抽出しその液体を濾過、併合する;次に該濾過液体をエキスに濃縮し、該エキスを水又は有機溶媒を加えて溶解し、それに酸もしくは塩基もしくは酵素を加えて水解、濾過して、ナリンゲニンの粗製品を得る;最後に1〜10回再結晶し、ナリンゲニンの単体を得る。
ここで、上記の酵素はグルクロニグーゼ又は可断裂六炭素糖の酵素である。
【0019】
上記のナリンギン、ナリンゲニンの抽出方法に採用された有機溶媒は、エチルアルコール、メチルアルコール、クロロホルム、酢酸エチルと石油エーテルから選ばれる。
上記のナリンゲニン塩は、ナリンゲニンと相当するアルカリ物質が反応して生成した金属塩であり、その分子式はC15H(12-n)O5 Yn(nは1−3であり、Yは金属イオン)である。
ナリンゲニン塩は以下の方法により調製される。即ち、0〜100℃の条件で、ナリンゲニンと相当するアルカリ物質と反応して相当のナリンゲニンの金属塩を得る;反応におけるナリンゲニンとアルカリ物質とのモル比は1:1〜1:3である。
【0020】
ここで、上記のアルカリ物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムからなる群から選ばれる。反応で得たナリンゲニン塩はナリンゲニンのナトリウム塩又はカリウム塩であり、その分子式はC15H(12-n)O5 Yn(式中、nは1−3であり、YはKイオン又はNaイオンである)である。
【0021】
上記のナリンギン塩は、ナリンギンと相当するアルカリ物質と反応して生成した金属塩であり、その分子式はC27H(32-n)O14 Yn(nは1−2であり、Yは金属イオン)である。
ナリンギン塩は以下の方法により調製される。即ち、0〜40℃の条件で、ナリンギンと相当するアルカリ物質と反応させて、ナリンギンの金属塩を得る。ここで反応におけるナリンギンとアルカリ物質とのモル比は1:1〜1:2である。
アルカリ物質は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムからなる群から選ばれる。反応で得たナリンギン塩はナリンギンのナトリウム塩又はカリウム塩であり、その分子式はC27H(32-n)O14 Yn(nは1-2であり、YはKイオン若しくはNaイオン)である。
【0022】
本発明におけるもう一つの目的は鎮咳去痰の治療方法を提供することである。
本発明におけるこの鎮咳去痰の治療方法は、上述の薬品組成物を哺乳動物、特に人間に薬を投与することを含む。
ナリンゲニンはtrihydroxy-flavanoneフラボン類化合物の一種であり、性質が安定し、人体に入った後も原形のままで存在する。ナリンギンはナリンゲニンの誘導体であり、ナリンギンの7配位上で、ナリンゲニンと2糖が結合したグリコシドであって、人体の中に入った後、胃酸の働きで加水分解し、このため体内では主にナリンゲニンの形で効力を発揮するが、加水分解の不完全性でナリンギンの形で存在する場合もある。(Kazuo Ishii, Takashi Furuta, Yasuji Kasuya. Determination of naringin and naringenin in human plasma by high-performance liquid chromatography. Journal of Chromatography B, 683(1996);225-229)。ナリンゲニン塩は体内に入ると、胃酸の働きによりナリンゲニンに変わって効力を発揮する。ナリンギン塩は体内に入った後、胃酸の働きによりまずナリンギンに変わり、次に胃酸の働きにより加水分解してナリンゲニンを形成して、効力を発揮する。
【0023】
本発明に係るものは、薬理・薬効実験を通して、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩が鎮咳去痰の良好な効果を有し、急慢性気管支炎及び風邪等による咳、痰の症状に有効であることが証明されている。
【0024】
本発明の発明者はナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩を用いて、ラットに咳止めの実験を行ったが、その結果、何も使わなかったラット組と比べ、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩を使ったラットの、刺激による咳に耐える限界時間が、顕著に延長されて、統計学的に著しい差が存在する。同様に、陽性薬品であるデキストロメトルファンと対照しても、本発明に係るものにより、上記のような限界時間が延長され、治療効果もより一層顕著になっている。以上のことにより、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の、良好な鎮咳効果を有する効力が証明できる。
【0025】
また、本発明の発明者はナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩を使って、ラットに去痰実験を行ったが、その結果、何も使わなかったラット組と比べ、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩を使ったラットの気管支の分泌液が著しく増加されて、統計学的に著しい差が存在する。同様に、陽性対照薬品である「咳痰切り」と比べてみても、本発明に係るものは、ラットの気管支の分泌液を増加することができて、統計学的に著しい差があり、治療効果もより有効になっている。以上のことにより、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩の、去痰の効力が証明できる。
【0026】
なお、本発明の実験により、ナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩は、鎮咳去痰の効果を有することだけでなく、ラットの実験において毒性がないことも証明されている。動物実験において、6g/kgの用量のナリンゲニン又はその塩を動物に経口投与した際、動物には毒性が現れていないことが見られたが、その用量は人間の正常服用量の460倍に相当する。また、人間の正常服用量の230倍に相当する3g/kgの用量のナリンギン又はその塩を動物に経口投与した際、動物には毒性反応が現れていなかった。
【発明の効果】
【0027】
本発明におけるナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩は、顕著な鎮咳去痰の効果を有し、毒性及び副作用がなく、臨床状態における急慢性気管支炎及び風邪などによる咳痰の症状の有効な治療に最適である。従って、鎮咳去痰の薬品の調製に応用できる。
本発明のナリンゲニン、ナリンギン及びそれらの塩から調製される薬品組成物は、良好な鎮咳去痰効果を有し、毒性及び副作用がないため、急慢性気管支炎、風邪などによる咳、痰のような症状の治療に有効であり、且つ、品質が安定し、服用量が少なく、治療効果が迅速等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
各実施形態の中で、固体混合物中の固体、液体中の液体及び液体中の固体の比率はそれぞれwt/wt、vol/vol、wt/volで計算し、特別な場合には他に説明する。
【0029】
実施例1:ナリンギン単体の調製
枳殻植物原料を小さく切り、その植物原料を100℃の湯中に浸漬し、水抽出操作を1時間を3回行ってから濾過した。該濾過液体をエキスに濃縮して、大孔樹脂を使ってクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また70%濃度のアルコールで洗い落とし、その洗い落とした液体を収集して、その中のアルコールを回収し、沈殿を得た。その沈殿を水中で3回再結晶してナリンギン単体を得た。沈殿からの収率は90.7%であった。
【0030】
実施例2:ナリンギン単体の調製
ミカン植物原料を粉砕して、篩いを通さずに、その植物原料を100℃の湯中に浸漬し、抽出操作を1時間を2回行ってから濾過、併合した。該濾過液体を濃縮して、無水のアルコールを加えてアルコールの濃度を30%にし、そのまま一夜放置してから濾過し、上清液体のアルコールを回収した。エキスはポリアミドでクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また80%濃度のアルコールで洗い落とし、その洗い落とし液体を収集して、その中のアルコールを回収し、沈殿を得た。その沈殿を水中で5回再結晶してナリンギン単体を得た。沈殿からの収率は87.4%であった。
【0031】
実施例3:ナリンギン単体の調製
橘紅植物原料を小さく切り、70℃の湯を用いて、浸漬または抽出操作を3時間を2回進行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体をエキスに濃縮して、そのエキスの中に95%濃度のアルコールを加えてアルコールの濃度を60%にして、そのまま一夜放置して、生成した沈殿を濾過して除いた。該濾過液体の中からアルコールを回収し、前記液体はポリアミドでクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また80%濃度のアルコールで洗い落とし、その洗い落とした液体を収集して、その中のアルコールを回収し、沈殿を得た。該沈殿を水中で4回再結晶してナリンギン単体を得た。その収率は89.7%であった。
【0032】
実施例4:ナリンギン単体の調製
レモン植物原料を粉砕せず水の中で超音波を使って抽出操作を1時間を3回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体を濃縮してエキスを得た。前記エキスをポリアミドでクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また95%濃度のアルコールで洗い落とし、その洗い落とした液体を収集して、その中のアルコールを回収し、沈殿を得た。また酢酸エチル中で1回再結晶してナリンギン単体を得た。その収率は85.3%であった。
【0033】
実施例5:ナリンギン単体の調製
枳実植物原料を粉砕して、20回の篩いを通して、室温で水を利用して、抽出操作を2日を3回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体に95%濃度のアルコールを加えてアルコールの濃度を50%にして、そのまま放置し、産生した沈殿を濾過して除いた。該濾過液体の中からアルコールを回収し、水を加えて溶解した後、葡聚糖凝塊でクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また40%濃度のアルコールで洗い落とし、その洗い落とした液体を収集して、その中のアルコールを回収し、濾過して沈殿を得た。また酢酸エチル中で10回再結晶してナリンギン単体を得た。その収率は92.1%であった。
【0034】
実施例6:ナリンギン単体の調製
グレープフルーツ植物原料を小さく切り、100℃の湯を用いて、浸漬または抽出操作を2時間を2回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体をエキスに濃縮して、大孔の樹脂でクロマトグラフィーを行った。その後、まず水で洗い落とし、その液体を捨てた。また60%濃度のアルコールで洗い落とし、そのアルコール洗い落とし液体を収集した。その中のアルコールを回収し、濾過して沈殿を得た。またその沈殿を水中で3回再結晶してナリンギン単体を得た。その収率は87.6%であった。
【0035】
実施例7:ナリンゲニン単体の調製
ナリンギン(純度は98.2%)に10倍の水を加え、均一に混合し、塩酸を加えてpH=1に調整し、又均一に混合した。100℃の湯中で2時間加水分解を行った。加水分解が終わってから濾過してナリンゲニン粗製品を得た。無水のアルコール中で5回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は91.4%であった。
【0036】
実施例8:ナリンゲニン単体の調製
ナリンギン(純度は98.2%)に20倍の水を加え、均一に混合し、硫酸を加えてpH=0に調整し、又均一に混合した。80℃の湯中で3時間加水分解を行った。加水分解が終わってから濾過してナリンゲニン粗製品を得た。また酢酸エチル中で10回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は89.3%であった。
【0037】
実施例9:ナリンゲニン単体の調製
ナリンギン(純度は98.2%)に50倍の水を加え、均一に混合し、水酸化ナトリウムを加えてpH=13に調整し、又均一に混合した。80℃の湯中で1.5時間加水分解を行った。加水分解が終わってから塩酸を用いてpH=1に調整し、濾過してナリンゲニン粗製品を得た。またアセトン中で1回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は86.9%であった。
【0038】
実施例10:ナリンゲニン単体の調製
ナリンギン単体(純度は98.2%)に35倍の水を加え、均一に混合し、グルクロニグーゼを加えて、サンプル中での酵素の濃度を0.1ミリモル/リットルにして、又均一に混合した。37℃の湯中で8時間加水分解を行った。加水分解が終わってから濾過してナリンゲニン粗製品を得た。また無水のアルコール中で4回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は94.8%であった。
【0039】
実施例11:ナリンゲニン単体の調製
桜の蕾である植物原料を無水のアルコールに浸漬し、50℃の温度で抽出操作を1時間を3回行ってから濾過した。該濾過液体をエキスに濃縮し、生成した沈殿を濾過してナリンゲニン粗製品を得た。前記沈殿を酢酸エチル中で1回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は90.7%であった。
【0040】
実施例12:ナリンゲニン単体の調製
梅の蕾である植物原料を25℃のアセトンに浸漬し、抽出操作を48時間を2回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体をエキスに濃縮して、そのまま一夜放置してから沈殿を得た。それから沈殿を乾燥してナリンゲニン粗品を得た。その後クロロフォルム中で5回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は87.4%であった。
【0041】
実施例13:ナリンゲニン単体の調製
梅の蕾である植物原料を20℃の酢酸エチルに浸漬し、抽出操作を72時間を1回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体をエキスに濃縮して、そのまま一夜放置してから沈殿を得た。それから沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。その後アセトン中で10回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は85.6%であった。
【0042】
実施例14:ナリンゲニン単体の調製
枳実植物原料を粉砕して、20回の篩いを通じて、室温で水を用いて、抽出操作を2日を3回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体を濃縮し、塩酸を加えてpH=1に調整し、90℃の湯中で加水分解を行った。加水分解が終わってから沈殿を得た。該沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。前記沈殿を酢酸エチル中で4回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は90.7%であった。
【0043】
実施例15:ナリンゲニン単体の調製
グレープフルーツ植物原料を小さく切り、100℃の湯を用いて、浸漬または抽出操作を2時間を1回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体を濃縮し、水酸化ナトリウムを加えてpH=11に調整し、70℃の湯中で加水分解を行った。加水分解が終わってから塩酸を用いてpH=1に調整し、濾過して沈殿を得た。沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。前記沈殿をアセトン中で3回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は89.2%であった。
【0044】
実施例16:ナリンゲニン単体の調製
橘紅植物原料を粉砕せずにアセトンを使って24時間を3回の抽出操作を行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体をエキスに濃縮して、前記エキスを30%濃度のアルコールで溶解し、塩酸を加えてpH=2に調整した。また、95℃の湯中で加水分解を行い、濾過して沈殿を得た。沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。その後クロロフォルム中で5回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は87.7%であった。
【0045】
実施例17:ナリンゲニン単体の調製
枳殻植物原料を小さく切り、その植物原料を100℃の湯中に浸漬し、高濃度の塩酸を加えてpH=2.5に調整し、抽出操作を1.5時間を3回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体を濃縮してエキスを得た。該エキスを一夜放置して沈殿を得た。該沈殿を分離し、アセトンで溶解し濾過し沈殿を捨て、該濾過液体からアセトンを回収して沈殿を得た、該沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。その後クロロフォルム中で3回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は90.4%であった。
【0046】
実施例18:ナリンゲニン単体の調製
沙田柚植物原料を粉砕して、12倍の100℃の湯中に浸漬し、水酸化カリウムを加えてpH=14に調整し、抽出操作を毎回45時間づつ2回行ってからその液体を濾過、併合した。該濾過液体濃縮してエキスを得た。該エキスを一夜放置して沈殿を得た。該沈殿を分離し、無水のアルコールで溶解し濾過し沈殿を捨てた。該濾過液体からアルコールを回収して沈殿を得た、該沈殿を乾燥してナリンゲニン粗製品を得た。その後アセトン中で4回再結晶してナリンゲニン単体を得た。その収率は88.3%であった。
【0047】
実施例19:ナリンゲニン塩の調製
0℃の条件で1モルのナリンゲニンをアルコールに溶解し、また1モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンゲニンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンゲニンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンゲニンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて相当量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いナリンゲニンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0048】
実施例20:ナリンゲニン塩の調製
20℃の条件で1モルのナリンゲニンをアルコールに溶解し、また3モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンゲニンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンゲニンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンゲニンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて相当量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いナリンゲニンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0049】
実施例21:ナリンゲニン塩の調製
50℃の条件で1モルのナリンゲニンをアルコールに溶解し、また2モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンゲニンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンゲニンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンゲニンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて相当量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを使ってナリンゲニンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0050】
実施例22:ナリンゲニン塩の調製
100℃の条件で1モルのナリンゲニンをアルコールに溶解し、また3モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンゲニンのアルコール溶液に入れる。また2時間撹絆してから濾過してナリンゲニンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンゲニンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて対応量の重炭酸ナトリウム、又は炭酸ナトリウムを用いナリンゲニンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0051】
実施例23:ナリンギン塩の調製
0℃の条件で1モルのナリンギンをアルコールに溶解し、また1モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンギンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンギンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンギンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて相当量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いナリンギンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0052】
実施例24:ナリンギン塩の調製
20℃の条件で1モルのナリンギンをアルコールに溶解し、また2モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンギンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンギンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンギンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて対応量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いナリンギンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0053】
実施例25:ナリンギン塩の調製
40℃の条件で1モルのナリンギンをアルコールに溶解し、また2モルの水酸化ナトリウムを水に溶解して、該水酸化ナトリウムの溶液をゆっくりとナリンギンのアルコール溶液に入れた。また2時間撹絆してから濾過してナリンギンのナトリウム塩を得た。
本実施例の中で、水酸化ナトリウムに替えて相当量の水酸化カリウム、重炭酸カリウム又は炭酸カリウムを用いナリンギンのカリウム塩を得る事もできる。また、水酸化ナトリウムに替えて対応量の重炭酸ナトリウム又は炭酸ナトリウムを用いナリンギンのナトリウム塩を得る事もできる。
【0054】
実施例26:ナリンゲニン単体の純度を測定する実験
前記抽出方法で調製されたナリンゲニン単体の適量を取り、容量瓶中でメチルアルコールに溶解し、またマイクロ孔の濾膜(0.45um)を用いて濾過した後、高速液体クロマトグラフ装置を用いて、中国薬品生物製品検定所から提供されたナリンゲニンの対照品との外標法定量操作を行って、該ナリンゲニンサンプル中のナリンゲニン単体の含有量を測定した。その結果は表1の通りである。
【0055】
クロマトグラフ条件:Agilent1100高速液体クロマトグラフ装置(サンプル自動注入装置、真空脱気装置、四元ポンプ、カラム温箱、ダイオード配列測定装置);
クロマトグラフカラム:MARKER ODSカラム(5um,4.0×250mm);
展開相:メチルアルコール/水(50/50);
測定波長:288nm;
カラム温:30℃;
流速:1ml/分;
サンプル注入量:5μl。
表1:サンプル含有量測定実験の結果
【0056】


【0057】
上記表の結果から見ると、サンプルから抽出したナリンゲニン単体の含有量はすべて95%以上である。即ち、本発明の抽出方法で得たナリンゲニンサンプルの純度が高い。
【0058】
実施例27:ナリンギン単体の純度を測定する実験
前記抽出方法で調製されたナリンギン単体の適量を取り、容量瓶中でメチルアルコールに溶解し、またマイクロ孔の濾膜(0.45um)を用いて濾過した後、高速液体クロマトグラフ装置を用いて、中国薬品生物製品検定所から提供されたナリンギンの対照品との外標法定量操作を行って、前記ナリンギンサンプル中のナリンギン単体の含有量を測定した。その結果は表2の通りである。
【0059】
クロマトグラフ条件:Agilent1100高速液体クロマトグラフ装置(サンプル自動注入装置、真空脱気装置、四元ポンプ、カラム温箱、ダイオード配列測定装置);
クロマトグラフカラム:MARKER ODSカラム(5um,4.0×250mm);
展開相:乙ニトリル/0.05M KH2PO4緩衝液(20/80);
測定波長:283nm;
カラム温:30℃;
流速:1ml/分;
サンプル注入量:5μl。
表2:サンプル含有量測定実験の結果
【0060】

【0061】
上記表の結果から見ると、サンプルから抽出したナリンギン単体の含有量はすべて95%以上である。即ち、本発明の抽出方法で得たナリンギンサンプルの純度が高い。
上述のように、本発明のナリンギンとナリンゲニンの抽出方法では効率良くナリンギンを含んでいる植物原料からナリンギン単体を抽出する事が出来る。また、効率良くナリンギン粗製品または単体を加水分解してナリンゲニン単体を得ることができるし、効率良くナリンゲニン若しくはナリンギンを含んでいる植物原料からナリンゲニン単体を抽出し、抽出されたナリンギンサンプルとナリンゲニンサンプルの純度が全部95%以上で高い。またその操作も簡単に行う事もできる。
【0062】
実施例28:ナリンギン薬物の鎮咳薬理学実験
1.実験動物:NIHラット、雄、重量18.2〜21.7g、普通等級標準で130匹。先ず、重量を測ってから番号を着け、その後、健康で重量が18.5〜21.0gのラットを120匹を選んだ。それから重量の重さについて配列し、任意に各グループに15匹づつ8グループに分けた。また、陰性対照グループ、陽性対照グループ及びナリンギンサンプルの高、中、低薬物グループとナリンギンナトリウム塩サンプルの高、中、低薬物グループを設置した。
【0063】
2.サンプルの出所と処理:
1)空白の対照グループ:生理食塩水、NaClの含有量は0.9%。
2)陽性対照グループ:デキストロメトルファン30mgを20mlの生理食塩水に溶解して陽性対照のデキストロメトルファン溶液を得た。デキストロメトルファンの濃度は1.5mg/ml。
3)ナリンギンサンプルの低剤量グループ:ナリンギンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンの濃度は0.5mg/ml。
4)ナリンギンサンプルの中剤量グループ:ナリンギンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンの濃度は1.5mg/ml。
5)ナリンギンサンプルの高剤量グループ:ナリンギンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンの濃度は4.5mg/ml。
6)ナリンギンナトリウム塩サンプルの低剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンナトリウム塩の濃度は0.5mg/ml。
7)ナリンギンナトリウム塩サンプルの中剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンナトリウム塩の濃度は1.5mg/ml。
8)ナリンギンナトリウム塩サンプルの高剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンギンナトリウム塩の濃度は4.5mg/ml。
ここで使っているナリンギンサンプルは前記抽出方法を利用して植物原料から抽出したナリンギン単体であり、その純度は95%以上である。
【0064】
3、実験方法:(濃アンモニア水噴霧法)
ラットの胃に入れて1時間経てから噴霧する。一定時間後濃アンモニア水を噴霧する。噴霧が終わってから、ラットを取り出し、一分間に何回の咳をするかを観察する。もし、一分間に3回以上の咳の動作をすると(腹部の筋肉または胸部が収縮すると共に口を大きくする、時にして咳声も聞ける)、“咳がある”とみなす、そうでなければ、“咳がない”とみなす。
【0065】
4.実験過程:
序串法(上下法)を利用して半数以上のラットが咳をするに要する噴霧時間を求める(EDT50)。また、R値を計算し、R値が130%を超えると、薬物が鎮咳効果を有する事を表し、R値が150%を超えると、顕著な鎮咳効果を有する事を表す。計算式は以下に記載の通りである。

EDT50=log-1c/n(式中、nは動物の数量、cはrx値の総和、rは各剤量グループの動物の数量、xは剤量(即ち、噴霧時間)の対数)
【0066】
5.実験結果:
統計により求めた、各サンプルグループの中で半数以上のラットが咳をする時間と鎮咳効果は表3の通りである。
表3:各サンプルグループの鎮咳効果
【0067】

【0068】
ナリンギンサンプルと陽性対照薬物であるデキストロメトルファンをラットに経口投与し、ラットの咳を起こすに耐えられる時間を比べると、ナリンギンがラットの耐えられる時間を著しく延長し、陽性対照薬物であるデキストロメトルファンを使うより耐えられる時間が長い、統計学上で著しい差がある。即ち、ラットの咳を起こすに耐えられる時間について、ナリンギンを使用する時がデキストロメトルファンを使用する時より耐えられる時間が長く、鎮咳効果が高く、治療効果が著しい。
【0069】
実施例29:ナリンギン薬物の去痰薬理学実験
1.実験動物:NIHラット、雌、重量18.8〜22.7g、清潔級標準で90匹。先ず、重量を測ってから番号を着ける、その後、健康で重量が19.1〜22.3gのラットを80匹選んだ。それから重量の重さについて配列し、任意に各グループに10匹づつ8グループに分けた。また、陰性対照グループ、陽性対照グループ及びナリンギンサンプルの高、中、低薬物グループとナリンギンナトリウム塩サンプルの高、中、低薬物グループを設置した。また、10ml/kg重量前部の入胃量によって一回で経口投与された。
【0070】
2.サンプルの出所と処理:
1)空白の対照グループ:生理食塩水、NaClの含有量は0.9%。
2)陽性対照グループ:痰咳浄散剤0.2gを10mlの生理食塩水に溶解して陽性対照の痰咳浄溶液を得た、その濃度は20mg/ml。
3)ナリンギンサンプルの低剤量グループ:ナリンギンを精密に5ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して0.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
4)ナリンギンサンプルの中剤量グループ:ナリンギンを精密に15ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して1.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
5)ナリンギンサンプルの高剤量グループ:ナリンギンを精密に45ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して4.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
6)ナリンギンナトリウム塩サンプルの低剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を精密に5ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して0.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
7)ナリンギンナトリウム塩サンプルの中剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を精密に15ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して1.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
8)ナリンギンナトリウム塩サンプルの高剤量グループ:ナリンギンナトリウム塩を精密に45ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一混合して4.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
【0071】
3.実験方法:
1)標準フェノール曲線の制作:分析天秤を使って一定量のフェノールを精密に取り、5%濃度の重炭酸ナトリウムに溶解して12.5ng/mlとする。それから順次に毎1ml中のフェノールが6.25ng、3.125ng、1.5625ng、0.7813ng、 0.3906ng、0.1953ng、0.0977ng、0.0488ngになるように希釈して、分光光度計を使ってOD値を測る。フェノール濃度を縦座標にし、OD値を横座標にして、フェノール濃度とOD値を基にして回帰方程を算出する。また、回帰方程によって各ラットのフェノールの排泄量を算出する。
2)ラットを断食、非水禁状態で12時間置く。
3)薬物を胃に投与する。動物番号の順番により、各ラットに投与してから3分間停止し、また外のラットに投与する。時間の間隔は3分間であり、毎グループ10匹の投与時間は30分間である。
4)各ラットに投与してから0.5時間経て、腹腔に5%濃度のフェノール生理食塩水を0.2ml注射する。また、順番に、毎ラットにフェノールを注射してから3分後、外のラットに注射する。10匹のラットに要する時間は30分間である。
5)各ラットの腹腔に注射してから0.5時間経て、順番にラットを斬首して屠殺する、その時間の間隔は3分間にする。動物を屠殺してから動かないように手術板に固定し、頸の中程の皮膚を切り、気管を分離し、小さいピンセットを用い気管を支える。
6)大きい注射器で生理食塩水を吸い取り気管の外壁を洗い落とし、血液と気管外壁のフェノールを洗い落としてから、濾紙を使って洗液を吸収する。
7)まず、気管の分枝部で気管を切り取り、また、他端の甲状軟骨の上端から気管を切り取る(環状の甲状軟骨も含める)。
8)前もって準備した1.5mlの5%濃度のNaHCO3溶液試験管に各気管段を放置する。
9)3分間以内に前記気管分離切れ操作を完成し、また、同じ方法で他のラットを処理する。
10)各試験管を超音波清洗器中に5分間置いた後、気管段の中のフェノールを開放する。
11)各試験管中の溶液を731型分光光度計で546nm処のOD値を測る。
12)各試験管は気管段を含んだまま一夜放置し、24時間経てからまたOD値を測る。
13)回帰方程によって、フェノールの含有量を算出する。計算式:Y=7.6266 X−0.0554。XはOD値、Yはフェノールの含有量である。
14)フェノールの含有量と動物重量によって、矯正フェノール含有量を計算する。SPSS8.0統計ソフトを使って分散の分析を行う。矯正フェノール含有量=フェノールの含有量(ng)/ラット重量(Kg)。
【0072】
4.実験結果:
統計によって、各剤量グループのフェノール排出量は表4の通りである。
表4:ナリンギンの去痰効果(X±S)
【0073】

【0074】
a:矯正フェノール含有量=フェノールの含有量/動物重量
b:去痰率=投与薬物グループ/空白の対照グループ×100%
フェノール含有量の計算方法(ng):OD値×7.6266−0.0554
【0075】
ナリンギンサンプルと陽性薬物である痰咳をラットに経口投与させたラットの気管支の分泌液を増やす実験から考察すると、ナリンギンの低、中、高剤量グループの各剤量グループが、空白の対照グループに比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学的に著しい差がある。高剤量グループは、陽性対照薬物痰咳に比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学的に著しい差があり、治療効果が著しい大きい。即ち、ナリンギンは優れた去痰効果を有する。
【0076】
実施例30:ナリンゲニン薬物の鎮咳薬理学実験
1.実験動物:NIHラット、雄、重量19.3〜22.6g、普通等級標準で130匹。先ず、重量を測ってから番号を着けた。その後、健康で重量が19.5〜22.1gのラットを120匹選んだ。それから重量の重さについて配列し、任意に毎グループに15匹づつ8グループに分けた。また、陰性対照グループ、陽性対照グループ及びナリンゲニンサンプルの低剤量グループ、ナリンゲニンサンプルの中剤量グループ、ナリンゲニンサンプルの高剤量グループ、ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの低剤量グループ、ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの中剤量グループ、ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの高剤量グループを設置した。
【0077】
2.サンプルの出所と処理:
1)空白の対照グループ:生理食塩水、NaClの含有量は0.9%。
2)陽性対照グループ:デキストロメトルファン30mgを20mlの生理食塩水に溶解して陽性対照のデキストロメトルファン溶液を得た。デキストロメトルファンの濃度は1.5mg/ml。
3)ナリンゲニンサンプルの低剤量グループ:ナリンゲニンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンの濃度は0.5mg/ml。
4)ナリンゲニンサンプルの中剤量グループ:ナリンゲニンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンの濃度は1.5mg/ml。
5)ナリンゲニンサンプルの高剤量グループ:ナリンゲニンを適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンの濃度は4.5mg/ml。
6)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの低剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンナトリウム塩の濃度は0.5mg/ml。
7)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの中剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンナトリウム塩の濃度は1.5mg/ml。
8)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの高剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を適量取り、容量瓶中で生理食塩水に溶解した。ナリンゲニンナトリウム塩の濃度は4.5mg/ml。
【0078】
3.実験方法:(濃アンモニア水噴霧法)
ラットの胃に入れて1時間経てから噴霧する。一定時間後濃アンモニア水を噴霧し、それが終わってから、ラットを取り出し、一分間に何回の咳をするかを観察する。もし、一分間に3回以上の咳の動作をすると(腹部の筋肉または胸部が収縮すると共に口を大きくする、時にして咳声も聞ける)、“咳がある”とみなす、そうでなければ、“咳がない”とみなす。
【0079】
4.実験過程:
序串法(上下法)を利用して半数以上のラットが咳をするに要する噴霧時間を求める(EDT50)。また、R値を計算し、R値が130%を超えると、薬物が鎮咳効果を有する事を表し、R値が150%を超えると、顕著な鎮咳効果を有する事を表す。計算式は下に記載の通りである。

EDT50=log-1c/n(式中、nは動物の数量、cはrx値の総和、rは各剤量グループの動物の数量、xは剤量(即ち、噴霧時間)の対数)
【0080】
5.実験結果:
統計によって、各サンプルグループの中で半数以上のラットが咳をする時間と鎮咳効果は表5の通りである。
表5:各サンプルの鎮咳効果
【0081】

【0082】
ナリンゲニンサンプルと陽性対照薬物であるデキストロメトルファンをラットに経口投与し、ラットの咳を起こすに耐えられる時間を比べると、ナリンゲニンがラットの耐えられる時間を著しく延長し、陽性対照薬物であるデキストロメトルファンを使うより耐えられる時間が長く、統計学的に著しい差がある。ナリンゲニンナトリウム塩サンプルと陽性対照薬物であるデキストロメトルファンをラットに経口投与し、ラットの咳を起こすに耐えられる時間を比べると、ナリンゲニンナトリウム塩がラットの耐えられる時間を著しく延長し、陽性対照薬物であるデキストロメトルファンを使うより耐えられる時間が長く、統計学的に著しい差がある。即ち、ラットの咳を起こすに耐えられる時間について、ナリンゲニンとナリンゲニンナトリウム塩を使うのがデキストロメトルファンを使うより耐えられる時間が長く、優れた鎮咳効果を有する。
【0083】
実施例31:ナリンゲニン薬物の去痰薬理学実験
1.実験動物:NIHラット、雌、重量18.0〜22.1g、清潔級標準で90匹。先ず、重量を測ってから番号を着けた。その後、健康で重量が18.5〜22.0gのラットを80匹選んだ。それから重量の重さについて配列し、任意に毎グループに10匹づつ8グループに分けた。また、陰性対照グループ、陽性対照グループ、ナリンゲニンサンプルの高、中、低薬物グループ及びナリンゲニンナトリウム塩サンプルの高、中、低薬物グループを設置した。また、10ml/kg重量全部の入胃量によって一回で経口投与された。
【0084】
2.サンプルの出所と処理:
1)空白の対照グループ:生理食塩水、NaClの含有量は0.9%。
2)陽性対照グループ:痰咳浄散剤0.2gを10mlの生理食塩水に溶解して陽性対照の痰咳浄溶液を得た。その濃度は20mg/ml。
3)ナリンゲニンサンプルの低剤量グループ:ナリンゲニンを精密に5ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して0.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
4)ナリンゲニンサンプルの中剤量グループ:ナリンゲニンを精密に15ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して1.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
5)ナリンゲニンサンプルの高剤量グループ:ナリンゲニンを精密に45ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して4.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
6)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの低剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を精密に5ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して0.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
7)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの中剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を精密に15ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して1.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
8)ナリンゲニンナトリウム塩サンプルの高剤量グループ:ナリンゲニンナトリウム塩を精密に45ml取り、10ml容量瓶中で生理食塩水に5分間超音波で溶解した後、均一に混合して4.5mg/ml濃度のサンプルグループを得た。
【0085】
3.実験方法:
1)標準フェノール曲線の作成:分析天秤を使って一定量のフェノールを精密に取り、5%濃度の重炭酸ナトリウムに溶解して12.5ng/mlに調整した。それから順次に毎1mlに含んでいるフェノールが6.25ng、3.125ng、1.5625ng、0.7813ng、 0.3906ng、0.1953ng、0.0977ng、0.0488ngになるように希釈して、分光光度計を使ってOD値を測った。フェノール濃度を縦座標にし、OD値を横座標にして、フェノール濃度とOD値を基にして回帰方程を算出した。また、回帰方程によって各ラットのフェノールの排泄量を算出した。
2)ラットを断食、非水禁状態で12時間置いた。
3)薬物を胃に投与した。動物番号の順番に、毎ラットに投与してから3分間停止し、また外のラットに投与した。時間の間隔は3分間であり、毎グループ10匹の投与時間は30分間であった。
4)各ラットに投与してから0.5時間経て、腹腔に5%濃度のフェノール生理食塩水を0.2ml注射した。また、順番に、毎ラットにフェノールを注射してから3分後、外のラットに注射した。10匹のラットに要する時間は30分間であった。
5)各ラットの腹腔に注射してから0.5時間経て、順序によってラットを斬首して屠殺した。その時間の間隔は3分間とした。動物を屠殺してから動かないように手術板に固定し、頸の中程の皮膚を切り、気管を分離し、小さいピンセットを使って気管を支えた。
6)大きい注射器で生理食塩水を吸い取り気管の外壁を洗い落とした。血液と気管外壁のフェノールを洗い落としてから、濾紙を使って洗液を吸収した。
7)まず、気管の分枝部で気管を切り取り、また、他端の甲状軟骨の上端から気管を切り取った(環状の甲状軟骨も含めた)。
8)前もって準備した1.5mlの5%濃度のNaHCO3溶液試験管に各気管段を放置した。
9)3分間の間に前記気管分離切り操作を完成し、また、同じ方法で他のラットを処理した。
10)各試験管を超音波清洗器の中に5分間置いて、気管段の中のフェノールを開放した。
11)各試験管の中の溶液を731型分光光度計で546nm処のOD値を測った。
12)各試験管は気管段を含んだまま一夜放置し、24時間経てからまたOD値を測った。
13)回帰方程によって、フェノールの含有量を算出した。計算式:Y=7.6266X−0.0554。XはOD値、Yはフェノールの含有量である。
14)フェノールの含有量と動物重量によって、矯正フェノール含有量を計算した。SPSS8.0統計ソフトを使って分散の分析を行う。矯正フェノール含有量=フェノールの含有量(ng)/ラット重量(Kg)。
【0086】
4、実験結果:
統計によって、各剤量グループのフェノール排出量は表6の通りである。
表6:ナリンゲニンの去痰効果(X±S)
【0087】

【0088】
a:矯正フェノール含有量=フェノールの含有量/動物重量
b:去痰率=投与薬物グループ/空白の対照グループ×100%
フェノール含有量の計算方法(ng):OD値×7.6266X−0.0554
【0089】
ナリンゲニンサンプルと陽性薬物である痰咳浄をラットに経口投与させたラットの気管支の分泌液を増やす実験から考察すると、ナリンゲニンの低、中、高剤量グループの各剤量グループが、空白の対照グループに比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学的に著しい差がある。高剤量グループは、陽性対照薬物痰咳に比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学的に著しい差があり、治療効果が大きい。ナリンゲニンナトリウム塩サンプルと陽性薬物である痰咳をラットに経口投与させたラットの気管支の分泌液を増やす実験から考察すると、ナリンゲニンナトリウム塩の低、中、高剤量グループの各剤量グループが、空白の対照グループに比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学的に著しい差がある。高剤量グループは、陽性対照薬物痰咳に比べて、ラットの気管支で分泌する分泌液が著しく増え、統計学上で著しい差があり、治療効果が著しい。即ち、ナリンゲニンとナリンゲニンナトリウム塩は優れた去痰効果を有する。
【0090】
実施例32:ナリンギン薬物の毒理学実験
温度:24±1℃、湿度:65±5%の条件で、7〜8週齢、健康の清潔級標準のNIHラット20匹を選んだ。雌、雄は半分づつであり、重量は20〜22gである。飼料と水を消毒して試験の前と試験の間に正常の条件について飼育した。
ナリンギンを0.5%のTween80の中に溶解し、濃度を300mg/mlにした。該液体を0.2ml/20gラット重量のようにラットに経口投与した。投薬した後、1,4,8,12時間ごとに観察した。それからは毎12時間に1回観察した。死亡の情況を観察し、毎日ラットの重量変化とその他の症状を記録した。第10日にラットを斬首して屠殺する、各器官を取って病理検査を行った。
すべてのラットは10日目までは生存しており、3.0g/kg剤量のナリンギンの毒性は見られなかった。該剤量は人類が正常に服用する剤量の230倍である。ラットの各器官の病理検査は正常であり、病変はみられなかった。また、10日間ラットの重量も軽減しなかった。従って、ナリンギン薬物を動物に経口投与する時の毒性はない。
【0091】
実施例33:ナリンギンナトリウム塩薬物の毒理学実験
温度:25±1℃、湿度:75±5%の条件で、7〜8週齢、健康の清潔級標準のNIHラット20匹を選んだ。雌性、雄性は半分づつであり、重量は18.5〜20.5gであった。飼料と水を消毒して試験の前と試験の間に正常の条件について飼育する。
ナリンギンナトリウム塩を生理食塩水に溶解し、濃度を300mg/mlにした。前記液体を0.2ml/20gラット重量のようにラットに経口投与した。投薬した後、1,4,8,12時間ごとに観察した。それからは毎12時間に1回観察した。死亡の情況を観察し、毎日ラットの重量変化とその他の症状を記録した。第10日にラットを斬首して屠殺して、各器官を取って病理検査を行った。
すべてのラットは10日目までは生存しており、3.0g/kg剤量のナリンギンナトリウム塩の毒性は見られなかった。該剤量は人類が正常に服用する剤量の230倍である。ラットの各器官の病理検査は正常であり、病変はみられなかった。また、10日間ラットの重量も軽減しなかった。従って、ナリンギンナトリウム塩薬物を動物に経口投与する時の毒性はない。
【0092】
実施例34:ナリンゲニン薬物の毒理学実験
温度:28±1℃、湿度:70±5%の条件で、7〜8週齢、健康の清潔級標準のNIHラット20匹を選んだ。雌、雄は半分づつであり、重量は19〜21gであった。飼料と水を消毒して試験の前と試験の間に正常の条件について飼育した。
ナリンゲニンを0.5%のTween80に溶解し、濃度を300mg/mlにする。前記液体を0.4ml/20gラット重量のようにラットに経口投した。投薬した後、1,4,8,12時間ごとに観察した。それからは毎12時間に1回観察した。死亡の情況を観察し、毎日ラットの重量変化とその他の症状を記録した。第10日にラットを斬首して屠殺する、各器官を取って病理検査を行った。
すべてのラットは10日目までは生存しており、6.0g/kg剤量のナリンゲニンの毒性は見られなかった。該剤量は人類が正常に服用する剤量の460倍であった。ラットの各器官の病理検査は正常であり、病変はみられなかった。また、10日間ラットの重量も軽減しなかった。従って、ナリンゲニン薬物を動物に経口投与する時の毒性はない。
【0093】
実施例35:ナリンゲニンナトリウム塩薬物の毒理学実験
温度:27±1℃、湿度:60±5%の条件で、7〜8週齢、健康の清潔級標準のNIHラット20匹を選んだ。雌、雄は半分づつであり、重量は18.2〜22.5gであった。飼料と水を消毒して試験の前と試験の間に正常の条件について飼育する。
ナリンゲニンナトリウム塩を生理食塩水に溶解し、濃度を300mg/mlにした。該液体を0.4ml/20gラット重量のようにラットに経口投与した。投薬した後、1,4,8,12時間ごとに観察した。それからは毎12時間に1回観察した。死亡の情況を観察し、毎日ラットの重量変化とその他の症状を記録した。第10日にラットを斬首して屠殺した。各器官を取って病理検査を行った。
すべてのラットは10日目までは生存しており、6.0g/kg剤量のナリンゲニンナトリウム塩の毒性はみられなかった。該剤量は人類が正常に服用する剤量の460倍である。ラットの各器官の病理検査は正常であり、病変はみられなかった。また、10日間ラットの重量も軽減しなかった。従って、ナリンギンナトリウム塩薬物を動物に経口投与する時の毒性はない。
【0094】
実施例36:ナリンギンカプセル製剤
下述の成分によってゼラチンのカプセルを調製した:

補佐材料とナリンギンを均一に混合し、透明なカプセルに入れてナリンギンカプセル剤を得た。装量:150mg/カプセル。
【0095】
実施例37:ナリンギン錠剤
下述の成分によって錠剤を調製した:

ナリンギンと澱粉を均一に混合し、また澱粉を加え続けて撹絆して柔らかい材料にし、10目ナイロン篩を通して粒状にし、80〜90℃の風により乾燥した。それから、乾粒にステアリン酸マグネシウムを加え、12目篩を通して粒状にした。その後混合し、錠剤に圧製すし、5000粒得た。1粒毎の重量はほぼ0.3g程度である。
【0096】
実施例38:ナリンゲニンカプセル剤
下述の成分によってカプセル剤を調製した:

補佐材料とナリンゲニンを均一に混合し、ゼラチンのカプセルに入れてナリンゲニンカプセル剤を得た。装量:100mg/カプセル。
【0097】
実施例39:ナリンギン錠剤
下述の成分比率によって錠剤を調製した:

ナリンギンと澱粉を均一に混合し、また澱粉を加え続けて撹絆して柔らかい材料にし、10目ナイロン篩を通して粒状にした。80〜90℃の風により乾燥し、それから、乾粒にステアリン酸マグネシウムを加え、12目篩を通して粒状にした。その後混合し、錠剤に圧製し、10000粒得た。1粒毎の重量はほぼ0.1g程度である。
【0098】
実施例40:ナリンゲニン吸入剤
下述の成分比率によって吸入剤を調製した:

PEG400水溶液にナリンゲニン、乳糖、泊洛沙姆及びL−ロイシンを溶解して、また噴霧乾燥した。得られた噴霧乾燥の粉末にマイクロ粉末シリカゲルを加え、均一に混合し、カプセル型の乾粉吸入装置に入れた。
【0099】
実施例41:ナリンギンナトリウム塩注射剤
ナリンギンナトリウム塩100gを取り、10Lの注射用水を加えて溶解し、塩酸を使ってpH=7〜8に調整し、最後にG3垂れ漏斗を使って濾過してから入れて閉じた。それから100℃の水蒸気中で30分間滅菌してナリンギンナトリウム塩の注射剤を得た。
【0100】
実施例42:ナリンゲニンナトリウム塩注射剤
ナリンゲニンナトリウム塩100gを取り、10Lの注射用水を加えて溶解し、塩酸を使ってpH=7〜8に調整し、最後にG3垂れ漏斗を使って濾過してから入れて閉じた。それから100℃の水蒸気の中で30分間滅菌してナリンゲニンナトリウム塩の注射剤を得た。
【0101】
実施例43:ナリンギンのシロップ剤
ナリンギン100gを取り、蔗糖650gを加えて均一に撹絆し、800mlの蒸留水を加え、加熱煮沸して溶解させた後、濾過し、放置して冷ました、また、防腐剤を加えてから、蒸留水を使って1000mlまで希釈してナリンギンのシロップ剤を得た。
【0102】
実施例44:ナリンゲニンのシロップ剤
ナリンゲニン100gを取り、蔗糖500gを加えて均一に撹絆し、800mlの蒸留水を加え、加熱煮沸して溶解させた後、濾過し、放置して冷ました、また、防腐剤を加えてから、蒸留水を使って1000mlまで希釈してナリンゲニンのシロップ剤を得た。
【0103】
実施例45:ナリンゲニンナトリウム塩の粉末注射剤
ナリンゲニン100gを取り、1000mlの蒸留水を加えて溶解させ、121℃の温度で15分間滅菌してから取り出した。無菌に1mlのアンプル瓶に入れ閉じる、冷凍乾燥させた後、無菌条件の中で密封してナリンゲニンナトリウム塩の粉末注射剤を得た。
【0104】
実施例46:ナリンギンナトリウム塩の粉末注射剤
ナリンギン100gを取り、10Lの蒸留水を加えて溶解させ、121℃の温度で15分間滅菌してから取り出した。無菌に1mlのアンプル瓶に入れ閉じ、冷凍乾燥させた後、無菌条件の中で密封してナリンギンナトリウム塩の粉末注射剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は鎮咳去痰の治療用途に好適である。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナリンゲニン、ナリンギン及びその塩を応用して調製されてなることを特徴とする鎮咳去痰の薬品組成物。
【請求項2】
有効用量の活性成分となるナリンゲニン、ナリンギン及びその塩、及び薬物学的に許容される担体を含むことを特徴とする鎮咳去痰の薬品組成物。
【請求項3】
前記有効用量が0.05〜500mg/kg重量/日の範囲であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項4】
前記薬品組成物が、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、粉末注射剤、注射剤及び吸入剤からなる群のいずれかの調製剤であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項5】
経口投与、注射投与、または肺部吸入方式で投薬されることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項6】
前記ナリンギン及びその塩が、化学的に合成されて得られてなることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項7】
前記ナリンギンが、ナリンギンを有する植物原料から抽出したナリンギン単体であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項8】
前記ナリンギンが、ナリンギンを有する植物原料を粉砕して、水で1〜3回抽出して、その液体を濾過、併合するステップ、該濾過液体を濃縮してエキスを形成し、該エキスをアルコールで沈殿した後にクロマトグラフィー、又は直接クロマトグラフィーを行って、カラム分離し、有機溶媒を洗い落とすステップ、洗い落とした溶媒を回収して、ナリンギンの粗性品を得るステップ、および1〜10回再結晶してナリンギン単体を得るステップを含むナリンギンの抽出方法により得られてなることを特徴とする請求項7記載の薬品組成物。
【請求項9】
前記ナリンゲニンが、前記ナリンギンを加水分解して得られるナリンゲニン単体であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項10】
前記ナリンゲニンが、前記ナリンギンを加水溶解して、均一に撹絆し、酸もしくは塩基もしくは酵素を加えて水解し、沈殿濾過してナリンゲニン粗製品を得るステップ、および有機溶媒を使って1〜10回再結晶してナリンゲニン単体を得るステップを含むナリンゲニンの抽出方法により得られてなることを特徴とする請求項9記載の薬品組成物。
【請求項11】
前記酵素が、グルクロニグーゼまたは他の可断裂六炭素糖の酵素であることを特徴とする請求項10記載の薬品組成物。
【請求項12】
前記ナリンゲニンが、ナリンゲニンを含んでいる植物原料から抽出されて得られるナリンゲニン単体であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項13】
前記ナリンゲニンが、ナリンゲニンを含んでいる植物原料を粉砕して、有機溶媒で1〜3回抽出し、その液体を濾過、併合するステップ、該濾過液体をエキスに濃縮してナリンゲニンの粗製品を得るステップ、および有機溶媒で1〜10回再結晶してナリンゲニン単体を得るステップを含むナリンゲニンの抽出方法により得られてなることを特徴とする請求項12記載の薬品組成物。
【請求項14】
前記ナリンゲニンが、前記ナリンギンを含んでいる植物原料を直接加水分解し、抽出した後、得られるナリンゲニン単体であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項15】
前記ナリンゲニンが、ナリンギンを含んでいる植物原料を粉砕して、水又は有機溶媒で1〜3回抽出し、その液体を濾過、併合するステップ、該濾過液体をエキスに濃縮し、該エキスを水又は有機溶媒を用いて溶解し、それに酸もしくは塩基もしくは酵素を加えて水解、濾過してナリンゲニンの粗製品を得るステップ、および1〜10回再結晶してナリンゲニン単体を得るステップを含むナリンゲニンの抽出方法により得られてなることを特徴とする請求項14記載の薬品組成物。
【請求項16】
前記酵素が、グルクロニグーゼまたは他の可断裂六炭素糖の酵素であることを特徴とする請求項15記載の薬品組成物。
【請求項17】
前記ナリンゲニン塩が、ナリンゲニンと相当するアルカリ物質が反応して生成した金属塩であり、その分子式はC15H(12-n)O5 Yn(式中、nは1-3であり、Yは金属イオンである)であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項18】
前記ナリンゲニン塩が、0〜100℃の条件下でナリンゲニンと相当するアルカリ物質が反応してナリンゲニンの金属塩を得る方法において、反応におけるナリンゲニンとアルカリ物質とのモル比が1:1〜1:3であるナリンゲニン塩の調製方法により得られてなることを特徴とする請求項17記載の薬品組成物。
【請求項19】
前記アルカリ物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムからなる群から選ばれるいずれかであり、反応して得たナリンゲニン塩がナリンゲニンのナトリウム塩又はカリウム塩であり、その分子式がC15H(12-n)O5 Yn(式中、nは1-3であり、YはKイオンもしくはNaイオンである)であることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の薬品組成物。
【請求項20】
前記ナリンギン塩が、ナリンギンと相当するアルカリ物質が反応して生成した金属塩であり、その分子式はC27H(32-n)O14 Yn(式中、nは1-2であり、Yは金属イオンである)であることを特徴とする請求項2記載の薬品組成物。
【請求項21】
前記ナリンギン塩が、0〜40℃の条件下でナリンギンと相当するアルカリ物質と反応させてナリンギンの金属塩を得る方法において、反応におけるナリンギンとアルカリ物質とのモル比が1:1〜1:2であるナリンギン塩の調製方法により得られてなることを特徴とする請求項20記載の薬品組成物。
【請求項22】
前記アルカリ物質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムからなる群から選ばれるいずれかであり、反応して得たナリンギン塩がナリンギンのナトリウム塩又はカリウム塩であり、その分子式がC27H(32-n)O14 Yn(式中、nは1-2であり、YはKイオンもしくはNaイオンである)であることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の薬品組成物。
【請求項23】
哺乳動物に請求項2記載の薬品組成物を投与することを特徴とする鎮咳去痰の治療方法。
【請求項24】
前記哺乳動物が人間であることを特徴とする請求項23記載の治療方法。




【公表番号】特表2006−515365(P2006−515365A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500456(P2006−500456)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000041
【国際公開番号】WO2004/064848
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505274025)
【出願人】(505274047)
【出願人】(505274058)
【出願人】(505274070)
【出願人】(505274081)
【Fターム(参考)】