説明

ニコチンの迅速放出を提供するチューインガム組成物

対象によるチューインガム組成物の咀嚼開始後にニコチン効果の急速な開始を達成するチューインガム組成物の製造のためのニコチン-セルロース組合せ及びガム基材の使用。本チューインガム組成物は、好ましくは、直接打錠により製造され、咀嚼の間に崩壊しない。本発明はまた、ニコチンの迅速放出を提供する、ニコチンを含んでなるチューインガム組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、対象による咀嚼の開始後にニコチン効果の急速な発生を達成するチューインガム組成物の製造のためのニコチン-セルロース組合せの使用に関する。本発明はまた、ニコチンを含んでなり、ニコチンの迅速放出を提供するチューインガム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
喫煙行動は、喫煙者のみならず、受動喫煙に曝される周囲の人々にも深刻な健康上の危険を伴う。したがって、長年、専門家は禁煙を助言してきた。しかし、喫煙者はニコチン依存症であり、このことにより、禁煙はほとんどの喫煙者にとって全く困難こととなっている。喫煙者が不健康な習慣を止める手助けをする取り組みにおいて、他の方法でのニコチン投与が用いられてきた。ニコチンの経口又は経皮投与を用いる幾つかの製品(例えば、チューインガム、吸入剤、パッチ又はマウススプレー)が、現在、禁煙を望む喫煙者に入手可能である。
【0003】
タバコ(tobacco)自体が、ニコチン以外の他の幾つかの毒性化合物を含有しているので、ニコチン置換製品は、喫煙以外の方法でタバコを消費する個人にも関連がある。主にスカンジナビア(特にスウェーデン)では、タバコは、噛みタバコ又は嗅ぎたばこ(snuff)として消費されている。ニコチン置換製品の使用により、噛みタバコ又は嗅ぎたばこの消費者及び喫煙者はタバコに由来する発ガンリスクから免れる。
【0004】
幾つかのニコチン置換製品(例えば、上記のもの)の入手可能性にもかかわらず、多くのニコチン依存症の個人は、依然として、タバコの消費を止めるのは困難であると考えている。このことの説明としては、おそらく、複数の要因の組合せである。そのうちの2つは、得られる血流中のニコチン濃度、及びより重要なことには、ニコチンが血流に到達しそれによりユーザーに所望の効果を提供する速度に関係する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニコチンが血流に到達する速度は、ニコチンがニコチン置換製品から放出されるインビトロ速度により制限され得る。したがって、ニコチンの迅速放出、例えば迅速なインビトロ及び/又はインビボ放出を伴う、ニコチンを含んでなる医薬組成物に対する必要性が存在する。更に、ニコチンの迅速放出は、当該組成物中に必要なニコチン総含量を最小にする。このことは、この潜在的に毒性の化合物の消費者の総摂取量に関して及び製造経済上、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、インビボ使用に際してニコチンの迅速放出及び血漿ニコチン濃度の迅速増加を提供する組成物を提供することによって上記の課題に取り組む。本組成物は、医薬組成物として及び/又はタバコ置換組成物として使用されてもよい。
【0007】
よって、本発明は、対象の口腔への適用後にニコチン作用の急速な発生を達成するチューインガム組成物の製造のためのニコチン-セルロース組合せ及びガム基材の使用に関する。
【0008】
本発明に関して、用語「ニコチン-セルロース組合せ」は、(例えば、セルロース内の空隙又は孔の中及び/又は壁面上に)十分に規定された量のニコチン(遊離塩基として又は医薬的に許容され得る塩、複合体若しくは溶媒和物としてのいずれでも)を吸収・吸着(sorb)(吸着及び/又は吸収)しているセルロースから構成される固体材料を示すものとして意図される。用語「ニコチン-セルロース付加物」及び「ニコチン-セルロースキャリア複合体」は、本明細書中で使用する場合、用語「ニコチン-セルロース組合せ」と同義を有するものとして意図される。本明細書中で使用する場合、セルロースはキャリアの例である。
【0009】
本発明の組成物は、ニコチンの急速開始放出を有し、よって本組成物は、インビトロ放出試験に供した場合、試験開始後最初の2分以内に、1分あたり該組成物中の総含量の10% w/w又はそれより多くに相当する放出速度で、ニコチンを放出する。
【0010】
更に、チューインガム組成物は非崩壊性ある。すなわち、該組成物は、ガム組成物の咀嚼の間に粒子にまで崩壊せず、砕けない。現在、ガム基材としての特定のガム粉体の(おそらくは適切な添加剤の選択との組み合わせでの)使用が、チューインガム組成物の非崩壊特性に影響すると考えられている。具体的実施形態では、ガム基材及び/又はチューインガム組成物は、1又はそれより多くの脂質、ワックス、乳化剤、可塑剤、油及び/又は矯味矯臭剤を含んでなる。更に、好ましい実施形態では、ガム基材は直接打錠に適切であり、チューインガム組成物は、直接打錠により製造される。チューインガムはコーティングされてもされていなくてもよい。
【0011】
適切な特性を有し非崩壊性チューインガム組成物に導くガム基材は、例えば、Gum powder PG 11 TA、Gum powder PG 11 TA New、Gum powder PG 5 TA、Gum powder PG 5 TA New及びGum powder PG N12 TAであるか又はこれらを含んでなるガム基材である。
【0012】
通常、ガム基材は、粉体形態で用いられ、例えば約0.9mm又はそれ未満、約0.8mm又はそれ未満、約0.7mm又はそれ未満、約0.6mm又はそれ未満或いは約0.5mm又はそれ未満のような、約1mm又はそれ未満の平均粒子サイズ(篩別により決定)を有する。
【0013】
消費者に受け入れられる製品であるためには、ニコチン効果の急速な発生が非常に重要である。したがって、本発明のチューインガム組成物のためには、該発生は、対象の口腔へのチューインガム組成物の適用後、例えば2.5分以内又は2分以内のような、3分以内に起こる。本発明に関して、用語「口腔への適用」は、チューインガム組成物の咀嚼の開始を含む。
【0014】
したがって、別の観点では、本発明は、ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物若しくは誘導体と、1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤とを含んでなり、本明細書に記載のようなインビトロ溶解試験に供したとき、試験開始後の最初の2分以内に、1分あたり該組成物中の総含量の10% w/w又はそれより多くに相当する放出速度でニコチンを放出する、固体又は半固体の剤形の組成物、特にチューインガム組成物に関する。
【0015】
本明細書中の実施例から明らかなように、本発明者らは、直接打錠チューインガムの形態の組成物が、インビボ使用に際して、ニコチンの急速放出及びその後の血漿中への急速出現を達成するに特に適切であることを見出した。したがって、具体的実施形態では、本発明は、
i)ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物若しくは誘導体と1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤とを含んでなり、本明細書に記載のようなインビトロ溶解試験に供したとき、試験開始後の最初の2分以内に、1分あたり該組成物中の総含量の10% w/w又はそれより多くに相当する放出速度でニコチンを放出する、直接打錠チューインガムに関する。
【0016】
更に、本発明は、ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩若しくは誘導体と、1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤とを混合し、それを適切な固体又は半固体の剤形に成形することを含んでなる、当該組成物の製造方法を提供する。本発明の1つの実施形態では、剤形は、ニコチンを含んでなるチューインガムであり、これはチューインガム成分の直接打錠(DC)により得られる。このようなDCチューインガムの製造方法は、ニコチン含有化合物を、ガム基材及び1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤を含んでなるガム粉体と混合し、この混合物を打錠機で圧縮することを含んでなる。
【0017】
本発明はまた、ニコチン嗜癖又はニコチン禁断症状の治療のための本発明による組成物の使用に関する。
【0018】
上記では、下記の発明の詳細な説明をより良く理解できるように、本発明の特徴及び技術的利点を大まかに概説した。本発明の請求主題を形成する本発明の更なる特徴及び利点は、下記で説明する。開示された着想及び具体的実施形態が、本発明の同じ目的を遂行するための他の構成への改変又は設計の基礎として容易に利用され得ることを当業者は理解すべきである。また、このような等価な構成物が添付の特許請求の範囲に示された本発明の精神及び範囲を逸脱しないことも当業者は理解すべきである。本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、添付の図面を併せて考慮すれば、その構造及び操作方法の両方に関して、更なる目的及び利点と併せて、以下の説明から十分に理解される。しかし、図面の各々が本発明の説明及び例示のためのみに提供され、本発明の限界の定義として意図するものではないことを明確に理解すべきである。
【0019】
発明の詳細な説明
積年の特許法慣習を踏まえて、本明細書中で使用する場合、語「a」及び「an」は、本明細書(特許請求の範囲を含む)中で用語「含んでなる」と併せて使用する場合、 「1又はそれより多く」を示す。本発明の幾つかの実施形態は、本発明の要素、方法の工程及び/又は方法の1又はそれより多くからなってもよいし、或いは本発明の要素、方法の工程及び/又は方法の1又はそれより多くから本質的になってもよい。本明細書に記載の任意の方法又は組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法又は組成物に関して実施することができると企図される。
【0020】
上記のように、本発明は、(特に口腔粘膜による)投与に際して血漿濃度の非常に急速な上昇を達成するために、ニコチンを非常に急速に放出するニコチン含有組成物に関する。詳細には、本発明は、口腔粘膜にニコチンを送達するに適切な形態の組成物(例えば、チューインガム)に関する。
【0021】
第1の観点では、本発明は、ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体、付加物若しくは誘導体と、1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤とを含んでなり、本明細書に記載のようなインビトロ溶解試験に供したとき、試験開始後の最初の2分以内に、1分あたり該組成物中の総含量の10% w/w又はそれより多くに相当する放出速度でニコチンを放出する、固体又は半固体の剤形のチューインガム組成物に関する。本明細書中の実施例に示されるように、このような急速な放出は、Nicorette(登録商標)のようなチューインガム形態の市販組成物によっては得られない。この目的のため、本発明者らは、特に直接打錠チューインガムがNicorette(登録商標)チューインガム組成物を超える利点を提供すること、更に、できるだけ急速な放出を得るためには、特定の形態でのニコチン含有化合物の使用が有利であり得ることも見出した。
【0022】
より具体的には、上記の試験開始後の最初の2分以内の放出速度は、1分あたり当該組成物中の総含量の、例えば11% w/w又はそれより多く、12% w/w又はそれより多く、13% w/w又はそれより多く、14% w/w又はそれより多く或いは15% w/w又はそれより多くのような、10% w/w又はそれより多くである。
【0023】
具体的実施形態では、本発明による嗅ぎたばこ組成物は、内部空隙を含んでなるキャリアを含んでなる。このような空隙は、少なくとも部分的にニコチンを含んでなってもよい。キャリアは、代表的には、水に不溶性であるか、又は水に低い溶解度を有する。よって、キャリアは、代表的には、室温で1% w/w未満の水への溶解度を有する。
【0024】
本発明の嗅ぎたばこ組成物における使用に特に適切なキャリアは、セルロース、例えば微結晶性セルロース(「mcc」)である。或る具体的実施形態はまた、mccに加えて又はmccを含む他の形態のキャリア、例えば(これらに限定されない)、繊維状材料、又はセルロース(ヘミセルロース、異なる結晶化度及び構造(例えば種々の構造(固体繊維及び蜘蛛の巣様(web-like)構造及び/又は他の構造のような多様な構造の繊維などを付加又は含有)を有するセルロース(天然に存在するセルロース(Cladophora sp.藻類セルロース)を含む)などを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン、アルギナート、キサン、キトサン、デンプン(ポテトデンプン、ガジュツ(shoti)デンプンを含む)など又はこれらの混合物を含む炭水化物を使用してもよい。
【0025】
ニコチンは、例えば遊離塩基型のニコチンの形態又は適切な塩若しくは複合体の形態のような任意の適切な形態で存在し得る。更に、ニコチンは、ニコチンがキャリア化合物と共に存在するキャリア複合体又はキャリア付加物の形態で存在し得る。具体的実施形態では、キャリア化合物は、その全体にわたって内部空隙を含んでなる粒子状材料であり、空隙は少なくとも部分的にニコチンを含んでなる。理論により拘束されることを意図しないが、本出願時点では、ニコチンは、キャリア中への吸収及び/又はキャリア表面への吸着によって、キャリア(例えば、mcc又は他の適切なキャリア(他のセルロースキャリアを含む))と相互作用し得ると考えられている。このような相互作用は、完全に又はほとんど完全に可逆的である。
【0026】
内部空隙を有する特に適切な材料は、例えば微結晶性セルロースのような、セルロースである。適切な微結晶性セルロースの具体例は、AVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20、EMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど並びにそれらの混合物からなる群より選択される微結晶性セルロースである。
【0027】
セルロースは、合成セルロースであってもよいし、半合成セルロースであってもよく、或いは天然セルロースから誘導してもよい。
【0028】
適切なキャリアはまた、WO 2004/064811(参照により本明細書に含まれる)に開示のものであり得る。
【0029】
より具体的には、比較的高い表面積が使用に適切なキャリアにとって重要であると考えられる。したがって、適切なキャリアの比表面積は、通常、例えば1m2/gのような、少なくとも0.7m2/gである。或る種の使用では、比表面積は、約0.7m2/gと少なくとも約100m2/gとの間の範囲であり得、及び/又はこの範囲内のいずれでもあり得、及び/又はこの範囲内のサイズの任意の組合せであり得る。例えば、或る実施形態では、比表面積は、約0.7m2/g、約1m2/g、約1.5m2/g、約2.0m2/g、約3.0m2/g、約5m2/g、約7m2/g、約10m2/g、約15m2/g、約20m2/g、約25m2/g、約35m2/g、約45m2/g、約50m2/g、約75m2/g、約100m2/g及び約100m2/gを上回る値又はそれらの組合せであり得る。このような適切な表面積を有するキャリアとしては、mcc、繊維状材料、又はセルロース(ヘミセルロース、異なる結晶化度及び構造(例えば種々の構造(固体繊維及び蜘蛛の巣様構造及び/又は他の構造のような多様な構造の繊維などの付加又は含有)を有するセルロース(天然に存在するセルロース(Cladophora sp.藻類セルロース)を含む)などを含む)、デキストラン、アガロース、寒天、ペクチン、アルギナート、キサン、キトサン、デンプン(ポテトデンプン、ガジュツデンプンを含む)など及び/又はそれらの混合物を挙げ得るが、これらに限定されない。
【0030】
通常、キャリア化合物の平均サイズ範囲は、約15〜約250μmである。
【0031】
より具体的には、本発明の1つの実施形態では、ニコチンは、ニコチンが少なくとも一部セルロース上に吸収・吸着され、及び/又は少なくとも一部キャリア中に吸収され、及び/又は少なくとも一部キャリア(例えばmcc)上に吸着され、又はそれらが組み合わされているニコチン-セルロース組合せとして存在する。このような相互作用は、完全に又はほとんど完全に可逆的である。
【0032】
よって、或る具体的実施形態では、ニコチンは、微結晶性セルロースに吸収・吸着され、mcc中に吸収され、及び/又はmcc上に吸着され、及び/又はそれらが組み合わされている。
【0033】
本発明の実施形態では、キャリア(例えば(これらに限定されない)、mcc及び/又は他の天然に存在するセルロース)は少なくとも部分的に多孔性である。この多孔性は、例えば(これに限定されない)キャリアの構造に起因し得、例えば、分枝状、繊維状又は蜘蛛の巣様の構造が孔を有し得る。孔サイズの範囲としては、約0.01cm3/gの孔容積が挙げられるがこれに限定されず、約0.003cm3/g又はそれ未満〜約0.025cm3/g、更には約0.60cm3/gまで又はそれより大きい孔容積範囲が挙げられるが必ずしもこれらに限定されない。
【0034】
一般に、ニコチン-セルロース組合せは、本発明の組成物中に、約2% w/w〜約98% w/w、約2%〜約96% w/w、約2% w/w〜約95% w/w、約3% w/w〜約90% w/w、約4% w/w〜約85% w/w、約5% w/w〜約80% w/w、約5% w/w〜約75% w/w、約5% w/w〜約70% w/w又は約7.5% w/w〜約65% w/wの範囲のような、少なくとも約2% w/wの濃度で存在する。
【0035】
或る実施形態では、吸収・吸着されるニコチンの量(例えばキャリア中に吸収され及び/又はキャリア上に吸着されるニコチンの量)は、当該組成物の総重量の50%まで又はそれより多くであり得る。本発明におけるキャリア上に吸収・吸着されるニコチンの量の範囲は、当該組成物の総重量の約1%未満〜該組成物の約50%より多い範囲である(この範囲内の全ての量を含む)。本願出願人は本発明を理論より拘束することを意図しないが、本出願を準備している時点では、キャリア上及び/又はキャリア中に吸収・吸着され得るニコチンの最大量(これにより、量、例えば、全組成物の重量基準のパーセントニコチン(例えば、最大パーセンテージ)が影響を受ける)は、キャリアの特性(キャリアの構造、キャリアの多孔度及びキャリアの表面積を含むがこれらに限定されない)により影響されると考えられる。
【0036】
具体的実施形態では、本発明の組成物中のニコチン-セルロース組合せの濃度は、例えば(全組成物の)約2% w/w〜約20% w/w、約4% w/w〜約19% w/w、約5% w/w〜約18% w/w、約6% w/w〜約17% w/w、約7% w/w〜約16% w/w又は約8% w/w〜約15% w/wのような濃度で存在する。詳細には、これは、ニコチンの必要用量が、例えば10mgまでの範囲のように、比較的小さい状況の場合である。
【0037】
代替の実施形態では、キャリア化合物は、例えばキャリア化合物がイオン交換化合物(polacrilexを含む)である場合に、ニコチンと複合体を形成することができる。
【0038】
ニコチンの濃度及び量
上記のように、ニコチンは任意の適切な形態で存在し得る。通常、ニコチンは、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチンモノ酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛(例えば、ニコチン塩化亜鉛一水和物)及びニコチンサリチル酸塩からなる群より選択される。好ましい観点では、ニコチンは、容易にセルロースに吸収・吸着して微結晶性セルロース-ニコチンキャリア複合体又はキャリア付加物を形成することができる遊離塩基形態である。
【0039】
通常、ニコチン化合物(遊離塩基として計算)は、少なくとも約0.1% w/wの濃度、例えば約0.5% w/w〜約45% w/w、約1.0% w/w〜約40% w/w、約1.5% w/w〜約35% w/w、約2% w/w〜約30% w/w、約2.5% w/w〜約25% w/w、約2.5% w/w〜約20% w/w、約3% w/w〜約15% w/wのような約0.1% w/w〜約50% w/wの範囲の濃度で存在する。
【0040】
比較的少量のニコチンを含有する組成物(例えばチューインガム)では特に、ニコチン化合物の濃度(遊離塩基として計算)は、通常、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約0.1% w/w〜約14% w/w、約0.1% w/w〜約13% w/w、約0.1% w/w〜約12% w/w、約0.1% w/w〜約11% w/w、約0.1% w/w〜約10% w/wのような、約0.1% w/w〜約15% w/wの範囲である。
【0041】
上記のように、ニコチンは、ニコチン-セルロース組合せの形態で存在する。一般に、この組合せは、例えば約10〜約100%、約5%〜約50%、或いは約45%〜約100%のような、約5%〜約100%の濃度で存在する。適切な濃度の選択は、ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンの搭載量及びニコチンの投薬量に依存する。搭載量が比較的高い場合、この組合せの濃度は、搭載量が比較的低い場合より低くあり得、逆も同様である。例えばAvicel(登録商標)又は類似のセルロース品質を用いる具体的実施形態では、この組合せの濃度は、一般に、例えば約85% w/w〜約98% w/w、約90% w/w〜約98% w/w、約92% w/w〜約98% w/w、約93% w/w〜約97% w/w又は約94% w/w〜約96% w/wのような、約80% w/w〜約98% w/wである。
【0042】
当該組合せ中のニコチン(又はその医薬的に許容され得る塩、複合体若しくは溶媒和物)の濃度は、例えば最大限60% w/w、最大限50% w/w、最大限45% w/wのような、最大限70% w/wである。ニコチンの含量は、当該組合せ(粉体の形態である)が「湿気を帯び」、その結果ニコチンが脱着、蒸発又はその他の方法で該組合せからなくなるように非常に高くてはならない。したがって、組合せ中のニコチンの搭載量は、用いる特定のセルロースに依存する。セルロース材料の表面積が比較的高い場合、その中に、より大量のニコチンを適切な期間適切な様式で含有させることができる。一方、より小さな表面積を有するセルロースは、通常、安定性に関して適切な様式でニコチンを搭載する能力がより低い。
【0043】
ほとんどのセルロース品質に関して、ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンの濃度は、例えば最大限約40% w/w、最大限約35% w/w、最大限約30% w/w、最大限約25% w/w、最大限約20% w/w、最大限約15% w/w、最大限約12.5% w/w、最大限約10% w/w、最大限約9.5% w/w、最大限約9% w/w、最大限約8.5% w/w又は最大限約8% w/wのような、最大限約45% w/wである(濃度はニコチン塩基として計算する)。
【0044】
具体的実施形態では、本発明による粒子状材料は、例えば最大限約7% w/w、最大限約6.5% w/w、最大限約6% w/w、最大限約5.5% w/w、最大限約5% w/w、最大限約4.5% w/w、最大限約4% w/w、最大限約3% w/w、最大限約2% w/w又は最大限約1% w/wのような、最大限約7.5% w/wのニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、複合体若しくは溶媒和物の濃度を有する(濃度はニコチン塩基として算出)。
【0045】
本発明の組成物中のニコチン化合物の量(遊離塩基として計算)は、一般に、例えば約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3〜約10mg、約3〜約7.5mg又は約3mg〜約5mg(例えば、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約5mg又は約6mg)のような、約0.5mg〜約10mgである(遊離ニコチン塩基として計算したとき)。詳細には、2mg、3mg、4mg及び6mgの投薬量が商業的に興味深い。
【0046】
緩衝化剤
本発明による組成物はまた、1又はそれより多くの緩衝化剤を含有し得る。口腔での微かなアルカリ反応(7〜8)がニコチンの吸収を増強することは、広く知られている。したがって、微かなアルカリ反応が提供されるように組成物中に緩衝剤物質を組み込むことが有利であり得る。特に、口腔中へのニコチン放出用組成物(すなわち、チューインガム、ロゼンジ及び嗅ぎたばこ組成物のような組成物)は、緩衝剤物質を有利に含有し得る。
【0047】
適切な緩衝化剤は、代表的には、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩(例えば、アルカリ金属のクエン酸塩)、炭酸塩、炭酸水素塩及びホウ酸塩並びにそれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0048】
存在する場合、1又はそれより多くの緩衝化剤は、例えば約0.75% w/w〜約4%、w/w、約0.75% w/w〜約3%、w/w又は約1% w/w〜約2% w/wのような、約0.5% w/w〜約5% w/wの濃度で存在する。
【0049】
甘味料
本発明による組成物の官能特性を改善するために、1又はそれより多くの甘味料(例えば、糖アルコール(キシリトール、ソルビトール及び/又はイソマルトを含む)、又は例えばアスパルテーム、アセスルファム若しくはサッカリンのような人工甘味料)を添加してもよい。
【0050】
1又はそれより多くの甘味料の濃度は、存在する場合、通常、例えば約0.075% w/w〜約5% w/w又は約5%〜約35% w/w(例えば約10% w/w〜約35% w/w、約15% w/w〜約35% w/w又は約20% w/w〜約30% w/w)のような、少なくとも約0.05%である。
【0051】
抗酸化剤
ニコチンが酸化を受けることは周知である。したがって、本発明による組成物中に1又はそれより多くの抗酸化剤(例えば、パルミチン酸アスコルビル及び/又はアスコルビン酸ナトリウム)を組み込むことは有利であり得る。
【0052】
1又はそれより多くの抗酸化剤は、例えば約0.1% w/w〜約0.25% w/w又は約0.15% w/w〜約0.2% w/wのような、約0.05% w/w〜約0.3% w/wの濃度で存在し得る。
【0053】
矯味矯臭剤
本発明による組成物の官能特性を改善するために、組成物は、通常約0.5% w/w〜約12% w/w、約1% w/w〜約10% w/w、約1.5% w/w〜約9% w/w又は約2% w/w〜約8% w/wの濃度(矯味矯臭剤の合計濃度)で存在する1又はそれより多くの矯味矯臭剤(例えば、メントールフレバー、ユーカリ、ミントフレバー及び/又はL-メントール)を含み得る。
【0054】
直接打錠チューインガム(DCガム)
上記のように、本発明の重要な実施形態は、直接打錠(「DC」)チューインガムである。本明細書中の実施例に示したように、本発明者らは、直接打錠により製造したチューインガムが非常に好適に迅速開始するニコチン放出を有することを見出した。市販製品であるNicorette(登録商標)は、直接打錠により製造されておらず、初期相で遥かにより遅くニコチンを放出する。したがって、本発明者らは、従来適用されてきた、すなわち、ベーカリータイプ(Bakery type)の方法を用いて原材料を混合し、続いて押出し、コンディショニングし、ローラで伸ばし、溝をつけ、最後にガムシートを個々の片に割ることから直接打錠へニコチン含有チューインガムの製造方法を変更することによる特異的で驚くべき効果を見出した。
【0055】
重要なことに、組成物からのニコチンの迅速放出を得るためにはDC圧縮ニコチン含有チューインガムに特定のガム基材を用いることが不可欠であることを本発明者らは見出した。本明細書中の実施例で用いたガム基材に類似するか又は実質的に類似する特性を有するガム基材は、チューインガムをDCにより製造する場合に選択すべき品質として企図される。これは、そのようなガムは流動性及び圧縮性に関してより好適な特性、すなわち、例えば装置への接着やガム組成物の不正確な添加などなしにガムの圧縮を可能にするために重要である特性を有するという事実のためである。
【0056】
直接打錠チューインガムは、1又はそれより多くの許容され得る賦形剤(通常、医薬的に許容され得る賦形剤)と共にでの直接打錠に適切であるガム基材を用いることにより製造される。しかし、上記のように、所望の迅速放出を得るためには、適切な特性を有するガム基材を使用することが重要である。賦形剤は、錠剤製造のために医薬産業で通常に使用される賦形剤の群(すなわち、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などのような賦形剤)から選択される。この目的のため、直接打錠が可能な賦形剤が好ましい。Handbook of Pharmaceutical Excipients(Rowe、R. C.ら編、第4版、Pharmaceutical Press、London 2003)(これは参照により本明細書に組み込まれる)にガイダンスを見出し得る。
【0057】
適切な充填剤としては、セルロース及びセルロース誘導体(微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含む);ラクトース、デンプン(ポテトデンプン、トウモロコシデンプンを含む)などが挙げられる。
【0058】
適切な滑沢剤としては、ステアレート(ステアリン酸マグネシウムを含む)、タルク、コロイダル二酸化ケイ素などが挙げられる。
【0059】
種々の市販のガム基材の特性に関する情報は、ガム基材の供給業者から得ることができる。本発明によるチューインガムにおける使用に適切なガム基材は、顆粒状ガム基材の形態で得られる。具体例としては、例えばGumbase Company、Fertin、Gumlink、SPI Pharma、Cafosa、Avant-garde、ATP og Addvantech Pharmaにより提供されるガム基材が挙げられ、適切なガム基材としては、Gumbase CompanyのGumpowder PG 11 TA、Gumpowder PG 11 TA New、Gumpowder PG 5 TA、Gumpowder PG 5 TA New及びGumpowder PG N12 TAが挙げられる。他のガム基材は、SPI pharmaのPharmagum S、Pharmagum M及びPharmagum Cであり得、(特には上記のガムパウダー(Gumpowder)の1又はそれより多くとの組合せでの)ガム基材(Laim J TW A)が挙げられる。重要なことに、非崩壊性チューインガム組成物を導く単独のガム基材又はガム基材の組合せを用い、したがって、Pharmagumの基材は他のガム基材との組合せで使用する必要があり得る。
【0060】
本発明によるチューインガムにおける使用のためのガム基材は、通常、粉体又は顆粒の形態であり、例えば約0.9mm又はそれ未満、約0.8mm又はそれ未満、約0.7mm又はそれ未満、約0.6mm又はそれ未満或いは約0.5mm又はそれ未満のような、約1mm又はそれ未満の平均粒子サイズ(篩別により決定)を有する。
【0061】
ガム基材は、通常、本発明のチューインガム中に、例えば約30% w/w〜約80% w/w、約40% w/w〜約80% w/w又は約50% w/w〜約80% w/wのような、約25% w/w〜約80% w/wの濃度で存在する。
【0062】
本発明によるチューインガムにおいて、ニコチンは、通常、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約0.1% w/w〜約7.5% w/w、約0.1% w/w〜約5% w/w、約0.1% w/w〜約2.5% w/w、約0.1% w/w〜約1.5% w/w、約0.1% w/w〜約1% w/w、約0.12% w/w〜約0.8% w/w、約0.14% w/w〜約0.6% w/w又は約0.15% w/w〜約0.4% w/wのような、約0.1% w/w〜約10% w/wの濃度で存在する。
【0063】
より具体的には、ニコチンは、通常、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3〜約10mg、約3〜約7.5mg又は約3mg〜約5mgのような、約0.5mg〜約10mgの量で存在する。
【0064】
具体的実施形態では、チューインガムは、遊離ニコチン塩基として計算して1.5mgのニコチンを含有する。1.5mgの量は、2mgのニコチンを含有する市販のNicorette(登録商標)チューインガムより低い。ニコチンの量が低いのは、本発明によるチューインガムが、Nicorette(登録商標)2mgと比較した場合にAUCに関する生物学的等価性が1.5mgのチューインガムから得られる適切な様式でニコチンを放出するという観察に起因する。したがって、本発明によるチューインガムは、顕著に改善されたニコチンのバイオアベイラビリティーを有する;事実、バイオアベイラビリティーは30%増加する。このことは、所望の効果を得るために必要なチューインガム中のニコチン量の減少を導く。
【0065】
したがって、別の観点では、本発明は、Nicorette(登録商標)のバイオアベイラビリティーと比較して向上したバイオアベイラビリティーを有し、当該組成物とNicorette(登録商標)が遊離塩基として計算して同量のニコチンを含有していると仮定して、AUC0-無限大(試験組成物)/AUC0-無限大(Nicorette(登録商標))×100%で算出される相対的バイオアベイラビリティーとして表現される向上率が、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%又は少なくとも約150%のような、少なくとも120%である、ニコチン含有チューインガムに関する。
【0066】
具体的実施形態では、本発明によるチューインガムは、遊離ニコチン塩基として計算して、3mg又は5mgのニコチンを含有する。
【0067】
ニコチンは、ニコチン-セルロース組合せ(キャリア複合体又はキャリア付加物)の形態で存在する。キャリア複合体は、代表的には、WO 2004/05663(参照により本明細書中に組み込む)に記載のようなニコチン-微結晶性セルロースキャリア複合体である。微結晶性セルロースは、ニコチンが少なくとも一部に充填された空隙を含有する。1つの重要な利点は、ニコチン遊離塩基(すなわち、液体形態の)は空隙を容易に満たすことができるということである。
【0068】
ニコチンがニコチン-微結晶性セルロース組合せとして存在し、該微結晶性セルロースがAvicel(登録商標)などのような品質を有する場合、該組合せの濃度は、例えば約4% w/w〜約19% w/w、約5% w/w〜約18% w/w、約6% w/w〜約17% w/w、約7% w/w〜約16% w/w又は約8% w/w〜約15% w/wのような、約3% w/w〜約20% w/wである。
【0069】
更に、本発明者らは、直接打錠チューインガムの製造に使用する場合、例えば最大限約500μm、最大限約450μm、最大限約300μm又は最大限約200μm或いは約5〜約500μm、10〜約500μm、15〜約500μm、約20〜約500μm、約30〜約500μm、約40〜約500μm、約10〜約400μm、約20〜約400μm、約30〜約400μm、約40〜約400μm、約30〜約300μm、約40〜約300μm、約50〜約250μm、約50〜約200μm又は約75〜約200μmのような、低すぎず高すぎない平均粒子サイズを有する品質の微結晶性セルロースを用いることが有利であることを見出した。具体的実施形態では、使用する粒子サイズは、約100μmであった。
【0070】
上記のように、本発明による組成物は、例えば充填剤、結合剤、滑沢剤、緩衝化剤、安定化剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤、矯味矯臭剤、味覚マスキング剤、甘味料などのような、医薬的に許容され得る賦形剤を更に含んでなってもよい。
【0071】
チューインガム組成物において、適切な緩衝化剤は、炭酸水素塩(アルカリ金属の炭酸水素塩を含む)又は炭酸塩(アルカリ土類金属の炭酸塩を含む)である。
【0072】
存在する場合、例えばソルビトール及び/又はイソマルトのような糖アルコールは、例えば約10% w/w〜約35% w/w、約15% w/w〜約35% w/w又は約20% w/w〜約30% w/wのような、約5% w/w〜約35% w/wの濃度で使用し得る。
【0073】
上記のように、本発明による直接打錠組成物は、1又はそれより多くの接着防止剤、滑沢剤及び/又は1又はそれより多くの他の医薬的に許容され得る賦形剤を更に含み得る。
【0074】
具体的実施形態では、1又はそれより多くの接着防止剤、滑沢剤及び/又は流動促進剤は、タルク、ステアレート及びその塩(ステアリン酸マグネシウムを含む);シリカ並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0075】
具体的実施形態では、タルクは、例えば約1% w/w〜約8% w/w、約1.25% w/w〜約6% w/w又は約1.5% w/w〜約4% w/wのような、約0.5% w/w〜約10% w/wの濃度で存在し、及び/又はステアリン酸マグネシウムは、例えば約0.2% w/w〜約4% w/w、約0.3% w/w〜約3.5% w/w又は約0.5% w/w〜約3% w/wのような、約0.1% w/w〜約5% w/wの濃度で存在し、及び/又はシリカは、例えば約0.2% w/w〜約3% w/w、約0.3% w/w〜約2% w/w又は約0.4% w/w〜約1.5% w/wのような、約0.1% w/w〜約4% w/wの濃度で存在する。
【0076】
具体的実施形態では、本発明は、以下に関する。
i)キャリア;
ii)ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体若しくは誘導体
を含んでなり、
欧州薬局方(Ph.Eur)に記載のインビトロアッセイで20mlのリン酸緩衝剤(pH7.4)及び43サイクル/分の咀嚼頻度を用いて最初の2分以内に総組成の少なくとも7.5% w/wのニコチンを放出する、ニコチン含有ガム。
【0077】
i)キャリア;
ii)ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体若しくは誘導体
を含んでなり、
欧州薬局方に記載のインビトロアッセイで20mlのリン酸緩衝剤(pH7.4)及び43サイクル/分の咀嚼頻度を用いて最初の2分以内に総組成の少なくとも7.5% w/wのニコチンを放出し、直接打錠により作製された、ニコチン含有ガム。
【0078】
i)キャリア;
ii)ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体若しくは誘導体
を含んでなり、
欧州薬局方に記載のインビトロアッセイで20mlのリン酸緩衝剤(pH7.4)及び43サイクル/分の咀嚼頻度を用いて最初の2分以内に総組成の少なくとも7.5% w/wのニコチンを放出する、直接打錠ニコチン含有ガム。
【0079】
i)キャリア;
ii)ニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体若しくは誘導体
を含んでなり、
ヒト血清中のニコチン含量で測定した場合、ヒトによるインビボ取り込みが迅速である、ニコチン含有ガム。
【0080】
本明細書に記載のようなニコチン含有チューインガムを個体に送達する工程を含んでなる、個体にニコチンを送達する方法。
【0081】
i)キャリア及びニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物、複合体若しくは誘導体を含んでなり、ヒト血清中のニコチン含量で測定した場合、ヒトによるインビボ取り込みが迅速である、ニコチン含有組成物を製造する工程;
ii)ニコチン含有組成物を直接打錠して1又はそれより多くの直接打錠ガムを形成する工程
を含んでなる、ニコチン含有ガムの作製方法。
【0082】
i)ニコチン-セルロース組合せ(濃度範囲:0.5〜50% w/w)
ii)ガム基材(濃度範囲:20〜75% w/w)
iii)緩衝化剤(濃度範囲:0〜10% w/w、例えば2〜6% w/w)
iv)1又はそれより多くの人工甘味料(濃度範囲:0〜2% w/w、例えば0.1〜1% w/w)
v)1又はそれより多くの矯味矯臭剤(濃度範囲:0〜10% w/w、例えば2〜8% w/w)、及び
vi)1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤(例えば、糖アルコールのような甘味付与能力を有する充填剤のような充填剤)(濃度範囲:10〜75% w/w、15〜70% w/w、20〜75% w/w又は25〜50% w/wのような、0〜80% w/w)
を含んでなり、任意にコーティングを備えて提供されてもよい、ニコチン含有チューインガム組成物。
【0083】
チューインガムの観点に関する上記の全ての細目及び詳細の全般は、必要な変更を加えて、上記の具体的実施形態に適用される。
【0084】
他の観点
本発明はまた、本発明による組成物の製造方法に関する。具体的詳細は、本明細書中の実施例に見出すことができ、当業者は、例えば、適切な賦形剤を選択する方法及びそのような組成物の製造方法についての製薬ハンドブックから、ガイダンスを見出す方法を理解している。
【0085】
更なる観点では、本発明は、タバコ置換物としての又はニコチン禁断症状の緩和のための、本発明による組成物の使用に関する。
【0086】
本発明の別の観点では、本発明の組成物は医薬用途用である。
【0087】
下記の図及び非限定的実施例において、本発明をより詳細に説明する。
下記の図及び非限定的実施例において、本発明をより詳細に説明する。
【0088】
図面の説明
図1は、実施例2に例示したチューインガムのインビトロ溶解試験の結果を示す。
【0089】
図2は、実施例2に記載したように試験したDCチューインガムのインビボプロフィールを示す。
【0090】
図3は、1.5mgのニコチンを含有する本発明によるチューインガム及びNicorette(登録商標)2mgのインビボ血漿プロフィールを示す。
【0091】
図4は、Nicorette(登録商標)4mgと比較した、本発明による緩衝化又は非緩衝化DCニコチンチューインガムのインビボ血漿プロフィールを示す。
【0092】
図5は、本発明によるニコチンDCチューインガムの30℃及び65%RHでの安定性を示す(詳細については実施例5を参照)。
【0093】
図6は、欲求(craving)に関する実施例6の生物学的等価性研究の結果を示す。
【0094】
方法
インビトロ放出試験
本発明による組成物は、ニコチンのインビトロ放出に関して特定の要件を充足しなければならない。適切なインビトロ試験は問題の具体的組成物に依存する。すなわち、チューインガム組成物についての溶解試験は、通常、錠剤組成物の溶解試験とは異なる。一般に、当業者は、具体的組成物に関する該当する溶解試験を選択する方法に関するガイダンスを公式専門書(例えば、欧州薬局方)に見出す。下記に、チューインガム組成物の場合の適切な放出試験を説明する。
【0095】
チューインガム
使用する方法及び装置は欧州薬局方に従った。咀嚼装置は、チューインガム組成物が歯を表す2つの水平ピストンにより咀嚼される、20mLの咀嚼チャンバを含んでなる。この水平ピストンは、自軸の周りを回転することができ、このことにより確実に最大の咀嚼を可能とする。第3の垂直ピストン(舌を表す)と共に、それらは、一定スピードで動作する。ピストンは圧縮空気で駆動され、その動きは注意深く制御される。より詳細には、用いる解離媒体は、20mlのリン酸緩衝剤(pH=7.4)であり、43サイクル/分の咀嚼頻度を用いた。溶解試験は45分間行った。両顎間の距離は1mmであり、温度は37℃であった。
【実施例】
【0096】
実施例
実施例1
1.5mgのニコチンを含有する直接打錠チューインガム組成物A、B、C及びD
WO 2004/056363に記載のように、ニコチンを微結晶性セルロース(MCC)に吸収・吸着させた。したがって、本実施例では、2.40mlのニコチンを25mlのエタノール(99.5%)中に溶解した。47.6gのタイプPH-102のMCCを高速混合機中に投入し、ニコチンをゆっくりと加えた。得られた湿潤塊の真空乾燥後、きめの細かい、白色粉体のニコチン-微結晶性セルロースキャリア複合体を得た。次いで、これを、下記の表に示す成分(ステアリン酸マグネシウムを除く)と適切な混合機中で混合した。ステアリン酸マグネシウムを篩にかけて加え、得られる粉体混合物を、17mmパンチを備えた錠剤プレスを用いて錠剤に圧縮した。1.25gの平均質量を有するチューインガムを得た。
【0097】
【表1】

*用いたガムパウダーは、組成物AについてはGum powder PG 11 TA、組成物BについてはGum powder PG 11 TA New、組成物CについてはGum powder PG 5 TA、組成物DについてはGum powder PG 5 TA Newであった。
【0098】
香料として、例えばユーカリ油、ミントフレバー、メントールフレバーなど及びそれらの混合物を使用してもよい。
【0099】
実施例2
直接打錠チューインガム組成物からのニコチンのインビトロ放出
実施例1に記載のように製造した組成物A、B、C及びDのインビトロ放出を調べ、市販製品のNicorette(登録商標)及びNicotineII(登録商標)(共に2mgのニコチンを含有)のインビトロ放出と比較した。
【0100】
インビトロ溶解試験を、チューインガムについて上記したように行い、解離媒体中のニコチンの濃度をHPLC法により測定した。
【0101】
結果を図4に示す。
更に、組成物Aのニコチンのインビトロ放出を、WO 00/19977(Fuisz Technologies Ltd.)の製剤A及びNicorette(登録商標)のニコチンのインビトロ放出と比較し、下記に示した:
【0102】
【表2】

【0103】
結論として、本実施例は、直接打錠チューインガム組成物が、インビトロで、ニコチンの非常に急速な初期放出を提供することを示す。更に、初期放出は、公知の組成物と比較して遥かにより急速である。
【0104】
実施例3
DCからのニコチンのインビボ取り込みに対する緩衝剤の効果
インビボ研究により、口腔からのニコチンのより急速な吸収は、唾液のpHを7を超えるpHに調整することにより得ることができることが示された。
【0105】
以下の製剤を対象に投与した比較研究で、ニコチンのインビボ取り込みに対する緩衝剤の効果を試験した。製剤1、2、3及び4は、基本的に、実施例1の組成物Aのものと同じ成分を同じ量で有していた。ニコチンの含量を変えるため、及び緩衝剤物質を含ませるために、イソマルトの含量を適宜調整した。
【0106】
製剤1:4mgのニコチン、緩衝化(10mgの炭酸塩及び10mgの炭酸水素ナトリウム)
製剤2:4mgのニコチン、非緩衝化
製剤3:2mgのニコチン、緩衝化(10mgの炭酸塩及び10mgの炭酸水素ナトリウム)
製剤4:2mgのニコチン、非緩衝化
比較のために、Nicorette(登録商標)2mg及び4mgのチューインガムを含ませた。
【0107】
結果を図5に示す。結果は、本発明による組成物が、緩衝剤物質を有しないときでさえNicorette(登録商標)2mg又は4mg(これらはいつも比較目的に該当する)に相当するものより顕著に高いインビボ血漿濃度を生じるような、インビトロでニコチンの急速な初期放出を有することを示す。更に、本発明による組成物への緩衝剤物質の添加は、ニコチン吸収の向上を導く。換言すれば、本発明による組成物からのニコチンの初期の急速な接近可能性(accessibility)とは別に、ニコチンの顕著に増大した吸収がみられた。すなわち、本発明による組成物は向上したバイオアベイラビリティーを有する(例えば、AUC又はCmaxにより測定したとき)。
【0108】
本発明者らが行った更なる研究により、緩衝剤を有さずニコチンを1.5mgに相当する量で含有するDCガムは、2mgに相当する量のニコチンを含有するNicorette(登録商標)チューインガムと生物学的等価であることが示された(図6を参照)。
【0109】
実施例4
3mgのニコチンを含んでなるDCガム組成物
3mgのニコチンに相当する量を含有する3つの異なるチューインガム組成物を実施例1に本質的に従って製造した。1つの組成物は緩衝剤物質を含んでいなかった;別の1つは緩衝剤物質(すなわち、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの混合物)を含有していた。インビボ取込みを測定し(n=4)、結果を図7に示す。図7は、本発明によるDC組成物中のニコチン含量がNicorette(登録商標)より25%少ないニコチンを含有する場合でさえ、本発明によるDC組成物の全てがNicorette(登録商標)より良好に機能することを示す。
【0110】
実施例5
ニコチンの安定性に対する抗酸化剤の効果
組成物中のニコチンの安定性に対する抗酸化剤の効果を調べるために、0%、0.1%及び0.15%の抗酸化剤パルミチン酸アスコルビルをそれぞれ含有するDCガムについて、ニコチン分解産物であるシス-N-オキシド及びトランス-N-オキシドの量を測定した。2.5、5、6、13、15及び16週間のプラスチックバッグ中での貯蔵後に、組成物中のニコチン分解産物のレベルを測定した。ニコチン分解産物の量は逆相HPLCで決定した。
【0111】
結果を図8に示す。結果は、抗酸化剤を含ませることにより組成物中のニコチン分解が低下することを示す。
【0112】
実施例6
ニコチン-セルロース組合せを含んでなるチューインガム組成物のインビトロ放出及び生物学的等価性研究
以下のチューインガム組成物を、本質的に実施例1に記載したような直接打錠により製造した。
チューインガム組成物(A)は、1単位あたり3mgのニコチンを含有する被覆薬用チューインガムである。これは、白色〜オフホワイトで、被覆に依存しておよその総重量1.575g、高さ6.3mm及び直径18.0mmの凸型円形状である。チューインガム組成物(B)は、1単位あたり1.5mgのニコチンを含有する。
【0113】
【表3−1】

【表3−2】

1製造プロセスの間での損失を補償するために10%過剰
2製造プロセスの間に蒸発する
【0114】
ばら荷容器及び最終製品の包装
被覆チューインガム(最終製品)は、二重のポリエチレン製プラスチックバッグにばらで包装する。
【0115】
2つの異なる包みで最終的な提供をする:
i)20ピースのチューインガムを含有する、アルミニウムバッグ(Transofoil(登録商標) LL-OPET/ポリエチレン;ポリエステル12μm/アルミニウム9μm/ポリエチレン60μm製)
及び
ii)10ピースのチューインガムを含有する、アルミニウムブリスター(PVC/PVDC-フォイル 250μm/40g/m2 - 20μm標準アルミフォイル(保護ラッカー層及び熱シールラッカーを含む)製)。
【0116】
1.5mgのニコチン含量である以外は類似のチューインガム組成物を、上記の方法を用いてインビトロ放出に関して試験した。4つの異なるガム粉体を用いた。香料及び甘味料の含量に関しては組成物間では僅かな変動しかなかった。結果を、Nicorette(登録商標)2mgの結果と比較した。以下の結果が得られた:
【0117】
【表4】

【0118】
更に、生物学的等価性(BE)研究において、ニコチンチューインガム組成物(上記のような3mg組成物;図中では、ZonnicTM 3mgとも呼ぶ)をNicorette(登録商標)4mgと比較した。
【0119】
更に、1.5mg組成物及びNicorette(登録商標)2mgを、23人の喫煙者で行った消費者試験に供した。結果より、「最初の効果までの時間」(すなわち、咀嚼の開始後ニコチン効果を感じるまでにかかる時間)は、本発明による組成物については約120秒であり、一方Nicorette(登録商標)組成物については247秒であったことが示された。すなわち、本発明によるチューインガム組成物がNicorette(登録商標)より遥かに急速にニコチンを放出し、更に、必要とされる量がより少ないこと、すなわち、本発明の組成物からのより急速でより効率的なニコチンの放出が明確に示された。
【0120】
VASスケール(0-100)で、対象を「たばこ(cigarette)への欲求」について格付けした。投与5分前から投与10分後で、スコアは、本発明の組成物(1.5mgニコチン)について50ポイント低下したのに対し、Nicorette(登録商標)2mgについては33ポイント低下した。このこともまた、Nicorette(登録商標)と比較して、本発明の組成物からの遥かにより急速で効率的なニコチン放出を支持している。
【0121】
参考文献
本明細書中で言及する全ての特許及び刊行物は、本発明が属する分野の通常の知識を有する者のレベルを示すものである。全ての特許及び刊行物は、参照により、あたかも個々の刊行物の各々が具体的及び個別的に参照により組み込まれると示されているのと同程度に、本明細書中に組み込まれる。
【0122】
本発明及びその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の思想及び範囲を逸脱することなく、本明細書において種々の変更、置換及び改変をなすことができることを理解すべきである。更に、本出願の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態のプロセス、機器、製品、組成物、手段、方法及び工程に制限されることを意図していない。当業者は、本発明の開示から、形態と実質的に同じ機能を実行するか又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は将来開発されるプロセス、機器、製品、組成物、手段、方法又は工程が本発明に従って利用され得ることを容易に理解する。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機器、製品、組成物、手段、方法又は工程をその範囲内に含むと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】実施例2に例示したチューインガムのインビトロ溶解試験の結果を示す。
【図2】実施例2に記載したように試験したDCチューインガムのインビボプロフィールを示す。
【図3】1.5mgのニコチンを含有する本発明によるチューインガム及びNicorette(登録商標)2mgのインビボ血漿プロフィールを示す。
【図4】Nicorette(登録商標)4mgと比較した、本発明による緩衝化又は非緩衝化DCニコチンチューインガムのインビボ血漿プロフィールを示す。
【図5】本発明によるニコチンDCチューインガムの30℃及び65%RHでの安定性を示す。
【図6】欲求(craving)に関する実施例6の生物学的等価性研究の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の口腔への適用後にニコチン作用の急速な発生を達成するチューインガム組成物の製造のためのニコチン-セルロース組合せ及びガム基材の使用。
【請求項2】
前記組成物が、インビトロ放出試験に供したとき、該試験の開始後最初の2分以内に、1分あたり該組成物中の総含量の10% w/w又はそれより多くに相当する放出速度でニコチンを放出する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記チューインガム組成物が非崩壊性である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記発生が、前記対象の口腔への前記チューインガム組成物の適用後、例えば2.5分以内又は2分以内のような、3分以内に起きる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記口腔への適用が前記チューインガム組成物の咀嚼開始を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記ガム基材が、1又はそれより多くの脂質、ワックス、乳化剤、可塑剤、油及び/又は矯味矯臭剤を含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記チューインガム組成物が、1又はそれより多くの脂質、ワックス、乳化剤、可塑剤、油及び/又は矯味矯臭剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記ガム基材が直接打錠に適切である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記チューインガム組成物が直接打錠により製造されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記ガム基材が、Gum powder PG 11 TA、Gum powder PG 11 TA New、Gum powder PG 5 TA、Gum powder PG 5 TA New及びGum powder PG N12 TAを含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記ガム基材が粉体形態で用いられ、例えば約0.9mm又はそれ未満、約0.8mm又はそれ未満、約0.7mm又はそれ未満、約0.6mm又はそれ未満或いは約0.5mm又はそれ未満のような、約1mm又はそれ未満の平均粒子サイズ(篩別により決定)を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記チューインガム組成物中の前記ガム基材の濃度が、例えば最大限70% w/w、最大限60% w/w、最大限50% w/w、最大限40% w/w又は最大限35% w/wのような、最大限80% w/wである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記チューインガム組成物中の前記ガム基材の濃度が、例えば約30% w/w〜約80% w/w、約40% w/w〜約80% w/w又は約50% w/w〜約80% w/wのような、約25% w/w〜約80% w/wである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記試験の開始後最初の2分以内の放出速度が、1分あたり前記組成物中のニコチン総含量の、例えば12% w/w又はそれより多く、13% w/w又はそれより多く、14% w/w又はそれより多く或いは15% w/w又はそれより多くのような、11% w/w又はそれより多くである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記試験の開始後最初の2分以内の放出速度が、1分あたり前記組成物中のニコチン総含量の、例えば18% w/w又はそれより多く、19% w/w又はそれより多く、20% w/w又はそれより多く、21%又はそれより多く、22%又はそれより多く、23%又はそれより多く、24%又はそれより多く或いは25% w/w又はそれより多くのような、17% w/w又はそれより多くである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記組成物中のニコチン総含量の、例えば少なくとも70% w/wのような、少なくとも65% w/wが、前記チューインガム組成物をインビトロ放出試験に供したとき、5分以内に放出される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物中のニコチン総含量の、例えば少なくとも85% w/wのような、少なくとも75%が、前記チューインガム組成物をインビトロ放出試験に供したとき、10分以内に放出される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
ニコチン効果の発生が、対象が前記チューインガム組成物の咀嚼を開始した後、最大限2.5分のような、最大限5分である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記ニコチン-セルロース組合せ中のセルロースが内部の空隙及び/又は孔を含んでなる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記空隙及び/又は孔が、少なくとも部分的に、前記ニコチンを含んでなる、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記セルロースが、植物、藻、細菌、真菌又はこれらの組合せに由来するセルロースである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記セルロースが少なくとも0.7m2/gの表面積を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記セルロースが、微結晶性セルロースを含む結晶性セルロースである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記セルロースが微結晶性セルロースであり、該微結晶性セルロースはAVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20、EMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記微結晶性セルロースが合成若しくは半合成のセルロースであるか、又は天然セルロースに由来する、請求項23又は24に記載の使用。
【請求項26】
前記セルロースの平均粒子サイズが約15〜約250μmの範囲にある、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記ニコチンが少なくとも部分的に前記セルロースに吸収・吸着されている、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
前記チューインガム組成物中の前記ニコチン-セルロース組合せの濃度が、約2% w/w〜約98% w/w、約2%〜約96% w/w、約2% w/w〜約95% w/w、約3% w/w〜約90% w/w、約4% w/w〜約85% w/w、約5% w/w〜約80% w/w、約5% w/w〜約75% w/w、約5% w/w〜約70% w/w又は約7.5% w/w〜約65% w/wの範囲のような、少なくとも約2%である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
前記チューインガム組成物中の前記ニコチン-セルロース組合せの濃度が、例えば約4% w/w〜約19% w/w、約5% w/w〜約18% w/w、約6% w/w〜約17% w/w、約7% w/w〜約16% w/w又は約8% w/w〜約15% w/wのような、約2% w/w〜約20% w/wである、請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
前記チューインガム組成物中のニコチンの濃度が、例えば約0.5% w/w〜約45% w/w、約1.0% w/w〜約40% w/w、約1.5% w/w〜約35% w/w、約2% w/w〜約30% w/w、約2.5% w/w〜約25% w/w、約2.5% w/w〜約20% w/w、約3% w/w〜約15% w/wのような約0.1% w/w〜約50% w/wの範囲のような、少なくとも約0.1% w/wである、請求項1〜29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記チューインガム組成物中のニコチンの濃度が、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約0.1% w/w〜約14% w/w、約0.1% w/w〜約13% w/w、約0.1% w/w〜約12% w/w、約0.1% w/w〜約11% w/w、約0.1% w/w〜約10% w/wのような、約0.1% w/w〜約15% w/wの範囲にある、請求項1〜30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記チューインガム組成物中のニコチンの濃度が、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約0.1% w/w〜約7.5% w/w、約0.1% w/w〜約5% w/w、約0.1% w/w〜約2.5% w/w、約0.1% w/w〜約1.5% w/w、約0.1% w/w〜約1% w/w、約0.12% w/w〜約0.8% w/w、約0.14% w/w〜約0.6% w/w又は約0.15% w/w〜約0.4% w/wのような、約0.1% w/w〜約10% w/wである、請求項1〜31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記チューインガム組成物が、遊離ニコチン塩基として計算したとき、例えば約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約5mg又は約6mgのような例えば約1mg〜約8mg、約1.5mg〜約7.5mg、約2mg〜約5mg、約2.5mg〜約5mg、約3〜約10mg、約3〜約7.5mg又は約3mg〜約5mgような、約0.5mg〜約10mgのニコチン含量を有する、請求項1〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
前記チューインガム組成物が、遊離ニコチン塩基として計算して1.5mgのニコチンを含んでなる、請求項1〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
前記チューインガム組成物が、遊離ニコチン塩基として計算して3mgのニコチンを含んでなる、請求項1〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
前記チューインガム組成物が、遊離ニコチン塩基として計算して5mgのニコチンを含んでなる、請求項1〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
前記ニコチンが、ニコチン塩基、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチンモノ酒石酸塩、ニコチン重酒石酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物のようなニコチン塩化亜鉛及びニコチンサリチル酸塩からなる群より選択される、請求項1〜36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
前記ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンが遊離塩基形態である、請求項1〜37のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
前記チューインガム組成物が1又はそれより多くの緩衝化剤を更に含んでなる、請求項1〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記1又はそれより多くの緩衝化剤が、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、アルカリ金属のクエン酸塩のようなクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩及びホウ酸塩並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記1又はそれより多くの緩衝化剤が、例えば約0.75% w/w〜約4%、w/w、約0.75% w/w〜約3%、w/w又は約1% w/w〜約2% w/wのような、約0.5% w/w〜約5% w/wの濃度で存在する、請求項39又は40に記載の使用。
【請求項42】
前記チューインガム組成物が、キシリトール、ソルビトール、マルチトール及び/又はイソマルトを含む糖アルコールのような甘味料或いは例えばアスパルテーム、アセスルファム又はサッカリンのような人工甘味料を1又はそれより多く更に含んでなる、請求項1〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項43】
前記1又はそれより多くの甘味料の濃度が、例えば約0.075% w/w〜約5% w/w又は例えば約10% w/w〜約35% w/w、約15% w/w〜約35% w/w若しくは約20% w/w〜約30% w/wのような約5%〜約35% w/wような、少なくとも約0.05%である、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ベータカロチン、トコフェロール、没食子酸プロピルのような、抗酸化剤を1又はそれより多く更に含んでなる、請求項1〜43のいずれか1項に記載の使用。
【請求項45】
前記1又はそれより多くの抗酸化剤が、例えば約0.1% w/w〜約0.25% w/w又は約0.15% w/w〜約0.2% w/wのような、約0.05% w/w〜約0.3% w/wの濃度で存在する、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記チューインガム組成物が、例えばメントールフレバー、ユーカリ、ミントフレバー及び/又はL-メントールのような矯味矯臭剤を1又はそれより多く含んでなる、請求項1〜45のいずれか1項に記載の使用。
【請求項47】
前記チューインガム組成物中の矯味矯臭剤の総濃度が、約0.5% w/w〜約12% w/w、約1% w/w〜約10% w/w、約1.5% w/w〜約9% w/w又は約2% w/w〜約8% w/wである、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記ニコチン-セルロース組合せ中のニコチン又はその医薬的に許容され得る塩、溶媒和物若しくは複合体の濃度が、例えば最大限60% w/w、最大限50% w/w、最大限45% w/w、最大限約40% w/w、最大限約35% w/w、最大限約30% w/w、最大限約25% w/w、最大限約20% w/w、最大限約15% w/w、最大限約12.5% w/w、最大限約10% w/w、最大限約9.5% w/w、最大限約9% w/w、最大限約8.5% w/w又は最大限約8% w/wような、最大限70% w/wであり、該濃度はニコチン塩基として計算される、請求項1〜47のいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
前記ニコチン-セルロース組合せ中のニコチンの濃度が、例えば約4% w/w〜約19% w/w、約5% w/w〜約18% w/w、約6% w/w〜約17% w/w、約7% w/w〜約16% w/w又は約8% w/w〜約15% w/wのような、約3% w/w〜約20% w/wである、請求項1〜48のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
前記チューインガム組成物が、例えば充填剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、接着防止剤、緩衝化剤、安定化剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤、矯味矯臭剤、味覚マスキング剤、甘味料などのような、医薬的に許容され得る賦形剤を更に含んでなる、請求項1〜49のいずれか1項に記載の使用。
【請求項51】
前記1又はそれより多くの接着防止剤、滑沢剤及び/又は流動促進剤が、タルク、ステアレート及びステアリン酸マグネシウムを含むその塩、シリカ並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記チューインガム組成物が、例えば約1% w/w〜約8% w/w、約1.25% w/w〜約6% w/w又は約1.5% w/w〜約4% w/wのような、約0.5% w/w〜約10% w/wの濃度のタルクを含んでなる、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
前記チューインガム組成物が、例えば約0.2% w/w〜約4% w/w、約0.3% w/w〜約3.5% w/w又は約0.5% w/w〜約3% w/wのような、約0.1% w/w〜約5% w/wの濃度のステアリン酸マグネシウムを含んでなる、請求項50〜52のいずれか1項に記載の使用。
【請求項54】
前記チューインガム組成物が、例えば約0.2% w/w〜約3% w/w、約0.3% w/w〜約2% w/w又は約0.4% w/w〜約1.5% w/wのような、約0.1% w/w〜約4% w/wの濃度のシリカを含んでなる、請求項50〜53のいずれか1項に記載の使用。
【請求項55】
対象に投与後の前記チューインガム組成物が、例えば少なくとも約130%、少なくとも約140%又は約150%のような、少なくとも120%の、AUC0-無限大(試験組成物)/AUC0-無限大(Nicorette(登録商標))×100%(ただし、試験組成物及びNicorette(登録商標)は遊離塩基として計算される同量のニコチンを含有する)で算出される相対的バイオアベイラビリティーを有する、請求項1〜54のいずれか1項に記載の使用。
【請求項56】
ニコチン嗜癖の治療及び/又は予防のための、請求項1〜55のいずれか1項に記載の使用。
【請求項57】
ニコチン-セルロース組合せ及びガム基材を含んでなり、請求項1〜56のいずれかに規定される、チューインガム組成物。
【請求項58】
ニコチン-セルロース組合せを1又はそれより多くの医薬的に許容され得る賦形剤と混合し、得られる混合物を直接打錠によりチューインガムに成形することを含んでなる、請求項1〜56に規定のチューインガム組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−529343(P2009−529343A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558729(P2008−558729)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002344
【国際公開番号】WO2007/104574
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(505231420)ニコノヴァム エービー (4)
【氏名又は名称原語表記】NICONOVUM AB
【住所又は居所原語表記】Jarnvagsgatan 13,SE−252 24 Helsingborg,SWEDEN
【Fターム(参考)】