説明

ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤による癌治療の副作用の重症度を低下させるためのニコチン酸またはその前駆体もしくはプロドラッグ投与の有効性を予測するための方法

本願は、対象における癌の症状を治療または軽減するための方法であって、a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階;ならびにb)NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的/同時に前記対象を治療する;または2)NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続/同時治療の非存在下で、i)有効量のNAMPRTiにより前記対象を治療する段階を含む方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPRT)阻害剤のような治療剤による癌治療の副作用の重症度を低下させるためにビタミンPP化合物を投与することの有効性を予測するための方法において有用なバイオマーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPRT)の阻害はNF−kBの阻害を結果的に生じ、NF−kBの阻害は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の細胞内濃度の低下の結果である(Beauparlantら(2007)AACR−NCI−EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics,2007 Oct 22−26 Abstract nr A82;およびRoulsonら(2007)AACR−NCI−EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics,2007 Oct 22−26 Abstract nr A81)。腫瘍細胞は、DNAの修復、ゲノム安定性およびテロメア維持に必要な高いADPリボシル化活性により、NAMPRTの発現が上昇しNADターンオーバーの速度が速いため、NAMPRT阻害に対する感受性が正常細胞よりも高くする。このことはまた、将来の臨床試験に本発明の化合物をDNA傷害剤と併用して使用することの論理的根拠を与える。
【0003】
NAD生合成の経路を図1に示す。
【0004】
NAMPRTはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)およびNAD(P)の生合成に関与する。NADは哺乳動物細胞において、キノリン酸を介したトリプトファンから、ニコチン酸(ナイアシン)から、またはニコチンアミド(ナイアシンアミド)から出発する異なる3つの経路により合成され得る。
【0005】
キノリン酸は、肝臓、腎臓および脳において見られる酵素キノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼを用いてホスホリボシルピロリン酸と反応し、ナイアシンモノヌクレオチドを形成する。
【0006】
ニコチン酸(ナイアシン)は、様々な組織に広く分布する酵素ナイアシンホスホリボシルトランスフェラーゼを用いてPRPPと反応し、ナイアシンモノヌクレオチド(dNAM)を形成する。ニコチンアミド(ナイアシンアミド)は、同様に様々な組織に広く分布する酵素ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPRT)を用いてPRPPと反応し、ナイアシンアミドモノヌクレオチド(NAM)を生じる。
【0007】
それに続くモノヌクレオチドへのアデノシン一リン酸付加により、対応するジヌクレオチドの形成が生じる:ナイアシンモノヌクレオチドおよびナイアシンアミドモノヌクレオチドはATPと反応して、それぞれナイアシンアデニンジヌクレオチド(dNAD)およびナイアシンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を形成する。2つの反応は異なる経路において生じるが、同じ酵素NADピロホスホリラーゼにより触媒される。
【0008】
ナイアシンアデニンジヌクレオチド(dNAD)をナイアシンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)に変換するためには、さらなるアミド化段階が必要である。この反応を触媒する酵素はNAD合成酵素である。NADはナイアシンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P))の直接の前駆体である。この反応はNADキナーゼにより触媒される。詳細に関しては、例えば、Textbook of Biochemistry and Clinical Correlations,第3版,Devlin,T,Wiley,Brisbane 1992,pp.529−574のCory J.G.,Purine and pyrimidine nucleotide metabolismを参照されたい。
【0009】
正常細胞は通常、NAD(P)合成にナイアシンおよびナイアシンアミドの両前駆体、ならびに多くの場合、さらにトリプトファンまたはその代謝産物を利用することができる。したがって、マウスグリア細胞はナイアシン、ナイアシンアミドおよびキノリン酸を用いる(Grantら(1998)J.Neurochem.70:1759−1763)。ヒトリンパ球はナイアシンおよびナイアシンアミドを用いる(Carsonら(1987)J.Immunol.138:1904−1907;Bergerら(1982)Exp.Cell Res.137;79−88)。ラット肝細胞はナイアシン、ナイアシンアミドおよびトリプトファンを用いる(Yamadaら(1983)Int.J.Vit.Nutr.Res.53:184−1291;Shinら(1995)Int.J.Vit.Nutr.Res.65:143−146;Dietrich(1971)Methods Enzymol.18B;144−149)。ヒト赤血球はナイアシンおよびナイアシンアミドを用いる(Rocchigianiら(1991)Purine and pyrimidine metabolism in man VII Part B ed.Harknessら,Plenum Press New York pp337−3490)。モルモットの白血球はナイアシンを用いる(Flechnerら(1970),Life Science 9:153−162)。
【0010】
NAD(P)は、細胞に不可欠な様々な生化学反応に関与し、またそのため徹底的に研究されてきた。腫瘍の発達および成長におけるNAD(P)の役割も研究されてきた。多くの腫瘍細胞が細胞内NAD(P)合成にナイアシンアミドを利用することが見出されている。多くの正常な細胞型において代わりの前駆体を構成するナイアシンおよびトリプトファンは、腫瘍細胞においては利用され得ないか、または少なくとも細胞の生存に十分な程度までは利用され得ないと考えられている。ナイアシンアミド経路のみに存在する酵素(NAMPRTなど)の選択的阻害は、腫瘍特異的薬物の選択のための方法を構成する。抗癌剤として臨床研究されてきたNAMPRT阻害剤、すなわちFK866/APO866(Hasmann and Schemainda,Cancer Res 63(21):7463−7442を参照されたい)、CHS828/GMX1778およびそのプロドラッグEB1627/GMX1777(Hjarnaaら,Cancer Research 59;5751−5757;Binderup,Bioorg Med Chem Lett 15:2491−2494を参照されたい)がその例である。さらなるNAMPRT阻害剤は、国際公開第2006/066584号、同第2003/097602号、同第2003/097601号、同第2002/094813号、同第2002/094265号、同第2002/042265号、同第2000/61561号、同第2000/61559号、同第1997/048695号、同第1997/048696号、同第1997/048397号、同第1999/031063号、同第1999/031060号および同第1999/031087号に見られる。
【0011】
NAMPRT阻害剤の投与は胃腸毒性および骨髄抑制を伴う(Ravaudら,Eur J.Cancer 41:702−707;Hovstadiusら,Clin.Cancer Res.8:2843−2850;WO 1999/053920)。この毒性は至適用量以下のNAMPRTiの使用、プロドラッグの使用および経口投与から静注投与への切替えにより、ある程度回避されてきた(Binderupら,Bioorg Med Chem Lett 15:2491−2494)。この毒性は、主要なリンパ球および主要な腸細胞に対するNAMPRTi APO866の細胞毒性効果を中和するビタミンPP化合物により、かなり軽減され得る。残念ながら、ビタミンPP化合物は白血病細胞に対するNAMPRTi APO866の細胞毒性も中和し(国際公開第1999/053920を参照されたい)、またビタミンPP化合物ニコチン酸は、NAMPRTi投与の24時間後にニコチン酸が投与されなければ、骨髄腫に対するNAMPRTi GMX1777の抗腫瘍効果を無効にする(Beauparlantら,Anti−cancer drugs 20[5]:346−354)。Beauparlantらは、偶発的なNAMPRTiの過剰投与の場合にニコチン酸が有用であり得ることを示唆している。
【0012】
従来技術では、NAD代謝における酵素の略記の使用において一致していない。誤解を避けるために、本明細書では以下の酵素を扱う:
【0013】
【表1】

【発明の概要】
【0014】
本発明は、腫瘍細胞のような標的細胞におけるNAPRT発現が、ビタミンPP化合物、例えばニコチン酸、ニコチン酸前駆体、またはニコチン酸エステルのようなニコチン酸のプロドラッグなどによるNAMPRT阻害剤に対する防御のマーカーとして作用することを示す。この発見は、NAMPRT阻害剤による治療前または治療中における対象の層別化の新たな手段をもたらした。選択されたビタミンPP化合物、例えばニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグなど、および関連化合物を用いて、NAMPRT阻害剤の抗腫瘍活性を維持しながら、NAMPRT阻害剤の有害な副作用を軽減することができ;治療濃度域は、腫瘍のNAPRT発現が最も低いときに最も広い。
【0015】
したがって、腫瘍のNAPRT発現が低い場合、有効量のNAMPRT阻害剤とニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグを連続的または同時に投与することが有効であることが本発明者(ら)により見出された。
【0016】
したがって、第一の態様では、本発明は対象における癌の症状を治療または軽減するための方法に関し、この方法は、a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階;ならびにb)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階を含む。
【0017】
本発明はまた、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療に応答する患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用、ならびに有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の非存在下での有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)による治療が有効な患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用に関する。
【0018】
さらに本発明は、対象における癌の症状の治療または軽減のための薬物の調製におけるニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)の使用に関し、この治療は、a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階;ならびにb)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階を含む。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、有効量の前記NAMPRTiによる、対象における癌の治療において、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)の副作用を軽減するための方法に関し、この方法は、a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階;およびb)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、前記有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)による治療と連続的または同時に、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグにより前記対象を治療する段階を含む。いくつかの実施形態では、副作用は、リンパ球および主要な腸細胞のような正常細胞におけるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】NAD合成経路を示す図である(Biedermann Eら,国際公開第00/50399号より)。
【図2】高用量のAPO866処置に対するマウスの累積生存率を示す図である。処置は60mgのAPO866を1日2回、4日間である。NA=ニコチン酸。
【図3】40mg/kgのAPO866静注×2/日、4日間、±20mg/kgのニコチン酸(NA)経口×1/日、5日間で処置したマウスにおける、最終処置日の尾静脈血小板計数を示す図である(NA処置はAPO866処置の前日に開始)。比較のために媒体対照群を含めた。t検定の結果を図に示す。
【図4】皮下A2780異種移植片を有するマウスの累積生存率:各マウス個体の腫瘍が800mmのサイズに達するまでにかかった時間を示す図である。15または50mg/kg用量のAPO866×2/日を2回の週4日サイクルで、媒体経口または50mg/kgのニコチン酸(NA)と組み合わせて、マウスに腹腔内処置を行った。図の説明:各群を比較したログランク解析のp値が図示されている。
【図5】皮下ML−2異種移植片を有するマウスの累積生存率:各マウス個体の腫瘍が800mmのサイズに達するまでにかかった時間を示す図である。15または50mg/kg用量のAPO866×2/日を2回の週4日サイクルで、媒体経口または50mg/kgのニコチン酸(NA)と組み合わせて、マウスに腹腔内処置を行った。図の説明:各群を比較したログランク解析のp値が図示されている。
【図6】異なる癌細胞系におけるアクチンと比較したNAPRTのmRNA発現を示す図である。
【図7】培地に1mMのニコチン酸を添加するまたは添加しないCHS−828処置の3日後にCellTiterGlo(登録商標)により測定した、卵巣癌細胞系A2780における細胞生存能を示す図である。
【図8】培地に様々な濃度のニコチン酸を添加するまたは添加しない化合物1050処置の3日後にCellTiterGlo(登録商標)により測定した、結腸癌細胞系HCT116における細胞生存能を示す図である。
【図9】培地に1mMのニコチン酸を添加するまたは添加しない化合物1050処置の3日後にCellTiterGlo(登録商標)により測定した、小細胞肺癌細胞系NYHにおける細胞生存能を示す図である。
【図10】ニコチン酸により防御された細胞系(ML−2、HCT−116およびA431;それぞれ1、2および3)およびニコチン酸により防御されなかった細胞(A2780、NYHおよびPC−3;それぞれ4、5および6)におけるNAPRTのタンパク質レベルを示す図である。
【図11】ニコチン酸によりNAMPRT阻害剤から防御された細胞および防御されなかった細胞を示す図である;PC−3ではNAPRTに対して陽性反応性はない(図11のAおよびC);HCT−116細胞ではNAPRTに対して強い反応性がある(図11のBおよびD)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の方法
上で述べたように、本発明は特に、対象における癌の症状を治療または軽減するための方法に関し、この方法は、
a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階と、
b)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または
2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階と
を含む。
【0022】
段階a)
本発明の方法の鍵となる段階は、問題となっている対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPRT)のレベルを決定する段階である。本知見により、1)NAMPRT(NAMPRTi)阻害剤とニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグ、特にニコチン酸もしくはそのプロドラッグによる併用療法、または2)ニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグの非存在下でのNAMPRT(NAMPRTi)阻害剤による処置の治療ための対象の層別化および/または選択が可能となる。
【0023】
対象の層別化は、例えば、複数の患者、例えば少なくとも5人の患者、または少なくとも20人の患者、または少なくとも50人の患者からの医師によるデータにより設定される所定の閾値に基づく。
【0024】
したがって、閾値設定の基礎を築くためには、まず、存在する患者のコホートからデータを確立または入手して、その腫瘍組織のNAPRTレベルを決定する必要がある。腫瘍組織のNAPRTレベルは、問題の組織において、NAPRTを直接測定するかまたはより間接的にNAPRTレベルと関連する(または関連することが予想される)、数多くの方法の1つにより決定し得る。
【0025】
参照するコホートは、腫瘍タイプ、年齢、性別または疾患の重症度の1つ以上、特に腫瘍タイプに一致することが望ましい。
【0026】
しかし、一変形においては、ヒト母集団において腫瘍組織とは異なる組織タイプのNAPRTレベルに基づいて閾値を設定し得る。これは、同様のまたは同一の患者であり得、または代わりに健常な対象であり得る。しかし、閾値は、問題の腫瘍組織と同じ腫瘍組織のような組織におけるNAPRTレベルに基づいて設定し、同じ癌の兆候を有する複数の患者から入手することが好ましい。
【0027】
(問題の患者の)問題の組織における、および閾値設定のためのNAPRTレベルは、例えばRT−PCRを用いて、mRNAレベルで決定し得る。別の変形では、例えば抗体ベースのアプローチを用いて、より直接的にNAPRTレベルを決定する。さらに、機能的酵素活性に基づいてNAPRTレベルを決定し得る。腫瘍細胞におけるNAPRT活性の減少はいずれも、少ない酵素量、酵素の不活性変異体またはスプライスバリアントにより引き起こされ得るが、これは配列決定により検出することができる。このような方法は当業者に公知である。さらなる変形では、腫瘍におけるそのレベルがNAPRTレベルと相関すると予想される、ナイアシンモノヌクレオチド(dNAM)およびナイアシンアデニンジヌクレオチド(dNAD)の一方または両方のレベルを決定することにより、NAPRTレベルを決定し得る。
【0028】
いくつかの変形では、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)レベルを、例えばRT−PCRなどによる、NAPRTをコードする核酸のレベルに基づいて決定する。
【0029】
他の変形では、ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)レベルを、例えばNAPRTに対する特異的抗体またはその他の特異的結合パートナーに基づくアッセイなどによる、タンパク質のレベルに基づいて決定する。
【0030】
NAPRTレベルは、対象の腫瘍組織または腫瘍細胞から直接的または間接的に決定し得ることが理解されるべきである。正確なNAPRTレベルを決定するのに必要な腫瘍組織または細胞の量は、腫瘍もしくは腫瘍細胞の少量の試料から大量の試料、または代わりに腫瘍全体まで様々であり得、使用する特定のアッセイおよびその感度によって決まるが、これらはすべて当業者に公知である。いくつかの実施形態では、NAPRTレベルを、腫瘍もしくは腫瘍細胞内もしくはその付近の生物試料から、および/または対象の特定の腫瘍もしくは腫瘍細胞に応じて、腫瘍組織もしくは腫瘍細胞におけるNAPRTレベルの指標となる他の生物試料、例えば血液、血清、尿、毛髪、唾液、皮膚、組織、血漿、脳脊髄液(CSF)、羊水、乳頭吸引液、痰、糞便、滑液、爪などから決定する。
【0031】
発現レベルは通常、低値、中間値および高値の間に分布する。低値、中間値および高値であると判定されるものは、例えば、出生前診断で使用される生化学的マーカーと同様に、任意の特定の治療センターにより適用される基準によってある程度任意に指定されることが理解されるであろう。しかし、本発明に従って、新たな対象におけるNAPRTの閾値レベルを決定し、収集されたデータと比較して予測または用量を確立する限り、このことによりこの方法の実施が妨げられることはない。
【0032】
本発明の方法の大部分の実施形態では、NAPRTレベルを決定する段階の次に、対象とする対象における前記レベルを、患者のコホートにおいて決定されたように、値に基づき予め設定された閾値レベルと比較する段階がある。
【0033】
比較の段階は歴史的なのデータに基づいて行われ得ること、また上記方法を実施するごとにそのコホートに対する決定を繰り返す必要はないことが理解されるであろう。
【0034】
いくつかの実施形態では、閾値よりも低い値が、コホートの分布の下位3分の1、好ましくは下位4分の1の対象により表されるように、所定の閾値を設定する。
【0035】
段階b)
本発明の第二段階では、対象とする対象のNAPRTレベルを所定の閾値と比較する。この比較により、NAMPRTi治療の副作用の重症度を軽減するためにニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグ(例えば、ニコチン酸)を用いることが有効であるか否か(すなわち、レベルが閾値未満である場合)、またはニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグ(例えば、ニコチン酸)の非存在下でNAMPRT阻害剤を、好ましくは低い初回用量で投与することが有効であるか否かを決定するための基準が与えられる。
【0036】
後者の場合、治療の副作用をモニターすることが可能であり、かつ副作用を軽減するために、NAMPRTi投与の24時間以上後にニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグ(例えば、ニコチン酸)を使用することが可能である。
【0037】
したがって、上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグにより連続的または同時に前記対象を治療すること。
【0038】
同様に、上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療すること。
【0039】
一実施形態では、段階b)2)における有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の非存在は、連続的であり、かつ治療の24時間以内である。
【0040】
別の実施形態では、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる段階b)における治療に続いて24時間後に前記対象を治療する、上記請求項のいずれか1つによる方法。
【0041】
治療法のいくつかの変形では、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)を、前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグの前に投与する。
【0042】
治療法の他の変形では、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)を、前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグの投与と同時に投与する。
【0043】
NAMPRT阻害剤
癌およびその他の疾患の治療での使用に適するNAMPRT阻害剤は、当該技術分野で公知である。NAMPRTの阻害剤の例は、国際公開第2009/086835号、同第2009/156421号、同第2010/023307号、同第2010/066709号、国際出願PCT/EP2010/058102号、国際公開第2006/066584号、同第2003/097602号、同第2003/097601号、同第2002/094813号、同第2002/094265、同第2002/042265号、同第2000/61561号、同第2000/61559号、同第1997/048695号、同第1997/048696号、同第1997/048397号、同第1999/031063号、同第1999/031060号および同第1999/031087号において見られる。
【0044】
NAMPRT阻害剤の特に興味ある例は、以下のものを含む:
【0045】
【化1】


【化2】

【0046】
上記化合物またはその薬学的に許容される塩はすべて、本発明に従って使用し得る。
【0047】
ニコチン酸、ニコチン酸前駆体およびニコチン酸のプロドラッグ
NAMPRT阻害剤の副作用を軽減するためのビタミンPP化合物(ニコチン酸および誘導体を包含する)の使用は、国際公開第1999/53920号において教示されている。この明細書に記載されている、NAMPRT阻害剤からの細胞の防御におけるNAPRTの重要な役割の知見を考慮すれば、本発明は、ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグ、例えばニコチン酸が使用される場合に特に適切であると思われる。
【0048】
ニコチン酸(ナイアシン)
【化3】

ニコチン酸のプロドラッグは当該技術分野で公知である。いくつかの例を以下に示す。
【0049】
【化4】

【0050】
好適な実施形態では、ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグはニコチン酸である。
【0051】
腫瘍の治療
本発明は、任意の対象、特にヒトのような哺乳動物の治療に関する。この方法は、対象(特にヒト)が癌であると診断された場合、または対象が癌を有することが疑われる場合に特に適切であることが理解されるべきである。
【0052】
最も典型的な実施形態では、癌は乳房、前立腺、肺、結腸、子宮頸部、卵巣、皮膚、CNS、膀胱、膵臓、白血病およびリンパ腫の癌から選択される。
【0053】
治療法は放射線療法をさらに含み得る。
【0054】
本明細書に記載の癌治療は抗癌剤、好ましくはNAMPRT阻害剤を必要とするが、この治療は、本明細書に記載の追加の治療剤、非治療剤または化学療法剤も含み得る。
【0055】
NAMPRT阻害剤の使用を含む治療レジメンへの言及は、NAMPRT阻害剤と1つ以上の化学療法剤の使用からなる治療レジメンのみならず、NAMPRT阻害剤、本明細書に記載の1つ以上の化学療法剤および1つ以上の追加の治療剤または非治療剤の使用を含むレジメンも含む。
【0056】
一実施形態では、治療法は、前記対象に有効量のDNA傷害剤を投与することをさらに含む。DNA傷害剤の例は、例えばクラドリビン、ペントスタチン、メトトレキサート、トリメトレキサート、グルクロン酸塩、ペメトレキセド、トレオスルファン、ブスルファン、ダカルバジン、テモゾロミド、マイトマイシンC、クロラムブシル、イホスファミド、メルファラン、チオテパ、メクロレタミン、カルムスチン、ベンダムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、ロバプラチン、オキサリプラチン、ブレオマイシン、ヒドロキシウレア、アクチノマイシンD、アザシチジン、デシタビン、ネララビン、シタラビン、フルダラビン、クロファラビン、ボリノスタット、ゲムシタビン、5‐フルオロウラシル、カペシタビン、フロクスウリジン、ラルチトレキセド、ペメトレキセド、イリノテカン、トポテカン、アムルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、バルルビシンおよびアロプリノールならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択されるものである。
【0057】
本明細書で使用される場合、治療への言及は、腫瘍細胞の殺作用または増殖阻害のための任意の治療を含む。これは、腫瘍の重症度を軽減することを意図した治療、例えば、腫瘍を治療することまたは腫瘍に関連した症状の軽減をもたらすことを意図した治療などを含む。それはまた、腫瘍が発達する危険性のある個人における腫瘍発達の防止または停止に向けた予防的治療も含む。例えば、治療は、微小転移が多過ぎて従来の手段では検出できなくなる前にそれらを撲滅することに向けられ得る。
【0058】
上記のことを考慮して、本発明は、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグでの連続または同時治療に応答する患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用も提供する。
【0059】
本発明はさらに、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の非存在下での有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)による治療が有効な患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用を提供する。
【0060】
さらに、本発明は、対象における癌の症状の治療または軽減のための薬物の調製におけるニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)の使用を提供し、この治療は、
a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階と、
b)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または
2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階と
を含む。
【0061】
用量
一実施形態では、医薬組成物は各活性化合物の単位投与剤形である。このような実施形態では、各単位投与剤形は通常、0.1〜500mg、例えば0.1〜200mg、例えば0.1〜100mgなどの各化合物を含む。
【0062】
より一般的には、各化合物は、1日に体重1kg当たり約0.1〜250mg、例えば1日に体重1kg当たり約0.5〜100mgなどの量で投与するのが好ましい。
【0063】
いくつかの実施形態では、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグを、約1mg/日〜約3,000mg/日、例えば約10mg/日〜約1,000mg/日の範囲、例えば約10g/日〜約100mg/日の範囲などの用量で静脈内に投与する。
【0064】
いくつかの変形では、ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグを経口投与する。
【0065】
全身的使用のための経口投与に適合した組成物では通常、治療される疾患に応じて1用量当たり0.5mg〜1gの各化合物の用量を1日に1〜4回、1週間〜12ヶ月間投与する。
【0066】
疾患または状態を予防するための組成物の経口投与のための各化合物の用量は通常、1日に体重1kg当たり1mg〜100mgである。この用量を、疾患への曝露の1週間前から始めて曝露の4週間後までの期間に、毎日1回または2回投与し得る。
【0067】
疾患予防のための直腸内使用に適合した組成物では、若干高い量、すなわち、1日に体重1kg当たり約1mg〜100mgの各化合物が通常好ましい。
【0068】
非経口投与では、1日に体重1kg当たり約0.1〜約100mgの各化合物の用量が好都合である。静脈内投与では、1日に体重1kg当たり約0.1mg〜約20mgの各化合物の用量を1日〜3ヶ月間投与するが好都合である。関節内投与では、1日に体重1kg当たり約0.11mg〜約50mgの各化合物の用量が通常好ましい。一般的な非経口投与では、各有効成分が0.5〜2%以上の水性媒体の溶液を用い得る。
【0069】
皮膚への局所投与では、約1mg〜約5gの各化合物の用量を1日に1〜10回、1週間〜12ヶ月間投与するが通常好ましい。
【実施例】
【0070】
材料および方法
細胞系:HCT−116、ML−2、A431、PC−3、T24およびA2780をATCCから入手した。NYHはGLC−2として既に記載されている(Cancer Res.1985 Dec;45(12 Pt l):6024−33)。
【0071】
クローン形成法:細胞を異なる濃度のAPO866と共に、100μMのニコチン酸を加えるかまたは加えずにインキュベートし、ヒツジ赤血球および増殖培地を含む半固体寒天基質上に播種した。3週間のインキュベーション期間後、コロニーを数え、対照(未処置)細胞に対する%生存率を計算した。異なる濃度のAPO866における生存率に基づき、IC50値を計算した。
【0072】
マウス実験:毒性および異種移植実験において、NMRIマウスおよびヌードマウスをそれぞれ、1日1回、水中0.5%のHPMCまたは同じ媒体中のニコチン酸を経口で、3%HPβCDを含むPBS/生理食塩水中のAPO866の1日2回の注射と組み合わせて処置した。マウスは2回の週4日サイクルで処置した。
【0073】
異種移植実験では、PBS/マトリゲル混合物中の10個の癌細胞を、胸腺欠損ヌードマウスに皮下注射した。腫瘍が成長し始めるまでマウスを毎日観察し、腫瘍体積が約100mmになったとき、上記のようにニコチン酸およびAPO866による処置を開始した。
【0074】
mRNA定量化:細胞からのmRNAをTrizol(Invitrogen)標準プロトコールを用いて精製し、High Capacity cDNA Archiveキット(Applied Biosystems)によりcDNAを作製した。発現をアクチンおよびNAPRTに対するプローブならびにTaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)を用いて7500 RT−PCRシステム(Applied Biosystem)で解析した。データをPeirsonら(Nucleic Acids Res.2003 JuI 15;31(14):e73)により記載されている方法で解析した。
【0075】
CellTiterGlo(登録商標)発光細胞生存アッセイ:細胞を使用の24時間前に不透明96ウェルプレート中に播き(5,000細胞/ウェル)、次いでニコチン酸(Invitrogen)を培地に添加するかまたは添加せずに、示された濃度で薬物と共に72時間インキュベートした。CellTiterGlo(登録商標)アッセイ(Promega)を製造者の説明書に従って行い、生物発光を測定した。解析およびIC50値の決定をPrizmにより行った。
【0076】
ウエスタンブロット解析
細胞を20mM NaCl、25mM MOPS、2mM EDTA、2mMオルトバナジウム酸ナトリウム、0,1%NP−40、10%グリセロールおよび1%Ettan(商標)プロテアーゼ阻害剤混合物(Amersham)を含有する緩衝液中で、超音波処理を用いて溶解させた。タンパク質濃度をBio−Rad Protein Assay(Bio−Rad)により製造者の説明書に従って決定した。NuPAGE Novex BisTris(XCeII SureLock(商標))システム(Invitrogen(登録商標))を用いて、タンパク質をSDS−PAGEにより分離しニトロセルロース膜にブロットした。NAPRT一次抗体(ProteinTech Group、#13549−1−AP)を1:500の希釈で、次いで抗ウサギHRPコンジュゲート抗体(Amersham)を1:5000の希釈で用いた。HRPコンジュゲートGAPDHヤギ−抗体をSantaCruz(登録商標)から購入し、1:2000の希釈で用いた。HRPコンジュゲート抗体の検出をECL Plus(登録商標)Blotting Agent(Amersham)により行った。
【0077】
免疫組織化学解析
ホルマリン固定およびパラフィン包埋の前に、血漿およびトロンビンを用いて細胞ペレットを凝集させた。熱によるNAPRTのエピトープ回復のためにクエン酸溶液(pH6)を用いた。3%H溶液を加えて、内因性のペルオキシダーゼ活性をブロックした。一次抗体添加の前にスライドを1%BSA中でプレインキュベートした(インキュベーション:1時間、室温、1:500)。検出のために、Envision(登録商標)(DAKO、Glostrup、Denmark、K4011)抗ウサギおよびジアミノベンジジン/DAB+(DAKO、K3468)を加えた。最後に、Mayerのヘマトキシリンを用いてスライドを対比染色した。反応性(赤褐色)と非反応性(青色)を白黒で区別し視覚化するために、PhotoShop CS3(Adobe Systems Inc、San Jose、CA、USA)での「白黒」調整を、「ハイコントラストブルーフィルター」(プリセット設定:赤、黄および緑:−50%、シアン、青およびマゼンタ:150%)を一律に用いて、帯赤色が帯青色に比べて暗く染色されるように行った。
【0078】
マウスにおける最大耐量のAPO866に対するニコチン酸の効果
Balb/cヌードマウスにおけるAPO866の最大耐量(MTD)は15mg/kgで1日2回である(データ不掲載)。本発明者らは、ニコチン酸経口投与がどの程度までマウスをAPO866による死から防御し得るかを調べた。本発明者らは、マウスに60mg/kgのAPO866を1日2回、4日間連続で、50mg/(kg・日)のニコチン酸と併用して経口処置し、また対照群には経口による媒体のみを投与した。図2からわかるように、対照マウスの大部分が3日目および4日目に死亡した。しかし、最初の中毒を生き延びた場合、マウスは回復する(7匹中、1匹)。それに比べて、ニコチン酸で処置した群のマウスはすべて、実験を終了する26日目までAPO866投与を生き延びた。本発明者らは、血小板計数に対するニコチン酸レスキューの効果を調べた(図3)。本発明者らは、APO866処置における血小板計数が、対照に比べてニコチン酸投与群において有意に改善されることを見出した。
【0079】
インビトロでのAPO866に対するニコチン酸による防御
増殖培地へのニコチン酸の添加は、代替経路によりニコチンアデニンジヌクレオチド(NAD)を合成することで、APO866を含めたニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPRT)阻害剤の細胞毒性効果から防御し得る。癌細胞系であるHEPG2は、NAD合成にニコチン酸を利用できないことが示されている(Cancer Res.2003 Nov 1;63(21):7436−42)。本発明者らは、異なる起源の細胞系のパネルにおいて、APO866誘導性細胞死からのニコチン酸の防御効果を調べた。細胞系は、APO866に対して1〜13nMの間のIC50値で感受性であった。本発明者らは、クローン形成法においてAPO866による継続処置を用いた。2つの細胞系A2780およびNYHは、100μMのニコチン酸を含有する培地中でインキュベートした場合、APO866から防御されなかった(表1)。ML−2、HCT−116およびA431細胞は、ニコチン酸含有培地において、標準培地に比べて40〜90倍を超えるIC50値の増加を示している。培地への100μMのニコチン酸の添加それ自体は、細胞生存率への影響がなかった(データ不掲載)。
【0080】
A2780およびML−2異種移植のAPO866処置に対するニコチン酸の防御効果
本発明者らは、A2780およびML−2細胞の異種移植腫瘍を有するヌードマウスに対するニコチン酸のインビボレスキュー効果を調べた。APO866を1日2回、週4日のサイクルで2週間、腫瘍が100mmのサイズに到達した時点から始めて投与した。A2780異種移植に対して15mg/kgのMTD用量のAPO866を腹腔内に処置することにより、対照群に比べ、50%の生存期間(%ILS−800mmの腫瘍サイズまで)増加が得られた(図4)。これに比べて、50mg/kgの腹腔内APO866と50mg/kgの経口ニコチン酸による併用処置では、180の%ILS増加が得られた。興味深いことに、A2780細胞はニコチン酸を利用することができないが、本発明者らは、50mg/kgのニコチン酸が15mg/kgの低用量APO866の抗増殖性効果を打ち消すことを見出した。実験期間中、群間での体重の有意な差はなかった(データ不掲載)。APO866のみによるML−2異種移植の処置は非常に効果的であり、10日目より前に腫瘍が完全に除去された(図5)。ニコチン酸を共投与した場合、同じAPO866用量の抗増殖性効果は部分的に打ち消され、大部分の腫瘍が存続する。15mg/kgのAPO866とニコチン酸の組合せを投与したマウスにおける生存率は、対照と有意な差がなく(p=0.14)、APO866の用量を50mg/kgまで増加させ、ニコチン酸と併用しても、腫瘍サイズに対する効果はこの群に比べて有意に改善されることはない(p=0.97)。しかし、APO866とニコチン酸による50mg/kgの処置は、未処置対照と比べて腫瘍成長を減少させた(p=0.002)。実験群間において、体重変化における全体的な差は見られなかった(データ不掲載)。
【0081】
癌細胞における多様なNAMPRT阻害剤のニコチン酸レスキュー
本発明者らは、上記所見がNAMPRTiに一般的に適用可能であって、APO866に特異的ではないことを示すために、様々なNAMPRT阻害剤で処置した腫瘍細胞に対するニコチン酸のインビトロレスキュー効果を調べた。図7に示す結果は、卵巣癌細胞系A2780が、ニコチン酸によりNAMPRT阻害剤CHS828の細胞毒性からわずかにレスキューされることを示している。このことは、表1にまとめたAPO866で処置したA2780の結果と一致している。図8および9の結果は、ニコチン酸がNAMPRT阻害剤である化合物1050による処置からHCT116結腸癌細胞をレスキューし得るが、NYH小細胞肺癌細胞は同じようには防御されないことを示している。このことも同様に、表1に示す上記細胞系におけるAPO866の結果と一致している。
【0082】
表1.ニコチン酸によるAPO866からのインビトロ防御を示す。レスキュー効果はAPO866処置に対するIC50の39倍超の増加として定義される。レスキュー効果なしは2倍未満のIC50増加として定義される。NA=ニコチン酸。
【表2】

【0083】
NAPRT発現は癌細胞におけるニコチン酸レスキュー用のマーカーである
APO866細胞毒性からのニコチン酸レスキューに対する論理的根拠は、基質としてニコチン酸を有する代替NAD合成経路の利用である。この経路の最初の段階は、酵素ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)により触媒される。本発明者らは、癌細胞系のパネルにおいてNAPRTのmRNA発現を調べた。本発明者らは、NAPRTの発現が、ニコチン酸によりレスキューされる細胞系において最も高く、APO866から防御されない細胞系において最も低いことを見出す(図6)。ML−2細胞における発現は、A2780細胞において見られる発現よりも24倍高い。
【0084】
ニコチン酸を利用しない細胞はタンパク質レベルでNAPRTを発現しない
NAMPRT阻害剤に対する防御のためにニコチン酸を利用する能力を有する細胞系または有さない細胞系を同定した後、本発明者らは、ニコチン酸からのNAD合成における律速段階であるタンパク質レベルのNAPRTを調べた。注目すべきことに、本発明者らは、PC−3細胞では、APO866に対するLD50値がニコチン酸により影響されないことを見出した(ニコチン酸(100μM)なしで4.8±3.0nM、有りで5.5±1.4nM)。本発明者らは、ニコチン酸により防御される細胞系(ML−2、HCT−116およびA431)ではNAPRTが発現されるのに対し、ニコチン酸により防御されない細胞(A2780、NYHおよびPC−3)では検出可能なNAPRTタンパク質が存在しないことを見出した(図10)。さらに、本発明者らは、この違いが免疫組織化学により観察可能か否かを調べた。本発明者らは、NAPRTに対して、PC−3細胞(図11のAおよびC)では陽性反応性が見られないのに対し、HCT−116細胞(図11のBおよびD)では強い反応性が見られることを見出した。したがって、ニコチン酸によりNAMPRT阻害剤から防御される細胞と防御されない細胞は、ウエスタンブロット法および免疫組織化学を用いて、NAPRTの発現レベルにより明確に区別することができる。
【0085】
腫瘍細胞に対するAPO866の細胞毒性効果は、細胞NADレベルの減少に起因する。本発明者らは、マウスにおいて、ニコチン酸の添加による代替NAD合成経路の活性化がインビボで副作用および死亡から防御し得るか否かを調べた。ニコチン酸はマウスにおいて、APO866と同じ日に投与した場合、通常のMTDの4倍のAPO866でも死亡から防御する。副作用の主要なマーカーである血小板減少症も改善される。この点において、偶発的な過剰投与により引き起こされるAPO866中毒に対する解毒剤としてニコチン酸を使用することができる。このことはNAMPRT阻害剤GMX1777に関しても既に見出されており、ニコチン酸の防御効果がNAMPRT阻害剤に対して一般的に有効であることを示している(Beauparlantら,Anti−cancer drugs 20[5]:346−354)。またこれらの結果は、APO866の用量制限毒性が標的特異的であることも示している。これにより、APO866が併用治療に適したものとなり得る。
【0086】
APO866の作用機序が発見されたとき、HEPG2細胞によるニコチン酸の防御効果の欠如は、驚くべきことではあるが、稀な例であると認識された。しかし、本発明者らは意外にも、癌細胞系の広範なパネルにおいて、ニコチン酸を利用してNADを合成し、NAMPRT阻害剤から防御する能力は、60%の細胞系においてのみ見られることを見出す。このことは、ニコチン酸と併用処置した場合、APO866を通常のMTDよりも4倍高い用量で使用し得るという事実を利用する可能性も開く。本発明者らは、ニコチン酸と高用量のAPO866で併用処置した場合、A2780異種移植マウスにおいて%ILSが劇的に増加することを示している。このことは、ニコチン酸を利用することができない腫瘍におけるより優れた治療の機会を示している。低濃度のAPO866において、ニコチン酸はA2870細胞がそれを利用できなくてもいくらかの防御を示すことは注目すべきことである。これは、ニコチン酸のニコチンアミドおよびニコチンアミドモノヌクレオチドへの局所的または全身的な変換が、これらの代謝産物の循環血中濃度を、APO866処置を阻害するのに十分なだけ増加させることに起因し得る。本発明者らはまた、ML−2の異種移植において、ニコチン酸との併用処置がAPO866の抗増殖性効果を完全に無効にすることも示している。このことは高濃度のAPO866においても見られる。このことは、ニコチン酸による防御のマーカーの必要性を強調している。論理的には、細胞がニコチン酸を利用する能力は、NAD合成に関与する酵素の発現レベルに起因し得る。NAPRTは、ニコチン酸からのNAD合成の第一段階であり、この酵素はAPO866により阻害されない。本発明者らは、mRNAレベルでのNAPRT発現がニコチン酸による防御と相関することを見出した。本発明者らは、NAPRTの発現が高用量のAPO866とニコチン酸による併用治療に適した癌の同定のためのマーカーであることを提唱する。このことは腫瘍組織または生検におけるNAPRTのmRNA発現の検出に由来し得る。さらに、ニコチン酸を利用しない腫瘍を同定するための代替法としての免疫組織化学、ELISAまたはその他の抗体ベースの検出法によりタンパク質レベルを検出し得る。同時に、ニコチン酸によるAPO866の用量耐性の増加、ならびにニコチン酸によりAPO866およびその他のNAMPRT阻害剤から防御されない腫瘍の同定の可能性は、層別化された癌患者サブグループにおけるNAMPRT阻害剤治療の可能性を高め得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌の症状を治療または軽減するための方法であって、
a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階と、
b)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または
2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階
とを含む方法。
【請求項2】
段階b)1)におけるi)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)と、ii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる前記連続または同時治療が、連続的かつ治療の24時間以内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階b)2)における有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の前記非存在が、連続的かつ治療の24時間以内である、請求項1および2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記対象を、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる段階b)における治療に連続して、かつ24時間以内に治療する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記NAPRTレベルを前記対象の腫瘍組織において決定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)レベルを、RT−PCRなどによる、NAPRTをコードする核酸のレベルに基づき決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)レベルを、NAPRTに対する特異的抗体またはその他の特異的結合パートナーに基づくアッセイなどにおけるタンパク質レベルに基づき決定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグがニコチン酸である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)が、
【化1】


【化2】


からなるリストから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
有効量の前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグを、約1mg/日〜約3,000mg/日、例えば約10mg/日〜約1,000mg/日の範囲、例えば約10mg/日〜約100mg/日の範囲などの用量で静脈内投与する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
有効量の前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグを経口投与する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)を、前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグの前に投与する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)を、前記ニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグと同時に投与する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象に有効量のDNA傷害剤を投与することをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療に応答する患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用。
【請求項16】
有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグによる連続または同時治療の非存在下での有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)のよる治療が有効な患者の選択におけるバイオマーカーとしてのニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)の使用。
【請求項17】
対象における癌の症状の治療または軽減のための薬物調製におけるニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)の使用であって、前記治療が、
a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階と、
b)1)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)およびii)有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグにより連続的もしくは同時に前記対象を治療する;または
2)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値以上である場合、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体もしくはニコチン酸のプロドラッグによる連続もしくは同時治療の非存在下で、i)有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)により前記対象を治療する段階
とを含む使用。
【請求項18】
有効量の前記NAMPRTiによる対象における癌の治療において、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)の副作用を軽減するための方法であって、
a)前記対象におけるニコチン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAPRT)のレベルを決定する段階と、
b)上記段階a)において決定されたように、NAPRTレベルが所定の閾値未満である場合、前記有効量のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤(NAMPRTi)による治療と連続的または同時に、有効量のニコチン酸、ニコチン酸前駆体またはニコチン酸のプロドラッグにより前記対象を治療する段階
とを含む方法。
【請求項19】
前記副作用が、リンパ球および主要な腸細胞のような正常組織におけるものである、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【公表番号】特表2012−533530(P2012−533530A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520050(P2012−520050)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060302
【国際公開番号】WO2011/006988
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504373129)トポターゲット・アクティーゼルスカブ (7)
【氏名又は名称原語表記】TopoTarget A/S
【Fターム(参考)】