説明

ニコチン性アセチルコリンレセプターリガンド

式(I)
【化1】


の化合物(ここで、D、Ar1、E、およびAr2は明細書に定義される通りである)、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、および治療(特に、精神異常および知能障害の処置または予防)におけるそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低いP糖タンパク質媒介排出性(low P−glycoprotein−mediated efflux)の新規なビアリールカルボキサミド、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、および治療におけるそれらの使用に関する。本発明は、特に、α7ニコチン性アセチルコリンレセプター(α7nAChR)のリガンドである、P糖タンパク質媒介排出性を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
低下したコリン作動性機能に関係するある範囲の障害(例えば、アルツハイマー病、認知障害もしくは注意障害、不安、うつ病、禁煙、神経保護、統合失調症、無痛覚症、トゥレット症候群、およびパーキンソン病)の処置における、ニコチン性アセチルコリンレセプターに結合する化合物の使用は、McDonald et al.(1995)「Nicotinic Acetylcholine Receptors:Molecular Biology,Chemistry and Pharmacology」,Chapter 5 in Annual Reports in Medicinal Chemistry,vol.30,pp.41−50,Academic Press Inc.,San Diego,CA;およびWilliams et al.(1994)「Neuronal Nicotinic Acetylcholine Receptors」Drug News & Perspectives,vol.7,pp.205−223に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬物化合物の中枢神経系(CNS)にアクセスする能力が、化合物がCNS活性を有するかどうかということに実質的に影響を与える。CNSからの薬物の排除は、血液脳関門(BBB)(密着結合によって連結されている内皮細胞の単層)によって媒介されると考えられている。受動的膜透過性およびP糖タンパク質媒介(PgP)の排出性は、薬物がCNSにアクセスするか、またはCNSから排除されるかどうかについて、BBBに機械的に寄与し、そして実質的に媒介されていると考えられている。従って、高い受動的膜透過性および排出性の欠如は、CNS暴露におそらく有利に働く(Kelly M.Mahar Doan et al.,JPET 303 1029−1037,(2002))。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の式I:
【化1】

に従う驚くほどに低いP糖タンパク質媒介排出性のニコチン性アセチルコリンレセプター活性化合物に関し、
【0005】
ここで:
Dが、酸素または硫黄を表し;
Eが、単結合、酸素、硫黄、またはNR1を表し;
Ar1が、0、1もしくは2個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員もしくは6員の芳香族環もしくは複素環式芳香族環から選択されるか、または0、1、2もしくは3個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の8員、9員もしくは10員の縮合芳香族環系もしくは縮合複素環式芳香族環系から選択され、前記芳香族環もしくは複素環式芳香族環、または芳香族環系もしくは複素環式芳香族環系は、以下:C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され;
Ar2は非置換であるか、または1、2もしくは3個の以下:−R2、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2もしくは−CO24から独立して選択される置換基を有し;
2およびR3が、各存在で、以下:水素、−C1−C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R4、−C(O)NHR4、−CO24もしくは−SO24から独立して選択されるか、または
組合せのR2およびR3が−(CH2jG(CH2k−であり、ここでGは、酸素、硫黄、NR4、または結合であり;
jが2、3、または4であり;
kが0、1、または2であり;
nが0、1、または2であり、そして
4が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールから独立して選択される。
【0006】
本発明はまた、式Iの化合物の立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩、それらを含有する医薬組成物および製剤、単独でまたは他の治療活性化合物もしくは物質との組み合わせで、疾患および状態を処置するためのそれらの使用方法、それらを製造するために使用される方法および中間体、医薬としてのそれらの使用、医薬の製造におけるそれらの使用、ならびに診断目的および分析目的のためのそれらの使用を包含する。
【0007】
本発明の低いP糖タンパク質媒介排出性の化合物は、以下の式I:
【化2】

に従う化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩であり、
【0008】
ここで:
Dが、酸素または硫黄を表し;
Eが、単結合、酸素、硫黄、またはNR1を表し;
Ar1が、0、1もしくは2個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員もしくは6員の芳香族環もしくは複素環式芳香族環から選択されるか、または0、1、2もしくは3個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の8員、9員もしくは10員の縮合芳香族環系もしくは縮合複素環式芳香族環系から選択され、前記芳香族環もしくは複素環式芳香族環、または芳香族環系もしくは複素環式芳香族環系は、以下:−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され;
Ar2は非置換であるか、または1、2もしくは3個の以下:−R2、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2もしくは−CO24から独立して選択される置換基を有し;
2およびR3が、各存在で、以下:水素、−C1−C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R4、−C(O)NHR4、−CO24もしくは−SO24から独立して選択されるか、または
組合せのR2およびR3が−(CH2jG(CH2k−であり、ここでGは、酸素、硫黄、NR4、または結合であり;
jが2、3、または4であり;
kが0、1、または2であり;
nが0、1、または2であり、そして
4が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールから独立して選択される。
【0009】
本発明の特定の化合物は、以下の式II:
【化3】

に従う式Iの化合物のR異性体であり、
ここで、
D、Ar1、E、およびAr2は、式Iの化合物に定義した通りである。
【0010】
本発明の他の特定の化合物は、式Iに従う化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩であり、
ここで:
Dが、酸素または硫黄を表し;
Eが、単結合、酸素、硫黄、またはNR1を表し;
Ar1が、0、1もしくは2個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員もしくは6員の芳香族環もしくは複素環式芳香族環から選択されるか、または0、1、2もしくは3個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の8員、9員もしくは10員の縮合芳香族環系もしくは縮合複素環式芳香族環系から選択され、前記芳香族環もしくは複素環式芳香族環、または芳香族環系もしくは複素環式芳香族環系は、以下:−C1−C6アルキル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−NR23、−OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され;
Ar2は非置換であるか、または1、2もしくは3個の以下:−R2、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2もしくは−CO24から独立して選択される置換基を有し;
2およびR3が、各存在で、以下:水素、−C1−C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R4、−C(O)NHR4、−CO24もしくは−SO24から独立して選択されるか、または
組合せのR2およびR3が−(CH2jG(CH2k−であり、ここでGは、酸素、硫黄、NR4、または結合であり;
jが2、3、または4であり;
kが0、1、または2であり;
nが0、1、または2であり、そして
4が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールから独立して選択される。
【0011】
本発明のより特定の化合物は、式Iに従う化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩であり、
ここで:
Dが、酸素を表し;
Eが、単結合を表し;
Ar1が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され、前記芳香族環または複素環式芳香族環は、以下:−C1−C6アルキル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−NR23、−OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択される。
【0012】
本発明のなおより特定の化合物は、式Iに従う化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩であり、ここで:
Dが、酸素を表し;
Eが、単結合を表し;
Ar1が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され、前記芳香族環または複素環式芳香族環は、以下:−CN、−NO2、−CF3、または−OR2から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、フェニルまたはピリジルから選択される。
【0013】
本発明の他の特定の化合物は、式Iの化合物(ここで、DはOである)、またはそれらのエナンチオマー、およびそれらの薬学的に受容可能な塩を包含する。
【0014】
本発明の他の特定の化合物は、式Iの化合物を包含し、ここでAr1は、フェニルまたはチオフェニルから選択され、そしてAr2は、本明細書中に定義される通りの任意の置換基を有していてもよいフェニル、ピリジル、フラニル、またはチオフェニルから選択される。
【0015】
本発明の特定の化合物は、本明細書中に記載される化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩である。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、式Iに従う化合物に関し、ここで、1つまたはそれ以上の原子は、同じ元素の放射性同位体である。本発明のこの局面の特定の形態において、式Iの化合物は、トリチウムで標識される。このような放射標識化合物は、放射標識された出発物質を組み込むことにより、またはトリチウムの場合においては、公知の方法によって水素をトリチウムと交換することにより合成される。公知の方法としては、(1)求電子ハロゲン化し、次いで、トリチウム源の存在下ハロゲンを還元する工程(例えば、パラジウム触媒の存在下、トリチウムガスを用いる水素化)か、または(2)トリチウムガスおよび適切な有機金属(例えば、パラジウム)触媒の存在下において実施される水素をトリチウムと交換する工程が包含される。
【0017】
トリチウムで標識された本発明の化合物は、α7ニコチン性アセチルコリンレセプターに結合し、そしてアゴニズム、部分アゴニズム、およびアンタゴニズムによってα7ニコチン性アセチルコリンレセプター活性を調節する新規な医薬化合物の発見に有用である。このようなトリチウム標識化合物を使用して、このような化合物の置換を測定するアッセイにおいて、α7ニコチン性アセチルコリンレセプターに結合するリガンドの結合を評価し得る。
【0018】
別の局面において、本発明は、式Iに従う化合物および治療におけるそれらの使用、ならびにそれらを含有する組成物に関する。
【0019】
別の局面において、本発明は、ニコチン性アセチルコリンレセプターの作用を介して媒介される疾患の治療のための、式Iに従う化合物の使用を包含する。本発明のより特定の局面は、α7ニコチン性アセチルコリンレセプターの作用を介して媒介される疾患の治療のための、式Iの化合物の使用に関する。
【0020】
本発明の別の局面は、α7ニコチン性レセプターの活性化が有益である疾患または状態の処置方法または予防方法を包含し、本方法は、治療有効量の本発明の化合物を前記疾患または状態を被る対象に投与する工程を包含する。
【0021】
本発明のこの局面の1つの実施形態は、処置方法または予防方法であり、ここで、障害は、不安、統合失調症、躁病、または躁うつ病である。
【0022】
本発明のこの局面の別の実施形態は、神経障害、精神異常、または知能障害の処置方法または予防方法であり、本方法は、治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含する。
【0023】
本発明のこの局面の別の実施形態は、処置方法または予防方法であり、ここで、障害は、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、または注意欠陥多動性障害である。
【0024】
本発明のこの局面の別の実施形態は、処置方法または予防方法であり、ここで、障害は、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、またはコリン作動性シナプスが損失する神経変性障害である。
【0025】
本発明のこの局面の別の実施形態は、時差ボケ、ニコチン中毒、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎の処置方法または予防方法であり、本方法は、治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含する。
【0026】
本発明のこの局面のなお別の実施形態は、禁煙を促す方法であり、本方法は、有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含する。
【0027】
本発明のこの局面の別の実施形態は、本発明の化合物、および薬学的に受容可能な希釈剤、滑沢剤、またはキャリアを含有する医薬組成物である。
【0028】
本発明のさらなる局面は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)においてニコチン性アセチルコリンレセプター神経伝達の機能不全から起こる本明細書に記載される状態または障害を処置または予防するのに有用な医薬組成物に関し、医薬組成物は、このような障害または状態を処置または予防するのに効果的な、ある量の式Iの化合物、それらのエナンチオマー、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能な付加的キャリアを含有する。
【0029】
本発明のこの局面の別の実施形態は、α7ニコチン性レセプターの活性化が有益であるヒトの疾患または状態を処置、改善、または予防するための、本発明の医薬組成物の使用に関する。
【0030】
本発明のこの局面の別の実施形態は、神経障害、精神異常、または知能障害を処置または予防するための、本発明の医薬組成物の使用である。
【0031】
本発明のこの局面の別の実施形態は、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、不安、統合失調症、または躁病もしくは躁うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、コリン作動性シナプスが損失する神経変性障害、時差ボケ、禁煙、ニコチン中毒(ニコチンを含有する製品への暴露から生じるものを含む)、渇望、疼痛、および潰瘍性大腸炎を処置または予防するための、本発明の医薬組成物の使用である。
【0032】
本発明のさらなる局面は、本明細書に記載の疾患または状態を処置または予防するための医薬の製造における、本発明に従う化合物、それらのエナンチオマー、またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用である。
【0033】
本発明のこの局面の別の実施形態は、α7ニコチン性レセプターの活性化が有益であるヒトの疾患または状態を処置または予防するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0034】
本発明のこの局面の別の実施形態は、神経障害、精神異常、または知能障害を処置または予防するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0035】
本発明のこの局面の別の実施形態は、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、または注意欠陥多動性障害を処置または予防するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0036】
本発明のこの局面の別の実施形態は、不安、統合失調症、または躁病もしくは躁うつ病を処置または予防するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0037】
本発明のこの局面の別の実施形態は、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、またはコリン作動性シナプスが損失する神経変性障害を処置または予防するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用である。
【0038】
本発明のこの局面の別の実施形態は、時差ボケ、疼痛、または潰瘍性大腸炎を処置または予防するための医薬の製造における、上記のような化合物の使用である。
【0039】
本発明の別の局面は、禁煙を促進するための医薬の製造、またはニコチン中毒もしくは渇望(ニコチンを含有する製品への暴露から生じるものを含む)の処置における、本発明の化合物の使用に関する。
【0040】
本明細書中に記載される使用、方法、医薬、および組成物について、使用される化合物の量および投与量は、もちろん、利用される化合物、投与様式、および所望の処置によって変化する。しかし、一般的に、本発明の化合物を動物の体重1kgあたり約0.1mg〜約20mgの1日投与量で投与する場合、満足のいく結果が得られる。このような用量は、分割用量で1日に1〜4回、または徐放形態で与えられてもよい。男性について、全1日用量は、5mg〜1,400mg、より好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、そして経口投与に適切な単位投薬形態は、固体または液体の薬学的に受容可能なキャリア、滑沢剤、または希釈剤と混合した2mg〜1,400mgの化合物を含む。
【0041】
式Iの化合物、それらのエナンチオマー、およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、それら単独で使用することができ、または経腸投与または非経口投与のための適切な医薬製剤の形態で使用することができる。本発明のさらなる局面に従って、不活性な薬学的に受容可能な希釈剤、滑沢剤、またはキャリアと混合された、好ましくは80質量%未満、およびより好ましくは50質量%未満の本発明の化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0042】
希釈剤、滑沢剤、およびキャリアの例としては、以下がある:
−錠剤および糖衣錠のため:ラクトース、デンプン、タルク、ステアリン酸;
−カプセルのため:酒石酸またはラクトース;
−注射剤のため:水、アルコール、グリセリン、植物油;
−坐剤のため:天然油もしくは硬化油、またはワックス。
【0043】
このような医薬組成物の製造方法をもまた提供し、本方法は、成分を混合する工程を包含する。
【0044】
本発明に従う化合物は、ニコチン性アセチルコリンレセプターのアゴニストである。理論によって限定されないが、α7ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)サブタイプのアゴニストは、神経障害、精神異常、および知能障害を処置または予防するのに有用であり、そしてα4nAChRサブタイプのアゴニストである化合物、またはα4nAChRサブタイプのアゴニストでもある化合物よりも有利であると考えられている。従って、α7nAChRサブタイプに選択的である化合物が好ましい。本発明の化合物は、特に、神経障害、精神異常、および知能障害の処置または予防における医薬品として適応とされる。精神異常の例としては、統合失調症、躁病および躁うつ病、ならびに不安が挙げられる。知能障害の例としては、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、および注意欠陥多動性障害が挙げられる。本発明の化合物はまた、疼痛、慢性疼痛の処置における、ならびにパーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、およびコリン作動性シナプスが損失する神経変性障害の処置または予防における鎮痛剤として有用であり得る。
【0045】
本発明の化合物は、さらに、時差ボケの処置または予防に、禁煙の促進、渇望における使用に、ニコチンを含有する製品への暴露から生じるものを含むニコチン中毒の処置または予防に有用であり得る。
【0046】
本発明に従う化合物は、潰瘍性大腸炎の処置および予防に有用であることもまた考えられる。
【0047】
本発明の化合物は、毒性がより少なく、効力がより高く、より長期間活性であり、より広範囲の活性を有し、より強力であり、副作用がより少ないか、より容易に吸収されるか、または他の有用な薬理学的特性を有するという利点を有する。
【0048】
式Iの化合物は、互変異性体形態またはエナンチオマー形態で存在し、それらの全ては本発明の範囲に包含される。従来技術(例えば、分別結晶またはキラルHPLC)を使用する化合物のラセミ混合物の分離により、種々の光学異性体を単離し得る。あるいは、ラセミ化を引き起こさない反応条件下、適切な光学活性出発物質の反応により、個々のエナンチオマーを製造し得る。
【0049】
一般的な実験的手順および定義
市販の試薬はさらに精製することなく使用した。質量分析を、Hewlett Packard 5988AまたはMicroMass Quattro−1 Mass Spectrometerのいずれかを使用して記録し、そして親分子イオンについてm/zとして報告した。室温は20〜25℃である。
【0050】
SiO2クロマトグラフィーは、Isco CombiFlash Sq 16×装置および予め充填された使い捨てRediSep SiO2固定相カラム(4、12、40、120グラムサイズ)を用いて、5〜125mL/分の選択された二溶媒性(bi−solvent)混合物での勾配溶出、UV検出(190〜760nm範囲)、または時限回収(0.1mmフローセルパスレングス)を用いて行った。マイクロ波加熱は、Personal Chemistry Smith SynthesizerまたはPersonal Chemistry Emrys Optimizer(単一モード(monomodal)、2.45GHz、最大300W)を用いて達成した。超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を、選択した化合物および中間体についての生成手段として行った。逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を、選択した化合物についての精製方法として利用した。
【0051】
LC/MS HPLC法を、一般的に、Agilent Zorbax 5μSB−C8カラム2.1mm×5cmを用いて行った。溶媒:A=0.05% TFAを含むH2O、B=10%H2O、90%アセトニトリル、0.05% TFA。勾配:(3分間かけて10〜90% B、4分経過90% Bで保持、5分に〜10% B、および6分まで10% Bで保持)。
【0052】
他に示されない限り、ハロとしては、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素が挙げられる;C1-6アルキルとしては、メチル、エチル、および直鎖、環状、または分枝鎖のプロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルが挙げられる;C2-6アルケニルとしては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、または3−プロペニル、および直鎖、分枝鎖、または環状のブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルが挙げられる;C2-6アルキニルとしては、エチニルまたはプロピニルが挙げられる;それ自体または他の基の一部であろうと、本明細書中でいうC1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、s−ブチル)は、直鎖または分枝鎖であってよく、そしてC3-4アルキル基はまた、環状(例えば、シクロプロピル、シクロブチル)であってもよい。本明細書中でいうアルキル基は、その基上に置換される1個、2個、または3個のハロゲン原子を必要に応じて有し得る。
【0053】
他に示されない限り、アリールとは、1〜3個の以下の置換基で必要に応じて置換されていてもよいフェニル環をいい、置換基は、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、NR12、CH2NR12、OR3、CH2OR3、CO24、CN、NO2、およびCF3から選択される。
【0054】
他に示されない限り、ヘテロアリールとは、0〜3個の窒素原子、0個または1個の酸素原子、および0個または1個の硫黄原子を含有する5員もしくは6員の芳香族環または複素環式芳香族環をいい、ただし、環は、少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を含有し、これは、必要に応じて、1つまたはそれ以上の以下から選択される置換基で置換され得る:ハロゲン、C14アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、NR12、CH2NR12、OR3、CH2OR3、CO24、CN、NO2、およびCF3
【0055】
他に示されない限り、ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素をいう。
【0056】
薬学的に受容可能な誘導体としては、溶媒和物および塩が挙げられる。例えば、式Iの化合物は、従来の薬学的に受容可能な酸のような酸(例えば、マレイン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、およびメタンスルホン酸)との酸付加塩を形成し得る。
【0057】
〔実施例〕
薬理学
本発明の化合物の薬理学的活性は、以下に示される試験で測定され得る:
試験A−α7nAChRサブタイプでの親和性アッセイ
ラット海馬膜への125I−α−ブンガロトキシン(BTX)結合
ラット海馬を、20容積の冷均質化緩衝液(HB:成分濃度(mM):トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン50;MgCl2 1;NaCl 120;KCl 5:pH7.4)中で均質化する。均質化物を1000×gで5分間遠心分離し、上澄み液を保存し、そしてペレットを再抽出する。プールした上澄み液を、12000×gで20分間遠心分離し、洗浄し、そしてHBに再懸濁する。膜(30〜80μg)を、5nM[125I]−α−BTX、1mg/mLのBSA(ウシ血清アルブミン)、試験薬物、および2mMのCaCl2または0.5mMのEGTA[エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)]のいずれかと共に21℃にて2時間インキュベートし、次いで濾過し、そしてBrandel細胞収集器を使用してWhatmanガラス繊維フィルター(厚さC)上で4回洗浄する。水中1%(BSA/0.01%PEI(ポリエチレンイミン))を用いる3時間のフィルターの前処理は、低フィルターブランク(1分あたり全カウントの0.07%)のために重要である。非特異的結合を100μMの(−)−ニコチンによって記載し、そして特異的結合は典型的に75%である。
【0058】
試験B−α4nAChRサブタイプに対する親和性アッセイ
3H]−(−)−ニコチン結合
Martino−BarrowsおよびKellar(Mol Pharm(1987)31:169−174)を修正した手順を使用して、ラット脳(皮質および海馬)を、[125I]α−BTX結合アッセイのように均質化し、12,000×gで20分間遠心分離し、2回洗浄し、次いで100μMのジイソプロピルフルオロホスフェートを含むHBに再懸濁する。4℃にて20分後、膜(約0.5mg)を、3nMの[3H]−(−)−ニコチン、試験薬物、1μMのアトロピン、および2mMのCaCl2または0.5mMのEGTAのいずれかと共に4℃で1時間インキュベートし、次いでBrandel細胞収集器を使用してWhatmanガラス繊維フィルター(厚さC)(0.5%PEIで1時間前処理した)で濾過する。非特異的結合を100μMのカルバコールにより記載し、そして特異的結合は典型的に84%である。
【0059】
試験AおよびBについての結合データの分析
IC50値および偽Hill係数(nH)を、非線形曲線フィッティングプログラムALLFIT(DeLean A,Munson P J and Rodbard D(1977)Am.J.Physiol.,235:E97−E102)を用いて計算する。飽和曲線を、非線形回帰プログラムENZFITTER(Leatherbarrow,R.J.(1987))を用いて一部位モデルに適合させ、それぞれ、125I−α−BTXおよび[3H]−(−)−ニコチンリガンドについて、1.67および1.70nMのKD値を得る。Ki値は、一般的なCheng−Prusoffの式を用いて評価する:
i=[IC50]/((2+([リガンド]/KDn1/n−1)
ここで、nH<1.5の場合は常に、n=1の値を使用し、そしてnH≧1.5の場合は、n=2の値を使用する。サンプルを3連でアッセイし、そして典型的に±5%である。Ki値を、6種またはそれ以上の薬物濃度を使用して測定する。本発明の化合物は、試験Aまたは試験Bのいずれにおいても10μM未満の結合親和性(Ki)を有する化合物であり、それらが有用な治療活性を有することが予想されることを示す。
【0060】
試験C−P糖タンパク質媒介排出性についてのアッセイ
P糖タンパク質媒介性(Pgp)輸送を、以下のようにヒトP糖タンパク質細胞を発現するMadin−Darbyイヌ腎臓細胞(MDR1−MDCK)(Madin−Darby Canine Kidney Cells Expressing Human P−glycoprotein)でアッセイする。
【0061】
MDR1−MDCK細胞株を、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含むダルベッコ最小必須培地(DMEM)中、培養物中で37℃および5% CO2にて維持し、そして2週間経過させる。
【0062】
アッセイの実施について、細胞を12ウェルのCostarプレートの先端側(A)に、1ウェルあたり0.5mL、1mLあたり300,000個の細胞密度で、または24ウェルのFalconプレートに、1ウェルあたり0.4mL、1mLあたり150,000個の細胞密度で播種し、そして培地(1.5mL(12ウェルプレート)または1mL(24ウェルプレート))をトランスウェルの基底側(B)チャンバーに添加する。培地を毎日換え、そして播種の3日後、単層を輸送アッセイに使用する。輸送アッセイを行う2時間前に単層を供給する。
【0063】
棒状電極を置き、単層の両側に培地を接触させ、そして単層を横切る抵抗を測定する。単層を横切る抵抗に対する正常値は、130〜160Ohms/cm2である。
【0064】
輸送アッセイを12ウェルプレートを用いて手動で行い、そして基底側から先端(B〜A)および先端から基底側(A〜B)の方向に向かって3連で行う。試験化合物をDMSOに溶解し、そしてHBSSを用いて試験濃度に希釈し、試験溶液中のDMSOの最終濃度は1%未満である。トランスウェルを37℃にて20〜40分間HBSSで洗浄し、そして補充プレートを調製する。
【0065】
A〜Bの実験について、HBSS(1.5mL)をウェルに添加し、次いで、試験溶液(0.5mL)をこの挿入物に添加する。B〜Aの実験について、試験溶液(1.5mL)をウェルに添加し、次いで、HBSS(0.5mL)をこの挿入物に添加する。挿入物を補充プレートに移し、そしてプレートを37℃の水浴中で70rpmの振とう速度で60分間インキュベートする。各実験の終わりに、挿入物をプレートから取り出し、そしてサンプルをドナーチャンバーおよびレシーバーチャンバーの両方からHPLCバイアルに移し、そして従来のLC/MS/MS法によって分析する。0、0.005、0.05および0.5μMの較正基準を使用する。
【0066】
結果の計算:
見掛けの透過性を、以下の式に従って計算する:
Papp=[(Vr×Cr)÷(A×t×Co)]×1,000,000(10-6cm/秒)
フラックス比=Papp(B-A)÷Papp(A-B)
MB(回収%)={[(Vr×Cr)+(Vd×Cd)]÷(Vd×Co)}×100
ここで:Vr=レシーバーの容積(cm3);Cr=60分でのレシーバー濃度;Co=ドナーの初期濃度;Vd=ドナーの容積;Cd=60分でのドナー濃度;A=トランスウェルの表面積、およびt=60分。
【0067】
本発明の化合物は、一般的にこの試験においてA〜B/B〜Aで2.5未満の比を有する。
【0068】
本発明の化合物
本発明の化合物は、適切に置換された芳香族または複素環式芳香族のカルボン酸(0.50mmol)、R−(+)−3−アミノキヌクリジンジヒドロクロリド(100mg、0.50mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(68mg、0.50mmol)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(161mg、0.50mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(0.35mL、2.0mmol)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中で周囲温度にて23時間反応させることによって製造し得る。反応混合物を、1N水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する(3×)。酢酸エチル層を合わせ、そして1N NaOH(1×)、水(4×)、ブライン(1×)で洗浄し、そしてMgSO4で乾燥させる。濾過後、この溶媒を真空除去し、所望の化合物を得る。
【0069】
以下の実施例は、非限定的であり、そして本発明の特定の局面を具体化する。
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−メチル−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−メチル−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−メチル−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−メチル−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−カルボキシ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−カルボキシ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−カルボキシ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−カルボキシ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−シアノ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−シアノ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−シアノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−シアノ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−アミノ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−アミノ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド、および
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−アミノ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
Dが、酸素または硫黄を表し;
Eが、単結合、酸素、硫黄、またはNR1を表し;
Ar1が、0、1もしくは2個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員もしくは6員の芳香族環もしくは複素環式芳香族環から選択されるか、または0、1、2もしくは3個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の8員、9員もしくは10員の縮合芳香族環系もしくは縮合複素環式芳香族環系から選択され、該芳香族環もしくは複素環式芳香族環、または芳香族環系もしくは複素環式芳香族環系は、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され;
該Ar2は非置換であるか、または1、2もしくは3個の、−R2、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2もしくは−CO24;から独立して選択される置換基を有し;
2およびR3が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R4、−C(O)NHR4、−CO24もしくは−SO24から独立して選択されるか、または
2およびR3は組み合わさって−(CH2jG(CH2k−であり、ここでGは、酸素、硫黄、NR4、または結合であり;
jが2、3、または4であり;
kが0、1、または2であり;
nが0、1、または2であり、そして
4が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールから独立して選択される〕
で表わされる低いP−糖タンパク質媒介排出性の化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
式II:
【化2】

(式中、D、Ar1、E、およびAr2は、式Iの化合物に定義した通りである)
に一致する式Iの化合物のR−異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式I中、
Dが、酸素または硫黄を表し;
Eが、単結合、酸素、硫黄、またはNR1を表し;
Ar1が、0、1もしくは2個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員もしくは6員の芳香族環もしくは複素環式芳香族環から選択されるか、または0、1、2もしくは3個の窒素原子、0もしくは1個の酸素原子、および0もしくは1個の硫黄原子を有する、オルト置換の8員、9員もしくは10員の縮合芳香族環系もしくは縮合複素環式芳香族環系から選択され、該芳香族環もしくは複素環式芳香族環、または芳香族環系もしくは複素環式芳香族環系は、−C1−C6アルキル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−NR23、−OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され;
該Ar2は非置換であるか、または、−R2、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−S(O)n2、−NR23、−CH2NR23、−OR2、−CH2OR2もしくは−CO24から独立して選択される1、2もしくは3個の置換基を有し;
2およびR3が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R4、−C(O)NHR4、−CO24もしくは−SO24から独立して選択されるか、または
2およびR3は組み合わさって−(CH2jG(CH2k−であり、ここでGは、酸素、硫黄、NR4、または結合であり;
jが2、3、または4であり;
kが0、1、または2であり;
nが0、1、または2であり、そして
4が、各存在で、水素、−C1−C4アルキル、アリール、またはヘテロアリールから独立して選択される、
請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩。
【請求項4】
式I中、
Dが、酸素を表し;
Eが、単結合を表し;
Ar1が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され、該芳香族環または複素環式芳香族環は、−C1−C6アルキル、ハロゲン、−CN、−NO2、−CF3、−NR23、−OR2、または−CO24から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択される、
請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
式I中、
Dが、酸素を表し;
Eが、単結合を表し;
Ar1が、0、1または2個の窒素原子、0または1個の酸素原子、および0または1個の硫黄原子を有する、オルト置換の5員または6員の芳香族環または複素環式芳香族環から選択され、該芳香族環または複素環式芳香族環は、−CN、−NO2、−CF3、または−OR2から選択されるオルト置換基を有し;
Ar2が、フェニルまたはピリジルから選択される、
請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの立体異性体、エナンチオマー、生体内で加水分解可能な前躯体、および薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
Dが、Oである、請求項1に記載の化合物、またはそれらのエナンチオマー、およびそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項7】
Ar1が、フェニルまたはチオフェニルから選択され、かつAr2が、本明細書中に定義されるような任意の置換基を有している、フェニル、ピリジル、フラニル、またはチオフェニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
以下:
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−メチル−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−メチル−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−メチル−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−メチル−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−カルボキシ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−カルボキシ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−カルボキシ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−カルボキシ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−シアノ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−シアノ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−シアノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−シアノ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−アミノ−5−フェニルベンズアミド;
N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−2−アミノ−3−フェニルベンズアミド;
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸アミド、または
(N−(R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−3−アミノ−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−カルボン酸アミド
から選択される、請求項1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。
【請求項9】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を、α7ニコチン性レセプターの活性化が有益である、疾患または状態に罹患している患者に投与することを包含する、該疾患または状態を処置または予防する方法。
【請求項10】
疾患または状態が、不安、統合失調症、躁病、または躁うつ病である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを包含する、神経障害、精神異常、または知能障害を処置または予防する方法。
【請求項12】
障害が、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、コリン作動性シナプスが損失する神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、渇望、疼痛、または潰瘍性大腸炎である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを包含する、禁煙を促す方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物、および薬学的に受容可能な希釈剤、滑沢剤、またはキャリアを含有する、医薬組成物。
【請求項15】
治療有効量の請求項14に記載の医薬組成物を、α7ニコチン性レセプターの活性化が有益である、疾患または状態に罹患している患者に投与することを包含する、該疾患または状態を処置または予防する方法。
【請求項16】
疾患または状態が、不安、統合失調症、躁病、または躁うつ病である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
治療有効量の請求項14に記載の医薬組成物を投与することを包含する、神経障害、精神異常、または知能障害を処置または予防する方法。
【請求項18】
障害が、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、コリン作動性シナプスが損失する神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、渇望、疼痛、または潰瘍性大腸炎である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
有効量の請求項14に記載の医薬組成物を投与することを包含する、禁煙を促す方法。
【請求項20】
α7ニコチン性レセプターの活性化が有益である、ヒトの疾患または状態を処置または予防するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物、それらのエナンチオマー、またはそれらの薬学的に受容可能な塩の使用であって、該疾患または状態が、神経障害、精神異常、知能障害、アルツハイマー病、学習障害、認知欠損、注意力欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、不安、統合失調症、躁病もしくは躁うつ病、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット症候群、コリン作動性シナプスが損失する神経変性障害から選択される、上記使用。

【公表番号】特表2007−515481(P2007−515481A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546911(P2006−546911)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001943
【国際公開番号】WO2005/061495
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】