説明

ニトリル含有イオン伝導性スルホン化重合物質

本発明は、イオン伝導性ニトリル含有スルホン化共重合体物質であって、スルホン化モノマーと芳香族ニトリルモノマーのとの直接共重合によって製造されるものに関する。これらのニトリル含有スルホン化共重合体は、燃料電池およびイオン交換技術で利用される膜を形成するのに利用できる。特に、この膜は、水素、直接メタノール型、改質油、およびその他の直接酸化燃料電池に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、スルホン化単量体と芳香族ニトリル単量体との直接的な重合によって生成するイオン伝導性のニトリル含有スルホン化重合物質に関する。これらのニトリル含有スルホン化重合体は、燃料電池およびイオン交換技術で利用されるイオン交換膜を製造するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリマー電解質燃料電池(PEFCs)は、環境上好適なエネルギー源として大きな可能性を有している。燃料電池は、宇宙計画に1960年代から用いられているが、最近では、「グリーン」リソース(“green” resources)に注目が集まっているので、燃料電池は商品化の最前線となってきている。特に、燃料電池は、自動車、電子機器、および固定化されたエネルギー源への利用に用いることが検討されている。
【0003】
おそらく、燃料電池の最も重大な構成成分は、プロトン交換膜(PEM)である。この30年間、燃料電池のPEM構成成分の工業的な標準は、デュポン社製のナフィオン(R)(ポリパーフルオロスルホン酸)である。
【0004】
ナフィオン(R)の特性は、そのテトラフルオロエチレンベースの主鎖によって支配される。ナフィオン(R)膜は、十分なプロトン伝導率、良好な化学的抵抗性、および機械的強度を示す。膜のいくつかの欠点には、高価であること、高温(>80℃)での伝導率の低下、直接メタノール型燃料電池におけるメタノールの浸透性の高さがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池の使用温度を上げることは、いくつかの理由により重要である。第1に、燃料電池におけるより高い使用温度は、電気分解触媒の一酸化炭素汚染を減らす。数ppmの濃度の一酸化炭素は、動作に悪影響を及ぼしうる。第2に、より高い温度は、アノードにおける水素の酸化とカソードにおける酸素の還元の反応速度論を増加させる。しかしながら、温度が上昇するに従って、膜の水和を維持することがより困難になる。脱水された膜は、イオン伝導率を失い、結果として、膜の収縮によって、燃料電池構成物の間の接触が悪くなる。課題は、液状の水の温度範囲によって制限されない膜を製造することである。
【0006】
燃料電池の新たな重要性と高温での使用という課題のために、新たな膜の材料が、ナフィオン(R)に代替可能なものとして検討されている。従前の研究は、スルホン化されたポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、またはPEEKのようなポリ(アリーレンエーテル)に焦点を当ててきた。典型的には、これらの重合体は全て、後でスルホン化を行う重合体修飾反応、即ち、スルホン酸基をすでに形成された重合体の主鎖に付加する反応によって製造される。
【0007】
重合後のスルホン化反応から製造されるスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)は、NoshayおよびRobesonの先駆的研究以来、重要となってきている。彼らは、商業的に入手可能なビスフェノール−Aベースのポリ(エーテルスルホン)に対する緩慢な(mild)スルホン化方法を発展させることができた。この取り組みは、逆浸透性を目的とした脱塩膜の領域、および関連する浄水の領域とで、かなりの重大性を見出している。重合後のスルホン化反応の中で、スルホン酸基は重合鎖のある位置に制限される。構造1として示されるビスフェノールAベースの系においては、スルホン酸基は、ほぼいつも活性位置である芳香族エーテル結合のオルト位に限定されている。さらにこの系では、典型的には、繰り返し単位あたりの1つのスルホン酸基のみが達成されている。
【0008】
【化5】

【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
したがって、本発明は、芳香族ニトリル含有スルホン化共重合体であって、少なくとも約200℃のガラス転移温度と、90℃で少なくとも約0.10S/cmのプロトン伝導率とを有し、空気中において約300℃で1時間までは熱的に安定である、スルホン化共重合体を含む。
【0010】
本発明の他の実施形態は、以下の構造を有するスルホン化共重合体である。
【化6】

【0011】
式中、m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にあり;かつ、式中、Mは、H、金属カチオン、および無機カチオンからなる群から選択される。
【0012】
本発明の更に他の実施形態は、以下の構造を有するニトリル含有スルホン化共重合体を含むプロトン交換膜である。
【0013】
【化7】

【0014】
式中、m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にある。
【0015】
さらに、本発明は、ニトリル含有スルホン化共重合体の製造方法であって、少なくとも1つのスルホネート基を有しておりかつ少なくとも2つの脱離基を有している活性化した芳香族スルホン化単量体と、少なくとも2つの脱離基を有している芳香族ニトリル共重合用単量体と、ビスフェノールタイプの共重合用単量体とを反応させて、ニトリル含有スルホン化共重合体を生成させる工程を含む。
【0016】
以下の構造を有するニトリル含有スルホン化共重合体。
【0017】
【化8】

【0018】
式中:Aは、芳香族炭化水素、および複素環式炭化水素からなる群から選択され;Yは、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、および−P(O)(C65)−からなる群から選択され;Zは、フェニル基間の直接の炭素−炭素単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−、およびP(O)(C65)−からなる群から選択され;m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にあり;かつ、Mは、H、金属カチオン、および無機カチオンからなる群から選択される。
【0019】
以下の構造を有するスルホン化共重合体を含むプロトン交換膜。
【0020】
【化4】

【0021】
式中Aは、芳香族炭化水素であり;Yは、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、および−P(O)(C65)−からなる群から選択され;Zは、フェニル基間の直接の炭素−炭素単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−、およびP(O)(C65)−からなる群から選択され;かつ、m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にある。
【0022】
本発明はまた、ニトリル含有スルホン化共重合体の製造方法であって、少なくとも1つのスルホネート基を有しておりかつ少なくとも2つの脱離基を有している活性化した芳香族スルホン化単量体と、少なくとも2つの脱離基を有している芳香族ニトリル共重合用単量体と、少なくとも2つの異なるビスフェノールタイプの共重合用単量体の混合物とを反応させて、ニトリル含有スルホン化共重合体を生成させる工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の実施形態の詳細な説明
イオンを伝導するニトリル含有スルホン化共重合物質は、スルホン化単量体と芳香族ニトリル単量体との直接的な重合によって製造される。これらのニトリル含有スルホン化共重合体の多くは、少なくとも約200℃のガラス転移温度と、90℃で少なくとも約0.10S/cmのプロトン伝導率とを示し、空気中において250℃で1時間熱的に安定である。これらの重合体は膜を製造するために使用することができ、この膜は、燃料電池およびイオン交換技術で利用される。特に、この膜は、水素、直接メタノール型、改質油、およびその他の直接酸化燃料電池に使用することができる。スルホン化単量体を重合プロセスで使用することによって、スルホン化単量体の濃度を、所与の共重合用単量体を基準として変え、結果として得られる共重合体中のスルホネート基の濃度を制御することができる。
【0024】
さらに、スルホン化単量体を使用することによって、重合体におけるスルホネート基の位置の制御を達成することもできる。例えば、構造1に示したように、ビスフェノールAポリ(エーテルスルホン)の重合後のスルホン化は、活性化リング(activated ring)のスルホン化を引き起こす。スルホン化スルホンで開始し、続いて直接的な重合を行うことによって、スルホン化は以下の構造2に示されるような非活性化リング(deactivated ring)上で維持される。重合体におけるスルホネート基の濃度と位置を制御することによって、結果として得られる膜における伝導性や水分含量などの様々な機能を制御できる。スルホン化単量体の直接的な重合は、十分に規定されたイオン伝導体の位置、高いプロトン伝導性、および高められた安定性を、スルホン化後の反応によって合成された重合体電解質にもたらす。
【0025】
【化10】

【0026】
ここで使用されているように、「スルホネート(sulfonate)」または「スルホン化された(sulfonated)」は、スルホネート基、即ち−SO3を表しており、酸の形態(−SO3H、スルホン酸)または塩の形態(−SO3M)のいずれかである。塩の形態は、ナトリウム塩または他の金属、無機または有機カチオンの形態のいずれかである。
【0027】
さらに、「重合体」という用語は、広く使用され、ホモポリマー、共重合体、およびブロック共重合体を含む。
【0028】
種々の異なるタイプの重合体は、本発明の方法に従って製造することができる。重合体におけるスルホネート基の濃度と位置の制御は、適切なスルホン化単量体を、1つ以上の適当な共重合用単量体と併用することによって、達成することができる。このタイプの重合体の具体例は、ポリスルホン、ポリイミド、ポリケトン、およびポリ(アリーレンエーテルホスフィンオキシド)を含むが、これらに限定されない。
【0029】
燃料電池に利用するためには、燃料電池のプロトン交換膜が、伝導性を有することと良好な機械的強度を有することとが重要である。ポリ(アリーレンエーテルスルホン)のような芳香族重合体は、典型的には、優れた熱的および機械的な特性を有し、また、酸化および酸に触媒される加水分解に対する抵抗性を有している。これらの特性は、典型的には、脂肪族のユニットの数が減少した場合に向上する。
【0030】
概して、本発明は、芳香族ニトリル含有スルホン化共重合体に関する。以下により詳細に述べられるように、芳香族ニトリル含有スルホン化共重合体は、スルホン化され活性化された芳香族単量体と、芳香族ニトリル単量体と、ビスフェノールタイプの共重合用単量体との直接的な重合によって製造することができる。単量体は、活性化したハロゲン化物を含んでいてもよく、ジハロゲン化物であってもよく、ジニトロの形態の単量体を含んでいてもよい。ハロゲン化物は、Cl、FおよびBrを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0031】
スルホン化され活性化された芳香族単量体は、ジハロゲン化物の形態であってもよく、相当する活性された芳香族ジハロゲンを、当業者に知られているスルホン化方法によってスルホン化することで、調製することができる。このスルホン化され活性化された芳香族ジハロゲンは、スルホン化共重合体の生成に使用することができる。イオンを伝導しニトリル含有スルホン化共重合体を製造するための反応スキームの例が、以下のスキーム1に示されている。
【0032】
【化11】

【0033】
スキーム1は、芳香族ニトリル単量体、スルホン化され活性化された芳香族単量体、およびビスフェノールタイプの共重合用単量体の共重合を含む反応スキームを広く示している。
【0034】
芳香族ニトリル単量体は、スキーム1に示されるようにベンゾニトリルを含んでもよいが、以下の構造3に示される一般的な構造を有していてもよい。Aは芳香族またはヘテロ環式の炭化水素であって、例えばC63、C105、C127等を含んでいてもよい。
【0035】
【化12】

【0036】
芳香族ニトリル単量体とスルホン化され活性化された芳香族単量体とは、それぞれ活性化された脱離基を含む。芳香族ニトリル単量体の活性化された脱離基は、スルホン化され活性化された芳香族モノマーの活性化された脱離基と、同じであってもよく異なっていてもよい。構造3に示された活性化された脱離基はClであるが、活性化された脱離基は、例えば、ハロゲン化物またはニトロ基を含んでいてもよい。ハロゲン化物は、Cl、FおよびBrを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0037】
スルホン化され活性化された芳香族単量体は、スルホン化され活性化された芳香族単量体の脱離基を活性化する活性基を有しており、以下の構造4に示される一般的な構造を有することができる。
【0038】
【化13】

【0039】
活性基Yは、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、−P(O)(C65)−、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよいが、これらに限定されない。活性化された脱離基はClとして示されているが、活性化された脱離基は、ハロゲン化物またはニトロ基を含んでいてもよい。ハロゲン化物は、Cl、F、およびBrを含んでいてもよいが、これらに限定されない。スルホネート基と結合するのは、カチオン部分Mであって、このカチオン部分Mはプロトンまたは金属カチオンのようなプラス電荷を有している。金属カチオンは、NaおよびKのような1価の金属、またはMg、CaおよびZnのような2価の金属を含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0040】
ビスフェノールタイプの共重合用単量体は、以下の構造5に示されるような一般的な構造を有しており、Zは、フェノール基間の直接の炭素−炭素単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)2−、またはP(O)(C65)−であってもよい。
【0041】
【化14】

【0042】
重合反応において1つのビスフェノールタイプの共重合用単量体を使用するのに加えて、2以上の異なるビスフェノールタイプの共重合用単量体の組み合わせが、結果として得られる重合体に要求される特性に応じて使用されてもよい。実施形態としては、Zが−C(CF32−である第1のビスフェノールタイプの共重合用単量体が、第2のビスフェノールタイプの共重合用単量体と組み合わせて使用されるという、2つのビスフェノールタイプの共重合用単量体の組み合わせを使用してもよい。ビスフェノールタイプの共重合体の組み合わせにおける第1のビスフェノールタイプの共重合用単量体のモル%は、約10%から約90%の範囲にあってもよく、いくつかの実施形態の中では、約30%から約90%の範囲にあってもよい。
【0043】
スルホン化され活性化された芳香族単量体に対する芳香族ニトリル単量体のモル比は、約0.9から約0.1の範囲にあってもよく、いくつかの実施形態の中では、約0.8から約0.3の範囲にあってもよく、さらに別の実施形態の中では約0.7から約0.3の範囲にあってもよい。ビスフェノールタイプの共重合用単量体、またはビスフェノールタイプの共重合用単量体の組み合わせは、所望のスルホン化共重合体を製造するために十分な化学量論の量で用いることができる。
【0044】
以下の議論は、イオン伝導性のニトリルを含むスルホン化されたポリスルホンの製造に関するものとなる。;しかしながら、当業者は、議論の多くが上述された他のタイプの重合体に適用することができ、本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0045】
本発明の1つの実施形態は、スルホン化された芳香族スルホンであって、ポリスルホンのスルホン官能基に隣接する芳香環に少なくとも1つのスルホネート部を有するものを含む。芳香環は、スルホン基に近接しているために、スルホン化反応に対して非活性化されている。活性化している芳香環のスルホン化は、相当する単量体のスルホン化と、続いて行われるポリスルホンを生成するための重合によって達成される。この方法によって、非活性化リングのスルホン化が維持される。
【0046】
ニトリル含有スルホン化ポリスルホン重合体の生成は、所望の芳香族スルホン化単量体であって、典型的にはジハロゲン化物の形態であるものを選択し、または製造することによって起こる。芳香族スルホン化単量体は、芳香族ニトリル単量体とともに添加することができ、適切なビスフェノールタイプの共重合用単量体とともに縮合される。1つの特に有用なスルホン化モノマーは、3,3’−ジスルホン化4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(SDCDPS)である。1つの実施形態において、芳香族ニトリル単量体は、2,6−ジクロロベンゾニトリルであってもよい。ジクロロ−の形態がスルホン化単量体および芳香族ニトリルについて論じられているが、他のジハロゲン化物の形態が用いられてもよい。
【0047】
スルホン化され活性化された芳香族単量体に対する芳香族ニトリル単量体のモル比は、結果として得られる重合体または膜において要求される特性に応じて変化させることができ、約0.9から約0.1の範囲内で変化してもよく、いくつかの実施形態では約0.8から約0.3の範囲内で変化してもよく、他の実施形態では0.7から約0.3の範囲内で変化してもよい。
【0048】
ニトリル含有ポリスルホンを生成するために使用されるビスフェノールタイプの共重合用単量体は、結果として得られる膜の所望の特性や利用に応じて変化させることもできる。機械的強度と耐熱性が重要なプロトン交換膜のために、4,4’−ビスフェノール、ヒドロキノン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、フェニルホスフィンオキシドビスフェノール、ナフタレンジオール、または他の芳香族ビスフェノールが、ビスフェノールタイプの共重合用単量体として使用されうる。さらに、ビスフェノールタイプの共重合用単量体は、さらなる脂肪族または芳香族の置換基を含んでいてもよい。
【0049】
本発明の1つの実施形態は、3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,6−ジクロロベンゼン、および4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノールの直接的な縮合を含む。ニトリル含有スルホン化共重合体は、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)−トルエンの炭酸カリウム等の弱塩基との共沸する溶媒混合物を用いて、芳香族求核置換反応を引き起こして所望の共重合体が得られるように、所望の求核フェノラート試薬を生成させて、調製することができる。反応混合物は、還流条件下で約155℃に十分な時間加熱され、所望のニトリル含有スルホン化共重合体を生成させることができる。
【0050】
膜またはフィルムは、ニトリルスルホン化共重合体から、当業者に知られた方法によって製造することができる。これらの膜は、燃料電池中のプロトン交換膜として、またはイオン交換用途におけるイオン交換膜としての利用を見出すことができる。膜を製造する1つの方法は、DMACのような適当な溶媒中にスルホン化共重合体を溶解し、続けてガラス基体上へ直接的に注ぐことを含む。
【0051】
イオンを伝導しニトリル含有スルホン化共重合体は、約250℃に達する温度で1時間、空気中で、熱に対する安定性を示してもよく、いくつかの実施形態では、約300℃に達する温度で、空気中で、熱に対する安定性を示すことができる。少なくとも約20モル%のスルホン化共重合用単量体を含むフィルムは、少なくとも約200℃のガラス転移温度(Tg)を有してもよく、いくつかの実施形態では250℃以上のTgを有することができる。イオン交換容量(IEC)は、約1から約1.6meq/gの範囲にあってもよい。他の実施形態では、本発明のフィルムは、90℃で少なくとも約0.1S/cmのプロトン伝導率を示してもよい。
【0052】
以下の実施例は、本発明の概要を示すものであり、本発明を、実施例で確認された特定の細部に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0053】
実施例
3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの調製
3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンは、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの求電子芳香族スルホン化を、110℃の発煙硫酸中で、6時間行うことによって合成された。4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのベンゼン環における塩素置換基のオルトパラ配向性効果と、スルホニル基のメタ配向性効果によって、これの3位(塩素に対してオルト位)がスルホン化された。HNMRにより、置換が3位および3’位に起こっていることが確認された。
【0054】
反応が完了したときに、生成物は、塩化ナトリウムで飽和した氷水中に強酸性の反応液をゆっくりと加えることによって回収された。多くの溶媒と溶媒混合物とが検討され、イソプロパノール:水=3:1(重量:重量)の混合液が、ジスルホン化単量体を精製するのに最も適しているとして選択された。粗生成物は、段階的に重合される間、イソプロパノール:水=3:1(重量:重量)溶液から固体が15%になるような最初の再結晶によって、精製された。結晶化された単量体は、ついで、約12時間、室温で、調製したばかりのイソプロパノール:水(3:1 重量:重量)の混合物中で抽出され、その後、真空中で140℃で一晩乾燥された。スルホン化単量体の精製の後、所望の生成物の回収率は、約65%であった。ジスルホン化単量体は、真空中で、ほぼ12時間140℃で乾燥された。TGAは、少量の水分(ほぼ3〜5重量%)が、この乾燥プロセスの後に残存していることを示した。
【0055】
ニトリル含有共重合体の製造
一連の共重合体は、ジフェノールとしてのヘキサフルオロビスフェノールAと、活性化ジハロゲン化物としての2,6−ジクロロベンゾニトリルとスルホン化単量体である3,3’−ジスルホン化−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(SDCDPS)との混合物とから、芳香族求核置換によって生成された。スルホン化ジハロゲン化物のモル比は、0.05〜0.5の範囲にあった。全ての共重合体は、炭酸カリウムを、必要なフェノラート求核試薬を製造するための弱塩基として利用したNMP−トルエン溶媒混合物中で調製された。反応は、155℃で4時間還流され、その後、トルエンといくらかの水とが、混合物から、197℃で、乾燥共重合システムを確保するためのディーンスタークトラップに補助されながら蒸留された。共重合は、200℃で20時間続けられた。プロトンNMRにより、精製後の共重合体の構造が、挿入された構造(charged composition)と一致していることが確認された。スルホン化単量体が非スルホン化等価物である4、4’−ジクロロフェニルスルホンに比べて緩慢に反応したことに、留意すべきである。
【0056】
相対分子量は、固有粘度の測定によって分析された。1つのシリーズの共重合体は、投入した単量体の重量に含まれるSDCDPS中の水分量を考慮して合成した。対照的に、他のシリーズは、投入した単量体の水分重量を考慮せずに調製された。我々の研究室での以前の研究では、固有粘度がほぼ0.5〜0.8dL/g(NMP,25℃)の間であるスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)共重合体は、典型的にもろいフィルムを形成していた。SDCDPSの中の水分が合成時に化学量論的に説明されたシリーズの共重合体は、固有粘度が約1.0dL/g(NMP,25℃)以上であった。これらの共重合体は、強くて延性を有するフィルムを形成した。対照的に、水分を考慮せずに調製された共重合体は、1.0dL/g未満(NMP,25℃)の固有粘度を有しており、もろかった。
【0057】
スルホン化共重合体の熱的な特性
共重合体のガラス転移温度(T)は、DSCを使用して、サンプルを25℃から300℃まで5℃/分で加熱することによって評価された。酸性化した共重合体のガラス転移温度は、スルホン化のモル比が上がるにつれて大幅に上昇した(図1)。Tは、コントロール(スルホン化なし)のTである169℃から、35モル%スルホン化繰り返し単位を含む共重合体のTである258℃まで上昇した。0.35を超えてスルホン化単位のモル比を増加させても、ガラス転移温度はほとんど上昇しなかった。比較的高い比のスルホン化単位を含む共重合体は400℃に加熱され、親水相に基づく第2の転移が検出されうるかが決定された。第2の転移は350℃までは決定できず、この温度を超えた加熱は、いくらかの分解を引き起こした。
【0058】
酸性化された共重合体フィルムの温度による質量の減少がTGAによって測定され、重合鎖からスルホン酸基が切断される温度範囲が決定された。共重合体フィルムは150℃に加熱され、この温度で30分間保持され、いくらか残存している溶媒および水分が除去された。これらは、それから室温まで冷却され、900℃まで10℃/分で加熱された。5%の重量の減少が観察された温度と、焦げて残存した物の百分率が、熱的安定性の評価とされた。
【0059】
スルホン化されていないコントロールを除いた全ての共重合体が、重量の減少が観察された約350℃までは、良好な熱的安定性を示した。この温度での質量の減少量は、共重合鎖に沿ったスルホン化の程度が増えるに従って増加した(図2)。この温度での質量の減少は、重合体主鎖からのスルホン酸基の切断とよく相関している。最終的な重量の減少温度は約500℃のときに観察され、これは重合鎖の分解に起因する。全ての共重合体は、焦げて残存した物の割合が900℃で20〜40%の間であるが、これは、スルホネート基の濃度と相関がなかった。
【0060】
水の取り込み、メタノールの浸透性、および構造
ナフィオンの構造の小角X線解析は、この重合体が相分離していることを示していた。1つの相は親水領域からなり、ここには極性のスルホン酸基が凝集していた。他の領域は、疎水性のクラスター中に凝集した重合体の無極性のフッ素化部分を含んでいた。これらのスルホン化共重合体の親水性領域は、基本的に、水素結合を介した水の吸収の原因となった。典型的には、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)の平衡水の吸収は、スルホン化単位のモル比が約0.40になるまでは、直線的である。スルホン化がこのレベルを超えると、水の取り込みが劇的に増加し、これは相構造の変化を意味する。
【0061】
それに対して、ニトリル官能化共重合体の水の吸収は、時間の関数として測定された(図3)。イオン交換容量(IEC、単位はmeq-g-1)が、それぞれの構造に対して計算された(表1)。脱イオン水に浸漬されているときに、スルホン化単位のモル比が0.1以上である共重合体膜は、水の取り込みが最初の1時間以内に平衡に達した。水の吸収は、スルホン化された単位のモル比が0.35になるまでは直線的に増加した。スルホン化がこのレベルを超えると、水の取り込みは劇的に増加し、モル比で0.55のスルホン化単位を含む共重合体は、重量で約300%の水を吸収した。
【0062】
表1 ナフィオン117、ならびに20、30、および35モル%スルホン化がされている3つの異なるスルホン化ポリ(アリーレンエーテル)共重合体の、水の取り込み(重量%)と算出されたIEC値である。
【0063】
【表1】

【0064】
ビフェノールまたはヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノールを用いて調製されたスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)と比較すると、ナフィオン117と同様に、20、30、および35モル%のスルホン化単位を有するニトリル官能化共重合体は、平衡水の吸収が少なかった。更に、IEC値が平衡になった時点で、ニトリル官能化共重合体は、水分の吸収がかなり少なかった。
【0065】
繰り返し単位の0.35がスルホン化されているスルホン化ニトリル官能化ポリ(アリーレンエーテル)の相構造が、AFMで、タッピングモードで1μm×1μmの大きさについて観察された。この共重合体は、AFM像において暗い領域および明るい領域によって示されている2相構造を有していた。像の中の暗い領域は、水を含む比較的柔軟な親水領域を表現しており、一方、明るい色の領域は、比較的硬い疎水的な領域に相当していた。暗い領域は連続的であり、ほぼ4〜10nmの幅であった。明るい領域も連続的であったが、約25〜40nmの範囲の大きさであった。以前に撮像したスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)(ビフェノール、ジクロロジフェニルスルホン、および単位の40%がスルホン化されているSDCDPSから調製されたもの)と比較して、ニトリル官能化共重合体の構造はかなり異なっていた。スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)(ビフェノール、ジクロロジフェニルスルホン、およびSDCDPSから調製されたもの)は、クラスターにおける多くの親水領域がより非連続的である、より分離した構造を有していた。スルホン官能化共重合体の連続的な親水相の構造は、ナフィオン117で観察されたものと類似していた。
【0066】
パーフルオロスルホン酸共重合体が、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)と同様に、親水領域分離構造から連続構造に典型的に変化することは、平衡水の取り込みの大きな増加と相関がある。水和された親水領域が連続構造へ浸透することは、ポリ(アリーレンエーテルスルホン)シリーズ(ビフェノール、ジクロロジフェニルスルホン、およびSDCDPSから製造される)の共重合体の35%以上の単位がスルホン化されている場合に起こった。ニトリル含有スルホン化ポリ(アリーレンエーテル)中の水和された親水相の連続構造は、35モル%スルホン化を超えた場合の水の取り込みにおける非直線的な増加を説明するのに役立つであろう(図4)。
【0067】
膜のメタノール浸透性の低減を達成することは、直接メタノール型燃料電池における共重合体膜の機能のために重要である。最近の我々の研究室の研究では、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)は、ナフィオン117と比較したときに、かなり低いメタノール浸透性と同程度のプロトン伝導率とを有することを示した。このことは、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)におけるメタノール浸透性と水の取り込みとが、相関していることも示している。スルホン化単位の比が増加するに従って、平衡水の取り込みとメタノール浸透性との両方が増加する。
【0068】
異なる化学構造を有するスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)共重合体と、ナフィオン117とのメタノール浸透性が、25℃で比較された(表2)。3つのスルホン化共重合体が選択されたが、理由は、これらが類似した平衡水の吸収、IEC、およびプロトン伝導率を有するためであった。ニトリル基含有スルホン化共重合体のメタノール浸透性は、他のスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)より高かったが、ナフィオン117より著しく低かった。
【0069】
表2 25℃での、ナフィオン117および3つの異なるスルホン化ポリ(アリーレンエーテル)共重合体のメタノール浸透性の値
【0070】
【表2】

【0071】
伝導性
ニトリル基含有スルホン化共重合体のシリーズのプロトン伝導率は、スルホン化された単位のモル比、相対湿度、および温度の関数として測定された。各実験は、脱イオン水中に浸漬された伝導率セル(conductivity cell)の中で行われた。プロトン伝導率は、0.0005S/cmから0.10S/cmまで、モル%スルホン化の関数として、25℃で、直線的に増加した(図5)。モル比0.45のスルホン化繰り返し単位を含む共重合体の伝導率は、0.10S/cmであり、ナフィオン117に匹敵した。
【0072】
スルホン化ニトリル官能化共重合体の酸性度を、他の2つのスルホン化共重合体と比較するために、10から35モル%スルホン化のプロトン伝導率が、IEC値の関数としてプロットされた(図6)。比較された他の2つの共重合体は、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)とヘキサフルオロスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)であった。曲線は、IECが約0.8から1.6meq/gの間であると、スルホン化ニトリル官能化共重合体が、他の2つの共重合体と比べて、高いプロトン伝導率を有することを示す。
【0073】
35モル%スルホン化ニトリル官能化共重合体のプロトン伝導率は、湿度100%での温度の関数として、Parr反応機を用いて評価された。温度が上昇するに従って、プロトン伝導率は、約110℃で0.11S/cmまで上昇した。更なる温度の上昇は、膜の過度な膨潤を引き起こし、プロトン伝導率は正確に測定できなかった(図7)。この温度に対する伝導率の挙動は、他のスルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)と類似している。しかしながら、過度な膨潤が生じる前に伝導率が測定できた高温は、ニトリル官能化共重合体ではやや低かった。この研究は、スルホン化ニトリル官能化共重合体膜のプロトン伝導率が、温度を制御することで高いレベルまで高めることができたことを示した。これらの膜は、使用温度の限界がより高く、ナフィオン117より大幅に高かった(約30℃高い)。このことは、膜が、いくらか高い温度で使用される燃料電池内で、より良く性能を発揮するであろうということを示唆する。
【0074】
水がベースになった燃料電池では、膜の性能を相対湿度の関数として決定することは、非常に重要である。4つのスルホン化ニトリル官能化共重合体(20、30、35、および45モル%スルホン化)のプロトン伝導率は、異なる湿度レベルで、湿度/温度が制御された温度が80℃のオーブンを使って研究された。プロトン伝導率は、相対湿度が50から85%に上昇するに従って、4つの共重合体全てで少し上昇した(図8)。しかしながら、30、35、および45モル%スルホン化単位を有する共重合体の膜のプロトン伝導率は、相対湿度が85から95%に上昇したときに、劇的に上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、酸の形態でのスルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体のDSC曲線のプロットである。
【図2】図2は、スルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、空気中でのTGA曲線のプロットである。
【図3】図3は、スルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、時間に対する水の取り込み(重量%)のプロットである。
【図4】図4は、スルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、モル%スルホン化率に対する水の取り込み(重量%)のプロットである。
【図5】図5は、スルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、モル%スルホン化率に対するプロトン伝導率のプロットである。
【図6】図6は、異なるスルホン化ポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、計算されたIEC値に対するプロトン伝導率のプロットである。
【図7】図7は、35モル%スルホン化されたヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、温度に対するプロトン伝導率のプロットである。
【図8】図8は、20、30、35、45モル%スルホン化ヘキサフルオロポリ(アリーレンエーテルニトリル)共重合体の、%相対湿度に対するプロトン伝導率のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ニトリル含有スルホン化共重合体であって、少なくとも約200℃のガラス転移温度と、90℃で少なくとも約0.10S/cmのプロトン伝導率とを有し、空気中において約300℃で1時間までは熱的に安定である、スルホン化共重合体。
【請求項2】
以下の構造を有するスルホン化共重合体。
【化1】


式中、m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にあり;かつ、
式中、Mは、H、金属カチオン、および無機カチオンからなる群から選択される。
【請求項3】
前記m:nのモル比は、約0.8〜約0.3の範囲にある、請求項2に記載のスルホン化共重合体。
【請求項4】
以下の構造を有するニトリル含有スルホン化共重合体を含むプロトン交換膜。
【化2】


式中、m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にある。
【請求項5】
前記m:nのモル比は、約0.8〜約0.3の範囲にある、請求項4に記載のプロトン交換膜。
【請求項6】
90℃で少なくとも約0.10S/cmのプロトン伝導率を有しており、空気中において250℃で1時間までは熱的に安定である、請求項4に記載のプロトン交換膜。
【請求項7】
ニトリル含有スルホン化共重合体の製造方法であって、少なくとも1つのスルホネート基を有しておりかつ少なくとも2つの脱離基を有している活性化した芳香族スルホン化単量体と、少なくとも2つの脱離基を有している芳香族ニトリル共重合用単量体と、ビスフェノールタイプの共重合用単量体とを反応させて、ニトリル含有スルホン化共重合体を生成させる工程を含む、方法。
【請求項8】
前記活性化した芳香族スルホン化単量体は、3,3’−ジスルホン化4,4’−ジクロロジフェニルスルホンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記芳香族ニトリル共重合体用単量体は、2,6−ジクロロベンゾニトリルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ビスフェノールタイプの共重合体用単量体ジオールは、4,4’−ビフェノール、ヒドロキノン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、ナフタレンジオール、およびフェニルホスフィンオキシドビスフェノールからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記スルホネート基が、スルホン酸基である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記スルホネート基が、塩の形態である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
以下の構造を有するニトリル含有スルホン化共重合体。
【化3】


式中:
Aは、芳香族炭化水素、および複素環式炭化水素からなる群から選択され;
Yは、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、および−P(O)(C65)−からなる群から選択され;
Zは、フェニル基間の直接の炭素−炭素単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、およびP(O)(C65)−からなる群から選択され;
m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にあり;かつ、
Mは、H、金属カチオン、および無機カチオンからなる群から選択される。
【請求項14】
式中Aが、C63である、請求項13に記載のニトリル含有スルホン化共重合体。
【請求項15】
以下の構造を有するスルホン化共重合体を含むプロトン交換膜。
【化4】


式中:
Aは、芳香族炭化水素であり;
Yは、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、および−P(O)(C65)−からなる群から選択され;
Zは、フェニル基間の直接の炭素−炭素単結合、−C(CH32−、−C(CF32−、−C(CF3)(C65)−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、およびP(O)(C65)−からなる群から選択され;かつ、
m:nのモル比は、約0.9〜約0.1の範囲にある。
【請求項16】
式中Aが、C63である、請求項15に記載のプロトン交換膜。
【請求項17】
ニトリル含有スルホン化共重合体の製造方法であって、少なくとも1つのスルホネート基を有しておりかつ少なくとも2つの脱離基を有している活性化した芳香族スルホン化単量体と、少なくとも2つの脱離基を有している芳香族ニトリル共重合用単量体と、少なくとも2つの異なるビスフェノールタイプの共重合用単量体の混合物とを反応させて、ニトリル含有スルホン化共重合体を生成させる
工程を含む、方法。
【請求項18】
前記ビスフェノールタイプの共重合用単量体の混合物は、第1のビスフェノールタイプの共重合用単量体と、第2のビスフェノールタイプの共重合用単量体とを含み、前記第1のビスフェノールタイプのモル%は、約10%〜約90%の範囲にありうる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記モル%が、約30%〜約90%の範囲にありうる、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−523258(P2006−523258A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507350(P2006−507350)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008398
【国際公開番号】WO2004/086584
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(501326584)バージニア テック インテレクチュアル プロパティーズ インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】