説明

ニトロセルロースインキ用のポリウレタン樹脂

貼合せ包装材用のニトロセルロースを基剤とする印刷用インキにおける使用に特に適しているポリウレタン樹脂を開示する。該ポリウレタン樹脂は、優れた押出性と接着特性を有するインキを提供し、該インキは、包装材用の貼合せ品に使用することに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂と、該樹脂の調製と、フレキソ印刷またはグラビア印刷用途へ適用するためのポリウレタン樹脂を含有するニトロセルロースインキ組成物と、ポリウレタン樹脂を含有するインキ組成物で印刷される貼合せ品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の、包装袋または包装容器の多様化に伴い、これらの装飾または表面保護のために使用される印刷用インキまたはコーティング剤に対して、高度な性能が要求されている。このようなインキまたはコーティング剤は、様々な種類のプラスチックフィルムに対して優れた接着性と耐ブロッキング性とを示さなければならない。
【0003】
例えば、プラスチックフィルム用のニトロセルロースとポリウレタンを基剤とする印刷用インキは、常套の印刷用インキと比べて、改良された印刷適性と、より広範囲のフィルムに対する接着性と、より良好な耐ブロッキング性および耐熱性をもたらすために利用される。
【0004】
特に、食品包装分野において、貼合せフィルム材料製の袋または容器は、衛生的であり、該袋または容器の内容物がインキと直接的に接触することがなく、高品位の印刷された製品として満足な外観をもたらすという理由から使用されている。
【0005】
一般に、このような貼合せフィルム材料を製造するための方法には2種類ある。1つの方法は押出貼合せ法であり、該方法においては、プラスチックフィルム製支持体をインキで印刷し(必要に応じてプライマーをインキ塗布面上に塗布する)、次いで、ポリオレフィンなどの溶融した樹脂をインキ塗布面上に押し出す。別の方法は接着剤貼合せ法であり、該方法においては、プラスチックフィルム製支持体のインキ塗布面上に接着剤を塗布し、次いで、プラスチックフィルムを接着剤塗布面上に貼合せる。従って、貼合せ用インキは、貼合せるフィルムと印刷用支持体に対して優れた接着性を示さなければならない。
【0006】
したがって、軟質の支持体(例えば、合成ポリマーフィルム)上に印刷するためのインキおよび貼合せ用インキ(すなわち、2つの支持体の間に配置され、インキ用樹脂の一般的な性質を備え、望ましくは2つの支持体の間の接着性を増加させるインキ)に対しては、軟包装分野において依然として益々高まる関心が向けられている。
【0007】
ニトロセルロース(NC)は、インキ用顔料の主要な分散(磨砕)用樹脂である。NC顔料基剤は、フレキソ印刷法およびグラビア印刷法による軟包装印刷において使用される。NCを基剤とするインキは、用途は多いが、柔軟性に欠ける。この柔軟性の欠如に起因して、軟質フィルム(支持体)上に該インキを印刷する場合に、乏しい接着性と性能不足が引き起こされてしまう。したがって、柔軟性および性能を向上させるために、可塑剤をNC基剤に添加する必要がある。
【0008】
現在使用されている可塑剤、例えばフタレート、ポリアミドおよび低分子量ポリウレタンなどは、NCを基剤とするインキに使用される場合に欠点、例えば移染性、不十分な相溶性と溶解性および低い貼合せ接着強度などを示すことが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、i)NCに対して良好な相溶性を示し、ii)アルコールおよびエステル溶媒およびこれらの混合物中に可溶であり、iii)NCを基剤とするインキ中に配合した場合にフレキソ印刷法およびグラビア印刷法に適している半塗膜(semi-film)形成性ポリウレタン樹脂を提供することが所望されている。NC−ポリウレタンインキは、多重軟質支持体上で良好な押出性と接着剤貼合せ性能を発揮すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、ポリイソシアネートとポリアルコールの付加縮合重合物をさらにジオールまたはジアミンで連鎖延長させることによって、半塗膜形成性ポリウレタン樹脂が生成され、該樹脂は、NCを基剤とするインキに対して要求される所望の改良された押出性と接着剤貼合せ特性を示す。
【0011】
本発明によると、貼合せ包装材用NCを基剤とするインキ組成物用の半塗膜形成性ポリウレタン樹脂が提供され、該ポリウレタン樹脂は、該インキ組成物に対して良好な貼合せ接着強度をもたらす良好な押出性と接着特性とを有効に示す。
【0012】
本発明の対象は、貼合せ包装材用のニトロセルロースを基剤とするインキのためにポリウレタン樹脂を使用することであり、該樹脂は、イソシアネートを末端基とするプレポリマーを形成するポリイソシアネートおよびポリアルコールの反応生成物を含有し、該プレポリマーをジオールまたはジアミンで連鎖延長させることにより該ポリウレタン樹脂が形成され、該ポリウレタン樹脂は、ニトロセルロースと相溶性があり、また、300mm/分の速度で剥離されるときに約200g/インチよりも高い貼合せ接着強度を示す接着特性を有する。
【0013】
さらに、本発明の対象は、半塗膜形成性ポリウレタン樹脂であり、本発明によるポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートおよびポリアルコールの反応生成物であるイソシアネートを末端基とするプレポリマーを、ジオールまたはジアミンで連鎖延長させることにより形成される。本発明による樹脂は、NCと良好な相溶性を示し、アルコールおよびエステル溶媒およびこれらの混合物に対して溶解性を示し、また、フレキソ印刷法およびグラビア印刷法に使用されるNCを基剤とするインキ用に適している。
【0014】
本発明によるポリウレタン樹脂は、良好な貼合せ接着強度を示し、一方でアルコール、エステルおよびアルコール/エステル混合物に対する溶解性と、支持体に対する接着性と、耐ブロッキング性と、耐熱性と、安定な流動性を示す。
【0015】
本発明の別の態様によると、貼合せ用途に適するNCを基剤とする印刷用インキ組成物は、ポリウレタン樹脂と、着色剤と、有機溶媒とを含有し、該インキ組成物は、包装材のフレキソ印刷またはグラビア印刷に適する。インキ組成物は、例えば定着剤などの追加成分を含有してもよい。
【0016】
本発明によるポリウレタン樹脂を含有するインキは、フィルム上に印刷される場合、特に貼合せ用インキとして使用される場合に良好な接着強度を示す。
【0017】
したがって、本発明の別の態様としては、支持体のうちの1面が本発明によるインキ組成物で印刷された、2枚層またはそれよりも多くの軟質フィルム支持体を具有する貼合せ品であり、該貼合せ品における印刷画像は、本発明によるポリウレタン樹脂がインキ組成物中に存在して良好な接着強度をもたらすことに起因して、一般的な包装条件下において実質的に変化せず、該条件の影響を受けない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例以外での説明、または特に言及する場合以外の説明においては、本明細書において使用される成分の量あるいは反応条件を表す全ての数字は、「約」という用語を修飾させて理解されるべきである。
【0019】
本明細書において開示されるポリウレタン樹脂は、包装材用のNCを基剤とする印刷用インキにおいて配合されるバインダーとして有用であり、また、軟包装に使用される貼合せシートおよび貼合せ品の作製における接着剤としても有用である。
【0020】
本発明による半塗膜形成性ポリウレタン樹脂は、有機溶媒、例えばアルコール、エステルおよびアルコール/エステル混合物に対して溶解性があり、また、包装材において使用されるNCを基剤とする貼合せ用インキに対して特に相溶性を示すと共に該インキの配合において有用である。アルコール、エステルおよびアルコール/エステル混合物に対して該樹脂が溶解性を示すので、配合処方を僅かに変更するだけで、フレキソ印刷およびグラビア印刷に使用されるインキまたは塗料組成物の配合が可能となる。
【0021】
「半塗膜形成性」という用語は、塗膜形成剤でもなく可塑剤でもないという意味で理解される。
【0022】
「ニトロセルロースとの相溶性」という用語は、NC溶液とポリウレタン溶液とを異なる混合比率で混合する場合、混合物が少しも着色することなく、沈殿することなく、またはゲル化することなく、透明で安定であるという意味で理解される。
【0023】
「貼合せ接着強度」という用語は、貼合せ品における第一の支持体と第二の支持体を引き離すために必要となる1インチの長さ当りの力(g/インチ)という意味で理解される。好ましくは、本発明によるポリウレタン樹脂の貼合せ接着強度は、300mm/分の速度で剥離される場合、約200g/インチ(該強度は、300mm/分の速度で剥離される場合、1.2N/15mmに相当する)よりも高い値である。
【0024】
本発明によるポリウレタン樹脂を用いて調製されるNCを基剤とする貼合せ用インキおよび塗料組成物は、上述の常套の市販の樹脂バインダー系を用いて調製される貼合せ用インキおよび塗料と比べて、優れた押出接着強度と、耐ブロッキング性と、印刷適正と、再溶解性と、多種多様なフィルム(支持体)上への極めて優れた接着性を示す。
【0025】
本発明によるポリウレタン樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族またはアルキル芳香族のジイソシアネートをポリアルコールと反応させて、イソシアネートを末端基とするポリウレタンプレポリマーを形成させることにより調製される。次いで、該プレポリマーを、ジオールまたはジアミンで連鎖延長させることによってウレタン/ウレア結合を形成させる。
【0026】
一般的には、上記の反応によって得られるポリウレタン樹脂は、約20000〜120000ダルトン、好ましくは約30000〜80000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0027】
本発明によるポリウレタン樹脂の粘度は、25℃で約500〜約5000cpsの範囲である(該粘度は、25℃で500〜約5000mPa・sに相当する)。
【0028】
固形分の濃度は約35〜約60%であり、ガードナーカラーは4未満を示す。
【0029】
下記の式で表されるジイソシアネート:
OCN−Z−NCO
(式中、Zは脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはアルキル芳香族基を示す)を、ポリアルコール(例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはこれらの混合物等)と反応させることによって、イソシアネートを末端基とするポリウレタンプレポリマーを調製することができる。ジイソシアネートの例には、以下のものが含まれる(ただし、これらに限定されない):1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソ−シアナトシクロ−ヘキサン、1−イソシアナト−5−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、2,3−、2,4−および2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン、4,4’−および2,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1−イソシアナト−3(4)−イソシアナトメチル−1−メチル−シクロヘキサン、2,4−および2,5−および2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−および2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ジイソシアネート二量体およびこれらの混合物。ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0030】
適当なポリアルコールには、1種または複数種のポリエーテルジオール、1種または複数種のポリエステルジオールおよびこれらの混合物が含まれる。
【0031】
適当なポリエーテルジオールには、下記の式で表されるものが含まれる:
【0032】
【化1】

式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を示す。好ましくは、RはC〜Cのアルキレン基である。特に有用なポリエーテルジオールの例には、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレン)エーテルグリコールおよびポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが含まれ(ただしこれらに限定されない)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが好ましい。混合比が50:50の、ポリテトラメチレングリコールとポリプロピレングリコールとの混合物が特に好ましい。ポリエーテルジオールの数平均分子量は、一般的に250〜10000、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1250〜2000の範囲である。この種のポリエーテルジオールは、副次的な量、例えば40重量パーセントまでのエステル単位も含有できる。これらのジオールは、例えば、1種または複数種の上述したポリエーテルジオールとラクトン、例えばε−カプロラクトンなどを反応させることによって得ることができる。
【0033】
有用なポリエステルジオールには、下記の式で表されるものが含まれる:
【0034】
【化2】

式中、
・RはジオールHOROHの残基を示す(式中、Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を示す)。
・Yは−OCRCOOROを示す[式中Rは上述した意義を有し、Rはジカルボン酸HOOCRCOOHまたはこれらの無水物(I)の残基を示す(式中Rは、2〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を示す)]。pおよびqは独立して0〜600、好ましくは1〜100の数を示し、p+qは1〜1200、好ましくは1〜250である。あるいは、Yは−OCRO−を示し(式中、Rはラクトン(II)またはα,ω−ヒドロキシカルボン酸HORCOOHの残基を示す)、p、qおよびp+qは上記の値を示す。本発明において使用できるジオールHOROHと、カルボン酸HOOCRCOOHと、無水物(I)と、ラクトン(II)と、α,ω−ヒドロキシカルボン酸HORCOOHには、ポリエステルジオールを調製するために知られているものが含まれる。適当なジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールなどが含まれる。適当なジカルボン酸および無水物には、アジピン酸、フタル酸および無水フタル酸などが含まれる。適当なラクトンおよびα,ω−ヒドロキシカルボン酸には、ブチロラクトン、カプロラクトンおよびα,ω−ヒドロキシカプロン酸などが含まれる。特に有用なポリエステルジオールの例には、以下のものが含まれる(ただしこれらに限定されない):ポリ(カプロラクトン)ジオール、ポリ(ジエチレングリコール−コ−オルト−フタル酸)、ポリ(1,6ヘキサンジオール−コ−オルト−フタル酸)、ポリ(ネオペンチルグリコール−コ−アジピン酸)およびポリ(エチレングリコール−コ−アジピン酸)。ポリエステルジオールの数平均分子量は、一般的に250〜10000、好ましくは500〜2500、より好ましくは1000〜2000の範囲である。ポリエステルジオールもエーテル単位を含有できる。好ましい実施態様においては、ポリエステルジオールは、40重量%までの量でエーテル単位を含有することができる。これらのジオールは、例えば、1種または複数種の上述したポリエステルジオールと、1種または複数種の1,2−アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドなどを反応させることにより得ることができる。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
ポリエーテルジオールは、ポリエステルジオールと比較して、脂肪族アルコール溶媒中でより大きな溶解度を示すポリウレタン樹脂を生成する観点において望ましい。しかしながら、ポリエステルジオールは、該樹脂に対してより大きな引張強度を付与する。したがって、本発明により得られるポリウレタン樹脂は、高分子量ジオールの選択に応じて、高い溶解度および比較的低い引張強度を有するポリウレタン樹(すなわち、もっぱらポリエーテルジオールを用いて形成される該樹脂)から、比較的低い溶解度と比較的高い引張強度を有するポリウレタン樹脂(すなわち、もっぱらポリエステルジオールを用いて形成される該樹脂)へと改質させることができ、また、ポリエーテルジオールとポリエステルジオールの混合物を使用する場合のように、これらの溶解度特性と引張強度特性の間のあらゆる組み合わせに係る特性を有するポリウレタン樹脂が使用可能である。溶解度と引張強度の最適な組合せは、常套の試験を通じて得ることが出来る。
【0038】
ポリアルコールとジイソシアネートは、当業者に周知の条件下で反応させる。好ましくは、反応は、樹脂を使用して配合される組成物に一般的に用いられる溶媒、例えば、インキ組成物用溶媒系などの溶媒の存在下において行わる。ジイソシアネートとポリアルコールとの反応に使用され得る適当な溶媒の例には、1〜5個の炭素原子を有するアルキルアセテート、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテートおよびペンチルアセテートなどが含まれるが(ただし、これらに限定されない)、エチルアセテートが特に好ましい。
【0039】
ポリアルコールに対するジイソシアネートの割合は、ウレタンセグメントとウレアセグメントの所望の割合と共に、所望の分子量が得られるように選択される。プレポリマーがイソシアネート末端基を有するようにすることを確実にするために、過剰量のジイソシアネートが使用される。ジオールに対するジイソシアネートの当量比は、一般に1.1〜5.0:1.0の範囲であり、好ましくは1.4:1.0の当量比である。
【0040】
イソシアネートを末端基とするプレポリマーの調製に使用される溶媒の全量は、一般に全溶液量の0〜95重量パーセントの範囲であり、好ましくは全溶液量の20〜90重量パーセントであり、より好ましくは全溶液量の55〜80重量パーセントである。
【0041】
イソシアネートを末端基とするプレポリマーの形成は、一般に0〜130℃、好ましくは50〜90℃の温度域で行われる。反応時間は、一般に1〜12時間、好ましくは2〜4時間の範囲である。
【0042】
次に、イソシアネートを末端基とするプレポリマーを、ジオールまたはジアミンで連鎖延長することによって、ポリウレタン/ウレア樹脂が形成される。
【0043】
ジオールまたはジアミンは、最終的なポリウレタン樹脂の数平均分子量を約20000〜約120000ダルトンへと増加させると共に、粘度を25℃で約500〜約5000cps(該粘度は、25℃で500〜約5000mPa・sに相当する)に増加させることができる任意のジオールまたはジアミンから選択することができる。
【0044】
連鎖延長反応に用いるジオールとしては、上記の任意のポリオールおよび低分子量ポリオール、例えば、脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール、並びに脂環式ジオール、例えば1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオールを使用することができる。これらのジオールは、単独で使用することができ、あるいは混合して使用することもできる。
【0045】
ジアミンとしては、各アミン基が少なくとも1つの活性水素原子を有する任意の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンまたは複素環ジアミンを使用することができる。多数の適当なジアミンの中から、以下のものが挙げられる:エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ヒドラジン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、2−(アミノメチル)−3,3,5−トリメチルシクロペンチルアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、1−アミノ−1−メチル−3(4)−アミノメチル−シクロヘキサン、ビス−(4−アミノ−3,5−ジエチルシクロヘキシル)−メタン、ビス−アミノ−メチル−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、2,3−、2,4−および2,6−ジアミノ−1−メチル−シクロヘキサン、二量体ジアミン(二量体化された脂肪酸から誘導されるジアミン)、ノルボルナンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、デュポン製の製品「ダイテック(登録商標)A」および「ダイテック(登録商標)EB」、フンツマン社製の製品「ジェファミン(登録商標)」[すなわち、ビス(プロピルアミノ)ポリプロピレンオキシドジアミン]、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ピペラジン、1,3−ジ−ピペリジルプロパンおよびアミノエチルピペラジン。
【0046】
ジアミンまたはジオールとプレポリマーとの反応は、前述のようなインキ用樹脂から配合される最終組成物において最後に使用される溶媒中または溶媒系の成分中で行われる。連鎖延長反応において使用される溶媒の量は、一般に0〜90重量パーセント、好ましくは35〜60重量%の範囲である。ジアミンモノマー由来のアミンまたはジオールの−OHに対するプレポリマーのイソシアネート末端基の比率は、ウレア/ウレタン基の濃度と共に、樹脂の最終的なポリマー分子量を決定する。一般に、ジアミンまたはジオールに対するジイソシアネートのモル比は6:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4である。一般的に、プレポリマーを化学量論的過剰量のジアミンまたはジオールと反応させる場合、プレポリマー中に残留性の未反応イソシアネート基は残存しない。したがって、連鎖延長されたプレポリマー中の未反応イソシアネート基を末端キャップ(endcap)するためにおこなわれる、連鎖延長されたプレポリマーとアミン停止剤またはアルコール停止剤との反応は必要ない。あるいは、化学量論的過剰量に満たない量のジアミンまたはジオールを使用する場合、以下に記載するように末端キャップすることが可能な未反応のイソシアネート基が存在してもよい。ジアミンまたはジオールを用いる連鎖延長反応は、一般に0〜90℃の温度範囲、好ましくは25〜75℃の温度範囲で行われる。
【0047】
ジアミンまたはジオールを用いる連鎖延長反応に続いて、未反応のイソシアネート基が存在する場合、好ましくは、一部または全ての残存するイソシアネート基を、アミンまたはアルコールで末端キャップすることによって、前述のポリ(ウレタン−ウレア)樹脂の生成反応を停止させる。適当なアミンの例はモノアミンおよびジアミンであり、以下のアミンが含まれる(ただしこれらに限定されない):ブチルアミン、ジブチルアミン、アミノプロピルモルホリン、アミノエチルピペラジン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジ(イソプロパノール)アミン、アミノエトキシエタノール、アミノウンデカン酸、エタノールアミン、ジメタノールアミン、4−アミノフェノール、イソホロンジアミン、二量体ジアミン、オレイルアミン、ヒドラジン、市販品「ジェファミン」[すなわち、モノまたはビス(アミノプロピル)ポリプロピレンオキシド]。適当なアルコールの例には、以下のものが含まれる(ただしこれらに限定されない):1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、エタノール、オレイルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸、N−(ヒドロキシエチル)ステアルアミド(stearamide)、エトキシ化ノニルフェノール、プロポキシ化ノニルフェノール、グリコール酸および6−ヒドロキシカプロン酸。
【0048】
残存する遊離イソシアネート基の末端キャップ化反応は、当業者において周知である条件下で行われる。好ましくは、この反応は溶媒の存在下において行われるか、または上述のインキ用樹脂を用いて配合される最終組成物において最後に使用される溶媒系の成分中で行われる。遊離イソシアネート基を末端キャップするために使用される溶媒の総量は、一般に0〜90重量%の範囲であり、好ましくは25〜75重量%の範囲である。
【0049】
末端キャップ化反応の温度は、一般に0〜100℃の範囲であり、好ましくは25〜75℃の範囲である。末端キャップ化反応の時間は、一般に0.1〜6時間、好ましくは0.25〜1時間の範囲である。アミンまたはアルコールに対する連鎖延長された樹脂のNCO基の当量比は、一般に5:1〜1:5の範囲であり、好ましくは1:2〜2:1の範囲である。
【0050】
本発明によるポリウレタン樹脂は、本発明による該樹脂で配合されたNCインキに対して良好な押出特性と接着特性とを有効に付与するので、該インキは軟包装用途における使用に特に適する。
【0051】
本発明による貼合せ用のNCを基剤とするインキ組成物は、ニトロセルロースを基剤とする顔料または染料と、本発明によるポリウレタン樹脂と、定着剤と、有機溶媒を含有する。本発明によるインキ組成物は、該組成物の性状の微調整(例えば、溶媒および粘度の調整)をおこなった後で、フレキソ印刷またはグラビア印刷に使用してもよい。特に、本発明によるインキは、インキの重量に基づいて、約15wt%〜約50wt%のポリウレタン樹脂と、約3wt%〜約60wt%のNC顔料または染料と、約0%〜約5wt%の定着剤と、約10wt%〜約80wt%の有機溶媒を含有する。この場合、成分濃度は、フレキソ印刷またはグラビア印刷における使用にあわせて調整してもよい。好ましくは、グラビア印刷用インキは、約8wt%〜約60wt%のポリウレタン樹脂と、約3wt%〜約60wt%のNC顔料または染料と、約0wt%〜約5wt%の定着剤と約15wt%〜約80wt%の有機溶媒、例えば、アルキルエステル溶媒を含有する。好ましくは、フレキソ印刷用インキは、約8wt%〜約60wt%のポリウレタン樹脂と、約3wt%〜約60wt%のNC顔料または染料と、約0wt%〜約5wt%の定着剤と、約15wt%〜約80wt%の有機溶媒、例えばアルカノール溶媒を含有する。該インキの適当な粘度は、ツァーン流出カップNo.2を用いて測定した場合、約15秒〜約30秒である。流出カップ測定法は、インキの粘度を測定するための標準的な方法であり、該方法には、較正されたオリフィスを通過する検量されたインキの流量を計測する操作が含まれる。比較的低い粘度のインキは一般的にグラビア印刷において使用され、また、比較的高い粘度のインキは一般的にフレキソ印刷において使用される。したがって、インキが、ツァーン流出カップNo.2を用いて測定したときに、25℃で約28秒の粘度を示す場合、該インキはフレキソ印刷に適しており、また、インキが、ツァーン流出カップNo.2を用いて測定したときに、約18秒の粘度を示す場合、該インキはグラビア印刷に適している。
【0052】
ニトロセルロースを基剤とする顔料または染料の分散液は、例えばペンカラー社または他の製造業者より市販されている。本発明による1つの態様においては、ニトロセルロースを基剤とする顔料または染料の分散液と本発明によるポリウレタン樹脂を混合する工程を含む方法が提供される。所望により、該ポリウレタン樹脂は、ニトロセルロースを基剤とする顔料または染料の分散液と混合される前に、適当な溶媒中に予め溶解させてもよい。適当な溶媒には、特に限定されるものではないが、例えばエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−ブタノール、エチルアセテート、プロピルアセテートおよびブチルアセテートが含まれる。これらの二成分は均質になるまで混合させる。この操作は、容器または振盪機内にこれらの混合物を投入し、約1時間かけて混合することで容易におこなえる。
【0053】
顔料および染料は、印刷用インキ組成物中の画像形成成分として適当な着色剤である。
【0054】
ポリウレタン:ニトロセルロースの重量比は、ポリウレタンとニトロセルロースの高い相溶性に起因して、約5:95〜約95:5の範囲にすることができる。
【0055】
本発明によるポリウレタン樹脂は、プラスチックフィルム、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース系誘導体、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)で被覆されたポリエチレンテレフタレート、PVDCで被覆されたポリプロピレン、金属化ポリエチレンテレフタレートおよび金属化ポリプロピレンを材質とするプラスチックフィルムに対して良好な接着性を示すと共に、二枚のプラスチックフィルムの間に挟み込まれる場合に良好な凝集力を示すので、これらのポリウレタン樹脂は、貼合せ用インキとして有用なインキに配合することができる。
【0056】
次に、本発明による別の態様においては、本発明によるポリウレタンとニトロセルロースとを含有するインキであって、貼合せ用インキとして機能するように配合される該インキおよび該インキを使用する貼合せ印刷法が提供される。
【0057】
さらに、本発明による別の態様は、ポリマー製支持体の表面上に貼合せ用インキの画像を印刷することによって、該支持体の表面上に乾燥インキの画像を形成させる方法に関する。該画像は、指触乾燥状態を示すと共に、該支持体の表面に強固に接着し、また、周囲温度において加圧下で支持体の第2表面に接触させたときに、ブロッキングを起こさない。任意のポリマー製支持体をこの方法によって印刷できるが、好ましいポリマー製支持体には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロース系誘導体、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、PVDCで被覆されたポリエチレンテレフタレート、PVDCで被覆されたポリプロピレン、金属化ポリエチレンテレフタレートまたは金属化ポリプロピレン等を材質とするフィルムまたはシートが含まれる。
【0058】
第二の支持体は、常套の方法によって、第一の支持体上の乾燥したインキ画像上に塗布または貼合せることにより、印刷貼合せ品を形成させてもよい。したがって、第二の支持体は、乾燥した画像上に押出溶融液として塗布することによって形成させてもよい。あるいは、予め形成された第二の支持体は、接着剤表面を介して乾燥したインキ画像に貼合せてもよい。第二の支持体は、第一の支持体と同じ材料から構成されていてもよく、または印刷貼合せ品の最終用途の特質に応じて、異なる材料から構成されてもよい。
【0059】
一般に、支持体のうち少なくとも一つは、可視光に対して半透明であり、より一般には透明である。このような支持体の透明性または半透明性に起因して、着色剤は、支持体を介して色相および/または解像可能な画像を発現する。
【0060】
以下の実施例は、本発明を例示的に説明するものであって、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0061】
実施例
1.試験方法
US単位およびSI単位は、以下のように相互換算できる:
125°F=52℃
175°F=79℃
325°F=163℃
1g/インチ=0.005791N/15mm
1psi=0.0689475728bar
1lb/ream=1.631g/m
【0062】
印刷
パマルコ社製A165P手動式校正機(hand proofer)を、フィルム上へインキを印刷する際に使用した。
【0063】
粘着テープ法
3M社製「スコッチ(登録商標)610」のテープを、印刷物(print)を乾燥させた後すぐに貼り合わせた:
0%=支持体から100%のインキが剥がれる、乏しいインキ接着性。
100%=支持体から0%のインキが剥がれる、優れたインキ接着性。
【0064】
耐ブロッキング性
印刷物を、インキ塗布面/裏面およびインキ塗布面/インキ塗布面が接触するように折重ねた。折重ねた印刷物を、オーブン内で52℃/2.8bar/24時間の条件にさらした(該条件は、125°F/40psi/24時間に相当する)。
1=印刷面から100%のインキ転写を伴う、乏しい耐ブロッキング性。
10=印刷面から0%のインキ転写を伴う、優れた耐ブロッキング性。
【0065】
接着剤貼合せ
貼合せ構造(実施例):フィルム/インキ/接着剤/フィルム
乾燥した接着剤被膜の厚さ(実施例):1.6〜2.5g/m(1.0〜1.5 lb/reamに相当する)。
貼合せ条件:ジャックソン−ハーシュラミネーティング社製の「カード/ガード」(登録商標)貼合せ機を使用して、79℃/1.438bar/1秒(175°F/20psi/1秒に相当)の条件下でおこなう。
【0066】
接着剤を印刷フィルム上に塗布した。塗布量および硬化条件は接着剤製造メーカの推奨に従った。2成分系の溶剤型接着剤である「アドコート(登録商標)812」/「アドコート(登録商標)811B」の場合、乾燥状態で3.3〜4.9g/m(2〜3 lb/reamに相当する)になる塗布量で塗布し、貼合せ品を室温で7日間硬化させた。1成分系の溶剤型接着剤である「アドコート(登録商標)331」の場合、乾燥状態で1.6〜2.5g/m(2〜3 lb/reamに相当する)になる塗布量で塗布し、貼合せ品を室温で3日間硬化させた。
【0067】
押出貼合せ
貼合せ構造(実施例):フィルム/インキ/プライマー/押出層
貼合せ条件:ジャックソン−ハーシュラミネーティング社製の「カード/ガード」(登録商標)貼合せ機を使用して、163℃/1.438bar/1秒(325°F/20psi/1秒に相当)の条件下でおこなう。
【0068】
プライマーである「マイカ131x」を2−プロパノールおよび水で希釈し、次いで、製造メーカの推奨に従い6μmの湿潤膜厚になるように、螺旋状のバーコーターを用いて印刷フィルム上に塗布した。成形した貼合せ品を室温で1日かけて硬化させた。
【0069】
接着強度試験
テープで裏付けされた印刷物を、トゥイングアルバート社製の摩擦/剥離試験装置モデル225−1を用いて、300mm/分の速度にて180°で剥離した。接着強度(N/15mm)は、3回の測定値を平均化した。
【0070】
破壊:フィルムが剥離中に完全に裂ける。
FT:フィルムが剥離中に部分的に裂ける。
転写:100%=剥離の間、全てのインキが印刷フィルムから転写される。
0%=剥離の間、印刷フィルムから転写されるインキはない。
【0071】
2.原料
ルプラネート(登録商標)MI、BASF社製
プルリオール(登録商標)P2000(登録商標)、BASF社製
ポリTHF(登録商標)2000(登録商標)、BASF社製
ビーキャト(登録商標)、シェファード・ケミカル社製
ニトロセルロースA−400(固形物70%)、バイエル社製
バーテック(登録商標)1A10、ジョンソンマッティー社製
【0072】
ブルー15:4=リオノールブルーFG7400G顔料、トーヨー社製
TR52=二酸化チタン顔料、フンツマン社製
RDE2=二酸化チタン顔料、ケミラ社製
【0073】
T523−3=コロナ前処理された15μmの二軸延伸PPフィルム、AETフィルム社製
マイラー(登録商標)813=コロナ前処理された12μmのPET、デュポン社製
コロナ前処理された50μmの白色で不透明なPEフィルム、サザン・コンバーター社製
【0074】
アドコート(登録商標)812/アドコート(登録商標)811B=2成分系のポリウレタン接着剤、ローム・アンド・ハース社製
アドコート(登録商標)331=1成分系のポリウレタン接着剤、ローム・アンド・ハース社製
【0075】
マイカ(登録商標)131x=PEIプライマー、マイカ社製
【0076】
バーサミド(登録商標)PUR1132、コグニス社製
ネオレズ(登録商標)U−395、DSMネオレジン社製
ネオレズ(登録商標)U−397、DSMネオレジン社製
【0077】
3.ポリウレタンの実施例
樹脂例1
11.61%のルプラネート(登録商標)MIと34.52%のプルリオール(登録商標)P1000とを、窒素気流中、68−72℃で2時間にわたり、1.46%のNCO含有量が得られるまで反応させた。この場合、触媒として0.02%のビーキャト(登録商標)8を使用し、溶媒として30.21%のエチルアセテートを使用した。得られたイソシアネートを末端基とするプレポリマーは53.80%の固形物を含有した。
【0078】
該プレポリマーを、不定量の1,4−ブタンジオールを添加しながら連鎖延長反応させた。連鎖延長反応の間継続して粘度を測定し、粘度が25℃で20000〜30000mPa・sに達したとき、1,4−ブタンジオールの添加を停止した。次いで、22.6%のエタノールを添加して、最終的なポリウレタン溶液を調製した。
【0079】
最終的なポリウレタン溶液は、25℃で1600mPa・sの粘度を示し、46.8%の固形物を含有し、2未満のガードナーカラーを示した。
【0080】
樹脂例2
8.52%のルプラネート(登録商標)MIと、8.53%のポリTHF(登録商標)2000と、25.59%のプルリオール(登録商標)P2000とを、窒素気流中、68−72℃で2時間にわたり、2.63%のNCO含有量が得られるまで反応させた。
この場合、触媒として0.02%のビーキャト(登録商標)8を使用し、溶媒として11.68%のエチルアセテートを使用した。得られたイソシアネートを末端基とするプレポリマーは78.5%の固形物を含有した。
【0081】
最終的なポリウレタン樹脂溶液は、35.05%のエタノールと8.03%のエチルアセテートを含有する溶剤中に2.15%に調製したイソホロンジアミンと、0.42%に調製した1−アミノ−2−プロパノールとを含有する溶液中へ、上記プレポリマー溶液を添加することによって調製した。
【0082】
最終的なポリウレタン溶液は、25℃で1390mPa・sの粘度を示し、47.47%の固形物を含有し、2未満のガードナーカラーを示した。
【0083】
本発明の樹脂例1および樹脂例2の性能を、市販のポリウレタン樹脂であるバーサミド(登録商標)PUR1132、ネオレズ(登録商標)U−395およびネオレズ(登録商標)U−397の性能と比較した。
【0084】
4)性能例1−6:
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
【表8】

【0093】
本発明による樹脂例1および樹脂例2に関する上記データより判るように、接着剤貼合せおよび押出貼合せに使用されるNC−ポリウレタンインキの貼合せ接着強度は、市販のポリウレタン樹脂であるバーサミド(登録商標)PUR1132、ネオレズ(登録商標)U−395およびネオレズ(登録商標)U−397を含有するインキの貼合せ接着強度よりも高い接着強度であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼合せ包装材用のニトロセルロースを基剤とするインキのためのポリウレタン樹脂の使用であって、
該ポリウレタン樹脂が、ポリイソシアネートおよびポリアルコールの反応生成物であるイソシアネートを末端基とするプレポリマーをジオールまたはジアミンで連鎖延長させることにより形成され、
該ポリウレタン樹脂が、ニトロセルロースと相溶性があり、300mm/分で剥離されるときに約200g/インチよりも高い貼合せ接着強度を示す接着特性を有する該使用。
【請求項2】
ポリアルコールが、1種または複数種のポリエーテルジオール、1種または複数種のポリエステルジオールおよびこれらの混合物から選択される請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリエーテルジオールが下記の式で表される請求項2に記載の使用:
【化1】

(式中、Rは直鎖状または分枝鎖状のC〜Cの炭化水素基を示す)。
【請求項4】
RがC〜Cのアルキレン基を示す請求項3に記載の使用。
【請求項5】
ポリエーテルジオールがプロピレングリコールである請求項2に記載の使用。
【請求項6】
ポリエステルジオールが以下の群から選択される請求項2に記載の使用:
ポリ(カプロラクトン)ジオール、ポリ(ジエチレングリコール−コ−オルト−フタル酸)、ポリ(1,6ヘキサンジオール−コ−オルト−フタル酸)、ポリ(ネオペンチルグリコール−コ−アジピン(adipatic)酸)、ポリ(エチレングリコール−コ−アジピン酸)およびこれらの混合物。
【請求項7】
貼合せ包装材用のニトロセルロースを基剤とするインキ組成物であって、
(a)請求項1に記載のポリウレタン樹脂、
(b)ニトロセルロースを基剤とする顔料または染料および
(c)有機溶媒
を含有する該組成物。
【請求項8】
包装材用途で使用する貼合せ品であって、
該貼合せ品が少なくとも2つのポリマー製支持体を含有し、
該支持体の1つの表面が請求項7に記載のインキ組成物で印刷されて該支持体上に印刷画像が形成され、
該貼合せ品が、300mm/分で剥離されるときに約200g/インチよりも高い貼合せ接着強度を示す該貼合せ品。

【公表番号】特表2011−503334(P2011−503334A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534393(P2010−534393)
【出願日】平成20年11月8日(2008.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009439
【国際公開番号】WO2009/065502
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】