ニューモリシンに対する結合メンバー
本発明は、ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む抗−溶血結合メンバー、特に、少なくとも2つの結合ドメインを有する結合メンバー、診断方法における、ならびに治療のための該結合メンバーの使用に関する。好ましい実施形態において、結合メンバーはヒト抗体のような抗体、またはその断片であり、それは二重特異的抗体であってもよい。この結合ドメインは、1×10−6未満であるニューモリシンに対する解離定数Kdを有する。好ましくは、結合ドメインを含む結合メンバーは前記定義の解離定数Kdを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューモリシン(Pneumolysin)に特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む結合メンバー、特に、少なくとも2つの結合ドメインを有する結合メンバー、診断方法における、ならびに治療のための該結合メンバーの使用に関する。さらに、ニューモリシンペプチドおよびニューモリシンペプチドを含むワクチン組成物がさらに記載される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
Streptococcus pneumoniaeは生命を脅かす細菌感染の主な原因の1つである。先進国において、5歳未満の数百万の子供は毎年S.pneumoniaeで死亡すると見積もられてきた(非特許文献1)。工業化した世界においては、S.pneumoniae肺炎の発生は100000人当たり5ないし10人であり、死亡の症例は5ないし7%である。S.pneumoniae脊髄炎は100000人当たり1ないし2人で起こり、死亡の症例は30ないし40%である(非特許文献2)。S.pneumoniaeは細菌血症の最も頻繁な原因の1つである。S.pneumoniaeは、中耳炎を持つ子供から単離される最も頻繁な生物である。6歳未満の全ての子供の約75%は中耳炎に罹るであろう。
【0003】
S.pneumoniaeはペアまたは短い鎖にて増殖するグラム陽性菌である。表面は三層:被膜、細胞壁および原形質膜から構成される。該被膜は最も厚い層であり、増殖するS.pneumoniaeの内部構造を完全に覆い隠す。オリゴ糖(多糖)の反復ユニットのポリマーは、該被膜を占領している。異なる血清型はそれらのその被膜の一部としてリビトール、アラビチノールまたはホスホリルコリンを含有し、その結果、血清型特異的である化学構造がもたらされる。細胞壁はペプチドグリカンのみならず、テイコ酸およびリポテイコ酸よりなる。原形質膜は、細胞を包み、種々の分子をその表面に係留させる二重リン脂質膜である(非特許文献3)。
【0004】
現在、S.pneumoniaeの90の異なるタイプがS.pneumoniae被膜の多様性に基づいて認識されている(非特許文献4)。該被膜はS.pneumoniae感染の病因において中枢的である。1つの被膜型に対して生起された抗体はこのタイプでの感染からの保護を与えるが、他の被膜型での感染に対しては保護を与えない。現在の23−価多糖ワクチンは、最も頻繁な血清型の60ないし80%を超える保護を供する。
【0005】
ニューモリシンはいくつかのグラム陽性菌の主要ビルレンス因子であって、コレステロール−結合トキシンのファミリーのメンバーである(非特許文献5)。それは、リング−形状のオリゴマー(ポリン)を形成することによって、細胞のコレステロール−含有膜を破壊する多様性蛋白質である(非特許文献6)。さらに、ニューモリシンは、Fcおよび補体蛋白質との相互作用を介して非−特異的様式で補体系を活性化させる。ニューモリシンの毒性は、ニューモリシン遺伝子の部位特異的突然変異誘発(Trp−433からPheへの置換)によって減弱化でき、その結果、ニューモリソイド(PdB)が発現される(非特許文献7)。
【0006】
ニューモリシンは、テストしたS.pneumoniae株の中で保存されているようである(非特許文献8)。S.pneumoniaeの異なる株からのニューモリシン遺伝子に基づく推定アミノ酸配列は>99%同一である(非特許文献9)。
【0007】
ニューモリシンに対するIgAは子供(261人のうち242人)および成人(17人のうち17人)からの唾液で検出できる(非特許文献10)。抗−ニューモリシンIgGは2歳未満のほとんどの子供(1108人のうち803人)および全ての成人(325人/325人)においてEIAによって検出可能であった(非特許文献11)。血清変換はキャリアーの状態に相関し、すなわち、鼻咽頭または中耳検体から培養したS.pneumoniaeを感染させた子供は、抗−ニューモリシンIgG陽性であるようであった。ELISA方法を用いる種々の研究において、IgGは40人の健康な成人のうち7人、慢性閉塞性肺病を持つ32人の患者のうち17人、および肺炎球菌肺炎を持つ31人の患者のうち13人で検出された(非特許文献12)。興味深いことには、肺炎および細菌血症を持つ有意により少数の患者が、細菌血症を持たないが肺炎を持つ患者と比較して検出可能なIgGを有した(4人/16人 vs. 9人/15人)。これは、抗−ニューモリシン抗体が、肺炎が細菌血症まで進行するのを妨げることができることを示唆する。
【非特許文献1】Anonymous.“Acute respiratory infections in under fives: 15 million deaths a year.”Lancet 1985年 2:699−701
【非特許文献2】Lee CJら、“Immunologic epitope, gene, and immunity involved in pneumococcal glycoconjugate.”Crit.Rev.Microbiol.1997年 23:121−142
【非特許文献3】AlonsoDeVelasco,E.“Streptococcus pneumoniae: virulence factors, pathogenesis, and vaccines.”Microbiol.Rev.1995年.Dec.59:591−603
【非特許文献4】Sorensen, U.B.“Pneumococcal polysaccharide antigens: capsules and C−poly-saccharide. An immunochemical study.”Dan.Med.Bull.1995年 Feb.42:47−53
【非特許文献5】de los Toyos JRら、“Functional analysis of pneumolysin by use of monoclonal antibodies.”Infect.Immun.1996年 Feb.64:480−484
【非特許文献6】Bonevら、“Structural analysis of the protein/lipid complexes associated with pore formation by the bacterial toxin pneu-mo-lysin.”J.Biol.Chem.2001年 276(8):5714−5719
【非特許文献7】Alexanderら、“Immunization of mice with pneu-molysin toxoid confers a significant degree of protection against at least nine serotypes of Streptococcus pneumoniae.”Infect.Immun.1994年 62:5683
【非特許文献8】Patonら、“Effect of immunization with pneumolysin on survival time of mice challenged with Streptococcus pneumoniae.”Infect.Immun.1983年 40:548
【非特許文献9】Mitchellら、“Comparison of pneumolysin genes and proteins from Streptococcus pneumoniae type 1 and 2.”Nuclei.Acids.Res.1990年 18:4010
【非特許文献10】Simellら、“Pneumo-coccal carriage and otitis media induce salivary antibodies to pneumococcal surface adhesin A, pneumolysin, and pneumococcal surface protein A in children.”J.Infect.Dis.2001年 183:887−896
【非特許文献11】Rapolaら、“Natural development of antibodies to pneumococcal surface protein A, pneumococcal surface adhesin A, and pneumolysin in relation to pneumococcal carriage and acute otitis media.”J.Infect.Dis.2000年 182:1146−1152
【非特許文献12】Musherら、“Nonspecificity of assaying for IgG antibody to pneu-mo-lysin in circulating immune complexes as a means to diagnose pneumococcal pneumonia.”Clin.Infect.Dis.2001年 32:534−538
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本発明は、ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む抗−溶血結合メンバーに関し、ここで、該結合メンバーは、Streptococcus.特に、Streptococcus pneumoniaeに関連する疾患および障害を予防し、治療するための医薬組成物で用いるのに適当である。
【0009】
従って、本発明の1つの具体例において、本発明は、ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む単離された結合メンバーに関し、該結合ドメインは、1×10−6未満であるニューモリシンに対する解離定数Kdを有する。好ましくは、結合ドメインを含む結合メンバーは前記定義の解離定数Kdを有する。
【0010】
高結合強度のため、結合メンバーは医薬組成物で用いるのに適している。抗−溶血活性を持つさらにより多くの結合メンバーは特に有用である。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、少なくとも第一の結合ドメインおよび第二の結合ドメインを含む単離された結合メンバーに関し、該第一の結合ドメインはニューモリシンに特異的に結合することができる。
【0012】
本発明による結合メンバーは、好ましくは、抗体または抗体の断片である。抗体は当業者に知られたいずれの適当な方法によっても生産することができるが、結合メンバーの少なくとも一部は組換え方法を介して生産されるのが好ましい。従って、本発明は、1つの態様において、前記した結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子、ならびに前記定義の核酸分子を含むベクター、および前記核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0013】
本発明は、さらに、前記定義の結合メンバーの少なくとも一部を発現するように作製された、より好ましくは、前記定義の全結合メンバーを発現するように作製された細胞株に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、
−個体から生物学的試料を供し、
−前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に加え、
−該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、疾患または障害を検出し、または診断する;
ことを特徴とする、個体においてPneumococcusに関連した疾患または障害を検出し、または診断する方法に関する。
【0015】
また、該方法において、本発明は、さらに、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含むキットに関し、ここで、該結合メンバーは、診断方法で用いるために標識されている。
【0016】
なおもう1つの態様において、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物に関する。
【0017】
さらに、本発明は、肺炎、脊髄炎および/または敗血症のような、Streptococcus pneumoniaeに関連する障害および疾患の治療または予防用の医薬組成物の製造における前記定義の結合メンバーの使用に関する。
【0018】
なおさらなる態様において、本発明は、有効量の前記定義の結合メンバーを投与することによって、肺炎、脊髄炎および/または敗血症のような、Streptococcus pneumoniaeに関連する障害または疾患に罹った個体を治療または予防する方法に関する。
【0019】
さらなる態様は、抗−溶血結合メンバーによって認識されるニューモリシンペプチド、およびそのようなペプチドを含むワクチン組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(配列表)
配列番号:1 ニューモリシンのアミノ酸425ないし436
配列番号:2 ニューモリシンのアミノ酸423ないし438
配列番号:3 可変軽鎖26−5F12.1
配列番号:4 可変重鎖26−5F12.1
配列番号:5 CDR1軽鎖26−5F12.1
配列番号:6 CDR2軽鎖26−5F12.1
配列番号:7 CDR3軽鎖26−5F12.1
配列番号:8 CDR1重鎖26−5F12.1
配列番号:9 CDR2重鎖26−5F12.1
配列番号:10 CDR3重鎖26−5F12.1および26−23C2.2
配列番号:11 ニューモリシン配列
配列番号:12 可変軽鎖26−23C2.2
配列番号:13 可変重鎖26−23C2.2
配列番号:14 CDR1軽鎖26−23C2.2
配列番号:15 CDR2軽鎖26−23C2.2
配列番号:16 CDR3軽鎖26−23C2.2
配列番号:17 CDR1重鎖26−23C2.2
配列番号:18 CDR2重鎖26−23C2.2
配列番号:19 可変軽鎖22−1C11
配列番号:20 可変重鎖221C11
配列番号:21 CDR1軽鎖22−1C11
配列番号:22 CDR2軽鎖22−1C11
配列番号:23 CDR3軽鎖22−1C11
配列番号:24 CDR21重鎖22−1C11
配列番号:26 CDR2重鎖22−1C11
配列番号:26 CDR3重鎖22−1C11
(定義)
親和性:受容体およびそのリガンドの間、例えば、抗体およびその抗原の間の結合の強度
結合力:エピトープおよびパラトープの間の反応の親和性、および抗体および抗原の価数の双方に関連する抗体とその抗原との機能的結合強度
アミノ酸残基:そのペプチド結合におけるペプチドの化学的消化(加水分解)に際して形成されるアミノ酸。本明細書に記載するアミノ酸残基は好ましくは「L」異性体形態である。しかしながら、所望の機能的特性がポリペプチドによって保持される限り、「D」異性体形態の残基はいずれかのL−アミノ酸残基に代えて置換することができる。NH2とは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHとは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基をいう。標準的なポリペプチドと歩調を合わすために、アミノ酸残基に対する略語を以下の対応の表に示す:
【0021】
【化1】
式によって本明細書に表される全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端ないしカルボキシ末端の慣用的方向にて左から右の向きを有することに注意すべきである。加えて、フレーズ「アミノ酸残基」は、対応の表にリストされたアミノ酸、ならびに修飾された、および異常なアミノ酸を含むように広く定義される。さらに、アミノ酸残基配列の始まりまたは最後におけるダッシュは、1以上のアミノ酸残基のさらなる配列に結合したペプチド、またはNH2またはアセチルのようなアミノ−末端基に、あるいはCOOHのようなカルボキシ−末端基に対する共有結合を示すことに注意すべきである。
【0022】
抗体:その種々の文法的形態における該用語抗体は、本明細書中においては、免疫グロブリン分子、および本発明の組成物の免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗体結合部位またはパラトープを含有する分子をいうように用いる。抗体分子の例は無傷免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の部分であり、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvのような当該分野で知られた部分を含む。Fabの模式図を図1に示す。本明細書中で用いる用語「抗体」は、ヒト単一鎖およびヒト化抗体、ならびに抗体分子に由来する少なくとも1つの抗原結合決定基を有する多重特異的、二重特異的およびキメラ分子のような、そのような抗体の結合断片、あるいはそのような抗体の修飾されたバージョンを含むことも意図する。
【0023】
抗体のクラス:それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに帰属させることができる。少なくとも5つの免疫グロブリンの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらの内いくつかはさらにサブクラス(イソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、各々、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と呼ばれる。抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つに明瞭に区別されるタイプの1つに帰属させることができる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置はよく知られている。
【0024】
抗体結合部位:抗体結合部位は、抗原に特異的に結合する(それと免疫反応性である)重鎖および軽鎖可変および超可変領域よりなる抗体分子のその構造的部分である。その種々の形態における用語免疫反応は、抗原決定基含有分子、および全抗体分子またはその部分のような抗体結合部位を含有する分子の間の特異的結合を意味する。別法として、抗体結合部位は抗原結合部位として知られている。
【0025】
抗−溶血:溶血を阻害する能力。ここに、赤血球に対するニューモリシンの溶血活性の阻害による。
【0026】
塩基対(bp):二本鎖DNA分子におけるアデノシン(A)とチミン(T)との、またはシトシン(C)とグアニン(G)とのパートナーシップ。RNAにおいては、ウラシル(U)はチミンによって置き換えられる。
【0027】
結合メンバー:特に、ニューモリシンに特異的に結合することができる、Streptococcus pneumoniae蛋白質上のエピトープに結合することができるポリペプチド。
【0028】
結合ドメイン:抗原に特異的に結合する抗原結合部位。結合メンバーは多重特異的であってよく、2つの免疫学的に区別される抗原に特異的に結合する2以上の結合ドメインを含有する。
【0029】
キメラ抗体:可変領域が動物の1つの種からのものであって、定常領域が動物のもう1つの種からのものである抗体。例えば、キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒトのものである定常領域を有する抗体であり得る。
【0030】
相補的塩基:DNAまたはRNAが二本鎖立体配置を取る場合に通常対合するヌクレオチド。
【0031】
相補性決定領域またはCDR:抗体認識および結合ドメインを一緒に形成する抗体のV−ドメイン中の領域。
【0032】
相補的ヌクレオチド配列:もう1つの単一鎖上のそれに対して十分に相補的であって、結果としての水素結合でそれに特異的にハイブリダイズするDNAまたはRNAの一本鎖分子中のヌクレオチドの配列。
【0033】
保存された:もしヌクレオチド配列が予め選択された配列の正確な相補体に対してランダムではなくハイブリダイズするならば、それは予め選択された(参照)配列に対して保存されている。
【0034】
保存的置換:本明細書中で用いる用語保存的置換は、もう1つの生物学的に同様な残基によるアミノ酸残基の置き換えを示す。保存的置換の例は、もう1つのものに代えてのイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンのような1つの疎水性残基の置換、あるいはリシンに代えてのアルギニン、アスパラギン酸に代えてのグルタミン、あるいはアスパラギンに代えてのグルタミンの置換のようなもう1つのものに代えての1つの極性残基の置換等を含む。該用語保存的置換は、置換されていない親アミノ酸の代わりの置換されたアミノ酸の使用も含む。但し、置換されたポリペプチドを含む分子は同一の機能をやはり有するものとする。
【0035】
定常領域または定常ドメインまたはC−ドメイン:定常領域は、その中に保存的置換を含有してもよい与えられたイソタイプ内のアミノ酸残基配列を含む抗体分子の構造部分である。重鎖免疫グロブリン定常領域の例は、CH1、CH2、CH3、CH4およびCH5のような当該分野で公知の免疫グロブリン分子の部分である。軽鎖免疫グロブリン定常領域の例は、CLのような当該分野で公知の免疫グロブリン分子のその部分である。
【0036】
ダイアボディー:この用語は、2つの抗原−結合部位を持つ小さな抗体断片をいい、その断片は、同一ポリペプチド鎖(VH−VL)における軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには余りにも短いリンカーを用いることによって、ドメインはもう1つの鎖の相補的ドメインとで対合し、2つの抗原−結合部位を作り出すよう強制される。ダイアボディー、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.6444−6448(1993)により詳細に記載されている。
【0037】
解離定数Kd:受容体およびそれらのリガンド、例えば、抗体およびその抗原の間の結合の強度(または親和性または結合力)を記載するための尺度。より小さなKdであれば、結合はより強くなる。
【0038】
下流:配列転写または読み出しの方向においてDNA配列にさらに沿うこと、すなわち、DNAの非−コーディングストランドに沿っての3’−ないし5’−方向、あるいはRNA転写体に沿っての5’−ないし3’−方向の移動。
デュプレックスDNA:当該デュプレックスの塩基対に存在する相補的塩基の各々の間の1以上の水素結合によって一緒に保持された実質的に相補的なポリヌクレオチドの2つのストランドを含む二本鎖核酸分子。塩基対を形成するヌクレオチドはリボヌクレオチド塩基またはデオキシリボヌクレオチド塩基いずれかであり得るので、フレーズ「デュプレックスDNA」とは、2つのDNAストランドを含むDNA−DNAデュプレックス、あるいは1つのDNAおよび1つのDNAストランドを含むRNA−DNAデュプレックスいずれかをいう。
【0039】
融合ポリペプチド:少なくとも2つのポリペプチドおよび2つのポリペプチドを1つの連続ポリペプチドに操作可能に連結するための連結配列を含むポリペプチド。融合ポリペプチドにおいて連結された2つのポリペプチドは、典型的には、2つの独立した源に由来し、従って、融合ポリペプチドは通常は天然では連結されて見いだされない2つの連結されたポリペプチドを含む。
【0040】
Fv:VHおよびVL双方を含有するデルある鎖抗体断片。
【0041】
遺伝子:そのヌクレオチド配列がRNAまたはポリペプチドをコードする核酸。遺伝子はRNAまたはDNAいずれかであり得る。
【0042】
ヒト抗体フレームワーク:抗原結合部位、およびヒト免疫グロブリンに由来する当該分子の実質的に全ての残りの免疫グロブリン−由来部分を有する分子。
【0043】
ヒト化抗体フレームワーク:非−ヒト種からの免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を有する分子であるが、当該分子の残りの免疫グロブリン−由来部分のいくらかまたは全てはヒト免疫グロブリンに由来する。抗原結合部位は:1以上のヒト定常ドメインに融合した非−ヒト免疫グロブリンからの完全な可変ドメイン;または可変ドメインにおける適当なヒトフレームワーク領域へグラフトされた1以上の相補性決定領域(CDR)いずれかを含むことができる。ヒト化抗体においては、CDRはマウスモノクローナル抗体からのものであり得、抗体の他の領域はヒトである。
【0044】
ハイブリダイゼーション:相補的な塩基対の間の水素結合の確立によってデュプレックスまたはヘテロデュプレックスを形成するための実質的に相補的なヌクレオチド配列(核酸のストランド)の対合。それは、競合的に阻害できる2つの相補的なポリヌクレオチドの間の特異的な、すなわち、ランダムでない相互作用である。
【0045】
免疫グロブリン:IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDを含めた血清抗体。
【0046】
免疫グロブリンのイソタイプ:異なるH鎖を有するIgに与えられた名称。該名称はIgG(IgG1,2,3,4)、IgM、IgA(IgA1,2)、sIgA、IgE、IgDである。
【0047】
免疫学的に区別される:フレーズ免疫学的に区別されるとは、ポリペプチドの一方に特異的に結合し、他方のポリペプチドには特異的には結合しない抗体の能力について2つのポリペプチドの間を区別する能力をいう。
【0048】
個体:疾患、特に、以下に定義する感染性疾患に対して感受性であることが必要な生きた動物またはヒト。該対象は、抗原刺激および成長因子刺激に対して応答することができる白血球を保有する生物である。好ましい具体例において、該対象はヒト、ならびにイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラットおよびマウスのような非−ヒト哺乳動物を含めた哺乳動物である。最も好ましい具体例において、対象はヒトである。
【0049】
感染性疾患:Streptococcusの1以上の種、特にStreptococcus pneumoniaeによって引き起こされる障害。
【0050】
単離された:は、同定されており、その天然環境の成分から分離され、および/または回収されている、本明細書中に開示された種々の結合メンバーポリペプチドおよびヌクレオチドを記載するのに用いる。その天然環境の汚染成分は、典型的には、該ポリペプチドについての診断または治療の使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、および他の蛋白質性または非−蛋白質性溶質を含むことができる。好ましい具体例において、ポリペプチドは精製されるであろう。
【0051】
標識および表示手段:とは、検出可能なシグナルの生成に直接的にまたは間接的に関与して、複合体の存在を示す単一原子および分子をその種々の文法的形態でいう。
【0052】
モノクローナル抗体:その種々の文法的形態におけるフレーズモノクローナル抗体とは特定の抗原と免疫反応できる抗体結合部位の唯一の種を含有する抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体は、典型的には、それが免疫反応するいずれかの抗原に対する単一結合親和性を表示する。モノクローナル抗体は、各々が異なる抗原に対して免疫特異的である、複数の抗原結合部位を有する抗体分子、例えば、二重特異的モノクローナル抗体を含むことができる。
【0053】
マルチマー:1を超えるポリペプチドを含むポリペプチド分子。マルチマーはダイマーであって、2つのポリペプチドを含有してもよく、マルチマーはトリマーであって、3つのポリペプチドを含有してもよい。マルチマーはホモマーであって2以上の同一のポリペプチドを含有してもよく、あるいは、マルチマーはヘテロマーであって、2以上の非−同一ポリペプチドを含有してもよい。
【0054】
核酸:一本鎖または二本鎖いずれかの、ヌクレオチドのポリマー。
【0055】
ヌクレオチド:糖部位(ペントース)、リン酸、および窒素性複素環塩基よりなるDNAまたはRNAのモノマーユニット。該塩基はグリコシド炭素(ペントースの1’炭素)を介して糖部位に連結し、塩基および糖のその組合せがヌクレオシドである。該ヌクオレオシドがペントースの3’または5’位置に結合したリン酸基を含有する場合、それをヌクレオチドという。操作可能に連結されたヌクレオチドの配列は、典型的には、本明細書中においては、「塩基配列」または「ヌクレオチド配列」、およびそれらの文法的同等体をいい、本明細書中においては、その左から右への向きが5’末端または3’末端の慣用的方向にある式によって表される。
【0056】
ヌクレオチドアナログ:構造的にA、T、G、CまたはUとは異なるが、核酸分子における通常のヌクレオチドに代えての代替物に対して十分に同様であるプリンまたはピリミジンヌクレオチド。
【0057】
Pneumococcus:は、Streptococcus pneumoniaeと同義で用いる。
【0058】
ポリクローナル抗体:ポリクローナル抗体は、特異的な与えられた抗原を認識する抗体分子の混合物であり、よって、ポリクローナル抗体は該抗原内の異なるエピトープを認識することができる。
【0059】
ポリヌクレオチド:一本鎖または二本鎖ヌクレオチドのポリマー。本明細書中で用いるように、「ポリヌクレオチド」およびその文法的同等体は十分な範囲の核酸を含むであろう。ポリヌクレオチドは、典型的には、2以上のデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドの線状ストランドを含む核酸分子をいう。正確なサイズは多くの因子に依存し、該因子は、今度は、当業者に良く知られているように使用の最終的な条件に依存する。本発明のポリヌクレオチドはプライマー、プローブ、RNA/DNAセグメント、オリゴヌクレオチドまたは「オリゴ」(比較的短いポリヌクレオチド)、遺伝子、ベクター、プレスミド等を含む。
【0060】
ポリペプチド:フレーズポリペプチドとは、隣接するアミノ酸残基の間のアミノ結合以外の結合を含有しないアミノ酸残基を含む分子をいう。
【0061】
受容体:受容体は、もう1つの分子に特異的に(ランダムではなく)結合することができる、蛋白質、等蛋白質等のような分子である。
【0062】
組換えDNA(rDNA)分子:2つのDNAセグメントを操作可能に連結することによって生じたDNA分子。かくして、組換えDNA分子は、天然では通常は一緒に見いだされない少なくとも2つのヌクレオチド配列を含むハイブリッドDNA分子である。共通の生物学的起源を有しない、すなわち、進化的に異なるrDNAは「異種」といわれる。
【0063】
特異性:用語特異性とは、ポリペプチドにおける与えられた抗原と免疫反応する(それに特異的に結合する)潜在的抗原結合部位の数をいう。ポリペプチドは単一ポリペプチドであってよく、あるいは、ジスルフィド結合によって連結された2以上のポリペプチドであってよい。ポリペプチドはモノ特異的であって、抗原に特異的に結合する1以上の抗原結合部位を含有してもよく、あるいはポリペプチドは二重特異的であって、2つの免疫学的に区別される抗原に特異的に結合する2以上の抗原結合部位を含有してもよい。かくして、ポリペプチドは同一または異なる抗原に特異的に結合する複数の抗原結合部位を含有することができる。
【0064】
血清型:種々の特徴において相互に異なる多くの株よりなるStreptococcusの種内の細菌の同定。血清型を規定する共通に用いられる特徴は特別な抗原性分子である。
【0065】
単一鎖抗体またはscFv:フレーズ単一鎖抗体とは、1以上の抗原結合部位を含む単一ポリペプチドをいう。さらに、Fv断片のHおよびL鎖は別々の遺伝子によってコードされるが、それらは直接的にまたはペプチドを介して連結されていてよく、例えば、組換え技術によってそれらが(単一鎖抗体として知られた、sAb;Bird et al.1988 Science 242:423−426;およびHuston et al. 1988 PNAS 85:5879−5883)単一蛋白質鎖として差癖されるのを可能とする合成リンカーを作製することができる。そのような単一鎖抗体もまた用語「抗体」内に含まれ、多重特異的結合分子の設計および作製において結合決定体として利用することができる。
【0066】
上流:DNA転写の方向とは反対の方向、従って、非−コーディングストランド上では5’から3’へ、またはmRNA上では3’から5’へ行くこと。
【0067】
価数:用語価数とは、ポリペプチドにおいて、潜在的抗原結合部位、すなわち、結合ドメインの数を言う。ポリペプチドは一価であって、1つの抗原結合部位を含有してもよく、あるいは、ポリペプチドは二価であって、2つの抗原結合部位を含有してもよい。加えて、ポリペプチドは四価であって、4つの抗原結合部位を含有してもよい。各抗原結合部位は1つの抗原に特異的に結合する。ポリペプチドが1を超える抗原結合部位を含む場合、各抗原結合部位は同一または異なる抗原に特異的に結合することができる。かくして、ポリペプチドは複数の抗原結合部位を含有し、従って、多価であってよく、ポリペプチドは同一または異なる抗原に特異的に結合することができる。
【0068】
V−ドメイン:可変ドメインは、抗原結合部位を形成するアミノ酸残基配列を含む抗体分子の構造的部分である。例示的な軽鎖免疫グロブリン可変領域は、VLとして当該分野で知られた免疫グロブリン分子のその部分である。
【0069】
VL:軽鎖の可変ドメイン。
【0070】
VH:重鎖の可変ドメイン。
【0071】
ベクター:細胞において自律複製が可能であって、それに対して、DNAセグメント、例えば、遺伝子またはポリヌクレオチドを操作可能に連結させて付着されたセグメントの複製を実現することができるrDNA分子。1以上のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を指令することができるベクターを、本明細書中において「発現ベクター」という。特に重要なベクターは、逆転写酵素を用いて生じたmRNAからのcDNA(相補的なDNA)のクローニングを可能とする。
【0072】
(記載)
前記したように本発明は、Streptococcus pneumoniae蛋白質、より特別にはニューモリシンを特異的に認識し、それに結合することができる結合メンバー、特に抗体またはその断片に関する。本発明による結合メンバーは、Streptococcus pneumoniaeによって引き起こされた疾患の治療において、ならびに診断方法および細菌を検出するためのキットで使用するのに特に有用である。ニューモリシンは、好ましくは、図2に示されたアミノ酸配列(配列番号:11)を有するポリペプチドである。
【0073】
かくして、本発明による結合メンバーは、好ましくは、例えば、抗原に結合し、該抗原を免疫活性細胞に提示し、それにより、該抗原のファゴサイトーシスを容易とすることができるような抗体として免疫学的に活性であるべきである。
【0074】
特に、結合メンバーは、当該分野で公知のいずれかの適当な抗体のような抗体、特に、抗体または抗体の免疫学的に活性な断片または単一鎖抗体のような本明細書中に定義された抗体である。抗体分子は、典型的には、その塩基性ユニットが、ジスルフィド結合によって一緒に共有結合連結された、4つのポリペプチド、2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖よりなるY−形状の分子である。これらの鎖の各々は区別されるドメインに折り畳まれる。重鎖および軽鎖双方のC−末端領域は配列で保存されており、定常領域と呼ばれ、C−ドメインとしても知られている。V−ドメインとしても知られているN−末端領域は配列が可変であって、抗体特異性を担う。該抗体は、そのV−ドメインに位置する6つの短い相補性−決定領域を主に通じて抗原を特異的に認識し、それに結合する(図1参照)。
【0075】
本発明による抗体はニューモリシンに向けての強い親和性を有するので特に有用である。
【0076】
従って、本発明による結合メンバーは、1×10−6M未満であるニューモリシンに対する解離定数Kdを有する結合ドメインを有する。より好ましくは、ニューモリシンに対する解離定数Kdは1×10−7M未満、より好ましくは、1×10−8M未満、より好ましくは、5×10−8M未満、より好ましくは1×10−9M未満、より好ましくは、5×10−9M未満、より好ましくは1×10−10M未満である。
【0077】
ニューモリシンに向けての結合メンバーの親和性は、好ましくは、実施例4に記載されたように測定される。
【0078】
結合メンバーは、好ましくは、前記した単離された結合メンバー、より好ましくは、単離された純粋な結合メンバーである。
【0079】
(抗−溶血活性)
さらに、抗溶血活性を有する結合メンバーは、Streptococcus pneumoniaeによって引き起こされた疾患の治療に特に適当であると考えられる。理論に拘束されるつもりはないが、抗−溶血結合メンバーのニューモリシンへの結合は標的細胞の膜へのニューモリシンの付着を妨げると考えられる。イン・ビトロ機能的アッセイは好ましくは、実施例2および3に記載されているように行われる。
【0080】
本発明による結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、4000nm/mlの濃度において溶血を少なくとも50%阻害することができるのが好ましい。より好ましくは、結合メンバーは実施例3に記載されたアッセイにおいて、4000ng/mlの濃度にて80のような、85のような、最も好ましくは、90%のような、少なくとも60%だけ溶血を阻害する。
【0081】
本発明による最も好ましい結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、160ng/mlの濃度で溶血を少なくとも50%阻害することができる。より好ましくは、結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、160ng/mlの濃度で溶血を80のような、85のような、最も好ましくは90%のような、少なくとも60%だけ阻害する。
【0082】
(相補性決定領域)
理論に拘束されるつもりはないが、高結合強度および/または抗−溶血活性は、後に示す配列の以下のモチーフの1以上を有するアミノ酸配列を結合部位に一体化させることによって引き起こされると考えられる。
【0083】
具体例において、結合ドメインは:
−アミノ酸配列組配列番号:5またはそのホモログ、配列番号6またはそのホモログ、および配列番号:7またはそのホモログ、または
−アミノ酸配列組配列番号:14またはそのホモログ、配列番号15またはそのホモログ、および配列番号:16またはそのホモログ;
の群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、あるいは
−好ましくは、結合ドメインは:
−アミノ酸配列組配列番号:8またはそのホモログ、配列番号:9またはそのホモログ、および配列番号:10またはそのホモログ、
−アミノ酸配列組配列番号:17またはそのホモログ、配列番号:18またはそのホモログ、および配列番号:10;
の群から選択されるアミノ酸配列組の少なくとも1つを含む。
【0084】
前記アミノ酸配列組において、アミノ酸配列は好ましくは、CDR1、CDR2およびCDR3としての結合ドメインに配置され、すなわち、他のアミノ酸配列によって離される。
【0085】
より具体的には、結合ドメインは、好ましくは、配列番号:5および配列番号:8またはそのホモログから選択される配列を含むCDR1領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:6および配列番号:9またはそのホモログから選択される配列を含むCDR2領域を含むおよび/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:7および配列番号:10またはそのホモログから選択される配列を含むCDR3領域を含む。
【0086】
別法として、結合ドメインは、好ましくは、配列番号:14および配列番号:17またはそのホモログから選択される配列を含むCDR1領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:15および配列番号:18またはそのホモログから選択される配列を含むCDR2領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:16および配列番号:10またはそのホモログから選択される配列を含むCDR3領域を含む。
【0087】
本明細書中に記載された出願人の発見は、可変重鎖の配列が溶血活性で重要であろうことを示唆する。かくして、好ましい具体例は;配列番号:8、配列番号:9、配列番号:17、配列番号:18および配列番号:10またはそのホモログの群から選択される1以上の配列を含む結合ドメインを含む。特に好ましいのは、配列番号:9または配列番号:18またはそのホモログを含む結合ドメインである。最も好ましいのは、配列番号:10またはそのホモログを含む結合ドメインである。
【0088】
かくして、結合ドメインの可変領域は配列番号:3および配列番号:4またはそのホモログから選択される配列を含み、ここに、ホモログは本明細書中の他の箇所に定義されたとおりであるのが特に好ましい。
【0089】
別法として、結合ドメインの可変領域は配列番号:12および配列番号:13またはそのホモログから選択される配列を含み、ここに、ホモログは本明細書中の他の箇所に定義されたとおりである。
【0090】
好ましい特別な具体例において、結合ドメインの可変軽鎖は配列番号:3および配列番号:12から選択される配列を含み、および/または最も好ましくは、結合ドメインの可変重鎖は配列番号:4および配列番号:13から選択される配列を含む。
【0091】
前記したホモログのいずれか1つの相同性は、好ましくは、1以上のホモログを含む結合ドメインに、前記定義のニューモリシンに対する解離定数Kdを付与する。
【0092】
(同一性および相同性)
用語「同一性」は、配列を整列させ、ギャップを導入して、必要であれば、全配列に対する最大パーセント同一性を達成した後に、それに対してそれを比較する対応する配列の残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージを意味するように解釈されるべきであり、配列同一性の一部としていずれかの保存的置換は考慮しない。N−またはC−末端延長または挿入は同一性または相同性を減少するものと解釈されるべきではない。整列のための方法およびコンピュータープログラムは当該分野でよく知られている。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを用いて測定することができる(例えば、配列分析ソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Ave,Madison,Wis.53705)。このソフトウェアは、相同性の程度を種々の置換、欠失、および他の修飾に帰属させることによって同様な配列にマッチする。
【0093】
本明細書中で特定された1以上の配列のホモログは、定義された配列と比較して1以上のアミノ酸において変化していてもよいが、同一機能を実行することができ、すなわち、ホモログは所定の配列と機能的に同等なものと考えることができる。
【0094】
前記したように、本明細書中における所定の配列のいずれかのホモログは;
i)やはり所定のアミノ酸配列によって認識される抗原を認識することができるアミノ酸配列を含むホモログ、および/または
ii)抗原に選択的に結合することができるアミノ酸配列を含むホモログ、ここに、該抗原は所定の配列によってやはり選択的に結合される、および/または
iii)配列番号:3、4、12および13のような所定の配列を含む結合ドメインとして、ニューモリシンに対して実質的に同様な、またはより高い結合親和性を有するホモログ;
と定義することができる。
【0095】
ホモログの例は、所定のアミノ酸の同一群内の1以上の保存的アミノ酸置換を含む1以上の保存的アミノ酸置換、あるいは各保存的置換が所定のアミノ酸の異なる群内での置換によって生じる複数の保存的アミノ酸置換を含む。
【0096】
ホモログは、かくして、当該ホモログの少なくとも1つのグリシン(Gly)はAla、Val、Leu、およびIleよりなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換された相互に独立した保存的置換、およびそれとは独立した、その当該ホモログの当該アラニン(Ala)の少なくとも1つがGly、Val、LeuおよびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのバリン(Val)がGly、Ala、Leu、およびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該ロイシン(Leu)の少なくとも1つがGly、Ala、ValおよびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの少なくとも1つのイソロイシン(Ile)がGly、Ala、ValおよびLeuよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立した、その当該ホモログの当該アスパラギン酸(Asp)の少なくとも1つがGlu、AsnおよびGlnからなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該フェニルアラニン(Phe)の少なくとも1つがTyr、Trp、His、Proよりなるアミノ酸の群から選択され、好ましくは、TyrおよびTrpよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該チロシン(Tyr)の少なくとも1つがPhe、Trp、His、Proよりなるアミノ酸の群から選択され、好ましくは、PheおよびTrpよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログおよびそれとは独立して、当該断片の当該アルギニン(Arg)の少なくとも1つがLysおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの少なくとも1つのリシン(Lys)がArgおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの当該アスパラギン(Asn)の少なくとも1つがAsp、GluおよびGlnよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのグルタミン(Gln)がAsp、GluおよびAsnよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのプロリン(Pro)がPhe、Tyr、TrpおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの当該システイン(Cys)の少なくとも1つがAsp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、ThrおよびTyrよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログを含むことができる。
【0097】
保存的置換は、好ましい所定の配列のいずれかの部分に導入することができる。しかしながら、非−保存的置換、特に、限定されるものではないが、いずれかの1以上の位置における非−保存的置換を導入するのも望ましいであろう。
【0098】
配列の機能的に同等なホモログの形成に導く非−保存的置換は、ここでは、例えば、i)極性が実質的に異なり、例えば、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGlnのような極性側鎖を持つ残基、あるいはAsp、Glu、ArgまたはLysのような荷電したアミノ酸に代えて置換された、あるいは非−極性のものに代えて荷電したまたは極性残基を置き換えた非−極性側鎖(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、PheまたはMet)を持つ残基;および/または、ii)もう1つの残基の、またはもう1つの残基によるProまたはGlyに代えての置換のようなポリペプチド骨格の向きに対するその効果が実質的に異なり;および/または、iii)電荷において実質的に異なり、例えば、Lys、HisまたはArgのような正に荷電した残基に代えてのGluまたはAspのような負に荷電した残基の置換(およびその逆);および/または、iv)立体的嵩において実質的に異なり、例えば、従たる側鎖を有するもの、例えば、Ala、GlyまたはSerに代えてのHis、Trp、PheまたはTyrのような嵩高い残基の置換(およびその逆)。
【0099】
アミノ酸の置換は、1つの具体例においては、その疎水性および親水性値、および電荷、サイズなどを含めたアミノ酸側鎖置換基の相対的同様性に基づいてなすことができる。種々のこれまでの特徴を考慮したアミノ酸置換の例は当業者によく知られており、アルギニンおよびリシン;グルタメートおよびアスパルテート;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;バリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
【0100】
具体例において、結合ドメインは、配列番号:5、6、7、8、9、10、14、15、16、17および18より選択される配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するホモログを含む。好ましい具体例において、結合ドメインは、配列番号:3、4、12、および13より選択される配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するホモログを含む。
【0101】
より好ましくは、ホモログは、配列番号:5、6、7、8、9、10、14、15、16、17および18、好ましくは、配列番号:3、4、12および13より選択される配列に対して少なくとも70%同一のような、少なくとも75%同一のような、少なくとも80%同一のような、少なくとも85%同一のような、少なくとも90%同一のような、少なくとも95%同一のような、少なくとも98%同一のような、少なくとも65%同一である。
【0102】
より好ましい具体例において、前記したパーセンテージは、配列番号:3、4、12および13より選択される配列と比較した、ホモログの配列の同一性に関する。
【0103】
(エピトープ)
本発明による抗−溶血結合メンバーは、好ましくは、配列番号:3、4、12または13の群から選択される配列を含む可変部分を有する抗体によってやはり認識されるエピトープを認識し、それに結合する。
【0104】
具体例において、抗−溶血結合メンバーの結合ドメインは、ニューモリシンのN−末端部分においてエピトープを認識する。好ましくは、配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸1ないし436に対応するN−末端部分内。結合ドメインによって認識されるエピトープは、配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸50ないし436、または好ましくはアミノ酸100ないし436内にあるのがさらに好ましい。特別な具体例において、結合メンバーによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸200ないし435または300ないし435内にある。
【0105】
本発明の結合メンバーの結合ドメインは、好ましくは、配列番号:27によって同定されるアミノ酸配列に含まれるエピトープを認識する。好ましい具体例において、結合ドメインは配列番号:28、29、30および31に含まれるエピトープ、より好ましくは、配列番号:29および30に含まれるエピトープを認識する。
【0106】
結合ドメインによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸400ないし438、またはより好ましくはアミノ酸420ないし436内にあるのがさらに好ましい。特別な具体例において、結合メンバーによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸422ないし436または425ないし436内にある。
【0107】
(血清型)
前記したように、Streptococcus pneumoniaeの90の異なる血清型が同定されている。本発明による結合メンバーは、3以上の異なるPneumococcus血清型からのように、4以上の異なるPeumococcus血清型からのような、5以上の異なるPneumococcus血清型からのような、2以上の異なるPneumococcus血清型からのニューモリシンに結合することができるのが好ましい。最も好ましくは、本発明による結合メンバーは実質的に全ての血清型からのPneumococcusを認識し、それに結合することができる。
【0108】
(モノクローナル/ポリクローナル抗体)
1つの具体例において、結合メンバーは抗体であり、ここに、該抗体は哺乳動物に由来するポリクローナルまたはモノクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体の混合物であり得る。好ましい具体例において、結合メンバーはモノクローナル抗体またはその断片である。該抗体はいずれの種類の抗体であってもよいが、それは好ましくは、IgG抗体である。より好ましくは、該抗体はIgG1抗体またはその断片である。
【0109】
モノクローナル抗体(Mab)は、各抗体分子が同様であって、かくして、同一エピトープを認識する。モノクローナル抗体は、一般には、ハイブリドーマ細胞株によって生産される。モノクローナル抗体および抗体−合成ハイブリドーマ細胞を作製する方法は当業者に良く知られている。抗体−生産ハイブリドーマは、例えば、抗体−生産Bリンパ球と不滅化細胞株との融合によって調整することができる。
【0110】
モノクローナル抗体は以下の工程によって生産することができる。全ての手法において動物は、ポリクローナル抗体の調製について前記したように蛋白質(またはそのペプチド)のような抗原で免疫化する。免疫化は、典型的には、免疫学的に有効な量、すなわち、免疫応答を生じさせるのに十分な量の免疫原を免疫学的にコンピテントな哺乳動物に投与することによって達成される。好ましくは、哺乳動物はウサギ、ラットまたはマウスのようなげっ歯類である。次いで、哺乳動物を該哺乳動物にとって記載された高親和性抗体分子を生じさせるのに十分な期間、ブースタースケジュールに維持する。抗体−生産細胞の懸濁液は、所望の抗体を分泌する各免疫化哺乳動物から取り出す。高親和性抗体を生じさせるのに十分な時間の後、動物(例えば、マウス)を犠牲にし、抗体−生産リンパ球はリンパ節、脾臓および末梢血液の1以上から得られる。脾臓細胞は好ましく、当業者によく知られた方法を用いて、生理学的媒体中で個々の細胞に機械的に分離することができる。抗体−生産細胞は、マウスミエローマ系の細胞への融合によって不滅化される。マウスリンパ球はマウス相同ミエローマとの安定な融合の高いパーセンテージを与えるが、ラット、ウサギおよびカエル体細胞を用いることもできる。所望の抗体−生産動物の脾臓細胞は、一般には、ポリエチレングリコールのような融合剤の存在下でミエローマ細胞と融合させることによって不滅化させる。融合パートナーとして適した多数のミエローマ細胞株のいずれも、標準的な技術で用いられる。例えば、American Type Culture Collection(ATCC) Rockville,Mdから入手可能なP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14ミエローマ系。
【0111】
モノクローナル抗体は組換えDNA技術の分野における当業者によく知られた他の方法によって作製することもできる。「コンビナトーリアル抗体ディスプレイ」方法と言われる代替方法が、特定の抗原特異性を有する抗体断片を同定し、単離するために開発されており、モノクローナル抗体を生産するのに利用することができる。
【0112】
ポリクローナル抗体は、特異的な与えられた抗原を認識する抗体分子の混合物であり、よって、ポリクローナル抗体は該抗原内の異なるエピトープを認識することができる。一般には、ポリクローナル抗体は、先に抗原で免疫化されている哺乳動物の血清から生成される。ポリクローナル抗体は、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,By Ed HarlowおよびDavid Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988に記載された方法のいずれかによって調製することができる。ポリクローナル抗体は、いずれかの適当な哺乳動物種から、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギおよびヒツジから由来することができる。
【0113】
(特異性)
結合メンバーはニューモリシンに対して一特異的であってよく、ここに、ニューモリシンに対する特異性が結合メンバーがニューモリシンと免疫反応することを意味する。もう1つの具体例において、結合メンバーは、ニューモリシンに対して特異的である少なくともひとつの部分を有して、二重特異的または多重特異的である。
【0114】
(一価抗体)
該一特異的結合メンバーは、一特異的であってよく、すなわち、ただ1つの結合ドメインを有する。
【0115】
一価抗体では、免疫グロブリン定常ドメインアミノ酸残基配列は、CH1、CH2、CH3およびCH4のような当該分野で知られた抗体分子の構造部分を含む。好ましいのは、CLのような当該分野で知られた結合メンバーである。好ましいCLポリペプチドはCカッパおよびCラムダよりなる群から選択される。
【0116】
さらに、定常ドメインが重鎖または軽鎖定常ドメイン(各々、CHまたはCL)いずれかで有り得る限り、種々の一価結合メンバー組成物が本発明で考えられる。例えば、軽鎖定常ドメインは、もう1つの軽鎖定常ドメインに、または重鎖定常ドメインにジスルフィドブリッジすることができる。対照的に、重鎖定常ドメインは2つの独立したジスルフィドブリッジを形成することができ、もう1つの重鎖および軽鎖双方に対するブリッジングの確立を可能とし、または重鎖のポリマーを形成するのを可能とする。
【0117】
かくして、もう1つの具体例において、本発明では、一価ポリペプチドを含む組成物が考えられ、ここに、定常鎖ドメインCは少なくとも1つのジスルフィドブリッジを形成することができるシステイン残基を有し、ここに、組成物は該ジスルフィドブリッジによって共有結合連結された少なくとも2つの一価ポリペプチドを含む。
【0118】
好ましい具体例において、定常鎖ドメインCはCLまたはCHいずれかであり得る。CがCLである場合、CLポリペプチドは好ましくは、CカッパおよびCラムダよりなる群から選択される。
【0119】
もう1つの具体例において、本発明では、当該組成物はジスルフィドブリッジによって共有結合により連結された2つの一価ポリペプチドを含有するように、Cがジスルフィドブリッジを形成することができるシステイン残基を有するCLである以外は、前記した一価ポリペプチドを含む結合メンバー組成物が考えられる。
【0120】
(多価)
本発明のもう1つの具体例において、結合メンバーは少なくとも2つの結合ドメインヲ有する多価結合メンバーである。結合ドメインは、同一リガンドに対する、または異なるリガンドに対する特異性を有することができる。
【0121】
(二特異性を含めた多特異性)
好ましい具体例において、本発明は、少なくとも2つの異なる存在に対して特異性を有し、該存在に結合することができる。多重特異的結合メンバーに関する多重特異的結合メンバーは二重特異的結合メンバーを含むことができる。
【0122】
1つの具体例において、多重特異的分子は、その各々1つが抗体起源である少なくとも2つの異なる結合ドメインを運ぶ二重特異的抗体(BsAb)である。
【0123】
本発明の二重特異的分子は、単一鎖二重特異的抗体、1つの単一鎖抗体および結合ドメインを含む単一鎖二重特異的分子、または2つの結合ドメインを含む単一鎖二重特異的分子のような単一鎖二重特異的分子でもあり得る。多重特異的分子は単一鎖分子でもあり得るか、少なくとも2つの単一鎖分子を含む事ができる。
【0124】
二重特異的を含めた多重特異的抗体は当業者に知られたいずれかの適当な方法によって生産することができる。
【0125】
二重特異的全抗体を作り出すためのアプローチは各々が所望の特異性を有する抗体を生産する2つのハイブリドーマ細胞株を融合することであった。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダム会合のため、これらのハイブリッドハイブリドーマは、そのうちただ1つが二重特異的抗体である、10までの異なる重鎖および軽鎖組み合わせの混合物を生じる。従って、これらの二重特異的抗体は、面倒な手法で生成されなければならず、これは、所望の産物の収率をかなり減少させる。
【0126】
代替アプローチは、前記したように、ヒンジにおいて、または遺伝的に導入されたC−末端Cysを介して、システイン残基の化学的架橋による2つの抗原の特異性のイン・ビトロ連結を含む。そのようなイン・ビトロアセンブリーの改良は、Fab’と、ヘテロダイマーの形成を促進するペプチドとの組換え融合を用いることによって達成された。しかしながら、これらの方法における二重特異的産物の収率は100%よりもはるかに小さい。
【0127】
イン・ビトロ化学アセンブリー工程を含まない、二価または二重特異的抗体断片を生じさせるためのより効果的なアプローチはHolliger et al.(1993)によって記載された。このアプローチは、細菌から分泌されたscFv’がしばしばモノマーおよびダイマー双方として存在するという観察を利用する。該観察は、異なる鎖のVHおよびVLが対合することができ、かくして、ダイマーおよびより大きな複合体を形成することを示唆した。Hollinger et al.によって「ダイアボディー」と命名されたダイマー抗体断片は、事実、イン・ビボで組み立てられた小さな二価抗体断片である。2つの異なる抗体1および2のVHおよびVLを連結して、「クロス−オーバー」鎖VH 1VL 2およびVH 2−VL−1を形成することによって、ダイマー化プロセスは、双方の抗原−結合部位を再度組み立てることが示された。2つの結合部位の親和性は、出発scFv’と同等であり、あるいはVHおよびVLを共有結合連結させるポリペプチドリンカーを除去し、かくして、各々がVHと対合するのではなくVHに直接的にかつ共有結合連結したVHよりなる2つの蛋白質を生じさせた場合には、10倍さえ増加することが示された。2特異的抗体断片を生じさせるこの戦略もまたいくつかの特許出願において記載されている。特許出願WO 94/09131(SCOTGEN LTD;優先日1992年10月15日)は、結合ドメインが、2つの鎖に存在するか、あるいはscFvにおいて連結されたVHおよびVL領域双方に由来し、他方、他の融合した抗体ドメイン、例えば、C−末端定常ドメインを用いて、ダイマー構築体を安定化させる二重特異的結合蛋白質に関する。特許出願WO/94/13804(CAMBRIDGE ANTIBODY TECHNOLOGY/MEDICAL RESEARCH COUNCIL;最初の優先日1992年12月4日)は、相互に会合することができず、それにより、V−ドメインをリンカーで、またはそれなしで連結することができるVHおよびVLを含有するポリペプチドに関する。
【0128】
(特許出願WO 94/13806;DOW CHEMICAL CO;優先日1992年12月11日にも記載されている)Mallender and Voss,1994は、E.coliにおける単一鎖二重特異的抗体断片のイン・ビボ生産を報告した。二価蛋白質の二特異性は、一緒に、フレキシブルなポリペプチドリンカーによって遺伝子レベルで連結されている、区別される特異性を保有する2つの従前に生産された一価scFv分子に基づいた。伝統的には、単一鎖抗体断片をいう場合には常に、ポリペプチドリンカーの存在または不存在下において1つの(対応する)軽鎖に連結された1つの重鎖よりなる単一分子が意味される。「ダイアボディー」アプローチを通じて(Holliger et al.,(1993)および特許出願WO 94/09131)、あるいは「二重scFv」アプローチ(Mallender and Voss,1994および特許出願WO 94/13806)によって、二価または二重特異的抗体断片を作製する場合、再度、VHを(対応する)VLに連結させる。
【0129】
前記した多重特異的分子は多数の方法によって作製することができる。例えば、全ての特異性は同一ベクターにおいて高度し、同一宿主細胞において発現させ、組み立てることができる。この方法は、多重特異的分子がmAb × mAb、mAb × Fab、Fab × F(ab’)2またはリガンド× Fab融合蛋白質である場合に特に有用である。二価または多価抗体を調製するための種々の他の方法は、例えば、米国特許第5,260,203号;第5,455,030号;第4,881,175号;第5,132,405号;第5,091,513号;第5,476,786号;第5,013,653号;第5,258,498号;および第5,482,858号に記載されている。
【0130】
本発明による二重特異的または多重特異的結合メンバーを用いることによって本発明は、一特異的/一価結合メンバーと比較していくつかの利点を供する。
【0131】
二重特異的/多重特異的結合メンバーは、Streptococcus蛋白質、特にニューモリシンを特異的に認識し、それに結合することができる第一の結合ドメインを有し、他方、他の結合ドメインは他の目的で用いることができる。
【0132】
1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインを、第一の結合ドメインと比較して、同一のStreptococcus蛋白質上のもう1つのエピトープへの結合のような、Streptococcus蛋白質への結合で用いる。それにより、Streptococcus種に対する特異性は増加させることができ、ならびに結合メンバーの結合力を増加させることができる。
【0133】
もう1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインは、ヒト細胞のような哺乳動物細胞に特異的に結合させるために用いることができる。該少なくとも他の結合ドメインは白血球、マクロファージ、リンパ球、好塩基球および/または好酸球細胞のような免疫活性細胞に結合して、治療方法における結合メンバーの効果を増加させることができるのが好ましい。これは、少なくとも1つの他の結合ドメインが、クラスター分化蛋白質(CD)のいずれか、特に、CD64および/またはCD89から選択される蛋白質のようなヒト蛋白質のごとき哺乳動物蛋白質に特異的に結合することができることを確立することによって達成することができる。CD64特異性を有する二重特異的抗体を生産するための方法は、Medarex,Inc.に対する米国特許第6,071,517号に記載されている。
【0134】
本明細書中で用いる「エフェクター細胞」とは、白血球またはリンパ球である免疫細胞をいう。特異的エフェクター細胞は特異的Fc受容体を発現し、特異的免疫機能を行う。例えば、CD89受容体を発現する単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は標的細胞の特異的殺傷、および免疫系の他の成分への抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。
【0135】
(ヒト化抗体フレームワーク)
非−ヒト「外来性」エピトープは治療すべき個体において免疫応答を誘導し得るので、ヒト治療のために非−ヒト抗体を用いるのは常には望ましくない。非−ヒト抗体に関連する問題をなくし、または最小化するには、キメラ抗体誘導体、すなわち、非−ヒトFab可変領域結合決定基をヒト定常領域(Fc)と組み合わせる「ヒト化」抗体分子を作製するのが望ましい。そのような抗体は、前記したモノクローナルおよびポリクローナル抗体の同等な抗原特異性および親和性によって特徴付けられ、ヒトに投与した場合には免疫原性は低く、従って、治療すべき個体によってより許容されるようである。
【0136】
従って、1つの具体例において、結合メンバーは、ヒト化抗体とも呼ばれる。ヒト化抗体フレームワークに運ばれる結合ドメインを有する。
【0137】
ヒト化抗体は、一般には、ヒト抗体に由来する領域、およびげっ歯類抗体のような非−ヒト抗体に由来する領域を含むキメラ抗体である。(再形成またはCDR−グラフティングとも呼ばれる)ヒト化は、異種間源(通常はげっ歯類)からのモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低下させ、ヒト免疫グロブリンに対する相同性を増加させるための、およびヒト免疫系のその活性化を改良するためのよく確立された技術である。かくして、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基および、恐らくは、いくつかのフレームワーク残基がげっ歯類抗体における類似の部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0138】
ヒト化抗体は抗原に対する高い親和性、および他の好都合な生物学的特性を保有するのがさらに重要である。この目標を達成するには好ましい方法に従い、親およびヒト化配列の三次元モデルを用い、親配列および種々の概念的ヒト化産物の分析のプロセスによってヒト化抗体を分離する。三次元免疫グロブリンモデルは通常に入手でき、当業者は精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の恐らくは三次元の立体配座構造を示し、それを表示するコンピュータープログラムが入手可能である。これらの表示を精査すると、候補免疫グロブリン配列の機能化におけるある種の残基のありそうな役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析を可能とする。このようにして、抗原結合に直接的かつ最も実質的に影響するのはCDR残基ではあるが、標的抗原に対する増大した親和性のような所望の抗体特徴が最大化されるように、FR残基を受容者から選択し、組み合わせ、配列を輸入することができる。
【0139】
MAbをヒト化する1つの方法は、1つの抗体の完全な可変ドメインを含む抗原結合部位が第2の抗体、好ましくはヒト抗体に由来する定常ドメインに融合したキメラ抗体の生産に関連するものであった。そのようなキメラ化手法を行うための方法は、例えば、EP−A−0 120 694(Celltech Limited)、EP−A−0 125 023(Genentech Inc.)、EP−A−0 171 496(Res.Dev.Corp.Japan)、EP−A−0173494(Stanford University)およびEP−A−0 194 276(Celltech Limited)に記載されている。抗体のヒト化のより複雑な形態は、非−ヒト抗体結合部位を構成するアミノ酸が、ヒト抗体可変領域のフレームワークに一体化させるような、可変領域ドメインの再設計を含む(Jones et al.,1986)。
【0140】
本発明のヒト化抗体は、ヒト抗体のCDRの少なくとも一部を、非−ヒト抗体から由来するCDRで置き換えることができるいずれの方法によって作製することもできる。Winterは、その内容をここに引用して例示的に援用する、本発明のヒト化抗体を調製するために用いることができる方法を記載する(1987年3月26日に出願された英国特許出願GB 2188638A)。ヒトCDRは、後の実施例に記載されるオリゴヌクレオチド部位特異的突然変異誘発を用いて非−ヒトCDRで置き換えることができる。
【0141】
その例として、本発明のヒト化抗体は、後に簡単な説明で記載するように作製することができる。本発明のヒト化抗体は以下のプロセス:
(a)慣用的にCDRおよび抗体結合特異性を保有するのに必要な可変ドメインフレームワークの領域のそのような最小部分が非−ヒト免疫グロブリンに由来し、かつ抗体鎖の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する抗体重鎖をコードするDNA配列を含むオペロンを含有する発現ベクターを構築し、それにより、本発明のベクターを製造し;
(b)慣用的技術によって、CDRおよびドナー抗体結合特異性を保有するのに必要な可変ドメインフレームワーク領域のそのような最小部分が非−ヒト免疫グロブリンに由来し、かつ抗体鎖の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する相補的抗体軽鎖をコードするDNA配列を持つオペロンを含有する発現ベクターを構築し、それにより、本発明のベクターを製造し;
(c)慣用的技術によって発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトして、本発明のトランスフェクトされた宿主細胞を生じさせ;次いで、
(d)慣用的技術によってトランスフェクトされた細胞を培養して、本発明のヒト化抗体を生じさせる;
ことによって、製造することができる。
【0142】
宿主細胞は本発明の2つのベクターで共トランスフェクトすることができ、第1のベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有し、第2のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有する。2つのベクターは異なる選択マーカーを含有するが、そうでなければ、抗体重鎖および軽鎖コーディング配列とは別に、好ましくは、同一であって、可能な限り、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等な発現を確実とする。別法として、単一のベクターを用いることができ、該ベクターは軽鎖および重鎖双方のポリペプチドをコードする配列を含む。軽鎖および重鎖についてのコーディング配列は、cDNAまたはゲノムDNA、あるいは双方を含むことができる。
【0143】
本発明の改変された抗体を発現させるのに用いる宿主細胞は、Echerichia coliのような細菌細胞、または真核生物細胞いずれかであり得る。特に、ミエローマ細胞またはチャイニーズハムスター卵巣細胞のようなこの目的用のよく規定されたタイプの哺乳動物細胞を用いることができる。
【0144】
本発明のベクターがそれによって構築できる一般的方法、本発明の宿主細胞を製造するのに必要なトランスフェクション方法、およびそのような宿主細胞から本発明の抗体を生産するのに必要な培養方法は全て慣用的な技術である。同様に、一旦製造されれば、本発明のヒト化抗体は、後に記載するような標準的な手法に従って精製することができる。
【0145】
(ヒト抗体フレームワーク)
より好ましい具体例において、本発明は結合メンバーに関し、ここに、結合ドメインはヒト抗体フレームワークによって行われ、すなわち、ここに、抗体はヒト化抗体よりも大きな程度のヒトペプチド配列を有する。
【0146】
ヒト蛋白質に対して向けられたヒトmAb抗体は、マウス系よりはむしろ完全なヒト免疫系を運ぶトランスジェニックマウスを用いて生じさせることができる。注目する抗原で免疫化されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾臓細胞を用いて、ヒト蛋白質からのエピトープに対する特異的親和性を持つヒトmAbを分泌するハイブリドーマを生産する(例えば、Wood et al.,国際出願WO 91/00906、Kucherlapati et al.,PCT公開WO 91/10741;Lonberg et al.,国際出願WO 92/03918;Kay et al.,国際出願92/03917;Lonberg,N.et al.,1994 Nature 368:856−859;Green,L.L.et al.1994 Nature Genet.7:13−21;Morrison,S.L.et al.1994 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855;Bruggeman et al.,1993 Year Immunol 7:33−40;Tuaillon et al.,1993 PNAS 90:3720−3724;Bruggeman et al.,1991 Eur J Immunol 21:1323−1326参照)。
【0147】
そのようなトランスジェニックマウスはAbgenix,Inc.,Fremont,Calif.,およびMedarex,Inc.,Annandale,N.J.から入手可能である。キメラおよび生殖系突然変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(IH)遺伝子のホモ接合性欠失の結果、内因性抗体生産の完全な阻害がもたらされると記載されている。そのような生殖系突然変異体マウスへのヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入の結果、抗原攻撃に際してヒト抗体が生産されるであろう。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);およびDuchosal et al.,Nature 355:258(1992)参照。ヒト抗体はファージ−ディスプレイライブラリーに由来することもできる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991);Vaughan,et al.,Nature Biotech 14:309(1996))。
【0148】
(断片)
本発明の1つの具体例において、結合メンバーは抗体の断片、好ましくは、抗原結合断片または可変領域である。本発明で有用な抗体断片の例はFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片を含む。抗体のパパイン消化は、各々が単一抗原結合部位、および容易に結晶化するその能力のためのいわゆる残りの「Fc」断片を持つ、Fab断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生じさせる。ペプシン処理は、抗原を架橋させることができる2つの抗原結合断片、および(pFc’といわれる)残りの他の断片を有するF(ab’)2断片を生じる。さらなる断片はダイアボディー、線状抗体、単一鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異的抗体を含むことができる。
【0149】
抗体断片Fab、FvおよびscFvは、抗体断片が単一の抗原−結合部位のみを運ぶ点で全抗体と異なる。2つの結合部位を持つ組換え断片は、例えば、FvのVHのC−末端に(Cumber et al,1992)、あるいはscFvのVLのC−末端に)(Pack and Pluckthun,1992)導入されたシステイン残基の化学的架橋によって、あるいはFab’のヒンジシステイン残基を通じて(Carter et al.,1992)いくつかの方法で作製されてきた。
【0150】
好ましい抗体断片は、その抗原または受容体と選択的に結合する抗体のいくらかまたは実施的に全ての能力を保有する。いくつかの好ましい断片を以下に定義する:
(1)Fabは、抗体分子の一価抗原−結合断片を含む断片である。Fab断片は酵素パパインでの全抗体の消化によって生じさせて、無傷軽鎖および1つの重鎖の一部を得ることができる。
【0151】
(2)Fab’は抗体分子の断片であって、全抗体をペプシンで消化し、続いて還元して、無傷軽鎖および重鎖の一部を生じさせることによって得ることができる。2つのFab’断片が抗体分子当たり得られる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含めた重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端における少数の残基の添加によってFab断片とは異なる。
【0152】
(3)(Fab’)2は、全抗体を引き続いての還元なくして酵素ペプシンで処理することによって得ることができる抗体の断片である。F(ab’)2は、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持された2つのFab’断片のダイマーである。
【0153】
(4)Fvは完全な抗原認識および結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの密な非−共有結合会合したダイマーよりなる(VH−VLダイマー)。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VLダイマーの表面の抗原結合部位を規定するのはこの立体配置においてである。集合的に、6つのCDRは抗原結合特異性を抗体に付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも低い親和性においてであるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0154】
本発明の1つの具体例において、抗体は、遺伝子的に融合した単一鎖分子としての適当なポリペプチドリンカーによって連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含有する遺伝子工学により作製された分子と定義される、単一鎖抗体(「SCA」)である。そのような単一鎖抗体は、「単一−鎖Fv」または「sFv」抗体断片とも言われる。一般に、Fvポリペプチドは、さらに、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能とするVHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含む。
【0155】
本発明による抗体断片は、当業者に知られたいずれかの適当な方法で製造することができる。いくつかの微生物発現系が既に活性な抗体断片を製造するために開発されており、例えば、E.coli(Better et al.,1988,Skerra and Pluckthun,1988,Carter et al.,1992)、酵母(Horwitz et al.,1988)、およびフィラメント状真菌Trichoderma reesei(Nyyssonen et al.,1993)のような種々の宿主におけるFbの製造は記載されている。これらの代替系における組換え蛋白質の収率は比較的高くすることができるか(高細胞密度発酵においてE.coliのフェリプラズム空間に分泌されたFabについて1ないし2g/l;Carter et al.,1992参照)、あるいはファーメンタ中の酵母におけるFabについてより低いレベル、例えば、約0.1mg/l、およびファーメンタ中のTrichodermaでの融合蛋白質CBHI−Fabについての150mg/lおよびFabについての1mg/l(Nyyssonen et al.,1993)におけるものであり、そのような製造は、哺乳動物細胞(ハイブリドーマ、ミエローマ、CHO)における全抗体生産と比較して非常に安価である。
【0156】
断片はFab’としてまたはFv’sとして生産することができるが、加えて、VHおよびVLを、フレキシブルなポリペプチドリンカーによっていずれかの順序で遺伝子的に連結することが示されており、その組み合わせはscFvとして公知である。
【0157】
(単離された核酸分子/ベクター/宿主細胞)
1つの態様において、本発明は、前記定義の結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子に関する。1つの具体例において、核酸分子は軽鎖をコードし、もう1つの核酸は重鎖をコードする。2つの核酸分子は別々であってもよく、あるいはそれらは、所望により、リンカー配列によって離されていてもよい1つの核酸分子に融合することができる。特に、抗体断片に関しては、核酸分子は全結合メンバーをコードすることができるが、結合メンバーの設計に依存して、これはいくつかのより大きな結合メンバーに関連させることもできる。核酸分子は、好ましくは、DNA配列、より好ましくはその上流末端に、一旦核酸分子が宿主細胞に配置されれば結合メンバーの発現を促進する調節エレメントを含むDNA配列である。
【0158】
従って、1つの具体例において、本発明は:
i)実施例6のヌクレオチド配列から選択される配列を含むポリペプチド、
配列番号:3、4、12または13の群から選択される1以上のアミノ酸配列を含む結合メンバーをコードするポリヌクレオチド、
ii)ポリヌクレオチドi)によってコードされるポリペプチドの断片をコードするポリヌクレオチド、ここに、該断片は:
a)ii)の結合メンバーによってやはり認識される抗原を認識することができ、および/または
b)抗原に選択的に結合することができ、ここに、該抗原はii)の結合メンバーによってやはり選択的に結合され、および/または
c)配列番号:3、4、12または13のような所定の配列を含む結合ドメインとしてのニューモリシンに対する実質的に同様なまたはより高い結合親和性を有し、
iii)その相補的ストランドがストリンジェントな条件下でi)、ii)、iii)のいずれかにおいて規定されたポリヌクレオチドとハイブリダイズし、かつiii)で規定されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
iv)i)ないしiv)のいずれかにおいて規定されたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列に対して縮重したヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
よりなる群から選択されるポリヌクレオチド、
およびそのようなポリヌクレオチドの相補的なストランドに関する。
【0159】
本発明は、さらに、核酸当たり1つのベクター、あるいは同一ベクターにおいて2以上の核酸いずれかの、前記定義の核酸分子を含むベクターに関する。該ベクターは、好ましくは、核酸分子によってコードされた抗体の発現を調節するヌクレオチド配列を含む。
【0160】
さらにもう1つの態様において、本発明は、前記定義の核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0161】
また、本発明は、前記定義の結合メンバーを発現するように作製された細胞株に関し、この細胞株は、例えば、ネズミリンパ球および不滅化細胞系のハイブリドーマである。該細胞株はいずれの適当な細胞株であってもよいが、細胞株P3が好ましい。もう1つの具体例において、CHO細胞株が好ましい。
【0162】
(結合メンバーの精製)
生産の後、本発明による結合メンバーが好ましくは精製される。用いる精製方法は必要な順序、抗体の源、抗体についての意図した使用、抗体が生産される種、抗体のクラスおよび、抗体がモノクローナル抗体である場合は、抗体のサブクラスを含めたいくつかの因子に依存する。
【0163】
抗体を含むポリペプチドを精製するいずれかの適当な慣用的方法は沈殿およびカラムクロマトグラフィーを含み、精製分野における当業者によく知られており、クロス−フロー濾過、硫酸アルミニウム沈殿、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを用いることができる。
【0164】
抗−免疫グロブリン抗体で抗体を精製する方法は、単一精製手法または順次の精製手法いずれかであり得る。単一および順次の精製方法は精製分野における当業者によく知られている。単一−工程精製手法において、抗体は、単一の抗−免疫グロブリン抗体によって特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合した分子は特異的に溶出される。順次の精製手法においては、抗体は第一の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合し、非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合した分子は特異的に溶出される。次いで、第一の抗−免疫グロブリン抗体からの溶出物は第二の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合された分子は特異的に溶出される。好ましい具体例において、抗体は、重鎖および軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。
【0165】
精製の通常使用される方法はアフィニティークロマトグラフィであり、そこでは、精製すべき抗体をプロテインA、プロテインGによって、または抗−免疫グロブリン抗体によって結合させる。当業者によく知られたアフィニティークロマトグラフィのもう1つの方法は、その各抗原への抗体の特異的結合である。
【0166】
特に、二重特異的抗体を含めた多重特異的抗体を精製するためには、順次の精製手法を用いることができ、ここに、2以上の可変ドメインを含む二重特異的抗体を第一の抗原に特異的に結合させ、次いで、第二の抗原に特異的に結合させる。
【0167】
別の具体例において、2以上の可変領域を含む二重特異的抗体は、第一の精製工程において第一の抗原に、および第二の精製工程において第二の抗原に抗体を特異的に結合させることによる順次の精製によって精製される。
【0168】
抗−免疫グロブリン抗体で抗体を精製する方法は、単一精製手法または順次の精製手法いずれかであり得る。単一および順次精製の方法は精製分野における当業者によく知られている。単一−工程精製手法において、抗体は単一の抗−免疫グロブリン抗体によって特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子を特異的に溶出させる。順次の精製手法においては、抗体を第一の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合させ、非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子は特異的に溶出させる。次いで、第一の抗−免疫グロブリン抗体からの溶出物を第二の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合させる。非−特異的に結合した分子を洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子を特異的に溶出させる。好ましい具体例において、抗体は、重鎖および軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。より好ましい具体例において、抗体は、IgGの重鎖定常領域およびカッパおよびラムダの軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。なおより好ましい具体例において、抗−免疫グロブリン抗体は、カッパおよびラムダの軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される。
【0169】
(診断方法)
また、本発明は、生物学的試料中のStreptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeの存在についてアッセイするための好ましくはキット形態である診断システムも記載し、ここに、本明細書中に記載する診断方法に従って試料中の細菌の存在および、好ましくは、量を検出するのが望ましい。
【0170】
診断システムは、少なくとも1つのアッセイを行うのに十分な量にて、好ましくは、別々にパッケージされた試薬としての本発明による結合メンバー組成物、およびより好ましくは使用のための指示書も含む。
【0171】
生物学的試料は組織、組織抽出物、流体試料あるいは血液、血漿または血清のような体液試料であり得る。
【0172】
パッケージされたとは、本発明の結合メンバーを固定された制限内に保持することができるガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリカルボネート)、紙、ホイルなどのような固体マトリックスまたは材料の使用をいう。かくして、例えば、パッケージは、考えられる標識された結合メンバー調製のミリグラム量を含有するのに用いることができるガラスバイアルであり得、あるいはそれは、考えられる結合メンバーのマイクログラム量が固定された、すなわち、連結されて、リガンドに結合されるのが可能とされているマイクロタイタープレートウェルであり得る。
【0173】
「用いるための指示書」は、典型的には、混合すべき試薬および試料の相対的量、試薬/試料混合のための維持時間、温度、緩衝液条件等のような試薬濃度または少なくとも1つのアッセイ方法パラメーターを記載する触知できる表現を含む。
【0174】
本発明の診断システムは、好ましくは、予め選択されたリガンドと複合体化された結合メンバーを含有する結合反応複合体の形成をシグナリングすることができる標識または指示手段も含む。
【0175】
いずれの標識または指示手段も、診断方法で用いられる表現されたポリペプチドまたはファージ粒子に連結し、または一体化させることができる。そのような標識は、それ自体、臨床診断化学においてよく知られている。
【0176】
標識手段は、それらを変性して、有用な免疫蛍光トレーサーであるフルオロクローム(色素)を形成することなく、抗体または抗原に化学的に結合する蛍光標識剤であり得る。適当な蛍光標識剤はフルオレセインイソシアネート(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、塩化5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニル(DANSC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リサミン、ローダミン8200塩化スルホニル(RB 200 SC)等である。免疫蛍光分析技術の記載は、ここに引用して援用する、DeLuca,“Immunofluoresence Analysis”,in Antibody As a Tool, Marchalonis,et al.,eds.,John Wiley Sons,Ltd.,pp.189−231(1982)に見出される。
【0177】
好ましい具体例において、指示基はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、グルコースオキシダーゼ等のような酵素である。主な指示基がHRPまたはグルコースオキシダーゼのような酵素であるそのような場合、受容体−リガンド複合体(免疫反応体)が形成されたという事実を可視化するのにさらなる試薬が必要である。HRPのためのそのようなさらなる試薬は過酸化水素、およびジアミノベンチジンのような酸化色素前駆体を含む。グルコースオキシダーゼで有用なさらなる試薬は2,2’−アミノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)(ABTS)である。
【0178】
放射性元素もまた有用な標識剤であって、本明細書中において説明されるように用いられる。例示的な放射性標識剤は、ガンマ線放射を生じる放射性元素である。124I.125I、128I、132Iおよび51Crのようなそれ自体がガンマ線を放射する元素は、ガンマ線放射を生じる放射性元素指示グループの1つのクラスを表す。特に好ましいのは125Iである。有用な標識手段のもう1つのグループは、それ自体が陽子を放出する11C、18F、15Oおよび13Nのような元素である。そのように放出された陽子は、動物の身体に存在する電子との遭遇に際してガンマ線を生じる。また、有用なのは111インジウムまたは3Hのようなベータ放射体である。
【0179】
標識の連結、すなわち、ポリペプチドおよび蛋白質またはファージの標識は当該分野で良く知られている。例えば、蛋白質は、培養基における成分として供される放射性同位体−含有アミノ酸の代謝的取り込みによって標識することができる。例えば、Galfre et al.,Meth.Enzymol.,73:3−46(1981)参照。活性化された官能基を通じての蛋白質コンジュゲーションまたはカップリングの技術は特に適用できる。例えば、Aurameas,et al.,Scand.J.Immunol.,Vol.8 Suppl.7:7−23(1978),Rodwell et al.,Biotech.,3:889−894(1984),および米国特許第4,493,795号参照。
【0180】
診断システムは、好ましくは別々のパッケージとしての特異的結合剤を含むこともできる。「特異的結合剤」は、本発明の結合メンバー種に選択的に結合することができる分子体、またはそのような種を含有する複合体であるが、それ自体は、本発明の結合メンバーではない。例示的な特異的結合剤は抗体分子、補体蛋白質またはその断片、S.aureusプロテインA等である。好ましくは、特異的結合剤は、その種が複合体の一部として存在する場合、結合メンバー種に結合する。
【0181】
好ましい具体例において、特異的結合剤を標識する。しかしながら、診断システムが標識されない特異的結合剤を含む場合、該剤は、典型的には、増幅手段または試薬として用いる。これらの具体例において、標識された特異的結合剤は、増幅手段を試薬種−含有複合体に結合させる場合に、増幅手段に特異的に結合することができる。
【0182】
本発明の診断キットは「ELISA」フォーマットで用いて、流体試料中の予め選択されたリガンドの量を検出することができる。「ELISA」とは、固相に結合した抗体または抗原、および酵素−抗原または酵素−抗体コンジュゲートを使用して、試料に存在する抗原の量を検出し、定量し、かつ本発明の方法に容易に適用することができる酵素結合免疫吸着検定法をいう。
【0183】
かくして、いくつかの具体例において、本発明の結合メンバーを固体マトリックスに固定して、主題の診断システムにおけるパッケージを含む固体支持体を形成することができる。
【0184】
試薬は、典型的には、水性媒体からの吸着によって固体マトリックスに固定されるが、蛋白質およびポリペプチドに適用できる他の固定方法を用いることができ、それは当業者によく知られている。例示的な吸着方法は本明細書中に記載する。
【0185】
有用な固体マトリックスも当該分野で良く知られている。そのような材料は水不溶性であって、Pharmacia Fine Chemicals (Piscataway,N.J.)からの商標SETHADEX下で入手可能な架橋されたデキストラン;アガロース;North Chicago,III.のAbbott Laboratoriesから入手可能な直径が約1ミクロンないし約5ミリメートルであるポリスチレンビーズのビーズ;シート、ストリップまたはパドルのような塩化ポリビニル、ポリスチレン、架橋されたポリアクリルアミド、ニトロセルロース−またはナイロン−ベースのウェブ;またはポリスチレンまたはポリ塩化ビニルから作製されたもののようなマイクロタイタープレートのチューブ、プレートまたはウェルを含む。
【0186】
本明細書中に記載されたいずれの診断システムの結合メンバー種、標識された特異的結合剤または増幅試薬も液体分散液として溶液中にて、あるいは例えば凍結乾燥形態の実質的に乾燥された粉末として供することができる。指示手段が酵素である場合、酵素の基質もシステムの別々のパッケージにて供することもできる。前記したマイクロタイタープレートおよび1以上の緩衝液のような固体支持体もまた、この診断アッセイシステムにおいて別々にパッケージされたエレメントとして含めることもできる。
【0187】
(診断方法)
また、本発明では、典型的には、生物学的試料中に存在するStreptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeの存在、好ましくは量を測定するための種々のアッセイ方法も考えられる。
【0188】
従って、本発明は:
−固体からの生物学的試料を供し、
−前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に加え、
−該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、疾患または障害を検出または診断する;
ことを含む、固体においてPneumococcusに関連する疾患または傷害を検出し、または診断する方法に関する。
【0189】
結合した結合メンバーは、試料中のStreptococcusの量に対して直接的または間接的に検出することができる。
【0190】
当業者であれば、本発明の結合試薬を用いて、その量が試料中のリガンドの量に関連する結合反応生成物を形成することができる多数のよく知られて臨床診断化学手法があることを理解するであろう。かくして、例示的なアッセイ方法を本明細書中に記載するが、本発明はそのように限定されるものではない。
【0191】
種々の不均一および均一プロトコルは、競合的であるかまたは非競合的であれ、本発明のアッセイ方法を行うのに使用することができる。
【0192】
結合条件は、受容体のリガンド−結合活性を維持するものである。それらの条件は、約4ないし50℃の温度範囲、約5ないし9のpH値、および蒸留水のそれから約1モラーの塩化ナトリウムのそれまで変化するイオン強度を含む。
【0193】
免疫学の分野においてよく知られているように、検出工程は複合体または結合試薬(複合体の受容体成分)いずれかに向けることができる。かくして、受容体に対して特異的な抗体のような二次結合試薬を利用することができる。
【0194】
別法として、複合体は、標識された受容体分子を用い、それにより、標識された複合体を作製することによって検出することができる。この場合における検出は、複合体に存在する標識を検出することを含む。
【0195】
さらなる診断方法は、本発明の1つの具体例の結合メンバー組成物の多価性を利用して、リガンドを架橋させ、それにより、複数のリガンドおよびポリペプチドの凝集を形成し、沈殿可能な凝集体を生じさせることができる。この具体例は、免疫沈澱のよく知られた方法に匹敵する。この具体例は、本発明の結合メンバー組成物と試料とを混合して、結合条件下で結合混合物を形成させる工程、続いての、形成された結合複合体を単離する分離工程を含む。典型的には、単離は、混合物から凝集体を除去するための遠心または濾過によって達成される。結合複合体の存在は、検出すべき予め選択されたリガンドの存在を示す。
【0196】
(医薬組成物)
好ましい態様において、本発明では、本明細書中に記載された治療方法を実施するのに有用な医薬組成物が考えられる。本発明の医薬組成物は、有効成分としてその中に溶解または分散された、本明細書中に記載された結合メンバーの少なくとも1つの種と共に生理学上許容される担体を含有する。好ましい具体例において、医薬組成物は、その目的が免疫応答を誘導することにあるのではなければ、治療目的でヒト個体に投与した場合には免疫原性ではない。
【0197】
1つの態様において、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物に関する。好ましい具体例において、医薬組成物は、前記定義の少なくとも2つの異なる結合メンバーを含んで、治療の効果を増加させる。
【0198】
本明細書中で用いるように、用語「医薬上許容される」、「生理学上許容される」およびその文法的変形は、組成物、担体、希釈剤および試薬をいい、相互交換的に使用され、物質が、嘔吐、めまい、胃の不調等のような望ましくない生理学的効果を生じさせることなくヒトに投与することができることを表す。
【0199】
その中に溶解されまたは分散された有効成分を含有する薬理学的組成物の調製は当該分野で良く理解されている。典型的には、そのような組成物は水性または非−水性の液状溶液または懸濁液いずれかとして滅菌注射剤として調製され;しかしながら、使用に先立って液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態を調製することもできる。該調製は乳化することもできる。
【0200】
有効成分は、医薬上許容され、有効成分に適合し、本明細書中に記載された治療方法で用いるのに適した量の賦形剤と混合することができる。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等およびその組合せである。加えて、所望であれば、組成物は、有効成分の有効性を高める湿潤または乳化剤、pH緩衝剤等のような補助的物質の少量を含有することができる。
【0201】
本発明の医薬組成物は、その中に成分の医薬上許容される塩を含むことができる。医薬上許容される塩は、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸とで形成される(ポリペプチドの遊離アミノ基とで形成される)酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基とで形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは第二鉄水酸化物のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基に由来することもできる。
【0202】
生理学上許容される担体は当該分野で良く知られている。液体担体の例は、有効成分および水以外に物質を含有しない滅菌水性溶液であり、あるいは生理学的pH値のリン酸ナトリウムのような緩衝液、リン酸−緩衝化生理食塩水のような生理食塩水または双方を含有する。なおさらに、水性担体は1を超える緩衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよびカリウム、デキストロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび他の溶質のような塩を含有することができる。
【0203】
液体組成物は水に加えて、および水を除いて、液体相を含むこともできる。そのようなさらなる液体相の例はグリセリン、綿実油のような植物油、オレイン酸エチルのような有機エステル、および水−油エマルジョンである。
【0204】
医薬組成物は、典型的には、合計医薬組成物の重量当たり少なくとも0.1重量パーセントの抗体の量の本発明の結合メンバーを含有する。重量パーセントは、合計組成物に対する抗体の重量比率である。かくして、例えば、0.1重量パーセントは100グラムの合計組成物当たり0.1グラムの抗体である。
【0205】
また、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを生理学上許容される担体と混合することを特徴とする、本発明の抗体を含む医薬または医薬組成物を調製する方法に関し、該医薬は肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害の免疫療法で用いられる。
【0206】
さらに、本発明は、前記定義の結合メンバーの、肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害の治療用の医薬組成物の製造のための使用に関する。
【0207】
また、医薬組成物は、β−ラクタム、セファロスポリン、ペニシリンおよびアミノグリコシドから選択される抗生物質のような抗生物質剤をさらに含むキット−イン−パートであってもよく、および/またはサイトカイン、インターフェロン、成長因子、例えば、GCSFまたはGM−CSFのような免疫刺激剤を含むこともできる。該キット−イン−パートは同時、順次または別々の投与で用いることができる。
【0208】
さらに、医薬組成物は、特にワクチンとして、Streptococcus蛋白質ニューモリシンと組み合わされた本発明による結合メンバーを含むことができる。本発明による結合メンバーを蛋白質ニューモリシンと組み合わせることによって、組合せ産物の免疫特性は蛋白質ニューモリシン単独についてよりも良好であることが判明した。これは、蛋白質ニューモリシンが結合メンバーによって免疫系に提示されるという事実によるものであろう。
【0209】
もう1つの具体例において、本発明による抗体は、もう1つの抗−ニューモリシン抗体、例えば、非−溶血、抗−ニューモリシン抗体のような、Streptococcus pneumoniaeに対するもう1つの抗体と組み合わされる。
【0210】
本発明による抗体は、国際特許出願番号PCT/DK2004/000492に記載された抗−Psaa抗体であってもよい。
【0211】
(治療方法)
本発明による結合メンバーは、それらの高い親和性および特異性のため治療方法で特に有用である。従って、結合メンバーは、肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害に向けて免疫治療的に用いることができる。
【0212】
本発明の結合メンバーと組み合わせて本明細書中で用いられる用語「免疫治療的に」または「免疫療法」は、共に、予防的ならびに治療的投与を示す。かくして、結合メンバーを高いリスクの患者に投与して、疾患の尤度および/または重症度を低下させ、既に活性な感染の証拠がある患者に投与し、または感染危険性がある患者に投与することができる。
【0213】
本発明の結合メンバーの投与のための用量範囲は、疾患の兆候が軽減され、あるいは感染の尤度が減少する所望の効果を生じさせるのに十分大きいものである。一般に、用量は患者における年齢、状態、性別および疾患の程度と共に変化し、それは当業者によって決定され得る。用量は、いずれかの合併症の事象において個々の医師によって調整され得る。
【0214】
本発明の結合メンバーの治療上有効量は、典型的には、生理学的に許容できる組成物にて投与した場合に、ミリリットル(ml)当たり約0.1マイクログラム(μg)ないし約100μg/ml、好ましくは約1μg/mlないし約5μg/ml、通常約5μg/mlの血漿濃度を達成するのに十分なような、抗体の量である。別の言い方をすれば、用量は、1または数日の間の、毎日の1以上の用量当量において、約0.1mg/kgないし約300mg/kg、好ましくは約0.2mg/kgないし約200mg/kg、最も好ましくは約0.5mg/kgないし約20mg/kgで変化し得る。
【0215】
本発明の結合メンバーは、注射によって、または経時的な暫時の注入によって非経口投与することができる。感染は全身的であって、従って、最もしばしばは、医薬組成物の静脈内投与によって治療できるが、他の組織および送達手段が考えられ、そこでは、組織を標的化する結果、疾患が減少することをもたらす可能性がある。かくして、本発明の抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮のように非経口投与することができ、また、ペリスタ手段によって送達することができる。
【0216】
本発明の結合メンバーを含有する医薬組成物は、例えば、単位用量の注射によるように便宜には静脈内投与される。本発明の医薬組成物の関連で用いる場合、用語「単位用量」とは、対象に対する単位の用量として適当な物理的に区別されるユニットをいい、各ユニットは、必要な希釈剤;すなわち、担体またはビヒクルと組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性な物質を含有する。
【0217】
治療方法は、さらに、前記定義のキット−イン−パートの使用を含むことができる。
【0218】
(受動免疫保護)
結合メンバーは、受動免疫保護で特に有用であり得、それにより、結合メンバーはニューモリシンの作用を中和する。結合メンバーは、実施例1に記載されたアッセイで評価することができる。アッセイの結果、ニューモリシンに向けた結合メンバーの投与が、マウスにおけるS.pneumoniae感染に対する生存、かくして、受動免疫保護の誘導を延長できることを示す。
【0219】
(能動的免疫保護)
本発明の抗原性エピトープはワクチンとして用いて、ニューモリシンに対して向けられた哺乳動物における免疫学的応答を刺激することができ、哺乳動物は、例えば、マウス、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ等であり、好ましくは、ヒトである。そのような応答は、ニューモリシンの特異的抗体の誘導を含むことができる。本発明の抗原性エピトープに対して向けられた抗体は、前記したように、ニューモリシン機能を阻害することができ、免疫化は、さらに、S.pneumoniaeによって引き起こされた感染の予防的処置で用いることができる。
【0220】
(ニューモリシンペプチド)
ある態様において、本発明は、本発明による結合メンバーによって認識されるエピトープも含むニューモリシンペプチドに関する。好ましくは、ニューモリシンペプチド、断片、または変種は、好ましくは、配列番号:27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含む。本発明によるニューモリシンペプチドは、配列番号:11のアミノ酸1ないし436よりなるペプチドであり得る。さらに、配列番号:11のアミノ酸1ないし436よりなるニューモリシンペプチドの断片および変種がさらに含まれ、これは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸50ないし436、またはより好ましくはアミノ酸100ないし436を含む断片を含む。特別な具体例において、ニューモリシンペプチドは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸200ないし436または300ないし436を含む。ニューモリシンペプチドの変種またはホモログは、前記した結合メンバーに関連したホモログとして定義することができる。
【0221】
ニューモリシンペプチド、断片または変種は、好ましくは、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含む。ニューモリシンペプチドは、80、60、40、30、25、20、15のような、あるいは12アミノ酸のようなせいぜい100のアミノ酸によって構成されるのが好ましい。ニューモリシンペプチドは15、20、25、30、40、60、80のような、あるいは少なくとも100アミノ酸のような少なくとも12のアミノ酸によって構成されるのがさらに好ましいであろう。
【0222】
特別な具体例において、ニューモリシンペプチド断片は配列番号:27、29、30、31または32によって識別される。
【0223】
ニューモリシンペプチドは、免疫系を刺激することができる抗原性エピトープとして用いることができる。
【0224】
(ワクチン組成物)
本発明によるワクチン組成物は、ヒトへの投与で好ましくは許容される、有効成分と1以上の医薬上許容される賦形剤または担体の混合物によるような公知の方法に従って処方することができる。そのような賦形剤、担体、および処方の方法の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton,PA)に見出すことができる。効果的な投与に適した医薬上許容される組成物を処方するためには、本発明によるそのような組成物は、有効量のニューモリシンペプチドまたはそのアナログを含有する。
【0225】
本発明によるワクチン組成物は、治療上有効量で個体に投与することができる。有効量は、個体の状態、体重、性別および年齢のような種々の因子によって変化し得る。他の因子は投与の形態を含む。
【0226】
以下において、ワクチン組成物は、免疫応答を刺激することを含めた、治療的使用で有用な組成物を含むことを意味する。
【0227】
ワクチンまたは免疫原性組成物を得るためには、ニューモリシンペプチドまたはアナログ因子を、アジュバント、免疫刺激成分および/または担体のような種々の物質と組み合わせることが必要であろう。アジュバントは、特異的な免疫応答を高めるためにワクチン組成物に含める。
【0228】
そのようなアジュバントは、当業者に知られたアジュバント効果を含むいずれの化合物であってもよい。例えば、そのようなアジュバントはミネラル、細菌、植物、合成または宿主起源のものであり得、あるいはそれらは水中油型エマルジョンであり得る。
【0229】
アジュバントは:AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)、シリカ、ミョウバン、Al(OH)3、Ca3(PO4)2、カオリン、炭素、水酸化アルミニウム、ムラミルジペプチド、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラミル−D−イソグルタミン(CGP11687、ノル−MDPともいう)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミミル−L−アラニン−2−(1’2’−ジパルミトイル−sn―グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEともいう)、2%スクワレン−Tween−80.RTM.エマルジョン中のRIBI(MPL+TDM+CWS)、脂質Aを含めたリポ多糖及びその種々の誘導体、フロイントの完全アジュバント(FCA)、フロイントの不完全アジュバント、Merckアジュバント65、ポリヌクレオチド(例えば、ポリICおよびポリAU酸)、MycobacteriumからのワックスD、結核菌、Corynebacterium parvum、Bordetella pertussisで見出される物質、および属Brucellaのメンバー、リポソームまたは他の脂質エマルジョン、Titermax、ISCOMS、Quil A、ALUN(US 58767および5,554,372参照)、脂質A誘導体、コレラトキシン誘導体、HSP誘導体、LPS誘導体、合成ペプチドマトリックスまたはGMDP、インターロイキン1およびインターロイキン2よりなる群から選択することができる。
【0230】
マウス、ラットおよびウサギのような、実験室動物での抗体の創製のために、非常に多数のアジュバントが記載されており、使用されてきた。そのような状況において、副作用の許容性は、主な目的が強い抗体応答を得ることにあるのでむしろ高い。
【0231】
使用のため、および医薬での使用での認可のために、ならびに特にヒトでの使用のために、アジュバントを含めたワクチン組成物の成分はよく特徴付けられていることが要求される。組成物は肉芽種、膿瘍または熱のようないずれかの有害反応の最小の危険性を有することがさらに必要とされる。
【0232】
好ましい具体例において、ワクチン組成物はヒト対象への投与に適しており、かくして、好ましいアジュバントはヒト対象への投与に適している。
【0233】
治療ワクチンで有用なアジュバントは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムまたはカルシウムゲルのようなミネラル塩、MF59(ミクロ流動化洗剤安定化水中油型エマルジョン)、QS21(精製されたサポニン)、AS02(SBAS2、水中油型エマルジョン+モノホスホリル脂質A(MPL)+QS21)、モンタナイド(Montanide)ISA 51およびISA−720(安定化された油中水型エマルジョン)、(落花生油、マンナイドモノオレエートおよびモノステアリン酸アルミニウムを含有する;RIBI ImmunoChem Research Inc.,Hamilton,Utah)アジュバント65のような油エマルジョンおよび界面活性剤ベースの処方、ビロソーム(インフルエンザヘマグロチニンを一体化させるユニラメラリポソームビヒクル)のような粒状アジュバント、AS04(MPLを含むAl塩)、ISCOMSサポニンおよび(コレステロールのような)脂質の構造複合体、ポリアクチドコ−グリコリド(PLG)、モノホスホリル脂質A(MPL)のような微生物誘導体(天然および合成)、Detox(MPL+M.Phlei細胞壁骨格)、AGP(RC−529(合成アシル化単糖))、DC chol(リポソームへ自己組織化することができるリポニダル免疫刺激体)、OM−174(脂質A誘導体)、CpGモチーフ(免疫刺激性CpGモチーフを含有する合成オリゴ糖)、非毒性アジュバント効果を持つ修飾された細菌トキシン、LTおよびCT、内因性ヒト免疫モジュレーター、例えば、hGM−CSFまたはhlL−12またはImmudaptin(C3dタンデムアレイ)、金粒子のような不活性ビヒクルであり得る。
【0234】
いくつかの具体例において、ワクチン組成物は、さらに、1以上のさらなる免疫刺激成分を含むことができる。それらは、限定されるものではないが、ムラミルジペプチド(MDP);例えば、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ala−MDP)、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、ノルMDP)およびN−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTO−PE)、ジメチルグリシン、タフトシン(tuftsin)、およびトレハロースジムコレート.モノホスホリル−脂質A(MPL)、およびN−ホルミル−Met−Leu−Pheのようなホルミル−メチオニン含有トリペプチドを含む。そのような化合物は、例えば、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)およびRIBI ImmunoChem Research,Inc.(Hamilton,MT)から商業的に入手可能である。
【0235】
担体はアジュバントと独立して存在させることができる。担体の機能は、例えば、特にスルビビン断片の分子量を増加させて、それらの活性または免疫原性を増加させ、安定性を付与し、生物学的活性を増加させ、あるいは血清中半減期を増加させることができる。担体は当業者に知られたいずれの適当な担体であってもよい。担体蛋白質は限定されるものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミンのような血清蛋白質、チログロブリンまたはオボアルブミン、免疫グロブリン、インスリンのようなホルモン、あるいはパルミチン酸であり得る。ヒトの免疫化では、担体はヒトに許容される生理学上許容される担体であって、安全でなければならない。しかしながら、破傷風トキソイドおよび/またはジフテリアトキソイドは本発明の1つの具体例において適当な担体である。別法として、担体はデキストラン、例えば、セファロースであり得る。
【0236】
ある具体例において、ワクチン組成物は、配列番号:27、28、29、30、31または32によって識別されるアミノ酸配列を含むニューモリシンペプチドを含む。配列番号:29、30または31によって識別されるアミノ酸配列を含むペプチドを含むワクチンが好ましい。特に好ましいのは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンの400ないし436、422ないし436または425ないし436のアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0237】
ニューモリシンペプチドは80、60、40、20、15、12、10、8アミノ酸のような、あるいは6アミノ酸のようなせいぜい100アミノ酸によって構成されるのが好ましい。ニューモリシンペプチドは8、10、12、15、20、25、30、40、60、80アミノ酸のような、あるいは少なくとも100アミノ酸のような少なくとも6アミノ酸によって構成されるのがさらに好ましいであろう。ある具体例において、ワクチン組成物は、配列番号:27、28、27、30、31、32、33、34,35または36によって識別される少なくとも1つのニューモリシンペプチドを含む。配列番号:28、29、30または31によって識別されるペプチドを含むワクチンは好ましい。特に好ましいのは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのAA 423ないし438、424ないし437、425ないし436または426ないし436として確認されるアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0238】
免疫応答を刺激することができるワクチン組成物が好ましい。ワクチン組成物は投与に際して抗体応答を誘導することができるのが特に重要である。最も好ましいのは、ニューモリシンの溶解活性を阻害することができる抗体の生産を誘導することによって、ニューモリシン阻害応答を誘導することができるワクチンである。他の好ましい具体例は、ニューモリシンのファゴサイトーシスを高めることができる抗体を含む。そのような抗体は、本明細書中で記載する結合メンバーとしての可変領域を含むことによって特徴付けることができる。
【0239】
(図面の詳細な説明)
図1 Fab断片の模式図
VL、CDR1、CDR2、CDR3およびVH、CDR1、CDR2、CDR3から構成される抗原ポケットが示される。
【0240】
図2 配列番号:11を有するニューモリシンアミノ酸配列
Gene−bank no.X52474の配列に対応するニューモリシンのアミノ酸配列が示される。
【0241】
図3 抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント
図3Aは、抗体26−5F12.1の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。図3Bは、抗体26−23C 2.2の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。図3Cは、抗体22−1C11の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。該配列は実施例6に記載されたように得られる。
【0242】
図4 Pneumococcusおよび抗体と共にインキュベートされたマウスについての生存ダイアグラム
単独で、あるいはペニシリンおよび/またはニューモリシン抗体(26−5F12)と組み合わせてPneumococcus D39を注射したマウスの生存は、実施例1に記載するように接種から24時間後に評価した。
【0243】
図5 ニューモリシン抗体の抗溶血活性
ニューモリシン抗体の抗−溶血活性は、実施例3に記載するように、赤血球のニューモリシン媒介溶解に対する阻害効果を評価することによって分析した。3つの抗体(26−5F12、26−23C 2および22−6E6)は特に効果的である。
【0244】
図6 エピトープマッピング用のペプチド
ニューモリシンのアミノ酸配列419ないし446、およびエピトープマッピング用の種々のペプチド配列の概観。
【0245】
図7 ニューモリシン抗体エピトープ
図7Aおよび図7Bは、抗体エピトープの同定に関する実施例7で記載したように得られた結果のグラフ表示である。
【0246】
図8 26−5F12クローンの単離
図8Aは、26−5F12ハイブリドーマ細胞から単離された全RNAを示す。該RNAは、重鎖および軽鎖可変領域のcDNA合成で用いた。PCR産物を図8Bに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図8C)。
【0247】
図9 26−23C2クローンの単離
図9Aは、26−23C2ハイブリドーマ細胞から単離された全RNAを示す。該RNAは、重鎖および軽鎖可変領域のcDNA合成で用いた。PCR産物を図9Bに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図9C)。
【0248】
図10 22 1C11クローンの単離
22 1C11ハイブリドーマ細胞から単離した全RNAを、重鎖および軽鎖可変領域をcDNA合成で用いた。PCR産物を図10BAに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図10B)。
【0249】
図11 26−5F12、26−23C2および22 1C11のCDR配列
26−5F12、26−23 C2および22 1C11の軽鎖および重鎖CDRの配列を整列させる。26−5F12および26−23C2の重鎖はほとんど同一であり、他方、22 1C11重鎖のCDR2およびCDR3は6−5F12および26−23C2の配列から発散する。
【実施例】
【0250】
以下の実施例により、本発明をさらに説明し;実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0251】
(実施例1)
Pneumococcus D39(タイプ2)を接種したトランスジェニックメスマウスの生存に対する抗体およびペニシリンの効果の実験。
【0252】
(材料)
・82トランスジェニック雌マウス(M−Bプロジェクト番号#249、プロジェクト名称CD64、約8ないし12週齢)
・0.9%生理食塩水(AAS)
・PBS pH7.4
・シリンジ
・針
・5%血液プレート
・濾過されたウシブロス
・溶媒 ADペニシリン
・ペニシリン100万IU(Loven D6726)、10mg/マウスないし40mg/ml
株:Pneumococcus D39(タイプ2)(F1/S1/AE2)
抗体:
PdB26−5F12.1、1.0mg/ml 040520
OmpA6−4B6.1、1.38mg/ml。
【0253】
(方法)
時間−24:Pneumococcus株を3×5%血液プレートに接種し、35℃/CO2で一晩インキュベートする。
【0254】
時間0:Pneumococcus株を濾過されたブロス中で108CFU/ml(cf.MU/F074−01)までスラリー化し、2×105CFU/mlまで希釈する(59.88mlのPBS中120μl 108CFU/ml)。
抗体を200μg/mlまで希釈する:
3.00mlのPdB26−5F12.1+12.00mlのPBS
2.17mlのOmpA6−4B6.1+12.83mlのPBS
マウスを細菌(0.5ml腹腔内)および抗体(0.5ml腹腔内)で処理する。
【0255】
時間18:ペニシリン:1アンプルを3ml溶媒中に希釈し、ペニシリン〜200mg/mlを加える;さらに希釈:3mlの「200mg/ml」+12.00mlの生理食塩水〜40mg/ml。
抗体を200μg/mlまで希釈する:
3.00mlのPdB26−5F12.1+12.00mlのPBS
2.17mlのOmpA6−4B6.1+12.83mlのPBS
マウスをペニシリン(0.25ml皮下)および抗体(0.5ml腹腔内)で処理する。
【0256】
時間48:ペニシリン:1アンプルを3ml溶媒中に希釈し、ペニシリン〜200mg/mlを加え;さらに希釈:3mlの「200mg/ml」+12.00mlの生理食塩水〜40mg/ml
マウスをペニシリン(0.25ml皮下)で処理する。
【0257】
【化2】
実験の期間の間の以下の日の朝および午後:マウスをスケールする1ないし4に従ってスコア取りする。
【0258】
【化3】
結果
マウスの生存を24時間に評価する。
26−5F12.1を用いて行った実験の結果を図4にまとめ、これは24時間における増大生存率を示す。
【0259】
(実施例2)
(培養上清からの抗体における抗−溶血特性の検出)
(記載)
ニューモリシンに対する抗体はニューモリシンの溶解効果を阻害することができる。溶解効果は血清の存在下でなくなり、それにより、抗体に結合し、抗−溶血アッセイを行う前に洗浄することによって血清を徐供することを必要とする。
【0260】
(デバイス)
インキュベーター37℃
ピペット
遠心機
ELISAリーダー、BIO−TEK EL 800
デジタルカメラ、Canon Powershot S20。
【0261】
(材料)
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260836−平底)
Reacti−結合プロテインG被覆マイクロウェルストリップ、Pierce番号15133。
【0262】
(試薬)
Rec.PdB、PBS w 10 mM DTT中に4μg/mlまで希釈
ジチオスレイトール(DTT)
PBS、pH7.4
Dem.H2O
Alsever流体、SSI番号29431中ヒツジ赤血球50%
緩衝液:
PBS pH7.4
0.05%Tween20でPBS pH7.4。
【0263】
(対照)
キャッチング:
陰性:0.05%Tween20でPBS pH7.4
溶血:0.05%T ween20でPBS pH7.4
高い陽性:PBS中で10μg/mlに希釈されたPdB22−6E6
低い陽性:PBS中で2μg/mlまで希釈されたPdB22−6E6。
【0264】
(試料)
試料は1ないし5μg/mlであると予測された抗体濃度を持つ未希釈培養上清である。
【0265】
(手法)
ストリップをPBS/0.05%Tween中で3回洗浄する。
50μl/ウェルのPBS/0.05%Tw20、続いて50μl/ウェルの未希釈培養上清または50μl/ウェルの対照を添加する。
室温にて1時間インキュベートする。
「Tween20なしの」PBSで4回洗浄する。
50μlのPBSを各ウェルに加え、A1−B1を100μl/ウェル添加する。
組換えPdBを予め加熱されたPBS中で4μg/mlまで希釈し、10mL DTT(最終濃度)で37℃にて15分間活性化する。
A1−B1を除いて、50μl/ウェルの活性化されたPdBを加える。
37℃にて30分間インキュベートする。
ヒツジ赤血球をPBS中で3回洗浄し、PBS中に2%容量/容量まで再度懸濁させる。
50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間インキュベートする。
1000×gにおいて5分間プレートを遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を平底マイクロウェルに注意深く移し、405nmにおいてODを読む。
【0266】
【化4】
(実施例3)
ニューモリシンの溶解活性を阻害する抗体の能力の測定。
【0267】
(記載)
ニューモリシンに対する精製された抗体は、赤血球で観察される溶解効果を阻害することができ、これは、抗体のスクリーニングについての機能的アッセイを表す。
【0268】
(デバイス)
インキュベーター37℃
ピペット
遠心機
ELISAリーダー、BIO−PEK EL 800
デジタルカメラ、Canon Powershot S20。
【0269】
(材料)
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260170−U−形状)
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260836−平底)。
【0270】
(試薬)
Rec.ニューモリシン(PLY)またはRec.ニューモリソイド(Pneuomolysoid)(PdB)
10μg/mlまで希釈されたPBS中PdBロット番号P011103 0.2mg/ml
ジチオスレイトール(DTT)
PBS、pH7.4
Dem.H2O
Alsever流体、SSI番号29431中のヒツジ赤血球50%
緩衝液:
PBS pH7.4
10mM DTTを含むPBS。
【0271】
(試料)
精製された抗体試料をPBS中に希釈する。
【0272】
(手法)
(溶血終点の測定)
これは、PLYまたはPdBの各新しいバッチにつき測定される。全ての試料は三連でなされる。対照は以下の通りである:
ブランク:100μlの緩衝液(0%溶血)
合計:100μlのDem.H2O(100%溶血)
PLY/PdBの希釈系列はPBS w.10mM DTT中で調製する:40−20−10−5−2、5−1、25−0、625−0、3125μg/ml。100μlを各ウェルに加え、37℃にて15分間インキュベートする。ヒツジ赤血球(50%)をPBS中に3回洗浄し、2%容量/容量まで戻す。50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間インキュベートする。1000×gにおいて5分間遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を平底マイクロウェルプレートに移し、405nmにおいて読む。90%溶血を与えるニューモリシンの濃縮を2回、阻害アッセイにおける標準濃縮として用いる。
【0273】
(阻害アッセイ)
全てのテストは二連にて丸底プレートで行う。
対照は以下の通りである:
ブランク=100μlのPBS
全溶血=100μlのdem.H2O
陰性=50μlのニューモリシン+50μlのPBS
ニューモリシン:20μl/ml=1μg/ウェルまで希釈されたPdB 031201、0.5mg/mlをプールする。
PLY/PdBを予熱したPBS中に希釈し、10mM DTT(最終濃度)で37℃にて15分間活性化する。
50μlの抗体希釈を各ウェルに加え、続いて、50μlの活性化されたPLY/PdBに加える。
プレートを37℃にて30分間インキュベートする。
ヒツジ血液をPBS中で3回洗浄し、2%容量/容量まで戻す。
50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間プレートをインキュベートする。
1000×gにおいて5分間遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を第ニの平底マイクロウェルプレート(プレート2)に移し、405nmにおいて読む(その例を表1に示す)。力価を、50%溶血を阻害する抗体の希釈として測定し、以下の表4に含める。
【0274】
(試料)
全ての精製された抗体はPBS中に500μl/mlまで希釈する。
S1= Ra−a−ニューモリシン
S2= OmpA17−10C7 031024
S3= 22−6E6.5 040224
S4= 26−5F12.1 040520
S5= 26−23C2.2 040319
S6= 26−18G8.2 040319
S7= 26−30H10.2 040319
S8= 28−10E7.2 040514
S9= 26−14G4 040305
S10= 13−2E12.1 031105
S11= 22−1C11.1 031211
【0275】
【化5】
試料1ないし11に関するデータをここに以下の表に示す。
【0276】
【化6】
表1 405nmにおけるOD
溶血の%は得られたデータ(表1)から得られ、これをここに以下の表に示す。
【0277】
【化7】
表2 %で表す溶血
阻害の%は得られたデータ(表2)から計算し、ここに以下の表3に示す。
【0278】
【化8】
表3 溶血の阻害の%
結果のグラフ表示を図5に示す。
【0279】
抗体の力価は前記したデータに基づいて測定し、ここに以下の表4にまとめる。
【0280】
【化9】
表4 選択された抗体の力価。
【0281】
(実施例4)
(抗−ニューモリシンHuMabのアフィニティー特徴付け)
結合力測定は、1つの濃度のmAbを抗原被覆表面に流すことによって行った。
【0282】
(方法および材料)
チップ上に被覆された材料:プロテイン−Gチップタイプ:CM5。2003年9月16日に調製されたチップ。
被覆密度:FC1 & 3=ブランク、FC2=6286 RU、FC4=6700RU
被覆条件:蛋白質の濃度=5μg/mL、希釈緩衝液:酢酸ナトリウム、pH=4.5
流す緩衝液:HBS=EP。
【0283】
(試薬)
抗体(精製):
1.4E8 0.94mg/mL
2.22−6E6 2.50mg/mL
3.26−23C2 3.40mg/mL
4.26−5F12 1.26mg/mL
5.22−1C11 5.80mg/mL
6.13−2E12 1.03mg/mL
7.10−3G7.2 1.10mg/mL
8.10−5G3.3 0.82mg/mL
9.10−14A5.2 0.91mg/mL
10.10−5G3.2 1.14mg/mL
抗原:0.6mg/mL、57kDa(全長w/ His−タグ)。
【0284】
(実験条件)
捕獲(Ab)濃度:20ug/mL濃度、200uL@50uL/分流速
会合時間:4分
解離時間:20分
チップの再生:17uLの50mM NaOH+75 NaCl@75uL/分流速の1つのパルス。
【0285】
(結果)
この実験からのアフィニティー見積もりおよび速度定数をここに以下の表1にリストする。会合および解離の最初の数秒は1:1ラングミュアーモデルに適合させて、アフィニティーおよび速度定数を得た。
【0286】
【化10】
表1 ニューモリシン抗体のアフィニティーおよび速度定数。
【0287】
(実施例5)
(抗−CD64×抗−ニューモリシン5−9A7二重特異的抗体の創製)
HuMAb、抗−CD64(88.53)、および抗−ニューモリシンの各々のF(ab’)2断片をペプシン消化によって作製し、Superdex200ゲル濾過クロマトグラフィーによって均一になるまで精製する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、F(ab’)2断片の双方は>95%純度である。
【0288】
該88.53のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な還元によって生じる。正確な還元条件は、小規模の実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、該88.53Fab’は>90%純度である。
【0289】
該88.53のFab’断片をG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離する。Fab’断片をジニトロチオベンゾエート(DTNB)と共にインキュベートして、Fab−TNBコンジュゲートを得る。
【0290】
抗−ニューモリシン抗体のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な還元によって生じさせる。正確な還元条件は、小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、Fab’は90%純度である。
【0291】
Fab’断片はG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離し、1:1モル比の88.53Fab−TNBと室温にて一晩混合する。
【0292】
Superdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって、二重特異的抗体を汚染Fab’分子から精製し、精製された分子をHPLCによって分析する。
【0293】
対照については、抗−CD64×抗−CD89二重特異的抗体を生じさせる。HuMAb、抗−CD64(88.53)、および抗−CD89(14A8)の各々のF(ab’)2断片はペプシン消化によって生じさせ、Superdex200ゲル濾過クロマトグラフィーによって均一になるまで精製する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、F(ab’)2断片の双方は>95%純度である。
【0294】
該88.53のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な関係によって生じさせる。正確な還元条件は小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、該88.53Fab’は>90%純度である。
【0295】
該88.53のFab’断片は、G−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離する。Fab’断片はジニトロチオベンゾエート(DTNB) 16aおよび16bと共にインキュベートして、Fab−TNBコンジュゲートを得る。
【0296】
14A8のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合の間の温和な還元によって生じさせる。正確な還元条件は小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定される。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、14A8 Fab’は>95%純度である。
【0297】
14A8のFab’断片はG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離し、1:1モル比の88.53Fab−TNBと室温にて一晩混合する。
【0298】
二重特異的抗体はSuperdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって汚染Fab’分子から精製し、精製された分子をHPLCによって分析する。88.53×14A8二重特異的抗体はほとんど均一となるまで精製する。
【0299】
(抗−CD64×抗−ニューモリシン二重特異的抗体の結合特異性の特徴付け−二重特異的ELISA)
1.ELISAプレートを組換えニューモリシン、50μl/ウェル、5μg/mlで被覆し、4℃にて一晩インキュベートする。
【0300】
2.プレートをPBS中の5%BSAでブロックする。
【0301】
3.二重特異的抗体の滴定をプレートに加える。対照は抗−CD64×抗−CD89二重特異的(対照二重特異的)、および抗−CD64 Ab、88.53または抗−ニューモリシンAbのF(ab’)2断片を含む。
【0302】
4.次いで、ヒトIgMのFc部分に連結された可溶性CD64よりなる融合蛋白質を含有する上清と共にプレートをインキュベートする。
【0303】
5.プレートを、最後に、アルカリ性ホスファターゼ標識ヤギ抗−ヒトIgM抗体と共にインキュベートする。陽性ウェルをアルカリ性ホスファターゼ基質で検出する。
【0304】
(抗−CD64×抗−ニューモリシン二重特異的抗体の結合特異性の特徴付け−ヒトCD64−トランスジェニックマウス上のCD64への結合)
血液は、CD64トランスジェニックマウスから、または非−トランスジェニック同腹子から採取し、30μg/mlの濃度の88.53×抗−ニューモリシン二重特異的抗体と共に室温にて30分間インキュベートする。
【0305】
血液を洗浄し、次いで、FITC−標識抗−ヒトIgG抗体と共に室温にて30分間インキュベートする。赤血球細胞を溶解させ、残存する白血球をフローサイトメトリーによって染色につき分析する。リンパ球、単球および好中球集団に対応する領域をゲートし、別々に分析する。
【0306】
ヒトCD64を、CD64トランスジェニックマウスの単球にて、および程度は低いが好中球にて発現させる。ヒトにおけるように、CD64はトランスジェニックマウスのリンパ球によって発現されない。二重特異的抗体はCD64トランスジェニック単球および好中球に結合するが、非−トランスジェニックマウスに由来するいずれの細胞集団にも結合しない。
【0307】
(実施例6)
(モノクローナル抗体の配列決定)
本発明による抗体をコードするDNAを、抗体26−5F12.1につき後に記載されるように配列決定する。
【0308】
全RNAはSTAT60試薬(BioGenesis)を用いてハイブリドーマ細胞から単離し、PCRにおける鋳型として用いるためにcDNAに変換した。アガロースゲル分析は、ペレットからの抽出されたRNAの高い収率を示した(図8A)。
【0309】
cDNAは該RNAから作製した。Amersham BiosciencesからのHeavyプライマーおよびLightプライマーミックスを用い、重鎖および軽鎖可変領域を増幅した。PCR産物をトリス−アセテート−EDTAアガロースゲルで分析した。cDNAでのこれらのプライマーを用いるPCRは、図8Bに示したバンドを与えた。
【0310】
PCR産物の直接的クローニングは貧弱な形質転換効率を与え、従って、PCR産物をゲル精製し、クローン化した。PCRにおいて陽性の試料を、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)におけるpCR4−TOPOベクターにクローン化した。
【0311】
精製されたVLおよびVH PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、コロニーPCRによって陽性形質転換体を測定した(図8C)。
【0312】
各鎖につき全ての陽性クローンを拾い出し(通常3)、順方向および逆方向配列決定プライマー双方で配列決定した。BigDye V3.1 DNA配列決定キット(Applied Biosystems)を用いるジデオキシ方法によってクローンを配列決定した。
【0313】
配列決定分析は、可変重鎖について5つの正しいクローンを同定し、モノクローナル抗体26−5F 12.1の可変軽鎖については7つ同定した。これらのクローンの各々についてのDNAおよび蛋白質配列を以下に示す。
モノクローナル抗体26−5F 12.1配列決定結果
【0314】
【化11】
【0315】
【化12】
【0316】
【化13】
【0317】
【化14】
【0318】
【化15】
【0319】
【化16】
【0320】
【化17】
26−5F 12.1の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Aに示し、ここに、CDRの配列も含める。
モノクローナル抗体26−23 C2.2配列決定分析
RNAを前記したように抽出し、高い収率を示す(図9A)。
【0321】
cDNAはRNAから作製した。VL領域を増幅するために調製した最初のPCR反応は成功しなかった。新しいプライマーを順序立てて、別々の反応にてVHおよびVLを増幅した。元来のcDNAでこれらのプライマーを用いるPCRにより、図9Bに示されるVHおよびVLバンドを与えた。
【0322】
精製されたVHおよびVL PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、陽性形質転換体をコロニーPCRによって測定した(図9C)。
【0323】
VHおよびVLクローンを拾い、配列決定した。5つのVHクローンおよび3つのVLクローンの配列をここに以下に示す。
モノクローナル抗体26−23 C2.2配列決定の結果
【0324】
【化18】
【0325】
【化19】
【0326】
【化20】
【0327】
【化21】
26−23 C2の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Bに示し、ここに、CDRの配列も含める。
モノクローナル抗体22 1C 11配列決定分析
cDNAはmRNAから作製した。モノクローナル抗体DNAのVHおよびVL領域を増幅するためのPCR反応は、図10Aに示されるバンドを与えた。
【0328】
精製されたVHおよびVL PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、コロニーPCRによって陽性形質転換体を測定した(図10B):
7つのVHおよび6つのVLクローンを各鎖につき拾い出し、順方向および逆方向配列決定プライマー双方で配列決定した。配列決定分析により、モノクローナル抗体22−1C11のVH鎖について5つの正しいクローンを同定した。
【0329】
VL配列決定は貧弱な品質のものであった。さらに6つのクローンを拾い出し、配列決定して、合計6つのクローンからのコンセンサス配列を得た。
【0330】
陽性VHおよびVLクローンについてのDNAおよび蛋白質配列を以下に示す。
モノクローナル抗体22−1C 11配列決定の結果
【0331】
【化22】
【0332】
【化23】
【0333】
【化24】
悪い品質の配列
【0334】
【化25】
【0335】
【化26】
【0336】
【化27】
22−1C 11の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Cに示し、ここに、CDRの配列も含める。
【0337】
26−5F12、26−23 C2および22 1C 11のCDR配列の整列を図11に示す。
【0338】
(実施例7)
エピトープの局所化の同定
ニューモリシンの28アミノ酸残基を表す12アミノ酸のニューモリシンの合成ペプチド断片を生産する。該ペプチドは、少なくとも8つのアミノ酸残基を持つ隣接断片と重複する。ペプチドを図6に示す。断片への抗体結合を、ここに以下に示すように標準ELISAアッセイでテストする。用いる全てのペプチドはビオチニル化ペプチドである。
デバイス:
37におけるインキュベーター
ピペット
Elisaリーダー
材料:
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
Reacti−結合ストレプトアビジンHBC被覆96−ウェルマイクロ−ウェルプレート(Pierce)
試薬:
ウサギ−α−ヒトIgG HRP(DAKO P0214)
OPD(o−フェニレンジアミン)
緩衝液:
洗浄および希釈緩衝液:0.05%Tween20を含むPBS
ブロッキング緩衝液:洗浄緩衝液に2%SMP(脱脂粉乳)を加える
対照
陰性:ブランク
陰性:PsaAペプチド9144 ビオチン−KDPNNKEFYEKNLKEYTDKLDKLDK−NH2、1mg/ml 040630
陽性:PLYペプチド10146 ビオチン−ECTGLAWEWWRT−OH、5mg/ml
ペプチド:
ペプチド ”GNT−01” ビオチン−RECTGLAWEWWR−OH, 5 mg/ml
ペプチド ”GNT−02” ビオチン−IRECTGLAWEWW−OH, 5 mg/ml
ペプチド ”GNT−03” ビオチン−KIRECTGLAWEW−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−04” ビオチン−VKIRECTGLAWE−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−05” ビオチン−SVKIRECTGLAW−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−06” ビオチン−LSVKIRECTGLA−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−061” ビオチン−NLSVKIRECTGL−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−062” ビオチン−RNLSVKIRECTG−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−07” ビオチン−CTGLAWEWWRTV−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−08” ビオチン−TGLAWEWWRTVY−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−09” ビオチン−GLAWEWWRTVYE−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−10” ビオチン−LAWEWWRTVYEK−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−13” ビオチン−EWWRTVYEKTDL−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−14” ビオチン−WWRTVYEKTDLP−OH, 50 μg/ml
手法
被覆されたプレートをウェル当たり3×300μlの洗浄緩衝液でよく濯ぐ。
【0339】
全てのペプチドをPBS中に2.5μl/mlまで希釈する。100μlをウェル当たり加え、平板を室温にて1時間インキュベートする。設定をここに以下に示す。
【0340】
プレートをウェル当たり3×200μlの洗浄緩衝液で流しつつ濯ぎ、2%SMPを含む洗浄緩衝液で室温にて30分間ブロックする。引き続いて、各ウェルを3×200μlの洗浄緩衝液で濯ぐ。全てのMabを0.5μg/mlまで希釈し、100μlをウェル当たり加え、プレートを37℃にて1時間インキュベートする。抗体を以下に示すように適用する。
【0341】
ウェル当たり2×200μlの洗浄緩衝液を用いてプレートを濯ぐ。
【0342】
二次抗体ウサギ−α−ヒトIgG HRP(DAKO P0214)をブロッキング緩衝液中に1:2000希釈し、100μlをウェル当たり加え、プレートを37℃にて30分間インキュベートする。各ウェルを3×200μlの洗浄緩衝液ですすぎ、OPDで30分間発色させる。
【0343】
3つの独立した実験を行い、結果をここに以下にまとめる。プレート1の結果の概観を図7Aに示し、プレート2の結果を図7Bに示す。
【0344】
【化28】
【0345】
【化29】
【0346】
【化30】
【0347】
【化31】
【0348】
【化32】
結果のグラフ表示を図7Aおよび7Bに示す。
【0349】
【化33】
【0350】
【化34】
【図面の簡単な説明】
【0351】
【図1】Fab断片の模式図。
【図2】配列番号:11を有するニューモリシンアミノ酸配列。
【図3A】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図3B】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図3C】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図4】Pneumococcusおよび抗体を接種したマウスについての概観図。
【図5】ニューモリシン抗体の抗溶血活性。
【図6】エピトープマッピングのためのペプチド。
【図7】ニューモリシン抗体エピトープの決定を示すグラフ。
【図8】26−5F12クローンの単離。
【図9】26−23 C2クローンの単離。
【図10】22 1C11クローンの単離。
【図11】26−5F12、26−23C2および22−1C11のCDR配列。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューモリシン(Pneumolysin)に特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む結合メンバー、特に、少なくとも2つの結合ドメインを有する結合メンバー、診断方法における、ならびに治療のための該結合メンバーの使用に関する。さらに、ニューモリシンペプチドおよびニューモリシンペプチドを含むワクチン組成物がさらに記載される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
Streptococcus pneumoniaeは生命を脅かす細菌感染の主な原因の1つである。先進国において、5歳未満の数百万の子供は毎年S.pneumoniaeで死亡すると見積もられてきた(非特許文献1)。工業化した世界においては、S.pneumoniae肺炎の発生は100000人当たり5ないし10人であり、死亡の症例は5ないし7%である。S.pneumoniae脊髄炎は100000人当たり1ないし2人で起こり、死亡の症例は30ないし40%である(非特許文献2)。S.pneumoniaeは細菌血症の最も頻繁な原因の1つである。S.pneumoniaeは、中耳炎を持つ子供から単離される最も頻繁な生物である。6歳未満の全ての子供の約75%は中耳炎に罹るであろう。
【0003】
S.pneumoniaeはペアまたは短い鎖にて増殖するグラム陽性菌である。表面は三層:被膜、細胞壁および原形質膜から構成される。該被膜は最も厚い層であり、増殖するS.pneumoniaeの内部構造を完全に覆い隠す。オリゴ糖(多糖)の反復ユニットのポリマーは、該被膜を占領している。異なる血清型はそれらのその被膜の一部としてリビトール、アラビチノールまたはホスホリルコリンを含有し、その結果、血清型特異的である化学構造がもたらされる。細胞壁はペプチドグリカンのみならず、テイコ酸およびリポテイコ酸よりなる。原形質膜は、細胞を包み、種々の分子をその表面に係留させる二重リン脂質膜である(非特許文献3)。
【0004】
現在、S.pneumoniaeの90の異なるタイプがS.pneumoniae被膜の多様性に基づいて認識されている(非特許文献4)。該被膜はS.pneumoniae感染の病因において中枢的である。1つの被膜型に対して生起された抗体はこのタイプでの感染からの保護を与えるが、他の被膜型での感染に対しては保護を与えない。現在の23−価多糖ワクチンは、最も頻繁な血清型の60ないし80%を超える保護を供する。
【0005】
ニューモリシンはいくつかのグラム陽性菌の主要ビルレンス因子であって、コレステロール−結合トキシンのファミリーのメンバーである(非特許文献5)。それは、リング−形状のオリゴマー(ポリン)を形成することによって、細胞のコレステロール−含有膜を破壊する多様性蛋白質である(非特許文献6)。さらに、ニューモリシンは、Fcおよび補体蛋白質との相互作用を介して非−特異的様式で補体系を活性化させる。ニューモリシンの毒性は、ニューモリシン遺伝子の部位特異的突然変異誘発(Trp−433からPheへの置換)によって減弱化でき、その結果、ニューモリソイド(PdB)が発現される(非特許文献7)。
【0006】
ニューモリシンは、テストしたS.pneumoniae株の中で保存されているようである(非特許文献8)。S.pneumoniaeの異なる株からのニューモリシン遺伝子に基づく推定アミノ酸配列は>99%同一である(非特許文献9)。
【0007】
ニューモリシンに対するIgAは子供(261人のうち242人)および成人(17人のうち17人)からの唾液で検出できる(非特許文献10)。抗−ニューモリシンIgGは2歳未満のほとんどの子供(1108人のうち803人)および全ての成人(325人/325人)においてEIAによって検出可能であった(非特許文献11)。血清変換はキャリアーの状態に相関し、すなわち、鼻咽頭または中耳検体から培養したS.pneumoniaeを感染させた子供は、抗−ニューモリシンIgG陽性であるようであった。ELISA方法を用いる種々の研究において、IgGは40人の健康な成人のうち7人、慢性閉塞性肺病を持つ32人の患者のうち17人、および肺炎球菌肺炎を持つ31人の患者のうち13人で検出された(非特許文献12)。興味深いことには、肺炎および細菌血症を持つ有意により少数の患者が、細菌血症を持たないが肺炎を持つ患者と比較して検出可能なIgGを有した(4人/16人 vs. 9人/15人)。これは、抗−ニューモリシン抗体が、肺炎が細菌血症まで進行するのを妨げることができることを示唆する。
【非特許文献1】Anonymous.“Acute respiratory infections in under fives: 15 million deaths a year.”Lancet 1985年 2:699−701
【非特許文献2】Lee CJら、“Immunologic epitope, gene, and immunity involved in pneumococcal glycoconjugate.”Crit.Rev.Microbiol.1997年 23:121−142
【非特許文献3】AlonsoDeVelasco,E.“Streptococcus pneumoniae: virulence factors, pathogenesis, and vaccines.”Microbiol.Rev.1995年.Dec.59:591−603
【非特許文献4】Sorensen, U.B.“Pneumococcal polysaccharide antigens: capsules and C−poly-saccharide. An immunochemical study.”Dan.Med.Bull.1995年 Feb.42:47−53
【非特許文献5】de los Toyos JRら、“Functional analysis of pneumolysin by use of monoclonal antibodies.”Infect.Immun.1996年 Feb.64:480−484
【非特許文献6】Bonevら、“Structural analysis of the protein/lipid complexes associated with pore formation by the bacterial toxin pneu-mo-lysin.”J.Biol.Chem.2001年 276(8):5714−5719
【非特許文献7】Alexanderら、“Immunization of mice with pneu-molysin toxoid confers a significant degree of protection against at least nine serotypes of Streptococcus pneumoniae.”Infect.Immun.1994年 62:5683
【非特許文献8】Patonら、“Effect of immunization with pneumolysin on survival time of mice challenged with Streptococcus pneumoniae.”Infect.Immun.1983年 40:548
【非特許文献9】Mitchellら、“Comparison of pneumolysin genes and proteins from Streptococcus pneumoniae type 1 and 2.”Nuclei.Acids.Res.1990年 18:4010
【非特許文献10】Simellら、“Pneumo-coccal carriage and otitis media induce salivary antibodies to pneumococcal surface adhesin A, pneumolysin, and pneumococcal surface protein A in children.”J.Infect.Dis.2001年 183:887−896
【非特許文献11】Rapolaら、“Natural development of antibodies to pneumococcal surface protein A, pneumococcal surface adhesin A, and pneumolysin in relation to pneumococcal carriage and acute otitis media.”J.Infect.Dis.2000年 182:1146−1152
【非特許文献12】Musherら、“Nonspecificity of assaying for IgG antibody to pneu-mo-lysin in circulating immune complexes as a means to diagnose pneumococcal pneumonia.”Clin.Infect.Dis.2001年 32:534−538
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本発明は、ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む抗−溶血結合メンバーに関し、ここで、該結合メンバーは、Streptococcus.特に、Streptococcus pneumoniaeに関連する疾患および障害を予防し、治療するための医薬組成物で用いるのに適当である。
【0009】
従って、本発明の1つの具体例において、本発明は、ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む単離された結合メンバーに関し、該結合ドメインは、1×10−6未満であるニューモリシンに対する解離定数Kdを有する。好ましくは、結合ドメインを含む結合メンバーは前記定義の解離定数Kdを有する。
【0010】
高結合強度のため、結合メンバーは医薬組成物で用いるのに適している。抗−溶血活性を持つさらにより多くの結合メンバーは特に有用である。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は、少なくとも第一の結合ドメインおよび第二の結合ドメインを含む単離された結合メンバーに関し、該第一の結合ドメインはニューモリシンに特異的に結合することができる。
【0012】
本発明による結合メンバーは、好ましくは、抗体または抗体の断片である。抗体は当業者に知られたいずれの適当な方法によっても生産することができるが、結合メンバーの少なくとも一部は組換え方法を介して生産されるのが好ましい。従って、本発明は、1つの態様において、前記した結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子、ならびに前記定義の核酸分子を含むベクター、および前記核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0013】
本発明は、さらに、前記定義の結合メンバーの少なくとも一部を発現するように作製された、より好ましくは、前記定義の全結合メンバーを発現するように作製された細胞株に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、
−個体から生物学的試料を供し、
−前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に加え、
−該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、疾患または障害を検出し、または診断する;
ことを特徴とする、個体においてPneumococcusに関連した疾患または障害を検出し、または診断する方法に関する。
【0015】
また、該方法において、本発明は、さらに、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含むキットに関し、ここで、該結合メンバーは、診断方法で用いるために標識されている。
【0016】
なおもう1つの態様において、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物に関する。
【0017】
さらに、本発明は、肺炎、脊髄炎および/または敗血症のような、Streptococcus pneumoniaeに関連する障害および疾患の治療または予防用の医薬組成物の製造における前記定義の結合メンバーの使用に関する。
【0018】
なおさらなる態様において、本発明は、有効量の前記定義の結合メンバーを投与することによって、肺炎、脊髄炎および/または敗血症のような、Streptococcus pneumoniaeに関連する障害または疾患に罹った個体を治療または予防する方法に関する。
【0019】
さらなる態様は、抗−溶血結合メンバーによって認識されるニューモリシンペプチド、およびそのようなペプチドを含むワクチン組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(配列表)
配列番号:1 ニューモリシンのアミノ酸425ないし436
配列番号:2 ニューモリシンのアミノ酸423ないし438
配列番号:3 可変軽鎖26−5F12.1
配列番号:4 可変重鎖26−5F12.1
配列番号:5 CDR1軽鎖26−5F12.1
配列番号:6 CDR2軽鎖26−5F12.1
配列番号:7 CDR3軽鎖26−5F12.1
配列番号:8 CDR1重鎖26−5F12.1
配列番号:9 CDR2重鎖26−5F12.1
配列番号:10 CDR3重鎖26−5F12.1および26−23C2.2
配列番号:11 ニューモリシン配列
配列番号:12 可変軽鎖26−23C2.2
配列番号:13 可変重鎖26−23C2.2
配列番号:14 CDR1軽鎖26−23C2.2
配列番号:15 CDR2軽鎖26−23C2.2
配列番号:16 CDR3軽鎖26−23C2.2
配列番号:17 CDR1重鎖26−23C2.2
配列番号:18 CDR2重鎖26−23C2.2
配列番号:19 可変軽鎖22−1C11
配列番号:20 可変重鎖221C11
配列番号:21 CDR1軽鎖22−1C11
配列番号:22 CDR2軽鎖22−1C11
配列番号:23 CDR3軽鎖22−1C11
配列番号:24 CDR21重鎖22−1C11
配列番号:26 CDR2重鎖22−1C11
配列番号:26 CDR3重鎖22−1C11
(定義)
親和性:受容体およびそのリガンドの間、例えば、抗体およびその抗原の間の結合の強度
結合力:エピトープおよびパラトープの間の反応の親和性、および抗体および抗原の価数の双方に関連する抗体とその抗原との機能的結合強度
アミノ酸残基:そのペプチド結合におけるペプチドの化学的消化(加水分解)に際して形成されるアミノ酸。本明細書に記載するアミノ酸残基は好ましくは「L」異性体形態である。しかしながら、所望の機能的特性がポリペプチドによって保持される限り、「D」異性体形態の残基はいずれかのL−アミノ酸残基に代えて置換することができる。NH2とは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHとは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基をいう。標準的なポリペプチドと歩調を合わすために、アミノ酸残基に対する略語を以下の対応の表に示す:
【0021】
【化1】
式によって本明細書に表される全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端ないしカルボキシ末端の慣用的方向にて左から右の向きを有することに注意すべきである。加えて、フレーズ「アミノ酸残基」は、対応の表にリストされたアミノ酸、ならびに修飾された、および異常なアミノ酸を含むように広く定義される。さらに、アミノ酸残基配列の始まりまたは最後におけるダッシュは、1以上のアミノ酸残基のさらなる配列に結合したペプチド、またはNH2またはアセチルのようなアミノ−末端基に、あるいはCOOHのようなカルボキシ−末端基に対する共有結合を示すことに注意すべきである。
【0022】
抗体:その種々の文法的形態における該用語抗体は、本明細書中においては、免疫グロブリン分子、および本発明の組成物の免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗体結合部位またはパラトープを含有する分子をいうように用いる。抗体分子の例は無傷免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の部分であり、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvのような当該分野で知られた部分を含む。Fabの模式図を図1に示す。本明細書中で用いる用語「抗体」は、ヒト単一鎖およびヒト化抗体、ならびに抗体分子に由来する少なくとも1つの抗原結合決定基を有する多重特異的、二重特異的およびキメラ分子のような、そのような抗体の結合断片、あるいはそのような抗体の修飾されたバージョンを含むことも意図する。
【0023】
抗体のクラス:それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに帰属させることができる。少なくとも5つの免疫グロブリンの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらの内いくつかはさらにサブクラス(イソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、各々、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と呼ばれる。抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つに明瞭に区別されるタイプの1つに帰属させることができる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置はよく知られている。
【0024】
抗体結合部位:抗体結合部位は、抗原に特異的に結合する(それと免疫反応性である)重鎖および軽鎖可変および超可変領域よりなる抗体分子のその構造的部分である。その種々の形態における用語免疫反応は、抗原決定基含有分子、および全抗体分子またはその部分のような抗体結合部位を含有する分子の間の特異的結合を意味する。別法として、抗体結合部位は抗原結合部位として知られている。
【0025】
抗−溶血:溶血を阻害する能力。ここに、赤血球に対するニューモリシンの溶血活性の阻害による。
【0026】
塩基対(bp):二本鎖DNA分子におけるアデノシン(A)とチミン(T)との、またはシトシン(C)とグアニン(G)とのパートナーシップ。RNAにおいては、ウラシル(U)はチミンによって置き換えられる。
【0027】
結合メンバー:特に、ニューモリシンに特異的に結合することができる、Streptococcus pneumoniae蛋白質上のエピトープに結合することができるポリペプチド。
【0028】
結合ドメイン:抗原に特異的に結合する抗原結合部位。結合メンバーは多重特異的であってよく、2つの免疫学的に区別される抗原に特異的に結合する2以上の結合ドメインを含有する。
【0029】
キメラ抗体:可変領域が動物の1つの種からのものであって、定常領域が動物のもう1つの種からのものである抗体。例えば、キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒトのものである定常領域を有する抗体であり得る。
【0030】
相補的塩基:DNAまたはRNAが二本鎖立体配置を取る場合に通常対合するヌクレオチド。
【0031】
相補性決定領域またはCDR:抗体認識および結合ドメインを一緒に形成する抗体のV−ドメイン中の領域。
【0032】
相補的ヌクレオチド配列:もう1つの単一鎖上のそれに対して十分に相補的であって、結果としての水素結合でそれに特異的にハイブリダイズするDNAまたはRNAの一本鎖分子中のヌクレオチドの配列。
【0033】
保存された:もしヌクレオチド配列が予め選択された配列の正確な相補体に対してランダムではなくハイブリダイズするならば、それは予め選択された(参照)配列に対して保存されている。
【0034】
保存的置換:本明細書中で用いる用語保存的置換は、もう1つの生物学的に同様な残基によるアミノ酸残基の置き換えを示す。保存的置換の例は、もう1つのものに代えてのイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンのような1つの疎水性残基の置換、あるいはリシンに代えてのアルギニン、アスパラギン酸に代えてのグルタミン、あるいはアスパラギンに代えてのグルタミンの置換のようなもう1つのものに代えての1つの極性残基の置換等を含む。該用語保存的置換は、置換されていない親アミノ酸の代わりの置換されたアミノ酸の使用も含む。但し、置換されたポリペプチドを含む分子は同一の機能をやはり有するものとする。
【0035】
定常領域または定常ドメインまたはC−ドメイン:定常領域は、その中に保存的置換を含有してもよい与えられたイソタイプ内のアミノ酸残基配列を含む抗体分子の構造部分である。重鎖免疫グロブリン定常領域の例は、CH1、CH2、CH3、CH4およびCH5のような当該分野で公知の免疫グロブリン分子の部分である。軽鎖免疫グロブリン定常領域の例は、CLのような当該分野で公知の免疫グロブリン分子のその部分である。
【0036】
ダイアボディー:この用語は、2つの抗原−結合部位を持つ小さな抗体断片をいい、その断片は、同一ポリペプチド鎖(VH−VL)における軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメインの間の対合を可能とするには余りにも短いリンカーを用いることによって、ドメインはもう1つの鎖の相補的ドメインとで対合し、2つの抗原−結合部位を作り出すよう強制される。ダイアボディー、例えば、EP 404,097;WO 93/11161;およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.6444−6448(1993)により詳細に記載されている。
【0037】
解離定数Kd:受容体およびそれらのリガンド、例えば、抗体およびその抗原の間の結合の強度(または親和性または結合力)を記載するための尺度。より小さなKdであれば、結合はより強くなる。
【0038】
下流:配列転写または読み出しの方向においてDNA配列にさらに沿うこと、すなわち、DNAの非−コーディングストランドに沿っての3’−ないし5’−方向、あるいはRNA転写体に沿っての5’−ないし3’−方向の移動。
デュプレックスDNA:当該デュプレックスの塩基対に存在する相補的塩基の各々の間の1以上の水素結合によって一緒に保持された実質的に相補的なポリヌクレオチドの2つのストランドを含む二本鎖核酸分子。塩基対を形成するヌクレオチドはリボヌクレオチド塩基またはデオキシリボヌクレオチド塩基いずれかであり得るので、フレーズ「デュプレックスDNA」とは、2つのDNAストランドを含むDNA−DNAデュプレックス、あるいは1つのDNAおよび1つのDNAストランドを含むRNA−DNAデュプレックスいずれかをいう。
【0039】
融合ポリペプチド:少なくとも2つのポリペプチドおよび2つのポリペプチドを1つの連続ポリペプチドに操作可能に連結するための連結配列を含むポリペプチド。融合ポリペプチドにおいて連結された2つのポリペプチドは、典型的には、2つの独立した源に由来し、従って、融合ポリペプチドは通常は天然では連結されて見いだされない2つの連結されたポリペプチドを含む。
【0040】
Fv:VHおよびVL双方を含有するデルある鎖抗体断片。
【0041】
遺伝子:そのヌクレオチド配列がRNAまたはポリペプチドをコードする核酸。遺伝子はRNAまたはDNAいずれかであり得る。
【0042】
ヒト抗体フレームワーク:抗原結合部位、およびヒト免疫グロブリンに由来する当該分子の実質的に全ての残りの免疫グロブリン−由来部分を有する分子。
【0043】
ヒト化抗体フレームワーク:非−ヒト種からの免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を有する分子であるが、当該分子の残りの免疫グロブリン−由来部分のいくらかまたは全てはヒト免疫グロブリンに由来する。抗原結合部位は:1以上のヒト定常ドメインに融合した非−ヒト免疫グロブリンからの完全な可変ドメイン;または可変ドメインにおける適当なヒトフレームワーク領域へグラフトされた1以上の相補性決定領域(CDR)いずれかを含むことができる。ヒト化抗体においては、CDRはマウスモノクローナル抗体からのものであり得、抗体の他の領域はヒトである。
【0044】
ハイブリダイゼーション:相補的な塩基対の間の水素結合の確立によってデュプレックスまたはヘテロデュプレックスを形成するための実質的に相補的なヌクレオチド配列(核酸のストランド)の対合。それは、競合的に阻害できる2つの相補的なポリヌクレオチドの間の特異的な、すなわち、ランダムでない相互作用である。
【0045】
免疫グロブリン:IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDを含めた血清抗体。
【0046】
免疫グロブリンのイソタイプ:異なるH鎖を有するIgに与えられた名称。該名称はIgG(IgG1,2,3,4)、IgM、IgA(IgA1,2)、sIgA、IgE、IgDである。
【0047】
免疫学的に区別される:フレーズ免疫学的に区別されるとは、ポリペプチドの一方に特異的に結合し、他方のポリペプチドには特異的には結合しない抗体の能力について2つのポリペプチドの間を区別する能力をいう。
【0048】
個体:疾患、特に、以下に定義する感染性疾患に対して感受性であることが必要な生きた動物またはヒト。該対象は、抗原刺激および成長因子刺激に対して応答することができる白血球を保有する生物である。好ましい具体例において、該対象はヒト、ならびにイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラットおよびマウスのような非−ヒト哺乳動物を含めた哺乳動物である。最も好ましい具体例において、対象はヒトである。
【0049】
感染性疾患:Streptococcusの1以上の種、特にStreptococcus pneumoniaeによって引き起こされる障害。
【0050】
単離された:は、同定されており、その天然環境の成分から分離され、および/または回収されている、本明細書中に開示された種々の結合メンバーポリペプチドおよびヌクレオチドを記載するのに用いる。その天然環境の汚染成分は、典型的には、該ポリペプチドについての診断または治療の使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、および他の蛋白質性または非−蛋白質性溶質を含むことができる。好ましい具体例において、ポリペプチドは精製されるであろう。
【0051】
標識および表示手段:とは、検出可能なシグナルの生成に直接的にまたは間接的に関与して、複合体の存在を示す単一原子および分子をその種々の文法的形態でいう。
【0052】
モノクローナル抗体:その種々の文法的形態におけるフレーズモノクローナル抗体とは特定の抗原と免疫反応できる抗体結合部位の唯一の種を含有する抗体分子の集団をいう。かくして、モノクローナル抗体は、典型的には、それが免疫反応するいずれかの抗原に対する単一結合親和性を表示する。モノクローナル抗体は、各々が異なる抗原に対して免疫特異的である、複数の抗原結合部位を有する抗体分子、例えば、二重特異的モノクローナル抗体を含むことができる。
【0053】
マルチマー:1を超えるポリペプチドを含むポリペプチド分子。マルチマーはダイマーであって、2つのポリペプチドを含有してもよく、マルチマーはトリマーであって、3つのポリペプチドを含有してもよい。マルチマーはホモマーであって2以上の同一のポリペプチドを含有してもよく、あるいは、マルチマーはヘテロマーであって、2以上の非−同一ポリペプチドを含有してもよい。
【0054】
核酸:一本鎖または二本鎖いずれかの、ヌクレオチドのポリマー。
【0055】
ヌクレオチド:糖部位(ペントース)、リン酸、および窒素性複素環塩基よりなるDNAまたはRNAのモノマーユニット。該塩基はグリコシド炭素(ペントースの1’炭素)を介して糖部位に連結し、塩基および糖のその組合せがヌクレオシドである。該ヌクオレオシドがペントースの3’または5’位置に結合したリン酸基を含有する場合、それをヌクレオチドという。操作可能に連結されたヌクレオチドの配列は、典型的には、本明細書中においては、「塩基配列」または「ヌクレオチド配列」、およびそれらの文法的同等体をいい、本明細書中においては、その左から右への向きが5’末端または3’末端の慣用的方向にある式によって表される。
【0056】
ヌクレオチドアナログ:構造的にA、T、G、CまたはUとは異なるが、核酸分子における通常のヌクレオチドに代えての代替物に対して十分に同様であるプリンまたはピリミジンヌクレオチド。
【0057】
Pneumococcus:は、Streptococcus pneumoniaeと同義で用いる。
【0058】
ポリクローナル抗体:ポリクローナル抗体は、特異的な与えられた抗原を認識する抗体分子の混合物であり、よって、ポリクローナル抗体は該抗原内の異なるエピトープを認識することができる。
【0059】
ポリヌクレオチド:一本鎖または二本鎖ヌクレオチドのポリマー。本明細書中で用いるように、「ポリヌクレオチド」およびその文法的同等体は十分な範囲の核酸を含むであろう。ポリヌクレオチドは、典型的には、2以上のデオキシリボヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドの線状ストランドを含む核酸分子をいう。正確なサイズは多くの因子に依存し、該因子は、今度は、当業者に良く知られているように使用の最終的な条件に依存する。本発明のポリヌクレオチドはプライマー、プローブ、RNA/DNAセグメント、オリゴヌクレオチドまたは「オリゴ」(比較的短いポリヌクレオチド)、遺伝子、ベクター、プレスミド等を含む。
【0060】
ポリペプチド:フレーズポリペプチドとは、隣接するアミノ酸残基の間のアミノ結合以外の結合を含有しないアミノ酸残基を含む分子をいう。
【0061】
受容体:受容体は、もう1つの分子に特異的に(ランダムではなく)結合することができる、蛋白質、等蛋白質等のような分子である。
【0062】
組換えDNA(rDNA)分子:2つのDNAセグメントを操作可能に連結することによって生じたDNA分子。かくして、組換えDNA分子は、天然では通常は一緒に見いだされない少なくとも2つのヌクレオチド配列を含むハイブリッドDNA分子である。共通の生物学的起源を有しない、すなわち、進化的に異なるrDNAは「異種」といわれる。
【0063】
特異性:用語特異性とは、ポリペプチドにおける与えられた抗原と免疫反応する(それに特異的に結合する)潜在的抗原結合部位の数をいう。ポリペプチドは単一ポリペプチドであってよく、あるいは、ジスルフィド結合によって連結された2以上のポリペプチドであってよい。ポリペプチドはモノ特異的であって、抗原に特異的に結合する1以上の抗原結合部位を含有してもよく、あるいはポリペプチドは二重特異的であって、2つの免疫学的に区別される抗原に特異的に結合する2以上の抗原結合部位を含有してもよい。かくして、ポリペプチドは同一または異なる抗原に特異的に結合する複数の抗原結合部位を含有することができる。
【0064】
血清型:種々の特徴において相互に異なる多くの株よりなるStreptococcusの種内の細菌の同定。血清型を規定する共通に用いられる特徴は特別な抗原性分子である。
【0065】
単一鎖抗体またはscFv:フレーズ単一鎖抗体とは、1以上の抗原結合部位を含む単一ポリペプチドをいう。さらに、Fv断片のHおよびL鎖は別々の遺伝子によってコードされるが、それらは直接的にまたはペプチドを介して連結されていてよく、例えば、組換え技術によってそれらが(単一鎖抗体として知られた、sAb;Bird et al.1988 Science 242:423−426;およびHuston et al. 1988 PNAS 85:5879−5883)単一蛋白質鎖として差癖されるのを可能とする合成リンカーを作製することができる。そのような単一鎖抗体もまた用語「抗体」内に含まれ、多重特異的結合分子の設計および作製において結合決定体として利用することができる。
【0066】
上流:DNA転写の方向とは反対の方向、従って、非−コーディングストランド上では5’から3’へ、またはmRNA上では3’から5’へ行くこと。
【0067】
価数:用語価数とは、ポリペプチドにおいて、潜在的抗原結合部位、すなわち、結合ドメインの数を言う。ポリペプチドは一価であって、1つの抗原結合部位を含有してもよく、あるいは、ポリペプチドは二価であって、2つの抗原結合部位を含有してもよい。加えて、ポリペプチドは四価であって、4つの抗原結合部位を含有してもよい。各抗原結合部位は1つの抗原に特異的に結合する。ポリペプチドが1を超える抗原結合部位を含む場合、各抗原結合部位は同一または異なる抗原に特異的に結合することができる。かくして、ポリペプチドは複数の抗原結合部位を含有し、従って、多価であってよく、ポリペプチドは同一または異なる抗原に特異的に結合することができる。
【0068】
V−ドメイン:可変ドメインは、抗原結合部位を形成するアミノ酸残基配列を含む抗体分子の構造的部分である。例示的な軽鎖免疫グロブリン可変領域は、VLとして当該分野で知られた免疫グロブリン分子のその部分である。
【0069】
VL:軽鎖の可変ドメイン。
【0070】
VH:重鎖の可変ドメイン。
【0071】
ベクター:細胞において自律複製が可能であって、それに対して、DNAセグメント、例えば、遺伝子またはポリヌクレオチドを操作可能に連結させて付着されたセグメントの複製を実現することができるrDNA分子。1以上のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を指令することができるベクターを、本明細書中において「発現ベクター」という。特に重要なベクターは、逆転写酵素を用いて生じたmRNAからのcDNA(相補的なDNA)のクローニングを可能とする。
【0072】
(記載)
前記したように本発明は、Streptococcus pneumoniae蛋白質、より特別にはニューモリシンを特異的に認識し、それに結合することができる結合メンバー、特に抗体またはその断片に関する。本発明による結合メンバーは、Streptococcus pneumoniaeによって引き起こされた疾患の治療において、ならびに診断方法および細菌を検出するためのキットで使用するのに特に有用である。ニューモリシンは、好ましくは、図2に示されたアミノ酸配列(配列番号:11)を有するポリペプチドである。
【0073】
かくして、本発明による結合メンバーは、好ましくは、例えば、抗原に結合し、該抗原を免疫活性細胞に提示し、それにより、該抗原のファゴサイトーシスを容易とすることができるような抗体として免疫学的に活性であるべきである。
【0074】
特に、結合メンバーは、当該分野で公知のいずれかの適当な抗体のような抗体、特に、抗体または抗体の免疫学的に活性な断片または単一鎖抗体のような本明細書中に定義された抗体である。抗体分子は、典型的には、その塩基性ユニットが、ジスルフィド結合によって一緒に共有結合連結された、4つのポリペプチド、2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖よりなるY−形状の分子である。これらの鎖の各々は区別されるドメインに折り畳まれる。重鎖および軽鎖双方のC−末端領域は配列で保存されており、定常領域と呼ばれ、C−ドメインとしても知られている。V−ドメインとしても知られているN−末端領域は配列が可変であって、抗体特異性を担う。該抗体は、そのV−ドメインに位置する6つの短い相補性−決定領域を主に通じて抗原を特異的に認識し、それに結合する(図1参照)。
【0075】
本発明による抗体はニューモリシンに向けての強い親和性を有するので特に有用である。
【0076】
従って、本発明による結合メンバーは、1×10−6M未満であるニューモリシンに対する解離定数Kdを有する結合ドメインを有する。より好ましくは、ニューモリシンに対する解離定数Kdは1×10−7M未満、より好ましくは、1×10−8M未満、より好ましくは、5×10−8M未満、より好ましくは1×10−9M未満、より好ましくは、5×10−9M未満、より好ましくは1×10−10M未満である。
【0077】
ニューモリシンに向けての結合メンバーの親和性は、好ましくは、実施例4に記載されたように測定される。
【0078】
結合メンバーは、好ましくは、前記した単離された結合メンバー、より好ましくは、単離された純粋な結合メンバーである。
【0079】
(抗−溶血活性)
さらに、抗溶血活性を有する結合メンバーは、Streptococcus pneumoniaeによって引き起こされた疾患の治療に特に適当であると考えられる。理論に拘束されるつもりはないが、抗−溶血結合メンバーのニューモリシンへの結合は標的細胞の膜へのニューモリシンの付着を妨げると考えられる。イン・ビトロ機能的アッセイは好ましくは、実施例2および3に記載されているように行われる。
【0080】
本発明による結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、4000nm/mlの濃度において溶血を少なくとも50%阻害することができるのが好ましい。より好ましくは、結合メンバーは実施例3に記載されたアッセイにおいて、4000ng/mlの濃度にて80のような、85のような、最も好ましくは、90%のような、少なくとも60%だけ溶血を阻害する。
【0081】
本発明による最も好ましい結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、160ng/mlの濃度で溶血を少なくとも50%阻害することができる。より好ましくは、結合メンバーは、実施例3に記載されたアッセイにおいて、160ng/mlの濃度で溶血を80のような、85のような、最も好ましくは90%のような、少なくとも60%だけ阻害する。
【0082】
(相補性決定領域)
理論に拘束されるつもりはないが、高結合強度および/または抗−溶血活性は、後に示す配列の以下のモチーフの1以上を有するアミノ酸配列を結合部位に一体化させることによって引き起こされると考えられる。
【0083】
具体例において、結合ドメインは:
−アミノ酸配列組配列番号:5またはそのホモログ、配列番号6またはそのホモログ、および配列番号:7またはそのホモログ、または
−アミノ酸配列組配列番号:14またはそのホモログ、配列番号15またはそのホモログ、および配列番号:16またはそのホモログ;
の群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、あるいは
−好ましくは、結合ドメインは:
−アミノ酸配列組配列番号:8またはそのホモログ、配列番号:9またはそのホモログ、および配列番号:10またはそのホモログ、
−アミノ酸配列組配列番号:17またはそのホモログ、配列番号:18またはそのホモログ、および配列番号:10;
の群から選択されるアミノ酸配列組の少なくとも1つを含む。
【0084】
前記アミノ酸配列組において、アミノ酸配列は好ましくは、CDR1、CDR2およびCDR3としての結合ドメインに配置され、すなわち、他のアミノ酸配列によって離される。
【0085】
より具体的には、結合ドメインは、好ましくは、配列番号:5および配列番号:8またはそのホモログから選択される配列を含むCDR1領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:6および配列番号:9またはそのホモログから選択される配列を含むCDR2領域を含むおよび/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:7および配列番号:10またはそのホモログから選択される配列を含むCDR3領域を含む。
【0086】
別法として、結合ドメインは、好ましくは、配列番号:14および配列番号:17またはそのホモログから選択される配列を含むCDR1領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:15および配列番号:18またはそのホモログから選択される配列を含むCDR2領域を含み、および/または結合ドメインは、好ましくは、配列番号:16および配列番号:10またはそのホモログから選択される配列を含むCDR3領域を含む。
【0087】
本明細書中に記載された出願人の発見は、可変重鎖の配列が溶血活性で重要であろうことを示唆する。かくして、好ましい具体例は;配列番号:8、配列番号:9、配列番号:17、配列番号:18および配列番号:10またはそのホモログの群から選択される1以上の配列を含む結合ドメインを含む。特に好ましいのは、配列番号:9または配列番号:18またはそのホモログを含む結合ドメインである。最も好ましいのは、配列番号:10またはそのホモログを含む結合ドメインである。
【0088】
かくして、結合ドメインの可変領域は配列番号:3および配列番号:4またはそのホモログから選択される配列を含み、ここに、ホモログは本明細書中の他の箇所に定義されたとおりであるのが特に好ましい。
【0089】
別法として、結合ドメインの可変領域は配列番号:12および配列番号:13またはそのホモログから選択される配列を含み、ここに、ホモログは本明細書中の他の箇所に定義されたとおりである。
【0090】
好ましい特別な具体例において、結合ドメインの可変軽鎖は配列番号:3および配列番号:12から選択される配列を含み、および/または最も好ましくは、結合ドメインの可変重鎖は配列番号:4および配列番号:13から選択される配列を含む。
【0091】
前記したホモログのいずれか1つの相同性は、好ましくは、1以上のホモログを含む結合ドメインに、前記定義のニューモリシンに対する解離定数Kdを付与する。
【0092】
(同一性および相同性)
用語「同一性」は、配列を整列させ、ギャップを導入して、必要であれば、全配列に対する最大パーセント同一性を達成した後に、それに対してそれを比較する対応する配列の残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージを意味するように解釈されるべきであり、配列同一性の一部としていずれかの保存的置換は考慮しない。N−またはC−末端延長または挿入は同一性または相同性を減少するものと解釈されるべきではない。整列のための方法およびコンピュータープログラムは当該分野でよく知られている。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを用いて測定することができる(例えば、配列分析ソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Ave,Madison,Wis.53705)。このソフトウェアは、相同性の程度を種々の置換、欠失、および他の修飾に帰属させることによって同様な配列にマッチする。
【0093】
本明細書中で特定された1以上の配列のホモログは、定義された配列と比較して1以上のアミノ酸において変化していてもよいが、同一機能を実行することができ、すなわち、ホモログは所定の配列と機能的に同等なものと考えることができる。
【0094】
前記したように、本明細書中における所定の配列のいずれかのホモログは;
i)やはり所定のアミノ酸配列によって認識される抗原を認識することができるアミノ酸配列を含むホモログ、および/または
ii)抗原に選択的に結合することができるアミノ酸配列を含むホモログ、ここに、該抗原は所定の配列によってやはり選択的に結合される、および/または
iii)配列番号:3、4、12および13のような所定の配列を含む結合ドメインとして、ニューモリシンに対して実質的に同様な、またはより高い結合親和性を有するホモログ;
と定義することができる。
【0095】
ホモログの例は、所定のアミノ酸の同一群内の1以上の保存的アミノ酸置換を含む1以上の保存的アミノ酸置換、あるいは各保存的置換が所定のアミノ酸の異なる群内での置換によって生じる複数の保存的アミノ酸置換を含む。
【0096】
ホモログは、かくして、当該ホモログの少なくとも1つのグリシン(Gly)はAla、Val、Leu、およびIleよりなるアミノ酸の群から選択されるアミノ酸で置換された相互に独立した保存的置換、およびそれとは独立した、その当該ホモログの当該アラニン(Ala)の少なくとも1つがGly、Val、LeuおよびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのバリン(Val)がGly、Ala、Leu、およびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該ロイシン(Leu)の少なくとも1つがGly、Ala、ValおよびIleよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの少なくとも1つのイソロイシン(Ile)がGly、Ala、ValおよびLeuよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立した、その当該ホモログの当該アスパラギン酸(Asp)の少なくとも1つがGlu、AsnおよびGlnからなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該フェニルアラニン(Phe)の少なくとも1つがTyr、Trp、His、Proよりなるアミノ酸の群から選択され、好ましくは、TyrおよびTrpよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの当該チロシン(Tyr)の少なくとも1つがPhe、Trp、His、Proよりなるアミノ酸の群から選択され、好ましくは、PheおよびTrpよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログおよびそれとは独立して、当該断片の当該アルギニン(Arg)の少なくとも1つがLysおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立して、その当該ホモログの少なくとも1つのリシン(Lys)がArgおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの当該アスパラギン(Asn)の少なくとも1つがAsp、GluおよびGlnよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのグルタミン(Gln)がAsp、GluおよびAsnよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの少なくとも1つのプロリン(Pro)がPhe、Tyr、TrpおよびHisよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログ、およびそれとは独立してその当該ホモログの当該システイン(Cys)の少なくとも1つがAsp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、ThrおよびTyrよりなるアミノ酸の群から選択されたアミノ酸で置換されたそのホモログを含むことができる。
【0097】
保存的置換は、好ましい所定の配列のいずれかの部分に導入することができる。しかしながら、非−保存的置換、特に、限定されるものではないが、いずれかの1以上の位置における非−保存的置換を導入するのも望ましいであろう。
【0098】
配列の機能的に同等なホモログの形成に導く非−保存的置換は、ここでは、例えば、i)極性が実質的に異なり、例えば、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGlnのような極性側鎖を持つ残基、あるいはAsp、Glu、ArgまたはLysのような荷電したアミノ酸に代えて置換された、あるいは非−極性のものに代えて荷電したまたは極性残基を置き換えた非−極性側鎖(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、PheまたはMet)を持つ残基;および/または、ii)もう1つの残基の、またはもう1つの残基によるProまたはGlyに代えての置換のようなポリペプチド骨格の向きに対するその効果が実質的に異なり;および/または、iii)電荷において実質的に異なり、例えば、Lys、HisまたはArgのような正に荷電した残基に代えてのGluまたはAspのような負に荷電した残基の置換(およびその逆);および/または、iv)立体的嵩において実質的に異なり、例えば、従たる側鎖を有するもの、例えば、Ala、GlyまたはSerに代えてのHis、Trp、PheまたはTyrのような嵩高い残基の置換(およびその逆)。
【0099】
アミノ酸の置換は、1つの具体例においては、その疎水性および親水性値、および電荷、サイズなどを含めたアミノ酸側鎖置換基の相対的同様性に基づいてなすことができる。種々のこれまでの特徴を考慮したアミノ酸置換の例は当業者によく知られており、アルギニンおよびリシン;グルタメートおよびアスパルテート;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;バリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
【0100】
具体例において、結合ドメインは、配列番号:5、6、7、8、9、10、14、15、16、17および18より選択される配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するホモログを含む。好ましい具体例において、結合ドメインは、配列番号:3、4、12、および13より選択される配列に対して少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有するホモログを含む。
【0101】
より好ましくは、ホモログは、配列番号:5、6、7、8、9、10、14、15、16、17および18、好ましくは、配列番号:3、4、12および13より選択される配列に対して少なくとも70%同一のような、少なくとも75%同一のような、少なくとも80%同一のような、少なくとも85%同一のような、少なくとも90%同一のような、少なくとも95%同一のような、少なくとも98%同一のような、少なくとも65%同一である。
【0102】
より好ましい具体例において、前記したパーセンテージは、配列番号:3、4、12および13より選択される配列と比較した、ホモログの配列の同一性に関する。
【0103】
(エピトープ)
本発明による抗−溶血結合メンバーは、好ましくは、配列番号:3、4、12または13の群から選択される配列を含む可変部分を有する抗体によってやはり認識されるエピトープを認識し、それに結合する。
【0104】
具体例において、抗−溶血結合メンバーの結合ドメインは、ニューモリシンのN−末端部分においてエピトープを認識する。好ましくは、配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸1ないし436に対応するN−末端部分内。結合ドメインによって認識されるエピトープは、配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸50ないし436、または好ましくはアミノ酸100ないし436内にあるのがさらに好ましい。特別な具体例において、結合メンバーによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸200ないし435または300ないし435内にある。
【0105】
本発明の結合メンバーの結合ドメインは、好ましくは、配列番号:27によって同定されるアミノ酸配列に含まれるエピトープを認識する。好ましい具体例において、結合ドメインは配列番号:28、29、30および31に含まれるエピトープ、より好ましくは、配列番号:29および30に含まれるエピトープを認識する。
【0106】
結合ドメインによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸400ないし438、またはより好ましくはアミノ酸420ないし436内にあるのがさらに好ましい。特別な具体例において、結合メンバーによって認識されるエピトープは配列番号:11によって同定されるニューモリシンのアミノ酸422ないし436または425ないし436内にある。
【0107】
(血清型)
前記したように、Streptococcus pneumoniaeの90の異なる血清型が同定されている。本発明による結合メンバーは、3以上の異なるPneumococcus血清型からのように、4以上の異なるPeumococcus血清型からのような、5以上の異なるPneumococcus血清型からのような、2以上の異なるPneumococcus血清型からのニューモリシンに結合することができるのが好ましい。最も好ましくは、本発明による結合メンバーは実質的に全ての血清型からのPneumococcusを認識し、それに結合することができる。
【0108】
(モノクローナル/ポリクローナル抗体)
1つの具体例において、結合メンバーは抗体であり、ここに、該抗体は哺乳動物に由来するポリクローナルまたはモノクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体の混合物であり得る。好ましい具体例において、結合メンバーはモノクローナル抗体またはその断片である。該抗体はいずれの種類の抗体であってもよいが、それは好ましくは、IgG抗体である。より好ましくは、該抗体はIgG1抗体またはその断片である。
【0109】
モノクローナル抗体(Mab)は、各抗体分子が同様であって、かくして、同一エピトープを認識する。モノクローナル抗体は、一般には、ハイブリドーマ細胞株によって生産される。モノクローナル抗体および抗体−合成ハイブリドーマ細胞を作製する方法は当業者に良く知られている。抗体−生産ハイブリドーマは、例えば、抗体−生産Bリンパ球と不滅化細胞株との融合によって調整することができる。
【0110】
モノクローナル抗体は以下の工程によって生産することができる。全ての手法において動物は、ポリクローナル抗体の調製について前記したように蛋白質(またはそのペプチド)のような抗原で免疫化する。免疫化は、典型的には、免疫学的に有効な量、すなわち、免疫応答を生じさせるのに十分な量の免疫原を免疫学的にコンピテントな哺乳動物に投与することによって達成される。好ましくは、哺乳動物はウサギ、ラットまたはマウスのようなげっ歯類である。次いで、哺乳動物を該哺乳動物にとって記載された高親和性抗体分子を生じさせるのに十分な期間、ブースタースケジュールに維持する。抗体−生産細胞の懸濁液は、所望の抗体を分泌する各免疫化哺乳動物から取り出す。高親和性抗体を生じさせるのに十分な時間の後、動物(例えば、マウス)を犠牲にし、抗体−生産リンパ球はリンパ節、脾臓および末梢血液の1以上から得られる。脾臓細胞は好ましく、当業者によく知られた方法を用いて、生理学的媒体中で個々の細胞に機械的に分離することができる。抗体−生産細胞は、マウスミエローマ系の細胞への融合によって不滅化される。マウスリンパ球はマウス相同ミエローマとの安定な融合の高いパーセンテージを与えるが、ラット、ウサギおよびカエル体細胞を用いることもできる。所望の抗体−生産動物の脾臓細胞は、一般には、ポリエチレングリコールのような融合剤の存在下でミエローマ細胞と融合させることによって不滅化させる。融合パートナーとして適した多数のミエローマ細胞株のいずれも、標準的な技術で用いられる。例えば、American Type Culture Collection(ATCC) Rockville,Mdから入手可能なP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14ミエローマ系。
【0111】
モノクローナル抗体は組換えDNA技術の分野における当業者によく知られた他の方法によって作製することもできる。「コンビナトーリアル抗体ディスプレイ」方法と言われる代替方法が、特定の抗原特異性を有する抗体断片を同定し、単離するために開発されており、モノクローナル抗体を生産するのに利用することができる。
【0112】
ポリクローナル抗体は、特異的な与えられた抗原を認識する抗体分子の混合物であり、よって、ポリクローナル抗体は該抗原内の異なるエピトープを認識することができる。一般には、ポリクローナル抗体は、先に抗原で免疫化されている哺乳動物の血清から生成される。ポリクローナル抗体は、例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,By Ed HarlowおよびDavid Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988に記載された方法のいずれかによって調製することができる。ポリクローナル抗体は、いずれかの適当な哺乳動物種から、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギおよびヒツジから由来することができる。
【0113】
(特異性)
結合メンバーはニューモリシンに対して一特異的であってよく、ここに、ニューモリシンに対する特異性が結合メンバーがニューモリシンと免疫反応することを意味する。もう1つの具体例において、結合メンバーは、ニューモリシンに対して特異的である少なくともひとつの部分を有して、二重特異的または多重特異的である。
【0114】
(一価抗体)
該一特異的結合メンバーは、一特異的であってよく、すなわち、ただ1つの結合ドメインを有する。
【0115】
一価抗体では、免疫グロブリン定常ドメインアミノ酸残基配列は、CH1、CH2、CH3およびCH4のような当該分野で知られた抗体分子の構造部分を含む。好ましいのは、CLのような当該分野で知られた結合メンバーである。好ましいCLポリペプチドはCカッパおよびCラムダよりなる群から選択される。
【0116】
さらに、定常ドメインが重鎖または軽鎖定常ドメイン(各々、CHまたはCL)いずれかで有り得る限り、種々の一価結合メンバー組成物が本発明で考えられる。例えば、軽鎖定常ドメインは、もう1つの軽鎖定常ドメインに、または重鎖定常ドメインにジスルフィドブリッジすることができる。対照的に、重鎖定常ドメインは2つの独立したジスルフィドブリッジを形成することができ、もう1つの重鎖および軽鎖双方に対するブリッジングの確立を可能とし、または重鎖のポリマーを形成するのを可能とする。
【0117】
かくして、もう1つの具体例において、本発明では、一価ポリペプチドを含む組成物が考えられ、ここに、定常鎖ドメインCは少なくとも1つのジスルフィドブリッジを形成することができるシステイン残基を有し、ここに、組成物は該ジスルフィドブリッジによって共有結合連結された少なくとも2つの一価ポリペプチドを含む。
【0118】
好ましい具体例において、定常鎖ドメインCはCLまたはCHいずれかであり得る。CがCLである場合、CLポリペプチドは好ましくは、CカッパおよびCラムダよりなる群から選択される。
【0119】
もう1つの具体例において、本発明では、当該組成物はジスルフィドブリッジによって共有結合により連結された2つの一価ポリペプチドを含有するように、Cがジスルフィドブリッジを形成することができるシステイン残基を有するCLである以外は、前記した一価ポリペプチドを含む結合メンバー組成物が考えられる。
【0120】
(多価)
本発明のもう1つの具体例において、結合メンバーは少なくとも2つの結合ドメインヲ有する多価結合メンバーである。結合ドメインは、同一リガンドに対する、または異なるリガンドに対する特異性を有することができる。
【0121】
(二特異性を含めた多特異性)
好ましい具体例において、本発明は、少なくとも2つの異なる存在に対して特異性を有し、該存在に結合することができる。多重特異的結合メンバーに関する多重特異的結合メンバーは二重特異的結合メンバーを含むことができる。
【0122】
1つの具体例において、多重特異的分子は、その各々1つが抗体起源である少なくとも2つの異なる結合ドメインを運ぶ二重特異的抗体(BsAb)である。
【0123】
本発明の二重特異的分子は、単一鎖二重特異的抗体、1つの単一鎖抗体および結合ドメインを含む単一鎖二重特異的分子、または2つの結合ドメインを含む単一鎖二重特異的分子のような単一鎖二重特異的分子でもあり得る。多重特異的分子は単一鎖分子でもあり得るか、少なくとも2つの単一鎖分子を含む事ができる。
【0124】
二重特異的を含めた多重特異的抗体は当業者に知られたいずれかの適当な方法によって生産することができる。
【0125】
二重特異的全抗体を作り出すためのアプローチは各々が所望の特異性を有する抗体を生産する2つのハイブリドーマ細胞株を融合することであった。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダム会合のため、これらのハイブリッドハイブリドーマは、そのうちただ1つが二重特異的抗体である、10までの異なる重鎖および軽鎖組み合わせの混合物を生じる。従って、これらの二重特異的抗体は、面倒な手法で生成されなければならず、これは、所望の産物の収率をかなり減少させる。
【0126】
代替アプローチは、前記したように、ヒンジにおいて、または遺伝的に導入されたC−末端Cysを介して、システイン残基の化学的架橋による2つの抗原の特異性のイン・ビトロ連結を含む。そのようなイン・ビトロアセンブリーの改良は、Fab’と、ヘテロダイマーの形成を促進するペプチドとの組換え融合を用いることによって達成された。しかしながら、これらの方法における二重特異的産物の収率は100%よりもはるかに小さい。
【0127】
イン・ビトロ化学アセンブリー工程を含まない、二価または二重特異的抗体断片を生じさせるためのより効果的なアプローチはHolliger et al.(1993)によって記載された。このアプローチは、細菌から分泌されたscFv’がしばしばモノマーおよびダイマー双方として存在するという観察を利用する。該観察は、異なる鎖のVHおよびVLが対合することができ、かくして、ダイマーおよびより大きな複合体を形成することを示唆した。Hollinger et al.によって「ダイアボディー」と命名されたダイマー抗体断片は、事実、イン・ビボで組み立てられた小さな二価抗体断片である。2つの異なる抗体1および2のVHおよびVLを連結して、「クロス−オーバー」鎖VH 1VL 2およびVH 2−VL−1を形成することによって、ダイマー化プロセスは、双方の抗原−結合部位を再度組み立てることが示された。2つの結合部位の親和性は、出発scFv’と同等であり、あるいはVHおよびVLを共有結合連結させるポリペプチドリンカーを除去し、かくして、各々がVHと対合するのではなくVHに直接的にかつ共有結合連結したVHよりなる2つの蛋白質を生じさせた場合には、10倍さえ増加することが示された。2特異的抗体断片を生じさせるこの戦略もまたいくつかの特許出願において記載されている。特許出願WO 94/09131(SCOTGEN LTD;優先日1992年10月15日)は、結合ドメインが、2つの鎖に存在するか、あるいはscFvにおいて連結されたVHおよびVL領域双方に由来し、他方、他の融合した抗体ドメイン、例えば、C−末端定常ドメインを用いて、ダイマー構築体を安定化させる二重特異的結合蛋白質に関する。特許出願WO/94/13804(CAMBRIDGE ANTIBODY TECHNOLOGY/MEDICAL RESEARCH COUNCIL;最初の優先日1992年12月4日)は、相互に会合することができず、それにより、V−ドメインをリンカーで、またはそれなしで連結することができるVHおよびVLを含有するポリペプチドに関する。
【0128】
(特許出願WO 94/13806;DOW CHEMICAL CO;優先日1992年12月11日にも記載されている)Mallender and Voss,1994は、E.coliにおける単一鎖二重特異的抗体断片のイン・ビボ生産を報告した。二価蛋白質の二特異性は、一緒に、フレキシブルなポリペプチドリンカーによって遺伝子レベルで連結されている、区別される特異性を保有する2つの従前に生産された一価scFv分子に基づいた。伝統的には、単一鎖抗体断片をいう場合には常に、ポリペプチドリンカーの存在または不存在下において1つの(対応する)軽鎖に連結された1つの重鎖よりなる単一分子が意味される。「ダイアボディー」アプローチを通じて(Holliger et al.,(1993)および特許出願WO 94/09131)、あるいは「二重scFv」アプローチ(Mallender and Voss,1994および特許出願WO 94/13806)によって、二価または二重特異的抗体断片を作製する場合、再度、VHを(対応する)VLに連結させる。
【0129】
前記した多重特異的分子は多数の方法によって作製することができる。例えば、全ての特異性は同一ベクターにおいて高度し、同一宿主細胞において発現させ、組み立てることができる。この方法は、多重特異的分子がmAb × mAb、mAb × Fab、Fab × F(ab’)2またはリガンド× Fab融合蛋白質である場合に特に有用である。二価または多価抗体を調製するための種々の他の方法は、例えば、米国特許第5,260,203号;第5,455,030号;第4,881,175号;第5,132,405号;第5,091,513号;第5,476,786号;第5,013,653号;第5,258,498号;および第5,482,858号に記載されている。
【0130】
本発明による二重特異的または多重特異的結合メンバーを用いることによって本発明は、一特異的/一価結合メンバーと比較していくつかの利点を供する。
【0131】
二重特異的/多重特異的結合メンバーは、Streptococcus蛋白質、特にニューモリシンを特異的に認識し、それに結合することができる第一の結合ドメインを有し、他方、他の結合ドメインは他の目的で用いることができる。
【0132】
1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインを、第一の結合ドメインと比較して、同一のStreptococcus蛋白質上のもう1つのエピトープへの結合のような、Streptococcus蛋白質への結合で用いる。それにより、Streptococcus種に対する特異性は増加させることができ、ならびに結合メンバーの結合力を増加させることができる。
【0133】
もう1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインは、ヒト細胞のような哺乳動物細胞に特異的に結合させるために用いることができる。該少なくとも他の結合ドメインは白血球、マクロファージ、リンパ球、好塩基球および/または好酸球細胞のような免疫活性細胞に結合して、治療方法における結合メンバーの効果を増加させることができるのが好ましい。これは、少なくとも1つの他の結合ドメインが、クラスター分化蛋白質(CD)のいずれか、特に、CD64および/またはCD89から選択される蛋白質のようなヒト蛋白質のごとき哺乳動物蛋白質に特異的に結合することができることを確立することによって達成することができる。CD64特異性を有する二重特異的抗体を生産するための方法は、Medarex,Inc.に対する米国特許第6,071,517号に記載されている。
【0134】
本明細書中で用いる「エフェクター細胞」とは、白血球またはリンパ球である免疫細胞をいう。特異的エフェクター細胞は特異的Fc受容体を発現し、特異的免疫機能を行う。例えば、CD89受容体を発現する単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は標的細胞の特異的殺傷、および免疫系の他の成分への抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。
【0135】
(ヒト化抗体フレームワーク)
非−ヒト「外来性」エピトープは治療すべき個体において免疫応答を誘導し得るので、ヒト治療のために非−ヒト抗体を用いるのは常には望ましくない。非−ヒト抗体に関連する問題をなくし、または最小化するには、キメラ抗体誘導体、すなわち、非−ヒトFab可変領域結合決定基をヒト定常領域(Fc)と組み合わせる「ヒト化」抗体分子を作製するのが望ましい。そのような抗体は、前記したモノクローナルおよびポリクローナル抗体の同等な抗原特異性および親和性によって特徴付けられ、ヒトに投与した場合には免疫原性は低く、従って、治療すべき個体によってより許容されるようである。
【0136】
従って、1つの具体例において、結合メンバーは、ヒト化抗体とも呼ばれる。ヒト化抗体フレームワークに運ばれる結合ドメインを有する。
【0137】
ヒト化抗体は、一般には、ヒト抗体に由来する領域、およびげっ歯類抗体のような非−ヒト抗体に由来する領域を含むキメラ抗体である。(再形成またはCDR−グラフティングとも呼ばれる)ヒト化は、異種間源(通常はげっ歯類)からのモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低下させ、ヒト免疫グロブリンに対する相同性を増加させるための、およびヒト免疫系のその活性化を改良するためのよく確立された技術である。かくして、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基および、恐らくは、いくつかのフレームワーク残基がげっ歯類抗体における類似の部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0138】
ヒト化抗体は抗原に対する高い親和性、および他の好都合な生物学的特性を保有するのがさらに重要である。この目標を達成するには好ましい方法に従い、親およびヒト化配列の三次元モデルを用い、親配列および種々の概念的ヒト化産物の分析のプロセスによってヒト化抗体を分離する。三次元免疫グロブリンモデルは通常に入手でき、当業者は精通している。選択された候補免疫グロブリン配列の恐らくは三次元の立体配座構造を示し、それを表示するコンピュータープログラムが入手可能である。これらの表示を精査すると、候補免疫グロブリン配列の機能化におけるある種の残基のありそうな役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析を可能とする。このようにして、抗原結合に直接的かつ最も実質的に影響するのはCDR残基ではあるが、標的抗原に対する増大した親和性のような所望の抗体特徴が最大化されるように、FR残基を受容者から選択し、組み合わせ、配列を輸入することができる。
【0139】
MAbをヒト化する1つの方法は、1つの抗体の完全な可変ドメインを含む抗原結合部位が第2の抗体、好ましくはヒト抗体に由来する定常ドメインに融合したキメラ抗体の生産に関連するものであった。そのようなキメラ化手法を行うための方法は、例えば、EP−A−0 120 694(Celltech Limited)、EP−A−0 125 023(Genentech Inc.)、EP−A−0 171 496(Res.Dev.Corp.Japan)、EP−A−0173494(Stanford University)およびEP−A−0 194 276(Celltech Limited)に記載されている。抗体のヒト化のより複雑な形態は、非−ヒト抗体結合部位を構成するアミノ酸が、ヒト抗体可変領域のフレームワークに一体化させるような、可変領域ドメインの再設計を含む(Jones et al.,1986)。
【0140】
本発明のヒト化抗体は、ヒト抗体のCDRの少なくとも一部を、非−ヒト抗体から由来するCDRで置き換えることができるいずれの方法によって作製することもできる。Winterは、その内容をここに引用して例示的に援用する、本発明のヒト化抗体を調製するために用いることができる方法を記載する(1987年3月26日に出願された英国特許出願GB 2188638A)。ヒトCDRは、後の実施例に記載されるオリゴヌクレオチド部位特異的突然変異誘発を用いて非−ヒトCDRで置き換えることができる。
【0141】
その例として、本発明のヒト化抗体は、後に簡単な説明で記載するように作製することができる。本発明のヒト化抗体は以下のプロセス:
(a)慣用的にCDRおよび抗体結合特異性を保有するのに必要な可変ドメインフレームワークの領域のそのような最小部分が非−ヒト免疫グロブリンに由来し、かつ抗体鎖の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する抗体重鎖をコードするDNA配列を含むオペロンを含有する発現ベクターを構築し、それにより、本発明のベクターを製造し;
(b)慣用的技術によって、CDRおよびドナー抗体結合特異性を保有するのに必要な可変ドメインフレームワーク領域のそのような最小部分が非−ヒト免疫グロブリンに由来し、かつ抗体鎖の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する相補的抗体軽鎖をコードするDNA配列を持つオペロンを含有する発現ベクターを構築し、それにより、本発明のベクターを製造し;
(c)慣用的技術によって発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトして、本発明のトランスフェクトされた宿主細胞を生じさせ;次いで、
(d)慣用的技術によってトランスフェクトされた細胞を培養して、本発明のヒト化抗体を生じさせる;
ことによって、製造することができる。
【0142】
宿主細胞は本発明の2つのベクターで共トランスフェクトすることができ、第1のベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有し、第2のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有する。2つのベクターは異なる選択マーカーを含有するが、そうでなければ、抗体重鎖および軽鎖コーディング配列とは別に、好ましくは、同一であって、可能な限り、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等な発現を確実とする。別法として、単一のベクターを用いることができ、該ベクターは軽鎖および重鎖双方のポリペプチドをコードする配列を含む。軽鎖および重鎖についてのコーディング配列は、cDNAまたはゲノムDNA、あるいは双方を含むことができる。
【0143】
本発明の改変された抗体を発現させるのに用いる宿主細胞は、Echerichia coliのような細菌細胞、または真核生物細胞いずれかであり得る。特に、ミエローマ細胞またはチャイニーズハムスター卵巣細胞のようなこの目的用のよく規定されたタイプの哺乳動物細胞を用いることができる。
【0144】
本発明のベクターがそれによって構築できる一般的方法、本発明の宿主細胞を製造するのに必要なトランスフェクション方法、およびそのような宿主細胞から本発明の抗体を生産するのに必要な培養方法は全て慣用的な技術である。同様に、一旦製造されれば、本発明のヒト化抗体は、後に記載するような標準的な手法に従って精製することができる。
【0145】
(ヒト抗体フレームワーク)
より好ましい具体例において、本発明は結合メンバーに関し、ここに、結合ドメインはヒト抗体フレームワークによって行われ、すなわち、ここに、抗体はヒト化抗体よりも大きな程度のヒトペプチド配列を有する。
【0146】
ヒト蛋白質に対して向けられたヒトmAb抗体は、マウス系よりはむしろ完全なヒト免疫系を運ぶトランスジェニックマウスを用いて生じさせることができる。注目する抗原で免疫化されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾臓細胞を用いて、ヒト蛋白質からのエピトープに対する特異的親和性を持つヒトmAbを分泌するハイブリドーマを生産する(例えば、Wood et al.,国際出願WO 91/00906、Kucherlapati et al.,PCT公開WO 91/10741;Lonberg et al.,国際出願WO 92/03918;Kay et al.,国際出願92/03917;Lonberg,N.et al.,1994 Nature 368:856−859;Green,L.L.et al.1994 Nature Genet.7:13−21;Morrison,S.L.et al.1994 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855;Bruggeman et al.,1993 Year Immunol 7:33−40;Tuaillon et al.,1993 PNAS 90:3720−3724;Bruggeman et al.,1991 Eur J Immunol 21:1323−1326参照)。
【0147】
そのようなトランスジェニックマウスはAbgenix,Inc.,Fremont,Calif.,およびMedarex,Inc.,Annandale,N.J.から入手可能である。キメラおよび生殖系突然変異体マウスにおける抗体重鎖連結領域(IH)遺伝子のホモ接合性欠失の結果、内因性抗体生産の完全な阻害がもたらされると記載されている。そのような生殖系突然変異体マウスへのヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入の結果、抗原攻撃に際してヒト抗体が生産されるであろう。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);およびDuchosal et al.,Nature 355:258(1992)参照。ヒト抗体はファージ−ディスプレイライブラリーに由来することもできる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991);Vaughan,et al.,Nature Biotech 14:309(1996))。
【0148】
(断片)
本発明の1つの具体例において、結合メンバーは抗体の断片、好ましくは、抗原結合断片または可変領域である。本発明で有用な抗体断片の例はFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片を含む。抗体のパパイン消化は、各々が単一抗原結合部位、および容易に結晶化するその能力のためのいわゆる残りの「Fc」断片を持つ、Fab断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生じさせる。ペプシン処理は、抗原を架橋させることができる2つの抗原結合断片、および(pFc’といわれる)残りの他の断片を有するF(ab’)2断片を生じる。さらなる断片はダイアボディー、線状抗体、単一鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異的抗体を含むことができる。
【0149】
抗体断片Fab、FvおよびscFvは、抗体断片が単一の抗原−結合部位のみを運ぶ点で全抗体と異なる。2つの結合部位を持つ組換え断片は、例えば、FvのVHのC−末端に(Cumber et al,1992)、あるいはscFvのVLのC−末端に)(Pack and Pluckthun,1992)導入されたシステイン残基の化学的架橋によって、あるいはFab’のヒンジシステイン残基を通じて(Carter et al.,1992)いくつかの方法で作製されてきた。
【0150】
好ましい抗体断片は、その抗原または受容体と選択的に結合する抗体のいくらかまたは実施的に全ての能力を保有する。いくつかの好ましい断片を以下に定義する:
(1)Fabは、抗体分子の一価抗原−結合断片を含む断片である。Fab断片は酵素パパインでの全抗体の消化によって生じさせて、無傷軽鎖および1つの重鎖の一部を得ることができる。
【0151】
(2)Fab’は抗体分子の断片であって、全抗体をペプシンで消化し、続いて還元して、無傷軽鎖および重鎖の一部を生じさせることによって得ることができる。2つのFab’断片が抗体分子当たり得られる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含めた重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端における少数の残基の添加によってFab断片とは異なる。
【0152】
(3)(Fab’)2は、全抗体を引き続いての還元なくして酵素ペプシンで処理することによって得ることができる抗体の断片である。F(ab’)2は、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持された2つのFab’断片のダイマーである。
【0153】
(4)Fvは完全な抗原認識および結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの密な非−共有結合会合したダイマーよりなる(VH−VLダイマー)。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VLダイマーの表面の抗原結合部位を規定するのはこの立体配置においてである。集合的に、6つのCDRは抗原結合特異性を抗体に付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも低い親和性においてであるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0154】
本発明の1つの具体例において、抗体は、遺伝子的に融合した単一鎖分子としての適当なポリペプチドリンカーによって連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含有する遺伝子工学により作製された分子と定義される、単一鎖抗体(「SCA」)である。そのような単一鎖抗体は、「単一−鎖Fv」または「sFv」抗体断片とも言われる。一般に、Fvポリペプチドは、さらに、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能とするVHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含む。
【0155】
本発明による抗体断片は、当業者に知られたいずれかの適当な方法で製造することができる。いくつかの微生物発現系が既に活性な抗体断片を製造するために開発されており、例えば、E.coli(Better et al.,1988,Skerra and Pluckthun,1988,Carter et al.,1992)、酵母(Horwitz et al.,1988)、およびフィラメント状真菌Trichoderma reesei(Nyyssonen et al.,1993)のような種々の宿主におけるFbの製造は記載されている。これらの代替系における組換え蛋白質の収率は比較的高くすることができるか(高細胞密度発酵においてE.coliのフェリプラズム空間に分泌されたFabについて1ないし2g/l;Carter et al.,1992参照)、あるいはファーメンタ中の酵母におけるFabについてより低いレベル、例えば、約0.1mg/l、およびファーメンタ中のTrichodermaでの融合蛋白質CBHI−Fabについての150mg/lおよびFabについての1mg/l(Nyyssonen et al.,1993)におけるものであり、そのような製造は、哺乳動物細胞(ハイブリドーマ、ミエローマ、CHO)における全抗体生産と比較して非常に安価である。
【0156】
断片はFab’としてまたはFv’sとして生産することができるが、加えて、VHおよびVLを、フレキシブルなポリペプチドリンカーによっていずれかの順序で遺伝子的に連結することが示されており、その組み合わせはscFvとして公知である。
【0157】
(単離された核酸分子/ベクター/宿主細胞)
1つの態様において、本発明は、前記定義の結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子に関する。1つの具体例において、核酸分子は軽鎖をコードし、もう1つの核酸は重鎖をコードする。2つの核酸分子は別々であってもよく、あるいはそれらは、所望により、リンカー配列によって離されていてもよい1つの核酸分子に融合することができる。特に、抗体断片に関しては、核酸分子は全結合メンバーをコードすることができるが、結合メンバーの設計に依存して、これはいくつかのより大きな結合メンバーに関連させることもできる。核酸分子は、好ましくは、DNA配列、より好ましくはその上流末端に、一旦核酸分子が宿主細胞に配置されれば結合メンバーの発現を促進する調節エレメントを含むDNA配列である。
【0158】
従って、1つの具体例において、本発明は:
i)実施例6のヌクレオチド配列から選択される配列を含むポリペプチド、
配列番号:3、4、12または13の群から選択される1以上のアミノ酸配列を含む結合メンバーをコードするポリヌクレオチド、
ii)ポリヌクレオチドi)によってコードされるポリペプチドの断片をコードするポリヌクレオチド、ここに、該断片は:
a)ii)の結合メンバーによってやはり認識される抗原を認識することができ、および/または
b)抗原に選択的に結合することができ、ここに、該抗原はii)の結合メンバーによってやはり選択的に結合され、および/または
c)配列番号:3、4、12または13のような所定の配列を含む結合ドメインとしてのニューモリシンに対する実質的に同様なまたはより高い結合親和性を有し、
iii)その相補的ストランドがストリンジェントな条件下でi)、ii)、iii)のいずれかにおいて規定されたポリヌクレオチドとハイブリダイズし、かつiii)で規定されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
iv)i)ないしiv)のいずれかにおいて規定されたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列に対して縮重したヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;
よりなる群から選択されるポリヌクレオチド、
およびそのようなポリヌクレオチドの相補的なストランドに関する。
【0159】
本発明は、さらに、核酸当たり1つのベクター、あるいは同一ベクターにおいて2以上の核酸いずれかの、前記定義の核酸分子を含むベクターに関する。該ベクターは、好ましくは、核酸分子によってコードされた抗体の発現を調節するヌクレオチド配列を含む。
【0160】
さらにもう1つの態様において、本発明は、前記定義の核酸分子を含む宿主細胞に関する。
【0161】
また、本発明は、前記定義の結合メンバーを発現するように作製された細胞株に関し、この細胞株は、例えば、ネズミリンパ球および不滅化細胞系のハイブリドーマである。該細胞株はいずれの適当な細胞株であってもよいが、細胞株P3が好ましい。もう1つの具体例において、CHO細胞株が好ましい。
【0162】
(結合メンバーの精製)
生産の後、本発明による結合メンバーが好ましくは精製される。用いる精製方法は必要な順序、抗体の源、抗体についての意図した使用、抗体が生産される種、抗体のクラスおよび、抗体がモノクローナル抗体である場合は、抗体のサブクラスを含めたいくつかの因子に依存する。
【0163】
抗体を含むポリペプチドを精製するいずれかの適当な慣用的方法は沈殿およびカラムクロマトグラフィーを含み、精製分野における当業者によく知られており、クロス−フロー濾過、硫酸アルミニウム沈殿、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを用いることができる。
【0164】
抗−免疫グロブリン抗体で抗体を精製する方法は、単一精製手法または順次の精製手法いずれかであり得る。単一および順次の精製方法は精製分野における当業者によく知られている。単一−工程精製手法において、抗体は、単一の抗−免疫グロブリン抗体によって特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合した分子は特異的に溶出される。順次の精製手法においては、抗体は第一の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合し、非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合した分子は特異的に溶出される。次いで、第一の抗−免疫グロブリン抗体からの溶出物は第二の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去され、特異的に結合された分子は特異的に溶出される。好ましい具体例において、抗体は、重鎖および軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。
【0165】
精製の通常使用される方法はアフィニティークロマトグラフィであり、そこでは、精製すべき抗体をプロテインA、プロテインGによって、または抗−免疫グロブリン抗体によって結合させる。当業者によく知られたアフィニティークロマトグラフィのもう1つの方法は、その各抗原への抗体の特異的結合である。
【0166】
特に、二重特異的抗体を含めた多重特異的抗体を精製するためには、順次の精製手法を用いることができ、ここに、2以上の可変ドメインを含む二重特異的抗体を第一の抗原に特異的に結合させ、次いで、第二の抗原に特異的に結合させる。
【0167】
別の具体例において、2以上の可変領域を含む二重特異的抗体は、第一の精製工程において第一の抗原に、および第二の精製工程において第二の抗原に抗体を特異的に結合させることによる順次の精製によって精製される。
【0168】
抗−免疫グロブリン抗体で抗体を精製する方法は、単一精製手法または順次の精製手法いずれかであり得る。単一および順次精製の方法は精製分野における当業者によく知られている。単一−工程精製手法において、抗体は単一の抗−免疫グロブリン抗体によって特異的に結合される。非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子を特異的に溶出させる。順次の精製手法においては、抗体を第一の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合させ、非−特異的に結合した分子は洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子は特異的に溶出させる。次いで、第一の抗−免疫グロブリン抗体からの溶出物を第二の抗−免疫グロブリン抗体に特異的に結合させる。非−特異的に結合した分子を洗浄工程で除去し、特異的に結合した分子を特異的に溶出させる。好ましい具体例において、抗体は、重鎖および軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。より好ましい具体例において、抗体は、IgGの重鎖定常領域およびカッパおよびラムダの軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される第一および第二の抗−免疫グロブリン抗体によって順次に精製される。なおより好ましい具体例において、抗−免疫グロブリン抗体は、カッパおよびラムダの軽鎖定常領域に特異的に結合する抗体よりなる群から選択される。
【0169】
(診断方法)
また、本発明は、生物学的試料中のStreptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeの存在についてアッセイするための好ましくはキット形態である診断システムも記載し、ここに、本明細書中に記載する診断方法に従って試料中の細菌の存在および、好ましくは、量を検出するのが望ましい。
【0170】
診断システムは、少なくとも1つのアッセイを行うのに十分な量にて、好ましくは、別々にパッケージされた試薬としての本発明による結合メンバー組成物、およびより好ましくは使用のための指示書も含む。
【0171】
生物学的試料は組織、組織抽出物、流体試料あるいは血液、血漿または血清のような体液試料であり得る。
【0172】
パッケージされたとは、本発明の結合メンバーを固定された制限内に保持することができるガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリカルボネート)、紙、ホイルなどのような固体マトリックスまたは材料の使用をいう。かくして、例えば、パッケージは、考えられる標識された結合メンバー調製のミリグラム量を含有するのに用いることができるガラスバイアルであり得、あるいはそれは、考えられる結合メンバーのマイクログラム量が固定された、すなわち、連結されて、リガンドに結合されるのが可能とされているマイクロタイタープレートウェルであり得る。
【0173】
「用いるための指示書」は、典型的には、混合すべき試薬および試料の相対的量、試薬/試料混合のための維持時間、温度、緩衝液条件等のような試薬濃度または少なくとも1つのアッセイ方法パラメーターを記載する触知できる表現を含む。
【0174】
本発明の診断システムは、好ましくは、予め選択されたリガンドと複合体化された結合メンバーを含有する結合反応複合体の形成をシグナリングすることができる標識または指示手段も含む。
【0175】
いずれの標識または指示手段も、診断方法で用いられる表現されたポリペプチドまたはファージ粒子に連結し、または一体化させることができる。そのような標識は、それ自体、臨床診断化学においてよく知られている。
【0176】
標識手段は、それらを変性して、有用な免疫蛍光トレーサーであるフルオロクローム(色素)を形成することなく、抗体または抗原に化学的に結合する蛍光標識剤であり得る。適当な蛍光標識剤はフルオレセインイソシアネート(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、塩化5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニル(DANSC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リサミン、ローダミン8200塩化スルホニル(RB 200 SC)等である。免疫蛍光分析技術の記載は、ここに引用して援用する、DeLuca,“Immunofluoresence Analysis”,in Antibody As a Tool, Marchalonis,et al.,eds.,John Wiley Sons,Ltd.,pp.189−231(1982)に見出される。
【0177】
好ましい具体例において、指示基はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、グルコースオキシダーゼ等のような酵素である。主な指示基がHRPまたはグルコースオキシダーゼのような酵素であるそのような場合、受容体−リガンド複合体(免疫反応体)が形成されたという事実を可視化するのにさらなる試薬が必要である。HRPのためのそのようなさらなる試薬は過酸化水素、およびジアミノベンチジンのような酸化色素前駆体を含む。グルコースオキシダーゼで有用なさらなる試薬は2,2’−アミノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)(ABTS)である。
【0178】
放射性元素もまた有用な標識剤であって、本明細書中において説明されるように用いられる。例示的な放射性標識剤は、ガンマ線放射を生じる放射性元素である。124I.125I、128I、132Iおよび51Crのようなそれ自体がガンマ線を放射する元素は、ガンマ線放射を生じる放射性元素指示グループの1つのクラスを表す。特に好ましいのは125Iである。有用な標識手段のもう1つのグループは、それ自体が陽子を放出する11C、18F、15Oおよび13Nのような元素である。そのように放出された陽子は、動物の身体に存在する電子との遭遇に際してガンマ線を生じる。また、有用なのは111インジウムまたは3Hのようなベータ放射体である。
【0179】
標識の連結、すなわち、ポリペプチドおよび蛋白質またはファージの標識は当該分野で良く知られている。例えば、蛋白質は、培養基における成分として供される放射性同位体−含有アミノ酸の代謝的取り込みによって標識することができる。例えば、Galfre et al.,Meth.Enzymol.,73:3−46(1981)参照。活性化された官能基を通じての蛋白質コンジュゲーションまたはカップリングの技術は特に適用できる。例えば、Aurameas,et al.,Scand.J.Immunol.,Vol.8 Suppl.7:7−23(1978),Rodwell et al.,Biotech.,3:889−894(1984),および米国特許第4,493,795号参照。
【0180】
診断システムは、好ましくは別々のパッケージとしての特異的結合剤を含むこともできる。「特異的結合剤」は、本発明の結合メンバー種に選択的に結合することができる分子体、またはそのような種を含有する複合体であるが、それ自体は、本発明の結合メンバーではない。例示的な特異的結合剤は抗体分子、補体蛋白質またはその断片、S.aureusプロテインA等である。好ましくは、特異的結合剤は、その種が複合体の一部として存在する場合、結合メンバー種に結合する。
【0181】
好ましい具体例において、特異的結合剤を標識する。しかしながら、診断システムが標識されない特異的結合剤を含む場合、該剤は、典型的には、増幅手段または試薬として用いる。これらの具体例において、標識された特異的結合剤は、増幅手段を試薬種−含有複合体に結合させる場合に、増幅手段に特異的に結合することができる。
【0182】
本発明の診断キットは「ELISA」フォーマットで用いて、流体試料中の予め選択されたリガンドの量を検出することができる。「ELISA」とは、固相に結合した抗体または抗原、および酵素−抗原または酵素−抗体コンジュゲートを使用して、試料に存在する抗原の量を検出し、定量し、かつ本発明の方法に容易に適用することができる酵素結合免疫吸着検定法をいう。
【0183】
かくして、いくつかの具体例において、本発明の結合メンバーを固体マトリックスに固定して、主題の診断システムにおけるパッケージを含む固体支持体を形成することができる。
【0184】
試薬は、典型的には、水性媒体からの吸着によって固体マトリックスに固定されるが、蛋白質およびポリペプチドに適用できる他の固定方法を用いることができ、それは当業者によく知られている。例示的な吸着方法は本明細書中に記載する。
【0185】
有用な固体マトリックスも当該分野で良く知られている。そのような材料は水不溶性であって、Pharmacia Fine Chemicals (Piscataway,N.J.)からの商標SETHADEX下で入手可能な架橋されたデキストラン;アガロース;North Chicago,III.のAbbott Laboratoriesから入手可能な直径が約1ミクロンないし約5ミリメートルであるポリスチレンビーズのビーズ;シート、ストリップまたはパドルのような塩化ポリビニル、ポリスチレン、架橋されたポリアクリルアミド、ニトロセルロース−またはナイロン−ベースのウェブ;またはポリスチレンまたはポリ塩化ビニルから作製されたもののようなマイクロタイタープレートのチューブ、プレートまたはウェルを含む。
【0186】
本明細書中に記載されたいずれの診断システムの結合メンバー種、標識された特異的結合剤または増幅試薬も液体分散液として溶液中にて、あるいは例えば凍結乾燥形態の実質的に乾燥された粉末として供することができる。指示手段が酵素である場合、酵素の基質もシステムの別々のパッケージにて供することもできる。前記したマイクロタイタープレートおよび1以上の緩衝液のような固体支持体もまた、この診断アッセイシステムにおいて別々にパッケージされたエレメントとして含めることもできる。
【0187】
(診断方法)
また、本発明では、典型的には、生物学的試料中に存在するStreptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeの存在、好ましくは量を測定するための種々のアッセイ方法も考えられる。
【0188】
従って、本発明は:
−固体からの生物学的試料を供し、
−前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に加え、
−該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、疾患または障害を検出または診断する;
ことを含む、固体においてPneumococcusに関連する疾患または傷害を検出し、または診断する方法に関する。
【0189】
結合した結合メンバーは、試料中のStreptococcusの量に対して直接的または間接的に検出することができる。
【0190】
当業者であれば、本発明の結合試薬を用いて、その量が試料中のリガンドの量に関連する結合反応生成物を形成することができる多数のよく知られて臨床診断化学手法があることを理解するであろう。かくして、例示的なアッセイ方法を本明細書中に記載するが、本発明はそのように限定されるものではない。
【0191】
種々の不均一および均一プロトコルは、競合的であるかまたは非競合的であれ、本発明のアッセイ方法を行うのに使用することができる。
【0192】
結合条件は、受容体のリガンド−結合活性を維持するものである。それらの条件は、約4ないし50℃の温度範囲、約5ないし9のpH値、および蒸留水のそれから約1モラーの塩化ナトリウムのそれまで変化するイオン強度を含む。
【0193】
免疫学の分野においてよく知られているように、検出工程は複合体または結合試薬(複合体の受容体成分)いずれかに向けることができる。かくして、受容体に対して特異的な抗体のような二次結合試薬を利用することができる。
【0194】
別法として、複合体は、標識された受容体分子を用い、それにより、標識された複合体を作製することによって検出することができる。この場合における検出は、複合体に存在する標識を検出することを含む。
【0195】
さらなる診断方法は、本発明の1つの具体例の結合メンバー組成物の多価性を利用して、リガンドを架橋させ、それにより、複数のリガンドおよびポリペプチドの凝集を形成し、沈殿可能な凝集体を生じさせることができる。この具体例は、免疫沈澱のよく知られた方法に匹敵する。この具体例は、本発明の結合メンバー組成物と試料とを混合して、結合条件下で結合混合物を形成させる工程、続いての、形成された結合複合体を単離する分離工程を含む。典型的には、単離は、混合物から凝集体を除去するための遠心または濾過によって達成される。結合複合体の存在は、検出すべき予め選択されたリガンドの存在を示す。
【0196】
(医薬組成物)
好ましい態様において、本発明では、本明細書中に記載された治療方法を実施するのに有用な医薬組成物が考えられる。本発明の医薬組成物は、有効成分としてその中に溶解または分散された、本明細書中に記載された結合メンバーの少なくとも1つの種と共に生理学上許容される担体を含有する。好ましい具体例において、医薬組成物は、その目的が免疫応答を誘導することにあるのではなければ、治療目的でヒト個体に投与した場合には免疫原性ではない。
【0197】
1つの態様において、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物に関する。好ましい具体例において、医薬組成物は、前記定義の少なくとも2つの異なる結合メンバーを含んで、治療の効果を増加させる。
【0198】
本明細書中で用いるように、用語「医薬上許容される」、「生理学上許容される」およびその文法的変形は、組成物、担体、希釈剤および試薬をいい、相互交換的に使用され、物質が、嘔吐、めまい、胃の不調等のような望ましくない生理学的効果を生じさせることなくヒトに投与することができることを表す。
【0199】
その中に溶解されまたは分散された有効成分を含有する薬理学的組成物の調製は当該分野で良く理解されている。典型的には、そのような組成物は水性または非−水性の液状溶液または懸濁液いずれかとして滅菌注射剤として調製され;しかしながら、使用に先立って液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態を調製することもできる。該調製は乳化することもできる。
【0200】
有効成分は、医薬上許容され、有効成分に適合し、本明細書中に記載された治療方法で用いるのに適した量の賦形剤と混合することができる。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等およびその組合せである。加えて、所望であれば、組成物は、有効成分の有効性を高める湿潤または乳化剤、pH緩衝剤等のような補助的物質の少量を含有することができる。
【0201】
本発明の医薬組成物は、その中に成分の医薬上許容される塩を含むことができる。医薬上許容される塩は、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸とで形成される(ポリペプチドの遊離アミノ基とで形成される)酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基とで形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは第二鉄水酸化物のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基に由来することもできる。
【0202】
生理学上許容される担体は当該分野で良く知られている。液体担体の例は、有効成分および水以外に物質を含有しない滅菌水性溶液であり、あるいは生理学的pH値のリン酸ナトリウムのような緩衝液、リン酸−緩衝化生理食塩水のような生理食塩水または双方を含有する。なおさらに、水性担体は1を超える緩衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよびカリウム、デキストロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび他の溶質のような塩を含有することができる。
【0203】
液体組成物は水に加えて、および水を除いて、液体相を含むこともできる。そのようなさらなる液体相の例はグリセリン、綿実油のような植物油、オレイン酸エチルのような有機エステル、および水−油エマルジョンである。
【0204】
医薬組成物は、典型的には、合計医薬組成物の重量当たり少なくとも0.1重量パーセントの抗体の量の本発明の結合メンバーを含有する。重量パーセントは、合計組成物に対する抗体の重量比率である。かくして、例えば、0.1重量パーセントは100グラムの合計組成物当たり0.1グラムの抗体である。
【0205】
また、本発明は、前記定義の少なくとも1つの結合メンバーを生理学上許容される担体と混合することを特徴とする、本発明の抗体を含む医薬または医薬組成物を調製する方法に関し、該医薬は肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害の免疫療法で用いられる。
【0206】
さらに、本発明は、前記定義の結合メンバーの、肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害の治療用の医薬組成物の製造のための使用に関する。
【0207】
また、医薬組成物は、β−ラクタム、セファロスポリン、ペニシリンおよびアミノグリコシドから選択される抗生物質のような抗生物質剤をさらに含むキット−イン−パートであってもよく、および/またはサイトカイン、インターフェロン、成長因子、例えば、GCSFまたはGM−CSFのような免疫刺激剤を含むこともできる。該キット−イン−パートは同時、順次または別々の投与で用いることができる。
【0208】
さらに、医薬組成物は、特にワクチンとして、Streptococcus蛋白質ニューモリシンと組み合わされた本発明による結合メンバーを含むことができる。本発明による結合メンバーを蛋白質ニューモリシンと組み合わせることによって、組合せ産物の免疫特性は蛋白質ニューモリシン単独についてよりも良好であることが判明した。これは、蛋白質ニューモリシンが結合メンバーによって免疫系に提示されるという事実によるものであろう。
【0209】
もう1つの具体例において、本発明による抗体は、もう1つの抗−ニューモリシン抗体、例えば、非−溶血、抗−ニューモリシン抗体のような、Streptococcus pneumoniaeに対するもう1つの抗体と組み合わされる。
【0210】
本発明による抗体は、国際特許出願番号PCT/DK2004/000492に記載された抗−Psaa抗体であってもよい。
【0211】
(治療方法)
本発明による結合メンバーは、それらの高い親和性および特異性のため治療方法で特に有用である。従って、結合メンバーは、肺炎、髄膜炎および敗血症のような、Streptococcus、特にStreptococcus pneumoniaeに関連する疾患または障害に向けて免疫治療的に用いることができる。
【0212】
本発明の結合メンバーと組み合わせて本明細書中で用いられる用語「免疫治療的に」または「免疫療法」は、共に、予防的ならびに治療的投与を示す。かくして、結合メンバーを高いリスクの患者に投与して、疾患の尤度および/または重症度を低下させ、既に活性な感染の証拠がある患者に投与し、または感染危険性がある患者に投与することができる。
【0213】
本発明の結合メンバーの投与のための用量範囲は、疾患の兆候が軽減され、あるいは感染の尤度が減少する所望の効果を生じさせるのに十分大きいものである。一般に、用量は患者における年齢、状態、性別および疾患の程度と共に変化し、それは当業者によって決定され得る。用量は、いずれかの合併症の事象において個々の医師によって調整され得る。
【0214】
本発明の結合メンバーの治療上有効量は、典型的には、生理学的に許容できる組成物にて投与した場合に、ミリリットル(ml)当たり約0.1マイクログラム(μg)ないし約100μg/ml、好ましくは約1μg/mlないし約5μg/ml、通常約5μg/mlの血漿濃度を達成するのに十分なような、抗体の量である。別の言い方をすれば、用量は、1または数日の間の、毎日の1以上の用量当量において、約0.1mg/kgないし約300mg/kg、好ましくは約0.2mg/kgないし約200mg/kg、最も好ましくは約0.5mg/kgないし約20mg/kgで変化し得る。
【0215】
本発明の結合メンバーは、注射によって、または経時的な暫時の注入によって非経口投与することができる。感染は全身的であって、従って、最もしばしばは、医薬組成物の静脈内投与によって治療できるが、他の組織および送達手段が考えられ、そこでは、組織を標的化する結果、疾患が減少することをもたらす可能性がある。かくして、本発明の抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮のように非経口投与することができ、また、ペリスタ手段によって送達することができる。
【0216】
本発明の結合メンバーを含有する医薬組成物は、例えば、単位用量の注射によるように便宜には静脈内投与される。本発明の医薬組成物の関連で用いる場合、用語「単位用量」とは、対象に対する単位の用量として適当な物理的に区別されるユニットをいい、各ユニットは、必要な希釈剤;すなわち、担体またはビヒクルと組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性な物質を含有する。
【0217】
治療方法は、さらに、前記定義のキット−イン−パートの使用を含むことができる。
【0218】
(受動免疫保護)
結合メンバーは、受動免疫保護で特に有用であり得、それにより、結合メンバーはニューモリシンの作用を中和する。結合メンバーは、実施例1に記載されたアッセイで評価することができる。アッセイの結果、ニューモリシンに向けた結合メンバーの投与が、マウスにおけるS.pneumoniae感染に対する生存、かくして、受動免疫保護の誘導を延長できることを示す。
【0219】
(能動的免疫保護)
本発明の抗原性エピトープはワクチンとして用いて、ニューモリシンに対して向けられた哺乳動物における免疫学的応答を刺激することができ、哺乳動物は、例えば、マウス、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ等であり、好ましくは、ヒトである。そのような応答は、ニューモリシンの特異的抗体の誘導を含むことができる。本発明の抗原性エピトープに対して向けられた抗体は、前記したように、ニューモリシン機能を阻害することができ、免疫化は、さらに、S.pneumoniaeによって引き起こされた感染の予防的処置で用いることができる。
【0220】
(ニューモリシンペプチド)
ある態様において、本発明は、本発明による結合メンバーによって認識されるエピトープも含むニューモリシンペプチドに関する。好ましくは、ニューモリシンペプチド、断片、または変種は、好ましくは、配列番号:27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含む。本発明によるニューモリシンペプチドは、配列番号:11のアミノ酸1ないし436よりなるペプチドであり得る。さらに、配列番号:11のアミノ酸1ないし436よりなるニューモリシンペプチドの断片および変種がさらに含まれ、これは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸50ないし436、またはより好ましくはアミノ酸100ないし436を含む断片を含む。特別な具体例において、ニューモリシンペプチドは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸200ないし436または300ないし436を含む。ニューモリシンペプチドの変種またはホモログは、前記した結合メンバーに関連したホモログとして定義することができる。
【0221】
ニューモリシンペプチド、断片または変種は、好ましくは、27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含む。ニューモリシンペプチドは、80、60、40、30、25、20、15のような、あるいは12アミノ酸のようなせいぜい100のアミノ酸によって構成されるのが好ましい。ニューモリシンペプチドは15、20、25、30、40、60、80のような、あるいは少なくとも100アミノ酸のような少なくとも12のアミノ酸によって構成されるのがさらに好ましいであろう。
【0222】
特別な具体例において、ニューモリシンペプチド断片は配列番号:27、29、30、31または32によって識別される。
【0223】
ニューモリシンペプチドは、免疫系を刺激することができる抗原性エピトープとして用いることができる。
【0224】
(ワクチン組成物)
本発明によるワクチン組成物は、ヒトへの投与で好ましくは許容される、有効成分と1以上の医薬上許容される賦形剤または担体の混合物によるような公知の方法に従って処方することができる。そのような賦形剤、担体、および処方の方法の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton,PA)に見出すことができる。効果的な投与に適した医薬上許容される組成物を処方するためには、本発明によるそのような組成物は、有効量のニューモリシンペプチドまたはそのアナログを含有する。
【0225】
本発明によるワクチン組成物は、治療上有効量で個体に投与することができる。有効量は、個体の状態、体重、性別および年齢のような種々の因子によって変化し得る。他の因子は投与の形態を含む。
【0226】
以下において、ワクチン組成物は、免疫応答を刺激することを含めた、治療的使用で有用な組成物を含むことを意味する。
【0227】
ワクチンまたは免疫原性組成物を得るためには、ニューモリシンペプチドまたはアナログ因子を、アジュバント、免疫刺激成分および/または担体のような種々の物質と組み合わせることが必要であろう。アジュバントは、特異的な免疫応答を高めるためにワクチン組成物に含める。
【0228】
そのようなアジュバントは、当業者に知られたアジュバント効果を含むいずれの化合物であってもよい。例えば、そのようなアジュバントはミネラル、細菌、植物、合成または宿主起源のものであり得、あるいはそれらは水中油型エマルジョンであり得る。
【0229】
アジュバントは:AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)、シリカ、ミョウバン、Al(OH)3、Ca3(PO4)2、カオリン、炭素、水酸化アルミニウム、ムラミルジペプチド、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラミル−D−イソグルタミン(CGP11687、ノル−MDPともいう)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミミル−L−アラニン−2−(1’2’−ジパルミトイル−sn―グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTP−PEともいう)、2%スクワレン−Tween−80.RTM.エマルジョン中のRIBI(MPL+TDM+CWS)、脂質Aを含めたリポ多糖及びその種々の誘導体、フロイントの完全アジュバント(FCA)、フロイントの不完全アジュバント、Merckアジュバント65、ポリヌクレオチド(例えば、ポリICおよびポリAU酸)、MycobacteriumからのワックスD、結核菌、Corynebacterium parvum、Bordetella pertussisで見出される物質、および属Brucellaのメンバー、リポソームまたは他の脂質エマルジョン、Titermax、ISCOMS、Quil A、ALUN(US 58767および5,554,372参照)、脂質A誘導体、コレラトキシン誘導体、HSP誘導体、LPS誘導体、合成ペプチドマトリックスまたはGMDP、インターロイキン1およびインターロイキン2よりなる群から選択することができる。
【0230】
マウス、ラットおよびウサギのような、実験室動物での抗体の創製のために、非常に多数のアジュバントが記載されており、使用されてきた。そのような状況において、副作用の許容性は、主な目的が強い抗体応答を得ることにあるのでむしろ高い。
【0231】
使用のため、および医薬での使用での認可のために、ならびに特にヒトでの使用のために、アジュバントを含めたワクチン組成物の成分はよく特徴付けられていることが要求される。組成物は肉芽種、膿瘍または熱のようないずれかの有害反応の最小の危険性を有することがさらに必要とされる。
【0232】
好ましい具体例において、ワクチン組成物はヒト対象への投与に適しており、かくして、好ましいアジュバントはヒト対象への投与に適している。
【0233】
治療ワクチンで有用なアジュバントは水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムまたはカルシウムゲルのようなミネラル塩、MF59(ミクロ流動化洗剤安定化水中油型エマルジョン)、QS21(精製されたサポニン)、AS02(SBAS2、水中油型エマルジョン+モノホスホリル脂質A(MPL)+QS21)、モンタナイド(Montanide)ISA 51およびISA−720(安定化された油中水型エマルジョン)、(落花生油、マンナイドモノオレエートおよびモノステアリン酸アルミニウムを含有する;RIBI ImmunoChem Research Inc.,Hamilton,Utah)アジュバント65のような油エマルジョンおよび界面活性剤ベースの処方、ビロソーム(インフルエンザヘマグロチニンを一体化させるユニラメラリポソームビヒクル)のような粒状アジュバント、AS04(MPLを含むAl塩)、ISCOMSサポニンおよび(コレステロールのような)脂質の構造複合体、ポリアクチドコ−グリコリド(PLG)、モノホスホリル脂質A(MPL)のような微生物誘導体(天然および合成)、Detox(MPL+M.Phlei細胞壁骨格)、AGP(RC−529(合成アシル化単糖))、DC chol(リポソームへ自己組織化することができるリポニダル免疫刺激体)、OM−174(脂質A誘導体)、CpGモチーフ(免疫刺激性CpGモチーフを含有する合成オリゴ糖)、非毒性アジュバント効果を持つ修飾された細菌トキシン、LTおよびCT、内因性ヒト免疫モジュレーター、例えば、hGM−CSFまたはhlL−12またはImmudaptin(C3dタンデムアレイ)、金粒子のような不活性ビヒクルであり得る。
【0234】
いくつかの具体例において、ワクチン組成物は、さらに、1以上のさらなる免疫刺激成分を含むことができる。それらは、限定されるものではないが、ムラミルジペプチド(MDP);例えば、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ala−MDP)、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP11637、ノルMDP)およびN−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP19835A、MTO−PE)、ジメチルグリシン、タフトシン(tuftsin)、およびトレハロースジムコレート.モノホスホリル−脂質A(MPL)、およびN−ホルミル−Met−Leu−Pheのようなホルミル−メチオニン含有トリペプチドを含む。そのような化合物は、例えば、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO)およびRIBI ImmunoChem Research,Inc.(Hamilton,MT)から商業的に入手可能である。
【0235】
担体はアジュバントと独立して存在させることができる。担体の機能は、例えば、特にスルビビン断片の分子量を増加させて、それらの活性または免疫原性を増加させ、安定性を付与し、生物学的活性を増加させ、あるいは血清中半減期を増加させることができる。担体は当業者に知られたいずれの適当な担体であってもよい。担体蛋白質は限定されるものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミンのような血清蛋白質、チログロブリンまたはオボアルブミン、免疫グロブリン、インスリンのようなホルモン、あるいはパルミチン酸であり得る。ヒトの免疫化では、担体はヒトに許容される生理学上許容される担体であって、安全でなければならない。しかしながら、破傷風トキソイドおよび/またはジフテリアトキソイドは本発明の1つの具体例において適当な担体である。別法として、担体はデキストラン、例えば、セファロースであり得る。
【0236】
ある具体例において、ワクチン組成物は、配列番号:27、28、29、30、31または32によって識別されるアミノ酸配列を含むニューモリシンペプチドを含む。配列番号:29、30または31によって識別されるアミノ酸配列を含むペプチドを含むワクチンが好ましい。特に好ましいのは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンの400ないし436、422ないし436または425ないし436のアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0237】
ニューモリシンペプチドは80、60、40、20、15、12、10、8アミノ酸のような、あるいは6アミノ酸のようなせいぜい100アミノ酸によって構成されるのが好ましい。ニューモリシンペプチドは8、10、12、15、20、25、30、40、60、80アミノ酸のような、あるいは少なくとも100アミノ酸のような少なくとも6アミノ酸によって構成されるのがさらに好ましいであろう。ある具体例において、ワクチン組成物は、配列番号:27、28、27、30、31、32、33、34,35または36によって識別される少なくとも1つのニューモリシンペプチドを含む。配列番号:28、29、30または31によって識別されるペプチドを含むワクチンは好ましい。特に好ましいのは、配列番号:11によって識別されるニューモリシンのAA 423ないし438、424ないし437、425ないし436または426ないし436として確認されるアミノ酸配列を含むペプチドである。
【0238】
免疫応答を刺激することができるワクチン組成物が好ましい。ワクチン組成物は投与に際して抗体応答を誘導することができるのが特に重要である。最も好ましいのは、ニューモリシンの溶解活性を阻害することができる抗体の生産を誘導することによって、ニューモリシン阻害応答を誘導することができるワクチンである。他の好ましい具体例は、ニューモリシンのファゴサイトーシスを高めることができる抗体を含む。そのような抗体は、本明細書中で記載する結合メンバーとしての可変領域を含むことによって特徴付けることができる。
【0239】
(図面の詳細な説明)
図1 Fab断片の模式図
VL、CDR1、CDR2、CDR3およびVH、CDR1、CDR2、CDR3から構成される抗原ポケットが示される。
【0240】
図2 配列番号:11を有するニューモリシンアミノ酸配列
Gene−bank no.X52474の配列に対応するニューモリシンのアミノ酸配列が示される。
【0241】
図3 抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント
図3Aは、抗体26−5F12.1の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。図3Bは、抗体26−23C 2.2の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。図3Cは、抗体22−1C11の可変軽鎖および重鎖ならびに相補性決定領域のコンセンサス配列を含む。該配列は実施例6に記載されたように得られる。
【0242】
図4 Pneumococcusおよび抗体と共にインキュベートされたマウスについての生存ダイアグラム
単独で、あるいはペニシリンおよび/またはニューモリシン抗体(26−5F12)と組み合わせてPneumococcus D39を注射したマウスの生存は、実施例1に記載するように接種から24時間後に評価した。
【0243】
図5 ニューモリシン抗体の抗溶血活性
ニューモリシン抗体の抗−溶血活性は、実施例3に記載するように、赤血球のニューモリシン媒介溶解に対する阻害効果を評価することによって分析した。3つの抗体(26−5F12、26−23C 2および22−6E6)は特に効果的である。
【0244】
図6 エピトープマッピング用のペプチド
ニューモリシンのアミノ酸配列419ないし446、およびエピトープマッピング用の種々のペプチド配列の概観。
【0245】
図7 ニューモリシン抗体エピトープ
図7Aおよび図7Bは、抗体エピトープの同定に関する実施例7で記載したように得られた結果のグラフ表示である。
【0246】
図8 26−5F12クローンの単離
図8Aは、26−5F12ハイブリドーマ細胞から単離された全RNAを示す。該RNAは、重鎖および軽鎖可変領域のcDNA合成で用いた。PCR産物を図8Bに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図8C)。
【0247】
図9 26−23C2クローンの単離
図9Aは、26−23C2ハイブリドーマ細胞から単離された全RNAを示す。該RNAは、重鎖および軽鎖可変領域のcDNA合成で用いた。PCR産物を図9Bに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図9C)。
【0248】
図10 22 1C11クローンの単離
22 1C11ハイブリドーマ細胞から単離した全RNAを、重鎖および軽鎖可変領域をcDNA合成で用いた。PCR産物を図10BAに示す。クローニングの後、コロニーPCRを用いて陽性形質転換体を同定した(図10B)。
【0249】
図11 26−5F12、26−23C2および22 1C11のCDR配列
26−5F12、26−23 C2および22 1C11の軽鎖および重鎖CDRの配列を整列させる。26−5F12および26−23C2の重鎖はほとんど同一であり、他方、22 1C11重鎖のCDR2およびCDR3は6−5F12および26−23C2の配列から発散する。
【実施例】
【0250】
以下の実施例により、本発明をさらに説明し;実施例は本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0251】
(実施例1)
Pneumococcus D39(タイプ2)を接種したトランスジェニックメスマウスの生存に対する抗体およびペニシリンの効果の実験。
【0252】
(材料)
・82トランスジェニック雌マウス(M−Bプロジェクト番号#249、プロジェクト名称CD64、約8ないし12週齢)
・0.9%生理食塩水(AAS)
・PBS pH7.4
・シリンジ
・針
・5%血液プレート
・濾過されたウシブロス
・溶媒 ADペニシリン
・ペニシリン100万IU(Loven D6726)、10mg/マウスないし40mg/ml
株:Pneumococcus D39(タイプ2)(F1/S1/AE2)
抗体:
PdB26−5F12.1、1.0mg/ml 040520
OmpA6−4B6.1、1.38mg/ml。
【0253】
(方法)
時間−24:Pneumococcus株を3×5%血液プレートに接種し、35℃/CO2で一晩インキュベートする。
【0254】
時間0:Pneumococcus株を濾過されたブロス中で108CFU/ml(cf.MU/F074−01)までスラリー化し、2×105CFU/mlまで希釈する(59.88mlのPBS中120μl 108CFU/ml)。
抗体を200μg/mlまで希釈する:
3.00mlのPdB26−5F12.1+12.00mlのPBS
2.17mlのOmpA6−4B6.1+12.83mlのPBS
マウスを細菌(0.5ml腹腔内)および抗体(0.5ml腹腔内)で処理する。
【0255】
時間18:ペニシリン:1アンプルを3ml溶媒中に希釈し、ペニシリン〜200mg/mlを加える;さらに希釈:3mlの「200mg/ml」+12.00mlの生理食塩水〜40mg/ml。
抗体を200μg/mlまで希釈する:
3.00mlのPdB26−5F12.1+12.00mlのPBS
2.17mlのOmpA6−4B6.1+12.83mlのPBS
マウスをペニシリン(0.25ml皮下)および抗体(0.5ml腹腔内)で処理する。
【0256】
時間48:ペニシリン:1アンプルを3ml溶媒中に希釈し、ペニシリン〜200mg/mlを加え;さらに希釈:3mlの「200mg/ml」+12.00mlの生理食塩水〜40mg/ml
マウスをペニシリン(0.25ml皮下)で処理する。
【0257】
【化2】
実験の期間の間の以下の日の朝および午後:マウスをスケールする1ないし4に従ってスコア取りする。
【0258】
【化3】
結果
マウスの生存を24時間に評価する。
26−5F12.1を用いて行った実験の結果を図4にまとめ、これは24時間における増大生存率を示す。
【0259】
(実施例2)
(培養上清からの抗体における抗−溶血特性の検出)
(記載)
ニューモリシンに対する抗体はニューモリシンの溶解効果を阻害することができる。溶解効果は血清の存在下でなくなり、それにより、抗体に結合し、抗−溶血アッセイを行う前に洗浄することによって血清を徐供することを必要とする。
【0260】
(デバイス)
インキュベーター37℃
ピペット
遠心機
ELISAリーダー、BIO−TEK EL 800
デジタルカメラ、Canon Powershot S20。
【0261】
(材料)
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260836−平底)
Reacti−結合プロテインG被覆マイクロウェルストリップ、Pierce番号15133。
【0262】
(試薬)
Rec.PdB、PBS w 10 mM DTT中に4μg/mlまで希釈
ジチオスレイトール(DTT)
PBS、pH7.4
Dem.H2O
Alsever流体、SSI番号29431中ヒツジ赤血球50%
緩衝液:
PBS pH7.4
0.05%Tween20でPBS pH7.4。
【0263】
(対照)
キャッチング:
陰性:0.05%Tween20でPBS pH7.4
溶血:0.05%T ween20でPBS pH7.4
高い陽性:PBS中で10μg/mlに希釈されたPdB22−6E6
低い陽性:PBS中で2μg/mlまで希釈されたPdB22−6E6。
【0264】
(試料)
試料は1ないし5μg/mlであると予測された抗体濃度を持つ未希釈培養上清である。
【0265】
(手法)
ストリップをPBS/0.05%Tween中で3回洗浄する。
50μl/ウェルのPBS/0.05%Tw20、続いて50μl/ウェルの未希釈培養上清または50μl/ウェルの対照を添加する。
室温にて1時間インキュベートする。
「Tween20なしの」PBSで4回洗浄する。
50μlのPBSを各ウェルに加え、A1−B1を100μl/ウェル添加する。
組換えPdBを予め加熱されたPBS中で4μg/mlまで希釈し、10mL DTT(最終濃度)で37℃にて15分間活性化する。
A1−B1を除いて、50μl/ウェルの活性化されたPdBを加える。
37℃にて30分間インキュベートする。
ヒツジ赤血球をPBS中で3回洗浄し、PBS中に2%容量/容量まで再度懸濁させる。
50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間インキュベートする。
1000×gにおいて5分間プレートを遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を平底マイクロウェルに注意深く移し、405nmにおいてODを読む。
【0266】
【化4】
(実施例3)
ニューモリシンの溶解活性を阻害する抗体の能力の測定。
【0267】
(記載)
ニューモリシンに対する精製された抗体は、赤血球で観察される溶解効果を阻害することができ、これは、抗体のスクリーニングについての機能的アッセイを表す。
【0268】
(デバイス)
インキュベーター37℃
ピペット
遠心機
ELISAリーダー、BIO−PEK EL 800
デジタルカメラ、Canon Powershot S20。
【0269】
(材料)
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260170−U−形状)
96−ウェルマイクロウェルプレート(Nunc 260836−平底)。
【0270】
(試薬)
Rec.ニューモリシン(PLY)またはRec.ニューモリソイド(Pneuomolysoid)(PdB)
10μg/mlまで希釈されたPBS中PdBロット番号P011103 0.2mg/ml
ジチオスレイトール(DTT)
PBS、pH7.4
Dem.H2O
Alsever流体、SSI番号29431中のヒツジ赤血球50%
緩衝液:
PBS pH7.4
10mM DTTを含むPBS。
【0271】
(試料)
精製された抗体試料をPBS中に希釈する。
【0272】
(手法)
(溶血終点の測定)
これは、PLYまたはPdBの各新しいバッチにつき測定される。全ての試料は三連でなされる。対照は以下の通りである:
ブランク:100μlの緩衝液(0%溶血)
合計:100μlのDem.H2O(100%溶血)
PLY/PdBの希釈系列はPBS w.10mM DTT中で調製する:40−20−10−5−2、5−1、25−0、625−0、3125μg/ml。100μlを各ウェルに加え、37℃にて15分間インキュベートする。ヒツジ赤血球(50%)をPBS中に3回洗浄し、2%容量/容量まで戻す。50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間インキュベートする。1000×gにおいて5分間遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を平底マイクロウェルプレートに移し、405nmにおいて読む。90%溶血を与えるニューモリシンの濃縮を2回、阻害アッセイにおける標準濃縮として用いる。
【0273】
(阻害アッセイ)
全てのテストは二連にて丸底プレートで行う。
対照は以下の通りである:
ブランク=100μlのPBS
全溶血=100μlのdem.H2O
陰性=50μlのニューモリシン+50μlのPBS
ニューモリシン:20μl/ml=1μg/ウェルまで希釈されたPdB 031201、0.5mg/mlをプールする。
PLY/PdBを予熱したPBS中に希釈し、10mM DTT(最終濃度)で37℃にて15分間活性化する。
50μlの抗体希釈を各ウェルに加え、続いて、50μlの活性化されたPLY/PdBに加える。
プレートを37℃にて30分間インキュベートする。
ヒツジ血液をPBS中で3回洗浄し、2%容量/容量まで戻す。
50μlを各ウェルに加え、37℃にて30分間プレートをインキュベートする。
1000×gにおいて5分間遠心する。
プレートのデジタルイメージを得る。
100μlの上清を第ニの平底マイクロウェルプレート(プレート2)に移し、405nmにおいて読む(その例を表1に示す)。力価を、50%溶血を阻害する抗体の希釈として測定し、以下の表4に含める。
【0274】
(試料)
全ての精製された抗体はPBS中に500μl/mlまで希釈する。
S1= Ra−a−ニューモリシン
S2= OmpA17−10C7 031024
S3= 22−6E6.5 040224
S4= 26−5F12.1 040520
S5= 26−23C2.2 040319
S6= 26−18G8.2 040319
S7= 26−30H10.2 040319
S8= 28−10E7.2 040514
S9= 26−14G4 040305
S10= 13−2E12.1 031105
S11= 22−1C11.1 031211
【0275】
【化5】
試料1ないし11に関するデータをここに以下の表に示す。
【0276】
【化6】
表1 405nmにおけるOD
溶血の%は得られたデータ(表1)から得られ、これをここに以下の表に示す。
【0277】
【化7】
表2 %で表す溶血
阻害の%は得られたデータ(表2)から計算し、ここに以下の表3に示す。
【0278】
【化8】
表3 溶血の阻害の%
結果のグラフ表示を図5に示す。
【0279】
抗体の力価は前記したデータに基づいて測定し、ここに以下の表4にまとめる。
【0280】
【化9】
表4 選択された抗体の力価。
【0281】
(実施例4)
(抗−ニューモリシンHuMabのアフィニティー特徴付け)
結合力測定は、1つの濃度のmAbを抗原被覆表面に流すことによって行った。
【0282】
(方法および材料)
チップ上に被覆された材料:プロテイン−Gチップタイプ:CM5。2003年9月16日に調製されたチップ。
被覆密度:FC1 & 3=ブランク、FC2=6286 RU、FC4=6700RU
被覆条件:蛋白質の濃度=5μg/mL、希釈緩衝液:酢酸ナトリウム、pH=4.5
流す緩衝液:HBS=EP。
【0283】
(試薬)
抗体(精製):
1.4E8 0.94mg/mL
2.22−6E6 2.50mg/mL
3.26−23C2 3.40mg/mL
4.26−5F12 1.26mg/mL
5.22−1C11 5.80mg/mL
6.13−2E12 1.03mg/mL
7.10−3G7.2 1.10mg/mL
8.10−5G3.3 0.82mg/mL
9.10−14A5.2 0.91mg/mL
10.10−5G3.2 1.14mg/mL
抗原:0.6mg/mL、57kDa(全長w/ His−タグ)。
【0284】
(実験条件)
捕獲(Ab)濃度:20ug/mL濃度、200uL@50uL/分流速
会合時間:4分
解離時間:20分
チップの再生:17uLの50mM NaOH+75 NaCl@75uL/分流速の1つのパルス。
【0285】
(結果)
この実験からのアフィニティー見積もりおよび速度定数をここに以下の表1にリストする。会合および解離の最初の数秒は1:1ラングミュアーモデルに適合させて、アフィニティーおよび速度定数を得た。
【0286】
【化10】
表1 ニューモリシン抗体のアフィニティーおよび速度定数。
【0287】
(実施例5)
(抗−CD64×抗−ニューモリシン5−9A7二重特異的抗体の創製)
HuMAb、抗−CD64(88.53)、および抗−ニューモリシンの各々のF(ab’)2断片をペプシン消化によって作製し、Superdex200ゲル濾過クロマトグラフィーによって均一になるまで精製する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、F(ab’)2断片の双方は>95%純度である。
【0288】
該88.53のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な還元によって生じる。正確な還元条件は、小規模の実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、該88.53Fab’は>90%純度である。
【0289】
該88.53のFab’断片をG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離する。Fab’断片をジニトロチオベンゾエート(DTNB)と共にインキュベートして、Fab−TNBコンジュゲートを得る。
【0290】
抗−ニューモリシン抗体のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な還元によって生じさせる。正確な還元条件は、小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、Fab’は90%純度である。
【0291】
Fab’断片はG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離し、1:1モル比の88.53Fab−TNBと室温にて一晩混合する。
【0292】
Superdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって、二重特異的抗体を汚染Fab’分子から精製し、精製された分子をHPLCによって分析する。
【0293】
対照については、抗−CD64×抗−CD89二重特異的抗体を生じさせる。HuMAb、抗−CD64(88.53)、および抗−CD89(14A8)の各々のF(ab’)2断片はペプシン消化によって生じさせ、Superdex200ゲル濾過クロマトグラフィーによって均一になるまで精製する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、F(ab’)2断片の双方は>95%純度である。
【0294】
該88.53のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合間の温和な関係によって生じさせる。正確な還元条件は小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定する。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、該88.53Fab’は>90%純度である。
【0295】
該88.53のFab’断片は、G−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離する。Fab’断片はジニトロチオベンゾエート(DTNB) 16aおよび16bと共にインキュベートして、Fab−TNBコンジュゲートを得る。
【0296】
14A8のFab’断片は、メルカプトエタノールアミン(MEA)でのF(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合の間の温和な還元によって生じさせる。正確な還元条件は小規模な実験におけるコンジュゲーションに先立って決定される。サイズ排除HPLCを行い、このタイプの分析によると、14A8 Fab’は>95%純度である。
【0297】
14A8のFab’断片はG−25カラムクロマトグラフィーによって遊離MEAから分離し、1:1モル比の88.53Fab−TNBと室温にて一晩混合する。
【0298】
二重特異的抗体はSuperdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって汚染Fab’分子から精製し、精製された分子をHPLCによって分析する。88.53×14A8二重特異的抗体はほとんど均一となるまで精製する。
【0299】
(抗−CD64×抗−ニューモリシン二重特異的抗体の結合特異性の特徴付け−二重特異的ELISA)
1.ELISAプレートを組換えニューモリシン、50μl/ウェル、5μg/mlで被覆し、4℃にて一晩インキュベートする。
【0300】
2.プレートをPBS中の5%BSAでブロックする。
【0301】
3.二重特異的抗体の滴定をプレートに加える。対照は抗−CD64×抗−CD89二重特異的(対照二重特異的)、および抗−CD64 Ab、88.53または抗−ニューモリシンAbのF(ab’)2断片を含む。
【0302】
4.次いで、ヒトIgMのFc部分に連結された可溶性CD64よりなる融合蛋白質を含有する上清と共にプレートをインキュベートする。
【0303】
5.プレートを、最後に、アルカリ性ホスファターゼ標識ヤギ抗−ヒトIgM抗体と共にインキュベートする。陽性ウェルをアルカリ性ホスファターゼ基質で検出する。
【0304】
(抗−CD64×抗−ニューモリシン二重特異的抗体の結合特異性の特徴付け−ヒトCD64−トランスジェニックマウス上のCD64への結合)
血液は、CD64トランスジェニックマウスから、または非−トランスジェニック同腹子から採取し、30μg/mlの濃度の88.53×抗−ニューモリシン二重特異的抗体と共に室温にて30分間インキュベートする。
【0305】
血液を洗浄し、次いで、FITC−標識抗−ヒトIgG抗体と共に室温にて30分間インキュベートする。赤血球細胞を溶解させ、残存する白血球をフローサイトメトリーによって染色につき分析する。リンパ球、単球および好中球集団に対応する領域をゲートし、別々に分析する。
【0306】
ヒトCD64を、CD64トランスジェニックマウスの単球にて、および程度は低いが好中球にて発現させる。ヒトにおけるように、CD64はトランスジェニックマウスのリンパ球によって発現されない。二重特異的抗体はCD64トランスジェニック単球および好中球に結合するが、非−トランスジェニックマウスに由来するいずれの細胞集団にも結合しない。
【0307】
(実施例6)
(モノクローナル抗体の配列決定)
本発明による抗体をコードするDNAを、抗体26−5F12.1につき後に記載されるように配列決定する。
【0308】
全RNAはSTAT60試薬(BioGenesis)を用いてハイブリドーマ細胞から単離し、PCRにおける鋳型として用いるためにcDNAに変換した。アガロースゲル分析は、ペレットからの抽出されたRNAの高い収率を示した(図8A)。
【0309】
cDNAは該RNAから作製した。Amersham BiosciencesからのHeavyプライマーおよびLightプライマーミックスを用い、重鎖および軽鎖可変領域を増幅した。PCR産物をトリス−アセテート−EDTAアガロースゲルで分析した。cDNAでのこれらのプライマーを用いるPCRは、図8Bに示したバンドを与えた。
【0310】
PCR産物の直接的クローニングは貧弱な形質転換効率を与え、従って、PCR産物をゲル精製し、クローン化した。PCRにおいて陽性の試料を、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)におけるpCR4−TOPOベクターにクローン化した。
【0311】
精製されたVLおよびVH PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、コロニーPCRによって陽性形質転換体を測定した(図8C)。
【0312】
各鎖につき全ての陽性クローンを拾い出し(通常3)、順方向および逆方向配列決定プライマー双方で配列決定した。BigDye V3.1 DNA配列決定キット(Applied Biosystems)を用いるジデオキシ方法によってクローンを配列決定した。
【0313】
配列決定分析は、可変重鎖について5つの正しいクローンを同定し、モノクローナル抗体26−5F 12.1の可変軽鎖については7つ同定した。これらのクローンの各々についてのDNAおよび蛋白質配列を以下に示す。
モノクローナル抗体26−5F 12.1配列決定結果
【0314】
【化11】
【0315】
【化12】
【0316】
【化13】
【0317】
【化14】
【0318】
【化15】
【0319】
【化16】
【0320】
【化17】
26−5F 12.1の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Aに示し、ここに、CDRの配列も含める。
モノクローナル抗体26−23 C2.2配列決定分析
RNAを前記したように抽出し、高い収率を示す(図9A)。
【0321】
cDNAはRNAから作製した。VL領域を増幅するために調製した最初のPCR反応は成功しなかった。新しいプライマーを順序立てて、別々の反応にてVHおよびVLを増幅した。元来のcDNAでこれらのプライマーを用いるPCRにより、図9Bに示されるVHおよびVLバンドを与えた。
【0322】
精製されたVHおよびVL PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、陽性形質転換体をコロニーPCRによって測定した(図9C)。
【0323】
VHおよびVLクローンを拾い、配列決定した。5つのVHクローンおよび3つのVLクローンの配列をここに以下に示す。
モノクローナル抗体26−23 C2.2配列決定の結果
【0324】
【化18】
【0325】
【化19】
【0326】
【化20】
【0327】
【化21】
26−23 C2の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Bに示し、ここに、CDRの配列も含める。
モノクローナル抗体22 1C 11配列決定分析
cDNAはmRNAから作製した。モノクローナル抗体DNAのVHおよびVL領域を増幅するためのPCR反応は、図10Aに示されるバンドを与えた。
【0328】
精製されたVHおよびVL PCR産物を配列決定ベクターにクローン化し、コロニーPCRによって陽性形質転換体を測定した(図10B):
7つのVHおよび6つのVLクローンを各鎖につき拾い出し、順方向および逆方向配列決定プライマー双方で配列決定した。配列決定分析により、モノクローナル抗体22−1C11のVH鎖について5つの正しいクローンを同定した。
【0329】
VL配列決定は貧弱な品質のものであった。さらに6つのクローンを拾い出し、配列決定して、合計6つのクローンからのコンセンサス配列を得た。
【0330】
陽性VHおよびVLクローンについてのDNAおよび蛋白質配列を以下に示す。
モノクローナル抗体22−1C 11配列決定の結果
【0331】
【化22】
【0332】
【化23】
【0333】
【化24】
悪い品質の配列
【0334】
【化25】
【0335】
【化26】
【0336】
【化27】
22−1C 11の可変軽鎖および重鎖の配列を図3Cに示し、ここに、CDRの配列も含める。
【0337】
26−5F12、26−23 C2および22 1C 11のCDR配列の整列を図11に示す。
【0338】
(実施例7)
エピトープの局所化の同定
ニューモリシンの28アミノ酸残基を表す12アミノ酸のニューモリシンの合成ペプチド断片を生産する。該ペプチドは、少なくとも8つのアミノ酸残基を持つ隣接断片と重複する。ペプチドを図6に示す。断片への抗体結合を、ここに以下に示すように標準ELISAアッセイでテストする。用いる全てのペプチドはビオチニル化ペプチドである。
デバイス:
37におけるインキュベーター
ピペット
Elisaリーダー
材料:
チップ
試薬トレイ
プレートカバー
Reacti−結合ストレプトアビジンHBC被覆96−ウェルマイクロ−ウェルプレート(Pierce)
試薬:
ウサギ−α−ヒトIgG HRP(DAKO P0214)
OPD(o−フェニレンジアミン)
緩衝液:
洗浄および希釈緩衝液:0.05%Tween20を含むPBS
ブロッキング緩衝液:洗浄緩衝液に2%SMP(脱脂粉乳)を加える
対照
陰性:ブランク
陰性:PsaAペプチド9144 ビオチン−KDPNNKEFYEKNLKEYTDKLDKLDK−NH2、1mg/ml 040630
陽性:PLYペプチド10146 ビオチン−ECTGLAWEWWRT−OH、5mg/ml
ペプチド:
ペプチド ”GNT−01” ビオチン−RECTGLAWEWWR−OH, 5 mg/ml
ペプチド ”GNT−02” ビオチン−IRECTGLAWEWW−OH, 5 mg/ml
ペプチド ”GNT−03” ビオチン−KIRECTGLAWEW−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−04” ビオチン−VKIRECTGLAWE−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−05” ビオチン−SVKIRECTGLAW−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−06” ビオチン−LSVKIRECTGLA−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−061” ビオチン−NLSVKIRECTGL−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−062” ビオチン−RNLSVKIRECTG−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−07” ビオチン−CTGLAWEWWRTV−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−08” ビオチン−TGLAWEWWRTVY−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−09” ビオチン−GLAWEWWRTVYE−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−10” ビオチン−LAWEWWRTVYEK−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−13” ビオチン−EWWRTVYEKTDL−OH, 50 μg/ml
ペプチド ”GNT−14” ビオチン−WWRTVYEKTDLP−OH, 50 μg/ml
手法
被覆されたプレートをウェル当たり3×300μlの洗浄緩衝液でよく濯ぐ。
【0339】
全てのペプチドをPBS中に2.5μl/mlまで希釈する。100μlをウェル当たり加え、平板を室温にて1時間インキュベートする。設定をここに以下に示す。
【0340】
プレートをウェル当たり3×200μlの洗浄緩衝液で流しつつ濯ぎ、2%SMPを含む洗浄緩衝液で室温にて30分間ブロックする。引き続いて、各ウェルを3×200μlの洗浄緩衝液で濯ぐ。全てのMabを0.5μg/mlまで希釈し、100μlをウェル当たり加え、プレートを37℃にて1時間インキュベートする。抗体を以下に示すように適用する。
【0341】
ウェル当たり2×200μlの洗浄緩衝液を用いてプレートを濯ぐ。
【0342】
二次抗体ウサギ−α−ヒトIgG HRP(DAKO P0214)をブロッキング緩衝液中に1:2000希釈し、100μlをウェル当たり加え、プレートを37℃にて30分間インキュベートする。各ウェルを3×200μlの洗浄緩衝液ですすぎ、OPDで30分間発色させる。
【0343】
3つの独立した実験を行い、結果をここに以下にまとめる。プレート1の結果の概観を図7Aに示し、プレート2の結果を図7Bに示す。
【0344】
【化28】
【0345】
【化29】
【0346】
【化30】
【0347】
【化31】
【0348】
【化32】
結果のグラフ表示を図7Aおよび7Bに示す。
【0349】
【化33】
【0350】
【化34】
【図面の簡単な説明】
【0351】
【図1】Fab断片の模式図。
【図2】配列番号:11を有するニューモリシンアミノ酸配列。
【図3A】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図3B】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図3C】抗−ニューモリシン軽鎖および重鎖可変セグメント。
【図4】Pneumococcusおよび抗体を接種したマウスについての概観図。
【図5】ニューモリシン抗体の抗溶血活性。
【図6】エピトープマッピングのためのペプチド。
【図7】ニューモリシン抗体エピトープの決定を示すグラフ。
【図8】26−5F12クローンの単離。
【図9】26−23 C2クローンの単離。
【図10】22 1C11クローンの単離。
【図11】26−5F12、26−23C2および22−1C11のCDR配列。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む単離された抗−溶血結合メンバーであって、ここで、該結合ドメインは配列番号11のアミノ酸1〜436に対応するニューモリシンのN−末端部分におけるエピトープを認識する、結合メンバー。
【請求項2】
前記結合ドメインが配列番号11のアミノ酸200〜436に対応するニューモリシンの領域におけるエピトープを認識する、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項3】
純粋な単離された結合メンバーである、請求項1ないし2に記載の単離された結合メンバー。
【請求項4】
抗体または抗体の免疫学的に活性な断片、または抗体の単一鎖から選択される、請求項1ないし3に記載の単離された結合メンバー。
【請求項5】
前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の混合物から選択される請求項4に記載の単離された結合メンバー。
【請求項6】
ニューモリシンに対して一特異的である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項7】
ニューモリシンに対して特異的な少なくとも1つの部分を有して二重特異的である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項8】
ニューモリシンに向けられた少なくとも1つの部分を有して多重特異的である請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項9】
前記結合ドメインがヒト抗体フレームワークによって保持される、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項10】
前記結合ドメインがヒト化抗体フレームワークによって運ばれる、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項11】
前記結合ドメインが配列番号27に含まれるエピトープを認識する、請求項1〜10のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項12】
前記結合ドメインが配列番号28、29、30または31に含まれるエピトープを認識する、請求項1〜11のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項13】
前記結合ドメインが配列番号11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸425〜436によって含まれるエピトープを認識する、請求項1〜12のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項14】
前記結合ドメインが配列番号3、4、5、6、7、8、9および10より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列、またはそのホモログを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項15】
前記結合ドメインが配列番号12、13、14、15、16、17、18または10より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列、またはそのホモログを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項16】
前記結合ドメインが配列番号10によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項17】
前記結合ドメインが配列番号8または配列番号17によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項18】
前記結合ドメインが配列番号9または配列番号18によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項19】
2以上の異なるPneumococcus血清型からのニューモリシンに結合することができる、請求項1〜18のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項20】
前記ホモログが、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18から選択される配列の1以上に対して、少なくとも65%同一のように、少なくとも70%同一のように、少なくとも75%同一のように、少なくとも80%同一のように、少なくとも85%同一のように、少なくとも90%同一のように、少なくとも95%同一のように、少なくとも98%同一のように、少なくとも60%同一である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の単離された結合メンバー。
【請求項21】
解離定数が1×10−9M未満のように、5×10−9M未満である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項22】
前記結合ドメインがVLドメインに位置する、請求項1〜21のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項23】
前記結合ドメインがVHドメインに位置する、請求項1〜22いずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項24】
前記結合ドメインが前記結合メンバーにおける相補性−決定領域(CDR)として配置される、請求項14〜23いずれか一項に記載の単離された結合メンバー。
【請求項25】
前記抗体の断片がFab、Fab’、F(ab)2およびFvから選択される、請求項3に記載の単離された結合メンバー。
【請求項26】
少なくとも第一の結合ドメインおよび第二の結合ドメインを含み、該第一の結合ドメインはニューモリシンに特異的に結合することができ、かつ該第二の結合ドメインは該第一の結合ドメインとは異なる、請求項1〜25のいずれかに記載の結合メンバー。
【請求項27】
前記第二の結合ドメインが、CD64またはCD89から選択される蛋白質のような、ヒト蛋白質のような、哺乳動物蛋白質に特異的に結合することができる、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項28】
前記第二の結合ドメインが、白血球、マクロファージ、リンパ球、好中球細胞、好塩基球細胞、および好酸球細胞から選択される細胞のようなヒト細胞のような、哺乳動物細胞に特異的に結合することができる、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項29】
前記第二の結合ドメインが、Pneumococcus蛋白質に特異的に結合することができる請求項26に記載の単離された結合メンバー。
【請求項30】
前記第二の結合ドメインが、前記第一の結合ドメインとは異なるニューモリシンエピトープに特異的に結合することができる、請求項28に記載の単離された結合メンバー。
【請求項31】
前記結合メンバーが2つの結合ドメインを含む、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項32】
前記2つの結合メンバーがスペーサー領域を介して連結されている、請求項30に記載の単離された結合メンバー。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子。
【請求項34】
請求項32に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項35】
前記核酸分子によってコードされた抗体の発現を調節するヌクレオチド配列を含む請求項33に記載のベクター。
【請求項36】
請求項32に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項37】
請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーを発現するように作製された細胞株。
【請求項38】
個体においてPneumococcusに関連した疾患または障害を検出または診断する方法であって、該方法は、
該個体から生物学的試料を提供する工程、
請求項1〜32のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に添加する工程、
該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、該疾患または障害を診断または検出する工程;
を包含する、方法。
【請求項39】
請求項1〜31のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを含み、前記抗体が標識されている、キット。
【請求項40】
請求項1〜31のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物。
【請求項41】
少なくとも2つの異なる結合メンバーを含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
医薬組成物の生産のための、請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーの使用。
【請求項43】
Pneumococcus感染の治療用の医薬組成物の生産のための請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーの使用。
【請求項44】
請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーによって認識される、配列番号11のアミノ酸1〜436よりなるニューモリシンペプチド、その断片またはその変種。
【請求項45】
配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含むニューモリシンペプチド、その断片またはその変種。
【請求項46】
ニューモリシンペプチドを含み、ここで、該ニューモリシンペプチドが配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列またはその変種を含むワクチン組成物。
【請求項47】
さらに、アジュバントを含む請求項46に記載のワクチン。
【請求項48】
前記ニューモリシンペプチドが、請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーによって認識される配列番号11のアミノ酸425〜436、その断片または変種を含む請求項46に記載のワクチン。
【請求項49】
前記ニューモリシンペプチド、その断片または変種が80アミノ酸、60アミノ酸、40アミノ酸、20アミノ酸、15アミノ酸のような、または多くても12アミノ酸のような、多くても100アミノ酸によって構成される請求項46〜48に記載のワクチン組成物。
【請求項50】
Pneumococcus感染の予防的処置のための、請求項46〜49に記載のワクチン組成物の使用。
【請求項1】
ニューモリシンに特異的に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含む単離された抗−溶血結合メンバーであって、ここで、該結合ドメインは配列番号11のアミノ酸1〜436に対応するニューモリシンのN−末端部分におけるエピトープを認識する、結合メンバー。
【請求項2】
前記結合ドメインが配列番号11のアミノ酸200〜436に対応するニューモリシンの領域におけるエピトープを認識する、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項3】
純粋な単離された結合メンバーである、請求項1ないし2に記載の単離された結合メンバー。
【請求項4】
抗体または抗体の免疫学的に活性な断片、または抗体の単一鎖から選択される、請求項1ないし3に記載の単離された結合メンバー。
【請求項5】
前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の混合物から選択される請求項4に記載の単離された結合メンバー。
【請求項6】
ニューモリシンに対して一特異的である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項7】
ニューモリシンに対して特異的な少なくとも1つの部分を有して二重特異的である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項8】
ニューモリシンに向けられた少なくとも1つの部分を有して多重特異的である請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項9】
前記結合ドメインがヒト抗体フレームワークによって保持される、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項10】
前記結合ドメインがヒト化抗体フレームワークによって運ばれる、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項11】
前記結合ドメインが配列番号27に含まれるエピトープを認識する、請求項1〜10のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項12】
前記結合ドメインが配列番号28、29、30または31に含まれるエピトープを認識する、請求項1〜11のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項13】
前記結合ドメインが配列番号11によって識別されるニューモリシンのアミノ酸425〜436によって含まれるエピトープを認識する、請求項1〜12のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項14】
前記結合ドメインが配列番号3、4、5、6、7、8、9および10より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列、またはそのホモログを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項15】
前記結合ドメインが配列番号12、13、14、15、16、17、18または10より選択される少なくとも1つのアミノ酸配列、またはそのホモログを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項16】
前記結合ドメインが配列番号10によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項17】
前記結合ドメインが配列番号8または配列番号17によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項18】
前記結合ドメインが配列番号9または配列番号18によって識別される配列を含むアミノ酸配列またはそのホモログを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項19】
2以上の異なるPneumococcus血清型からのニューモリシンに結合することができる、請求項1〜18のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項20】
前記ホモログが、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18から選択される配列の1以上に対して、少なくとも65%同一のように、少なくとも70%同一のように、少なくとも75%同一のように、少なくとも80%同一のように、少なくとも85%同一のように、少なくとも90%同一のように、少なくとも95%同一のように、少なくとも98%同一のように、少なくとも60%同一である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の単離された結合メンバー。
【請求項21】
解離定数が1×10−9M未満のように、5×10−9M未満である、請求項1に記載の単離された結合メンバー。
【請求項22】
前記結合ドメインがVLドメインに位置する、請求項1〜21のいずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項23】
前記結合ドメインがVHドメインに位置する、請求項1〜22いずれかに記載の単離された結合メンバー。
【請求項24】
前記結合ドメインが前記結合メンバーにおける相補性−決定領域(CDR)として配置される、請求項14〜23いずれか一項に記載の単離された結合メンバー。
【請求項25】
前記抗体の断片がFab、Fab’、F(ab)2およびFvから選択される、請求項3に記載の単離された結合メンバー。
【請求項26】
少なくとも第一の結合ドメインおよび第二の結合ドメインを含み、該第一の結合ドメインはニューモリシンに特異的に結合することができ、かつ該第二の結合ドメインは該第一の結合ドメインとは異なる、請求項1〜25のいずれかに記載の結合メンバー。
【請求項27】
前記第二の結合ドメインが、CD64またはCD89から選択される蛋白質のような、ヒト蛋白質のような、哺乳動物蛋白質に特異的に結合することができる、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項28】
前記第二の結合ドメインが、白血球、マクロファージ、リンパ球、好中球細胞、好塩基球細胞、および好酸球細胞から選択される細胞のようなヒト細胞のような、哺乳動物細胞に特異的に結合することができる、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項29】
前記第二の結合ドメインが、Pneumococcus蛋白質に特異的に結合することができる請求項26に記載の単離された結合メンバー。
【請求項30】
前記第二の結合ドメインが、前記第一の結合ドメインとは異なるニューモリシンエピトープに特異的に結合することができる、請求項28に記載の単離された結合メンバー。
【請求項31】
前記結合メンバーが2つの結合ドメインを含む、請求項25に記載の単離された結合メンバー。
【請求項32】
前記2つの結合メンバーがスペーサー領域を介して連結されている、請求項30に記載の単離された結合メンバー。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の結合メンバーの少なくとも一部をコードする単離された核酸分子。
【請求項34】
請求項32に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項35】
前記核酸分子によってコードされた抗体の発現を調節するヌクレオチド配列を含む請求項33に記載のベクター。
【請求項36】
請求項32に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項37】
請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーを発現するように作製された細胞株。
【請求項38】
個体においてPneumococcusに関連した疾患または障害を検出または診断する方法であって、該方法は、
該個体から生物学的試料を提供する工程、
請求項1〜32のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを該生物学的試料に添加する工程、
該生物学的試料に結合した結合メンバーを検出し、それにより、該疾患または障害を診断または検出する工程;
を包含する、方法。
【請求項39】
請求項1〜31のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを含み、前記抗体が標識されている、キット。
【請求項40】
請求項1〜31のいずれかに記載の少なくとも1つの結合メンバーを含む医薬組成物。
【請求項41】
少なくとも2つの異なる結合メンバーを含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
医薬組成物の生産のための、請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーの使用。
【請求項43】
Pneumococcus感染の治療用の医薬組成物の生産のための請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーの使用。
【請求項44】
請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーによって認識される、配列番号11のアミノ酸1〜436よりなるニューモリシンペプチド、その断片またはその変種。
【請求項45】
配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列を含むニューモリシンペプチド、その断片またはその変種。
【請求項46】
ニューモリシンペプチドを含み、ここで、該ニューモリシンペプチドが配列番号27、28、29、30、31、32、33、34、35または36によって識別されるアミノ酸配列またはその変種を含むワクチン組成物。
【請求項47】
さらに、アジュバントを含む請求項46に記載のワクチン。
【請求項48】
前記ニューモリシンペプチドが、請求項1〜32のいずれかに記載の結合メンバーによって認識される配列番号11のアミノ酸425〜436、その断片または変種を含む請求項46に記載のワクチン。
【請求項49】
前記ニューモリシンペプチド、その断片または変種が80アミノ酸、60アミノ酸、40アミノ酸、20アミノ酸、15アミノ酸のような、または多くても12アミノ酸のような、多くても100アミノ酸によって構成される請求項46〜48に記載のワクチン組成物。
【請求項50】
Pneumococcus感染の予防的処置のための、請求項46〜49に記載のワクチン組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−515390(P2008−515390A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528599(P2007−528599)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000536
【国際公開番号】WO2006/021210
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506006832)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000536
【国際公開番号】WO2006/021210
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506006832)
【Fターム(参考)】
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