ニードルをシールドするつめ構造
血管外システムが提供され、これはカテーテルアセンブリとニードルアセンブリを含む。ニードルアセンブリは、ニードルシールドを収容するニードルキャップを含む。ニードルシールドは、つめを有するVクリップであってもよい。つめはニードルシールドの延長部と接続し、この接続はつめと延長部の間に屈曲部を形成することによってなされる。屈曲部は少なくとも1つの窪みを含み、窪みは屈曲部の中心部に形成されることができる。代わりに、屈曲部は複数の窪みを含むことができる。複数の窪みは、つめの全幅の様々な位置に配置されることができる。つめは、それ自身の上に折り返されることができる。実際、つめはそれ自身の上に折り返され、本質的に二重厚さのつめを形成する。加えて、つめは、種々の角度の屈曲部と共に構成されることができる。つめと延長部の間の屈曲部の角度は、90度未満とすることができる。この角度は約70度から約90度までの範囲の角度であってもよい。つめは、波形の形状又は構造を含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、カテーテルアセンブリおよびカテーテルアセンブリと共に用いられる装置を含む、血管アクセス装置および方法に関する。概して、血管アクセス装置は、患者の血管系と流体を伝達するために使用される。例えば、カテーテルは、通常の食塩水、種々の薬剤、総合非経口栄養(total parenteral nutrition)等の流体を患者に注入したり、患者から血液を抜き取ったり、患者の血管系の種々のパラメータをモニターしたりするために使用される。
【背景技術】
【0002】
通常タイプの静脈(IV)カテーテルは、オーバー・ザ・ニードル周辺IVカテーテル(an over-the-needle peripheral IV catheter)である。その名が暗示するように、オーバー・ザ・ニードルカテーテルは、鋭い遠位端を有する導入ニードルの周りに取り付けられる。少なくともカテーテルの遠位端部の内面は、ニードルの外面にきつく係合し、カテーテルの剥き戻り(peelback)を防止し、それ故カテーテルの血管への挿入を容易にする。導入ニードルの遠位端がカテーテルの遠位端を超えて延び、ニードルの斜面が患者の皮膚から離れて上向くように、カテーテルと導入ニードルは組み立てられる。カテーテルと導入ニードルは、一般的に、浅い角度で、患者の皮膚を通じて血管に挿入される。
【0003】
血管におけるニードルおよび/またはカテーテルの適切な配置を確かめるため、臨床医は一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバに血液の「フラッシュバック」があることを確認する。血管へのカテーテルの適切な配置が確認されると、臨床医は、導入ニードルおよびカテーテルの遠位の、血管の上の患者の皮膚を圧迫することによって、血管に圧力を加える。この指の圧力は血管を塞ぎ、導入ニードルおよびカテーテルを通じたさらなる血流を最小にする。
【0004】
そして臨床医は、導入ニードルをカテーテルから引き抜く。導入ニードルは、ニードル先端シールド装置の中に引き込まれる。ニードル先端シールド装置は、ニードル先端をカバーし、不意のニードル刺穿を防止する。一般に、ニードルシールドは、ハウジング、スリーブ、またはニードルが患者から引き抜かれたときニードル先端がニードル先端シールド内に捕獲/捕捉されるように設計された他の類似の装置を含む。これらニードル先端シールド装置の目的は、ニードルの先端を安全な場所に収容し、これによりニードルとニードルシールド装置がカテーテルから分離された後、ニードル刺穿の可能性を回避する。カテーテルは定位置に残され、患者への静脈アクセスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテルアセンブリの残部に対して最適に固定および分離されるニードル先端シールドを提供するため、またニードル使用の最中および後でのニードルの先端からの適切なシールドを提供するため、様々なシステムおよび方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在利用可能な血管アクセスシステムおよび方法によって十分に解決されていない当該分野での問題および要求に応えて開発されたものである。つまり、これらのシステムおよび方法は、適切なニードル先端シールド機能を保証できる、より効率的な血管アクセスシステムおよび方法を提供するために開発されている。
【0007】
患者の血管系にアクセスするための血管(脈管)外の(extravascular)システムは、カテーテルと、カテーテル内に配置されたニードルと、ニードル先端シールドアセンブリとを含む。カテーテルは、血管外システムの他の血管アクセス装置に取り付く溝および/または他の手段を含む。ニードルはカテーテル内に配置される。ニードル先端シールドアセンブリはニードルキャップを含み、ニードルキャップはニードルシールドを含み、ニードルシールドはつめ(pawl)を含む。つめは、強化され、カテーテルの溝または他の取付手段に係合し、ニードル先端シールドをカテーテルに固定する。強化されたつめは、溝からの早まった離脱を回避し、制限し、および/または最小にする。
【0008】
ニードルシールドはVクリップであることができる。つめは、ニードルシールドの延長部と接続する。この接続は、つめと延長部との間の屈曲部を形成することによってなされる。屈曲部は少なくとも一つの窪みを含んでもよく、窪みは屈曲部の中心部に形成されてもよい。代替的に、屈曲部は複数の窪みを含んでもよい。複数の窪みは、つめの全幅の様々な位置に配置され得る。つめは、それ自身の上に折り返されてもよい。むしろ、つめは、それ自身の上に折り返され、本質的に二重厚さのつめを形成してもよい。
【0009】
また、つめは、様々な角度の屈曲部と共に構成されてもよい。つめと延長部の間の屈曲部の角度は90度未満とすることができる。この角度は、約70度から約90度までの範囲内とすることができる。つめは、波形の形状または構造を含んでもよい。
【0010】
血管外システムにおいて、血管アクセス装置を他の血管アクセス装置に係合させる方法は、カテーテルを設けること、ニードルを設けること、およびニードル先端シールドアセンブリを設けることを含む。カテーテルを設けるステップは、他の血管アクセス装置に取り付く溝または他の手段を画成するカテーテルを設けることを含む。ニードルを設けるステップは、カテーテル内に配置されたニードルを設けることを含む。ニードル先端シールドアセンブリを設けるステップは、ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることを含み、ここでニードルキャップはニードルシールドを有し、ニードルシールドはつめを有する。方法は、つめを強化すること、つめをカテーテルの溝に係合させることによってニードル先端シールドをカテーテルに固定すること、および/または、つめの溝からの早まった離脱を回避することをも含む。ニードルシールドはVクリップであってもよい。
【0011】
方法は、ニードルシールドに延長部を設けること、およびつめと延長部の間に屈曲部を形成することを含んでもよい。方法は、屈曲部を窪ませること、屈曲部に少なくとも一つの窪みを形成すること、屈曲部の中心部を窪ませること、つめをそれ自身の上に折り返すこと、つめと延長部の間に90度未満の角度、例えば約70度から約90度までの範囲の角度の屈曲部を形成すること、つめを波形形状に曲げること、および/または、つめを波形形状に形成することを含んでもよい。
【0012】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムは、係合のための第1の手段を有するカテーテルと、カテーテル内に配置されたニードルと、ニードル先端シールドアセンブリとを含む。ニードル先端シールドアセンブリはニードルキャップを有し、ニードルキャップはニードルシールドを有し、ニードルシールドは係合のための第2の手段を有する。係合のための第2の手段は、強化され、係合のための第1の手段に係合して、ニードル先端シールドをカテーテルに固定する。係合のための強化された第2の手段は、係合のための第1の手段からの早まった離脱を回避する。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、本発明の特定実施形態に含まれ、以下の説明及び添付された特許請求の範囲から一層明白になるであろうし、或いは後述されるような本発明の実施によって理解される。ここで述べられる全ての有利な特徴と全ての利点とが、本発明の全ての実施形態に含まれることを、本発明は要求しない。
【0014】
本発明の上述及び他の特徴及び利点が得られる方法が容易に理解されるため、上に概説された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示される特定実施形態の参照によりなされる。これら図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、それ故、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】血管外システムの斜視図である。
【図2】図1の血管外システムの分解組立図である。
【図3】クリップハウジングカバーを有するVクリップシールドの斜視図である。
【図4】Vクリップシールドの斜視図である。
【図5A】溝を有するカテーテルアダプタの斜視図である。
【図5B】カテーテル溝から離脱するVクリップシールドつめの断面図である。
【図6】窪みを有するつめの平面斜視図である。
【図7】図6のつめの底面斜視図である。
【図8】90度未満の角度で内側に折り曲げられたつめの底面斜視図である。
【図9】波状の形状を有するつめの底面斜視図である。
【図10】自身の上に折り返されたつめの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の現在好ましい実施形態が、図面の参照によって最良に理解されるであろう。ここで同様の参照符号は、同一かまたは機能的に類似の要素を示す。ここに概説され、図面に描かれているような本発明の構成要素が、多種多様の異なる形態で配置され、設計され得ることが、容易に理解されるであろう。つまり、図面に表されるような後述のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲を制限することを意図されておらず、本発明の現在好ましい実施形態を単に代表しているに過ぎない。
【0017】
図1を参照すると、斜視図は、多様な血管外システムのうちの血管外システム10の一例を示している。この例において、血管外システム10は、カテーテルアセンブリ12と、ニードルアセンブリ20とを含む。カテーテルアセンブリ12は、カテーテル14等の血管アクセス装置を含み、血管アクセス装置はカテーテルアダプタ18の中に部分的に収容されている。同様に図1に示されているのは、カテーテルアダプタ18の上に位置された防護キャップ22である。防護キャップ22は、カテーテル14内へのアクセスを提供するアクセスポートにふたをする(cover)。
【0018】
ここで図1及び図2を参照して、血管外システム10はニードルアセンブリ20をも含む。ニードルアセンブリは、ニードルキャップ24とニードルハブ26とを含む。図1及び図2の比較によって理解されるように、ニードルアセンブリ20が使用前の形態であるとき、ニードルキャップ24とつなぎ鎖(tether)36とが、ニードルハブ26の少なくとも実質的に内側に嵌るよう、適合される。ニードルアセンブリ20は、これに望ましい機能性を与えるよう適合された、追加の部品または構成要素を含んでもよい。同様に、カテーテルアセンブリ12は、カテーテルアセンブリ12の形態とその意図された使用とに応じて、追加または代替の部品またはサブコンポーネントを含んでもよい。
【0019】
ニードルキャップ24は、ニードル30がカテーテル14から取り外されたとき、ニードルキャップ24がニードル先端28を格納するように、構成される。ニードルアセンブリ20は、カテーテルアダプタ18にしっかりと取り付けられ、これにより、ニードル30の操作と、患者の脈管構造内におけるカテーテル14の配置とに準備する。ニードルアセンブリはグリップ32も含み、グリップ32は、ニードルアセンブリ20のより確実な把持と、ニードル30のより確実な操作とを可能にする。
【0020】
ここで図2を参照すると、血管外システム10が分解組立図で示される。図1と同様、カテーテルアセンブリ12とニードルアセンブリ20とが示される。上に論じられたように、カテーテルアセンブリ12は、患者の血管系内での配置のためのカテーテル14を含む。例えば患者への流体の投与のためのさらなる医療機器または管類に、カテーテル14が取り付けられ得るように、カテーテルアダプタ18は構成されている。この点において、図示されたカテーテルアセンブリ12は、カテーテル14へのさらなるアクセスを提供するアクセスポートにふたをする防護キャップ22をも含む。
【0021】
図2にも示されているのは、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から完全に分離された位置にあるニードルアセンブリ20である。前述したように、図示されたニードルアセンブリ20は、ニードル30の位置を引っ込めて操作する使用のためのグリップ32を含む。
【0022】
ニードルキャップ24とニードルハブ26との間に延びるのはつなぎ鎖36である。ニードルキャップ24がニードルハブ26から最大に離間され(maximally deployed)、ニードル30のニードル先端28がニードルキャップ24内に安全に格納されたとき、つなぎ鎖36が完全に延びてこれによりニードルキャップ24のニードルハブ26からの分離を妨げるよう、つなぎ鎖36の長さが選択される。さらに、つなぎ鎖36が完全に延ばされたとき、ニードルキャップ24はニードル先端28から取り外されることができず、これにより、ニードル先端28がニードルキャップ24内に安全に収容され続けることを保証する。つなぎ鎖36は、アコーディオン状に折り畳まれることができ、直線状であることができ、または他のあらゆる所望形状を採ることができる。
【0023】
図2に示されるように、ニードル先端28はニードルキャップ24の中で固定される。つなぎ鎖36は、ニードルキャップ24とニードルハブ26との間で伸長位置にある。結局、ニードル30は、ニードルキャップ24から引き抜かれるのを防止される。またニードルキャップ24の内部は、ニードル上の構造(図示せず)及びVクリップ58と協働し、ニードルが、ニードルキャップ24から外れて前進するのを防止する。ニードルシールドおよび/またはVクリップ58は図2に収縮状態で示されるおり;また示されているのはクリップハウジングカバー60であり、両者は以下においてさらに詳細に説明される。
【0024】
ここで図3及び図4を参照すると、 血管外システム10においてニードルキャップ24と共に使用されるためのシールド58の一例が、斜視図で示される。シールド58はVクリップであり、Vクリップは第1のアーム62と第2のアーム64とを有する。第1のアーム62は延長部66を含み、延長部66はその端部につめ68を形成する。また第1のアーム62および/または第2のアーム64はニードル先端シールドフラップ70を含み、ニードル先端シールドフラップ70は、Vクリップ58が係合された後、ニードル先端28の前進を止めることができる。ニードル30がキャップ24によってシールドされた後、鋭いニードル先端28のニードルキャップ24からの再出現を防止するため、シールドフラップ70が使用される。
【0025】
つめ68は金属から形成され、延長部66から主に90度曲げられる。しかしながら、つめ68は他のあらゆる所望の角度で曲げられることができる。例えば、約70度から約90までの範囲内の屈曲部が現在好ましい。Vクリップ58のつめ68は、カテーテルアダプタ18の三日月状の(crescent-shaped)溝72と係合する役割を果たす(図5A参照)。ニードル30がVクリップ58を作動させるのに十分なほど遠くに引き抜かれるまで、つめ68は溝72に係合し、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から分離するのを防止する。図5Bは、溝72から離脱されるつめ68を示す。
【0026】
図3及び図4に戻って、Vクリップ58が作動されるとき、第1のアーム62は、エルボー74のばね力の下、第2のアーム64から離れる。第1のアーム62が第2のアーム64から離れると、つめ68は第1の位置から第2の位置に動く。つめ68がその第1の位置にあるとき、それは、カテーテルアダプタ18の溝72に係合される。つめ68がその第1の位置からその第2の位置に動いた後、つめは溝72との係合から、溝72との係合から外れる位置に移動する。
【0027】
つめ68の溝72からの早まった離脱を防止するため、つめ68は、いかなる曲げ、移動、変位、または他の動作を避けるよう、十分な強度を有していなければならない。これらの動作は、ニードル30がVクリップ58を作動させまたはVクリップ58と係合するのに十分なほど遠くに前進する前に、Vクリップ58をカテーテルアダプタ18から分離させる。様々な特徴と方法が、つめ68と、つめ68及び延長部66の関係とを強化するため、使用されることができる。さらに、つめ68が用いられる血管アクセス装置及びその特徴の環境に応じて、つめ68は、追加のつめ68の強度を要求する特定の設計要件(寸法、形状、向き、材料および他の特徴を含む)を満たす必要がある。
【0028】
単に薄い材料を有するつめ68を設けることは、つめ68が溝72から外れる見込みを増やすであろう。時期尚早な離脱を防ぐため、つめ68を強化するための一以上の特徴が含まれる。この種の特徴は、例えば、Vクリップハウジングカバー60と延長部66の間のスペースを減少することを含む。これにより、つめ68は、溝72から離脱することができる高さまで起きることができない(図5B参照)。この種の特徴は、追加的または代替的に、例えば、延長部66またはVクリップアームからつめ68への屈曲部における窪みを含む。
【0029】
図6を参照すると、窪み76を有するVクリップ58のつめ68が示される。窪み76は、つめ68と延長部66の間の屈曲部78に形成されている。屈曲部78は、つめ68の強度を増加すると共に、つめ68と溝72との間に分離力が働いたときつめ68が曲がるのを防止する。こうして、必要な早まった分離力を増加する。屈曲部78に窪み76を含ませることにより、より高い早まった分離力が必要となり、これにより、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から早々と分離せず、むき出しのニードル先端28を臨床医にさらさないことを保証する。図6に示されるVクリップは一つの窪み76を有する。しかしながら、任意の数及び形状の窪み76が、含まれてよく、つめ68の全幅の任意の望まれる位置に位置されてよい。
【0030】
延長部66は、延長部66の長さに沿った屈曲部80をも含み、延長部66に増加された剛性を与える。延長部66における増加された剛性も、時期尚早の離脱につながる、つめ68の溝72の中での起き上がりを回避するのを助けるであろう。
【0031】
図7を参照すると、つめ68の底面図が、第1のアームのつめ68と延長部66の間の屈曲部78に形成された窪み76の下側を示している。窪み76は、つめ68と延長部66の間の屈曲部78を強化することができるあらゆる他の要素によって、変更され、支持され、および/または置換されることができる。このような変更、置換または最適化は、窪みおよび/または他の要素の深さ、長さ、幅、窪みの数および向きといったパラメータを修正することを含んでもよい。例えば、つめ68は、それ自身の上に折り返されてもよい(図10及び下記の説明参照)。
【0032】
図8を参照して、つめ68は延長部66に向かう方向に折り曲げられてもよく、これにより屈曲部78は90度未満の角度に形成させられる。例えば、屈曲部は、約70度から約90までの範囲の角度を有することができる。
【0033】
他の例として、図9に示されるように、波形の形状を持つつめ68も、窪み76に見られるのと同様の強度増加をもたらす。このような波形形状は、屈曲部78に形成されている複数の窪みと同等の強度を提供し得る。波形形状の適用により、つめの強度を増加し、時期尚早の離脱に抗することが可能である。波形形状のさらなる利点は、ニードルキャップのリッジ(うね;ridge)とカテーテルアダプタの溝エッジとの間のスペースにおける、つめの軸方向の動きを最小化することである。波形形状は、ニードルキャップ24をカテーテルハブ18に対し確実に定位置に保持する「ばね」動作をも与える。最後に、波形形状は、Vクリップ58の開放中、溝におけるバリと鋭いエッジとによってつめが停止されてしまうリスクを回避するのを助ける。
【0034】
窪み76または他の同様の強度付与要素を含ませることにより、つめ68の曲げ強度は増大される。つめ68の曲げ強度におけるこの増加は、曲げのポイントを、窪み76または(突っ張りのような)他の要素の端部にまで下げることによって、達成される。曲げのポイントを窪み76または他の要素の端部まで下げることにより或いは移動することにより、窪まされた領域において、曲げに対するより高い抵抗が生成される。つめ68と溝72の間の早まった分離力を調節するため、つめ68の配置、長さ、形状および/または寸法が、増大および/または減少されることができる。例えば、応力下におけるつめ68の捩り曲げを回避するため、窪み76は好ましくは屈曲部78の中心部に位置される。
【0035】
カテーテルアダプタ18の溝72と、ニードルキャップ24内の環境との間の遊びの量を調節するため、つめ68および/またはその周囲の環境が修正されてもよく、これは、ニードルキャップ24とカテーテルアダプタ18との間に最小の遊びがあることを確実にする(この遊びは、例えば図5Bに示された延長部66とハウジングカバーとの間のスペースである)。遊びを最小にすることにより、溝72とつめ68の間の時期尚早な分離力は最大化されるであろう。加えて、溝72またはその付近の構造と接触するようになるつめ68の部分の長さまたは幅も、溝72とつめ68の間の時期尚早な分離力をコントロールするのに重要である。
【0036】
加えて、カテーテルハブ18の溝26との接触面積を増加するため、つめ68の大きさを拡大するのが望ましい。これは、溝との接触面積が最適化され得る他の方法であり、これは時期尚早の離脱を阻止する。さらに、離脱に対する増大された抵抗のために接触領域を最適化するため、爪の下側端縁(エッジ)は、特定のカテーテル形状のために要求されるように最適化されることができる。
【0037】
最後に、図10を参照して、つめ68はそれ自身の上に折り返されてもよい。実際、つめ68は、それ自身の上に折り返されて本質的に二重厚さのつめ68を形成する。図10のつめ68は、最終的なつめ68の所望長さの2倍のつめのためのテンプレートを作製することによって達成される。これにより、延長されたつめがそれ自身の上に折り返されたとき、二重厚さのつめ68が作られ、つめ68は所望の最終長さとなる。
【0038】
本発明は、ここで広く記載され以下の特許請求の範囲に記載されるようなその構造、方法、または他の本質的性質から外れることなく、他の特定の形態で具体化されることができる。説明された実施形態は、あらゆる点において単に例示的であり、制限的ではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、従って、前述の説明よりもむしろ特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意義及び均等範囲内に入る全ての変更は、その範囲内に包含されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、カテーテルアセンブリおよびカテーテルアセンブリと共に用いられる装置を含む、血管アクセス装置および方法に関する。概して、血管アクセス装置は、患者の血管系と流体を伝達するために使用される。例えば、カテーテルは、通常の食塩水、種々の薬剤、総合非経口栄養(total parenteral nutrition)等の流体を患者に注入したり、患者から血液を抜き取ったり、患者の血管系の種々のパラメータをモニターしたりするために使用される。
【背景技術】
【0002】
通常タイプの静脈(IV)カテーテルは、オーバー・ザ・ニードル周辺IVカテーテル(an over-the-needle peripheral IV catheter)である。その名が暗示するように、オーバー・ザ・ニードルカテーテルは、鋭い遠位端を有する導入ニードルの周りに取り付けられる。少なくともカテーテルの遠位端部の内面は、ニードルの外面にきつく係合し、カテーテルの剥き戻り(peelback)を防止し、それ故カテーテルの血管への挿入を容易にする。導入ニードルの遠位端がカテーテルの遠位端を超えて延び、ニードルの斜面が患者の皮膚から離れて上向くように、カテーテルと導入ニードルは組み立てられる。カテーテルと導入ニードルは、一般的に、浅い角度で、患者の皮膚を通じて血管に挿入される。
【0003】
血管におけるニードルおよび/またはカテーテルの適切な配置を確かめるため、臨床医は一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバに血液の「フラッシュバック」があることを確認する。血管へのカテーテルの適切な配置が確認されると、臨床医は、導入ニードルおよびカテーテルの遠位の、血管の上の患者の皮膚を圧迫することによって、血管に圧力を加える。この指の圧力は血管を塞ぎ、導入ニードルおよびカテーテルを通じたさらなる血流を最小にする。
【0004】
そして臨床医は、導入ニードルをカテーテルから引き抜く。導入ニードルは、ニードル先端シールド装置の中に引き込まれる。ニードル先端シールド装置は、ニードル先端をカバーし、不意のニードル刺穿を防止する。一般に、ニードルシールドは、ハウジング、スリーブ、またはニードルが患者から引き抜かれたときニードル先端がニードル先端シールド内に捕獲/捕捉されるように設計された他の類似の装置を含む。これらニードル先端シールド装置の目的は、ニードルの先端を安全な場所に収容し、これによりニードルとニードルシールド装置がカテーテルから分離された後、ニードル刺穿の可能性を回避する。カテーテルは定位置に残され、患者への静脈アクセスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテルアセンブリの残部に対して最適に固定および分離されるニードル先端シールドを提供するため、またニードル使用の最中および後でのニードルの先端からの適切なシールドを提供するため、様々なシステムおよび方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在利用可能な血管アクセスシステムおよび方法によって十分に解決されていない当該分野での問題および要求に応えて開発されたものである。つまり、これらのシステムおよび方法は、適切なニードル先端シールド機能を保証できる、より効率的な血管アクセスシステムおよび方法を提供するために開発されている。
【0007】
患者の血管系にアクセスするための血管(脈管)外の(extravascular)システムは、カテーテルと、カテーテル内に配置されたニードルと、ニードル先端シールドアセンブリとを含む。カテーテルは、血管外システムの他の血管アクセス装置に取り付く溝および/または他の手段を含む。ニードルはカテーテル内に配置される。ニードル先端シールドアセンブリはニードルキャップを含み、ニードルキャップはニードルシールドを含み、ニードルシールドはつめ(pawl)を含む。つめは、強化され、カテーテルの溝または他の取付手段に係合し、ニードル先端シールドをカテーテルに固定する。強化されたつめは、溝からの早まった離脱を回避し、制限し、および/または最小にする。
【0008】
ニードルシールドはVクリップであることができる。つめは、ニードルシールドの延長部と接続する。この接続は、つめと延長部との間の屈曲部を形成することによってなされる。屈曲部は少なくとも一つの窪みを含んでもよく、窪みは屈曲部の中心部に形成されてもよい。代替的に、屈曲部は複数の窪みを含んでもよい。複数の窪みは、つめの全幅の様々な位置に配置され得る。つめは、それ自身の上に折り返されてもよい。むしろ、つめは、それ自身の上に折り返され、本質的に二重厚さのつめを形成してもよい。
【0009】
また、つめは、様々な角度の屈曲部と共に構成されてもよい。つめと延長部の間の屈曲部の角度は90度未満とすることができる。この角度は、約70度から約90度までの範囲内とすることができる。つめは、波形の形状または構造を含んでもよい。
【0010】
血管外システムにおいて、血管アクセス装置を他の血管アクセス装置に係合させる方法は、カテーテルを設けること、ニードルを設けること、およびニードル先端シールドアセンブリを設けることを含む。カテーテルを設けるステップは、他の血管アクセス装置に取り付く溝または他の手段を画成するカテーテルを設けることを含む。ニードルを設けるステップは、カテーテル内に配置されたニードルを設けることを含む。ニードル先端シールドアセンブリを設けるステップは、ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることを含み、ここでニードルキャップはニードルシールドを有し、ニードルシールドはつめを有する。方法は、つめを強化すること、つめをカテーテルの溝に係合させることによってニードル先端シールドをカテーテルに固定すること、および/または、つめの溝からの早まった離脱を回避することをも含む。ニードルシールドはVクリップであってもよい。
【0011】
方法は、ニードルシールドに延長部を設けること、およびつめと延長部の間に屈曲部を形成することを含んでもよい。方法は、屈曲部を窪ませること、屈曲部に少なくとも一つの窪みを形成すること、屈曲部の中心部を窪ませること、つめをそれ自身の上に折り返すこと、つめと延長部の間に90度未満の角度、例えば約70度から約90度までの範囲の角度の屈曲部を形成すること、つめを波形形状に曲げること、および/または、つめを波形形状に形成することを含んでもよい。
【0012】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムは、係合のための第1の手段を有するカテーテルと、カテーテル内に配置されたニードルと、ニードル先端シールドアセンブリとを含む。ニードル先端シールドアセンブリはニードルキャップを有し、ニードルキャップはニードルシールドを有し、ニードルシールドは係合のための第2の手段を有する。係合のための第2の手段は、強化され、係合のための第1の手段に係合して、ニードル先端シールドをカテーテルに固定する。係合のための強化された第2の手段は、係合のための第1の手段からの早まった離脱を回避する。
【0013】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、本発明の特定実施形態に含まれ、以下の説明及び添付された特許請求の範囲から一層明白になるであろうし、或いは後述されるような本発明の実施によって理解される。ここで述べられる全ての有利な特徴と全ての利点とが、本発明の全ての実施形態に含まれることを、本発明は要求しない。
【0014】
本発明の上述及び他の特徴及び利点が得られる方法が容易に理解されるため、上に概説された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示される特定実施形態の参照によりなされる。これら図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、それ故、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】血管外システムの斜視図である。
【図2】図1の血管外システムの分解組立図である。
【図3】クリップハウジングカバーを有するVクリップシールドの斜視図である。
【図4】Vクリップシールドの斜視図である。
【図5A】溝を有するカテーテルアダプタの斜視図である。
【図5B】カテーテル溝から離脱するVクリップシールドつめの断面図である。
【図6】窪みを有するつめの平面斜視図である。
【図7】図6のつめの底面斜視図である。
【図8】90度未満の角度で内側に折り曲げられたつめの底面斜視図である。
【図9】波状の形状を有するつめの底面斜視図である。
【図10】自身の上に折り返されたつめの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の現在好ましい実施形態が、図面の参照によって最良に理解されるであろう。ここで同様の参照符号は、同一かまたは機能的に類似の要素を示す。ここに概説され、図面に描かれているような本発明の構成要素が、多種多様の異なる形態で配置され、設計され得ることが、容易に理解されるであろう。つまり、図面に表されるような後述のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲を制限することを意図されておらず、本発明の現在好ましい実施形態を単に代表しているに過ぎない。
【0017】
図1を参照すると、斜視図は、多様な血管外システムのうちの血管外システム10の一例を示している。この例において、血管外システム10は、カテーテルアセンブリ12と、ニードルアセンブリ20とを含む。カテーテルアセンブリ12は、カテーテル14等の血管アクセス装置を含み、血管アクセス装置はカテーテルアダプタ18の中に部分的に収容されている。同様に図1に示されているのは、カテーテルアダプタ18の上に位置された防護キャップ22である。防護キャップ22は、カテーテル14内へのアクセスを提供するアクセスポートにふたをする(cover)。
【0018】
ここで図1及び図2を参照して、血管外システム10はニードルアセンブリ20をも含む。ニードルアセンブリは、ニードルキャップ24とニードルハブ26とを含む。図1及び図2の比較によって理解されるように、ニードルアセンブリ20が使用前の形態であるとき、ニードルキャップ24とつなぎ鎖(tether)36とが、ニードルハブ26の少なくとも実質的に内側に嵌るよう、適合される。ニードルアセンブリ20は、これに望ましい機能性を与えるよう適合された、追加の部品または構成要素を含んでもよい。同様に、カテーテルアセンブリ12は、カテーテルアセンブリ12の形態とその意図された使用とに応じて、追加または代替の部品またはサブコンポーネントを含んでもよい。
【0019】
ニードルキャップ24は、ニードル30がカテーテル14から取り外されたとき、ニードルキャップ24がニードル先端28を格納するように、構成される。ニードルアセンブリ20は、カテーテルアダプタ18にしっかりと取り付けられ、これにより、ニードル30の操作と、患者の脈管構造内におけるカテーテル14の配置とに準備する。ニードルアセンブリはグリップ32も含み、グリップ32は、ニードルアセンブリ20のより確実な把持と、ニードル30のより確実な操作とを可能にする。
【0020】
ここで図2を参照すると、血管外システム10が分解組立図で示される。図1と同様、カテーテルアセンブリ12とニードルアセンブリ20とが示される。上に論じられたように、カテーテルアセンブリ12は、患者の血管系内での配置のためのカテーテル14を含む。例えば患者への流体の投与のためのさらなる医療機器または管類に、カテーテル14が取り付けられ得るように、カテーテルアダプタ18は構成されている。この点において、図示されたカテーテルアセンブリ12は、カテーテル14へのさらなるアクセスを提供するアクセスポートにふたをする防護キャップ22をも含む。
【0021】
図2にも示されているのは、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から完全に分離された位置にあるニードルアセンブリ20である。前述したように、図示されたニードルアセンブリ20は、ニードル30の位置を引っ込めて操作する使用のためのグリップ32を含む。
【0022】
ニードルキャップ24とニードルハブ26との間に延びるのはつなぎ鎖36である。ニードルキャップ24がニードルハブ26から最大に離間され(maximally deployed)、ニードル30のニードル先端28がニードルキャップ24内に安全に格納されたとき、つなぎ鎖36が完全に延びてこれによりニードルキャップ24のニードルハブ26からの分離を妨げるよう、つなぎ鎖36の長さが選択される。さらに、つなぎ鎖36が完全に延ばされたとき、ニードルキャップ24はニードル先端28から取り外されることができず、これにより、ニードル先端28がニードルキャップ24内に安全に収容され続けることを保証する。つなぎ鎖36は、アコーディオン状に折り畳まれることができ、直線状であることができ、または他のあらゆる所望形状を採ることができる。
【0023】
図2に示されるように、ニードル先端28はニードルキャップ24の中で固定される。つなぎ鎖36は、ニードルキャップ24とニードルハブ26との間で伸長位置にある。結局、ニードル30は、ニードルキャップ24から引き抜かれるのを防止される。またニードルキャップ24の内部は、ニードル上の構造(図示せず)及びVクリップ58と協働し、ニードルが、ニードルキャップ24から外れて前進するのを防止する。ニードルシールドおよび/またはVクリップ58は図2に収縮状態で示されるおり;また示されているのはクリップハウジングカバー60であり、両者は以下においてさらに詳細に説明される。
【0024】
ここで図3及び図4を参照すると、 血管外システム10においてニードルキャップ24と共に使用されるためのシールド58の一例が、斜視図で示される。シールド58はVクリップであり、Vクリップは第1のアーム62と第2のアーム64とを有する。第1のアーム62は延長部66を含み、延長部66はその端部につめ68を形成する。また第1のアーム62および/または第2のアーム64はニードル先端シールドフラップ70を含み、ニードル先端シールドフラップ70は、Vクリップ58が係合された後、ニードル先端28の前進を止めることができる。ニードル30がキャップ24によってシールドされた後、鋭いニードル先端28のニードルキャップ24からの再出現を防止するため、シールドフラップ70が使用される。
【0025】
つめ68は金属から形成され、延長部66から主に90度曲げられる。しかしながら、つめ68は他のあらゆる所望の角度で曲げられることができる。例えば、約70度から約90までの範囲内の屈曲部が現在好ましい。Vクリップ58のつめ68は、カテーテルアダプタ18の三日月状の(crescent-shaped)溝72と係合する役割を果たす(図5A参照)。ニードル30がVクリップ58を作動させるのに十分なほど遠くに引き抜かれるまで、つめ68は溝72に係合し、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から分離するのを防止する。図5Bは、溝72から離脱されるつめ68を示す。
【0026】
図3及び図4に戻って、Vクリップ58が作動されるとき、第1のアーム62は、エルボー74のばね力の下、第2のアーム64から離れる。第1のアーム62が第2のアーム64から離れると、つめ68は第1の位置から第2の位置に動く。つめ68がその第1の位置にあるとき、それは、カテーテルアダプタ18の溝72に係合される。つめ68がその第1の位置からその第2の位置に動いた後、つめは溝72との係合から、溝72との係合から外れる位置に移動する。
【0027】
つめ68の溝72からの早まった離脱を防止するため、つめ68は、いかなる曲げ、移動、変位、または他の動作を避けるよう、十分な強度を有していなければならない。これらの動作は、ニードル30がVクリップ58を作動させまたはVクリップ58と係合するのに十分なほど遠くに前進する前に、Vクリップ58をカテーテルアダプタ18から分離させる。様々な特徴と方法が、つめ68と、つめ68及び延長部66の関係とを強化するため、使用されることができる。さらに、つめ68が用いられる血管アクセス装置及びその特徴の環境に応じて、つめ68は、追加のつめ68の強度を要求する特定の設計要件(寸法、形状、向き、材料および他の特徴を含む)を満たす必要がある。
【0028】
単に薄い材料を有するつめ68を設けることは、つめ68が溝72から外れる見込みを増やすであろう。時期尚早な離脱を防ぐため、つめ68を強化するための一以上の特徴が含まれる。この種の特徴は、例えば、Vクリップハウジングカバー60と延長部66の間のスペースを減少することを含む。これにより、つめ68は、溝72から離脱することができる高さまで起きることができない(図5B参照)。この種の特徴は、追加的または代替的に、例えば、延長部66またはVクリップアームからつめ68への屈曲部における窪みを含む。
【0029】
図6を参照すると、窪み76を有するVクリップ58のつめ68が示される。窪み76は、つめ68と延長部66の間の屈曲部78に形成されている。屈曲部78は、つめ68の強度を増加すると共に、つめ68と溝72との間に分離力が働いたときつめ68が曲がるのを防止する。こうして、必要な早まった分離力を増加する。屈曲部78に窪み76を含ませることにより、より高い早まった分離力が必要となり、これにより、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から早々と分離せず、むき出しのニードル先端28を臨床医にさらさないことを保証する。図6に示されるVクリップは一つの窪み76を有する。しかしながら、任意の数及び形状の窪み76が、含まれてよく、つめ68の全幅の任意の望まれる位置に位置されてよい。
【0030】
延長部66は、延長部66の長さに沿った屈曲部80をも含み、延長部66に増加された剛性を与える。延長部66における増加された剛性も、時期尚早の離脱につながる、つめ68の溝72の中での起き上がりを回避するのを助けるであろう。
【0031】
図7を参照すると、つめ68の底面図が、第1のアームのつめ68と延長部66の間の屈曲部78に形成された窪み76の下側を示している。窪み76は、つめ68と延長部66の間の屈曲部78を強化することができるあらゆる他の要素によって、変更され、支持され、および/または置換されることができる。このような変更、置換または最適化は、窪みおよび/または他の要素の深さ、長さ、幅、窪みの数および向きといったパラメータを修正することを含んでもよい。例えば、つめ68は、それ自身の上に折り返されてもよい(図10及び下記の説明参照)。
【0032】
図8を参照して、つめ68は延長部66に向かう方向に折り曲げられてもよく、これにより屈曲部78は90度未満の角度に形成させられる。例えば、屈曲部は、約70度から約90までの範囲の角度を有することができる。
【0033】
他の例として、図9に示されるように、波形の形状を持つつめ68も、窪み76に見られるのと同様の強度増加をもたらす。このような波形形状は、屈曲部78に形成されている複数の窪みと同等の強度を提供し得る。波形形状の適用により、つめの強度を増加し、時期尚早の離脱に抗することが可能である。波形形状のさらなる利点は、ニードルキャップのリッジ(うね;ridge)とカテーテルアダプタの溝エッジとの間のスペースにおける、つめの軸方向の動きを最小化することである。波形形状は、ニードルキャップ24をカテーテルハブ18に対し確実に定位置に保持する「ばね」動作をも与える。最後に、波形形状は、Vクリップ58の開放中、溝におけるバリと鋭いエッジとによってつめが停止されてしまうリスクを回避するのを助ける。
【0034】
窪み76または他の同様の強度付与要素を含ませることにより、つめ68の曲げ強度は増大される。つめ68の曲げ強度におけるこの増加は、曲げのポイントを、窪み76または(突っ張りのような)他の要素の端部にまで下げることによって、達成される。曲げのポイントを窪み76または他の要素の端部まで下げることにより或いは移動することにより、窪まされた領域において、曲げに対するより高い抵抗が生成される。つめ68と溝72の間の早まった分離力を調節するため、つめ68の配置、長さ、形状および/または寸法が、増大および/または減少されることができる。例えば、応力下におけるつめ68の捩り曲げを回避するため、窪み76は好ましくは屈曲部78の中心部に位置される。
【0035】
カテーテルアダプタ18の溝72と、ニードルキャップ24内の環境との間の遊びの量を調節するため、つめ68および/またはその周囲の環境が修正されてもよく、これは、ニードルキャップ24とカテーテルアダプタ18との間に最小の遊びがあることを確実にする(この遊びは、例えば図5Bに示された延長部66とハウジングカバーとの間のスペースである)。遊びを最小にすることにより、溝72とつめ68の間の時期尚早な分離力は最大化されるであろう。加えて、溝72またはその付近の構造と接触するようになるつめ68の部分の長さまたは幅も、溝72とつめ68の間の時期尚早な分離力をコントロールするのに重要である。
【0036】
加えて、カテーテルハブ18の溝26との接触面積を増加するため、つめ68の大きさを拡大するのが望ましい。これは、溝との接触面積が最適化され得る他の方法であり、これは時期尚早の離脱を阻止する。さらに、離脱に対する増大された抵抗のために接触領域を最適化するため、爪の下側端縁(エッジ)は、特定のカテーテル形状のために要求されるように最適化されることができる。
【0037】
最後に、図10を参照して、つめ68はそれ自身の上に折り返されてもよい。実際、つめ68は、それ自身の上に折り返されて本質的に二重厚さのつめ68を形成する。図10のつめ68は、最終的なつめ68の所望長さの2倍のつめのためのテンプレートを作製することによって達成される。これにより、延長されたつめがそれ自身の上に折り返されたとき、二重厚さのつめ68が作られ、つめ68は所望の最終長さとなる。
【0038】
本発明は、ここで広く記載され以下の特許請求の範囲に記載されるようなその構造、方法、または他の本質的性質から外れることなく、他の特定の形態で具体化されることができる。説明された実施形態は、あらゆる点において単に例示的であり、制限的ではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、従って、前述の説明よりもむしろ特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意義及び均等範囲内に入る全ての変更は、その範囲内に包含されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムであって、
溝を画成するカテーテルアダプタと、
カテーテルアダプタ内に配置されたニードルと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドがつめを有するニードル先端シールドアセンブリと、
を備え、
前記つめが前記カテーテルアダプタの前記溝に係合し、前記ニードル先端シールドを前記カテーテルアダプタに固定し、
前記つめが、前記溝からの早まった離脱を回避する
ことを特徴とする血管外システム。
【請求項2】
前記ニードルシールドがVクリップであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記つめが、前記ニードルシールドの延長部と接続し、この接続が、前記つめと前記延長部との間の屈曲部を形成することによってなされることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記屈曲部が少なくとも1つの窪みを含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記窪みが前記屈曲部の中心部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記つめが、それ自身の上に折り返されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記つめと前記延長部の間の前記屈曲部の角度が、約70度から約90度までの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記つめが波形の形状を含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
血管外システムにおいて、血管アクセス装置を他の血管アクセス装置に係合させる方法であって、
溝を画成するカテーテルアダプタを設けることと、
前記カテーテルアダプタ内に配置されたニードルを設けることと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドがつめを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることと、
前記つめを強化することと、
前記つめを前記カテーテルアダプタの前記溝に係合させることと、
を備え、
前記つめの前記溝からの早まった離脱が妨げられる
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ニードルシールドがVクリップであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ニードルシールドに延長部を設けることと、前記つめ及び前記延長部の間に屈曲部を形成することとをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記屈曲部を窪ませることをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記屈曲部に少なくとも1つの窪みを形成することをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記屈曲部の中心部を窪ませることをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記つめをそれ自身の上に折り返すことをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記つめと前記延長部の間に、角度が約70度から約90度までの範囲内にある屈曲部を形成することをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記つめを波形の形状に曲げることをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記つめを波形の形状に形成することをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項19】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムであって、
係合のための第1の手段を有するカテーテルアダプタと、
カテーテルアダプタ内に配置されたニードルと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドが係合のための第2の手段を有するニードル先端シールドアセンブリと、
を備え、
前記係合のための第2の手段が、前記係合のための第1の手段に係合し、前記ニードル先端シールドを前記カテーテルアダプタに固定し、
前記強化された係合のための第2の手段が、前記係合のための第1の手段からの早まった離脱を回避する
ことを特徴とする血管外システム。
【請求項20】
前記第2の手段が強化されていることを特徴とする請求項19に記載の血管外システム。
【請求項1】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムであって、
溝を画成するカテーテルアダプタと、
カテーテルアダプタ内に配置されたニードルと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドがつめを有するニードル先端シールドアセンブリと、
を備え、
前記つめが前記カテーテルアダプタの前記溝に係合し、前記ニードル先端シールドを前記カテーテルアダプタに固定し、
前記つめが、前記溝からの早まった離脱を回避する
ことを特徴とする血管外システム。
【請求項2】
前記ニードルシールドがVクリップであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記つめが、前記ニードルシールドの延長部と接続し、この接続が、前記つめと前記延長部との間の屈曲部を形成することによってなされることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記屈曲部が少なくとも1つの窪みを含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記窪みが前記屈曲部の中心部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記つめが、それ自身の上に折り返されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記つめと前記延長部の間の前記屈曲部の角度が、約70度から約90度までの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記つめが波形の形状を含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
血管外システムにおいて、血管アクセス装置を他の血管アクセス装置に係合させる方法であって、
溝を画成するカテーテルアダプタを設けることと、
前記カテーテルアダプタ内に配置されたニードルを設けることと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドがつめを有するニードル先端シールドアセンブリを設けることと、
前記つめを強化することと、
前記つめを前記カテーテルアダプタの前記溝に係合させることと、
を備え、
前記つめの前記溝からの早まった離脱が妨げられる
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ニードルシールドがVクリップであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ニードルシールドに延長部を設けることと、前記つめ及び前記延長部の間に屈曲部を形成することとをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記屈曲部を窪ませることをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記屈曲部に少なくとも1つの窪みを形成することをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記屈曲部の中心部を窪ませることをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記つめをそれ自身の上に折り返すことをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記つめと前記延長部の間に、角度が約70度から約90度までの範囲内にある屈曲部を形成することをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記つめを波形の形状に曲げることをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記つめを波形の形状に形成することをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項19】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムであって、
係合のための第1の手段を有するカテーテルアダプタと、
カテーテルアダプタ内に配置されたニードルと、
ニードルキャップを有するニードル先端シールドアセンブリであって、前記ニードルキャップがニードルシールドを有し、前記ニードルシールドが係合のための第2の手段を有するニードル先端シールドアセンブリと、
を備え、
前記係合のための第2の手段が、前記係合のための第1の手段に係合し、前記ニードル先端シールドを前記カテーテルアダプタに固定し、
前記強化された係合のための第2の手段が、前記係合のための第1の手段からの早まった離脱を回避する
ことを特徴とする血管外システム。
【請求項20】
前記第2の手段が強化されていることを特徴とする請求項19に記載の血管外システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−510037(P2010−510037A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538510(P2009−538510)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085414
【国際公開番号】WO2008/064328
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085414
【国際公開番号】WO2008/064328
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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