説明

ネットワークにおけるノード停止方法及びネットワーク管理装置

【課題】自律分散的な手順により利用率に応じてネットワークの構成を動的に変更し、更に不要なノードを停止する環境において、冗長経路を維持したままノードの停止を可能とするノード停止方法を得る。
【解決手段】多数のノードが各リンク(レイヤ2トポロジ)により接続されたネットワークにおいて、一部のノードを停止ノードとするに際し、レイヤ2トポロジ情報によりレイヤ3トポロジを算出し、算出されたレイヤ3トポロジの全ての経路中に自ノードが含まれるかを確認して自ノードが停止候補ノードで有るかを判断する手順と、停止候補ノードである場合にはネットワーク中の他のノードに広報する手順と、複数停止候補ノードが存在する場合に、予め決められたノード順に停止可否判定アルゴリズムを実行し、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否を判定することで停止候補を決定する手順を順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク通信においてネットワーク全体の消費電力量を削減するため、ネットワーク上に複数存在するルータやスイッチ等のネットワーク機器の利用状況に応じて、ネットワークの構成を動的に変更し、通信に不要となったノードの停止する場合におけるノード停止方法及びネットワーク管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク通信においては、動画像の再配信など各種通信サービスの普及により、インターネット内のトラヒック量は急激に増大し、2025年には、2006年と比較し、トラヒック量が190倍になるとの推計がある。また、トラヒック量の増大にともない、それを処理するルータやスイッチなどのネットワーク機器(以下、ノードと呼ぶ)を含むIT機器の消費電力量も増加傾向にあり、増加するIT機器の消費電力量の中でも、特にネットワーク機器の消費電力量の増加が大きいことが知られている。
一方、コスト削減や企業の社会的責任による企業価値の向上の観点より、ネットワーク機器によるネットワーク全体(以下、ネットワークをNWと略記する)の消費電力量を削減する技術は、今後ますます重要となる。
【0003】
そこで、発明者らは、ネットワーク全体の消費電力量の削減を図るため、利用状況に応じてネットワークの構成を動的に変更するネットワークの管理システム(特許文献1及び特許文献2)を提案するに至った。
特許文献1及び特許文献2に開示される管理システムは、図5に示すように、ノードの物理的な配線(実線で示されるレイヤ2トポロジ)から、NWにおいてトラヒックをどのように転送するかの論理構成(点線で示されるレイヤ3トポロジ)を動的に生成することで、NWの利用状況に応じてレイヤ3トポロジを動的に変更することを要旨とするものである。
【0004】
例えば、利用率が高い(NW中を流れるトラヒック量が多い)利用状況の場合は、図5左に示すように、NW中の全ノードを用いた効率的なトラヒック転送を実施し、利用率が低い利用状況となった場合には、図5右に示すように、一部のノードのみを用いてトラヒック転送するようレイヤ3トポロジを変更し、さらに不要なノードとリンクを停止することが行われる。停止中のノードの情報は、起動中の周囲のノードが管理し、例えばトラヒック利用率が低い状況から高い状況に変化した場合には、周囲のノードが停止中のノードをNW経由で起動する。
レイヤ2トポロジからレイヤ3トポロジを動的に作成する手順は、例えば非特許文献1に開示された技術を利用することができる。また、NW経由で停止中のルータを起動するため、例えばWakeOnLAN機能の利用が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−161501
【特許文献2】特開2010−239299
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】RFC2328 OSPF Version 2, 1998 http://www,ietf.org/rfc/rfc2328.txt
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネットワークは一般に、ノードやリンクの故障等による通信断を防ぐため、一部の送受信ノードは冗長経路を持つ。冗長経路を持つ送受信ノードは、経路上のノードやリンクが故障した場合、冗長経路に経路を切替えることで、通信断を防ぐことができる。
図5の管理システムにおいて、利用率が低い状況となりレイヤ3トポロジを変更した後、不要なノードとリンクを停止する際(図5左から図5右の状態に変更する際)、送受信トラヒックの有無やレイヤ3トポロジからのみノードの要否を判断し、ノード停止させた場合、冗長経路が失われ、ネットワークの信頼性が損なわれる可能性がある。
【0008】
すなわち、自律分散的な手順によりNWの利用率に応じてNWの構成を動的に変更し、更に不要なノードを停止する場面を想定する。
例えば、図4に示すように、各ノードにはトポロジ計算に使用するコストWが予め割当てられている。そして、全てのノードは、ネットワーク中のノードの物理的接続(レイヤ2トポロジ)や、各リンクに割当てられたコスト(リンク毎に1つNWの運用者により割当てられる)を全て把握している。各ノードは、コストの和が最小となるようにレイヤ3トポロジを計算し、計算結果に基づきネットワークを構成する。
【0009】
図4は、ノード1からノード5のレイヤ3トポロジを計算する場面を示している。NWの使用率が大きい時間帯(図4上、図5左)では、ノード1−2−5、ノード1−3−5、ノード1−4−5のコストWの和がそれぞれ200であり等しいため、ノード1からノード5へのトラヒックは、ノード2、ノード3、ノード4にそれぞれ分散して転送される。
NWの使用率が大きい時間帯から小さい時間帯へと変化する場合、自律分散的な手順により、一部のノードのコストを変更(図4の例では、ノード2とノード4のリンクのコストを利用率の変化に応じて増やす)する。各ノードは、変更後のコストに基づきレイヤ3のトポロジを計算する(ノード1からノード5へのトラヒックは、ノード1−3−5により転送されるように変更された)。
【0010】
図4のNWにおいて、トラヒックはノード1−5の間でのみ発生していると仮定した場合、ノード2及びノード4はトラヒック転送に不要な(ノード1−5間のトラヒック転送のレイヤ3トポロジに含まれていない)ため、停止する。
この状態で、起動中のノード3が故障した場合、ノード2及びノード4が停止しているため冗長経路がなく、ノード1からノード5のトラヒック転送が不可能となる。
すなわち、経路の有無のみで電源停止した場合、冗長経路を損なう可能性がありNWの信頼性を確保できないという課題が存在した。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、自律分散的な手順によりNWの利用率に応じてNWの構成を動的に変更し、更に不要なノードを停止する環境において、冗長経路を維持したままノードの停止を可能とするノード停止方法及びネットワークの管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明のネットワークにおけるノード停止方法は、多数のノードが各リンク(レイヤ2トポロジ)により接続されたネットワークにおいて、一部のノードを停止ノードとするに際し、レイヤ2トポロジ情報によりレイヤ3トポロジを算出し、算出されたレイヤ3トポロジの全ての経路中に自ノードが含まれるかを確認して自ノードが停止候補ノードで有るかを判断する手順と、停止候補ノードである場合にはネットワーク中の他のノードに広報する手順と、複数停止候補ノードが存在する場合に、予め決められたノード順に停止可否判定アルゴリズムを実行し、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否を判定することで停止ノードを決定する手順とを順次行うことを特徴としている。
【0013】
請求項2は、請求項1のネットワークにおけるノード停止方法において、前記ノードの停止可否を判定する際に、停止候補のノード自身が停止前に、停止前後におけるネットワークの接続性を計算し、冗長経路を確保する場合にのみ停止可と判定する手順を含むことを特徴としている。
【0014】
請求項3は、多数のノードが各リンク(レイヤ2トポロジ)により接続されたネットワークに対して、一部のノードを停止ノードとするネットワーク管理装置において、次の構成を前記各ノードが備えることを特徴としている。
停止可否判断部。この停止可否判断部は、レイヤ2トポロジ情報によりレイヤ3トポロジを算出し、算出されたレイヤ3トポロジの全ての経路中に自ノードが含まれるかを確認して自ノードが停止候補ノードで有るかを判断し、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否を判定するものである。
停止処理実行順序制御部。この停止処理実行順序制御部は、停止候補であることを他ノードに広報するとともに、ネットワーク中の他の停止候補を把握し、複数停止候補ノードが存在する場合に、予め決められたノード順に停止可否判定を実行させるものである。
制御部。この制御部は、前記停止処理実行順序制御部で決定された停止候補ノードが自ノードである場合に停止する制御を行うものである。
【0015】
請求項4は、請求項3のネットワーク管理装置において、前記停止可否判定部は、停止候補ノードの停止前後におけるネットワークの接続性を計算し、冗長経路を確保する場合にのみ停止可と判定する停止可否判定アルゴリズムを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネットワークの利用状況に応じその構成を動的に変更し、更に通信に不要となったノードの停止を行う場合に、ノード自身が冗長経路の有無を確認し、冗長経路が確保される場合にのみ停止が行われるように、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否の判定を行うことで、ネットワークの信頼性を維持したままノードの停止を可能とし、ネットワークにおける信頼性維持と省電力化の両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のネットワーク管理装置が適用される使用環境を示すモデル図である。
【図2】本発明のネットワーク管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明のネットワークにおけるノード停止方法の処理手順を説明するフローチャート図である。
【図4】従来の方式における課題(冗長経路が失われる例)を説明するためのモデルモデル図である。
【図5】ネットワークの管理システムにおける利用率の高い時間帯と低い時間帯の動作をイメージしたモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のネットワーク管理装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
図1はネットワーク管理装置の想定環境を示すものであり、自律分散的な手順により、NWの利用率に応じてNWの構成を動的に変更し、更に不要なノードを停止する技術が適用されたネットワークを対象とする。この技術は、例えば、前述した特許文献1に開示された公知技術が採用され、各ノードにおいて、前述した非特許文献1に記載されたOSPF等、NWを構成する全ノードがNW内のレイヤ2トポロジを把握しているリンクステート型のルーティングプロトコルが動作している。
【0019】
そして、本発明のノード停止方法は、自律分散的な手順によりレイヤ3トポロジをNWの利用状況に応じて動的に変更し、不要なノード(ルータ)の電源を停止する従来技術とともに実行される。
各ノードには、図4と同様に、トポロジ計算に使用するコストWが予め割当てられている。コストWは、リンク毎の正逆方向にそれぞれ1つずつ、NWの運用者により割当てられる。そして、全てのノードは、ネットワーク中のノードの物理的接続(レイヤ2トポロジ)や、各リンクに割当てられたコストを全て把握している。各ノードは、コストの和が最小となるようにレイヤ3トポロジを計算し、計算結果に基づきネットワークを構成する。
【0020】
各ノード10に構築されるネットワーク管理装置は、図2に示すように、制御部11と、停止処理実行順序制御部12と、停止可否判定部13を備えて構成される。
制御部11は、自律分散的な手順によりレイヤ3トポロジをNWの利用状況に応じて動的に変更し、不要なノードの電源を停止するよう制御を行うが、ノード停止に際して本発明の特徴的な方法が実行される。また、制御部11においてノード停止に際して行われる本発明方法を実行するのに必要な構成と、停止処理実行順序制御部12及び停止可否判定部13について、従来から存在する自律分散的な手順によりレイヤ3トポロジをNWの利用状況に応じて動的に変更する制御部に対して、追加モジュールで追加する構成としても良い。
【0021】
レイヤ3トポロジが構成変更され、当該ノードがレイヤ3トポロジの経路に含まれなくなって停止候補となった場合に、停止候補情報を停止処理実行順序制御部12及び停止可否判定部13に出力し、各部において当該ノードについての停止処理実行順序制御及び停止可否判断制御が実行される。
レイヤ3トポロジの変更は、NW中の全ノードでほぼ同時に実行され、停止候補となるノードがNW中に複数存在する場合は、それら複数のノード上で、前記した停止処理実行順序制御及び停止可否判断制御がほぼ同時に実行される。
【0022】
停止処理実行順序制御部12は、制御部11からの停止候補情報を受け、ノード10が停止候補となったことをNW中の他のノードに広報する。広報には、例えば前述した非特許文献1に記載のLSA(Link State Advertisement)と同様の手順により実施される。この広報により、停止候補となった全ノードは、NW中の他の停止候補の存在を把握できる。
また、停止候補のノード(群)の中で、停止可否判定部13による停止可否の判定結果に基づき、停止順序を決定する機能を有する。停止順序決定機能には、非特許文献1に記載されたOSPF ルータIDのような、ノード毎に一意のIDを利用し、例えばルータIDの小さい順に実行するなどのルールを全ノードに予め組込むことで実現される。
停止候補のノードがNW中に複数存在する場合であっても、停止順序の制御により、停止可否の判定は、NW中で同時に1台のみ実施される。
また、停止可否の判定結果は、NW中に広報され、NW中の停止候補の全ノードで停止可否判定が実行されたのち、判定結果に基づき、ノードは停止する。
【0023】
停止可否判定部13は、制御部11からの停止候補情報からノードの停止可否の判定を行う。ノードの停止可否の判定に際しては、停止候補のノード自身について、停止前と停止後におけるネットワークの接続性をノード停止前に計算して予想し、ノード自身の停止による影響度を考慮して当該ノードの停止可否を判定することが行われる。すなわち、例えば停止候補のノード自身が冗長経路の有無を確認し、冗長経路が確保される場合にのみ停止が行われるようにする。具体的な停止可否の判定には、アルゴリズム処理として一般的なmax-flowアルゴリズムの活用により実現する(処理手順の詳細は後述する)。
停止可否の判定結果は、制御部11を介して停止処理実行順序制御部12に通知される。
【0024】
各ノード10に構築されるネットワーク管理装置でのノード停止手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0025】
制御部11において、NWの利用状況に応じてレイヤ3トポロジが変更されたことを契機に、ノード停止処理を開始する。
制御部11は、管理されるレイヤ2トポロジ情報(現在、電源起動中のノードがどのように接続されているか。またレイヤ2トポロジより、レイヤ3トポロジを計算するためのコスト等の情報)を取得する(ステップ101)。
【0026】
レイヤ2トポロジ情報よりレイヤ3トポロジを計算し、全ての送受信ノードの組の経路上に自身のノードが含まれないかを確認する(ステップ102)。
経路上に自身のノードが含まれる場合、ノート停止処理を終了する(ステップ121)。この場合、当該ノードは停止しない。
経路上に自身のノードが含まれない場合は、停止する可能性があるノードであるので、ステップ103に遷移する。
【0027】
ステップ102により、停止候補と判断された場合、ノードを一意に識別するIDとともにNW中の他のノードに停止候補であることを広報する(ステップ103)。例えば、OSPFのLSAと同様な手順を利用することで広報することが可能となる。また、NW中の他のノードから停止候補である旨を受信した場合、停止候補のノードを保存して候補リストを作成する。
停止候補から構成される候補リストの作成には、例えば、OSPF LSDB(Link State Database)と同等の手順で保存することが可能である。これにより、停止候補のリストは、NW中の全ての停止候補で同じ情報を持つことが可能となる。
【0028】
停止候補のノードは、例えばIDの昇順により停止可否判定を実行するなど、NWで同じ停止可否判定の実施順序のルールを持つ。
候補リストに基づき、NW中で停止可否判定の実行順であるノードかどうかを判断し(ステップ104)、実行順である場合には、当該ノードについて停止可否判定アルゴリズムを実行する(ステップ105)。
そして、停止可否判定の結果(停止する/停止しないのいずれかを示す値)を他の全ノードに広報を行う(ステップ106)。
【0029】
停止候補のノードは、NW中の全ての停止候補ノードが停止判定を実行済であるかを判断する(ステップ107)。停止候補ノードが停止判定を実行済であるかは、候補リストで管理されている。
次に、自身のノードが停止OK(停止する)であるかを判断する(ステップ108)。
停止OKと判定されている場合は、当該ノードを停止し(ステップ109)、処理を終了する(ステップ122)。
ステップ108において自身のノードが停止OKでない場合は、そのまま処理を終了する(ステップ122)。この場合、ノードは停止しない。
【0030】
ステップ104において自身のノードが実行順でない場合は、停止可否判定結果を他のノードから受信したかを判断し(ステップ111)、受信した場合は、停止可否判定結果が停止OKであるかを判断する(ステップ112)。
他のノードの停止可否判定を受信した停止候補のノードは、その判定結果が、"停止OK(停止する)"であった場合、ステップ101で取得したレイヤ2トポロジ情報から、停止OKと判断したノードの情報を削除する(ステップ113)。なお、この際に使用するレイヤ2トポロジ情報は、停止可否判定にのみ利用する。そのため、レイヤ3トポロジ等には影響しない。
【0031】
次に、停止可否判定部13において行われる停止可否判定のアルゴリズムの例について説明する。
停止可否判定部13がノードの停止可否を判定する際に、停止候補のノード自身が停止前に、停止前後におけるネットワークの接続性を計算し、冗長経路を確保する場合または停止の影響が少ないと判断された場合にのみ停止可と判定する処理が行われる。停止可否の判定には、max-flowアルゴリズムが活用される。
max-flowアルゴリズムは、グラフ理論の一般的なアルゴリズムであり、例えば文献(George B. Dantzig and Delbert R. Fulkerson. On the max-flow min-cut theorem of networks. In Linear Inequalities and Related Systems, volume 38 of Annals of Mathematics Studies, pages 215-221. Princeton University Press, 1956.)に記載されている。
【0032】
max-flowのアルゴリズムは重複しない経路を算出するためのアルゴリズムであり、例えば、図1において、送信元「ノード1」と受信先「ノード5」を指定し、max-flowのアルゴリズムを実行すると、重複しない経路数「3」が算出される。
また、図1において、「ノード1」の左側に一つの経路を介して「ノード0」が存在しているような場合に、送信元「ノード0」と受信先「ノード5」を指定し、max-flowのアルゴリズムを実行すると、「ノード0」と「ノード1」との間には経路が一つしか存在しないので、重複しない経路数は「1」が算出される。
【0033】
ネットワークにおいて、現状時におけるmax-flowのアルゴリズムを全ての送受信間(送受信の組)のノード間で実行し、重複しない経路数を計算する。また、自身のノードが停止した場合におけるmax-flowのアルゴリズムを全ての送受信間(送受信の組)のノード間で実行し、重複しない経路数を計算する。そして、現状時及び自身ノード停止時のそれぞれの重複しない経路数の最小値κmin及び平均値κavgを求める。そして、最小値κminを使用する停止判定1と、平均値κavg使用する停止判定2のいずれか若しくは両方により、停止候補ノードについての停止可否を判定する処理が行われる。
【0034】
(停止判定1)
現状時の経路数の最小値κmin≧2
且つ、自身ノード停止時の経路数の最小値κmin>X
である場合、当該ノードについて停止可と判定する。
Xは、運用者により指定されたパラメータであり、X=1とすれば、少なくとも冗長経路を1つ残すことができ、冗長経路を確保して停止可と判定することができる。
【0035】
(停止判定2)
現状時の経路数の平均値κavg−自身ノード停止時の経路数の平均値κavg<Y
である場合、当該ノードについて停止可と判定する。
Yは、運用者により指定されたパラメータ(閾値)であり、停止の影響が少ないと判断して停止可と判定することができる。閾値Yより「平均値κavg−自身ノード停止時の経路数の平均値κavg」の値が大きければ、当該ノードの停止による経路数減少に影響度が大きいことを示すことになる。
【0036】
上述したネットワーク管理装置によれば、ネットワーク全体の消費電力量を削減することを目的に、ネットワークの利用状況に応じてその構成(レイヤ3トポロジ)を動的に変更し、更に通信に不要となったネットワーク機器を停止する場合において、停止候補となるノード自身が冗長経路の有無やノード自身の停止による影響度を考慮して停止の可否の判断を行うことで、当該ノードが停止した場合においても冗長経路を確保することができ、ネットワークの信頼性を考慮した機器の停止を可能とすることができる。
したがって、停止したノードが故障した場合においても、冗長経路に経路を切替えることで、通信断を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0037】
10…ノード、 11…制御部、 12…停止処理実行順序制御部、 13…停止可否判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のノードが各リンク(レイヤ2トポロジ)により接続されたネットワークにおいて、
一部のノードを停止ノードとするに際し、
レイヤ2トポロジ情報によりレイヤ3トポロジを算出し、算出されたレイヤ3トポロジの全ての経路中に自ノードが含まれるかを確認して自ノードが停止候補ノードで有るかを判断する手順と、
停止候補ノードである場合にはネットワーク中の他のノードに広報する手順と、
複数停止候補ノードが存在する場合に、予め決められたノード順に停止可否判定アルゴリズムを実行し、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否を判定することで停止ノードを決定する手順と
を順次行うことを特徴とするネットワークにおけるノード停止方法。
【請求項2】
前記ノードの停止可否を判定する際に、停止候補のノード自身が停止前に、停止前後におけるネットワークの接続性を計算し、冗長経路を確保する場合にのみ停止可と判定する手順を含む請求項1に記載のネットワークにおけるノード停止方法。
【請求項3】
多数のノードが各リンク(レイヤ2トポロジ)により接続されたネットワークに対して、一部のノードを停止ノードとするネットワーク管理装置において、
レイヤ2トポロジ情報によりレイヤ3トポロジを算出し、算出されたレイヤ3トポロジの全ての経路中に自ノードが含まれるかを確認して自ノードが停止候補ノードで有るかを判断し、停止前後におけるネットワークの接続性を考慮して停止可否を判定する停止可否判定部と、
停止候補であることを他ノードに広報するとともに、ネットワーク中の他の停止候補を把握し、複数停止候補ノードが存在する場合に、予め決められたノード順に停止可否判定を実行させる停止処理実行順序制御部と、
前記停止処理実行順序制御部で決定された停止候補ノードが自ノードである場合に停止する制御を行う制御部と
を前記各ノードが備えることを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項4】
前記停止可否判定部は、停止候補ノードの停止前後におけるネットワークの接続性を計算し、冗長経路を確保する場合にのみ停止可と判定する停止可否判定アルゴリズムを含む請求項3に記載のネットワーク管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−213066(P2012−213066A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78024(P2011−78024)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】