説明

ネットワークのトポロジを識別する方法、ネットワーク・モニタリング・システム及びコンピュータ読出し可能な蓄積媒体

【課題】テレコミュニケーション・ネットワークにおけるネットワーク・ノード識別に関し、個別のS1−MMEインタフェース、SCTPアソシエーション及びMMEIPアドレスをネットワーク・トポロジ・リストの特有のMMEにリンクさせる。
【解決手段】S6a及びS1−MMEインタフェースで伝送される認証メッセージを用いて、モニタリング・システムが個別のS6aインタフェース及びS6aインタフェースIPアドレスをネットワーク・トポロジ・リストの特有のMMEにリンクし、ネットワーク・トポロジ・リストに1つ以上のHSSノード・エントリを作成する。モニタリング・システムがネットワーク・トポロジ・リストにeNodeB、S−GW及びPDN−GWノードを作成し、これらをIPアドレス並びにX2、S11及びS5/S8インタフェースにリンクさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テレコミュニケーション・ネットワークにおけるネットワーク・ノード及びインタフェースの識別に関し、特に、ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution:LTE)/システム・アーキテクチャ・エボリューション(System Architecture Evolution:SAE)ネットワークにおけるノード及びインタフェースの識別に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE/SAEネットワークの如きテレコミュニケーション・ネットワークにおいて、ネットワークが発展又はアップデートされることにより、ノード間に新たなノード及びリンクがしばしば追加される。LTE/SAEネットワークにおいて、MMEノード及びeNodeBを追加して、例えば、ネットワーク・カバレージ・エリア及びサポートする加入者の数を増やせる。サービス・プロバイダ及びネットワーク操作者は、典型的には、これらのネットワークをモニタして、動作状態を評価すると共に、ネットワーク問題を修正する。この目的に用いるモニタリング・システムは、正しく正確な測定を行うと共に、測定をノード及びリンクに相関させる(例えば、かかるイベントに影響されるネットワーク・エンティティに警告を相関させる)ために、試験対象であり新たなモニタリング・ノード及びリンクを含む最新のネットワーク・トポロジを知る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−115843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各新たなノード及び全ての関連した新たな相互接続を他のノードに入れることにより、ネットワーク・モニタリング・システムが用いるネットワーク・トポロジをマニュアルでアップデートできる。しかし、ネットワーク・トランスポートのマニュアル構成は、大きな労働力を要し、間違いを起こしやすいため、望ましくない。さらに、かかるマニュアル・トポロジのアップデートは、典型的には、ネットワークの実際の物理的アップデートの後、いくらかの時間だけ遅延する。ネットワーク・アップデート及びマニュアル・トポロジ・アップデートの間の時間では、ネットワーク・モニタリング・システムがネットワーク・プロトコル又は動作を適切に分析できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ネットワーク・モニタリング・システムは、ネットワーク・インタフェースに結合された1つ以上の受動モニタリング・プローブを含む。これらプローブは、ネットワーク・インタフェースからのデータ・パケットを受動的且つ非干渉で捕捉できる。モニタリング・システムは、プローブから捕捉したデータ・パケットを受け分析するプロセッサを更に含む。モニタリング・システムは、ネットワーク・インタフェースから捕捉されたデータ・パケットから、S1−MMEインタフェースに特有のメッセージを識別する。S1−MMEメッセージ内で、モニタリング・システムは、GUMMEIパラメータを更に識別する。モニタリング・システムは、ネットワーク・トポロジ・リスト又はテーブルを作成する。モニタリング・システムが、各固有のGUMMEI値用のネットワーク・トポロジ・リストに、MMEノード・エントリを作成する。S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから、モニタリング・システムが個別のS1−MMEインタフェースを識別する。個別のS1−MMEインタフェースは、ネットワーク・トポロジ・リスト内で特定のMMEにリンクされる。さらに、S1−MMEインタフェース・メッセージ内のMMEエンドポイントに対応するIPアドレスは、ネットワーク・トポロジ・リスト内の特定MMEにリンクされる。
【0006】
モニタリング・システムは、更に、S6a及びS1−MMEインタフェースにて伝送される認証メッセージを相関させる。モニタリング・システムは、S6aインタフェース・メッセージ内のMMEエンドポイントに対応するS6aインタフェースIPアドレスを識別する。モニタリング・システムは、ネットワーク・トポロジ・リスト内の多数のHSSノード・エントリ又は単一のHSSノード・エントリを作成する。単一又は複数のHSSノード・エントリは、HSSエンドポイントに対応するS6aインタフェースIPアドレスに関連する。
モニタリング・システムは、更に、S11セッション又はベアラ(bearer)メッセージを、S1−MMEインタフェースに特有のメッセージに相関させる。モニタリング・システムは、S11インタフェース・メッセージ内のMMEエンドポイントに対応するS11インタフェースIPアドレスを識別し、各個別S11インタフェースIPアドレスをネットワーク・トポロジ・リストにて特定MMEにリンクする。モニタリング・システムは、ネットワーク・トポロジ・リストにS−GWノード・エントリを作成する。S−11インタフェース・メッセージ内のS−GWエンドポイントに対応する固有のS11インタフェースIPアドレスにS−GWノードが関連する。
モニタリング・システムは、ネットワーク・トポロジ・リストにeNodeBエントリを作成する。固有のSCTPに対応するeNodeBエントリの各々は、S1−MMEインタフェースに関係する。S1−MMEメッセージでのeNodeBエンドポイント用のIPアドレスを用いて、個別のeNodeBをX2インタフェースに相関させる。これは、ネットワーク・トポロジ・リストにてeNodeBにリンクされる。
モニタリング・システムは、また、S5/S8インタフェースで伝送されるベアラ・メッセージ又はセッションを識別する。PDN−GWノード・エントリ又はPDN−GWエントリのグループがネットワーク・トポロジ・リスト内で作成される。S5/S8インタフェースでのPDN−GWに対応するS5/S8インタフェースIPアドレスにPDN−GWノード・エントリが関連する。
【0007】
本発明の第1態様によれば、ネットワークのトポロジを識別する方法は;ネットワーク・インタフェースからのデータ・パケットをモニタリング・プローブにより捕捉し;S1−MMEインタフェースに特有なメッセージを識別し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内のGUMEIパラメータを識別し;モニタリング・システム・メモリ内でネットワーク・トポロジ・リストにMMEノード・エントリを作成し、上記MMEノードの各々が固有のGUMMEI値に対応し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し;各個別S1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特有のMMEにリンクさせ;上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し;各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特有のMMEにリンクさせる方法。
【0008】
本発明の第2態様によれば、上記第1態様の方法は、S1−MMEインタフェースに特定の上記メッセージがS1イニシャルUEメッセージを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3態様によれば、上記第1態様の方法は、S1−MMEインタフェースに特定の上記メッセージがS1TAUメッセージを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4態様によれば、上記第1態様の方法は、更に;S6aインタフェースで伝送される認証メッセージを上記モニタリング・システムにより識別し;S1−MMEインタフェースで伝送される認証メッセージを識別し;上記S6a及びS1−MME認証メッセージを相関させ;上記S6aインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するS6aインタフェースIPアドレスを識別し;各個別のS6aインタフェースIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特定MMEにリンクさせることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5態様によれば、上記第4態様の方法は、RAND及びAUTNパラメータを用いて、上記S6a及びS1−MME認証メッセージが相関されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6態様によれば、上記第4態様の方法は、IMSIパラメータを用いて、上記S6a及びS1−MME認証メッセージが相関されることを特徴とする。
【0013】
本発明の第7態様によれば、上記第2態様の方法は、更に;上記モニタリング・システム・メモリ内の上記ネットワーク・トポロジ・リストにHSSノード・エントリを作成し、上記S6aインタフェース・メッセージ内のHSS終端に対応する固有のS6aインタフェースIPアドレスに上記HSSノードの各々が関連することを特徴とする。
【0014】
本発明の第8態様によれば、上記第2態様の方法は、更に;上記モニタリング・システム・メモリ内の上記ネットワーク・トポロジ・リストに単一のHSSノード・エントリを作成し、上記S6aインタフェース・メッセージ内のHSSエンドポイントに対応する全てのS6aインタフェースIPアドレスに上記単一のHSSノードが関連することを特徴とする。
【0015】
本発明の第9態様によれば、上記第1態様の方法は、更に;S11インタフェースで伝送されるセッション又はベアラ・メッセージを上記モニタリング・システムにより識別し;S1−MMEインタフェースに特有の上記メッセージに上記S11セッション又はベアラ・メッセージを相関させ;上記S11インタフェース・メッセージ内のMMEエンドポイントに対応するS11インタフェースIPアドレスを識別し;各個別のS11インタフェースIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内で特有のMMEにリンクさせることを特徴とする。
【0016】
本発明の第10態様によれば、上記第9態様の方法は、IMSIパラメータを用いて、上記S11セッション又はベアラ・メッセージとS1−MMEインタフェースに特有の上記メッセージとが相関されることを特徴とする。
【0017】
本発明の第11態様によれば、上記第9態様の方法は;更に;上記モニタリング・システム・メモリの上記ネットワーク・トポロジ・リストにS−GWノード・エントリを作成し、上記S−GWノードの各々が上記S11インタフェース・メッセージ内のS−GWエンドポイントに対応する固有のS11インタフェースIPアドレスに関連することを特徴とする。
【0018】
本発明の第12態様によれば、上記第1態様の方法は、更に;上記S1MMEインタフェース・メッセージに対応する上記SCTPアソシエーションから個別のeNodeBを識別し;上記モニタリング・システム・メモリの上記ネットワーク・トポロジ・リストにeNodeBエントリを作成し、上記eNodeBエントリの各々が上記S1−MMEでの固有のSCTPアソシエーションに対応することを特徴とする。
【0019】
本発明の第13態様によれば、上記第12態様の方法は、更に;上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのeNodeBエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し;各個別IPアドレスを上記ネットワーク・トポロジの特有eNodeBにリンクさせることを特徴とする。
【0020】
本発明の第14態様によれば、上記第13態様の方法は、更に;X2インタフェースに特有のメッセージを識別し;上記X2インタフェース・メッセージSCTPアソシエーション内のIPアドレスを識別し、各X2エンドポイント用のIPアドレスがeNodeBに対応し;eNodeBエンドポイントに対応するS1−MMEインタフェースIPアドレスに上記X2インタフェースIPアドレスの各々を相関させ;上記X2インタフェースIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特有eNodeBにリンクさせることを特徴とする。
【0021】
本発明の第15態様によれば、上記第1態様の方法は、更に;S5/S8インタフェースで伝送されるセッション又はベアラ・メッセージを識別し;上記S5/S8インタフェース・メッセージ内のPDN−GWエンドポイントに対応するS5/S8インタフェースIPアドレスを識別し;上記モニタリング・システム・メモリ内の上記ネットワーク・トポロジ・リストにPDN−GWノード・エントリを作成し、上記S5/S8インタフェース・メッセージ内のPDN−GWエンドポイントに対応する固有のS5/S8インタフェースIPアドレスに上記PDN−GWノードの各々が関連することを特徴とする。
【0022】
本発明の第16態様によれば、上記第1態様の方法は、更に;S5/S8インタフェースにて伝送されるセッション又はベアラ・メッセージを識別し;上記S5/S8インタフェース・メッセージ内のPDN−GWエンドポイントに対応するS5/S8インタフェースIPアドレスを識別し;上記モニタリング・システム・メモリ内の上記ネットワーク・トポロジ・リストに単一のPDN−GWノード・エントリを作成し、上記S5/S8インタフェース・メッセージ内のPDN−GWエンドポイントに対応する各固有のS5/S8インタフェースIPアドレスに上記PDN−GWノード・エントリが関連することを特徴とする。
【0023】
本発明の第17態様によれば、上記第16態様の方法は、更に;上記S5/S8インタフェース・メッセージ内のS−GWエンドポイントに対応するS5/S8インタフェースIPアドレスを識別し;各個別のS5/S8インタフェースIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特定S−GWにリンクさせることを特徴とする。
【0024】
本発明の第18態様によれば、ネットワーク・モニタリング・システムは;ネットワーク・インタフェースに結合され、上記ネットワーク・インタフェースからデータ・パケットを捕捉できる1つ以上の受動モニタリング・プローブと;上記プローブから上記捕捉されたデータ・パケットを受けるプロセッサとを備え;上記プロセッサは;上記ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットからS1−MMEインタフェースに特有のメッセージを識別し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内のGUMMEIパラメータを識別し;モニタリング・システム・メモリ内のネットワーク・トポロジ・リストに、各々が固有のGUMMEI値に対応するMMEノード・エントリを作成し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し;各固有のS1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特定MMEにリンクし;上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し;各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特定MMEにリンクさせるように動作する。
【0025】
本発明の第19態様によれば、上記第17態様の方法は、上記プロセッサが、更に;上記S6a及びS1−MMEインタフェースで伝送される認証メッセージを相関させ;上記S6aインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するS6aインタフェースIPアドレスを識別し;上記ネットワーク・トポロジ・リストの特有MMEに各個別のS6aインタフェースIPアドレスをリンクさせ;上記モニタリング・システム・メモリ内の上記ネットワーク・トポロジ・リストに単一のHSSノード・エントリを作成し、上記S6aインタフェース・メッセージ内のHSS終端に対応する全てのS6aインタフェースIPアドレスに上記単一のHSSノードが関連し;S11セッション又はベアラ・メッセージをS1−MMEインタフェースに特有の上記メッセージに相関させ;上記S11インタフェース・メッセージ内のMMEエンドポイントに対応するS11インタフェースIPアドレスを識別し;各個別のS11インタフェースIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特有MMEにリンクさせ;上記モニタリング・システム・メモリの上記ネットワーク・トポロジ・リストにS−GWノード・エントリを作成し、上記S11インタフェース・メッセージ内のS−GWエンドポイントに対応する固有のS11インタフェースIPアドレスに上記S−GWノードの各々が関連し;上記モニタリング・システム・メモリの上記ネットワーク・トポロジ・リストにeNodeBエントリを作成し、上記eNodeBエントリの各々が上記S1−MMEで固有のSCTPアソシエーションに対応することを特徴とする。
【0026】
本発明の第20態様によれば、ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットに基づいてネットワーク・トポロジを識別するために、モニタリング・システムを制御するインストラクションを含むコンピュータ読出し可能な蓄積媒体であって、上記インストラクションを実行するとき、上記インストラクションによりプロセッサが;上記ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットからS1−MMEに特有のメッセージを識別し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内にGUMMEIパラメータを識別し;モニタリング・システム・メモリのネットワーク・トポロジ・リストにMMEノード・エントリを作成し、上記MMEノードの各々が固有のGUMMEI値に対応し;上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し;各個別のS1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トランスポート・リストの特有のMMEにリンクし;上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し;各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特有のMMEにリンクさせる。
よって、一般用語で本発明を説明することにより、添付図について説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、LTE/SAEネットワーク・アーキテクチャを示すブロック図である。
【図2】図2は、ネットワーク・トポロジを判断するためにLTE/SAEネットワーク・インタフェースから捕捉したメッセージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図を参照して本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形式で実施でき、ここでの説明の実施例に限定することを意図するものではない。むしろここでの開示が詳細且つ完全になるようにこれら実施例を提供し、当業者に本発明の範囲を充分に示すものである。当業者は、本発明の種々の実施例を用いることができよう。
【0029】
図1は、LTE(ロング・ターム・エボリューション)/SAE(システム・アーキテクチャ・エボリューション)ネットワーク・アーキテクチャを示すブロック図である。LTE/SAEネットワーク技術は、高速IPベース・サービスを提供するためのモバイル・ネットワーク・エボリューションを代表する。第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)として知られているモバイル標準の規格を行う標準化団体は、無線アクセス及びコア・ネットワーク・エボリューションの両方を含むモバイル・テレコミュニケーション・システムの標準を定義している。この標準は、進化したパケット・システム(Evolved Packet System:EPS)と名付けられ、これは、UTRANアクセス・ネットワークのエボリューション、即ち、進化したUTRAN(evolved UTRAN:eUTRAN)101と、コア・ネットワークのコンカレント・エボリューション、即ち、進化したパケット・コア(Evolved Packet Core:EPC)102とを特定する。LTE及びSAEは、夫々eUTRAN101及びEPC102用に一般に用いる同義語である。
【0030】
このネットワークは、多くの異なる形式のネットワーク・ノード及びインタフェースを備えている。ノードは、例えば、進化したNodeB(enhanced NodeB:eNodeB又はeNb)103、モビリティ・マネージメント・エンティティ(Mobility Management Entity:MME)104、ホーム加入者サービス(Home Subscriber Service:HSS)105、サービング・ゲートウェイ(Serving Gateway:S−GW)106、パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(Packet Date Network Gateway:PDN−GW)107を含む。EPCドメイン内のノード間のインタフェースは、一般に「S#」と名付けられている。「X2」インタフェース(eNodeB間)及び「Uu」インタフェース(eNodeB103及びユーザ機器108の間のエア・インタフェース)は、eUTRANドメイン内である。
【0031】
EPS技術のゴールは、複数のユーザが利用可能な帯域幅を大幅に強化し、同時に、無線接続のサービス品質(QoS)を改善することである。これを達成するのに適する改良のいくつかは、例えば、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:OFDM)モジュール技術、多数入力多数出力(Multiple-Input and Multiple-Output:MIMO)アンテナ、フラット全IPネットワーク・アーキテクチャを含む。選択されたネットワーク・コンポーネントのゴールは、モバイル・ユーザによるサービス体験の改善と同時に、ネットワーク操作者用のCAPEX及びOPEXコストの低減である。
【0032】
以下のノードは、eUTRANドメイン内で動作する。ユーザ機器(User Equipment:UE)108は、端から端までのサービスの加入者エンドポイントである。UE108は、Uuインタフェースを介して無線経路のeNodeB103と通信をする。eNodeB(103)は、UE108への無線経路を管理し、物理的な無線の確立、無線リンク制御、媒体アクセス制御機能をホストする。eNodeB103は、無線リソース制御(radio resource control:RRC)無線経路に向かうデータの暗号化及び解読を行い、無線リソース承認及び管理を扱う。
【0033】
以下のノードは、EPCドメイン内で動作する。MME104は、UE108からの/への非アクセス層(non access stratum:NAS)制御プレーン・メッセージの管理に関与するノードである。さらに、MME104は、ユーザ・プレーン・トラフィック用のS−GWの選択に影響を与え、LTE/SAEでのハンドオーバと調和させ、認証及びセキュリティ手順のためにHSS105への必要な接続を確立する。MME104は、UE108へのベアラ割り当ても調和させる。HSS105には、3GHLR(ホーム・ロケーション・レジスタ)と類似の役目がある。HSS105は、加入者プロファイル及び加入者データ、加入者識別名(例えば、インターナショナル・モバイル加入者アイデンティティ(International Mobile Subscriber Identity:IMSI)及びモバイル加入者統合サービス・デジタル・ネットワーク番号(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number:MSISDN))、加入者認証及びセキュリティ・データを維持する。HSS105は、MME104から来る手順をアップデートするUE108ロケーション用のエンドポイントである。S−GW106は、eNodeBノード103からのユーザ・プレーン接続のエンドポイントである。複数のeNodeB103の間のUEハンドオーバの場合、S−GW106は、ユーザ・プレーン接続用のアンカーである。S−GW104は、課金機能及びQoSDiffServハンドリングも管理する。PDN−GW(107)は、インターネット109の如き外部PDNネットワークをEPCの間のインタフェースに提供するネットワーク・ノードである。
【0034】
LTE/SAEネットワークの如く複雑なシステムにおいて、ネットワーク性能の測定、ネットワーク動作の故障修理、及びネットワーク・サービス動作の制御のタスクは、ネットワーク操作者にとって非常に異なる。新たなネットワーク技術の導入及び開発などのネットワークの進化により、ネットワーク測定、故障修理及び制御が更に不安定となり、更なる問題が生じる。これらタスクを実行するために、ネットワーク操作者は、外部モニタリング・システムをしばしば用いる。これらモニタリング・システムは、典型的には、非侵入モードでネットワークに接続されており、ネットワーク・インタフェースからのデータを傍受し、そのデータを処理し、測定及びレポートを提供できる。これは、そのネットワークを管理するために、ネットワーク操作者にとって助けとなる。故障修理及び最適化を目的として、加入者が利用するサービスを詳細に分析し、ネットワーク動作に関する情報を収集するために、モニタリング・システムは、典型的には、UEのアクティビティを追跡する必要がある。
【0035】
モニタリング・システム110は、LTE/SAEネットワーク内のリンクに結合されて、ネットワーク内の1つ以上のインタフェースからのシグナリング・データを受動的にモニタし収集する。モニタリング・システム110は、ユーザ・プレーンを収集し、EPC及びeUTRANインタフェースからのプレーン・データを制御する。これらインタフェースには、例えば、MME104で終端するS1−MME、S6a、S10及びS11インタフェースや、eNodeB103で終端するS1−MME及びX2インタフェースや、S−GW106で終端するS11、S1−U及びS5/S8インタフェースが含まれる。ネットワーク内の他のインタフェース又はリンクのいくつか又は全てもモニタリング・システム110によりモニタされることが理解できよう。モニタリング・システム110は、一実施例において、1つ以上のソフトウェア・アプリケーションを実行する1つ以上のプロセッサを備える。これらソフトウェア・アプリケーションは、eUTRAN101及びEPC102からのデータ・パケット及びプロトコル・データ・ユニット(PDU)を収集し、相関させ、分析する。
【0036】
モニタリング・システム110は、プロトコル・アナライザ、セッション・アナライザ及び/又はトラフィック・アナライザ機能を組み込んでいる。この機能は、ネットワークでのリンク、ノード、アプリケーション及びサービスによるIPトラフィックを特徴付けることによって、OSI(オープン・システム・インターコネクション)階層2から階層7の故障修理を行う。かかる機能は、例えば、テクトロニクス社製のアイリス・アナライザ・ツールキット・アプリケーション及びSpIprobeを含むGeoProbe G10プラットホームにより提供できる。単一のモニタリング・システム・プローブを図1に示すが、これは、簡略化のためであり、相互接続された任意の数のモニタリング・システム・プローブをLTE/SAEネットワーク内の1つ以上のインタフェースに結合できることが理解できよう。単一のモニタリング・プローブが特有のインタフェースからのデータを捕捉し、又は、2つ以上のプローブが1つのインタフェースに結合される。
【0037】
高帯域幅IPトラフィックを扱うのに最適化された高速高密度プローブの如きパケット捕捉装置を介して、モニタリング・システム110がネットワーク・インタフェースに結合される。モニタリング・システム110は、ネットワークの動作に干渉することなく、インタフェースからのメッセージ・トラフィックを受動的に捕捉する。サービス・プロバイダ又はネットワーク操作者は、ユーザ・インタフェース・ステーション111を介してモニタリング・システム110からのデータにアクセスする。モニタリング・システム110は、更に内部又は外部のメモリ112を有し、捕捉したデータ・パケット、ユーザ・セッション・データ、コール記録構成情報、及びソフトウェア・アプリケーション・インストラクションを蓄積する。モニタリング・システム110は、ネットワーク・インタフェースでのパケット関連の特定データ・セッションを捕捉し相関させる。一実施例において、5組のアソシエーション・メカニズムを用いて関連パケットを相関できる。5組のアソシエーションは、5つの部分から成るIP相関キーを用いる。これら5つの部分は、サーバーIPアドレス、クライアントIPアドレス、発信元ポート、宛先ポート、及び階層4プロトコル(TCP又はUDP又はSCTP)である。ネットワークでの特有のフロー、セッション又はコール用の記録に、関連パケットを組み合わせることができる。
【0038】
別の実施例において、モニタリング・システム110は、例えばMME104の如きEPCノードに常駐し、ノードに又は外に向かうデータ・パケットを捕捉するソフトウェア・エージェントの如きアクティブ・コンポーネントである。
【0039】
一般に、モニタリング・システムは、以下の処理を実行して、LTE/SAEネットワーク・ノードを識別しリンクさせる。MMEにとって、モニタリング・システムは、GUMMEIパラメータを用いて、個別のMMEを固有に識別する。次に、モニタリング・システムは、MME及びeNodeBの間のS1−MMEインタフェースと、MME及びHSSの間のS6aインタフェースとで、MMEに関連したSCTPアソシエーションを識別し、グループ化する。また、モニタリング・システムは、MME及びS−GWの間のS11インタフェース用のMMEでのIPアドレスも識別する。eNodeBに対して、モニタリング・システムは、S1−MMEインタフェースと、複数のeNodeBの間のX2インタフェースとで、各eNodeBに属するSCTPアソシエーションを識別しグループ化する。HSSに対して、モニタリング・システムは、各MMEに関連するHSSに属するSCTPアソシエーションを識別しグループ化する。S−GWに対して、モニタリング・システムは、S11インタフェース及びS5/S8インタフェース用のS−GWでのIPアドを識別する。PDN−GWに対して、モニタリング・システムは、S5/S8インタフェース用のPDN−GWでのIPアドレスを識別する。
【0040】
いくつかの異なるインタフェース形式の中から選択された多くの個別のインタフェースに各MMEが接続されるため、MME検出処理が複雑である。これらインタフェースの各々で、MMEは、異なる組合せのIPアドレスを用いる。モニタリング・システムは、これら異なるインタフェースを適切なMMEに相関させなければならない。MME検出処理を次のステップに分割できる。
固有のGUMMEIパラメータにより個別のMMEノードを作成する。
各S1−MMEインタフェースを特定のMMEにグループ化する。
S1−MMEIPアドレスを特定のMMEインタフェースにグループ化する。
各S6aインタフェースを特定のMMEにグループ化する。
各S11インタフェースを特定のMMEにグループ化する。
【0041】
GUMMEI(Globally Unique MME Identifier:グローバルに固有なMME識別子)パラメータを用いて、特定のMMEを識別できる。GUMMEIは、モバイル・カントリー・コード(MCC)、モバイル・ネットワーク・コード(MNC)及びMME識別子(MMEI)から構成される。MMEIは、更に、MMEグループID(MMEGI)及びMMEコード(MMEC)に分解できる。GUMMEIパラメータは、LTE/SAEネットワーク内の各MMEを固有に識別する。ネットワーク・アクセス期間中、サービングMMEは、グローバルな固有の一時的識別子(Globally Unique Temporary Identity:GUTI)を各UEに割り当てる。GUTI識別子を用いることにより、無線アクセス・リンクを介してUEパラメータ・アイデンティティ(即ち、そのインターナショナル・モバイル加入者アイデンティティ、即ち、IMSI)を交換する必要がなくなる。GUTIは、2つの要素、即ち、GUMMEI及びMME一時的モバイル加入者アイデンティティ(MME Temporary Mobile Subscriber Identity:M−TMSI)から構成される。GUMMEIは、GUTIを割り当てたMMEを識別する。M−TMSIは、MMEに関連した特定のUEを識別する。S1APのトップにて伝送されるメッセージの如きいくつかのEPS非アクセス階層(Non Access Stratum:NAS)にてGUTIが伝送される。表1は、GUTIに含まれるパラメータを示す。
【0042】
【表1】

【0043】
モニタリング・システムは、GUTIパラメータを伝送するメッセージを分析し、GUTI内のGUMMEIパラメータを識別できる。GUMMEIは、次に、特定のMMEに割り当てられる。例えば、モニタリング・システムは、S1APイニシャルUE及びS1APダウンリンクNASトランスポート・メッセージを捕捉し分析して、GUTIを識別する。EPSNASアタッチ要求を伝送するS1APイニシャルUEメッセージは、UE用の古いGUTIを含む。この古いGUTIは、UEがアタッチされる最終MMEにより割り当てられたIDである。古いGUTIを割り当てたMMEは、UEが現在アタッチされているMMEと異なる。GUTIが現在のMME又は古いMMEに属するかを判断するために、アタッチ要求メッセージ単独での分析では不十分である。アタッチ要求にて送られた古いGUTIが異なるMMEに属しているならば、EPSNASアタッチ・アクセプトを伝送するS1APダウンリンクNASトランスポート・メッセージは、新たなGUTI(現在のMME用)を含んでいる。新たなGUTIは、このメッセージにてオプションである。
【0044】
モニタリング・システムは、GUTIを識別するのに、少なくとも2つの異なる解決策を用いる。1つは、モニタリング・システムが、新たなGUTIを伝送するアタッチ・アクセプト・メッセージのみを分析する。アタッチ・アクセプト・メッセージが新たなGUTIを伝送しないと、そのメッセージが無視される。代わりに、モニタリング・システムは、アタッチ要求及びアタッチ・アクセプト・メッセージの両方を分析し相関させる。アタッチ・アクセプト・メッセージが新たなGUTIを伝送しないと、アタッチ要求メッセージからの古いGUTIを用いてMMEを識別する。両方のメッセージを分析することは、より確固とした解決策を提供し、アタッチ・アクセプト・メッセージを分析するのみよりも非常に高速な検出を提供する。
【0045】
アタッチ要求及びアタッチ・アクセプト・メッセージを用いる他に、トラッキング・エリア・アップデート(TAU)要求及びTAUアクセプト・メッセージも類似の方法で分析できる。TAU要求メッセージは、eNodeBからMMEに送られ、UEがアタッチされる最終MME用のGUTIを含む。TAUアクセプト・メッセージは、再配置されれば、MMEからeNodeBに送られ、GUTIを含む。
【0046】
時間と伴にこの処理を用いることにより、モニタリング・システムは、ネットワークで使用されるGUMMEIを識別しなければならない。モニタリング・システムは、各特有のGUMMEI用のネットワーク・トポロジ・マップに新たなMMEノードを作成できる。モニタリング・システムは、この方法で全ての既存のMMEノードを最終的に識別しなければならない。
【0047】
MMEノードが識別されると、モニタリング・システムは、各S1−MMEインタフェースを識別し、既存のMMEの1つにグループ化する。GUMMEIパラメータを識別するとき、GUMMEIを伝送するアタッチ要求/アタッチ・アクセプト・メッセージのSCTPアソシエーションは、GUMMEI値自体を有するMMEと共にMMEに関連する。各SCTPアソシエーションは、単一のS1−MMEインタフェースを表す。GUMMEIアサイメント・ロジックを繰り返して、同じGUMMEIを伝送する異なるSCTPアソシエーションを識別する。モニタリング・システムは、全ての識別したS1−MMEインタフェース及びSCTPアソシエーションを、検出したMMEの1つに割り当てる。
【0048】
S1−MMEインタフェースを上述のように検出するとき、SCTPアソシエーションのエンドポイントの1つのIPアドレスがMMEに関連する。これは、アタッチ要求が常にアップリンク・メッセージ(即ち、UEからMMEへ)であり、アタッチ・アクセプトが常にダウンリンク・メッセージ(即ち、MMEからUEへ)であるという事実を用いている。よって、アタッチ要求メッセージの宛先IPアドレスと、アタッチ・アクセプト・メッセージの発信元IPアドレスとは、MMEに関連する。
【0049】
EPSにおいて、MMEを一緒にプールすることができ、MMEプールがeNodeB、HSS及びSGWノードをサービスできる。同じMCC、MNC及びMMEGIパラメータを共有する任意のMMEをグループ化することにより、MMEプールを識別できる。
【0050】
HSSへのS6aインタフェース用にMMEが用いるIPアドレスは、eNodeBへのS1−MMEインタフェースでMMEが用いるIPアドレスを共有しない。S6aインタフェースを特定のMMEに結びつけるために、S1−MME及びS6aインタフェースを相関させなければならない。いくつかのオプションの内の1つを用いて、相関を達成できる。
【0051】
第1に、モニタリング・システムは、(S1−MMEインタフェースでの)S1認証要求メッセージ内のRAND+AUTNパラメータを用い、これを(S6aインタフェースでの)AIAメッセージ内のRAND+AUTNパラメータに一致させる。この技術により生じる1つの問題は、MMEがHSSからのS6aインタフェースを介した認証ベクトルをプリフェッチできることである。MMEは、S1認証要求内の認証ベクトルを直ちに使用することができない。その結果、RAND+AUTNの一致が可能になる前に時間遅延がある。第2に、モニタリング・システムは、S1アタッチ要求からのIMSIパラメータを用い、それをS1認証要求に相関させ、それをS6AインタフェースでのAIAメッセージ内のIMSIと一致させることができる。IMS1は、S6AAIR/AIAメッセージで強制だか、IMSIは、S1APでオプションであり、ほとんどの場合、S1APのみがGUTIを用いる。このため、このオプションをサポートするために、GUTI−IMSI追跡が必要である。A1AメッセージがMMEに相関すると、AIAを伝送するSCTPアソシエーションの宛先IPアドレスを既知のMMEIPアドレスのリストに追加できる。
【0052】
各MMEは、任意のHSSによりS6aインタフェースで手順を開始できる。提案する検出ロジックにより、モニタリング・システムのトポロジ・マップでの多数のIPアドレスにより、ネットワーク内の全てのHSSノードは、単一のHSSノードに組合される。これは、いくつかのサービス・プロバイダが、異なるIPアドレスを表す多数のカードにより単一のボックスとしてHSSを構成するため、許容できる。
【0053】
MME用に上述したS6aインタフェース検出メカニズムを用いて、HSSノードのIPアドレスを検出できる。AIAを伝送するSCTPアソシエーションの発信元IPアドレスを用いて、HSS用のIPアドレスを識別できる。モニタリング・システムは、1つのMME当たりたった1つのHSSノードの最大値を作成しマップできる。1つのHSSノードは、多数のMMEをサービスできる。
【0054】
モニタリング・システムは、S11インタフェースの各々を特有のMMEにグループ化もできる。S11インタフェース用のMMEが用いるIPアドレスは、S1−MMEインタフェースでMMEが用いるIPアドレスのプールを共用しない。S11インタフェースを特有のMMEに結びつけるために、S1−MME及びS11インタフェースを相関しなければならない。この相関は、S1APイニシャルUEメッセージからIMSI値を抽出して達成でき、クリエート・セッション要求又はモディファイ・ベアラ要求(Modify Bearer Request)メッセージの如きS11インタフェース・メッセージから捕捉したIMSIにその値を一致させる。S11クリエート・セッション要求又はS11モディファイ・ベアラ要求メッセージが特有のMMEに相関されると、S11メッセージの発信元IPアドレスをMMEIPアドレスのリストに追加する。S11クリエート・セッション応答及びS11モディファイ・ベアラ応答をメッセージの夫々の要求に相関できる。要求/応答メッセージの場合におけるメッセージから抽出された宛先IPアドレスは、異なるIPアドレスに進む。
【0055】
上述のメカニズムを用いて、検出されたS11インタフェースを組合せることによりS−GWノードを検出する。同じS−GWIPアドレスを共有するS11インタフェースを1つの単一S−GWノードに組合せる。1つのS−GWが多数のMMEをサービスできるので、モニタリング・システムは、一実施例において、1つのMME当たりたった1つのSGWノードを作成する。
【0056】
S1−MMEインタフェースを用いて、eNodeBを検出できる。各eNodeBは、対応するMMEに対してたった1つのSCTPアソシエーションを有する。S1−MMEインタフェースを識別すると、モニタリング・システムがeNodeBを作成できる。IPアドレスをeNodeBに割り当てることができる。S1−MMEインタフェースを検出するとき、SCTPアソシエーションのエンドポイントの1つのIPアドレスがMMEに関連し、他がeNodeBに対応する。上述のように、アタッチ要求が常にアップリンク・メッセージ(即ち、UEからMMEへ)であり、アタッチ・アクセプトが常にダウンリンク・メッセージ(即ち、MMEからUEへ)である。よって、アタッチ要求メッセージの発信元IPアドレスとアタッチ・アクセプト・メッセージの宛先IPアドレスは、eNodeBに関連する。
【0057】
S1APアップリンク・ダイレクト・トランスファ・メッセージを分析することにより、グローバルeNodeB識別子をeNodeBに割り当てることができる。このメッセージは、強制フィールドとしてECGI(E-UTRAN Cell Global Identifier:E−UTRANセル・グローバル識別子)を有する。MCC、MNC及びECI(E-UTRAN Cell Identifier:E−UTRANセル識別子)からECGIを構成する。ECGIは、それが属するセルとeNodeBを識別する。ECGIは、PLMNアイデンティティ+セル・アイデンティティ(28ビット)を備える。セル・アイデンティティの左端からの20ビットがeNodeBを識別する。よって、LTE/SAEネットワーク内でグローバルにeNodeBを区別するのに用いることができる固有のeNodeBアイデンティティ(グローバルeNodeBId)は、PLMNアイデンティティ+セル・アイデンティティの左端から20ビットとして作成できる。eNodeB内のセルは、全体のECGIにより識別できる。
【0058】
eNodeBは、X2インタフェースを介して互いに通信できる。接続された互いのeNodeBへのX2インタフェースを介して、各eNodeBがたった1つのSCTPアソシエーションを有する。X2インタフェース検出は、2つの異なる方法で達成できる。第1に、S1−MMEインタフェース及びX2インタフェース用の同じIPアドレスをeNodeBが共有すると、モニタリング・システムは仮定できる。よって、S1−MMEインタフェースがeNodeBに結ばれると、X2インタフェースは、共通eNodeBIPアドレスを用いることにより、同じeNodeBにも結ぶことができる。X2インタフェースを識別する第2オプションは、発信元eNodeBのグローバルeNodeBIdを含むX2セットアップ要求メッセージをモニタし、ターゲットeNodeBのグローバルeNodeBIDを含むX2セットアップ応答メッセージをモニタすることである。上述の如く、グローバルeNodeBが既に検出され且つ割り当てられているので、これらのグローバルeNodeBIdが識別した2つのeNodeBの間でX2インタフェースを検出できる。
【0059】
MMEへのS11インタフェース用のS−GWが用いるIPアドレスは、PDN−GWへのS5/S8インタフェースで用いるIPアドレスの同じプールを共有しない。S5/S8インタフェースを特有のS−GWに結ぶために、S5/S8及びS11の間の相関が必要である。S11クリエート・セッション要求又はS11モディファイ・ベアラ要求メッセージから捕捉したIMSIを抽出し、IMSIをS5/S8クリエート・セッション要求メッセージと一致させることにより、この相関を達成できる。次に、S5/S8クリエート・セッション要求の発信元IPアドレスをS−GWに関連させることができる。
【0060】
S−GWへのS5/S8インタフェースから捕捉したメッセージを用いて、PDN−GWノードを検出できる。S5/S8クリエート・セッション要求及びS5/S8モディファイ・ベアラ要求メッセージの宛先IPアドレスをPDN−GWに関連させることができる。1つのS−GWは、多数のPDN−GWに接続できる。多数のPDN−GWを検出するために、単一のPDN−GWノードとして、各固有のPDN−GWIPアドレスを検出する。S5/S8クリエート・セッション要求内のAPN(アクセス・ポイント・ネーム)が抽出され、アトリビュートとしてPDN−GWノードに関連させる。1つのPDN−GWノードは、アトリビュートとして多数のAPNを有することができる。同じAPNが2つの異なるPDN−GWに現れると、これらPDN−GWが1つのノードに組合される。
【0061】
S11クリエート・セッション要求メッセージによりコールの流れを観察することによって、既存のPDN−GWではなく新たなPDN−GWにS−GWが接続しているとモニタリング・システムが推測できる。非ゼロのTEID(Tunnel Endpoint Identifier:トンネル・エンドポイント識別子)を有するS11クリエート・セッション要求メッセージが、ゼロのTEIDを有するS5/S8クリエート・セッション要求メッセージをトリガすると、UEが2つ以上のPDN−GWに接続する。
【0062】
図2は、ネットワーク・トポロジを決定するためにLTE/SAEネットワーク・インタフェースから捕捉したメッセージを示す。MME201は、S1−MMEインタフェースを介してeNodeB202に結合され、S6aインタフェースを介してHSS203に結合される。eNodeB202は、エア・インタフェースUuを介してUE204と通信する。モニタリング・システム・プローブ205は、S1−MME及びS6aインタフェースに結合され、一実施例において、MME201に送られ及びMME201から送られたPDUを受動的に捕捉する。簡略化のためにわずか1つのMME201を図2に示すが、モニタリング・システム・プローブ205は、任意の数のS1−MMEと、任意の数のMME、HSS及び他のノードと関連した他のインタフェースとに結合できることが理解できよう。
【0063】
捕捉されたメッセージ内のデータを用いて、モニタリング・システム・プローブ205は、アクティブなMMEを識別する。例えば、モニタリング・システム・プローブ205がS1−MMEインタフェースでのUE204からのアタッチ要求メッセージ206を捕捉するとき、このプローブは、GUTIパラメータ207を識別する。メッセージ206内のGUTIパラメータは、UE204が関連した最終MMEに関連する。これがMME201又は他のMMEである。モニタリング・システム205は、MME201からのアタッチ・アクセプト・メッセージ208も捕捉する。このプローブは、現在のMME201に関連するGUTIパラメータ209を識別する。しかし、GUTI209がオプションであるので、モニタリング・システム205は、関連メッセージ206及び208を相関させ、もし存在するならば、GUTI207及びGUTI209を比較して、これらが同じ又は異なるMMEMかを判断する。GUTI209が存在しなければ、モニタリング・システムは、GUTI207を用いる。必要ならば、GUTI209又はGUTI207を用いて、モニタリング・システムは、GUMMEIパラメータを抽出し、それが新たな値ならば、それをネットワーク内の新たなMMEに割り当てる。
【0064】
メッセージ206及び208用のSCTPアソシエーションは、GUTI209又は207にて識別された新たなMMEに関連する。さらに、SCTPアソシエーションの1つの終わりに関連するIPアドレスは、MMEにリンクされる。例えば、メッセージ206内の宛先IPアドレス210及びメッセージ208用の発信元IPアドレス211は、S1−MMEインタフェースのMME201エンドポイントを識別する。よって、アタッチ要求/アタッチ・アクセプト・メッセージを捕捉し分析することにより、モニタリング・システムは、ネットワーク内の全てのアクティブなMMEを識別し、特定のSCTPアソシエーション及び特定のS1−MMEインタフェースIPアドレスをMMEの特有の1つにリンクできる。
【0065】
モニタリング・システム・プローブ205は、HSS203へのS6aインタフェースでのメッセージも捕捉する。UE204用の認証及びキー・アグリーメント(AKA)手順の期間中、AIAメッセージ212及び認証要求213を他のメッセージの間で交換する。これらメッセージは、同じAKA手順に関係するが、これらは、異なるインタフェース(即ち、S1−MME及びS6a)での異なるIPアドレスである。しかし、RAND+AUTN組合せ214又はIMSI215nの如きパラメータを用いて、212及び213メッセージを相関できる。メッセージ213用のSCTPアソシエーションをMME201にリンクできる。さらに、メッセージ212及び213を伝送するSCTPアソシエーションのMMEエンドポイント用のIPアドレスをMME201にリンクできる。
【0066】
MME201は、S11インタフェースを介してS−GW216にも結合される。モニタリング・システム・プローブ205をS11インタフェースに結合して、MME201及びS−GW216の間で交換されたPDUを捕捉する。クリエート・セッション要求217、モディファイ・ベアラ要求218及びこれら各々の応答メッセージの如きメッセージは、S11インタフェースを介して交換される。S11メッセージは、例えば、S1APイニシャルUEメッセージからのS1−MMEインタフェースで捕捉されたIMSIに相関されたIMSIパラメータを含む。特有のS1−MMEに相関されると、メッセージ217及び218用の発信元IPアドレスをMME用のIPアドレスのリストに追加できる。同様に、対応応答メッセージ(図示せず)における宛先IPアドレスもMMEにリンクされる。
【0067】
図2に示すようにメッセージを捕捉することにより、モニタリング・システム・プローブは、ネットワーク内の任意のアクティブなMMEを識別し、表2に示すようなMMEパラメータのリスト、表又はデータベースを作成できる。
【0068】
【表2】

【0069】
同様な方法で、図2に示すメッセージを用いて、モニタリング・システムは、個別のeNodeB、HSS、S−GW及びPDN−GWノードを識別できる。例えば、eNodeB及びMMEの間には1つのSCTPアソシエーションのみがある。モニタリング・システムがMME用のSCTPアソシエーションを識別すると、これは、そのアソシエーションの他のエンドポイント及びそのIPアドレスにてeNodeBを識別できる。モニタリング・システムは、互いにリンクされたIPアドレス、アソシエーション、インタフェース及び識別子のデータベース、テーブル又はリストも作成できる。
【0070】
本発明の多くの変更及び他の実施例が当業者には想定され、本発明は、上述及び添付図に示す利点を有する。よって、本発明は、開示した特定実施例に限定されないことを理解すべきである。特定の用語をここでは用いたが、これらは、汎用且つ説明のためのみであり、限定の目的ではない。
【符号の説明】
【0071】
101:進化したUTRAN(eUTRAN)
102:進化したパケット・コア(EPC)
103:強化したNodeB(eNodeB又はeNb
104:モビリティ・マネージメント・エンティティ(MME)
105:ホーム加入者サービス(HSS)
106:サービス・ゲートウェイ(S−GW)
107:パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(PDN−GW)
108:ユーザ機器(UE)
109:インターネット
110:モニタリング・システム・プローブ
111:ユーザ・インタフェース・ステーション
112:内部又は外部メモリ
201:MME
202:eNodeB
203:HSS
204:UE
205:モニタリング・システム・プローブ
206:アタッチ要求メッセージ
207:GUTI
208:アタッチ・アクセプト・メッセージ
209:GUTI
210:宛先IPアドレス
211:発信元IPアドレス
212:AIAメッセージ
213:認証要求
214:RAND+AUTN組合せ
215:ISMI
216:S−GW
217:クリエート・セッション要求
218:モディファイ・ベアラ要求

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークのトポロジを識別する方法であって、
ネットワーク・インタフェースからのデータ・パケットをモニタリング・プローブにより捕捉し、
S1−MMEインタフェースに特有なメッセージを識別し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内のGUMEIパラメータを識別し、
モニタリング・システム・メモリ内でネットワーク・トポロジ・リストにMMEノード・エントリを作成し、上記MMEノードの各々が固有のGUMMEI値に対応し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し、
各個別S1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特有のMMEにリンクさせ、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し、
各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リスト内の特有のMMEにリンクさせる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ネットワーク・インタフェースに結合され、上記ネットワーク・インタフェースからデータ・パケットを捕捉できる1つ以上の受動モニタリング・プローブと、
上記プローブから上記捕捉されたデータ・パケットを受けるプロセッサとを備え、
上記プロセッサは、
上記ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットからS1−MMEインタフェースに特有のメッセージを識別し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内のGUMMEIパラメータを識別し、
モニタリング・システム・メモリ内のネットワーク・トポロジ・リストに、各々が固有のGUMMEI値に対応するMMEノード・エントリを作成し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し、
各固有のS1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特定MMEにリンクし、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し、
各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特定MMEにリンクさせるように動作する
ことを特徴とするネットワーク・モニタリング・システム。
【請求項3】
ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットに基づいてネットワーク・トポロジを識別するために、モニタリング・システムを制御するインストラクションを含むコンピュータ読出し可能な蓄積媒体であって、上記インストラクションを実行するとき、上記インストラクションによりプロセッサが、
上記ネットワーク・インタフェースから捕捉したデータ・パケットからS1−MMEに特有のメッセージを識別し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージ内にGUMMEIパラメータを識別し、
モニタリング・システム・メモリのネットワーク・トポロジ・リストにMMEノード・エントリを作成し、上記MMEノードの各々が固有のGUMMEI値に対応し、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージに対応するSCTPアソシエーションから個別のS1−MMEインタフェースを識別し、
各個別のS1−MMEインタフェースを上記ネットワーク・トランスポート・リストの特有のMMEにリンクし、
上記S1−MMEインタフェース・メッセージを伝送する上記SCTPアソシエーションのMMEエンドポイントに対応するIPアドレスを識別し、
各個別のIPアドレスを上記ネットワーク・トポロジ・リストの特有のMMEにリンクさせる
ことを特徴とするコンピュータ読出し可能な蓄積媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−156988(P2012−156988A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−278463(P2011−278463)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】