ネットワークケーブルとネットワークケーブルの製造方法
【課題】ネットワークケーブルの生産性を向上させるため、特にケーブルコネクタの取付作業を改善するため、検討した。
【解決手段】ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタ70を取り付けて構成されるネットワークケーブル80において、ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロック60を形成し、ケーブルコネクタ70のソケットに前記ブロック60を差し込んで、前記ケーブルコネクタ70のコネクタプラグ701を電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグ701と電線の芯線とを導通させるネットワークケーブル80である。
【解決手段】ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタ70を取り付けて構成されるネットワークケーブル80において、ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロック60を形成し、ケーブルコネクタ70のソケットに前記ブロック60を差し込んで、前記ケーブルコネクタ70のコネクタプラグ701を電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグ701と電線の芯線とを導通させるネットワークケーブル80である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークケーブルとネットワークケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークケーブル(LANケーブル)は、例えばツイストペアケーブルの両端にネットワークケーブル用コネクタ(RJ-45型8極コネクタ。以下、ケーブルコネクタと略する。)を接続して、構成される。ツイストペアケーブルは、電気的に対となる電線を2線毎に拠り合わせた構成で、近年のネットワークケーブルには4対8線のツイストペアケーブルが用いられる。ツイストペアケーブルは、電磁シールド(アルミシールド、ネット被覆シールド等)が施されたSTP(Shielded Twisted Pair)と、電磁シールドが施されていないUTP(Unshielded Twisted Pair)との2種類がある。こうしたネットワークケーブルは、例えば特許文献1に見られるように、ケーブルシースを剥いで露出させた各ツイストケーブルの電線を所定並び順に揃えてコネクタ端から差し込み、コネクタプラグ(接続端子)を電線に突き刺して電線シースを破り、コネクタプラグを拠り芯線又は単芯線と電気的に接触させて、作られる。
【0003】
【特許文献1】実全昭63-079077号公報(第4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、一般家庭や中小企業でもネットワークが構築されるようになり、ネットワークケーブルの需要量が増加している。しかし、上述したように、ネットワークケーブルの製造はケーブルコネクタの取付の自動化が難しいため、未だ手作業に頼っており、供給量を増やしにくい状況にある。とりわけ、次代の高速ネットワークに用いられるカテゴリ7対応のネットワークケーブルは、ツイストペアケーブルが太く(7.4mm)、内蔵される電線も太い(1.35mm)ため、手作業によるケーブルコネクタの取付に手間が掛かる問題が指摘されている。そこで、ネットワークケーブルの生産性を向上させるため、特にケーブルコネクタの取付作業を改善するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検討の結果開発したものが、ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルにおいて、ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロックを形成し、ケーブルコネクタのソケットに前記ブロックを差し込んで、前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させるネットワークケーブルである。
【0006】
ここで、ブロックは、電線を横並びに保持する扁平部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグが位置するソケットの奥側まで差し込まれる電線部と、電線を束ねて保持する肉厚部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグから離れたソケットの手前側に嵌合される本体部とから構成されることが好ましい。この場合、ソケットは、係合突起を有し、ブロックは、前記係合突起に対応する係合凹部を設け、ソケットにブロックを差し込んだときに前記係合突起を係合凹部に係合させてブロックの抜け止めを図るようにすると、より好ましい。
【0007】
本発明のネットワークケーブルは、次の製造法によって製造される。すなわち、ケーブル処理工程:ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させる工程、治具装着工程:所定並び順で横並びに揃えた電線を前記横並び状態で保持する治具に挿通する工程、成形準備工程:前記治具を位置決め基準としてツイストペアケーブルを金型に位置固定する工程、ブロック成形工程:前記金型に樹脂を流し込み、ツイストケーブルの端部に電線を一体に包むブロックを形成する工程、コネクタ取付工程:前記ブロックをケーブルコネクタのソケットに差し込む工程、圧着工程:前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させる工程を順に実施して、本発明のネットワークケーブルを製造する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルを、前記ツイストペアケーブルの端部に形成するブロックを、ケーブルコネクタのソケットに差し込む手順で容易に製造できるようにする効果を有する。これは、特に太いカテゴリ7対応のネットワークケーブルを製造する場合の利点となる。また、本発明は、ブロックを規格化された大きさ及び形状としながら、ケーブルコネクタのみを変更することにより、ネットワークケーブルの規格変更にも容易に対応できる効果も有する。更に、ツイストペアケーブルの端部に形成するブロックそのものをケーブルコネクタの代替部位として利用することもでき、ネットワークケーブルの新たな規格をもたらす効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本願発明に基づくネットワークケーブル80の製造手順を表わしたフローチャート、図2〜図13は製造手順における各工程を表したツイストペアケーブル20又はネットワークケーブル80の斜視図であり、図2はケーブル処理工程のケーブル裁断手順1におけるツイストペアケーブル20、図3はケーブル処理工程のシース剥離手順2におけるツイストペアケーブル20、図4はケーブル処理工程のネット処理手順3におけるツイストペアケーブル20、図5はケーブル処理工程のシールド処理手順4におけるツイストペアケーブル20、図6はケーブル処理工程の電線配列手順5におけるツイストペアケーブル20、図7は治具装着工程の治具装着手順6におけるツイストペアケーブル20、図8は治具装着工程の電線切除手順7におけるツイストペアケーブル20、図9は成形準備工程及びブロック成形工程の成型手順8におけるツイストペアケーブル20、図10は成形準備工程及びブロック成形工程の電線手直し手順9におけるツイストペアケーブル20、図11はコネクタ取付工程のコネクタ取付手順10におけるツイストペアケーブル20、図12はコネクタ取付工程の圧着手順11におけるネットワークケーブル80、そして図13は完成されたネットワークケーブル80をそれぞれ表わしている。
【0010】
本例は、特に本発明の適用により製造手順が容易化されるカテゴリ7対応のツイストペアケーブル20からネットワークケーブル80を製造する例である。本発明の製造手順は、図1に見られるように、ケーブル処理工程、治具装着工程、成形準備工程、ブロック成形工程(図1中は一連の成形準備工程及びブロック成形工程と表記)、コネクタ取付工程、そして圧着工程を経るが、各工程は更に具体的な手順として、ケーブル裁断手順1、シース剥離手順2、ネット処理手順3、シールド処理手順4、電線配列手順5、治具装着手順6、電線切除手順7、成型手順8、電線手直し手順9、コネクタ取付手順10、そして圧着手順11に分けることができる。
【0011】
具体的には、まず図2〜図6に見られるように、ケーブル処理工程として、ツイストペアケーブル20を適切な長さに切り分け(ケーブル裁断手順1)、ツイストペアケーブル20の端部におけるケーブルシース21を取り外し(シース剥離手順2)、被覆ネット22を露出させる。そして、被覆ネット22を取り除き(ネット処理手順3)、最後に各電線24を覆うアルミシールド23も取り外して(シールド処理手順4)、電線24を露出させる。そして、電線24を所定並び順に配列したら、電線24を切り揃える(電線配列手順5)。電線24を切り揃えるのは、後述する治具30の孔31に各電線24を挿通しやすくするためで、電線24の端面は所定角度、例えば30度に切り揃えるとよい。本例の治具30は、特に太いカテゴリ7対応のツイストペアケーブル20の各電線24を所定並び順に配列するため、孔31が上下二段、互い違いに設けられているが、通常の太さのツイストペアケーブルの場合、各孔は一列に並べて設けてもよい。
【0012】
次に、図7及び図8に見られるように、所定並び順に配列した電線24を順番に治具30に挿通する(治具装着手順6)。治具30には、所定並び順に配列した電線24に対応して、複数の孔31が横並びに設けられている。各電線24は、前記孔31それぞれに挿通して治具30から突出させ、前記治具30からはみ出す電線24のはみ出し部分を、例えばはさみ40により治具30の側面に沿って切り揃える(電線切除手順7)。電線24のはみ出し部分を切除するのは、治具30を装着したツイストペアケーブル20の端部を金型に挿入できるようにするためである。
【0013】
こうして、電線24を治具30に挿通し、余分にはみ出た電線24を切り揃えた後、図9及び図10に見られるように、治具30を位置決め具として利用し、ツイストペアケーブル20を金型50に挿入し、ツイストペアケーブル20の端部にブロック60を射出成型する(成型手順8)。本例のブロック60は、電線を横並びに保持する扁平部分の電線部601と、後述するコネクタプラグ701のソケット702の手前側に嵌合される本体部602とから構成され、前記電線部601の上面に係合凹部603を形成している。電線24の先端部分は治具30に挿通しているため、治具30を取り外した後、射出成型されたブロック60から電線24が突出した形となる(図10参照)。このブロック60から突出した電線24は、例えば図11に見られるように、はさみ40によりブロック60の端面に合わせて切り揃える(電線手直し手順9)。ここまでで、ツイストペアケーブル20の端部にブロック60の成形が完了する。
【0014】
最後に、図12及び図13に見られるように、専用のケーブルコネクタ(RJ45コネクタ)70のソケット702にブロック60を差し込み(コネクタ取付手順10)、ソケット702に設けた係合突起703をブロック60の係合凹部603に係合させれば、差込が完了する。本例のケーブルコネクタ70は、ブロック60の中で所定並び順に揃えられた各電線24に合わせて複数のコネクタプラグ701を内蔵している。これから、ケーブルコネクタ(RJ45コネクタ)70のソケット702にブロック60を差し込んだ後、ケーブルコネクタ70をかしめると、コネクタプラグ701が対応する電線24を被覆する電線シース241に噛み込み、前記コネクタプラグ701と電線24の芯線(図示略)が相互に導電接続される(圧着手順11)。
【0015】
こうして、適切長だけ切り分けられたツイストペアケーブル20の両端を、上記製造手順に従って処理してケーブルコネクタ70を取り付ければ、図13に見られるように、カテゴリ7対応のネットワークケーブル80が完成する。ケーブルコネクタ70は、ネットワークケーブル80の端部に形成したブロック60をソケット702に差し込んだ状態でかしめているため、完成されたネットワークケーブル80の通常使用では分離する虞はない。こうして製造されたネットワークケーブル80は、試験機に接続し、両端のケーブルコネクタ70内に配列された電線24が正しい並び順にあるかを確認すれば、出荷できる。
【0016】
このように、本発明はネットワークケーブル80を製造する上での紛らわしさを減らしたばかりか、製造過程を簡素化することにより、ネットワークケーブル80の製造効率を高めることができる。また、世界的趨勢である地球にやさしいRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment:電気機器や電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)にも対応している。特に、カテゴリ7対応のネットワークケーブル80に見られるように、ツイストペアケーブル20に対しケーブルコネクタ70が小さすぎるという難点をも解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明に基づくネットワークケーブルの製造手順を表わしたフローチャートである。
【図2】ケーブル処理工程のケーブル裁断手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図3】ケーブル処理工程のシース剥離手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図4】ケーブル処理工程のネット処理手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図5】ケーブル処理工程のシールド処理手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図6】ケーブル処理工程の電線配列手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図7】治具装着工程の治具装着手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図8】治具装着工程の電線切除手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図9】成形準備工程及びブロック成形工程の成型手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図10】成形準備工程及びブロック成形工程の電線手直し手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図11】コネクタ取付工程のコネクタ取付手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図12】コネクタ取付工程の圧着手順におけるネットワークケーブルを表わす斜視図である。
【図13】完成されたネットワークケーブルを表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ケーブル裁断手順
2 シース剥離手順
3 ネット処理手順
4 シールド処理手順
5 電線配列手順
6 治具装着手順
7 電線切除手順
8 成型手順
9 電線手直し手順
10 コネクタ取付手順
11 圧着手順
20 ツイストペアケーブル
70 ケーブルコネクタ
701 コネクタプラグ
702 ソケット
703 係合突起
80 ネットワークケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークケーブルとネットワークケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークケーブル(LANケーブル)は、例えばツイストペアケーブルの両端にネットワークケーブル用コネクタ(RJ-45型8極コネクタ。以下、ケーブルコネクタと略する。)を接続して、構成される。ツイストペアケーブルは、電気的に対となる電線を2線毎に拠り合わせた構成で、近年のネットワークケーブルには4対8線のツイストペアケーブルが用いられる。ツイストペアケーブルは、電磁シールド(アルミシールド、ネット被覆シールド等)が施されたSTP(Shielded Twisted Pair)と、電磁シールドが施されていないUTP(Unshielded Twisted Pair)との2種類がある。こうしたネットワークケーブルは、例えば特許文献1に見られるように、ケーブルシースを剥いで露出させた各ツイストケーブルの電線を所定並び順に揃えてコネクタ端から差し込み、コネクタプラグ(接続端子)を電線に突き刺して電線シースを破り、コネクタプラグを拠り芯線又は単芯線と電気的に接触させて、作られる。
【0003】
【特許文献1】実全昭63-079077号公報(第4頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、一般家庭や中小企業でもネットワークが構築されるようになり、ネットワークケーブルの需要量が増加している。しかし、上述したように、ネットワークケーブルの製造はケーブルコネクタの取付の自動化が難しいため、未だ手作業に頼っており、供給量を増やしにくい状況にある。とりわけ、次代の高速ネットワークに用いられるカテゴリ7対応のネットワークケーブルは、ツイストペアケーブルが太く(7.4mm)、内蔵される電線も太い(1.35mm)ため、手作業によるケーブルコネクタの取付に手間が掛かる問題が指摘されている。そこで、ネットワークケーブルの生産性を向上させるため、特にケーブルコネクタの取付作業を改善するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
検討の結果開発したものが、ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルにおいて、ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロックを形成し、ケーブルコネクタのソケットに前記ブロックを差し込んで、前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させるネットワークケーブルである。
【0006】
ここで、ブロックは、電線を横並びに保持する扁平部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグが位置するソケットの奥側まで差し込まれる電線部と、電線を束ねて保持する肉厚部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグから離れたソケットの手前側に嵌合される本体部とから構成されることが好ましい。この場合、ソケットは、係合突起を有し、ブロックは、前記係合突起に対応する係合凹部を設け、ソケットにブロックを差し込んだときに前記係合突起を係合凹部に係合させてブロックの抜け止めを図るようにすると、より好ましい。
【0007】
本発明のネットワークケーブルは、次の製造法によって製造される。すなわち、ケーブル処理工程:ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させる工程、治具装着工程:所定並び順で横並びに揃えた電線を前記横並び状態で保持する治具に挿通する工程、成形準備工程:前記治具を位置決め基準としてツイストペアケーブルを金型に位置固定する工程、ブロック成形工程:前記金型に樹脂を流し込み、ツイストケーブルの端部に電線を一体に包むブロックを形成する工程、コネクタ取付工程:前記ブロックをケーブルコネクタのソケットに差し込む工程、圧着工程:前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させる工程を順に実施して、本発明のネットワークケーブルを製造する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルを、前記ツイストペアケーブルの端部に形成するブロックを、ケーブルコネクタのソケットに差し込む手順で容易に製造できるようにする効果を有する。これは、特に太いカテゴリ7対応のネットワークケーブルを製造する場合の利点となる。また、本発明は、ブロックを規格化された大きさ及び形状としながら、ケーブルコネクタのみを変更することにより、ネットワークケーブルの規格変更にも容易に対応できる効果も有する。更に、ツイストペアケーブルの端部に形成するブロックそのものをケーブルコネクタの代替部位として利用することもでき、ネットワークケーブルの新たな規格をもたらす効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本願発明に基づくネットワークケーブル80の製造手順を表わしたフローチャート、図2〜図13は製造手順における各工程を表したツイストペアケーブル20又はネットワークケーブル80の斜視図であり、図2はケーブル処理工程のケーブル裁断手順1におけるツイストペアケーブル20、図3はケーブル処理工程のシース剥離手順2におけるツイストペアケーブル20、図4はケーブル処理工程のネット処理手順3におけるツイストペアケーブル20、図5はケーブル処理工程のシールド処理手順4におけるツイストペアケーブル20、図6はケーブル処理工程の電線配列手順5におけるツイストペアケーブル20、図7は治具装着工程の治具装着手順6におけるツイストペアケーブル20、図8は治具装着工程の電線切除手順7におけるツイストペアケーブル20、図9は成形準備工程及びブロック成形工程の成型手順8におけるツイストペアケーブル20、図10は成形準備工程及びブロック成形工程の電線手直し手順9におけるツイストペアケーブル20、図11はコネクタ取付工程のコネクタ取付手順10におけるツイストペアケーブル20、図12はコネクタ取付工程の圧着手順11におけるネットワークケーブル80、そして図13は完成されたネットワークケーブル80をそれぞれ表わしている。
【0010】
本例は、特に本発明の適用により製造手順が容易化されるカテゴリ7対応のツイストペアケーブル20からネットワークケーブル80を製造する例である。本発明の製造手順は、図1に見られるように、ケーブル処理工程、治具装着工程、成形準備工程、ブロック成形工程(図1中は一連の成形準備工程及びブロック成形工程と表記)、コネクタ取付工程、そして圧着工程を経るが、各工程は更に具体的な手順として、ケーブル裁断手順1、シース剥離手順2、ネット処理手順3、シールド処理手順4、電線配列手順5、治具装着手順6、電線切除手順7、成型手順8、電線手直し手順9、コネクタ取付手順10、そして圧着手順11に分けることができる。
【0011】
具体的には、まず図2〜図6に見られるように、ケーブル処理工程として、ツイストペアケーブル20を適切な長さに切り分け(ケーブル裁断手順1)、ツイストペアケーブル20の端部におけるケーブルシース21を取り外し(シース剥離手順2)、被覆ネット22を露出させる。そして、被覆ネット22を取り除き(ネット処理手順3)、最後に各電線24を覆うアルミシールド23も取り外して(シールド処理手順4)、電線24を露出させる。そして、電線24を所定並び順に配列したら、電線24を切り揃える(電線配列手順5)。電線24を切り揃えるのは、後述する治具30の孔31に各電線24を挿通しやすくするためで、電線24の端面は所定角度、例えば30度に切り揃えるとよい。本例の治具30は、特に太いカテゴリ7対応のツイストペアケーブル20の各電線24を所定並び順に配列するため、孔31が上下二段、互い違いに設けられているが、通常の太さのツイストペアケーブルの場合、各孔は一列に並べて設けてもよい。
【0012】
次に、図7及び図8に見られるように、所定並び順に配列した電線24を順番に治具30に挿通する(治具装着手順6)。治具30には、所定並び順に配列した電線24に対応して、複数の孔31が横並びに設けられている。各電線24は、前記孔31それぞれに挿通して治具30から突出させ、前記治具30からはみ出す電線24のはみ出し部分を、例えばはさみ40により治具30の側面に沿って切り揃える(電線切除手順7)。電線24のはみ出し部分を切除するのは、治具30を装着したツイストペアケーブル20の端部を金型に挿入できるようにするためである。
【0013】
こうして、電線24を治具30に挿通し、余分にはみ出た電線24を切り揃えた後、図9及び図10に見られるように、治具30を位置決め具として利用し、ツイストペアケーブル20を金型50に挿入し、ツイストペアケーブル20の端部にブロック60を射出成型する(成型手順8)。本例のブロック60は、電線を横並びに保持する扁平部分の電線部601と、後述するコネクタプラグ701のソケット702の手前側に嵌合される本体部602とから構成され、前記電線部601の上面に係合凹部603を形成している。電線24の先端部分は治具30に挿通しているため、治具30を取り外した後、射出成型されたブロック60から電線24が突出した形となる(図10参照)。このブロック60から突出した電線24は、例えば図11に見られるように、はさみ40によりブロック60の端面に合わせて切り揃える(電線手直し手順9)。ここまでで、ツイストペアケーブル20の端部にブロック60の成形が完了する。
【0014】
最後に、図12及び図13に見られるように、専用のケーブルコネクタ(RJ45コネクタ)70のソケット702にブロック60を差し込み(コネクタ取付手順10)、ソケット702に設けた係合突起703をブロック60の係合凹部603に係合させれば、差込が完了する。本例のケーブルコネクタ70は、ブロック60の中で所定並び順に揃えられた各電線24に合わせて複数のコネクタプラグ701を内蔵している。これから、ケーブルコネクタ(RJ45コネクタ)70のソケット702にブロック60を差し込んだ後、ケーブルコネクタ70をかしめると、コネクタプラグ701が対応する電線24を被覆する電線シース241に噛み込み、前記コネクタプラグ701と電線24の芯線(図示略)が相互に導電接続される(圧着手順11)。
【0015】
こうして、適切長だけ切り分けられたツイストペアケーブル20の両端を、上記製造手順に従って処理してケーブルコネクタ70を取り付ければ、図13に見られるように、カテゴリ7対応のネットワークケーブル80が完成する。ケーブルコネクタ70は、ネットワークケーブル80の端部に形成したブロック60をソケット702に差し込んだ状態でかしめているため、完成されたネットワークケーブル80の通常使用では分離する虞はない。こうして製造されたネットワークケーブル80は、試験機に接続し、両端のケーブルコネクタ70内に配列された電線24が正しい並び順にあるかを確認すれば、出荷できる。
【0016】
このように、本発明はネットワークケーブル80を製造する上での紛らわしさを減らしたばかりか、製造過程を簡素化することにより、ネットワークケーブル80の製造効率を高めることができる。また、世界的趨勢である地球にやさしいRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment:電気機器や電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)にも対応している。特に、カテゴリ7対応のネットワークケーブル80に見られるように、ツイストペアケーブル20に対しケーブルコネクタ70が小さすぎるという難点をも解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明に基づくネットワークケーブルの製造手順を表わしたフローチャートである。
【図2】ケーブル処理工程のケーブル裁断手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図3】ケーブル処理工程のシース剥離手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図4】ケーブル処理工程のネット処理手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図5】ケーブル処理工程のシールド処理手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図6】ケーブル処理工程の電線配列手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図7】治具装着工程の治具装着手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図8】治具装着工程の電線切除手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図9】成形準備工程及びブロック成形工程の成型手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図10】成形準備工程及びブロック成形工程の電線手直し手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図11】コネクタ取付工程のコネクタ取付手順におけるツイストペアケーブルを表わす斜視図である。
【図12】コネクタ取付工程の圧着手順におけるネットワークケーブルを表わす斜視図である。
【図13】完成されたネットワークケーブルを表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ケーブル裁断手順
2 シース剥離手順
3 ネット処理手順
4 シールド処理手順
5 電線配列手順
6 治具装着手順
7 電線切除手順
8 成型手順
9 電線手直し手順
10 コネクタ取付手順
11 圧着手順
20 ツイストペアケーブル
70 ケーブルコネクタ
701 コネクタプラグ
702 ソケット
703 係合突起
80 ネットワークケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルにおいて、
ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロックを形成し、ケーブルコネクタのソケットに前記ブロックを差し込んで、前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させることを特徴とするネットワークケーブル。
【請求項2】
ブロックは、電線を横並びに保持する扁平部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグが位置するソケットの奥側まで差し込まれる電線部と、電線を束ねて保持する肉厚部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグから離れたソケットの手前側に嵌合される本体部とから構成される請求項1記載のネットワークケーブル。
【請求項3】
ソケットは、係合突起を有し、ブロックは、前記係合突起に対応する係合凹部を設け、ソケットにブロックを差し込んだときに前記係合突起を係合凹部に係合させてブロックの抜け止めを図る請求項1又は2いずれか記載のネットワークケーブル。
【請求項4】
ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを接続して構成するネットワークケーブルの製造方法であって、
ケーブル処理工程:ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させる工程、
治具装着工程:所定並び順で横並びに揃えた電線を前記横並び状態で保持する治具に挿通する工程、
成形準備工程:前記治具を位置決め基準としてツイストペアケーブルを金型に位置固定する工程、
ブロック成形工程:前記金型に樹脂を流し込み、ツイストケーブルの端部に電線を一体に包むブロックを形成する工程、
コネクタ取付工程:前記ブロックをケーブルコネクタのソケットに差し込む工程、
圧着工程:前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させる工程
を順に実施するネットワークケーブルの製造方法。
【請求項1】
ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを取り付けて構成されるネットワークケーブルにおいて、
ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させ、所定並び順で横並びに揃えた前記電線を一体に包むブロックを形成し、ケーブルコネクタのソケットに前記ブロックを差し込んで、前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させることを特徴とするネットワークケーブル。
【請求項2】
ブロックは、電線を横並びに保持する扁平部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグが位置するソケットの奥側まで差し込まれる電線部と、電線を束ねて保持する肉厚部分で、ケーブルコネクタのコネクタプラグから離れたソケットの手前側に嵌合される本体部とから構成される請求項1記載のネットワークケーブル。
【請求項3】
ソケットは、係合突起を有し、ブロックは、前記係合突起に対応する係合凹部を設け、ソケットにブロックを差し込んだときに前記係合突起を係合凹部に係合させてブロックの抜け止めを図る請求項1又は2いずれか記載のネットワークケーブル。
【請求項4】
ツイストペアケーブルの端部にケーブルコネクタを接続して構成するネットワークケーブルの製造方法であって、
ケーブル処理工程:ケーブルシースを剥いでツイストケーブルの各電線を露出させる工程、
治具装着工程:所定並び順で横並びに揃えた電線を前記横並び状態で保持する治具に挿通する工程、
成形準備工程:前記治具を位置決め基準としてツイストペアケーブルを金型に位置固定する工程、
ブロック成形工程:前記金型に樹脂を流し込み、ツイストケーブルの端部に電線を一体に包むブロックを形成する工程、
コネクタ取付工程:前記ブロックをケーブルコネクタのソケットに差し込む工程、
圧着工程:前記ケーブルコネクタのコネクタプラグを電線シースに噛み込ませ、前記コネクタプラグと電線の芯線とを導通させる工程
を順に実施するネットワークケーブルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−335395(P2007−335395A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23177(P2007−23177)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(505386889)
【出願人】(000106612)サンワサプライ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(505386889)
【出願人】(000106612)サンワサプライ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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