説明

ネットワークプロジェクタ

【課題】会議における発表資料を参加者間で、セキュアに且つ簡単に共有することが可能なネットワークプロジェクタを提供する。
【解決手段】制御部22は、制御部22を制御するCPU221と、CPU221が実行するプログラムが格納されるSDRAM222と、発表資料を格納するためのもので、会議情報を示すディレクトリ構造で整理され、ディレクトリに対するアクセス制御情報も含んでいるストレージ223と、本発明を実現するためのプログラムが格納されているROM224と、投影部21へ、電源制御や生成された画像データを投影させる命令を送る投影制御部225と、入力装置で、投影部21の電源操作、資料の選択・投影・ページ操作等の命令を受け付ける操作部226と、イーサネット(登録商標)2271とIrDA2272を含んでいる通信インターフェース227と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークプロジェクタに関し、さらに詳しくは、会議に使用される発表資料を会議の参加者間で、セキュアに且つ簡単に共有するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発表者がPC端末をプロジェクタに接続し、発表資料をスクリーンに投影しながらプレゼンテーションをする形式の会議中において、文字や図が見づらい、特定のページを見たい等の理由で、参加者が発表資料を手元のPC端末で閲覧したい場合がある。これを可能にするために、発表者が予め共有ストレージやweb上に発表資料をアップロードする手法は既に知られている。
しかし、会議によってはセキュリティ上、発表資料にアクセス可能なユーザを会議の参加者だけに限定したい場合がある。今までの手法では会議毎に共有ストレージ上に発表資料を保存するためのディレクトリを作成し、ディレクトリへのアクセス権限をユーザやグループ単位で設定する必要があるため、会議中に発表資料にアクセス可能なユーザを会議の参加者に限定しなければならず、作業が煩雑であるという問題があった。
また、会議における利便性を向上させるために特許文献1には、会議参加者の各々が会議資料をめぐって効率的かつセキュアに議論を交わすことが目的で、会議資料を参加者に提示する手段、会議参加者を認証する手段等が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている従来技術は、確かに発表資料を内蔵ストレージにアップロードして共有する点、参加者のみが資料にアクセスできるようにユーザ認証を行う点で本発明と類似している。しかし、この手法においては、会議ごとに事前に会議参加メンバーを登録する必要があり、発表資料に対するアクセス権の設定が煩雑という問題は解消できていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、プロジェクタがネットワークストレージを内蔵しており、会議開始のタイミングで投影資料を保存するためのディレクトリをストレージ内に生成し、また、生成されるディレクトリは会議毎にランダムなパスワードによってユーザからのアクセスが制御され、ディレクトリへのアクセスに必要なパスワードはプロジェクタの投影画面に表示されることによって、会議における発表資料を参加者間で、セキュアに且つ簡単に共有することが可能なネットワークプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、PC端末とネットワーク又は無線により接続され、ファイル内容を投影して可視化する投影部と、全体の動作を制御する制御部とを備えたネットワークプロジェクタであって、前記制御部は、前記ファイルを格納するストレージを備え、任意のタイミングで投影するファイルを格納するためのディレクトリを生成するディレクトリ生成手段と、該ディレクトリ生成手段により生成されたディレクトリにアクセスするために必要なパスワードを前記ストレージ上に生成するパスワード生成手段と、該パスワード生成手段により生成されたパスワードを表示するパスワード表示手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2は、前記投影部の電源と前記制御部の電源を夫々独立に備え、且つ各電源を個別に制御可能としたことを特徴とする。
請求項3は、前記制御部は、前記投影部の電源が投入されることにより投影するファイルを格納するためのディレクトリを前記ストレージ内に生成することを特徴とする。
請求項4は、前記制御部は、前記パスワード生成手段により生成されたパスワードを投影画面中に表示するように前記パスワード表示手段を制御することを特徴とする。
請求項5は、前記制御部は、生成したディレクトリに前記PC端末からアクセスがあった場合、該PC端末の端末情報を記憶することを特徴とする。
請求項6は、前記制御部は、記憶した前記端末情報に応じて、前記ディレクトリに対するアクセス制御方法を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ネットワークストレージを内蔵し、会議毎に投影資料を保存するためのディレクトリをストレージ内に生成し、生成されるディレクトリは会議毎にランダムなパスワードによってユーザからのアクセスが制御され、また、パスワードはプロジェクタの投影画面の端に表示され、会議の参加者のみがパスワードを知ることができるので、会議中において発表資料を参加者間で、セキュアかつ簡単に共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のネットワークプロジェクタの全体構成について説明する図である。
【図2】本発明のプロジェクタの内部構造について説明する図である。
【図3】プロジェクタ101の操作部の一例について説明する図である。
【図4】投影部21の電源を入れた後の動作について説明するフローチャートである。
【図5】資料選択画面の一例について説明する図である。
【図6】画面遷移について説明する図である。
【図7】会議中におけるディレクトリへのアクセス制御方法について説明するフローチャートである。
【図8】会議のディレクトリが参加者のPC端末情報を記憶する流れについて説明する図である。
【図9】会議終了後におけるディレクトリへのアクセス制御方法について説明するフローチャートである。
【図10】発表資料を格納するディレクトリ構造の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明のネットワークプロジェクタの全体構成について説明する図である。この構成では、本発明の機能が搭載されているプロジェクタ101と、会議参加者がプロジェクタ101に資料を投影するためや、投影された資料を共有するために使用するPC端末102と、プロジェクタ101とPC端末102を接続しているLAN103を備えて構成されている。尚、PC端末102の接続は無線LANでも良い。
【0008】
図2は、本発明のプロジェクタの内部構造について説明する図である。プロジェクタ101は、大きく分けて資料を投影する(ファイル内容を投影して可視化する)投影部21と、制御全般を行う制御部22で構成されている。投影部21は、資料の投影以外には利用されないために会議中のみ電源を入れるのに対し、制御部22は、会議中以外でも参加者が資料へアクセスできるために常に電源を入れ、ファイルサーバとして動作させる。また、制御部22は、制御部22を制御するCPU221と、CPU221が実行するプログラムが格納されるSDRAM222と、発表資料を格納するためのもので、会議情報を示すディレクトリ構造で整理され、ディレクトリに対するアクセス制御情報も含んでいるストレージ223と、本発明を実現するためのプログラムが格納されているROM224と、投影部21へ、電源制御や生成された画像データを投影させる命令を送る投影制御部225と、入力装置で、投影部21の電源操作、資料の選択・投影・ページ操作等の命令を受け付ける操作部226と、イーサネット(登録商標)2271とIrDA2272を含んでいる通信インターフェース227と、を備えて構成されている。
尚、ROM224には、例えば、パワーポイントやPDFビューアー等があるストレージ中に格納された発表資料を表示するアプリケーションである資料表示アプリ2241と、ストレージ223中に格納された資料を参加者間で共有するための仕組みで、samba等があるCIFS(Common Internet File System)2242を有する。
また、通信インターフェース227は、参加者がPC端末から発表資料を保存または閲覧するためにアクセスするためのインターフェースであるイーサネット(登録商標)2271と、リモートからも操作部226と同様の操作を可能にするための、リモコン用のインターフェースであるIrDA2272と、を有する。
【0009】
図3は、プロジェクタ101の操作部の一例について説明する図である。図3(a)は、プロジェクタ本体301の上部を示す図である。操作部は投影部21用の電源ボタン303、上下左右ボタン304、決定ボタン305、戻るボタン306で構成されており、資料の選択や画面の切り替え、資料のページ操作等に用いる。また、図3(b)は、リモートからも同様の操作を可能にするためのリモコン302の上部を示す図である。
図4は、投影部21の電源を入れた後の動作について説明するフローチャートである。ユーザが本体上部301や付属リモコン302の電源ボタンを押すと、投影部21が起動する(S401)。プロジェクタ101はストレージ223に会議のディレクトリと、ディレクトリにアクセスするためのパスワードを生成する(S402)。投影部21が起動してから数秒経過すると、プロジェクタ101は投影部21を介して空の資料選択画面を投影し、投影画面左上にはS402で生成したディレクトリにアクセスするためのパスワードを表示する(S403)。
【0010】
図5は、資料選択画面の一例について説明する図である。画面中央にはS402で生成されたディレクトリ中に保存されている資料のファイル名501がリスト表示される。投影部21起動後に投影される画面(S403)においては、S402で生成されたディレクトリは空で資料リストは表示されないので、投影する資料をS402で生成されたディレクトリに保存する指示を画面上に表示させるのが望ましい。画面の左上には常に、402で生成されたディレクトリにアクセスするためのパスワード502が表示される。
図6は、画面遷移について説明する図である。ユーザが本体上部301や付属リモコン302より操作する。投影部21の電源を入れると資料選択画面(図5)が投影される(S601)。資料選択画面から上下ボタン304で資料を選択し、決定ボタン305を押すと資料が全画面で表示されるプレゼンテーション画面が投影される(S602)。プレゼンテーション画面投影中に上下左右ボタン304を押すとページが遷移する(S603)。プレゼンテーション画面投影中に決定ボタン305を押すと資料選択画面が表示される(S604)。S604後に戻るボタン306を押すとプレゼンテーション画面に戻る(S605)。
【0011】
図7は、会議中におけるディレクトリへのアクセス制御方法について説明するフローチャートである。ユーザのPC端末102からネットワーク103経由で、S402で生成されたストレージ223上のディレクトリへアクセスがあった場合(S701でyes)、プロジェクタ101はPC端末102の画面上に、ユーザに対するパスワードの入力要求を表示する(S702)。ユーザからPC端末102を介してパスワードが入力され(S703)、入力されたパスワードがS402で生成されたパスワードと一致した場合(S704でYES)、プロジェクタ101はユーザに対してディレクトリへのアクセスを許可する(S705)。S703で入力されたパスワードがS402で生成されたパスワードと一致しない場合は(S704でNO)、プロジェクタ101はPC端末102の画面上にパスワードが正しくない旨を表示し(S706)、再びパスワードの入力を要求する(S702)。
図8は、会議のディレクトリが参加者のPC端末情報を記憶する流れについて説明する図である。投影部21の電源を入れる(T801)と、会議のディレクトリが生成される(T802)。発表者はネットワーク102経由でディレクトリにアクセスし、発表資料を保存する(T803)が、このとき発表者のPC端末情報がSDRAM222に記憶される(T804)。参加者が資料を閲覧するためにネットワーク経由でディレクトリにアクセスするとき(T805)、同様に参加者のPC端末情報が記憶される(T806)。会議が終了して投影部21の電源を切る(T807)と、T804、T806で記憶したPC端末情報がディレクトリのメタデータとしてストレージ223に保存され、会議の参加者と見なされる(T808)。
【0012】
図9は、会議終了後におけるディレクトリへのアクセス制御方法について説明するフローチャートである。ユーザのPC端末102からネットワーク103経由で、ストレージ223上の終了した会議のディレクトリへアクセスがあった場合(S901でYES)、プロジェクタ101はPC端末102が、T808でディレクトリに対して参加者として登録されているかどうかを識別する(S902)。登録されている場合(S902でYES)、プロジェクタ101はユーザに対してディレクトリへのアクセスを許可する(S906)。登録されていない場合は(S902でNO)、プロジェクタ101はPC端末102の画面上に、ユーザに対するパスワードの入力要求を表示し(S903)、以降は図7のS702、S703、S704、及びS706と全く同じ制御フローである。
図10は、発表資料を格納するディレクトリ構造の一例について説明する図である。S402で生成されるディレクトリは、会議の情報を含んだ階層構造で参加者が迷うことなく目的の資料にアクセスできることが望ましい。この例では会議の開催時間情報で階層化されており、rootディレクトリの下が順に、年、月、週、日付−時間となっている。これはあくまで一つ例であり、より目的の資料を探しやすくする構造を考える必要がある。
【符号の説明】
【0013】
21 投影部、22 制御部、101 プロジェクタ、102 PC端末、103 LAN、221 CPU、222 SDRAM、223 ストレージ、224 ROM、225 投影制御部、226 操作部、227 通信インターフェース、2241 資料表示アプリ、2242 CIFS、2271 イーサネット(登録商標)、2272 IrDA
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−140829公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC端末とネットワーク又は無線により接続され、ファイル内容を投影して可視化する投影部と、全体の動作を制御する制御部と、を備えたネットワークプロジェクタであって、
前記制御部は、前記ファイルを格納するストレージを備え、任意のタイミングで投影するファイルを格納するためのディレクトリを生成するディレクトリ生成手段と、該ディレクトリ生成手段により生成されたディレクトリにアクセスするために必要なパスワードを前記ストレージ上に生成するパスワード生成手段と、該パスワード生成手段により生成されたパスワードを表示するパスワード表示手段と、を備えたことを特徴とするネットワークプロジェクタ。
【請求項2】
前記投影部の電源と前記制御部の電源を夫々独立に備え、且つ各電源を個別に制御可能としたことを特徴とする請求項1に記載のネットワークプロジェクタ。
【請求項3】
前記制御部は、前記投影部の電源が投入されることにより投影するファイルを格納するためのディレクトリを前記ストレージ内に生成することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークプロジェクタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記パスワード生成手段により生成されたパスワードを投影画面中に表示するように前記パスワード表示手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のネットワークプロジェクタ。
【請求項5】
前記制御部は、生成したディレクトリに前記PC端末からアクセスがあった場合、該PC端末の端末情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のネットワークプロジェクタ。
【請求項6】
前記制御部は、記憶した前記端末情報に応じて、前記ディレクトリに対するアクセス制御方法を変更することを特徴とする請求項1又は5に記載のネットワークプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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