説明

ネットワーク・モニタリング・システム及びコンピュータ読み出し可能な記録媒体

【課題】異なるプロトコルに関するセッション・レコードを関連づけることを可能にする。
【解決手段】CDMA/eHRPD及びLTEネットワークを組合せたネットワークにおいて、ネットワーク・ノード及びインタフェースを特定する。同じネットワーク・ノードに関するセッション・レコードを、セッション・レコード中のパラメータを用いて関連づける。A11、A10及びS2aインタフェース上のセッション・レコードは、HNP、IID又はホーム・アドレス識別子を用いて関連づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークをモニタするシステムに関し、特に、異なるプロトコルに関するセッション・レコードを関連づけることが可能なネットワーク・モニタリング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス・ネットワークは、過去10年間で、モバイル・データ・サービス及びモバイル・インターネット・サービスを拡張すべく発展してきた。加入者は、日常的に自分のモバイル・デバイスを用いて、ストリーミング・オーディオやビデオにアクセスし、電子メールを読んだり送信し、インターネットを閲覧している。増加し続けるデータ及びマルチメディア・サービスの利用をサポートするため、サービス・プロバイダは、継続的に自社のネットワークを進化させていかなければならない。モバイル・データ量は継続的に拡大しているので、多くのサービス・プロバイダは、LTE(Long Term Evolution)ネットワークのような次世代ネットワークへと移行させつつある。LTEは、3GPPによる携帯電話仕様であり、数メガ・ビットのデータ・レート、効率的な無線ネットワーク、パケット遅延の減少、モビリティの改善などを目指して策定されたものである。
【0003】
伝統的に、モバイル・ネットワークは、2つの規格に基づく技術「GERAN/UMTS及びCDMA」をまず第1にフォローしてきた。GERAN/UMTSベースのネットワークは、当然の成り行きとしてLTEへの発展がはかられてきた。CDMAベースのネットワークの多くの運営者も、LTE仕様へと発展させようと決断してきた。これらCDMAの運営者は、LTEへ移行する1ステップとして、自らのネットワークをeHRPD(evolved High Rate Packet Data)をサポートするよう進化させてきた。eHRPDであれば、携帯運営者は、既存のHRPDパケット・コア・ネットワークをアップグレードさせ、EPC(Evolved Packet Core)の構成要素と統合させることが可能である。eHRPDであれば、eHRPD及びLTEネットワーク間で、シームレス(つなぎ目のない)なサービスの切り換えと、基地局の切り換え(ハンドオフ)が可能である。
【0004】
CDMA運営者は、LTEネットワークに至る途上で、既存のHRPDネットワークをeHRPDへと発展させる段階的な移行を経験している。eHRPDを導入するためには、HRPDサービス・ゲートウェイ(HSGW)をCDMAネットワークに追加する。HSGWは、eHRPDとEPC間の相互稼働も可能にする。HSGWは、S−GW及びPDN−GWへの接続もサポートし、eHRPD及びLTEネットワーク間の切り換え管理を確実に行えるようにするので、加入者は、セッションが落ちたりせず、遅延の少ないシームレスな切り換えを体験することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−522385号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】服部武、藤岡雅宣著、「HSPA+/LTE/SAE教科書」第1版、株式会社インプレスR&D、2009年8月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
eHRPDやLTEのネットワークが混在している場合、UEで使用されるユニバーサルICカード(UICC:一般にはSIMカードと呼ばれる)は2つのIMSIを持っている。結果として、A11インタフェース上で見られるIMSIは、eHRPD IMSIである一方、S2aインタフェース上で見られるIMSIは、LTE IMSIとなる。HSGWは、両方のIMSIのマッピングをメンテナンスし、これによって、HSGWは、2つのIMSIを取り替えて、各インタフェースで適切な一方のIMSIを利用できる。しかし、このマッピングは、モニタリング・プローブには利用できない。IMSIマッピングを知ることなしに、A11インタフェース及びS2aインタフェース間のマルチ・プロトコル相関を行うことは不可能であるため、これは、モニタリング・システムにとっては問題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるネットワーク・モニタリング・システムは、CDMA/eHRPDネットワークのネットワーク・トポロジを特定する。また、このモニタリング・システムは、CDMA/eHRPDネットワークをLTEネットワークに接続するネットワーク・インタフェースを特定する。具体的には、モニタリング・システムは、A11、A10、A13、A24及びH1のようなCDMAの特定インタフェースを検出し、更に、S2a、S101及びS103インタフェースのようなeHRPD/LTE共有インタフェースを検出する。これによっては、モニタリング・システムは、CDMAネットワーク・トポロジとCDMA/LTE統合トポロジの両方をネットワーク運営者に提供できる。
【0009】
本発明によるネットワーク・モニタリング・システムの別の実施形態では、eHRPDネットワーク中のA10/A11インタフェースとS2aインタフェース間のマルチ・プロトコルの関連づけするスキームを利用する。このスキームによって、モニタリング・システムは、各UE(ユーザ端末)で通常異なるIMSI(International Mobile Subscriber Identity:イムズィ)パラメータを用いることなく、マルチ・プロトコルにおける関連づけを行うことが出来る。
【0010】
本発明の概念1は、ネットワーク・モニタリング・システムであって、
ネットワーク・インタフェースに結合され、該ネットワーク・インタフェースからネットワーク・ノード間で交換される関連するメッサージと共にデータ・パケットを捕捉できる1つ以上の受動モニタリング・プローブと、
捕捉された上記データ・パケットを上記プローブから受けるプロセッサとを具え、
上記プロセッサが、
複数のA11登録要求メッセージを特定し、
該A11登録要求メッセージの夫々について、もしアドレス要素が既知なら該アドレス要素を既存のePCFノードと結合し、もし上記アドレス要素が未知なら新しいePCFノードと結合し
複数のA11登録応答メッセージを特定し、
該A11登録応答メッセージの夫々について、もしアドレス要素が既知なら該アドレス要素を既存のA11HSGWノードと結合し、もし上記アドレス要素が未知なら新しいA11HSGWノードと結合し、
モビリティ・イベント・インディケータを有し、HSGW H1アドレス情報を持たないA11登録要求メッセージ中のHSGW内ハンドオフを特定し、
IMSI情報を用いてA11インタフェースについてのソース・パス及びターゲット・パスの関連づけ、
上記ソース及びターゲット・パスのHSGW IPアドレスを1つのHSGWノード・エンティティに束ねる
動作を行うことを特徴としている。
【0011】
本発明の概念2は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
A11登録応答メッセージからのH1インタフェース・アドレスを特定し、上記H1インタフェース・アドレスをA11HSGWノードに結合する動作を行うことを特徴としている。
【0012】
本発明の概念3は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
上記A11メッセージ中のセッション特定拡張情報又は標準ベンダー/組織特定拡張子(NVSE:Normal Vendor/Organization Specific Extension)内のGREキーを特定し、
該GREキーをA10インタフェースの最終点と結合する
動作を行うことを特徴としている。
【0013】
本発明の概念4は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
A13セッション情報応答メッセージ内のHSGWアドレスを特定し、
該HSGWアドレスを既知のA11HSGWノードに結合する
動作を行うことを特徴としている。
【0014】
本発明の概念5は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
A13セッション情報応答メッセージ内のA24接続特定要素を特定し、
該A24接続特定要素にRLP_IDを付加してA24GREキーを生成し、
該A24GREキーを用いて、ePCFノードに関するA13アドレスをA24インタフェース・アドレスに関連づける
動作を行うことを特徴としている。
【0015】
本発明の概念6は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
プロキシ・バインディング更新(PBU)メッセージ中のS2aソース・アドレスを特定し、
もし上記PBUソース・アドレスが既知なら、上記PBUソース・アドレスを既存のS2aHSGWノードと結合し、もし上記PBUソース・アドレスが未知なら、新しいS2aHSGWノードに結合し、
プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージ中のS2aソース・アドレスを特定し、
もし上記PBAソース・アドレスが既知なら上記PBAソース・アドレスを既存のPGWノードと結合し、もし上記PBAソース・アドレスが未知なら新しいPGWノードと結合する
動作を行うことを特徴としている。
【0016】
本発明の概念7は、概念6のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
上記PBAメッセージ中のPDNアドレスを特定し、
上記PDNアドレスを既存のS2aHSGWノードと結合し、
A10メッセージ中のPDNアドレスを特定し、
上記PDNアドレスを既存のA11HSGWノードと結合し、
既存の上記S2aHSGWノードと既存の上記A11HSGWノードを1つのPDNアドレスで結合された1つのHSGWノードに併合する
動作を行うことを特徴としている。
【0017】
本発明の概念8は、概念1のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
S101直接伝送メッセージ中のS103ターゲットHSGW GREキー及びIPアドレス要素を関連づけ、A11登録メッセージ上で、S101インタフェース及びS103インタフェースを特定する
動作を行うことを特徴としている。
【0018】
本発明の概念9は、ネットワーク・モニタリング・システムであって、
ネットワーク・ノード間で交換されるメッセージに関連する複数のネットワーク・インタフェースからのデータ・パケットを捕捉でき、複数の上記ネットワーク・インタフェースに結合される1つ以上の受動モニタリング・プローブと、
捕捉された上記データ・パケットを上記プローブから受けるプロセッサとを具え、
上記プロセッサが、
S2aインタフェース上で捕捉されたメッセージに関するS2aセッション・レコードを生成し、
上記S2aセッション・レコードに関連するPMIPv6プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージを特定し、
上記PBAメッセージ中で、IID(インタフェース識別子)を含むIPv6HNP(ホーム・ネットワーク・プリフィックス)オプション又はIPv4ホーム・アドレスを特定し、
A10インタフェース上で捕捉されたメッセージについてA10セッション・レコードを生成し、
ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル(VSNCP)メッセージ中の上記A10セッション・レコードに関連するIID又はPDNアドレスを特定し、
IPv6の場合に上記A10セッション・レコードに関連するICMPv6ルータ広告メッセージ中のHNPを特定し、
上記HNP及びIIDデータ又は上記PDNアドレスを用いて、上記A10セッション・レコードを上記S2aセッション・レコードに関連づける
動作を行うことを特徴としている。
【0019】
本発明の概念10は、概念9のネットワーク・モニタリング・システムであって、メッセージがIPv6の場合には上記HNP及びIIDが利用され、メッセージがIPv4の場合には上記PDNアドレスが利用されることを特徴としている。
【0020】
本発明の概念11は、概念9のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
関連づけられた上記A10セッション・レコード及び上記S2aセッション・レコードを1つのセッション・レコードに併合する動作を行うことを特徴としている。
【0021】
本発明の概念12は、概念9のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
A11セッション・レコードに関連するA11登録要求メッセージ中の第1GREキーを特定し、
上記A10インタフェース上で捕捉されたメッセージに関するA10セッション・レコードを生成し、
上記A10セッション・レコードに関連する別のGREキーを特定し、
上記別のGREキーと上記第1GREキーを関連づける
動作を行うことを特徴としている。
【0022】
本発明の概念13は、概念12のネットワーク・モニタリング・システムであって、上記プロセッサが更に、
関連づけられた上記A11セッション・レコード及びS2aセッション・レコードを1つのセッション・レコードに併合し、
上記A10セッション・レコードを上記1つのセッション・レコードに併合する
動作を行うことを特徴としている。
【0023】
本発明の概念14は、ネットワーク・インタフェースから捕捉されたデータ・パケットに基いて、ネットワーク・トポロジを特定するモニタリング・システムを制御する命令を有するコンピュータ読み出し可能な記録媒体であって、上記命令を実行すると、プロセッサが、
S2aインタフェース上で捕捉されたメッセージに関するS2aセッション・レコードを生成し、
上記S2aセッション・レコードに関連するPMIPv6プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージを特定し、
上記PBAメッセージ中で、IID(インタフェース識別子)を含むIPv6HNP(ホーム・ネットワーク・プリフィックス)オプションを特定し、
A10インタフェース上で捕捉されたメッセージについてA10セッション・レコードを生成し、
IPv6の場合に上記A10セッション・レコードに関連するルータ広告メッセージ中のHNPを特定し、
ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル(VSNCP)メッセージ中の上記A10セッション・レコードに関連するIIDを特定し、
上記HNP及びIIDデータを用いて、上記A10セッション・レコードを上記S2aセッション・レコードに関連づける
動作を行うことを特徴としている。
【0024】
本発明の概念15は、概念14のコンピュータ読み出し可能な記録媒体であって、上記命令を実行すると、上記プロセッサが更に、関連づけられた上記A10セッション・レコード及び上記S2aセッション・レコードを1つのセッション・レコードに併合する動作を行うことを特徴としている。
【0025】
本発明の概念16は、ネットワーク・インタフェースから捕捉されたデータ・パケットに基いて、ネットワーク・トポロジを特定するモニタリング・システムを制御する命令を有するコンピュータ読み出し可能な記録媒体であって、上記命令を実行すると、プロセッサが、
S2aインタフェース上で捕捉されたメッセージに関するS2aセッション・レコードを生成し、
上記S2aセッション・レコードに関連するPMIPv6プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージを特定し、
上記PBAメッセージ中のIPv4ホーム・アドレスを特定し、
A10インタフェース上で捕捉されたメッセージについてA10セッション・レコードを生成し、
ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル(VSNCP)メッセージ中の上記A10セッション・レコードに関連するPDNアドレスを特定し、
上記PDNアドレスを用いて、上記A10セッション・レコードを上記S2aセッション・レコードに関連づける
動作を行うことを特徴としている。
【0026】
本発明の概念17は、概念16のコンピュータ読み出し可能な記録媒体であって、上記命令を実行すると、上記プロセッサが更に、関連づけられた上記A10セッション・レコード及び上記S2aセッション・レコードを1つのセッション・レコードに併合する動作を行うことを特徴としている。
【0027】
本発明は、一般的な用語で説明しているが、以下で図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、eEHRPFネットワークのブロック図である。
【図2】図2は、A24GREキーのA24接続ID及びRLP_IDコンポーネントを示した図である。
【図3】図3は、eHRPD要素及びLTE要素を含むeHRPD/LTE組合せネットワークを示した図である。
【図4】図4は、A10中のICMPv6スタックを示した図である。
【図5】図5は、IPv6の割当てを表すコールの流れを示した図である。
【図6】図6は、PDN接続確立時のIPv6のアドレス割当てのフローチャートである。
【図7】図7は、メイン・サービス接続及び補助サービス接続に関するA10スタックを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、図を参照して、本発明に関して詳しく説明する。しかし、本発明は、本願で開示される実施形態に限定されるものでなく、種々の異なる形態で実現しても良い。むしろ、これら実施形態及び例によって、本発明の要旨を当業者に伝えることで、当業者は、本願に開示した内容を完全なものとのできるであろう。当業者であれば、本発明の種々の実施形態を利用できるであろう。
eHRPDネットワーク・ノード及びインタフェース
【0030】
図1は、eHRPDネットワーク100のブロック図である。eHRPD(enhanced High Rate Packet Data:拡張高速パケット・データ)ネットワークは、ePCF(evolved Packet Control Function:発展型パケット制御機能)ノードを含んでいても良い。このePCFは、eAN(evolved Access Network:発展型アクセス・ネットワーク)101と連結され、これによって、ユーザ端末(UE:User Equipment)がeHRPDネットワーク100にアクセスできるようにしている。eAN及びePCFは、図1に示すように、物理的に同じノード101に一体化しても良い。複数のeAN/ePCFノード101は、A13及びA24インタフェースを介して、互いにコミュニケーションする。eAN/ePCFノード101の夫々は、HRPDサービング・ゲートウェイ(HSGW)102に接続される。HSGW102は、1つで、A10/A11インタフェースを介して複数のeAN/ePCFノード101にサービスを提供する。複数のHSGW102は、H1/H2インタフェースを介して互いにコミュニケーションする。複数のHSGW102は、S2aインタフェースを介して、パケット・データ・ネットワーク(PDN)ゲートウェイ(PGW又はPDN−GW)103に結合される。
【0031】
1つの実施形態では、ネットワーク運営者は、ネットワークを制御したり、現在のネットワーク状態や活動状態を監視するのに、eHRPDネットワーク100から独立したモニタリング・システムを利用する。このモニタリング・システムは、1つ以上のネットワーク・インタフェースに結合された複数のモニタリング・プローブ104を含んでいても良い。モニタリング・プローブは、ネットワーク100の動作に干渉することなしに、インタフェースからメッセージ、データ・パケット又はプロトコル・データ・ユニット(PDU)を受動的に捕捉(キャプチャ)する。モニタリング・プローブは、捕捉したデータを直ちに処理したり、そのデータを中央モニタリング・サーバ105に渡す。捕捉データは、モニタリング・サーバ105で関連が取られて処理され、ネットワークの現在の状態に関する情報がデータから抽出される。ネットワーク運営者は、ワークステーション106を用いて、この情報にアクセスできる。捕捉データは、モニタリング・システムにより、データベース107中に保存するようにしても良い。
A11インタフェース
【0032】
A11インタフェースは、eAN/ePCF101及びHSGW102間の信号方式(signaling)情報を運んでいる。複数のeAN/ePCF101が、1つの同じHSGW102に接続される。A11は、制御プレーン・インタフェースであり、ePCF−HSGW接続を管理するための信号伝達方式を伝達する。A11インタフェースは、同じHSGW102で制御された2つのeAN/ePCF101間で切り換え(ハンドオーバ)するときのユーザ端末の移動をサポートする。1つの実施形態では、A11インタフェース及びeAN/ePCF101ノードは、次の手順を用いて検出される。
【0033】
A11登録要求メッセージがeAN/ePCF101からHSGW102へ送られると、A10接続が設定される。A11登録要求メッセージは、A11インタフェースから、モニタリング・プローブ104によって捕捉される。A11登録要求中のソース(送信元)IPアドレスによって、そのメッセージを送信したeAN/ePCF101が特定される。A11登録要求中の「アドレス維持管理(Care of address)」要素は、eAN/ePCF101を特定し、これはA10の接続を終了させる。A11登録要求のフレーム・セクションである「標準ベンダー/組織特定拡張子(NVSE:Normal Vendor/Organization Specific Extension)」が、GER(Generic Routing Encapsulation)キーを運ぶようにしても良い。モニタリング・システムは、送信元IPアドレス、アドレス維持管理要素及びGERキー・エンティティから複数のIPアドレスを抽出し、これらIPアドレスを同じePCFノードに結合させる。
【0034】
A11登録応答メッセージは、HSGW102からePCF101へと送られる。A11登録応答メッセージ中の送信元IPアドレスは、HSGWノードを特定し、そのメッサージを送る。A11登録応答メッセージ中の「ホーム・エージェント(Home Agent)」アドレスは、HSGW102のIPアドレスである。A11登録応答のフレーム・セクション、NVSEがGREキーを含むようにしても良い。モニタリング・システムは、送信元IPアドレス、ホーム・エージェント・アドレス及びGREキー・エンティティ中に提示されたIPアドレスを抽出し、これらIPアドレスを同じHSGWノードに結合させる。
A10インタフェース
【0035】
A10インタフェースは、ユーザ・プレーン(ユーザ情報を送受信するプロトコル)インタフェースであって、これは、UEペイロードとある種の制御プレーン信号方式情報を運び、ユーザ・プレーン・サービスの設定に使われる。A10インタフェースは、ePCF101とHSGW102の間にある。A10のトラフィックは、GRE(トンネル・プロトコルの1つ)でトンネリング(トラフィックがカプセル化して伝送)される。これらGREトンネルは、上述したA11信号方式(A11登録要求/A11登録応答)を用いて設定される。A10終点(endpoint)に関するIPアドレスは、A11登録要求/応答メッセージのNVSEから特定できる。
休眠(Dormant)及び高速ハンドオフ
【0036】
1つのHSGW102が複数のIPアドレスを持つようにしても良い。例えば、HSGW102が使用する複数のIPアドレスは、HSGWに接続されているePCFの夫々について異なっても良い。この場合、異なるePCF101に接続されているHSGWの複数IPアドレスを1つのHSGWノード102に併合するのに、特定の検出論理が必要となる。
【0037】
同じHSGW内におけるePCF内ハンドオフのシナリオでは、同じHSGWにへのソース及びターゲットA11接続の複数IPアドレスを束ねることが可能である。第1に、A11登録要求メッセージをモニタし、「モビリティ・イベント」インディケータの存在を確認することで、アルゴリズムはモビリティ・イベントを特定できるが、これはHSGW内又はHSGW間である。第2に、同じメッセージから「HSGW H1アドレス情報」パラメータが無いこと確認することで、HSGW内モビリティ・シナリオで目標とする側にA11登録要求メッセージが属すると判断できる。UE関連の識別情報(MSID/IMSIなど)を用いてソース・パスとターゲット・パスを関連づけることで、ソース及びターゲットIPアドレスを同じHSGWノード・エンティティに束ねることができる。
【0038】
同じHSGW内におけるePCF内ハンドオフのシナリオでは、同じHSGWにへのソース及びターゲットA11接続の複数IPアドレスを束ねることが可能である。第1に、A11登録要求メッセージをモニタし、「モビリティ・イベント」インディケータの存在を確認することで、アルゴリズムはモビリティ・イベントを確認できるが、これはHSGW内又はHSGW間である。第2に、同じメッセージから「HSGW H1アドレス情報」パラメータが無いこと確認することで、HSGW内モビリティ・シナリオで目標とする側にA11登録要求メッセージが属すると確認できる。UE関連の識別情報(IMSIなど)を用いてソース・パスとターゲット・パスを関連づけることで、ソース及びターゲットIPアドレスを同じHSGWノード・エンティティに束ねることができる。
H1インタフェース
【0039】
H1インタフェースは、複数のHSGW102間の信号方式(signaling)情報を運び、UEのHSGW間移動を最適化するのに利用される。A11インタフェースの信号方式から、HSGW102のH1IPアドレスを検出することができる。これによって、H1インタフェースの分析をする必要がなくなる。HSGW102に関するH1IPアドレスは、A11登録応答メッセージ中の個別の情報要素(IE:Information Element)中で伝達される。このH1IPアドレスは、もし検出されれば、上述のように既に検出されたHSGWのIPアドレスを組み合わせるようにしても良い。
A13インタフェース
【0040】
A13インタフェースは、複数のePCF101間の信号方式情報を運び、ePCF間ハンドオーバに利用される。ePCF101は、それぞれeAN(enhanced Access Network:拡張アクセス・ネットワーク)と結合されると共に、A13の信号方式はeAN間ハンドオーバに使用されても良い。モニタリング・プローブ104は、A13セッッション情報応答メッセージを捕捉して良く、これはHSGWのIPアドレスを含んでいる。eHRPD(enhanced High Rate Packet Data:拡張高速パケット・データ)シナリオは、セッション情報要求メッセージ中のA13eHRPDインディケータ、セッション状態情報レコード(SSIR:Session State Information Record)中のプロトコル形式及びセッション情報応答メッセージ中の拡張セッション状態情報レコード(ESSIR:Extended Session State Information Record)を確認することで特定される。もしこれがある場合には、これのIPv4アドレスによって、HSGWの再選択アルゴリズムを実行することなく、ターゲットのePCF101を同じHSGWに再度接続することが可能になる。休眠ePCF間ハンドオフの場合では、ターゲットのePCF101が、ソースのePCF101から受けたHSGWのIPアドレスを利用してA11登録要求メッセージを送る。このように、A13及びA11信号方式を関連づけることで、複数のePCF101に接続された同じHSGW102を束ねることが可能である。
A24インタフェース
【0041】
A24インタフェースは、セッション転送の場合に、ソースのePCF101(又はeAN)から来たバッファされたデータをA13を介してターゲットのePCF101(又はeAN)に送るのに利用される。A24インタフェースは、GREベースである。GREトンネルは、セッション情報要求/応答メッセージのようなA13信号方式セッメージによって定義される。A13メッセージをトラッキング(追跡)し、図2に示すように、セッション情報要求メッセージからA24接続ID201を、セッション情報応答メッセージからRLP_ID202を抽出し、これら値をまとめて一緒に加えることにより、完全なA24GREキー200を求めることができる。A24GREキー200を用いることで、A24インタフェースに関する複数のePCFノード101のIPアドレスと、A13インタフェースが関連づけられる。
S2aインタフェース
【0042】
S2aインタフェースは、信頼できる3GPPでないネットワークとPGW103の間に定義される。eHRPDネットワークの場合では、信頼できる3GPPでないネットワークはHSGW102である。S2aインタフェースは、HSGW102及びPGW103間のユーザ・プレーン・トンネリング及びトンネル管理を提供する。S2aインタフェースは、また、HSGWでのモビリティ(移動性)やeHRPD及びLTEネットワーク間のモビリティのようなモビリティもサポートする。S2aインタフェースにおけるプロトコルは、プロキシ・モバイルIPv6(PMIPv6)をベースにしている。HSGW102は、モバイル・アクセス・ゲートウェア(MAG)として動作し、PGW103はローカル・モビリティ・アンカー(LMA:Local Mobility Anchor)として動作する。
【0043】
S2aインタフェース上でのPBU(Proxy Binding Update:プロキシ・バインディング更新)/PBA(Proxy Binding Acknowledgement:プロキシ・バインディング確認応答)手続は、モニタリング・プローブ104によってモニタしても良い。PBUメッセージのソースIPアドレスを抽出して、HSGW102と関連づけても良い。PBAメッセージのソースIPアドレスを抽出して、PGW103と関連づけても良い。しかし、S2aインタフェース上のHSGWと、A11インタフェース上のHSGWの記録をまとめるためには、あるスキームが必要である。PMIPv6上でUEに割り当てられ、PBA中に存在するダイナミックPDNアドレスは、A10におけるVSNCP(Vendor-Specific Network Control Protocol:ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル)及びICMP(Internet Control Message Protocol:インターネット制御メッセージ・プロトコル)上でモニタされる同じ値と結びつけられなければならない。
【0044】
別の実施形態では、S2aインタフェースに関連する複数のIPアドレス及びノードが、LTEからeHRPDへのハンドオーバをモニタすることによって特定される。この場合、A11登録要求メッセージは、「PDN情報エントリ」情報要素を含む。この要素は、ハンドオフされる各PDNエントリに関するAPN(Access Point Name:アクセス・ポイント名)及びPGWのIPアドレスを含む。eHRPDからLTEへのハンドオーバの場合、A11登録応答メッセージが、別の「PDN情報エントリ」情報要素を含む。この要素も、ハンドオフされる各PDNエントリに関するAPN及びPGWのIPアドレスを含む。これらA11登録要求/応答メッセージをモニタし、PDN情報エントリ情報要素を抽出することによって、PGWのIPアドレスを用いて、A11のHSGW102をPGWノード103と束ねることが可能である。次に、PBUメッセージの送信先IPアドレス中のPGWのIPアドレスに合わせることによって、PBUの送信元IPアドレスを特定のHSGWと関連づけても良い。
LTEネットワーク・ノードとインタフェース
【0045】
CDMA/eHRPDサービス・プロバイダは、そのネットワークを拡張しているので、LTEノードをそのネットワークに追加して4Gサービスを提供するようにできる。LTEノードは、eHRPDノードと相互接続しても良く、これによって、別個のLTEネットワークを重複して保有する問題を回避できる。図3は、組み合わせられたeHRPD/LTEネットワーク300を示し、これは、ネットワーク100(図1)のeHRPD要素と新しいLTEノードを含んでいる。ネットワーク100及び300で共通するノードとインタフェースは、図3において同じ符号を有し、上述の如く機能する。eHRPDネットワーク中のePCF101は、1つ以上の基地局(BTS:Base Transceiver Station)又はセル・サイト201に結合される。BTS301は、加入者のユーザ端末(UE)に接続するエア・インタフェースを提供する。
【0046】
ネットワーク300では、LTE/SAEノードがeHRPDノードに結合されて、4Gネットワーク・アキテクチャが取り入れられている。BTS301のような拡張ノードB(eNodeB又はeNb)302は、加入者のユーザ端末(UE)に接続するエア・インタフェースを提供する。eNodeB302は、UEへの無線パスを管理し、物理的無線接続確立、無線リンク制御、メディア・アクセス制御機能を司る。また、eNodeB302は、無線パス上のデータの暗号化及び復号化を行うと共に、無線リソースへのデータ流入等の管理を行う。
【0047】
MME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)303は、UEへのNAS(Non Access Stratum:非アクセス・ストラタム)及びUEからのNASの管理に関して責任を持っている。加えて、MME303は、ユーザ・プレーン・トラフィックに関するサービング・ゲートウェイ(SGW)304を選択し、LTEネットワークにおけるハンドオーバ(基地局切り換え)を調整し、必要な承認及びセキュリティ手続を確立する役割を果たす。SGW304は、複数のeNodeBからのユーザ・プレーン接続の最終点(endpoint:エンドポイント)である。SGW304は、異なるeNodeB間でのUEハンドオーバにおけるユーザ・プレーン接続についてのアンカー(通信経路上の固定点で、パス切り換えの固定点)である。PGW103は、eHRPD及びLTEネットワーク間でパスが集まっている点である。
【0048】
また、PGW103は、EPC(Evolved Packet Core:発展型パケット・コア)及び外部PDNネットワーク(インターネットなど)間のインタフェースを提供する。更に、PGW103は、ポリシー及び課金制御機能(PCRF:Policy and Charging Rules Function)ノード305へのインタフェースを提供する。PCRF305は、ネットワークの形成及び加入者ポリシー制御をサポートし、ネットワーク上でアクティブな各加入者について、どのサービスが利用可能か、サービス品質(QoS)レベルなどのポリシーを自動的に判断し、制御を変更する。PGW103は、更に、ネットワーク運営者のサービス306や3GPP AAA(認証(authentication)、認可(authorization)、課金(accounting))サーバのような他のサービスへのアクセスも提供する。
【0049】
eHRPD及びLTEネットワーク要素間のハンドオーバをサポート及び最適化するため、付加的インタフェースがネットワークに加えられる。インタフェースS103は、HSGW102とSGW304を接続し、インタフェースS101はeAN/ePCF 01とMME303を接続する。
【0050】
eHRPDネットワーク・インタフェースをモニタするモニタリング・プローブ104に加えて、LTEネットワーク中のインタフェースと、eHRPD及びLTEネットワークを相互接続するインタフェースとをモニタする1つ以上のモニタリング・プローブ309を利用しても良い。モニタリング・プローブ309は、プローブ104と同様に動作し、中央モニタリング・サーバ105に結合される。
S101インタフェース
【0051】
S101インタフェースは、LTE及びeHRPD ネットワーク間のUEの休眠及びアクティブなハンドオフの実行を補助する信号方式情報を運ぶために利用される。また、S101インタフェースは、事前登録をサポートし、これは、UEがソース・アクセス・システムを去る前にターゲット・ノードが事前登録するのを可能にすることによって、サービス中断時間を最小にできるようにする。もし条件がハンドが起こることを続いて保証するなら、ハンドオーバ信号がS101インタフェースUEでも実行される。
【0052】
S101メッセージは、S101セッションIDを含み、これは、LTE側及びeHRPD型の両方において、UEの状況を特定するのに利用される。このセッションIDパラメータは、IMSI値を含む。
【0053】
LTEからeHRPDへの最適化されたアクティブなハンドオーバの場合、PGW IPアドレス、PGW GREキー及びAPNが、ハンドオフされているPDN接続の夫々に関する(MME103からPCF101への)S101直接伝送(Direct Transfer)メッセージ中に含まれる。これが、ePCFと選択されたHSGW間のA11登録要求/A11登録応答の交換を引き起こす。A11登録応答は、間接的データ転送のために、S103HSGW IPアドレス及びS103ターゲットHSGWのGREキーを含むようにしても良い。ePCFは、S103 HSGW IPアドレスと、(ePCFからMMEへの)S101直接送信メッセージ中のS103ターゲットHSGW GREキーを送り返す。S101直接伝送、A11登録応答メッセージ中のHSGWのS103IPアドレス、MMEへのS101直接伝送メッセージ中のターゲットHSGWのGREキー+IPアドレスの関連づけによって、S101及びS103論理リンクに到着することが可能である。同時に、A11信号を生成するePCFノードと、S101信号を生成するePCFノードを併合することが可能である。
S103インタフェース
【0054】
S103インタフェースは、HSGW及びSGW間で移動中におけるDL(ダウン・リンク)データ転送に利用される。S101インタフェースを検出する上述にしたスキームを用いて、S103論理リンクも検出されて、夫々のHSGW及びSGWと併合される。
A10/A11及びS2aインタフェース間のレコードを関連づける
【0055】
A11プロトコルは、例えば、上述したA11登録要求/応答メッセージのような、いくつかの要求/応答手続を含む。A11登録要求/応答手続は、主A10接続及び補助A10接続を確立するのに利用される。これら接続上に媒体伝送体(media bearer)が確立される。A11登録更新/登録確認(Acknowledge)手続は、1つのUE又はeAT(evolved Access Terminal:発展型アクセス・ターミナル)に関する全てのA10接続を解除(release)するのに利用される。A11セッション更新/セッション更新確認手続は、特定のA10接続に関するセッションを変更するのに利用される。モバイル・ノード識別子(MN-ID:Mobile Node identifier)情報要素が、これら全てのメッセージに存在し、UE又はeATに関するIMSIを運ぶ。
【0056】
S2aインタフェースは、PMIPv6アーキテクチャ中の夫々MAG及びLMAとして機能するHSGW及びPGWの間にある。S2aインタフェース上の典型的な手続には、PBU/PBA(PMIPv6 Proxy Binding Update/Proxy Binding Acknowledgement)手続及びBRI/BRA(Binding Revocation Indication/Binding Revocation Acknowledgement)手続が含まれる。S2aインタフェース上では、PBAのモバイル・ノード識別子情報要素がIMSIを運ぶ。この情報要素は、3GPP23.003に従って、ネットワーク・アクセス識別子(NAI)パラメータとしてコード化される。例えば、NAIは、「6<IMSI>@nai.epc.mnc<MNC>.mcc<MCC>.3gppnetwork.org」というような形式のものである。従って、S2メッセージ中のNAIからIMSIを抽出することが可能であり、IMSIは後からA11信号と関連づけさせるのに利用できる。IMSIを使うことで、A11インタフェース上のセッション又はコール・レコードを、S2aインタフェース上のセッション又はコール・レコードと関連づけさせたり、組み合わせることができる。
【0057】
しかし、上述したIMSIを利用したアプローチは、全てのプロバイダのネットワークで機能するものではない。これは、UEで使用されるユニバーサルICカード(UICC:一般にはSIMカードと呼ばれる)が2つのIMSIを持っているためである(1つのIMSIは、LTE IMSI、2つ目はeHRPD IMSI)。結果として、A11インタフェース上で見られるIMSIは、eHRPD IMSIである一方、S2aインタフェース上で見られるIMSIは、LTE IMSIとなる。HSGWは、両方のIMSIのマッピングをメンテナンスし、これによって、HSGWは、2つのIMSIを取り替えて、各インタフェースで適切な一方のIMSIを利用できる。しかし、このマッピングは、モニタリング・プローブには利用できない。IMSIマッピングを知ることなしに、A11インタフェース及びS2aインタフェース間のマルチ・プロトコルの関連づけを行うことは不可能であるため、これは、モニタリング・システムにとっては問題である。しかし、以下に説明するスキームを用いることで、複数のIMSIが異なる場合でも、モニタリング・プローブは、こうした状況を解決できる。
A11インタフェース及びS2aインタフェース間のセッション・レコードを関連づけさせる
【0058】
モニタリング・システムは、VSNCPモニタリングを複数のプロトコル由来のデータを関連づけさせるのに利用できる。S2aインタフェース上では、PDNアドレス要素及びリンク・ローカル・アドレス情報要素がS2a信号から抽出される。PDNアドレスは、ダイナミックに又は静的にUEに割り当てられるが、この実施形態では、ダイナミックPDNアドレス割当て(PAA:PDN Address allocation)を考えることにする。なお、ダイナミックPAAと同様にして、静的なPAAによる別の実施形態も考えることができる。PDNアドレスは、2つの形態で含まれているとしても良く、IPv6かIPv4に応じて、インタフェース識別子(IID)を含むIPv6 HNP(Home Network Prefix)オプションか、又は、IPv4ホーム・アドレスが夫々使われる。IIDは、IPv6のシナリオでは、ホーム・ネットワーク・プリフィックス・オプションの最小の8バイトから得られる。
【0059】
VSNCPプロトコルは、A10インタフェース上でモニタでき、eHRPD上のPDN接続を初期化、設定及び終了させるために、UEとHSGW間で利用される。VSNCP手続は、次の通りである。
Configure Request(要求設定)
Configure Ack(確認応答設定)
Configure Nack(否定応答設定)
Configure Reject(拒絶設定)
Terminate Request(要求終了)
【0060】
これらメッセージは、次の情報要素(IE)の関心のある部分について運ぶ。
PDN識別子
APN
PDNアドレス(IPv6についてはIIDのみ)
【0061】
IPv6の場合、PDNアドレスは、IPv6 PDNアドレスのIID値を運び、IPv4の場合、PDNアドレスは、完全なIPv4PDNアドレスを運ぶ。IPv6については、PDNアドレス=IID+HNPである。IID値それ自身だけでは、UEに割り当てられた固有のPDNアドレスを特定できない。IID値をHNPと組み合わせることで、S2aインタフェース上で見られるように、UEに割り当てられたPDNアドレスを特定できる。
【0062】
HNPは、ICMPv6ルータ広告メッセージ中のA10上に送られる。このメッセージをモニタし、後からIIDに関するVSNCPメッセージに関連づけさせることによって、UEに割り当てられた完全なPDNアドレスを決定できる。HNP+IIDの連結は、先にS2a上でモニタされたPMIPv6 HNP値に等しい。図4は、A10中に存在するICMPv6についてのスタックを示している。
【0063】
これらHNPアドレスに基づき、IMSIに頼らなくてもA10/S2aでのマルチ・プロトコルでの関連づけが実行可能である。
【0064】
図5は、IPv6の割当てによるコール・フロー(流れ)を示している。モニタリング・プローブ500は、A10/A11又はS2aインタフェースからのコール・フロー中で交換されるメッセージを捕捉しても良い。モニタリング・プローブ500は、更に別のインタフェースをモニタし、これらのメッセージや他のメッセージをこれらのインタフェースから捕捉しても良い。ステップ501では、UEが認証され、eHRPDアクセス・ネットワーク(eAN)に加わる。VSNCP設定要求メッセージ502がUEからHSGWに送られる。次に、HSGWは、PBUメッセージ503をPGWへ送り、これによって、ステップ504において、HSS/AAAが更新される(HSS:Home Subscriber Server:ホーム加入者サーバ)。
【0065】
PGWは、PBAメッセージ505をHSGWに送り返す。PBAメッセージ505は、IPv6のHNP及びIIDを含んでおり、これらをモニタリング・プローブ500がS2aインタフェース上で捕捉しても良い。続いて、HSGWは、VSNCP設定確認(Ack:Acknowledgment)メッセージ506を送り、これは、IPv6 IIDに対応するPDNアドレスを含んでいる。モニタリング・プローブ500は、A10からメッセージ506を捕捉し、そのIID値をS2aインタフェースから捕捉したメッセージと関連づける。
【0066】
HSGWは、VSNCP設定要求メッセージ507を送り、手続を完成させる。メッセージ507は、PDN−ID設定オプションを含んでいる。UEは、メッセージ507に対して、PDN−ID設定オプションを含むVSNCP設定Ack(確認応答)メッセージで応じる。UEは、ルータ要請(Router Solicitation)メッセージ509をHSGWに送る。ルータ要請メッセージを受けるのに応じて、HSGWは、IPv6ホーム・ネットワーク・プリフィックスを含むルータ広告メッセージ510を送る。ステップ511において、UEは、ステップ6及びステップ10で受けたHNP及びIIDを用いて、SLAAC(Stateless address auto-configuration)により、IPv6グローバル・ユニキャスト(1対1通信)アドレスを生成する。
【0067】
図6は、PDN接続を確立する際のIPv4アドレスの割当てを示したフローチャートである。モニタリング・プローブ600は、A10/A11インタフェース及びS2aインタフェースをモニタし、これらインタフェースを通過するメッセージを捕捉する。ステップ601では、UEが認証され、eHRPDアクセス・ネットワークに加わる。UEは、HSGWへのメインの信号伝達接続を通じてVSNCP設定要求メッセージ602を送る。HSGWは、1つのPGWを選択し、PBUメッセージ603をそのPGWへ送る。ステップ604では、PGWが、PGW識別(ID)又はIPアドレスを用いてAAAサーバ/HSSを更新する。
【0068】
PGWは、IPv4デフォルト・ルータ・アドレス・オプションと一緒にPBAメッセージ605をHSGWに送る。HSGWは、PBA605によって割当てられたIPv4ホーム・アドレスを含むPDNアドレス情報要素を含むUEにVSNCP設定Ack(確認応答)メッセージ606を送る。
【0069】
上述のコール・フロー及び手続に基づいて、IMSIを利用することなしに、A10インタフェース及びS2aインタフェースに属する同じUEについてのセッション・レコードを関連づけることができる。
A11インタフェース及びA10インタフェースの関連づけ
【0070】
図7は、主サービス接続701及び補助サービス接続702に関するA10スタックを示している。A10スタックは、GREキー703を用いるGREトンネルをサポートしている。IMSIは、A10トラフィック中に、常時は存在しないかもしれない。HSGW及びePCFは、セッションを要求する各UEについて、A10上で主サービス接続を確立するのに続いて、複数の補助接続を確立する。別々のGREトンネルが、主及び補助接続のそれぞれについて確立される。トンネル中のA10パケットの夫々は、GREキーで特定される。トンネルに関するGREキーの値は、主A10接続が設定されたときのA11登録要求メッセージのセッション特定拡張情報要素中に存在する。各補助接続については、A11登録要求メッセージの標準ベンダー/組織特定拡張子(NVSE)の付加セッション情報セクション中に専用GREキーが存在する。
モニタリング・システム
【0071】
eHRPD/LTEネットワークのような複雑なシステムでは、ネットワーク運営者にとって、ネットワーク・パフォーマンスの測定、ネットワーク運営上の問題解決、ネットワーク・サービスの調子制御などの作業は大変難しいものとなりがちである。新しいネットワーク技術の導入と展開などのネットワークの進化によって、ネットワークの測定、問題解決及び制御において、新たな不安定要因や問題が生じてくる。こうした作業を実行する場合、ネットワーク運営者は、モニタリング・プローブ104、309、500及び600や、モニタリング・サーバ又はコントローラ105のような外部のモニタリング・システムを使うことも多くなる。これらモニタリング・プローブは、多くの場合、非割り込み(non-intrusive)モードのネットワークに接続され、これによって、モニタリング・プローブは、ネットワーク・インタフェースからデータを取込んで処理し、ネットワーク運営者が自分のネットワークを管理するのに役立つ測定値やレポートを提供する。
【0072】
モニタリング・システムは、1つ以上のプローブを介してネットワーク中のリンクに結合されようにしてもよく、これによって、ネットワーク中の1つ以上のインタフェースからの信号データを受動的にモニタ及び収集する。モニタリング・システムは、これらインタフェースからユーザ・プレーン及び制御プレーンを収集しても良い。また、ネットワーク中の残りのインタフェース又はリンクの一部又は全部をモニタリング・システムでモニタするようにしても良い。モニタリング・システムは、1つの実施形態としては、プロトコル・データ・ユニット(PDU)や、ネットワーク・インタフェース及びノードからのデータ・パケットを収集して関連づける1つ以上のソフトウェア・アプリケーションを実行する1つ以上のプロセッサを有していても良い。
【0073】
サービス・プロバイダやネットワーク運営者は、ユーザ・インタフェース・ステーション106を介して、モニタリング・システムからのデータにアクセスできる。モニタリング・システムは、更に、捕捉データ・パケット、ユーザ・セッション・データ、コール・レコード設定情報及びソフトウェア・アプリケーション命令を記憶するための内部又は外部メモリ107を有していても良い。
【0074】
モニタリング・システムは、プロトコル・アナライザ機能、セッション・アナライザ機能又はトラフィック・アナライザ機能を含んでいても良く、これは、IPトラフィックをネットワーク上のリンク、ノード、アプリケーション及びサーバで特徴づけることによって、OSI(Open Systems Interconnection)のレイヤ2からレイヤ7に関する問題を解決する。こうした機能は、米国テクトロニクス社が提供するGeoProbe G10型プラット・フォーム(Irisアナライザ・ツール・セット及びSpIprobeを含む)によって提供されている。図1及び図2に示したモニタリング・システムは単純化したものであって、ネットワーク内の1つ以上のインタフェースに相互接続されるモニタリング・システム・プローブの個数は、任意で良いと理解すべきである。1つのモニタリング・プローブで1つの特定のインタフェースからのデータを捕捉するようにしても良いし、1つのインタフェースに複数のプローブを結合しても良い。
【0075】
モニタリング・システムは、高帯域IPトラフィックに最適化された高速高密度プローブのようなパケット・キャプチャ・デバイスを介して、ネットワーク・インタフェースに結合されても良い。モニタリング・システムは、ネットワークの動作を中断させることなく、インタフェースからメッセージ・トラフィックを受動的に捕捉する。モニタリング・システムは、ネットワーク・インタフェース上の特定のデータ・セッションに関する複数のパケットを捕捉し、関連づけても良い。関連する複数のパケットを、ネットワーク上の特定のフロー、セッション又はコールについて、1つのレコードにまとめても良い。これに代わる実施形態としては、モニタリング・システムが、例えば、ネットワーク・ノード上に常駐するソフトウェア・エージェントのようなアクティブ・コンポーネントでも良く、これがノードを出入りして通過するデータ・パケットを捕捉しても良い。
【0076】
当業者であれば、詳細な説明や図面で示された本発明の利点を有する本発明の様々な変形や実施形態を考えつくことであろう。よって、本発明は、本願に開示した特定の実施形態に限定されるものではないと理解すべきである。特定の用語を用いて説明してきたが、これらは説明の都合によるものであって、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0077】
101 ePCF
102 HSGW
103 PGW
104 モニタリング・プローブ
105 モニタリング・サーバ
106 ユーザ・インタフェース・ステーション
107 内部又は外部メモリ
201 A24接続ID
202 RLP_ID
301 基地局(BTS)
302 eNodeB
303 MME
304 SGW
305 PCRF
306 運営者IPサービス
307 AAAサーバ
309 モニタリング・プローブ
500 モニタリング・プローブ
600 モニタリング・プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク・インタフェースに結合され、該ネットワーク・インタフェースからネットワーク・ノード間で交換される関連するメッサージと共にデータ・パケットを捕捉できる1つ以上の受動モニタリング・プローブと、
捕捉された上記データ・パケットを上記プローブから受けるプロセッサとを具え、
上記プロセッサが、
複数のA11登録要求メッセージを特定し、
該A11登録要求メッセージの夫々について、もしアドレス要素が既知なら該アドレス要素を既存のePCFノードと結合し、もし上記アドレス要素が未知なら新しいePCFノードと結合し
複数のA11登録応答メッセージを特定し、
該A11登録応答メッセージの夫々について、もしアドレス要素が既知なら該アドレス要素を既存のA11HSGWノードと結合し、もし上記アドレス要素が未知なら新しいA11HSGWノードと結合し、
モビリティ・イベント・インディケータを有し、HSGW H1アドレス情報を持たないA11登録要求メッセージ中のHSGW内ハンドオフを特定し、
IMSI情報を用いてA11インタフェースについてのソース・パス及びターゲット・パスの関連づけ、
上記ソース及びターゲット・パスのHSGW IPアドレスを1つのHSGWノード・エンティティに束ねる
動作を行うことを特徴とするネットワーク・モニタリング・システム。
【請求項2】
上記プロセッサが更に、
プロキシ・バインディング更新(PBU)メッセージ中のS2aソース・アドレスを特定し、
もし上記PBUソース・アドレスが既知なら、上記PBUソース・アドレスを既存のS2aHSGWノードと結合し、もし上記PBUソース・アドレスが未知なら、新しいS2aHSGWノードに結合し、
プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージ中のS2aソース・アドレスを特定し、
もし上記PBAソース・アドレスが既知なら上記PBAソース・アドレスを既存のPGWノードと結合し、もし上記PBAソース・アドレスが未知なら新しいPGWノードと結合する
動作を行うことを特徴とする請求項1記載のネットワーク・モニタリング・システム。
【請求項3】
上記プロセッサが更に、
上記PBAメッセージ中のPDNアドレスを特定し、
上記PDNアドレスを既存のS2aHSGWノードと結合し、
A10メッセージ中のPDNアドレスを特定し、
上記PDNアドレスを既存のA11HSGWノードと結合し、
既存の上記S2aHSGWノードと既存の上記A11HSGWノードを1つのPDNアドレスで結合された1つのHSGWノードに併合する
動作を行うことを特徴とする請求項2記載のネットワーク・モニタリング・システム。
【請求項4】
ネットワーク・ノード間で交換されるメッセージに関連する複数のネットワーク・インタフェースからのデータ・パケットを捕捉でき、複数の上記ネットワーク・インタフェースに結合される1つ以上の受動モニタリング・プローブと、
捕捉された上記データ・パケットを上記プローブから受けるプロセッサとを具え、
上記プロセッサが、
S2aインタフェース上で捕捉されたメッセージに関するS2aセッション・レコードを生成し、
上記S2aセッション・レコードに関連するPMIPv6プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージを特定し、
上記PBAメッセージ中で、IID(インタフェース識別子)を含むIPv6HNP(ホーム・ネットワーク・プリフィックス)オプション又はIPv4ホーム・アドレスを特定し、
A10インタフェース上で捕捉されたメッセージについてA10セッション・レコードを生成し、
ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル(VSNCP)メッセージ中の上記A10セッション・レコードに関連するIID又はPDNアドレスを特定し、
IPv6の場合に上記A10セッション・レコードに関連するICMPv6ルータ広告メッセージ中のHNPを特定し、
上記HNP及びIIDデータ又は上記PDNアドレスを用いて、上記A10セッション・レコードを上記S2aセッション・レコードに関連づける
動作を行うことを特徴とするネットワーク・モニタリング・システム。
【請求項5】
ネットワーク・インタフェースから捕捉されたデータ・パケットに基いて、ネットワーク・トポロジを特定するモニタリング・システムを制御する命令を有するコンピュータ読み出し可能な記録媒体であって、上記命令を実行すると、プロセッサが、
S2aインタフェース上で捕捉されたメッセージに関するS2aセッション・レコードを生成し、
上記S2aセッション・レコードに関連するPMIPv6プロキシ・バインディング確認(PBA)メッセージを特定し、
上記PBAメッセージ中で、IID(インタフェース識別子)を含むIPv6HNP(ホーム・ネットワーク・プリフィックス)オプションを特定し、
A10インタフェース上で捕捉されたメッセージについてA10セッション・レコードを生成し、
IPv6の場合に上記A10セッション・レコードに関連するルータ広告メッセージ中のHNPを特定し、
ベンダー特定ネットワーク制御プロトコル(VSNCP)メッセージ中の上記A10セッション・レコードに関連するIIDを特定し、
上記HNP及びIIDデータを用いて、上記A10セッション・レコードを上記S2aセッション・レコードに関連づける
動作を行うことを特徴とするコンピュータ読み出し可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−249288(P2012−249288A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118816(P2012−118816)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】