説明

ネットワーク装置、その診断方法、及び、プログラム

【課題】ネットワーク装置の各部位を通過する通信データをモニタリングすることによって、ネットワーク装置のどの部位に故障が存在するかを特定する。
【解決手段】第一のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する第一の通信データ生成部と、第一の通信データ生成部が生成した通信データを保存するメモリ8と、第一の通信データ生成部が生成した通信データをメモリへ導く第一のバイパス部とを有するネットワーク装置9によって解決する。診断用の通信データをネットワーク装置9に送出するステップと、診断用の通信データに基づき、第一の通信データ生成部が生成すべき通信データを自ら生成するステップと、メモリ8に保存された通信データを読み出すステップと、自ら生成した通信データと、メモリ8に保存された通信データとを比較するステップと、当該比較結果を出力するステップとによって、ネットワーク装置9を診断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置、その診断方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン本体の拡張スロットに実装されるネットワーク・インタフェース・カードなど、電子計算機に搭載されるネットワーク装置が知られる。ネットワーク装置はエラー診断機能を有するが、このエラー診断機能は、ネットワーク装置全体を自己診断するものであった。すなわち、ネットワーク装置に入って来るパケットや、ネットワーク装置から出て行くパケットを検査することにより、ネットワーク装置に異常が無いかを診断するものであった。この診断機能では、ネットワーク装置全体に異常があった場合に、故障部位を特定することができない。
【0003】
特開2001−237854号公報(特許文献1参照)には、「ATM装置における導通試験方法」の発明が記載されている。特許文献1においては、ATM装置は、SAR機能搭載装置を具備する。SAR機能搭載装置は、ATMアダプテーションレイヤにおける送受データ及びATMセルに対してセグメンテーション及びリアセンブルを行うSAR機能を有する。前記SAR機能搭載装置は、特定のヘッダ値を付したセルを、導通試験用セルとして生成し、導通試験経路へ送出する。また、前記SAR機能搭載装置から生成送出された前記導通試験用セルを、導通試験経路を含むATMセル転送経路内の任意の折返しポイントに備えられた導通試験用セル折返し手段により折返す。前記SAR機能搭載装置は、前記折返された導通試験用セルを受信し、該受信した導通試験用セルと前記生成送出した導通試験用セルとのマッチングを行い、セル導通路の正常性確認を行う。
【0004】
特開2006−157442号公報(特許文献2参照)には、「通信障害検出装置」の発明が記載されている。通信障害検出装置は、LAN回線に接続されて通信障害を検出する。レイヤ1処理手段は、前記LAN回線から受信した受信フレームに対して媒体に依存したレイヤ1の処理を行う。回線不良検出手段は、前記受信フレームに基づいて前記LAN回線からの受信方向でLAN回線異常を検出してLAN回線異常に関する回線不良情報を生成する。レイヤ2処理手段は、前記回線不良検出手段からの受信フレームに対して前記媒体に依存しないレイヤ2以降の処理を行うとともに、前記受信フレームのフレームチェックシーケンスに基づいて前記受信フレームの異常を検出して前記受信フレームの異常に関する受信フレーム異常情報を生成する。受信側障害検出手段は、前記回線不良検出手段で生成された前記回線不良情報および前記レイヤ2処理手段で生成された前記受信フレーム異常情報に基づいて装置内障害を検出する。前記受信側障害検出手段は、前記回線不良情報において前記LAN回線が正常で、かつ前記受信フレーム異常情報において前記受信フレームが異常である場合に、前記装置内障害が発生したと判断して前記装置内障害を検出する。
【0005】
特開平9−162910号公報(特許文献3参照)には、「多重化通信装置の制御方法」の発明が記載されている。この多重化通信装置の制御方法においては、ステーション間で、伝送路を経由して情報の送受信を行う。現用系に設定されている通信装置は、送信要求による送信情報を含む通信フレームを作成して送信する一方で、伝送路から自己宛の通信フレームを受信する。そして、受信情報を含む受信報告を作成して待機系に送出する送受信処理を行う。前記待機系に設定されている通信装置は、伝送路から自ステーションの現用系を通信元または通信先とする通信フレームを傍受し、その傍受情報と前記送信情報または前記受信情報を比較する。そして、一致しないときは前記現用系の送受信処理に異常があると判定する現用系送受信監視処理を行う。
【0006】
特開平9−205429号公報(特許文献4参照)には、「ネットワーク故障診断装置」の発明が記載されている。ネットワークシステムは、複数のノードと、このノード間を接続するデータ伝送路とを有する。システム状態データ生成手段は、前記データ伝送路上の伝送フレームを受信し、当該伝送フレームの状態から得られる情報又はその伝送フレームの内容に基づいて、システム状態データを作成する。異常検出手段は、前記システム状態データの内容が、予め設定された異常現象の何れかに適合するか否かを判定する。異常原因推定手段は、前記異常検出手段により何れかの異常現象に適合すると判定された場合に、当該異常現象に対応し、かつ予め設定された少なくとも一つの異常原因の中から推定される異常原因を選択する。シミュレータ手段は、前記推定される異常原因を有する場合における前記ネットワークシステムの挙動をシミュレーションする。異常原因判定手段は、前記シミュレータ手段によるシミュレーション結果と、前記システム状態データの内容とを比較して、前記推定される異常原因の正誤を判定する。
【0007】
【特許文献1】特開2001−237854号公報
【特許文献2】特開2006−157442号公報
【特許文献3】特開平9−162910号公報
【特許文献4】特開平9−205429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ネットワーク装置の各部位を通過する通信データをモニタリングすることによって、ネットワーク装置のどの部位に故障が存在するかを特定することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明によるネットワーク装置(9)においては、第一の通信データ生成部(4)は、第一のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する。メモリ(8)は、前記第一の通信データ生成部(4)が生成した通信データを保存する。第一のバイパス部(16)は、前記第一の通信データ生成部(4)が生成した通信データを前記メモリ(8)へ導く。本発明によるネットワーク装置(9)においては、第二の通信データ生成部(5)は、第二のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する。第二のバイパス部(15)は、前記第二の通信データ生成部(5)が生成した通信データを前記メモリ(8)へ導く。前記メモリ(8)は、前記第二の通信データ生成部(5)が生成した通信データを保存する。
【0011】
本発明によるネットワーク装置(13)においては、第一の通信データ生成部(4)は、第一のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する。比較部(12)は、前記第一の通信データ生成部(4)が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、当該自ら生成した通信データと、前記第一の通信データ生成部(4)が生成した通信データとを比較する。本発明によるネットワーク装置(13)においては、第二の通信データ生成部(5)は、第二のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する。前記比較部(12)は、当該第二の通信データ生成部(5)が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、当該自ら生成した通信データと、前記第二の通信データ生成部(5)が生成した通信データとを比較する。
【0012】
本発明によるネットワーク装置の診断方法においては、送出するステップは、診断用の通信データを請求項1又は2記載のネットワーク装置(9)に送出する。生成するステップは、診断用の通信データに基づき、前記第一の通信データ生成部(4)が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、前記ネットワーク装置(9)が前記第二の通信データ生成部(5)を具備する場合には、診断用の通信データに基づき、前記第二の通信データ生成部(5)が生成すべき通信データを自ら生成する。読み出すステップは、前記メモリ(8)に保存された通信データを読み出す。比較するステップは、前記自ら生成した通信データと、前記メモリ(8)に保存された通信データとを比較する。出力するステップは、当該比較結果を出力する。
【0013】
本発明によるネットワーク装置の診断方法においては、送出するステップは、診断用の通信データを請求項3又は4記載のネットワーク装置(13)に送出する。読み出すステップは、前記比較部(12)から、比較結果を読み出す。出力するステップは、当該比較結果を出力する。
【0014】
本発明によるプログラムは、請求項5又は6記載のネットワーク装置の診断方法における各ステップを、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネットワーク装置の各部位を通過する通信データをモニタリングすることによって、ネットワーク装置のどの部位に故障が存在するかを特定することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、第一の実施の形態について説明する。図1に、第一の実施の形態における電子計算機のブロック説明図を示す。図1において、電子計算機18は、OS管理部2を有し、ネットワーク装置9を搭載している。OS管理部2は、操作部1から入力されるコマンド等を受け付け、また、表示部3へOS管理部2の状態を表示する。ネットワーク装置9は、メモリ8と、バイパス回路11,15,16と、ネットワーク主要処理部14と、ネットワークインタフェース7とを具備している。ネットワークインタフェース7は、外部の通信ネットワーク10と接続されている。ネットワーク主要処理部14は、TCPオフロードエンジン4と、IP処理部5と、イーサネット(登録商標)処理部6とを有する。各部位4〜6は、それぞれ、TCPプロトコル、IPプロトコル、イーサネット(登録商標)プロトコルに従って、パケットに各レイヤーのヘッダーを付加する処理等を行い、また、パケットから各レイヤーのヘッダーを取り除く処理等を行う。バイパス回路11,15,16は、各部位4〜6に入出力されるパケットを捕捉して、メモリ8へ導く。メモリ8は、バイパス回路11,15,16を介して受信する各レイヤーのヘッダ付き通信データを記録する。
【0017】
第一の実施の形態における故障部位診断機能について説明する。図1において、ユーザは、操作部1を操作することにより、電子計算機18に、故障部位診断を行うように指示を出す。OS管理部2は、診断を行うために、ダミーの通信データを作成し、その宛先を自分として、ネットワーク装置9へ送出する。ネットワーク装置9は、ダミーの通信データをネットワーク主要処理部14へ渡し、外部の通信ネットワーク10へ送出するパケットを生成する。このとき、TCPオフロードエンジン4は、ダミーの通信データにTCPヘッダーを付加するなどした”TCPレイヤーのTCPパケット”を生成する。IP処理部5は、”TCPレイヤーのTCPパケット”にIPヘッダーを付加するなどした”IPレイヤーのIPパケット”を生成する。イーサネット(登録商標)処理部6は、”IPレイヤーのIPパケット”にイーサネット(登録商標)ヘッダーを付加するなどした”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を生成する。
【0018】
バイパス回路16は、TCPオフロードエンジン4が生成する”TCPレイヤーのTCPパケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。バイパス回路15は、IP処理部5が生成する”IPレイヤーのIPパケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。バイパス回路11は、イーサネット(登録商標)処理部6が生成する”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。メモリ8は、ネットワーク装置9から出て行くパケットに関して、”TCPレイヤーのTCPパケット”と、”IPレイヤーのIPパケット”と、”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”とを保存する。
【0019】
故障部位診断の為に作成されたダミーの通信データは、外部の通信ネットワーク10へ送出された後、折り返し電子計算機18に戻ってくる。ネットワークインタフェース7が、外部の通信ネットワーク10から受け取るダミーの通信データは、ネットワーク主要処理部14に渡される。このとき、イーサネット(登録商標)処理部6は、”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”からイーサネット(登録商標)ヘッダーを取り除くなどして、”IPレイヤーのIPパケット”をIP処理部5へ送出する。IP処理部5は、”IPレイヤーのIPパケット”からIPヘッダーを取り除くなどして、”TCPレイヤーのTCPパケット”をTCPオフロードエンジン4へ送出する。TCPオフロードエンジン4は、”TCPレイヤーのTCPパケット”からTCPヘッダーを取り除くなどして、ダミーの通信データをOS管理部2へ送出する。
【0020】
バイパス回路11は、イーサネット(登録商標)処理部6に入力される”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。バイパス回路15は、IP処理部5に入力される”IPレイヤーのIPパケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。バイパス回路16は、TCPオフロードエンジン4に入力される”TCPレイヤーのTCPパケット”を捕捉して、メモリ8へ導く。メモリ8は、ネットワーク装置9に入って来るパケットに関して、”TCPレイヤーのTCPパケット”と、”IPレイヤーのIPパケット”と、”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”とを保存する。
【0021】
OS管理部2は、ダミーの通信データをネットワーク装置9へ送付すると共に、独自に、”TCPレイヤーのTCPパケット”と、”IPレイヤーのIPパケット”と、”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”とを生成する。また、ネットワーク装置9から、折り返し戻ってくるダミーの通信データを受信したら、メモリ8に収集されている各段階のパケットを読み出す。そして、自ら生成したパケットと、メモリ8に保存されたパケットとを比較し、その結果を表示部3に表示する。不一致が生じていた場合には、どこでパケットが壊れたかが合わせて表示される。すなわち、TCPオフロードエンジン4が故障しているのか、IP処理部5が故障しているのか、イーサネット(登録商標)処理部6が故障しているのか、あるいは、外部の通信ネットワーク10に問題があるのかが判明する。
【0022】
以上、操作部1を操作するユーザによって、故障部位診断機能を起動する場合について説明したが、故障部位診断は、電子計算機18を起動する時のマシンイニシャライズ中に自動的に行っても良く、また、ネットワーク装置9にてエラーパケットを検出した時に、あるいは、オペレーティングシステムによる定期的なポーリングを契機として、行っても良い。
【0023】
次に、第二の実施の形態について説明する。図2に、第二の実施の形態における電子計算機のブロック説明図を示す。図2において、電子計算機19は、OS管理部17を有し、ネットワーク装置13を搭載している。OS管理部17は、操作部1から入力されるコマンド等を受け付け、また、表示部3へOS管理部17の状態を表示する。ネットワーク装置13は、フレーム比較部12と、バイパス回路11,15,16と、ネットワーク主要処理部14と、ネットワークインタフェース7とを具備している。ネットワークインタフェース7は、外部の通信ネットワーク10と接続されている。ネットワーク主要処理部14は、TCPオフロードエンジン4と、IP処理部5と、イーサネット(登録商標)処理部6とを有する。各部位4〜6は、それぞれ、TCPプロトコル、IPプロトコル、イーサネット(登録商標)プロトコルに従って、パケットに各レイヤーのヘッダーを付加する処理等を行い、また、パケットから各レイヤーのヘッダーを取り除く処理等を行う。バイパス回路11,15,16は、各部位4〜6に入出力されるパケットを捕捉して、フレーム比較部12へ伝達する。フレーム比較部12は、独自に、ネットワーク主要処理部14が行う処理と同様の処理を行い、かつ、バイパス回路11,15,16を介して各レイヤーのヘッダ付き通信データを受信し、これらを比較する。
【0024】
第二の実施の形態における故障部位診断機能について説明する。図2において、ユーザは、操作部1を操作することにより、電子計算機19に、故障部位診断を行うように指示を出す。OS管理部17は、診断を行うために、ダミーの通信データを作成し、その宛先を自分として、ネットワーク装置13へ送出する。ネットワーク装置13は、ダミーの通信データをネットワーク主要処理部14へ渡し、外部の通信ネットワーク10に送出するパケットを生成する。このとき、TCPオフロードエンジン4は、ダミーの通信データにTCPヘッダーを付加するなどした”TCPレイヤーのTCPパケット”を生成する。IP処理部5は、”TCPレイヤーのTCPパケット”にIPヘッダーを付加するなどした”IPレイヤーのIPパケット”を生成する。イーサネット(登録商標)処理部6は、”IPレイヤーのIPパケット”にイーサネット(登録商標)ヘッダーを付加するなどした”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を生成する。
【0025】
バイパス回路16は、TCPオフロードエンジン4が生成する”TCPレイヤーのTCPパケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。バイパス回路15は、IP処理部5が生成する”IPレイヤーのIPパケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。バイパス回路11は、イーサネット(登録商標)処理部6が生成する”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。フレーム比較部12は、ネットワーク装置9から出て行くパケットに関して、独自に生成するパケットと、ネットワーク主要処理部14で生成される各段階のパケットとを比較する。
【0026】
故障部位診断の為に作成されたダミーの通信データは、外部の通信ネットワーク10へ送出された後、折り返し電子計算機19に戻ってくる。ネットワークインタフェース7が、外部の通信ネットワーク10から受け取るダミーの通信データは、ネットワーク主要処理部14に渡される。このとき、イーサネット(登録商標)処理部6は、”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”からイーサネット(登録商標)ヘッダーを取り除くなどして、”IPレイヤーのIPパケット”をIP処理部5へ送出する。IP処理部5は、”IPレイヤーのIPパケット”からIPヘッダーを取り除くなどして、”TCPレイヤーのTCPパケット”をTCPオフロードエンジン4へ送出する。TCPオフロードエンジン4は、”TCPレイヤーのTCPパケット”からTCPヘッダーを取り除くなどして、ダミーの通信データをOS管理部17へ送出する。
【0027】
バイパス回路11は、イーサネット(登録商標)処理部6に入力される”イーサネット(登録商標)レイヤーのイーサネット(登録商標)パケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。バイパス回路15は、IP処理部5に入力される”IPレイヤーのIPパケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。バイパス回路16は、TCPオフロードエンジン4に入力される”TCPレイヤーのTCPパケット”を捕捉して、フレーム比較部12へ導く。フレーム比較部12は、ネットワーク装置9に入って来るパケットに関して、自ら生成したパケットと、ネットワーク主要処理部14で処理される各段階のパケットとを比較する。
【0028】
OS管理部17は、ネットワーク装置13から、折り返し戻ってくるダミーの通信データを受信したら、フレーム比較部12から、各段階のパケットに関する比較結果として、差分の有無を受信し、この差分の有無を表示部3に表示する。差分があった場合には、どこでパケットが壊れたかが合わせて表示される。すなわち、TCPオフロードエンジン4が故障しているのか、IP処理部5が故障しているのか、イーサネット(登録商標)処理部6が故障しているのか、あるいは、外部の通信ネットワーク10に問題があるのかが判明する。
【0029】
以上、操作部1を操作するユーザによって、故障部位診断機能を起動する場合について説明したが、故障部位診断は、電子計算機19を起動する時のマシンイニシャライズ中に自動的に行っても良く、また、ネットワーク装置13にてエラーパケットを検出した時に、あるいは、オペレーティングシステムによる定期的なポーリングを契機として、行っても良い。
【0030】
本実施の形態による第一の効果は、ネットワーク装置9,13の故障部位が、ハードウェアの何処にあるのかを、明確に切り分けることが可能になることである。特に、TCPオフロードエンジン4、IP処理部5、イーサネット(登録商標)処理部6がチップ化されている場合などには、故障チップを特定することができる。第二の効果は、不正パケットが飛び交う状況においては、電子計算機18,19が自身のネットワーク装置9,13にハードウェア故障がないかをチェックすることが出来ることである。第三の効果は、ハードウェア故障検出を定期的に行った場合、不正パケットの送出を未然に抑えることが出来ることである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、第一の実施の形態における電子計算機のブロック説明図である。
【図2】図2は、第二の実施の形態における電子計算機のブロック説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 操作部
2,17 OS管理部
3 表示部
4 TCPオフロードエンジン
5 IP処理部
6 イーサネット(登録商標)処理部
7 ネットワークインタフェース
8 メモリ
9,13 ネットワーク装置
10 通信ネットワーク
11,15,16 バイパス回路
12 フレーム比較部
14 ネットワーク主要部
18,19 電子計算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する第一の通信データ生成部と、
前記第一の通信データ生成部が生成した通信データを保存するメモリと、
前記第一の通信データ生成部が生成した通信データを前記メモリへ導く第一のバイパス部と
を有するネットワーク装置。
【請求項2】
第二のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する第二の通信データ生成部と、
前記第二の通信データ生成部が生成した通信データを前記メモリへ導く第二のバイパス部とを更に具備し、
前記メモリは、
前記第一の通信データ生成部が生成した通信データを保存すると共に、前記第二の通信データ生成部が生成した通信データも保存する
請求項1記載のネットワーク装置。
【請求項3】
第一のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する第一の通信データ生成部と、
前記第一の通信データ生成部が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、当該自ら生成した通信データと、前記第一の通信データ生成部が生成した通信データとを比較する比較部と
を有するネットワーク装置。
【請求項4】
第二のプロトコル・レイヤーで送受信される通信データを生成する第二の通信データ生成部を更に具備し、
前記比較部は、
前記第二の通信データ生成部が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、当該自ら生成した通信データと、前記第二の通信データ生成部が生成した通信データとを比較する
請求項3記載のネットワーク装置。
【請求項5】
診断用の通信データを請求項1又は2記載のネットワーク装置に送出するステップと、
診断用の通信データに基づき、前記第一の通信データ生成部が生成すべき通信データを自ら生成し、かつ、前記ネットワーク装置が前記第二の通信データ生成部を具備する場合には、診断用の通信データに基づき、前記第二の通信データ生成部が生成すべき通信データを自ら生成するステップと、
前記メモリに保存された通信データを読み出すステップと、
前記自ら生成した通信データと、前記メモリに保存された通信データとを比較するステップと、
当該比較結果を出力するステップと
を有するネットワーク装置の診断方法。
【請求項6】
診断用の通信データを請求項3又は4記載のネットワーク装置に送出するステップと、
前記比較部から、比較結果を読み出すステップと、
当該比較結果を出力するステップと
を有するネットワーク装置の診断方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載のネットワーク装置の診断方法における各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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