説明

ネットワーク複合機

【課題】 不適切な課金を防止することが可能なネットワーク複合機を提供する。
【解決手段】 ネットワーク複合機1は、ユーザによる、課金を伴うスキャン処理の実行を要求する操作、及び、該スキャン処理に対応する所定の設定情報の入力操作を受け付ける操作部11と、受け付けられたスキャン処理を実行する読取部13とを備える。また、ネットワーク複合機1は、スキャンされた画像データがDMS31に保存されたか否かに応じて課金可能であるか否かを判断する判断部20と、課金可能であると判断された場合には、スキャン処理の内容及び設定情報に基づいて課金情報を生成し、課金不能と判断されたときには、課金情報の生成を中止する属性情報生成部21と、生成された課金情報を画像データに続けてDMS31に出力する出力部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金機能を有するネットワーク複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の場所に設置された画像形成装置を利用して課金を伴う印刷サービスをユーザに提供する技術が特許文献1に記載されている。この技術では、印刷サービスを受ける際に、まず、ユーザが、携帯端末から印刷データをサーバの記憶手段に登録する。そして、利用する画像形成装置をサーバに接続した上で、画像形成装置の認証手段に認証情報を入力する。一方、サーバは、ユーザの認証を行った後、該ユーザからの印刷データ出力要求に応じて、記憶手段に登録されている印刷データを読み出し、画像形成装置に出力する。また、サーバは、印刷データの印刷にかかった料金を計算して、画像形成装置の表示画面に出力することにより、画像出力利用料金をユーザに請求する。
【特許文献1】特開平11−146118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した技術では、例えば印刷途中などにエラーが発生した場合の対応については考慮されていない。そのため、例えば画像形成装置の紙詰りや通信回線の障害などによって印刷に失敗したとしても利用料金が課金されてしまうおそれがあった。すなわち、不適切な課金を行ってしまうおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、不適切な課金を防止することが可能なネットワーク複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るネットワーク複合機は、ユーザによる、課金を伴う処理の実行を要求する操作、及び、該処理に対応する所定の設定情報の入力操作を受け付ける入力手段と、入力手段により受け付けられた処理を実行する実行手段と、実行手段による処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かを判断する判断手段と、判断手段により課金可能であると判断された場合には、処理の内容及び設定情報に基づいて、課金情報を生成し、課金不能と判断されたときには、課金情報の生成を中止する属性情報生成手段と、属性情報生成手段により生成された課金情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明に係るネットワーク複合機によれば、受け付けられた処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かが判断されるとともに、課金可能であると判断された場合には、課金情報が生成され、課金不能と判断されたときには、課金情報の生成が中止される。よって、課金情報を適切に出力することができ、不適切な課金を防止することが可能となる。
【0007】
本発明に係るネットワーク複合機では、入力手段が、ユーザからの、課金を伴うスキャン処理を受け付け、判断手段が、スキャンされた画像データが格納先に保存された時点で課金可能であると判断することが好ましい。この場合、スキャン処理が完全に終了した時点で課金可能であると判断される。そのため、例えばスキャン処理の途中でエラーが発生したようなときに不適切な課金が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0008】
本発明に係るネットワーク複合機では、入力手段が、ユーザからの、課金を伴うコピー処理の要求を受け付け、判断手段が、コピーされた原稿が正常に出力された時点で課金可能であると判断することが好ましい。この場合、コピー処理が完全に終了した時点で課金可能であると判断される。そのため、例えばコピー処理の途中でエラーが発生したようなときに不適切な課金が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0009】
本発明に係るネットワーク複合機では、入力手段が、ユーザからの、課金を伴うファクシミリ処理の要求を受け付け、判断手段が、受信側のファクシミリ装置からのMCF信号が受信された時点で課金可能であると判断することが好ましい。この場合、ファクシミリ処理が終了した時点で課金可能であると判断される。そのため、例えばファクシミリ処理の途中でエラーが発生したようなときに不適切な課金が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0010】
本発明に係るネットワーク複合機では、入力手段が、ユーザからの、課金を伴う電子メール送信処理の要求を受け付け、判断手段が、メールサーバに電子メールが転送された時点、又は送信先からの受領証が受信された時点で課金可能であると判断することが好ましい。この場合、電子メール送信処理が完全に終了した時点で課金可能であると判断される。そのため、例えば電子メール送信処理の途中でエラーが発生したようなときに不適切な課金が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0011】
本発明に係るネットワーク複合機では、受け付けられた処理の実行途中でエラーが発生した場合に、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であるか否かを判断手段が判断し、判断手段により処理が正常に終了した部分について部分的に課金可能であると判断された場合に、課金可能と判断された当該部分について属性情報生成手段が課金情報を生成することが好ましい。
【0012】
このようにすれば、処理の実行途中でエラーが発生したとしても、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であると判断されれば、課金可能と判断された当該部分について課金情報が生成される。そのため、処理が正常に終了した部分のみについて適切に課金することが可能となる。
【0013】
本発明に係るネットワーク複合機では、入力手段が、判断手段により課金可能であると判断された後、属性情報生成手段により課金情報が生成されて出力手段により該課金情報が出力されるまで、処理の実行を停止させるストップキーの入力操作を受け付けないことが好ましい。
【0014】
このようにすれば、課金可能であると判断された処理についての課金情報を確実に出力することが可能となる。
【0015】
本発明に係るネットワーク複合機は、入力手段により受け付けられた設定情報を記憶する記憶手段を備え、当該記憶手段が、設定情報が受け付けられた後、所定時間経過するまで該設定情報を保持し、上記所定時間が経過した時点で該設定情報を消去することが好ましい。
【0016】
このようにすれば、ユーザにより入力された設定情報が所定時間保持されるため、続けて処理を行いたいときに、全ての設定情報を再度入力する必要がなく、ユーザの利便性を向上することができる。一方、上記所定時間経過後は保持されていた設定情報が消去されるので、ユーザが設定情報を消し忘れたとしても、次に他のユーザが行った処理について誤って課金されることを抑制できるとともに、セキュリティを確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かを判断するとともに、課金可能であると判断された場合には課金情報を生成し、課金不能と判断されたときには課金情報の生成を中止する構成としたので、不適切な課金を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
まず、図1を用いて、実施形態に係るネットワーク複合機(MFP:Multi Functional Peripheral)1の構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。
【0020】
ネットワーク複合機1は、ネットワーク対応されたスキャナ、コピー、プリンタ、及びファクシミリ(FAX)の各機能に加え、電子メールを利用してIP網経由で画像データを送受信するインターネットFAX(以下「IFAX」ともいう)機能を有するものである。ネットワーク複合機1は、LAN51を介してDMS(Document Management System:文書管理システム)31と接続されており、ユーザにより、例えば上述したスキャナ機能が利用されたときに、原稿をスキャンして生成される画像データに加えて、該画像データのメタデータ(属性情報)としての課金情報を生成してDMS31に出力する機能(すなわち課金機能)を有している。また、ネットワーク複合機1は、スキャナの他、ユーザにより、コピー、FAX、及びIFAX(電子メール)が利用されたときにも、メタデータとして課金情報を生成し、DMS31に出力する機能を有する。これらの各機能を実現するためにネットワーク複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、読取部13、記録部14、コーデック15、記憶部16、モデム17、NCU18、IFAX制御部19、判断部20、属性情報生成部21、出力部22、Webサーバ23、及び、LANインターフェース24等を備えている。なお、各部は信号線25で相互に通信可能に接続されている。
【0021】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びデータがバックアップされているバックアップRAM等により構成されている。制御部10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0022】
操作部11は、ネットワーク複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、各種のファンクションキー、スタートキー、ストップキー、テンキー、及び短縮キー等を備えている。操作部11は、これらのキーを通して、ユーザによる、課金を伴うスキャン処理、コピー処理、FAX処理、又はIFAX処理を要求する操作を受け付ける。また、操作部11は、各処理に対応する所定の設定情報(例えば、ユーザ名、社員ID、注文書番号、ディーラ名等)を入力する操作を受け付ける。ただし、操作部11は、後述する判断部20により課金可能であると判断された後、属性情報生成部21により課金情報が生成されて出力部22により該課金情報が出力されるまでの間は、処理の実行を停止させるストップキーの入力操作を受け付けない。すなわち、操作部11は、特許請求の範囲に記載の入力手段として機能する。ここで、例えば原稿をスキャンして画像データを生成しDMS31に格納する場合、まず、ユーザは、原稿をセットするとともに、ファンクションキー等を操作して課金対象のスキャン機能(すなわち課金情報(メタデータ)が付加されるスキャン機能)を呼び出す。そして、テンキー又は短縮キー等を用いて上述した所定の設定情報を入力した後、スタートキーを押下げることにより課金対象のスキャン機能を利用することができる。
【0023】
表示部12は、LCD等を用いた表示装置であり、ネットワーク複合機1の動作状態及び/又は各種設定情報等を表示する。読取部13は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。なお、読取部13で生成された画像データは、実行されている処理に応じて、記録部14、コーデック15、又は出力部22に出力される。記録部14は、電子写真方式のプリンタであり、印刷データ、読取部13により読み取られた画像データ、及びFAX、IFAX等で受信された画像データを用紙にプリントアウトする。
【0024】
コーデック15は、読取部13で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。記憶部16は、例えばDRAM等で構成されており、コーデック15で符号化された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。また、記憶部16は、操作部11により受け付けられた設定情報を記憶する。なお、記憶部16は、設定情報が受け付けられた後、所定時間(例えば2,3分)経過するまで該設定情報を保持し、所定時間が経過した時点で該設定情報を消去する。すなわち、記憶部16は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0025】
モデム(変復調器)17は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行う。また、モデム17は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行う。NCU(Network Control Unit)18は、モデム17と接続されており、モデム17と公衆交換電話網(PSTN)50との接続を制御する。また、NCU18は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0026】
IFAX制御部19は、インターネット環境を利用したIFAX機能を司る。IFAX制御部19は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って電子メールを送信する機能、及び、POP(Post Office Protocol)に従って電子メールを受信する機能を有している。IFAX制御部19は、送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス宛てに送信する。また、IFAX制御部19は、設定された時間毎にPOPサーバから電子メールを受信して添付ファイルをプリントアウトする。上述した読取部13、記録部14、コーデック15、モデム17、NCU18、及びIFAX制御部19それぞれは、特許請求の範囲に記載の実行手段に相当する。
【0027】
判断部20は、課金を伴う(課金情報が付加される)スキャン、コピー、FAX、IFAX等の処理(ジョブ)の実行結果に応じて、課金可能であるか否かを判断する。すなわち、判断部20は、特許請求の範囲に記載の判断手段として機能する。より具体的には、判断部20は、スキャン処理が受け付けられた場合には、スキャンされた画像データがDMS31に保存されたことが確認された時点で課金可能であると判断する。ここで、保存されたことの確認は、例えばそのデータを読み出すことが出来るか否かによって判断することができる。また、判断部20は、コピー処理が受け付けられた場合には、コピーされた原稿が正常に出力された時点で課金可能であると判断し、FAX処理が受け付けられた場合には、受信側のFAX装置からのMCF信号が受信された時点で課金可能であると判断し、IFAX処理が受け付けられた場合には、メールサーバに電子メールが転送された時点、又は送信先からの受領証が受信された時点で課金可能であると判断する。さらに、判断部20は、受け付けられた処理の実行途中でエラーが発生した場合に、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であるか否かを判断する。例えば、原稿を10枚スキャンする場合に、5枚目で何等かのエラーが発生しスキャナが停止してしまった場合、スキャンできた4枚目まで課金可能と判断する。なお、判断部20による判断結果は、属性情報生成部21に出力される。
【0028】
属性情報生成部21は、判断部20により課金可能であると判断された場合には、処理内容及び設定情報に基づいて、課金情報(メタデータ)を生成する。一方、判断部20により課金不能と判断されたときには、課金情報の生成を中止する。すなわち、属性情報生成部21は、特許請求の範囲に記載の属性情報生成手段として機能する。なお、属性情報生成部21は、判断部20により処理が正常に終了した部分について部分的に課金可能であると判断された場合に、課金可能と判断された当該部分について課金情報を生成する。
【0029】
ここで、図3〜図6に、属性情報生成部21により生成される課金情報(メタデータ)の例を示す。ここで、図3、図4は、スキャン処理が終了した際に生成される課金情報の例を示す図である。また、図5は、コピー処理が終了した際に生成される課金情報の一例を示し、図6は、FAX処理が終了した際に生成される課金情報の一例を示す。ここで、図3〜図6では、XML(Extensible Markup Language)のフォーマットの課金情報を示す。これらの課金情報は、該課金情報が転送されるDMSに応じ、該DMSが解釈できるフォーマットに準拠して記述される。
【0030】
図3に示されるスキャン処理が終了した際に生成される課金情報の例では、課金情報であることを示す<scanTag>タグ200が第1構造にあり、ユーザの定義情報であることを示す<userDefined>タグ201が第2構造にある。また、第3構造には、社員ID(本実施形態ではmm111222)が記載された<Employee_ID>タグ202、注文書番号(本実施形態では20081003001)が記載された<Puchase_Order_No>タグ203、及びディーラ名(本実施形態ではXXXXXXX)が記載された<Dealer_Name>タグ204が含まれている。これらの社員ID、注文書番号、及びディーラ名には、スキャン処理が実行される際にユーザによって操作部11から入力された設定情報が用いられる。ここで、入力が必要とされる設定情報(設定項目)は、ネットワーク複合機1側で適宜設定することができるようになっている。なお、図3に示される課金情報は、スキャンにより生成された画像データに続けてDMS31に出力される。
【0031】
図4に示されるスキャン処理が終了した際に生成される課金情報の他の例では、図3に示した課金情報に対して、スキャンを実行した日付け(本実施形態では2008−10−02)が記載された<date>タグ300、スキャンを実行した時刻(本実施形態では17:12:30)が記載された<time>タグ301、スキャンを実行したユーザ名が記載された<userName>タグ302が追加されている。また、スキャンしたページ数(本実施形態では10)が記載された<numOfPages>タグ303、白黒モードかカラーモードか(本実施形態ではBW(白黒モード))が記載された<color>タグ304、ファイル形式(本実施形態ではTIFF)が記載された<fileFormat>タグ305、及び、解像度(本実施形態では600)が記載された<resolution>タグ306等も追加されている。どのような設定項目を設けるかは、DMS31側での管理内容に応じて変化する。上述したように、これらの設定項目は、ネットワーク複合機1側で適宜追加したり削除したりすることができる。
【0032】
図5に示されるコピー処理が終了した際に生成される課金情報の例では、図4に示された課金情報の例と同様に、コピーを実行したユーザ名(本実施形態ではUser 001)が記載された<userName>タグ400、コピーしたページ数(本実施形態では1)が記載された<numOfPages>タグ401等を含んでおり、これらの情報に従って課金が行われる。また、白黒モードかカラーモードか(本実施形態ではBW)が記載された<color>タグ402を含んでおり、カラーコピーと白黒コピーとで課金するレートを変えることができる。
【0033】
図6に示されるFAX処理が終了した際に生成される課金情報の例では、送信先が記載される<destination>タグ500にFAX番号(本実施形態では0123456789)が記載されている。よって、どのユーザがどこに何枚FAXを送信したかによって課金したり管理したりすることができる。また、IFAX(電子メール)の場合には、この<destination>タグに電子メールアドレスが記載される。
【0034】
出力部22は、読取部13で生成された画像データ、及び/又は、属性情報生成部21により生成された課金情報をDMS31が監視しているフォルダに転送することによってDMS31に出力する。すなわち、出力部22は、特許請求の範囲に記載の出力手段として機能する。
【0035】
その他、Webサーバ23は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、クライアント端末からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。LANインターフェース24は、ルータ30等が接続されたLAN51に接続され、インターネット52からの信号をルータ30を介して受信するとともに、LAN51に対して信号やデータを送信する。LANインターフェース24は、信号変換及びプロトコル変換等のインターフェース処理を実行するとともに、データ通信中の通信エラーを検出する。
【0036】
次に、図2を参照しつつ、ネットワーク複合機1の動作について説明する。図2は、ネットワーク複合機1による課金処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS100では、操作部11を通してユーザから入力される、課金対象である(課金情報が付加される)スキャン処理、コピー処理、FAX処理、又はIFAX処理の実効要求が受け付けられる。また、ステップS100では、各処理に対応した所定の設定情報(例えば、ユーザ名、社員ID、注文書番号、ディーラ名等)の入力が受け付けられる。
【0038】
続くステップS102では、スタートキーが押下げられることにより、ステップS100で受け付けられた処理、すなわちスキャン処理、コピー処理、FAX処理、又はIFAX処理が実行される。
【0039】
続いて、ステップS104では、課金対象のスキャン、コピー、FAX、IFAX等の処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かが判断される。より具体的には、スキャン処理が実行された場合には、スキャンされた画像データがDMS31に保存されたことが確認されたときに課金可能であると判断される。また、コピー処理が実行された場合には、コピーされた原稿が正常に出力されたときに課金可能であると判断され、ファクシミリ処理が実行された場合には、受信側のファクシミリ装置からMCF信号が受信されたときに課金可能であると判断され、IFAX処理が実行された場合には、メールサーバに電子メールが転送されたとき、又は送信先からの受領証が受信されたときに課金可能であると判断される。
【0040】
また、ステップS104では、実行された処理の実行途中でエラーが発生した場合には、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であるか否かが判断される。例えば、原稿を10枚コピーする場合に、5枚目で何等かのエラーが発生しコピーが停止してしまった場合、コピーできた4枚目までが課金可能と判断される。ただし、例えば、コピープリントの途中で用紙ジャム又は用紙切れが発生した場合であってもコピープリントが継続しているとみなされ、用紙ジャムが解消、又は用紙が補給された後、完全にコピープリントが終了したときには、全ての枚数について課金可能であると判断される。ここで、課金可能であると判断された場合には、ステップS106に処理が移行する。一方、実行途中にエラー(例えば、紙詰まり(ジャム)、メモリオーバ等)が発生し、課金不能であると判断されたときには、ステップS110に処理が移行する。
【0041】
課金可能と判断された場合、ステップS106では、処理内容及び設定情報に基づいて、課金情報(メタデータ)が生成される。なお、ステップS104において処理が正常に終了した部分について部分的に課金可能であると判断された場合には、課金可能と判断された当該部分について課金情報が生成される。
【0042】
続いて、ステップS108では、ステップS106において生成された課金情報が、画像データのメタデータとしてDMS31が監視しているフォルダに出力される。ここで、ステップS104において課金可能であると判断された後、ステップS106で課金情報が生成されステップS108で該課金情報が出力されるまでの間、処理の実行を停止させるストップキーの入力操作は受け付けられない。すなわち、課金情報の出力に対するストップキー入力は無効とされる。ただし、例えばスキャン中又はコピー中に押されたストップキーは有効とされ、課金情報の生成・出力が中止される。なお、コピープリント中にストップキーが押された場合には、既にプリントアウトされた枚数(コピーが完了している枚数)について課金情報が生成され出力される。
【0043】
ただし、ステップS108において、課金情報(メタデータ)の転送に失敗した場合、チェックメッセージ(例えば「課金情報が送れませんでした」)がプリントされるとともに、記憶部16に記憶されている設定情報がクリアされる。この場合、課金情報の再出力は行われない。なお、課金情報の転送に失敗した場合とは、画像データの後に課金情報が送られるタイミングで、すなわち画像データと課金情報との間で例えばネットワークの障害が発生し、画像データだけが転送され、課金情報が転送されなかった場合等が挙げられる。さらに、課金情報が転送されているときに、電源がOffされた場合や、停電等によって電源が落ちたときには、次に電源がOnされたときに、課金情報だけが再送される(課金情報リカバリー処理)。なお、課金情報リカバリー処理中は、次の課金対象処理の実行が停止される。
【0044】
課金情報が出力された後は、上述したオペレーション(処理)が継続される。すなわち、記憶部16には、所定時間(例えば2,3分)、入力された処理の設定情報が保持されており、表示部12には、課金情報転送完了後、課金対象処理継続用の表示(例えば「継続しますか」)が表示される。そのため、前回課金対象処理を実行する際に、ユーザが、例えば、<Employee_ID>、<Puchase_Order_No>、及び<Dealer_Name>を設定していた場合、再度同じ課金対象処理を実行しようとするときには、既に入力された設定情報を活かし、例えば、<Puchase_Order_No>だけを書き換えて再度課金対象処理を実行することができる。なお、このように処理が継続されている間(継続処理実行中)は、ストップキー以外のキーは受け付けられない。ただし、上記所定時間が経過したときには、入力された設定情報がクリアされ、継続処理が自動的に終了する。また、課金対象処理の実行後、何らかのエラー(例えば、課金情報の転送失敗、読取りジャム、メモリオーバ等)が発生した場合、継続処理は終了される。
【0045】
また、上述したように処理が継続されている間(継続処理実行中)は、画面リセット時間が経過した場合であっても、画面リセットは行われない(再度、画面リセット時間がセットされる)。また、自動ログアウト時間が経過した場合であっても、ログアウトは行われない(再度、自動ログアウト時間がセットされる)。さらに、省エネモード時間が経過した場合であっても、省エネモードに入らない(再度、省エネモード時間がセットされる)。
【0046】
一方、ステップS104において課金不能と判断された場合には、ステップS110において、課金情報の生成が中止される。その結果、課金情報が出力されることなく本処理から抜ける。
【0047】
本実施形態によれば、受け付けられた処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かが判断されるとともに、課金可能であると判断された場合には、課金情報が生成され、課金不能と判断されたときには、課金情報の生成が中止される。よって、課金情報を適切に出力することができ、不適切な課金を防止することが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、受け付けられたスキャン処理、コピー処理、FAX処理、又はIFAX処理ごとに、各処理が完全に終了した時点で課金可能であると判断される。そのため、例えば処理の途中でエラーが発生したようなときに不適切な課金が行われてしまうことを防止することが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、処理の実行途中でエラーが発生したとしても、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であると判断されれば、課金可能と判断された当該部分について課金情報が生成される。そのため、処理が正常に終了した部分のみについて適切に課金することが可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、判断部20により課金可能であると判断された後、属性情報生成部21により課金情報が生成されて出力部22により該課金情報が出力されるまで、処理の実行を停止させるストップキーの入力操作が受け付けられない。そのため、課金可能であると判断された処理についての課金情報を確実に出力することが可能となる。
【0051】
本実施形態によれば、ユーザにより入力された設定情報が所定時間保持されるため、続けて処理を行いたいときに、全ての設定情報を再度入力する必要がなく、ユーザの利便性を向上することができる。一方、上記所定時間経過後は保持されていた設定情報がクリアされるので、ユーザが設定情報を消し忘れたとしても、次に他のユーザが行った処理について誤って課金されることを抑制できるとともに、セキュリティを確保することが可能となる。
【0052】
本実施形態によれば、課金情報を転送することができなかった場合にチェックメッセージ(警告表示)が表示されるため、ユーザ及び機器の管理者に対して注意を喚起することができる。また、本実施形態によれば、課金情報転送中に電源が落ちたとしても、機器が復帰されたときに、課金情報が再度転送されるため(課金情報リカバリー処理)、課金情報を確実に出力することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、課金対象の処理(課金情報が付加される処理)として、スキャン、コピー、FAX、及びIFAXを挙げたが、課金対象の処理はこれらに限られることなく、例えば、プリント処理等を課金対象処理としてもよい。
【0054】
図3〜6に示した課金情報は例示であり、その内容及び構成等は、図3〜6に示されたものに限られない。また、課金情報は、XMLのフォーマットに限られることなく、例えば、CSV(Comma Separated Value)等のフォーマットを採用してもよい。なお、CSVのフォーマットを採用する場合には、例えば<Employee_ID>や<Puchase_Order_No>といったタグが無いため、データの配列をネットワーク複合機側とDMS側とで予め整合し定義しておくことが必要となる。
【0055】
また、上記実施形態では、課金情報がDMSに出力される構成としたが、課金情報の出力先はDMSに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施形態に係るネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク複合機による課金処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】スキャン処理が終了した際に生成される課金情報の一例を示す図である。
【図4】スキャン処理が終了した際に生成される課金情報の他の例を示す図である。
【図5】コピー処理が終了した際に生成される課金情報の一例を示す図である。
【図6】FAX処理が終了した際に生成される課金情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ネットワーク複合機
10 制御部
11 操作部
12 表示部
13 読取部
14 記録部
15 コーデック
16 記憶部
17 モデム
18 NCU
19 IFAX制御部
20 判断部
21 属性情報生成部
22 出力部
23 Webサーバ
24 LANインターフェース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる、課金を伴う処理の実行を要求する操作、及び、該処理に対応する所定の設定情報の入力操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段により受け付けられた前記処理を実行する実行手段と、
前記実行手段による前記処理の実行結果に応じて、課金可能であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により課金可能であると判断された場合には、前記処理の内容及び前記設定情報に基づいて、課金情報を生成し、課金不能と判断されたときには、課金情報の生成を中止する属性情報生成手段と、
前記属性情報生成手段により生成された課金情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項2】
前記入力手段は、ユーザからの、課金を伴うスキャン処理の要求を受け付け、
前記判断手段は、スキャンされた画像データが格納先に保存された時点で課金可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項3】
前記入力手段は、ユーザからの、課金を伴うコピー処理の要求を受け付け、
前記判断手段は、コピーされた原稿が正常に出力された時点で課金可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項4】
前記入力手段は、ユーザからの、課金を伴うファクシミリ処理の要求を受け付け、
前記判断手段は、受信側のファクシミリ装置からのMCF信号が受信された時点で課金可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項5】
前記入力手段は、ユーザからの、課金を伴う電子メール送信処理の要求を受け付け、
前記判断手段は、メールサーバに電子メールが転送された時点、又は送信先からの受領証が受信された時点で課金可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項6】
前記判断手段は、受け付けられた処理の実行途中でエラーが発生した場合に、処理が正常に終了した部分について、部分的に課金可能であるか否かを判断し、
前記属性情報生成手段は、前記判断手段により処理が正常に終了した部分について部分的に課金可能であると判断された場合に、課金可能と判断された当該部分について課金情報を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のネットワーク複合機。
【請求項7】
前記入力手段は、前記判断手段により課金可能であると判断された後、前記属性情報生成手段により課金情報が生成されて前記出力手段により該課金情報が出力されるまで、処理の実行を停止させるストップキーの入力操作を受け付けないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のネットワーク複合機。
【請求項8】
前記入力手段により受け付けられた前記設定情報を記憶する記憶手段を備え、
前記記憶手段は、前記設定情報が受け付けられた後、所定時間経過するまで該設定情報を保持し、前記所定時間が経過した時点で該設定情報を消去することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のネットワーク複合機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−141537(P2010−141537A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315064(P2008−315064)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】