説明

ネットワーク通信システム、ネットワーク通信方法、ネットワーク通信プログラムおよび周辺制御処理装置

【課題】リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信システムで、通信に不具合が発生したときに障害の発生箇所を特定できるようにする。
【解決手段】ホスト2a、2b、2cが、それぞれ周辺制御処理装置1a、1b、1cを介してネットワーク3に接続される。そして、受信側の周辺制御処理装置1bは、上位装置からの応答がない場合、送信側の周辺制御処理装置1aに応答失敗のリプライを返す。また、リクエストに対するリプライを得られない場合、送信側の周辺制御処理装置1aは、他の周辺制御処理装置に接続確認をブロードキャストする。また、受信側の周辺制御処理装置1bは、リプライを返しているのに更にリトライのリクエストデータが送られてきた場合に、受信処理失敗を注意事象として報告する。これにより、障害の発生箇所を特定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側から受信側へ送信されるリクエストと、受信側から送信側に返されるレスポンスとの対によりデータ通信を行うネットワーク通信システム、当該ネットワーク通信システムのネットワーク通信方法、ネットワーク通信プログラム、および、当該ネットワーク通信システムを構成する周辺制御処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、通信データを正常に送受信できない場合の処理方法が幾つか開示されている。
例えば、特許文献1に記載の通信システムでは、受信側の通信装置が、受信準備が整ってなく送信フレームの通信データを正常に取り込むことができない場合には、当該受信側の通信装置のフレーム受信制御手段から送信側の通信装置へ、拒否応答が設定されたフレームが返送される。この結果、送信側の通信装置のフレーム送信制御手段は、送信待機状態となる。そして、受信側の通信装置のフレーム受信制御手段は、受信準備が整った時点で、送信側の通信装置に送信要求が設定されたフレームを送り、これを受けて、送信側の通信装置のフレーム送信制御手段は、受信側の通信装置へ送信フレームを再送信する。
これにより、受信側の通信装置における処理能力の低下を防止し、かつネットワーク全体の通信効率の低下も防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−77947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワークを介して通信を行う通信システムにおいて、通信データを正常に送受信できない原因として、ネットワーク上のパケットロスト、受信側ビジー、送信失敗など幾つかの原因が考えられる。しかしながら、送信側でレスポンスのタイムアウトを検出することで通信異常を検出する一般的な方法では、通信異常の原因を詳細に把握することは困難である。
また、特許文献1には、通信異常の原因を詳細に把握する技術は示されていない。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできるネットワーク通信システム、ネットワーク通信方法、ネットワーク通信プログラムおよび周辺制御処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様によるネットワーク通信システムは、複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信システムであって、周辺制御処理装置は、ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する手段と、通信を行う前処理として、複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定する手段と、論理パス単位で、論理パスに関連する情報をやり取りする手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によるネットワーク通信方法は、複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信方法であって、ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する工程と、通信を行う前処理として、複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定する工程と、論理パス単位で、論理パスに関連する情報をやり取りする工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様によるネットワーク通信プログラムは、複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信プログラムであって、ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定するステップと、通信を行う前処理として、複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定するステップと、論理パス単位で、論理パスに関連する情報をやり取りするステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様による周辺制御処理装置は、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信システムに用いる周辺制御処理装置であって、ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する手段と、通信を行う前処理として他の周辺制御処理装置と論理パスを設定する手段と、論理パス単位で、論理パスに関連する情報を他の周辺制御処理装置とやり取りする手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信に不具合が発生したときに、障害の発生箇所を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワーク通信システムの概要の説明に用いるブロック図である。
【図2】同実施形態に係るネットワークシステム通信システムにおける周辺制御処理装置の一例のブロック図である。
【図3】同実施形態における初期化処理の説明に用いるシーケンス図である。
【図4】同実施形態における初期化処理の説明に用いるシーケンス図である。
【図5】同実施形態における基本的なデータ通信の説明に用いるシーケンス図である。
【図6】同実施形態における、障害に対する処理の説明に用いるシーケンス図である。
【図7】同実施形態における、障害に対する処理の説明に用いるシーケンス図である。
【図8】同実施形態における、障害に対する処理の説明に用いるシーケンス図である。
【図9】同実施形態における、障害を特定する方法の説明に用いるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク通信システムを示すブロック図である。
同図に示すネットワーク通信システム900では、複数の周辺制御処理装置1a、1b、1cの上位装置としてホスト2a、2b、2cがそれぞれ設けられ、これら複数の周辺制御処理装置1a、1b、1cは、同一ネットワーク3に接続される。周辺制御処理装置1a、1b、1c間の通信は、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で行われる。
【0013】
すなわち、例えば、ホスト2aを送信側の上位装置とし、ホスト2bを受信側の上位装置として、ホスト2aからホスト2bにデータを送信する場合、ホスト2aは、コマンド及びデータを周辺制御処理装置1aに送る。そして、周辺制御処理装置1aは、このコマンド及びデータに基づくリクエストデータをネットワーク3を介して受信側の周辺制御処理装置1bに送信する。リクエストデータを受信した周辺制御処理装置1bは、リクエストデータの内容をチェックした後、上位装置であるホスト2bへ通知すると共に、リプライをネットワーク3を介して送信側の周辺制御処理装置1aへ返す。このように、送信側から受信側へ送信されるリクエストと、受信側から送信側に返されるレスポンスとの対により、データ通信が実現される。
【0014】
なお、以下では、リクエストを送る側の周辺制御処理装置ないしホストを、送信側の周辺制御処理装置ないし送信側のホストと称し、リクエストを受信してレスポンスを返す側
の周辺制御処理装置ないしホストを、受信側の周辺制御処理装置ないし受信側のホストと称する。
なお、ネットワーク通信システム900の備えるホストおよび周辺制御処理装置の数は、図1に示す3組に限らず、送信側のホストおよび周辺制御処理装置と、受信側のホストおよび周辺制御処理装置とがあればよい。すなわち、ネットワーク通信システム900が2組以上のホストおよび周辺制御処理装置を備えていればよい。
【0015】
また、ネットワーク通信システム900では、通信路で障害が発生した際、データリトライが行われる。リトライの回数が規定回数を越えることで、相手周辺制御処理装置の無応答が検出される。例えば、送信側の周辺制御処理装置1aは、受信側の周辺制御処理装置1bにリクエストデータを送信し、このリクエストデータに対するレスポンスが受信できずにタイムアウトになれば、送信側の周辺制御処理装置1aは、リクエストデータを再送して、リトライを行い、規定回数以上リトライを行うと、相手周辺制御処理装置1bの無応答が検出される。
【0016】
更に、ネットワーク通信システム900では、論理パス活性化の前に、ブロードキャストにより同一ネットワーク上の装置構成を把握する処理が行われる。そして、周辺制御処理装置1a〜1cは、通信を行う前処理として、論理パスを設定し、この論理パス単位で、リトライ回数、リトライのタイムアウトとなるタイマ値(T1)、アドレス等、論理パスに関連する情報をやり取りする。また、周辺制御処理装置1a〜1cは、このリトライ時間を元に、リトライのタイムアウトとなるタイマ時間(T1)に対して、それより短い時間を、リプライを通知するまでの規定時間(T2)として規定して設定し、論理パスに関連する情報として、周辺制御処理装置1a〜1cでやり取りしておく。
【0017】
このような処理を行った後、送信側の周辺制御処理装置1aから受信側の送信側の周辺制御処理装置1bにリクエストが送信されると、リクエストを受信した周辺制御処理装置1bは、ホスト2bがビジーで受信拒否する場合には、規定時間(T2)内に応答失敗のリプライを、送信側の周辺制御処理装置1aに通知する。
【0018】
また、送信側の周辺制御処理装置1aから受信側の周辺制御処理装置1bにリクエストを送信し、規定の回数だけリトライを行ったが、受信側の周辺制御処理装置1bからリプライが返されない場合、送信側の周辺制御処理装置1aは、事前に把握したネットワーク構成上の他の全ての周辺制御処理装置に対して、接続確認をブロードキャストする。
【0019】
また、受信側の周辺制御処理装置1bは、リプライデータを返しているのに、送信側から更にリトライのリクエストデータが送られてきた場合に、受信側のホスト2bに対して、受信処理失敗を注意事象として報告する。
そして、ネットワーク通信システム900では、障害が発生した場合に、障害の発生箇所を特定することができる。なお、障害の特定については、後に説明する。
【0020】
以下、ネットワーク通信システム900を構成する周辺制御処理装置について、詳細に説明する。
図2は、周辺制御処理装置1aの構成を示すブロック図である。同図に示すように、周辺制御処理装置1aは、ファームウェア制御部110と、上位I/F(Interface)部120と、下位I/F部130と、ネットワーク構成検索部140と、リトライ制御部160と、タイマ制御部150と、メモリ部170と、論理パス制御部180とを具備する。なお、他の周辺制御処理装置1b、1cも、同様に構成されている。
【0021】
ファームウェア制御部110は、装置全体の制御を行う。上位I/F部120は、ホスト2aからのコマンド及びデータを受け付ける。下位I/F部130は、ネットワーク3上へのデータ転送およびデータ受信を行う。
【0022】
ネットワーク構成検索部140は、ネットワーク3上の構成の探索を行う。ネットワーク構成は、電源投入直後又は装置リブート直後に実施する初期化処理の一環として、ネットワーク3上に接続されている装置のアドレスを確認するためのアドレス要求パケットをブロードキャスト転送し、ネットワーク3上に接続されている装置からのリプライを受信することで実現される。
【0023】
タイマ制御部150は、リトライ時間の制御及び受信したパケットの有効時間の制御を行う。リトライ時間は、メモリ部170の論理パス構成管理テーブル172の情報を元に設定される。また、リトライ時間は、受信パケットの有効時間が必ずリトライ時間より短くなるように、更新が行われる。
リトライ制御部160は、メモリ部170内の論理パス構成管理テーブル172の情報に従い、パケットのリトライ制御を行う。
【0024】
メモリ部170内には、ネットワーク構成を管理するためのネットワーク構成管理テーブル171と、周辺制御処理装置1a、1b、1cの間の論理パスを規定/管理するための論理パス構成管理テーブル172が存在する。
【0025】
ネットワーク構成管理テーブル171は、データを転送したいホスト2a、2b、2cと論理パス活性化を実行する前に設定される各種情報が格納される。ネットワーク構成管理テーブル171には、リトライ回数、リトライ間隔、相手周辺制御処理装置のアドレス等が格納される。
【0026】
論理パス構成管理テーブル172には、自アドレス、相手アドレス、データ無応答と判断するまでのタイマ時間(T1)、データを受信した上位装置へリクエストを通知するまでの規定時間(T2)、送信データの再送回数(n1)が格納される。これらの情報は、初期化処理で、ネットワークを構成する各周辺制御処理装置1a〜1cでブロードキャストによりやり取りされ、このブロードキャストによりやり取りされた情報を元に、論理パス構成管理テーブル172に格納される。
【0027】
論理パス制御部180は、初期化処理で、論理パスの制御を行う。また、論理パス制御部180は、通信相手である周辺制御処理装置1b、1cから論理パス構成パケットを受信すると、メモリ部170の論理パス構成管理テーブル172に格納する。論理パス構成パケットには、通信相手である周辺制御処理装置内のリトライ回数、リトライ間隔、相手周辺制御処理装置1a、1bのアドレス等が格納されている。
【0028】
次に、ネットワーク通信システム900の動作について説明する。先ず、初期化処理について、図3及び図4のシーケンス図を参照しながら説明する。
電源投入直後または装置リブート直後に実施する初期化処理が行われる。ここでは、周辺制御処理装置1aが初期化処理を行う場合について説明する。
【0029】
電源投入直後または装置リブート直後に実施する初期化処理の一環として、周辺制御処理装置1aのファームウェア制御部110は、ネットワーク構成検索部140に、ネットワーク3上の構成検索を指示する。ネットワーク構成の検索を指示されたネットワーク構成検索部140は、ネットワーク上に接続されている装置のアドレスを確認するためのアドレス要求パケットを作成し、下位I/F部130を経由してブロードキャスト転送する(ステップS101)。
【0030】
ネットワーク3に接続されている他の周辺制御処理装置1b、1cは、このアドレス要求パケットを受信すると、アドレス応答パケットを送信する。
【0031】
周辺制御処理装置1aの下位I/F部120は、アドレス応答パケットを受信すると、このアドレス応答パケットをネットワーク構成検索部140に送り、ネットワーク構成検索部140は、各周辺制御処理装置1b、1cから送られてきたアドレス応答パケットに基づいて、メモリ部170内のネットワーク構成管理テーブル171を更新し、ネットワーク3に接続されている装置のアドレスを格納することで、ネットワーク構成を確認する(ステップS102)。
【0032】
そして、データを転送したい相手側との間で、論理パスの活性化を行う。例えば、ホスト2aがホスト2bとデータ通信を行う場合には、ホスト2aはホスト2bへの論理パス活性化コマンドを発行する(ステップS201)。周辺制御処理装置1aは、受信したコマンドが論理パス活性化コマンドかどうかを判定し(ステップS202)、論理パス活性化コマンドなら、論理パスを設定し、メモリ部170内の論理パス構成管理テーブル172に、論理パス情報として、自アドレス、相手アドレス、データ無応答と判断するまでのタイマ時間(T1)、データを受信した上位装置へ通知するまでの時間規定(T2)、送信データの再送回数(n1)を格納する(ステップS203)。また、これらの情報は、論理パス活性化する相手周辺制御処理装置1bに対しても転送される(ステップS204)。
【0033】
また、周辺制御処理装置1aは、相手周辺制御処理装置1bから論理パス活性化コマンドを受信すると、論理パス制御部180によりメモリ部170内の論理パス構成管理テーブル172に、相手側の周辺制御処理装置1bの情報としてアドレス、データ無応答と判断するまでのタイマ時間(T1)、データを受信した上位装置へ通知するまでの時間規定(T2)、送信データの再送回数(n1)を格納する。
【0034】
以上のような手順により初期化が完了すれば、通常のデータ転送を行うことが可能となる。次に、基本的なデータシーケンスを、図5を参照して説明する。ここでは、ホスト2aがホスト2bにデータ転送を行う場合について説明する。
【0035】
図5において、周辺制御処理装置1aは、ホスト2aよりコマンド及びデータを受け付けると、下位I/F部130を経由してネットワーク3上へリクエスト(オリジナル)を発行し(ステップS301)、受信側の周辺制御処理装置1bからのリプライを待つ(ステップS302)。
【0036】
受信側の周辺制御処理装置1bからのリプライが通知されると(ステップS302 Yes)、周辺制御処理装置1aは、論理パス制御部180にて論理パス構成管理テーブル172上に、対応する自局/相手局アドレス情報があるかどうかを判定し(ステップS303)、アドレス情報があればリプライを受信し(ステップS304)、アドレス情報がなければリプライを廃棄する(ステップS305)。
【0037】
受信側の周辺制御処理装置1bにおいて、受信したコマンド及びデータは、ファームウェア制御部110によりコマンド及びデータ処理を実施し、実施結果を終了事象報告として、上位I/F部120を介してホスト2bへ通知する。
【0038】
送信側の周辺制御処理装置1aでは、リプライがない場合(ステップS302 No)、リトライ制御部160とタイマ制御部150により、リトライシーケンスが制御される。タイマ制御部150によりタイムアウトを検出し(ステップS306)、リトライ制御部160により規定回数を超えていないと判断されれば(ステップS307 No)、リクエストを再発行する(ステップS308)。リプライが無い場合には、このようなシーケンスをn1回数まで繰り返す(ステップS306)。
【0039】
リトライ制御部160が規定回数n1のリトライを実施したと判断した場合(ステップS307 Yes)、論理パス制御部180は、ネットワーク構成管理テーブル171上に登録されている全ての周辺制御処理装置に対し、接続確認リクエストをブロードキャストで発行し(ステップS309)、このリクエストに対するリプライ結果をホスト2aへ終了事象報告として報告する(ステップS310)。
【0040】
次に、ネットワーク通信システム900上に障害が発生した場合の動作シーケンスについて説明する。
ネットワーク通信システム900では、送信側の周辺制御処理装置1aから受信側の周辺制御処理装置1bにリクエストが送信され、リクエストを受信した周辺制御処理装置1bが、ビジーにより受信処理を規定時間(T2)内に完了しない場合には、受信側の周辺制御処理装置1bは、応答失敗のリプライを送信側の周辺制御処理装置1aへ通知する。これにより、受信側に障害があるのか、ビジーにより受信拒否しているのかが判定できる。
【0041】
ここで、図6は、ホスト2aがホスト2bにデータ転送を行う際に、受信側がビジーにより受信拒否する場合の処理を示すシーケンス図である。
同図において、ホスト2aからのコマンドが周辺制御処理装置1aに送られると(処理PRC101)、周辺制御処理装置1aは、ネットワーク3上にリクエスト(オリジナル)を発行する(処理PRC102)。
【0042】
受信側の周辺制御処理装置1bは、送信側の周辺制御処理装置1aからのリクエストを受信すると、通常、上位のホスト2bは、このリクエストの読み取り許可コマンドを周辺制御処理装置1bに送る(処理PRC103)。ところが、ホスト2bがビジーの場合には、この読み取り許可コマンドが発行されない。
【0043】
受信側の周辺制御処理装置1bは、規定時間T2が経過してもホスト2bからの読み取り許可コマンドが発行されない場合、読み取りコマンド無しによるリクエスト拒否をリプライとして送信側の周辺制御処理装置1aに返す(処理PRC104)。
【0044】
送信側の周辺制御処理装置1aは、リクエスト拒否のリプライデータを受け取ると、受信側がビジーで受信処理できないと判定する。そして、送信側の周辺制御処理装置1aは、リトライの規定回数内であれば、リクエストを再び発行する(処理PRC105)。
【0045】
以上のシーケンスを規定回数実施した後(PRC106〜PRC108)、送信側の周辺制御処理装置1aは、ホスト2aに対し、受信側がビジーでリクエスト拒否による送信失敗を終了事象報告として報告する(処理PRC109)。
【0046】
図7は、ホスト2aがホスト2bにデータ転送を行う際に、受信側の周辺制御処理装置1bの受信部に障害がある(又は送信側の周辺制御処理装置1aの送信部に障害がある)場合のシーケンス図である。
図7において、ホスト2aからのコマンドが周辺制御処理装置1aに送られると(処理PRC201)、周辺制御処理装置1aは、ネットワーク3上にリクエストを発行する(処理PRC202)。
【0047】
ここで、受信側の周辺制御処理装置1bの受信部(下位I/F部130等、ドライバに相当する箇所)に故障が発生していると、ホスト2bから読み取り許可コマンドが発行されたとしても(処理PRC203)、周辺制御処理装置1bはリプライを返せない。このため、リトライ間隔T1を超えて、タイムアウトが発生する。
【0048】
同様に、送信側の周辺制御処理装置1aの送信部に故障が発生している場合にも、周辺制御処理装置1bはリプライを返せない。このため、リトライ間隔T1を超えて、タイムアウトが発生することになる。
【0049】
送信側の周辺制御処理装置1aは、リトライ間隔T1を超えて、タイムアウトが発生すると、リクエストデータを再送信する(処理PRC204)。そして、規定回数に達するまで、送信側の周辺制御処理装置1aは、リクエストのリプライを発行する(処理PRC205)。
【0050】
このシーケンスを規定回数実施した後、送信側の周辺制御処理装置1aは、ネットワーク構成管理テーブル171内の接続情報を元に、接続確認データを他の全ての周辺制御処理装置1b、1cに対してブロードキャストし、接続状況を確認する(処理PRC206)。
【0051】
ここで、他の周辺制御処理装置から接続応答のリプライがあれば(処理PRC207)、送信側の周辺制御処理装置1aに問題がないことがわかる。よって、この場合には、受信側周辺制御処理装置1bの受信失敗を終了事象報告として報告する(処理PRC208)。ここで、仮に接続確認データに対するリプライが無い場合は、自周辺制御処理装置1aの送信部の故障と判断する。
【0052】
図8は、ホスト2aがホスト2bにデータ転送を行う際に、送信側の周辺制御処理装置1aの受信部に障害がある(又は受信側の周辺制御処理装置1bの送信部に障害がある)場合のシーケンス図である。
同図において、ホスト2aからのコマンドが周辺制御処理装置1aに送られると(処理PRC301)、周辺制御処理装置1aは、ネットワーク3上にリクエストを発行する(処理PRC302)。
【0053】
受信側の周辺制御処理装置1bは、送信側の周辺制御処理装置1aからのリクエストを受信すると、このリクエストの読み取り許可コマンドを周辺制御処理装置1bに送り(処理PRC303)、ホスト2bにデータを転送する(処理PRC304)。そして、受信側の周辺制御処理装置1bは、送信側の周辺制御処理装置1aにリプライデータを返送する(処理PRC305)。
【0054】
ここで、送信側の周辺制御処理装置1aの受信部に故障が発生していると、送信側の周辺制御処理装置1aは、受信側の周辺制御処理装置1bからのリプライを受信できない。このため、リプライ間隔T1を経過して、タイムアウトが発生する。
同様に、受信側の周辺制御処理装置1bの送信部に故障が発生していると、送信側の周辺制御処理装置1aは、受信側の周辺制御処理装置1bからのリプライを受信できず、リプライ間隔T1を経過して、タイムアウトが発生する。
【0055】
送信側の周辺制御処理装置1aは、リトライ間隔T1を超えて、タイムアウトが発生すると、リクエストデータを再送信する(処理PRC306)。
受信側の周辺制御処理装置1bは、送信側からリトライのリクエストデータが送られてきた場合に、受信側のホスト2bに対して、受信処理失敗を注意事象として報告し(処理PRC307)、リプライデータを周辺制御処理装置1aに送る(処理PRC308)。そして、送信側の周辺制御処理装置1aは、規定回数内であれば、同様の処理を繰り返す(処理PRC309〜PRC311)。
【0056】
このシーケンスを規定回数実施したあと、送信側の周辺制御処理装置1aは、ネットワーク構成管理テーブル171内の接続情報を元に、他の全ての周辺制御処理装置1b、1cに対して接続確認データをブロードキャストし、接続状況を確認する(処理PRC312)。
【0057】
ここで、送信側の周辺制御処理装置1aの受信部に障害があれば、送信側の周辺制御処理装置1aは、接続状況確認に対するリプライを受信することができない(処理PRC313)。よって、この場合には、送信側の周辺制御処理装置1aの受信失敗を終了事象報告として報告する(処理PRC314)。
【0058】
ここで、仮に接続確認データに対するリプライがある場合は、受信側の周辺制御処理装置1bの送信部の故障と判断する。
【0059】
障害が発生した場合の障害箇所の特定の仕方をまとめると、図9に示すようになる。すなわち、障害の発生箇所としては、以下のものがある。
【0060】
(1)送信側の周辺制御処理装置1aの送信部の障害
(2)受信側の周辺制御処理装置1bの受信部の障害
(3)受信側の周辺制御処理装置1bとホスト2bとの間の障害(ビジーによるホストの受信拒否)
(4)受信側の周辺制御処理装置1bの送信部の障害
(5)送信側の周辺制御処理装置1aの受信部の障害
【0061】
前述したように、ネットワーク通信システム900では、送信側の周辺制御処理装置1aから受信側の送信側の周辺制御処理装置1bにリクエストが送信されると、リクエストを受信した周辺制御処理装置1bは、ホスト2bがビジーで受信拒否する場合には、規定時間(T2)内に応答失敗のリプライを、送信側の周辺制御処理装置1aに通知する。
【0062】
よって、送信側の周辺制御処理装置1aが応答失敗のリプライを受信したかどうかにより、受信側の周辺制御処理装置1bとホスト2bとの間の障害(ビジーによるホストの受信拒否)であるかどうかが特定できる。
【0063】
すなわち、ステップS501で、送信側の周辺制御処理装置1aが応答失敗のリプライを受信したかどうかを判定し、送信側の周辺制御処理装置1aが応答失敗のリプライを受信した場合には(ステップS501 Yes)、の受信側の周辺制御処理装置1bとホストとの間の障害(ビジーによるホストの受信拒否)であると特定することができる(ステップS502)。
【0064】
次に、受信側の障害か送信側の障害かは、送信側の周辺制御処理装置1aからの接続確認のブロードキャストに対してリプライが返されるかどうかにより特定できる。
すなわち、送信側の周辺制御処理装置1aが規定の回数だけリトライを行ったが、受信側の周辺制御処理装置1bからリプライが返されない場合、送信側の周辺制御処理装置1aは、事前に把握したネットワーク構成上の他の全ての周辺制御処理装置に対して、接続確認をブロードキャストしている。この接続確認のブロードキャストに対して、リプライが返されれば、送信側には問題はなく、受信側に障害があると特定できる。送信側の周辺制御処理装置1aからの接続確認をブロードキャストに対するリプライがなければ、送信側に障害があると特定できる。
【0065】
このことから、ステップS501で、送信側の周辺制御処理装置1aがリプライを取得できない場合(ステップS501 No)、このブロードキャストに対するリプライを取得できたかどうかにより(ステップS503),送信側の障害か受信側の障害かが判定される。
【0066】
ブロードキャストに対するリプライを取得できない場合は(ステップS503 No)、送信側の問題、すなわち、送信側の周辺制御処理装置1aの送信部の障害か、又は、送信側の周辺制御処理装置1aの受信部の障害と特定できる。
【0067】
一方、このブロードキャストに対するリプライを取得できた場合は(ステップS503 Yes)、受信側の問題、すなわち、受信側の周辺制御処理装置1bの受信部の障害か、又は、受信側の周辺制御処理装置1bの送信部の障害であると特定できる。
【0068】
ブロードキャストに対するリプライを取得できるかどうかにより、送信側の問題か受信側の問題かは特定できるが、これだけでは、更に、送信側の周辺制御処理装置1aの送信部の障害なのか、送信側の周辺制御処理装置1aの受信部の障害なのか、或いは、受信側の周辺制御処理装置1bの受信部の障害なのか、受信側の周辺制御処理装置1bの送信部の障害なのかを特定できない。これについては、受信側の周辺制御処理装置1bの注意事象の報告から判定できる。
【0069】
すなわち、受信側の周辺制御処理装置1bは、リプライデータを返しているのに、送信側から更にリトライのリクエストデータが送られてきた場合に、受信側のホスト2bに対して、受信処理失敗を注意事象として報告している。この受信処理失敗の注意事象報告があれば、送信側の受信部に障害があると判断できる。また、この受信処理失敗の注意事象報告があれば、受信側の送信部には障害はないと判断できる。
【0070】
このことから、ステップS503で、ブロードキャストに対するリプライを取得できない場合(ステップS503 No)、更に、受信側に、注意事象報告の記録があるかどうかを判定し(ステップS504)、注意事象報告の記録がある場合には(ステップS504 Yes)、送信側の受信部の障害であると特定し(ステップS505)、注意事象の報告の記録がなければ(ステップS504 No)、送信側の送信部に障害があると特定する(ステップS506)。
【0071】
同様に、ステップS503で、ブロードキャストに対するリプライを取得できた場合は(ステップS503 Yes)、更に、受信側に、注意事象報告の記録があるかどうかを判定し(ステップS507)、受信側に、注意事象の報告を受信した旨の記録があれば(ステップS507 Yes)、受信側の送信部に障害があると特定し(ステップS508)、一方、受信側に、注意事象報告を受信した旨の記録がなければ(ステップS507 No)、受信側の受信部に障害があると特定する(ステップS509)。
【0072】
このように、ネットワーク通信システム900では、障害が発生した場合に、その障害箇所を特定することができる。このような障害箇所の特定作業は、人手で行っても良いし、また、図9に示したフローチャートに従って、自動で行ってもよい。
【0073】
なお、周辺制御処理装置1a〜1cの全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1a〜1c:周辺制御処理装置
2a〜2c:ホスト
3:ネットワーク
110:ファームウェア制御部
120:上位I/F部
130:下位I/F部
140:ネットワーク構成検索部
150:タイマ制御部
160:リトライ制御部
170:メモリ部
171:ネットワーク構成管理テーブル
172:論理パス構成管理テーブル
180:論理パス制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、前記複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信システムであって、
前記周辺制御処理装置は、
ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する手段と、
通信を行う前処理として、前記複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定する手段と、
前記論理パス単位で、前記論理パスに関連する情報をやり取りする手段と
を含むことを特徴とするネットワーク通信システム。
【請求項2】
前記論理パスに関連する情報は、リプライを通知するまでの規定時間を含み、前記周辺制御処理装置は、他の周辺制御処理装置からのリクエストに対して前記規定時間内に上位装置からのコマンドがなければ、前記他の周辺制御処理装置に応答失敗のリプライを返す
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク通信システム。
【請求項3】
前記周辺制御処理装置は、受信側に規定回数リクエストを送信しても受信側からリプライが返されない場合に、他の周辺制御処理装置に接続確認をブロードキャストする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク通信システム。
【請求項4】
前記周辺制御処理装置は、送信側にリプライを返しているのに、更にリトライのリクエストが送られてきた場合に、受信処理失敗の注意事象を送信する
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載のネットワーク通信システム。
【請求項5】
複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、前記複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信方法であって、
ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する工程と、
通信を行う前処理として、前記複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定する工程と、
前記論理パス単位で、前記論理パスに関連する情報をやり取りする工程と
を含むことを特徴とするネットワーク通信方法。
【請求項6】
複数の周辺制御処理装置にそれぞれ上位装置が設けられ、前記複数の周辺制御処理装置がネットワークに接続され、各周辺制御処理装置間で、リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信プログラムであって、
ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定するステップと、
通信を行う前処理として、前記複数の周辺制御処理装置間の論理パスを設定するステップと、
前記論理パス単位で、前記論理パスに関連する情報をやり取りするステップと
を含むことを特徴とするコンピュータにより実行可能なネットワーク通信プログラム。
【請求項7】
リクエストとレスポンスが一対となった同期方式で通信を行うネットワーク通信システムに用いる周辺制御処理装置であって、
ブロードキャストにより同一ネットワーク上の周辺制御処理装置の構成を判定する手段と、
通信を行う前処理として他の周辺制御処理装置と論理パスを設定する手段と、
前記論理パス単位で、前記論理パスに関連する情報を他の周辺制御処理装置とやり取りする手段と、
前記論理パスに関連する情報を保存する手段と
を含むことを特徴とする周辺制御処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−213004(P2012−213004A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77007(P2011−77007)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】