説明

ネット袋

【課題】 従来のネット袋を改良し、使い勝手を更に良くしたネット袋を提供する。
【解決手段】 物品収納室(4)を挟んで配置された合成樹脂製の表裏ネットシート(2,3)により上部に開口部(8)を備えた袋体(1)を構成するネット袋である。表裏ネットシート(2,3)は、前記開口部(8)の開口縁(2a,3a)に沿って帯状の表裏ヘッダーシート(9,10)を重ね合わせて添設することにより、それぞれネットシートとヘッダーシートを重合した表裏の重合シート部を構成している。表裏の重合シート部は、開口形成縁により周縁を形成された互いに対向する一対の把手開口(13,14)を開設している。少なくとも一方の把手開口(14)は、周縁の上辺部(16)を残して開口形成縁を形成することにより、該開口形成縁に囲まれた重合シート部により形成されたフラップ(17)を、前記上辺部(16)を介して袋体(1)に連結すると共に折曲自在に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の物品を収納できるようにしたネット袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数のモノフィラメント状の線条を交差して一体化せしめた伸縮自在な網目を有するネットチューブから成る筒状のネット袋が提供されている。即ち、ネットチューブを所定長さに寸断すると共に、一端を集束して溶着することにより底部を備えた筒袋を形成している。しかしながら、このような筒状のネット袋は、筒状であるため、野菜や果物、その他の物品を収納した状態で、全体が放射方向に膨らんで体裁が良くなく、しかも使い勝手が悪い。
【0003】
そこで本発明者らは、袋体の表裏両面に合成樹脂製のネットシートを配置し、袋体の両側縁に沿って表裏ネットシートを溶着することによりサイドシール部を形成すると共に、全体をほぼ矩形としたネット袋をこれまでに種々提案している(例えば、特許文献1、2等)。これら全体をほぼ矩形としたネット袋は、物品収納状態において、筒状ネット袋のように放射方向に膨らむのではなく、袋体が表裏両面に膨らみ周縁を幾分かは歪ませるが、全体的には周縁を原形の矩形に近い形態に保持できるので、収納後の体裁が極めて良好である。
【0004】
【特許文献1】特許第2964331号
【特許文献2】特開2000−255588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の矩形ネット袋は、玉葱等のように比較的重量のある物品を多数収納するための大型袋として構成する場合にはその持ち運びが不便である。即ち、従来の矩形ネット袋には、持ち運びのための把手構造が特に設けられていないため、重量のある物品を収納した場合にはその持ち運びに際してネット袋全体を別の袋に入れるなどして持ち運ばなければならないという不便がある。
【0006】
そこで、袋体の開口縁に沿って表裏ネットシートのそれぞれにヘッダーシートを添設し、そのほぼ中央に貫通した吊下孔を持ち運びのための把手開口として利用すれば良いことが知見される。しかしながら、この場合、貫通形成された把手開口の周縁部に、ネットシートを切断することにより露出される線条先端が位置し、把手開口を握ったときにはその線条先端が手に直接当たり、持ち運び時に不快感を与える。
【0007】
また上述の矩形ネット袋は、袋体の両側縁に位置して、底部から開口部の上端に至るまで表裏ネットシートを溶着したサイドシール部を形成しているため、ネット袋に対して物品を出し入れするため開口部を開放するに際し、開口縁の両端(サイドシール部)が固着されているので、表裏ネットシートの開口縁の離反間隔が規制されることになる。そのため、物品の出し入れを行い易くするためには、表裏ネットシートの開口縁をより大きく離反できるように構成することが好ましい。
【0008】
本発明は、従来のネット袋の改良に係るものであり、上記課題を改善し、使い勝手を更に良くしたネット袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明が解決手段として採用したところは、物品収納室(4)を挟んで配置された合成樹脂製の表裏ネットシート(2,3)により上部に開口部(8)を備えた袋体(1)を構成するネット袋において、前記開口部(8)の開口縁(2a,3a)に沿って表裏ネットシート(2,3)に帯状の表裏ヘッダーシート(9,10)を重ね合わせて添設することにより、それぞれネットシートとヘッダーシートを重合した表裏の重合シート部を構成し、表裏の重合シート部に開口形成縁により周縁を形成された互いに対向する一対の把手開口(13,14)を開設しており、少なくとも一方の把手開口(14)は、周縁の上辺部(16)を残して開口形成縁を形成することにより、該開口形成縁に囲まれた重合シート部により形成されたフラップ(17)を、前記上辺部(16)を介して袋体(1)に連結すると共に折曲自在に構成している点にある。
【0010】
かかる構成によれば、一対の把手開口は互いに対向する位置に形成されているので、少なくとも一方の把手開口に残されたフラップを、他方の把手開口に挿通すると共に、他方の把手開口の上縁部に重ねて上向きに折り曲げることができる。したがって、一方のヘッダーシートとフラップとが、他方のヘッダーシートを挟み込み、一対のヘッダーシートを相互に重合せしめた状態で開口部を封止できるようになる。またその状態で把手開口を握ってネット袋を持ち運ぶ際には、フラップの折曲部が連通する一対の把手開口の上縁を覆うことになるので、表裏ネットシートの把手開口に臨む線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができるようになる。
【0011】
また上記ネット袋は、一対の把手開口(13,14)のうち、一方の把手開口(14)には前記フラップ(17)を設けているが、他方の把手開口(13)には前記フラップを設けず該把手開口(13)の周縁の全周を開放しており、一方の把手開口(14)に設けたフラップ(17)は、他方の把手開口(13)に挿通自在とされると共に、該フラップ(17)を他方の把手開口(13)の上縁部(13a)に重ねて上向きに折り曲げた状態で、該フラップ(17)と他方の把手開口(13)の上縁部(13a)の外側近傍部とを相互に接着自在とする接着手段(19)を設けることが好ましい。このような構成態様とすれば、フラップをヘッダーシートに接着させることができるので、把手開口から手を放したとしても、一対のヘッダーシートを相互に重合せしめ、開口部を封止した状態を維持することができる。
【0012】
また上記ネット袋は、一対の把手開口(13,14)のそれぞれにフラップ(17a,17b)を設けており、両フラップ(17a,17b)を両把手開口の内側で上向きに折り曲げた状態で、両フラップ(17a,17b)を相互に接着自在とする接着手段(19)を設けることが好ましい。この場合も、一対のフラップを互いに接着させておくことができるので、把手開口から手を放したとしても、一対のヘッダーシートを相互に重合せしめ、開口部を封止した状態を維持することができる。
【0013】
また上記ネット袋は、表裏いずれか一方のヘッダーシート(10)に、袋体(1)の開口縁よりも上方に延びる粘着シート(20)を添設しており、表裏の重合シート部を合掌させた状態で、該粘着シート(20)を折り曲げることにより、該粘着シート(20)を他方のヘッダーシート(9)の外側面に接着するように構成することができる。この場合、袋体の開口部を広い範囲で封止でき、しかもその封止した状態を維持することができる。
【0014】
また上記ネット袋は、表裏の重合シート部の両側縁を切断線(23)(23)により切除し、該切断線を介して表裏の重合シート部を相互に離反可能となるように構成することが好ましい。これにより、ネット袋の開口部において表裏ネットシートの上端縁を大きく離反できるようになり、物品を出し入れする際の作業性が良くなる。
【0015】
更に上記ネット袋を構成する表裏ネットシート(2,3)は、袋体(1)の底部(5)において物品収納室(4)の内側に向けて断面山形状に折曲された底部ガゼット(6)を設けることが好ましい。この場合、ネット袋に物品を収納すると、底部ガゼットが広がることになる。そのため、その広がった底部ガゼット6を座として陳列棚等にネット袋を起立姿勢で載置できるようになり、体裁良く陳列できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るネット袋によれば、ネット袋を持ち運ぶための把手構造として、開口部(8)の開口縁(2a,3a)に沿って表裏ネットシート(2,3)に帯状の表裏ヘッダーシート(9,10)を重ね合わせて添設することにより、それぞれネットシートとヘッダーシートを重合した表裏の重合シート部を構成し、このような表裏の重合シート部に開口形成縁により周縁を形成された互いに対向する一対の把手開口(13,14)を開設しているので、ネット袋に比較的重量のある物品を収納した場合であってもその持ち運びが容易である。即ち、把手開口に手を挿入して把持した状態でネット袋を持ち運べるので、ネット袋を別の袋に入れる必要がなくなり、利便性が向上する。この際、本発明によれば、少なくとも一方の把手開口(14)は、周縁の上辺部(16)を残して開口形成縁を形成することにより、該開口形成縁に囲まれた重合シート部により形成されたフラップ(17)を、前記上辺部(16)を介して袋体(1)に連結すると共に折曲自在に構成している。このため、一方の把手開口(14)に設けられたフラップ(17)を、他方の把手開口(13)に挿通すると共に、他方の把手開口(13)の上縁部(13a)に重ねて上向きに折り曲げることができるので、把手(13)(14)の内周縁に臨むネットシートの線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができるようになる。したがって、本発明によれば、従来のネット袋よりも使い勝手が著しく向上したネット袋が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明に係るネット袋の好ましい実施形態を詳述する。
【0018】
〔ネット袋の基本形態〕
図1は本発明に係るネット袋の一形態を示す図であり、(a)は開口部を開いた状態の斜視図、(b)は開口部を閉じた状態の斜視図、(c)は縦断面図である。図1に示すように、ネット袋は、物品収納室4を挟んで配置された合成樹脂製の表ネットシート2と裏ネットシート3により上部に開口部8を備えた袋体1を構成する。表裏ネットシート2、3のそれぞれは、断面をほぼ円形又は楕円形とした多数のモノフィラメント状の線条12を交差して一体化せしめた伸縮自在な網目を備えたシートによって構成されている。図例の場合、袋体1の底部5は、ネットシート2、3を物品収納室4の内側に向けて断面山形に折曲した底部ガゼット6を形成しており、袋体1の両側部は、両側縁に沿って両ネットシート2、3を相互に溶着するサイドシール部7、7を設けている。この場合、サイドシール部7、7は、底部ガゼット6の両側縁の部分において、表ネットシート2と、裏ネットシート3と、その間で山形状に折り曲げられ重合されたネットシート部分の四者を一体的に溶着するのが好ましい。
【0019】
図例の場合、袋体1は、一枚の表裏ネットシート2、3を底部5で折り曲げることにより形成されているが、別体の二枚の表裏ネットシート2、3を底部5で相互に溶着した構成としても良い。また、底部ガゼット6は、図例の場合、一枚の表裏ネットシート2、3を袋谷折状に内側に折り曲げた構成としているが、別体の二枚の表裏ネットシート2、3を袋体1の底部5で溶着する際に山形に折り曲げて底部ガゼット6を形成しても良い。
【0020】
袋体1の上部において表裏ネットシート2、3の対向端縁は、相互に一直線に整合して揃えられた開口縁2a、3aを備えており、これにより物品収納室4に対して物品を出し入れする際の開口部8を形成する。
【0021】
表裏ネットシート2、3のそれぞれの外側表面には、開口縁2a、3aに沿って合成樹脂又は合成紙から成る帯状のヘッダーシート9、10が添設されており、ヘッダーシート9、10は、袋体1のほぼ全幅に向けて延びるシール線9a、10aにより、それぞれ表裏ネットシート2、3に溶着されている。これにより、柔軟な表裏ネットシート2、3は、開口縁2a、3aをヘッダーシート9、10により保形される。そこで、重合一体化された表ネットシート2とヘッダーシート9により表側の重合シート部が構成され、重合一体化された裏ネットシート3とヘッダーシート10により裏側の重合シート部が構成されている。尚、表裏ネットシート2、3の少なくとも一方のほぼ中央には物品収納室4に収納する物品のラベル等を付すためのラベル用シート11が必要に応じて溶着される。
【0022】
サイドシール部7、7は、ヘッダーシート9、10の両側縁に延びる上部サイドシール部7a、7aを形成している。上部サイドシール部7a、7aを含むサイドシール部7、7は、通常の製袋方法におけるサイドシール工程と同様の方法で形成される。即ち、帯状に連続する表裏ネットシート2、3とヘッダーシート9、10を重ね合わせた袋素材構成体を袋幅方向に移送し、移送方向に直交する溶断刃で袋幅寸法に応じて袋素材構成体を溶断することにより、袋素材構成体から一枚宛の袋体1を切り離すと同時に、該袋体1にサイドシール部を形成する。この際、通常の溶断刃を使用することにより、溶断と同時に溶着線によるサイドシール部を形成するようにしても良いが、例えば、溶断刃に隣接して加熱溶着体を設けた装置を使用することにより、溶断刃で溶断溶着するだけでなく、該溶断溶着線の内側において加熱溶着体を押圧することにより、1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上5mm以下程度の所定寸法幅の加圧溶着線を設けるように構成することができる。
【0023】
そこで、このような加熱溶着体を備えた溶断刃で上部サイドシール部7a、7aを形成すると、上部サイドシール部7a、7aは、表側の重合シート部を構成する表ネットシート2とヘッダーシート9と、裏側の重合シート部を構成する裏ネットシート3とヘッダーシート10との四者を一体的に溶断溶着し、溶断溶着線の内側に所定寸法幅の加圧溶着線を形成する。加圧溶着線においては、表裏ネットシート2、3の網目を介して表裏ヘッダーシート9、10が相互に溶着される。表側の重合シート部(表ネットシート2と表ヘッダーシート9)と、裏側の重合シート部(裏ネットシート3と裏ヘッダーシート10)は、常時は、図1(b)に示すように、相互に重合せしめた形態に保持されており開口部8を閉じているが、一対の開口縁を指先で離反せしめることにより、図1(a)に示すように、開口部8を開放せしめられる。このような開閉は、上部サイドシール部7a、7aを支点として行われるが、上部サイドシール部7aにおいて、前述のような四者一体的な溶着と加圧溶着線を形成すれば、開口部8の開閉動作の繰り返しに耐える強固な溶着状態が得られる。しかしながら、本発明がこのような溶着方法に限定されないことは勿論のことであり、表裏ネットシート2、3の二者、ヘッダーシート9、10の二者だけを溶着するものでも良く、更には加熱溶着体を有しない溶断刃を使用することにより、加圧溶着線を形成せず、溶断溶着線だけを形成するものとしても良い。
同様に、前述のような加熱溶着体を備えた溶断刃でサイドシール部7、7を形成すれば、表裏ネットシート2、3は、溶断溶着線の内側において加熱溶着体により所定寸法幅の加圧溶着線を設けられる。この加圧溶着線の部分で、表裏ネットシート2、3は、線条12を偏平状態となるように変形せしめ、相互に面的に溶着するように構成できるが、加熱溶着体の加圧力を加減することにより、相互に線条12を断面円形のままで溶着するように構成しても良い。更には、加熱溶着体を有しない溶断刃によりサイドシール部7、7を形成しても良く、この場合、加圧溶着線は形成されず、溶断溶着線だけが形成される。
要するに、上部サイドシール部7a、7aを含むサイドシール部7、7は、袋体1の両側縁を溶着したものであれば良いことを了解されたい。
【0024】
表ネットシート2とヘッダーシート9が重合する表側の重合シート部には、シール線9a、9aの間に把手開口13が開設され、同様に、裏ネットシート3とヘッダーシート10が重合する裏側の重合シート部には、シール線10a、10aの間に位置して、前記把手開口13に対向する把手開口14が開設されている。これら一対の把手開口13、14は、物品収納室4に物品を収納した状態でネット袋を持ち運ぶ際、手先を挿入して把持するためのものであり、図例のように、袋対1の幅方向に長く延びる形状とされることが好ましい。把手開口13、14は、それぞれ表裏の重合シート部に形成された開口形成縁により周縁を形成されている。開口形成縁の形成方法は特に限定されるものではなく、トムソンのような切断刃により重合シート部を打ち抜くことにより形成しても良いが、溶断刃で重合シート部を溶断することにより形成するのが好ましく、この場合、把手開口13、の周縁では、表ネットシート2と表ヘッダーシート9が相互に離反しないように溶着一体化され、把手開口14の周縁では、裏ネットシート3と裏ヘッダーシート10が相互に離反しないように溶着一体化されるので、握りやすい把手開口13、14を形成できる。
【0025】
図2に示すように、一対の把手開口13、14のうち、少なくとも一方の把手開口は、周縁の上辺部16を残して開口形成縁15を形成することにより、該開口形成縁15により囲まれた重合シート部によりフラップ17が設けられる。したがって、フラップ17は、上辺部16により袋本体1に連結されると共に、上向きに折曲自在に構成されている。上述のように溶断により開口形成縁15を形成するときは、フラップ17を構成するヘッダーシート9(10)とネットシート2(3)が相互に該フラップの周縁で溶着一体化されるので、該フラップ17を上向きに折り曲げる際、該ヘッダーシートとネットシートが分離するようなことがなく、取り扱いやすいという利点がある。尚、フラップ17は、一対の把手開口13、14の少なくとも一方の把手開口に設け、他方の把手開口にはそのようなフラップを設けずに該把手開口の周縁の全周を開放しても良いが、或いは、両方の把手開口13、14にフラップ7を設けても良い。
【0026】
〔ヘッダー部分の第一実施形態〕
図3は、一対の把手開口13、14のうち一方の把手開口14にフラップ17を設けた第一実施形態を示している。したがって、他方の把手開口14は、周縁の全周を開放している。この第1実施形態によれば、フラップ17は、図3(a)のように、他方の把手開口13に挿通自在であると共に、他方の把手開口13の上縁部13aに重ねて上向きとなるように折曲自在とされている。その結果、図3(b)に示すように、ヘッダーシート10とフラップ17がヘッダーシート9を挟み込むので、一対のヘッダーシート9、10を相互に重合せしめた形態で開口部8を封止する。そして、この状態で、把手開口13、14を握ってネット袋を持ち運ぶ際に、フラップ7の折曲部18が把手開口13、14の上縁を覆うので、表裏ネットシート2、3の溶断された線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができるようになる。
【0027】
〔ヘッダー部分の第二実施形態〕
図4は、第二実施形態を示している。フラップ17を一方の把手開口14にのみ設けた点において図3に示した第一実施形態と同様であるが、フラップ17とヘッダーシート9を互いに接着する接着手段19を設けた点で異なり、その他の構成は第一実施形態と同様である。図4(a)に示す構成例では、上辺部16を介して連結されたフラップ17に接着手段19を添設しており、接着手段19はフラップ17を上辺部16に沿って折り曲げる前の状態で袋体1の内側に面する部分に設けられる。これに対して、図4(b)に示す構成例では、全周を開放した把手開口13の上方でヘッダーシート9の外側に接着手段19が添設されている。このような接着手段19は例えば粘着シート等によって構成され、図4(a)及び(b)のいずれの態様であっても構わない。
【0028】
この第二実施形態によれば、図4(c)に示すように、フラップ17を他方の把手開口13に挿通し、該把手開口13の上縁部13aに重ねて上向きとなるように折り曲げた状態でフラップ17の折曲した内側とヘッダーシート9が互いに接着手段19によって接着される。このように一方の把手開口14に設けたフラップ17を他方の把手開口13の上縁部13aを覆うように折り曲げたとき、フラップ17とヘッダーシート9が互いに接着手段19で接着されるので、把手開口13、14から手を離しても、フラップ17とヘッダーシート9が接着状態で保持され、一対のヘッダーシート9、10を相互に重合せしめた形態で開口部8を封止しておくことができる。特に、上述した第一実施形態(図3の形態)では、折り曲げたフラップ17をヘッダーシート9に接着するものではないので、折り曲げたフラップ17が折り曲げ前の状態へと復帰していく場合には、開口部8が次第に開放されていく可能性があるが、本実施形態の場合には開口部8が次第に開放されていくことを良好に防止できるという利点がある。
【0029】
また、ネット袋を図4(c)の状態として、把手開口13、14を握ってネット袋を持ち運ぶ際には、ヘッダーシート10の折曲部18が連通する把手開口13、14の上縁に位置することになり、表裏ネットシート2、3の溶断された線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができる。
【0030】
〔ヘッダー部分の第三実施形態〕
図5は、一対の把手開口13、14の両方にフラップ17a、17bを設けた第三実施形態を示している。尚、その他の構成は上述した第一実施形態と同様である。
【0031】
一対のフラップ17a、17bのうち、一方のフラップ17aは、該フラップが設けられた把手開口13から上辺部16を介して外側で上向きに折曲自在であり、他方のフラップ17bは、前記把手開口13に挿通し、前記フラップ17aに重ねて上向きとなるように折曲自在とされている。このとき、一対の把手開口13、14は互いに対向する位置に形成されているので、他方のフラップ17bを一方のフラップ17aに重ねた状態で、一挙に折り曲げることができる。その結果、図5(b)に示すように、裏側のヘッダーシート10とフラップ17bが、表側のヘッダーシート9とフラップ17aを挟み込むので、一対のヘッダーシート9、10を相互に重合せしめた形態で開口部8を封止することができる。またこの状態で把手開口13、14を握ってネット袋を持ち運ぶ際には、ヘッダーシート10の折曲部18が把手開口13、14の上縁を覆うので、表裏ネットシート2、3の溶断された線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができるようになる。
【0032】
〔ヘッダー部分の第四実施形態〕
図6は、第四実施形態を示しており、一対の把手開口13、14の両方にフラップ17a、17bを設けた点において上述の第三実施形態と同様であるが、表裏両側に設けられた一対のフラップ17、17を互いに接着させる接着手段19を設けると共に、双方のフラップ17、17を互いに袋体1の内側に向けて折り曲げる点で相違する。
【0033】
図6(a)に示す構成例では、一方のフラップ17aに接着手段19を添設しているが、他方のフラップ17bに接着手段19を設けても良い。即ち、本実施形態では各フラップ17a、17bが折り曲げられる前の少なくとも一方のフラップの外側に接着手段19を設けておけば良い。そして各フラップ17a、17bを開口部8の内側に向けて折り曲げることにより、把手開口13、14が形成される。このとき、各フラップ17a、17bは接着手段19によって互いに接着される。
【0034】
このように各フラップ17a、17bを開口部8の内側に折り曲げたときに、一対のフラップ17a、17bを互いに接着させる接着手段19を設けることにより、把手開口13、14から手を離しても、一対のヘッダーシート9、10は互いに接着した状態を維持し、開口部8を封止しておくことができる。特に、上述した第三実施形態(図5の形態)では、折り曲げたフラップ17a、17bを互いに接着するものではないので、折り曲げた各フラップ17a、17bが折り曲げ前の状態へと復帰していく場合には、開口部8が次第に開放されていく可能性があるが、本実施形態の場合には開口部8が次第に開放されていくことを良好に防止できるという利点がある。尚、本実施形態でも接着手段19は粘着シート等によって構成することができる。
【0035】
また本実施形態でもネット袋を図6(b)の状態として、把手開口13、14を握ってネット袋を持ち運ぶ際には、ヘッダーシート9、10の各折曲部18、18が把手開口13、14の上縁を覆うので、表裏ネットシート2、3の溶断された線条先端が手に直接当たることがなく、不快感を生じることなく持ち運びができる。
【0036】
〔ヘッダー部分の第五実施形態〕
図7は、第五実施形態を示しており、一対のヘッダーシート9、10を互いに接着することにより開口部8を封止する粘着シート20を設けている。
【0037】
図7(a)及び図8に示すように、一方のヘッダーシート10には、袋体1の開口縁2a、3aよりも上方に延びる帯状の粘着シート20が添設されている。粘着シート20の粘着面21には剥離シート22が設けられる。そして袋体1の開口部8を封止する際には、図7(b)の如く剥離シート22を剥がした後、図7(c)の如く粘着シート20を開口縁2a、3aに沿って折り曲げることにより、粘着面21を他方のヘッダーシート9に貼着させる。この際、図8のように粘着シート20を袋体1のほぼ全幅に設けておけば、開口部8をほぼ完全に封止できる。したがって、把手開口13、14に設けられたフラップ17a、17bによって開口部8を封止するだけでなく、幅の広い範囲で開口部8を封止できるという利点がある。
【0038】
尚、図例では、裏側のヘッダーシート10に粘着シート20を添設しているが、表裏いずれか一方のヘッダーシートに粘着シート20を添設したものであれば良い。また図例では表裏双方の把手開口13、14にフラップ17、17を設けた場合を例示しているが、図3に例示したようにいずれか一方の把手開口のみにフラップ17を設けたものであってもよい。
【0039】
〔ヘッダー部分の第六実施形態〕
図9は、第六実施形態を示しており、表側の重合シート部(表ネットシート2及び表ヘッダーシート9)と、裏側の重合シート部(裏ネットシート3と裏ヘッダーシート10)は、切断線23、23により両側縁を切除されている。即ち、表裏の重合シート部が溶着されたサイドシール部7a、7aは、切断線23、23により切除され、これにより表裏の重合シート部を相互に離反可能に構成している。尚、図例では切断線23をほぼ直線状としているが、それに限定されるものではなく、曲線状としても良い。
【0040】
したがって、一対のヘッダーシート9、10の上端部9b、10bはその両側縁において互いに分離し離反自在とされるので、従来のように袋体の両側縁において開口部の上端に至るまで表裏ネットシートを溶着してサイドシール部を形成した場合と比較すると、物品を出し入れする際にヘッダーシート9、10の上端部9b、10bの離反間隔を大きくすることができる。そのため、物品収納室4に対する物品の出し入れが行い易くなり、ネット袋の使い勝手が向上する。
【0041】
〔底部ガゼットの形成方法〕
次に、ネット袋の底部ガゼット6の形成方法について説明する。図10は、幅広の二枚のネットシート30、31から、一対の袋体1、1を形成する場合を例示している。この場合、まず図10(a)に示す如く、二枚のネットシート30、31は、ネット袋を構成する表面側と裏面側にそれぞれ整合して配置され、幅方向のほぼ中央には一対の袋体1、1のヘッダーシート9、10を構成することになる幅広のシート材32、33がそれぞれに添設される。二枚のネットシート30、31の互いに対向する端部30a、31aを、互いに溶着することにより、ネットシート30、31の両端に溶着部34、34を形成する(図10(b))。そして両端の溶着部34、34を内側に向けて山形に折曲させ、ネット袋の底部ガゼット6を形成する(図10(c))。その後、表裏それぞれに添設されたシート材32、33のほぼ中央を切断線Yに沿って切断することにより、一対の袋体1、1を構成する。そして各袋体1、1に対応して、サイドシール部7、7及び上部サイドシール部7a、7aを形成することにより、ネット袋が完成する。尚、上述の把手開口13、14は、図10(a)〜(d)のいずれの段階においても形成することができる。
【0042】
次に、図11は一対の表裏ネットシート2、3から、袋体1を一個ずつ形成する場合を例示している。この場合、まず図11(a)に示す如く、二枚のネットシート2、3は、ネット袋を構成する表面側と裏面側にそれぞれ整合して配置され、幅方向の一端側には一対のヘッダーシート9、10が添設される。そして二枚のネットシート2、3の互いに対向する他端側の端部2c、3cを、互いに溶着することにより、袋体1の底部となる部分に溶着部34を形成する(図11(b))。そして溶着部34を内側に向けて山形に折曲させ、ネット袋の底部ガゼット6を形成することにより、袋体1を構成する(図11(c))。その後、袋体1に対してサイドシール部7、7及び上部サイドシール部7a、7aを形成することにより、ネット袋を完成する。尚、この場合でも上述した把手開口13、14は、図11(a)〜(c)のいずれの段階においても形成することができる。
【0043】
次に、図12は筒状のネットチューブ35から、一対の袋体1、1を形成する場合を例示している。図12(a)に示す如く、ネットチューブ35はその両端に折曲部36、36が形成され、全体としてほぼフラットな偏平状態とされており、幅方向のほぼ中央には一対の袋体1、1のヘッダーシート9、10を構成することになる幅広のシート材32、33が表裏それぞれに添設される。そして両端の折曲部36、36を内側に向けて山形に折曲させ、ネット袋の底部ガゼット6を形成する(図12(b))。その後、表裏それぞれに添設されたシート材32、33のほぼ中央を切断線Yに沿って切断することにより、一対の袋体1、1を構成する。そして各袋体1、1についてサイドシール部7、7及び上部サイドシール部7a、7aを形成していくことにより、ネット袋が完成する。尚、この場合でも上述した把手開口13、14は、図12(a)〜(c)のいずれの段階においても形成することができる。
【0044】
上記のようにして、袋体1の底部5に、表裏ネットシート2、3が物品収納室4の内側に向けて山形状に折曲された底部ガゼット6を構成しておけば、物品収納室4に物品を収納した場合に底部ガゼット6が広がり、その広げられた底部ガゼット6を座として陳列棚等にネット袋を起立姿勢で載置できるようになる。したがって、物品を収納した複数のネット袋を陳列棚等に載置する場合には、体裁良く陳列できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るネット袋の一形態を示す図であり、(a)は開口部を開いた状態の斜視図、(b)は開口部を閉じた状態の斜視図、(c)は縦断面図である。
【図2】ヘッダーシートが添設された袋体のヘッダー部分における把手開口の形成形態を示す拡大図である。
【図3】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第一実施形態を示す拡大図であり、(a)及び(b)のいずれも縦断面を示している。
【図4】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第二実施形態を示す拡大図であり、(a)、(b)及び(c)のいずれも縦断面を示している。
【図5】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第三実施形態を示す拡大図であり、(a)及び(b)のいずれも縦断面を示している。
【図6】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第四実施形態を示す拡大図であり、(a)及び(b)のいずれも縦断面を示している。
【図7】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第五実施形態を示す拡大図であり、(a)、(b)及び(c)のいずれも縦断面を示している。
【図8】第五実施形態におけるネット袋の斜視図である。
【図9】ネット袋の把手開口が設けられたヘッダー部分の第六実施形態を示す図であり、(a)はネット袋の開口部を開放した状態の斜視図、(b)はネット袋の正面図である。
【図10】幅広の二枚のネットシートから一対の袋体を形成するに際し、底部に底部ガゼットを形成する場合を例示する図である。
【図11】一対の表裏ネットシートから一個の袋体を形成するに際し、底部に底部ガゼットを形成する場合を例示する図である。
【図12】筒状のネットチューブから一対の袋体を形成するに際し、底部に底部ガゼットを形成する場合を例示する図である。
【符号の説明】
【0046】
1 袋体
2 表ネットシート
3 裏ネットシート
4 物品収納室
5 底部
6 底部ガゼット
7 サイドシール部
7a 上部サイドシール部
8 開口部
9、10 ヘッダーシート
13、14 把手開口
16 上辺部
17 フラップ
20 粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納室(4)を挟んで配置された合成樹脂製の表裏ネットシート(2,3)により上部に開口部(8)を備えた袋体(1)を構成するネット袋において、
前記開口部(8)の開口縁(2a,3a)に沿って表裏ネットシート(2,3)に帯状の表裏ヘッダーシート(9,10)を重ね合わせて添設することにより、それぞれネットシートとヘッダーシートを重合した表裏の重合シート部を構成し、
表裏の重合シート部に開口形成縁により周縁を形成された互いに対向する一対の把手開口(13,14)を開設しており、
少なくとも一方の把手開口(14)は、周縁の上辺部(16)を残して開口形成縁を形成することにより、該開口形成縁に囲まれた重合シート部により形成されたフラップ(17)を、前記上辺部(16)を介して袋体(1)に連結すると共に折曲自在に構成していることを特徴とするネット袋。
【請求項2】
一対の把手開口(13,14)のうち、一方の把手開口(14)には前記フラップ(17)を設けているが、他方の把手開口(13)には前記フラップを設けず該把手開口(13)の周縁の全周を開放しており、
一方の把手開口(14)に設けたフラップ(17)は、他方の把手開口(13)に挿通自在とされると共に、該フラップ(17)を他方の把手開口(13)の上縁部(13a)に重ねて上向きに折り曲げた状態で、該フラップ(17)と他方の把手開口(13)の上縁部(13a)の外側近傍部とを相互に接着自在とする接着手段(19)を設けていることを特徴とする請求項1記載のネット袋。
【請求項3】
一対の把手開口(13,14)のそれぞれにフラップ(17a,17b)を設けており、
両フラップ(17a,17b)を両把手開口の内側で上向きに折り曲げた状態で、両フラップ(17a,17b)を相互に接着自在とする接着手段(19)を設けていることを特徴とする請求項1記載のネット袋。
【請求項4】
表裏いずれか一方のヘッダーシート(10)に、袋体(1)の開口縁よりも上方に延びる粘着シート(20)を添設しており、表裏の重合シート部を合掌させた状態で、該粘着シート(20)を折り曲げることにより、該粘着シート(20)を他方のヘッダーシート(9)の外側面に接着するように構成していることを特徴とする請求項1記載のネット袋。
【請求項5】
表裏の重合シート部は、切断線(23)(23)により両側縁を切除されており、該切断線を介して表裏の重合シート部を相互に離反可能となるように構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のネット袋。
【請求項6】
表裏ネットシート(2,3)が袋体(1)の底部(5)において物品収納室(4)の内側に向けて断面山形状に折曲された底部ガゼット(6)を設けていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のネット袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−91284(P2007−91284A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284158(P2005−284158)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390036629)株式会社ヤマガタグラビヤ (30)
【出願人】(391004344)ユーシー販売株式会社 (2)
【Fターム(参考)】