説明

ネブライザー処方物

ネブライザー処方物は、約2ml以下の塩水中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムを含有し、そしてCOPDおよび喘息ならびに他の気道疾患および障害の治療のために使用され、患者のコンプライアンスを高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネブライザー処方物に関し、特に、この処方物を用いる慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息のような疾患のためのネブライザー処方物および治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネブライザーは、患者がほぼ通常の速度で呼吸しながら、その患者の気道に薬剤を投与する手段を提供する。それらは、特に、年齢または負傷あるいはその他のためであれ、定量噴霧式吸入器またはドライパウダー吸入器を介する薬剤の投与に要求されるようなよりずっと早い速度で吸入することができない患者、および何らかの理由のために、定量噴霧式吸入器の起動を呼吸による吸入と調和できない患者に適している。ネブライザー器具は、薬剤粒子を含有する蒸気を発生させ、そして患者は、ネブライザーに取り付けられたマウスピースまたはマスクを介して蒸気を吸い込む。代表的には、ネブライザーは、喘息およびCOPDのような気道疾患の治療のための薬剤を送達するために用いられる。
【0003】
米国疾病管理予防センターによれば、COPDは、最近、米国において死因の4番目であり(心臓疾患、ガン、および卒中に次いで)、毎年、100,000人を越えるアメリカ人の命を奪っている。推定1600万人のアメリカ人が、何らかの形でCOPDと診断されており、そして、他にも1600万人もの人々が、症状を有しているが、まだ診断されていない。したがって、COPDは、米国においておよびその他の世界中を通じて、重大な増大しつつある健康管理の脅威とみなされている。
【0004】
COPDの治療のための公知の処方物は、3.0mlの溶液を含有するアンプル中にアルブテロール(サルブタモールとしても公知である)およびイプラトロピウムを含み、WO03/037159および同じ米国特許第6632842号に記載されている。使用に際し、アンプルの内容物は、ネブライザーのチャンバーに注がれ、次いで患者は、アンプル内容物を消費するまで発生した蒸気を吸い込む。治療は、代表的には、一定の間隔で1日あたり4回まで必要とされる。
【0005】
患者のコンプライアンスが低いことは、噴霧される薬剤全般で知られている問題である。なぜなら、用量を投与するために求められる噴霧時間が長いからであり、代表的な用量において、代表的には数十分、おそらく半時間である。小児および成人とも、この時間を退屈とし得る。早めに噴霧を中止した患者は、用量の全部を受けていない。これは、引き続き、患者のコンプライアンスのさらなる低下に導き得る。なぜなら、不十分な用量では十分な治療が提供されず、さらなる使用の意思がくじけるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題の1つ以上を克服するまたは少なくとも改善する処方物およびその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規なネブライザー処方物を提供し、COPD、喘息、および気道の可逆性閉塞に関連するその他の症状の治療に適している。この処方物は、成分の損失を減少させおよび/または患者のコンプライアンスを高めるとともに、種々の公知のネブライザー器具に利用され得る。
【0008】
本発明は、COPD、喘息、および気道の可逆性閉塞に関連するその他の症状の治療方法を提供し、該方法は、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよび抗コリン作用薬の両方を含有する処方物を、ネブライザーを介して投与する工程を包含する。
【0009】
より具体的には、本発明は、COPD、喘息、および気道の可逆性閉塞に関連するその他の症状の治療方法を提供し、該方法は、ネブライザーと、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよび抗コリン作用薬(例えば、イプラトロピウム)を含む2.2ml以下の処方物を含有するアンプルとを供給する工程、および該ネブライザーを使用して該処方物を投与する工程を包含する。
【0010】
本発明の充填されたアンプルは、レバルブテロールおよび抗コリン作用薬(例えば、イプラトロピウム)の処方物を含有し、そしてより具体的なアンプルは、ネブライザー処方物を含有し、該処方物は、1.0から1.5mgのレバルブテロール、および0.40から0.70mgのイプラトロピウムを、0.3から5mlの合計容量で含有する。
【0011】
ネブライザー処方物の使用に際する患者のコンプライアンスを高める方法もまた、本発明によって提供され、該方法は、ネブライザーと、該処方物を含有するアンプルとを供給する工程であって、該処方物が、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよび抗コリン作用薬を含み、そして該アンプルが、2.2ml以下でありかつ0.3ml以上の該処方物を含有する、工程、および該ネブライザーを使用して該処方物を投与する工程を包含する。
【0012】
本発明のキットは、本発明の処方物を、それをどのように使用するかについての説明書とともに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、当該分野で代表的に伴われる容量の下限を伴うことなくネブライザー処方物を使用することを可能にする。ベータアゴニストは、イプラトロピウム、チアプロプリウム(tiaproprium)、クロモリンナトリウム、およびその他の抗コリン作用薬から適切に選択される抗コリン作用薬と共に処方され、そして投与される。
【0014】
本明細書中でこれらの活性な薬剤に言及する場合、その薬学的に受容可能な誘導体もまた含むことを意図しており、そのような誘導体としては、例えば、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。イプラトロピウムは抗コリン作用薬であり、気管支拡張効果を有する。したがって、イプラトロピウムは、レバルブテロールの送達を補助し、そしてレバルブテロールの気管支拡張効果と相乗的に作用し得る。したがって、イプラトロピウムは、COPDに罹患した患者において抗コリン性効果を有するイプラトロピウムの任意の形態を含むが、これに限定されない。そのような形態としては、イプラトロピウムの全ての自動形態、エナンチオマー形態、立体異性体、無水物、酸添加塩、塩基塩、溶媒和物、類似体、および誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
イプラトロピウムには、いくつかの受容可能な塩が存在し、そして本発明においては、例えば、米国特許第3,505,337号(これは、参考文献として本明細書に援用される)に記載される臭化物、塩化物、およびヨウ化物のようなハロゲン化塩が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0016】
本発明の教示によれば、COPDまたは喘息の治療方法は、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムの両方を効果的な量で含有する処方物を、ネブライザーを介してヒト患者に投与する工程を包含し、そしてこのアンプル処方物を用いることによって、薬剤受容性の改善およびより良好な患者のコンプライアンスを達成することが期待される。
【0017】
さらに期待される利点は、活性成分の濃度が増加され得ることであり、これは、本発明のアンプルは、投与されるべき薬剤の実質的に同量の単位薬量を維持しながらも、容量を減らして含有し得る結果である。本発明の1つの実施態様では、全アンプル濃度(すなわち、活性成分および不活性成分を含む)は、以前の処方物と実質的に同一であるが、アンプル容量は約半分である。容量を減らしたことにより、噴霧時間が短縮される。これは、例えば、患者がネブライザーの使用中に退屈になるまたは注意をそらす時間が少なくなるので、患者のコンプライアンスをさらに改善し得る。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、アンプル容量が減らされて噴霧時間を短縮し、かつアンプル濃度も低くされる。
【0019】
本明細書に記載の組成物は、ヒト患者における気管支収縮の障害または疾患の症状の1以上を治療、予防、または改善するために使用される。1つの実施態様では、該方法は、レバルブテロールおよび抗コリン作用薬を含有する効果的な量の組成物を患者にネブライザーで投与することを包含し、それによって疾患または障害が治療または予防される。
【0020】
本発明は、特に、COPDおよび喘息の治療のための処方物に関する。慢性気管支炎、肺気腫、ならびに肺高血圧症、右心室肥大、および右心不全が付随した肺性心(肺および呼吸器系の疾患に続発的な心疾患)が、そして気管支喘息、アレルギー性喘息、および内因性喘息(例えば、遅発性喘息および気道過敏性)もまた挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の処方物は、ネブライザーによる投与のために設計される。噴霧溶液は、空気中に分散されてエアロゾルを形成するものであり、そしてネブライザーが、肺への吸入に適した非常に細かい液滴を発生させる。ネブライザーは、代表的には、液滴の霧を発生させるために圧縮空気、超音波、または振動メッシュを使用する。そして、衝突により霧からより大きな液滴を除去するためにバッフルを有し得る。種々のネブライザーが、この目的のために利用可能であり、例えば、超音波ネブライザー、ジェットネブライザー、および呼吸作動ネブライザーが挙げられる。使用に際し、代表的には、マウスピースまたはマスクが、噴霧溶液の送達を補助するために患者に取り付けられる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様では、処方物は、高効率ネブライザー、特に、患者の肺に薬剤物質の少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも35%を送達し得るネブライザーによる送達用であり、そして患者は、該ネブライザーを使用して治療される。
【0023】
本発明の具体的な実施態様では、処方物は、高効率ジェットネブライザー、高効率超音波ネブライザー、または高効率振動メッシュネブライザーを使用して送達され、これらの装置の使用が、本発明の容量を減らした処方物の使用を可能にしおよび/または高める。ジェットネブライザーが特に好ましく、1つの例として、PARI LC Plus(登録商標、Pari GmbH Germany)ネブライザーがある。
【0024】
本発明は、特にCOPDに対して有用である。したがって、具体的には、本発明によるCOPDの治療方法は、
(1)a)ネブライザー、および
b)薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムを含む2.2ml以下の処方物を含有する、アンプル
を供給する工程、および
(2)該ネブライザーを使用して該処方物を投与する工程、を包含する。
【0025】
好ましくは、本発明は、0.5ml以上の処方物、より好ましくは約1.0から2mlの処方物、非常に好ましくは約1.5mlから2mlの処方物を含有するアンプルを提供し、および使用する。該アンプルは、これらの減らされた容量が、治療時間の有意な短縮に導き、説明した期待される利点を伴い得る。
【0026】
本発明の処方物および組成物は、一般的に、薬学的に受容可能なキャリアを含む。キャリアは、好ましくは液体キャリアである。さらに、キャリアは、好ましくは水を含み、そして他の成分を含み得る。
【0027】
本発明の充填されたアンプルは、レバルブテロールおよびイプラトロピウムの処方物を含有する。これは、一般的に薬学的に受容可能なキャリア中にあり、そしてヒトでの使用のためにpHが約3.5〜5.5に緩衝される。実施例の処方物は、pHが約4に緩衝される。レバルブテロールは、実施例ではHCl塩として使用されているが、他の塩も適切である。イプラトロピウムは、そのHBr塩として一般的に使用されるが、さらに、他の塩も適切である。HClは、pH調節のために都合よく用いられる。処方物は保存剤を含まない。このことは、いくつかの保存剤は、気管支収縮効果(処方物に要求されるのとは反対の効果)に関連し得るから有利である。水は、キャリアを供給するために使用され、そして注射用水が、その純度のため好ましい。
【0028】
1以上の張度調節剤が、所望のイオン強度を与えるために添加され得る。本明細書において使用の張度調節剤としては、投与後、薬理活性を全く示さないか、または無視できるほどでしかない張度調節剤が挙げられる。無機および有機張度調節剤の両方が使用され得る。本発明の組成物はまた、賦形剤および/または添加剤を含有し得る。これらの例としては、界面活性剤、安定剤、錯化剤、抗酸化剤、または完成した薬学的処方物の使用期間を長くする保存剤、香料、ビタミン、または当該分野で公知の他の添加剤が挙げられる。錯化剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩(例えば、二ナトリウム塩)、クエン酸、ニトリロ三酢酸、およびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施態様では、錯化剤はEDTAである。保存剤としては、溶液を病原性粒子による汚染から保護する保存剤が挙げられ、塩化ベンザルコニウム、または安息香酸または安息香酸塩(例えば、安息香酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。抗酸化剤としては、ビタミン、プロビタミン、アスコルビン酸、ビタミンE、またはそれらの塩またはエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明において記載されるような処方物は、当業者によって容易に調製され得る。1つの方法では、NaClの溶液を約9g/lの濃度で調製する。これに、臭化イプラトロピウムを所望の濃度、しかし代表的には約0.25mg/ml、さらにレバルブテロールを所望の濃度、しかし代表的には約0.625mg/mlで添加する。次いで、HClを最終pHが約4.0となるように添加する。この処方物は、ブローフィルシール技術(以下により詳細に説明する)を使用してアンプルに充填され得、要求される取り出し可能な容量の処方物を有するアンプルを生産する。
【0030】
特定の容量を有するアンプルおよびアンプルの取り出し可能な容量とは、通常の使用において(例えば、アンプルを積極的にフラッシュすることなくまたは科学的な取り出し方法を行うことなく、アンプルを割って開けて内容物を注ぐことによる)、アンプルから取り出され得る溶液の容量のことをいう。さらに、充填機毎に精度が異なるので、記載した容量には許容範囲がある。例として、「3mlの溶液を含有するアンプル」および「3mlアンプル」は、例えば、両方とも、約3.1から約3.2、一般的に約3.15mlの溶液を含有しており、そして開けられネブライザーに注がれた場合に、ネブライザーに移される溶液が約3mlになるアンプルのことをいう。したがって、記載した容量は、アンプルに充填されている量よりもむしろアンプルから容易に取り出せ得る溶液の量のことをいう。
【0031】
本発明の好ましい実施態様では、成人用の方法およびアンプルを提供し、成人用では、レバルブテロールの代表的な用量は、約1.25ミリグラムである。イプラトロピウムの代表的な用量は、約0.5ミリグラムである。したがって、アンプルは、取り出し可能な容量でこれらの活性成分のこのような量を適切に含有している。
【0032】
好ましくは、本発明のアンプルは容量が減らされており、2.2ml以下の該処方物、好ましくは2.0ml以下の該処方物、または約1.0から2mlの該処方物を含有している。本発明の具体的な実施態様は、以下に詳細に説明するが、約2mlのアンプルを提供する。その他の適切なアンプル容量は、約1.5ml、約1.0ml、および約0.5mlである。
【0033】
本発明の処方物の使用では、公知の組み合わせ処方物が必要とする時間より短い時間で、イプラトロピウムおよびレバルブテロールの十分な用量を送達することが可能である。したがって、別の局面では、本発明は、ネブライザー処方物の使用において、患者のコンプライアンスを高める方法を提供し、該方法は、
(1)a)ネブライザー、および
b)該処方物を含有するアンプルであって、該処方物が、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムを含み、そして該アンプルが、2.2ml以下でありかつ0.3ml以上の該処方物を含有するアンプル
を供給する工程、および
(2)該ネブライザーを使用して該処方物を投与する工程、を包含する。
【0034】
アンプルの容量は、本発明の教示に従って減らし得る。しかし、非常に少量もの高濃度液体は容易にこぼれやすく、正確に分配するのが容易ではないので、本発明のアンプルの内容物の濃度には事実上の限界がある。好ましい方法および処方物では、アンプルは、2ml以下でありかつ0.5ml以上の該処方物を含有する。
【0035】
本発明の方法に使用される処方物は、代表的には0.75から2.0mgのレバルブテロール、好ましくは1.0から1.5mgのレバルブテロールを含有する。処方物はまた、代表的には0.25から1.0mgのイプラトロピウム、好ましくは0.40から0.70mgのイプラトロピウムを含有する。これらの処方物は、好ましくは約2.0ml、約1.5ml、約1.0ml、または約0.5mlの容量を有する。
【0036】
特定のアンプルは、0.3から2.2mlの容量の
a)1.0から1.5mgのレバルブテロール、および
b)0.40から0.70mgのイプラトロピウム
のネブライザー処方物を含有する。
【0037】
合計容量は、好ましくは、0.5mlから2mlであり、そしてより好ましくは、約2mlまたは約1.5mlの合計容量を有する。
【0038】
本発明の使用では、活性成分(イプラトロピウムおよびレバルブテロール)の高められた濃度によって、使用される処方物をより少ない容量とすることが可能になる。一般的に、レバルブテロールは、約0.57mg/ml以上、約0.63mg/ml以上、または約0.83mg/ml以上で存在する。0.5mlの取り出し可能な容量を有するアンプルは、約2.5mg/mlでレバルブテロールを含有し得る。イプラトロピウムは、一般的に、約0.23mg/ml以上、約0.25mg/ml以上、または約0.33mg/ml以上の濃度で存在する。0.5mlの取り出し可能な容量を有するアンプルは、約1mg/mlでイプラトロピウムを含有し得る。
【0039】
したがって、噴霧を介して投与するためのレバルブテロールおよび抗コリン作用薬を含有する薬学的組成物が提供される。組成物は、好ましくは、滅菌ろ過され、そしてアンプルまたはバイアル(単位用量バイアルを含む)に充填されて、ネブライザーでの使用のための滅菌単位用量処方物を提供する。
【0040】
さらなる実施態様では、本発明は、無菌溶液中に治療に効果的な量のレバルブテロールおよびイプラトロピウムの1回分用量を含むバイアルまたは複数のこのようなバイアルを含有する容器を提供する。
【0041】
本発明の具体的な実施態様の各単位用量の取り出し可能な容量は、無菌の水溶液中に約1.25mgのレバルブテロール(または同等量のその誘導体)および約0.5mgの臭化イプラトロピウム(または同等量のその誘導体)を含む。溶液は、溶液を等張にするために約9mg/mlで塩化ナトリウムを含有し、そして溶液のpHを約4.0に調節するために塩酸を含有する。必要に応じて、EDTAのようなキレート剤を含有する。容量は、好ましくは約2.0mlまたは約1.5mlである。
【0042】
さらに、本発明は、本明細書に記載の疾患の治療における使用のためのキットを提供する。キットは、
(1)治療に効果的な量のレバルブテロールおよび抗コリン作用薬の1回分用量を含有する容器;および
(2)該用量がどのように使用されるべきかの説明書、を含む。
【0043】
1回分用量は、適切には、本発明の処方物に関して、本明細書の別のところに記載されている通りである。説明書は、その用量がネブライザーとともにどのように使用されるべきか、例えば、それをどのように開けてネブライザーに内容物を移すか、ネブライザーをどのようにして操作するか、および用量の投与が終了するためにどのくらい噴霧が続けられるべきかを患者に説明している。
【0044】
本発明のキットは、複数の1回分用量を含有し得る。1つのキットは、少なくとも120個の1回分用量または少なくとも125個の1回分用量を含み、1日あたり4回投与されて1ヶ月の用量分が提供されるように設計されている。別のキットは、少なくとも25個の1回分用量または少なくとも28個の1回分用量を含み、1日あたり4回で1週間提供するように設計されている。他のキットは30個の1回分用量または60個の1回分用量を有益に含有し得る。
【0045】
取り出し可能な容量が2.2ml以下であり、特に、容量が2.0mlまたは1.5mlまたはより少ない本発明の実施態様では、説明書は、本処方物が以前から公知の処方物(例えば、公知の3mlの処方物)より少ない時間で投与され得ることを説明し得、これにより、本発明のこの利点を強化し、そして患者のコンプライアンスを高める可能性を上昇させる。好ましくは、説明書は、患者は、用量の投与をその用量の全体が投与されるまで続けるべきであることを説明している。
【0046】
本発明の処方物は、「ブローフィルシール」(BFS)法を使用してアンプルに充填するのに適している。この原理は、1回の無菌操作で、プラスチック製のパリソンがポリマーから押し出し成形され、容器に形作られ、充填され、そして密封されるという原理である。現在、BFSは、容器のデザイン、製品全体の質、生産高、および低い作業上のコストにおける対応性のため、アンプルの無菌製造のための好ましい方法である。±5%より良好な充填精度が、0.5mlのような少ない容器容量について示される。したがって、BFSは、本発明によるアンプルの製造に適している。
【0047】
1つのBFS操作は、ブロー成形、0.1mlから1,000mlの範囲の充填容量(アンプルにとっては、0.5mlから5mlの範囲の容量がより一般的である)で液体製品の無菌充填および気密封止の多段階プロセスを包含する。種々のポリマーが、このプロセスで使用され得;低密度および高密度のポリエチレンおよびポリプロピレンが最も一般的である。
【0048】
さらに、BFSプロセスフローは、通常、各々がインライン処理される2種の原料(製品およびポリマー)のみが詰め込まれ、それによって、このプロセスは、連続した多量のバッチサイズ(いくらかは500,000または1,000,000単位を超える)および120時間までの充填時間に耐えるものとなる。
【0049】
代表的な操作では、容器を形成するために、熱可塑性物質が管状に連続的に押し出し成形される。管が適切な長さに達すると、金型は閉じてパリソンは切断される。パリソンの底は、つままれて閉じられ、そして先端は、一組の保持用のクリップで適切な場所に保持される。次いで、金型は、充填場所の下の位置に移される。容器を充填するために、ノズルが金型のくびれと共に封を形成するまで、ノズルアセンブリは、パリソン中に下りる。容器形成は、容器の金型側を真空にし、そして容器の内部に滅菌フィルターを通した空気を吹き込むことによって完了する。充填システムは、容器に正確な薬量の製品を送達する。ノズルは元の位置に引っ込む。最後に、容器を密封するために、充填プロセスの完了後、容器の先端は半溶融状態のままである。離れていた密封金型が閉じて先端を形成し、そして容器を気密封止する。金型が開いて、次いで容器が装置から運び出される。上記プロセスの全体が、薬学的に無菌の処理条件で操作される。
【0050】
BFS装置は、Weiler Engineering,Inc(US)およびrommelag USA Inc(US)を含む多数の製造業者から市販されている。
【0051】
本発明を、以下の限定されない実施例で説明する。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
以下の組成を有する大量ネブライザー処方物を調製した:
成分 量/濃度
レバルブテロール 0.625mg/ml
イプラトロピウム 0.25mg/ml
NaCl溶液(注入用) 9mg/ml
HCl pHを4.0に調節するため
【0053】
この処方物を、2ml(取り出し可能な容量)のひねり型キャップ付プラスチック製アンプルに充填した。
【0054】
(実施例2)
以下の組成を有する大量ネブライザー処方物を調製した:
成分 量/濃度
レバルブテロール 0.83mg/ml
イプラトロピウム 0.33mg/ml
NaCl溶液(注入用) 9mg/ml
HCl pHを4.0に調節するため
【0055】
この処方物を、1.5ml(取り出し可能な容量)のひねり型キャップ付プラスチック製アンプルに充填した。
【0056】
したがって、本発明は、ネブライザー処方物およびその使用を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療を必要とする患者の治療方法であって、
(1)a)ネブライザー、および
b)薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムを含む2.2ml以下の処方物を含有する、アンプル
を供給する工程、および
(2)該患者に該ネブライザーを使用して該処方物を投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記アンプルが、0.5ml以上の前記処方物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンプルが、約1.0から2mlの前記処方物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アンプルが、約1.5から2mlの前記処方物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
COPDまたは喘息の治療を必要とする患者の治療方法であって、該患者にネブライザーを介して、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよびイプラトロピウムを含む処方物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項6】
前記患者が喘息を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者がCOPDを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記処方物が、約1.25ミリグラムのレバルブテロールを含有する、請求項5から7のいずれかの項に記載の方法。
【請求項9】
前記処方物が、約0.5ミリグラムのイプラトロピウムを含有する、請求項5から8のいずれかの項に記載の方法。
【請求項10】
レバルブテロールおよびイプラトロピウムと薬学的に受容可能なキャリアとを含む処方物を含有する、充填されたアンプル。
【請求項11】
2.2ml以下の前記処方物を含有する、請求項10に記載の充填されたアンプル。
【請求項12】
2.0ml以下の前記処方物を含有する、請求項10に記載の充填されたアンプル。
【請求項13】
約1.0から2mlの前記処方物を含有する、請求項10に記載の充填されたアンプル。
【請求項14】
ネブライザー処方物の容量を減少させることによって、該処方物の使用に際する患者のコンプライアンスを高める方法であって、
(1)a)ネブライザー、および
b)該処方物を含むアンプルであって、該処方物が、薬学的に受容可能なキャリア中にレバルブテロールおよび抗コリン作用薬を含み、そして該アンプルが、2.2ml以下でありかつ0.3ml以上の該処方物を含有する、アンプル
を供給する工程、および
(2)該ネブライザーを使用して患者に該処方物を投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項15】
前記アンプルが、2ml以下でありかつ0.5ml以上の前記処方物を含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記処方物が、0.75から2.0mgのレバルブテロールを含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記処方物が、1.0から1.5mgのレバルブテロールを含有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記処方物が、0.25から1.0mgのイプラトロピウムを含有する、請求項14から17のいずれかの項に記載の方法。
【請求項19】
前記処方物が、0.4から0.7mgのイプラトロピウムを含有する、請求項14から17のいずれかの項に記載の方法。
【請求項20】
キットであって、
(1)治療に効果的な量のレバルブテロールおよび抗コリン作用薬と薬学的に受容可能なキャリアとの1回分用量を含有する容器;および
(2)該用量がどのように使用されるべきかの説明書
を含む、キット。
【請求項21】
前記1回分用量が2.2ml以下の容量であり、そして前記説明書が、該1回分用量が、以前から公知の処方物より少ない時間で投与され得ることを説明している、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記説明書が、患者は、前記用量の投与を該用量の全体が投与されるまで続けるべきであると説明している、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
前記1回分用量が約2.0mlの容量である、請求項20から22のいずれかの項に記載のキット。
【請求項24】
前記容量が約1.5mlである、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記抗コリン作用薬が、イプラトロピウム、チアプロプリウム、およびクロモリンナトリウムからなる群より選択される、請求項20から24のいずれかの項に記載のキット。
【請求項26】
前記抗コリン作用薬が、イプラトロピウムである、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
高効率ネブライザーを用いて前記用量を送達するための説明書を含む、請求項20から26のいずれかの項に記載のキット。
【請求項28】
前記ネブライザーが、ジェットネブライザーである、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
少なくとも25個の前記1回分用量を含む、請求項20から28のいずれかの項に記載のキット。
【請求項30】
少なくとも120個の前記1回分用量を含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
気道疾患の治療のためのネブライザー処方物の製造におけるレバルブテロールおよびイプラトロピウムの使用。
【請求項32】
前記疾患がCOPDである、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記疾患が喘息である、請求項31に記載の使用。

【公表番号】特表2008−528565(P2008−528565A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552724(P2007−552724)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000309
【国際公開番号】WO2006/079841
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503183455)ブレス リミテッド (11)
【Fターム(参考)】